(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-14
(45)【発行日】2022-01-14
(54)【発明の名称】物品棚
(51)【国際特許分類】
A47F 5/10 20060101AFI20220106BHJP
A47B 43/00 20060101ALI20220106BHJP
【FI】
A47F5/10 B
A47B43/00 A
(21)【出願番号】P 2017182009
(22)【出願日】2017-09-22
【審査請求日】2020-07-02
(73)【特許権者】
【識別番号】506289516
【氏名又は名称】ジャパンレントオール株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091465
【氏名又は名称】石井 久夫
(72)【発明者】
【氏名】加護 洋一
【審査官】遠藤 邦喜
(56)【参考文献】
【文献】登録実用新案第3163932(JP,U)
【文献】実開昭55-041966(JP,U)
【文献】登録実用新案第3060633(JP,U)
【文献】特開2013-039879(JP,A)
【文献】米国特許第05806864(US,A)
【文献】特開2016-203743(JP,A)
【文献】特開2012-100767(JP,A)
【文献】特開平06-154064(JP,A)
【文献】特開2000-168563(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47F 5/10
A47B 43/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
レバー操作によって使用状態と折畳状態との間で変形させ得る物品棚であって、
前後の支柱から構成されている左右の
脚(10A 10B)と、
各々が左右の棚構成部分(20A 20B)からなり、上記左右の脚(10A 10B)の間に上下に間隔をあけて掛け渡され、左右の棚構成部分(20A 20B)の内端が前後方向に伸びる連結ピン(20C)によって相互に平面状をなす使用姿勢と相互に∧字状をなす折畳姿勢との間で回動され得るように連結され、両端部が各々取付けピン(60)によって上記左右の脚(10A 10B)に回転自在に連結された複数段の棚板(20)と、
左右の脚(10A 10B)の上端に着脱可能に嵌め込まれて左右の脚(10A 10B)の開きを規制する天板(30)と、
上記複数段の各棚板(20)の連結ピン(20C)と一体構造をなすロックバー(50)と、
下端が上記左右の脚(10A 10B)に回転自在に連結され
複数段のうちの上段の上記棚板(20)の荷重を受け
て上記左右の脚(10A 10B)に伝える左右の傾斜レバー(41)、該左右の傾斜レバー(41)の上端が回転自在に取付けられたブラケット(43)、該ブラケット(43)の挿通穴(43A)にスライド自在に挿通支持されストッパー(42A)を有し上記ロックバー(50)の外端が回転可能に連結され上記複数段の棚板(20)の荷重を受けて他の棚板(20)に分散させる起立レバー(42)、上記ブラケット(43)に取付けられ上記ストッパー(42A)が挿通可能な挿通穴(44A)を有するロック片(44)、及び該ロック片(44)の挿通穴(44A)に上記ストッパー(42A)を挿通させた状態で下に変位操作することによって上記起立レバー(42)のスライドを規制して複数段の棚板(20)を使用姿勢にロックする一方、上方に変位操作することによって上記ストッパー(42A)を挿通穴(44A)から離脱させて上記起立レバー(42)をスライド可能として複数段の棚板(20)を折畳姿勢に折り畳み可能となすための操作レバー(45)から構成されるロックレバー機構(40)と、
を備えたことを特徴とする物品棚。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は物品棚に関し、特に重い物品を収納し格納しても十分な強度を有する一方、コンパクトに折り畳むことができるようにした棚に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、店舗等で商品を陳列し、倉庫等で物品を収納し格納する場合には陳列棚や格納棚(以下、単に「物品棚」という)がよく利用されている。
【0003】
この物品棚は工場で組みたてて車両の荷台に搭載して設置場所まで運ぼうとすると、嵩張って運搬が煩わしい。そこで、棚の構成部品を設置場所まで運び、構成部品をねじやピン等で相互に固定して棚を組立てることが行われるが(特許文献1)、組立て作業が非常に煩わしい。
【0004】
他方、物品棚を折り畳み可能な構造とし、折り畳んで設置場所まで運搬し、設置場所で組立てるようにした構造が種々提案されている(特許文献2、特許文献3、特許文献4)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2011-27184号公報
【文献】特開2004-49788号公報
【文献】特開2013-255631号公報
【文献】実開昭62-141371号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献2~4記載の物品棚では段ボール等を用いて組立てるようにしているので、重い物品を収納し格納すると強度的に十分ではなく、壊れるおそれがあった。
【0007】
本発明はかかる問題点に鑑み、重い物品を収納し格納しても十分な強度を有する一方、コンパクトに折り畳むことができるようにした物品棚を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
そこで、本発明に係る物品棚は、レバー操作によって使用状態と折畳状態との間で変形させ得る物品棚であって、左右の脚と、各々が左右の棚構成部分からなり、上記左右の脚の間に上下に間隔をあけて掛け渡され、左右の棚構成部分の内端が前後方向に伸びる連結ピンによって相互に平面状をなす使用姿勢と相互に∧字状をなす折畳姿勢との間で回動され得るように連結され、両端部が各々取付けピンによって上記左右の脚に回転自在に連結された複数段の棚板と、左右の脚の上端に着脱可能に嵌め込まれて左右の脚の開きを規制する天板と、上記複数段の各棚板の連結ピンと一体構造をなすロックバーと、下端が上記左右の脚に回転自在に連結され上記棚板の荷重を受ける左右の傾斜レバー、該左右の傾斜レバーの上端が回転自在に取付けられたブラケット、該ブラケットの挿通穴にスライド自在に挿通支持されストッパーを有し上記ロックバーの外端が回転可能に連結され上記複数段の棚板の荷重を受けて他の棚板に分散させる起立レバー、上記ブラケットに取付けられ上記ストッパーが挿通可能な挿通穴を有するロック片、及び該ロック片の挿通穴に上記ストッパーを挿通させた状態で下に変位操作することによって上記起立レバーのスライドを規制して複数段の棚板を使用姿勢にロックする一方、上方に変位操作することによって上記ストッパーを挿通穴から離脱させて上記起立レバーをスライド可能として複数段の棚板を折畳姿勢に折り畳み可能となすための操作レバーから構成されるロックレバー機構と、を備えたことを特徴とする。
【0009】
本発明の特徴の1つは複数段の棚板を中央で折り畳み可能とし、複数段の棚板に荷重を受けるロックレバー機構を設け、ロックレバー機構のレバー操作によって棚板を使用姿勢にロックし、ロックを解除して折畳姿勢に折り畳めるようにした点にある。
【0010】
これにより、棚板の荷重をロックレバー機構の傾斜レバーによって脚に伝えるとともに起立レバーによって他の棚板に分散させることができるので、重い物品を棚板に収納し格納しても、段ボール等によって構成した物品棚に比較して十分な強度を保証することができる。
【0011】
また、ロックレバー機構のレバー操作によって棚板のロックを解除すると、棚板を平坦な姿勢に折り畳むことができるので、天板を外すと、物品棚をコンパクトに折り畳むことができ、保管に大きなスペースを必要とせず、容易に輸送することができる一方、現場で簡単に組立てることができる。
【0012】
左右の脚は板状の脚でもよく、左右の脚の各々を前後の支柱によって構成することもできる。また、棚板には金属板や強化プラスチック板を使用することができ、又平坦な板でもよいが、穴あき板(パンチング板)や金属製ネット板を採用することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明に係る物品棚の好ましい実施形態における使用姿勢を示す概略斜視図である。
【
図2】折畳姿勢への変形途中の状態を示す概略斜視図である。
【
図3】上記実施形態におけるロックレバー機構のロック解除時の状態(a)及びロック時の状態(b)を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明を図面に示す具体例に基づいて詳細に説明する。
図1ないし
図3は本発明に係る物品棚の好ましい実施形態を示す。図において、本例の物品棚は左右の脚、四段の棚板20、天板30、ロックレバー機構40及びロックバー50から構成されている。
【0015】
左右の脚は各々金属製の前後の支柱10A、10Bと支柱10A、10Bの上端を連結するバー10Cとからなり、四段の棚板20は支柱10A、10Bの間に上下に間隔をあけて掛け渡され、棚板20は各々左右の棚構成部分20A、20Bからなり、左右の棚構成部分20A、20Bの内端は前後に伸びる連結ピン20Cによって相互に平面状をなす使用姿勢Aと相互に∧字状をなす折畳姿勢Bとの間で回動され得るように連結されている一方、左右の棚構成部分20A、20Bの外端は取付けピン60によって回転自在に取付けられている。
【0016】
棚構成部分20A、20Bは金属板(パンチング板やネット板でもよい)を用いて矩形状に製作され、周囲にはフランジが下方に折り曲げ形成され、又天板30は金属板(パンチング板やネット板でもよい)を用いて矩形状に製作され、周囲にはフランジが下方に折り曲げ形成され、脚10A、10Bの上端に着脱可能に外嵌されることによって脚10A、10Bの上端の開きを規制するようになっている。
【0017】
また、四段の棚板20の連結ピン20Cにはロックバー50が一体的に形成され、各ロックバー50は前方に突設されている。なお、連結ピン20Cを外方に突出させることによってロックバー50の機能を兼用させることもできる。
【0018】
ロックレバー機構40は左右の傾斜レバー41、起立レバー42、ブラケット43、ロック片44及び操作レバー45から構成され、ブラケット43は断面逆U字状をなし、ブラケット43の頂面中央には挿通穴43Aが形成されている。
【0019】
左右の傾斜レバー41は上端が相互に接近するように傾斜され、その下端は取付けピン60によって脚10A、10Bに回転自在に連結される一方、傾斜レバー41の上端はブラケット43の両側部分に取付けピン41Aによって回転自在に連結されている。
【0020】
また、ブラケット43の挿通穴43には起立レバー42の上端部分がスライド可能に挿通され、起立レバー42の上端部にはストッパー42Aが形成され、起立レバー42には四段の棚板20のロックバー50の外端が回転可能に連結されている。
【0021】
さらに、ブラケット43には操作レバー45が取付け軸45A回りに回転可能に取付けられ、操作レバー45にはロック片44が回転可能に取付けられ、ロック片44にはストッパー42Aが挿通されて引っ掛けられる挿通穴44Aが形成されている。
【0022】
物品棚を組立てる場合、ロックレバー機構40の起立レバー42をブラケット43に対して上方にスライドさせて四段の各棚板20を相互に水平となる使用姿勢Aとなすとともに、ロック片44を上方に回転させてその挿通穴44Aにストッパー42Aを挿通して引っ掛けた後、操作レバー45を下方に回動操作すると、ロック片44の動きが規制されるので、
図3の(b)に示されるように、ブラケット43と起立レバー42との相対変位を規制し、棚板10を使用姿勢Aにロックすると、
図1に示されるように、物品棚を使用可能な状態に組立てることができる。
【0023】
この状態では棚板20の荷重は傾斜レバー41によって脚10に伝えることができるとともに、起立レバー42によって四段の他の棚板20に分散して伝えることができることとなり、棚板20に重い物品を収納し格納しても破損することはなく、十分な強度を保証することができる。
【0024】
また、物品棚を折り畳む場合には
図3の(b)に示される状態において、操作レバー45を上方に回動操作すると、ロック片44が動けるようになるので、
図3の(a)に示されるように、ロック片44を下方に回動させてストッパー42Aをロック片44の挿通穴44Aから離脱させると、起立レバー42がブラケット43に対して自由にスライドできるようになり、四段の棚板20を∧に折り畳むことができる。
【0025】
この状態では天板30を取り外すと、物品棚をコンパクトに折り畳むことができ、保管に大きなスペースを必要とせず、容易に輸送することができるとともに、前述のレバー操作によって物品棚を現場で簡単に組立てることができる。
【0026】
図4は第2の実施形態を示し、図において
図1と同一符号は同一又は相当部分を示す。本例では上から二段目と三段目の間にロックレバー機構40を設けるようにしており、このようにロックレバー機構40を設ける箇所は第1の実施形態に限定されるように上段に限定されるものではない。
【符号の説明】
【0027】
10A 10B 脚
20 棚板
20A、20B 棚構成部分
30 天板
40 ロックレバー機構
41 傾斜レバー
42 起立レバー
43 ブラケット
44 ロック片
45 操作レバー
50 ロックバー