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特許6993875タイヤ構成部材の製造方法及びタイヤ構成部材の製造装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-14
(45)【発行日】2022-01-14
(54)【発明の名称】タイヤ構成部材の製造方法及びタイヤ構成部材の製造装置
(51)【国際特許分類】
   B29D 30/30 20060101AFI20220106BHJP
【FI】
B29D30/30
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2017254668
(22)【出願日】2017-12-28
(65)【公開番号】P2019119109
(43)【公開日】2019-07-22
【審査請求日】2020-10-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000003148
【氏名又は名称】TOYO TIRE株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100076314
【弁理士】
【氏名又は名称】蔦田 正人
(74)【代理人】
【識別番号】100112612
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 哲士
(74)【代理人】
【識別番号】100112623
【弁理士】
【氏名又は名称】富田 克幸
(74)【代理人】
【識別番号】100163393
【弁理士】
【氏名又は名称】有近 康臣
(74)【代理人】
【識別番号】100189393
【弁理士】
【氏名又は名称】前澤 龍
(74)【代理人】
【識別番号】100203091
【弁理士】
【氏名又は名称】水鳥 正裕
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 秀平
【審査官】増永 淳司
(56)【参考文献】
【文献】特表2017-501059(JP,A)
【文献】特開平10-156966(JP,A)
【文献】特開2001-113610(JP,A)
【文献】特開平09-201885(JP,A)
【文献】特開2010-260178(JP,A)
【文献】特開平09-226019(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29D 30/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
供給部に保持されたシート状ゴム部材をドラムに貼り付ける工程を備えるタイヤ構成部材の製造方法において、
前記供給部と前記ドラムとの間に設けたセンサで前記供給部を離れてから前記ドラムに達するまでの間に前記シート状ゴム部材の幅方向端部の位置を検出し、検出した位置に応じて前記供給部を前記シート状ゴム部材の幅方向へ移動させてシート状ゴム部材をドラムの所定位置に貼り付けるタイヤ構成部材の製造方法。
【請求項2】
前記シート状ゴム部材は、前記シート状ゴム部材の幅方向端部を構成し、前記供給部から前記ドラムへ移動する前記シート状ゴム部材の移動方向に平行な一対の側辺と、移動方向端部において前記シート状ゴム部材の移動方向に対して傾斜する一対の傾斜辺とを備える平行四辺形状をなしており、
前記センサは、両方の前記側辺の位置を検出可能に設けられ、
前記シート状ゴム部材の貼り付けを開始してから前記センサが一方の前記側辺のみを検出している間、一方の前記側辺の位置に応じて前記供給部を前記シート状ゴム部材の幅方向へ移動させ、前記センサが両方の前記側辺を検出した後、他方の前記側辺の位置に応じて前記供給部を前記シート状ゴム部材の幅方向へ移動させる請求項1に記載のタイヤ構成部材の製造方法。
【請求項3】
前記シート状ゴム部材の先端を前記ドラムに載置した後、前記センサが一方の前記側辺のみを検出すると、前記シート状ゴム部材の貼り付けを開始する請求項2に記載のタイヤ構成部材の製造方法。
【請求項4】
前記センサがシート状ゴム部材の幅方向端部の位置を検出し、前記センサが検出したシート状ゴム部材の幅方向端部の位置が、所定の基準範囲から前記シート状ゴム部材の幅方向一方側にズレていると、前記供給部を前記シート状ゴム部材の幅方向他方側へ移動させる請求項1~3のタイヤ構成部材の製造方法。
【請求項5】
前記供給部を前記シート状ゴム部材の幅方向へ移動させる移動量は、前記基準範囲からのズレ量に関わらず一定量である請求項4のタイヤ構成部材の製造方法。
【請求項6】
前記ドラムにシート状ゴム部材の貼り付けを開始してから所定長さシート状ゴム部材が移動すると、前記基準位置を前記シート状ゴム部材の幅方向外側へ変更する請求項4又は5のタイヤ構成部材の製造方法。
【請求項7】
供給部に保持されたシート状ゴム部材をドラムに貼り付けて円環状のタイヤ構成部材を成型するタイヤ構成部材の製造装置において、
前記供給部と前記ドラムとの間に設けられ、前記供給部を離れてから前記ドラムに達するまでの間に前記シート状ゴム部材の幅方向端部の位置を検出するセンサと、
前記供給部を前記シート状ゴム部材の幅方向へ移動させる移動部と、
前記センサで検出した前記シート状ゴム部材の幅方向端部の位置に応じて、前記移動部を制御して前記シート状ゴム部材をドラムの所定位置に貼り付けるタイヤ構成部材の製造装置。
【請求項8】
前記シート状ゴム部材は、前記シート状ゴム部材の幅方向端部を構成し、前記供給部から前記ドラムへ移動する前記シート状ゴム部材の移動方向に平行な一対の側辺と、移動方向端部において前記シート状ゴム部材の移動方向に対して傾斜する一対の傾斜辺とを備える平行四辺形状をなしており、
前記センサは、両方の前記側辺の位置を検出し、
制御部は、前記シート状ゴム部材の貼り付けを開始してから前記センサが一方の前記側
辺のみを検出している間、一方の前記側辺の位置に応じて前記移動部を制御し、前記センサが両方の前記側辺を検出した後、他方の前記側辺の位置に応じて前記移動部を制御する請求項7に記載のタイヤ構成部材の製造装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タイヤ構成部材の製造方法及びタイヤ構成部材の製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
空気入りタイヤは、インナーライナー、サイドウォール部、ビード部、トレッド部などの各タイヤ構成部材を予め形成し、これらのタイヤ構成部材を未加硫の状態で貼り合わせてグリーンタイヤを成型し、グリーンタイヤを加硫成型することで製造される。これらタイヤ構成部材は、所定の断面形状に形成されたシート状ゴム部材をドラムの外周面に巻き付け、端部同士を接合することで成型されることがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-127986号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
シート状ゴム部材をドラムに巻き付ける際に、シート状ゴム部材の長手方向(シート状ゴム部材の移動方向に相当)が成型ドラムの周方向に対して傾斜していると端部同士によるジョイント部の重なり量が局所的に大きくなり、タイヤのユニフォミティに影響を与えることがある。
【0005】
特に、シート状ゴム部材がトレッド部におけるベルトを成型するシート状ベルトのように平行四辺形状の場合、成型ドラムの周方向に対して傾斜する傾斜辺にジョイント部が設けられるため、シート状ゴム部材の移動方向に対する傾斜辺の角度が小さくなればなるほどジョイント部が長大化して、ジョイント部の全体にわたって端部をぴったりと接合することが困難となる。
【0006】
なお、上記特許文献1には、シート状ゴム部材の幅方向の中心位置の、成型ドラムの軸方向における位置情報を求め、この位置情報に応じて、シート状ゴム部材の成型ドラム上の供給位置の制御を行うことにより、シート状ゴム部材の中心位置を、成型ドラムの軸方向の同じ位置に維持させてタイヤ構成部材を製造することが提案されている。
【0007】
しかしながら、引用文献1には、シート状ゴム部材の中心位置を成型ドラムの軸方向の同じ位置に維持させることが記載されているが、シート状ゴム部材の移動方向と成型ドラムの周方向との関係について考慮されていない。
【0008】
また、引用文献1では、シート状ゴム部材の幅方向の中心位置の位置情報に基づいてシート状ゴム部材の成型ドラム上の供給位置を制御しているため、シート状ゴム部材が平行四辺形状の場合、シート状ゴム部材の始端部及び終端部においてその中心位置を特定することができない。そのため、引用文献1では、シート状ゴム部材を成型ドラムに巻始めた時にシート状ゴム部材の移動方向が成型ドラムの周方向に対して傾斜しやすく、ジョイント部の全体にわたって端部をぴったりと接合することが困難となる。
【0009】
本発明は上記実情に鑑みてなされたものであり、シート状ゴム部材をドラムに巻き付ける際に、シート状ゴム部材の移動方向が成型ドラムの周方向に対して傾斜するのを抑えることができ、ジョイント部における重なり量が局所的に大きくなるのを抑えることができるタイヤ構成部材の製造方法及びタイヤ構成部材の製造装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明のタイヤ構成部材の製造方法は、供給部に保持されたシート状ゴム部材をドラムに貼り付ける工程を備えるタイヤ構成部材の製造方法において、前記供給部と前記ドラムとの間に設けたセンサで前記供給部を離れてから前記ドラムに達するまでの前記シート状ゴム部材の幅方向端部の位置を検出し、検出した位置に応じて前記供給部を前記シート状ゴム部材の幅方向へ移動させてシート状ゴム部材をドラムの所定位置に貼り付ける。
【0011】
本発明の好ましい態様において、前記シート状ゴム部材は、前記シート状ゴム部材の幅方向端部を構成し、前記供給部から前記ドラムへ移動する前記シート状ゴム部材の移動方向に平行な一対の側辺と、移動方向端部において前記シート状ゴム部材の移動方向に対して傾斜する一対の傾斜辺とを備える平行四辺形状をなしており、前記センサは、両方の前記側辺の位置を検出可能に設けられ、前記シート状ゴム部材の貼り付けを開始してから前記センサが一方の前記側辺のみを検出している間、一方の前記側辺の位置に応じて前記供給部を前記シート状ゴム部材の幅方向へ移動させ、前記センサが両方の前記側辺を検出した後、他方の前記側辺の位置に応じて前記供給部を前記シート状ゴム部材の幅方向へ移動させてもよい。
【0012】
本発明の他の好ましい態様において、前記シート状ゴム部材の先端を前記ドラムに載置した後、前記センサが一方の前記側辺のみを検出すると、前記シート状ゴム部材の貼り付けを開始してもよい。
【0013】
本発明の他の好ましい態様において、前記センサがシート状ゴム部材の幅方向端部の位置を検出し、前記センサが検出したシート状ゴム部材の幅方向端部の位置が、所定の基準範囲から前記シート状ゴム部材の幅方向一方側にズレていると、前記供給部を前記シート状ゴム部材の幅方向他方側へ移動させる。この態様において、前記供給部を前記シート状ゴム部材の幅方向へ移動させる移動量は、前記基準範囲からのズレ量に関わらず一定量であってもよい。また、前記ドラムにシート状ゴム部材の貼り付けを開始してからシート状ゴム部材が所定長さ移動すると、前記基準範囲を前記シート状ゴム部材の幅方向外側へ変更してもよい。
【0014】
本発明のタイヤ構成部材の製造装置は、供給部に保持されたシート状ゴム部材をドラムに貼り付けて円環状のタイヤ構成部材を成型するタイヤ構成部材の製造装置において、前記供給部と前記ドラムとの間に設けられ、前記供給部を離れてから前記ドラムに達するまでの間に前記シート状ゴム部材の幅方向端部の位置を検出するセンサと、前記供給部を前記シート状ゴム部材の幅方向へ移動させる移動部と、前記センサで検出した前記シート状ゴム部材の幅方向端部の位置に応じて、前記移動部を制御して前記シート状ゴム部材をドラムの所定位置に貼り付ける。
【0015】
本発明の他の好ましい態様において、前記シート状ゴム部材は、前記シート状ゴム部材の幅方向端部を構成し、前記供給部から前記ドラムへ移動する前記シート状ゴム部材の移動方向に平行な一対の側辺と、移動方向端部において前記シート状ゴム部材の移動方向に対して傾斜する一対の傾斜辺とを備える平行四辺形状をなしており、前記センサは、両方の前記側辺の位置を検出し、制御部は、前記シート状ゴム部材の貼り付けを開始してから前記センサが一方の前記側辺のみを検出している間、一方の前記側辺の位置に応じて前記移動部を制御し、前記センサが両方の前記側辺を検出した後、他方の前記側辺の位置に応じて前記移動部を制御する。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、シート状ゴム部材をドラムに巻き付ける際に、シート状ゴム部材の移動方向が成型ドラムの周方向に対して傾斜するのを抑え、シート状ゴム部材の端部同士によるジョイント部の重なり量が局所的に大きくなるのを防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】空気入りタイヤの幅方向断面図。
図2】(a)は原反の平面図。(b)はシート状ベルトの平面図。(c)円筒状ベルトの斜視図。
図3】タイヤ構成部材の製造装置の側面図。
図4】タイヤ構成部材の製造装置の平面図。
図5】挟持ローラ、剥がしローラ及び巻き取り筒の配置を示す図。
図6】タイヤ構成部材の製造装置の制御構成を示すブロック図。
図7】タイヤ構成部材の製造装置の動作を示すフロー図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
実施形態について図面に基づき説明する。なお、実施形態は一例に過ぎず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更されたものについては、本発明の範囲に含まれるものとする。また図面は、説明のために、大きさや形状等が誇張されて描かれたり、模式的に描かれたりする場合がある。しかしこのような図面はあくまでも一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。
【0019】
1.空気入りタイヤ1全体の構造及び製造方法
(1)空気入りタイヤ1全体の構造
空気入りタイヤ1の一例を図1に示す。この空気入りタイヤ1は、例えば、トラックやバス等に使用される重荷重用のラジアルタイヤである。
【0020】
空気入りタイヤ1の幅方向両側にはビード部2が設けられている。ビード部2は、環状に巻かれた鋼線からなるビードコア2aと、ビードコア2aの径方向外側に設けられたゴム製のビードフィラー2bとからなる。タイヤ幅方向両側のビード部2にはカーカスプライ5が架け渡されている。カーカスプライ5はタイヤ周方向に直交する方向に並べられた多数のプライコードがゴムで被覆されたシート状の部材である。カーカスプライ5は、タイヤ幅方向両側のビード部2の間で空気入りタイヤ1の骨格形状を形成するとともに、ビード部2の周りでタイヤ幅方向内側から外側に折り返されることによりビード部2を包んでいる。カーカスプライ5の内側には空気の透過性の低いゴム層を有するシート状のインナーライナー6が貼り付けられている。
【0021】
カーカスプライ5のタイヤ径方向外側には複数のベルト8が設けられている。ベルト8の構造については後述する。ベルト8のタイヤ径方向外側には接地面を有するトレッドゴム3が設けられている。また、カーカスプライ5のタイヤ幅方向両側にはサイドウォールゴム4が設けられている。これらの部材の他にも、空気入りタイヤ1の機能上の必要に応じて、ベルト下パッドやチェーハー等の部材が設けられている。
【0022】
(2)空気入りタイヤ1全体の製造方法
以上の構造の空気入りタイヤ1の製造方法の一例について簡単に説明する。まず、空気入りタイヤ1を構成する上記の各部材が準備される。ここで、最終的に空気入りタイヤ1におけるベルト8となる部材として、後述するように、原反8aから切り出されたシート状ベルト8bが準備される。
【0023】
次に、準備されたシート状ベルト8bが成型ドラム22(図2参照)に巻き付けられて円筒状ベルト8c(図2参照)が製造される。空気入りタイヤ1は複数のベルト8を有するため、複数のシート状ベルト8bが成型ドラム22に順次巻き付けられて、複数の円筒状ベルト8cが重なったものが製造される。次に、円筒状ベルト8cの外径側にトレッドゴム3が貼り付けられる。これにより、複数の円筒状ベルト8c及びトレッドゴム3からなる円筒状のトレッドリングが完成する。
【0024】
また、別の円筒ドラム上にシート状のインナーライナー6及びシート状のカーカスプライ5が貼り付けられて、一次ケースと呼ばれる円筒体が完成する。次に、環状のビード部2が一次ケースの軸方向両側にセットされる。
【0025】
次に、両側のビード部2の間で一次ケースをその外径側へ膨らませてトロイダル状にするシェーピングが行われる。そして、一次ケースのトロイダル状に膨らんだ部分の外径側に、上記のトレッドリングが貼り付けられる。また、シェーピング時にカーカスプライ5をビード部2の周りで折り返すターンアップも行われる。また、一次ケースのトロイダル状に膨らんだ部分の軸方向両側からサイドウォールゴム4が貼り付けられる。以上のようにして未加硫タイヤが完成する。
【0026】
次に、未加硫タイヤが金型内で加硫成型されて空気入りタイヤ1が完成する。上記の円筒状ベルト8cは加硫されることにより空気入りタイヤ1におけるベルト8となる。
【0027】
なお、製造方法についての以上の説明はあくまで一例としての説明であり、以上の説明に対して一部の順序の入れ替え等の変更を適宜行うことが可能である。例えば、一次ケースにビード部2がセットされターンアップされた後、所定の位置にサイドウォールゴム4が貼り付けられ、その後シェーピングが行われても良い。
【0028】
2.円筒状ベルト8cの構造及び製造方法の概略
本実施形態は、シート状ゴム部材を成型ドラム22の外周面に巻き付けてタイヤ構成部材を製造する場合、具体的には、シート状ゴム部材として平行四辺形状のシート状ベルト8bを用い、成型ドラム22の外周面にシート状ベルト8bを貼り付けて円筒状ベルト8cからなるタイヤ構成部材を製造する場合について説明する。
【0029】
円筒状ベルト8cは、タイヤ周方向に対して斜めに延びる複数のベルトコード9(図2参照)がゴムで被覆されて形成されたものである。なお本実施形態ではベルトコード9はスチール製のものとするが、有機繊維製のものもあり得る。空気入りタイヤ1が有する複数のベルト8のうち少なくとも1枚は、以下で説明する原反8a及びシート状ベルト8bから製造されたものである。
【0030】
原反8aは、図2(a)に示すように、平行に並んだ複数のベルトコード9が未加硫ゴムで被覆されて形成されたものである。ベルトコード9の延長方向は原反8aの長手方向mと一致する。
【0031】
原反8aがその長手方向に対して斜めに切断されることにより、図2(b)に示すシート状ベルト8bが切り出される。
【0032】
シート状ベルト8bは、原反8aの切断跡である一対の切断辺7dと、切断辺7dの両端を繋ぐ一対の傾斜辺7aからなる平面視において平行四辺形をなしている。
【0033】
切断辺7dはシート状ベルト8bの一対の側辺(言い換えれば、シート状ベルト8bの幅方向両辺部)となる。切断辺7dの延長方向Mは、シート状ベルト8bの長手方向と一致し、後述するように成型ドラム22の周方向や供給部30から成型ドラム22へ移動するシート状ベルト8bの移動方向と平面視において一致する。
【0034】
傾斜辺7aは、原反8aの幅方向の両辺だった部分であって、シート状ベルト8bの長手方向Mの端縁を構成する。傾斜辺7aはベルトコード9と平行である。
【0035】
シート状ベルト8bは、その長手方向Mとベルトコード9とのなす角度(この角度は、シート状ベルト8bの長手方向Mと傾斜辺7aとのなす角度と一致し、また原反8aの長手方向mに対する切断角度とも一致する)θは小さく、例えば6°以上9°以下である。シート状ベルト8bの長手方向とベルトコード9とのなす角度が小さい場合、完成したベルト8のタイヤ径方向の拘束力が高くなる。
【0036】
このような扁平な平行四辺形状のシート状ベルト8bは、切断辺7dの延長方向Mにおいて、先細りとなっている領域である傾斜領域7bと、傾斜辺7aを有さず最大幅となっている領域である最大幅領域7cとを有する。
【0037】
なお、原反8aの幅Wは、原反8aの長手方向に対する前記原反8aの切断角度をθ、切断辺7dの長さをLとすると、W=L×sinθが成立するように設定される。
【0038】
本実施形態では、上記のように原反8aから切り出された平行四辺形状のシート状ベルト8bは、巻き取り筒12に巻き取られた後、後述する円筒状ベルト8cを製造する製造装置(以下、製造装置という)20の供給部30にセットされる。供給部30にセットされたシート状ベルト8bは、図2(c)に示すように、製造装置20の成型ドラム22の外周面に巻き付けられ複数存在するベルト8の1つを構成する円筒状ベルト8cとなる。
【0039】
3.製造装置20
図3図6に示す製造装置20は、供給部30、成型ドラム22、検出部50、剥がしローラ14、及び制御部70を備え、供給部30にセットされた巻き取り筒12からシート状ベルト8bを引き出して成型ドラム22の外周面に巻き付けて円筒状ベルト8cを製造する。
【0040】
供給部30は、シート状ベルト8bが巻き取られた巻き取り筒12を保持する支軸31と、支軸31をその軸方向Xに移動するオフセット移動部32と、後述する供給位置と取替位置との間で巻き取り筒12を移動させる搬送部33とを備える。
【0041】
支軸31は、成型ドラム22の回転軸23と平行に配置されており、先端から巻き取り筒12の軸穴12aが挿通される。巻き取り筒12は、支軸31が挿通されると成型ドラム22と互いの軸方向が平行になるように配置され、ロック機構34によって支軸31に対して回転不能に支持される。また、巻き取り筒12に巻き取られたシート状ベルト8bの幅方向が支軸31の軸方向Xに一致する。
【0042】
このような支軸31は、オフセット移動部32のベースプレート36に対してベアリング35を介して回転可能に支持されている。
【0043】
なお、供給部30は、支軸31の回転を停止させる制動手段45(図6参照)を有している。
【0044】
オフセット移動部32は、ベースプレート36、ベース駆動モータ37と、ベース駆動モータ37の回転軸に接続されたボールネジ38と、支軸31の軸方向Xに沿って延びるガイドレール39と、ボールネジ38に螺合するボールナット40を備える。
【0045】
オフセット移動部32では、支軸31を支持するベースプレート36が、ボールナット40を介してボールネジ38に連結されるとともに、ガイドレール39に軸方向Xへ摺動可能に配設されている。オフセット移動部32は、ベース駆動モータ37がボールネジ38を回転制御することで、軸方向Xへの変位量を制御しながらボールナット40に連結されたベースプレート36とともに支軸31を移動させ、巻き取り筒12に巻き取られたシート状ベルト8bを幅方向Xへ移動させる。
【0046】
搬送部33は、剥がしローラ14、オフセット移動部32、及び検出部50が取り付けられた搬送プレート41と、搬送モータ42と、搬送モータ42の回転軸に接続されたボールネジ43と、軸方向Xに沿って延びるガイドレール44と、ボールネジ43に螺合するボールナット(不図示)とを備える。
【0047】
搬送部33では、搬送プレート41が、不図示のボールナットを介してボールネジ43に連結されるとともに、ガイドレール44に軸方向Xへ摺動可能に配設されている。搬送部33は、搬送モータ42がボールネジ43を回転制御することで、ボールナットに連結された搬送プレート41とともに、支軸31に支持された巻き取り筒12や剥がしローラ14や検出部50を、図4に示すような成型ドラム22と対向する供給位置と、成型ドラム22から軸方向Xにズレた取替位置との間で移動させる。
【0048】
成型ドラム22は、円筒形をなしており、供給部30の支軸31と平行に配置された回転軸23の周りで回転可能に支持されている。成型ドラム22は、巻き取り筒12に巻き取られたシート状ベルト8の先端部が、剥がしローラ14及び検出部50を経由して所定位置に貼付された後、ドラム駆動装置24から動力を受けて回転軸23を中心として回転することで、巻き取り筒12からシート状ベルト8を巻き取って、成型ドラム22の外周面に円筒状ベルト8cを成型する。
【0049】
検出部50は、供給部30と成型ドラム22との間、つまり、シート状ベルト8bが供給部30に配置された巻き取り筒12より剥がし取られてから成型ドラム22で巻き取られるまでの経路(以下、この経路を貼付経路ということがある)の途中に設けられている。
【0050】
検出部50は、貼付経路を通過するシート状ベルト8bの一対の側辺(シート状ベルト8bの幅方向Xに対向する辺であって、一対の切断辺に相当)7d,7dの位置を検出する第1センサ52及び第2センサ54と、上下一対の挟持ローラ56とを備える。
【0051】
第1センサ52は、レーザ変位センサ等の非接触式の位置センサからなり、シート状ベルト8bの先端側(巻始め側)の傾斜領域7b1及び最大幅領域7cを構成する一方の側辺7d1の位置を検出する。
【0052】
第2センサ54は、第1センサ52と同様のレーザ変位センサ等の非接触式の位置センサからなり、第1センサ52から軸方向Xに間隔をあけて対向する位置に配置され、シート状ベルト8bの最大幅領域7c及び後端側(巻き終わり側)の傾斜領域7b2を構成する他方の側辺7d2の位置を検出する。
【0053】
挟持ローラ56は、第1センサ52及び第2センサ54より貼付経路の下流側(つまり、成型ドラム22側)、好ましくは、第1センサ52及び第2センサ54の近傍に配置されている。挟持ローラ56は、シート状ベルト8bがその厚み方向の所定位置において第1センサ52及び第2センサ54を通過するようにシート状ベルト8bを挟持して位置決めする。
【0054】
剥がしローラ14は、検出部50に設けられた挟持ローラ56より貼付経路の上流側(つまり、供給部30側)であって、巻き取り筒12の上方又は平面視において巻き取り筒12よりシート状ベルト8bの移動方向後方に配置されている。また、図5に示すように、剥がしローラ14は、成型ドラム22と巻き取り筒12の共通接線Qの外側、つまり図中における上側に相当する反巻き取り筒12側に配置されている。
【0055】
これにより、剥がしローラ14は、挟持ローラ56と巻き取り筒12との間において、シート状ベルト8bに対して巻き取り筒12の径方向外向きの力を与えながら巻き取り筒12からシート状ベルト8bを剥がす。そのため、シート状ベルト8bが巻き取り筒12に密着していてもシート状ベルト8bに対して長手方向へ作用する張力を極力抑えつつシート状ベルト8bを巻き取り筒12から剥がすことができる。
【0056】
制御部70は、製造装置20を動作させるための各部と電気的に接続されており、それらの各部を制御する。さらに、制御部70は、少なくともドラム駆動装置24、ベース駆動モータ37、搬送モータ42、制動手段45、第1センサ52、及び第2センサ54と電気的に接続されており、少なくともそれらのセンサ類の検出結果に基づき上記の各部を制御可能である。図6には制御部70と電気的に接続されているものの一部を示す。制御部70による制御で次に説明するタイヤ用ベルトの製造方法を実行することができる。
【0057】
4.円筒状ベルト8cの製造方法
ここではタイヤ用ベルトすなわち空気入りタイヤ1に用いられる円筒状ベルト8cの製造方法について、図7を参照しながら説明する。この製造方法には上記の製造装置20が用いられるものとして説明する。
【0058】
まず、支軸31を成型ドラム22から軸方向Xにズレた取替位置に配置し、巻き取り筒12の軸穴12aに支軸31を挿通して供給部30に巻き取り筒12とともに、所定の平行四辺形状に形成された1枚のシート状ベルト8bをセットする。その後、搬送モータ42がボールネジ43を回転させて取替位置から供給位置へ支軸31を移動させ、巻き取り筒12に巻き取られたシート状ベルト8bを成型ドラム22と対向する供給位置へ搬送する(ステップS10)。
【0059】
次いで、巻き取り筒12に巻き取られたシート状ベルト8bの先端側の傾斜領域7b1の先端部を、剥がしローラ14及び検出部50を経由して成型ドラム22の外周面の所定位置に貼付する。この時、検出部50は、シート状ベルト8bの先端側の傾斜領域7b1が成型ドラム22に貼付されているか否かを検出する(ステップS11)。
【0060】
具体的には、検出部50が有する第1センサ52及び第2センサ54のうち、シート状ベルト8bの先端側の傾斜領域7b1を構成する一方の側辺7d1を検出する第1センサ52のみがシート状ベルト8bを検出し、後端側の傾斜領域7b2を構成する他方の側辺7d2を検出する第2センサ54がシート状ベルト8bを検出していない場合、先端側の傾斜領域7b1が成型ドラム22に貼付されていると判断する。一方、第2センサ54のみがシート状ベルト8bを検出し、第1センサ52がシート状ベルト8bを検出していない場合、後端側の傾斜領域7b2が成型ドラム22に貼付されていると判断する。
【0061】
そして、後端側の傾斜領域7b2が成型ドラム22に貼付されている場合(ステップS11のNo)、先端側の傾斜領域7b1が成型ドラム22に貼付されていないとして、成型ドラム22の回転を行わず、その旨の異常を報知する(ステップS12)。
【0062】
先端側の傾斜領域7b1が成型ドラム22に貼付されている場合(ステップS11のYes)、ドラム駆動装置24が始動して成型ドラム22が回転軸23を中心として回転する。成型ドラム22が回転して巻き取り筒12からシート状ベルト8bを巻き取り始めると、巻き取り筒12は従動してシート状ベルト8bを送り出し始める(ステップS13)。
【0063】
成型ドラム22が回転すると、シート状ベルト8bを成型ドラム22の所定位置に貼り付けるため、制御部70は、検出部50で検出されるシート状ベルト8bの両側辺7d1、7d2の位置に基づいて位置調整制御を実行し、シート状ベルト8bを成型ドラム22の所定位置に貼り付ける(ステップS14~ステップS19)。
【0064】
具体的には、ステップS14において、第1センサ52が先端側の傾斜領域7b1の一方の側辺7d1の位置を検出し、検出した一方の側辺7d1の位置が所定範囲内にあるか否か判断する。
【0065】
一方の側辺7d1の位置が予め定められた範囲(以下、基準範囲ということもある)内にあれば(ステップS14のYes)、シート状ベルト8bが成型ドラム22の所定位置に貼り付けられており、成型ドラム22の周方向に対するシート状ベルト8bの移動方向の角度が小さく両方向が実質的に平行であるとして、支軸31を軸方向Xへ移動させることなく、つまり、シート状ベルト8bを幅方向Xへ移動させることなくステップS16へ進む。
【0066】
一方の側辺7d1の位置が基準範囲内に無ければ、つまり、一方の側辺7d1の位置が基準範囲より軸方向Xへズレている場合(ステップS14のNo)、シート状ベルト8bが成型ドラム22の所定位置に貼り付けられておらず、成型ドラム22の周方向に対してシート状ベルト8bの移動方向が傾斜しているとして、傾斜を修正するためにステップS15へ進む。
【0067】
ステップS15では、ステップS14で検出した一方の側辺7d1の位置が、基準範囲から軸方向Xの一方側及び他方側のいずれの向きにズレているのかを判断し、ズレている向きと反対側へ支軸31を移動させてシート状ベルト8bのズレを修正する。なお、ステップS15において支軸31を移動させる移動量(シート状ベルト8bの移動量)は、基準範囲からのズレ量に関わらず一定量に設定されている。
【0068】
そして、支軸31を移動させてシート状ベルト8bのズレを修正した後、ステップS16へ進み、第2センサ54がシート状ベルト8bの他方の側辺7d2を検出したか否か判断する。第2センサ54がシート状ベルト8bの他方の側辺7d2を検出していない場合(ステップS16のNo)、ステップS14に戻り、第1センサ52が一方の側辺7d1の位置を検出し(ステップS14)、検出した位置に応じて支軸31を軸方向Xへ移動させてシート状ベルト8bのズレを修正する(ステップS15)。本実施形態では、このような第1センサ52による一方の側辺7d1の位置検出と、シート状ベルト8bのズレの修正を所定時間(例えば、0.2秒間)毎に繰り返し行う。
【0069】
そして、成型ドラム22の回転が進み、シート状ベルト8bの最大幅領域7cが検出部50を通過すると、第1センサ52がシート状ベルト8bの一方の側辺7d1を検出するとともに、第2センサ54が他方の側辺7d2を検出する(ステップS16のYes)。そうすると、制御部70は、第2センサ54が検出した他方の側辺7d2の位置に応じて支軸31を軸方向Xへ移動させてシート状ベルト8bのズレを修正する(ステップS17、ステップS18)。
【0070】
つまり、第2センサ54で検出した他方の側辺7d2の位置が、基準範囲内にあれば(ステップS17のYes)、支軸31を軸方向Xへ移動させることなくステップS19へ進み、基準範囲内になければ(ステップS17のNo)、ステップS17で検出した他方の側辺7d2の位置が、基準範囲から軸方向Xの一方側及び他方側のいずれの向きにズレているのかを判断し、ズレている向きと反対側へ支軸31を移動させてシート状ベルト8bのズレを修正する(ステップS18)。なお、ステップS18において支軸31を移動させる移動量は、基準範囲からのズレ量に関わらず一定量に設定されている。そして、支軸31を移動させてシート状ベルト8bのズレを修正した後、ステップS19へ進む。
【0071】
そして、制御部70は、成型ドラム22が所定の角度回転し、成型ドラム22へのシート状ベルト8bの巻き付けが完了したか否か判断する(ステップS19)。成型ドラム22の回転角度が所定角度に達していない場合(ステップS19のNo)、ステップS17に戻り、第2センサ54が他方の側辺7d2の位置を検出し(ステップS17)、検出した位置に応じて支軸31を軸方向Xへ移動させてシート状ベルト8bのズレを修正する(ステップS18)。本実施形態では、このような第2センサ54による他方の側辺7d2の位置検と支軸31の移動とを所定時間(例えば、0.2秒間)毎に繰り返し行う。
【0072】
そして、成型ドラム22の回転が進み、成型ドラム22が所定の角度回転すると(ステップS19のYes)、制動手段45が支軸31の回転を停止させてから(ステップS20)、成型ドラム22の回転を停止させ(ステップS21)、筒状ベルト8cの成型を終了する。成型が終了すると、図2(c)に示すようにもとのシート状ベルト8bの長手方向両側の傾斜辺7a同士が重なること無く接合され、筒状ベルト8cが得られる。
【0073】
5.効果
以上のように、本実施形態では、第1センサ52及び第2センサ54によって検出したシート状ベルト8bの側辺7d1,7d2の位置に応じて、巻き取り筒12を支持する支軸31を軸方向Xへ移動させて、シート状ベルト8bを成型ドラム22の所定位置に貼り付ける。そのため、成型ドラム22の周方向に対してシート状ベルト8bの移動方向が傾斜するのを抑えることができ、シート状ベルト8bの長手方向両側の傾斜辺7a同士が過度に重なり合うこと無く接合することができる。
【0074】
また、本実施形態では、シート状ベルト8bの貼り付けを開始してから第1センサ52が一方の側辺7d1のみを検出している間、第1センサ52が検出する一方の側辺7d1の位置に応じて支軸31を軸方向Xへ移動させ、第2センサ54が他方の側辺7d2を検出すると、それ以降、第2センサ54が検出する他方の側辺7d2の位置に応じて支軸31を軸方向Xへ移動させるため、平行四辺形状のシート状ベルト8bであっても、その長手方向全体においてシート状ベルト8bの位置を検出することができ、シート状ベルト8bの長手方向両側の傾斜辺7a同士が過度に重なり合うこと無く接合することができる。
【0075】
また、本実施形態では、第1センサ52が傾斜領域7b1の側辺7d1を検出してから成型ドラム22が回転するため、支軸31に対して所定方向に巻き取り筒12がセットされていることを確認してから筒状ベルト8cの成型を開始することができ、巻き取り筒12のセットミスによる成型不良の発生を抑えることができる。
【0076】
また、本実施形態では、第1センサ52や第2センサ54で検出した側辺7d1,7d2が基準範囲からズレている場合に支軸31を移動させる移動量が、基準範囲からのズレ量に関わらず一定量に設定されているため、シート状ベルト8bの側辺7d1、7d2に幅方向Xへ突出又は陥没する不所望の凹凸形状がある場合でも、過度にシート状ベルト8bを幅方向へ移動させることがなく、精度良くシート状ベルト8bを成型ドラム22に貼り付けることができる。
【0077】
上記の実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。この新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。
【0078】
上記実施形態では、支軸31を移動させるか否かを判断するための基準範囲の位置を、シート状ベルト8bの全体にわたって同じ位置に設定したが、シート状ベルト8bが巻き取り筒12から成型ドラム22へシート状ベルト8bを貼り付ける途中で基準範囲の位置を変化させてもよい。
【0079】
例えば、成型ドラム22にシート状ゴム部材8bの貼り付けを開始してからシート状ゴム部材8bが、巻き取り筒12から成型ドラム22へ所定長さ(例えば、シート状ベルト8bの1/4の長さ)移動するまでは、基準範囲をシート状ベルト8bの幅方向内寄りに基準位置を設定し、シート状ゴム部材8bが所定長さ以上移動した後は、基準位置をシート状ベルト8bの幅方向外側へ変更してもよい。シート状ベルト8bが平行四辺形状の場合、貼り付け開始直後は、先細状の傾斜領域7bに張力が作用して、傾斜領域7bの側辺7d1が幅方向外側へ反り返るようにシート状ベルト8bが変形しやすいが、貼り付け開始直後において貼り付け中盤及び後半に比べて基準範囲を内寄りに設定することで、貼り付け開始直後においても所望位置にシート状ベルト8bを貼り付けることができる。
【0080】
また、上記実施形態では、第1センサ52や第2センサ54で検出された側辺7d1,7d2の位置が基準範囲からズレていると、支軸31を移動させる移動量を一定量に設定したが、基準範囲からのズレ量に応じて支軸31を移動させる移動量を変化させてもよい。
【0081】
また、上記実施形態では、巻き取り筒12を回転させる動力源を設けず、成型ドラム22の回転に伴うシート状ベルト8bの張力によって巻き取り筒12を回転させる場合について説明したが、成型ドラム22のドラム駆動装置24と別個に巻き取り筒12に駆動装置を設けて巻き取り筒12を回転させてもよい。
【符号の説明】
【0082】
7a…傾斜辺、7b…傾斜領域、7c…最大幅領域、7d…切断辺、8…ベルト、8a…原反、8b…シート状ベルト、8c…円筒状ベルト、9…ベルトコード、12…巻き取り筒、14…剥がしローラ、20…製造装置、22…成型ドラム、23…回転軸、24…ドラム駆動装置、30…供給部、31…支軸、32…オフセット移動部、33…搬送部、34…ロック機構、35…ベアリング、36…ベースプレート、37…ベース駆動モータ、38…ボールネジ、39…ガイドレール、40…ボールナット、41…搬送プレート、42…搬送モータ、43…ボールネジ、44…ガイドレール、45…制動手段、50…検出部、52…第1センサ、54…第2センサ、56…挟持ローラ、70…制御部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7