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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-14
(45)【発行日】2022-01-14
(54)【発明の名称】弾球遊技機の入賞装置
(51)【国際特許分類】
   A63F 7/02 20060101AFI20220106BHJP
【FI】
A63F7/02 312Z
A63F7/02 316A
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2017246887
(22)【出願日】2017-12-22
(65)【公開番号】P2019111119
(43)【公開日】2019-07-11
【審査請求日】2020-12-08
(73)【特許権者】
【識別番号】595112915
【氏名又は名称】株式会社ヤマダ
(74)【代理人】
【識別番号】110001184
【氏名又は名称】特許業務法人むつきパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】山田 忠勉
【審査官】藤脇 沙絵
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-261428(JP,A)
【文献】特開2010-233866(JP,A)
【文献】特開2007-307144(JP,A)
【文献】特開2017-148311(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
略水平面上を転動する遊技球の進行方向を変化させて入賞口に振り分ける入賞装置であって、
前記遊技球を転動させて流下させる傾斜通路と、この途中に設けられた分岐部で側方に分岐し振り分けられた入賞球を検知するセンサを与えられた分岐通路と、を有し、
前記分岐部において、前記傾斜通路を転動してくる前記遊技球をそのまま転動させる待避位置と前記分岐通路に前記遊技球を振り分けるよう前記分岐部に突出する突出位置との間で前記傾斜通路上に出没する可動部材を備え、
前記可動部材は、前記遊技球の転動してくる側に対向する衝突面を前記分岐通路側に向けて傾斜させていることを特徴とする入賞装置。
【請求項2】
前記可動部材は前記傾斜通路の底面から昇降し前記分岐部に突出することを特徴とする請求項1記載の入賞装置。
【請求項3】
前記傾斜通路は樋状であることを特徴とする請求項2記載の入賞装置。
【請求項4】
前記分岐通路は窓部を介して前記傾斜通路に接続されていることを特徴とする請求項3記載の入賞装置。
【請求項5】
前記センサは前記遊技球の前記窓部の通過を検知することを特徴とする請求項4記載の入賞装置。
【請求項6】
前記分岐部における前記通路の底面は上流側の底面よりも低くなる段差を有することを特徴とする請求項1乃至5のうちの1つに記載の入賞装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、略水平面上を転動する遊技球の進行方向を変化させて入賞口に振り分ける弾球遊技機の入賞装置に関し、特に、遊技球の意図しない入賞を抑制するよう入賞口に振り分けることのできる入賞装置に関する。
【背景技術】
【0002】
弾球遊技機には、遊技球を入賞しやすくさせるよう動作する大入賞口などの各種入賞装置が設けられる。例えば、大入賞口は通常時に遊技球を入賞させないように閉鎖されており、特定の条件を満たすことで遊技球を入賞させやすくするように開放される。これによって、遊技球の入賞を促して賞球の払い出しを促進させ、遊技者にとって有利な状態を演出することができる。
【0003】
例えば、特許文献1では、開閉扉を有する入賞装置を開示している。入賞装置は横長で長方形の遊技盤面に設けられた開口を備え、開閉扉はかかる開口を閉塞している。開閉扉は開口の下縁に軸支されており、アクチュエータによってその上端を前方に移動させるように回動し、開口を開放して遊技球の入賞を促すことができる。
【0004】
ところで、入賞装置は、大入賞口として用いられる場合など、その内部で所定個数の遊技球の入賞を検知すると開放状態から閉塞状態に移行するように動作する。上記したような遊技盤面に開閉扉を設けた入賞装置では、遊技球を不規則な経路で落下させて、開放状態でも遊技球をこぼしてしまったり、閉塞状態に移行する直前に複数の遊技球を同時に入賞させてしまうと、意図しない入賞となって入賞個数を不安定にカウントさせてしまう。そこで、このような遊技球の意図しない入賞を抑制する工夫もなされている。
【0005】
例えば、特許文献2では、遊技球を受け入れる入球開口を遊技盤面に沿って下方に向けて延ばした枠体を備え、枠体に受け入れた遊技球の径路を限定して開放状態で確実に遊技球を入賞口に導く入賞装置を開示している。かかる枠体には、入球開口内に突出させる板状の球誘導体が備えられる。球誘導体は遊技盤面の前方へ向けて略水平に突出した誘導位置においてその上面で入球開口から受け入れた遊技球を左右のうちの一方に設けられた入賞口まで誘導し、他方、後方へ退避した通過位置において受け入れた遊技球を下方へ通過させて排出する。このように、枠体によって遊技球の落下経路を安定させ得る。また、この球誘導体の動作に連動して開閉する開閉部材を入賞口の上流側に設けており、通過位置における意図しない遊技球の入賞を抑制している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2001-172271号公報
【文献】特開2005-213589号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記したように遊技球の意図しない入賞を抑制する機能を与えられた入賞装置において、開閉扉などの遊技球の入賞の可否を切り替える機構部分は、遊技球の入賞を検知する入賞口よりも上流に設けられる。そのため、入賞か否かの振り分けから入賞の検知までのタイムラグが発生し、意図しない入賞を完全に排除することは難しい。
【0008】
本発明は、以上のような状況に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、略水平面上を転動する遊技球の進行方向を変化させて入賞口に振り分ける入賞装置において、遊技球の振り分けから入賞の検知までのタイムラグによる意図しない入賞を抑制するよう入賞口に振り分けることのできる入賞装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明による入賞装置は、略水平面上を転動する遊技球の進行方向を変化させて入賞口に振り分ける入賞装置であって、前記遊技球を転動させて流下させる傾斜通路と、この途中に設けられた分岐部で側方に分岐し振り分けられた入賞球を検知するセンサを与えられた分岐通路と、を有し、前記分岐部において、前記傾斜通路を転動してくる前記遊技球をそのまま転動させる待避位置と前記分岐通路に前記遊技球を振り分けるよう前記分岐部に突出する突出位置との間で前記傾斜通路上に出没する可動部材を備え、前記可動部材は、前記遊技球の転動してくる側に対向する衝突面を前記分岐通路側に向けて傾斜させていることを特徴とする。
【0010】
かかる発明によれば、振り分けを行う分岐部からセンサまでの入賞球の移動が衝突面によって速やかに行われ、振り分けから入賞の検知までのタイムラグを小さくでき、意図しない入賞を抑制できる。
【0011】
上記した発明において、前記可動部材は前記傾斜通路の底面から昇降し前記分岐部に突出することを特徴としてもよい。また、上記した発明において、前記傾斜通路は樋状であることを特徴としてもよい。かかる発明によれば、可動部材の出没が遊技球によって阻害されず、スムーズに動作できる。
【0012】
上記した発明において、前記分岐通路は窓部を介して前記傾斜通路に接続されていることを特徴としてもよい。また、上記した発明において、前記センサは前記遊技球の前記窓部の通過を検知することを特徴としてもよい。かかる発明によれば、分岐通路に振り分けられた入賞球を迅速に検知できて、上記したタイムラグをより小さくできる。
【0013】
上記した発明において、前記分岐部における前記通路の底面は上流側の底面よりも低くなる段差を有することを特徴としてもよい。かかる発明によれば、衝突面に衝突した入賞球が傾斜通路を逆行して進むことを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明による1つの実施例における入賞装置の正面図である。
図2】前方壁を除いた入賞装置の斜視図である。
図3】入賞装置の要部の斜視図である。
図4】昇降部材の(a)正面側及び(b)背面側の斜視図である。
図5】入賞装置の平面図である。
図6】入賞装置の駆動機構の背面図である。
図7】入賞装置の駆動機構の背面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明による1つの実施例としての入賞装置について、図1乃至図7を用いて説明する。
【0016】
図1に示すように、入賞装置1は、例えば、大当たり動作時に右打ちで遊技球の入賞を促進させる弾球遊技機において、遊技盤50(図5参照)の右側に設置する大入賞口(アタッカー)を備える入賞装置として使用され得る。すなわち、大当たり動作中に遊技球の入賞のあった場合に大入賞口を開放するための始動入賞口2と、右側上方から進入する遊技球を受け入れる進入口3と、進入口3に進入した遊技球を左側に向けて導くように略水平面上で左側(下流側)を低くする傾斜を有する通路4と、通路4の前方(手前側)を区画する前方壁である前板5とを含む。前板5は、通路4の右側部分の前方において欠けており、通路4に進入した遊技球を遊技者から見やすくしている。なお、通路4には、図示するような下流側を低くする段差を設けることもできる。
【0017】
図2に示すように、通路4は台板11の下方を前方に突出させた段差によってその底面を形成されており、後方(奥側)を台板11による側壁で区画されている。つまり、通路4はかかる側壁と前板5とによって側面を区画された樋状の通路である。台板11の正面視やや左寄りの位置において、通路4の側方(後方)に開口する窓部からなる入賞口12が設けられる。また、通路4の左端は、遊技球を入賞装置から排出する排出口7とされる。つまり、入賞口12は通路4に接続されるとともに、その正面の通路4上の部分を分岐部4bとして、かかる分岐部4bから後方(通路4の側方)に向けて分岐される分岐通路に接続される。入賞口12のさらに後方には、この分岐通路に連通させるとともに台板11の裏面に近接させるように通過型近接スイッチからなるセンサ12aが設けられ、入賞口12を通過する遊技球である入賞球を検知することができる。
【0018】
台板11は、分岐部4bにおける通路4の底面の一部を欠くとともに、その下側に続く正面部分において、後方へ向けて開口する正面視で縦長の略長方形の切欠き部4aを備える。
【0019】
図3を併せて参照すると、切欠き部4aの内部及び後方には、切欠き部4aに沿って上下にスライド可能な柱状の本体部61を有する可動部材である昇降部材6が設けられ、本体部61によって切欠き部4aを埋めるように配置されている。つまり、昇降部材6の本体部61は、分岐部4bに備えられる。また、昇降部材6は、切欠き部4aの内部に収容される本体部61に連続して台板11の裏面側で通路の下流側に向けて延長された延長部62を備える(図4参照)。台板11の切欠き部4aの下流側において、通路4の下側及び上側には、それぞれ鉛直方向に延びる長穴13a及び13bが設けられており、延長部62から手前側に突出する摺動ピン64a及び64bをそれぞれ後方から挿通させている。これによって、延長部62とともに昇降部材6を長穴13a及び13bに沿って上下にスライド可能としている。すなわち、昇降部材6は、上昇して通路4の底面から本体部61を上方に突出させた突出位置(図2参照)と、下降して上端面63を通路4の底面と略面一に配置した待避位置(図3参照)との間でスライド可能である。つまり、昇降部材6の本体部61は通路4上の底面から昇降し分岐部4bに突出するよう出没可能である。なお、待避位置にあるときに、上端面63は、通路4の底面とともに遊技球の転動する転動面となる。
【0020】
なお、昇降部材6を退避位置に位置させたときに、転動面63は分岐部4bの底面である分岐部底面14に対して若干低くなるようにされることが好ましい。これによって、待避位置での昇降部材6の若干の位置ずれに対しても遊技球を確実に下流側に導き、入賞口12への意図しない入賞を抑制できる。また、分岐部底面14は、通路4の上流側の底面に対して段差を有して低くなっていることが好ましい。昇降部材6を突出位置に位置させたときに昇降部材6に衝突した遊技球の逆流を防止して速やかに入賞口12に導くことができる。なお、入賞口12の上方には、入賞口12と連通するように上方に延びるガイド穴15が設けられ、後述するように回動する閉塞部材30のガイドとなる。
【0021】
図4に示すように、昇降部材6は、延長部62を通路4の形成された台板11の段差の裏面形状に合わせた段付き形状とさせており、かかる段よりも下方の下延長部62aに上記した摺動ピン64aを備え、上方の上延長部62bに上記した摺動ピン64bを備えている。摺動ピン64aの側部及び摺動ピン64bの下部には、それぞれ手前側に突出して上下に延びる突条65a及び65bが備えられ、台板11の裏面との摺動において抵抗を減じるようになされている。
【0022】
また、下延長部62a及び上延長部62bのそれぞれの背面側には後方へ向けて突出する下ピン体66及び上ピン体67が備えられる。下ピン体66は、後述する揺動部材20(図6参照)に係合し、昇降部材6を昇降させる駆動力を付与される。また、上ピン体67は、後述する閉塞部材30に下から当接して閉塞部材30に駆動力を付与することができる。
【0023】
図5を併せて参照すると、昇降部材6の本体部61の上流側には、衝突面69が備えられる。衝突面69は、通路4の上流(右側)に対向するとともに、分岐通路の入口である入賞口12に向けて傾斜させた平面である。これによって、通路4上を上流から転動してきた遊技球Bは、衝突面69に衝突することで入賞口12へ向けて反射されるように移動の向きを変え、転動する速度を大きく低下させることなく入賞し、そのままセンサ12aに入賞口12の通過を検知されることになる。なお、衝突面69は、遊技球Bの移動の向きを入賞口12へ向けて変えることのできるものであれば、例えば曲面などの他の形状の面であってもよい。また、衝突面69は、遊技球Bを衝突させるために、昇降部材6を突出位置に配置させたときに、通路4の底面から遊技球の半径の高さに位置するようにされる。ここで、昇降部材6の上下動のストロークが小さいほど、駆動機構を小さくできて好ましいため、衝突面69の高さ、すなわち昇降部材6の上端面63の高さは通路4の底面から遊技球の半径を超える高さにするとともに半径に近い高さとすることが好ましい。つまり、衝突面69としては、昇降部材6の上端近傍にだけ設けられていれば、これより下側部分を遊技球に当接しない範囲で任意の形状とし得る。また、分岐部底面14の下流側端部の形状は、昇降部材6との隙間を小さくするよう衝突面69の上流側端部の形状に倣うようにされている。
【0024】
なお、入賞装置1は、遊技盤50の手前側の面である遊技盤面50aと台板11の主面とを略面一に配置させるように遊技盤50に挿通されるようにして取り付けられている。
【0025】
図6に示すように、昇降部材6の背面側には下ピン体66に係合する揺動部材20が備えられる。揺動部材20は、遊技盤面50aに直行する揺動軸Z1の周りに回動可能であり、下ピン体66に係合させるように揺動軸Z1から左(紙面右)に向けて延びる第1アーム21と、揺動軸Z1から上方に向けて延びる第2アーム22とを含む。第1アーム21の先端部21aは、左(紙面右)方向に開口する二股状部であり、下ピン体66を左右方向にスライド自在に保持するようにして係合している。つまり、揺動部材20の揺動によって下ピン体66は上下に移動され、これによって昇降部材6を昇降させ、通路4上に本体部61を出没させ得る。なお、揺動部材20の第1アーム及び第2アームが互いに鋭角をなしていると、揺動による移動範囲を小さくできて、入賞装置1をコンパクトにし得て好ましい。
【0026】
また、揺動部材20の第2アーム22は、その先端部22aを上方に向けて開口する二股形状としており、後方(紙面手前)に向けて延びるプランジャ側ピン体43をスライド自在に保持するようにして係合している。プランジャ側ピン体43は、アクチュエータであるソレノイド40の本体40aから延びるプランジャ41の先端に取り付けられたプランジャヘッド42の一部であり、プランジャ41の移動に伴って本体40aに対して往復動できる。つまり、ソレノイド40を駆動させることで、プランジャヘッド42を介して揺動部材20を揺動させて、これによって昇降部材6を上下にスライドさせることができる。
【0027】
また、昇降部材6の上方で、入賞口12とセンサ12aとの間には、さらに、上ピン体67に接することのできる閉塞部材30が設けられる。閉塞部材30は、一端部を遊技盤面50aに直行する回動軸Z2に軸支され、他端部である先端部31を下降させて入賞口12を塞ぐ閉塞位置と、先端部31をガイド穴15に沿って上昇させて入賞口12を開放する開放位置との間で回動軸Z2の周りに回動可能である。そして、閉塞部材30は、先端部31と回動軸Z2との間に上ピン体67に下から当接されるよう上に向けて凹んだ当接部32を備える。これにより、閉塞部材30は、昇降部材6の上昇に伴って上ピン体67から当接部32に駆動力を受けて開放位置まで回動することができる。また、閉塞部材30は、昇降部材6の下降に伴い自重によって閉塞位置まで回動することができる。なお、先端部31の前方側にはガイド穴15内に沿って移動するように前方(紙面奥側)に向けて突出した突出部31a(図3参照)を備える。
【0028】
次に、入賞装置1の昇降部材6及び閉塞部材30の動作について、図6及び図7を用いて説明する。
【0029】
図6に示すように、昇降部材6は本体部61の上端面63(図3参照)を通路4の底面に略面一に配置した待避位置にある。このとき、ソレノイド40はプランジャ41を左方(紙面右方)に突出させてプランジャヘッド42を本体40aから離して位置させている。この場合、通路4を転動してきた遊技球は昇降部材6の上端面63の上を転動して通過するため、通路4上をそのまま転動し、排出口7(図2参照)から排出される。つまり、入賞口12に向けては振り分けられない。また、閉塞部材30は、先端部31を下降させて入賞口12を閉塞する閉塞位置にあり、例えば通路4へのごみの付着などによって遊技球に異常な転動を発生した場合でも入賞口12への入賞を防ぐことができる。
【0030】
図7に示すように、ソレノイド40によってプランジャ41をソレノイド40の本体40a側(紙面左側)へ引き寄せると、プランジャ41に取り付けられたプランジャヘッド42も本体40a側へ引き寄せられる。すると、プランジャヘッド42のプランジャ側ピン体43を本体40a側へ引き寄せて、第2アーム22とともに揺動部材20を背面視(紙面上)で反時計回りに回動させる。これに伴い、揺動部材20の第1アーム21もその先端部21aを上方に移動させるように回動する。これによって、先端部21aに保持された下ピン体66とともに、昇降部材6が上昇し、本体部61を通路4上に突出させた突出位置に配置される。
【0031】
さらに、昇降部材6の上昇に伴い上ピン体67を上昇させて、閉塞部材30の当接部32に当接させながら背面視(紙面上)で時計回りに閉塞部材30を回動させて開放位置まで移動させる。
【0032】
このとき、通路4を転動してきた遊技球は、昇降部材6の衝突面69によって入賞口12に向けて反射されるように移動方向を変えられて入賞口12に入賞するとともに、センサ12aを速やかに通過して入賞を検知される。つまり、遊技球を入賞口12に振り分けることができる。
【0033】
さらに、所定個数の遊技球の入賞を検知した場合など、昇降部材6を退避位置に戻す場合には、ソレノイド40の本体40aからプランジャ41を突出させてプランジャ側ピン体43を介して揺動部材20を背面視(紙面上)で時計回りに回動させる。これによって昇降部材6を下降させ退避位置に配置させる。これに伴い上ピン体67も下降するので、上ピン体67に下から当接されていた閉塞部材30が自重で回動してその先端部31を下降させて入賞口12を閉塞することができる。
【0034】
以上のように、入賞装置1によれば、昇降部材6を突出位置に配置したときに衝突面69によって遊技球を入賞口12へ向けて反射させるように移動方向を変化させて、遊技球の速度を極端に低下させることなく速やかに入賞口12に導くことができる。これによって昇降部材6で分岐部4bにおいて遊技球を通路4から分岐させたときに、かかる分岐からセンサ12aで入賞を検知するまでのタイムラグを小さくできて、意図しない遊技球の入賞を抑制できる。また、昇降部材6は、その本体部61を通路4の分岐部4bの底面から出没させるので、本体部61と他の部材との間に遊技球を挟み込むような隙間が存在しない。つまり、入賞装置1の開閉動作である本体部61の出没によっては遊技球を部材間に挟み込んでしまうことがない。
【0035】
なお、昇降部材6の突出位置から退避位置への移動中や、昇降部材6を退避位置に配置しているときでも上記したようにゴミなどによって、ごく希にではあるが、遊技球が入賞口12に導かれてしまう可能性も考慮される。これに対しては、閉塞部材30を設けたことで、意図しない遊技球の入賞をさらに抑制できる。閉塞部材30については、その下側に仮に遊技球を挟み込んでしまっても、閉塞位置への回動を自重によって行うため、挟み込む力も弱く、簡単に解除される。
【0036】
なお、昇降部材6の代わりに、通路4の上方や後方から出没する可動部材に同様の衝突面を備えるようにしても入賞口に振り分けた遊技球である入賞球の振り分けから検知までのタイムラグを小さくできる。
【0037】
ここまで本発明による代表的実施例及びこれに基づく改変例を説明したが、本発明は必ずしもこれに限定されるものではなく、当業者であれば、本発明の主旨又は添付した請求項の範囲を逸脱することなく種々の代替実施例及び改変例を見出すことができるであろう。
【符号の説明】
【0038】
1 入賞装置
4 通路
6 昇降部材(可動部材)
12 入賞口(窓部)
63 上端面(転動面)
69 衝突面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7