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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-14
(45)【発行日】2022-01-14
(54)【発明の名称】空気入りタイヤ
(51)【国際特許分類】
   B60C 9/18 20060101AFI20220106BHJP
   B60C 11/03 20060101ALI20220106BHJP
   B60C 11/13 20060101ALI20220106BHJP
   B60C 11/01 20060101ALI20220106BHJP
【FI】
B60C9/18 N
B60C11/03 100A
B60C11/13 B
B60C11/03 A
B60C11/01 B
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2017243762
(22)【出願日】2017-12-20
(65)【公開番号】P2019108083
(43)【公開日】2019-07-04
【審査請求日】2020-11-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000003148
【氏名又は名称】TOYO TIRE株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】特許業務法人 ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大田 和貴
【審査官】増永 淳司
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-279865(JP,A)
【文献】特開2008-168872(JP,A)
【文献】特開2013-043491(JP,A)
【文献】特開2009-090949(JP,A)
【文献】特開昭61-146606(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60C 9/18
B60C 11/03
B60C 11/13
B60C 11/01
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
接地面を形成するトレッドゴムと、
前記トレッドゴムよりもタイヤ径方向で内側に位置するベルト層とを備え、
前記トレッドゴムが、タイヤ周方向に沿って延びる複数の陸部を備え、
前記複数の陸部のうち、タイヤ幅方向でもっとも外側に位置するショルダー陸部は、前記ショルダー陸部を、本体部と、前記本体部よりもタイヤ幅方向で外側に位置する犠牲部とに区切る、前記タイヤ周方向に沿って延びる細溝を備え、
前記細溝を形成するタイヤ幅方向内側の溝側面と前記本体部の接地面とが交差するエッジに、前記溝側面および前記本体部の接地面の両方に開口する複数のくぼみが、前記タイヤ周方向に間隔をあけて形成されており、
前記各くぼみのタイヤ幅方向最内端は、前記ベルト層のタイヤ幅方向最外端と前記タイヤ幅方向における位置が同じ、または、前記ベルト層のタイヤ幅方向最外端よりも前記タイヤ幅方向で外側に配置されており
前記トレッドゴムが、前記ショルダー陸部と、前記ショルダー陸部の隣の陸部との間に、前記タイヤ周方向に沿って延びる第1主溝を備え、
前記各くぼみの前記タイヤ径方向の寸法が、前記第1主溝の深さに対して10%~15%である、
空気入りタイヤ。
【請求項2】
前記間隔が一定であり、
前記各くぼみにおける前記タイヤ周方向の寸法が等しく、
前記間隔が、前記寸法に対して1倍~2.5倍である、請求項1に記載の空気入りタイヤ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は空気入りタイヤに関する。
【背景技術】
【0002】
タイヤ周方向に沿って延びる複数の主溝でトレッドゴムが複数の陸部(たとえばリブ)に区切られたタイヤが知られている。このようなタイヤは、トレッドゴムよりもタイヤ径方向で内側に、具体的には、トレッドゴムとカーカスとの間に、タイヤ周方向に延びるベルト層を備える。
【0003】
このようなタイヤでは、複数の陸部のうち、タイヤ幅方向でもっとも外側に位置するショルダー陸部において、タイヤ幅方向の外側端から、タイヤ幅方向で内側に向かって摩耗が進行するような偏摩耗が生じることがある。
【0004】
このような偏摩耗を抑制するために、ショルダー陸部を、タイヤ周方向に沿って延びる細溝で、本体部と犠牲部とに分けることがある。この細溝は、ディフェンスグルーブと呼ばれることがある。ショルダー陸部の本体部は、タイヤ周方向に沿って延び、細溝よりもタイヤ幅方向で内側に位置する。いっぽう、ショルダー陸部の犠牲部は、タイヤ周方向に沿って延び、細溝よりもタイヤ幅方向で外側に位置する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2008-168872号公報
【文献】特開2010-70065号公報
【文献】特開2008-168672号公報
【文献】特開2007-106255号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、ショルダー陸部における本体部のエッジ(タイヤ幅方向で外側のエッジ)やその付近に、ステップウェアやリバーウェアが生じることがある。ステップウェアとリバーウェアとの両者は、タイヤ幅方向に段差を有する摩耗形態である。ステップウェアは、タイヤ周方向で不連続に延びる摩耗形態であり、リバーウェアは、タイヤ周方向で連続に延びる摩耗形態である。
【0007】
本開示の目的は、ステップウェアとリバーウェアとを抑制することが可能な空気入りタイヤを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の空気入りタイヤは、接地面を形成するトレッドゴムと、トレッドゴムよりもタイヤ径方向で内側に位置するベルト層とを備え、トレッドゴムが、タイヤ周方向に沿って延びる複数の陸部を備え、複数の陸部のうち、タイヤ幅方向でもっとも外側に位置するショルダー陸部は、ショルダー陸部を、本体部と、本体部よりもタイヤ幅方向で外側に位置する犠牲部とに区切る、タイヤ周方向に沿って延びる細溝を備え、細溝を形成するタイヤ幅方向内側の溝側面と本体部の接地面とが交差するエッジに、溝側面および本体部の接地面の両方に開口する複数のくぼみが、タイヤ周方向に間隔をあけて形成されており、各くぼみのタイヤ幅方向最内端は、ベルト層のタイヤ幅方向最外端とタイヤ幅方向における位置が同じ、または、ベルト層のタイヤ幅方向最外端よりもタイヤ幅方向で外側に配置されている。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施形態1における空気入りタイヤのタイヤ子午面の要部断面図である。
図2図1の部分拡大図である。
図3】実施形態1における空気入りタイヤの要部斜視図である。
図4】実施形態1における空気入りタイヤの要部平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本開示における実施形態の空気入りタイヤは、接地面を形成するトレッドゴムと、トレッドゴムよりもタイヤ径方向で内側に位置するベルト層とを備え、トレッドゴムが、タイヤ周方向に沿って延びる複数の陸部を備え、複数の陸部のうち、タイヤ幅方向でもっとも外側に位置するショルダー陸部は、ショルダー陸部を、本体部と、本体部よりもタイヤ幅方向で外側に位置する犠牲部とに区切る、タイヤ周方向に沿って延びる細溝を備え、細溝を形成するタイヤ幅方向内側の溝側面と本体部の接地面とが交差するエッジに、溝側面および本体部の接地面の両方に開口する複数のくぼみが、タイヤ周方向に間隔をあけて形成されており、各くぼみのタイヤ幅方向最内端は、ベルト層のタイヤ幅方向最外端とタイヤ幅方向における位置が同じ、または、ベルト層のタイヤ幅方向最外端よりもタイヤ幅方向で外側に配置されている。
【0011】
本開示における実施形態の空気入りタイヤは、ステップウェアとリバーウェアとを抑制することができる。これは、本開示における実施形態の空気入りタイヤが、本体部における、ベルト層のタイヤ幅方向最外端と細溝との間の領域での、接地圧のタイヤ周方向ばらつきを抑制することができるためである。
【0012】
実施形態1
以下、本開示の実施形態1について、図面を参照しながら説明する。図1などに示すタイヤ幅方向D1は、タイヤ回転軸と平行な方向である。タイヤ径方向D2は、タイヤ9の直径方向である。図3などに示すタイヤ周方向D3は、タイヤ回転軸周りの方向である。タイヤ赤道面は、タイヤ回転軸に直交する面でかつタイヤ幅方向D1の中心に位置する面である。タイヤ子午面は、タイヤ回転軸を含む面でかつタイヤ赤道面と直交する面である。なお、各図において、図面の寸法比と実際の寸法比とは、必ずしも一致しておらず、また、各図面の間での寸法比も、必ずしも一致していない。
【0013】
図1図2に示すように、実施形態1のタイヤ9は、一対のビード部(図示していない)と、各ビード部からタイヤ径方向D2で外側に延びるサイドウォール部5と、一対のサイドウォール部5のタイヤ径方向D2の外端部に連接されたトレッド部6とを備える。タイヤ9は、リム(図示していない)に装着されており、タイヤ9の内部は、空気により加圧されている。このように、タイヤ9は空気入りタイヤである。タイヤ9は、トラックやバスに使用することができる。
【0014】
タイヤ9は、一対のビードコアの間に架け渡されるカーカス41と、カーカス41の内側に配置され、空気圧を保持するためのインナーライナーゴム42とを備える。カーカス41およびインナーライナーゴム42は、ビード部、サイドウォール部5およびトレッド部6にわたって、タイヤ内周に沿って配置されている。カーカス41は、一枚のカーカスプライを備える。カーカスプライは、ビードコア(図示していない)とビードフィラー(図示していない)とを巻き込むようにビードコアの回りで折り返されている。カーカスプライは、タイヤ周方向D3に対して略直交する方向に配列した複数のプライコードと、プライコードを被覆するトッピングゴムとを備える。プライコードには、ポリエステル、レーヨン、ナイロン、またはアラミドなどの有機繊維や、スチールなどの金属が好適に使用される。カーカス41は、二枚以上のカーカスプライを備えていてもよい。
【0015】
ビード部は、環状をなすビードコア(図示していない)と、ビードコアからタイヤ径方向D2で外側に延び、環状をなすビードフィラー(図示していない)とを備えている。ビードコアは、ゴム被覆されたビードワイヤ(たとえば、ブロンズメッキを施した鋼線など)を積層して形成されている。いっぽう、ビードフィラーは、サイドウォールゴム51よりも硬いゴムからなる。ビード部は、リム装着時にリム(図示しない)と接するリムストリップゴム(図示していない)をさらに備える。リムストリップゴムにおけるタイヤ径方向D2の外端部は、サイドウォールゴム51におけるタイヤ径方向D2の内端部と連接している。リムストリップゴムの硬度は、サイドウォールゴム51の硬度よりも高い。
【0016】
サイドウォール部5は、カーカス41よりもタイヤ幅方向D1で外側に位置するサイドウォールゴム51を備える。サイドウォールゴム51におけるタイヤ径方向D2の外端部は、トレッドゴム61におけるタイヤ幅方向D1の外側端部と連接している。
【0017】
トレッド部6は、カーカス41よりもタイヤ径方向D2で外側に位置するベルト層62を備える。ベルト層62は、カーカス41とトレッドゴム61との間に位置する。ベルト層62は、4枚のベルトプライ62a、62b、62c、62dを備えている。ベルト層62を構成するベルトプライのうち、第1ベルトプライ62aは、タイヤ径方向D2でもっとも外側に位置する。第1ベルトプライ62aから、タイヤ径方向D2で内側に向かって、第2ベルトプライ62b、第3ベルトプライ62c、第4ベルトプライ62dがこの順に並んでいる。各ベルトプライは、平行に配列した複数本のスチールコードと、これらを被覆するゴムとで構成されている。第3ベルトプライ62cのタイヤ幅方向最外端が、ほかのベルトプライのタイヤ幅方向最外端よりもタイヤ幅方向D1でもっとも外側に位置する。このように、第3ベルトプライ62cのタイヤ幅方向最外端が、ベルト層62のタイヤ幅方向最外端621を構成している。
【0018】
トレッド部6は、カーカス41よりもタイヤ径方向D2で外側に位置するトレッドゴム61を備える。トレッドゴム61は、接地面611を形成するキャップトレッドゴムと、キャップトレッドゴムよりもタイヤ径方向D2で内側に位置するベースゴムとを備える。なお、図中ではキャップトレッドゴムとベースゴムとの界面を図示していない。
【0019】
トレッド部6が、タイヤ周方向D3に沿って延びる複数の主溝63を備える。主溝63は、接地面611における幅8.0mm以上の、タイヤ周方向D3に沿って延びる溝を指す。主溝63の数は、たとえば3本~7本である。各主溝63は、タイヤ周方向D3に沿って連続で延びる。各主溝63の幅は、同一であっても、異なっていてもよい。各主溝63の深さは、同一であっても、異なっていてもよい。第1主溝63aは、複数の主溝63のうち、タイヤ幅方向D1でもっとも外側に位置する。
【0020】
トレッド部6は、これらの主溝63によって、タイヤ周方向D3に沿って連続で延びる複数の陸部64に区切られている。各陸部64は、タイヤ周方向D3と交差するように延びる、主溝63よりも浅い横溝で区切られていてもよい。接地面611における横溝の幅は、接地面611における主溝63の幅よりも狭く、たとえば4.5mm~6.5mmである。
【0021】
複数の主溝63のうち、タイヤ幅方向D1でもっとも外側に位置する第1主溝63aに着目すると、第1主溝63aによって、トレッド部6は、ショルダー陸部64aと陸部64bとに区切られている。ショルダー陸部64aは、第1主溝63aよりもタイヤ幅方向D1で外側に位置する。いっぽう、陸部64bは、ショルダー陸部64aよりもタイヤ幅方向D1で内側に位置する。
【0022】
ショルダー陸部64aは、ショルダー陸部64aを、本体部71と、犠牲部76とに区切る細溝66を備える。細溝66は、タイヤ周方向D3に沿って連続で延びる。細溝66は、主溝63のどれよりも細い。接地面611における細溝66の幅W66(図2参照)は、本体部71の幅W71に対して、たとえば4.0%~7.0%である。細溝66の深さD66は、第1主溝63aの深さD63以下である。タイヤ子午面の断面で、細溝66の底は、丸みを帯びており、底の中央が深くなっている。
【0023】
細溝66を形成するタイヤ幅方向内側の溝側面67は、タイヤ赤道面に対して平行である。このように溝側面67を、タイヤ赤道面に対して平行にすることで、細溝66における底でのクラック発生を抑制できる。
【0024】
いっぽう、細溝66を形成するタイヤ幅方向外側の溝側面68は、細溝66の溝幅が、タイヤ径方向D2で内側に向かって広くなるようにタイヤ赤道面に対して傾いている。タイヤ子午面の断面で、溝側面68と接地面611とがなす角度は、たとえば75度~85度である。
【0025】
ショルダー陸部64aは、細溝66よりもタイヤ幅方向D1で内側に位置する本体部71を備える。本体部71は、タイヤ周方向D3に沿って延びている。接地面611における本体部71の幅W71は、接地面611におけるショルダー陸部64aの幅W64に対して、たとえば80%~95%である。本体部71の幅W71は、タイヤ幅方向D1で測定される。
【0026】
ショルダー陸部64aは、本体部71よりもタイヤ幅方向D1で外側に位置する犠牲部76を備える。犠牲部76は、タイヤ周方向D3に沿って延びている。接地面611における犠牲部76の幅W76は、接地面611におけるショルダー陸部64aの幅W64に対して、たとえば5.0%~10.0%である。ショルダー陸部64aの幅W64は、タイヤ幅方向D1で測定される。
【0027】
図1図4に示すように、細溝66を形成するタイヤ幅方向内側の溝側面67と本体部71の接地面611とが交差するエッジ73に、複数のくぼみ74が形成されている。各くぼみ74は、本体部71の接地面611と溝側面67との両方に開口する。各くぼみ74のタイヤ幅方向最内端741は、タイヤ幅方向D1で同じ位置にある。図1に示す例では、各くぼみ74のタイヤ幅方向最内端741は、ベルト層62のタイヤ幅方向最外端621よりもタイヤ幅方向D1で外側に配置されている。ただし、各くぼみ74のタイヤ幅方向最内端741は、ベルト層62のタイヤ幅方向最外端621とタイヤ幅方向D1における位置が同じであってもよい。接地面611における各くぼみ74の幅W74は等しい。幅W74は、タイヤ幅方向D1で測定される。各くぼみ74の幅W74は、本体部71の幅W71に対して、たとえば1%~5%である。各くぼみ74におけるタイヤ径方向D2の寸法D74は等しい。寸法D74は、第1主溝63aの深さD63に対して10%~15%である。いっぽう、各くぼみ74におけるタイヤ周方向D3の寸法S74(図4参照)は等しい。各くぼみ74は、切欠き状をなし、二つの面を備える。くぼみ74を、たとえば160個~480個、本体部71は備えることができる。
【0028】
これら複数のくぼみ74は、タイヤ周方向D3に間隔740(図4参照)をあけて形成されている。間隔740は一定である。なお、本体部71が、細溝66に開口する横溝を、タイヤ周方向D3に沿って複数備える場合に、「間隔740は一定である。」とは、間に横溝が介在していないくぼみ74同士の間隔が一定であることを意味し、間に横溝があるくぼみ74同士の間隔が一定とは限られない。間隔740は、寸法S74に対して、たとえば1倍~2.5倍である。
【0029】
ここまで説明したように、実施形態1の空気入りタイヤ9は、接地面611を形成するトレッドゴム61と、トレッドゴム61よりもタイヤ径方向D2で内側に位置するベルト層62とを備え、トレッドゴム61が、タイヤ周方向D3に沿って延びる複数の陸部64を備え、複数の陸部64のうち、タイヤ幅方向D1でもっとも外側に位置するショルダー陸部64aは、ショルダー陸部64aを、本体部71と、本体部71よりもタイヤ幅方向D1で外側に位置する犠牲部76とに区切る、タイヤ周方向D3に沿って延びる細溝66を備え、細溝66を形成するタイヤ幅方向内側の溝側面67と本体部71の接地面611とが交差するエッジ73に、溝側面67および本体部71の接地面611の両方に開口する複数のくぼみ74が、タイヤ周方向D3に間隔740をあけて形成されており、各くぼみ74のタイヤ幅方向最内端741は、ベルト層62のタイヤ幅方向最外端621とタイヤ幅方向D1における位置が同じ、または、ベルト層62のタイヤ幅方向最外端621よりもタイヤ幅方向D1で外側に配置されている。
【0030】
タイヤ9は、ステップウェアとリバーウェアとを抑制することができる。タイヤ9では、エッジ73に、複数のくぼみ74がタイヤ周方向D3に間隔740をあけて形成されている。このような構成をタイヤ9が備えるため、本体部71における、ベルト層62のタイヤ幅方向最外端621と細溝66との間の領域711での、タイヤ周方向D3における接地圧のばらつきを抑制することができる。これは、本体部71において、くぼみ74の間の部分が、接地時に、タイヤ周方向D3に広がるように変形することが可能であり、接地時に受ける力の一部をタイヤ周方向D3に逃がすことができるためだと考えられる。よって、タイヤ9は、ステップウェアとリバーウェアとを抑制することができる。
【0031】
仮に、くぼみ74のタイヤ幅方向最内端741が、ベルト層62のタイヤ幅方向最外端621よりもタイヤ幅方向D1で内側に配置されていたとすると、領域711よりもタイヤ幅方向D1で内側の部分(以下、「内側部分」という)において、タイヤ周方向D3における接地圧のバランスが悪化する。これは、内側部分における接地圧のばらつきが、ベルト層62の影響で、領域711にくらべて小さいものの、くぼみ74によって、内側部分のばらつきが大きくなるためである。いっぽう、実施形態1のタイヤ9では、各くぼみ74のタイヤ幅方向最内端741は、ベルト層62のタイヤ幅方向最外端621とタイヤ幅方向D1における位置が同じ、または、ベルト層62のタイヤ幅方向最外端621よりもタイヤ幅方向D1で外側に配置されている。よって、タイヤ9は、このような悪化を回避することができる。
【0032】
仮に、各くぼみ74が、溝側面67に開口せずに、本体部71の接地面611にのみ開口していたとすると、エッジ73を構成する部分がもげやすいため、耐久性が低い。いっぽう、実施形態1のタイヤ9では、各くぼみ74が、本体部71の接地面611と溝側面67との両方に開口するため、耐久性に優れる。
【0033】
仮に、各くぼみ74が、本体部71の接地面611に開口せずに、溝側面67にのみ開口していたとすると、領域711での、タイヤ周方向D3における接地圧のばらつきを抑制することは難しい。いっぽう、実施形態1のタイヤ9では、各くぼみ74が、本体部71の接地面611と溝側面67との両方に開口するため、タイヤ周方向D3における接地圧のばらつきを抑制することができる。
【0034】
実施形態1のタイヤ9では、複数のくぼみ74の間隔740が一定であるので、タイヤ9は、領域711におけるタイヤ周方向D3の接地圧のばらつきを効果的に抑制することができる。
【0035】
実施形態1のタイヤ9では、各くぼみ74におけるタイヤ周方向D3の寸法S74が等しいので、タイヤ9は、領域711におけるタイヤ周方向D3の接地圧のばらつきを効果的に抑制することができる。
【0036】
実施形態1のタイヤ9では、複数のくぼみ74の間隔740が、寸法S74に対して1倍~2.5倍である。1倍以上であるので、くぼみ74を起点とする引裂きの発生を抑制できる。いっぽう、2.5倍以下であるので、領域711におけるタイヤ周方向D3の接地圧のばらつきを効果的に抑制することができる。
【0037】
実施形態1のタイヤ9では、各くぼみ74におけるタイヤ径方向D2の寸法D74は、第1主溝63aの深さD63に対して10%~15%である。10%以上であるので、領域711におけるタイヤ周方向D3の接地圧のばらつきを効果的に抑制することができる。15%以下であるので、くぼみ74を起点とする引裂きの発生を抑制できる。
【0038】
変形例1
実施形態1では、各くぼみ74のタイヤ幅方向最内端741が、タイヤ幅方向D1で同じ位置にあるものの、変形例1では、タイヤ幅方向D1で同じ位置にはない。たとえば、いくつかのくぼみ74のタイヤ幅方向最内端741が、ベルト層62のタイヤ幅方向最外端621よりもタイヤ幅方向D1で外側に配置されており、そのほかのくぼみ74のタイヤ幅方向最内端741は、ベルト層62のタイヤ幅方向最外端621とタイヤ幅方向D1における位置が同じである。
【0039】
変形例2
実施形態1では、各くぼみ74におけるタイヤ径方向D2の寸法D74が等しいものの、変形例2では等しくない。たとえば、寸法D74が互いに異なる2つのくぼみ74の組み合わせが、タイヤ周方向D3に並んでいる。
【0040】
変形例3
実施形態1では、各くぼみ74におけるタイヤ周方向D3の寸法S74が等しいものの、変形例3では等しくない。たとえば、寸法S74が互いに異なる2つのくぼみ74の組み合わせが、タイヤ周方向D3に並んでいる。
【0041】
変形例4
実施形態1では、各くぼみ74は、二つの面を備えるものの、変形例4では、三つ以上の面を備える。
【0042】
変形例5
実施形態1では、複数のくぼみ74が、タイヤ周方向D3に一定の間隔740をあけて形成されているものの、変形例5では、間隔740は一定ではない。
【0043】
変形例6
実施形態1では、細溝66の溝側面67が、タイヤ赤道面に対して平行であり、細溝66の溝側面68が、タイヤ赤道面に対して傾いているものの、変形例6では、溝側面67が、タイヤ赤道面に対して傾いており、溝側面68が、タイヤ赤道面に対して平行である。
【0044】
変形例7
実施形態1では、第3ベルトプライ62cのタイヤ幅方向最外端が、ベルト層62のタイヤ幅方向最外端621を構成しているものの、変形例7では、ほかのベルトプライが、ベルト層62のタイヤ幅方向最外端621を構成している。
【0045】
変形例8
実施形態1では、ベルト層62が、4枚のベルトプライ(具体的には、ベルトプライ62a、62b、62c、62d)を備えるものの、変形例8では、ベルト層62が、5枚のベルトプライを備えている。たとえば、第4ベルトプライ62dよりもタイヤ径方向D2で内側に、第5ベルトプライ(図示していない)を備える。
【0046】
変形例9
実施形態1では、複数のくぼみ74の間隔740が、寸法S74に対して1倍~2.5倍であるものの、変形例9では、1倍未満である、または2.5倍を超える。
【0047】
変形例10
実施形態1では、各くぼみ74におけるタイヤ径方向D2の寸法D74が、第1主溝63aの深さD63に対して10%~15%であるものの、変形例10では、10%未満である、または15%を越える。
【0048】
以上、本発明の実施形態について図面に基づいて説明したが、具体的な構成は、これらの実施形態に限定されるものでないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明だけではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【0049】
上記の各実施形態で採用している構造を他の任意の実施形態に採用することは可能である。各部の具体的な構成は、上述した実施形態のみに限定されるものではなく、本開示の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。
【符号の説明】
【0050】
D1…タイヤ幅方向、D2…タイヤ径方向、D3…タイヤ周方向
5…サイドウォール部、51…サイドウォールゴム
6…トレッド部、61…トレッドゴム、611…接地面
9…タイヤ、41…カーカス、42…インナーライナーゴム
62…ベルト層、621…ベルト層のタイヤ幅方向最外端
63…主溝、63a…第1主溝、D63…第1主溝の深さ
64…陸部、64a…ショルダー陸部、64b…ショルダー陸部の隣の陸部
66…細溝、W66…細溝の幅、D66…細溝の深さ
67…細溝の溝側面、68…細溝の溝側面
71…本体部、711…領域、W71…本体部の幅、73…エッジ
74…くぼみ、741…くぼみのタイヤ幅方向最内端
W74…くぼみの幅、D74…くぼみのタイヤ径方向の寸法
S74…くぼみのタイヤ周方向の寸法、740…間隔
76…犠牲部、W76…犠牲部の幅
図1
図2
図3
図4