(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-14
(45)【発行日】2022-01-14
(54)【発明の名称】アキシャルギャップ型回転電機
(51)【国際特許分類】
H02K 1/20 20060101AFI20220106BHJP
H02K 9/19 20060101ALI20220106BHJP
【FI】
H02K1/20 Z
H02K9/19 Z
(21)【出願番号】P 2018022006
(22)【出願日】2018-02-09
【審査請求日】2021-01-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000001199
【氏名又は名称】株式会社神戸製鋼所
(74)【代理人】
【識別番号】100067828
【氏名又は名称】小谷 悦司
(74)【代理人】
【識別番号】100115381
【氏名又は名称】小谷 昌崇
(74)【代理人】
【識別番号】100109058
【氏名又は名称】村松 敏郎
(72)【発明者】
【氏名】小川 徹也
(72)【発明者】
【氏名】宮崎 烈
(72)【発明者】
【氏名】下田 敏章
(72)【発明者】
【氏名】井上 浩司
(72)【発明者】
【氏名】岡田 哲
(72)【発明者】
【氏名】笹井 慎太郎
(72)【発明者】
【氏名】山下 俊郎
【審査官】尾家 英樹
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2015/011836(WO,A1)
【文献】国際公開第2017/145333(WO,A1)
【文献】特開2009-142095(JP,A)
【文献】特開2006-042535(JP,A)
【文献】特開2006-033965(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 1/20
H02K 9/19
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アキシャルギャップ型回転電機であって、
ロータと、
前記ロータの軸方向で前記ロータに対向して配置され、前記ロータとの間に作用する電磁力によって前記ロータを回転させるステータとを備え、
前記ステータは、
前記ロータを回転させるための交番電流が流れるU相コイルと、
前記U相コイルが巻き回されるU相ステータコアと、
前記ロータの回転方向である周方向において前記U相コイルとは異なる位置に配置され、前記U相コイルを流れる交番電流とは異なる位相の交番電流が流れるV相コイルと、
前記V相コイルが巻き回されるV相ステータコアと、
前記周方向において前記U相コイル及び前記V相コイルとは異なる位置に配置され、前記U相コイルを流れる交番電流及び前記V相コイルを流れる交番電流とは異なる位相の交番電流が流れるW相コイルと、
前記W相コイルが巻き回されるW相ステータコアと、
前記U相コイル、前記V相コイル及び前記W相コイルよりも前記軸方向において前記ロータから離れて配置されるバックヨークとを含み、
前記U相ステータコア、前記V相ステータコア及び前記W相ステータコアの各々は、
第1コア部と、
前記周方向において前記第1コア部の隣に配置され、前記第1コア部と対を為す第2コア部とを含み、
前記U相コイル、前記V相コイル及び前記W相コイルの各々は、
前記第1コア部に巻き回される第1コイル部と、
前記第1コイル部の一端に接続され前記第1コイル部が前記第1コア部に巻き回される方向とは反対の方向において前記第2コア部に巻き回される第2コイル部とを含み、
前記バックヨークは、
前記周方向に互いに間隔をおいて並ぶように配置される複数のヨーク部を含み、
前記複数のヨーク部は、前記U相コイル、前記V相コイル及び前記W相コイルの各々が有する前記第1コイル部への通電に起因して発生し前記第1コア部を通過する磁束が前記周方向に流れた後で当該第1コア部と対を為す前記第2コア部を通過するように、各々が前記軸方向から見て前記第1コア部と当該第1コア部と対を為す前記第2コア部に重なるとともに前記軸方向に所定のヨーク部厚みを有しながら前記周方向に延び、
前記バックヨークは、前記複数のヨーク部のうち前記周方向で隣り合う2つのヨーク部の間において前記ステータを冷却するための冷媒が前記ロータの径方向に流れることを許容する第1冷却空間が形成されるように、前記周方向で隣り合う2つのヨーク部の間において前記軸方向の厚みが前記ヨーク部厚みよりも小さい、アキシャルギャップ型回転電機。
【請求項2】
請求項1に記載のアキシャルギャップ型回転電機であって、
前記複数のヨーク部が前記周方向で互いに分断されている、アキシャルギャップ型回転電機。
【請求項3】
請求項1に記載のアキシャルギャップ型回転電機であって、
前記バックヨークは、前記周方向で隣り合う2つのヨーク部の間で前記磁束が流れるのを許容するように、前記周方向で隣り合う2つのヨーク部の間に介在して当該2つのヨーク部を接続する接続部をさらに含み、当該接続部の前記軸方向の厚みは前記ヨーク部厚みよりも小さい、アキシャルギャップ型回転電機。
【請求項4】
請求項1~3の何れか1項に記載のアキシャルギャップ型回転電機であって、
前記周方向で隣り合う2つのヨーク部の間にそれぞれ配置され、前記冷媒が前記第1冷却空間に流れるのを許容する複数の冷却管をさらに備える、アキシャルギャップ型回転電機。
【請求項5】
請求項1~4の何れか1項に記載のアキシャルギャップ型回転電機であって、
前記第1コア部及び前記第2コア部のうち少なくとも一方のステータコアには、前記軸方向に延びて前記ステータコアを貫通する貫通孔が形成されており、
前記複数のヨーク部の各々には、前記冷媒が前記貫通孔内を流れるように前記貫通孔のうち前記バックヨーク側の端部に接続され前記冷媒が流れることを許容する第2冷却空間が形成されるように、前記軸方向に前記ヨーク部厚みよりも小さな厚みを有する部分が形成されている、アキシャルギャップ型回転電機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アキシャルギャップ型回転電機に関し、詳しくは、アキシャルギャップ型回転電機に用いられるバックヨークに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、永久磁石同期モータの一種として、アキシャルギャップ型回転電機が知られている。アキシャルギャップ型回転電機はロータと複数のコイルを有するステータとを備え、当該ロータ及びステータがロータの軸方向に隙間を隔てて互いに対向するように配置される。また、アキシャルギャップ型回転電機のステータは、複数のコイルへの通電に起因して発生する磁束がロータの周方向に流れるようにするためのバックヨークをさらに備える。バックヨークは、ロータの軸方向において複数のコイルよりもロータから離れて配置される。
【0003】
アキシャルギャップ型回転電機は、三相交流によって駆動される。そのため、アキシャルギャップ型回転電機のステータが有する複数のコイルは、互いに異なる位相の交番電流が流れるコイルとして、U相、V相及びW相のコイルを含む。U相、V相及びW相の各々のコイルには、例えば、所定の方向に巻き回された第1コイル部と当該第1コイル部の一端に接続され当該第1コイル部とは反対の方向に巻き回された第2コイル部とがロータの回転方向である周方向に並んで配置されるものがある。
【0004】
アキシャルギャップ型回転電機では、コイルへの通電に起因して、コイルが発熱する。また、コイルに流れる電流が交番電流であるため、コイルへの通電に起因して発生する磁束の大きさ及び方向が周期的に変化することになり、その結果、ステータにおいてコイルへの通電に起因して発生する磁束が流れる部分(例えば、コイルが巻き回されたコアやバックヨーク)に渦電流が発生し、当該渦電流によってジュール熱が発生する。つまり、ステータは、コイルだけでなく、コイルへの通電に起因して発生する磁束が流れる部分も発熱する。そのため、ステータを冷却する際には、コイルだけでなく、コイルへの通電に起因して発生する磁束が流れる部分も冷却することが求められる。
【0005】
下記特許文献1に記載のアキシャルギャップ型回転電機では、固定子コア及び固定子コイルを有する固定子の周囲を閉塞する固定子閉塞部材を設けて、当該固定子閉塞部材の内側に冷媒を流すことによって固定子を冷却している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、ただ単に固定子閉塞部材の内側に冷媒を流すだけでは、固定子を効果的に冷却することは難しい。
【0008】
本発明の目的は、ロータとステータとを備え、ステータが複数のコイルとバックヨークとを含むアキシャルギャップ型回転電機であって、上記ステータを効果的に冷却することができるアキシャルギャップ型回転電機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成するために、本願の発明者等は、上記のようなアキシャルギャップ型回転電機では、ステータの何れの部分に冷媒を流すのがステータの効果的な冷却を実現するのに有効であるかを検討した。具体的には、ステータを構成する部材のうちアキシャルギャップ型回転電機が駆動しているときに発熱源となり得る部材、つまり、ロータの周方向に並んで配置される複数のコイルと当該複数のコイルへの通電に起因して発生する磁束がロータの周方向に流れるのを許容するバックヨークとを冷却するように冷媒を流すのが効果的である点に着目して検討を進めた。そして、ロータの周方向で隣り合う2つのコイルの間を冷媒がロータの径方向に流れるようにすれば、ステータを効果的に冷却することができるとの知見を得るに至った。しかしながら、アキシャルギャップ型回転電機では、複数のコイル及びバックヨークを配置するスペースが限られているため、周方向で隣り合う2つのコイルの間に冷媒を流すには、バックヨークのうち周方向で隣り合う2つのコイルの間に位置する部分の厚み(ロータの軸方向での長さ)を減らして冷媒が流れる空間を確保する必要があり、当該厚みの減少は、バックヨークの断面積の減少を招来するため、バックヨークの機能(つまり、磁束をロータの周方向に流すこと)を低減させることになる。そこで、本願の発明者等は、当該バックヨークの厚みの部分的な減少に関わらずアキシャルギャップ型回転電機の出力低下を抑制する手段について検討を行った。そして、バックヨークのうち周方向で隣り合って配置され互いに異なる位相の交番電流が流れる2つのコイルの間に位置する部分よりも周方向で隣り合って配置され同じ位相の交番電流が流れる2つのコイルの間に位置する部分に磁束が集中することに着目し、バックヨークのうち周方向で隣り合って配置され互いに異なる位相の交番電流が流れる2つのコイルの間に位置する部分に冷媒が流れる空間を形成すれば、バックヨークの機能に与える影響を少なくしつつ、ステータの効果的な冷却を実現することができることを見出した。本発明は、このような知見に基づいて完成されたものである。
【0010】
本発明のアキシャルギャップ型回転電機は、ロータと、前記ロータの軸方向で前記ロータに対向して配置され、前記ロータとの間に作用する電磁力によって前記ロータを回転させるステータとを備え、前記ステータは、前記ロータを回転させるための交番電流が流れるU相コイルと、前記U相コイルが巻き回されるU相ステータコアと、前記ロータの回転方向である周方向において前記U相コイルとは異なる位置に配置され、前記U相コイルを流れる交番電流とは異なる位相の交番電流が流れるV相コイルと、前記V相コイルが巻き回されるV相ステータコアと、前記周方向において前記U相コイル及び前記V相コイルとは異なる位置に配置され、前記U相コイルを流れる交番電流及び前記V相コイルを流れる交番電流とは異なる位相の交番電流が流れるW相コイルと、前記W相コイルが巻き回されるW相ステータコアと、前記U相コイル、前記V相コイル及び前記W相コイルよりも前記軸方向において前記ロータから離れて配置されるバックヨークとを含み、前記U相ステータコア、前記V相ステータコア及び前記W相ステータコアの各々は、第1コア部と、前記周方向において前記第1コア部の隣に配置され、前記第1コア部と対を為す第2コア部とを含み、前記U相コイル、前記V相コイル及び前記W相コイルの各々は、前記第1コア部に巻き回される第1コイル部と、前記第1コイル部の一端に接続され前記第1コイル部が前記第1コア部に巻き回される方向とは反対の方向において前記第2コア部に巻き回される第2コイル部とを含み、前記バックヨークは、前記周方向に互いに間隔をおいて並ぶように配置される複数のヨーク部を含み、前記複数のヨーク部は、前記U相コイル、前記V相コイル及び前記W相コイルの各々が有する前記第1コイル部への通電に起因して発生し前記第1コア部を通過する磁束が前記周方向に流れた後で当該第1コア部と対を為す前記第2コア部を通過するように、各々が前記軸方向から見て前記第1コア部と当該第1コア部と対を為す前記第2コア部に重なるとともに前記軸方向に所定のヨーク部厚みを有しながら前記周方向に延び、前記バックヨークは、前記複数のヨーク部のうち前記周方向で隣り合う2つのヨーク部の間において前記ステータを冷却するための冷媒が前記ロータの径方向に流れることを許容する第1冷却空間が形成されるように、前記周方向で隣り合う2つのヨーク部の間において前記軸方向の厚みが前記ヨーク部厚みよりも小さい。
【0011】
上記アキシャルギャップ型回転電機においては、バックヨークのうち周方向で隣り合う2つのヨーク部の間に形成された第1冷却空間を冷媒が流れることにより、U相コイル、V相コイル及びW相コイルのうち周方向で隣り合う2つのコイルの間を冷媒が通過することになる。そのため、アキシャルギャップ型回転電機が駆動しているときに発熱源となり得るU相コイル、V相コイル及びW相コイルとバックヨークを同時に冷却することができる。その結果、ステータを効果的に冷却することができる。
【0012】
ここで、上記アキシャルギャップ型回転電機においては、U相コイル、V相コイル及びW相コイルのうち周方向で隣り合う2つのコイルの間、つまり、互いに異なる位相の交番電流が流れる2つのコイル間に第1冷却空間が形成されているので、バックヨークのうちU相コイル、V相コイル及びW相コイルの各々が有する第1コイル部と第2コイル部の間、つまり、同じ位相の交番電流が流れる2つのコイルの間に位置する部分において磁束の集中が阻害されるのを回避することができる。その結果、バックヨークの機能に与える影響を少なくしてアキシャルギャップ型回転電機の出力が低下するのを抑制することができる。
【0013】
なお、上記アキシャルギャップ型回転電機において、バックヨークの軸方向の厚みが周方向で隣り合う2つのヨーク部の間においてヨーク部厚みよりも小さい態様には、バックヨークの軸方向の厚みが周方向で隣り合う2つのヨーク部の間においてゼロである態様も含まれる。
【0014】
すなわち、上記バックヨークは、前記複数のヨーク部が前記周方向で互いに分断されている態様であってもよい。
【0015】
上記態様においては、第1冷却空間の容積を最大にすることができるので、より多くの冷媒を第1冷却空間に流すことができる。
【0016】
或いは、上記バックヨークは、前記周方向で隣り合う2つのヨーク部の間で前記磁束が流れるのを許容するように、前記周方向で隣り合う2つのヨーク部の間に介在して当該2つのヨーク部を接続する接続部をさらに含み、当該接続部の前記軸方向の厚みは前記ヨーク部厚みよりも小さい態様であってもよい。
【0017】
上記態様においては、周方向で隣り合う2つのヨーク部の間に存在する接続部が周方向への磁束の流れを許容しているので、ロータが回転するときのトルクのリップルを低減することができる。
【0018】
上記アキシャルギャップ型回転電機において、好ましくは、前記周方向で隣り合う2つのヨーク部の間にそれぞれ配置され、前記冷媒が前記第1冷却空間に流れるのを許容する複数の冷却管をさらに備える。
【0019】
上記態様においては、冷媒がステータに直接接触するのを回避できるので、冷媒がアキシャルギャップ型回転電機の外部に漏れるのを阻止するようなシール性がアキシャルギャップ型回転電機に要求されるのを回避することができる。
【0020】
上記アキシャルギャップ型回転電機において、好ましくは、前記第1コア部及び前記第2コア部のうち少なくとも一方のステータコアには、前記軸方向に延びて前記ステータコアを貫通する貫通孔が形成されており、前記複数のヨーク部の各々には、前記冷媒が前記貫通孔内を流れるように前記貫通孔のうち前記バックヨーク側の端部に接続され前記冷媒が流れることを許容する第2冷却空間が形成されるように、前記軸方向に前記ヨーク部厚みよりも小さな厚みを有する部分が形成されている。
【0021】
上記態様においては、第1コア部及び第2コア部のうち少なくとも一方のステータコア内を冷媒が流れるので、当該ステータコアを冷媒によって直接冷却することができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明のアキシャルギャップ型回転電機によれば、アキシャルギャップ型回転電機の出力が低下するのを抑制しながら、ステータを効果的に冷却することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】本発明の実施の形態によるアキシャルギャップ型回転電機を示す断面図である。
【
図2】本発明の実施の形態によるアキシャルギャップ型回転電機を示す分解斜視図である。
【
図3】2つのステータの間にロータが配置された状態を示す斜視図である。
【
図4】本発明の実施の形態によるアキシャルギャップ型回転電機において、ステータが備える複数のコイルとバックヨークとの位置関係を示す平面図である。
【
図5】本発明の実施の形態の変形例1に係るアキシャルギャップ型回転電機において、ステータが備える複数のコイルとバックヨークとの位置関係を示す平面図である。
【
図6】本発明の実施の形態の変形例2に係るアキシャルギャップ型回転電機において、2つのステータの各々に複数の冷却管が配置された状態を示す斜視図である。
【
図7】本発明の実施の形態の変形例3に係るアキシャルギャップ型回転電機において、ステータが備えるバックヨークを示す斜視図である。
【
図8】本発明の実施の形態の変形例3に係るアキシャルギャップ型回転電機において、ステータが備える複数のステータコアを示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、添付図面を参照しながら、本発明の実施の形態について詳述する。
【0025】
図1及び
図2を参照しながら、本発明の実施の形態によるアキシャルギャップ型回転電機としてのアキシャルギャップ型DCブラシレスモータ10(以下、単にモータ10と称する)について説明する。
図1は、モータ10の断面図である。
図2は、モータ10の分解斜視図である。
【0026】
なお、以下の説明において、軸方向、径方向及び周方向は、モータ10が備えるロータ30の軸方向、径方向及び周方向をいうものとする。つまり、径方向はロータ30の回転半径方向に相当し、周方向はロータ30の回転周方向に相当する。
【0027】
モータ10は、ロータ軸(図示せず)に固定されるロータ30と、ロータ30の軸方向両側に配置される2つのステータ40と、ロータ30及びステータ40を収容するケーシング50とを備える。
【0028】
ケーシング50は、ドラム51と、第1端壁52と、第1内側筒壁53と、第2端壁54と、第2内側筒壁55とを含む。ドラム51は、軸方向に並んで配置された複数(本実施の形態では、2つ)の筒壁511、512が相互に連結された構造を有している。ドラム51は、ロータ30及びステータ40を囲んでいる。第1端壁52は、ドラム51の軸方向の一端(具体的には、筒壁511の軸方向の一端)に取り付けられて、当該一端側の開口を塞いでいる。第1内側筒壁53は、第1端壁52の中央部分に取り付けられて、ドラム51(具体的には、筒壁511)内に位置する。第2端壁54は、ドラム51の軸方向の他端(具体的には、筒壁512の軸方向の他端)に取り付けられて、当該他端側の開口を塞いでいる。第2内側筒壁55は、第2端壁54の中央部分に取り付けられて、ドラム51(具体的には、筒壁512)内に位置する。
【0029】
ロータ30に固定されるロータ軸は、ロータ30の軸方向に延びる。ロータ軸(図示せず)の軸方向一端部は、ベアリングを介して第1端壁52と第1内側筒壁53に支持される。ロータ軸(図示せず)の軸方向他端部は、ベアリングを介して第2端壁54と第2内側筒壁55に支持される。
【0030】
ロータ30は、円板状のベース部材32と、ベース部材32に保持される複数の永久磁石34とを含む。
【0031】
ステータ40は、ロータ30の軸方向でロータ30に対向して配置される。ステータ40は、ロータ30との間に作用する電磁力によってロータ30を回転させる。なお、
図1及び
図2では、ステータ40が備える複数のコイル42(
図3及び
図4)は樹脂モールドされている。
【0032】
図3及び
図4を参照しながら、ステータ40について説明する。
図3は、2つのステータ40の間にロータ30が配置された状態を示す斜視図である。
図4は、ステータ40が備える複数のコイル42と複数のステータコア44とバックヨーク46との位置関係を示す平面図である。
【0033】
ステータ40は、複数のコイル42と、複数のステータコア44と、バックヨーク46とを含む。以下、これらについて説明する。
【0034】
複数のコイル42は、ロータ30を回転させるための交番電流が流れるU相コイル42Uと、周方向においてU相コイル42Uとは異なる位置に配置されU相コイル42Uを流れる交番電流とは異なる位相の交番電流が流れるV相コイル42Vと、ロータ30の回転方向である周方向においてU相コイル42U及びV相コイル42Vとは異なる位置に配置され、U相コイル42Uを流れる交番電流及びV相コイル42Vを流れる交番電流とは異なる位相の交番電流が流れるW相コイル42Wとを含む。
【0035】
複数のコイル42においては、U相コイル42U、V相コイル42V及びW相コイル42Wがこの順番で周方向に並んで配置されている。また、複数のコイル42においては、U相コイル42U、V相コイル42V及びW相コイル42Wによって構成されるコイル群が周方向に並んで配置されている。つまり、複数のコイル42は、複数のコイル群を含む。別の表現をすれば、複数のコイル42は、少なくとも1つのU相コイル42Uと、少なくとも1つのV相コイル42Vと、少なくとも1つのW相コイル42Wとを含む。
【0036】
複数のステータコア44は、U相コイル42Uが巻き回されるU相ステータコア44Uと、V相コイル42Vが巻き回されるV相ステータコア44Vと、W相コイル42Wが巻き回されるW相ステータコア44Wとを含む。つまり、複数のステータコア44は、少なくとも1つのU相ステータコア44Uと、少なくとも1つのV相ステータコア44Vと、少なくとも1つのW相ステータコア44Wとを含む。
【0037】
バックヨーク46は、複数のコイル42よりも軸方向においてロータ30から離れて配置される。つまり、第1筒壁511内に位置するステータ40が有するバックヨーク46は、ロータ30と第1端壁52との間に配置される。第2筒壁512内に位置するステータ40が有するバックヨーク46は、ロータ30と第2端壁54との間に配置される。
【0038】
U相コイル42Uは、U相ステータコア44Uに巻き回されている。U相コイル42Uには、ロータ30を回転させるための交番電流が流れる。
【0039】
V相コイル42Vは、V相ステータコア44Vに巻き回されている。V相コイル42Vは、周方向においてU相コイル42Uとは異なる位置に配置されている。具体的には、V相コイル42Vは、周方向においてU相コイル42Uの隣に配置されている。V相コイル42Vには、U相コイル42Uを流れる交番電流とは異なる位相の交番電流が流れる。
【0040】
W相コイル42Wは、W相ステータコア44Wに巻き回されている。W相コイル42Wは、周方向においてU相コイル42U及びV相コイル42Vとは異なる位置に配置されている。具体的には、W相コイル42Wは、周方向においてV相コイル42Vの隣であって且つU相コイル42Uの隣に配置されている。つまり、W相コイル42Wは、周方向においてV相コイル42VとU相コイル42Uとの間に配置されている。W相コイル42Wには、U相コイル42Uを流れる交番電流及びV相コイル42Vを流れる交番電流とは異なる位相の交番電流が流れる。
【0041】
ここで、U相ステータコア44U、V相ステータコア44V及びW相ステータコア44Wの各々は、第1コア部441と、周方向において第1コア部441の隣に配置され第1コア部441と対を為す第2コア部442とを含む。
【0042】
U相ステータコア44Uが有する第1コア部441の周方向一方側には、当該第1コア部441と対を為す第2コア部442、つまり、当該第1コア部441を有するU相ステータコア44Uに含まれる第2コア部442が位置している。U相ステータコア44Uが有する第1コア部441の周方向他方側には、当該U相ステータコア44Uの隣に位置するW相ステータコア44Wに含まれる第2コア部442が位置している。
【0043】
U相ステータコア44Uが有する第2コア部442の周方向一方側には、当該U相ステータコア44Uの隣に位置するV相ステータコア44Vに含まれる第1コア部441が位置している。U相ステータコア44Uが有する第2コア部442の周方向他方側には、当該第2コア部442と対を為す第1コア部441、つまり、当該第2コア部442を有するU相ステータコア44Uに含まれる第1コア部441が位置している。
【0044】
V相ステータコア44Vが有する第1コア部441の周方向一方側には、当該第1コア部441と対を為す第2コア部442、つまり、当該第1コア部441を有するV相ステータコア44Vに含まれる第2コア部442が位置している。V相ステータコア44Vが有する第1コア部441の周方向他方側には、当該V相ステータコア44Vの隣に位置するU相ステータコア44Uに含まれる第2コア部442が位置している。
【0045】
V相ステータコア44Vが有する第2コア部442の周方向一方側には、当該V相ステータコア44Vの隣に位置するW相ステータコア44Wに含まれる第1コア部441が位置している。V相ステータコア44Vが有する第2コア部442の周方向他方側には、当該第2コア部442と対を為す第1コア部441、つまり、当該第2コア部442を有するV相ステータコア44Vに含まれる第1コア部441が位置している。
【0046】
W相ステータコア44Wが有する第1コア部441の周方向一方側には、当該第1コア部441と対を為す第2コア部442、つまり、当該第1コア部441を有するW相ステータコア44Wに含まれる第2コア部442が位置している。W相ステータコア44Wが有する第1コア部441の周方向他方側には、当該W相ステータコア44Wの隣に位置するV相ステータコア44Vに含まれる第2コア部442が位置している。
【0047】
W相ステータコア44Wが有する第2コア部442の周方向一方側には、当該W相ステータコア44Wの隣に位置するU相ステータコア44Uに含まれる第1コア部441が位置している。W相ステータコア44Wが有する第2コア部442の周方向他方側には、当該第2コア部442と対を為す第1コア部441、つまり、当該第2コア部442を有するW相ステータコア44Wに含まれる第1コア部441が位置している。
【0048】
また、U相コイル42U、V相コイル42V及びW相コイル42Wの各々は、第1コア部441に巻き回される第1コイル部421と、第1コイル部421の一端に接続され第1コイル部421が第1コア部441に巻き回される方向とは反対の方向において第2コア部442に巻き回される第2コイル部422とを含む。
【0049】
U相コイル42Uは、第1コイル部421と、当該第1コイル部421の一端に接続された第2コイル部422とを含む。U相コイル42Uが有する第1コイル部421は、U相ステータコア44Uが有する第1コア部441に巻き回される。U相コイル42Uが有する第2コイル部422は、U相ステータコア44Uが有する第2コア部442に巻き回される。U相コイル42Uが有する第2コイル部422は、U相コイル42Uが有する第1コイル部421とは反対の方向に巻き回される。つまり、U相コイル42Uが有する第2コイル部422では、U相コイル42Uが有する第1コイル部421とは反対の方向に交番電流が流れる。そのため、U相コイル42Uが有する第2コイル部422への通電に起因して発生する磁束が第2コア部442を流れる方向は、U相コイル42Uが有する第1コイル部421への通電に起因して発生する磁束が第1コア部441を流れる方向とは反対の方向である。
【0050】
V相コイル42Vは、第1コイル部421と、当該第1コイル部421の一端に接続された第2コイル部422とを含む。V相コイル42Vが有する第1コイル部421は、V相ステータコア44Vが有する第1コア部441に巻き回される。V相コイル42Vが有する第2コイル部422は、V相ステータコア44Vが有する第2コア部442に巻き回される。V相コイル42Vが有する第2コイル部422は、V相コイル42Vが有する第1コイル部421とは反対の方向に巻き回される。つまり、V相コイル42Vが有する第2コイル部422では、V相コイル42Vが有する第1コイル部421とは反対の方向に交番電流が流れる。そのため、V相コイル42Vが有する第2コイル部422への通電に起因して発生する磁束が第2コア部442を流れる方向は、U相コイル42Uが有する第1コイル部421への通電に起因して発生する磁束が第1コア部441を流れる方向とは反対の方向である。
【0051】
W相コイル42Wは、第1コイル部421と、当該第1コイル部421の一端に接続された第2コイル部422とを含む。W相コイル42Wが有する第1コイル部421は、W相ステータコア44Wが有する第1コア部441に巻き回される。W相コイル42Wが有する第2コイル部422は、W相ステータコア44Wが有する第2コア部442に巻き回される。W相コイル42Wが有する第2コイル部422は、W相コイル42Wが有する第1コイル部421とは反対の方向に巻き回される。つまり、W相コイル42Vが有する第2コイル部422では、W相コイル42Wが有する第1コイル部421とは反対の方向に交番電流が流れる。そのため、W相コイル42Wが有する第2コイル部422への通電に起因して発生する磁束が第2コア部442を流れる方向は、W相コイル42Wが有する第1コイル部421への通電に起因して発生する磁束が第1コア部441を流れる方向とは反対の方向である。
【0052】
バックヨーク46は、U相コイル42U、V相コイル42V及びW相コイル42Wよりもロータ30の軸方向においてロータ30から離れて配置される。
【0053】
バックヨーク46は、複数のヨーク部461を含む。複数のヨーク部461は、周方向に並んで配置される。複数のヨーク部461は、それぞれ、U相コイル42U、V相コイル42V及びW相コイル42Wの各々が有する第1コイル部421への通電に起因して発生し第1コア部441を通過する磁束が周方向に流れた後で当該第1コア部441と対を為す第2コア部442を通過するように、軸方向から見て第1コア部441と当該第1コア部441と対を為す第2コア部442に重なるとともに軸方向に所定のヨーク部厚みを有しながら周方向に延びている。
【0054】
複数のヨーク部461は、軸方向から見てU相ステータコア44Uに重なるヨーク部461Uと、軸方向から見てV相ステータコア44Vに重なるヨーク部461Vと、軸方向から見てW相ステータコア44Wに重なるヨーク部461Wとを含む。別の表現をすれば、複数のヨーク部461は、周方向でU相ステータコア44Uと対応する位置にあるヨーク部461Uと、周方向でV相ステータコア44Vと対応する位置にあるヨーク部461Vと、周方向でW相ステータコア44Wと対応する位置にあるヨーク部461Wとを含む。
【0055】
複数のヨーク部461においては、ヨーク部461U、ヨーク部461V及びヨーク部461Wがこの順番で周方向に並んで配置されている。また、複数のヨーク部461においては、ヨーク部461U、ヨーク部461V及びヨーク部461Wによって構成されるヨーク部群が周方向に並んで配置されている。つまり、複数のヨーク部461は、複数のヨーク部群を含む。別の表現をすれば、複数のヨーク部461は、少なくとも1つのヨーク部461Uと、少なくとも1つのヨーク部461Vと、少なくとも1つのヨーク部461Wとを含む。
【0056】
ヨーク部461Uは、軸方向から見て、U相コイル42Uが有する第1コイル部421が巻き回される第1コア部441と、U相コイル42Uが有する第2コイル部422が巻き回される第2コア部442とに重なる。ヨーク部461Uは、軸方向に所定のヨーク部厚みを有しながら、周方向に延びている。ヨーク部461Uの厚みは、ヨーク部461Uの全体に亘って一定である。
【0057】
ヨーク部461Vは、軸方向から見て、V相コイル42Vが有する第1コイル部421が巻き回される第1コア部441と、V相コイル42Vが有する第2コイル部422が巻き回される第2コア部442とに重なる。ヨーク部461Vは、軸方向に所定のヨーク部厚みを有しながら、周方向に延びている。ヨーク部461Vの厚みは、ヨーク部461Vの全体に亘って一定である。ヨーク部461Vの厚みは、ヨーク部461Uの厚みと同じである。ヨーク部461Vの形状及び大きさは、ヨーク部461Uの形状及び大きさと同じである。
【0058】
ヨーク部461Wは、軸方向から見て、W相コイル42Wが有する第1コイル部421が巻き回される第1コア部441と、W相コイル42Wが有する第2コイル部422が巻き回される第2コア部442とに重なる。ヨーク部461Wは、軸方向に所定のヨーク部厚みを有しながら、周方向に延びている。ヨーク部461Wの厚みは、ヨーク部461Wの全体に亘って一定である。ヨーク部461Wの厚みは、ヨーク部461Uの厚み及びヨーク部461Vの厚みと同じである。ヨーク部461Wの形状及び大きさは、ヨーク部461Uやヨーク部461Vの形状及び大きさと同じである。
【0059】
バックヨーク46は、複数の接続部462をさらに含む。複数の接続部462は、周方向で隣り合う2つのヨーク部461の間に形成され、周方向で隣り合う2つのヨーク部461を互いに接続する。複数の接続部462は、それぞれ、軸方向に上記ヨーク部厚みよりも小さな厚みを有しながら径方向に延びている。
【0060】
複数の接続部462は、ヨーク部461Uとヨーク部461Vとを接続する接続部4621と、ヨーク部461Vとヨーク部461Wとを接続する接続部4622と、ヨーク部461Wとヨーク部461Uとを接続する接続部4623とを、それぞれ、少なくとも1つ含む。
【0061】
接続部4621は、周方向で隣り合う2つのヨーク部461U、461Vを径方向の全長に亘って接続する。接続部4621が有する軸方向の厚みは、ヨーク部461が有する軸方向の厚みよりも小さい。接続部4621が有する軸方向の厚みは、接続部4621の全体に亘って一定である。
【0062】
接続部4622は、周方向で隣り合う2つのヨーク部461V、461Wを径方向の全長に亘って接続する。接続部4622が有する軸方向の厚みは、ヨーク部461が有する軸方向の厚みよりも小さい。接続部4622が有する軸方向の厚みは、接続部4622の全体に亘って一定である。接続部4622の形状及び大きさは、接続部4621の形状及び大きさと同じである。
【0063】
接続部4623は、周方向で隣り合う2つのヨーク部461W、461Uを径方向の全長に亘って接続する。接続部4623が有する軸方向の厚みは、ヨーク部461が有する軸方向の厚みよりも小さい。接続部4623が有する軸方向の厚みは、接続部4623の全体に亘って一定である。接続部4623の形状及び大きさは、接続部4621や接続部4622の形状及び大きさと同じである。
【0064】
バックヨーク46には、複数のヨーク部461のうち周方向で隣り合う2つのヨーク部461の間においてステータ40を冷却するための冷媒が径方向に流れることを許容するように、各々が軸方向に上記ヨーク部厚み以下の長さを有しながら径方向に延びる複数の第1冷却空間463が形成されている。
【0065】
複数の第1冷却空間463は、それぞれ、複数のヨーク部461のうち周方向で隣り合う2つのヨーク部461の間に形成されている。つまり、複数の第1冷却空間463は、周方向において複数の接続部462と対応する位置に形成されている。すなわち、複数の第1冷却空間463は、それぞれ、ヨーク部461の軸方向の厚みと接続部462の軸方向の厚みとの差分に相当する軸方向の長さを有しながら径方向に延びている。
【0066】
複数の第1冷却空間463は、ヨーク部461Uとヨーク部461Vとの間に形成された第1冷却空間4631と、ヨーク部461Vとヨーク部461Wとの間に形成された第1冷却空間4632と、ヨーク部461Wとヨーク部461Uとの間に形成された第1冷却空間4633とを、それぞれ、少なくとも1つ含む。つまり、複数の第1冷却空間463は、周方向で接続部4621と対応する位置に形成された第1冷却空間4631と、周方向で接続部4622と対応する位置に形成された第1冷却空間4632と、周方向で接続部4623と対応する位置に形成された第1冷却空間4633とを、それぞれ、少なくとも1つ含む。
【0067】
第1冷却空間4631は、ヨーク部461の軸方向の厚みと接続部4621の軸方向の厚みとの差分に相当する軸方向の長さを有しながら、径方向に延びている。つまり、第1冷却空間4631は、ヨーク部461の軸方向の厚みよりも小さい軸方向の長さを有しながら、径方向に延びている。第1冷却空間4631は、ステータ40を冷却するための冷媒が径方向に流れることを許容する。
【0068】
第1冷却空間4632は、ヨーク部461の軸方向の厚みと接続部4622の軸方向の厚みとの差分に相当する軸方向の長さを有しながら、径方向に延びている。つまり、第1冷却空間4632は、ヨーク部461の軸方向の厚みよりも小さい軸方向の長さを有しながら、径方向に延びている。第1冷却空間4632は、ステータ40を冷却するための冷媒が径方向に流れることを許容する。第1冷却空間4632の容積は、第1冷却空間4631の容積と同じである。
【0069】
第1冷却空間4633は、ヨーク部461の軸方向の厚みと接続部4623の軸方向の厚みとの差分に相当する軸方向の長さを有しながら、径方向に延びている。つまり、第1冷却空間4633は、ヨーク部461の軸方向の厚みよりも小さい軸方向の長さを有しながら、径方向に延びている。第1冷却空間4633は、ステータ40を冷却するための冷媒が径方向に流れることを許容する。第1冷却空間4633の容積は、第1冷却空間4631や第1冷却空間4632の容積と同じである。
【0070】
続いて、
図1を参照しながら、モータ10において冷媒を用いたステータ40の冷却について説明する。
【0071】
モータ10では、2つのステータ40を有する。2つのステータ40は、別々の冷媒によって冷却される。具体的には、一方のステータ40(第1筒壁511内に配置されたステータ40)は、第1筒壁511に設けられた冷媒導入管561からケーシング50内に導入される冷媒によって冷却される。他方のステータ40(第2筒壁512内に配置されたステータ40)は、第2筒壁512に設けられた冷媒導入管562からケーシング50内に導入される冷媒によって冷却される。より詳細には、以下のとおりである。
【0072】
先ず、一方のステータ40の冷却について説明する。冷媒導入管561からケーシング50内に導入された冷媒は、一方のステータ40と第1端壁52との間に形成された空間を流れる。その際、冷媒は一方のステータ40が備えるバックヨーク46に形成された複数の第1冷却空間463を通って径方向の外側から内側に向かって流れる。複数の第1冷却空間463を通過した冷媒は、第1内側筒壁53とステータ40との間に形成された筒状連通路からロータ20が配置された空間に排出され、ロータ20に接触する。このとき、ロータ20が回転しているので、ロータ20に接触した冷媒はロータ20の周囲に飛び散った後、第1筒壁511に設けられた冷媒排出管571や第2筒壁512に設けられた冷媒排出管572からケーシング50の外部に排出される。
【0073】
続いて、他方のステータ40の冷却について説明する。冷媒導入管562からケーシング50内に導入された冷媒は、他方のステータ40と第2端壁54との間に形成された空間を流れる。その際、冷媒は他方のステータ40が備えるバックヨーク46に形成された複数の第1冷却空間463を通って径方向の外側から内側に向かって流れる。複数の第1冷却空間463を通過した冷媒は、第2内側筒壁55とステータ40との間に形成された筒状連通路からロータ20が配置された空間に排出され、ロータ20に接触する。このとき、ロータ20が回転しているので、ロータ20に接触した冷媒はロータ20の周囲に飛び散った後、第1筒壁511に設けられた冷媒排出管571や第2筒壁512に設けられた冷媒排出管572からケーシング50の外部に排出される。
【0074】
上記モータ10においては、バックヨーク46のうち周方向で隣り合う2つのヨーク部461の間に形成された第1冷却空間463を冷媒が流れることにより、U相コイル42U、V相コイル42V及びW相コイル42Wのうち周方向で隣り合う2つのコイルの間を冷媒が通過することになる。そのため、モータ10が駆動しているときに発熱源となり得るU相コイル42U、V相コイル42V及びW相コイル42Wとバックヨーク46を同時に冷却することができる。その結果、ステータ40を効果的に冷却することができる。
【0075】
ここで、モータ10においては、U相コイル42U、V相コイル42V及びW相コイル42Wのうち周方向で隣り合う2つのコイルの間、つまり、互いに異なる位相の交番電流が流れる2つのコイル間に第1冷却空間463が形成されているので、バックヨーク46のうちU相コイル42U、V相コイル42V及びW相コイル42Wの各々が有する第1コイル部421と第2コイル部422の間(つまり、同じ位相の交番電流が流れる2つのコイルの間)に位置する部分において磁束の集中が阻害されるのを回避することができる。その結果、バックヨーク46の機能に与える影響を少なくしてモータ10の出力が低下するのを抑制することができる。
【0076】
また、モータ10においては、周方向で隣り合う2つのヨーク部461の間で磁束が流れるのを許容するように、バックヨーク46のうち周方向で隣り合う2つのヨーク部461の間に存在する接続部462が周方向で隣り合う2つのヨーク部461を接続している。そのため、モータ10においては、周方向で隣り合う2つのヨーク部461の間に存在する接続部462が磁束の周方向への流れを許容している。その結果、ロータ30が回転するときのトルクのリップルを低減することができる。
【0077】
また、モータ10には、複数の第1冷却空間463の各々を流れてきた冷媒がロータ30に接触するのを許容するように、複数の第1冷却空間463の各々に対して冷媒が流れる方向の下流側の端部に接続されて軸方向に延びる冷媒流路(第1内側筒壁53とステータ40との間に設けられた筒状連通路)が形成されている。そのため、モータ10においては、ステータ40を冷却する冷媒を利用して、ロータ30を冷却することができる。
【0078】
[実施の形態の変形例1]
上記実施の形態では、周方向で隣り合う2つのヨーク部461が接続部462によって接続されている。つまり、接続部462は、周方向で隣り合う2つのヨーク部461の間において磁束が流れるのを許容するように、軸方向に厚みを有している。
【0079】
上記実施の形態において、接続部462の厚みはゼロであってもよい。つまり、接続部462が存在しない態様であってもよい。
【0080】
このような態様について、
図5を参照しながら説明する。
図5は、本変形例における複数のコイル42と複数のステータコア44とバックヨーク46との位置関係を示す平面図である。
【0081】
図5に示す例では、周方向で隣り合う2つのヨーク部461が接続部462によって接続されていない。つまり、複数のヨーク部461が周方向で互いに分断されている。そのため、周方向で隣り合う2つのヨーク部461の間に形成された第1冷却空間463の軸方向の長さは、ヨーク部461の軸方向の厚み(つまり、ヨーク部厚み)と同じである。つまり、本変形例では、上記実施の形態と比べて、第1冷却空間463の容積が大きくなっている。
【0082】
なお、複数のヨーク部461は、ケーシング50に固定されることで周方向に分断された状態を維持している。
【0083】
このような態様においては、第1冷却空間463の容積を最大にすることができるので、より多くの冷媒を第1冷却空間463に流すことができる。そのため、冷却効率を高めることができる。
【0084】
また、上記態様においては、複数のヨーク部461を別々の部材によって形成することができるので、バックヨーク46の製造が容易になる。
【0085】
[実施の形態の変形例2]
上記実施の形態では、第1冷却空間463内を冷媒が直接流れている。つまり、冷媒がステータ40に直接接触する。
【0086】
上記実施の形態において、冷媒は第1冷却空間463内を流れていればよい。つまり、冷媒はステータ40に直接接触しなくてもよい。
【0087】
このような態様について、
図6を参照しながら説明する。
図6は、ステータ40に複数の冷却管47が配置された状態を示す斜視図である。
【0088】
図6に示す例では、複数の冷却管47は、冷媒が第1冷却空間463に流れるのを許容するように、周方向で隣り合う2つのヨーク部461の間にそれぞれ配置されている。なお、冷却管47の一部が第1冷却空間463の外側に位置していてもよい。冷媒は、冷却管47を流れることにより、第1冷却空間463を流れる。冷却管47により、冷媒の流路が形成されている。
【0089】
このような態様においては、冷却管47によって冷媒の流路が形成されているので、上記実施の形態と比べて、モータのケーシングに特別なシール性が要求されるのを回避することができる。
【0090】
また、上記態様においては、冷却管47によって冷媒の流路が形成されているので、上記実施の形態と比べて、冷媒を所望の経路で流すことができる。
【0091】
[実施の形態の変形例3]
上記実施の形態において、U相ステータコア44U、V相ステータコア44V及びW相ステータコア44Wの各々が有する第1コア部441及び第2コア部442のうち少なくとも一方のステータコアの内部に冷媒が流れるようにしてもよい。このような態様について、
図7及び
図8を参照しながら説明する。
【0092】
図7及び
図8に示す例では、U相ステータコア44U、V相ステータコア44V及びW相ステータコア44Wの各々が有する第1コア部441に貫通孔4411が形成され、U相ステータコア44U、V相ステータコア44V及びW相ステータコア44Wの各々が有する第2コア部442に貫通孔4421が形成されている。貫通孔4411は、第1コア部441を軸方向に貫通している。貫通孔4421は、第2コア部442を軸方向に貫通している。
【0093】
図7及び
図8に示す例では、複数のヨーク部461の各々には、冷媒が貫通孔4411内を流れるように貫通孔4411のうちバックヨーク46側の端部に接続され冷媒が流れることを許容する第2冷却空間4641が形成され、かつ、冷媒が貫通孔4421内を流れるように貫通孔4421のうちバックヨーク46側の端部に接続され冷媒が流れることを許容する第2冷却空間4642が形成されている。
【0094】
このような態様においては、第1コア部441及び第2コア部442の内部を冷媒が流れるので、第1コア部441及び第2コア部442を冷媒によって直接冷却することができる。
【0095】
以上、本発明の実施の形態について詳述してきたが、これらはあくまでも例示であって、本発明は、上述の実施の形態の記載によって、何等、限定的に解釈されるものではない。
【0096】
例えば、上記実施の形態では、アキシャルギャップ型回転電機の一例であるモータについて説明したが、アキシャルギャップ型回転電機は発電機であってもよい。
【0097】
例えば、上記実施の形態では、アキシャルギャップ型回転電機が2つのステータを備える態様について説明したが、アキシャルギャップ型回転電機が備えるステータは1つであってもよい。
【0098】
例えば、上記実施の形態の変形例3では、第1コア部及び第2コア部の各々に貫通孔が形成されているが、第1コア部及び第2コア部の何れかだけに貫通孔が形成されていてもよい。
【符号の説明】
【0099】
10 モータ
30 ロータ
40 ステータ
42U U相コイル
42V V相コイル
42W W相コイル
421 第1コイル部
422 第2コイル部
44U U相ステータコア
44V V相ステータコア
44W W相ステータコア
441 第1コア部
4411 連通孔
442 第2コア部
4421 連通孔
46 バックヨーク
461 ヨーク部
462 接続部
463 第1冷却空間
464 第2冷却空間
47 冷却管