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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-14
(45)【発行日】2022-01-14
(54)【発明の名称】吸音装置を備えた車輪
(51)【国際特許分類】
   B60B 21/12 20060101AFI20220106BHJP
【FI】
B60B21/12 Z
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020107568
(22)【出願日】2020-06-23
(65)【公開番号】P2021075261
(43)【公開日】2021-05-20
【審査請求日】2020-06-23
(31)【優先権主張番号】201911085352.0
(32)【優先日】2019-11-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】520228142
【氏名又は名称】中信戴▲か▼股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】CITIC Dicastal Co.,Ltd
【住所又は居所原語表記】185 Longhai Ave., Qinhuangdao Economic & Technological Development Zone, Qinhuangdao, Hebei 066011, China
(74)【代理人】
【識別番号】100169904
【弁理士】
【氏名又は名称】村井 康司
(74)【代理人】
【識別番号】100124707
【弁理士】
【氏名又は名称】夫 世進
(72)【発明者】
【氏名】徐世文
(72)【発明者】
【氏名】▲陳▼▲銘▼博
(72)【発明者】
【氏名】李明▲れい▼
(72)【発明者】
【氏名】黄少兵
(72)【発明者】
【氏名】胡▲鉄▼峰
(72)【発明者】
【氏名】▲馮▼▲樹▼▲偉▼
(72)【発明者】
【氏名】王大▲東▼
(72)【発明者】
【氏名】▲劉▼▲偉▼東
【審査官】佐々木 智洋
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-256535(JP,A)
【文献】特開2008-279873(JP,A)
【文献】特開2010-095103(JP,A)
【文献】米国特許第04391317(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60B 21/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
音響共鳴を低減するために車輪の空気室内に取り付けられた吸音装置を備えた車輪(1)であって、前記吸音装置は、本体の円周方向に延び、一定の断面形状を有する平坦な六面体の形状である箱型共鳴器(6)として構成され、バンド(15)によって車輪の本体に締結されて取り付けられ、本体と前記箱型共鳴器(6)との間に、本体と前記箱型共鳴器(6)との相対位置を固定するための第1の位置決め機構が設けられ、且つ、前記箱型共鳴器(6)とバンド(15)との間に、前記箱型共鳴器(6)とバンドとの相対位置を固定するための第2の位置決め機構が設けられ
前記第1の位置決め機構は、前記本体と前記箱型共鳴器(6)とを車輪の軸方向にて相互に固定するための第1の嵌合構造と、前記本体と前記箱型共鳴器(6)とを車輪の円周方向にて相互に固定するための第2の嵌合構造とを含み、
前記第1の嵌合構造は、前記本体の周面に周方向に設けられたガイドレールと、前記箱型共鳴器(6)の内側面に設けられた、前記ガイドレールに対応する凹溝とを含み、前記第2の嵌合構造は、前記ガイドレールに設けられたノッチと、前記箱型共鳴器(6)にて前記凹溝の延伸経路に設けられた、前記ノッチに対応する突起とを含み、
前記第2の位置決め機構は、前記箱型共鳴器(6)と前記バンド(15)とを車輪の軸方向にて相互に固定するための第3の嵌合構造と、前記箱型共鳴器(6)と前記バンド(15)とを車輪の円周方向にて相互に固定するための第4の嵌合構造とを含み、
前記第3の嵌合構造は、前記箱型共鳴器(6)の外側面に設けられた、バンド(15)に対応する凹溝(7)を含み、前記第4の嵌合構造は、前記凹溝(7)の底面に設けられた突起(8)と、バンドに設けられた、前記突起に対応する穴(16)または切込みとを含むことを特徴とする車輪(1)。
【請求項2】
前記本体には、1つの前記箱型共鳴器(6)、又は前記本体の円周方向に沿って分布するようにして設けられた複数の前記箱型共鳴器(6)が取り付けられることを特徴とする請求項1に記載の車輪(1)。
【請求項3】
前記バンド(15)は、前記箱型共鳴器(6)の上面から、箱型共鳴器を前記本体のリムの外面へと押し付けて前記本体の周りに該前記箱型共鳴器(6)を締結し、バンド(15)の両端部がバックル(17)によって固定されて繋ぎ合わされ、これにより、周方向に沿うバンドの予張力を提供することで、車輪に対して前記箱型共鳴器(6)を径方向に固定させており、該予張力に対応するバンドの締結力が締結ツールでもって調整及発揮されうることを特徴とする請求項1に記載の車輪(1)。
【請求項4】
前記ガイドレールは、前記本体の周面を周方向に全周を取り囲むように設けられた2本の凸リブ(2、3)を含み、それに対応して前記箱型共鳴器(6)の内側面には2本の前記凹溝(9、10)が設けられ、前記本体側の各凸リブにそれぞれ1つの前記ノッチ(4、5)が開設され、且つ前記箱型共鳴器(6)側の各凹溝の延伸経路にそれぞれ1つの前記突起(11、12)が構成されることを特徴とする請求項に記載の車輪(1)。
【請求項5】
前記箱型共鳴器(6)が取り付けられた状態で、ハブ側の前記ガイドレールと前記箱型共鳴器(6)側の前記凹溝とが噛み合わされて、前記本体と前記箱型共鳴器(6)との間の相対位置を車輪の軸方向にて固定すると共に、前記本体側の前記ノッチと前記箱型共鳴器(6)側の前記突起とが噛み合わされて前記本体と前記箱型共鳴器(6)との間の相対位置を車輪の円周方向にて固定するのであり、また、前記箱型共鳴器(6)の内側面(14a、14b、14c)と本体のリムの外面(13a、13b、13c)との間に隙間があることを特徴とする請求項に記載の車輪(1)。
【請求項6】
前記箱型共鳴器(6)が取り付けられた状態で、バンド(15)が前記箱型共鳴器(6)の側における前記凹溝(7)に嵌め込まれ、前記凹溝(7)の側壁面は前記箱型共鳴器(6)と前記バンドとの間の相対位置を車輪の軸方向にて固定することに用いられ、また前記箱型共鳴器(6)の側の突起(8)とバンドの側の前記穴(16)または切込みとが噛み合わされて前記箱型共鳴器(6)と前記バンドとの間の相対位置を車輪の円周方向にて固定し、且つバンド(15)の内側面(15a)が前記箱型共鳴器(6)の前記凹溝(7)の底面と接触するように突き合わされていることを特徴とする請求項に記載の車輪(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吸音装置を備えた車輪に関し、特に空気入りタイヤを備えた自動車用車輪に関する。
【背景技術】
【0002】
車輪の通常の走行中に、車輪への路面からの突き動かし、及び車輪の回転の不均衡による車輪への車輪軸からの突き動かしの両方が、車輪内の空気室(特にはタイヤとリムとにより囲まれる空間)を振るい起こさせて音響共鳴を発生させうるのであり、該共鳴は車輪軸、懸架システムを介して車体構造に伝達され、続いて車内にノイズを放射する。そのノイズは、低周波数の狭帯域を主な特徴とし、値が高く、車内の乗車環境に対してノイズ干渉を形成するため、効果的に制御される必要がある。
【0003】
現在、多くの研究及び特許ではこの音響共鳴を効果的に制御するための方法が提供される。該方法は主に吸音制御原理を採用し、その中でヘルムホルツ共鳴吸音が広く利用され、効果が優れている。例えば、中国特許CN101301842B、CN104981359B、CN105209267B、CN104908513Bは、ヘルムホルツ共鳴器ノイズ低減方法に基づいて実施される一連の車輪技術的解決手段に関する。
【0004】
しかしながら、上述した従来技術から知られる解決手段では、ヘルムホルツ共鳴器の構造設計及び取付構造が比較的複雑であるため、共鳴器部材(「副空気室部材」)は、フランジ状の薄板突縁(「縁部」)で構成され、車輪本体(特には金属などからなる「ホイール」)における専門的に構成された壁面に凹溝(「溝部」)が形成され、共鳴器部材の位置決め固定がフランジ状の薄板突縁と壁面の溝部との嵌合により実現される。そして、この嵌合機構が、一方ではその薄肉特徴に制限されて接続強度を確保しにくく、他方では、部材の両方の接続嵌合の実現が基本的に構造の寸法精度に依存するため、部材の加工製造にはより高い要件が課せられ、さらに、部材の両方の位置合わせ及び取付に手間がかかり、最終的な取り付け締結力も制御不可能である。
【0005】
また、KR101822271B1からアルミ製の車輪本体が知られ、リムの周面に沿って共鳴管が取り付けられ、その固定方式としては、リムが周長方向に延びる片側壁を有し、該片側壁にリムの中心へ突出する掛け止め突起が形成され、共鳴管の左右に片側のフランジと他側のフランジが形成され、共鳴管は片側のフランジが掛け止め突起に噛み合わされてフックされ、他側のフランジにネジ山が形成され、それに合わせたナット部材により共鳴管をリムの周面に組付けて固定する。共鳴管のこの固定方式の場合、車輪の軸方向及び円周方向の共鳴管の位置決めが共に十分ではなく、共鳴管がフランジ、掛け止め突起、及びネジ山部材で固定される場合でも、同様に、構造が合理的ではなく、製造要件が高く、組み立てが不便であるなどの問題が存在し、重要には、最終的な取り付け締結力が制御不可能であり、緩みを防止するための必要な保護措置もない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、従来技術における上記欠点を克服し、特に車輪への吸音装置(又は共鳴器)の、より確実な位置決め固定を実現し、またその加工製造が簡単で経済的であり、且つ取り付け及び操作が容易且つ制御可能である、吸音装置を備えた車輪を提供することを意図する。
【0007】
本発明は、主に、外形(外郭面)がシンプルな箱型もしくはマガジン(弾倉)形である共鳴器を用い、追加的なフランジ/突縁などの、製造、保管及び操作に不利な構造を捨て去り、バンド(例えば、安価な鋼バンドで作られたもの、好ましくは、バックルもしくはファスナーを含む)を個別の締結素子として用いて全体の便利な取り付けを実現し、且つバンドの張力(さらに締結力)が調整可能であり、同時に、局所的に設計された位置決め機構を用いて車輪の全方向における共鳴器の安全な固定を保証するという考えに基づいている。このように構成された車輪アセンブリ、特にその共鳴器固定システムは、着脱が非常に便利であり、後のメンテナンスとスペアパーツの交換に有益であり、これは本発明の技術的解決手段のもう1つの利点である。
【課題を解決するための手段】
【0008】
具体的には、本発明は、音響共鳴を低減するために車輪の空気室内に取り付けられた吸音装置を備えた車輪を提供し、前記吸音装置は、平坦な六面体形状の箱形共鳴器として構成され、バンドによって車輪の本体(特には金属などの剛直な材料からなる「ホイール」)に締結されて取り付けられ、本体と箱型共鳴器との間に、本体と箱型共鳴器との相対位置を固定するための第1の位置決め機構が設けられ、且つ箱型共鳴器とバンドとの間に、箱型共鳴器とバンドとの相対位置を固定するための第2の位置決め機構が設けられる。
【0009】
注意すべきものとして、本出願で記載される「平坦な六面体形状」は、幾何学的に規則的な六面体(例えば直方体)に厳しく限定されず、長方形の六面体にほぼ類似する形状を示せばよく、その中の1つ又は複数の面が、一定の弧度を有し、及び/又は局所的な突起又は凹構造を有しても、交差する面が絶対的に直交ではなくても、対向する面が絶対的に平行ではなくても、それらがいずれも本発明の技術的解決手段の実施に影響を与えない。
【0010】
車輪全体の吸音及びノイズ低減効果及び/又はその動的バランス特性を最適化することに鑑みて、車輪の本体に、1つの前記箱型共鳴器、又は本体の周方向に分布するようにして設けられた複数の前記箱型共鳴器が取り付けられてもよい。
【0011】
有利には、前記バンドは箱形共鳴器の上面(外側面)から箱型共鳴器を車輪本体のリムの外面へ押し付けて本体の周りに該箱型共鳴器を締結し、バンドの両端部がバックルによって固定されて繋ぎ合わされ、これにより、円周方向に沿うバンドの予張力を提供することで、車輪に対して箱型共鳴器を径方向に固定させており、該予張力に対応するバンドの締結力が締結ツールでもって調整及び/又は発揮されるのであってもよい。
【0012】
有利には、前記第1の位置決め機構は、前記本体と前記箱型共鳴器とを車輪の軸方向にて固定するための第1の嵌合構造と、前記本体と前記箱型共鳴器とを車輪の円周方向にて固定するための第2の嵌合構造とを含む。
【0013】
1つの具体的な設計によれば、前記第1の嵌合構造は、本体の周面に、周方向に設けられたガイドレールと、箱型共鳴器の下面(内側面)に設けられた、前記ガイドレールに対応する凹溝とを含み、前記第2の嵌合構造は、前記ガイドレールに設けられたノッチと、前記箱型共鳴器にて前記凹溝の延伸経路に設けられた、前記ノッチに対応する突起とを含む。
【0014】
好ましくは、前記ガイドレールは、本体の周面を周方向にぐるりと囲むように設けられた2本の凸リブを含み、それに対応して箱形共鳴器の下面(内側面)には2本の前記凹溝が設けられ、本体側の各凸リブにそれぞれ1つの前記ノッチが開設され且つ箱形共鳴器側の各凹溝の延伸経路にそれぞれ1つの前記突起が構成される。
【0015】
2つの凸リブの間隔は、箱型共鳴器が取り付けられた状態で本体をぐるりと囲むように設けられたバンドが、ぐるりと囲むように延びる凸リブの間に収容できるように適切に設定され、これにより、バンドに追加的な位置決め措置を提供し、特に車輪に対する車軸の軸方向のバンドの位置決め固定に役立つ。
【0016】
有利には、箱型共鳴器が取り付けられた状態で、本体側の前記ガイドレールと箱型共鳴器側の前記凹溝が係合して前記本体と前記箱型共鳴器との相対位置を車輪の軸方向に固定すると共に、本体側の前記ノッチと箱型共鳴器側の前記突起が係合して前記本体と前記箱型共鳴器との相対位置を車輪の円周方向に固定し、且つ箱形共鳴器の底面と本体のリムの外面との間に隙間がある。
【0017】
有利には、前記第2の位置決め機構は、前記箱型共鳴器と前記バンドを車輪の軸方向に固定するための第3の嵌合構造と、前記箱型共鳴器と前記バンドを車輪の円周方向に固定するための第4の嵌合構造とを含む。
【0018】
1つの具体的な設計によれば、前記第3の嵌合構造は、箱型共鳴器の上面に設けられた、バンドに対応する凹溝を含み、前記第4の嵌合構造は、前記凹溝の底面に設けられた突起と、バンドに設けられた、前記突起に対応する切り込みとを含む。
【0019】
有利には、箱型共鳴器が取り付けられた状態で、バンドが箱型共鳴器側の前記凹溝に嵌め込まれ、前記凹溝の側壁面は前記箱型共鳴器と前記バンドとの相対位置を車輪の軸方向に固定することに用いられ、また前記箱型共鳴器側の突起とバンド側の前記切り込みが係合して前記箱型共鳴器と前記バンドとの相対位置を車輪の円周方向に固定し、且つバンドの下面が箱型共鳴器の前記凹溝の底面と接触嵌合する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本体と、バンドでもって本体に組み付けられた共鳴器とを含む、本発明の車輪を示す斜視図である。
図2図1に示す切断面A-Aについての断面図である。
図3】共鳴器及びバンドが含まれられる前の、本発明の車輪の本体を示す斜視図である。
図4図3中のタイヤ車輪の本体について径方向に切断しれた断面図である。
図5】本発明中の箱型共鳴器の外形を示しており、この視角から箱型共鳴器の上面(外側面)を見ることができるようになっている斜視図である。
図6】本発明における箱型共鳴器の外形を示しており、この視角から箱型共鳴器の下面(内側面)を見ることができるようになっている斜視図である。
図7図5図6に示す箱型共鳴器の横断面図である。
図8】本体上の2本のガイドレールにおける、ノッチを含む局所セグメントを示す拡大斜視図である。
図9】箱型共鳴器の下面(内側面)の2本の凹溝における、突起を含む局所セグメントを示す拡大斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下に本出願の実施例の図面と組み合わせて本出願の実施例における技術的解決手段を明確且つ全面的に説明し、明らかに、説明される実施例は本出願の実施例の一部だけであり、全ての実施例ではない。本出願の実施例に基づき、当業者が創造的な労力を要せずに得る他の実施例は、全て本出願の保護範囲に属する。
【0022】
本出願の明細書と特許請求の範囲及び前記図面における用語「第1」、「第2」、「第3」、「第4」などは異なるオブジェクトを区別することに用いられるが、特定の順序を説明するためのものではない。また、用語「含む」と「有する」及びそれらのいかなる変形も、非排他的な包含をカバーすることを意図する。例えば一連のステップ又はユニットを含むプロセス、方法、製品又は装置は、示されたステップ又はユニットに限定されず、示されないステップ又はユニットをさらに含んでもよく、又はこれらのプロセス、方法、製品又は装置固有の他のステップ又はユニットをさらに含んでもよい。当業者は、本出願の明細書と特許請求の範囲の説明において「縦方向」、「横方向」、「上」、「下」、「前」、「後」、「左」、「右」、「垂直」、「水平」、「頂」、「底」、「内」、「外」などの用語で示される方位又は位置関係が、図面に示す方位又は位置関係に基づくものであり、本発明を簡易に説明及び簡素化して説明するためのものに過ぎず、指定された装置、機構、構造又は素子が特定の方位を有し、特定の方位で構成され、操作される必要があることを指示又は暗示するものではないことを理解すべきであり、したがって、上記用語は、本発明を制限するためのものとして理解されてはいけない。
【0023】
本明細書に言及される「実施例」は、実施例と組み合わせて説明される特定の特徴、構造又は特性が本出願の少なくとも1つの実施例に含まれてもよいことを意味する。明細書の様々な箇所に現れる該語句は、必ずしもすべてが同じ実施例を指すわけではなく、また、他の実施例と相互に排他的に独立した実施例又は代替実施例というのでもない。当業者は、本明細書で説明される実施例が、他の実施例と組合わせられてもよいことを明示的及び暗黙的に理解できる。
【0024】
本出願は吸音装置を備えた車輪1を提供する。図1に示すように、該車輪、特に空気入りタイヤを備えた自動車用車輪は、簡単及び明確にするために、ここで本発明の設計要点に関連する構成部分のみが示される。前記吸音装置は音響共鳴を低減するために車輪の空気室内に取り付けられ、前記吸音装置は平坦な六面体形状の箱型共鳴器6として構成され、バンド15によってタイヤ車輪の剛直な本体(特にはリムウェル)に締結されて取り付けられ、本体と箱型共鳴器6との間に、本体と箱型共鳴器との間の相対位置を固定するための第1の位置決め機構が設けられ、且つ箱型共鳴器6とバンド15との間に、箱形共鳴器とバンドとの間の相対位置を固定するための第2の位置決め機構が設けられる。
【0025】
タイヤ車輪の本体に、1つの前記箱型共鳴器6又は本体(特にはリムウェル)の円周方向に分布して設けられた複数の前記箱型共鳴器6が取り付けられてもよい。
【0026】
前記バンド15は、箱型共鳴器6の上面から、箱型共鳴器をタイヤ車輪の本体のリムの外面へと押し付けて、本体の周りに該箱型共鳴器6を締結し、バンド15の両端部がバックル17によって固定接続される。これにより、バンドの、周方向に沿う予張力を提供して、車輪に対して箱型共鳴器6を径方向に固定させるのであり、該予張力に対応するバンドの締結力が、締結ツールでもって調整及び/又は発揮されてもよい。
【0027】
前記第1の位置決め機構は、本体と箱型共鳴器6をタイヤ車輪の軸方向に固定するための第1の嵌合構造と、本体と箱型共鳴器6を車輪の円周方向に固定するための第2の嵌合構造とを含む。
【0028】
前記第1の嵌合構造は、本体の周面に周方向に、ぐるりと取り囲むように設けられたガイドレールと、箱型共鳴器6の下面(内側面)に設けられた、前記ガイドレールに対応する凹溝とを含み、前記第2の嵌合構造は、前記ガイドレールに設けられたノッチと、前記箱型共鳴器6において前記凹溝の延伸経路に設けられた、前記ノッチに対応する台状突起とを含む。
【0029】
前記ガイドレールは、本体の周面に、円周方向に沿って設けられた2本の凸リブ2、3を含み、それに対応して箱型共鳴器の内側面には2本の凹溝9、10が設けられており、本体側の各凸リブにそれぞれ1つのノッチ4、5が開設され且つ箱型共鳴器側の各凹溝の延伸経路にそれぞれ1つの台状突起11、12が構成される。
【0030】
ここで、2本の凸リブ2、3の間隔は、箱型共鳴器6が取り付けられた状態で、本体をぐるりと取り囲むように設けられたバンドが、ぐるりと取り囲むように設けられている凸リブの間に納まるように適切に設定され、これにより、バンドに追加的な位置決め措置を提供し、特に、タイヤ車輪の本体に対する、車軸の軸方向におけるバンドの位置決め固定に役立つ。
【0031】
箱型共鳴器6が取り付けられた状態で、本体側の前記ガイドレールと箱型共鳴器側の前記凹溝が継ぎ合わされて前記本体と前記箱型共鳴器との間の相対位置を、車輪の軸方向にて固定すると共に、本体側の前記ノッチと箱型共鳴器側の前記突起が継ぎ合わされて前記本体と前記箱型共鳴器との間の相対位置を、車輪の円周方向にて固定する。また、箱形共鳴器6の下面(内側面)14a、14b、14cと、本体のリムの外面13a、13b、13cとの間には、隙間(遊び)がある。
【0032】
前記第2の位置決め機構は、箱型共鳴器6とバンド15とを車輪の軸方向にて固定するための第3の嵌合構造と、箱型共鳴器6とバンド15とを車輪の円周方向にて固定するための第4の嵌合構造とを含む。
【0033】
前記第3の嵌合構造は、箱型共鳴器の上面(外側面)に設けられた、バンド15に対応する凹溝7を含み、前記第4の嵌合構造は、前記凹溝の底面7bに設けられた突起8(該突起が柱の上端部の形態に設計されてもよい)と、バンドに設けられた、前記突起に対応する穴16または切込み(該穴がスルーホールであってもよいし、ブラインドホールであってもよい)とを含む。
【0034】
箱型共鳴器6が取り付けられた状態で、バンド15が、箱型共鳴器の側の前記凹溝7に嵌め込まれ、前記凹溝7の側壁面は、前記箱型共鳴器と前記バンドとの間の相対位置を、車輪の軸方向にて固定することに用いられるのであり、また、箱型共鳴器の側の突起8と、バンドの側の前記穴16または切込とが継ぎ合わされて、前記箱型共鳴器と前記バンドとの間の相対位置を、車輪の円周方向にて固定する。また、バンド15の下面(内側面)15aが、箱型共鳴器6の前記凹溝7の底面に接触するようにして組み合わされる。
【0035】
図1図9は、本発明の1つの好ましい実施例を示し、以下に関連する詳細な設計上の特徴を詳細に説明する。
【0036】
図面に示す実施例によれば、図2図4に示すように、車輪1には、車輪に対する共鳴器の軸方向の変位を固定するための2つの環状の凸リブ2、3が設計されており、凸リブ2、3には、車輪に対する共鳴器の円周方向の変位を固定するための共鳴器位置決めノッチ4、5が設計される。
【0037】
図6及び図7に示すように、共鳴器位置決め凹溝9、10は、車輪の環状の凸リブと嵌合し、車輪に対する共鳴器の軸方向の変位を固定することに用いられており、11、12は、車輪の凸リブの位置決め凹溝4、5と嵌合して、車輪に対する共鳴器の円周方向の変位を固定するための共鳴器位置決め突起である。バンド15は、車輪に対する共鳴器6の径方向の変位を固定することに用いられる。
【0038】
特に図5に示すように、共鳴器6には、バンドを収容して、車輪に対するバンドの軸方向の変位を固定するためのバンド凹溝7が設計されており、共鳴器の位置決め突起(即ち前述の突起8)は、車輪に対するバンドの円周方向の変位を固定するためにバンド15の位置決め開口(即ち前述の穴16)と嵌合する。
【0039】
特に図4に示すように、凸リブ2には、面2a、2b、2cの3つの面があり、面2aと面2cとが平行な面ではなく、面2a又は面2cが車輪の径方向に対して一定の角度を有する(図4に示す例では、面2aが角度を有し、具体的には、該面2aが、スロープ状に、リムの外面から鈍角をなして上向きに延びている)。面2bは、車輪の軸線を回転軸とする環状面である。
【0040】
図8に示すように、凸リブ2上の共鳴器位置決めノッチ4には、面4a、4b、4cの3つの面があり、3つの面がU形の切り欠きを形成する。
【0041】
同様に、凸リブ3には、面3a、3b、3cの3つの面があり、面3aと面3cとが平行な面ではなく、面3a又は面3cが車輪の径方向に対して一定の角度を有し(図4に示す例では、面3aが角度を有し、具体的には、該面3aが、スロープ状に、リムの外面から鈍角をなして上向きに延びている)、面3bが車輪の軸線を回転軸とする環状面である。
【0042】
図8に示すように、凸リブ3上の共鳴器位置決めノッチ5には、面5a、5b、5cの3つの面があり、3つの面がU形の切り欠きを形成する。
【0043】
それに対応して、図6図7に示すように、共鳴器位置決め凹溝9には、面9a、9b、9cの3つの面があり、面9aと面9cとが平行な面ではなく、面9a又は面9cが車輪の径方向に対して一定の角度を有する(図7に示す例では、面9aが角度を有し、具体的には、該面9aが、スロープ状に、凹溝9の底面9bから鈍角をなして下向きに延びている)。面9bは車輪の軸線を回転軸とする環状面である。
【0044】
同様に、共鳴器位置決め凹溝10には、面10a、10b、10cの3つの面があり、面10aと面10cとが平行な面ではなく、面10a又は面10cが、車輪の径方向に対して一定の角度を有する(図7に示す例では、面10aが角度を有し、具体的には、該面10aが、スロープ状に、凹溝10の底面10bから鈍角をなして下向きに延びている)。面10bは車輪の軸線を回転軸とする環状面である。
【0045】
図9に示すように、共鳴器位置決め突起11には、面11a、11b、11cの3つの面がある。共鳴器位置決め凹溝9の面9aは、突起11と共鳴器位置決め凹溝9の面9aとの間の干渉を回避するために、共鳴器位置決め突起11の箇所にて省かれて不連続となっている。
【0046】
同様に、共鳴器位置決め突起12には、面12a、12b、12cの3つの面がある。共鳴器位置決め凹溝10の面10aは、突起12と、共鳴器位置決め凹溝10の面10aとの間の干渉を回避するために、共鳴器位置決め突起12の箇所にて省かれて不連続となっている。
【0047】
図1に示すように、バンド15とバックル17は、車輪1に対する共鳴器6の径方向の締結素子を構成し、バックル17が、円周方向に沿うバンド15の予張力を提供するのであり、バンド15に、位置決め開口(即ち前記穴16)が設計される。
【0048】
特に図7を参照すると、共鳴器バンド溝7には、面7a、面7b、面7cの3つの面があり、面7bが、車輪の軸線を回転軸とする環状面である。
【0049】
凸リブ2の面2aは、車輪1に対する共鳴器6の軸方向の変位を固定するために、共鳴器位置決め凹溝9の面9aと突き合わされする。凸リブ2の面2bと、共鳴器位置決め凹溝9の面9bとの間には、一定の隙間が存在する。凸リブ2の面2cと、共鳴器位置決め凹溝9の面9cとの間には、一定の隙間が存在する。
【0050】
凸リブ3の面3aは、車輪1に対する共鳴器6の軸方向の変位を固定するために、共鳴器位置決め凹溝10の面10aと突き合わされる。凸リブ3の面3bと、共鳴器位置決め凹溝10の面10bとの間には、一定の隙間が存在する。図2に示すように、凸リブ3の面3cと、共鳴器位置決め凹溝10の面10cとの間には、一定の隙間(遊び)が存在する。
【0051】
凸リブ2上の共鳴器位置決めノッチ4における面4aが、共鳴器位置決め突起11における面11aと突き合わされ、凸リブ2上の共鳴器位置決めノッチ4における面4cが、共鳴器位置決め突起11の面11cと突き合わされて、車輪1に対する共鳴器6の円周方向の変位を固定する。レール2上の共鳴器位置決めノッチ4の面4bと、共鳴器位置決め突起11の面11bとの間には一定の隙間(遊び)が存在する。
【0052】
凸リブ3上の共鳴器位置決めノッチ5の面5aが、共鳴器位置決め突起12の面12aと突き合わされし、凸リブ3上の共鳴器位置決めノッチ5の面5cが、共鳴器位置決め突起12の面12cと突き合わされて、車輪1に対する共鳴器6の円周方向の変位を固定する。レール3上の共鳴器位置決めノッチ5の面5bと、共鳴器位置決め突起12の面12bとの間には、一定の隙間(遊び)が存在する。
【0053】
共鳴器6の共鳴器バンド溝7の面7bと、バンド15の面15aは、バンドの締結力の作用で接触し、車輪1に対する共鳴器6の径方向の変位を固定する。
【0054】
共鳴器バンド溝7のバンド位置決め突起(即ち前記突起8)は、バンド15の位置決め開口(即ち前記穴16)と嵌合する。車輪1と共鳴器6に対するバンド15の円周方向の変位を固定する。
【0055】
共鳴器バンド溝7の面7a及び面7cは、車輪1と共鳴器6に対するバンド15の軸方向の変位を固定することに用いられる。
【0056】
バンド15は、バックル17の予張力の作用でもって、車輪1及び共鳴器6に対するバンド15の径方向の変位を固定する。
【0057】
共鳴器6の下面(内側面)14a、14b、14cと、リムの外面13a、13b、13cとの間に、一定の隙間(遊び)が存在する。
【0058】
バンド15の下面15aは、共鳴器バンド溝7の面7bと、接触するようにして組み合わされる。
【0059】
以上に本出願の実施例を詳細に説明し、本明細書で具体的な例を使用して本出願の原理及び実施形態を説明したのであり、以上の実施例の説明は、本出願の方法及びそのコアとなる思想の理解を助けるためのものだけである。また、当業者であれば、本出願の思想に基づき、具体的な実施形態及び適用範囲において変更を行うことができ、上述したように、本明細書の内容は本出願を限定するものとして理解されるべきではない。
【0060】
なお、共鳴器6は、図2において、「中実体」として、すなわち、内部にキャビティや空間を有さないものであるかのように描かれているが、好ましい形態において、細長い「箱」(box)の形態(「箱型」)のものでありうる。すなわち、内側及び外側の壁、左右の側壁、及び両端の壁が、板状のものとして構成されて、内部に、同様に「箱形」のキャビティ―が備えられるものでありうる。但し、内部には、例えば円柱形や楕円柱形のキャビティ―が一つ又は複数含まれても良い。特に、内部に、仕切り壁や、円形管などの管が含まれてもよく、両端または一端の壁に開口を有していても良い。特には内部に、長手方向(車輪の周方向)に沿って内部に配置される管が、両端または一端の壁の箇所で、外部に連通していてもよい。一方、共鳴器6は、好ましい実施形態において、樹脂製であり、特には、ポリオレフィンなどの硬質の樹脂(プラスチック)から形成することができる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9