(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-14
(45)【発行日】2022-02-04
(54)【発明の名称】遠隔作業装置の監視装置及びその監視方法
(51)【国際特許分類】
B25J 19/06 20060101AFI20220128BHJP
G01T 1/16 20060101ALI20220128BHJP
B25J 13/08 20060101ALI20220128BHJP
G01T 1/20 20060101ALN20220128BHJP
【FI】
B25J19/06
G01T1/16 A
B25J13/08 A
G01T1/20 G
(21)【出願番号】P 2018118743
(22)【出願日】2018-06-22
【審査請求日】2021-01-07
(73)【特許権者】
【識別番号】507250427
【氏名又は名称】日立GEニュークリア・エナジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000350
【氏名又は名称】ポレール特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】長井 隆浩
【審査官】神山 貴行
(56)【参考文献】
【文献】特開平07-237160(JP,A)
【文献】特開2004-340768(JP,A)
【文献】特開昭59-092397(JP,A)
【文献】特開平08-233980(JP,A)
【文献】特開2006-031486(JP,A)
【文献】特表2000-507698(JP,A)
【文献】特開平06-034761(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25J 1/00-21/02
G01T 1/16- 1/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
遠隔制御ロボット上に貼付されたマーカと、該マーカからの発光波長が透過し波長自発光を認識するイメージセンサと、処理画像から前記遠隔制御ロボットの位置姿勢を推定する位置姿勢推定部とを備え、遠隔地から前記遠隔制御ロボットによる作業を監視する遠隔作業装置の監視装置であって、
前記マーカを放射線自発光マーカとし、前記放射線自発光マーカからのマーカ発光量の大小から前記遠隔制御ロボット周辺の線量を推定する周辺線量推定部と、該周辺線量推定部で推定した線量の多少から前記遠隔制御ロボットの寿命を推定する装置寿命推定部とを備え
、
前記遠隔制御ロボットは、複数のリンクと、該リンク間を回動可能に接続する関節と、前記リンクの一方端に設けられた作業ツールとから成り、
前記各リンクのそれぞれに前記放射線自発光マーカを貼付け、前記位置姿勢推定部で前記放射線自発光マーカの位置を認識し、その認識位置が、予め設定されたロボットモデル上のマーカ位置に合うときの前記関節の状態量を導出することで前記遠隔制御ロボットの位置姿勢を推定すると共に、前記放射線自発光マーカの発光量を基に、前記周辺線量推定部で、予め設定された放射線量に対する発光量により前記遠隔制御ロボットの周辺線量を推定し、かつ、前記装置寿命推定部により推定された前記遠隔制御ロボットの周辺線量情報を用いて、前記遠隔制御ロボットが被爆した集積線量及び/又は瞬間線量を求め、予め設定された前記遠隔制御ロボットの故障閾値と比較することで装置寿命を推定することを特徴とする遠隔作業装置の監視装置。
【請求項2】
請求項
1に記載の遠隔作業装置の監視装置において、
前記リンクは3本から成り、それぞれの前記リンクに貼付けられた前記放射線自発光マーカは同色に色付けされ、その色付けされた前記放射線自発光マーカからの発光波長が1つの波長フィルタを透過し前記イメージセンサを通ることで、前記放射線自発光マーカの波長自発光を認識することを特徴とする遠隔作業装置の監視装置。
【請求項3】
請求項
1に記載の遠隔作業装置の監視装置において、
前記リンクは3本から成り、それぞれの前記リンクに貼付けられた前記放射線自発光マーカは3色に色付けされ、その3色に色付けされた前記放射線自発光マーカからのそれぞれの発光波長がそれぞれの波長フィルタを透過しそれぞれの前記イメージセンサを通ることで、それぞれの前記放射線自発光マーカの波長自発光を認識することを特徴とする遠隔作業装置の監視装置。
【請求項4】
請求項
1に記載の遠隔作業装置の監視装置において、
前記遠隔制御ロボットは、少なくとも2つの遠隔制御ロボットA及びBから成り、前記2つの遠隔制御ロボットA及びBの各リンクに貼付けられた前記放射線自発光マーカA及びBは異なる色に色付けされ、その異なる色に色付けされた前記放射線自発光マーカA及びBからのそれぞれの発光波長がそれぞれの波長フィルタを透過しそれぞれの前記イメージセンサを通ることで、それぞれの前記放射線自発光マーカの波長自発光を認識することを特徴とする遠隔作業装置の監視装置。
【請求項5】
請求項
1に記載の遠隔作業装置の監視装置において、
前記遠隔制御ロボットの各リンクに貼付けられた放射線自発光マーカと、前記遠隔制御ロボットで作業される作業対象物に貼付けられた放射線自発光マーカとが異なる色に色付けされ、その異なる色に色付けされた前記放射線自発光マーカと前記作業対象物に貼付けられた前記放射線自発光マーカからのそれぞれの発光波長がそれぞれの波長フィルタを透過しそれぞれの前記イメージセンサを通ることで、それぞれの前記放射線自発光マーカと前記作業対象物に貼付けられた前記放射線自発光マーカの波長自発光を認識することを特徴とする遠隔作業装置の監視装置。
【請求項6】
請求項1乃至
5のいずれか1項に記載の遠隔作業装置の監視装置において、
前記マーカの自発光波長を透過する波長フィルタを用いて、前記マーカの位置、発光のみを前記イメージセンサを通して環境外乱光を除いて前記遠隔制御ロボットの周辺線量情報を取得するか、若しくは前記イメージセンサで前記遠隔制御ロボットの周辺線量情報を取得した後に、画像処理することで特定波長を取得することを特徴とする遠隔作業装置の監視装置。
【請求項7】
請求項1乃至
6のいずれか1項に記載の遠隔作業装置の監視装置において、
前記放射線自発光マーカは、シンチレータ、夜光塗料、放射線により発光する素子を含むことを特徴とする遠隔作業装置の監視装置。
【請求項8】
請求項
6に記載の遠隔作業装置の監視装置において、
前記波長フィルタは、前記放射線自発光マーカの発光波長透過する光学フィルタ
であることを特徴とする遠隔作業装置の監視装置。
【請求項9】
遠隔制御ロボット上に貼付されたマーカと、該マーカからの発光波長が透過し波長自発光を認識するイメージセンサと、処理画像から前記遠隔制御ロボットの位置姿勢を推定する位置姿勢推定部とを備え、遠隔地から前記遠隔制御ロボットによる作業を監視する遠隔作業装置の監視方法であって、
前記マーカを放射線自発光マーカとし、周辺線量推定部により前記放射線自発光マーカからのマーカ発光量の大小から前記遠隔制御ロボット周辺の線量を推定し、前記周辺線量推定部で推定した線量の多少から装置寿命推定部で、前記遠隔制御ロボットの寿命を推定し
、
前記遠隔制御ロボットは、複数のリンクと、該リンク間を回動可能に接続する関節と、前記リンクの一方端に設けられた作業ツールとから成り、
前記各リンクのそれぞれに前記放射線自発光マーカを貼付け、前記位置姿勢推定部で前記放射線自発光マーカの位置を認識し、その認識位置が、予め設定されたロボットモデル上のマーカ位置に合うときの前記関節の状態量を導出することで前記遠隔制御ロボットの位置姿勢を推定すると共に、前記放射線自発光マーカの発光量を基に、前記周辺線量推定部で、予め設定された放射線量に対する発光量により前記遠隔制御ロボットの周辺線量を推定し、かつ、前記装置寿命推定部により推定された前記遠隔制御ロボットの周辺線量情報を用いて、前記遠隔制御ロボットが被爆した集積線量及び/又は瞬間線量を求め、予め設定された前記遠隔制御ロボットの故障閾値と比較することで装置寿命を推定することを特徴とする遠隔作業装置の監視方法。
【請求項10】
請求項
9に記載の遠隔作業装置の監視方法において、
前記リンクは3本から成り、それぞれの前記リンクに貼付けられた前記放射線自発光マーカは同色に色付けされ、その色付けされた前記放射線自発光マーカからの発光波長が1つの波長フィルタを透過し前記イメージセンサを通ることで、前記放射線自発光マーカの波長自発光を認識することを特徴とする遠隔作業装置の監視方法。
【請求項11】
請求項
9に記載の遠隔作業装置の監視方法において、
前記リンクは3本から成り、それぞれの前記リンクに貼付けられた前記放射線自発光マーカは3色に色付けされ、その3色に色付けされた前記放射線自発光マーカからのそれぞれの発光波長がそれぞれの波長フィルタを透過しそれぞれの前記イメージセンサを通ることで、それぞれの前記放射線自発光マーカの波長自発光を認識することを特徴とする遠隔作業装置の監視方法。
【請求項12】
請求項
9に記載の遠隔作業装置の監視方法において、
前記遠隔制御ロボットは、少なくとも2つの遠隔制御ロボットA及びBから成り、前記2つの遠隔制御ロボットA及びBの各リンクに貼付けられた前記放射線自発光マーカA及びBは異なる色に色付けされ、その異なる色に色付けされた前記放射線自発光マーカA及びBからのそれぞれの発光波長がそれぞれの波長フィルタを透過しそれぞれの前記イメージセンサを通ることで、それぞれの前記放射線自発光マーカの波長自発光を認識することを特徴とする遠隔作業装置の監視方法。
【請求項13】
請求項
9に記載の遠隔作業装置の監視方法において、
前記遠隔制御ロボットの各リンクに貼付けられた放射線自発光マーカと、前記遠隔制御ロボットで作業される作業対象物に貼付けられた放射線自発光マーカとが異なる色に色付けされ、その異なる色に色付けされた前記放射線自発光マーカと前記作業対象物に貼付けられた前記放射線自発光マーカからのそれぞれの発光波長がそれぞれの波長フィルタを透過しそれぞれの前記イメージセンサを通ることで、それぞれの前記放射線自発光マーカと前記作業対象物に貼付けられた前記放射線自発光マーカの波長自発光を認識することを特徴とする遠隔作業装置の監視方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は遠隔作業装置の監視装置及びその監視方法に係り、特に、人間の立ち入りが困難な災害現場等の未知な作業対象物の把持、切断、穿孔等の作業を、遠隔地から行うものに好適な遠隔作業装置の監視装置及びその監視方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、人間の立ち入りが困難な災害現場等の過酷環境において、状況を改善していくためには、遠隔地にいるオペレータが、遠隔操作装置を用いながら未知な作業対象物の把持、切断、穿孔等の作業を行う必要がある。
【0003】
その際、例えば、高放射線環境等の過酷環境では、遠隔作業装置に搭載されたセンサでは耐性がないため、遠隔作業装置に貼付けされたマーカ等を外部から検出するようにし、その外部センサからの情報により、遠隔作業装置の位置姿勢認識を行っている。
【0004】
ところが、従来では、遠隔作業装置の位置姿勢を認識するためには、反射マーカや発光マーカを必要とし、環境外乱光(マーカとは異なる光、例えば反射光)や電源ケーブルの敷設が必要になっていた。
【0005】
また、過酷環境において安全に作業するためには、遠隔作業装置の周辺の環境線量や装置自身の寿命を把握する必要があるが、新たに周辺環境線量や装置寿命推定のための装置を加えると、装置自体が大型化し作業が難しいものとなっていた。
【0006】
このようなことから、無電源で、かつ、簡易な構成で環境外乱光に耐性のある遠隔作業装置の位置姿勢及び周辺環境、装置寿命の推定手法が求められている。
【0007】
遠隔作業装置の監視方法に関する技術としては、例えば、特許文献1を挙げることができる。この特許文献1には、移動体に取り付けたマーカと、制御信号によりパン・チルト制御が可能な複数台の回転カメラ装置とを備え、回転カメラ装置からの画像信号を処理し、処理結果に応じて回転カメラ装置をマーカの方向へ回転移動させる監視技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、上記従来技術においては、電源供給ケーブルを必要とするマーカであり、寿命推定機能は搭載していないので、装置寿命を推定することはできないという課題がある。
【0010】
本発明は上述の点に鑑みなされたもので、その目的とするところは、人間の立ち入りが困難な過酷環境下であっても、電源供給ケーブルを必要とすることなく、簡易な構成で、かつ、精度良くロボットの位置姿勢を推定できることは勿論、周辺環境及び装置寿命を推定することができる遠隔作業装置の監視装置及びその監視方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の遠隔作業装置の監視装置は、上記目的を達成するために、遠隔制御ロボット上に貼付されたマーカと、該マーカからの発光波長が透過し波長自発光を認識するイメージセンサと、処理画像から前記遠隔制御ロボットの位置姿勢を推定する位置姿勢推定部とを備え、遠隔地から前記遠隔制御ロボットによる作業を監視する遠隔作業装置の監視装置であって、
前記マーカを放射線自発光マーカとし、前記放射線自発光マーカからのマーカ発光量の大小から前記遠隔制御ロボット周辺の線量を推定する周辺線量推定部と、該周辺線量推定部で推定した線量の多少から前記遠隔制御ロボットの寿命を推定する装置寿命推定部とを備え、
前記遠隔制御ロボットは、複数のリンクと、該リンク間を回動可能に接続する関節と、前記リンクの一方端に設けられた作業ツールとから成り、
前記各リンクのそれぞれに前記放射線自発光マーカを貼付け、前記位置姿勢推定部で前記放射線自発光マーカの位置を認識し、その認識位置が、予め設定されたロボットモデル上のマーカ位置に合うときの前記関節の状態量を導出することで前記遠隔制御ロボットの位置姿勢を推定すると共に、前記放射線自発光マーカの発光量を基に、前記周辺線量推定部で、予め設定された放射線量に対する発光量により前記遠隔制御ロボットの周辺線量を推定し、かつ、前記装置寿命推定部により推定された前記遠隔制御ロボットの周辺線量情報を用いて、前記遠隔制御ロボットが被爆した集積線量及び/又は瞬間線量を求め、予め設定された前記遠隔制御ロボットの故障閾値と比較することで装置寿命を推定することを特徴とする。
【0012】
また、本発明の遠隔作業装置の監視方法は、上記目的を達成するために、遠隔制御ロボット上に貼付されたマーカと、該マーカからの発光波長が透過し波長自発光を認識するイメージセンサと、処理画像から前記遠隔制御ロボットの位置姿勢を推定する位置姿勢推定部とを備え、遠隔地から前記遠隔制御ロボットによる作業を監視する遠隔作業装置の監視方法であって、
前記マーカを放射線自発光マーカとし、周辺線量推定部により前記放射線自発光マーカからのマーカ発光量の大小から前記遠隔制御ロボット周辺の線量を推定し、前記周辺線量推定部で推定した線量の多少から装置寿命推定部で、前記遠隔制御ロボットの寿命を推定し、
前記遠隔制御ロボットは、複数のリンクと、該リンク間を回動可能に接続する関節と、前記リンクの一方端に設けられた作業ツールとから成り、
前記各リンクのそれぞれに前記放射線自発光マーカを貼付け、前記位置姿勢推定部で前記放射線自発光マーカの位置を認識し、その認識位置が、予め設定されたロボットモデル上のマーカ位置に合うときの前記関節の状態量を導出することで前記遠隔制御ロボットの位置姿勢を推定すると共に、前記放射線自発光マーカの発光量を基に、前記周辺線量推定部で、予め設定された放射線量に対する発光量により前記遠隔制御ロボットの周辺線量を推定し、かつ、前記装置寿命推定部により推定された前記遠隔制御ロボットの周辺線量情報を用いて、前記遠隔制御ロボットが被爆した集積線量及び/又は瞬間線量を求め、予め設定された前記遠隔制御ロボットの故障閾値と比較することで装置寿命を推定することを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、人間の立ち入りが困難な過酷環境下であっても、電源供給ケーブルを必要とすることなく、簡易な構成で、かつ、精度良くロボットの位置姿勢を推定できることは勿論、周辺環境及び装置寿命を推定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の遠隔作業装置の監視装置の実施例1を示す概略構成図である。
【
図2】本発明の遠隔作業装置の監視装置の実施例1における取り込み画像と従来構成の取り込み画像を示す図である。
【
図3】本発明の遠隔作業装置の監視装置の実施例2を示す概略構成図である。
【
図4】本発明の遠隔作業装置の監視装置の実施例2における取り込み画像と従来構成の取り込み画像を示す図である。
【
図5】本発明の遠隔作業装置の監視装置の実施例3を示す概略構成図である。
【
図6】本発明の遠隔作業装置の監視装置の実施例3における取り込み画像と従来構成の取り込み画像を示す図である。
【
図7】本発明の遠隔作業装置の監視装置の実施例4を示す概略構成図である。
【
図8】本発明の遠隔作業装置の監視装置の実施例4における取り込み画像と従来構成の取り込み画像を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図示した実施例に基づいて本発明の遠隔作業装置の監視装置及びその監視方法を説明する。なお、各実施例において、同一構成部品には同符号を使用する。
【0016】
また、以下で説明する各実施例では、遠隔作業装置の状態認識において、高放射線環境にある遠隔作業装置の位置姿勢及び寿命、周辺環境の推定を実施する場合を例示しながら説明する。
【実施例1】
【0017】
図1に、本発明の遠隔作業装置の監視装置の実施例1を示す。
【0018】
図1に示すように、作業環境10には、遠隔制御ロボットである作業ロボット1が存在しており、この作業ロボット1で、例えば、作業対象物(例えば、プラント内の配管や構造物)の把持、切断、穿孔等の作業を実施する。
【0019】
本実施例では、作業ロボット1は、作業機構としてマニピュレータ型を有する構成としているが、それらに限定はしない。
【0020】
上述した作業ロボット1は、複数のリンク(本実施例では、3本のリンク1b1、1b2、1b3)と、これら3本のリンク1b1、1b2、1b3のリンク1b1と1b2間及びリンク1b2と1b3間を回動可能に接続する関節1aと、リンク1b1の端部に設けられた作業ツール1cとから構成され、各リンク1b1、1b2、1b3のそれぞれには、放射線自発光マーカである青色自発光マーカ2が貼付けられている。
【0021】
そして、本実施例の遠隔作業装置の監視装置は、青色自発光マーカ2と、青色自発光マーカ2からの発光波長が青色波長フィルタ3を透過し波長自発光を認識するイメージセンサ4と、処理画像から作業ロボット1の位置姿勢を推定する位置姿勢推定部5と、青色自発光マーカ2からのマーカ発光量の大小から作業ロボット1周辺の線量を推定する周辺線量推定部6と、この周辺線量推定部6で推定した線量の多少から作業ロボット1の寿命を推定する装置寿命推定部7とから概略構成されている。
【0022】
即ち、位置姿勢推定部5で青色自発光マーカ2の位置を認識し、その認識位置が、予め設定されたロボットモデル上のマーカ位置に合うときの関節1aの状態量を導出することで作業ロボット1の位置姿勢を推定すると共に、青色自発光マーカ2の発光量を基に、周辺線量推定部6で、予め設定された放射線量に対する発光量により作業ロボット1の周辺線量を推定し、かつ、装置寿命推定部7により推定された作業ロボット1の周辺線量情報を用いて、作業ロボット1が被爆した集積線量や瞬間線量を求め、予め設定された作業ロボット1の故障閾値と比較することで装置寿命を推定するものである。
【0023】
本実施例では、3本のリンク1b1、1b2、1b3のそれぞれに貼付けられた青色自発光マーカ2は同色(青色)に色付けされ、その青色に色付けされた青色自発光マーカ2からの発光波長が1つの青色波長フィルタ3を透過しイメージセンサ4を通ることで、青色自発光マーカ2の波長自発光が認識される。
【0024】
つまり、本実施例では、作業ロボット1の位置姿勢を推定するとき、位置姿勢推定部5において、作業ロボット1のリンク1b1、1b2、1b3に貼付された青色自発光マーカ2の認識位置が、既知のロボットモデル上のマーカ位置に合うときの関節1aの状態量を導出することで、位置姿勢を推定する。合わせて、青色自発光マーカ2の発光量を基に、周辺線量推定部6において、既知の放射線量に対する発光量を用いることで、作業ロボット1の周辺線量を推定するものである。
【0025】
また、装置寿命推定部7において、推定された周辺線量情報を用いて、作業ロボット1が被爆した集積線量や瞬間線量を求め、既知のロボットの故障閾値と比較することで、装置寿命を推定する。
【0026】
作業中は、作業ロボット1に貼付した青色自発光マーカ2の自発光波長を透過する青色波長フィルタ3を用いて、放射線自発光マーカ2の位置、発光のみをイメージセンサ4を通して、環境外乱光(マーカとは異なる光、例えば反射光)8を除いて情報を取得している。
【0027】
なお、本実施例では、青色波長フィルタ3を用いているが、イメージセンサ4で取得した後に、画像処理することで特定波長を取得しても良い。
【0028】
また、本実施例における青色自発光マーカ2は、シンチレータ、夜光塗料、放射線により発光する素子を含み、青色波長フィルタ3は、青色自発光マーカ2の発光波長が透過する光学フィルタ、コンピュータ上での画像処理を含むものである。
【0029】
このような本実施例の構成とすることによる効果は、以下の通りである。
【0030】
即ち、従来技術においては、作業ロボット1の位置姿勢を認識するため、
図2の(a)に示すように、反射マーカや発光マーカを必要とし、環境外乱光や電源ケーブルの敷設が必要になっていた。また、過酷環境において安全に作業するために、作業ロボット1の周辺の環境線量や装置自身の寿命を把握する必要がある。更に、新たに周辺環境線量や装置寿命推定のための装置を加えると、装置自体が大型化し作業が難しいものとなっていた。
【0031】
これに対して、本実施例の遠隔作業装置の監視装置とすることにより、
図2の(b)に示すように、青色自発光マーカ2のみの画像を取り込みことが可能となり、この青色自発光マーカ2からの発光量と検出位置に基づいて、作業ロボット1の位置姿勢及び周辺環境、装置寿命を推定することが可能となる。
【0032】
従って、本実施例によれば、人間の立ち入りが困難な過酷環境下であっても、電源供給ケーブルを必要とすることなく、簡易な構成で、かつ、精度良くロボット位置の姿勢を推定できることは勿論、周辺環境及び装置寿命を推定することができる。
【実施例2】
【0033】
図3に、本発明の遠隔作業装置の監視装置の実施例2を示す。
【0034】
該図に示す本実施例の遠隔作業装置の監視装置は、3本のリンク1b1、1b2、1b3のそれぞれに貼付けられた放射線自発光マーカが、青色、緑色、黄色の3色に色付けされた青色自発光マーカ2a、緑色自発光マーカ2b、黄色自発光マーカ2cから成り、この3色に色付けされた青色自発光マーカ2a、緑色自発光マーカ2b、黄色自発光マーカ2cからのそれぞれの発光波長が、それぞれの波長フィルタである青色波長フィルタ3a、緑色波長フィルタ3b、黄色波長フィルタ3cを透過し、それぞれのイメージセンサ4a、4b、4cを通ることで、それぞれの青色自発光マーカ2a、緑色自発光マーカ2b、黄色自発光マーカ2cの波長自発光が認識される。
【0035】
青色自発光マーカ2a、緑色自発光マーカ2b、黄色自発光マーカ2cの波長自発光が、イメージセンサ4a、4b、4cで認識された以降の位置姿勢推定部5、周辺線量推定部6及び装置寿命推定部7の動作は、実施例と同様である。
【0036】
即ち、作業ロボット1の位置姿勢を推定するとき、位置姿勢推定部5において、作業ロボット1のリンク1b1、1b2、1b3に貼付された青色自発光マーカ2a、緑色自発光マーカ2b、黄色自発光マーカ2cの位置を認識する。そのとき、作業ロボット1のリンク1b1、1b2、1b3毎に青色自発光マーカ2a、緑色自発光マーカ2b、黄色自発光マーカ2cを用いることで、リンク1b1、1b2、1b3毎に精度良く位置姿勢を認識する。
【0037】
作業中は、作業ロボット1に貼付した3色の青色自発光マーカ2a、緑色自発光マーカ2b、黄色自発光マーカ2cの自発光波長を透過するそれぞれの青色波長フィルタ3a、緑色波長フィルタ3b、黄色波長フィルタ3cを用い、イメージセンサ4a、4b、4cを通して、環境外乱光8を除いて情報を取得する。
【0038】
なお、本実施例では、青色波長フィルタ3a、緑色波長フィルタ3b、黄色波長フィルタ3cを用いているが、イメージセンサ4a、4b、4cで取得した後に、画像処理することで特定波長を取得しても良い。
【0039】
また、本実施例における青色自発光マーカ2a、緑色自発光マーカ2b、黄色自発光マーカ2cは、シンチレータ、夜光塗料、放射線により発光する素子を含み、青色波長フィルタ3a、緑色波長フィルタ3b、黄色波長フィルタ3cは、青色自発光マーカ2a、緑色自発光マーカ2b、黄色自発光マーカ2cの発光波長が透過する光学フィルタ、コンピュータ上での画像処理を含むものである。
【0040】
このような本実施例の構成とすることによる効果は、以下の通りである。
【0041】
即ち、従来技術においては、作業ロボット1の位置姿勢を認識するため、
図4の(a)に示すように、反射マーカや発光マーカを必要とし、環境外乱光や電源ケーブルの敷設が必要になっていた。また、過酷環境において安全に作業するために、作業ロボット1の周辺の環境線量や装置自身の寿命を把握する必要がある。更に、新たに周辺環境線量や装置寿命推定のための装置を加えると、装置自体が大型化し作業が難しいものとなっていた。
【0042】
これに対して、本実施例の遠隔作業装置の監視装置とすることにより、
図4の(b)に示すように、青色波長フィルタ3a、緑色波長フィルタ3b、黄色波長フィルタ3cのみの画像を取り込みことが可能となり、この青色波長フィルタ3a、緑色波長フィルタ3b、黄色波長フィルタ3cからの発光量と検出位置に基づいて、作業ロボット1の位置姿勢及び周辺環境、装置寿命を推定することが可能となる。
【0043】
従って、本実施例によれば、人間の立ち入りが困難な過酷環境下であっても、電源供給ケーブルを必要とすることなく、簡易な構成で、かつ、精度良くロボット位置の姿勢を推定できることは勿論、周辺環境及び装置寿命を推定することができる。
【実施例3】
【0044】
図5に、本発明の遠隔作業装置の監視装置の実施例3を示す。
【0045】
該図に示す本実施例では、作業ロボットは、2つの作業ロボット1A及び1Bから成り、これら2つの作業ロボット1A及び1Bの各リンク1b1、1b2、1b3及び1b1´、1b2´、1b3´には、異なる色の青色と緑色に色付けされた青色自発光マーカ2と緑色自発光マーカ2´が貼付けられている。
【0046】
そして、その異なる色に色付けされた青色自発光マーカ2と緑色自発光マーカ2´からのそれぞれの発光波長が、それぞれの青色波長フィルタ3aと緑色波長フィルタ3bを透過しそれぞれのイメージセンサ4aと4bを通ることで、それぞれの青色自発光マーカ2と緑色自発光マーカ2´の波長自発光が認識される。
【0047】
青色自発光マーカ2と緑色自発光マーカ2´の波長自発光が、イメージセンサ4aと4bで認識された以降の位置姿勢推定部5、周辺線量推定部6及び装置寿命推定部7の動作は、実施例と同様である。
【0048】
即ち、作業ロボット1A及び1Bの位置姿勢を推定するとき、位置姿勢推定部5において、作業ロボット1A及び1Bのリンク1b1、1b2、1b3及び1b1´、1b2´、1b3´に貼付けられた青色自発光マーカ2及び緑色自発光マーカ2´の位置を認識する。そのとき、作業ロボット1A及び1B毎に青色自発光マーカ2及び緑色自発光マーカ2´を用いることで、作業ロボット1A及び1B毎に精度良く位置姿勢を認識する。
【0049】
作業中は、作業ロボット1A及び1Bに貼付けれた青色自発光マーカ2及び緑色自発光マーカ2´の自発光波長を透過するそれぞれの青色波長フィルタ3a及び緑色波長フィルタ3bを用い、イメージセンサ4a及び4bを通して、環境外乱光8を除いて情報を取得する。
【0050】
なお、本実施例では、青色波長フィルタ3a及び緑色波長フィルタ3bを用いているが、イメージセンサ4a、4bで取得した後に、画像処理することで特定波長を取得しても良い。
【0051】
また、本実施例における青色自発光マーカ2及び緑色自発光マーカ2´は、シンチレータ、夜光塗料、放射線により発光する素子を含み、青色波長フィルタ3a及び緑色波長フィルタ3bは、青色自発光マーカ2及び緑色自発光マーカ2´の発光波長が透過する光学フィルタ、コンピュータ上での画像処理を含むものである。
【0052】
このような本実施例の構成とすることによる効果は、以下の通りである。
【0053】
即ち、従来技術においては、作業ロボット1A及び1Bの位置姿勢を認識するため、
図6の(a)に示すように、反射マーカや発光マーカを必要とし、環境外乱光や電源ケーブルの敷設が必要になっていた。また、過酷環境において安全に作業するために、作業ロボット1A及び1Bの周辺の環境線量や装置自身の寿命を把握する必要がある。更に、新たに周辺環境線量や装置寿命推定のための装置を加えると、装置自体が大型化し作業が難しいものとなっていた。
【0054】
これに対して、本実施例の遠隔作業装置の監視装置とすることにより、
図6の(b)に示すように、青色自発光マーカ2及び緑色自発光マーカ2´のみの画像を取り込みことが可能となり、この青色自発光マーカ2及び緑色自発光マーカ2´からの発光量と検出位置に基づいて、作業ロボット1A及び1Bの位置姿勢及び周辺環境、装置寿命を推定することが可能となる。
【0055】
従って、本実施例によれば、人間の立ち入りが困難な過酷環境下であっても、電源供給ケーブルを必要とすることなく、簡易な構成で、かつ、精度良くロボット位置の姿勢を推定できることは勿論、周辺環境及び装置寿命を推定することができる。
【実施例4】
【0056】
図7に、本発明の遠隔作業装置の監視装置の実施例4を示す。
【0057】
該図に示す本実施例の遠隔作業装置の監視装置は、作業ロボット1の各リンク1b1、1b2、1b3に貼付けられた青色自発光マーカ2と、作業ロボット1で作業される作業対象物(例えば、プラント内のパイプや構造物)9に貼付けられた緑色自発光マーカ2bとが異なる色に色付けされ、その異なる色に色付けされた青色自発光マーカ2と緑色自発光マーカ2bからのそれぞれの発光波長がそれぞれの青色波長フィルタ3a及び緑色波長フィルタ3bを透過しそれぞれのイメージセンサ4a及び4bを通ることで、それぞれの青色自発光マーカ2と緑色自発光マーカ2bの波長自発光を認識する。
【0058】
青色自発光マーカ2と緑色自発光マーカ2bの波長自発光が、イメージセンサ4aと4bで認識された以降の位置姿勢推定部5、周辺線量推定部6及び装置寿命推定部7の動作は、実施例と同様である。
【0059】
即ち、作業ロボット1の位置姿勢を推定するとき、位置姿勢推定部5において、作業ロボット1のリンク1b1、1b2、1b3に貼付けられた青色自発光マーカ2と作業対象物9に貼付けられた緑色自発光マーカ2bの位置を認識する。そのとき、作業ロボット1のリンク1b1、1b2、1b3に青色自発光マーカ2を、作業対象物9に緑色自発光マーカ2bを用いることで、作業ロボット1と作業対象物9に精度良く位置姿勢を認識する。
【0060】
作業中は、作業ロボット1に貼付けれた青色自発光マーカ2と作業対象物9に貼付けられた緑色自発光マーカ2bの自発光波長を透過するそれぞれの青色波長フィルタ3aと緑色波長フィルタ3bを用い、イメージセンサ4a及び4bを通して、環境外乱光8を除いて情報を取得する。
【0061】
なお、本実施例では、青色波長フィルタ3a及び緑色波長フィルタ3bを用いているが、イメージセンサ4a及び4bで取得した後に、画像処理することで特定波長を取得しても良い。
【0062】
また、本実施例における青色自発光マーカ2及び緑色自発光マーカ2bは、シンチレータ、夜光塗料、放射線により発光する素子を含み、青色波長フィルタ3a及び緑色波長フィルタ3bは、青色自発光マーカ2及び緑色自発光マーカ2bの発光波長が透過する光学フィルタ、コンピュータ上での画像処理を含むものである。
【0063】
このような本実施例の構成とすることによる効果は、以下の通りである。
【0064】
即ち、従来技術においては、作業ロボット1の位置姿勢を認識するため、
図8の(a)に示すように、反射マーカや発光マーカを必要とし、環境外乱光や電源ケーブルの敷設が必要になっていた。また、過酷環境において安全に作業するために、作業ロボット1の周辺の環境線量や装置自身の寿命を把握する必要がある。更に、新たに周辺環境線量や装置寿命推定のための装置を加えると、装置自体が大型化し作業が難しいものとなっていた。
【0065】
これに対して、本実施例の遠隔作業装置の監視装置とすることにより、
図8の(b)に示すように、青色自発光マーカ2及び緑色自発光マーカ2bのみの画像を取り込むことが可能となり、この青色自発光マーカ2及び緑色自発光マーカ2bからの発光量と検出位置に基づいて、作業ロボット1の位置姿勢及び周辺環境、装置寿命を推定することが可能となる。
【0066】
従って、本実施例によれば、人間の立ち入りが困難な過酷環境下であっても、電源供給ケーブルを必要とすることなく、簡易な構成で、かつ、精度良くロボット位置の姿勢を推定できることは勿論、周辺環境及び装置寿命を推定することができる。
【0067】
なお、上記した実施例は本発明を分かり易く説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成を置き換えることが可能であり、また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることも可能である。また、各実施例の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
【符号の説明】
【0068】
1、1A、1B…作業ロボット、1a…関節、1b1、1b2、1b3、1b1´、1b2´、1b3´…リンク、1c…作業ツール、2、2a、2´…青色自発光マーカ、2b…緑色自発光マーカ、2c…黄色自発光マーカ、3、3a…青色波長フィルタ、3b…緑色波長フィルタ、3c…黄色波長フィルタ、4、4a、4b、4c…イメージセンサ、5…位置姿勢推定部、6…周辺線量推定部、7…装置寿命推定部、8…環境外乱光、9…作業対象物、10…作業環境。