(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-14
(45)【発行日】2022-01-14
(54)【発明の名称】車両用スライドレール装置
(51)【国際特許分類】
B60N 2/07 20060101AFI20220106BHJP
【FI】
B60N2/07
(21)【出願番号】P 2018009543
(22)【出願日】2018-01-24
【審査請求日】2020-12-07
(73)【特許権者】
【識別番号】590001164
【氏名又は名称】シロキ工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】特許業務法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】西尾 拓也
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 貴紀
【審査官】松江 雅人
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-035911(JP,A)
【文献】実開平03-100612(JP,U)
【文献】特開2011-085174(JP,A)
【文献】特開2014-084009(JP,A)
【文献】特開2014-189218(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60N 2/06-2/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
孔が設けられるとともに第1の方向に延びる底壁を有するロアレールと、
前記第1の方向に移動可能に前記ロアレールに取り付けられたアッパレールと、
前記底壁に面する第1の面を有する部材と、
前記第1の面から突出して前記孔を通されるよう構成された突出部と、前記第1の面から離間した位置で前記突出部に設けられた基部と、前記基部から前記第1の面に近づく方向に延び、前記突出部に近づくように弾性変形可能な少なくとも一つの爪と、を有し、前記爪の弾性変形を伴って前記孔に挿入されるよう構成されるとともに、前記爪と前記第1の面との間に前記底壁が配置されることで前記部材を前記底壁に取り付けるよう構成された、第1の取付部と、
を具備
し、
前記部材は、前記第1の面の反対側に位置する第2の面と、前記第2の面から突出するとともに前記第1の方向に延びる突出壁と、を有し、
前記突出部は、前記突出壁に連続する、
車両用スライドレール装置。
【請求項2】
前記第1の方向に前記第1の取付部から離間した位置で前記部材に設けられ、前記部材を前記底壁に取り付けるよう構成された第2の取付部、をさらに具備する、請求項1の車両用スライドレール装置。
【請求項3】
前記第1の方向における前記突出部の長さは、前記第1の方向と交差するとともに前記第1の面に沿う第2の方向における前記突出部の長さよりも長い、請求項1又は請求項2の車両用スライドレール装置。
【請求項4】
前記第1の取付部は、前記基部から放射状に且つ前記第1の面に近づく方向に延びる少なくとも三つの前記爪を有する、請求項1乃至請求項3のいずれか一つの車両用スライドレール装置。
【請求項5】
前記底壁は、前記第1の面に面する第3の面と、前記第3の面の反対側に位置する第4の面と、前記孔を形成する内周面と、を有し、
前記爪は、前記第4の面に面する第1の係止面と、前記内周面に面する第2の係止面と、を有する、
請求項1乃至
請求項4のいずれか一つの車両用スライドレール装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、車両用スライドレール装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両のフロアに設けられるロアレールと、シートに固定されるとともにロアレールに対し移動可能に取り付けられるアッパレールと、ロアレールに取り付けられる部材と、を備える車両用スライドレール装置が知られる。部材は、例えば、ライターのような異物の排出を助けるためにロアレールに取り付けられる。
【0003】
上記部材は、例えば、ロアレールの貫通孔に通される突出部を有する。当該突出部が貫通孔を通されると、突出部の下端に設けられた爪部がロアレールの下面に当接し、部材がロアレールに取り付けられる(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の構成では、突出部が貫通孔に挿入されるとき、突出部の下端が貫通孔を外れてロアレールに衝突することがある。突出部は、下端に位置する爪部が貫通孔の縁を避けるように弾性変形可能に設けられるため、衝突により損傷するおそれがある。この場合、部材が交換され、スライドレール装置のコストが増大してしまう。
【0006】
そこで、本発明は上記に鑑みてなされたものであり、取付時における部材の損傷を抑制可能な車両用スライドレール装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の実施形態に係る車両用スライドレール装置は、一例として、孔が設けられるとともに第1の方向に延びる底壁を有するロアレールと、前記第1の方向に移動可能に前記ロアレールに取り付けられたアッパレールと、前記底壁に面する第1の面を有する部材と、前記第1の面から突出して前記孔を通されるよう構成された突出部と、前記第1の面から離間した位置で前記突出部に設けられた基部と、前記基部から前記第1の面に近づく方向に延び、前記突出部に近づくように弾性変形可能な少なくとも一つの爪と、を有し、前記爪の弾性変形を伴って前記孔に挿入されるよう構成されるとともに、前記爪と前記第1の面との間に前記底壁が配置されることで前記部材を前記底壁に取り付けるよう構成された、第1の取付部と、を備え、前記部材は、前記第1の面の反対側に位置する第2の面と、前記第2の面から突出するとともに前記第1の方向に延びる突出壁と、を有し、前記突出部は、前記突出壁に連続する。例えば、第1の取付部が孔に挿入されるとき、第1の取付部が底壁に当接することがある。爪が基部から第1の面に近づく方向に延びるため、爪よりも基部が底壁に当接しやすい。基部は弾性変形可能な爪よりも変形しにくい。このため、第1の取付部と底壁との当接時に第1の取付部が損傷することが抑制される。すなわち、取付時における部材の損傷が抑制される。
【0008】
上記車両用スライドレール装置は、一例として、前記第1の方向に前記第1の取付部から離間した位置で前記部材に設けられ、前記部材を前記底壁に取り付けるよう構成された第2の取付部、をさらに備える。よって、一例としては、第1の方向に離間した複数の位置で第1の取付部及び第2の取付部により部材が底壁に取り付けられるため、部材が底壁により確実に取り付けられる。
【0009】
上記車両用スライドレール装置では、一例として、前記第1の方向における前記突出部の長さは、前記第1の方向と交差するとともに前記第1の面に沿う第2の方向における前記突出部の長さよりも長い。部材がロアレールの底壁に取り付けられる際に、部材は、底壁に対して完全な水平とならず、第1の方向と第1の面に直交する方向とを含む仮想平面上で傾いていることがある。このとき、孔に挿入される第1の取付部が底壁に当接し、突出部に上記仮想平面上の力が作用することがある。しかし、第1の方向における突出部の長さが長いため、当該力に対する突出部の強度が向上し、第1の取付部の損傷が抑制される。
【0010】
上記車両用スライドレール装置では、一例として、前記第1の取付部は、前記基部から放射状に且つ前記第1の面に近づく方向に延びる少なくとも三つの前記爪を有する。よって、一例としては、第1の取付部が孔に挿入されるとき、少なくともいずれかの方向に延びる一つの爪の基端近くの部分が底壁に当接できる。爪の基端近くの部分は、爪の先端近くの部分よりも変形しにくい。このため、第1の取付部が損傷することが抑制される。
【0011】
上記車両用スライドレール装置において、一例としては、当該突出壁により、例えば、ロアレール内に侵入した異物を起立又は傾斜した状態に支持し、アッパレールが当該異物をロアレール内から外に押し出すことを助けることができる。従って、アッパレールとロアレールとの間に異物が侵入することが抑制される。
【0012】
上記車両用スライドレール装置では、一例として、前記底壁は、前記第1の面に面する第3の面と、前記第3の面の反対側に位置する第4の面と、前記孔を形成する内周面と、を有し、前記爪は、前記第4の面に面する第1の係止面と、前記内周面に面する第2の係止面と、を有する。よって、一例としては、第1の取付部が孔から望まぬ抜け方をすることが抑制されるとともに、部材が底壁に対して第1の面に沿う方向に移動することが抑制され、部材と底壁とのがたつきが生じることが抑制される。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】
図1は、第1の実施形態のシート装置を概略的に示す側面図である。
【
図2】
図2は、第1の実施形態のスライドレール装置の一部を分解して示す斜視図である。
【
図3】
図3は、第1の実施形態のロアレール及びアッパレールを示す断面図である。
【
図4】
図4は、第1の実施形態の第1の異物干渉部材を示す斜視図である。
【
図5】
図5は、第1の実施形態の第1の異物干渉部材を
図4と異なる方向から示す斜視図である。
【
図6】
図6は、第1の実施形態の第1の異物干渉部材及び底壁を示す断面図である。
【
図7】
図7は、第1の実施形態の第1の異物干渉部材を示す底面図である。
【
図8】
図8は、第1の実施形態の第1の異物干渉部材及び底壁の一部を
図7のF8-F8線に沿って示す断面図である。
【
図9】
図9は、第1の実施形態の第1の異物干渉部材と、第2の取付部が引っ掛けられるロアレールの一部と、を示す斜視図である。
【
図10】
図10は、第1の実施形態の第1の異物干渉部材と、第1の取付部が嵌められるロアレールの一部と、を示す斜視図である。
【
図11】
図11は、第1の実施形態の第2の異物干渉部材を示す斜視図である。
【
図12】
図12は、第1の実施形態の第2の異物干渉部材を
図11と異なる方向から示す斜視図である。
【
図13】
図13は、第2の実施形態に係る第1の異物干渉部材が取り付けられるロアレールの一部を示す斜視図である。
【
図14】
図14は、第2の実施形態のロアレールの一部及び第1の異物干渉部材の一部を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
(第1の実施形態)
以下に、第1の実施形態について、
図1乃至
図12を参照して説明する。なお、本明細書においては基本的に、鉛直上方を上方向、鉛直下方を下方向と定義する。また、本明細書において、実施形態に係る構成要素及び当該要素の説明について、複数の表現が記載されることがある。複数の表現がされた構成要素及び説明は、記載されていない他の表現がされても良い。さらに、複数の表現がされない構成要素及び説明も、記載されていない他の表現がされても良い。
【0015】
図1は、第1の実施形態のシート装置10を概略的に示す側面図である。シート装置10は、四輪自動車のような車両1に搭載され、スライドレール装置11と、シート12とを有する。シート12は、シートクッション12aと、当該シートクッション12aに対して回動可能に取り付けられたシートバック12bとを有する。
【0016】
各図面に示されるように、本明細書において、X軸、Y軸及びZ軸が定義される。X軸とY軸とZ軸とは、互いに直交する。X軸は、車両の左右方向に沿う。Y軸は、車両の前後方向に沿う。Z軸は、車両の上下方向に沿う。
【0017】
図2は、第1の実施形態のスライドレール装置11の一部を分解して示す斜視図である。スライドレール装置11は、二つのロアレール21と、二つのアッパレール22と、二つのキャップ23と、ロック機構24と、二つの第1の異物干渉部材25と、二つの第2の異物干渉部材26とを有する。
図2は、ロアレール21、アッパレール22、キャップ23、第1の異物干渉部材25、及び第2の異物干渉部材26を一つずつ示す。第1の異物干渉部材25及び第2の異物干渉部材26は、部材又は板材とも称され得る。
【0018】
ロアレール21は、Y軸に沿う方向(車両1の前後方向)に延びるように、
図1の車両1のフロア1aに取り付けられる。すなわち、本実施形態において、ロアレール21の長手方向は、車両1の前後方向に等しい。Y軸に沿う方向は、第1の方向とも称され得る。二つのロアレール21は、X軸に沿う方向(車両1の左右方向)に互いに離間して配置される。本実施形態において、ロアレール21の幅方向は、車両1の左右方向に等しい。
【0019】
アッパレール22は、Y軸に沿う方向に延びるとともに、Y軸に沿う方向にスライド移動可能に、ロアレール21に取り付けられる。例えば、ロアレール21とアッパレール22との間に転動体が配置されることで、アッパレール22はロアレール21に対して滑らかに移動可能である。二つのアッパレール22は、
図1のシート12を支持する。
【0020】
図3は、第1の実施形態のロアレール21及びアッパレール22を示す断面図である。
図3に示すように、ロアレール21は、曲げ加工された一つの板金により作られ、略C字状の断面を有する。なお、ロアレール21はこの例に限られない。ロアレール21は、底壁31と、二つの外側壁32と、二つの連結壁33と、二つの内側壁34とを有する。
【0021】
底壁31は、X‐Y平面上に広がる板状の部分であり、Y軸に沿う方向に延びる。底壁31は、底面31aと、内面31bとを有する。底面31aは、第4の面とも称され得る。内面31bは、第3の面とも称され得る。底面31aは、略平坦に形成され、
図1のフロア1aに面する。内面31bは、底面31aの反対側に位置し、略平坦に形成される。底壁31は、例えば、ボルト又はリベットによってフロア1aに取り付けられる。
【0022】
図3の断面において、二つの外側壁32は、X軸に沿う方向における底壁31の両端から、Z軸に沿う正方向に延びる。Z軸に沿う正方向は、Z軸の矢印が示す方向であり、本実施形態における上方向である。
【0023】
図3の断面において、二つの内側壁34は、二つの外側壁32の間に位置し、Z軸に沿う方向に延びる。X軸に沿う方向において、二つの内側壁34は、互いに離間するとともに、二つの外側壁32からも離間する。連結壁33は、外側壁32の上端と、内側壁34の上端とを連結する。内側壁34の下端は、底壁31から離間する。
【0024】
図2に示すように、内側壁34に複数のロック溝36が設けられる。ロック溝36は、内側壁34の下端に開き、上方向に延びる切欠きである。複数のロック溝36が設けられることで、内側壁34に複数のロック歯37が形成される。
【0025】
図3に示すように、アッパレール22は、曲げ加工された一つの板金により作られる。なお、アッパレール22はこの例に限られない。アッパレール22は、上壁41と、二つの挿通壁42と、二つの曲壁43とを有する。
【0026】
上壁41は、X‐Y平面上に広がる板状の部分であり、Y軸に沿う方向に延びる。上壁41は、ロアレール21の外に位置する。
図3の断面において、二つの挿通壁42は、X軸に沿う方向における上壁41の両端から、Z軸に沿う負方向に延びる。Z軸に沿う負方向は、Z軸の矢印の反対方向であり、本実施形態における下方向である。
【0027】
二つの挿通壁42は、ロアレール21の二つの内側壁34の間の隙間を通される。曲壁43は、ロアレール21の内部に位置する。曲壁43は、挿通壁42の下端から大よそ、ロアレール21の連結壁33に向かって延びるよう曲げられる。
【0028】
図2に示すように、挿通壁42に、複数の係止溝46が設けられる。係止溝46は、挿通壁42の下端に開き、上方向に延びる切欠きである。複数の係止溝46は、Y軸に沿う方向に略等間隔に設けられる。複数の係止溝46の間隔は、ロアレール21のロック溝36の間隔と略等しい。
【0029】
キャップ23は、例えば、合成樹脂によって作られる。キャップ23は、後方向におけるアッパレール22の端部に取り付けられ、後方向におけるアッパレール22の端を塞ぐ。
【0030】
ロック機構24は、ハンドル51と、解除レバー52と、バネ53とを有する。ロック機構24は、ロアレール21に対するアッパレール22のスライド移動を制限(ロック)する。ハンドル51が操作されることで、ロック機構24は、ロックを解除し、アッパレール22がロアレール21に対してスライド移動可能にする。
【0031】
解除レバー52は、アッパレール22の内部に収容される。解除レバー52は、上壁61と、二つの側壁62とを有する。上壁61は、大よそX‐Y平面上に広がる板状の部分であり、Y軸に沿う方向に延びる。側壁62は、上壁61のX軸に沿う方向における両端から下方向に突出する。
【0032】
上壁61に、上方向に突出する凸部64が設けられる。凸部64は、アッパレール22の上壁41に接触する。後方向における側壁62の端部に、押圧片65が設けられる。さらに、前方向における側壁62の端部に、係止部66が設けられる。係止部66は、例えば、側壁62の下端に開く切欠きである。
【0033】
バネ53は、曲げ加工された一つの線材により作られる。なお、バネ53はこの例に限られない。バネ53は、複数のロック部53aを有する。ロック部53aは、X軸に沿う方向におけるアッパレール22の外側に向かって凸に曲げられた、バネ53の一部である。ロック部53aはそれぞれ、略U字状に形成される。
【0034】
バネ53の後方向の端部と、バネ53のロック部53aより前方向に位置する部分とが、アッパレール22に支持される。ロック部53aは、アッパレール22の係止溝46に嵌められ、Y軸及びX軸に沿う方向に移動することを制限される。さらに、バネ53の前方向の端部は、解除レバー52の係止部66に嵌められる。解除レバー52の押圧片65は、ロック部53aの近傍において、バネ53に上方向から接触する。
【0035】
上記のようにアッパレール22及び解除レバー52に取り付けられたバネ53は、解除レバー52をアッパレール22の上壁41に向かって押す。これにより、凸部64が上壁41に押し付けられるとともに、解除レバー52が凸部64を支点として回動可能にバネ53に支持される。
【0036】
バネ53のロック部53aは、ロアレール21のロック溝36に嵌められる。これにより、アッパレール22がロアレール21に対してスライド移動することが制限される。バネ53の弾性力により、ロック部53aは、ロック溝36の内部に位置する状態に保たれる。
【0037】
解除レバー52に、ハンドル51が取り付けられる。ハンドル51が操作され、解除レバー52の前端部に上方向の外力が作用すると、解除レバー52が凸部64を支点に回動する。回動する解除レバー52の押圧片65がバネ53を押し下げることで、ロック部53aがロック溝36から外れる。これにより、ロックが解除され、アッパレール22がロアレール21に対して移動することが可能となる。
【0038】
第1の異物干渉部材25及び第2の異物干渉部材26は、ロアレール21の底壁31に取り付けられる。第1の異物干渉部材25は、例えば、底壁31の前方向の端部に配置される。第2の異物干渉部材26は、底壁31の後方向の端部に配置される。本実施形態において、端部は、部材や部分の端のみならず、当該端の近傍の部分を含む。なお、第1の異物干渉部材25及び第2の異物干渉部材26は、他の位置に配置されても良い。
【0039】
図4は、第1の実施形態の第1の異物干渉部材25を示す斜視図である。
図5は、第1の実施形態の第1の異物干渉部材25を
図4と異なる方向から示す斜視図である。第1の異物干渉部材25は、合成樹脂によって作られる。なお、第1の異物干渉部材25は、他の材料によって作られても良い。
【0040】
第1の異物干渉部材25は、板部71と、第1の取付部72と、第2の取付部73と、第1の突出壁74と、二つの第2の突出壁75と、二つの第3の突出壁76と、二つの突起77と、を有する。第1の取付部72及び第2の取付部73は、係合部とも称され得る。第1の突出壁74、第2の突出壁75、及び第3の突出壁76は、仕切部とも称され得る。
【0041】
本実施形態において、板部71、第1の取付部72、第2の取付部73、第1の突出壁74、第2の突出壁75、第3の突出壁76、及び突起77は、一体に形成される。なお、第1の異物干渉部材25は、例えば、複数の部材により形成されても良い。
【0042】
板部71は、X‐Y平面上に広がる板状の部分であり、Y軸に沿う方向に延びる。Y軸に沿う方向における板部71の長さは、Z軸に沿う方向における板部71の長さ(厚さ)よりも長く、且つX軸に沿う方向における板部71の長さ(幅)よりも長い。
【0043】
板部71は、下面71aと、上面71bと、第1の端部71cと、第2の端部71dと、第3の端部71eと、第4の端部71fとを有する。下面71aは、第1の面とも称され得る。上面71bは、第2の面とも称され得る。
【0044】
下面71aは、略下方向に向く略平坦な面である。
図3に示すように、下面71aは、底壁31の内面31bに面する。言い換えると、下面71aと内面31bとは、互いに向かい合う。上面71bは、下面71aの反対側に位置し、略上方向に向く略平坦な面である。下面71a及び上面71bは、X軸に沿う方向及びY軸に沿う方向に連続する。なお、下面71a及び上面71bはそれぞれ、例えば、曲面であっても良いし、凹凸を含んでも良い。
【0045】
図4に示すように、第1の端部71cは、Y軸に沿う方向における板部71の一方の端部である。第2の端部71dは、第1の端部71cの反対側に位置し、Y軸に沿う方向における板部71の他方の端部である。本実施形態において、第1の端部71cと第2の端部71dとは、下面71aにある。
【0046】
第1の異物干渉部材25において、第1の端部71cは後方向における板部71の端部であり、第2の端部71dは前方向における板部71の端部である。なお、第1の端部71c及び第2の端部71dは、他の方向の端部であっても良い。
【0047】
第3の端部71eは、X軸に沿う方向における板部71の一方の端部である。第4の端部71fは、第3の端部71eの反対側に位置し、X軸に沿う方向における板部71の他方の端部である。X軸に沿う方向は、下面71aに沿う方向であり、且つ上面71bに沿う方向であって、第2の方向とも称され得る。本実施形態において、第3の端部71eと第4の端部71fとは、下面71aにある。すなわち、X軸に沿う方向の下面71aの二つの端部(71e,71f)と、X軸に沿う方向の板部71の二つの端部(71e,71f)とは、X軸に沿う方向において略同一位置にある。なお、X軸に沿う方向における板部71の二つの端部が、下面71aに加えて、他の位置に存在しても良い。
【0048】
板部71に、第1の開口78と、第2の開口79とが設けられる。第1の開口78及び第2の開口79は、貫通孔とも称され得る。第1の開口78及び第2の開口79は、板部71をZ軸に沿う方向に貫通し、円形断面を有する孔である。このため、第1の開口78及び第2の開口79はそれぞれ、下面71a及び上面71bに開く。Z軸に沿う方向は、下面71aが向く方向であるとともに、上面71bが向く方向である。
【0049】
第1の異物干渉部材25において、第1の開口78及び第2の開口79は、第1の異物干渉部材25をZ軸に沿う方向に貫通する。すなわち、Z軸に沿う方向において、第1の開口78及び第2の開口79は、第1の異物干渉部材25の他の部分によって覆われず、開放される。
【0050】
第1の開口78と第2の開口79とは、Y軸に沿う方向に互いに離間する。X軸に沿う方向において、第1の開口78と第2の開口79とは、板部71の略中央に位置する。第1の開口78及び第2の開口79は、他の位置に設けられても良い。
【0051】
第1の異物干渉部材25は、第1の取付部72及び第2の取付部73により、ロアレール21の底壁31に取り付けられる。第1の取付部72は、板部71の第1の端部71cに、又は第1の端部71cの近傍に位置する。第2の取付部73は、板部71の第2の端部71dに、又は第2の端部71dの近傍に位置する。言い換えると、第2の取付部73は、Y軸に沿う方向において第1の取付部72から離間した位置に設けられる。第1の取付部72及び第2の取付部73は、他の位置に設けられても良い。
【0052】
図6は、第1の実施形態の第1の異物干渉部材25及び底壁31を示す断面図である。
図7は、第1の実施形態の第1の異物干渉部材25を示す底面図である。
図6及び
図7に示すように、第1の取付部72は、突出部81と、基部82と、四つの爪83とを有する。基部82は、底部とも称され得る。
【0053】
突出部81は、板部71の下面71aから下方向に突出する。なお、突出部81は、下面71aに連続せず、下面71aから離間していても良い。例えば、突出部81は、板部71に設けられた貫通孔を上方向から下方向へ貫通し、当該貫通孔の縁から離間していても良い。この場合も、突出部81は下面71aから下方向に突出している。すなわち、突出部81は、下面71aから又は下面71aよりも上方向に位置する部分から、下面71aよりも下方向に張り出している。
【0054】
突出部81は、中実の板状に形成される。中実に形成されることで、突出部81の強度が向上し、突出部81が変形することが抑制される。
図7のように下面71aを平面視した場合、突出部81は、Y軸に沿う方向に延びる。言い換えると、Y軸に沿う方向における突出部81の長さは、X軸に沿う方向における突出部81の長さ(幅)よりも長い。突出部81はこの例に限らず、例えば、円柱形であっても良いし、中空であっても良い。
【0055】
図6に示すように、基部82は、突出部81の下端に設けられる。このため、基部82は、板部71の下面71aから下方向に離間した位置で、突出部81に設けられる。なお、基部82は、突出部81の下端よりも上方向に位置しても良い。すなわち、第1の取付部72は、基部82よりも下方向に位置する部分を有しても良い。
【0056】
基部82は、第1の取付部72の底面72aを形成する。底面72aは、第1の取付部72の下方向の端面であり、略平坦に形成される。基部82は、X‐Y平面上に広がる略円盤状に形成される。Z軸と交差する基部82の断面積は、Z軸と交差する突出部81の断面積よりも大きい。
【0057】
図8は、第1の実施形態の第1の異物干渉部材25及び底壁31の一部を
図7のF8-F8線に沿って示す断面図である。
図5及び
図8に示すように、四つの爪83は、基部82から放射状に且つ板部71の下面71aに近づく方向に延びる。このため、爪83は、下面71aに向かうに従って、突出部81から離間する。
【0058】
四つの爪83は、突出部81の中心軸Axまわりに回転する方向に、互いに離間して配置される。X軸に沿う方向において、基部82から、X軸に沿う正方向側に二つの爪83が突出する。さらに、X軸に沿う方向において、基部82から、X軸に沿う負方向側に二つの爪83が突出する。
【0059】
X軸に沿う正方向側に突出する二つの爪83の間の距離は、X軸に沿う負方向側に突出する二つの爪83の間の距離と略等しい。一方、X軸に沿う正方向側に突出する爪83と、X軸に沿う負方向側に突出する爪83と、の間の距離は、X軸に沿う正方向又は負方向側に突出する二つの爪83の間の距離よりも長い。なお、四つの爪83は、等間隔に配置されても良い。
【0060】
図8に示すように、爪83は、接続端部83aと、自由端部83bとを有する。接続端部83aは、爪83の下端であり、基部82に接続される。自由端部83bは、爪83の上端であり、突出部81から離間する。このため、爪83は、接続端部83aを支点として、突出部81に近づく方向に弾性変形可能である。
【0061】
爪83は、第1の係止面83cと、第2の係止面83dとをさらに有する。第1の係止面83cは、第1の接触部とも称され得る。第1の係止面83cは、Z軸に沿う方向において板部71の下面71aから離間した位置で、上方向に向く略平坦な面である。第2の係止面83dは、中心軸Axから遠ざかる方向に向く略円弧状の曲面である。
【0062】
図6に示すように、第2の取付部73は、突出部85と、爪86とを有する。突出部85は、板部71の下面71aから下方向に突出する。爪86は、板部71の下面71aから下方向に離間した位置で、突出部85から前方向に突出する。
【0063】
爪86は、係止面86aを有する。係止面86aは、第2の接触部とも称され得る。係止面86aは、Z軸に沿う方向において板部71の下面71aから離間した位置で、上方向に向く略平坦な面である。
【0064】
Z軸に沿う方向において、第1の取付部72の第1の係止面83cと板部71の下面71aとの間の距離C1は、第2の取付部73の係止面86aと下面71aとの間の距離C2よりも長い。Z軸に沿う方向は、下面71aが向く方向であるZ軸に沿う負方向と、上面71bが向く方向であるZ軸に沿う正方向とを含み、第3の方向とも称され得る。なお、第1の係止面83c及び係止面86aの位置はこの例に限られない。例えば、Z軸に沿う方向において、第1の係止面83cと下面71aとの間の距離C1が、係止面86aと下面71aとの間の距離C2よりも短く、又は略等しくても良い。
【0065】
図4に示すように、第1の突出壁74、第2の突出壁75、及び第3の突出壁76は、板部71の上面71bから上方向に突出し、Y軸に沿う方向に平行に延びる。なお、第1の突出壁74、第2の突出壁75、及び第3の突出壁76は、他の方向に突出しても良いし、他の方向に延びても良い。第1の突出壁74、第2の突出壁75、及び第3の突出壁76は、X軸に沿う方向に互いに離間する。
【0066】
第1の突出壁74は、X軸に沿う方向において、上面71bの略中央に位置する。これにより、第1の突出壁74は、第1の異物干渉部材25が取り付けられたロアレール21の内部の空間をX軸に沿う方向に二つに区切る。第1の突出壁74は他の位置に設けられても良い。Z軸に沿う方向において、第1の突出壁74の長さ(高さ)は、第2の突出壁75の長さ(高さ)よりも長く、且つ第3の突出壁76の長さ(高さ)よりも長い。
【0067】
二つの第2の突出壁75は、X軸に沿う方向に互いに離間する。第1の突出壁74、第1の開口78、及び第2の開口79はそれぞれ、X軸に沿う方向において、二つの第2の突出壁75の間に位置する。すなわち、二つの第2の突出壁75は、X軸に沿う方向において、第1の開口78及び第2の開口79と異なる位置に設けられる。
【0068】
二つの第3の突出壁76は、X軸に沿う方向における上面71bの両端から突出し、X軸に沿う方向に互いに離間する。二つの第2の突出壁75は、X軸に沿う方向において、二つの第3の突出壁76の間に位置する。すなわち、二つの第3の突出壁76は、X軸に沿う方向において、第1の開口78及び第2の開口79と異なる位置に設けられる。
【0069】
図6に示すように、第1の異物干渉部材25は、開口形成部91と、物体傾斜部92とを有する。開口形成部91は、第1の部分とも称され得る。物体傾斜部92は、第2の部分とも称され得る。開口形成部91及び物体傾斜部92はそれぞれ、第1の異物干渉部材25の一部である。開口形成部91と物体傾斜部92とは、Y軸に沿う方向に互いに隣接する。
【0070】
図4に示すように、開口形成部91は、第2の突出壁75、第3の突出壁76、第1の開口78、及び第2の開口79が設けられた第1の異物干渉部材25の一部である。物体傾斜部92は、第1の突出壁74、第2の突出壁75、及び第3の突出壁76が設けられた第1の異物干渉部材25の一部である。
【0071】
上記のように、第1の開口78及び第2の開口79は、開口形成部91に設けられる。一方、第1の突出壁74は、物体傾斜部92に設けられる。第1の突出壁74は、Y軸に沿う方向において、開口形成部91の外に位置する。
【0072】
第1の突出壁74は、Y軸に沿う方向における第1の端74aと第2の端74bとを有する。第1の端74aは、Y軸に沿う負方向(後方向)における第1の突出壁74の端である。第2の端74bは、第1の端74aの反対側に位置し、Y軸に沿う正方向(前方向)における第1の突出壁74の端である。
【0073】
第2の端74bは、第1の端74aよりも開口形成部91に近い。本実施形態において、第2の端74bは、Y軸に沿う正方向における物体傾斜部92の端に位置し、開口形成部91に隣接する。
【0074】
例えば、
図6に示すようにX軸に沿う方向から見た場合において、第1の異物干渉部材25の、Y軸に沿う方向における第1の突出壁74の第1の端74aと第2の端74bとの間に位置する部分が、物体傾斜部92である。別の表現によれば、Y軸に沿う方向において、第1の異物干渉部材25の、第2の端74bよりも後方向に位置する部分が、物体傾斜部92である。
【0075】
X軸に沿う方向から見た場合において、第1の異物干渉部材25の、物体傾斜部92の外の部分が、開口形成部91である。別の表現によれば、Y軸に沿う方向において、第1の異物干渉部材25の、第2の端74bよりも前方向に位置する部分が、開口形成部91である。本実施形態において、Y軸に沿う方向における開口形成部91の長さは、物体傾斜部92の長さよりも短い。
【0076】
第1の開口78は、後方向における開口形成部91の端部に設けられ、物体傾斜部92に隣接する。前方向における第1の突出壁74の端は、第1の開口78に隣接する。このように、第1の突出壁74は、板部71の第1の端部71cから第1の開口78まで延びる。
【0077】
本実施形態において、第1の取付部72が物体傾斜部92に設けられ、第2の取付部73が開口形成部91に設けられる。第1の取付部72の突出部81は、第1の突出壁74に連続する。X軸に沿う方向における突出部81の長さ(幅)は、X軸に沿う方向における第1の突出壁74の長さ(幅)に略等しい。
【0078】
図4に示すように、二つの第2の突出壁75及び二つの第3の突出壁76は、開口形成部91及び物体傾斜部92に跨ってY軸に沿う方向に延びる。すなわち、第2の突出壁75及び第3の突出壁76は、開口形成部91に設けられ、且つ物体傾斜部92に設けられる。
【0079】
第3の突出壁76は、Y軸に沿う方向における上面71bの一方の端(第1の端部71c)から他方の端(第2の端部71d)まで延びる。Y軸に沿う方向において、第1の突出壁74の長さは、第2の突出壁75の長さよりも短く、且つ第3の突出壁76の長さよりも短い。
【0080】
図7に示すように、二つの突起77は、X軸に沿う方向における板部71の下面71aの両端から下方向に突出し、X軸に沿う方向に互いに離間する。言い換えると、二つの突起77は、第3の端部71e及び第4の端部71fから突出する。このため、第1の突出壁74及び二つの第2の突出壁75は、X軸に沿う方向において、二つの突起77と異なる位置で上面71bから突出する。
【0081】
板部71は、連続領域95をさらに有する。連続領域95は、第3の端部71eと第4の端部71fとの間で、X軸に沿う方向に下面71aが連続する領域である。連続領域95は、X軸に沿う方向において直線状に延びており、略平坦である。
図7において、連続領域95は、二点鎖線によって囲まれて概略的に示される。
【0082】
二つの突起77は、連続領域95から突出する。言い換えると、二つの突起77は、下面71aのうち、X軸に沿う方向に不連続な領域を避けて、当該不連続な領域と異なる位置に配置される。
【0083】
突起77は、Y軸に沿う方向における第1の取付部72と第2の取付部73との間に位置する。二つの突起77は、Y軸に沿う方向において、重なる(重複する)位置に配置される。別の表現によれば、二つの突起77は、X軸に沿う方向から見て重なる位置に配置される。
【0084】
Y軸に沿う方向において、突起77と第1の取付部72との間の距離は、突起77と第2の取付部73との間の距離よりも短い。二つの突起77の位置は、以上説明された位置に限らず、他の位置にあっても良い。例えば、二つの突起77は、Y軸に沿う方向において、異なる位置に配置されても良い。
【0085】
X軸に沿う方向において、突起77の長さ(幅)は、板部71の長さ(幅)よりも短い。Y軸に沿う方向において、突起77の長さは、板部71の長さよりも短い。Z軸に沿う方向において、突起77の長さ(厚さ)は、板部71の長さ(厚さ)よりも短い。言い換えると、Z軸に沿う方向において、下面71aと突起77の先端との間の長さは、板部71の下面71aと上面71bとの間の長さよりも短い。なお、突起77の長さはこの例に限られない。
【0086】
第1の異物干渉部材25は、例えば、以下に説明するようにロアレール21に取り付けられる。なお、第1の異物干渉部材25の取付方法は、以下の手順及び作業に限定されない。
【0087】
図6に示すように、ロアレール21の底壁31に、第1の取付孔101と、第2の取付孔102と、第1の挿通孔103と、第2の挿通孔104とが設けられる。第1の取付孔101は、第1の孔又は孔とも称され得る。第2の取付孔102は、第2の孔とも称され得る。さらに、底壁31は、第1の取付孔101を形成する第1の内周面101aと、第2の取付孔102を形成する第2の内周面102aとを有する。
【0088】
第1の取付孔101、第2の取付孔102、第1の挿通孔103、及び第2の挿通孔104はそれぞれ、底壁31をZ軸に沿う方向に貫通して底壁31の底面31a及び内面31bに開く、円形の断面を有する孔である。なお、第1の取付孔101、第2の取付孔102、第1の挿通孔103、及び第2の挿通孔104は、他の形状を有しても良い。
【0089】
第2の取付孔102は、Y軸に沿う方向において第1の取付孔101から離間した位置に設けられる。第1の挿通孔103及び第2の挿通孔104は、Y軸に沿う方向において、第1の取付孔101と第2の取付孔102との間に位置する。
【0090】
図9は、第1の実施形態の第1の異物干渉部材25と、第2の取付部73が引っ掛けられるロアレール21の一部と、を示す斜視図である。
図9に示すように、まず、板部71の下面71aが底壁31の内面31bに向く状態で、第2の取付部73が第2の取付孔102に挿入される。第2の取付孔102は、第2の取付部73が通過可能な大きさを有している。
【0091】
図6に示すように、第2の取付部73が第2の取付孔102に挿入されると、第2の取付部73の突出部85が第2の取付孔102を通される。突出部85が、第2の取付孔102の第2の内周面102aに接触することで、第1の異物干渉部材25が前方向に移動することが制限される。
【0092】
爪86は底壁31よりも下方向に配置され、係止面86aが底壁31の底面31aに面する。言い換えると、爪86が底壁31に引っ掛けられる。このため、底壁31が板部71の下面71aと係止面86aとの間に配置され、第1の異物干渉部材25がZ軸に沿う方向に移動することが制限される。
【0093】
図10は、第1の実施形態の第1の異物干渉部材25と、第1の取付部72が嵌められるロアレール21の一部と、を示す斜視図である。次に、
図10に示すように、第2の取付部73が底壁31に引っ掛けられた状態で、第1の取付部72が第1の取付孔101に挿入される。
【0094】
例えば、第2の取付部73と第2の内周面102aとの接触部分を略中心として、板部71が底壁31に近付くように回動することで、第1の取付部72が第1の取付孔101に近付く。また、突起77が底壁31に当接する。突起77が底壁31に当接した時点で、第1の取付部72の第1の係止面83cは、底面31aよりも上方向に位置する。この場合、第1の異物干渉部材25は、底壁31に取り付けられておらず、底壁31から取り外されることができる。
【0095】
次に、
図6に示すように、第1の端部71cが底壁31に近づけられるように、板部71が弾性変形させられる。板部71が弾性変形させられることで、第1の取付部72が、複数の爪83の弾性変形を伴って第1の取付孔101に挿入される。すなわち、第1の取付孔101は、複数の爪83が突出部81に近付くように弾性変形することで、第1の取付部72が通過可能な大きさを有している。複数の爪83が突出部81に近付くように弾性変形していない状態では、第1の取付部72の最大外径は、第1の取付孔101の最大外径よりも大きい。
【0096】
第1の取付部72が第1の取付孔101に挿入されると、第1の取付部72の突出部81が第1の取付孔101を通され、弾性変形した爪83が復元する。基部82と爪83の一部とは、底面31aよりも下方向に配置される。
【0097】
図8に示すように、復元した爪83の第1の係止面83cが、底壁31の底面31aに面する。言い換えると、爪83が底壁31に引っ掛けられる。このため、底壁31が板部71の下面71aと爪83の第1の係止面83cとの間に配置され、第1の異物干渉部材25がZ軸に沿う方向に移動することが制限される。これにより、第1の異物干渉部材25が底壁31に取り付けられる。
【0098】
さらに、複数の爪83の第2の係止面83dが、底壁31の第1の内周面101aに面する。これにより、第1の異物干渉部材25が底壁31の内面31bに沿う方向に移動することが制限される。
【0099】
例えば、爪83が弾性変形した状態に保たれ、爪83の復元力により、第2の係止面83dが第1の内周面101aに押し付けられても良い。これにより、第1の異物干渉部材25がより強く底壁31に固定される。
【0100】
図6に示すように、突起77は、底壁31の内面31bに当接することで、板部71を弾性変形した状態に保つ。突起77と底壁31との接触部分を支点として弾性変形した板部71は、復元力により、第1の取付部72の第1の係止面83cを底壁31の底面31aに押し付けるとともに、第2の取付部73の係止面86aを底面31aに押し付ける。これにより、第1の異物干渉部材25がより強く底壁31に固定される。
【0101】
Z軸に沿う方向において、突起77の長さLは、板部71の下面71aと第1の取付部72の第1の係止面83cとの間の距離C1から、底壁31の長さ(厚さ)Tを減じた長さと等しいかそれよりも長い(L≧C1-T)。また、Z軸に沿う方向において、突起77の長さLは、下面71aと第2の取付部73の係止面86aとの間の距離C2から、底壁31の長さ(厚さ)Tを減じた長さと等しいかそれよりも長い(L≧C2-T)。これにより、上記のように板部71が弾性変形し、第1の係止面83c及び係止面86aが底壁31の底面31aに押し付けられる。なお、突起77の長さLは、この例に限られない。
【0102】
例えば第1の端部71c及び第2の端部71dにおいて、下面71aの一部が、底壁31の内面31bに接触する。連続領域95はこのように、ロアレール21の底壁31に最も近接する面である下面71aが、X軸に沿う方向に延びる領域である。なお、第1の取付部72、第2の取付部73、及び突起77が底壁31に接触すれば、下面71aが底壁31から離間しても良い。
【0103】
第1の異物干渉部材25が底壁31に取り付けられると、板部71の第1の開口78と底壁31の第1の挿通孔103とが重なり、互いに連通する。このため、リベット105のような部材が第1の開口78及び第1の挿通孔103を上方向から通ることが可能となる。リベット105は、例えば、底壁31及び第1の異物干渉部材25を
図1のフロア1aに取り付けるポップリベットである。
【0104】
第2の開口79と第2の挿通孔104とは重なり、互いに連通する。このため、基準ピン106のような部材が第2の開口79及び第2の挿通孔104を下方向から通ることが可能となる。基準ピン106は、例えば、第1の異物干渉部材25及びロアレール21の寸法を測定する際に、又はスライドレール装置11を組み立てる際に第1の異物干渉部材25の位置決めを行う。これにより、スライドレール装置11の組立が容易になる。第1の開口78及び第2の開口79は、これらの例に限られない。
【0105】
図3に示すように、二つの内側壁34の間の隙間から、ロアレール21の内部に異物(物体)120A,120Bが入るおそれがある。
図3に示される異物120A,120Bは、例えば、車両1の搭乗者が落としたライターである。なお、異物120A,120Bはこの例に限られない。
【0106】
例えば、異物120Aは、第1の突出壁74に干渉する。このため、異物120Aは、第1の突出壁74により起立又は傾斜した状態に支持される。
図3の例において、異物120Aは、第1の突出壁74のみならず、第2の突出壁75や、ロアレール21の内側壁34にも支持される。
【0107】
また、異物120Bは、第3の突出壁76に干渉する。第3の突出壁76の先端(上端)と、ロアレール21の内側壁34の先端(下端)との間の隙間は、ライターである異物120Bの厚さよりも小さい。このため、第3の突出壁76は、第3の突出壁76と内側壁34との間の隙間に異物120Bが入ることを制限する。異物120Bは、第3の突出壁76と、二つの内側壁34とによって、傾斜した状態に支持される。
【0108】
起立又は傾斜した状態に支持された異物120A,120Bは、Z軸に沿う方向において、アッパレール22と重なる位置に配置される。このため、アッパレール22は、前方向にスライド移動させられることで、異物120A,120Bを前方向に押すことができる。アッパレール22に押されることで、異物120A,120Bは、ロアレール21の内部から外部に排出される。
【0109】
上述のように、第1の突出壁74、第2の突出壁75、及び第3の突出壁76は、Y軸に沿う方向に平行に延び、X軸に沿う方向に互いに離間する。このため、前方向に押される異物120A,120Bが第1の突出壁74、第2の突出壁75、及び第3の突出壁76に引っ掛かることが抑制され、異物120A,120Bがロアレール21の内部から容易に排出される。
【0110】
図11は、第1の実施形態の第2の異物干渉部材26を示す斜視図である。
図12は、第1の実施形態の第2の異物干渉部材26を
図11と異なる方向から示す斜視図である。第2の異物干渉部材26は、合成樹脂によって作られる。なお、第2の異物干渉部材26は、他の材料によって作られても良い。
【0111】
第2の異物干渉部材26も、板部71と、第1の取付部72と、第2の取付部73と、第1の突出壁74と、突起77と、を有する。第2の異物干渉部材26の板部71、第1の取付部72、第2の取付部73、第1の突出壁74、及び突起77は、一体に形成されるが、例えば、複数の部材により形成されても良い。
【0112】
第2の異物干渉部材26において、板部71の第1の端部71cは、前方向における板部71の端部である。第2の端部71dは、後方向における板部71の端部である。
【0113】
第2の異物干渉部材26において、第1の突出壁74は、第1の開口78及び第2の開口79を跨いで、第1の端部71cから第2の端部71dまで延びる。言い換えると、第1の突出壁74は、第1の開口78及び第2の開口79を上方向から覆う。このため、第2の異物干渉部材26は、第1の異物干渉部材25の開口形成部91を有さない。なお、第2の異物干渉部材26が開口形成部91を有しても良い。
【0114】
第1の突出壁74に、第1の切欠き74cと、第2の切欠き74dとが設けられる。第1の切欠き74cは、第1の開口78に連通する。第2の切欠き74dは、第2の開口79に連通する。第1の切欠き74c及び第2の切欠き74dが設けられることで、第1の突出壁74が第1の開口78又は第2の開口79に挿通された部材に接触することが抑制される。
【0115】
Z軸に沿う方向において、第2の異物干渉部材26の第1の突出壁74の長さ(高さ)は、第1の異物干渉部材25の第1の突出壁74の長さ(高さ)よりも長い。このため、第1の切欠き74c及び第2の切欠き74dを第1の突出壁74に容易に設けることができる。
【0116】
図12に示すように、第2の異物干渉部材26は、第1の異物干渉部材25と異なり、一つの突起77を有する。第2の異物干渉部材26の突起77も、連続領域95から突出する。突起77は、X軸に沿う方向における下面71aの両端である第3の端部71eと第4の端部71fとの間で、X軸に沿う方向に延びる。言い換えると、突起77は、板部71を横断するように延びる。
【0117】
図11に示すように、第2の異物干渉部材26は、第1の傾斜部111と、第2の傾斜部112とをさらに有する。第1の傾斜部111及び第2の傾斜部112は、板部71の上面71bから突出する。
【0118】
第1の傾斜部111は、第1の開口78が設けられた部分から、板部71の第2の端部71dに亘って設けられる。第1の傾斜部111は、後方向に向かうに従って上面71bから離間するように傾斜する。
【0119】
第2の傾斜部112は、第1の開口78に対して前方向に位置するとともに第1の開口78に隣接する。第2の傾斜部112は、後方向に向かうに従って上面71bから離間するように傾斜する。
【0120】
第2の異物干渉部材26は、第1の異物干渉部材25と同じく、第1の取付部72及び第2の取付部73によって、底壁31に取り付けられる。そして、第1の突出壁74がライターのような異物を起立又は傾斜した状態に支持する。このため、アッパレール22が後方向にスライド移動させられることで、アッパレール22又はキャップ23が異物を後方向に押し、ロアレール21の内部から外部に排出する。
【0121】
アッパレール22又はキャップ23に押された異物は、第1の傾斜部111及び第2の傾斜部112に乗り上げる。これにより、リベットのような部材が第1の開口78から上方向に突出していたとしても、異物が当該部材に干渉することが抑制される。
【0122】
以上説明された第1の実施形態に係るスライドレール装置11において、突起77は、Y軸に沿う方向における第1の取付部72と第2の取付部73との間に位置し、底壁31に当接することで第1の取付部72及び第2の取付部73が底壁31に押し付けられるように板部71を弾性変形させる。これにより、第1の異物干渉部材25の弾性変形に用いられる底壁31と第1の異物干渉部材25との間の隙間を設けつつ、第1の異物干渉部材25が底壁31に対して移動することが抑制される。従って、第1の異物干渉部材25と底壁31とのがたつきが生じることが抑制される。
【0123】
突起77は、連続領域95から突出する。連続領域95は、第3の端部71eと第4の端部71fとの間でX軸に沿う方向に下面71aが連続する領域であり、不連続な領域よりも弾性変形し難い。例えば、板部71や第1の突出壁74にアッパレール22やロック機構24が当接し、板部71が下方向に押されることがある。この場合に、突起77の周辺において板部71が変形し難いため、突起77とロアレール21の底面31aとの当接位置が変わってしまうことが抑制される。従って、板部71が押された場合であっても、突起77が所望の位置でロアレール21の底壁31に当接し続けることができる。突起77が底壁31に当接する位置が安定することで、第1の異物干渉部材25と底壁31とのがたつきが生じることが抑制される。
【0124】
二つの突起77が、第3の端部71e及び第4の端部71fから突出する。これにより、二つの突起77が安定的に底壁31に当接することができる。さらに、二つの突起77により板部71が安定して支持されるとともに、突起77を設けることによる第1の異物干渉部材25の重量増加が抑えられる。
【0125】
二つの突起77は、Y軸に沿う方向において、X軸に沿う方向から見て重なる位置に配置される。これにより、突起77が底壁31に当接した状態で、板部71が捩れるように弾性変形すること、が抑制される。従って、例えば、第1の取付部72又は第2の取付部73の一部が底壁31から望まぬ離間をしたり、突起77が底壁31に当接する位置がずれたりすることで、第1の異物干渉部材25と底壁31とのがたつきが生じること、が抑制される。また、第3の突出壁76と内側壁34との間の隙間が望まぬ変化をし、当該隙間に異物120A,120Bが入ること、が抑制される。
【0126】
第1の異物干渉部材25は、上面71bから突出し、Y軸に沿う方向に延びる第1の突出壁74を有する。第1の突出壁74は、例えば、ロアレール21内に侵入した異物120Aを起立又は傾斜した状態に支持し、アッパレール22が異物120Aをロアレール21内から外に押し出すことを助けることができる。従って、アッパレール22とロアレール21との間に異物120Aが侵入することが抑制される。
【0127】
Y軸に沿う方向において、突起77と第1の取付部72との間の距離は、突起77と第2の取付部73との間の距離よりも短い。このため、突起77が板部71を弾性変形させた状態で、第1の取付部72が底壁31に押し付けられる力は、第2の取付部73が底壁31に押し付けられる力よりも強くなる。これにより、第1の取付部72と第2の取付部73とのうち、一方の第1の取付部72をより強い力で底壁31に押し付け、第1の異物干渉部材25と底壁31とのがたつきが生じることをより抑制できる。例えば、本実施形態のように、弾性変形を伴って第1の取付孔101に挿入される第1の取付部72に近い位置に突起77を設けることで、第1の異物干渉部材25と底壁31とのがたつきが生じることをより抑制できる。
【0128】
Z軸に沿う方向において、第1の係止面83cと下面71aとの間の距離C1は、係止面86aと下面71aとの間の距離C2よりも長い。このため、第1の係止面83cは、係止面86aよりも、底壁31の底面31aから離れやすい。しかし、突起77が板部71を弾性変形させることで、第1の係止面83cは、底面31aに強い力で押し付けられる。従って、第1の係止面83cが底面31aから離間することが抑制され、第1の異物干渉部材25と底壁31とのがたつきが生じることがより抑制される。
【0129】
第1の取付部72が第1の取付孔101に挿入されるとき、例えば、第1の異物干渉部材25の位置ずれや、寸法のばらつき、第1の取付孔101の位置及び寸法のずれにより、第1の取付部72が底壁31に当接することがある。爪83が基部82から下面71aに近づく方向に延びるため、爪83よりも基部82が底壁31に当接しやすい。基部82は弾性変形可能な爪83よりも変形しにくい。このため、第1の取付部72と底壁31との当接時に第1の取付部72が損傷することが抑制される。また、爪83の自由端部83bは第1の取付部72の基端近傍に位置し、基部82及び爪83の接続端部83aは第1の取付部72の先端近傍に位置する。このため、爪83の自由端部83bよりも、爪83の接続端部83aの方が底壁31に当接しやすい。爪83の接続端部83aは自由端部83bよりも変形しにくいため、第1の取付部72と底壁31との当接時に第1の取付部72が損傷することが抑制される。以上のように、取付時における第1の異物干渉部材25の損傷が抑制される。
【0130】
爪83の自由端部83bは第1の取付部72の基端近傍に位置し、基部82及び爪83の接続端部83aは第1の取付部72の先端近傍に位置する。このため、第1の異物干渉部材25が底壁31に取り付けられた状態におけるスライドレール装置11の組み付け時などに、爪83の自由端部83bよりも、基部82又は爪83の接続端部83aの方が、車両1のカーペットのような他の部材に当接しやすい。基部82及び爪83の接続端部83aは自由端部83bよりも変形しにくいため、第1の取付部72が第1の取付孔101から抜けるほど爪83が弾性変形することが抑制され、第1の取付部72が底壁31から望まぬ外れ方をすることが抑制される。
【0131】
第1の取付部72が第1の取付孔101に挿入されるとき、爪83は、突出部81に近づく方向に弾性変形する。爪83が突出部81に接触することで、爪83のさらなる弾性変形が規制される。これにより、爪83の弾性変形の最大量が制限され、爪83が損傷することが抑制される。
【0132】
Z軸と交差する基部82の断面積は、Z軸と交差する突出部81の断面積よりも大きい。このため、基部82は、突出部81よりも変形しにくい。従って、基部82が底壁31に衝突した場合に、第1の取付部72が損傷することが抑制される。すなわち、取付時における第1の異物干渉部材25の損傷が抑制される。
【0133】
第2の取付部73は、Y軸に沿う方向に第1の取付部72から離間した位置で板部71に設けられ、第1の異物干渉部材25を底壁31に取り付ける。このように、Y軸に沿う方向の離間した複数の位置で第1の取付部72及び第2の取付部73により第1の異物干渉部材25が底壁31に取り付けられるため、第1の異物干渉部材25がより確実に底壁31に取り付けられる。
【0134】
Y軸に沿う方向における突出部81の長さは、X軸に沿う方向における突出部81の長さよりも長い。第1の異物干渉部材25は、Y軸に沿う方向に延びる底壁31に取り付けられるため、全体的にY軸に沿う方向に長く延びるように作られ得る。例えばこのような要因から、第1の異物干渉部材25が底壁31に取り付けられる場合に、下面71aは、底壁31に対して完全な水平とならず、Y‐Z平面上で傾いていることがある。また、本実施形態のように、第1の異物干渉部材25は、第1の取付部72を第1の取付孔101に挿入するとき、第2の取付部73と第2の内周面102aとの接触部分を略中心とし、Y‐Z平面上で回動する。このとき、第1の取付孔101に挿入される第1の取付部72が底壁31に当接することがある。さらに、例えば、突起77により弾性変形した第1の異物干渉部材25の復元力により、第1の取付孔101から抜ける方向に第1の取付部72の爪83が底壁31に当接する。これらの場合に、突出部81にY‐Z平面上の力が作用する。しかし、Y軸に沿う方向における突出部81の長さが長いため、当該力に対する突出部81の強度が向上し、第1の取付部72の損傷が抑制される。さらに、突出部81を全体的に太くすることなく突出部81の強度が向上するため、第1の異物干渉部材25のコストを低減できる。
【0135】
少なくとも三つの爪83が、基部82から放射状に且つ下面71aに近づく方向に延びる。これにより、第1の取付部72が第1の取付孔101に挿入されるとき、少なくともいずれかの方向に延びる一つの爪83の接続端部83aが底壁31に当接でき、突出部81が底壁31に当接することが抑制される。従って、第1の取付部72が損傷することが抑制される。さらに、第1の取付孔101から抜ける方向に第1の取付部72が移動しようとした場合、少なくともいずれかの方向に延びる一つの爪83が底壁31に当接できる。従って、第1の取付部72が底壁31から望まぬ外れ方をすることが抑制される。
【0136】
爪83の第1の係止面83cが底面31aに面し、第2の係止面83dが第1の内周面101aに面する。これにより、第1の取付部72が第1の取付孔101から望まぬ抜け方をすることが抑制されるとともに、第1の異物干渉部材25が底壁31に対して下面71aに沿う方向に移動することが抑制され、第1の異物干渉部材25と底壁31とのがたつきが生じることが抑制される。
【0137】
第1の取付孔101への挿入時に弾性変形した複数の爪83は、復元力により、第2の係止面83dが第1の内周面101aに近づくように広がる。当該復元力により、爪83は、第2の係止面83dを第1の内周面101aに押し付けることができる。これにより、第1の異物干渉部材25が底壁31に対して下面71aに沿う方向に移動することが抑制され、第1の異物干渉部材25と底壁31とのがたつきが生じることが抑制される。
【0138】
第1の異物干渉部材25は、第1の異物干渉部材25を貫通する第1の開口78が設けられた開口形成部91と、開口形成部91とY軸に沿う方向に隣接する物体傾斜部92と、を有する。第1の突出壁74は、物体傾斜部92に設けられるとともに、Y軸に沿う方向における第2の端74bを有する。第2の端74bは、Y軸に沿う方向における物体傾斜部92の一方の端に位置する。このため、第1の突出壁74は、第1の開口78を覆わない。従って、例えば、リベット105や基準ピン106のような部材が上方向及び下方向から第1の開口78を通ることができ、スライドレール装置11の組立が容易となる。さらに、リベット105のような部材を上方向から第1の開口78に通す工具やロボットアームが第1の突出壁74に干渉することが抑制される。加えて、リベット105のような部材を避けるための切欠きを第1の突出壁74に設ける必要が無く、第1の突出壁74を小さくすることができる。
【0139】
第2の突出壁75は、開口形成部91に設けられ、X軸に沿う方向において第1の開口78と異なる位置に設けられる。第2の突出壁75により、例えば、開口形成部91において、ロアレール21内に侵入した異物120A,120Bを起立又は傾斜した状態に支持し、アッパレール22が異物120A,120Bをロアレール21内から外に押し出すことを助けることができる。従って、アッパレール22とロアレール21との間に異物120A,120Bが侵入することが抑制される。
【0140】
第2の突出壁75は、開口形成部91と物体傾斜部92との境界で途切れずに、開口形成部91及び物体傾斜部92に跨ってY軸に沿う方向に延びる。これにより、例えば、異物120A,120BがY軸に沿う方向における第1の突出壁74と第2の突出壁75との間で引っかかることが抑制される。さらに、物体傾斜部92において、第1の突出壁74と第2の突出壁75とが異物120A,120Bを起立又は傾斜した姿勢に安定して保つことができる。
【0141】
第1の開口78は、X軸に沿う方向において二つの第2の突出壁75の間に位置する。これにより、第2の突出壁75が第1の開口78を覆うことなく、第1の開口78が第1の異物干渉部材25を貫通する状態が確保される。さらに、X軸に沿う方向における第1の開口78の両側に第2の突出壁75が設けられるため、少なくとも一方の第2の突出壁75によりロアレール21内に侵入した異物120A,120Bが起立又は傾斜した状態に支持できる。従って、アッパレール22とロアレール21との間に異物120A,120Bが侵入することが抑制される。
【0142】
第1の突出壁74は、二つの第2の突出壁75の間に位置する。Z軸に沿う方向において、第1の突出壁74の長さは、第2の突出壁75の長さよりも長い。これにより、物体傾斜部92において、第1の突出壁74が、ロアレール21内に侵入した異物120A,120Bを起立又は傾斜した状態により確実に支持し、アッパレール22が異物120A,120Bをロアレール21内から外に押し出すことを助けることができる。従って、アッパレール22とロアレール21との間に異物120A,120Bが侵入することが抑制される。
【0143】
(第2の実施形態)
以下に、第2の実施形態について、
図13及び
図14を参照して説明する。なお、以下の実施形態の説明において、既に説明された構成要素と同様の機能を持つ構成要素は、当該既述の構成要素と同じ符号が付され、さらに説明が省略される場合がある。また、同じ符号が付された複数の構成要素は、全ての機能及び性質が共通するとは限らず、各実施形態に応じた異なる機能及び性質を有していても良い。
【0144】
図13は、第2の実施形態に係る第1の異物干渉部材25が取り付けられるロアレール21の一部を示す斜視図である。
図14は、第2の実施形態のロアレール21の一部及び第1の異物干渉部材25の一部を示す断面図である。
【0145】
図13に示すように、第2の実施形態のロアレール21に、第2の挿通孔104の代わりに、開口131が設けられる。開口131は、第2の取付孔102と第1の挿通孔103との間に位置する。開口131は、第1の異物干渉部材25の第2の開口79に連通する。
【0146】
第2の実施形態のロアレール21は、突片132を有する。突片132は、開口131の縁から突出する。
図14に示すように、第1の異物干渉部材25が底壁31に取り付けられた後に、突片132が曲げられる。曲げられた突片132は、第2の開口79の内部に配置され、第2の開口79の縁に面する。
【0147】
第2の取付部73の突出部85が第2の取付孔102の第2の内周面102aに当接し、突片132が第2の開口79の縁に面する。これにより、第1の異物干渉部材25の一部が第2の内周面102aと突片132との間に保持され、第1の異物干渉部材25が底壁31に対してY軸に沿う方向に移動することが制限される。
【0148】
以上説明された第2の実施形態のスライドレール装置11において、第1の異物干渉部材25の一部が第2の内周面102aと突片132との間に保持される。これにより、第1の異物干渉部材25と底壁31とのがたつきが生じることが抑制される。
【0149】
以上説明された複数の実施形態において、第1の異物干渉部材25及び第2の異物干渉部材26はそれぞれ、弾性変形を伴って底壁31に取り付けられる第1の取付部72と、底壁31に引っ掛けられる第2の取付部73と、を有する。しかし、第1の異物干渉部材25及び第2の異物干渉部材26は、例えば、二つの第1の取付部72を有しても良い。
【0150】
さらに、第1の異物干渉部材25及び第2の異物干渉部材26に限らず、ブラケットのような他の部品が、板部71、第1の取付部72、第2の取付部73、及び突起77を有しても良い。
【0151】
以上、本発明の実施形態を例示したが、上記実施形態及び変形例はあくまで一例であって、発明の範囲を限定することは意図していない。上記実施形態や変形例は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、組み合わせ、変更を行うことができる。また、各実施形態や各変形例の構成や形状は、部分的に入れ替えて実施することも可能である。
【符号の説明】
【0152】
11…スライドレール装置、21…ロアレール、22…アッパレール、25…第1の異物干渉部材、26…第2の異物干渉部材、31…底壁、31a…底面、31b…内面、71…板部、71a…下面、71b…上面、71e…第3の端部、71f…第4の端部、72…第1の取付部、73…第2の取付部、74…第1の突出壁、74a…第1の端、74b…第2の端、75…第2の突出壁、77…突起、78…第1の開口、81…突出部、82…基部、83…爪、83c…第1の係止面、83d…第2の係止面、86…爪、86a…係止面、91…開口形成部、92…物体傾斜部、95…連続領域、101…第1の取付孔、101a…第1の内周面、102…第2の取付孔。