(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-14
(45)【発行日】2022-01-14
(54)【発明の名称】回転電気機械のための電磁電機子及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
H02K 1/14 20060101AFI20220106BHJP
H02K 1/04 20060101ALI20220106BHJP
H02K 1/18 20060101ALI20220106BHJP
H02K 15/12 20060101ALI20220106BHJP
【FI】
H02K1/14 C
H02K1/04 Z
H02K1/14 Z
H02K1/18 C
H02K15/12 A
H02K15/12 D
(21)【出願番号】P 2017561920
(86)(22)【出願日】2016-05-30
(86)【国際出願番号】 FR2016000091
(87)【国際公開番号】W WO2016193558
(87)【国際公開日】2016-12-08
【審査請求日】2019-04-22
(32)【優先日】2015-05-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(32)【優先日】2015-05-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(32)【優先日】2015-05-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】517033182
【氏名又は名称】フランスコル テクノロジー
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100088694
【氏名又は名称】弟子丸 健
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100095898
【氏名又は名称】松下 満
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100162824
【氏名又は名称】石崎 亮
(72)【発明者】
【氏名】ベルノ フランソワ
(72)【発明者】
【氏名】ベルナオラ メンドーサ ヴィクター イヴァン
(72)【発明者】
【氏名】ムビク ムツィンガ ロドレット チャールズ
【審査官】若林 治男
(56)【参考文献】
【文献】独国特許出願公開第19624595(DE,A1)
【文献】独国特許出願公開第102013215423(DE,A1)
【文献】特表2000-502876(JP,A)
【文献】特開2011-147200(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 1/14
H02K 1/04
H02K 1/18
H02K 15/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアギャップ面(17)に対向するように設計されて相互作用面として知られる、軸zを備える円筒面を有する電磁ヨーク(11)と、
前記エアギャップ面の方向において突出する様式で前記相互作用面に関連付けされ、前記ヨークの全体にわたって離間して配置される、磁極を形成する複数の歯(13)と、
を備える電磁電機子であって、
前記歯(13)の各々は、前記方向zと直交するいわゆる極平面上において前記歯の面のうちの1つの面に配置された凹部(18)を含み、前記凹部は、巻線(12)を受け入れるように設計されており、
前記歯(13)は、前記凹部(18)が前記ヨーク(11)の前記軸zに沿った方向における中央部を通過する極中央面の両側に交互に配置されるように、前記ヨーク(11)上に配置される、ことを特徴とする電磁電機子。
【請求項2】
前記巻線(12)は、前記凹部の各々に収容されつつ、前記歯の各々の周囲の一部を取り囲む、請求項1に記載の電磁電機子。
【請求項3】
前記巻線(12)は波状であり、すなわち、前記巻線は、前記歯の各々の一部のみに沿って進み、1つの磁極から別の磁極に進み、前記凹部の各々に収容されつつ前記磁極の各々での極面を変えるようになっている、請求項1に記載の電磁電機子。
【請求項4】
前記歯(13)の1又は複数は、前記ヨークから独立しており、取り外し可能な様式で前記ヨークに対して付加される、請求項1から3のいずれかに記載の電磁電機子。
【請求項5】
付加的な取り外し可能な前記歯(13)を備え、前記歯(13)は、連続して隣接するか又は連続して隣接しない、或いは交互に隣接するか又は交互に隣接しないものであり、同じ形状又は同じでない形状を有し、極中央面の各側に交互に配置される凹部(18)を有するか又は有していない、請求項
1から4のいずれかに記載の電磁電機子。
【請求項6】
前記電磁ヨーク(11)は、軸zに直交する平面x-yに実質的に平行に配置され、方向zに積み重ねられる金属板(16)によって形成され、一方で、前記歯(13)は、平面y-zに実質的に平行に配置され、θとして知られる極回転方向に、又は接線方向xに、又は回転軸zに実質的に直交する可変の方向に積み重ねられる金属板(15)によって形成される、請求項1から
5のいずれかに記載の電磁電機子。
【請求項7】
前記歯(13)は、積み重ねられた積層金属板(15)によって又はSMC粉体から形成される、請求項1から
5のいずれかに記載の電磁電機子。
【請求項8】
前記歯(13)が取り外し可能な場合、前記歯(13)は、限定された半径方向の厚さ、好ましくは10mm未満、特に約1mmに従って、相互係合によって前記ヨーク(11)と協働する、請求項1から
7のいずれかに記載の電磁電機子。
【請求項9】
前記歯(13)が取り外し可能な場合、前記歯(13)は、遊びあり又遊びなしの嵌合によって、及び/又は接着によって、及び/又は、接合及び一体化のための要素によって、前記ヨークに関連付けされる、請求項1から
8のいずれかに記載の電磁電機子。
【請求項10】
前記歯数(13)の数は、前記電機子が対象とされる電気機械の磁極の数に少なくとも等しい、請求項1から
9のいずれかに記載の電磁電機子。
【請求項11】
前記電機子の前記巻線(12)及び/又は前記ヨーク(11)及び前記歯(13)は、熱板として知られ平坦な金属板のサーマルラッカリング、又は熱オーブン又はバーベキュー又はテーブルクッカーに使用される形式の、シリコーンベースのサーマルラッカリング絶縁樹脂で覆われ、特に、前記樹脂は、少なくとも20%のシリコーン又は少なくとも98%のシリコーンを含み、アクリル及び/又はエポキシも含むことができる、請求項1から
10のいずれかに記載の電磁電機子。
【請求項12】
前記ヨーク(11)と前記歯(13)との前記相互作用面は、実質的に円形であり、前記軸zの方向に平行移動される分離線(19)によって規定され、前記分離線は、
・円又は楕円、もしくは直線又は三角形の一部である、
・又は、折れ線であり、この折れ線は、特に長方形、又は三角形、又は台形であり、それにより、前記歯(13)を前記ヨーク(11)に押し込むことができ、前記歯は、好ましくは、前記ヨークの接線方向の表面に対して傾斜する方向に、好ましくはほぼD/2の寸法に従って、前記ヨークに押し込まれ、このDは、前記方向xにおける前記歯の幅に対応し、
・又は、前記歯(13)を前記ヨーク(11)上に配置することを可能にする長方形又は三角形の破線である、
のいずれかである、請求項1から
11のいずれかに記載の電磁電機子。
【請求項13】
請求項1から
12のいずれかによる電磁電気子を製造する方法であって、
前記巻線(12)は、前記ヨーク(11)と関連付けされる前に構成されるか又は少なくとも1つの導電性ワイヤを巻回することによって前記ヨーク上で取得され、特に、前記巻線は、以下の可能性の中から製作されるか又は前記電機子に関連付けされる、
-前記巻線(12)を、環状スピンドル上に製作する、
-前記巻線(12)を、前記ヨーク(11)に取り付けられる、取り外し可能な仮の歯の上に製作する、
-先に製作した前記巻線(12)を、裸の前記ヨーク(11)に関連付けし、使い捨て式か又は挿入後に取り外し可能であるくさびよって所定位置に保持し、その後に前記歯(13)を配置する、
-前記巻線(12)を別々に挿入される副巻線に分離する、
-前記巻線(12)を前記ヨーク(11)上に挿入し、ここで前記歯(13)の一部だけが、すなわち同じ極性を有するものが最終的に所定位置に配置される、
-前記巻線の挿入ステップ中に取り外し可能な仮の歯を使用し、その後に最終的な前記歯(13)によって置き換えられ、前記仮の歯は、好都合にはプラスチック又は研磨ステンレス鋼で作製される、
ことを特徴とする、製造方法。
【請求項14】
前記方法は、前記巻線(12)及び/又は頭部(11)及び/又は前記歯(13)の電気絶縁を提供し、前記電気絶縁は、
-第1のステップにおいて、前記巻線を形成する電線を構成する要素の各々、並びに随意的に前記ヨーク及び/又は前記歯などの巻線支持体を、平坦な金属熱板サーマルラッカリング、又は熱オーブン又はバーベキュー又はテーブルクッカーに使用される形式の、シリコーベースのサーマルラッカリング絶縁樹脂で被覆し、前記絶縁樹脂は、噴霧される粉体を使用して静電法によって塗布されることが好ましく、
-第2のステップにおいて、前記絶縁樹脂をオーブン内でメーカーが示した公称温度、典型的には220°Cで硬化させるか、又は前記樹脂を公称重合温度よりも低い温度、例えば150°C~180°Cで硬化させ、
-第3のステップにおいて、前記要素を冷間又は温間時に組み付け、
-第4のステップにおいて、適用可能である場合、前記3つのステップを前記巻線、前記ヨーク、及び前記歯によって形成された組み付けられた組立体に繰り返し、第2のステップにおいて前記硬化が前記公称重合温度よりも低い温度で実行された場合には前記組み付けられた組立体の硬化が必要である、
ことを含む、請求項
13に記載の製造方法。
【請求項15】
固定子を形成する請求項1から
12のいずれかに記載の少なくとも1つの電磁電機子と、環状磁性回転子とを備える回転電気機械であって、前記環状磁性回転子の磁石は、エアギャップ面(17)の反対側に位置し、単一の電磁電機子を有する単相機械、又は軸zの方向において離間した複数の電磁電機子を含む組立体を備える多相機械を構成するようになっている、回転電気機械。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転電気機械のための電磁電機子に関し、この電機子は、特に磁束の3次元循環を機械内で引き起こし、好都合には従来の爪構造に置き換わる。本発明は、その製造方法にも関する。
【背景技術】
【0002】
固定子及び/又は回転子が爪構造を使用することができる爪付き回転電気機械が公知である。所謂ランデル機械が良く知られており、自動車のオルタネータに使用されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
この爪付き機械は、巻線が単純であるという長所があるが、エアギャップで起こり得る低い誘導性及び高い漏洩率が問題である。爪に交番電力が供給される構成において、得られた機械は好都合な性能を有するが、低速時だけに限られる。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、限定されるものではないが、単相回転電気機械に関して詳細に説明する。また、本発明は、少なくとも1つの位相を含む多相機械にも同様に良好に適合し、多相機械は、複合機械を形成するために、本発明による複数の機械を単一の回転軸に沿って軸方向に積み重ね、随意的に磁性部品及びコイルによってこれらを接続することによって製作される。
【0005】
本発明の説明において、用語「波状巻線(undulating winding)」は、各磁極の一方側及び反対側で交互になっており、結果的に磁極の各面のうちの少なくとも1つの面上を除いて、磁極の周りに巻回されるコイルを形成する電線の巻線を説明する。
【0006】
本発明の説明において、用語「入れ子状巻線」は、各磁極の周囲全体に及ぶ電線の巻線を説明する。
【0007】
本発明の説明において、用語「電磁電機子(electromagnetic armature)」は、回転電気機械の固定子又は回転子を示し、電機子は、エアギャップ面において実質的に半径方向に電機子から放出される磁束を発生することで特徴付けされる。この電磁電機子は、
-交流、直流、又はパルス電流、又は何らかの形の電流を供給することができる、
-単体とすること、又は多相機械を形成するために回転軸に沿って結合される複数の独立した電磁電機子によって形成することができる、
-軸zを有する円筒体に組み込まれる、
-中心が中空又は中実である、
-随意的に電気巻線又は磁石セットを収容することができる、又は(磁石又は巻線なしで)受動的である、
-エアギャップ面において実質的に半径方向に磁束を発生する、
-「Npp」として知られている偶数個の磁極を含み、この数は、エアギャップ面を通る軸zに対する半径方向において磁束入力(S)及び出力(N)が交番するペアの数に対応する、
-回転電気機械のインダクタ又は電機子要素を形成することができ、
という点のうちの一部又は全てで特徴付けされる。
【0008】
本発明の説明において、用語「回転電気機械(rotating electrical machine)」は、特に直流を用いる何らかの種類の電気機械を説明し、直流は、磁石と同期、巻線形回転子と同期、かご形回転子と非同期、巻線形回転子と非同期、又は段階的(可変リラクタンスとして知られている)である。この回転電気機械は、軸z上に中心があり、軸方向で同じ長さの2つの円筒体によって規定された実質的に環状の容積に対応する電磁エアギャップによって分離された、少なくとも1つの内側電磁電機子及び少なくとも1つの外側電磁電機子を備える。この電磁エアギャップは、それぞれ互いに対向する内側電磁電機子及び外側電磁電機子から得られた各磁束の間の中間相互作用面を定義する。
【0009】
本発明の説明において、zで示される軸は、電気機械の回転軸に対応し、xで示される軸は、軸z上に中心が置かれた円筒体の接線方向に対応し、軸yは、軸z上に中心が置かれた同一平面上の円板の半径の方向に対応し、用語「極平面」は、軸zと直交する平面を指す。
【0010】
本発明の説明において、用語「平均エアギャップ(mean air gap)」は、互いの対向する2つの電磁電機子の間の、軸yでの半径方向の最小半径方向の距離を定義する。
【0011】
本発明の説明において、用語「エアギャップ面(air gap surface)」語は、内側電磁電機子と外側電磁電機子との間の磁気相互作用面に対応する軸zを有する円筒体を示す。
【0012】
本発明の説明において、用語「巻線(winding)」は、エアギャップ面を半径方向に通過する磁束を発生させるために、電磁電機子のうちの1つに挿入される導電体セットを説明する。
【0013】
本発明の説明において、略語「SMC粉体」は(SMCは軟磁性複合物を示す)、例えば、Hoganas製SMC粉体などの、粉体を形成する素粒子の部分的電気絶縁性によって特徴付けられる鉄粉を指し、この粉体は、網羅的ではない以下に記載の方法のうちの1つを用いて圧縮される。すなわち、熱間又は冷間圧縮鉄粉、熱間又は冷間圧縮後に高温焼成された鉄粉、フェライト、又は焼結鉄粉であり、この方法がSMC粉体に適用される場合、磁路を得ることができ、これによりフーコー電流損失が低減されて等方性磁気特性となる。
【0014】
図1は、従来技術による電磁電機子の部分斜視図を表す。
【0015】
公知の方法において、
図1に示される電磁電機子1は、軸zに沿って軸方向に積み重ねられた同一平面上の金属板3によって形成され、金属板4のセットを形成する。金属板は、同一平面上の平面x-y上に配置され、方向zに平行に積み重ねられる。電機子1は、交互の切り込み6によって規定された交互の磁極5を備える。磁極5は、歯を形成する(以下、歯と呼ぶ)。巻線2が、連続した磁極5の間で交互に出入りする磁束を発生するために各磁極5に巻回されている。この巻線は波状様式(すなわち1つの磁極から別の磁極に進み、各磁極で側面が変わる)又は
入れ子状様式であり、磁極5の各々を完全に取り囲むように製作することができる。巻線2は、単一の太破線で図示され、実際には、巻線は、軸z及びxに従って極平面の表面上に並びに厚み部分に延びる複数の巻数を備え、歯の間の空間を満たす。このように形成された電磁電機子1は、電磁エアギャップ面7の反対側に配置される。
【0016】
この公知の構成において、コイルヘッド、すなわち極平面x-yに沿って循環する巻線部分は方向zに実質的な厚さを有し、この利用されない空間は電磁トルクを直接生成しない。
【0017】
加えて、電線を電機子の歯に巻回することは、冗長な繊細な作業であり、電線をきちんと位置決めし、電線の巻回量を最適化するために、特に、製造費(巻き時間及び特に銅製の場合は使用する原材料の量)を最適化するために緻密さを必要とする。
【0018】
従って、本発明の目的は、特に従来技術によるコイヘッドの存在によって生じる必須の空間又は低誘導性という欠点がない、及び/又は巻線の量を増大させるために巻線を電機子の歯に対して最適な方法で配置することができる、巻線を収容するように構成された電磁電機子を提供することである。また、本発明の目的は、巻線を電機子と関連付けるためのこの形式の電機子の製造を容易にすることである。
【0019】
本発明によれば、電磁電機子は、エアギャップ面に対向するように設計されて相互作用面として知られる、軸zを備える円筒面を有する電磁ヨークと、エアギャップ面の方向に突出する様式で相互作用面に関連付けされてヨークの全体にわたって離間して配置される、磁極を形成する複数の歯と、を備え、歯の各々は、方向zと直交するいわゆる極平面上の歯の各面のうちの1つの面に配置された凹部を含み、凹部は、巻線を受け入れるように設計されており、歯は、ヨーク上に配置され、凹部は、ヨークの中央部を通過する極中央面の両側に交互に配置されるようになっており、すなわち、2つの隣接する歯の凹部は、軸zと直交する2つの反対側の極平面に対して同一平面上にある2つの反対側の面にそれぞれ配置される。
【0020】
従って、凹部は巻線を受け入れることができ、方向zの空間が節約され、結果的に、巻線ヘッドでの巻線の厚さが減少し、これによって、特に電気抵抗及びジュール効果による損失を低減することができる。さらに、巻線が銅製の場合、銅の量が少なくなり製造費が減る。
【0021】
1つの特徴によれば、巻線は入れ子状であり、すなわち歯の各々の周囲を取り囲み、一方で凹部の各々に収容される。
【0022】
好適な変形例において、巻線は波状であり、すなわち、巻線は、歯の各々の一部のみに沿って進み、1つの磁極から別の磁極に進み、凹部の各々に収容されながら磁極の各々での極面を変えるようになっている。
【0023】
極の一方側のみを交互に通過するこの波状巻線構成により、各極に必要とされる誘導性を保証しながら、コイルヘッドでの巻線を排除することによって軸zでの巻線の厚さを低減することができる。加えて、誘導による損失が低減され、磁気トルクを改善することができる。
【0024】
別の特徴によれば、1又は複数の歯は、ヨークから独立しており、取り外し可能な様式でヨークに対して(相互作用面に対して)付加される。
【0025】
また、本発明は、電磁電機子に関連し、電磁電機子は、エアギャップ面に対向するように設計されていわゆる相互作用面である、軸zを備える円筒面を有する電磁ヨークと、エアギャップ面の方向に突出する様式で相互作用面に関連付けされてヨークの全体にわたって離間して配置される、磁極を形成する複数の歯とを備え、歯の少なくとも1つは、ヨークから独立しており、取り外し可能な様式でヨークに対して(相互作用面に対して)付加される。
【0026】
従って、1又は複数の歯が取り外し可能であるので、電線の量を最小限にしかつコイルヘッドでの電線の厚さを最小限にするように、最適な方法で電線を各歯と関連付けるために、複数の巻線の可能性が提供される。以下から分かるように、巻線、及び巻線とヨークとの関連性のいくつかの例を取り外し可能な歯とともに提案する。
【0027】
好ましくは、電機子は、複数の付加的な取り外し可能な歯を備え、付加的な歯は、連続して隣接するか又は連続して隣接しない、又は交互に隣接するか又は交互に隣接しない。
【0028】
単一の電機子の歯は、同じ形状である又は同じでない形状である。
【0029】
歯は、前述の凹部を備えることができる。従って、歯は、極中央面の両側に交互に配置された凹部を備える又は備えない。
【0030】
歯は、金属板の積み重ねによって又はSMC粉体から形成される。
【0031】
本発明の別の特徴によれば、歯が積み重ねられた金属板によって形成される場合、電磁ヨークは、軸zに直交する平面x-yに実質的に平行に配置され、方向zに積み重ねられる金属板によって形成され、一方で、歯は、平面y-zに実質的に平行に配置され、θとして知られる極回転方向に、又は接線方向xに、又は回転軸zに実質的に直交する可変の方向に積み重ねられる金属板によって形成される。変形例として、金属板15は、平面y-zに平行にではなく、この平面に対して角度を成して、すなわち軸zに対して角度を成して配置されるので、金属板は、捻れられていると言える。従って、極の金属板は、ヨーク11の金属板16が配置される平面に平行ではない平面上に配置される。
【0032】
好ましくは、歯は、限定された半径方向の厚さ、好ましくは10mm未満、詳細には約1mmに従って相互係合によってヨークと協働する。
【0033】
別の特徴によれば、歯は、遊びあり又はなし嵌合、及び/又は、接着、及び/又は、連動及び一体化する要素によってヨークに関連付けられる。遊びなしの嵌合は、押し込みによって行われる。
【0034】
歯の数は、電機子が対象とされる電気機械の磁極の数に少なくとも等しい。
【0035】
別の特徴によれば、ヨークと歯との前記相互作用面は、実質的に円形であり、軸zの方向に平行移動(translate)される分離線(19)によって規定され、分離線は、
・円又は楕円、もしくは直線又は三角形の一部である、
・又は、破線(broken line)であり、この破線は、特に長方形、又は三角形、又は台形であり、それにより、歯をヨークに押し込むことができ、歯は、好ましくは、ヨークの接線方向の表面に対して傾斜する方向に、好ましくはほぼD/2の寸法に従って、ヨークに押し込まれ、Dは、方向xの歯の幅に対応し、
・又は、歯をヨーク上に配置することを可能にする長方形又は三角形の破線である、
のいずれかである。
【0036】
好都合には、電機子の巻線及び/又はヨーク及び歯は、熱板として知られ平坦な金属板のサーマルラッカリング、又は熱オーブン又はバーベキュー又はテーブルクッカーに使用される形式の、シリコーンベースのサーマルラッカリング絶縁樹脂で覆われ、詳細には、樹脂は、少なくとも20%のシリコーン又は少なくとも98%のシリコーンを含み、アクリル及び/又はエポキシも含むことができる。
【0037】
本発明は、本発明による電磁電気子を製造する方法に関し、巻線は、ヨークと関連付けされる前に構成されるか又は少なくとも1つの導電性ワイヤを巻回することによってヨーク上で取得され、詳細には、巻線は、以下の可能性、すなわち、
-巻線を、環状スピンドル上に製作する、
-巻線を、ヨークに取り付けられる取り外し可能な仮の(false)歯の上に製作する、
-先に製作した巻線を、裸の(bare)ヨークに関連付けし、使い捨て式か又は挿入後に取り外し可能であるくさびよって所定位置に保持し、その後、歯を配置し、
-巻線を別々に挿入される副巻線に分離し、
-巻線をヨーク上に挿入し、ここで歯の一部だけが、すなわち同じ極性を有するものが最終的に所定位置に配置され、
-巻線の挿入ステップ中に取り外し可能な仮の歯を使用し、その後、最終的な歯によって置き換えられ、仮の歯は、好都合にはプラスチック又は研磨ステンレス鋼で作製される、
の中から製作れるか、又は前記電機子に関連付けされる。
【0038】
本発明による方法によって、特に巻線プロセスを容易にすること、巻線を正確かつ規則正しく位置決めすること、及び巻線を最適な方法で配置することができる。加えて、結果として巻回される電線の量が減る。
【0039】
巻線は、円形電線又は平坦部分を有する電線とすることができる。
【0040】
また、本発明は、電気機械用の導電体の高温絶縁のための方法に関し、特に250°Cよりも高い温度で機械を使用することを可能にする。高い温度では、電気機械から供給される電力を増大させることができる。
【0041】
詳細には、本発明による電機子の製造方法は、本発明による電気絶縁方法を使用する。
【0042】
以下の説明において、用語「導電体」は、磁束を磁束管内に生成するために磁束管に巻回された少なくとも1つの電線、一般に複数の電線を説明する。この磁束は直流又は交流である。
【0043】
本発明の説明において、用語「電線」は、導電体を形成する電線を説明する。電線は、規則正しいか又は規則正しくない、扁平、六角形、円形、四角形、長方形、又は任意の他の形である外形を有することができる。この電線は、中実又は中空とすることができる。この電線は、1又は複数の電線によって構成することができ、複数の電線は、互いに絶縁されるか又は絶縁されず、また、単一の電流が通る単一の電線を形成するためにグループ化される。導電体は、サブグループに集られた複数の導電体を集めることによって形成することができる。
【0044】
本発明の説明において、単一の導電体内又は単一の電線内の相互の電線の配置は、平行配置、ルーベル(Roebel)、対角線、ねじり、又は任意の他の形式の配置など、従来技術から知られている全ての構成を使用することができる。
【0045】
公知の方法において、電気機械は、導電体を回転子及び/又は固定子で受け入れ、導電体は、随意的に磁気回路又は適用可能な場合は非磁性ケーシングに設けられた切り込みに収容される。
【0046】
本方法は、導電体と電気を通す支持体との間を絶縁する方法であり、これは磁気回路又は非磁気回路とすることができる。
【0047】
説明において、用語「電気支持体」は、導電体を収容する1又は複数の部品を説明し、これらの部品は、電気を部分的に又は完全に通す。この部品の組立体は、1つの部品に限定すること、もしくは同じ又は異なる材料及び形態の複数の部品によって形成することができる。電気支持体は、強磁性又は非強磁性とすることができる。
【0048】
本発明の説明において、電気絶縁方法は、第一に、導電体と電気支持体との電気絶縁に、第二に単一の導電体を形成する異なる導電体の間の電気絶縁に適用され、この場合の一方及び/又は他方は、本発明による絶縁方法を使用することができる。
【0049】
絶縁方法は、特に、電機子の巻線に関連した本発明による電磁電機子の製造プロセスで使用される。絶縁は、巻線を形成する導線、並びにヨーク及び関連の歯と共に巻線に同様に良好に適用される。
【0050】
本発明によれば、電機子の巻線及び/又はヨーク及び歯は、熱板として知られ平坦な金属板のサーマルラッカリング、又は熱オーブン又はバーベキュー又はテーブルクッカーに使用される形式の、シリコーンベースのサーマルラッカリング絶縁樹脂で覆われる。
【0051】
本発明の説明において、用語「絶縁樹脂」は、静電噴霧によって又は従来技術による任意の他の方法によって絶縁部分に塗布される粉体を説明する。絶縁樹脂は、オーブン、バーベキュー又はテーブルクッカーの壁部など、高温部分に対する用途に設計されている。これらの部分は、250°C以上の非常に高い温度又は炎との直接的な接触に耐える。
【0052】
絶縁方法は、以下のステップ、
-第1のステップにおいて、巻線を形成する電線を構成する要素の各々、並びに随意的にヨーク及び/又は歯などの巻線支持体を、平坦な金属熱板サーマルラッカリング、又は熱オーブン又はバーベキュー又はテーブルクッカーに使用される形式の、シリコーベースのサーマルラッカリング絶縁樹脂で被覆し、絶縁樹脂は、噴霧される粉体を使用して、静電法によって塗布されることが好ましい、
-第2のステップにおいて、絶縁樹脂をオーブン内でメーカーが示した公称温度、典型的には220°Cで硬化させるか、又は樹脂を公称重合温度よりも低い温度、例えば150°C~180°Cで硬化させ、
-第3のステップにおいて、要素を冷間又は温間時に組み付け、
-第4のステップにおいて、適用可能である場合、3つのステップを巻線、ヨーク、及び歯によって形成された組み付けられた組立体に繰り返し、第2のステップにおいて硬化が公称重合温度よりも低い温度で実行された場合には組み付けられた組立体の硬化が必要である、
を含む。
【0053】
好ましくは、絶縁樹脂は、噴霧される粉体を使用して静電法によって塗布される。
【0054】
1つの特徴によれば、シリコーンベースの絶縁樹脂は、熱硬化性樹脂である。絶縁樹脂は、少なくとも20%のシリコーン又は少なくとも98%のシリコーンを含む。
【0055】
実施形態の例として、使用される絶縁樹脂は、100%のシリコーンを含有するインターポン(Interpon)で作られた参照HT550を有し、典型的には最大動作温度550°Cに耐える。
【0056】
絶縁樹脂は、アクリル及び/又はエポキシを含むこともできる。
【0057】
1つの実施形態によれば、使用される絶縁樹脂は、シリコーン、エポキシ及びアクリルを含有するInterpon製基準HT350を有し、典型的には最大動作温度350°Cに耐える。
【0058】
1つの実施形態により、使用される絶縁樹脂は、シリコーン及びアクリルを含有するインターポン(Interpon)で作られた参照HT450を有し、典型的には最大動作温度450°Cに耐える。
【0059】
本発明の説明において、新規な高温電気絶縁方法の適用は、少なくとも互いの対向し、放電を防止するために電気機械が使用する電圧に関して適切な距離で物理的に分離する必要がある、導電体及び電気支持体の表面を含む。樹脂製の電気絶縁被覆は、デザインを単純化するために、この表面から溢れるか又は機械の全てを覆う可能性がある。好ましくは、この絶縁方法は、電気機械を形成する導電体、電線、及び電気支持体の全てに対して、これらの部品の全てに同じ樹脂を使用して適用される。
【0060】
硬化/重合作業は。電気支持体の導電体ユニットの各組み付けに繰り返すことができ、又はこの硬化/重合作業は、電気機械が組み付けられた状態で単一のステップで実行することができる。
【0061】
最後に、本発明は、固定子を形成する本発明による少なくとも1つの電磁電機子と、環状磁性回転子とを備える回転電気機械に関し、環状磁性回転子の磁石は、エアギャップ面の反対側に位置し、単一の電磁電機子を有する単相機械、又は軸zの方向に離間した複数の電磁電機子を含む組立体を備える多相機械を構成するようになっている。
【0062】
本発明は、単に例示的であり本発明の範囲を何ら限定しない実施例及び添付図面に基づいて以下に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【
図1】従来技術による電磁電機子の部分斜視図を示す。
【
図2】本発明による電磁電機子の第1の実施形態の部分斜視図を示す。
【
図3】本発明による電磁電機子の第2の実施形態の部分斜視図を示す。
【
図5a】
図3の電磁電機子のヨークの極平面による断面図である。
【
図5b】
図4の電磁電機子のヨークの極平面による断面図である。
【
図6】
図2の電磁電機子の歯の極平面を横切る平面y-z上の断面図である。
【
図7】電気絶縁樹脂で被覆された電気支持体内の導電体の構成の概略断面図を示す。
【
図8a】電機子のヨークに押し込まれた歯の接合線の特定の実施例を示す。
【
図8b】電機子のヨークに押し込まれた歯の接合線の特定の実施例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0064】
図2~
図4に示す本発明による電磁電機子10は、電磁ヨーク11、巻線12、及び歯13を備え、歯13は、軸zを有するこのヨーク11の円筒面に結合し、磁気エアギャップ面17に対向する円筒面に対して突出する。
【0065】
エアギャップ17に対向する、歯13に関連する面である円筒面は、機械的相互作用面として知られている。この機械的相互作用面は、実質的に環状である。
【0066】
好ましくは、ヨーク11は、x-y平面に実質的に平行に配置されかつ方向zに積み重ねられた平坦な金属板16によって形成されている。
【0067】
各歯13は互いに離間する。歯13は、ヨーク11の機械的相互作用面の全体にわたって規則的な間隔で分散配置される。
【0068】
従って、巻線12を受け取る歯13は、エアギャップ面17の反対側に、連続的に交番するNSの極性と同じ数の連続した磁極を形成する。歯数13は、少なくとも電気機械の磁極の数に等しい。
【0069】
図2の実施形態において、歯13は、ヨーク11の金属板16と同一平面上に配置されかつ軸zの方向に積み重ねられた平坦な金属板15によって形成され、。
【0070】
図2の実施形態において歯13は中実であるが、
図3及び4では以下で明らかになるよう歯13は中空である。
【0071】
図3及び
図4の実施例において、歯13は、平面y-zに実質的に平行に配置された平坦な金属板15によって形成され、θで示す極回転方向、又は接線方向x、又は回転軸zに実質的に直交する可変の方向に積み重ねられることが好ましい。変形例として、金属板15は、平面y-zに平行に配置されておらず、この平面に対して角度を成して、すなわち軸zに対して角度を成して配置されており、その場合、金属板は捻られていると言える。従って、歯/極13の金属板15は、ヨーク11の金属板16の配置平面に平行ではない平面上に配置される。
【0072】
詳細には、巻線12から発生する磁束は、ヨーク11内で主回転方向θに循環し、一方で、金属板15の平面に平行な平面上で取り囲まれ、その結果、金属板16の方向を辿るのでフーコー電流が発生しない。次に、エアギャップ面17に再結合する前に、この磁束は、平面y-zを辿って歯13を略半径方向に通過し、その結果、この磁束が歯の金属板15の方向を辿るのでフーコー電流が発生せず、歯の金属板15、好都合にはヨークの金属板16に平行に配向されていない。従って、磁束の3次元循環が、ヨークの金属板と歯の金属板との間で異なって配向されているカットされた平坦な磁性金属板を使用して電磁電機子で得られるように見える。
【0073】
各歯は、ヨーク4に接触する面と、エアギャップ面17に対向する面と、(平面y-zに平行な)半径方向面5A及び5Bとして知られる各半径方向面が隣接する歯の半径方向面に対向する反対側の2つの面と、平面に平行な極面として知られる2つの反対側の面5C及び5Dとを有する。
【0074】
巻線12は、ヨークの相互作用面に平行な平面上で延びる。巻線12は、歯13の周囲の全体にわたって配置することができる。好適な変形例(
図2~
図4)によれば、巻線12は、波状の形態であるが、歯13の各々に関連し、1つの磁極から別の磁極へ進み、各磁極で極面が変わる。従って、歯13の1つについて、コイル12は面5Cに関連し、隣接する歯については、反対側の面5Dに関連する。
【0075】
図3及び
図4の歯の実施形態において、各歯13は、極面5C又は5Dの一方に凹部18を備える。凹部18は、巻線12を収容する。凹部18は、詳細には「U」形の開口部を有する。凹部は、極平面(x-y平面に平行な平面)に面する長手方向の開口部18Aと、反対側の半径方向面5A及び5Bとそれぞれ同一平面上にある2つの対向する横方向の開口部18B及び18Cを備える。
【0076】
凹部18は、歯の2つの極面の一方のみに存在するので、結果的に各極面の一方に交互に配置される(コイルヘッドの面において)。
【0077】
結果的に、巻線空間を得るために、本発明による電機子10は、
-好ましくは波状巻線12と組み合わされた中実の(すなわち、凹部がない)周囲面を有する歯13を有すること(
図2)、
-又は、各々が
入れ子状の又は好ましくは波状巻線12と組み合わされた凹部18を備える歯13を有すること(
図3及び
図4)、
によって構成される。
【0078】
従って、コイルヘッドにおいて軸zの方向の巻線12の横方向の伸長部が低減するようになり、これによって、能動的な電磁相互作用面17を増大させることができる。
【0079】
図3及び
図4の実施例において、歯13は、ヨーク11上に配置され、凹部18がヨーク11の中央を通る極中央面の両側で交互に配置されるようになっており、巻線12は、波伏になることで、歯13の両側に交互に巻回される。
【0080】
特定の実施形態によれば、歯13は、角度方向θに実質的に平行に配置された複数の部分に分割される。別の特定の実施形態によれば、ヨーク11は、軸zの方向に平行に配置された複数の部分に分割される。
【0081】
図2~
図4を参照すると、電磁電機子10(従って、ヨーク11及び各歯13)は、長さをd13で示される軸zの方向の長さを有する。歯13は、ヨークの長さと同じ軸zに沿った長さを有すること、又はこれよりも短い又は長い長さとすることができる。
【0082】
エアギャップ17に対向する金属板15の端部とエアギャップ面17との間に半径方向yのHeoで示されるエアギャップつまり距離は、特定の法則、特に以下の式に従う。
エアギャップ=Heo=(平均エアギャップ)/(余弦(局所的電気角度))
【0083】
局所的電気角は、エアギャップの局所的な推定点での機械角に磁極のペア数を乗じたものとして定義される。
【0084】
平均エアギャップは、と、歯の自由面と、エアギャップ面を越える反対側の電磁電機子との間の軸yの半径方向の最小半径方向の距離を定義する。
【0085】
この半径方向の距離Heoは、金属板15とヨーク11との間の接合線19の形で与えられ(
図2~
図4)、これはエアギャップを説明する機能を再現する。
【0086】
好ましくは、歯13の各々とヨーク11との間の接合面は、実質的に接合線19の軸方向zの線形平行移動によって取得される。変形例として、歯13の各々とヨーク11との間のこの接合面は、接合線19を軸zに対して傾斜する方向に線形平行移動させることによって取得される。
【0087】
第1の特定の実施形態(
図3)によれば、歯13は、全てが実質的に同じ磁性金属板から形成される。
【0088】
図3及び
図4に例示する歯13の金属板15の別の実施形態によれば、金属板15は、互いに異なる半径方向の高さを有する。
【0089】
歯13の各々とヨーク11との間の接合線19は、異なる外形形状、すなわち、任意のライン、又は、三角形又は四角形を形成する少なくとも2つの実質的に真っ直ぐなセクションに分割されるラインを有することができる。この構成は、歯13を形成する金属板15が互いに異なる、軸yの半径方向の半径方向高さを有する必要があることを意味し、軸yの半径方向で一定の厚さか又は変形例として可変の厚さを備えたリングなどの適切な形態のエアギャップをもたらすようになっている。エアギャップの可変厚を参照すると、金属板15は、階段形状のエアギャップ17をもたらすために、方向yにおいて全く同じ高さの組でグループ化することができる。
【0090】
2つの他の特定の実施形態において、
図8a及び
図8bを参照すると、接合線19は、台形に分類できる形態であり、すなわち、ヨーク11は、歯13に対応する空洞11Aを備え、歯13の壁部は、ヨークの接線方向表面に対して末広である又は収束するように傾斜する。好ましくは、各歯13は、傾斜方向でヨークへ導入された歯の寸法がほぼD/2であるように押し入れられ、Dは、方向xの歯の幅/厚さに対応する。加えて、ヨークは、軸yに沿ってD/2に等しいる半径方向の寸法を有することが好ましい。
【0091】
金属板のさらに別の実施形態によれば、歯13は、積み重ねられた金属板の代わりにSMC粉体で作製される。
【0092】
本発明の好適な実施形態によれば、少なくとも1つの歯は、ヨーク11上に組み付けられる前にはヨーク11から独立している。歯は、いわゆる取り外し可能であり、少なくともヨーク上に組み付ける前に取り外し可能である。
【0093】
取り外し可能な歯は、中実とすること又は凹部18を有することができる。
【0094】
電機子の歯13の全ては、取り外し可能でヨーク上へ付加することができ又は歯13の一部(直接隣接した又は隣接しない歯)のみを取り外し可能とすることができる。
【0095】
歯13は、制限された半径方向の厚さに従って相互係合によってヨークと協働する。
【0096】
歯13は、好ましくは嵌合によってヨークに結合する。
【0097】
図3~
図5bを参照すると、歯は、ヨーク11へ部分的に押し込まれており、ヨークは、適切な収容空洞11A(
図5a及び
図5b)を備え、ヨークの相互作用面は、歯13の接合線19に沿う。歯13の各々のヨーク11への軸yの半径方向での押し込み長さd10(
図3及び
図4)は、好ましくは0~10mmである。好ましくは、この押し込み長さd10は、磁束の局所的偏向のために、相互作用領域でのフーコー電流を防止するために、短いこと、典型的には1mmである必要がある。
【0098】
第1の好適な変形実施形態によれば、歯13はヨーク11の空洞内へ押し込まれ、随意的に空洞内へ接着される。第2の変形例によれば、歯13は、僅かな間隙でもってヨーク11の空洞へ押し込まれてこれに接着される。
【0099】
歯が押し込まれると、歯は、ヨーク11の表面上に適用される肩部13Aを有することができる(
図8a及び
図8b)。機能的な間隙を肩部13Aとヨーク11との間、並びに空洞11Aの基部に設けることができる(その結果、空間11Bが得られる)。必要であれば、空洞11Aの基部の空間11Bにくさび11C(
図8b)を配置することができる。
【0100】
歯及びヨークの示されていない別の関連付け方式により、ヨークは、歯が位置決めされて接着される半径方向の突出部を備える。また、歯は、突出部に係合すると同時にこれに嵌合及び/又は接着するための空洞を備えることができる。
【0101】
さらに別の関連付け方式により、歯13は、追加的な接着樹脂によって電磁電機子組立体でもって、もしくはプラスチック、ステンレス鋼、又は任意の他の材料などの非磁性部品によって、もしくはエアギャップに設けられたバンドによってヨーク11上に固定される。
【0102】
歯が凹部18を有する場合、歯の寸法は、
図2、
図3、及び
図6を参照して以下の通りである。
【0103】
d11は、軸zに沿った凹部18の寸法である。
【0104】
寸法d11は、回転機械が複数の電機子を備えるように設計される場合、2つの連続した電機子11の間の距離よりも小さい。好ましくは、d11は、2つの連続した電機子を分離する距離の半分に等しい。
【0105】
例示的に、2つの連続した電磁電機子の間の距離は、1mm~5mmである。
【0106】
d16は、方向yの凹部18の半径方向の高さである。好ましくは、半径方向の高さは、歯13の極長の5倍未満である。極長は、歯の極面5C及び5Dを分離する軸zに沿った距離、すなわちd13に対応する。
【0107】
図2、
図3、及び
図6を参照すると、歯13とヨーク11との間との接合部において、金属板15の半径方向yの凹部の寸法d12は、好ましくは、0mmと歯13の極長d13との間、詳細には1~4mmである。値d12=2mmは、接合領域19の鉄損の最小化の制約と、巻線12とヨーク11との間に残された間隙によって引き起こされる巻線の容積損失との間の最適条件に対応する。
【0108】
寸法d15は、d10+d12によって与えられる。
【0109】
エアギャップと歯13との間の接合部において、金属板15の半径方向yの凹部の寸法d11は、好ましくは以下の式によって与えられる。
d11=d11x(d15-d11)/d15
【0110】
本発明による電機子の製造方法は、以下の通りである。
【0111】
好適な実施形態によれば、電線を環状スピンドル上で巻回することによって電磁電機子10の外部で巻線12を生成し、次に、波状巻線12を形成するために、歯13の間に配置することができるようにこの組立体を形成する。巻線12は、電磁電機子10の最終位置に導入される前には可撓性又は剛性とすることができる。
【0112】
好ましくは、コイル12をヨーク11に挿入し、同じ極性を有する歯13の一部のみが確実にその位置に入れられる。従って、取り外し可能な同じ極性(N又はS)に対応する全ての歯13は、先に形成された巻線12の挿入時には不在であり、軸zの方向の巻線12の導入を可能にするようになっている。巻線12が既に所定位置にある同じ極性を有る歯13に挿入された状態で、欠落した歯(ヨーク上で既に所定位置にある歯とは反対の極を有する)を所定の位置に挿入する。
【0113】
歯13及びコイル12の部分的な挿入の他の組み合わせが可能であり、例えば、網羅的ではないが以下の記載から選択される。
-裸のヨーク11へのコイル12の挿入、及び使い捨ての又は挿入後に取り外し可能なくさびによるその固定、その後の歯13の挿入、
-別々に挿入されるサブコイルへのコイル12の分離、
-巻線の挿入ステップ中に取り外し可能な仮の歯の使用、その後、最終的な歯13による置き換え、仮の歯は、好都合にはプラスチック材又は研摩ステンレス鋼で作製される。
【0114】
本発明による電磁電機子は、以下に説明するように、シリコーンに基づく高温絶縁法によって絶縁することができる。
【0115】
本発明の全ての説明は、回転電気機械について提示されており、回転電気機械のエアギャップ面は、回転軸zを中心とした円筒体である。当業者であれば、本発明を、エアギャップ面が回転軸上に中心があり環状又は中実の円板である、円板形式の機械へ置き換えることを理解できるはずであり、例えば、半径方向の磁束を接線方向の磁束に(及びその逆)に置き換える適切な設計対称性を利用する。
【0116】
本発明の説明は、軸のトルク―速度平面の4つの運転象限において、結果的に、正及び負の回転方向のモーターモード、発電機モード、及び制動モードモードで説明される回転電気機械の全ての動作モードに及ぶことを認識されたい。
【0117】
本発明は、直流又は交流を供給することができる、回転電気機械の固定子又は回転子を製作するために使用される何らかの電磁電機子に適用されることを認識されたい。
【0118】
本発明の説明において、例示する外側回転子を有する構造から内側回転子の構造への移行は、従来技術において説明したように、エアギャップ面を中心とした半径方向の対称性を利用してエアギャップ面に対するミラー効果によって実行されることを認識されたい。
【0119】
本発明による回転電気機械の説明は、極軸x上の寸法を線形寸法に展開する適切な変換を実行することによって線形電気機械に及ぶことを認識されたい。
【0120】
本発明を構成する強磁性体部分の一部又は全部は、SMC粉体で作製することができる。
【0121】
本発明による電磁電機子を使用して、複合型同期又は非同期単極機械を製造することができる。結果として得られた電気機械は、随意的にそのエンコーダーの雑音低減プロセスに関連する制御アルゴリズムによって、電圧オープンループで制御することができる。
【0122】
電磁電機子が多相機械用に設計される場合、
図2~
図4を参照して説明したように、複数の単相電機子が、軸zに沿って互いから離間して積み重ねられる。この実施形態において、各電機子又は少なくとも第2以降の電機子の複数の歯又は全ての歯は、取り外し可能である。加えて、多相機械の単相電機子は、2つの連続した電機子の磁極の間の角度オフセットを確実にするように互いの間に配置される。この相間角度オフセットは、(360°/Npp)/Nphasesに等しく、Nppは、磁極の数であり、Nphasesは、相数(電機子の数)である。
【0123】
本発明で説明した全ての要素は、任意の数の電気位相及び電磁磁極を備える他の回転又は静的電気機械に拡張することができる。本発明は、説明した実施形態に限定されず、特許請求の範囲に定義される保護範囲に留まりながら当業者に明らかな何らかの修正及び変形にまで及ぶ。
【0124】
ここで、本発明による電機子の巻線の導電体及び/又はヨーク及び/又は歯の電気絶縁方法を説明する。この絶縁方法では、特に250°Cよりも高い温度に耐えるシリコーンをベースとする熱硬化性絶縁樹脂を使用する。
【0125】
理解を容易にするために、
図6を参照して絶縁方法を説明するが、この図は、電気支持体100に関連した/これに取り付けられた導電体40の全体的な概略図である。
【0126】
導電体40は、複数の電線20を集めることによって形成され、電線20は、例えば、電気支持体100内に形成された切り込みに一体化される。電線は、重ね合わせられた層3で互いと平行に配置される。重ね合わされた層は、前述の本発明による電機子の巻線などの巻線を形成する。支持体100は、例えば、前述の本発明による電機子10に対応する。
【0127】
重ね合わされた層の数は用途に依存しており、単数又はそれ以上に等しい。各電線は、電気支持体100に挿入される前に裸の電線に塗布された絶縁樹脂によって独立して絶縁される。この電線は、銅又はアルミニウムによって構成されることが好ましい。
【0128】
電線20の全ては、実質的に同じ形状で同じ横断面とすることができる。変形例として、電線20は異なる横断面を有する。
【0129】
特定の実施形態によれば、電線20は、電気支持体100と同じ絶縁樹脂で絶縁される。
【0130】
例示的に、樹脂は、電線の各々に塗布されて硬化し、その後、樹脂で被覆された電線が集められて巻線を形成する。
【0131】
特定の実施形態によれば、この絶縁方法を以下の複数の連続ステップで実行する。
-第1のステップにおいて、導電体20を電気支持体100に組み付ける前に、導電体20の各々、並びに電気支持体100を、互いから独立して絶縁樹脂で被覆し、
-第2のステップにおいて、上記導電体20の各々、並びに電気支持体100を、公称重合温度で別々に硬化させ、
-第3のステップにおいて、重合樹脂で被覆された上記導電体20の各々を、同様に重合樹脂で被覆された電気支持体100に挿入し、
-随意的に、第4のステップにおいて、絶縁樹脂の第2の層を導電体の組立体及び支持体上に堆積させることによって上記導電体20の2回目の絶縁を行ない、導電体を、連続層で支持体と関連付けることによって形成し、この絶縁樹脂は、第1のステップで使用した樹脂と同じであることが好ましい。その後、樹脂の第2の層で被覆された導電体20及び電気支持体100の組立体を樹脂の公称重合温度で硬化させる。
【0132】
本発明の説明において、重合温度は、メーカーから明示される、各樹脂に固有の加熱及び冷却サイクルに関連する。通常、この重合温度は約220°Cであり、この数値は、樹脂で被覆される要素の最大使用温度よりも低い。
【0133】
別の特定の実施形態によれば、絶縁方法を以下の複数の連続ステップで実行する。
-第1のステップにおいて、電気支持体100を導電体20に組み付ける前に、導電体20の各々、並びに電気支持体100を絶縁樹脂で互いから独立して被覆し、
-第2のステップにおいて、上記導電体20の各々、及び/又は電気支持体100を、公称重合温度よりも低い、例えば、150°C~180°Cの範囲の温度で別々に硬化させた後に冷却する。公称値よりも低いこの硬化温度の選択は、第一に、導電体の支持体への挿入時の屈曲に十分耐える可撓性をもつ樹脂膜で導電体20及び電気支持体100を覆うことを可能にするために、第二に、最終硬化の最終ステップ時に、種々の組立部品の間の改善された接着を可能にするために、選択的に決定される。この第2のステップにおいて、導電体20のみ又は電気支持体100のみを公称重合温度で硬化させることが可能であり、
-第3のステップにおいて、硬化樹脂で被覆された上記導電体20の各々を、同様に硬化樹脂で被覆された電気支持体100に挿入し、
-第4のステップにおいて、絶縁樹脂の第2の層を導電体の組立体及び支持体上に堆積させることによって上記導電体20の2回目の絶縁を行ない、導電体を連続層で支持体と関連付けることによって形成し、この絶縁樹脂は、第1のステップで使用した樹脂と同じであることが好ましい。その後、樹脂の第2の層で被覆された導電体20及び電気支持体100の組立体を樹脂の公称重合温度にて硬化させる。
【0134】
絶縁樹脂による含浸を繰り返えすことによって、電線を電気支持体と一体化することができ、重合温度よりも低い温度で予備硬化させることによって、要素を互いと一体化することができ、結果的に機械的強度及び熱伝達を強化することができる。
【0135】
前述の本発明は、シリコーンに基づく絶縁粉体を電気機械を形成する導電体の各々及び電気支持体に使用することを特徴とする。
【符号の説明】
【0136】
11 ヨーク
12 巻線
13 歯
17 エアギャップ面
18 凹部