(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-14
(45)【発行日】2022-01-14
(54)【発明の名称】トルク伝達可能な操作可能なシース
(51)【国際特許分類】
A61M 25/092 20060101AFI20220106BHJP
【FI】
A61M25/092 500
(21)【出願番号】P 2020514912
(86)(22)【出願日】2018-09-13
(86)【国際出願番号】 US2018050850
(87)【国際公開番号】W WO2019055635
(87)【国際公開日】2019-03-21
【審査請求日】2020-10-14
(32)【優先日】2017-09-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】511177374
【氏名又は名称】セント・ジュード・メディカル,カーディオロジー・ディヴィジョン,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000110
【氏名又は名称】特許業務法人快友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ティモシー エス. マラス
(72)【発明者】
【氏名】アンドリュー オリヴェリウス
【審査官】伊藤 孝佑
(56)【参考文献】
【文献】特表2014-501557(JP,A)
【文献】米国特許第05836946(US,A)
【文献】米国特許第6078830(US,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0196464(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0106170(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2006/0111768(US,A1)
【文献】特開2011-204986(JP,A)
【文献】特表2008-521503(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 25/092
A61M 25/00
A61B 18/14
A61N 1/05
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
近位端及び遠位端を有する操作可能なシースであって、
前記操作可能なシースの非偏向部分の近位端から前記操作可能なシースの偏向可能部分の遠位端まで延在する内側ライナー
であって、前記偏向可能部分は、前記操作可能なシースを通って延在するプルワイヤを用いて操作者によって制御可能かつ偏向可能に構成されている、前記内側ライナーと、
前記内側ライナーを取り囲み、前記操作可能なシースの前記非偏向部分の前記近位端から前記操作可能シースの前記偏向可能部分の前記遠位端まで延在するトルク伝達層と、
外周を有し、前記トルク伝達層を取り囲む第1のリフローポリマー層であって、前記操作可能なシースの前記非偏向部分の前記近位端から前記操作可能なシースの前記偏向可能部分の前記遠位端まで延在する、前記第1のリフローポリマー層と、
前記非偏向部分の前記近位端から遠位端まで、前記第1のリフローポリマー層の前記外周の周りに第1の螺旋経路に沿って配置され、前記偏向可能部分の近位端から前記偏向可能部分の前記遠位端まで、前記第1のリフローポリマー層の前記外周の周りに第2の螺旋経路に沿って配置される第1の電極ワイヤと、を備えており、
前記第1の電極ワイヤは、前記偏向可能部分上に配置される第1の電極に電気的に接続される、操作可能なシース。
【請求項2】
前記第1の電極ワイヤを取り囲む第2のリフローポリマー層をさらに備えている、請求項1に記載の操作可能なシース。
【請求項3】
前記第1の電極を取り囲む第3のリフローポリマー層をさらに備えて
おり、
前記第3のリフローポリマー層は、前記第1の電極の外表面の少なくとも一部が、前記第3のリフローポリマー層から露出されるように構成される、請求項2に記載の操作可能なシース。
【請求項4】
前記第2の螺旋経路は、前記第1の螺旋経路の巻きより狭い巻きを有する、請求項1
~3のいずれか一項に記載の操作可能なシース。
【請求項5】
前記非偏向部分の前記近位端から前記遠位端まで、前記第1のリフローポリマー層の前記外周の周りに第3の螺旋経路に沿って配置され、前記偏向可能部分の前記近位端から前記偏向可能部分の前記遠位端まで、前記第1のリフローポリマー層の前記外周の周りに第4の螺旋経路に沿って配置される第2の電極ワイヤをさらに備えており、
前記第2の電極ワイヤは、前記偏向可能部分上に配置される第2の電極に電気的に接続される、請求項1に記載の操作可能なシース。
【請求項6】
前記第2の電極ワイヤを取り囲む第2のリフローポリマー層をさらに備えている、請求項
5に記載の操作可能なシース。
【請求項7】
前記第2の電極を取り囲む第3のリフローポリマー層をさらに備えて
おり、
前記第3のリフローポリマー層は、前記第2の電極の外表面の少なくとも一部が、前記第3のリフローポリマー層から露出されるように構成される、請求項
6に記載の操作可能なシース。
【請求項8】
前記第4の螺旋経路は、前記第3の螺旋経路の巻きより狭い巻きを有する、請求項
5~7のいずれか一項に記載の操作可能なシース。
【請求項9】
前記非偏向部分の前記近位端から前記非偏向部分の前記遠位端まで前記内側ライナーの外周の周りに第5の螺旋経路に沿って配置され、前記偏向可能部分の前記近位端から前記偏向可能部分の前記遠位端まで第1の直線経路に沿って配置される第1のプルワイヤと、
前記非偏向可能部分の前記近位端から前記非偏向可能部分の前記遠位端まで前記内側ライナーの前記外周の周りに第6の螺旋経路に沿って配置され、前記偏向可能部分の前記近位端から前記偏向可能部分の前記遠位端まで第2の直線経路に沿って配置される第2のプルワイヤと、をさらに備えている、請求項1
~8のいずれか一項に記載の操作可能なシース。
【請求項10】
前記第5の螺旋経路及び前記第6の螺旋経路はそれぞれ、前記非偏向部分の前記近位端から前記非偏向部分の前記遠位端まで、前記内側ライナーの周りを2周
し、
及び/又は、前記第1のプルワイヤ及び前記第2のプルワイヤは、フラットワイヤを備え、
及び/又は、前記第1のプルワイヤ及び前記第2のプルワイヤは、ステンレス鋼プルワイヤであり、
及び/又は、前記第5の螺旋経路は、前記第6の螺旋経路から、前記内側ライナーの前記外周の周りに180度オフセットされており、
及び/又は、前記第1の直線経路は、前記第2の直線経路から、前記内側ライナーの前記外周の周りに180度オフセットされており、
及び/又は、前記第1のプルワイヤ及び前記第2のプルワイヤは、ポリマー管状部材内にある、請求項
9に記載の操作可能シース。
【請求項11】
近位端及び遠位端を有する操作可能なシースであって、
前記操作可能なシースの非偏向部分の近位端から前記操作可能なシースの偏向可能部分の遠位端まで延在する内側ライナー
であって、前記偏向可能部分は、前記操作可能なシースを通って延在するプルワイヤを用いて操作者によって制御可能に偏向可能に構成されている、前記内側ライナーと、
外周を有し、前記内側ライナーを取り囲み、前記操作可能なシースの前記非偏向部分の前記近位端から前記操作可能なシースの前記偏向可能部分の前記遠位端まで延在するトルク伝達層と、
前記非偏向可能部分の前記近位端から遠位端まで前記トルク伝達層の前記外周の周りに第1の螺旋経路に沿って配置され、前記偏向可能部分の近位端から前記偏向可能部分の前記遠位端まで前記トルク伝達層の前記外周の周りに前記第2の螺旋経路に沿って配置され、偏向可能部分の近位端から遠位端までトルク伝達層の外周に沿って配置される第1の電極ワイヤであって、前記偏向可能部分上に配置される第1の電極に電気的に接続される、前記第1の電極ワイヤと、
前記第1の電極ワイヤ及び前記第1の電極を取り囲むリフローポリマー層であって、前記リフローポリマー層の一部は、前記第1の電極の少なくとも一部を露出させるために除去されている、前記リフローポリマー層と、を備えている、操作可能なシース。
【請求項12】
前記第2の螺旋経路は、前記第1の螺旋経路の巻きより狭い巻きを有する、請求項
11に記載の操作可能なシース。
【請求項13】
前記非偏向部分の前記近位端から前記遠位端まで前記トルク伝達層の前記外周の周りに第3の螺旋経路に沿って配置され、前記偏向可能部分の前記近位端から前記偏向可能部分の前記遠位端まで前記トルク伝達層の前記外周の周りに第4の螺旋経路に沿って配置される第2の電極ワイヤをさらに備えており、
前記第2の電極ワイヤは、前記偏向可能部分上に配置される第2の電極に電気的に接続される、請求項
11又は12に記載の操作可能なシース。
【請求項14】
内側ライナーの非偏向部分の近位端から前記内側ライナーの前記非偏向部分の遠位端まで、前記内側ライナーの前記非偏向部分の外周の周りに第1の螺旋経路に沿って第1のプルワイヤを配置するステップ
であって、前記偏向可能部分は、前記操作可能なシースを通って延在するプルワイヤを用いて操作者によって制御可能に偏向可能に構成されている、配置するステップと、
前記内側ライナーの偏向可能部分の近位端から前記偏向可能部分の遠位端まで第1の直線経路に沿って前記第1のプルワイヤを配置するステップであって、前記内側ライナーの前記偏向可能部分の前記近位端は、前記内側ライナーの前記非偏向部分の前記遠位端に隣接する、前記第1の直線経路に沿って前記第1のプルワイヤを配置するステップと、
前記内側ライナーの前記非偏向部分の前記近位端から前記内側ライナーの前記非偏向部分の前記遠位端まで、前記内側ライナーの前記非偏向部分の前記外周の周りにおいて第2の螺旋経路に沿って第2のプルワイヤを配置するステップと、
前記内側ライナーの前記偏向可能部分の前記近位端から前記内側ライナーの前記偏向可能部分の前記遠位端まで、第2の直線経路に沿って前記第2のプルワイヤを配置するステップと、
前記第1のプルワイヤ、前記第2のプルワイヤ及び前記内側ライナーの上にトルク伝達層を配置するステップと、
前記トルク伝達層の上に第1のポリマー材料をリフローするステップと、
リフローされた前記第1のポリマー材料の非偏向部分の近位端から前記リフローされた第1のポリマー材料の前記非偏向部分の遠位端まで前記リフローされた第1のポリマー材料の外周の周りに第3の螺旋経路に沿って、前記リフローされた第1のポリマー材料の前記偏向可能部分の近位端から前記リフローされた第1のポリマー材料の前記偏向可能部分の遠位端まで前記リフローされた第1のポリマー材料の外周の周りに第4の螺旋経路に沿って、第1の電極ワイヤを配置するステップと、
前記リフローされた第1のポリマー材料の前記非偏向部分の前記近位端から前記リフローされた第1のポリマー材料の前記非偏向部分の前記遠位端まで前記リフローされた第1のポリマー材料の前記外周の周りに第5の螺旋経路に沿って、前記リフローされた第1のポリマー材料の前記偏向可能部分の前記近位端から前記リフローされた第1のポリマー材料の前記偏向可能部分の前記遠位端まで前記リフローされた第1のポリマー材料の前記外周の周りに第6の螺旋経路に沿って、第2の電極ワイヤを配置するステップと、を備えている、操作可能なシースの製造方法。
【請求項15】
前記第1の電極ワイヤ及び前記第2の電極ワイヤの上に第2のポリマー材料をリフローするステップをさらに備え
、
前記第2のポリマー材料は、2つの別個の材料をリフローする共押出プロセスである、請求項
14に記載の操作可能なシースの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は2017年9月14日に出願された米国仮特許出願第62/558,688号の優先権の利益を主張し、その全内容は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は、操作可能なイントロデューサと、操作可能なイントロデューサの製造方法及び使用方法に関する。より詳細には、本発明は、操作可能なイントロデューサのためのトルク伝達可能な操作可能なシースと、このようなシースの製造方法及び使用方法に関する。
【背景技術】
【0003】
操作可能なイントロデューサは、医療デバイスの、例えばカテーテルの標的部位への送達のために使用されることが多い。典型的には、操作可能なイントロデューサのシースは、シースのルーメン内の医療デバイス、例えばカテーテルと共に、患者の血管系を通って、意図された部位まで、例えば患者の心臓又は他の器官内の部位まで操作される。医療デバイス又はその一部は、標的部位で使用するためにシースから前進させられシース外に出される。
【0004】
操作可能なイントロデューサのための操作可能なシースは、典型的にはシースの両側でシースに埋め込まれたプルワイヤの使用によって操作される。いくつかの公知のシースでは、プルワイヤは、操作可能なイントロデューサのハンドル付近のシースの近位端からシースの遠位端まで直線状に互いに平行に延在する。プルワイヤは、シースの遠位端でシースに固定して結合される。プルワイヤの一方をシースの近位端に向かって引っ張ると、そのプルワイヤが短くなり、シースの遠位端の偏向可能部分が短くなったワイヤの方向に偏向する。
【発明の概要】
【0005】
本開示は、近位端及び遠位端を有する操作可能なシースに関する。操作可能なシースは、内側ライナーを備えており、内側ライナーは、外周を有し、操作可能なシースの近位端から遠位端まで延在する。内側ライナーは、近位端および遠位端を有する非偏向部分を備え、非偏向部分は、操作可能なシースの近位端から操作可能なシースの遠位端に向かって延在する。内側ライナーはまた、非偏向部分の遠位端に隣接する近位端から操作可能なシースの遠位端における遠位端まで延在する偏向可能部分を備える。操作可能なシースは、内側ライナーの非偏向部分の近位端から遠位端まで内側ライナーの外周の周りに第1の螺旋経路に沿って配置され、偏向可能部分の近位端から遠位端まで第1の直線経路に沿って配置される第1のプルワイヤを備える。操作可能なシースは、非偏向部分の近位端から遠位端まで内側ライナーの外周の周りに第2の螺旋経路に沿って配置され、偏向可能部分の近位端から偏向可能部分の遠位端までの第2の直線経路に沿って配置される第2のプルワイヤを備える。
【0006】
本開示はまた、ハンドルアセンブリ及び操作可能なシースを備える操作可能なイントロデューサを対象とする。操作可能なシースは、ハンドルアセンブリに操作可能に連結される。操作可能なシースは、近位端と、遠位端と、操作可能なシースの近位端に隣接する非偏向部分と、操作可能なシースの遠位端に隣接する偏向可能部分と、操作可能なシースの近位端から遠位端まで延在する第1のプルワイヤと、操作可能なシースの近位端から遠位端まで延在する第2のプルワイヤと、を備える。第1のプルワイヤは、操作可能なシースの非偏向部分を通る第1の螺旋経路に沿って配置されると共に、操作可能なシースの偏向可能部分を通る第1の直線経路に沿って配置される。第2のプルワイヤは、操作可能なシースの非偏向部分を通る第2の螺旋経路に沿って配置されると共に、操作可能なシースの偏向可能部分を通る第2の直線経路に沿って配置される。
【0007】
本開示は、操作可能なシースを製造する方法をさらに対象とする。方法は、内側ライナーの非偏向部分の近位端から内側ライナーの非偏向部分の遠位端まで内側ライナーの非偏向部分の外周の周りに第1の螺旋経路に沿って第1のプルワイヤを配置するステップと、内側ライナーの偏向可能部分の近位端から偏向可能部分の遠位端まで第1の直線経路に沿って第1のプルワイヤを配置するステップと、を備え、内側ライナーの偏向可能部分の近位端は、内側ライナーの非偏向部分の遠位端に隣接する。方法は、内側ライナーの非偏向部分の近位端から内側ライナーの非偏向部分の遠位端まで内側ライナーの非偏向部分の外周の周りに第2の螺旋経路に沿って第2のプルワイヤを配置するステップと、内側ライナーの偏向可能部分の近位端から内側ライナーの偏向可能部分の遠位端まで第2の直線経路に沿って第2のプルワイヤを配置するステップと、をさらに備える。
【0008】
本開示は、近位端及び遠位端を有する操作可能なシースをさらに対象とする。操作可能なシースは、(i)操作可能なシースの非偏向部分の近位端から操作可能なシースの偏向可能部分の遠位端まで延在する内側ライナーと、(ii)内側ライナーを取り囲み、操作可能なシースの非偏向部分の近位端から操作可能なシースの偏向可能部分の遠位端まで延在するトルク伝達層と、(iii)外周を有し、トルク伝達層を取り囲む第1のリフローポリマー層であって、操作可能なシースの非偏向部分の近位端から操作可能なシースの偏向可能部分の遠位端まで延在する、第1のリフローポリマー層と、(iv)非偏向部分の近位端から遠位端まで、第1のリフローポリマー層の外周の周りに第1の螺旋経路に沿って配置され、偏向可能部分の近位端から偏向可能部分の遠位端まで、第1のリフローポリマー層の外周の周りに第2の螺旋経路に沿って配置される第1の電極ワイヤと、を備える。第1の電極ワイヤは、偏向可能部分上に配置される第1の電極に電気的に接続される。
【0009】
本開示は、近位端および遠位端を有する操作可能なシースをさらに対象とする。操作可能なシースは、(i)操作可能なシースの非偏向部分の近位端から操作可能なシースの偏向可能部分の遠位端まで延在する内側ライナーと、(ii)外周を有し、内側ライナーを取り囲み、操作可能なシースの非偏向部分の近位端から操作可能なシースの偏向可能部分の遠位端まで延在するトルク伝達層と、(iii)非偏向部分の近位端から遠位端までトルク伝達層の外周の周りに第1の螺旋経路に沿って配置され、偏向可能部分の近位端から偏向可能部分の遠位端までトルク伝達層の外周の周りに第2の螺旋経路に沿って配置される第1の電極ワイヤであって、偏向可能部分上に配置される第1の電極に電気的に接続される、第1の電極ワイヤと、(iv)第1の電極ワイヤ及び第1の電極を取り囲むリフローポリマー層であって、リフローポリマー層の一部は、第1の電極の少なくとも一部を露出させるために除去されている、リフローポリマー層と、を備える。
【0010】
本開示は、操作可能なシースを製造する方法をさらに対象とする。方法は、(i)内側ライナーの非偏向部分の近位端から内側ライナーの非偏向部分の遠位端まで、内側ライナーの非偏向部分の外周の周りに第1の螺旋経路に沿って第1のプルワイヤを配置するステップと、(ii)内側ライナーの偏向可能部分の近位端から偏向可能部分の遠位端まで第1の直線経路に沿って第1のプルワイヤを配置するステップであって、内側ライナーの偏向可能部分の近位端は、内側ライナーの非偏向部分の遠位端に隣接する、第1の直線経路に沿って第1のプルワイヤを配置するステップと、(iii)内側ライナーの非偏向部分の近位端から内側ライナーの非偏向部分の遠位端まで、内側ライナーの非偏向部分の外周の周りに第2の螺旋経路に沿って第2のプルワイヤを配置するステップと、(iv)内側ライナーの偏向可能部分の近位端から内側ライナーの偏向可能部分の遠位端まで、第2の直線経路に沿って第2のプルワイヤを配置するステップと、(v)第1のプルワイヤ、第2のプルワイヤ及び内側ライナーの上にトルク伝達層を配置するステップと、(vi)トルク伝達層の上に第1のポリマー材料をリフローするステップと、(vii)リフローされた第1のポリマー材料の非偏向部分の近位端からリフローされた第1のポリマー材料の非偏向部分の遠位端までリフローされた第1のポリマー材料の外周の周りに第3の螺旋経路に沿って、リフローされた第1のポリマー材料の偏向可能部分の近位端からリフローされた第1のポリマー材料の偏向可能部分の遠位端までリフローされた第1のポリマー材料の外周の周りに第4の螺旋経路に沿って、第1の電極ワイヤを配置するステップと、(viii)リフローされた第1のポリマー材料の非偏向部分の近位端からリフローされた第1のポリマー材料の非偏向部分の遠位端までリフローされた第1のポリマー材料の前記外周の周りに第5の螺旋経路に沿って、リフローされた第1のポリマー材料の偏向可能部分の近位端からリフローされた第1のポリマー材料の偏向可能部分の遠位端までリフローされた第1のポリマー材料の外周の周りに第6の螺旋経路に沿って、第2の電極ワイヤを配置するステップと、を備える。
【0011】
本開示の前述及び他の態様、特徴、詳細、有用性及び利点は、以下の説明および特許請求の範囲を読むこと、並びに、添付の図面を検討することから明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】操作可能なイントロデューサの一実施形態の斜視図である。
【
図2】
図1に示されるアセンブリの操作可能なシースの断面図である。
【
図3】シースの埋め込まれたプルワイヤを示すために外層が除去された、
図1に示される操作可能なシースの側面図である。
【
図4】
図3に示される操作可能なシースの上面図である。
【
図5】
図4に示される操作可能なシースの一部の斜視図である。
【
図6】本開示の操作可能なシースを製造するためのプロセスを示す。
【
図7】本開示の一実施形態の操作可能なシースの側面図である。
【
図8A】本開示の一実施形態による操作可能なシースを製造する方法のフローチャートである。
【
図8B】本開示の一実施形態による操作可能なシースを製造する方法のフローチャートである。
【
図9】本開示の実施形態による操作可能なシースの断面図である。
【
図10】本開示の実施形態による操作可能なシースの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
操作可能なイントロデューサは、シースの近位端からシースの遠位端までイントロデューサの操作可能なシースの長さに沿って延びるプルワイヤを備えていてもよい。本明細書で使用されるように、「近位」は、臨床医の近くのイントロデューサ又はシースの端部に向かう方向を指し、「遠位」は、臨床医から離れ、(一般に)患者の体内への方向を指す。プルワイヤは、操作可能なシースの両側に配置され、それぞれのプルワイヤが、操作可能なシースの近位端から遠位端までほぼ直線状に延びる。使用時には、プルワイヤのうちの1つが短くされ(例えば、操作可能なイントロデューサの近位端に向かって引っ張られ)、プルワイヤを張力下に置いて、操作可能なシースの遠位端にある偏向可能な部分を、張力をかけられたプルワイヤの方向に偏向させる。操作者が、イントロデューサにトルクを加えて、プルワイヤのうちの1つに張力がかかっているときにシースをその中心軸に沿って回転させると、プルワイヤは、シースの偏向された部分の周りを回転する。張力を受けていない方のプルワイヤは、偏向された部分の外側から(例えば、湾曲の外側半径から)偏向された部分の内側に(例えば、湾曲の内側半径に)回転するにつれて短くなってしまうか、又は、シースの偏向された部分は、その偏向を変化させる。同様に、引っ張られたプルワイヤは、シースの同じ偏向を維持するために、偏向された部分の内側から偏向された部分の外側へトルクによって回転するにつれて長くなる必要がある。操作可能なイントロデューサへのこのようなトルクの印加の間、シースの回転がそれらの長さを変化させようとするので、エネルギーがプルワイヤに蓄積される。この蓄積されたエネルギーは、突然解放され、操作可能なシースの遠位端が、ホイッピング(whipping)と呼ばれることもある、突然で速い、かつ、予測不可能な動きをする原因となり得る。またあるときには、蓄積されたエネルギーは、典型的には操作可能なイントロデューサのハンドル内のそれらのアンカーポイントにおいて、プルワイヤの一方又は両方を破壊させることがある。
【0014】
したがって、本開示は、偏向された位置で、イントロデューサにトルクを加えることを可能にするように構成されるプルワイヤを備えると共に、プルワイヤの破壊の可能性、及び/又は、操作可能なシースの遠位端のホイッピングの可能性を低減する操作可能なシースに関する。さらに、本開示は、シースのシャフトの圧縮又は屈曲に対する緊張の緩和を提供するように構成される電極ワイヤを備える1つ又は複数の電極を備える操作可能なシースに関する。電極ワイヤは、本明細書に記載されるような意図された利点を提供するために、操作可能なシースの様々な領域に存在する(いくつかの領域ではより狭く、他の領域ではより緩い)様々な巻線パターンを用いて、操作可能なシースの外周(ヘリカル(helical)経路又はスパイラル(spiral)経路)に巻き付けられていてもよい。本明細書に記載される巻線パターンと組み合わせて、操作可能なシースは、操作可能なシースの全体的な性能を改善するために、1つ又は複数のリフローポリマー層を備えていてもよい。
【0015】
本明細書に記載されるシステム及び方法は、操作可能なシースの非偏向部分の長さに沿って延在しながら操作可能なシースの外周に巻き付けられているプルワイヤ及び/又は電極ワイヤを有する操作可能なシースを提供する。プルワイヤ及び電極ワイヤは、操作可能なシースの近位端から遠位端まで直線状に延在するのではなく、シースの近位端からシースの非偏向部分の遠位端まで重なり合わないヘリカルパターンで配置される。シースの偏向可能部分においては、プルワイヤは、偏向可能部分の近位端から偏向可能部分の遠位端までシースの両側に直線状に配置される。非偏向セクションの長さに沿ってプルワイヤが回転すると、偏向可能セクションが偏向された位置にある間に操作可能なイントロデューサにトルクが加えられると、プルワイヤに蓄積されるエネルギーを減少させる。これにより、プルワイヤを破壊することなく、又は、シースの遠位端をホイッピングさせることなく、加えられたトルクに対する操作可能なイントロデューサの滑らかな、概して1対1の応答が可能となる。
【0016】
操作可能なイントロデューサの一部としての操作可能なシースに関して本明細書で説明されるが、本開示の教示は、他の操作可能なシャフト、特に他の操作可能な医療デバイスに適用されてもよい。例えば、本明細書に記載されるプルワイヤの配置は、操作可能なカテーテル及び心腔内エコー検査(intracardiac echocargiography)カテーテルに適用されてもよい。
【0017】
ここで図面を参照すると、
図1は、一実施形態による操作可能なイントロデューサ100の斜視図である。イントロデューサ100は、近位端104にハンドルアセンブリ102と、操作可能なイントロデューサ100の遠位端108まで延在する操作可能なシース106を備える。操作可能なシース106は、操作可能にハンドルアセンブリ102に結合されており、これは、処置の間、操作可能なシース106を誘導又は操作するのを補助する。イントロデューサアセンブリ100は、カテーテルアセンブリ、流体又は当業者に公知の任意の他のデバイスの挿入又は送達のために、ハンドルアセンブリ102内の内部ルーメン(図示せず)に操作可能に接続されるハブ110をさらに備える。任意選択的に、イントロデューサアセンブリ100は、ハブ110に操作可能に接続される弁112をさらに備える。操作可能なシース106は、可撓性の非偏向部分114と偏向可能部分116を備える。非偏向部分114は、ハンドルアセンブリ102から偏向可能部分116まで延びている。偏向可能部分116は、偏向可能部分116からハンドルアセンブリ102まで操作可能なシース106を通って延びるプルワイヤ(
図1には図示せず)を使用して、イントロデューサ100の操作者によって制御可能に偏向可能であるように構成される。非偏向部分114及び偏向可能部分116内のシース106(以下で論じる)内の構成要素は、対応する非偏向部分及び/又は偏向可能部分を有するものと呼ぶこともできる。ハンドルアセンブリ102として使用するのに適したハンドルの構造及び操作のさらなる詳細は、米国特許第7,691,095号に記載されており、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。他の実施形態では、操作可能なシース106を操作するのに適した任意の他のハンドルが、ハンドルアセンブリ102として使用されてもよい。
【0018】
図2は、
図1に示す線A-Aに沿った操作可能なシース106の断面図である。操作可能なシース106は、管状の内側ライナー202(「内側ジャケット」とも呼ばれることがある)と、トルク伝達層204と、外側シース206と、熱収縮層208と、プルワイヤ210から構成される。他の実施形態では、操作可能なシース106の構成要素は、互いの構成要素に対して異なる位置を有していてもよい。例えば、トルク伝達層204は、プルワイヤ210の半径方向内側に配置されていてもよい。いくつかの実施形態では、プルワイヤ210は、内側ライナー202に直接隣接して配置される。熱収縮層208は、リフロープロセス後に、操作可能なシース106から除去される。
【0019】
操作可能なシース106は、リフローボンディングプロセスを使用して製造される。操作可能なシース106の形成に適したリフローボンディングプロセスは、米国特許第7,914,515号および米国特許第8,734,699号に記載されており、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。他の実施形態では、操作可能なシース106を製造するための任意の他の適切な方法が使用されてもよい。
【0020】
例示的な実施形態では、プルワイヤ210は、フラットワイヤである。本開示の目的のために、「フラットワイヤ」は、2つの直交軸に沿って測定されたときに実質的に平坦な断面によって特徴付けられるワイヤを指す。フラットワイヤは、典型的には長方形の断面を有するが、断面は完全に長方形である必要はない。例えば、本開示は、全体的な断面が概ね平坦であるならば、フラットワイヤの断面は楕円形であってもよいことを企図する。本用語が本明細書で使用される際には、ワイヤは、第1の方向ではxと測定され、第1の方向にほぼ直交する第2の方向では少なくとも2xと測定される断面を有する場合、フラットワイヤとして適切に特徴付けることができる。断面が実質的にI字形であるワイヤは、一般に、その高さがその最も広い測定値における幅よりも実質的に大きい場合、フラットワイヤであってもよい。他の実施形態では、プルワイヤ210は、本明細書に記載されるような使用に適した丸型のワイヤ又は任意の他の形状のワイヤである。
【0021】
プルワイヤ210は、好ましくは約0.002インチ×約0.016インチであり、より好ましくは約0.004インチ×約0.012インチ又は0.016インチである。プルワイヤ210は、幅と厚さの比が、少なくとも約2:1であるように選択されてもよい。
【0022】
例示的な実施形態では、プルワイヤ210は、ステンレス鋼ワイヤである。他の実施形態では、プルワイヤ210は、任意の他の適切な材料から、例えば、ばね鋼、ニチノール(ニッケルチタン合金)又はニッケルコバルト基合金から作製されていてもよい。適切なニッケルコバルト基合金には、米国ペンシルベニア州ジェンキンタウンのSPSテクノロジーズ社(SPS Technologies)の登録商標であるMP35Nが含まれる。
【0023】
例示的な実施形態では、プルワイヤ210は、プルワイヤ210を収容するためのルーメン214を形成する別のポリマー管状部材212の内側に収容される。ポリマー管状部材212は、プルワイヤ210の断面と同じ形状である必要はなく、代わりに、円形、楕円形、長方形又は他の同様の形状であってもよい。好ましくは、ポリマー管状部材212は、予め形成されたチューブ内でのプルワイヤ210の移動を容易にするために、プルワイヤ210の断面と同じ形状ではない断面を有する。ポリマー管状部材212は、PTFE、エッチングされたPTFE、ポリエーテルブロックアミド(Pebaxなど)、ナイロン、他の熱可塑性エラストマー又は当業者に公知の任意の他の材料から形成されていてもよい。好ましくは、ポリマー管状部材212は、外側シース206よりも高い融点を有し、それにより、操作可能なシース106がリフロー溶融処理されたときに、ポリマー管状部材212は溶融しない。他の実施形態では、ルーメン214は、ポリマー管状部材212を使用して形成されない。むしろ、プルワイヤ210は、配置前に、シリコーン及び他の潤滑性材料を含む潤滑性材料(図示せず)で覆われていてもよく、ルーメン214は、リフロープロセス中にプルワイヤ210の存在によって形成されてもよい。
【0024】
例示的な実施形態では、2つのプルワイヤ210は、操作可能なシース106内で使用される。以下により詳細に記載されるように、プルワイヤ210は、操作可能なシース106の非偏向部分114に沿って延在しながら操作可能なシース106の円周方向220の周りを回転する。操作可能なシース106に沿ったいずれの地点においても、プルワイヤ210は、互いに約180度離間したままである。プルワイヤ210は、シース106の周りに周方向220に巻きつくことなく、偏向可能部分116(
図1に示す)を通って180度離れて直線状に延びる。これにより、プルワイヤ210の協調的な操作により2つの反対方向に偏向できる操縦可能なシース106が得られる。他の実施形態では、互いに90度離れて配置される4本のプルワイヤを使用して、4方向の偏向性を提供してもよい。さらに他の実施形態では、任意の適切な数のプルワイヤを使用して、操作可能なシース106に所望の数の偏向方向を提供してもよい。
【0025】
プルワイヤ210は、操作可能なイントロデューサ100の遠位端108(
図1に示す)の近くに典型的に配置される少なくとも1つの操作リング(図示せず)に接続される。プルワイヤ210の近位端は、ハンドル102内の操作機構(図示せず)に操作可能に接続され、使用中に操作可能なシース106の操作又は操縦を可能にする。操作可能なイントロデューサ100に使用するのに適した操作リング及び操作機構の構造及び動作のさらなる詳細は、米国特許出願公開第2007/0299424号及び米国特許第7,691,095号、米国特許第7,914,515号および米国特許第8,734,699号に記載されており、これらの各々は、その全体が参照により本明細書中に組み込まれる。
【0026】
内側ライナー202は、ポリマー材料、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)又はエッチングされたPTFEであることが好ましい。内側ライナー202は、ポリエーテルブロックアミド、ナイロンおよび他の熱可塑性エラストマーを含むがこれらに限定されない、他の溶融加工ポリマーから作製されていてもよい。このようなエラストマーは、アルケマ社(Arkema,Inc.)製のぺバックス(Pebax)(登録商標)であった場合、Pebax 30DからPebax 70Dを含むがこれに限定されない、様々なデュロメータのぺバックスを使用してもよい。好ましい実施形態では、内側ライナー202は、内側ライナー202が外側シース206の溶融処理に耐えるように、外側シース206よりも高い溶融温度を有する材料で作られる。
【0027】
内側ライナー202は、細長い医療装置を、例えばカテーテルを受け入れるためのルーメン216を画定する。ルーメン216は、好ましくは少なくとも約6フレンチ、より好ましくは少なくとも約7フレンチ、最も好ましくは約10フレンチ~約24フレンチの直径218を有する。しかしながら、いくつかの実施形態では、ルーメン216が、約7フレンチ~約32フレンチなど、最大約32フレンチ以上の直径218を有していてもよいと考えられる。
【0028】
トルク伝達層204は、内側ライナー202と熱収縮層208との間、より好ましくは外側シース206と内側ライナー202との間に配置される。トルク伝達層204は、ステンレス鋼(304または316)ワイヤ又は当業者に公知の他の許容可能な材料から作製されてもよい。トルク伝達層204は、フラットワイヤ、好ましくは、例えば高張力ステンレス鋼ワイヤを含むステンレス鋼ワイヤからなる編組ワイヤアセンブリから形成される。トルク伝達層204は、(少なくとも2本のワイヤを含む)1対1の交差パターン又は(少なくとも4本のワイヤを含む)2対2の交差パターンを含む、任意の数の公知の編組パターンで形成されていてもよい。少なくとも約6フレンチのルーメン直径については、少なくとも約0.003インチの厚さで、少なくとも約0.007インチの幅の編組フラットワイヤが使用されていてもよい。一般に、個々のワイヤは、例えば2:1~5:1を含む少なくとも約2:1の幅と厚さの比を有する。約0.004インチの厚さで約0.012インチの幅のフラットワイヤや、約0.004インチの厚さで約0.020インチの幅のフラットワイヤも編組され、優れた性能のトルク伝達層を形成することに成功している。
【0029】
外側シース206は、押出ぺバックス又はPTFEチューブのいずれかが好ましい。外側シース206の溶融加工ポリマーは、トルク伝達層内のワイヤメッシュの複数の空隙を占める。外側シース206は、様々なデュロメータで、エッチングされたPTFE、ポリエーテルブロックアミド、ナイロン及び他の熱可塑性エラストマーを含むが、これらに限定されない、他の溶融加工ポリマーから作製されていてもよい。外側シース206は、例えば、溶融加工ポリマーの2つ以上のチューブを含む、1つより多い層を含んでいてもよい。あるいは、外側シース206は、操作可能なシース106の長さに沿って硬度及び/又は材料が異なり、互いにリフロー結合されている様々なセグメント(図示せず)から構成されていてもよい。このようにシース組成を変化させることにより、操作可能なシース106に沿った種々の点において、可撓性、トルク伝達性、および押し込み性を調節するというさらなる利点が得られる。
【0030】
図3、
図4及び
図5は、トルク伝達層204、外側シース206及び熱収縮層208が除去された操作可能なシース106の様々な図である。
図3は、操作可能なシース106の側面図である。
図4は、
図3に示す方向314から見たときの、同じ構成の操作可能なシース106の上面図である。
図5は、
図4に示す操作可能なシース106の部分400の拡大図である。
【0031】
プルワイヤ210は、
図3、
図4及び
図5において、第1のプルワイヤ300及び第2のプルワイヤ302として別個に識別される。
図3に示すように、偏向可能部分116は、内側半径304及び外側半径306を有するU字形に偏向される。プルワイヤ210は、操作可能なシース106の近位端310から遠位端108まで延びている。
【0032】
非偏向部分114では、第1のプルワイヤ300及び第2のプルワイヤ302は、内側ライナー202の周りに巻き付けられる。内側ライナー202は、外周500(
図5に示す)を有する円筒チューブである。非偏向部分114では、第1のプルワイヤ300及び第2のプルワイヤ302は、近位端310から遠位端108に向かって延びるにつれて、内側ライナー202の外周500の周りを通っていく。したがって、非偏向部分114では、各プルワイヤ210は、近位端310から遠位端108まで実質的に螺旋状の経路をたどる。第1のプルワイヤ300及び第2のプルワイヤ302は両方とも、同じ変化量(例えば、長さの単位当たりの巻き数)で内側ライナー202の周りに巻き付けられ、互いに交差しない。第1のプルワイヤ300がたどる螺旋経路は、第2のプルワイヤがたどる螺旋経路から、内側ライナー202の外周500の周りで(すなわち、円周方向に)180度オフセットしている。したがって、第1のプルワイヤ300及び第2のプルワイヤ302は、非偏向部分114全体にわたって実質的に180度離れたままである。
【0033】
例示的な実施形態では、第1のプルワイヤ300及び第2のプルワイヤ302は、近位端310から遠位端116に向かって非偏向部分114を通るときに、内側ライナー202の周りにそれぞれ2回(すなわち、720度または2巻き)巻かれる。他の実施形態では、プルワイヤは、異なる回数だけ内側ライナー202の周りに巻き付けられていてもよい。内側ライナー202の周りの巻き数が増加するにつれて、プルワイヤ210をホイッピングさせたり破壊したりすることなく、操作可能なシャフト106のトルク伝達性が一般に増加する。しかしながら、ワイヤ210に沿った摩擦は、巻き数が増加するにつれて増加し、偏向可能部分116を偏向させるために必要な力がより大きくなることもある。さらに、ワイヤ210が内側ライナー202の周りに巻き付く回数を増加させると、プルワイヤ210の長さが増加し、これにより、材料コストが潜在的に増加する。好ましくは、各引っ張りワイヤ210は、非偏向部分114の内側ライナー202の周りを1~4周巻きする。いくつかの実施形態では、各プルワイヤ210は、非偏向部分114内の内側ライナー202の周りを1~3周巻きする。いくつかの実施形態では、各プルワイヤ210は、内側ライナー202の周りを1~2周巻きする。
【0034】
操作可能なシース106の組立時には、第1のプルワイヤ300及び第2のプルワイヤ302は、内側ライナー202に結合され、リフロー処理が行われるまでそれらを所定の位置に保持してもよい。ルーメン214を形成するためのポリマー管状部材212を備える実施形態において、ポリマー管状部材212は、内側ライナー202に結合されていてもよい。
【0035】
例示的な実施形態では、第1のプルワイヤ300及び第2のプルワイヤ302は、(近位端310から見て)反時計回りに内側ライナー202の周りに巻き付けられている。他の実施形態では、第1のプルワイヤ300及び第2のプルワイヤ302は、(近位端310から見て)時計回りに内側ライナー202の周りに巻き付いている。
【0036】
偏向可能部分116では、第1のプルワイヤ300及び第2のプルワイヤ302は、内側ライナー202の周りに巻き付かない。むしろ、第1のプルワイヤ300及び第2のプルワイヤ302は、偏向可能部分116の近位端312から遠位端108まで実質的に直線経路をそれぞれ通る。
図3では見えないが、第1のプルワイヤ300は、偏向可能部分116の近位端312から外側半径306に沿って遠位端108まで続く。同様に、第2のプルワイヤ302は、偏向可能部分116の近位端312から内側半径304に沿って遠位端108まで続く。
図4では、第1のプルワイヤ300は、偏向可能部分116の外側半径306の一部に沿って直線経路を通っているのが分かる。
【0037】
第1のプルワイヤ300及び第2のプルワイヤ302は、近位端310で終端するように図示されているが、第1のプルワイヤ300及び第2のプルワイヤ302が、操作可能なシース106の操作のために、第1のプルワイヤ300及び第2のプルワイヤ302への(
図1に示されるハンドルアセンブリ102によるような)アクセスを可能にするために、近位方向に内側ライナー202を越えて延在できることが理解されるべきである。
【0038】
上述したように、本開示は、上述の操作可能なシースの偏向可能部分に主に配置される1つまたは複数の電極に接続されてもよい1つまたは複数の電極ワイヤを備える操作可能なシースも対象とする(以下に述べるように、いくつかの実施形態では、1つ又は複数の電極は、操作可能なシースの非偏向部分に配置されていてもよい)。本明細書でより詳細に説明されるように、本開示の多くの実施形態では、操作可能なシースは、その全体的な性能を向上させるために、いくつかの特定の層を備えるように製造される。いくつかの実施形態では、存在する電極ワイヤは、内層(例えば、ポリテトラフルオロエチレン層)に巻き付けられ、その後、トルク伝達層及びポリマー層で囲まれる。他の実施形態では、電極ワイヤは、内層及びトルク伝達層の両方を覆うポリマー層の周りに巻き付けられ、次いで、第2のポリマー材料及び任意で第3のポリマー材料で覆われる。いくつかの実施形態では、ポリマー材料は、共押出ポリマーであってもよい。
【0039】
さらに、操作可能なシース上に存在する電極ワイヤは、電極ワイヤの巻き又はピッチが緩くなり得る操作可能なシースの非偏向部分と比較して、操作可能なシースの偏向可能部分において、より狭い巻き又はより狭いピッチを有していてもよい。このような操作可能なカテーテルの特定の領域におけるより狭い巻き又はピッチの組み合わせは、別個の領域におけるより緩い巻き又はピッチと比較して、使用中の操作可能なシースの圧縮又は屈曲に対する緊張の緩和を提供する。本明細書で使用される「ピッチ」は、操作可能なシース上のワイヤの巻きと巻きの間隔を意味し、すなわち、狭い「ピッチ」は、近接した間隔のワイヤの巻きであり、緩い「ピッチ」は、広い間隔のワイヤの巻きである。また、本明細書の実施形態及び図面に記載されるように、操作可能なシースの壁に電極ワイヤを埋め込むことによって、電極ワイヤに対するさらなる安全性および保護が提供される。
【0040】
本開示の一実施形態では、操作可能なシースは、操作可能なシャフトの近位の非偏向部分と比較して、操作可能なシャフトの遠位の偏向可能部分に、より狭い巻き又はピッチを有する電極ワイヤを備える。電極ワイヤは、一般に、電極に接続されている。多くの実施形態において、この操作可能なシャフトは、本明細書に記載されるような1つ又は複数のプルワイヤを備えていてもよい。いくつかの望ましい実施形態では、操作可能なシースは、2つのプルワイヤ及び4つの電極ワイヤを備えていてもよく、各電極ワイヤは、電極に電気的に接続されている。他の実施形態では、操作可能なシャフトの偏向可能部分に存在する狭く巻かれた又は狭いピッチの電極配線は、操作可能なシースの近位の非偏向部分の遠位部分内に延在していてもよく、非偏向部分に電極を備えていてもよい。本明細書に記載される実施形態は、操作可能なシースの偏向可能部分及び非偏向部分の両方に電極を備える。
【0041】
ここで
図6を参照すると、本開示の操作可能なシースを製造するためのプロセスが示されている。例えば、ポリテトラフルオロエチレンを含む当技術分野で知られている多くの適切な材料から形成されていてもよい内側ライナー700は、トルク伝達層702で、例えば、編組布から形成されるニチノール管で覆われる。トルク伝達層702が所定の位置に配置されると、ポリマー材料704又はポリマー材料の組み合わせが、トルク伝達層702及び内側ライナー700を覆うようにリフローされるか、さもなければ塗布される。適切なポリマー材料は、上述されており、ポリマーぺバックス(登録商標)材料を含む。ポリマー材料704が所定の位置に配置されると、電極ワイヤ706が、ポリマー材料704の周りに巻き付けられる(
図6には示されていないが、複数の電極ワイヤおよび電極を有することは、本開示の範囲内である)。図示の実施形態では、電極ワイヤ706は、偏向可能部分708内に第1の狭い巻きを有し、非偏向部分710内に緩い巻きを有する。偏向可能部分708は、遠位部分709及び近位部分711を備える。非偏向部分710は、近位部分713及び遠位部分715を備える。
図6には示されていないが、電極ワイヤ706の狭く巻かれた部分が、非偏向部分710内に部分的に延在し(すなわち、非偏向部分710の遠位部分715内に延在し)、非偏向部分710上に配置される電極に接続することは、本開示の範囲内である。電極712が、偏向可能部分708内のポリマー材料704上に導入され、電極ワイヤ706に電気的に接続される。ポリマー材料704上への電極712の導入に続いて、第2のポリマー714又はポリマーの組み合わせが、偏向可能部分708内に位置する電極ワイヤ706の狭く巻かれた部分上にリフローされる。この第2のポリマー714は、単一のリフローポリマー材料であってもよいし、例えば、ぺバックス(登録商標)ポリマー及び1つ又は複数の潤滑性添加剤を含んでいても含んでいなくてもよいナイロン11ポリマーを含む、2つ以上のポリマー材料の組み合わせ(共押出)であってもよい。
図6には示されていないが、操作可能なシースが1つ又は複数のプルワイヤを備えることは、本開示の範囲内である。第2のポリマー714がリフローされた後、任意の第3のポリマー層(
図6には示されていない)が、電極712上にリフローされてもよい。次いで、任意の第3のポリマーリフロー層は、電極712から部分的に除去され、電極712上に所望の量の表面積を提供してもよい。したがって、本開示のいくつかの実施形態では、適切な製造プロセスが、ポリマー材料のリフローの2つのステップを備えていてもよいが、他の実施形態は、ポリマー材料のリフローの3つのステップを備えていてもよい。
【0042】
ここで
図7を参照すると、本開示の一実施形態の操作可能なシース800の側面図が示されている。操作可能なシース800は、遠位端802と、近位端804と、近位の非偏向部分806と、遠位の偏向可能部分808とを含む。非偏向部分806は、近位部分810及び遠位部分812を備え、偏向可能部分808は、近位部分814及び遠位部分816を備える。操作可能なシース800は、プルリング820に接続されるプルワイヤ818をさらに備える。プルワイヤ818は、非偏向部分806内で螺旋状に形成され、偏向可能部分808内で直線状に形成される。操作可能なシース800は、電極ワイヤ822と、電極ワイヤ822に接続される電極824、826、828及び830をさらに備える。非偏向部分806内では、電極ワイヤ822は、より狭く巻かれた偏向可能部分808内に配置される電極ワイヤ822と比較して、主により緩く巻かれた構成であるが、図示のように、非偏向部分806の遠位部分812付近の電極ワイヤ822は、狭く巻かれた電極ワイヤ822を備える。この図示された実施形態では、1つの電極824が、操作可能なシース800の非偏向部分806の遠位部分812に配置される。
【0043】
上記のように、本開示の操作可能なシースは、プルワイヤ及び(一般に電極に接続される)電極ワイヤの両方を備えていてもよい。(所望の螺旋構成を有する)プルワイヤおよび(所望の巻きの狭さを有する)電極ワイヤの両方を備える操作可能なシースは、最初に2つのプルワイヤを内側ライナーの周りに上述のようにオフセットした螺旋配置で配置し(プルワイヤは、本明細書に記載のように管状保護部材内にあってもよい)、トルク伝達層を内側ライナー及びプルワイヤの上に配置することによって製造されてもよい。プルワイヤは、一般に、操作可能なシースの遠位部分に位置するプルリングに接続される。次に、高分子材料が、トルク伝達層及びプルワイヤ上にリフローされる。次に、電極ワイヤが、所望の巻きの狭さ又はピッチを有するリフローされたポリマー材料の周りに電極ワイヤを配置することによって導入される。電極ワイヤの巻きの狭さ又はピッチは、非偏向部分と比較して、操作可能なシースの偏向可能部分においてより狭くてもよい(ただし、本明細書で言及されるように、いくつかの実施形態では、電極ワイヤの狭い巻きの部分が、非偏向部分の遠位部分内にわずかに延在していてもよい)。次に、電極が導入され、電極ワイヤに接続される。次に、電極ワイヤ上にポリマー材料をリフローすることによって、ポリマー材料が導入される。いくつかの実施形態では、単一のポリマー材料又は潤滑性添加剤と共に2つ以上の成分を含む共押出ポリマー材料であってもよいこのポリマー材料が、電極ワイヤ上にリフローされ、第3のポリマー材料は、任意で電極上にリフローされてもよい。この実施形態では、所望の量のこの第3のリフローされたポリマー材料が、所与の用途のための所望の量の電極表面を提供するために、存在する電極から除去されてもよい。いくつかの実施形態では、リフローされたポリマー材料は、レーザアブレーションによって電極から除去されてもよい。リフローされたポリマー材料を電極から除去するために利用される方法にかかわらず、例えば、正方形、円形、菱形などのパターンを含む任意の適切なパターンが、電極の表面上に存在していてもよい。
【0044】
図8Aおよび8Bは、本開示の一実施形態による操作可能なシースを製造する方法900のフローチャートである。方法900は、2つのプルワイヤを内側ライナーの周りにオフセットした螺旋配置で配置するステップ902と、トルク伝達層を内側ライナーおよびプルワイヤの上に配置するステップ904を備える。方法900は、トルク伝達層及びプルワイヤ上のポリマー材料をリフローするステップ906と、リフローされたポリマー材料の周囲に電極ワイヤを配置するステップ908をさらに備える。方法900は、電極ワイヤに電極を導入して接続するステップ910をさらに備える。方法900は、電極ワイヤ上にポリマー材料をリフローするステップ912をさらに備える。方法900は、電極上に別のポリマー材料をリフローするステップ913と、電極からポリマー材料の少なくとも一部を除去するステップ914をさらに任意で備える。
【0045】
ここで
図9を参照すると、本開示の一実施形態に従って用意される操作可能なシース1000の断面が示されている。操作可能なシース1000は、その上に配置されるプルワイヤ1004及び1006を有する内側ライナー1002を備える。トルク伝達層1008は、内側ライナー1002と、プルワイヤ1004及び1006を取り囲んでいる。操作可能なシース1000は、トルク伝達層1008を取り囲む第1のリフローポリマー層1010をさらに備える。電極ワイヤ1012、1014、1016及び1018は、第1のリフローポリマー層1010の上部(外側表面)に配置され、第2のリフローポリマー層1020は、第1のリフローポリマー層1010と、4つの別個の電極(
図9には図示せず)に接続されていてもよい電極ワイヤ1012、1014、1016及び1018とを取り囲む。任意のリフローポリマー材料が、1つ又は複数の電極(
図9には図示せず)の一部を覆っていてもよい。
【0046】
ここで
図10を参照すると、本開示の一実施形態に従って用意される操作可能なシース1100の断面が示されている。操作可能なシース1100は、その上に配置されるプルワイヤ1004及び1006と電極ワイヤ1108、1110、1112及び1114とを有する内側ライナー1102を備える。トルク伝達層1116は、内側ライナー1102と、プルワイヤ1104及び1106と、電極ワイヤ1108、1110、1112及び1114を取り囲む。操作可能なシース1000は、トルク伝達層1008を取り囲むリフローポリマー層1118をさらに備える。電極ワイヤ1108、1110、1112及び1114は、4つの別個の電極(
図10には図示せず)に接続されていてもよい。
【0047】
本開示のいくつかの実施形態について、ある程度の特殊性で上記に説明したが、当業者は、本開示の趣旨又は範囲から逸脱することなく、開示された実施形態に多数の変更を加えることができる。全ての方向に関する言及(例えば、上側、下側、上方、下方、左、右、左方向、右方向、上端、下端、上部、下部、垂直、水平、時計回りおよび反時計回り)は、本開示の読み手の理解を助けるために識別の目的のためだけに使用されるに過ぎず、特に本開示の位置、配向又は使用に関して限定をもたらさない。接続に関する言及(例えば、取り付けられ、結合され、接続され等)は、広義に解釈されるべきであり、要素の接続と要素間の相対運動との間の中間部材を含んでいてもよい。したがって、接続に関する言及は、2つの要素が直接に接続され互いに固定関係を成すことを必ずしも暗示するとは限らない。上記の説明に含まれるか、添付図面に示されるすべての事項は、限定ではなく例示として解釈されるべきものとする。添付の特許請求の範囲において定義されるように、本開示の趣旨から逸脱することなく、詳細または構造が変更されてもよい。
【0048】
参照により本明細書に組み込まれると言われる任意の特許、刊行物又は他の開示資料は、全体又は一部において、組み込まれた資料が、本開示に示す既存の定義、声明、又は他の開示資料と矛盾しない範囲でのみ本明細書に組み込まれる。そのように、そして必要な程度まで、本明細書に明示的に示された開示は、参照により本明細書に組み込まれるいかなる矛盾する資料よりも優先される。参照により本明細書に組み込まれると言われているが、本明細書に示された既存の定義、声明、又は他の開示資料と矛盾する任意の資料又はその一部は、組み込まれる材料と既存の開示資料との間に矛盾が生じない程度でのみ組み込まれることになる。
以下の項目は、国際出願時の請求の範囲に記載の要素である。
(項目1)
近位端及び遠位端を有する操作可能なシースであって、
前記操作可能なシースの非偏向部分の近位端から前記操作可能なシースの偏向可能部分の遠位端まで延在する内側ライナーと、
前記内側ライナーを取り囲み、前記操作可能なシースの前記非偏向部分の前記近位端から前記操作可能シースの前記偏向可能部分の前記遠位端まで延在するトルク伝達層と、
外周を有し、前記トルク伝達層を取り囲む第1のリフローポリマー層であって、前記操作可能なシースの前記非偏向部分の前記近位端から前記操作可能なシースの前記偏向可能部分の前記遠位端まで延在する、前記第1のリフローポリマー層と、
前記非偏向部分の前記近位端から遠位端まで、前記第1のリフローポリマー層の前記外周の周りに第1の螺旋経路に沿って配置され、前記偏向可能部分の近位端から前記偏向可能部分の前記遠位端まで、前記第1のリフローポリマー層の前記外周の周りに第2の螺旋経路に沿って配置される第1の電極ワイヤと、を備えており、
前記第1の電極ワイヤは、前記偏向可能部分上に配置される第1の電極に電気的に接続される、操作可能なシース。
(項目2)
前記第1の電極ワイヤを取り囲む第2のリフローポリマー層をさらに備えている、項目1に記載の操作可能なシース。
(項目3)
前記第1の電極を取り囲む第3のリフローポリマー層をさらに備えている、項目2に記載の操作可能なシース。
(項目4)
前記第3のポリマー層は、前記第1の電極の外表面の少なくとも一部が、前記第3のリフローポリマー層から露出されるように構成される、項目3に記載の操作可能なシース。
(項目5)
前記第2の螺旋経路は、前記第1の螺旋経路の巻きより狭い巻きを有する、項目1に記載の操作可能なシース。
(項目6)
前記非偏向部分の前記近位端から前記遠位端まで、前記第1のリフローポリマー層の前記外周の周りに第3の螺旋経路に沿って配置され、前記偏向可能部分の前記近位端から前記偏向可能部分の前記遠位端まで、前記第1のリフローポリマー層の前記外周の周りに第4の螺旋経路に沿って配置される第2の電極ワイヤをさらに備えており、
前記第2の電極ワイヤは、前記偏向可能部分上に配置される第2の電極に電気的に接続される、項目1に記載の操作可能なシース。
(項目7)
前記第2の電極ワイヤを取り囲む第2のリフローポリマー層をさらに備えている、項目6に記載の操作可能なシース。
(項目8)
前記第2の電極を取り囲む第3のリフローポリマー層をさらに備えている、項目7に記載の操作可能なシース。
(項目9)
前記第3のポリマー層は、前記第2の電極の外表面の少なくとも一部が、前記第3のリフローポリマー層から露出されるように構成される、項目8に記載の操作可能なシース。
(項目10)
前記第4の螺旋経路は、前記第3の螺旋経路の巻きより狭い巻きを有する、項目6に記載の操作可能なシース。
(項目11)
前記非偏向部分の前記近位端から前記非偏向部分の前記遠位端まで前記内側ライナーの外周の周りに第5の螺旋経路に沿って配置され、前記偏向可能部分の前記近位端から前記偏向可能部分の前記遠位端まで第1の直線経路に沿って配置される第1のプルワイヤと、
前記非偏向可能部分の前記近位端から前記非偏向可能部分の前記遠位端まで前記内側ライナーの前記外周の周りに第6の螺旋経路に沿って配置され、前記偏向可能部分の前記近位端から前記偏向可能部分の前記遠位端まで第2の直線経路に沿って配置される第2のプルワイヤと、をさらに備えている、項目1に記載の操作可能なシース。
(項目12)
前記第5の螺旋経路及び前記第6の螺旋経路はそれぞれ、前記非偏向部分の前記近位端から前記非偏向部分の前記遠位端まで、前記内側ライナーの周りを2周する、項目11に記載の操作可能シース
(項目13)
前記第1のプルワイヤ及び前記第2のプルワイヤは、フラットワイヤを備える、項目11に記載の操作可能なシース。
(項目14)
前記第1のプルワイヤ及び前記第2のプルワイヤは、ステンレス鋼プルワイヤである、項目11に記載の操作可能なシース。
(項目15)
前記第5の螺旋経路は、前記第6の螺旋経路から、前記内側ライナーの前記外周の周りに180度オフセットされている、項目11に記載の操作可能なシース。
(項目16)
前記第1の直線経路は、前記第2の直線経路から、前記内側ライナーの前記外周の周りに180度オフセットされている、項目11に記載の操作可能なシース。
(項目17)
前記第1のプルワイヤ及び前記第2のプルワイヤは、ポリマー管状部材内にある、項目11に記載の操作可能なシース。
(項目18)
近位端及び遠位端を有する操作可能なシースであって、
前記操作可能なシースの非偏向部分の近位端から前記操作可能なシースの偏向可能部分の遠位端まで延在する内側ライナーと、
外周を有し、前記内側ライナーを取り囲み、前記操作可能なシースの前記非偏向部分の前記近位端から前記操作可能なシースの前記偏向可能部分の前記遠位端まで延在するトルク伝達層と、
前記非偏向可能部分の前記近位端から遠位端まで前記トルク伝達層の前記外周の周りに第1の螺旋経路に沿って配置され、前記偏向可能部分の近位端から前記偏向可能部分の前記遠位端まで前記トルク伝達層の前記外周の周りに前記第2の螺旋経路に沿って配置され、偏向可能部分の近位端から遠位端までトルク伝達層の外周に沿って配置される第1の電極ワイヤであって、前記偏向可能部分上に配置される第1の電極に電気的に接続される、前記第1の電極ワイヤと、
前記第1の電極ワイヤ及び前記第1の電極を取り囲むリフローポリマー層であって、前記リフローポリマー層の一部は、前記第1の電極の少なくとも一部を露出させるために除去されている、前記リフローポリマー層と、を備えている、操作可能なシース。
(項目19)
前記第2の螺旋経路は、前記第1の螺旋経路の巻きより狭い巻きを有する、項目18に記載の操作可能なシース。
(項目20)
前記非偏向部分の前記近位端から前記遠位端まで前記トルク伝達層の前記外周の周りに第3の螺旋経路に沿って配置され、前記偏向可能部分の前記近位端から前記偏向可能部分の前記遠位端まで前記トルク伝達層の前記外周の周りに第4の螺旋経路に沿って配置される第2の電極ワイヤをさらに備えており、
前記第2の電極ワイヤは、前記偏向可能部分上に配置される第2の電極に電気的に接続される、項目18に記載の操作可能なシース。
(項目21)
内側ライナーの非偏向部分の近位端から前記内側ライナーの前記非偏向部分の遠位端まで、前記内側ライナーの前記非偏向部分の外周の周りに第1の螺旋経路に沿って第1のプルワイヤを配置するステップと、
前記内側ライナーの偏向可能部分の近位端から前記偏向可能部分の遠位端まで第1の直線経路に沿って前記第1のプルワイヤを配置するステップであって、前記内側ライナーの前記偏向可能部分の前記近位端は、前記内側ライナーの前記非偏向部分の前記遠位端に隣接する、前記第1の直線経路に沿って前記第1のプルワイヤを配置するステップと、
前記内側ライナーの前記非偏向部分の前記近位端から前記内側ライナーの前記非偏向部分の前記遠位端まで、前記内側ライナーの前記非偏向部分の前記外周の周りにおいて第2の螺旋経路に沿って第2のプルワイヤを配置するステップと、
前記内側ライナーの前記偏向可能部分の前記近位端から前記内側ライナーの前記偏向可能部分の前記遠位端まで、第2の直線経路に沿って前記第2のプルワイヤを配置するステップと、
前記第1のプルワイヤ、前記第2のプルワイヤ及び前記内側ライナーの上にトルク伝達層を配置するステップと、
前記トルク伝達層の上に第1のポリマー材料をリフローするステップと、
リフローされた前記第1のポリマー材料の非偏向部分の近位端から前記リフローされた第1のポリマー材料の前記非偏向部分の遠位端まで前記リフローされた第1のポリマー材料の外周の周りに第3の螺旋経路に沿って、前記リフローされた第1のポリマー材料の前記偏向可能部分の近位端から前記リフローされた第1のポリマー材料の前記偏向可能部分の遠位端まで前記リフローされた第1のポリマー材料の外周の周りに第4の螺旋経路に沿って、第1の電極ワイヤを配置するステップと、
前記リフローされた第1のポリマー材料の前記非偏向部分の前記近位端から前記リフローされた第1のポリマー材料の前記非偏向部分の前記遠位端まで前記リフローされた第1のポリマー材料の前記外周の周りに第5の螺旋経路に沿って、前記リフローされた第1のポリマー材料の前記偏向可能部分の前記近位端から前記リフローされた第1のポリマー材料の前記偏向可能部分の前記遠位端まで前記リフローされた第1のポリマー材料の前記外周の周りに第6の螺旋経路に沿って、第2の電極ワイヤを配置するステップと、を備えている、操作可能なシースの製造方法。
(項目22)
前記第1の電極ワイヤ及び前記第2の電極ワイヤの上に第2のポリマー材料をリフローするステップをさらに備える、項目21に記載の操作可能なシースの製造方法。
(項目23)
前記第2のポリマー材料は、2つの別個の材料をリフローする共押出プロセスである、項目22に記載の操縦可能なシースを製造する方法。