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特許6994073タガントを組み込んだエアロゾル発生物品および電気的に動作するシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-14
(45)【発行日】2022-01-14
(54)【発明の名称】タガントを組み込んだエアロゾル発生物品および電気的に動作するシステム
(51)【国際特許分類】
   A24F 40/50 20200101AFI20220106BHJP
   A24F 40/40 20200101ALI20220106BHJP
【FI】
A24F40/50
A24F40/40
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2020074520
(22)【出願日】2020-04-20
(62)【分割の表示】P 2016530146の分割
【原出願日】2014-12-03
(65)【公開番号】P2020114253
(43)【公開日】2020-07-30
【審査請求日】2020-05-12
(31)【優先権主張番号】13195494.3
(32)【優先日】2013-12-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】596060424
【氏名又は名称】フィリップ・モーリス・プロダクツ・ソシエテ・アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【弁理士】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【弁理士】
【氏名又は名称】那須 威夫
(72)【発明者】
【氏名】フェルナンド フェリクス
(72)【発明者】
【氏名】バルナウアー ドミニク
【審査官】石黒 雄一
(56)【参考文献】
【文献】特表2012-513750(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0304491(US,A1)
【文献】特開2002-332414(JP,A)
【文献】特表2007-503511(JP,A)
【文献】特開2012-121171(JP,A)
【文献】特許第4322936(JP,B2)
【文献】特表2001-521124(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A24F 40/00-47/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気的に動作するエアロゾル発生システムであって、
少なくとも一つの成分から成る材料内にタガントを組み込む該少なくとも一つの成分を含むエアロゾル発生物品であって、前記タガントが識別可能な分光学的特徴を含む、前記エアロゾル発生物品と、
少なくとも部分的に前記エアロゾル発生物品を受けるためのくぼみと、
少なくとも一つの発熱体と、
前記少なくとも一つの発熱体に電力を供給するための電源と、
前記電源および前記少なくとも一つの発熱体に接続された電気的ハードウェアと、
前記エアロゾル発生物品の存在を検出し、前記エアロゾル発生物品の材料内に組み込まれた前記タガントに基づき、
前記エアロゾル発生物品を前記エアロゾル発生システムと併用するよう構成されたその他の物品と区別する能力を持つ検出器と
を備え、
前記電気的ハードウェアが、前記検出器によって区別された特定のエアロゾル発生物品に基づき、前記少なくとも一つの発熱体のための加熱手順を確立するように配置されている、エアロゾル発生システム。
【請求項2】
前記システムは、前記検出器が前記くぼみ内に前記エアロゾル発生物品を検出した時に始動するように配置される、請求項1に記載の電気的に動作するエアロゾル発生システム。
【請求項3】
前記検出器が、少なくとも一つの発光体および少なくとも一つの光センサーを含む光学センサーを含む分光学的検出器である、請求項1または2に記載の電気的に動作するエアロゾル発生システム。
【請求項4】
前記タガントが吸収における識別可能な分光学的特徴を含む、請求項1~3のいずれか1項に記載の電気的に動作するエアロゾル発生システム。
【請求項5】
前記タガントが少なくとも一つの特定の波長の光を吸収する、請求項4に記載の電気的に動作するエアロゾル発生システム。
【請求項6】
前記タガントが発光における識別可能な分光学的特徴を含む、請求項1~3のいずれか1項に記載の電気的に動作するエアロゾル発生システム。
【請求項7】
前記タガントが、光によって励起されると、前記励起光の波長からずれた少なくとも一つの波長を発する、請求項6に記載の電気的に動作するエアロゾル発生システム。
【請求項8】
前記タガントが前記材料全体に分布される、請求項1~のいずれか1項に記載の電気的に動作するエアロゾル発生システム。
【請求項9】
前記タガントが前記材料全体に実質的に均一に分布される、請求項8に記載の電気的に動作するエアロゾル発生システム。
【請求項10】
前記タガントは最高1500℃の高温で安定している、請求項1~9のいずれか1項に記載の電気的に動作するエアロゾル発生システム。
【請求項11】
約50℃~約500℃の温度で前記タガントが不活性化され、また使用時に、エアロゾルを発生させるのに必要な温度が前記タガントを不活性化させるのに必要な温度よりも高い、請求項1~10のいずれか1項に記載の電気的に動作するエアロゾル発生システム。
【請求項12】
前記タガントが前記材料または成分の製造時に分解されないよう化学的に十分安定している、請求項1~11のいずれか1項に記載の電気的に動作するエアロゾル発生システム。
【請求項13】
前記タガントが希土類、アクチニド金属酸化物、セラミックのうち少なくとも一つから成る粉末である、請求項1~12のいずれか1項に記載の電気的に動作するエアロゾル発生システム。
【請求項14】
前記エアロゾル発生物品は、複数の前記システムと併用するよう構成された複数の物品のうち1つの物品であり、前記検出器は、前記識別可能な分光学的特徴に基づき、前記物品を、前記システムと併用するよう構成された複数の物品のうちの他のものと区別する能力がある、請求項1~13のいずれか1項に記載の電気的に動作するエアロゾル発生システム。
【請求項15】
請求項1~14のいずれか1項に記載されている電気的に動作するエアロゾル発生システムで使用するためのエアロゾル発生物品であって、
少なくとも一つの成分から成る材料内にタガントを組み込む該少なくとも一つの成分を含み、前記タガントが識別可能な分光学的特徴を含む、エアロゾル発生物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気的に動作するエアロゾル発生装置内で電気的に動作するエアロゾル発生システムの部品として使用するための、タガントを組み込んだエアロゾル発生物品に関連する。特に、エアロゾル発生物品は喫煙物品としうる。
【背景技術】
【0002】
数多くの文献、例えば第US-A-5 060 671号、第US-A-5 388 594号、第US-A-5 505 214号、第WO-A-2004/043175号、第EP-A-1 618 803号、第EP-A 1 736 065号および第WO-A-2007/131449号が、数多くの利点を持つ電気的に動作するエアロゾル発生、喫煙、システムを開示している。1つの利点は、副流煙を著しく減少させつつ、喫煙者が喫煙を選択的に一時停止したり再開したりできることである。
【0003】
電気加熱式喫煙システムは一般に、エアロゾル形成基体を加熱して喫煙者に提供されるエアロゾルを形成するヒーターに接続された電源(電池など)を備える。動作時に、これらの電気加熱式喫煙システムは一般に、動作のために望ましい温度範囲を提供して揮発性化合物を放出する高電力パルスをヒーターに供給する。電気加熱式喫煙システムは、再使用可能としてもよく、またエアロゾルを形成するために、エアロゾル形成基体を含む使い捨て喫煙物品を受けるように配置されてもよい。
【0004】
電気加熱式喫煙システム用に開発されたエアロゾル発生、喫煙、物品は一般に特別設計されるが、これはエアロゾル形成基体の制御された加熱によって、点火端のある紙巻たばこおよびその他の喫煙物品で発生する燃焼なしに、風味が生成され放出されるためである。したがって、電気加熱式の喫煙システム用に設計された喫煙物品の構造は、点火端のある喫煙物品の構造とは異なりうる。点火端のある喫煙物品を電気加熱式の喫煙システムと併用すると、ユーザーにとって低質の喫煙体験となることがあり、また例えば、喫煙物品にシステムとの互換性がないためにシステムを損傷することもありうる。さらに、それぞれシステムと併用するよう構成されてはいるが、それぞれユーザーにとって異なる喫煙の体験を提供する数多くの異なる喫煙物品もありうる。
【0005】
従来の技術の一部の電気加熱式喫煙システムには、喫煙システムで受けられる喫煙物品の存在を検出できる検出器を含むものがある。一般に周知のシステムは、喫煙物品の表面に識別可能なインクを印刷して、これが電気加熱式の喫煙装置によって検出される。追加的な機能性を喫煙者に提供する検出器を含む、改良型のエアロゾル発生物品および電気的に動作する喫煙システムを提供し、偽造品の製造を困難にすることが、本発明の目的である。
【発明の概要】
【0006】
本発明の一態様によれば、エアロゾル発生システムを制御する方法が提供されている。システムは、識別可能な分光学的特徴を持つタガントを少なくとも一つの成分から成る材料に組み込む少なくとも一つの成分と、エアロゾル発生装置とを含む、エアロゾル発生物品を備える。エアロゾル発生装置は、少なくとも部分的にエアロゾル発生物品を受けるためのくぼみと、少なくとも一つの発熱体と、少なくとも一つの発熱体に電力を供給するための電源と、電源および少なくとも一つの発熱体に接続された電気的ハードウェアと、およびエアロゾル発生物品の存在を検出し、エアロゾル発生物品の材料内に組み込まれたタガントの分光学的特徴に基づき、エアロゾル発生物品をエアロゾル発生システムと併用するよう構成されたその他の物品と区別する能力のある検出器とを備える。方法は、エアロゾル発生物品の存在を検出する工程と、エアロゾル発生物品がタガントを含むかどうかを判断する工程と、検出されたタガントの分光学的特徴をエアロゾル発生システムと併用するように構成されたエアロゾル発生物品と対応するタガントの分光学的特徴のルックアップテーブルと比較する工程と、エアロゾル発生装置の起動を阻止する工程であって、検出されたタガントの分光学的特徴がエアロゾル発生システムと併用するように構成されたエアロゾル発生物品と対応していない限り、少なくとも一つの発熱体への電力供給を阻止する工程を含む工程と、および検出されたタガントの分光学的特徴がエアロゾル発生システムと併用するように構成されたエアロゾル発生物品に対応する場合にエアロゾル発生装置を起動する工程とを含む。
【0007】
エアロゾル発生物品の材料に組み込まれたタガントを検出するこうした方法を提供することで、偽造品の製造の困難さが増し、無許可のエアロゾル発生物品がシステムと併用されるリスクが低減され、使いやすいシステムがユーザーに提供される。
【0008】
方法は、エアロゾル発生装置の外側に存在するエアロゾル発生物品の存在を検出する工程をさらに含むことが好ましい。こうした機能性を提供することで、ユーザーは迅速かつ容易にエアロゾル発生物品がシステムと併用するように構成されているかどうかを判断できるようになる。偽造品、またはシステムと併用するように構成されていないその他の物品が使用されるリスクをなおもさらに低減するために、エアロゾル発生装置の起動を阻止する工程には、さらにエアロゾル発生物品がエアロゾル発生装置のくぼみ内に受けられないように阻止する工程が含まれうる。物品がくぼみ内に受けられないように阻止できるエアロゾル発生装置の構造的特徴を下記に説明する。
【0009】
一つの実施形態で、エアロゾル発生システムはさらに充電ユニットを含む。この実施形態において、方法はさらに充電ユニットの外側に存在するエアロゾル発生物品の存在を検出する工程と、検出されたタガントの分光学的特徴がエアロゾル発生システムと併用するように構成されたエアロゾル発生物品と対応していない限り、充電ユニットからの起動信号をエアロゾル発生装置に提供する工程とを含む。
【0010】
この実施形態において、充電ユニットは、さらに少なくとも部分的にエアロゾル発生装置を受けるためのくぼみを含むことが好ましい。方法はさらに、検出されたタガントの分光学的特徴がエアロゾル発生システムと併用するように構成されたエアロゾル発生物品と対応していない限り、エアロゾル発生装置が充電ユニットから解放されないように阻止する工程を備えうる。この場合もやはり、こうした工程はなおさらに偽造品、またはシステムと併用するようには構成されていないその他の物品が使用されるリスクを低減する。装置が充電ユニットのくぼみから解放されないように阻止する充電ユニットの構造的特徴については下記に説明する。
【0011】
エアロゾル発生装置を起動する工程は、エアロゾル発生装置をスタンバイモードから能動モードへ切り替える工程をさらに含むことが好ましい。装置をスタンバイモードから能動モードに切り替えられるようにすることで、装置は電力を節約できる。
【0012】
いったん装置が使用され、かつエアロゾル発生物品を加熱し、エアロゾルを発生するために少なくとも一つの発熱体に電力が供給されると、方法はさらに、少なくとも一つの発熱体の温度をタガントが不活性化される温度よりも高く上昇させて、喫煙物品が再び使用されないように阻止する工程が含まれうる。分かる通り、タガントが不活性化された場合は検出器によって検出できなくなるため、こうして装置は起動できなくなり、そのため物品は再使用できない。これは、ユーザーの体験を向上させうる。タガントが不活性化される温度は、装置の使用温度よりも低くしうる。
【0013】
別の方法として、タガントが不活性化される温度は、装置の使用温度よりも低くしうる。この代替策において、方法は、喫煙物品の寿命を検出し、その寿命に達した喫煙物品に従い、タガントが不活性になる温度よりも高い温度に上昇させる工程を含みうる。
【0014】
物品の寿命は、ユーザーによる最大吸煙数を計数すること、および、または別の方法として、ユーザーによる吸煙の長さを計時することで判断されうる。その後、合計最大吸煙数、または吸煙の合計時間の長さを、その物品について予め決められた寿命と比較しうる。
【0015】
本開示の一つの態様によれば、電気的に動作するエアロゾル発生装置で使用するためのエアロゾル発生物品が提供されており、物品は、タガントを少なくとも一つの成分からなる材料に組み込む少なくとも一つの成分を含み、ここでタガントは識別可能な分光学的特徴を含む。エアロゾル発生物品は、上述の方法が実行された時にエアロゾル発生システムで使用されうる。
【0016】
物品の成分の材料内に組み込まれたタガントを使用することで、有利にも、製造後にタガントが成分から除去されないように阻止される。このように、エアロゾル発生物品の不正開封防止、および偽造の困難さが改良された。
【0017】
使用時、エアロゾル発生物品は、タガントの分光学的特徴を判断する手段を含む電気的に動作するエアロゾル発生装置内に受けられる。分光学的特徴を判断する手段は、光源および光センサーを含むことが好ましい。エアロゾル発生装置については下記に詳細に説明する。
【0018】
エアロゾル発生物品は、同軸に順番どおりに配置され、外側ラッパーによって囲まれた、エアロゾル形成基体、中空の管状要素、エアロゾル冷却要素およびマウスピースを備えうる。
【0019】
タガントは、紙(ラッパー紙など)、フィルター、チッピングペーパー、たばこ、たばこラップ、コーティング、結合剤、定着剤、接着剤、インク、泡、中空アセテートチューブ、ラップ、およびラッカーを含むがこれに限定されない、エアロゾル発生物品の任意の成分に組み込まれうる。タガントは、例えば、タガントを紙スラリーに追加するなど材料の製造中に追加するか、または乾燥前に貼り付けるか、またはそれを成分に塗るかまたは吹き付けるかのいずれかの方法で成分中に組み込まれうる。一般に、タガントは、ほんのわずかなナノグラム単位の量が成分中に組み込まれる。例えば、タガントが表面上に塗布される場合に、吹き付けられる溶液はタガントを1ppm~1000ppmの濃度で組み込みうる。
【0020】
タガントがより正確に識別されるようにするために、タガントは吸収において識別可能な分光学的特徴を備えうる。タガントがエアロゾル発生装置の光源により照らされる時、タガントは特定の波長、または波長の組を吸収し、したがってその後で光センサーによって受信される光の波長が、エアロゾル発生装置が不在の波長に基づきタガントを判断できるようにする。
【0021】
タガントの物理的および化学的な構造は、吸収された光の波長が要求に応じて設定されるように制御できる。一つの好ましい実施形態で、吸収された光の波長は可視スペクトル内にはない。吸収された波長は、赤外線または紫外線の範囲であることが好ましい。
【0022】
吸収における識別可能な分光学的特徴を含むタガントに加えて、またはその代わりに、タガントは発光における識別可能な分光学的特徴を備えうる。タガントがエアロゾル発生装置の光源によって照らされる時、光はタガントを励起し、励起光の波長からずれた少なくとも一つの波長の光を発することが好ましい。分かる通り、これはフォトルミネッセンスの形態であり、またリン光、または蛍光でもよい。タガントの物理的および化学的な構造を制御することにより、分光学的特徴を制御できる。一部の実施形態で、識別可能な特徴は、励起に関連した発光の時間応答または励起後の発光の遅延レートに依存したものとしうる。
【0023】
一つの好ましい実施形態で、放射光の波長は可視スペクトル内にはない。放射光の波長は赤外線または紫外線の範囲であることが好ましい。
【0024】
一つの好ましい実施形態で、タガントは材料全体に分布する。タガントを材料全体に分布させることにより、エアロゾル発生装置内のエアロゾル発生物品の向きは重要ではない。これにより、システムの使用がユーザーにとってより簡単なものとなる。さらに、タガントを材料全体に分布させることにより、タガントを完全に除去することがより困難であるため、物品の不正開封防止が改善される。特に好ましい実施形態において、タガントは実質的に材料全体に均一に分布する。
【0025】
エアロゾル発生物品で使用するための複数のタガントが提供され、各タガントが異なりかつ識別可能な分光学的特徴を持つことが好ましい。このように、エアロゾル発生装置がエアロゾル発生物品間の識別ができ、それに従って動作できるように、それぞれが異なる分光学的特徴を持つ異なるタガントを持つ、多数のエアロゾル発生物品を提供することができる。エアロゾル発生装置の動作については、下記に詳細に説明する。
【0026】
最高1500℃の高温で、タガントは安定していることが好ましい。本明細書で使用されるとき、安定という用語は、タガントが一貫性のある分光学的特徴を持つこと、およびタガントが分解しないことを意味する。高温で安定性を保つタガントを提供することにより、エアロゾル発生物品を製造する時に、またエアロゾル発生成分の材料の製造において、標準的な製造プロセスを使用しうる。
【0027】
タガントを組み込んだエアロゾル発生成分の材料は、タガントを材料を作製するのに使用されるスラリーの構成要素として追加することで製造されうる。その後、例えば、成形して乾燥させて、紙またはラッパー材料などの材料を製造することにより、スラリーが形成されうる。
【0028】
タガントは、エアロゾル発生物品の通常の使用温度でタガントが不活性化されるように構成されうる。本明細書で使用されるとき、不活性化はタガントがもはや識別可能な分光学的特徴を有していないことを意味する。使用時、エアロゾルを発生させるのに必要な温度は、タガントを不活性化させるのに必要な温度よりも高い。このように、エアロゾル発生装置は、エアロゾル発生物品がそれ以前に使用されたかどうか、またそれにしたがって動作したかどうかを判断できる。通常動作時のエアロゾル発生物品成分の温度範囲は、エアロゾル発生装置の構成要素の位置およびタイプに応じて約50℃~約300℃であることが好ましい。そうであるため、タガントは約50℃~約500℃の温度で不活性化されることが好ましい。タガントは、約70℃および約100℃の温度で不活性化されることがより好ましい。
【0029】
タガントは、もはや識別可能な分光学的特徴を持たないように、上述の高温で分解することにより不活性化されうる。別の方法として、タガントは、追加的な温度依存性の添加物によって覆われることにより不活性化されうる。追加的添加物は、高温で不透明になってもよく、変色してタガントの特徴を覆ってもよい。
【0030】
タガントが高温で安定している上記の説明と同様に、タガントは化学的に安定していることが好ましい。タガントは、材料または成分の製造時に分解しないように化学的に十分安定していることが好ましい。こうして、タガントは、液体水に晒された時、水蒸気に晒された時、一般に使用されるその他の溶媒に晒された時、乾燥した時、材料が成分の形態に物理的に変形した時、温度の上昇に晒された時、および温度の低下に晒された時に、安定していることが好ましい。よって、上述の材料製造プロセス時に、タガントは分解せず、またタガントは識別可能な分光学的特徴を維持する。
【0031】
タガントは粉末の形態であることが好ましい。タガントの粉末は有利にも、タガントが材料により容易に組み込まれるようにする。タガントは、希土類、アクチニド金属酸化物、セラミックのうち少なくとも一つから成る粉末であることが好ましい。希土類はランタニドが好ましい。
【0032】
タガントの識別可能な分光学的特徴は、エアロゾル発生物品のタイプ、エアロゾル形成基体のタイプ、製造日、製造場所、バッチ番号およびその他の製造の詳細、ならびに賞味期限と関連付けられうる。
【0033】
エアロゾル発生物品が外側ラッパーを含む場合に、外側ラッパーは例えば、紙巻たばこ用紙外側ラッパーとしうる。
【0034】
エアロゾル発生物品の長さは、約30mm~約120mm、例えば約45mmとしうる。エアロゾル発生物品の直径は、約4mm~約15mm、例えば約7.2mmとしうる。エアロゾル形成基体の長さは、約3mm~約30mmとしうる。
【0035】
上述の通り、エアロゾル発生物品はエアロゾル形成基体を含むことが好ましい。エアロゾル形成基体は、加熱に伴い基体から放出される揮発性のたばこ風味化合物を含む、たばこ含有材料を含みうる。別の方法として、エアロゾル形成基体は、第EP-A-1 750 788号および第EP-A-1 439 876号の装置で使用されているものなど、非たばこ材料を含みうる。エアロゾル形成基体は、さらにエアロゾル形成体を含みうる。適切なエアロゾル形成剤の例は、グリセリンおよびプロピレングリコールである。潜在的に適切なエアロゾル形成体の追加的な例が、第EP-A-0 277 519号および第US-A-5 396 911号に説明されている。エアロゾル形成基体は固体の基体であってもよい。固体基体は、例えば、薬草の葉、たばこ葉、たばこの茎の破片、再構成たばこ、均質化されたたばこ、押出成形たばこおよび膨化たばこのうち1つ以上を含む、粉末、顆粒、ペレット、断片、スパゲッティ、細片またはシートのうち一つ以上を含みうる。随意に、基体は、基体の加熱に伴い放出される追加的なたばこまたは非たばこ揮発性風味化合物を含みうる。
【0036】
随意に、固体の基体は、熱的に安定な担体上に提供されてもまたはその中に包埋されてもよい。担体は、粉末、顆粒、ペレット、断片、スパゲッティ、細片またはシートなどの形態をとりうる。別の方法として、担体は、その内側表面上(第US-A-5 505 214号、第US-A-5 591 368号および第US-A-5 388 594号で開示されているものなど)、またはその外側表面上、またはその内側および外側の表面両方に配置された固体基体の薄い層を持つ、管状の担体としうる。こうした管状の担体は、例えば、紙、または紙様の材料、不織布炭素繊維マット、質量の小さく目の粗いメッシュ金属スクリーン、または穴あきの金属箔またはその他の任意の熱的に安定した高分子マトリクスで形成しうる。固体の基体は、例えば、シート、泡、ゲルまたはスラリーの形態で担体の表面上に沈着してもよい。固体の基体は、担体の全表面上に沈着してもよく、または代わりに、使用の間、均一でない風味送達を提供するために一定のパターンにおいて沈着してもよい。別の方法として、担体は、第EP-A-0 857 431号に説明されているものなど、たばこ成分が組み込まれた不織布繊維または繊維の束としうる。不織布繊維または繊維の束は、例えば、炭素繊維、天然セルロース繊維、またはセルロース誘導体繊維を含みうる。
【0037】
エアロゾル形成基体は、液体基体でもよく、また喫煙物品は、液体基体を保持するための手段を含みうる。例えば、喫煙物品は、第EP-A-0 893 071号で説明されているものなど容器を含みうる。別の方法としてまたはさらに、喫煙物品は、第WO-A-2007/024130号、第WO-A-2007/066374号、第EP-A-1 736 062号、第WO-A-2007/131449号および第WO-A-2007/131450号に説明のある通り、その内部に液体基体が吸収されうる多孔性担体材料を含みうる。エアロゾル形成基体は別の方法として、その他任意の種類の基体(例えば、ガス基体)、または様々な基体タイプの任意の組み合わせとしうる。タガントは、例えば、液体基体を保持するための容器を形成する材料内など、液体基体を保持するための手段に組み込まれうる。別の方法としてまたは追加的に、存在する場合には、タガントは多孔性担体材料内に組み込まれうる。
【0038】
エアロゾル発生物品は、喫煙物品が好ましい。
【0039】
本発明のさらなる態様によれば、識別可能な分光学的特徴を持つタガントを少なくとも一つの成分から成る材料に組み込む少なくとも一つの成分を含むエアロゾル発生物品を備えた、電気的に動作するエアロゾル発生システムが提供されている。物品およびタガントは、本明細書で説明した通りであることが好ましい。システムはさらに、少なくとも部分的にエアロゾル発生物品を受けるためのくぼみと、少なくとも一つの発熱体と、少なくとも一つの発熱体に電力を供給するための電源と、電源および少なくとも一つの発熱体に接続された電気的ハードウェアと、およびエアロゾル発生物品の存在を検出し、エアロゾル発生物品の材料内に組み込まれたタガントの分光学的特徴に基づき、エアロゾル発生物品をエアロゾル発生システムと併用するよう構成されたその他の物品と区別する能力のある検出器とを備えた、エアロゾル発生装置を備える。電気的ハードウェアは、上述の通り、エアロゾル発生システムを制御する方法を遂行するように構成されている。
【0040】
検出器は、エアロゾル発生装置の外部表面に隣接して提供されうる。検出器は、エアロゾル発生装置のハウジングの外部表面に沿った任意の位置に提供されうる。一つの実施形態で、検出器はハウジングの長さに沿ってほぼ中点に提供される。検出器がエアロゾル発生装置の外部表面に隣接して提供される場合、装置はさらに、エアロゾル発生物品がくぼみ内に受けられないよう阻止するための手段を備える。この実施形態において、電気的ハードウェアは、システムと併用するよう構成されたエアロゾル発生物品のみが挿入されるように構成されている。くぼみへの進入を阻止するために適切な任意の手段を提供しうるが、例えば、システムと併用するよう構成された物品が検出器に対して提示された時に、コントローラによって収納される突起部をくぼみ内に提供しうる。別の方法として、電気的ハードウェアによって制御される、くぼみの開放端を少なくとも実質的に覆うヒンジ付リッドを提供しうる。ヒンジ付リッドは、システムと併用するよう構成された物品が検出器に対して提示された時に開放される。
【0041】
エアロゾル発生システムはさらに、充電ユニットを備えうる。検出器は、充電ユニットの外部表面に隣接して提供されうる。検出器は、充電ユニットの任意の外部表面に沿った任意の位置に提供されうる。この実施形態において、充電ユニットは、検出されたタガントの分光学的特徴がエアロゾル発生システムと併用するように構成されたエアロゾル発生物品に対応する時に、エアロゾル発生装置に対して起動信号を供給するよう構成された電気的ハードウェアを含む。充電ユニット内に検出器を提供することで、装置をより簡単なものにでき、また装置の電力消費量が低減されうる。
【0042】
さらに、充電ユニット内に検出器を含む実施形態では、充電ユニットはさらに、少なくとも部分的にエアロゾル発生装置を受けるためのくぼみと、検出されたタガントの分光学的特徴がエアロゾル発生システムと併用するように構成されたエアロゾル発生物品と対応していない限り、充電ユニットからのエアロゾル発生装置の放出を阻止する手段とを備えうる。装置が解放されないように阻止することにより、ユーザーはシステムと併用するように構成されていない物品の使用が阻止される。解放を阻止するための適切な任意の手段が使用されうる。例えば、装置上にある対応するくぼみと係合する突起部は、くぼみ内に装置をロックしうる。突起部は、システムと併用するよう構成された物品が充電ユニットに対して提示された時に、充電ユニットの電気的ハードウェアが突起部を移動して装置を解放させる信号を送信するように移動可能である。別の方法として、ヒンジ付リッドを提供してくぼみの開放端を覆うことができるが、これはシステムと併用するよう構成された物品が充電ユニットに対して提示されるまでロックされる。
【0043】
本開示のさらなる態様によれば、電気的に動作するエアロゾル発生システムが提供されている。システムは、本明細書で説明した通り、タガントを少なくとも一つの成分から成る材料に組み込む少なくとも一つの成分と、少なくとも部分的にエアロゾル発生物品を受けるためのくぼみと、少なくとも一つの発熱体と、少なくとも一つの発熱体に電力を供給するための電源と、電源および少なくとも一つの発熱体に接続された電気的ハードウェアと、くぼみ内でエアロゾル発生物品の存在を検出し、エアロゾル発生物品の材料内部に組み込まれたタガントに基づき、エアロゾル発生物品をエアロゾル発生システムと併用するよう構成されたその他の物品と区別する能力のある検出器を含む、エアロゾル発生物品を備える。
【0044】
図に示すように、エアロゾル発生システムは、エアロゾル発生装置および装置と併用する1つ以上のエアロゾル発生物品の組み合わせである。エアロゾル発生システムは、例えば、電気的に動作するまたは電気式エアロゾル発生装置内の搭載型電源を再充電するための充電ユニットなど追加的な成分を含みうる。
【0045】
システムは、検出器がくぼみ内にエアロゾル発生物品を検出した時に始動するように配置されることが好ましい。このように、ユーザーは、例えば、起動ボタンを使用して装置を起動する必要がない。
【0046】
エアロゾル発生物品に関連して上述した通り、それぞれのエアロゾル発生物品のタイプには、異なる識別可能な分光学的特徴を持つタガントが提供されていることが好ましい。したがって、電気的ハードウェアは、検出器によって識別された特定のエアロゾル発生物品に基づき、少なくとも一つの発熱体のための加熱手順を確立するよう配置されていることが好ましい。
【0047】
検出器は、少なくとも一つの発光体および少なくとも一つの光センサーを含む光学センサーを備える、分光学的検出器であることが好ましい。発光体は、赤外線波長の光、または紫外線波長の光を発するよう構成されていることが好ましい。光センサーは、赤外線波長の光、または紫外線波長の光を検出するよう構成されていることが好ましい。
【0048】
一つの実施形態で、物品は複数のシステムと併用するよう構成された物品のうち1つの物品である。その場合、検出器は、くぼみ内の物品の存在を検出する能力があり、また、識別された情報に基づき、その物品の複数のシステムと併用するよう構成された物品のうちの他の物品と区別する能力がある。
【0049】
一つの実施形態で、システムは、その上に組み込まれたタガントを含めた複数の物品を受けるように構成され、かつシステムは、複数のシステムと併用するよう構成された物品の部分集合とのみ動作するよう配置されており、部分集合の各物品は、タガント属性に基づき、検出器によって識別可能である。
【0050】
このように、システムは、例えば、電気的ハードウェアのプログラミングによって、特定の物品とのみ併用されるよう設定ができる。この特徴には、数多くの利点がある。第一に、これはシステムと併用するための偽造喫煙物品を減少または除去しうる。第二に、これは、例えば、異なる地域または管轄区域で異なる喫煙物品が利用できるようにして、製造者または流通業者がシステムと併用できる喫煙物品を限定できるようにしうる。第三に、これはまた、喫煙システムが喫煙物品の異なる部分集合と併用されるように構成できるようにする。例えば、購入時に、喫煙システムは、喫煙物品の第一の部分集合とは併用できないかもしれない。電気的ハードウェアを更新した後で、喫煙システムは、喫煙物品のより大きな第二の部分集合と併用できるようにしてもよい。電気的ハードウェアのさらなる更新の後、喫煙システムは、喫煙物品のより大きな第三の部分集合と併用できるようにしてもよい。
【0051】
エアロゾル発生装置は、ユーザーが単一の手の指の間に持ちやすい、ハンドヘルドのエアロゾル発生装置であることが好ましい。エアロゾル発生装置は、形状において実質的に円柱状でもよい。電気加熱式の喫煙システムは再使用可能であることが好ましい。各物品は使い捨てであることが好ましい。
【0052】
エアロゾル発生装置は、多角形の断面および1つの面上に形成された突き出したボタンを含みうるが、この実施形態において、エアロゾル発生装置の外径は、平坦面から反対側の平坦面まで測定すると約12.7mm~約13.65mmであり、一方の端から反対側の端まで(すなわち、エアロゾル発生装置の一方の側面にある2つの面の交点から、他方の側面の対応する交点まで)測定すると約13.4mm~約14.2mmであり、ボタンの上端から反対側の底部平坦面まで測定すると約14.2mm~約15mmとしうる。装置の長軸方向の長さは、約70mm~約120mmとしうる。装置の直径は、約10mm~約20mmとしうる。
【0053】
動作中、エアロゾル発生物品、およびそのエアロゾル形成基体は、くぼみ内に完全に受けられて、こうして電気的に動作するエアロゾル発生システム内に完全に含まれうる。その場合、ユーザーは、電気的に動作するエアロゾル発生システムのマウスピースで吸煙しうる。別の方法として、動作中、物品は、エアロゾル形成基体が電気的に動作するエアロゾル発生システム内に完全にまたは部分的に含まれるように、くぼみ内に部分的に受けられてもよい。その場合、ユーザーは物品を直接吸煙するか、または電気的に動作するエアロゾル発生システムのマウスピースで吸煙しうる。
【0054】
上述の通り、検出器がくぼみ内の喫煙物品を検出した時、電気的に動作するエアロゾル発生システムは始動するよう配置されていることが好ましい。システムは、電気的ハードウェアが電源および少なくとも一つの発熱体に接続される時に起動されうる。別の方法として、または追加的に、システムは、システムがスタンバイモードから能動モードに切り換わった時に起動されてもよい。別の方法として、または追加的に、少なくとも一つの発熱体は、物品がくぼみ内で検出された時にのみ加熱されるようにシステムはさらにスイッチを備えてもよく、またスイッチがオンになった時に起動されてもよい。システムを起動する工程は、追加的にまたは別の方法としてその他の工程を含みうる。
【0055】
検出器は、検出器の位置に基づき、エアロゾル発生物品がくぼみ内に存在するかどうか、または装置または充電ユニットに隣接しているかどうかを検出する能力がある。このため、システムおよび喫煙物品は数多くの利点を有する。例えば、システムは、永久的に能動モードに留まる必要はなく、スタンバイモードに留まり、物品が検出された時にのみ能動モードに切り替わることができるため、電力の節約が提供される。さらに、使用される電力は、物品が検出された時に、特定のユーザーについてそのユーザーの使用習慣に応じて最適化することができる。システムはまた、物品は検出されるとすぐに加熱されうるため、物品について最初の吸煙までの時間を短縮化できる。これにより、ユーザーの最初の吸煙から、ユーザーがエアロゾルを受けるまでの時間の遅延が最小化される。その上、システムは有効な物品が検出された時にのみ起動されるため、安全性が改善される。したがって、有効な物品が存在しない限り、発熱体が活性化する可能性はない。
【0056】
検出器はまた、物品がくぼみから除去された時を示すように配置されうる。その場合、システムは能動モードからスタンバイモードに切り替わるように配置されうる。別の方法として、または追加的に、システムがスイッチを含む場合、喫煙物品がくぼみから除去された時にスイッチはオフになってもよい。
【0057】
電気的ハードウェアは、発熱体の動作を制御するためのプログラマブルコントローラ、例えば、マイクロコントローラを含むことが好ましい。一つの実施形態で、コントローラは、ソフトウェアによってプログラムしうる。別の方法として、コントローラは、特定用途向け集積回路(ASIC)などの用途が特定されたハードウェアを含みうるが、これは特定用途用のハードウェア内にある論理ブロックをカスタム化することによりプログラムしうる。電気的ハードウェアはプロセッサを含むことが好ましい。追加的に、電気的ハードウェアは、特定の物品についての加熱設定、ユーザーの嗜好、ユーザーの喫煙習慣またはその他の情報を格納するためのメモリを含みうる。格納された情報は、喫煙システムと併用が可能な特定の物品に応じて更新および交換が可能であることが好ましい。また、情報はシステムからダウンロードされうる。
【0058】
1つの模範的実施形態において、電気的ハードウェアは、ユーザーが吸煙していることを示す空気の流れを検出するセンサーを含む。センサーは、サーミスタを含みうる。センサーは電気機械装置であってもよい。別の方法として、センサーは、機械式装置、光学式装置、光学機械式装置および微小電気機械システム(MEMS)ベースのセンサーのうちのいずれであってもよい。その場合、電気的ハードウェアは、ユーザーが吸煙をしていることをセンサーが感知した時に、少なくとも一つの発熱体に電流パルスを供給するよう配置されうる。別の実施形態において、システムはさらに、ユーザーが吸煙を開始するために手動で動作するスイッチを含む。
【0059】
電気的ハードウェアは、検出器によって識別された特定の物品に基づき、少なくとも一つの発熱体のための加熱手順を確立するよう配置されていることが好ましい。
【0060】
加熱手順は、発熱体のための最高使用温度、吸煙1回当たりの最長加熱時間、吸煙間の最短時間、物品1つ当たりの最高吸煙数および物品についての最長合計加熱時間のうち、1つ以上を含みうる。特定の物品でのエアロゾル形成基体は、特定の加熱条件で改善されたユーザー体験が要求される(またはそれを提供する)ことがあるため、特定の物品に合わせた加熱手順を確立することが有利である。すでに言及した通り、電気的ハードウェアはプログラム可能であることが好ましく、その場合には様々な加熱手順が格納および更新されうる。
【0061】
電気的ハードウェアは、検出器によって識別された特定の物品に基づき、情報を保存するように配置されることが好ましい。これにより、顧客の嗜好を追跡するために、特定のユーザーによって使用される様々な物品タイプのモニタリングが可能になる。情報は、電気的ハードウェア内に、特にメモリ内に保存されるのが好ましい。情報は、電気的ハードウェアから取り出し可能であることが好ましい。
【0062】
少なくとも1つの発熱体は、単一の発熱体を備える場合がある。別の方法として、少なくとも一つの発熱体は1つ以上の発熱体を備えうる。発熱体(単一または複数)は、最も効果的に物品内のエアロゾル形成基体を加熱するように適切に配置される場合がある。
【0063】
少なくとも一つの発熱体は、電気抵抗性の材料を含むことが好ましい。適切な電気抵抗性の材料としては、ドープされたセラミックなどの半導体、「導電性」のセラミック(例えば、二ケイ化モリブデンなど)、炭素、黒鉛、金属、合金およびセラミック材料および金属材料でできた複合材料が挙げられるが、これに限定されない。こうした複合材料は、ドープされたセラミックまたはドープされていないセラミックを含む場合がある。適切なドープされたセラミックの例としては、ドープシリコン炭化物が挙げられる。適切な金属の例としては、チタン、ジルコニウム、タンタル、および白金族の金属が挙げられる。適切な合金の例は、ステンレス鋼、ニッケル-、コバルト-、クロミウム-、アルミニウム-チタン-ジルコニウム-、ハフニウム-、ニオビウム-、モリブデン-、タンタル-、タングステン-、スズ-、ガリウム-、マンガン-および鉄を含有する合金、およびニッケル、鉄、コバルト、ステンレス鋼系の超合金、Timetal(登録商標)および鉄-マンガン-アルミニウム系の合金を含む。複合材料では、電気抵抗性の材料は、必要なエネルギー移動の動態学および外部の物理化学的性質に応じて、随意に絶縁材へ埋込、封入、または塗布されてもよく、あるいはその逆であってもよい。適切な化合物発熱体の例は、第US-A-5 498 855号、第US-A-5 498 855号、第WO-A-03/095688号および第US-A-5 514 630号に開示されている。
【0064】
別の方法として、少なくとも一つの発熱体は、赤外線発熱体、フォトニック供給源(例えば第US-A-5 934 289号に説明されているものなど)、または誘導加熱発熱体(例えば、第US-A-5 613 505号に説明されているものなど)を含みうる。
【0065】
少なくとも一つの発熱体は任意の適切な形態をとる場合がある。たとえば、少なくとも一つの発熱体は、第US-A-5 388 594号、第US-A-5 591 368号および第US-A-5 505 214号に記述されたものなどの、発熱ブレードの形態をとりうる。あるいは、少なくとも一つの発熱体は、第EP A-1 128 741号に記載されるように異なる導電性部分または第WO-A-2007/066374号に記載されるように電気抵抗性の金属チューブを持つケーシングまたは基体の形態をとってもよい。別の方法として、第KR-A-100636287号および第JP-A-2006320286号に説明されている通り、エアロゾル形成基体の中心を貫通する1つ以上の加熱用の針または棒も適切である場合がある。あるいは、少なくとも一つの発熱体は、ディスク型の(末端の)ヒーターまたはディスク型のヒーターと加熱用の針または棒を組み合わせたものであってもよい。その他の代替物としては、第EP-A-1 736 065号に記述されたものなどの加熱用のワイヤーまたはフィラメント、例えばニッケルクロム(Ni-Cr)、プラチナ、タングステンまたは合金製のワイヤーまたは加熱プレートが挙げられる。
【0066】
少なくとも1つの発熱体は伝導によりエアロゾル形成基体を加熱する場合がある。発熱体は基体と、または基体が付着している担体と、少なくとも部分的に接触する場合がある。別の方法として、発熱体からの熱は熱伝導性要素の手段によって基体に伝導する場合がある。別の方法として、少なくとも1つの発熱体は、使用中に電気的に動作するエアロゾル発生システムを通して引き出された、入ってくる周囲空気に熱を伝達する場合があり、これが次に対流によってエアロゾル形成基体を加熱する。周囲空気は、第WO-A-2007/066374号に説明されている通り、エアロゾル形成基体を通過する前に加熱される場合がある。
【0067】
本発明のなおさらなる態様によれば、エアロゾル発生システムを制御する方法が提供されている。システムは、識別可能な分光学的特徴を持つタガントを少なくとも一つの成分から成る材料に組み込む少なくとも一つの成分と、エアロゾル発生装置とを含む、エアロゾル発生物品を備える。エアロゾル発生装置は、少なくとも部分的にエアロゾル発生物品を受けるためのくぼみと、少なくとも一つの発熱体と、少なくとも一つの発熱体に電力を供給するための電源と、電源および少なくとも一つの発熱体に接続された電気的ハードウェアと、エアロゾル発生物品の存在を検出し、エアロゾル発生物品の材料内に組み込まれたタガントの分光学的特徴を判断する能力のある検出器とを備える。方法は、第1の動作モードで、エアロゾル発生物品の存在を検出する工程と、エアロゾル発生物品の存在が検出された時に第2の動作モードに切り替える工程と、第2の動作モードで、エアロゾル発生物品がタガントを含むかどうかを判断する工程と、またその場合に検出されたタガントの分光学的特徴を判断する工程とを含む。
【0068】
第1のモードでは、検出器は低電力モードで動作し、また第2のモードでは、検出器は高電力モードで動作することが好ましい。
【0069】
2つの別個のモードでシステムを動作させることにより、システムの合計電力消費量は低減されうるが、これにより所定の電源容量についてシステムの動作時間が延長できる。理解される通り、別の方法として、システムのサイズは、電源のサイズおよびしたがって容量を低減させる一方、システムの動作時間を維持することにより低減されうる。
【0070】
第1のモードでは、検出器は、受信信号の変化を監視することにより、エアロゾル発生物品の存在を検出するよう構成されうる。方法は、受信信号を閾値と比較する工程を含みうるが、ここで、信号が閾値を超えた場合はエアロゾル発生物品が存在すると判断される。こうした閾値の比較は偽陽性の割合を低減させ、こうしてさらにシステムの動作時間を延長しうる。
【0071】
第1のモードでは、方法は近接センサーを使用してエアロゾル発生物品の存在を検出する工程を含みうると同時に、第2のモードでは、方法は発光体および受信器を使用して検出されたタガントの分光学的特徴を判断する工程を含みうる。近接センサーは、容量型、光電型または誘導型の近接センサーとしうる。近接センサーは容量型センサーであることが好ましい。特に好ましい実施形態において、容量型センサーは、エアロゾル発生物品の紙ラッパーを認識するために最適化される。
【0072】
第1のモードはまた、第2のモードで使用される同一の発光体および受信器を使用しうる。ただし、発光体に供給される電力は、第1の動作モードでは第2の動作モードよりも低い。第1のモードでは、エアロゾル発生物品の存在を判断することのみが必要とされるが、これは、タガントの分光学的特徴を判断する時に必要とされる電力よりも少ない。
【0073】
本発明のなおさらなる態様による方法はまた、適切な場合に、本明細書で説明されているその他任意の方法工程および特徴を備えうる。
【0074】
本発明のなおさらなる態様によれば、電気的に動作するエアロゾル発生システムが提供されている。システムは、識別可能な分光学的特徴を持つタガントを少なくとも一つの成分から成る材料に組み込む少なくとも一つの成分と、エアロゾル発生装置とを含む、エアロゾル発生物品を備える。エアロゾル発生装置は、少なくとも部分的にエアロゾル発生物品を受けるためのくぼみと、少なくとも一つの発熱体と、少なくとも一つの発熱体に電力を供給するための電源と、電源および少なくとも一つの発熱体に接続された電気的ハードウェアと、エアロゾル発生物品の存在を検出し、エアロゾル発生物品の材料内に組み込まれたタガントの分光学的特徴を判断する能力のある検出器とを備える。検出器は、検出器がエアロゾル発生物品の存在を検出するよう構成されている第1のモードと、検出器がエアロゾル発生物品がタガントを含むかどうかを判断し、またその場合に、検出されたタガントの分光学的特徴を判断するように構成された第2のモードとで動作するよう構成される。検出器はさらに、エアロゾル発生物品の存在が検出された時に、第1の動作モードから第2の動作モードに切り替わるように構成される。
【0075】
一つの好ましい実施形態で、第1の動作モードでの検出器の電力消費量は、第2の動作モードでの検出器の電力消費量よりも少ない。一つの実施形態において、第1のモードでの電力消費量は、約3mA~約6mAであり、約5mAが好ましく、および第2のモードでの電力消費量は約7mA~約10mAであり、約8mAが好ましい。
【0076】
2つの別個のモードでシステムを動作させることにより、システムの合計電力消費量は低減されうるが、これにより所定の電源容量についてシステムの動作時間が延長できる。理解される通り、別の方法として、システムのサイズは、電源のサイズおよびしたがって容量を低減させる一方、システムの動作時間を維持することにより低減されうる。
【0077】
検出器は、近接検出器を含みうるが、近接検出器は第1の動作モードでアクティブである。近接検出器は、第2の動作モードではアクティブではないことが好ましい。近接検出器は、容量型、光電型、または誘導型容量の近接検出器としうる。
【0078】
電気的ハードウェアは、検出器が第1のモードで動作している時に検出器から受ける受信信号を閾値と比較するよう構成しうるが、ここで、信号が閾値を超えた場合に、エアロゾル発生物品が存在するものと判断される。こうした閾値の比較は偽陽性の割合を低減させ、こうしてさらにシステムの動作時間を延長しうる。
【0079】
エアロゾル発生装置の検出器は、発光体および光検出器を備えた単一の検出器としうるが、ここで第1のモードでは、発光体は第2のモードでよりも低い電力で動作する。第1のモードでは、光検出器は、受信信号の変化についてのみ監視するため電力の要件は低い。
【0080】
電気的ハードウェアは、エアロゾル発生物品の存在が検出された時に、検出器が第1の動作モードから第2の動作モードに切り替わるように構成されうる。
【0081】
本発明のなおさらなる態様によるシステムはまた、その他任意のシステム特徴を備えてもよく、または適切な場合には、本明細書で説明した任意の方法工程を遂行するように構成されてもよい。
【0082】
本発明の一つの態様のいずれの特徴も、任意の適切な組み合わせにおいて本発明のその他の態様にも適用されうる。特に、方法の態様は装置の態様に適用でき、その逆もまた可である。さらにまた、一つの態様における任意の一部および/またはすべての特徴は、任意の適切な組み合わせにおいて、任意のその他の態様の任意の一部および/またはすべての特徴に適用されうる。
【0083】
当然ながら、本発明の任意の態様において説明および定義された種々の特徴の特定の組み合わせを独立して実施および/または供給および/または使用できる。
【0084】
本発明は以下の添付図面を参照しながら、例証としてのみであるがさらに説明する。
【図面の簡単な説明】
【0085】
図1図1は、本発明によるエアロゾル発生物品を示す。
図2図2は、本発明によるエアロゾル発生システムを示す。
図3図3は、本発明による代替的なエアロゾル発生システムの概略図を示す。
図4図4は、本発明によるさらなる代替的なエアロゾル発生システムの概略図を示す。
図5図5は、本発明によるさらなる代替的なエアロゾル発生システムの概略図を示す。
図6図6は、本発明による別の代替的なエアロゾル発生システムの概略図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0086】
図1は、エアロゾル発生物品100を示す。物品100は、エアロゾル形成基体102、中空の管状の移動要素104、マウスピース106、および外側ラッパー108を備える。外側ラッパー108は、タガント(点で表示)を含む。タガントは、材料の製造時にラッパーに組み込まれる。
【0087】
この例では、ラッパー材料は、スラリーが紙に形成され乾燥される前に、タガントを粉末の形態でラッパー紙材料スラリーに組み込むことにより製造される。タガントは、最終材料にタガントが供給されるように、製造時に使用される温度および条件で熱的および化学的に安定性がある。別の方法として、タガントは、吹き付け、印刷、塗布またはこれに類する方法により、溶液中のラッパー材料に適用されうる。
【0088】
下記に説明する通り、電気的に動作するエアロゾル発生装置で使用するためのエアロゾル発生物品は、ラッパー内にタガントを組み込む。タガントは、識別可能な分光学的特徴を持つ。
【0089】
ラッパーの材料内に組み込まれたタガントの使用により、製造後にタガントがラッパーから除去されないように阻止される。このように、エアロゾル発生物品の不正開封防止、および偽造の困難さが改良される。
【0090】
タガント材料は、特定の光の波長を吸収して、識別を可能にする、および/またはタガントを励起するために使用された光の波長と比較してずれた波長で光を発することができるように、光学的属性を制御するよう選択できる。
【0091】
図2は、本発明による電気的に動作するエアロゾル発生システム200の模範的な一つの実施形態の斜視図を示す。電気的に動作するエアロゾル発生システム200は、前方ハウジング部分204および後方ハウジング部分206を持つハウジング202を含む喫煙システムである。前方ハウジング部分204は、喫煙物品などの物品を受ける能力のあるくぼみ210を持つ前方端部分208を含む。図2では、喫煙システム200は、紙巻たばこ100の形態の喫煙物品と共に示されている。この実施形態において、前方ハウジング部分204はまた、ディスプレイ212を含む。ディスプレイ212は詳細には図示されていないが、適切な任意のディスプレイ形態、例えば、液晶表示ディスプレイ(LCD)、発光ダイオード(LED)ディスプレイまたはプラズマ表示ディスプレイパネルを含みうる。さらに、ディスプレイは、必要な任意の情報、例えば喫煙物品またはクリーニング用物品に関連した情報を表示するように配置しうる。
【0092】
電気加熱式の喫煙システム200はまた、くぼみ210内またはそれに隣接して配置された検出器(図2では図示せず)を含む。検出器は、くぼみ内の物品の存在を検出でき、またシステムと併用しうる様々な物品を識別できる。検出器は、タガントの分光学的特徴を判断する手段を含む。分光学的特徴を判断する手段は、光源および光センサーを含む。
【0093】
図3は、本発明によるエアロゾル発生システム300のさらなる模範的実施形態の概略図を示す。エアロゾル発生システムは、エアロゾル発生装置302およびエアロゾル発生物品304とを備える。エアロゾル発生装置302は、電源306(電池など)、制御回路308、および検出器310を備える。装置302にはまた、エアロゾル発生物品304を受けるためのくぼみが提供されている。エアロゾル発生物品304は、エアロゾル発生液体基体容器312、毛細管芯314、電気的に動作するヒーター316、エアロゾル形成室318およびマウスピース320を備える。
【0094】
エアロゾル発生物品304は、エアロゾル発生装置302で使用するための、使い捨てカートリッジなどのカートリッジである。カートリッジの容器は、本明細書で説明した通り、容器を形成するために使用される材料に組み込まれたタガントを含む。タガントは、識別可能な分光学的特徴を持つ。
【0095】
図2に示す模範的実施形態と同様に、検出器310は、くぼみ内のエアロゾル発生物品304の存在を検出し、容器312の材料に組み込まれたタガントに基づき、エアロゾル発生物品をエアロゾル発生システム302と併用するよう構成されたその他の物品と区別する能力を持つ。理解される通り、タガントはエアロゾル発生物品のその他任意の成分に組み込みうる。検出器310は、タガントの分光学的特徴を判断し、エアロゾル発生物品304を識別するための光源および光センサーを備える。
【0096】
使用時、ユーザーがエアロゾル発生物品304をエアロゾル発生装置302に挿入すると、検出器310は光を発し、光センサーによって受信された応答を検出することにより、挿入されているエアロゾル発生物品のタイプを判断する。
【0097】
ユーザーがマウスピースを吸うと、制御回路は、検出されたエアロゾル発生物品304のタイプに基づき、ヒーター316に電力を供給してエアロゾルを発生させる。供給された電力は、エアロゾル発生物品のブランドに従い、または予め決められたユーザーの嗜好、およびこれに類するものに従い最適化されうる。別の方法として、または追加的に、エアロゾル発生物品304が検出器によって認識されない場合には、制御回路は、電力がヒーター316に供給されないように阻止し、許可されていないエアロゾル発生物品の使用を防止する。
【0098】
図4はエアロゾル発生システム400の略図を示す。図4に示すシステムは、図3に示すものと類似している。エアロゾル発生システム400は、エアロゾル発生装置402およびエアロゾル発生物品304を備え、エアロゾル発生物品304は、図3を参照しながら上述したものと同じである。エアロゾル発生装置402もまた、図3を参照しながら上述したものと同じであるが、検出器404が装置ハウジングの外部表面上に供給されていることを除く。
【0099】
この例において、検出器404は、装置402の外側に存在しているエアロゾル発生物品304の存在を検出する能力がある。この場合も、検出器は、容器312の材料内に組み込まれたタガントに基づき、エアロゾル発生物品をエアロゾル発生システム400と併用するよう構成されたその他の物品から区別する能力がある。理解される通り、タガントはエアロゾル発生物品のその他任意の成分に組み込みうる。検出器404は、タガントの分光学的特徴を判断し、エアロゾル発生物品304を識別するための光源および光センサーを備える。
【0100】
図に示すように、装置はさらに、図示した通り第1の位置にある時に物品304がくぼみに挿入されないよう阻止する突起部406を含む。突起部406は、第2の位置で物品304が挿入されうるように移動可能である。
【0101】
使用時、ユーザーがエアロゾル発生物品304を検出器404に提示した時、検出器は、光を発して光センサーによって受信された応答を検出することにより、エアロゾル発生物品のタイプを判断する。
【0102】
物品がシステムと併用するよう構成されている場合、制御回路308は装置を起動し、物品がくぼみ312内に挿入されないように阻止するための手段406を収納する。次に、ユーザーは、上述の通り物品をくぼみに挿入し、装置を動作させる。
【0103】
図5は、本発明によるエアロゾル発生システムのなおさらなる例を示す。図5(a)は充電ユニット500を示す。図5(b)はエアロゾル発生装置502を示す。この例では、装置502は、エアロゾル形成基体を含むエアロゾル発生物品504を受けるよう適合された電気加熱式エアロゾル発生装置である。上述の物品100と同様に、物品504はまたタガントを含む。充電装置500は、装置502が電気接点510と接続された時に電池506からエアロゾル発生装置502に電力を供給するように構成されている、一次電池506、制御電子回路508、および電気接点510を含む。充電装置は、電池506を利用する装置502を充電するように構成されている。電気接点510は、くぼみ512の底部に隣接して提供されている。くぼみは、装置502を受けるように構成されている。リッド514は、装置502を一次装置500のくぼみ512内に固定するよう構成されるように提供されている。充電装置500の構成要素は、ハウジング516内に格納される。
【0104】
充電ユニット500にはさらに、ハウジング516の外部表面上に、上述の検出器と類似した検出器517が提供されている。
【0105】
装置502は、再充電可能電池526、二次制御電子回路528および電気接点530を備える。上述の通り、装置502の再充電可能電池526は、電気接点530が充電装置500の電気接点510と接触しかつリッドが閉位置にある時に、一次電池506から電力供給を受けるように構成されている。装置502はさらに、エアロゾル発生物品504を受けるように構成されたくぼみ532を含む。例えば、ブレードヒーターの形態のヒーター534は、くぼみ532の底部に提供される。
【0106】
使用時に、装置502が充電ユニットのくぼみ512内にある状態で、ユーザーは、物品504を充電ユニットにある検出器517に提示することにより装置502を起動させる。物品がシステムで使用するように構成された物品として認識された場合、制御電子回路508は装置502に信号を送信し、これが装置を使用できるようにする。その後、電力が電池526から制御電子回路528を経由してヒーター534に供給されうる。ヒーターは、エアロゾル発生物品504のエアロゾル形成基体からエアロゾルを発生させるのに十分な標準使用温度に加熱される。
【0107】
一例において、リッド514は、システムと併用するように構成された物品504が検出器517に提示されるまで、装置502をくぼみ512内に保持するためのロック機構を含む。
【0108】
図6は、本発明によるエアロゾル発生システム600のさらなる模範的実施形態の略図を示す。図6に示すシステムは、図3に示すものと類似している。エアロゾル発生システム600は、エアロゾル発生装置602およびエアロゾル発生物品604とを備える。エアロゾル発生装置602は、電源606(電池など)、制御回路608、および検出器610を備える。装置302にはまた、エアロゾル発生物品604を受けるためのくぼみ612が提供されている。エアロゾル発生物品604は、エアロゾル発生液体基体容器614、毛細管芯616、電気的に動作するヒーター618、エアロゾル形成室620およびマウスピース622を備える。
【0109】
エアロゾル発生物品604は、エアロゾル発生装置602で使用するための、使い捨てカートリッジなどのカートリッジである。カートリッジの容器は、本明細書で説明した通り、容器を形成するために使用される材料に組み込まれたタガント623を含む。タガントは、識別可能な分光学的特徴を持つ。装置602のくぼみ612に受けられる容器の部分624には、タガントは含まない。ところが、理解される通り、タガントは上述の物品100、304および504と類似した方法で容器全体に提供されうる。
【0110】
図2および図3に示す模範的実施形態と同様に、検出器610は、くぼみ内のエアロゾル発生物品604の存在を検出し、容器の材料に組み込まれたタガントに基づき、エアロゾル発生物品をエアロゾル発生システム600と併用するよう構成されたその他の物品と区別する能力を持つ。検出器610は、タガントの分光学的特徴を判断し、エアロゾル発生物品604を識別するための光源および光センサーを備える。
【0111】
使用時、装置602は当初、検出器がエアロゾル発生物品の存在のみを監視する第1の低電力モードになっている。第1のモードでは、検出器はタガントの分光学的特徴を判断する能力はない。一例において、第1のモードでの装置の電力消費量は、約5mAである。ユーザーがエアロゾル発生物品をくぼみに挿入するのを待機している第1のモードでの装置602を図6(a)に示す。
【0112】
図6(b)に示す通り、ユーザーがエアロゾル発生物品604をくぼみ612に挿入すると、検出器は物品の存在を検出し、電気的ハードウェアは第2のモードで動作するよう装置を切り替えるが、この時検出器はタガントの分光学的特徴を判断する能力がある。第1のモードでは、検出器は低い電力で光を発し、受信信号について光センサーを監視する。受信された光が予め決められた閾値を超えると、検出器はエアロゾル発生物品が存在することを判断する。
【0113】
一例では、第2のモードにある時、検出器の電力消費量は約8mAである。
【0114】
図6(c)に示す通り、くぼみへの挿入が継続されると、タガントを含む物品604の部分が検出器610に隣接して提供される。装置602は第2の動作モードにあり、またタガントを判断し、判断されたタガントをシステムと併用する物品に対応するタガントのリストと比較する能力を持つ。その後、装置の動作は、上述の通り継続する。
【0115】
図6を参照しながら説明した検出器および関連付けられた電気的ハードウェアはまた、それぞれ図2、4および5を参照しながら説明したシステム200、400および500に採用されうる。すなわち、システム200、400および500には、検出器がエアロゾル発生物品の存在のみを検出するよう構成されている第1のモードと、タガントの分光学的特徴を判断できる第2のモードとで動作する能力のある検出器(または装置)が提供されうる。
【0116】
上述の例示的な実施形態は例証するが限定はしない。上記で考察した例示的な実施形態に照らすことにより、上記の例示的な実施形態と一貫したその他の実施形態は今や当業者には明らかとなろう。
図1
図2
図3
図4
図5
図6