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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-14
(45)【発行日】2022-01-14
(54)【発明の名称】鉄道車両
(51)【国際特許分類】
   B61D 17/18 20060101AFI20220106BHJP
   B61D 37/00 20060101ALI20220106BHJP
【FI】
B61D17/18
B61D37/00 Z
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2020155614
(22)【出願日】2020-09-16
【審査請求日】2020-09-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000004617
【氏名又は名称】日本車輌製造株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000291
【氏名又は名称】特許業務法人コスモス国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 哲郎
(72)【発明者】
【氏名】内田 慶太
(72)【発明者】
【氏名】玉川 佑介
【審査官】諸星 圭祐
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-236497(JP,A)
【文献】特開2012-126185(JP,A)
【文献】特開2001-063564(JP,A)
【文献】特開2020-006746(JP,A)
【文献】特開2016-199231(JP,A)
【文献】特開2016-088285(JP,A)
【文献】特開2015-093562(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2006/0065152(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B61D 17/12
B61D 17/18
B61D 37/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
屋根構体と、前記屋根構体に結合された固定部材と、前記固定部材を介して前記屋根構体に結合され、隣接して軌道方向に並ぶ少なくとも2枚の天井パネルと、を備える鉄道車両において、
前記固定部材は、鉄道車両の高さ方向に延在する第1垂直部を備えること、
前記天井パネルは、前記固定部材と結合する結合部材を備えること、
前記結合部材は、前記第1垂直部と平行な第2垂直部を備えること、
前記第1垂直部と前記第2垂直部のいずれか一方の垂直部は、前記高さ方向に長手方向を有する貫通長孔を備えること、
前記貫通長孔に挿通されるとともに、他方の垂直部に結合される固定具によって、前記固定部材に対する前記結合部材の前記高さ方向の位置を、前記貫通長孔の前記長手方向の長さの範囲内で、任意に調整可能であること、
前記固定部材は、前記第1垂直部の前記高さ方向の下端部に、前記第1垂直部に対して直角に接続された第1水平部を備えること、
前記結合部材は、前記第2垂直部に接続された、前記第1水平部と平行な第2水平部を備えること、
前記第1水平部と前記第2水平部とが第2固定具により結合されること、
を特徴とする鉄道車両。
【請求項2】
請求項1に記載の鉄道車両において、
前記天井パネルは、枕木方向の両端部のそれぞれに、軌道方向に所定の間隔を持って並んだ、少なくとも2つの前記結合部材を備えること、
前記屋根構体には、それぞれの前記結合部材に対応する位置に前記固定部材が設けられており、別個に前記高さ方向の位置を調整可能であること、
を特徴とする鉄道車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、屋根構体と、屋根構体に結合された固定部材と、固定部材を介して屋根構体に結合され、隣接して軌道方向に並ぶ少なくとも2枚の天井パネルと、を備える鉄道車両に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、図7に示すように、通勤列車等の鉄道車両50は、台枠521、側構体522、屋根構体523、妻構体(不図示)により構成される6面体の車体52を有しており、車体52内部は客室53として使用されている。また、客室53の内壁は、床板パネル534、内装パネル533、側天井パネル532、天井パネル531により構成されている。
【0003】
ここで、天井パネル531の固定について着目する。天井パネル531は、図8に示すように、結合部材535を有している。該結合部材535が、屋根構体523に結合されている固定部材524に結合されることで、天井パネル531は屋根構体523に結合され、固定されている。
【0004】
鉄道車両50は、1両当たり、軌道方向の長さが約20mであり、天井パネル531は、1枚当たり、軌道方向の長さが2m程度である。よって、天井パネル531は、鉄道車両50の1両あたりで、軌道方向に約10枚並んで配設され、客室53の天井を構成している。このとき、客室53の美観を保つために、客室53から見て、それぞれの天井パネル531の高さが一致して固定されていることが望ましい。
【0005】
しかし、天井パネル531には、成形後の収縮等による形状のばらつき(寸法のばらつきや、微少な捻じれ等)が生じているため、天井パネル531を直接に固定部材524に結合すると、上記した形状のばらつきや、微少な捻じれにより、隣り合う天井パネル531相互間で高さが一致せずに段差が生じてしまうなど、客室53の美観を損ねるおそれがある。そこで、結合部材535と固定部材524の間に、硬質塩ビ製のスペーサ54を挟み込んで固定することで、天井パネル531の、鉄道車両50の高さ方向の位置を調整し、隣接する天井パネル531相互間の高さを一致させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特許第5759712号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記従来技術には次のような問題があった。
上述するように、複数配設される天井パネル531のそれぞれは、成形後の収縮等により形状にばらつきがある。そのため、隣接する天井パネル531相互間で高さ方向の位置を合わせるためには、天井パネル531の結合部材535を固定部材524に取り付けるごとに、作業者が隣接する天井パネル531との位置関係を見ながら、様々な厚みのスペーサ54を試し、天井パネル531の高さ方向の位置の微調整を行う必要がある。
【0008】
天井パネル531の取り付け作業は、美観を損ねていないかどうかを確認するために、一度天井パネル531を取り付けた後、離れた位置から天井パネル531を観察し、美観に問題がないか確認を行うなど、時間のかかる作業である。そのため、上記したように様々な厚みのスペーサ54を試して高さ方向の位置の微調整を行うことは、作業効率を余計に低下させるものである。よって、作業効率の向上が望まれている。
【0009】
作業効率向上のためには、特許文献1に開示される鉄道車両の内装品取付構造を利用することが考えられる(以下の特許文献1に関する説明においては、特に図示をしないが、特許文献1で用いられている符号を用いて説明する)。当該内装品取付構造は、屋根構体4に取り付けられる第1取付部材5と、車両内装品を取り付け可能な第2取付部材6とを備えている。第1取付部材5は、上下方向に延在する長穴5dを有しているため、第2取付部材6は、貫通穴を貫通するボルト等の固定具により第1取付部材5に対して上下方向に位置調整可能に取り付けることができる。このため、隣接して配設される複数の第2取付部材6の高さを、容易に一致させることができる。そして、高さを一致させた第2取付部材6に対して車両内装品を取り付ければ、車両内装品を見栄えよく取り付けることができる。
【0010】
しかし、上記内装品取付構造は、内装品自体の形状のばらつきが考慮されていない点が問題である。例えば、隣接する第2取付部材6のそれぞれに、車両内装品として天井パネルを取り付けたとした場合、第2取付部材6の高さが一致していたとしても、天井パネル自体の形状にばらつきがあるため、隣接する天井パネル相互間で高さ方向の位置が一致せず、段差が生じてしまうおそれがある。そうすると、客室の美観を損ねるおそれがある。
【0011】
本発明は、上記問題点を解決するためのものであり、天井パネルの取り付け時における高さ方向の位置調整を容易に行うことができ、客室の美観を保つことができる鉄道車両を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するために、本発明の鉄道車両は次のような構成を有している。
(1)屋根構体と、屋根構体に結合された固定部材と、固定部材を介して屋根構体に結合され、隣接して軌道方向に並ぶ少なくとも2枚の天井パネルと、を備える鉄道車両において、固定部材は、鉄道車両の高さ方向に延在する第1垂直部を備えること、天井パネルは、固定部材と結合する結合部材を備えること、結合部材は、第1垂直部と平行な第2垂直部を備えること、第1垂直部と第2垂直部のいずれか一方の垂直部は、高さ方向に長手方向を有する貫通長孔を備えること、貫通長孔に挿通されるとともに、他方の垂直部に結合される固定具によって、固定部材に対する結合部材の高さ方向の位置を、貫通長孔の長手方向の長さの範囲内で、任意に調整可能であること、固定部材は、第1垂直部の高さ方向の下端部に、第1垂直部に対して直角に接続された第1水平部を備えること、結合部材は、第2垂直部に接続された、第1水平部と平行な第2水平部を備えること、第1水平部と第2水平部とが第2固定具により結合されること、を特徴とする。
【0013】
(1)に記載の鉄道車両によれば、固定部材の第1垂直部、または、結合部材の第2垂直部のいずれか一方の垂直部が、高さ方向に長手方向を有する貫通長孔を備えており、貫通長孔に挿通されるとともに、他方の垂直部に結合される固定具によって、固定部材に対する結合部材の高さ方向の位置を、貫通長孔の長手方向の長さの範囲内で、任意に調整可能である。これは、天井パネル自身が結合部材を備えているため、天井パネルの高さ方向の位置を、貫通長孔の長手方向の長さの範囲内で、任意に調整可能であることを意味する。天井パネルの高さ方向の位置を、任意に調整可能であれば、天井パネルに形状のばらつきがあっても、隣接する天井パネル相互間の高さ方向の位置を一致させて固定するため、天井パネルの取り付けを行う際に、作業者が隣接する天井パネルとの位置関係を見ながら高さ方向の位置が一致した位置で固定すれば良いのであり、従来のように様々な厚みのスペーサを試しながら天井パネルの高さ方向の位置の微調整を行う必要がない。よって、天井パネルの取り付け時における高さ方向の位置調整を容易に行うことができ、煩雑な調整作業を行うことなく客室の美観を保つことができる。
また、天井パネルには、吊り手棒や灯具等の内装品が取り付けられるため、固定部材と結合部材との結合によって、天井パネルの質量の他、内装品の質量を支えなければならない。しかし、第1垂直部と第2垂直部との結合によって、これらの質量を支えようとすると、第1垂直部および第2垂直部に対して平行な方向に荷重がかかるため、第1垂直部と第2垂直部との摩擦力によって質量を支えなければならなくなる。この摩擦力のみでは、天井パネルや内装品の質量を十分に支えることが出来ないおそれがある。そこで、(1)に記載の鉄道車両のように、第1水平部と第2水平部とを、固定具により結合することで、天井パネルの固定をより強固なものとすれば、天井パネルや内装品の質量を十分に支えることが可能となる。
【0014】
(2)(1)に記載の鉄道車両において、天井パネルは、枕木方向の両端部のそれぞれに、軌道方向に所定の間隔を持って並んだ、少なくとも2つの結合部材を備えること、屋根構体には、それぞれの結合部材に対応する位置に固定部材が設けられており、別個に高さ方向の位置を調整可能であること、を特徴とする。なお、所定の間隔とは、結合部材が、天井パネルの軌道方向の両端部に位置するような間隔を指す。
【0015】
(2)に記載の鉄道車両によれば、結合部材が、天井パネルの枕木方向の両端部に位置しているため、結合部材と固定部材とを結合する作業を、作業者の手の届く範囲で行うことができ、天井パネルの取り付け作業が容易となる。また、例えば、天井パネルの上面視において、四角に結合部材を配置して、それぞれ別個に高さ方向の位置を調整可能であれば、天井パネルに捻じれが生じていても、捻じれに合わせてそれぞれの結合部材の高さ方向の位置を調整すれば、隣接する天井パネル相互間で段差を生じさせずに、天井パネルを取り付けることが可能となる。
【0017】
天井パネルには、吊り手棒や灯具等の内装品が取り付けられるため、固定部材と結合部材との結合によって、天井パネルの質量の他、内装品の質量を支えなければならない。しかし、第1垂直部と第2垂直部との結合によって、これらの質量を支えようとすると、第1垂直部および第2垂直部に対して平行な方向に荷重がかかるため、第1垂直部と第2垂直部との摩擦力によって質量を支えなければならなくなる。この摩擦力のみでは、天井パネルや内装品の質量を十分に支えることが出来ないおそれがある。そこで、(3)に記載の鉄道車両のように、第1水平部と第2水平部とを、固定具により結合することで、天井パネルの固定をより強固なものとすれば、天井パネルや内装品の質量を十分に支えることが可能となる。
【発明の効果】
【0018】
本発明の鉄道車両によれば、天井パネルの取り付け時における高さ方向の位置調整を容易に行うことができ、客室の美観を保つことができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本実施形態に係る鉄道車両の、枕木方向に切断した断面図である。
図2図1のX部分の部分拡大図である。
図3図2のA-A断面図である。
図4】天井パネルを固定するための工程を説明する図である。
図5】固定部材および結合部材の第1の変形例を表す図である。
図6】固定部材および結合部材の第2の変形例を表す図である。
図7】従来技術に係る鉄道車両の、枕木方向に切断した断面図である。
図8図7のY部分の部分拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明に係る鉄道車両の実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0021】
(鉄道車両の構成について)
まず、本実施形態に係る鉄道車両1の構成について、図1乃至図3を用いて説明する。図1は本実施形態に係る鉄道車両1の、枕木方向に切断した断面図である。図2は、図1のX部分の部分拡大図である。図3は、図2のA-A断面図である。
【0022】
鉄道車両1は、例えば通勤用の車両であり、台枠21と、台枠21の枕木方向両端部に立設される一対の側構体22と、一対の側構体22上端部に接続される屋根構体23と、台枠21の軌道方向両端部に立設される不図示の妻構体と、により6面体をなすように構成された車体2を備えている。該車体2は、不図示の台車により支持される。そして、鉄道車両1は、車体2に囲まれた空間として、客室3を内部に有している。
【0023】
客室3には、乗客が着座可能なロングシート42や、ロングシート42の上方に荷棚43が設けられている他、客室3の天井にはブラケット38が固定されており、ブラケット38の下端部には、吊り手棒39が架設されている。そして、吊り手棒39には、吊り手40が吊持されている。客室3の天井には、さらに灯具41が設けられている。
【0024】
客室3の床面は、床板パネル34により形成されている。客室3の側壁は、内装パネル33により形成されている。客室3の天井は、天井パネル31および側天井パネル32により形成されている。これらのパネル31,32,33,34は、FRP製であり、成形型に強化基材を賦形させ、当該強化基材に、ハケ等を用いて樹脂を含浸させるハンドレイアップ法により成形されたものである。なお、パネル31,32,33,34を成形する方法は、ハンドレイアップ法に限定されるものでなく、FRPによる材料を、プレス加工によって成形することとしてもよい。
【0025】
屋根構体23の、客室3側の面の、枕木方向の両端部には、天井パネル31が結合される固定部材24が結合されている。固定部材24は、屋根構体23と結合する波板部材25と、後述する結合部材35と結合する箱型部材26と、からなる。
【0026】
波板部材25は、例えばステンレス鋼や、アルミ合金からなり、プレス加工によって、鉄道車両1の枕木方向に切断した断面が波板状とされている。波板部材25には、2つの凹部251,252が枕木方向に並んで形成されており、該2つの凹部251,252を挟むように、一対のフランジ部253,254が形成されている。フランジ部253,254の屋根構体23側の端面は、屋根構体23に接するように配置され、フランジ部253,254が屋根構体23に溶接されることで、波板部材25が屋根構体23に結合されている。凹部251,252のそれぞれにはボルト27が挿入され、該ボルト27とナット28によって、箱型部材26が波板部材25に結合されている。
【0027】
箱型部材26は、上板261と、U字部材262とが溶接により結合されることで、軌道方向の両端部が開放された角筒状に形成されている。平板状の上板261は、例えばステンレス鋼や、アルミ合金からなり、ボルト27とナット28によって、波板部材25に結合される。
【0028】
U字部材262は、例えばステンレス鋼や、アルミ合金からなり、プレス加工またはロストワックス鋳造により断面U字状に形成されている。U字部材262は、鉄道車両1の高さ方向(以下単に高さ方向という)に延在する第1垂直部262aを備える。第1垂直部262aには、高さ方向に長手方向を有する貫通長孔262bが、軌道方向に2つ並んで設けられている。
【0029】
さらに、U字部材262は、第1垂直部262aの高さ方向の下端部に、第1垂直部262aに対して直角に接続された第1水平部262cを備えている。第1水平部262cには、高さ方向に第1水平部262cを貫通する貫通ねじ穴262dが設けられている。該貫通ねじ穴262dは、第1水平部262cの枕木方向の両端部のそれぞれに、軌道方向に2つ並んで設けられている。つまり、1つのU字部材262につき、4つの貫通ねじ穴262dが設けられている。
【0030】
天井パネル31は、軌道方向の長さが約2mであり、1両あたり、軌道方向に約10枚並んで配設されている。また、天井パネル31は、固定部材24と結合する結合部材35を備えている。該結合部材35は、天井パネル31の枕木方向の両端部のそれぞれに、軌道方向に約1.5mの間隔を持って、2つ並んで配設され、それぞれが断面L字状のアングル36により、天井パネル31と一体にされている。つまり1枚の天井パネル31ごとに4つの結合部材35を備えている。なお、アングル36には、後述するボルト44を挿通するための貫通孔36aが設けられている。
【0031】
結合部材35は、例えばステンレス鋼や、アルミ合金からなり、プレス加工またはロストワックス鋳造により製造される。また、結合部材35は、固定部材24の第1垂直部262aに平行な第2垂直部35aを備え、該第2垂直部35aの鉄道車両1の高さ方向の下端部に、固定部材24の第1水平部262cと平行な第2水平部35cが接続されることにより、断面L字状に形成されている。
【0032】
結合部材35の第2垂直部35aには、枕木方向に第2垂直部35aを貫通する貫通ねじ穴35bが、軌道方向に2つ並んで設けられている。該貫通ねじ穴35bの軌道方向の位置は、固定部材24の第1垂直部262aに設けられている貫通長孔262bの位置に合わせたものとなっている。よって、貫通長孔262bに挿通されたボルト(固定具の一例)37を、貫通ねじ穴35bに螺合することができる。この螺合により、第1垂直部262aがボルト37の頭部と第2垂直部35aとに挟まれる。そして、その挟まれたことによる摩擦力によって、固定部材24に対する結合部材35の高さ方向の位置(以下、単に固定位置という)が固定される。また、貫通長孔262bは高さ方向に長手方向を有するものであるため、貫通長孔262bの長手方向の長さの範囲内で、固定位置を任意に調整可能である。これは、天井パネル31の高さ方向の位置を、貫通長孔262bの長手方向の長さの範囲内で、任意に調整可能であることを意味する。天井パネル31と結合部材35が一体となっているためである。
【0033】
結合部材35の第2水平部35cには、第2水平部35cを高さ方向に貫通する貫通孔35dが設けられている。該貫通孔35dは、第2水平部35cの枕木方向の両端部のそれぞれに、軌道方向に2つ並んで設けられており、その位置は、固定部材24の第1水平部262cに設けられた貫通ねじ穴262dと同心になるように位置されている。さらに、第2水平部35cの枕木方向の両端部のうち、天井パネル31側の方の端部に設けられた貫通孔35dは、アングル36の貫通孔36aと同心になるように位置されている。そして、他方の端部に設けられた貫通孔35dは、後述する側天井パネル32の結合片321に設けられた貫通孔321aと同心になるように位置されている。
【0034】
側天井パネル32は、枕木方向の両端部の内、鉄道車両1の外側の方の端部は、側構体22に結合されている。なお、当該端部が結合されるのは、屋根構体23であっても良い。そして、他方の端部には、鉤状の断面を有する結合片321を備えており、該結合片321の上端部は、結合部材35の第2水平部35cと、後述するブラケット38のベース体381とに挟まれるようにして固定される。
【0035】
ブラケット38は、直方体状のベース体381を備えており、該ベース体381には、ベース体381を高さ方向に貫通するボルト受け孔381aが設けられている。そして、ボルト受け孔381aに挿通されたボルト(第2固定具の一例)44が、結合部材35の第2水平部35cに設けられた貫通孔35dを通り、固定部材24の第1水平部262cに設けられた貫通ねじ穴262dに螺合されている。このボルト44の螺合は、ブラケット38の固定を行うとともに、天井パネル31の固定を、より強固なものとしている。また、側天井パネル32の結合片321の上端部が、ベース体381と結合部材35の第2水平部35cとにより挟持されることで、側天井パネル32の固定も行われる。
【0036】
また、第1水平部262cと第2水平部35cとの隙間には、スペーサ29が挟まれている。このスペーサ29は、硬質塩ビを平板状に形成したものであり、第1水平部262cと第2水平部35cとの隙間とほぼ同一の厚みを有している。第1水平部262cと第2水平部35cとの隙間に、スペーサ29が挟まれていることで、ボルト44の締め付けによって結合部材35の第2水平部35cが、第2垂直部35aと接続されている箇所を支点として、撓んでしまうことを防止している。
【0037】
(天井パネルの固定方法について)
次に、上記構成を有する鉄道車両1における天井パネル31の固定方法を、図4を用いて説明する。図4は、天井パネル31を固定するための工程を説明する図である。
【0038】
まず、図4(A)に示すように、固定部材24を構成する波板部材25を屋根構体23に溶接により結合する。この結合の際には、予め凹部251,252にはボルト27を挿入しておく。
【0039】
次に、図4(B)に示すように、ボルト27とナット28の螺合させることで、波板部材25に箱型部材26を結合させる。箱型部材26は、軌道方向両端部が開放されているため、当該開放されている端部からスパナ等の工具を箱型部材26の中に挿し込み、ナット28を回転させることで、ボルト27とナット28の螺合を行うことができる。
【0040】
次に、図4(C)に示すように、天井パネル31の高さ方向の位置決めを行う。1枚の天井パネル31につき、4つの結合部材35を備えるため、全ての結合部材35の第2垂直部35aのそれぞれが、固定部材24の第1垂直部262aに第2垂直部35aが対向するよう、天井パネル31を位置させる。そして、第1垂直部262aの内周面側から、貫通長孔262bにボルト37を挿通させ、該ボルト37を第2垂直部35aの貫通ねじ穴35bに螺合させる。このときの螺合は、まずは、結合部材35が、貫通長孔262bに沿って上下させることができる程度に締め付けるものである。これにより、天井パネル31の高さ方向の位置を、貫通長孔262bの長手方向の長さの範囲内で、任意に調整可能となるため、軌道方向に隣接する天井パネル31と、高さ方向の位置が一致するように、結合部材35の固定位置を定める。結合部材35の固定位置を定めた後、ボルト37をさらに締め付けて、結合部材35の固定位置がずれないように固定する。ボルト37の螺合も、箱型部材26の開放されている軌道方向の端部から、スパナ等の工具を箱型部材26の中に挿し込んで行う。なお、天井パネル31は、成形後の収縮等による形状のばらつきを有するため、隣接する天井パネル31同士の高さ方向の位置を一致させるために、複数ある結合部材35の固定位置は、それぞれ異なることが想定される。
【0041】
次に、側天井パネル32の取り付けを行う。まず、側天井パネル32の、枕木方向の両端部の内、鉄道車両1の外側の方の端部を、側構体22に結合する。そして、結合片321を、結合部材35の第2水平部35cに接するように位置させるとともに、結合片321に設けられた貫通孔321aが、結合部材35の貫通孔35dと同心になるように位置させる。
【0042】
次に、図4(D)に示すように、ブラケット38および灯具41の取り付けを、以下のようにして行う。
まず、第1水平部262cと第2水平部35cとの隙間を測定する。そして、結合部材35の第2水平部35cとの隙間に、当該隙間とほぼ同一の厚みを有するスペーサ29を挟み込む。当該隙間の測定は、ボルト37の螺合により、固定部材24に対する結合部材35の固定位置が定められているため容易である。よって、従来のように様々な厚みのスペーサを試しながら天井パネルの高さ方向の位置の微調整を行う必要がない。
次に、ブラケット38のベース体381に設けられたボルト受け孔381aの位置が、アングル36の貫通孔36a,側天井パネル32の結合片321に設けられた貫通孔321aの位置に一致するように、ブラケット38を位置させる。
最後に、ボルト44を、ボルト受け孔381aおよび貫通孔35dに挿通させ、固定部材24の第1水平部262cに設けられた貫通ねじ穴262dに螺合させる。
【0043】
(第1の変形例について)
固定部材および結合部材の、第1の変形例について、図5を用いて説明する。図5は、固定部材および結合部材の変形例を表す図であり、図2に対応する図である。
【0044】
固定部材45は、波板部材25と、断面I字状のI型部材46と、からなる。波板部材25は、上記した実施形態のものと同一である。波板部材25の凹部251,252のそれぞれにはボルト27が挿入され、該ボルト27とナット28によって、I型部材46が波板部材25に結合されている。
【0045】
I型部材46は、例えばステンレス鋼や、アルミ合金からなり、プレス加工またはロストワックス鋳造によって形成される。I型部材46は、波板部材25に接続されている上端部から、高さ方向に延在する第1垂直部46aを備える。第1垂直部46aには、枕木方向に第1垂直部46aを貫通する貫通ねじ穴46bが、軌道方向に2つ並んで設けられている。
【0046】
さらに、I型部材46は、第1垂直部46aの高さ方向の下端部に、第1垂直部46aに対して直角に接続された第1水平部46cを備えている。第1水平部46cには、高さ方向に第1水平部46cを貫通する貫通ねじ穴46dが設けられている。該貫通ねじ穴46dは、第1水平部46cの枕木方向の両端部のそれぞれに、軌道方向に2つ並んで設けられている。つまり、1つのI型部材46につき、4つの貫通ねじ穴46dが設けられている。また、第1水平部46cには、後述する結合部材47の第2垂直部47aを挿通するための、挿通孔46eが高さ方向に貫通している。
【0047】
天井パネル31には、アングル36により、結合部材47が一体とされている。結合部材47は、例えばステンレス鋼や、アルミ合金からなり、プレス加工またはロストワックス鋳造により製造される。また、結合部材47は、固定部材45の第1水平部46cと平行な、第2水平部47cを有している。第2水平部47cの枕木方向の中央部には、第1垂直部46aに平行な第2垂直部47aが突設されている。第2垂直部47aは、固定部材45の下方から挿通孔46eに、挿通され、第1垂直部46aの枕木方向の端面のうち、鉄道車両内側の端面に接触するようにして位置されている。
【0048】
結合部材47の第2垂直部47aには、高さ方向に長手方向を有する貫通長孔47bが、軌道方向に2つ並んで設けられている。該貫通長孔47bの軌道方向の位置は、固定部材45の第1垂直部46aに設けられている貫通ねじ穴46bの位置に合わせたものとなっている。よって、貫通長孔47bに挿通されたボルト37を、貫通ねじ穴46bに螺合することができる。この螺合により、第2垂直部47aがボルト37の頭部と第1垂直部46aとに挟まれる。そして、その挟まれたことによる摩擦力によって、固定部材45に対する結合部材47の固定位置が固定される。また、貫通長孔47bは高さ方向に長手方向を有するものであるため、貫通長孔47bの長手方向の長さの範囲内で、固定位置を任意に調整可能である。これは、天井パネル31の高さ方向の位置を、貫通長孔47bの長手方向の長さの範囲内で、任意に調整可能であることを意味する。天井パネル31と結合部材47が一体となっているためである。
【0049】
結合部材47の第2水平部47cには、第2水平部47cを高さ方向に貫通する貫通孔47dが設けられている。該貫通孔47dは、第2水平部47cの枕木方向の両端部のそれぞれに、軌道方向に2つ並んで設けられており、その位置は、固定部材45の第1水平部46cに設けられた貫通ねじ穴46dと同心になるように位置されている。さらに、第2水平部47cの枕木方向の両端部のうち、天井パネル31側の方の端部に設けられた貫通孔47dは、アングル36の貫通孔36aと同心になるように位置されている。そして、他方の端部に設けられた貫通孔47dは、側天井パネル32の結合片321に設けられた貫通孔321aと同心になるように位置されている。
【0050】
ブラケット38は、上記した実施形態のものと同一である。ベース体381に設けられたボルト受け孔381aに挿通されたボルト44が、結合部材47の第2水平部47cに設けられた貫通孔47dを通り、固定部材45の第1水平部46cに設けられた貫通ねじ穴46dに螺合されている。このボルト44の螺合は、ブラケット38の固定を行うとともに、天井パネル31の固定を、より強固なものとしている。また、側天井パネル32の結合片321の上端部が、ベース体381と結合部材47の第2水平部47cとにより挟持されることで、側天井パネル32の固定も行われる。
【0051】
また、第1水平部46cと第2水平部47cとの隙間には、スペーサ29が挟まれている。このスペーサ29は、硬質塩ビを平板状に形成したものであり、第1水平部46cと第2水平部47cとの隙間とほぼ同一の厚みを有している。第1水平部46cと第2水平部47cとの隙間に、スペーサ29が挟まれていることで、ボルト44の締め付けによって結合部材47の第2水平部47cが、第2垂直部47aと接続されている箇所を支点として、撓んでしまうことを防止している。
【0052】
(第2の変形例について)
固定部材および結合部材の、第2の変形例について、図6を用いて説明する。図6は、固定部材および結合部材の変形例を表す図であり、図2に対応する図である。
【0053】
固定部材61は、波板部材25と、断面U字状のU型部材62と、からなる。波板部材25は、上記した実施形態のものと同一である。波板部材25の凹部251,252のそれぞれにはボルト27が挿入され、該ボルト27とナット28によって、U型部材62が波板部材25に結合されている。
【0054】
U型部材62は、例えばステンレス鋼や、アルミ合金からなり、プレス加工またはロストワックス鋳造によって形成される。U型部材62は、波板部材25に接続されている上端部から、高さ方向に延在する一対の第1垂直部62aを備える。一対の第1垂直部62aの内、天井パネル31側の第1垂直部62aには、枕木方向に第1垂直部62aを貫通する貫通ねじ穴62bが、軌道方向に2つ並んで設けられている。他方の第1垂直部62aには、枕木方向に第1垂直部62aを貫通する貫通孔62cが、軌道方向に2つ並んで設けられている。
【0055】
天井パネル31には、アングル36により、結合部材63が一体とされている。結合部材63は、例えばステンレス鋼や、アルミ合金からなり、プレス加工またはロストワックス鋳造により、断面U字状に形成されている。結合部材63には、下端部63dの枕木方向の両端部から高さ方向に延在し、第1垂直部62aに平行な、一対の第2垂直部63aが設けられている。第2垂直部63aは、U型部材62の開放されている下方から、U型部材62に組付けられ、第1垂直部62aの内壁に接触するようにして位置されている。
【0056】
結合部材63の、一対の第2垂直部63aのそれぞれには、高さ方向に長手方向を有する貫通長孔63bが、軌道方向に2つ並んで設けられている。該貫通長孔63bの軌道方向の位置は、固定部材61の第1垂直部62aに設けられている貫通ねじ穴62bおよび貫通孔62cの位置に合わせたものとなっている。よって、貫通孔62cから挿通され、貫通長孔63bを通ったボルト64を、貫通ねじ穴62bに螺合することができる。この螺合により、結合部材63が、一対の第1垂直部62aに挟まれる。そして、その挟まれたことによる摩擦力によって、固定部材61に対する結合部材63の固定位置が固定される。また、貫通長孔63bは高さ方向に長手方向を有するものであるため、貫通長孔63bの長手方向の長さの範囲内で、固定位置を任意に調整可能である。これは、天井パネル31の高さ方向の位置を、貫通長孔63bの長手方向の長さの範囲内で、任意に調整可能であることを意味する。天井パネル31と結合部材63が一体となっているためである。
【0057】
結合部材63の下端部63dには、下端部63dを高さ方向に貫通する貫通ねじ穴63cが設けられている。該貫通ねじ穴63cは、下端部63dの枕木方向の両端部のそれぞれに、軌道方向に2つ並んで設けられている。その位置は、下端部63dの枕木方向の両端部のうち、天井パネル31側の方の端部に設けられた貫通ねじ穴63cは、アングル36の貫通孔36aと同心になるように位置されている。そして、他方の端部に設けられた貫通ねじ穴63cは、側天井パネル32の結合片321に設けられた貫通孔321aと同心になるように位置されている。
【0058】
ブラケット38は、上記した実施形態のものと同一である。ベース体381に設けられたボルト受け孔381aに挿通されたボルト44が、結合部材63の下端部63dに設けられた貫通ねじ穴63cに螺合されている。このボルト44の螺合により、ブラケット38の固定を行っている。また、側天井パネル32の結合片321の上端部が、ベース体381と結合部材63の下端部63dとにより挟持されることで、側天井パネル32の固定も行われる。
【0059】
以上説明したように、本実施形態に係る鉄道車両1によれば、
(1)屋根構体23と、屋根構体23に結合された固定部材24,45,61と、固定部材24,45,61を介して屋根構体23に結合され、隣接して軌道方向に並ぶ少なくとも2枚の天井パネル31と、を備える鉄道車両1において、固定部材24,45,61は、鉄道車両1の高さ方向に延在する第1垂直部262a,46a,62aを備えること、天井パネル31は、固定部材24,45,61と結合する結合部材35,47,63を備えること、結合部材35,47,63は、第1垂直部262a,46a,62aと平行な第2垂直部35a,47a,63aを備えること、第1垂直部262a,46a,62aと第2垂直部35a,47a,63aのいずれか一方の垂直部は、高さ方向に長手方向を有する貫通長孔262b,47b,63bを備えること、貫通長孔262b,47b,63bに挿通されるとともに、他方の垂直部に結合される固定具(ボルト37,64)によって、固定部材24,45,61に対する結合部材35,47,63の高さ方向の位置を、貫通長孔262b,47b,63bの長手方向の長さの範囲内で、任意に調整可能であること、を特徴とする。
【0060】
(1)に記載の鉄道車両1によれば、固定部材24,45,61の第1垂直部262a,46a,62a、または、結合部材35,47,63の第2垂直部35a,47a,63aのいずれか一方の垂直部が、高さ方向に長手方向を有する貫通長孔262b,47b,63bを備えており、貫通長孔262b,47b,63bに挿通されるとともに、他方の垂直部に結合される固定具(ボルト37,64)によって、固定部材24,45,61に対する結合部材35,47,63の高さ方向の位置を、貫通長孔262b,47b,63bの長手方向の長さの範囲内で、任意に調整可能である。これは、天井パネル31自身が結合部材35,47,63を備えているため、天井パネル31の高さ方向の位置を、貫通長孔262b,47b,63bの長手方向の長さの範囲内で、任意に調整可能であることを意味する。天井パネル31の高さ方向の位置を、任意に調整可能であれば、天井パネル31に形状のばらつきがあっても、隣接する天井パネル31相互間の高さ方向の位置を一致して固定するためには、天井パネル31の取り付けを行う際に、作業者が隣接する天井パネル31との位置関係を見ながら高さ方向の位置が一致した位置で固定すれば良いのであり、従来のように様々な厚みのスペーサ54を試しながら天井パネル31の高さ方向の位置の微調整を行う必要がない。よって、天井パネル31の取り付け時における高さ方向の位置調整を容易に行うことができ、煩雑な調整作業を行うことなく客室3の美観を保つことができる。
【0061】
(2)(1)に記載の鉄道車両1において、天井パネル31は、枕木方向の両端部のそれぞれに、軌道方向に所定の間隔を持って並んだ、少なくとも2つの結合部材35,47,63を備えること、屋根構体23には、それぞれの結合部材35,47,63に対応する位置に固定部材24,45,61が設けられており、別個に高さ方向の位置を調整可能であること、を特徴とする。なお、所定の間隔とは、結合部材35,47,63が、天井パネル31の軌道方向の両端部に位置するような間隔を指す。天井パネル31の軌道方向の長さが2m程度であれば、約1.5mの間隔をもって配置される。
【0062】
(2)に記載の鉄道車両1によれば、結合部材35,47,63が、天井パネル31の枕木方向の両端部に位置しているため、結合部材35,47,63と固定部材24,45,61とを結合する作業を、作業者の手の届く範囲で行うことができ、天井パネル31の取り付け作業が容易となる。また、例えば、天井パネル31の上面視において、四角に結合部材35,47,63を配置して、それぞれ別個に高さ方向の位置を調整可能であれば、天井パネル31に捻じれが生じていても、捻じれに合わせてそれぞれの結合部材35,47,63の高さ方向の位置を調整すれば、隣接する天井パネル31相互間で段差を生じさせずに、天井パネル31を取り付けることが可能となる。
【0063】
(3)(1)または(2)に記載の鉄道車両1において、固定部材24,45は、第1垂直部262a,46aの高さ方向の下端部に、第1垂直部262a,46aに対して直角に接続された第1水平部262c,46cを備えること、結合部材35,47は、第2垂直部35a,47aに接続された、第1水平部262c,46cと平行な第2水平部35c,47cを備えること、第1水平部262c,46cと第2水平部35c,47cとが第2固定具(ボルト44)により結合されること、を特徴とする。
【0064】
天井パネル31には、吊り手棒39や灯具41等の内装品が取り付けられるため、固定部材24,45と結合部材35,47との結合によって、天井パネル31の質量の他、内装品の質量を支えなければならない。しかし、第1垂直部262a,46aと第2垂直部35a,47aとの結合によって、これらの質量を支えようとすると、第1垂直部262a,46aおよび第2垂直部35a,47aに対して平行な方向に荷重がかかるため、第1垂直部262a,46aと第2垂直部35a,47aとの摩擦力によって質量を支えなければならなくなる。この摩擦力のみでは、天井パネル31や内装品の質量を十分に支えることが出来ないおそれがある。そこで、(3)に記載の鉄道車両1のように、第1水平部262c,46cと第2水平部35c,47cとを、固定具により結合することで、天井パネル31の固定をより強固なものとすれば、天井パネル31や内装品の質量を十分に支えることが可能となる。
【0065】
なお、上記の実施形態は単なる例示にすぎず、本発明を何ら限定するものではない。したがって本発明は当然に、その要旨を逸脱しない範囲内で様々な改良、変形が可能である。例えば、側天井パネル32は、ブラケット38のベース体381と、結合部材35,47の第2水平部35c,47cまたは結合部材63の下端部63dとにより、結合片321が挟持されることで固定されることとしているが、結合片321を、結合部材35,47,63に、ボルト等により結合する構造としても良い。
【符号の説明】
【0066】
1 鉄道車両
23 屋根構体
24 固定部材
31 天井パネル
35 結合部材
35a 第2垂直部
37 ボルト(固定具の一例)
262a 第1垂直部
262b 貫通長孔
【要約】
【課題】
天井パネルの取り付け時における高さ方向の位置調整を容易に行うことができ、客室の美観を保つことができる鉄道車両を提供すること。
【解決手段】
固定部材24は、鉄道車両1の高さ方向に延在する第1垂直部262aを備えること、天井パネル31は、固定部材24と結合する結合部材35を備えること、結合部材35は、第1垂直部262aと平行な第2垂直部35aを備えること、第1垂直部262aと第2垂直部35aのいずれか一方の垂直部は、高さ方向に長手方向を有する貫通長孔262bを備えること、貫通長孔262bに挿通されるとともに、他方の垂直部に結合されるボルト37によって、固定部材24に対する結合部材35の高さ方向の位置を、貫通長孔262bの長手方向の長さの範囲内で、任意に調整可能であること。
【選択図】図2
図1
図2
図3
図4
図5
図6
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図8