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特許6993989高温アニーリングを用いた積層缶端部原料
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-14
(45)【発行日】2022-01-14
(54)【発明の名称】高温アニーリングを用いた積層缶端部原料
(51)【国際特許分類】
   B32B 15/09 20060101AFI20220106BHJP
   B32B 27/36 20060101ALI20220106BHJP
   B32B 37/06 20060101ALI20220106BHJP
   B32B 37/04 20060101ALI20220106BHJP
   C23C 26/00 20060101ALI20220106BHJP
   C23C 28/00 20060101ALI20220106BHJP
   B65D 8/00 20060101ALI20220106BHJP
【FI】
B32B15/09 A
B32B27/36
B32B37/06
B32B37/04
C23C26/00 A
C23C28/00 Z
B65D8/00 A
【請求項の数】 22
(21)【出願番号】P 2018559291
(86)(22)【出願日】2017-05-05
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-06-27
(86)【国際出願番号】 US2017031289
(87)【国際公開番号】W WO2017196664
(87)【国際公開日】2017-11-16
【審査請求日】2018-11-09
(31)【優先権主張番号】62/334,198
(32)【優先日】2016-05-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】506110243
【氏名又は名称】ノベリス・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】NOVELIS INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100106518
【弁理士】
【氏名又は名称】松谷 道子
(74)【代理人】
【識別番号】100088801
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 宗雄
(72)【発明者】
【氏名】ペーター・シュパーン
(72)【発明者】
【氏名】ハインリヒ・プリンツホルン
(72)【発明者】
【氏名】ニコラス・ツェー・カンプ
(72)【発明者】
【氏名】ディレン・ブーパトラル・ルパレリア
【審査官】深谷 陽子
(56)【参考文献】
【文献】特表平02-501638(JP,A)
【文献】特開2006-321237(JP,A)
【文献】特開2004-122577(JP,A)
【文献】特開平09-001734(JP,A)
【文献】特開平04-201237(JP,A)
【文献】特開2001-121648(JP,A)
【文献】特開2008-296439(JP,A)
【文献】特開平09-263923(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B32B 1/00-43/00
B29C 63/00-63/48、65/00-65/82
C23C 24/00-30/00
B65D 8/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
缶端部原料を調製するための方法であって、
金属ストリップを250℃を下回る第1の温度に予熱することと、
ポリマーフィルムを前記金属ストリップの第1の側面に積層して、積層金属ストリップを製造することであって、前記ポリマーフィルムの主要構成要素が、前記第1の温度を上回る融解温度を有することと、
前記ポリマーフィルムの融解温度よりも高いアニーリング温度で前記積層金属ストリップをアニーリングすることと、を含み、
前記積層金属ストリップをアニーリングすることが、前記ポリマーフィルムを前記金属ストリップの表面テクスチャへ融解するのに十分な時間の間、前記ポリマーフィルムの温度を上昇させることを含み、
前記ポリマーフィルムを前記金属ストリップの前記第1の側面に積層する前に、前記金属ストリップの表面粗さの高さを前記ポリマーフィルムの接触層の厚さより低い値に減少させることをさらに含む、方法。
【請求項2】
前記金属ストリップが、アルミニウムストリップである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記金属ストリップが、AA5182アルミニウム合金である、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
化成コーティングを前記金属ストリップに適用することをさらに含み、前記ポリマーフィルムを前記金属ストリップの前記第1の側面に積層することが、前記ポリマーフィルムを前記化成コーティングに積層することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記ポリマーフィルムを積層することが、ポリエチレンテレフタレートフィルムを前記金属ストリップに積層することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
ラッカーの層または別のポリマーフィルムの層を前記金属ストリップの第2の側面に適用することをさらに含み、前記金属ストリップの前記第1の側面が、前記金属ストリップから形成された缶端部の内面側に相当し、前記金属ストリップの前記第2の側面が、前記金属ストリップから形成された缶端部の外面側に相当する、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記積層金属ストリップをアニーリングすることが、前記ポリマーフィルムの前記温度を少なくとも250℃に上昇させることを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記積層金属ストリップをアニーリングすることが、前記ポリマーフィルムの前記温度を少なくとも265℃に上昇させることを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記積層金属ストリップをアニーリングすることが、前記ポリマーフィルムの前記温度を少なくとも280℃に上昇させることを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記積層金属ストリップをアニーリング後、前記積層金属ストリップを冷却して、前記ポリマーフィルムが非晶質であることを確実に維持することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記積層金属ストリップのアニーリング後、潤滑剤を前記積層金属ストリップに適用することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
システムであって、
金属ストリップを受容し、前記金属ストリップを予熱温度に予熱するための予熱炉と、
前記予熱温度で前記金属ストリップを受容し、ポリマーフィルムを前記金属ストリップの第1の側面に適用するための、前記予熱炉の下流に位置する積層システムであって、前記予熱温度が、前記ポリマーフィルムの主要構成要素の融解温度を下回る、積層システムと、
積層金属ストリップを受容し、前記積層金属ストリップをアニーリング温度に加熱するための、前記積層システムの下流に位置するアニール炉であって、前記アニーリング温度が、前記ポリマーフィルムの前記主要構成要素の前記融解温度よりも高い、アニール炉と、を備え
前記アニール炉が、前記ポリマーフィルムを前記金属ストリップの表面テクスチャへ融解するのに十分な時間の間、前記ポリマーフィルムの前記温度を上昇させるように構成されていて、
前記金属ストリップの表面粗さを調整するための表面粗さ調整器をさらに備え、前記表面粗さ調整器が、前記積層システムの上流に配置されていて、前記ポリマーフィルムの接触層の厚さより低い値に前記表面粗さの高さを減少させるように構成されている、システム。
【請求項13】
前記金属ストリップが、アルミニウムストリップである、請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
前記金属ストリップが、AA5182アルミニウム合金である、請求項12に記載のシステム。
【請求項15】
化成コーティングを前記金属ストリップに適用するための化成コーティング適用システムをさらに備え、前記積層システムが、前記ポリマーフィルムを前記化成コーティングに適用するように構成されている、請求項12に記載のシステム。
【請求項16】
前記積層システムが、ポリエチレンテレフタレートフィルムの供給源に連結されている、請求項12に記載のシステム。
【請求項17】
ラッカーの層を前記金属ストリップの第2の側面に適用するためのラッカー適用システムをさらに備える、請求項12に記載のシステム。
【請求項18】
前記積層システムが、前記第1の側面に対向する前記金属ストリップの第2の側面に追加のポリマーフィルムを適用するように構成されている、請求項12に記載のシステム。
【請求項19】
前記アニール炉が、前記ポリマーフィルムを前記金属ストリップの表面テクスチャへ融解するのに十分な時間の間、前記ポリマーフィルムの前記温度を上昇させるのに十分な長さを有する、請求項12に記載のシステム。
【請求項20】
前記アニール炉が、前記ポリマーフィルムの前記温度を少なくとも250℃に上昇させるのに十分な熱を提供するように構成されている、請求項12に記載のシステム。
【請求項21】
前記アニール炉が、前記ポリマーフィルムの前記温度を少なくとも265℃に上昇させるのに十分な熱を提供するように構成されている、請求項12に記載のシステム。
【請求項22】
前記アニール炉が、前記ポリマーフィルムの前記温度を少なくとも280℃に上昇させるのに十分な熱を提供するように構成されている、請求項12に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して金属加工、より具体的には金属ストリップの積層及び前処理に関する。
【背景技術】
【0002】
アルミニウム飲料缶などのある特定の金属製品は、金属とその内容物との間にポリマーコーティングなどの保護層を必要とし得る。例えば、ソーダ及びコーラなどの刺激のある飲料からの金属の損傷を回避するために、ならびに変色または味の変化など飲料にとって望ましくない効果を回避するために、飲料缶は、多くの場合、飲料缶の金属とその中に含有される飲料との間に十分な保護を提供しなければならない。
【0003】
多くの場合、その基本的な特性に関して、保護層には要件が設定される。様々な要件を満たす積層金属製品を製造することが望ましい場合がある。場合によっては、金属製品をラッカー塗装するよりもむしろ金属製品を積層することが望ましい場合がある。
【0004】
例えば、飲料缶に使用される、ある特定の缶端部原料(CES)は、最大量未満のフェザリング及び最大量未満のブラッシングを有する保護層を有しなければならない。フェザリングとは、特に飲料缶を開けたときに作り出される、開口部などの金属における破断部での、保護層の伸長及び剥離を意味し得る。ブラッシングとは、保護層の変色を意味し得、かかる変色は、コーティングされた金属が、例えば低温殺菌または消毒プロセス中に特定の媒体中で高温に供されるときに、起こり得る。低温殺菌プロセス中、変色しないことが望ましい場合がある。場合によっては、保護層は、酢酸試験などの酸性試験に耐えなければならない。コーティングされた金属ストリップは、1つ以上のこれら及び他の要件に適合する必要があり得る。
【0005】
ポリマーで積層された金属シートが確実に所望の要件を満たすために、金属の選択及び予備形成の処理プロセスに対して、ある特定の制限が設定されなければならないと主張されている。これらの制限としては、ポリマー選択における制限、過失の起こる可能性の少ない厳しい温度規制、及び他のかかる制限が挙げられる。
【0006】
US5,582,319は、ポリマーフィルムコーティング金属シートを製造するためのプロセスについて記載しており、非晶質ポリマーの使用は、過度に弾力性であり、缶の開口時に非常に多くのフェザリングが作り出され得るため、及び例えば低温殺菌中にポリマーの結晶化機構によるブラッシングが過度に顕著であるため、望ましくないと述べている。記載されるプロセスは、主なポリマー層の融点を下回るアニーリングプロセス温度を維持して、低温殺菌後のフェザリング及びブラッシングなどのCES要件への適合を達成することを含む。さらに、同‘319特許に開示されるアルミニウム合金は、低範囲のMg含有量を有し、標準的な工業合金AA5182の範疇に入らず、それにより製品特性に影響する。
【0007】
所望の要件を満たすか、またはそれを上回ることができる積層金属製品を提供することが望ましい場合がある。非晶質ポリマーを使用して、この積層金属製品を作り出すことが望ましいであろう。
【発明の概要】
【0008】
実施形態という用語及び同様の用語は、本開示の主題及び以下の特許請求の範囲全てを広義に指すことが意図される。これらの用語を含む陳述は、本明細書に記載の主題を限定するものではなく、または下記の特許請求の意味または範囲を限定するものではないと理解されるべきである。本明細書が包含する本開示の実施形態は、この発明の概要ではなく、以下の特許請求の範囲によって定義される。本発明の概要は、本開示の様々な態様の高いレベルの概要であり、以下の発明を実施するための形態の項でさらに説明されるいくつかの概念を紹介するものである。本発明の概要は、特許請求された主題の鍵となる特徴または必須の特徴を特定することを意図するものでも、特許請求された主題の範囲を決定するために単独で使用されることを意図するものでもない。主題は、本開示の明細書全体の適切な一部分、任意または全ての図面及び各請求項を参照することによって理解されるべきである。
【0009】
本開示の実施形態は、缶端部原料を調製するための方法であって、金属ストリップを第1の温度250℃を下回って予熱することと、金属ストリップの第1の側面にポリマーフィルムを積層して積層金属ストリップを製造することであって、ポリマーフィルムの主要構成要素が第1の温度を上回る融解温度を有する、製造することと、積層金属ストリップをアニーリング温度でアニーリングすることであって、アニーリング温度がポリマーフィルムの融解温度よりも高い、アニーリングすることと、を含む、方法を含む。
【0010】
場合によっては、金属ストリップは、AA5182アルミニウム合金などのアルミニウムストリップである。場合によっては、方法は、化成コーティングを金属ストリップに適用することを含み得、ポリマーフィルムを金属ストリップの第1の側面に積層することが、ポリマーフィルムを化成コーティングに積層することを含む。場合によっては、ポリマーフィルムを積層することは、ポリエチレンテレフタレートフィルムを金属ストリップに積層することを含む。場合によっては、方法は、ラッカーの層または別のポリマーフィルムの層を金属ストリップの第2の側面に適用することを含み、金属ストリップの第1の側面が、金属ストリップから形成された缶端部の内面側に相当し、金属ストリップの第2の側面が、金属ストリップから形成された缶端部の外面側に相当する。場合によっては、積層金属ストリップをアニーリングすることは、ポリマーフィルムを金属ストリップの表面テクスチャへ融解するのに十分な時間の間、ポリマーフィルムの温度を上昇させることを含む。場合によっては、積層金属ストリップをアニーリングすることは、ポリマーフィルムの温度を少なくとも250℃に上昇させることを含む。場合によっては、積層金属ストリップをアニーリングすることは、ポリマーフィルムの温度を少なくとも265℃に上昇させることを含む。場合によっては、積層金属ストリップをアニーリングすることは、ポリマーフィルムの温度を少なくとも280℃に上昇させることを含む。場合によっては、方法は、積層金属ストリップをアニーリング後、積層金属ストリップを冷却して確実にポリマーフィルムが非晶質であることを維持することを含み得る。場合によっては、方法は、積層金属ストリップのアニーリング後、潤滑剤を積層金属ストリップに適用することを含み得る。場合によっては、方法は、試験された性能に基づいて複数の化成層パラメータ候補から化成層パラメータを選択することと、ポリマーフィルムを金属ストリップの第1の側面に積層する前に、化成層パラメータに従って化成層を金属ストリップに適用することと、を含み得る。場合によっては、試験される性能は、ブラッシング性能である。
【0011】
本開示の実施形態は、化成層パラメータを決定するための方法であって、複数の化成層パラメータ候補を決定することと、前述の方法に従って複数の化成層パラメータ候補の各々に対して、缶端部原料試料を調製することと、各々の缶端部原料試料のブラッシング性能を評価することと、評価されたブラッシング性能に基づいて、複数の化成層パラメータ候補から化成層パラメータを選択することと、を含む、方法を含む。
【0012】
場合によっては、方法は、ポリマーフィルムを金属ストリップの第1の側面に積層する前に、金属ストリップの表面粗さを調整することを含み得る。場合によっては、表面粗さを調整することは、ポリマーフィルムの接触層の厚さよりも低い値に表面粗さの高さを減少させることを含む。場合によっては、ポリマーフィルムを金属ストリップの第1の側面に積層することは、中空金属コアを取り囲む圧縮可能な層を有するアプリケータローラを使用して、ポリマーフィルムを金属ストリップの第1の側面に対して圧縮することと、中空金属コアに流体を通過させて圧縮可能な層の温度を制御することと、を含む。場合によっては、方法は、ポリマーフィルムを金属ストリップの第1の側面に積層する前に、圧縮可能な層を予熱することを含み得る。場合によっては、中空金属コアに流体を通過させることは、流体を冷却して圧縮可能な層の内面から熱を抽出して、圧縮可能な層の内面と圧縮可能な層の外面との間の熱勾配を生じることを含む。場合によっては、流体を冷却することは、流体の温度を十分に低減して、圧縮可能な層の内面の内側温度を最大設定点を下回って、かつ圧縮可能な層の外面の外側温度を最小設定点を上回って維持することを含む。場合によっては、方法は、圧縮可能な層の温度を測定することと、圧縮可能な層の温度に基づいて、流体の温度または体積流量を調整することと、を含み得る。
【0013】
本開示の実施形態は、前述の方法に従って調製される缶端部原料製品を含む。本開示の実施形態は、本体片及び端部キャップを備え、端部キャップが、前述の方法に従って調製された缶端部原料から形成される、飲料缶を含む。
【0014】
本開示の実施形態は、金属ストリップを受容し、金属ストリップを予熱温度に予熱するための予熱炉と、予熱温度で金属ストリップを受容し、ポリマーフィルムを金属ストリップの第1の側面に適用するための、予熱炉の下流に位置する積層システムであって、予熱温度がポリマーフィルムの主要構成要素の融解温度を下回る、積層システムと、積層金属ストリップを受容し、積層金属ストリップをアニーリング温度に加熱するための、積層システムの下流に位置するアニール炉であって、アニーリング温度がポリマーフィルムの主要構成要素の融解温度よりも高い、アニール炉と、を含む、システムを含む。
【0015】
場合によっては、金属ストリップは、AA5182アルミニウム合金などのアルミニウムストリップである。場合によっては、システムは、化成コーティングを金属ストリップに適用するための化成コーティング適用システムを含み、積層システムが、ポリマーフィルムを化成コーティングに適用するように構成される。場合によっては、積層システムは、ポリエチレンテレフタレートフィルムの供給源に連結される。場合によっては、システムは、ラッカーの層を金属ストリップの第2の側面に適用するためのラッカー適用システムを含む。場合によっては、積層システムは、第1の側面に対向する金属ストリップの第2の側面に追加のポリマーフィルムを適用するように構成される。場合によっては、アニール炉は、ポリマーフィルムを金属ストリップの表面テクスチャへ融解するのに十分な時間の間、ポリマーフィルムの温度を上昇させるのに十分な長さを有する。場合によっては、アニール炉は、ポリマーフィルムの温度を少なくとも250℃に上昇させるのに十分な熱を提供するように構成される。場合によっては、アニール炉は、ポリマーフィルムの温度を少なくとも265℃に上昇させるのに十分な熱を提供するように構成される。場合によっては、アニール炉は、ポリマーフィルムの温度を少なくとも280℃に上昇させるのに十分な熱を提供するように構成される。場合によっては、システムは、試験された性能に基づいて、複数の化成層パラメータ候補から選択された化成層パラメータに従って、化成層を金属ストリップに適用するための化成層アプリケータを含む。場合によっては、システムは、金属ストリップの表面粗さを調整するための表面粗さ調整器を含み、表面粗さ調整器が、積層システムの上流に配置される。場合によっては、表面粗さ調整器は、ポリマーフィルムの接触層の厚さよりも低い値に表面粗さの高さを減少させるように構成される。場合によっては、積層システムは、中空金属コアを取り囲む圧縮可能な層を含むアプリケータローラと、中空金属コアの通路に冷却剤を提供して圧縮可能な層の温度を制御するための冷却剤源と、を備える。場合によっては、システムは、圧縮可能な層に隣接して位置して、圧縮可能な層を予熱する外部加熱器を備える。場合によっては、積層システムは、冷却剤源によって提供される冷却剤の体積流量または温度を調整して、圧縮可能な層の内面及び圧縮可能な層の外面にわたる温度勾配を維持するための、冷却剤源に連結されたコントローラをさらに備える。場合によっては、積層システムは、圧縮可能な層の温度に関連する温度信号を提供するための、コントローラに連結された温度センサをさらに備える。場合によっては、積層システムは、モデルを含有するデータストアをさらに含み、コントローラが、データストアに連結されて、モデルに基づいて冷却剤源を制御する。場合によっては、積層システムは、冷却剤源によって提供される冷却剤の体積流量または温度を調整して、圧縮可能な層の内面の内側温度を最大設定点を下回って、かつ圧縮可能な層の外面の外側温度を最小設定点を上回って維持するための、冷却剤源に連結されたコントローラをさらに備える。
【0016】
本開示の実施形態は、金属を積層するための方法であって、中空金属コアを取り囲む圧縮可能な層を有するアプリケータローラを使用して、予熱された金属ストリップの第1の側面に対してポリマーフィルムを圧縮することと、中空金属コアに流体を通過させて圧縮可能な層の温度を制御することと、を含む、方法を含む。場合によっては、方法は、ポリマーフィルムを金属ストリップの第1の側面に積層する前に、圧縮可能な層を予熱することを含む。場合によっては、圧縮可能な層を予熱することは、中空金属コアに加熱された流体を通過させることを含む。場合によっては、圧縮可能な層を加熱することは、圧縮可能な層を外部から加熱することを含む。場合によっては、中空金属コアに流体を通過させることは、流体を冷却して圧縮可能な層の内面から熱を抽出して、圧縮可能な層の内面と圧縮可能な層の外面との間の熱勾配を生じることを含む。場合によっては、流体を冷却することは、流体の温度を十分に低減して、圧縮可能な層の内面の内側温度を最大設定点を下回って、かつ圧縮可能な層の外面の外側温度を最小設定点を上回って維持することを含む。場合によっては、方法は、圧縮可能な層の温度を測定することと、圧縮可能な層の温度に基づいて、流体の温度または体積流量を調整することと、を含む。場合によっては、圧縮可能な層の温度を測定することは、圧縮可能な層の温度測定値を温度センサから受信することを含む。場合によっては、圧縮可能な層の温度を測定することは、圧縮可能な層近辺の要素の温度測定値を温度センサから受信することを含む。場合によっては、圧縮可能な層の温度を測定することは、モデルにアクセスすることを含む。場合によっては、方法は、予熱された金属ストリップのライン速度の変化を検知することと、ライン速度の変化に基づいて流体の温度または体積流量を調整することと、を含む。
【0017】
本明細書は、以下の添付の図を参照し、異なる図における同じ参照番号の使用が、同じまたは類似の構成要素を例示することを意図する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本開示のある特定の態様に従った、缶端部原料(CES)を調製するためのシステムの概略図である。
図2図1の缶端部原料の拡大側面図である。
図3A】本開示のある特定の態様に従った、缶端部原料のシートである。
図3B】本開示のある特定の態様に従った、切断された後の図3Aの缶端部原料のシートを示す。
図3C】本開示のある特定の態様に従った、図3Aの缶端部原料のシートから製造された一組の缶端部半加工品を示す。
図3D】本開示のある特定の態様に従った、図3Cからの缶端部半加工品から形成された缶端部を含む飲料缶を示す。
図4】本開示のある特定の態様に従った、缶端部原料の区分の複数層を示す等角破断図である。
図5】本開示のある特定の態様に従った、金属ストリップを積層するためのプロセスを示すフローチャートである。
図6】フェザリングを呈する一片の缶端部の開口部を示す部分上面図である。
図7】本開示のある特定の態様に従った、フェザリングを呈しない一片の缶端部の開口部を示す部分上面図である。
図8】本開示のある特定の態様に従った、積層システムの概略図である。
図9】本開示のある特定の態様に従った、積層金属ストリップの望ましい化成層特徴を決定するためのプロセスを示すフローチャートである。
図10】本開示のある特定の態様に従った、その上に積層されたフィルムを有する金属ストリップの一部分の拡大部分断面図である。
図11】本開示のある特定の態様に従った、積層システムの部分側面破断図である。
図12】本開示のある特定の態様に従った、積層システムの適用ローラ用の制御システムを示す概略図である。
図13】本開示のある特定の態様に従った、積層システムの適用ローラの回転軸からの半径距離に応じた温度を示すプロットである。
図14】本開示のある特定の態様に従った、積層プロセス中の適用ロールの温度を制御するためのプロセスを示すフローチャートである。
図15】本開示のある特定の態様に従って、処理され試験された積層アルミニウム金属試料の組1500を示すグラフマトリックスである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本開示のある特定の態様及び特徴は、低いフェザリング、低いブラッシング、及び酢酸試験における高い性能を呈する積層非晶質ポリマーコーティングを有する、アルミニウム缶端部原料(CES)に関する。積層金属ストリップは、内面側(例えば製品側)の積層ポリマーコーティング、及び外面側(例えば消費者側)のラッカー塗装されたコーティングを含み得る。プロセスは、ポリマーフィルムの主なポリマー成分の融点下回る温度に、むき出しの金属ストリップを加熱することと、結晶性ポリマーをストリップの内面側に適用することと、組み合わされたストリップとポリマーとを、ポリマーの融点を上回るアニーリング温度に加熱することとを含み得る。場合によっては、金属ストリップに積層されたポリマーフィルムは、連続製造ラインからの非晶質ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムなどの二軸配向ポリマーであり得る。ポリマーフィルムは、アニーリングプロセス中に非晶質となり得る。ポリマーフィルムは、主要構成要素(例えば、PET層)のみを含み得るか、または主要構成要素と1つ以上の補足的な構成要素(例えば、接着層)とを含み得る。本明細書で使用される場合、ポリマーまたはポリマーフィルムの融解温度とは、特に指定のない限り、主要構成要素の融解温度を指す。
【0020】
相当数の試用及び実験を通して、低いフェザリング(例えば、特定顧客の仕様によって規定されるように、開口端部上の切り込み溝周囲に張り出しているコーティングが0.8mm以下)、低いブラッシング、及び酢酸試験における高い性能を有する積層缶端部原料を製造するための技法が見出されている。これらの技法は、組み合わされたストリップ及びポリマーを、アニーリング温度(T)に加熱する前に、ポリマーを第1の温度(T)に加熱された金属ストリップに適用することを含み得、Tが、ポリマーの融解温度(T)を下回り、TがTを上回る。場合によっては、Tは、250℃、255℃、257℃、260℃、265℃、270℃、275℃、または280℃で以上である。場合によっては、ポリマーの融解温度よりも高い温度で起こるアニーリングは、耐酸性試験における増加した性能を提供するために十分に接着を改善することができる。フィルムの融点を上回る温度でのアニーリング中、フィルムは、金属ストリップの形状(topography)へ流入することができ、このため、機械的結合により金属ストリップとフィルムとの間の接着を改善する。
【0021】
フィルムが所与の色または灰色を有するいくつかの場合では、低温殺菌後のブラッシング性能は、温度Tでの加工後のポリマーの非晶質状態によって損なわれない。。
【0022】
場合によっては、金属ストリップは、2つの側面に積層され得る。場合によっては、金属ストリップは、片側に積層され、反対側にラッカー塗装され得る。例えば、金属ストリップは、内面側に積層され、外面側にラッカー塗装され得るが、他の構成が使用され得る。このハイブリッド積層/ラッカー塗装された金属ストリップは、ラッカーの使用により缶端部原料の外側上に高い装飾性能を維持しながら、PET積層体の使用によって缶端部原料の内側に改善された機能的な性能を提供し得、これは低温殺菌中などにブラッシングの傾向がおそらくない。場合によっては、PETフィルムは、低温殺菌中に変化しないフィルムにわずかな着色を提供する添加剤を含み得る。
【0023】
場合によっては、積層金属原料は、積層プロセスからアニーリングプロセスへ(例えば、アニール炉に)直接通される。場合によっては、積層金属原料は、積層プロセスからラッカー適用システムに直接通され、次いで、アニーリングプロセスへ(アニール炉に)通される。
【0024】
試用及び実験を通して、非晶質フィルムは、フィルムと金属ストリップとの間の接着が制御されることができると、改善されたフェザリング性能を提供し得ることが見出された。アニーリング温度の制御(例えば、より高いアニーリング温度は、ある程度改善された接着をもたらし得る)、基材特性(例えば、テクスチャ及び化学作用)ならびにフィルム化学作用の制御によって、接着が制御され得ることを、試用及び実験は示している。
【0025】
従来の積層金属ストリップは、多くの場合、3%酢酸試験において不十分な評価である。しかしながら、試用及び実験を通して、ポリマーの融点を上回る温度でアニーリングされた積層体が、3%酢酸試験においてより良好に機能することが見出された。本明細書で使用される場合、3%酢酸試験は、およそ100℃で30分間の、希釈された酸性媒体に対するコーティングの耐性を評価することを含み得る。試験は、試料に交差する斜線マークを切り込むことと、試料をおよそ100℃で30分間、3%酢酸溶液に配置することと、その後、試料を取出し冷却し、その後各試料に交差する追加の一組の切り込みを施し、酸浴前後の交差する斜線の領域上に接着テープを配置し、およそ60°の角度で0.5~1秒かけてテープを取り除くことを含み得る。試験の結果(例えば、剥離の存在及び強度に基づいた)は、金属ストリップが所与の所望の仕様に許容可能であるか、または許容不可であるかを判定するために使用され得る。場合によっては、本明細書に開示されるアニーリングされた積層缶端部原料は、剥離することなく3%酢酸試験に合格する。場合によっては、本明細書に開示されるアニーリングされた積層缶端部原料は、標準的なラッカー塗装された缶端部原料よりも、3%酢酸試験においてより好ましい結果(例えば、剥離が全くない、または少ない)を得る。
【0026】
これらの例示的な実施例は、本明細書で考察される一般的な主題を読者に紹介するために与えられ、開示される概念の範囲を限定することを意図しない。以下の節は、同じ数字が同じ要素を示す図面を参照しながら様々な追加の特徴及び例を説明し、指示的な説明は、例示的な実施形態を説明するために使用されるが、同じ例示的な実施形態は、本開示を限定するために使用されるべきではない。本明細書の図に含まれる要素は、縮尺通りではない場合がある。
【0027】
場合によっては、本開示の態様及び特徴は、アルミニウムAA5182との使用に特に有用であるが、他の種類のアルミニウムが使用され得る。
【0028】
図1は、本開示のある特定の態様に従った、缶端部原料(CES)を調製するためのシステム100の概略図である。金属ストリップ102は、金属ストリップ102を予熱温度(T)に加熱する予熱炉112へ通される。予熱温度Tは、金属ストリップ102に積層される、ポリマーフィルム124の融解温度をはるかに下回る。場合によっては、予熱温度Tは、250℃、240℃、220℃、200℃、190℃、180℃、170℃、及び150℃以下である。場合によっては、予熱温度Tは、120℃~250℃の範囲内、170℃~240℃、または190℃~220℃の範囲内である。予熱された金属ストリップ104は、積層システム114を通り得る。予熱された金属ストリップ104としての金属ストリップ102は、ポリマーフィルム124を金属ストリップ102の片側に適用する積層システム114を通過する。場合によっては、ポリマーフィルムは、金属ストリップ102の両側に適用され得る。積層システム114は、ポリマーフィルム124を金属ストリップ102に積層するための任意の好適なシステムであり得る。積層金属ストリップ106は、金属ストリップ102をポリマーフィルム124と組み合わせる、積層システム114を退出する。
【0029】
場合によっては、積層金属ストリップ106は、ラッカー適用システム118を通り得る。ラッカー120は、ラッカー適用システム118によって金属ストリップ102に適用される。ラッカー適用システム118は、ラッカー120を金属ストリップ102適用するための任意の好適なシステムであり得る。ラッカー適用システム118は、ラッカー120を金属ストリップ102上で加熱または硬化するためのオーブンを含み得る。場合によっては、ラッカー適用システム118は、積層システム114の下流(例えば、後)にある。場合によっては、ラッカー適用システム118は、アニール炉116の上流(例えば、前)にある。場合によっては、ラッカー適用システム118は、積層システム114または予熱炉112の上流にある。場合によっては、ラッカー適用システム118は、積層システム114及びアニール炉116の両方の下流にある。図1に示されるように、ラッカー適用システム118は、積層システム114とアニール炉116との間に配置される。積層されたラッカー塗装された金属ストリップ108は、ラッカー適用システム118を退出し得る。
【0030】
上流ラッカー適用システム118が使用されるとき、積層されたラッカー塗装された金属ストリップ108は、アニール炉116を通り得る。場合によっては、ラッカー適用システム118が積層システム114とアニール炉116との間に使用されない場合、積層金属ストリップ106は、アニール炉を通り得る。
【0031】
アニール炉116は、積層システム114及び任意選択的にラッカー適用システム118の下流(例えば、後)に位置し得る。場合によっては、ラッカー適用システム118を退出するラッカー塗装された積層金属ストリップ108が、他の機械またはシステムを通るまたはそれらと接触する前にアニール炉116を通るように、アニール炉116は、ラッカー適用システム118のすぐ下流に位置する。
【0032】
アニール炉116は、ラッカー塗装された積層金属ストリップ108の温度をアニーリング温度(T)に上昇させる。アニーリング温度Tは、ポリマーフィルム124の融解温度(T)よりも高い。場合によっては、Tは、250℃、255℃、257℃、260℃、265℃、270℃、275℃、または280℃以上である。したがって、アニーリングプロセス中、ポリマーフィルム124は、金属ストリップ102の機械的な造作(例えば、表面テクスチャ)へと流入し、非晶質になることができる。ラッカー塗装された積層金属ストリップ108は、金属ストリップ102のアニーリング及びポリマーフィルム124の所望の接着を含む、ラッカー塗装された積層金属ストリップ108に所望の特性を付与するのに十分な長さの時間をアニール炉116内で過ごす。アニール炉116内の時間は、炉長及び金属ストリップの速度に基づき得る。場合によっては、時間は、およそ2秒~およそ30秒、およそ9秒~およそ約15秒、およそ10秒~およそ14秒、またはおよそ12秒の範囲内であり得る。場合によっては、アニール炉116内の温度の変化を補うために、必要に応じて、(例えば、金属ストリップの速度を調整することによって)時間は調整され得る。
【0033】
アニール炉116を退出後、缶端部原料110(例えば、アニーリングされ、ラッカー塗装され、積層された金属ストリップ)は、任意選択的に、大量の急冷液中で、または冷却剤を缶端部原料110に適用することによってなど、急冷され得る。缶端部原料110は、アニール炉116を退出直後に、急冷または別の方法によって、非晶質ポリマーの実質的な再結晶化を回避するのに十分な速度で冷却され得る。場合によっては、缶端部原料110は、およそ30秒、25秒、20秒、15秒、10秒、5秒、または2秒以下の所望の時間内でおよそ150℃を下回って冷却される。場合によっては、缶端部原料110は、およそ2~15秒の時間内でおよそ150℃を下回って冷却される。実質的な再結晶化を回避することにより、ポリマーのブラッシングを回避し得る。再結晶化されたポリマーの再結晶化部分は、30%、25%、20%、または15%以下の重量分率を有することが望ましい場合がある。およそ100nm以下で結晶が形成されることがさらに望ましい場合がある。
【0034】
場合によっては、システム100によって製造された缶端部原料110は、図1及び2に示されるように、ラッカーの層120が第1の側面に適用され、積層ポリマーフィルムの層124が第2の側面に適用された金属ストリップ102を含み得る。缶端部原料110の金属ストリップ102は、アニーリングされ得、ポリマーフィルム124が融解して金属ストリップ102の表面テクスチャへ入り、非晶質になることを可能にするために十分な時間の間、ポリマーフィルム124の融解温度を上回る温度に加熱される前に積層される、結晶性ポリマーフィルム124を含み得る。本明細書で使用される場合、ポリマーフィルム124が融解して金属ストリップ102の表面テクスチャへ入ることを可能にするのに十分な時間は、0.8mm以下、0.7mm以下、0.6mm以下、または0.5mm以下で、開口端部上の切り込み溝周囲にコーティングの張り出しが低温殺菌後に生じるように、ポリマーフィルム124が金属ストリップ102に十分に接着していることによって評価され得る。
【0035】
本明細書に記載のように、缶端部の標準的なフェザリング試験は、およそ75℃で30分間、脱イオン水の水浴に缶端部を浸漬することと、缶端部を冷たい脱イオン水で洗浄して室温に缶端部を戻すことと、次いで缶端部の端部タブを直ちに開口することと、を含み得る。フェザリングが観察され得、切り込みがつけられたパネルまたは注ぎ口開口部上で測定される。場合によっては、フェザリング試験は、缶端部原料の平坦なシートなどの、金属の平坦なシート上で行われ得る。かかる場合、フェザリング試験は、試料を80℃で40分間脱塩水に浸漬することを含み得、その後、試料は室温に冷却され、試料は切断され、金属のストリップは、切断部から離れる方向にストリップを引っ張ることによって分離され得る。他のフェザリング試験が使用され得る。
【0036】
いくつかの例では、280℃の温度でアニーリングされた積層金属ストリップは、0.28の標準偏差で0.41mmのフェザリング平均量を提供し、これに対して265℃の温度でアニーリングされた積層金属ストリップは、0.69の標準偏差で1.08mmのフェザリング平均量を提供した。実験を通して、フェザリング及び剥離の改善は、250℃以上などの、ポリマーフィルムの融解温度以上の温度で実質的であり得ることが示されている。このフェザリング量は、開口缶端部の開口部に沿ったある特定の示される位置に配置され得る。実験を通して、フィルムのフェザリング量はまた、製品の切断、形成、及び型押しツール設計に依存することが示されている。
【0037】
場合によっては、金属ストリップ102は、以下にさらに詳細に記載されるように、予備加熱炉112または積層システム114に入る前に事前に適用された、1つ以上の化成層を含み得る。
【0038】
場合によっては、潤滑剤は、アニール炉116を退出後に缶端部原料110にさらに適用され得る。
【0039】
図2は、図1の缶端部原料110の拡大側面図である。缶端部原料110は、ラッカーの層120と積層ポリマーフィルム124との間に挟まれた金属ストリップ102を含む。
【0040】
場合によっては、アルミニウムを調製して向上した接着及びブラッシング性能を提供するために、1つ以上の化成層202は、むき出しのアルミニウムに適用されてもよい。場合によっては、この層202は、クロム(III)及びホスフェートの成分を含み得る。この層202は、向上した接着、低温殺菌後の低いブラッシング、酢酸試験における良好な腐食性能を提供し得る。場合によっては、金属ストリップ102は、ラッカーの層120及び積層ポリマーフィルムの層124の一方または両方の間に配置される、1つ以上の化成層202を含み得る。化成層202の特徴は、図9についてのさらなる詳細に記載されるように、低温殺菌後に最適なブラッシングを提供するように選択され得る。
【0041】
図3A~3Dは、製造の様々な段階における缶端部原料302の軸測投影的な描写である。場合によっては、缶端部原料302は、本明細書に記載の積層非晶質ポリマー及びラッカーを含む、本明細書に記載の缶端部原料である。
【0042】
図3Aは、本開示のある特定の態様に従った、缶端部原料のシート302である。缶端部原料のシート302は、図1に示される缶端部原料110、または同様の缶端部原料であり得る。図3Bは、切断後の図3Aの缶端部原料のシート302を示す。缶端部原料のシート302は、図3Cに見られるような缶端部半加工品306を製造するために、ダイ切断、穿孔、または切断され得る。図3Cは、図3Aの缶端部原料のシートから製造された一組の缶端部半加工品306を示す。図3Dは、図3Cからの缶端部半加工品306から形成された缶端部308を含む、飲料缶310を示す。
【0043】
缶端部308は、外面側(例えば、図3Dに見られる)及び内面側(例えば、飲料缶310の内側の面)を含む。本明細書に記載されるように、缶端部308は、ラッカーの層が外側面に存在する一方で、積層ポリマーフィルムが内側面に存在するように形成され得るが、その通りでなくともよい。
【0044】
図4は、本開示のある特定の態様に従った、缶端部原料400の区分の複数層を示す等角破断図である。缶端部原料400は、ラッカーの層402によって取り囲まれたアルミニウムなどの金属の層404、及びポリマーフィルムの層406を含み得る。缶端部原料400は、図1の缶端部原料110であり得る。
【0045】
図5は、本開示のある特定の態様に従った、缶端部原料を製造するためのプロセス500を示すフローチャートである。ブロック502では、金属ストリップが提供される。ブロック503における任意選択的なブロックでは、金属ストリップの表面粗さは、図10を参照して以下に記載されるように増加され得る。金属ストリップは、缶端部原料の形成に好適なアルミニウムストリップであり得る。ブロック504では、金属ストリップは、予熱温度Tに予熱される。ブロック506では、金属ストリップは、PETポリマーフィルムで積層される。ブロック508では、積層金属ストリップは、アニーリング温度Tでアニーリングされ、このアニーリング温度Tは、PETポリマーフィルムの融解温度よりも高い。ブロック510では、アニーリングされた金属ストリップは、任意選択的に急冷される。ブロック512では、潤滑剤は、金属ストリップの一方または両方の側面に任意選択的に適用され得る。
【0046】
図6は、一片の缶端部原料602を示す部分上面図である。缶端部原料602は、本開示のある特定の態様に従ってアニーリングされていないポリマーフィルムの層606を含む。缶端部原料602は、切り込み溝604に沿って分離されている。ポリマーフィルム606は、切り込み溝604を超えてフェザリングが出て見え得る。図6の缶端部原料602は、劣悪なフェザリングを有すると考えられ得る。
【0047】
図7は、本開示のある特定の態様に従った、一片の缶端部原料702を示す部分上面図である。缶端部原料702は、図3の缶端部原料302などの、本開示のある特定の態様に従ってアニーリングされたポリマーフィルムの層を含む。缶端部原料702は、切り込み溝704に沿って分離されている。ポリマーフィルムは、切り込み溝704を超えてフェザリングが出ていない。図7の缶端部原料702は、良好なフェザリング(例えば、0.8mm未満のフェザリング)を有するか、または全くフェザリングがないと考えられる。
【0048】
図8は、本開示のある特定の態様に従った、積層システム814の概略図である。積層システム814は、図1の積層システム114、または別の積層システムであり得る。図8に示されるある特定の要素は、例示的な目的のみのために誇張された縮尺で示されている。
【0049】
積層システム814は、予熱された金属ストリップ804が通過し得る一対のローラ852を含み得る。予熱された金属ストリップ804は、図1の予熱炉112によってなど予熱された金属ストリップ802を含み得る。場合によっては、予熱された金属ストリップ804は、1つ以上の化成層803を含む。
【0050】
ローラ852を通過するとき、ポリマーフィルム824は、予熱された金属ストリップ804に対して押圧されて、積層金属ストリップ806を製造し得る。場合によっては、単一の積層システム814は、予熱された金属ストリップ804のポリマーフィルム824から反対側に第2のポリマーフィルムを適用するための、追加のローラの組を含み得る。場合によっては、ローラ852は、予熱された金属ストリップ804のポリマーフィルム824から反対側に第2のポリマーフィルムをさらに適用し得る。
【0051】
図9は、本開示のある特定の態様に従った、積層金属ストリップの望ましい化成層特徴を決定するためのプロセス900を示すフローチャートである。CES材料などのある特定の製品のブラッシングは、元来、材料のラッカー層における低性能または欠陥と関連する。化成層の特徴は、ブラッシング性能に関して考慮されていない。化成層は、一般に、ナノメートルスケールでの厚さを有し、これは一般に、ラッカー層または薄膜層よりも一桁以上薄い。しかしながら、予想外に、化成層の特徴が、積層フィルム層(積層PETフィルム)を有する金属製品(例えば、アルミニウムCES材料)のブラッシング特性に顕著かつ制御可能な影響を提供し得ることが発見されている。金属製品は、上に開示される積層金属ストリップなど、任意の好適な金属製品であり得る。化成層の特徴(例えば、化学的性質、厚さ、またはテクスチャ)は、化成層に適用されるフィルム層のブラッシング性能に顕著な影響を有する。積層フィルム層を有する金属製品のブラッシング性能は、ラッカー塗装された金属製品に関連する標準的なブラッシングとは異なる機構を生じる。さらに、積層フィルム層を有する金属製品をアニーリングすることは、ラッカー塗装された金属製品に関連する標準的なブラッシングとは異なる機構によってブラッシング性能にさらに影響し得る。その後のアニーリングの有無にかかわらず、積層フィルム層を有する金属製品のブラッシング性能は、化成層特徴の操作により制御され得ることが発見されている。プロセス900は、基材(例えば、アルミニウム金属ストリップ)、フィルム(例えば、PETフィルム)、及びプロセスステップ(例えば、積層後のアニーリング)の所与の組み合わせに対する異なる化成層パラメータ候補のブラッシング性能を試験するために使用され得、それにより特定の使用事例(例えば、基材、フィルム、及びプロセスステップの組み合わせ)の最適な化成層パラメータ(複数可)が、量産前に選択され得る。
【0052】
ブロック902では、1つ以上の化成層パラメータ候補が決定され得る。化成層パラメータは、化成層の種類、化成層の深さ、化成層の適用プロセスのパラメータ(例えば、化成溶液の種類、適用時間、処理温度、乾燥時間、もしくは適用厚さ)、もしくは他のかかるパラメータなどの、化成層のまたはその適用プロセスの任意の好適なパラメータであり得る。1つ以上の化成層のパラメータの変更は、異なる特徴を有する化成層を生じ得る。場合によっては、1つ以上の化成層パラメータ候補を決定することは、異なる特徴(例えば、厚さ、テクスチャ、化学的構成、または他の特徴)を有する一組の化成層を生じる、異なる特性を有する一組の化成溶液を決定することを含み得る。例えば、一組の化成材料は、異なる濃度のクロム酸、リン酸、及びフッ化水素酸を使用するリン酸クロム化成溶液を含み得る。場合によっては、1つ以上の化成層パラメータ候補を決定することは、異なる厚さを有する一組の化成層を生じる一組のパラメータを決定することを含み得る。場合によっては、単一のパラメータ候補は、ブロック902で決定され、プロセス900は、以下にさらに詳細に記載されるように、任意選択的なブロック916において、新たな化成層パラメータ候補を決定することによって、複数のパラメータもまた検査することができる。場合によっては、ブロック902における化成層パラメータ候補を決定することは、所望の結果を生成すると思われる一組の所定のパラメータを評価することを含み得る。
【0053】
ブロック904では、1つ以上の化成層は、所望の化成層パラメータ候補に従って、1つ以上の金属ストリップの表面(複数可)へ適用される。場合によっては、化成層は、連続する金属ストリップ、または個々の金属半加工品へ適用され得る。場合によっては、全ての化成層は、単一の金属ストリップまたは金属半加工品の異なる位置に適用され得るが、他の事例では、各金属ストリップまたは金属半加工品は、単一の化成層で処理される。
【0054】
化成層を金属ストリップまたは半加工品の表面に適用することは、表面の脱脂(例えば、フッ化水素酸の適用によって)、表面の乾燥、化成材料(例えば、水性溶液中のクロム系化成材料)の湿潤フィルムの適用(例えば、ロールコーティングまたは他の好適な機構によって)、及び表面を乾燥して化成層を形成することを含み得る。場合によっては、複数の化成層が単一の金属ストリップまたは金属半加工品に試験されるとき、化成層適用プロセスのパラメータは、単一の金属ストリップまたは金属半加工品の表面の1つまたは複数の寸法にわたって操作され得る。例えば、湿潤フィルムの厚さは、金属ストリップまたは金属半加工品の表面にわたる水平距離に対して調整され得るため、異なる水平位置での金属ストリップまたは金属半加工品の様々な区分が異なる化成層特徴を有するであろう。別の例では、異なる化成溶液は、単一金属ストリップまたは金属半加工品の異なる位置に適用され得る。
【0055】
ブロック906では、ポリマーフィルムは、化成層を有する金属ストリップまたは金属半加工品の表面に適用され得る。ポリマーフィルムは、図1、5、及び8を参照することを含む、上述のような任意の好適な様式で適用され得る。
【0056】
任意選択的なブロック908では、図1及び5を参照することを含み、1つ以上の積層金属ストリップまたは金属半加工品は、上述のようにアニーリングされ得る。
【0057】
ブロック910で、低温殺菌プロセスは、1つ以上の積層金属ストリップまたは金属半加工品に実施され得る。場合によっては、低温殺菌とは異なるが、標準的な低温殺菌プロセスとして同様のブラッシング効果を生成するように設計されたプロセスを実施することを含み得る、低温殺菌に類似するものが実施され得る。場合によっては、消毒プロセスは、低温殺菌プロセスの代わりに行われ得る。場合によっては、1つ以上の積層金属ストリップまたは金属半加工品のブラッシングを誘発し得る可能性のある別のプロセスが、低温殺菌プロセスの代わりに実施され得る。一実施例では、1つ以上の積層金属ストリップまたは金属半加工品は、所望の時間の間(例えば、低温殺菌に好適な時間の間)、所望の温度(例えば、低温殺菌に好適な温度)に加熱された水中に配置され得る。
【0058】
ブロック912では、1つ以上の積層金属ストリップまたは金属半加工品の各々は、ブラッシング性能について試験され得る。ブラッシング試験は、金属ストリップまたは金属半加工品の表面のブラッシング特性の主観的または客観的特徴を使用することによって実施され得る。例えば、客観的特徴は、カメラ、光センサ、または他の好適なセンサを使用して、ブラッシングの測定値を取ることを含み得る。一例として、主観的特徴は、金属ストリップまたは金属半加工品の表面の視覚的検査を個々に実施し、外見的にブラッシング性能をランク付けすることを含み得る。場合によっては、ブロック910において処理(例えば、低温殺菌)された試料は、ブロック910において熱水に浸漬された試料と同じ時間の間室温の水に浸漬された試料と比較されて、ブロック910の処理に起因するブラッシングの量を測定され得る。
【0059】
複数の化成層パラメータ候補がブロック904において選択されるとき、ブロック912における試験は、複数の試料のブラッシング特性を試験することを含み得る。ブロック914では、1つ以上の所望の化成層パラメータが、ブロック912において試験されたブラッシング特性に基づいて選択され得る。例えば、試験される全ての化成層パラメータ候補の中から、最良に機能する試料の化成層パラメータ(例えば、最小量のブラッシングを示す試料)が、所望の化成層パラメータとして選択され得る。
【0060】
場合によっては、ブロック912におけるブラッシング特性の試験後、1つ以上の新たな化成層パラメータ候補が、ブロック916において決定され得る。1つ以上の新たな化成層パラメータ候補を使用して、ブロック904、906、908、及び910において、新たな化成層(複数可)を有する1つ以上の新たな試料が、調製及び試験され得る。ブロック904、906、908、及び910の複数の繰り返しが実施されるとき(例えば、ブロック916が実施されるとき)、ブロック914において1つ以上の所望の化成層パラメータを選択することは、ブロック912の前の繰り返しからの結果と、ブロック912の現行の繰り返しの結果を比較することを含み得る。
【0061】
ブロック914において選択された化成層パラメータ(複数可)は、量産に使用され得る。例えば、異なる化成層パラメータ候補が、異なる濃度でその成分を含むクロム-リン酸化成溶液を使用することを含むとき、ブロック914において選択された特定の化成溶液は、最終積層製品(例えば、積層缶端部原料)を量産するためのプロセスラインに提供され得る。
【0062】
プロセス900は、図15に関してより詳細に説明されている。
【0063】
図10は、本開示のある特定の態様に従った、その上に積層されたフィルム1004を有する金属ストリップ1002の一部分の拡大部分断面図である。図10に示されるある特定の要素は、例示的な目的のみのために誇張された縮尺で示されている。金属ストリップまたは金属半加工品は、表面粗さを有する表面を有し得る。金属ストリップまたは金属半加工品の表面に接着するための、PETフィルムなどのフィルムの能力は、金属の表面粗さによって影響され得る。表面粗さは、積層中の金属へのフィルムの接着のみならず、最終製品の寿命中に金属へのフィルムの継続的な接着にも影響し得る。接着は、上に開示されるような様々な様式で測定され得る。PETフィルムの粗さは、CESに使用される金属ストリップの標準的な表面粗さよりもはるかに低いため、低い粗さによる積層プロセスでの直接接触領域の増加が、有益であろうと思われていた可能性がある。しかしながら、予想外に、金属表面の低い粗さは、積層金属製品の接着に関する特性のうちのいくつかに対して好ましくないことが明らかになっている。したがって、最小閾値粗さ以上の粗さを有する金属表面が、フィルム積層用途に望ましい場合がある。場合によっては、金属表面が、最大閾値粗さ以下の粗さを有することが望ましい場合もある。
【0064】
金属ストリップ1002は、金属表面の丘及び谷の存在によって定義される表面粗さ1006を有し得る。より低い表面粗さ1006は、金属表面における、より少ない、またはよりなだらかな丘及び谷、したがって金属のより平滑な表面によって定義され得る。加えて、表面粗さ1006は、金属表面の最も低い谷と最も高い丘の間(例えば、金属の表面の局所的領域内)の高さ1008によって規定され得る。金属ストリップ1002は、表面上に化成層1010を有し得る。化成層1010は、一般に、金属ストリップ1002の表面粗さ1006に対して顕著なまたは有意な影響を有しないほど十分に小さくてもよい。
【0065】
フィルム1004(例えば、PETフィルム)は、図1、5、及び8などを参照して、本明細書に記載のような金属ストリップ1002に適用され得る。フィルム1004は、多層フィルムであってもよく、少なくとも一次層1012及び接触層1014(例えば、熱い適合層(mate layer))を含み得るが、フィルム1004は、追加の層を含み得る。接触層1014は、金属ストリップ1002の表面と直接接触する層であり得る。接触層1014は、一次層1012の融点よりも低い融点を有し得る。積層プロセス中、積層プロセスからの熱及び/または圧力は、一次層1012が少しでも融解する場合は一次層1012及び接触層1014が融解して金属ストリップ1002の表面トポロジーへ入り得る前に、接触層1014の融解を引き起こし得る。接触層1014は、厚さ1016を有し得る。接触層1014の厚さ1016は、表面粗さ1006の高さ1008以上であってもよい。接触部層1014の厚さ1016が薄すぎる場合、接触層1014が、融解して谷に入り、丘の高さによって接触層1014上部に支持される一次層1012から分離することから、空隙が形成され得る。接触層1014は、高さ1008よりも少なくとも1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、または55%厚い、厚さ1016を有してもよい。接触層1014は、1ミクロンの、または1ミクロンの1%、2%、3%、4%、5%、10%、15%、もしくは20%以内の厚さを有し得る。表面粗さ1006の高さ1008は、1ミクロン未満、0.9ミクロン未満、0.8ミクロン未満、または0.7ミクロン未満であり得る。場合によっては、表面粗さ1006の高さ1008は、少なくとも0.25ミクロン、0.5ミクロン、または0.6ミクロンであり得る。
【0066】
場合によっては、金属ストリップは、積層される前にその表面粗さを増加するように処理され得る。例えば、図1のシステム100は、積層前に金属の表面粗さを測定する及び/または増加させるための積層システム114の上流に追加の粗面処理装置を含み得る。場合によっては、積層される金属ストリップは、所望の表面粗さを付与するように設計されたロールを使用してローラにかけられ得る。
【0067】
図11は、本開示のある特定の態様に従った、積層システム1114の部分側面破断図である。積層システム1114は、図1の積層システム114、または別の積層システムであり得る。図11に示されるある特定の要素は、例示的な目的のみのために誇張された縮尺で示されている。
【0068】
積層システム1114は、バッキングローラ1152から金属ストリップ1102を挟んで対向する適用ローラ1150を含み得る。予熱された金属ストリップ1104は、適用ローラ1150とバッキングローラ1152との間に形成された間隙を通過し得る。予熱された金属ストリップ1104は、図1の予熱炉112によってなど予熱された金属ストリップ1102を含み得る。場合によっては、予熱された金属ストリップ1104は、1つ以上の化成層1103を含む。
【0069】
適用ローラ1150を通過するとき、ポリマーフィルム1124は、予熱された金属ストリップ1104に対して押圧されて、積層金属ストリップ1106を製造し得る。場合によっては、単一の積層システム1114は、予熱された金属ストリップ1104のポリマーフィルム1124から反対側に第2のポリマーフィルムを適用するための、追加のローラの組を含み得る。場合によっては、バッキングローラ1152は、追加の適用ローラと交換されて、予熱された金属ストリップ1104のポリマーフィルム1124から反対側に、第2のポリマーフィルムを同時に適用し得る。
【0070】
適用ローラ1150は、金属コア1156を取り囲む圧縮可能な層1154(例えば、ゴムコーティング)を含み得る。圧縮可能な層1154は、コア1156に接着されるか(例えば、接着剤を介して)、または機械的に固定され得る。金属コア1156は、鋼鉄などの任意の好適な金属で作製され得る。圧縮可能な層1154は、発泡体またはゴムなどの任意の好適な圧縮可能材料で作製され得る。場合によっては、圧縮可能な層1154は、2cm、または2cmの1%、2%、3%、4%、5%、10%、15%、もしくは20%の厚さを有してもよいが、他の厚さが使用され得る。圧縮可能な層1154の圧縮性の程度は、所望の積層結果を達成するように選択することができる。例えば、圧縮可能な層1154に選択されるゴムの種類としては、硬質ゴム、軟質ゴム、またはそれらの間の任意のゴムが挙げられる。
【0071】
圧縮可能な層1154は、封入された空気が存在することなく、ポリマーフィルム1124を金属ストリップ1102の表面に適用することを助け得る。空気が少量でも封入されると、積層後のアニーリングなどの後処理中に気泡を引き起こし得る。例えば、積層後のアニーリングの間、封入された空気は、フィルムから吹き出し、破裂し得る。封入された空気及び気泡は、積層製品の他の特徴の中でも、接着及びブラッシングに影響し得る。したがって、封入された空気及び/または気泡の存在は、望ましくない製品を生じ得る。
【0072】
場合によっては、適用ローラ1150は、圧縮可能な層1154の温度を制御するための機構を含み得る。例えば、圧縮可能な層1154が、圧縮力が緩められるか、または金属コア1156への接着が失われ、したがって空転を引き起こす場合、その反発能力が失われることなどにより、低性能になるほどの熱さにならないことを確実にするために、熱が圧縮可能な層1154から抽出され得る。例えば、(例えば、接着剤が配置され得る)金属コア1156における圧縮可能な層1154の温度が、120℃以上の温度などの十分な高温に到達すると、ゴム圧縮可能な層1154は金属コア1156から剥離し得る。場合によっては、圧縮可能な層1154は、圧縮可能な層1154の外面へ冷却剤流体(例えば、冷気)の適用により、または圧縮可能な層1154の外面と接触する冷却されたロールとの直接伝導などにより、外部から冷却され得る。
【0073】
しかしながら、圧縮可能な層1154を内部から冷却することは、予想外の利点を有し得ることが見出されている。圧縮可能な層1154は、適用ローラ1150の中空金属コア1156内の通路1158を冷却剤が通過することによって内部から冷却され得る。空気及び水などの流体を含む、任意の好適な冷却剤が使用され得る。冷却剤は、任意の好適なポンプ源を使用して、送り込まれ得る。冷却剤は、熱交換器を通過することによって温度制御され得る。冷却剤は、周囲室温よりも高くても低くてもよく、圧縮可能な層1154の温度よりも高くても低くてもよく、または予熱された金属ストリップ1104の温度よりも高くても低くてもよい所望の温度で、通路1158を通過するように設計され得る。したがって、冷却剤は、圧縮可能な層1154の温度を上昇または減少させるように機能し得る。中空金属コア1156が圧縮可能な層1154の温度制御を提供するために使用されるとき、コア1156は、高い熱伝導率を有する材料で作製され得る。圧縮可能な層1154は、高いまたは低い低熱伝導率を有するように選択され得るが、高い熱伝導率を有しない圧縮可能な層1154を使用すると、改善された結果が得られ得る。
【0074】
場合によっては、加熱された冷却剤は、通路1158を通過して積層プロセス前に圧縮可能な層1154を加熱し得、そのため圧縮可能な層1154は、予熱された金属ストリップ1104に対して圧縮されるときに、ポリマーフィルム1124の接触層が確実に融解または半融解されるのに十分熱く、したがって、接触層が融解して金属ストリップ1104の丘及び谷に入ることを可能にする。場合によっては、(例えば、予熱された金属ストリップ1104の温度を下回って)冷却された冷却剤は、積層プロセス中に通路1158を通過して、圧縮可能な層1154から熱を除去し得る。圧縮可能な層1154は、積層プロセスの環境(例えば、予熱された金属ストリップ1104からの熱)、及び積層ニップ(例えば、適用ローラ1150とバックアップローラ1152との間の空間)近辺の任意の他の加熱された要素によって連続的に加熱されるため、圧縮可能な層1154の外側面は、高温に近づけられる。しかしながら、圧縮可能な層1154の内面は、中空金属コア1156及びそこを通過する冷却剤との伝導により冷却される。したがって、中空金属コア1156の使用は、その外面でより高い温度を有するにもかかわらず、圧縮可能な層1154の内面を(例えば、圧縮可能な層1154の剥離を回避するために)好適な温度に確実に維持することができる。したがって、半径方向の温度勾配が、圧縮可能な層1154に生じる。
【0075】
さらに、好適な低い熱伝導率を有する材料から圧縮可能な層1154を形成し、圧縮可能な層1154を中空金属コア1156の使用により内部から冷却することによって、金属コア1156から内面が剥離する恐れなく、圧縮可能な層1154の外面の温度は、より高い温度で維持されることができる。
【0076】
より高い温度(例えば、内部冷却が使用されなかった場合よりも高い温度)で圧縮可能な層1154の運転を維持するこの能力は、多くの利点を有する。圧縮可能な層1154の外面のより高い温度は、金属ストリップ1102がより低い程度に予熱されることを可能にし、したがってエネルギーを節約し得る。例えば、圧縮可能な層1154の外面のより高い温度は、ポリマーフィルム1124の接触層を融解するために使用され、このため、ポリマーフィルム1124の接触層を融解するために加熱された金属ストリップ1104からの熱に依存する必要を極力なくすことができる。加えて、圧縮可能な層1154の外面温度のより広い可能性を支援することができることにより可能になる、金属ストリップ1102を予熱するために利用可能な温度のより広い可能性を有する能力は、追加の上流及び下流プロセスを積層システム1114などの積層システムと協働するようにより容易に調整することを可能にする。
【0077】
例えば、下流プロセスは、およそ200℃の金属ストリップを必要とし得る。通常、内部冷却された圧縮可能な層1154を有しない、圧縮可能な層の外部温度は、およそ70℃以下で維持され、したがって、金属ストリップはおよそ220℃に予熱されることを必要とする。したがって、その予熱された金属ストリップは、下流プロセスに入る前に冷却される必要がある。しかしながら、内部冷却された圧縮可能な層1154が使用されるとき、圧縮可能な層の外部温度は、およそ90℃に設定され得、したがって、金属ストリップ1102がおよそ200℃に予熱され、金属ストリップ1102が下流プロセスに非常に迅速に進入し、全体的により高い効率を有することを可能にする。
【0078】
加えて、圧縮可能な層1154の外面をより高温に到達させることが可能になることにより、積層システム1114がより速い速度で動作することが可能になり、したがって、場合によっては処理ライン全体がより速い速度で動作することが可能になる。
【0079】
図12は、本開示のある特定の態様に従った、積層システムの適用ローラ1208のための制御システム1200を示す概略図である。適用ローラ1208は、図11の適用ローラ1150であり得る。制御システム1200は、任意の好適なコントローラまたはプロセッサであり得るコントローラ1202を含み得る。コントローラ1202は、プログラミング命令、収集データ、モデル、予測データ、プリセット、及び他の情報を格納するためのデータストア1204に連結され得る。コントローラ1202は、適用ローラ1208を介して冷却剤を提供及び/または循環させるための冷却剤源1206に連結され得る。コントローラ1202は、コマンド信号を冷却剤源2106に送信して、冷却剤源2106に、所望のレベルまで冷却するか、または加熱の量を調整することを引き起こし得る。コマンド信号は、冷却剤源2106に、冷却剤の体積流量、冷却剤の温度、もしくは冷却剤の他の特性、または適用ローラ1208への貫流の調整を引き起こし得る。冷却剤は、冷却剤源1206と適用ローラ1208との間の導管1212、1214を通るルートで送られ得る。冷却剤源1206は、加圧源(例えば、ポンプ)と、熱交換器と、任意選択的な貯蔵タンクと、冷却剤の制御または適用ローラ1208の冷却剤の貫流を提供するための任意の他の好適な要素と、を含み得る。
【0080】
コントローラ1202は、1つ以上の温度センサ1210を含む1つ以上のセンサに連結され得る。温度センサ1210は、適用ローラ1208の中に、隣接して、近接して、または離間して位置して、適用ローラ1208に関連する温度を測定し得る。例えば、温度センサは、内部冷却剤温度、金属コアの温度、圧縮可能な層の内面の温度、または圧縮可能な層の外面の温度を測定し得る。接触及び非接触温度センサを含む任意の好適な温度センサ1210が使用され得る。場合によっては、温度センサ1210は、適用ローラ1208に隣接する要素(例えば、ポリマーフィルム、金属ストリップ、または他の要素)の温度を測定して、適用ローラ1208の温度を推測し得る。温度センサ(複数可)1210からの信号は、コントローラ1202にフィードバックを提供して、コントローラ1202が適用ローラ1208の所望の動作を確実にすること(例えば、圧縮可能な層の内面の十分に低い温度、または圧縮可能な層の外面の十分に高い温度を確実にすること)を助け得る。
【0081】
場合によっては、コントローラ1202は、適用ローラ1208を通して加熱された冷却剤を送り込んで、適用ローラ1208の圧縮可能な層の外面温度を最低所望温度に上昇するように冷却剤源1206に指示し得る。次いで、コントローラ1202は、冷却された冷却剤を送り込んで、積層プロセス中所望の範囲内に圧縮可能な層の外面温度を維持してもよい(例えば、はるかに熱く予熱された金属ストリップが、適用ローラ1208へ熱を伝導するとき)。“冷却された冷却剤”は、予熱された金属ストリップよりも冷たいが、依然として周囲室温よりも暖かい場合がある。場合によっては、コントローラ1202は、適用ローラ1208を通して加熱された冷却剤送り込むことの代わりに、またはそれに加えて、適用ローラ1208を予熱するための任意選択的な外部加熱器1216を制御し得る。
【0082】
場合によっては、コントローラ1202は、温度センサ(複数可)1210及び/または他のセンサからのフィードバックに基づいて、動作し得る。場合によっては、コントローラ1202は、温度センサ(複数可)1210及び/または他のセンサなどのセンサの代わりに、またはそれらに加えて、データストア1204に格納されたモデル(例えば、熱的モデル)に基づいて動作し得る。例えば、コントローラ1202は、ライン速度が増加するときにいつでも、適用ロール1208に提供される冷却の量を自動的に増加させ得る。
【0083】
図13は、本開示のある特定の態様に従った、積層システムの適用ローラの回転軸からの半径距離に応じた温度を示すプロット1300である。適用ローラは、図11の適用ローラ1150であり得る。プロットは、適用ローラの回転軸(例えば、中心)からの様々な半径方向距離の温度曲線1302を示す。曲線1302及び示される区域を含むプロット1300及びその要素は、縮尺通りに描かれておらず、単位はなく、例示的な目的で示されている。適用ローラの中心からの外方向に沿って、適用ローラは、冷却剤区域、金属コア区域、及びゴムコーティング区域を含み得る。フィルムが同じ方向に沿って一次層及び接触層を含むように、フィルムは適用ローラに隣接して位置し得る。フィルムは、金属ストリップに対して圧縮され得る。
【0084】
予熱された金属ストリップは、温度1304(例えば、200℃)で提供され得る。しかしながら、冷却剤は、予熱された金属ストリップより実質的によりも冷たい場合のある温度1306で提供され得る。したがって、曲線1302に近似する温度勾配は、冷却剤と金属ストリップとの間に存在する。冷却剤1306は、圧縮可能な層の内面1310からの熱を吸収し、内面1310の温度を温度1306に向かって引き下げようとするであろう。同時に、予熱された金属ストリップのより高い温度1304は、フィルムを通り伝導され、圧縮可能な層の外面1312の温度を上昇させようとするであろう。したがって、温度勾配は、圧縮可能な層内に存在し、内面1310と外面1312との間の温度差1308を定義する。この温度差1308は、圧縮可能な層用の、所望の熱伝導率を有する材料を選択することによって制御され得る。この温度差1308は、冷却剤1306の温度1306及び予熱された金属ストリップの温度1305を調整することによってさらに制御され得る。温度差1308は、内面1310の温度が最大設定点1314(例えば、圧縮可能な層を金属コアに接着するために使用される接着剤の融解温度などの、剥離または他の欠陥のリスクが許容不可なほど高い温度の手前の最高温度)を下回って維持されるように、かつ外面1312の温度が最小設定点1316(例えば、積層中にポリマーフィルムの接触層が確実に適切に融解する最低温度)を上回って維持されるように、制御され得る。
【0085】
図14は、本開示のある特定の態様に従った、積層プロセス中の適用ロールの温度を制御するためのプロセス1400を示すフローチャートである。プロセス1400は、図11の適用ローラ1150及び積層システム1114を使用し得る。任意選択的なブロック1402では、適用ロールの圧縮可能な層を予熱し得る。本明細書に記載のように、圧縮可能な層は、加熱された冷却流体及び/または外部加熱器を使用して予熱され得る。他の機構(例えば、金属コア内に埋め込まれた抵抗加熱器)を使用して、圧縮可能な層を予熱し得る。
【0086】
ブロック1404では、圧縮力は、予熱された金属ストリップと適用ロールとの間に印加される。圧縮力は、ポリマーフィルムを金属ストリップにしっかりと接着するために印加され得る。
【0087】
ブロック1406では、圧縮可能な層の表面と関連する温度が測定され得る。温度は、圧縮可能な層の内面または外面の温度を含み得る。温度を測定することは、圧縮可能な層の温度を直接測定することと、隣接する要素の温度を測定することと、圧縮可能な層の温度を推測するか、または他のセンサからの入力の有無にかかわらずモデルを使用することを含み得る。ブロック1408では、冷却剤源のパラメータは、ブロック1406において測定された温度に基づいて調整され得る。冷却剤源のパラメータは、ブロック1410において、適用ロールを通過する冷却剤から圧縮可能な層に提供される冷却または加熱の量を調整し得る。冷却剤源のパラメータは、圧力源、弁、熱交換器、及び他のかかるパラメータと関連するパラメータを含み得る。冷却剤源のパラメータを調整することは、他の特徴の中でも、冷却剤の体積流量または温度の変化を生じ得る。
【0088】
ブロック1410では、冷却剤は適用ロールを通過する。冷却剤は、ブロック1408において設定されたパラメータに従って、または事前に設定されたパラメータに従って通され得る。冷却剤が適用ロールを通過することは、適用ロールにおける温度勾配を生じることを含み得る。温度勾配は、圧縮可能な層の内面の温度が最大設定点を下回って維持され、かつ圧縮可能な層の外面の温度が最小設定点を上回って維持されるように、生じられ得る。
【0089】
連続的な積層中、ブロック1404において圧縮力が適用ロールと予熱された金属ストリップとの間に印加されながら、ブロック1410において冷却剤が適用ロールを連続的に貫流し得る。連続的な積層中、圧縮可能な層の表面温度は、ブロック1408における冷却剤源のパラメータの連続的なまたは繰り返される調整を提供するために、ブロック1406において連続的にまたは繰り返し測定され得る。
【0090】
場合によっては、プロセス1400は、推論またはモデルが冷却剤源の適切なパラメータを決定するために使用される場合、ブロック1406なしで実施され得る。
【0091】
場合によっては、図11~14を参照して記載されるシステム及び方法は、高速での金属ストリップへのフィルムの積層を可能にし、空気の封入または気泡のリスクを大幅に低減することを可能にし得る。場合によっては、これらのシステム及び方法は、空気の封入または気泡の量を制御するために使用されて、ある特定の望ましい結果を生成し得る。例えば、空気の封入または気泡の増加は、より低い熱伝導率、またはより粗い表面が望ましい、ある特定の使用事例に好適であり得る。場合によっては、これらのシステム及び方法は、積層金属ストリップがアニーリングされるとき有利に使用され得るが、これらのシステム及び方法は、その後アニーリングされない積層金属ストリップを提供するためにも使用され得る。
【0092】
図15は、本開示のある特定の態様に従って、処理され試験された積層アルミニウム金属試料の組1500を示すグラフマトリックスである。組1500は、使用された前処理方法に従って垂直に(例えば、プロセス900などに従って、適用された化成層)、使用されたアニーリング温度(例えば、プロセス500のブロック508におけるT)に従って水平に配置されている。図15に見られるように、試料を試験及び比較することにより、望ましい結果を生成する前処理方法(複数可)とアニーリング温度(複数可)との組み合わせ(複数可)の判定を知り得る。異なる前処理及びアニーリングとは異なり、組1500の試料の各々は、同じ種類のフィルムで積層されたアルミニウムシートを含む。
【0093】
組1500の各試料は、酸浴試験及び剥離試験を含む、同様の試験手順の結果を示す。酸浴試験では、各試料の下方およそ3分の2を100℃の3%酢酸浴に30分間浸漬した。ある程度のブラッシングは、各試料において見られ、いくつかの試料は、他の試料よりも多いか、または少ないブラッシングを有した。ブラッシングのレベルは、目視検査に従って1~10のスケールで評価され、評価7は、望ましい境界線であり、評価10は、最良の性能(例えば、最小のブラッシング)である。剥離試験では、各試料は、アルミニウム金属ストリップよりも高い(例えば、アルミニウム自体よりも高い及び/または金属ストリップの化成層よりも高い)硬度を有する材料で、様々な方向に引掻いた。一般に、剥離試験は、対角線の引掻きパターン及び垂直ー水平方向の引掻きパターンを含む。各試料の剥離の存在及び剥離の量の測定を記録した。剥離の存在は、特に垂直水平方向の引掻きパターンに容易に見られ得る。剥離の量は、視覚検査に基づいて測定され得る。
【0094】
試料1502、1504、1506、1508、1510を含む試料の第1の横列は、シラン系(例えば、シリコン四水和物系)前処理剤を使用して全て前処理した。試料1512、1514、1516、1518、及び1520を含む試料の第2の横列は、クロム-III系(例えば、クロム三二酸化物系)前処理剤を使用して全て前処理した。試料1522、1524、1526、1528、及び1530を含む試料の第3の横列は、チタン/ジルコニウム系前処理剤を使用して全て前処理した。
【0095】
試料1502、1512、1522を含む試料の第1の縦列は、積層後のアニーリングをすることなく(例えば、プロセス500のブロック508を実施することなく)、全て調製した。試料1504、1514、1524を含む試料の第2の縦列は、積層後245℃で全てアニーリングした(例えば、プロセス500のブロック508中、T=245℃)。試料1506、1516、1526を含む試料の第3の縦列は、積層後250℃で全てアニーリングした(例えば、プロセス500のブロック508中、T=250℃)。試料1508、1518、1528を含む試料の第4の縦列は、積層後275℃で全てアニーリングした(例えば、プロセス500のブロック508中、T=275℃)。試料1510、1520、1530を含む試料の第5の縦列は、積層後290℃で全てアニーリングした(例えば、プロセス500のブロック508中、T=290℃)。
【0096】
図15に見られるように、積層後、250℃を上回るような275℃以上の温度でアニーリングされた試料1508、1510、1518、1520、1528、1530は、剥離試験においてより良好な性能を示し、試験後明らかなフィルムの剥離がほとんどないまたは全くなかった。剥離の量は、アニーリングなし、または250℃以下のアニーリング温度では、実質的に悪化した。
【0097】
組1500の試料のブラッシング性能は、図15に見ることができ、及び/または10が最良である1~10の評価で以下のように定量化した。試料1502、1504、1506、1508、1510は、それぞれ4、4、5、1、及び1のブラッシング値を有し得る。試料1512、1514、1516、1518、1520は、それぞれ9、9、8、1、及び1のブラッシング値を有し得る。試料1522、1524、1526、1528、130は、それぞれ4、4、6、1、及び1のブラッシング値を有し得る。注意すべきことは、ブラッシング性能は、各試料の下方およそ3分の2を、酸試験または同様条件のいずれかに曝露されていないか、または酸性試験試料として同様条件(例えば、時間及び温度)下で中性浴(例えば、脱イオン水浴)に曝露されたかのいずれかの、アルミニウム金属の試料または一部分と比較することによって特徴付けられ得る。例えば、試料1530の上方3分の1と下方3分の2との間の色の違いは僅かのみであり得、未処理の一片のアルミニウム金属に対して比較すると、試料1530のブラッシング性能は、1として特徴付けられ得る。
【0098】
例示された実施形態を含む実施形態の上述の説明は、例示及び説明の目的のためにのみ提示されており、または開示された正確な形態を網羅すること、または限定することを意図するものではない。数々の修正、適応、及びそれらの使用は、当業者には明らかであろう。連続的なプロセスラインにおける金属ストリップの移動に関して説明されてきたが、本開示の態様は、静的な金属半加工品に対しても使用可能であり得る。
【0099】
以下に使用されるように、一連の実施例に対する任意の参照は、それらの実施例の各々に対する別々の参照として理解されるものである(例えば、「実施例1~4」は、「実施例1、2、3、または4」として理解されるものである)。
【0100】
実施例1は、缶端部原料を調製するための方法であって、金属ストリップを第1の温度250℃を下回って予熱することと、金属ストリップの第1の側面にポリマーフィルムを積層して積層金属ストリップを製造することであって、ポリマーフィルムの主要構成要素が第1の温度を上回る融解温度を有する、製造することと、積層金属ストリップをアニーリング温度でアニーリングすることであって、アニーリング温度がポリマーフィルムの融解温度よりも高い、アニーリングすることと、を含む方法である。
【0101】
実施例2は、金属ストリップが、アルミニウムストリップである、実施例1に記載の方法である。
【0102】
実施例3は、金属ストリップが、AA5182アルミニウム合金である、実施例1または2に記載の方法である。
【0103】
実施例4は、化成コーティングを金属ストリップに適用することをさらに含み、ポリマーフィルムを金属ストリップの第1の側面に積層することが、ポリマーフィルムを化成コーティングに積層することを含む、実施例1~3に記載の方法である。
【0104】
実施例5は、ポリマーフィルムを積層することが、ポリエチレンテレフタレートフィルムを金属ストリップに積層することを含む、実施例1~4に記載の方法である。
【0105】
実施例6は、ラッカーの層または別のポリマーフィルムの層を金属ストリップの第2の側面に適用することをさらに含み、金属ストリップの第1の側面が、金属ストリップから形成された缶端部の内面側に相当し、金属ストリップの第2の側面が、金属ストリップから形成された缶端部の外面側に相当する、実施例1~5に記載の方法である。
【0106】
実施例7は、積層金属ストリップをアニーリングすることが、ポリマーフィルムを金属ストリップの表面テクスチャへ融解するのに十分な時間の間、ポリマーフィルムの温度を上昇させることを含む、実施例1~6に記載の方法である。
【0107】
実施例8は、積層金属ストリップをアニーリングすることが、ポリマーフィルムの温度を少なくとも250℃に上昇させることを含む、実施例1~7に記載の方法である。
【0108】
実施例9は、積層金属ストリップをアニーリングすることが、ポリマーフィルムの温度を少なくとも265℃に上昇させることを含む、実施例1~8に記載の方法である。
【0109】
実施例10は、積層金属ストリップをアニーリングすることが、ポリマーフィルムの温度を少なくとも280℃に上昇させることを含む、実施例1~9に記載の方法である。
【0110】
実施例11は、積層金属ストリップをアニーリング後、積層金属ストリップを冷却して、ポリマーフィルムが非晶質であることを確実に維持することをさらに含む、実施例1~10に記載の方法である。
【0111】
実施例12は、積層金属ストリップのアニーリング後、潤滑剤を積層金属ストリップに適用することをさらに含む、実施例1~11に記載の方法である。
【0112】
実施例13は、試験された性能に基づいて複数の化成層パラメータ候補から化成層パラメータを選択することと、ポリマーフィルムを金属ストリップの第1の側面に積層する前に、化成層パラメータに従って化成層を金属ストリップに適用することと、をさらに含む、実施例1~12に記載の方法である。
【0113】
実施例14は、試験された性能が、ブラッシング性能である、実施例13に記載の方法である。
【0114】
実施例15は、化成層パラメータを決定するための方法であって、複数の化成層パラメータ候補を決定することと、実施例1~14の方法に従って複数の化成層パラメータ候補の各々に対して、缶端部原料試料を調製することと、各々の缶端部原料試料のブラッシング性能を評価することと、評価されたブラッシング性能に基づいて、複数の化成層パラメータ候補から化成層パラメータを選択することと、を含む、方法である。
【0115】
実施例16は、ポリマーフィルムを金属ストリップの第1の側面に積層する前に、金属ストリップの表面粗さを調整することをさらに含む、実施例1~15に記載の方法である。
【0116】
実施例17は、表面粗さを調整することが、ポリマーフィルムの接触層の厚さよりも低い値に表面粗さの高さを減少させることを含む、実施例16に記載の方法である。
【0117】
実施例18は、ポリマーフィルムを金属ストリップの第1の側面に積層することが、中空金属コアを取り囲む圧縮可能な層を有するアプリケータローラを使用して、ポリマーフィルムを金属ストリップの第1の側面に対して圧縮することと、中空金属コアに流体を通過させて圧縮可能な層の温度を制御することと、を含む、実施例1~17に記載の方法である。
【0118】
実施例19は、ポリマーフィルムを金属ストリップの第1の側面に積層する前に、圧縮可能な層を予熱することをさらに含む、実施例18に記載の方法である。
【0119】
実施例20は、流体を中空金属コアに通過させることが、流体を冷却して、圧縮可能な層の内面から熱を抽出して、圧縮可能な層の内面と圧縮可能な層の外面との間の熱勾配を生じることを含む、実施例18または19に記載の方法である。
【0120】
実施例21は、流体を冷却することが、流体の温度を十分に低減して、圧縮可能な層の内面の内側温度を最大設定点を下回って、かつ圧縮可能な層の外面の外側温度を最小設定点を上回って維持することを含む、実施例20に記載の方法である。
【0121】
実施例22は、圧縮可能な層の温度を測定することと、圧縮可能な層の温度に基づいて、流体の温度または体積流量を調整することと、をさらに含む、実施例18~21に記載の方法である。
【0122】
実施例23は、実施例1~22に記載の方法に従って調製された缶端部原料製品である。
【0123】
実施例24は、本体片と、端部キャップと、を備える、飲料缶であって、端部キャップが、実施例1~22に記載の方法に従って調製された缶端部原料から形成される、飲料缶である。
【0124】
実施例25は、金属ストリップを受容し、金属ストリップを予熱温度に予熱するための予熱炉と、予熱温度で金属ストリップを受容し、ポリマーフィルムを金属ストリップの第1の側面に適用するための、予熱炉の下流に位置する積層システムであって、予熱温度がポリマーフィルムの主要構成要素の融解温度を下回る、積層システムと、積層金属ストリップを受容し、積層金属ストリップをアニーリング温度に加熱するための、積層システムの下流に位置するアニール炉であって、アニーリング温度がポリマーフィルムの主要構成要素の融解温度よりも高い、アニール炉と、を備える、システムである。
【0125】
実施例26は、金属ストリップが、アルミニウムストリップである、実施例25に記載のシステムである。
【0126】
実施例27は、金属ストリップが、AA5182アルミニウム合金である、実施例25または26に記載のシステムである。
【0127】
実施例28は、化成コーティングを金属ストリップに適用するための化成コーティング適用システムをさらに備え、積層システムが、ポリマーフィルムを化成コーティングに適用するように構成されている、実施例25~27に記載のシステムである。
【0128】
実施例29は、積層システムが、ポリエチレンテレフタレートフィルムの供給源に連結されている、実施例25~28に記載のシステムである。
【0129】
実施例30は、ラッカーの層を金属ストリップの第2の側面に適用するためのラッカー適用システムをさらに備える、実施例25~29に記載のシステムである。
【0130】
実施例31は、積層システムが、第1の側面に対向する金属ストリップの第2の側面に追加のポリマーフィルムを適用するように構成されている、実施例25~30に記載のシステムである。
【0131】
実施例32は、アニール炉が、ポリマーフィルムを金属ストリップの表面テクスチャへ融解するのに十分な時間の間、ポリマーフィルムの温度を上昇させるのに十分な長さを有する、実施例25~31に記載のシステムである。
【0132】
実施例33は、アニール炉が、ポリマーフィルムの温度を少なくとも250℃に上昇させるのに十分な熱を提供するように構成されている、実施例25~32に記載のシステムである。
【0133】
実施例34は、アニール炉が、ポリマーフィルムの温度を少なくとも265℃に上昇させるのに十分な熱を提供するように構成されている、実施例25~33に記載のシステムである。
【0134】
実施例35は、アニール炉が、ポリマーフィルムの温度を少なくとも280℃に上昇させるのに十分な熱を提供するように構成されている、実施例25~34に記載のシステムである。
【0135】
実施例36は、試験された性能に基づいて、複数の化成層パラメータ候補から選択された化成層パラメータに従って、化成層を金属ストリップに適用するための化成層アプリケータをさらに備える、実施例25~35に記載のシステムである。
【0136】
実施例37は、金属ストリップの表面粗さを調整するための表面粗さ調整器をさらに備え、表面粗さ調整器が、積層システムの上流に配置されている、実施例25~36に記載のシステムである。
【0137】
実施例38は、表面粗さ調整器が、ポリマーフィルムの接触層の厚さよりも低い値に表面粗さの高さを減少させるように構成されている、実施例37に記載のシステムである。
【0138】
実施例39は、積層システムが、中空金属コアを取り囲む圧縮可能な層を含むアプリケータローラと、中空金属コアの通路に冷却剤を提供して圧縮可能な層の温度を制御するための冷却剤源と、を備える、実施例25~38に記載のシステムである。
【0139】
実施例40は、圧縮可能な層に隣接して位置して、圧縮可能な層を予熱する外部加熱器をさらに備える、実施例39に記載のシステムである。
【0140】
実施例41は、積層システムが、冷却剤源によって提供される冷却剤の体積流量または温度を調整して、圧縮可能な層の内面及び圧縮可能な層の外面にわたる温度勾配を維持するための、冷却剤源に連結されたコントローラをさらに備える、実施例40の39に記載のシステムである。
【0141】
実施例42は、積層システムが、圧縮可能な層の温度に関連する温度信号を提供するための、コントローラに連結された温度センサをさらに備える、実施例41に記載のシステムである。
【0142】
実施例43は、積層システムが、モデルを含有するデータストアをさらに備え、コントローラが、データストアに連結されて、モデルに基づいて冷却剤源を制御する、実施例41または42に記載のシステムである。
【0143】
実施例44は、積層システムが、冷却剤源によって提供される冷却剤の体積流量または温度を調整して、圧縮可能な層の内面の内側温度を最大設定点を下回って、かつ圧縮可能な層の外面の外側温度を最小設定点を上回って維持するための、冷却剤源に連結されたコントローラをさらに備える、実施例39~43に記載のシステムである。
【0144】
実施例45は、金属を積層するための方法であって、中空金属コアを取り囲む圧縮可能な層を有するアプリケータローラを使用して、予熱された金属ストリップの第1の側面に対してポリマーフィルムを圧縮することと、中空金属コアに流体を通過させて圧縮可能な層の温度を制御することと、を含む方法である。
【0145】
実施例46は、ポリマーフィルムを金属ストリップの第1の側面に積層する前に、圧縮可能な層を予熱することをさらに含む、実施例45に記載の方法である。
【0146】
実施例47は、圧縮可能な層を予熱することが、中空金属コアに加熱された流体を通過させることを含む、実施例46に記載の方法である。
【0147】
実施例48は、圧縮可能な層を予熱することが、圧縮可能な層を外部から加熱することを含む、実施例46または47に記載の方法である。
【0148】
実施例49は、流体を中空金属コアに通過させることが、流体を冷却して、圧縮可能な層の内面から熱を抽出して、圧縮可能な層の内面と圧縮可能な層の外面との間の熱勾配を生じることを含む、実施例45~48に記載の方法である。
【0149】
実施例50は、流体を冷却することが、流体の温度を十分に低減して、圧縮可能な層の内面の内側温度を最大設定点を下回って、かつ圧縮可能な層の外面の外側温度を最小設定点を上回って維持することを含む、実施例45~49に記載の方法である。
【0150】
実施例51は、圧縮可能な層の温度を測定することと、圧縮可能な層の温度に基づいて、流体の温度または体積流量を調整することと、をさらに含む、実施例45~50に記載の方法である。
【0151】
実施例52は、圧縮可能な層の温度を測定することが、圧縮可能な層の温度測定値を温度センサから受信することを含む、実施例51に記載の方法である。
【0152】
実施例53は、圧縮可能な層の温度を測定することが、圧縮可能な層近辺の要素の温度測定値を温度センサから受信することを含む、実施例51または52に記載の方法である。
【0153】
実施例54は、圧縮可能な層の温度を測定することが、モデルにアクセスすることを含む、実施例51~53に記載の方法である。
【0154】
実施例55は、予熱された金属ストリップのライン速度の変化を検知することと、ライン速度の変化に基づいて流体の温度または体積流量を調整することと、をさらに含む、実施例45~54に記載の方法である。
図1
図2
図3A-3D】
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15