(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-14
(45)【発行日】2022-01-14
(54)【発明の名称】時計のための保護された陳列台
(51)【国際特許分類】
A47F 7/02 20060101AFI20220106BHJP
G04D 99/00 20060101ALI20220106BHJP
【FI】
A47F7/02 B
G04D99/00
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020124978
(22)【出願日】2020-07-22
【審査請求日】2020-07-22
(32)【優先日】2019-08-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】506425538
【氏名又は名称】ザ・スウォッチ・グループ・リサーチ・アンド・ディベロップメント・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【氏名又は名称】山川 茂樹
(74)【代理人】
【識別番号】100064621
【氏名又は名称】山川 政樹
(72)【発明者】
【氏名】アレクサンドル・ラモンターニュ
(72)【発明者】
【氏名】ジョナタン・ブレナール
(72)【発明者】
【氏名】セドリック・ニコラ
【審査官】遠藤 邦喜
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-122563(JP,A)
【文献】実開昭55-143063(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2018/0153317(US,A1)
【文献】国際公開第2008/122829(WO,A1)
【文献】国際公開第2018/020521(WO,A1)
【文献】実開昭52-042092(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2017/0046931(US,A1)
【文献】実公昭44-20613(JP,Y2)
【文献】国際公開第2002/039856(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2003/0159949(US,A1)
【文献】特開2006-235703(JP,A)
【文献】米国特許第6352606(US,B1)
【文献】米国特許出願公開第2012/0043451(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47F 7/02
G04D 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの時計のための陳列台(1)であって、開いた
支持ループ(2)を備え、腕時計のバンドが前記ループ(2)の周りで閉じられると、前記腕時計を支持するように構成されており、前記ループが、前記支持ループ(2)の中に統合された
複数の押しボタン(11、12)によって2つの状態のうちのいずれか一方に起動することができる少なくとも1つの電気スイッチを備え、前記スイッチの前記状態が、前記ループ(2)の周りに前記時計が存在しているか否かに応じて決定され、それにより前記陳列台(1)の上における前記時計の存在を管理することができ、前記押しボタンが、前記時計が前記ループ
(2)の周りに存在している場合、前記時計によって加えられる圧力によって押し込まれ、前記時計が前記ループ(2)から取り外されると自動的に解放されるように構成されており、
前記ループが、本質的に剛直な材料でできている平らなバンドによって形成された開いたループ(2)であり、前記ループ(2)の端部(3、4)どうしの間に
間隔が形成され、前記端部(3、4)の各々の近くに押しボタン(11、12)が配置され
、
前記陳列台(1)は、さらに、前記支持ループ(2)が取り付けられる台座(10)を備え、前記台座(10)が、電気回路によって前記少なくとも1つのスイッチに接続された検出装置を備え、
プラグ-イン電気接続(15、16)によって前記ループ(2)を前記台座(10)から開放することができ、また、前記台座(10)に再接続することができ、
前記検出装置が、前記少なくとも1つのスイッチの前記状態、及び、前記プラグ-イン電気接続(15、16)の前記台座(10)からの解放及び前記台座(10)への再接続を示す前記プラグ-イン電気接続(15,16)の状態を検出し、検出された前記スイッチの状態及び前記プラグ-イン電気接続(15,16)の解放に関連する信号を生成し送信するように構成されることを特徴とする陳列台(1)。
【請求項2】
前記端部(3、4)を互いに近づけることによって前記ループ(2)を弾性的に圧縮することができる、請求項1に記載の陳列台(1)。
【請求項3】
前記検出装置が、電子チップを備え、前記電子チップが、前記チップの周りに画定されるカスタマイズ可能な局所領域内でのみ受け取ることができる信号を送信するように構成されている、請求項
1または
2に記載の陳列台(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高級時計店に適用可能な安全保護システムに関する。
【背景技術】
【0002】
店に陳列される製品を保護するために、陳列台の上に設置された製品が前記陳列台から持ち去られるのを防止するワイヤー・タイプの盗難防止システムがよく知られている。このタイプのシステムは、製品と陳列台の間のワイヤーを使用している。また、これらのシステムは、陳列台の上およびウィンドウ内における製品の存在を同じく管理することができる。しかしながらこれらのシステムはかさばり、また、美的ではなく、ケーブルを有する電気的または機械的な基礎構造の設置が必要である。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
本発明の目的は、上で識別した欠点を克服する、時計のための陳列台を提供することである。この目的は、添付の特許請求の範囲の主題によって達成される。本発明は、時計のための保護された陳列台に関し、陳列台は、開いた、または閉じた支持ループを備えており、また、腕時計のバンドがループの周りで閉じられると、腕時計を支持するように構成されており、ループが、2つの状態のうちのいずれか一方に起動することができる少なくとも1つの電気スイッチを備え、スイッチの状態は、ループの周りに時計が存在しているか否かに応じて決定され、それにより陳列台の上における時計の存在を管理することができる。
【0004】
本発明による陳列台によれば、ワイヤー接続によって時計を陳列台に接続することなく時計を保護することができる。陳列台の上における時計の存在は、スイッチに接続されている検出装置によって放出される信号を管理することによって遠隔で監視することができる。
【0005】
本発明の他の特徴および利点は、添付の図面を参照して非限定的な例として提供される好ましい実施形態についての以下の説明の中で明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】本発明の好ましい実施形態による陳列台の三次元図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
図1および
図2に示されている本発明の好ましい実施形態によれば、陳列台1は、成形重合体などの剛直な合成材料でできている平らなバンドによって形成された開いたループ2を備えている。ループ2は、2つの端部3と4の間を、360°の角度の約4分の3にわたって、後方に向かって傾斜した楕円経路上を延びて、人の手首の周囲に本質的に対応しており、したがってループ2の周りに腕時計をはめることができる。2つの端部3および4は、ループ2の内側に向かって折りたたまれている。
【0008】
図に示されている実施形態では、ループ2は、ループの最も低い位置でループ2の平面から出現している支持部分と一体であり、支持部分は、長方形の3つの面6、7および8の形態であり、時計のバンドを通すことができる空間が空いている。長方形の底面8は台座10によって支持されており、したがって台座10はループ2を支持している。
【0009】
腕時計は、2つの端部3と4の間の空間のほぼ中央に時計ケースを配置することによってループ2の上に取り付けることができ、したがって腕時計のバンドがそのクロージャー・システムによってループの周りにはめられると、腕時計のバンドの長さの底部表面がループ2の頂部表面と接触する。
【0010】
それぞれの端部3および4の近くには、2つの押しボタン11および12がループ2の中に統合されている。ボタンはループ2の頂部表面から出現している。ボタンは、手首の周りに時計をはめるために加えることができる普通の力で時計がループ2の周りにしっかりと締付けられると、腕時計のバンドの長さの底部表面によって押し込まれる。押しボタン11および12は、ボタン11および12の近くのループ2の中に統合されている電気スイッチ(図示せず)に対して作用する。スイッチは、「接続状態」または「開放状態」と呼ばれる2つの状態のうちのいずれか一方に起動することができる。スイッチは、前記普通の力によるボタンの押込みによってそれぞれのスイッチが2つの状態のうちの一方になるように構成されている。次に、その普通の力が除去されると、すなわち時計が陳列台から除去されると、スイッチの状態が変化する。この目的のために、押しボタン11および12は、時計が陳列台から除去されると、ボタンが自動的に解放されるように構成されたばねまたは等価機構を備えている。ループ2の中および支持部分6、7および8の中には電気導体(図示せず)が統合されており、これらの導体はスイッチを検出装置に接続している。
【0011】
この装置は、ループ2が取り付けられている台座10の内部に置かれている。図に示されている実施形態では、ループ2の中および支持部分6、7および8の中に統合された電気導体は、検出装置の中に提供されているソケット16に差し込むことができるミニ・ジャック・プラグ・タイプのコネクター15に接続されている。これによりループ2を台座10から分離し、また、ループ2を再接続することができる。あるいは、ループ2の中に統合された導体は、非取外し可能接続によって検出装置に接続される。
【0012】
検出装置は、電子回路および回路に供給する1つまたは複数の電池17などの従来技術で知られている任意の形態を取ることができ、回路は、ミニ・ジャック・プラグ15を接続することができるソケット16に接続されている。検出装置は、スイッチの状態を検出し、かつ、検出された状態に関連する信号を生成するように構成されている。さらに、装置は、装置の外部の、有線または無線接続によって装置に接続される警報システムにこの信号を送信するように構成されている。
【0013】
スイッチを検出装置に接続する回路は、いくつかの方法で実現することができる。例えば2つのスイッチを直列に結合して、検出装置の電池によって供給される単純な回路の一部を形成することができ、それにより少なくとも1つのスイッチの開放、すなわち少なくとも1つの押しボタン11または12の解放によって供給を切断する、すなわち遮断を生成することができる。この遮断は検出装置によって検出されることになり、検出装置は、供給遮断事象におけるスイッチの状態を表す信号を送信する。警報システムはこの信号を受け取り、警報をトリガすることができる。当業者は、添付の特許請求の範囲を逸脱することなく、他のもっと複雑な構成に想到することができる。
【0014】
図に示されている、ループ2と台座10の間に取外し可能な接続を備える実施形態は、前記接続の開放、すなわちミニ・ジャック・プラグ15の取外しが検出装置によって検出され、かつ、警報システムが認識することができる特定の信号の形態で送信されるように構成されることが好ましい。
【0015】
他の技術的変形態様も特許請求の範囲内である。ループ2は、2つまたはそれ以上の押しボタンの代わりに単一の押しボタンを備えることも可能である。押しボタンに対する代替として他のデバイスを想定することも同じく可能である(光センサー、等々)。ループ2は、開いたループの代わりに閉じたループであってもよい。上で説明した、また、図に示されている開いたループ2は、剛直ではあるが、端部3および4が互いに近づけられると、ループ自体の弾性変形を許容する材料から製造することができる。これによりループ2と、ループ上にクランプされた時計のバンド長さとの間の接触力を強くすることができ、したがって押しボタン11および12の圧縮力を強くすることができる。
【0016】
警報システムは、スイッチの状態に関連する、検出装置によって送信される信号を受け取る、有線または無線接続によって陳列台に接続されたコンピュータなどのデバイスを備えることができる。
【0017】
一実施形態によれば、台座の内側の検出装置は、BLE(ブルートゥース(登録商標)低エネルギー)チップなどの局所送信チップを備えており、局所送信チップは、チップの周りに画定されるカスタマイズ可能な画定領域内に置かれるスマートフォンまたはタブレットなどの1つまたは複数の受信デバイスが受け取ることができる信号を送ることができる。BLE技術によれば、通知フレームと呼ばれる一連のデータをチップから連続的に送ることができる。連続フレームは、保護される製品を符号によって識別し、また、ボタンの状態、したがってスイッチの状態に対応する識別子によって符号化することができる。これらの通知フレームを連続的に送ることにより、担当者は、多数の陳列台上における複数の時計の存在を常に管理することができる。許可されていない者によって時計が取り外されると、この変化は、ただちに通知フレーム中で表現され、例えば可聴警報信号の形態でスマートフォンまたはタブレット上に信号発信される。スマートフォンは、陳列台との通信を管理し、また、取り外された時計の識別子をユーザに示すデジタル・アプリケーションを備えており、したがってユーザは問題の陳列台をチェックすることができる。
【符号の説明】
【0018】
1 陳列台
2 ループ
3 ループの端部
4 ループの端部
6 長方形の面(支持部分)
7 長方形の面(支持部分)
8 長方形の面(支持部分)
10 台座
11 押しボタン
12 押しボタン
15 コネクター
16 ソケット
17 電池