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特許6994116ラクトバチルスプランタルムKBL396菌株およびその用途
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-14
(45)【発行日】2022-02-04
(54)【発明の名称】ラクトバチルスプランタルムKBL396菌株およびその用途
(51)【国際特許分類】
   C12N 1/20 20060101AFI20220128BHJP
   A23L 33/135 20160101ALI20220128BHJP
   A61P 25/24 20060101ALI20220128BHJP
   A61P 25/28 20060101ALI20220128BHJP
   A61P 25/22 20060101ALI20220128BHJP
   A61P 25/20 20060101ALI20220128BHJP
   A61P 25/00 20060101ALI20220128BHJP
   A61P 25/16 20060101ALI20220128BHJP
   A61P 25/14 20060101ALI20220128BHJP
   A61K 35/747 20150101ALI20220128BHJP
   A61K 35/74 20150101ALI20220128BHJP
   A23K 10/16 20160101ALI20220128BHJP
   C12N 15/11 20060101ALN20220128BHJP
【FI】
C12N1/20 A ZNA
A23L33/135
A61P25/24
A61P25/28
A61P25/22
A61P25/20
A61P25/00
A61P25/16
A61P25/14
A61K35/747
A61K35/74 A
A23K10/16
C12N15/11 Z
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2020541769
(86)(22)【出願日】2019-02-07
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-05-13
(86)【国際出願番号】 KR2019001525
(87)【国際公開番号】W WO2019151843
(87)【国際公開日】2019-08-08
【審査請求日】2020-07-30
(31)【優先権主張番号】10-2018-0013366
(32)【優先日】2018-02-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
【微生物の受託番号】KCTC  KCTC 13278BP
(73)【特許権者】
【識別番号】520106231
【氏名又は名称】コバイオラブス,インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】特許業務法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】チョイ,ヨンビン
(72)【発明者】
【氏名】キム,ジス
(72)【発明者】
【氏名】リ,ジュン-チュル
(72)【発明者】
【氏名】コ,クァン ピョ
(72)【発明者】
【氏名】ナム,テ-ウク
(72)【発明者】
【氏名】キム,ジュン-ヒョン
(72)【発明者】
【氏名】チョ,ボ-ラム
【審査官】竹内 祐樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-017282(JP,A)
【文献】特開2015-213501(JP,A)
【文献】Kin's 乳酸菌と発酵,Vol.8,2011年,p.1-11
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12N 1/00-7/08
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ラクトバチルスプランタルム(Lactobacillus plantarum)KBL396(KCTC13278BP)菌株。
【請求項2】
ラクトバチルスプランタルムKBL396(KCTC13278BP)菌株は、配列番号1で表される16s rDNA配列を含むものである、請求項1に記載の菌株。
【請求項3】
ラクトバチルスプランタルムKBL396(KCTC13278BP)菌株は、セロトニン分泌増加、炎症性サイトカイン発現抑制、腸内有害菌の減少、および抗酸化作用からなる群より選択されるいずれか一つ以上の特性を示すものである、請求項1に記載の菌株。
【請求項4】
ラクトバチルスプランタルム(Lactobacillus plantarum)KBL396(KCTC13278BP)菌株、前記菌株の培養物、前記菌株の破砕物、および前記菌株の抽出物からなる群より選択された1種以上を含む、神経系疾患の予防または治療用の薬学組成物。
【請求項5】
前記神経系疾患は、精神障害または神経変性疾患である、請求項に記載の薬学組成物。
【請求項6】
前記精神障害は、ストレスによる緊張、不安、憂鬱症、気分障害、不眠症、妄想性障害、強迫性障害、偏頭痛、記憶障害、認知障害、および注意力障害からなる群より選択されたいずれか一つ以上である、請求項に記載の薬学組成物。
【請求項7】
前記神経変性疾患は、パーキンソン病、ハンチントン病、アルツハイマー病、筋萎縮性側索硬化症(amyotrophic lateral sclerosis)、脊髄小脳委縮症(Spinocerebellar Atrophy)、トゥレット症候群(Tourette’s Syndrome)、フリードライヒ運動失調症(Friedreich’s Ataxia)、マチャド・ジョセフ病(Machado-Joseph’s disease)、認知症、ジストニア(Dystonia)、および進行性核上性麻痺(Progressive Supranuclear Palsy)からなる群より選択されたいずれか一つ以上である、請求項に記載の薬学組成物。
【請求項8】
少なくとも一つ以上の薬学的に許容可能な賦形剤および/または凍結乾燥剤をさらに含む、請求項4に記載の薬学組成物。
【請求項9】
ラクトバチルスプランタルム(Lactobacillus plantarum)KBL396(KCTC13278BP)菌株、前記菌株の培養物、前記菌株の破砕物、および前記菌株の抽出物からなる群より選択された1種以上を含む神経系疾患の予防または改善用食品組成物。
【請求項10】
少なくとも一つ以上の賦形剤および/または凍結乾燥剤をさらに含む、請求項に記載の食品組成物。
【請求項11】
ラクトバチルスプランタルムKBL396(KCTC13278BP)菌株、前記菌株の培養物、前記菌株の破砕物、および前記菌株の抽出物からなる群より選択された1種以上を含む、神経系疾患の予防または改善用の動物飼料用添加剤。
【請求項12】
少なくとも一つ以上の賦形剤および/または凍結乾燥剤をさらに含む、請求項11に記載の動物飼料用添加剤。
【請求項13】
神経系疾患の予防または治療に使用するための、ラクトバチルスプランタルム(Lactobacillus plantarum)KBL396(KCTC13278BP)菌株、前記菌株の培養物、前記菌株の破砕物、および前記菌株の抽出物からなる群より選択された1種以上を含む組成物。
【請求項14】
神経系疾患の予防または治療のための予防または治療用薬剤を製造するための、ラクトバチルスプランタルム(Lactobacillus plantarum)KBL396(KCTC13278BP)菌株、前記菌株の培養物、前記菌株の破砕物、および前記菌株の抽出物からなる群より選択された1種以上を含む組成物の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規ラクトバチルスプランタルムKBL396(Lactobacillus plantarum KBL396)菌株およびその用途に関するものであって、より詳しくは、新規プロバイオティクであるラクトバチルスプランタルムKBL396菌株、その生菌体、死菌体、培養物、破砕物または抽出物を含有する組成物およびその人間の精神健康改善のための食品医薬品的用途に関するものである。
【背景技術】
【0002】
プロバイオティクス(probiotics)は腸内微生物均衡を助ける抗菌活性と酵素活性を有する微生物および前記微生物が生産する生産物をいう。併せて、プロバイオティクスは乾燥細胞や発酵産物形態で人や動物に供給されて、腸内菌叢を改善する単一または複合菌株形態の生菌と定義されている。プロバイオティクスが備えなければならない特性は、人間の腸内を生息地とし、非病原性、無毒性の特性を有し、腸へ行く間に生き残らなければならない。さらに、伝達される食品中で消費される前に生存率と活性を維持し、感染予防として使用される抗生剤に対して敏感でなければならず、抗生剤耐性を有するプラスミドを保有してはならない。また、腸内環境で酸、酵素、胆汁に対する耐性を備えなければならない。
【0003】
このようなプロバイオティクスとしては、消化酵素(amylase、protease、lipase、cellulase、phosphatase)生成能力に優れたバチルス種(Bacillus sp.)、乳酸を生成するラクトバチルス種(Lactobacillus sp.)、家畜の糞便に残っている悪臭誘発物質(アンモニア、硫化水素、アミン類など)を代謝過程に用いて悪臭誘発を防ぐ光合成バクテリア(Photosynthetic bacteria)などがその例として挙げられる。最近、プロバイオティクスは、腸健康改善をはじめとする多様な健康機能改善効果が報告されるにつれて既存の化合物に基づいた治療剤を代替できる主要な治療物質として脚光を浴びている。
【0004】
神経系疾患であって、現代社会に急増するストレスなどによって不安、憂鬱、精神分裂、認知障害などを含む精神障害と、老化と関連があり時々他の神経学的欠損と共に記憶力、運動能力、認知能力および感覚能力のうちの一つ以上の退化または損失が伴う中枢神経系(CNS)および/または末梢神経系(PNS)の神経細胞の漸次的な消失を特徴とする神経変性疾患が増加している。
【0005】
精神障害を患う患者は、ひどい場合、自殺事故につながれることがあり、特に憂鬱症患者の過半数以上が自殺を考慮すると報告されたことがあり、実際に10~15%の患者が自殺を施行すると知られている。憂鬱症は意欲低下と憂鬱感を主要症状にし多様な精神的および身体的症状を起こして日常機能の低下をもたらす疾患であって、一生有病率中の約15~20%が憂鬱障害と報告されている。憂鬱症の発病原因についてはまだ明確に明らかになっていないが、他の精神疾患のように多様な生化学的、遺伝的、そして環境的要因が疾病を引き起こすと知られている。憂鬱症の一生有病率は、女性の場合10~25%、男性の場合5~12%程度で、女性でその頻度数が2倍程度多い。
【0006】
このように憂鬱症が今日代表的な高頻度疾患として発病しており、憂鬱症は心身を同時に悪化させる疾患であって、適切に治療されなければ数か月から数年間持続されながら人間関係の瓦解や職業的な生産性の喪失、無能感に陥て死に至ることもあって、患者個人だけでなく家族、社会にまで大きな負担を与えることがある。
【0007】
前記のような憂鬱症の深刻性が報告されてはいるが、いまだに憂鬱症の原因と抗憂欝剤の作用メカニズムが完ぺきに明らかになってはいない。但し、一般に中枢神経系のシナプス内のモノアミン系神経伝達物質であるセロトニン(serotonin、5-HT)が不足すれば憂鬱症が誘発されるということが学界に広く知られている(Sodhi MS et al、Int Rev Neurobiol 2004、59、111-174)。
【0008】
現在臨床に使用される抗憂欝剤は大部分モノアミン系神経伝達物質の作用を強化する薬物であって、神経細胞のセロトニンやノルエピネフリンの再吸収を抑制する物質(SSRI、SNRI、TCAs系など)、モノアミン酸化酵素抑制剤(monoamine oxidase inhibitors)のようにセロトニンやドーパミンなどの分解を抑制する物質である。しかし、現在韓国の憂鬱症患者中の約10-25%のみが抗憂欝剤治療を受けており、このうちの40%程度は副作用などによって順応度が落ちて治療を中断すると知られており、さらに抗憂欝剤を服用しても反応がない非反応群(non-responder)が33%に達すると報告されており、より効果的な新たな治療剤の開発が必要であるのが実情である。
【0009】
また、神経変性疾患は多様な原因によって脳機能が損傷されながら以前に比べて認知機能が持続的且つ全般的に低下して日常生活に相当な支障を招く症状であって、このような認知障害は漸進的に精神荒廃を招き、結局死を招く、記憶、認知、推論、判断および感情安定の進行性損失を臨床的な特徴とする。
【0010】
このような疾患の一つの例として、アルツハイマー病(AD)は老人たちの進行性精神的機能喪失(認知症)の通常の原因であり、米国では医学的死亡原因中の4番目のものと見なされる。特に、アルツハイマー病は記憶を含む認知作用において基本的な役割を果たす前脳基底部でコリン性ニューロンの退行と連携している(Becker et al.、Drug Development Research、1988、12、163-195)。また、認知障害および退行性脳障害は多様な人種および種族で世界的に発見され、主要な公共の健康問題になった。現在これら病気は米国のみで約2百万~3百万人に影響を与えていると推定されているが、現在使用される薬物処置では治療が不可能であり、人間寿命が増加するにつれて全世界的に増加していて、初期に予防することができるように注意を払うことが重要であると言える。
【0011】
このような背景下に、神経系疾患に対する効果的な治療剤の開発が急を要するのが実情である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
前記のような問題点を解決するために、本発明者らはプロバイオティクスの健康増進効果が属(genus)と種(species)の一般的特徴と見にくく特定の菌株(strain)特異的な効果に該当するのを考慮して(Report of a joint FAO/WHO working group on drafting guidelines for the evaluation of probiotics in food、London Ontario、Canada、2002)、多様なプロバイオティクス菌株をスクリーニングして神経系疾患改善に優れた効果を示す菌株を確認することによって本発明を完成するようになった。
【0013】
これにより、本発明の目的は、新規乳酸菌を提供することにある。
【0014】
また、本発明の他の目的は、新規乳酸菌の多様な食品医薬品的用途を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
前記目的を達成するために、本発明は、ラクトバチルスプランタルムKBL396(Lactobacillus plantarum KBL396)KCTC13278BP菌株を提供する。
【0016】
本発明はまた、前記菌株、前記菌株の培養物、前記菌株の破砕物、および前記菌株の抽出物からなる群より選択された1種以上を含む薬学組成物を提供する。
【0017】
本発明はまた、前記菌株、前記菌株の培養物、前記菌株の破砕物、および前記菌株の抽出物からなる群より選択された1種以上を含む神経系疾患予防または治療用薬学組成物を提供する。
【0018】
本発明はまた、ラクトバチルスプランタルムKBL396(Lactobacillus plantarumKBL396)KCTC13278BP菌株、前記菌株の培養物、前記菌株の破砕物、および前記菌株の抽出物からなる群より選択された1種以上を含む神経系疾患予防または改善用食品組成物を提供する。
【0019】
本発明はまた、ラクトバチルスプランタルムKBL396 KCTC13278BP菌株、前記菌株の培養物、前記菌株の破砕物、および前記菌株の抽出物からなる群より選択された1種以上を含む動物飼料用添加剤を提供する。
【0020】
本発明はまた、ラクトバチルスプランタルムKBL396 KCTC13278BP菌株、前記菌株の培養物、前記菌株の破砕物、および前記菌株の抽出物からなる群より選択された1種以上の治療学的に有効な量をこれを必要とする個体に投与する段階を含む神経系疾患の予防または治療方法を提供する。
【0021】
本発明はまた、神経系疾患の予防または治療に使用するためのラクトバチルスプランタルムKBL396 KCTC13278BP菌株、前記菌株の培養物、前記菌株の破砕物、および前記菌株の抽出物からなる群より選択された1種以上を含む組成物を提供する。
【0022】
本発明はまた、神経系疾患の予防または治療用薬剤を製造するための前記菌株、前記菌株の培養物、前記菌株の破砕物、および前記菌株の抽出物からなる群より選択された1種以上を含む組成物の用途を提供する。
【0023】
本発明はまた、前記菌株、前記菌株の培養物、前記菌株の破砕物、および前記菌株の抽出物からなる群より選択された1種以上を含む神経系疾患予防または改善用食品組成物を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】多様なラクトバチルス属、ビフィドバクテリウム属菌株がセロトニン生合成経路の律速酵素であるTPH-1の発現に及ぼす影響を比較した結果(A)と商業的に販売されている菌株と対比してラクトバチルスプランタルムKBL396菌株がTPH-1の発現に及ぼす影響差を確認した結果(B)である。
図2】Y-MAZEテストのための実験器具の模式図(A)およびY-MAZEテストによるラクトバチルスプランタルムKBL396(Lactobacillus plantarum KBL396)KCTC13278BP菌株投与の変更行動力改善を測定した結果(B)である。
図3】Y-MAZEテストでラクトバチルスプランタルムKBL396(Lactobacillus plantarum KBL396)KCTC13278BP菌株投与によるTPH-2遺伝子発現増加およびセロトニン(5-HT)濃度増加を確認した結果を示す。
図4】社会的攻撃(social defeat)によって動物モデルにストレスを誘発させるためのケージ(A)および社会的回避実験(social avoidance test)のための実験ボックスの模式図(B)である。
図5】C57BL/6マウスにラクトバチルスプランタルムKBL396(Lactobacillus plantarum KBL396)KCTC13278BP菌株投与時、社会的攻撃によって誘導されたストレス回復力改善効果を社会的回避実験で確認した結果である。
図6】尾懸垂試験法を示す模式図(A)およびC57BL/6マウスにラクトバチルスプランタルムKBL396(Lactobacillus plantarum KBL396)KCTC13278BP菌株投与時、社会的攻撃による誘導されたストレスに対する回復力を尾懸垂試験で確認した結果(B)である。
図7】社会的回避実験(Social Avoidance Test)動物モデルの脳で、ラクトバチルスプランタルムKBL396(Lactobacillus plantarum KBL396)KCTC13278BP菌株投与時、炎症性サイトカインであるIL-1βの発現変化を確認した結果である。
図8】社会的回避実験(Social Avoidance Test)動物モデルで、ラクトバチルスプランタルムKBL396(Lactobacillus plantarum KBL396)KCTC13278BP菌株投与時、脾臓でのCD4/CD8比率変化およびCD3+CD4+内FOXP3+CD25細胞の変化を確認した結果である。
図9】ラクトバチルスプランタルムKBL396(Lactobacillus plantarum KBL396)KCTC13278BP菌株に凍結保護剤を処理して凍結乾燥による生存率変化を確認した結果である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
別様に定義されない限り、本明細書で使用された全ての技術的および科学的用語は本発明の属する技術分野で熟練した専門家によって通常理解されるものと同一な意味を有する。一般に本明細書で使用された命名法は本技術分野でよく知られていて通常使用されるものである。
【0026】
本発明では、人間に由来した多様なプロバイオティクス菌株のセロトニン生合成能力を比較し、その中でもラクトバチルスプランタルムKBL396菌株がセロトニン生合成に特に卓越した効果を示すことを確認し、その神経系疾患に対する優れた予防、改善および治療効果を確認した。また、前記菌株の16s rDNAを分析した結果、前記菌株が従来公示されたことがない新規な菌株であるのを確認した。
【0027】
本発明の一実施形態によれば、本発明は、ラクトバチルスプランタルムKBL396(Lactobacillus plantarum KBL396)KCTC13278BP菌株を提供する。
【0028】
本発明による前記菌株は、配列番号1で表される16s rDNA配列を含むことを特徴とする。
【0029】
<配列番号1>
TATCAGTACGTGCTATAATGCAGTCGACGACTCTGGTATTGATTGGTGCTTGCATCATGATTTACATTTGAGTGAGTGGCGAACTGGTGAGTAACACGTGGGAAACCTGCCCAGAAGCGGGGGATAACACCTGGAAACAGATGCTAATACCGCATAACAACTTGGACCGCATGGTCCGAGCTTGAAAGATGGCTTCGGCTATCACTTTTGGATGGTCCCGCGGCGTATTAGCTAGATGGTGGGGTAACGGCTCACCATGGCAATGATACGTAGCCGACCTGAGAGGGTAATCGGCCACATTGGGACTGAGACACGGCCCAAACTCCTACGGGAGGCAGCAGTAGGGAATCTTCCACAATGGACGAAAGTCTGATGGAGCAACGCCGCGTGAGTGAAGAAGGGTTTCGGCTCGTAAAACTCTGTTGTTAAAGAAGAACATATCTGAGAGTAACTGTTCAGGTATTGACGGTATTTAACCAGAAAGCCACGGCTAACTACGTGCCAGCAGCCGCGGTAATACGTAGGTGGCAAGCGTTGTCCGGATTTATTGGGCGTAAAGCGAGCGCAGGCGGTTTTTTAAGTCTGATGTGAAAGCCTTCGGCTCAACCGAAGAAGTGCATCGGAAACTGGGAAACTTGAGTGCAGAAGAGGACAGTGGAACTCCATGTGTAGCGGTGAAATGCGTAGATATATGGAAGAACACCAGTGGCGAAGGCGGCTGTCTGGTCTGTAACTGACGCTGAGGCTCGAAAGTATGGGTAGCAAACAGGATTAGATACCCTGGTAGTCCATACCGTAAACGATGAATGCTAAGTGTTGGAGGGTTTCCGCCCTTCAGTGCTGCAGCTAACGCATTAAGCATTCCGCCTGGGGGAGTACGGCCCGCAAGGCTGAAACTCAAAGGAATTGACGGGGGGCCCGCACAAGCGGTGGGAGCATGTGGGTTTAATTCAAAGCTACGCGAAGAAACCTTACCCAGGTTTTGACATACTAATGCAAATTCTAAAGAGATTAGAACGTTTCCCTTCCGGGGACATGGGATACCGGGTGGGTGCATGGGTTGGTCGTCAGCTTCGTGGTCGTGAGAATGTTTGGGTTTAAGTTCCCCGAAACGAGCGCAACCCTTATTATCAGTTGCCAGCATTAAGTTGGGCACTCTGGTGAGACTGCCGGTGACAAACCGGAGGAAGGTGGGGATGACGTCAAATCATCATGCCCCTTATGACCTGGGCTACACACGTGCTACAATGGATGGTACAACGAGTTGCGAACTCGCGAGAGTAAGCTAATCTCTTAAAGCCATTCTCAGTTCGGATTGTAGGCTGCAACTCGCCTACATGAAGTCGGAATCGCTAGTAATCGCGGATCAGCATGCCGCGGTGAATACGTTCCCGGGCCTTGTACACACCGCCCGTCACACCATGAGAGTTTGTAACACCCAAAGTCGGTGGGGTAACCTTTAGAACCAGCCGCCTAATGGCACCACCATGCG
【0030】
本発明による菌株は、セロトニン分泌増加、炎症性サイトカイン発現抑制、腸内有害菌の減少、および抗酸化作用からなる群より選択されるいずれか一つ以上の特性を示すことを特徴とする。
【0031】
また、本発明による菌株は、炭素源としてD-リボース、D-ガラクトース、D-グリコース、D-フルクトース、D-マンノース、マンニトール、ソルビトール、α-メチル-D-マンノシド、α-メチル-D-グルコシド、N-アセチル-グルコサミン、アミグダリン、アルブチン、エスクリン(esculin)、サリシン(salicin)、セロビオース、マルトース、ラクトース、メリビオース(melibiose)、スクロース、トレハロース、メレジトース(melezitose)、およびゲンチオビオースからなる群より選択されるいずれか一つ以上を用いることができる。
【0032】
また、本発明による菌株は、ロイシンアリールアミダーゼ、バリンアリールアミダーゼ、α-グルコシダーゼ、およびβ-グルコシダーゼからなる群より選択されるいずれか一つ以上の酵素活性を有する。
【0033】
本発明によるラクトバチルスプランタルムKBL396 KCTC13278BP菌株は、人体で毒性がなく安全で治療剤として否定的認識なく容易に接近できる長所と共に、従来の神経系疾患治療剤が有する副作用の危険なく神経系疾患の改善に優れた効果を示して産業的に非常に有用に使用できる。
【0034】
本発明の他の実施形態によれば、本発明は、ラクトバチルスプランタルムKBL396 KCTC13278BP菌株、前記菌株の培養物、前記菌株の破砕物、および前記菌株の抽出物からなる群より選択された1種以上を含む薬学組成物を提供する。
【0035】
本発明で用語、“培養物”は、乳酸菌を公知の培地で培養させて収得した産物を意味し、前記産物は乳酸菌を含むことができる。前記培地は、公知の液体培地または固体培地から選択でき、例えば、MRS液体培地、GAM液体培地、MRS寒天培地、GAM寒天培地、BL寒天培地であってもよいが、これに制限されるわけではない。本発明で用語、“破砕物”は、乳酸菌を酵素処理、均質化または超音波処理などで破壊された乳酸菌を意味する。また、本発明で用語、“抽出物”は、乳酸菌を公知の抽出溶媒で抽出して収得した産物を意味する。また本発明で用語、“生菌体”は本発明の新規な乳酸菌それ自体を意味し、“死菌体”は加熱、加圧または薬物処理などで殺菌処理された乳酸菌を意味する。
【0036】
本発明による薬学組成物は、神経系疾患の予防または治療に優れた効果を有し、腸内菌叢の回復、抗酸化効果、免疫調節効果などによって薬学組成物として優れた効果を示す。
【0037】
本発明の薬学組成物は、少なくとも一つ以上の薬学的に許容可能な賦形剤および/または凍結乾燥剤をさらに含むことができる。
【0038】
“薬学的に許容可能な”とは、生理学的に許容され人間に投与される時、通常深刻な胃腸障害、めまい、アレルギー反応またはこれと類似の反応を起こさないことをいう。
【0039】
本発明による組成物は、新規な乳酸菌以外に少なくとも一つ以上の薬学的に許容可能な賦形剤をさらに含むことができる。本発明の組成物に含まれる賦形剤としては、ラクトース、デキストロース、スクロース、ソルビトール、マンニトール、キシリトール、エリスリトール、マルチトール、デンプン、アラビアゴム、アルジネート、ゼラチン、カルシウムホスフェート、カルシウムシリケート、セルロース、メチルセルロース、微晶質セルロース、ポリビニルピロリドン、水、メチルヒドロキシベンゾエート、プロピルヒドロキシベンゾエート、タルク、マグネシウムステアレート、および鉱物油などを含むが、これに限定されない。
【0040】
本発明の組成物は、通常の方法によって経口投与のための剤形または非経口投与のための剤形に製剤化でき、製剤化する場合、通常使用する充填剤、増量剤、結合剤、湿潤剤、崩壊剤、界面活性剤、凍結保護剤などを使用して調製できる。
【0041】
本発明の組成物が経口投与のための固形製剤に製剤化された場合、錠剤、丸剤、散剤、顆粒剤、カプセル剤などを含み、このような固形製剤は有効成分に少なくとも一つ以上の賦形剤、例えば、デンプン、カルシウムカーボネート(Calcium carbonate)、スクロース(Sucrose)、ラクトース(Lactose)またはゼラチンなどを含むことができる。また、単純な賦形剤以外に、マグネシウムステアレート、タルクのような潤滑剤などを含むことができるが、これに限定されない。
【0042】
本発明の組成物が経口投与のための液状製剤に製剤化された場合、懸濁剤、内用液剤、乳剤、およびシロップ剤などを含み、よく使用される単純希釈剤である水、流動パラフィン以外に様々な賦形剤、例えば湿潤剤、甘味剤、芳香剤、保存剤などを含むことができるが、これに限定されない。
【0043】
本発明の組成物が非経口投与のための製剤に製剤化された場合、滅菌された水溶液、非水性溶剤、懸濁剤、乳剤、坐剤を含むことができる。非水性溶剤、懸濁溶剤としては、プロピレングリコール(Propylene glycol)、ポリエチレングリコール、オリーブオイルのような植物性油、エチルオレートのような注射可能なエステルなどを含むことができるが、これに限定されない。坐剤の基剤としては、ウィテプソール(witepsol)、マクロゴール、トゥイーン(tween)61、カカオ脂、ラウリン脂、グリセロゼラチンなどが使用できる。
【0044】
本発明の薬学組成物の有効成分である新規な乳酸菌などの含量は、組成物の具体的な形態、使用目的乃至様相によって多様な範囲で調整できる。本発明による薬学組成物において有効成分の含量は大きく制限されず、例えば、組成物総重量を基準にして0.01~99重量%、具体的に0.1~75重量%、より具体的に0.5~50重量%であってもよい。
【0045】
本発明で用いられる凍結保護剤は、凍結乾燥の間にプロバイオティク剤形を保存し、品質寿命(shelf-life)を向上させるために用いられる。本発明で使用された凍結保護剤は、一般的な糖類を含むことができる。糖類は、モノ-、ジ-、オリゴ-またはポリサッカリド、または少なくとも2つ以上のサッカリドの混合物であってもよい。
【0046】
例えば、スクロース、マルトース、マルトデキストリン、トレハロース、マンニトール、ソルビトール、イヌリン、グリセロール、DMSO、エチレングリコール、プロピレングリコール、2-メチル-2,4-ペンタンジオール、ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリグリセロール、脱脂乳、牛乳タンパク質、乳清タンパク質、ベタイン、アドニトール、ラクトースまたはそのある組み合わせからなる群より選択される凍結保護剤が使用できる。
【0047】
好ましくは、凍結保護剤として、スクロース、脱脂乳、およびソルビトールからなる群より選択されるいずれか一つ以上を含むことができる。より好ましくは、スクロース、脱脂乳、およびソルビトールを含むことができ、具体的に組成物総重量に対してスクロース2~20重量%、ソルビトール2~20重量%、および脱脂乳5~30重量%を含むことができる。凍結保護剤の添加によって凍結乾燥された乳酸菌は、顕著に増加した生存率、貯蔵安定性、耐酸性、および耐胆汁性を示すことができる。
【0048】
また、凍結乾燥させた本発明による組成物に、リボフラビン(riboflavin)、リボフラビンリン酸塩(riboflavin phosphate)またはその生理学的に許容可能な塩、グルタチオン(glutathion)、アスコルベート(ascorbate)、グルタチオン(glutathion)、およびシステインのような抗酸化剤の添加は、保管中の菌株の生存率をさらに増加させることができる。
【0049】
本発明のまた他の実施形態によれば、本発明は、ラクトバチルスプランタルムKBL396 KCTC13278BP菌株、前記菌株の培養物、前記菌株の破砕物、および前記菌株の抽出物からなる群より選択された1種以上を含む神経系疾患予防または治療用薬学組成物を提供する。
【0050】
本発明で用語“予防”は、本発明の薬学組成物の投与で神経系疾患の症状を抑制するか進行を遅延させる全ての行為を意味する。
【0051】
本発明で用語“治療”は、本発明の薬学組成物の投与で神経系疾患の症状を好転または有利に変更させる全ての行為を意味する。
【0052】
本発明において“神経系疾患”とは、神経系の病理に由来する全ての病像を含む。これにより、本発明は、神経、神経精神、精神、神経変性、神経退行と関連する急性および/または慢性の疾患に対する予防または治療を目的する。
【0053】
このような神経系疾患は、精神障害または神経変性疾患であり得る。
【0054】
精神障害の非制限的な例としては、ストレスによる緊張、不安、憂鬱症、気分障害、不眠症、妄想障害、強迫障害、偏頭痛、記憶障害、認知障害、注意力障害などが挙げられる。また、神経変性疾患の非制限的な例としては、パーキンソン病、ハンチントン病、アルツハイマー病、筋萎縮性側索硬化症(amyotrophic lateral sclerosis)、脊髄小脳委縮症(Spinocerebellar Atrophy)、トゥレット症候群(Tourette’s Syndrome)、フリードライヒ運動失調症(Friedreich’s Ataxia)、マチャド・ジョセフ病(Machado-Joseph’s disease)、認知症、ジストニア(Dystonia)、進行性核上性麻痺(Progressive Supranuclear Palsy)などが挙げられる。
【0055】
本発明による神経系疾患予防または治療用薬学組成物は、人体で毒性がなく安全で治療剤として否定的認識なく容易に接近できる長所と共に、従来神経系疾患治療剤が有する副作用の危険がなく神経系疾患の改善に優れた効果を示して産業的に非常に有用に使用できる。本発明による一具体例によれば、本発明の組成物は、セロトニン生合成を誘導して神経系疾患に対する予防、改善、および治療効果を有する。本発明のまた他の具体例によれば、本発明の組成物は、認知能力改善に卓越した効果を示す。本発明のまた他の具体例によれば、本発明の組成物は、ストレス環境で、緊張、憂鬱症、不安などの症状の改善に優れた効果を示す。本発明のまた他の具体例によれば、本発明の組成物は神経系の炎症反応を調節して神経系疾患の予防、治療、および改善に優れた効果を示す。本発明のまた他の具体例によれば、本発明の組成物は、炎症反応を調節することによって神経系疾患に優れた予防、改善、および治療効果を示す。本発明のまた他の具体例によれば、本発明の組成物は免疫不均衡による神経および脳での炎症反応を調節することによって神経系疾患に優れた予防、改善および治療効果を示す。
【0056】
本発明による薬学組成物の投与量は、薬剤学的に有効な量でなければならない。“薬学的に有効な量”は、医学的治療に適用可能な合理的な受益/危険比率で神経系疾患を予防または治療することに十分な量を意味する。有効容量水準は、製剤化方法、患者の状態、および体重、患者の性別、年令、疾患の程度、薬物形態、投与経路および期間、排泄速度、反応感応性などのような要因によって当業者によって多様に選択できる。有効量は、当業者に認識されているように処理の経路、賦形剤の使用、および他の薬剤と共に使用できる可能性によって変わり得る。しかし、好ましい効果のために、経口投与剤の場合、一般に成人に1日に体重1kg当り本発明の組成物を1日0.001~1000mg/kgで、好ましくは0.01~100mg/kgで投与することができる。
【0057】
前記のように投与剤を投与する場合、本発明のラクトバチルスプランタルムKBL396 KCTC13278BP菌株を1日1×10CFU/kg~1×1011CFU/kgで投与することができる。投与は、一日に1回投与することもでき、数回に分けて投与することもできる。前記投与量は、いかなる面にも本発明の範囲を限定するのではない。
【0058】
本発明による薬学組成物は、マウス、家畜、人間などの哺乳動物に多様な経路を通じて投与できる。具体的に、本発明の薬学組成物は、経口または非経口投与(例えば、塗布または静脈内、皮下、腹腔内注射)することができるが、経口投与が好ましい。経口投与のための固形製剤には、散剤、顆粒剤、錠剤、カプセル剤、軟質カプセル剤、丸剤などが含まれる。
【0059】
本発明の薬学組成物は特に、経口用単位剤形として、腸溶性被覆された腸溶性製剤として提供できる。本明細書での“腸溶性被覆”は、胃酸によっては分解されずに被覆が維持されるが、小腸では十分に分解されて活性成分が小腸内に放出されるようにする、薬剤学上許容可能な全ての種類の公知の被覆を含む。本発明の“腸溶被覆”は、pH1のHCl溶液のような人工胃汁を36℃~38℃で接触させる時、2時間以上そのまま維持され、好ましくは以後にpH6.8のKHPO緩衝溶液のような人工腸汁で30分以内に分解される被覆をいう。
【0060】
本発明の腸溶被覆は、1個のコア(core)に約16~30、好ましくは16~20または25mg以下の量で被覆される。本発明の腸溶被覆の厚さが5~100μm、好ましくは20~80μmである場合が、腸溶被覆として満足な結果を示す。腸溶被覆の材料は、公知の高分子物質のうちから適当に選択される。適当な高分子物質は、多数の公知文献(L.Lachman以外、The Theory and Practice of Industrial Pharmacy、3版、1986、pp.365~373;H.Sucker以外、Pharmazeutische Technologie、Thieme、1991、pp.355-359;Hagers Handbuchder pharmazeutischen Praxis、4版、Vol.7、pp.739~742、および766~778、(SpringerVerlag、1971);およびRemington’s Pharmaceutical Sciences、13版、pp.1689~1691(Mack Publ.、Co.、1970)に列挙されており、セルロースエステル誘導体、セルロースエーテル、アクリル樹脂のメチルアクリレート共重合体、およびマレイン酸およびフタル酸誘導体の共重合体がこれらに含まれ得る。
【0061】
本発明の腸溶被覆は、腸溶被覆溶液をコアに噴霧する通常の腸溶被覆法を使用して製造できる。腸溶被覆工程に使用される適当な溶媒としては、エタノールのようなアルコール、アセトンのようなケトン、ジクロロメタン(CHCl)のようなハロゲン化炭化水素溶媒であり、これら溶媒の混合溶媒を使用することもできる。ジ(di)-n-ブチルフタレートまたはトリアセチンのような軟化剤を1対約0.05~約0.3(コーティング材料対軟化剤)の比率で被覆溶液に添加する。噴霧過程を連続的に行うことが適切であり、被覆の条件を考慮して噴霧量を調節することが可能である。噴霧圧は多様に調節することができ、一般に約1~約1.5バー(bar)の噴霧圧で満足すべき結果が得られる。
【0062】
経口のための液状製剤としては、懸濁剤、内用液剤、乳剤、シロップ剤、エアゾールなどが該当し、よく使用される単純希釈剤である水、流動パラフィン以外に様々な賦形剤、例えば湿潤剤、甘味剤、芳香剤、保存剤などが含まれ得る。非経口投与のための製剤としては、それぞれ通常の方法によって滅菌された水溶液、液剤、非水性溶剤、懸濁剤、エマルジョン、点眼剤、眼軟膏剤、シロップ、坐剤、エアゾールなどの外用剤および滅菌注射製剤の形態に剤形化して使用できる。局所投与のための製剤は、臨床的処方によって無水型または水性型であってもよい。非水性溶剤、懸濁剤としては、プロピレングリコール(propylene glycol)、ポリエチレングリコール、オリーブオイルのような植物性油、エチルオレートのような注射可能なエステルなどが使用できる。
【0063】
本発明による神経系疾患予防または治療用薬学組成物は、神経系疾患の予防または治療効果を有する公知の有効成分を1種以上さらに含有することもできる。
【0064】
本発明のまた他の実施形態によれば、本発明は、ラクトバチルスプランタルムKBL396 KCTC13278BP菌株、前記菌株の培養物、前記菌株の破砕物、および前記菌株の抽出物からなる群より選択された1種以上を含む神経系疾患予防または改善用食品組成物を提供する。
【0065】
本発明による食品組成物は食品用または食品添加用組成物であるのを特徴とすることができるが、これに限定されるのではなく、神経系疾患予防または改善に効果がある食品、例えば、食品の主原料、副原料、食品添加剤、健康機能食品または機能性飲料として容易に活用することができる。
【0066】
前記食品とは、栄養素を一つまたはそれ以上含有している天然物または加工品を意味し、好ましくは、ある程度の加工工程を経て直接食べることができる状態になったものを意味し、通常の意味として、食品、食品添加剤、健康機能食品、および機能性飲料を全て含むものをいう。
【0067】
本発明による前記食品組成物を添加することができる食品としては例えば、各種食品類、飲料、ガム、お茶、ビタミン複合剤、機能性食品などがある。追加的に、本願発明で、食品には特殊栄養食品(例えば、調製乳類、嬰幼児食など)、食肉加工品、魚肉製品、豆腐類、ムク類、麺類(例えば、ラーメン類、そば類など)、パン類、健康補助食品、調味食品(例えば、醤油、味噌、コチュジャン、混合醤など)、ソース類、菓子類(例えば、スナック類)、キャンディ類、チョコレート類、ガム類、アイスクリーム類、乳加工品(例えば、発酵乳、チーズなど)、その他の加工食品、キムチ、漬物食品(各種キムチ類、漬物など)、飲料(例えば、果実飲料、野菜類飲料、豆乳類、発酵飲料類など)、天然調味料(例えば、ラーメンスープなど)を含むが、これに限定されない。前記食品、飲料または食品添加剤は、通常の製造方法で製造できる。
【0068】
前記健康機能食品とは、食品に物理的、生化学的、生物工学的手法などを用いて当該食品の機能を特定目的に作用、発現するように付加価値を付与した食品群や食品組成が有する生体防御リズム調節、疾病防止と回復などに関する体内調節機能を生体に対して十分に発現するように設計して加工した食品を意味する。前記機能性食品には食品学的に許容可能な食品補助添加剤を含むことができ、機能性食品の製造に通常使用される適切な担体、賦形剤、および希釈剤をさらに含むことができる。
【0069】
本発明で、前記機能性飲料とはのどの渇きを解消するか味を楽しむために飲むものの総称を意味し、指示された比率で必須成分として前記神経系疾患症状の改善または予防用組成物を含むこと以外に他の成分には特別な制限がなく、通常の飲料のように様々な香味剤または天然炭水化物などを追加成分として含有することができる。
【0070】
さらに、前述のもの以外に本発明の神経系疾患症状の改善または予防のための食品組成物を含有する食品は様々な栄養剤、ビタミン、鉱物(電解質)、合成風味剤および天然風味剤などの風味剤、着色剤および充填剤(チーズ、チョコレートなど)、ペクチン酸およびその塩、アルギン酸およびその塩、有機酸、保護性コロイド増粘剤、pH調節剤、安定化剤、防腐剤、グリセリン、アルコール、炭酸飲料に使用される炭酸化剤などを含有することができ、前記成分は独立的にまたは組み合わせて使用することができる。
【0071】
本発明の食品組成物を含有する食品において、前記本発明による組成物の量は全体食品重量の0.001重量%~100重量%で含むことができ、好ましくは1重量%~99重量%で含むことができ、飲料の場合、100mlを基準にして0.001g~10g、好ましくは0.01g~1gの比率で含むことができるが、健康および衛生を目的とするか健康調節を目的とする長期間摂取の場合には前記範囲以下であってもよく、有効成分は安全性面で何の問題もないため前記範囲以上の量で使用できるので、前記範囲に限定されるのではない。
【0072】
本発明の食品組成物は、少なくとも一つ以上の賦形剤および/または凍結乾燥剤をさらに含むことができる。
【0073】
本発明の食品組成物は、前記ラクトバチルスプランタルムKBL396菌株を独立的にまたは許容可能な担体に添加するか、人間または動物が摂取するに適した組成物形態に製造できる。即ち、他のプロバイオティク細菌を含有しない食品および既にいくつかのプロバイオティク細菌を含有した食品に添加されて使用できる。例えば、本発明の食品を製造することにおいて、本発明の菌株と共に使用可能な他の微生物は人間や動物が摂取するに適し、摂取時病原性有害細菌を抑制するかほ乳動物腸管内の微生物均衡を改善させることができるプロバイオティク活性を有するものであれば、特に制限されない。そのようなプロバイオティク微生物の例としては、サッカロミセス(Saccharomyces)、カンジダ(Candida)、ピチア(Pichia)およびトルロプシス(Torulopsis)を含む酵母(yeast)、アスペルギルス(Aspergillus)、リゾプス(Rhizopus)、ムコール(Mucor)、ペニシリン(Penicillium)などのようなカビおよびラクトバチルス(Lactobacillus)、ビフィドバクテリウム(Bifidobacterium)、ロイコノストック(Leuconostoc)、ラクトコッカス(Lactococcus)、バチルス(Bacillus)、ストレプトコッカス(Streptococcus)、プロピオニバクテリウム(Propionibacterium)、エンテロコッカス(Enterococcus)、ペディオコッカス(Pediococcus)属に属する細菌などがある。適当なプロバイオティク微生物の具体的な例としては、サッカロマイセスセレヴィシエ(Saccharomyces cerevisiae)、バチルスコアグランス(Bacillus coagulans)、バチルスリチェニホルミス(Bacillus licheniformis)、バチルスサブティリス(Bacillus subtilis)、ビフィドバクテリウムビフィダム(Bifidobacterium bifidum)、ビフィドバクテリウムインファンティス(Bifidobacterium infantis)、ビフィドバクテリウムロンガム(Bifidobacterium longum)、エンテロコッカスフェシウム(Enterococcus faecium)、エンテロコッカスフェカリス(Enterococcus faecalis)、ラクトバチルスアシドフィルス(Lactobacillus acidophilus)、ラクトバチルスアリメンタリウス(Lactobacillus alimentarius)、ラクトバチルスカゼイ(Lactobacillus casei)、ラクトバチルスカルバタス(Lactobacillus curvatus)、ラクトバチルスデルブルエッキイー(Lactobacillus delbrueckii)、ラクトバチルスジョンソニー(Lactobacillus johnsonii)、ラクトバチルスファルシミニス(Lactobacillus farciminis)、ラクトバチルスガセリ(Lactobacillus gasseri)、ラクトバチルスヘルベティカス(Lactobacillus helveticus)、ラクトバチルスラムノサス(Lactobacillus rhamnosus)、ラクトバチルスロイテリ(Lactobacillus reuteri)、ラクトバチルスサケイ(Lactobacillus sakei)、ラクトコッカスラクティス(Lactococcus lactis)、ペジオコッカスアシジラクチシ(Pediococcus acidilactici)などが挙げられる。好ましくは、優れたプロバイオティク活性を有しながら同時に神経系疾患改善効果に優れたプロバイオティク微生物混合菌を本発明の食品用組成物に追加的に含むことによって、その効果をさらに増進させることができる。本発明の食品用組成物に使用できる担体の例としては、増量剤、高繊維添加剤、カプセル化剤、脂質などであってもよく、このような担体の例は当業界に十分に公知されている。本発明のラクトバチルスプランタルムKBL396は、凍結乾燥されるかカプセル化された形態または培養懸濁液や乾燥粉末形態であってもよい。
【0074】
本発明のまた他の実施形態によれば、本発明はラクトバチルスプランタルムKBL396 KCTC13278BP菌株、前記菌株の培養物、前記菌株の破砕物、および前記菌株の抽出物からなる群より選択された1種以上を含む動物飼料用添加剤を提供する。
【0075】
本発明の動物飼料用添加剤は、少なくとも一つ以上の賦形剤および/または凍結乾燥剤をさらに含むことができる。
【0076】
本発明の動物飼料用添加剤は乾燥または液体状態の製剤形態であってもよく、前記ラクトバチルスプランタルムKBL396菌株以外に非病原性の他の微生物をさらに含むこともできる。添加できる微生物としては、例えば、タンパク質分解酵素、脂質分解酵素、および糖転化酵素を生産できるバチルスサブティリス(Bacillus subtilis)のような枯草菌、牛の胃のような嫌気的条件で生理的活性および有機物分解能を有するラクトバチルス(Lactobacillus)菌株、家畜の体重を増加させ牛乳の産乳量を増やし飼料の消化吸収率を高める効果を示すアスペルギルスオリゼー(Aspergillus oryzae)のような糸状菌(Slyter、L.L.J.Animal Sci.1976、43.910-926)およびサッカロマイセスセレヴィシエ(Saccharomyces cerevisiae)のような酵母(Johnson、D.E et al.J.Anim.Sci.、1983、56、735-739;Williams、P.E.V.et al、1990、211)などが使用できる。
【0077】
本発明の動物飼料用添加剤は、前記ラクトバチルスプランタルムKBL396以外に、一つ以上の酵素製剤をさらに含むこともできる。添加される酵素製剤は乾燥または液体状態が全て可能であり、酵素製剤としては、リパーゼ(lipase)のような脂肪分解酵素、フィチン酸(phytic acid)を分解してリン酸塩とイノシトールリン酸塩を作るフィターゼ(phytase)、デンプンとグリコーゲン(glycogen)などに含まれているα-1,4-グリコシド結合(glycoside bond)を加水分解する酵素であるアミラーゼ(amylase)、有機リン酸エステルを加水分解する酵素であるフォスファターゼ(phosphatase)、セルロース(cellulose)を分解するカルボキシメチルセルラーゼ(carboxymethylcellulase)、キシロース(xylose)を分解するキシラナーゼ(xylanase)、マルトース(maltose)を二つの分子のグルコース(glucose)で加水分解するマルターゼ(maltase)およびサッカロース(saccharose)を加水分解してグルコース-フルクトース(glucose-fructose)混合物を作る転化酵素(invertase)などのような糖生成酵素などが使用できる。
【0078】
本発明のラクトバチルスプランタルムKBL396菌株は動物飼料用添加剤として使用することにおいて、飼料用原料としては各種穀物および大豆蛋白をはじめとするピーナッツ、エンドウ、サトウダイコン、パルプ、穀物副産物、動物内臓粉および魚粉などが使用でき、これらは加工されないかまたは加工されたものを制限なく使用することができる。加工過程は、必ずしもこれに限定されるのではないが、例えば、飼料源料が充填された状態で加圧下に一定の排出口に圧縮される工程で、タンパク質の場合には変性されて利用性が増加する押出成形(extrusion)を使用するのが好ましい。押出成形(extrusion)は、熱処理過程を通じてタンパク質を変成させ抗酵素因子を破壊させるなどの長所を有する。また、大豆タンパク質のような場合には、押出成形を通じてタンパク質の消化率を向上させ、大豆に存在するタンパク質分解酵素の阻害剤の一つであるトリプシン阻害剤(trypsin inhibitor)のような抗栄養因子を不活性化させ、タンパク質分解酵素による消化率向上を増加させて大豆蛋白の栄養的価値を増加させることができる。
【0079】
本発明のまた他の実施形態で、本発明は、ラクトバチルスプランタルムKBL396 KCTC13278BP菌株、前記菌株の培養物、前記菌株の破砕物、および前記菌株の抽出物からなる群より選択された1種以上の治療学的に有効な量をこれを必要とする個体に投与する段階を含む神経系疾患の予防または治療方法を提供する。
【0080】
本発明において、用語“治療学的に有効な量(または、有効量)”は、好ましい効果を伝達するには非常に十分であるが、医学的判断範囲内で深刻な副作用を十分に防止する程度の適切な量を意味する。本発明の組成物によって体内に投与される微生物の量は、投与経路、投与対象を考慮して適切に調整できる。
【0081】
前記“投与”は、任意の適切な方法で個体に所定の本発明の薬学組成物を提供することを意味する。この時、個体は動物を言い、典型的に本発明の新規な乳酸菌を用いた治療に有益な効果を示すことができる哺乳動物であり得る。このような個体の好ましい例として、人間のような霊長類が含まれ得る。また、このような個体にはアレルギー疾患の症状を有するかこのような症状を有する危険がある個体が全て含まれ得る。
【0082】
本発明のまた他の実施形態で、本発明は、神経系疾患の予防または治療に使用するためのラクトバチルスプランタルムKBL396 KCTC13278BP菌株、前記菌株の培養物、前記菌株の破砕物、および前記菌株の抽出物からなる群より選択された1種以上を含む組成物を提供する。
【0083】
本発明のまた他の実施形態で、神経系疾患の予防または治療用薬剤を製造するためのラクトバチルスプランタルムKBL396 KCTC13278BP菌株、前記菌株の培養物、前記菌株の破砕物、および前記菌株の抽出物からなる群より選択された1種以上を含む組成物の用途を提供する。
【0084】
以下、実施例を通じて本発明をさらに詳しく説明する。これら実施例はひたすら本発明を例示するためのものであって、本発明の範囲がこれら実施例によって制限されると解釈されないことは当業界で通常の知識を有する者において自明なはずである。
【実施例
【0085】
実施例1.セロトニン生合成誘導能を有するプロバイオティク菌株のスクリーニング
多くの先行文献でセロトニンが神経系疾患、特に精神障害に主要な役割を担当すると報告されている。乳児および成人由来の糞便から分離した47種のプロバイオティク菌株(ラクトバチルス属19種、ビフィドバクテリウム属28種)およびプロバイオティクス製品として販売中であるラクトバチルスプランタルム種の2種菌株を用いてセロトニン生合成誘導能を評価した。セロトニン生合成誘導能は腸クロム親和性(enterochromaffin cell)細胞株であるRIN14Bに各菌株を処理しセロトニン生合成経路の律速酵素(rate-limiting enzyme)であるTPH-1(tryptophan hydroxylase-1)の発現が各菌株によってどれくらい促進されるかを観察して確認した。
【0086】
1-1.菌株の培養および培養液の準備
神経系疾患に有効な効果を示す新規菌株をスクリーニングするために、健康な韓国人男女成人あるいは乳児の糞便から分離した47種の候補乳酸菌を使用した。これら候補乳酸菌をそれぞれ0.5%システインを添加したMRS培地で培養し、24時間間隔で総2回の継代培養(subculture)を通じて活性化させた後、各菌株の代謝産物を含む培養液(culture supernatant)を実験に使用した。培養液を収得した後、遠心分離(13,000Xg、5分、4℃)して得られた上層液のpHを7.0に補正した後、0.22μm気孔大きさのフィルターを用いて滅菌し、使用前まで4℃で保管した。
【0087】
前記新規菌株スクリーニングに使用された乳酸菌株をそれぞれ、KBL346、KBL642、KBL342、KBL649、KBL351、KBL633、KBL663、KBL621、KBL647、KBL640、KBL646、KBL639、KBL402、KBL600、KBL591、KBL538、KBL501、KBL652、KBL662、KBL389、KBL613、KBL544、KBL391、KBL395、KBL648、KBL497、KBL384、KBL354、KBL500、KBL362、KBL612、KBL664、KBL397、KBL545、KBL363、KBL374、KBL375、KBL385、KBL665、KBL481、KBL381、KBL605、KBL383、KBL624、KBL585、KBL365、またはKBL396と命名した。上記菌株のうちのKBL346、KBL342、KBL351、KBL402、KBL389、KBL391、KBL395、KBL384、KBL354、KBL362、KBL397、KBL363、KBL374、KBL375、KBL385、KBL381、KBL383、KBL365、KBL396の19種の菌株はラクトバチルス属菌株と、KBL642、KBL649、KBL633、KBL663、KBL621、KBL647、KBL640、KBL646、KBL639、KBL600、KBL591、KBL538、KBL501、KBL652、KBL662、KBL613、KBL544、KBL648、KBL497、KBL500、KBL612、KBL664、KBL545、KBL665、KBL481、KBL605、KBL624、KBL585の28種の菌株はビフィドバクテリウム属菌株と確認された。
【0088】
また、商業的に販売中である製品であってラクトバチルスプランタルムPS128単一菌株から構成されたSolace(Oryx Biomedical Inc.、Fremont、CA、USA)製品とラクトバチルスプランタルム299v単一菌株から構成されたL.plantarum(Quest Vitamins Limited、Kingstone、Hereford、UK)製品をそれぞれ購入して、ラクトバチルスプランタルム菌株を候補乳酸菌と同一な過程の培養および活性化過程を経て培養液を収得して実験に使用した。
【0089】
1-2.RIN14B細胞株の培養
RIN14B(ATCC CRL-2059)細胞株は、37℃、5%CO条件で10%FBS、ペニシリン(100μg/ml)、ストレプトマイシン(100μg/ml)が添加されたRPMI 1640培地で培養し、3日に一回ずつ継代培養した。RIN14B細胞株を24ウェルプレートに4×10cells/ウェルずつ分注し、24時間培養した後、菌株培養液を処理した。
【0090】
1-3.菌株培養液の処理
実施例1-2で24ウェルプレートに分注しておいたRIN14B細胞株から培地を除去した後、PBS(500μl/ウェル)で1回洗浄した。その後、実施例1-1で準備した菌株培養液500μlを処理するか、陽性対照群としてセロトニン合成誘導能が報告されたデオキシコレート(deoxycholate)のpHを7.0に補正後フィルターで滅菌したMRS培地に希釈して最終濃度が25μMになるように500μl処理し、37℃、5%CO条件で1時間培養した後、細胞と上層液を収去してTPH-1(Tryptophan hydroxylase-1)酵素の発現量を確認した。
【0091】
1-4.qRT-PCR法によるTPH-1発現量測定
TPH-1(Tryptophan hydroxylase-1)の発現量を確認するために、Easy-spinTM Total RNA Extraction Kit(Intron)を使用して製造者方式によって実施例1-3で得られた細胞のRNAを抽出した。抽出したRNAでHigh-Capacity RNA-to-cDNATMKitを使用して製造者方式によってcDNAを合成した後、Rotor-Gene Q(QIAGEN)、Rotorgene SYBR Green PCRキットまたはQuantstudio 5(Thermofisher)、Power SYBR Green Master Mix(Applied Biosystems)を使用してqRT-PCR(quantitative Real-time Polymerase Chain Reaction)を行った。
【0092】
TPH-1発現量は下記表1に記載されたとおり、Tph-1 FおよびTph1 Rプライマーを使用するか、Tph-1A FおよびTph-1A Rプライマーを使用した測定値をRat B-actin FおよびRat B-actin Rプライマーで測定したβ-actin測定値対比相対発現量差で計算した(delta-delata CT analysis)。qRT-PCRに使用したプライマーと温度条件は、それぞれ下記表1および表2に整理した。
【0093】
【表1】
【0094】
【表2】
【0095】
上記条件下に行った実験結果を図1に示した。
【0096】
図1A(Rotor-Gene Q(QIAGEN)、Rotorgene SYBR Green PCRキット使用、Tph-1 FおよびTph1 Rプライマー)から分かるように、KBL396菌株を処理した群で、他の菌株を処理した群および25μMのデオキシコレートを処理した群に比べて最大2~4倍多くのTPH-1発現量を示した。
【0097】
また、商業的に利用可能なラクトバチルスプランタルム菌株と比較した結果を図1B(Quantstudio 5(Thermofisher)、Power SYBR Green Master Mix(Applied Biosystems)、Tph-1A FおよびTph-1A Rプライマー使用)に示した。図1Bのように、本発明による菌株であってKBL396菌株がTPH-1発現誘導能が優れたのを確認することができた(Q1、ラクトバチルスプランタルム299v;S1、ラクトバチルスプランタルムPS128)。
【0098】
前記結果を通じて正常的な韓国人成人女性の糞便から分離した菌株であって三星ソウル病院で臨床研究承認(IRB No.144-2011-07-11)下に供与者の同意を受けて採取した菌株であるKBL396菌株が優れたセロトニン合成誘導能を有するのを確認した。
【0099】
実施例2.KBL396菌株が含まれている飼料の製造および動物モデルへの飼料投与
実施例1を通じてKBL396菌株がセロトニン生合成に優れた効果を示すのをin vitroで確認したところ、KBL396菌株が生体内でも神経系疾患に優れた効果を示すか確認してみるために、前臨床試験で動物モデルを用いた実験を行おうとし、このためにKBL396菌株が含まれている飼料を製造し、これを動物モデルに投与した。
【0100】
2-1.飼料の製造
経口胃管栄養法(Oral gavage)の場合、実験動物に大きなストレスを招き、このようなストレスが実験結果の客観性に影響(bias)を与えることがあるため、動物モデルには前記菌株を混合して製造した飼料の形態で投与する実験を計画した。
【0101】
菌株の投与のために使用された飼料は、次のような方法で製造した。KBL396菌株はMRS培地で24時間培養して活性化させ、新たなMRS培地に1%接種して(v/v)24時間継代培養した。その後、培養液を6000rpm、4℃の条件で20分間遠心分離して上層液を捨てて、4℃ 1x PBSでペレット(pellet)をほぐした。この時、1x PBSは培養液体積の50%以上を入れて十分にほぐすことができるようにした。その後、前記と同一な条件で遠心分離し、洗浄(Washing)を2回繰り返した後、ペレットを1x PBSでほぐした(菌株濃縮液)。
【0102】
放射線滅菌された飼料を粉砕して粉末形態に作った後、予め準備した菌株濃縮液に混合してこねて、適当な大きさで作って-80℃で24時間凍らせた。その後、48-72時間凍結乾燥して使用前まで-80℃に保管した。飼料に含まれているKBL396菌株の量は飼料1g当り約1×10CFUになるようにし、対照群も同一な質量のPBS試料を混合して、菌株を混合して製造した飼料と同様な方法で製作し、-80℃に保管した。
【0103】
2-2.飼料の投与
‘PBSが含まれている飼料’および‘KBL396菌株が含まれている飼料’は製造後、-80℃に保管し毎日新しく取り出して毎日午前9時に提供し、C57BL/6マウス一匹当り3-5gの飼料を供給(週齢によってその量を増やした)した。飼料供給時、残った飼料は収去して飼料摂取量および菌株摂取量を計算した。飼料は28日以上投与しながら動物モデルを観察した。
【0104】
実施例3.KBL396菌株投与による認知能力改善効果(Y-MAZE実験)
28日間の菌投与以後、Y-maze実験を行ってKBL396菌株の認知能力改善効果を確認した。本発明で使用した動物モデルは、7週齢のC57BL/6マウスであって、PBS対照群、KBL396菌株処理群の二つのグループそれぞれ8匹で実験を行った。
【0105】
Y-MAZE実験は、動物モデルを用いた認知能力判断のために考案された行動実験である。実験にはY字形態の120°角度を成す3個の通路を構成し、各通路をA、B、Cに定めた後、一つの通路に実験動物を置いて8分間自由に動くようにした後、各通路に入った回数と順序を天井に設置されたカメラおよびこれに連結されたコンピュータプログラムで観察して記録した。この時、各通路に入った回数と順序は尾が完全に入った場合に限って記録し、繰り返して同一な枝通路に再び入った場合も記録した。3個の互いに異なる通路に順次に入った場合(実際変更、actual alteration)、即ち、ABC、CAB、BACなどの順に入った場合、1点ずつ付与し、%変更行動力(% alteration behavior)は以下の式によって計算した。
【0106】
%変更行動力=実際変更(actual alternation)/最高変更(maximum alternation)×100(最高変更:総入場回数-2)
【0107】
その結果を図2に示した。図2から分かるように、KBL396を投与した動物モデルでPBS対照群を投与した動物モデルに比べて有意に高い認知能力改善効果を示すのを確認することができた。
【0108】
実施例4.KBL396菌株投与による脳のセロトニン増加効果
KBL396菌株投与が脳のセロトニンを増加させることができるかを確認した。
【0109】
まず、脳組織のセロトニン生合成経路の律速酵素であるTPH-2(tryptophan hydroxylase-2)の量を酵素のmRNA量を通じて確認した。実施例3の動物モデルで得られた脳組織から実施例1-4と同様な方法によってRNAを抽出してcDNAを合成した。合成されたcDNAでRotor-Gene Q(QIAGEN)、Rotorgene SYBR Green PCRキットおよび次のTPH-2f、TPH-2rプライマーを使用してTPH-2の発現量を確認した。その他の実験条件およびGAPDH遺伝子発現量との比較を通じた結果の分析は実施例1-4と同様に行われた。
【0110】
TPH-2f:5’CAGTCCACGAAGATTTCGACTT3’(配列番号8)
TPH-2r:5’GCAAGACAGCGGTAGTGTTCT3’(配列番号9)
【0111】
前記条件下に行った実験結果を図3Aに示した。KBL396を投与した動物モデル(KBL396)でPBS対照群を投与した動物モデル(PBS)に比べて有意に高いTPH2遺伝子が発現されているのを確認して、セロトニン生合成が促進できるのを確認した。
【0112】
その次に、脳組織のセロトニン濃度を直接測定するために、enzyme-linked immunosorbent assay(ELISA)を実施した。実施例3の動物モデルから得られた脳組織にstainless steel bead(5mm、Qiagen)とT-PERTM Tissue Protein Extraction Reagent(Sigma)を入れてTissue lyser II(Qiagen)を使用して30hzの条件で10分間組織を破砕した。破砕された混合物で遠心分離を行って(4℃、11000G、15分)中間層の水溶性層を収得して分析に使用する前まで-80℃に保管した(‘水溶性試料’)。‘水溶性試料’のセロトニンの量を測定するためにSerotonin Ultrasensitive ELISA Assay Kit(Eagle biosciences)を用いて製造者方法により試料を準備してSpark 10M Microplate Reader(Tecan)を通じて分析した。
【0113】
測定されたセロトニン(5-HT)の分析結果を図3Bに示した。KBL396を投与した動物モデル(KBL396)で、PBS対照群を投与した動物モデル(PBS)に比べて二倍以上高濃度のセロトニン(5-HT)が測定されるのを確認して、KBL396菌株が脳のセロトニン濃度を実際に増加させるのを確認した。
【0114】
実施例5.KBL396菌株投与によるストレス回復力改善効果(社会的回避実験)
社会的回避実験(Social Avoidance Test)は、動物モデルを用いてストレスに対する影響を評価するために考案された行動実験である。本発明では、KBL396菌株のストレス露出に対する抵抗性増進効果を確認するために、マウスにストレスを誘発させた後、KBL396菌株投与による社会的回避実験を行った。
【0115】
まず、本発明で使用した動物モデルは、7週齢のC57BL/6マウスであって、PBS対照群、PBS+ストレス処理群、KBL396菌株処理群、KBL396菌株+ストレス処理群の四つのグループそれぞれ8匹で実験を行った。
【0116】
総4週(28日)間‘PBSが含まれている飼料’または‘KBL396菌株が含まれている飼料’を投与しマウスをストレスに露出させた。ストレスに露出される7日の期間にも、飼料は‘PBSが含まれている飼料’または‘KBL396菌株が含まれている飼料’を持続的に提供した。
【0117】
図4は、社会的攻撃(social defeat)によって動物モデルにストレスを誘発させるためのケージ(A)および社会的回避実験(social avoidance test)のための実験ボックスの模式図(B)である。マウスにストレスを誘発するためにC57BL/6マウスをCD-1マウスと中央に孔の空いたアクリル板から製作された透明な境界壁を挟んで同一のケージで生活するようにした。7日の期間中、一日に1回C57BL/6マウスを大きくて攻撃的なCD-1マウスの有る所に移し、CD-1マウスによって物理的攻撃を受けるようにした(Social defeat stress)。総5分間の攻撃が行われた後、C57BL/6マウスを既存に接触していない新たなCD-1マウスと透明な境界壁を挟んで互いに反対側で24時間生活するようにした。24時間、C57BL/6マウスはCD-1マウスの脅威に露出され攻撃者(aggressor)CD-1マウスの存在を持続的に認識するようになるので、社会的攻撃(Social defeat)時の物理的ストレス(physical stress)だけでなく、以後の精神的ストレス(mental stress)にも露出されるようにした。
【0118】
その後、ストレス露出による行動変化を評価するために社会的回避実験を行った。社会的回避実験は同一な行動実験ボックスで行い、総二セットで行った。一番目のセットでは、C57BL/6マウスをボックスの中間に置いて3分間自由に動くようにした。二番目のセットでは、CD-1マウスを隔離容器(removable enclosure)に閉じ込め、行動実験ボックスの一側面の中間に位置させた後、3分間C57BL/6マウスの行動を観察した。この時、物理的攻撃(Social defeat stress)に露出されたC57BL/6マウスはCD-1マウスの存在を確認すれば反対側コーナー(corner zone)に逃げて動かない行動様相を示し、C57BL/6がコーナー(corner zone)に留まる時間を測定して社会的回避程度を判断した。
【0119】
その結果を図5に示した。図5から分かるように、本発明のKBL396を投与したマウスでは、社会的攻撃ストレスを誘発した時(KBL396+STR)、社会的回避程度が顕著に改善されるのを確認することができた。
【0120】
実施例6.KBL396菌株投与による憂鬱症改善効果(尾懸垂実験)
実施例5で社会的攻撃ストレスを受けたC57BL/6マウスは憂鬱症類似行動(depressive-like behavior)を示し、これは学界に既に構築された憂鬱症マウスモデルである。本発明では、KBL396菌株の投与による憂鬱症改善効果を確認するために社会的攻撃ストレスを受けたC57BL/6マウスに尾懸垂実験(tail suspension test)を行った。
【0121】
具体的に、菌株の投与とストレス露出を通じた憂鬱症の誘導は実施例5の方法と同様に行い、社会的攻撃ストレスを受ける間にも菌株は同一に投与された。
【0122】
社会的攻撃ストレスを受けたC57BL/6マウスをそれぞれ分離された区域で尾端部から約1cm離れた部分に付着されたテープによって逆さにつるし、実験時間総6分中の最後4分間不動時間を測定した。不動状態は吊られた状態で何の動きもなく完全に止まっている状態を意味する。
【0123】
尾懸垂実験結果を図6に示した。図6から分かるように、憂鬱症が誘導された対照群(PBS+STR)に比べて、KBL396投与群(KBL396+STR)では同一なストレスに露出されたにもかかわらず、正常対照群と同一な水準に憂鬱症が回復されたのを確認することができた。
【0124】
以上の結果から、KBL396菌株の投与が認知能力改善効果およびストレスによる憂鬱症の予防および治療効果があるのが分かる。
【0125】
実施例7.KBL396菌株投与による脳の炎症反応調節効果
KBL396菌株投与による脳の炎症反応調節効果を確認するために、実施例5の動物モデルから得られた脳組織の総タンパク質を抽出、ELISAを行って炎症性サイトカインであるIL-1βの量を確認した。実施例5の動物モデル脳組織から実施例4と同様な過程で‘水溶性試料’を収得した。‘水溶性試料’のタンパク質濃度測定は、BCA Protein Assay Kit(Pierce、USA)を使用して製造者方法により行われた。IL-1βの量を測定するために、Mouse IL-1β ELISA kit(Sigma Aldrich)を用いて製造者方法により試料を準備して実施例4と同様な過程で分析した。
【0126】
測定されたIL-1βの分析結果を図7に示した。憂鬱症が誘導されたマウス(PBS+STR)の脳では正常マウス(PBS)の脳に比べて炎症性サイトカインであるIL-1βの濃度が増加したが、KBL396投与群(KBL396およびKBL396+STR)の脳ではストレス露出有無に関係なく正常対照群と類似の水準にIL-1βの濃度が維持されるのを確認することができた。
【0127】
実施例8.KBL396菌株投与によるストレス誘発免疫不均衡調節効果
CD4+T細胞は抗炎症、CD8+T細胞は炎症促進に寄与すると認識されており、これらの相対比であるCD4/CD8 T cell ratioの減少は感染抵抗性の減少および免疫老化のような免疫不均衡を招く。また、調節T細胞(regulatory T cells、Treg)は免疫系の過度な反応を防止するための免疫調節の役割を担当する。このようにT細胞によって調節される免疫の不均衡がもたらされる場合、炎症反応が現れるようになり、特に神経および脳での炎症反応は認知症など退行性脳疾患および憂鬱症などを誘発する可能性が高い。KBL396菌株が免疫調節に関与するT細胞にどのような影響を与えるか確認するために、実施例5のマウスの脾臓(spleen)組織および腸間膜リンパ節細胞でフローサイトメトリー(Fluorescence-activatedcellsorting、FACS)を行った。
【0128】
組織は、犠牲時10% inactivated FBSを含むRPMI1640培地に入れてiceに保管した。細胞の損失を防止するために、犠牲直後サンプリングした組織を70μm cell strainerに濾して単一細胞を得た後、trypan blueを通じて染色して生きている細胞の数を定量した。その後、1×10個の細胞を96wellに移した後、確認しようとする免疫マーカを標的とする蛍光抗体を付けた。ここに使用された免疫マーカはそれぞれ、FITC-conjugated anti-mouse CD3、PerCP-Cy5.5-conjugated anti-mouse CD4、PE-conjugated anti-mouse CD8、PE-conjugated anti-mouse FOXP3、APC-conjugated anti-mouse CD25 monoclonal antibodies(以上、eBioscience)である。その後、BD FACSVerseTM(BD bioscience)によって フローサイトメトリーを行い、Flowjo software(BD bioscience)を使用して免疫細胞を分析した。
【0129】
フローサイトメトリー結果を図8に提示した。ストレスに露出されたマウス(PBS+STR)は正常マウス(PBS)に比べて脾臓組織のCD4/CD8 T細胞比率が減少して炎症にぜい弱になったが、KBL396菌株を投与時、(KBL396+STR)比率が有意に回復するのを確認することができた(図8A)。また、腸間膜リンパ節の調節T細胞の量もストレス露出によって減少したが(PBS+STR)、KBL396菌株を投与時(KBL396+STR)ストレスを受けないマウスに同様に回復されるのを確認することができた(図8B)。したがって、ストレス露出による免疫不均衡がKBL396菌株投与によって緩和できるのを確認した。
【0130】
実施例9.KBL396菌株の炭素源利用能および酵素活性確認
ラクトバチルスプランタルムKBL396 KCTC13278BP菌株の生理学的特性のうちの炭素源利用性をAPI Kit(モデル名:API50 CHL;製造会社:BioMerieux’s、USA)による糖発酵試験で分析し、その結果を下記表3に示した。下記表3で、“+”は炭素源利用性が陽性である場合を示す。
【0131】
また、ラクトバチルスプランタルムKBL396 KCTC13278BP菌株の生理学的特性のうちの酵素活性をAPI Kit(モデル名:API-ZYM CHL;製造会社:BioMerieux’s、USA)による酵素活性実験で分析し、その結果を下記表4に示した。下記表4で、“+”は酵素活性がある場合を示す。
【0132】
【表3】
【0133】
【表4】
【0134】
実施例10.KBL396菌株の製剤
発酵器を稼動して確保したKBL396菌株を遠心分離機を用いて収穫した後、残った培地上層液を廃棄し、1X PBS(phosphate buffer saline)で洗浄することによって培養液の残余物を除去した。安定した凍結乾燥のための剤形(CPA)に脱脂乳、スクロースおよびソルビトール(剤形総重量に対してskim milk 11%+sucrose 4.29%+sorbitol 5.69%)で処理し、陰性対照群として1X PBSを処理して凍結乾燥を行った。遠心分離機で収穫した菌株は除去した上層液の20倍に濃縮して凍結保護剤(CPA)を処理し、overnight -80℃で24時間凍結した後、完了した菌株は2次にかけた細密粉砕を行って生存率を確認した。凍結乾燥時の生存率は凍結前と凍結乾燥後のCFU係数結果で確認した。
【0135】
その結果、図9のように、1X PBSを処理した結果、25.8%の生存率を示した反面、CPAを処理した時は95%の生存率を示して、凍結乾燥による生存率の明確な増加効果を確認することができた。
【0136】
ラクトバチルスプランタルムKBL396 KCTC13278BP菌株の受託情報
本発明の発明者らはラクトバチルスプランタルムKBL396 KCTC13278BPを2017年5月29日に公認寄託機関である韓国生物資源センター(住所:大韓民国56212全羅北道井邑市イプシンギル181、韓国生命工学研究院)に特許寄託してKCTC13278BPの受託番号の付与を受けた。
【0137】
以上のように、本発明を前記の実施例を通じて説明したが、本発明が必ずしもこれのみに限定されるのではなく、本発明の範疇と思想を逸脱しない範囲内で多様な変形実施が可能であるのはもちろんである。したがって、本発明の保護範囲は本発明に添付された特許請求の範囲に属する全ての実施形態を含むと解釈されなければならない。
【産業上の利用可能性】
【0138】
本発明によるラクトバチルスプランタルムKBL396(Lactobacillus plantarum KBL396)KCTC13278BP菌株、前記菌株の培養物、前記菌株の破砕物、および前記菌株の抽出物は人体で毒性がなくて安全であり治療剤として否定的認識なく容易に接近できる長所と共に、従来神経系疾患治療剤が有する副作用の危険がなく神経系疾患の改善に優れた効果を示し産業的に非常に有用に使用できる。
本開示は以下の実施形態を包含する。
[1] ラクトバチルスプランタルム(Lactobacillus plantarum)KBL396(KCTC13278BP)菌株。
[2] ラクトバチルスプランタルムKBL396(KCTC13278BP)菌株は、配列番号1で表される16s rDNA配列を含むものである実施形態1に記載の菌株。
[3] ラクトバチルスプランタルムKBL396(KCTC13278BP)菌株は、セロトニン分泌増加、炎症性サイトカイン発現抑制、腸内有害菌の減少、および抗酸化作用からなる群より選択されるいずれか一つ以上の特性を示すものである、実施形態1に記載の菌株。
[4] ラクトバチルスプランタルム(Lactobacillus plantarum)KBL396(KCTC13278BP)菌株、前記菌株の培養物、前記菌株の破砕物、および前記菌株の抽出物からなる群より選択された1種以上を含む薬学組成物。
[5] 前記薬学組成物は、神経系疾患の予防または治療用である、実施形態4に記載の薬学組成物。
[6] 前記神経系疾患は、精神障害または神経変性疾患である、実施形態5に記載の薬学組成物。
[7] 前記精神障害は、ストレスによる緊張、不安、憂鬱症、気分障害、不眠症、妄想性障害、強迫性障害、偏頭痛、記憶障害、認知障害、および注意力障害からなる群より選択されたいずれか一つ以上である、実施形態6に記載の薬学組成物。
[8] 前記神経変性疾患は、パーキンソン病、ハンチントン病、アルツハイマー病、筋萎縮性側索硬化症(amyotrophic lateral sclerosis)、脊髄小脳委縮症(Spinocerebellar Atrophy)、トゥレット症候群(Tourette’s Syndrome)、フリードライヒ運動失調症(Friedreich’s Ataxia)、マチャド・ジョセフ病(Machado-Joseph’s disease)、認知症、ジストニア(Dystonia)、および進行性核上性麻痺(Progressive Supranuclear Palsy)からなる群より選択されたいずれか一つ以上である、実施形態6に記載の薬学組成物。
[9] 少なくとも一つ以上の薬学的に許容可能な賦形剤および/または凍結乾燥剤をさらに含む、実施形態4に記載の薬学組成物。
[10] ラクトバチルスプランタルム(Lactobacillus plantarum)KBL396(KCTC13278BP)菌株、前記菌株の培養物、前記菌株の破砕物、および前記菌株の抽出物からなる群より選択された1種以上を含む神経系疾患の予防または改善用食品組成物。
[11] 少なくとも一つ以上の賦形剤および/または凍結乾燥剤をさらに含む、実施形態10に記載の食品組成物。
[12] ラクトバチルスプランタルムKBL396(KCTC13278BP)菌株、前記菌株の培養物、前記菌株の破砕物、および前記菌株の抽出物からなる群より選択された1種以上を含む動物飼料用添加剤。
[13] 少なくとも一つ以上の賦形剤および/または凍結乾燥剤をさらに含む、実施形態12に記載の動物飼料用添加剤。
[14] ラクトバチルスプランタルム(Lactobacillus plantarum)KBL396(KCTC13278BP)菌株、前記菌株の培養物、前記菌株の破砕物、および前記菌株の抽出物からなる群より選択された1種以上の治療学的に有効な量をこれを必要とする個体に投与する段階を含む、神経系疾患の予防または治療方法。
[15] 神経系疾患の予防または治療に使用するための、ラクトバチルスプランタルム(Lactobacillus plantarum)KBL396(KCTC13278BP)菌株、前記菌株の培養物、前記菌株の破砕物、および前記菌株の抽出物からなる群より選択された1種以上を含む組成物。
[16] 神経系疾患の予防または治療のための予防または治療用薬剤を製造するための、ラクトバチルスプランタルム(Lactobacillus plantarum)KBL396(KCTC13278BP)菌株、前記菌株の培養物、前記菌株の破砕物、および前記菌株の抽出物からなる群より選択された1種以上を含む組成物の使用。
【0139】
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
【配列表】
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