(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-14
(45)【発行日】2022-01-14
(54)【発明の名称】サーバ及びプログラム
(51)【国際特許分類】
H02J 3/00 20060101AFI20220106BHJP
H02J 13/00 20060101ALI20220106BHJP
H02J 7/00 20060101ALI20220106BHJP
【FI】
H02J3/00 170
H02J13/00 301A
H02J13/00 311T
H02J7/00 B
H02J7/00 P
(21)【出願番号】P 2021013693
(22)【出願日】2021-01-29
(62)【分割の表示】P 2017147959の分割
【原出願日】2017-07-31
【審査請求日】2021-01-29
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000208891
【氏名又は名称】KDDI株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100175824
【氏名又は名称】小林 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100114937
【氏名又は名称】松本 裕幸
(72)【発明者】
【氏名】長村 俊明
【審査官】田中 慎太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-136291(JP,A)
【文献】特開2012-157201(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 3/00
H02J 13/00
H02J 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
蓄電装置の充電計画を作成するサーバであって、
設備から供給される電力によって充電される蓄電装置に必要な充電量を充電する充電計画を作成する指示
であって、前記蓄電装置の充電スケジュールの複数の種類のうちいずれかの選択を含む指示を受信し、
前記蓄電装置の充電残量をもとに充電する電力量を算出し、
前記設備の電力消費履歴をもとに前記設備の推定消費電力量を算出し、
前記指示に基づき設定された前記設備の消費電力量
の上限しきい値から、所定時間毎の前記推定消費電力量を差し引いた電力量を、時間帯毎に充電する電力量として決定することにより、
前記蓄電装置の充電量が必要な電力量となるまでの充電計画を作成する
サーバ。
【請求項2】
前記蓄電装置とは、電気自動車であり、
前記必要な充電量は、前記電気自動車の走行距離の予測値に基づいて算出される
請求項1に記載のサーバ。
【請求項3】
前
記上限しきい値は、前記設備の電力契約に基づく所定時間毎の消費電力量の上限値または当該上限値に所定割合を乗じた電力量に基づいて定められている
請求項1又は請求項2に記載のサーバ。
【請求項4】
前記充電計画を作成する指示を、前記設備に関連付けられている端末装置から受信する
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のサーバ。
【請求項5】
前記蓄電装置の充電量が所要電力量に到達したことを、前記設備に関連付けられている端末装置に通知する
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載のサーバ。
【請求項6】
前記設備の実際の消費電力量に基づいて、前記蓄電装置の充電が開始された後に前記充電計画を更新する
請求項1から請求項5のいずれか一項に記載のサーバ。
【請求項7】
前記設備の実際の消費電力量と、前記推定消費電力量との乖離に基づいて、前記充電計画を更新する
請求項6に記載のサーバ。
【請求項8】
前記設備の消費電力量の取得時間間隔に基づく時間間隔によって、前記充電計画を作成する
請求項1から請求項7のいずれか一項に記載のサーバ。
【請求項9】
前記充電計画に基づく充電制御情報を前記蓄電装置に送信する
請求項1から請求項8のいずれか一項に記載のサーバ。
【請求項10】
蓄電装置の充電計画を作成するサーバを動作させるプログラムであって、
設備から電力が供給される充電器によって充電される蓄電装置に必要な充電量を充電する充電計画を作成する指示
であって、前記蓄電装置の充電スケジュールの複数の種類のうちいずれかの選択を含む指示を受信し、
前記蓄電装置の充電残量をもとに充電する電力量を算出し、
前記設備の電力消費履歴をもとに前記設備の推定消費電力量を算出し、
前記指示に基づき設定された前記設備の消費電力量
の上限しきい値から、所定時間毎の前記推定消費電力量を差し引いた電力量を、時間帯毎に充電する電力量として決定することにより、
前記蓄電装置の充電量が必要な電力量となるまでの充電計画を作成する
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、サーバ及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、タブレット端末などを用いて蓄電池への充電を管理する技術が知られている(例えば、特許文献1を参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この従来技術は、蓄電池を充電するために電力を供給した者に対して特典を付与して電力の供給を促すことにより、様々な場所での充電を可能にする。
ところで、この蓄電池を充電するための電力は、充電器を備える設備(一般家屋や商業施設など)に対して電力供給事業者から供給される商用電力によって賄われる場合がある。ここで、設備の管理者(例えば所有者)と電力供給事業者との間の電力供給契約において供給される電力の量に応じて電力料金の単価が定められている場合がある。例えば、単位時間あたりに供給される電力の量が多いほど、電力料金の単価が高額になるように定められる。
設備に供給される商用電力は、蓄電池を充電することにより消費されるだけではなく、設備が備える他の電気機器においても消費される。したがって、蓄電池に充電電力を供給する設備、すなわち電力供給元の電力消費の状況によっては、充電を行うと電力供給契約上の現在の上限値を超えてしまい、電力料金の単価が上昇することにより、より高額な電力料金の支払いが生じする場合がある。一例として、この蓄電池が電気自動車用の車載型大容量蓄電池である場合がある。この一例の場合、電気自動車の車載蓄電池を充電するためには大電力が必要になるため、電力供給契約上の上限値を超えやすくなる。
しかしながら、上述のような従来技術では、蓄電池を充電する際の電力消費の状況を把握することができないため、電力消費の状況によっては電力料金の単価が上昇してしまうことがある。つまり、上述のような従来技術では、電力料金の単価の変動を考慮した充電制御を行うことまではできないという問題があった。
【0005】
本発明は、電力料金の単価の変動を考慮した充電制御を行うことができる充電制御サーバ、充電制御システム及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一実施形態は、蓄電装置の充電計画を作成するサーバであって、設備から供給される電力によって充電される蓄電装置に必要な充電量を充電する充電計画を作成する指示であって、前記蓄電装置の充電スケジュールの複数の種類のうちいずれかの選択を含む指示を受信し、前記蓄電装置の充電残量をもとに充電する電力量を算出し、前記設備の電力消費履歴をもとに前記設備の推定消費電力量を算出し、前記指示に基づき設定された前記設備の消費電力量の上限しきい値から、所定時間毎の前記推定消費電力量を差し引いた電力量を、時間帯毎に充電する電力量として決定することにより、前記蓄電装置の充電量が必要な電力量となるまでの充電計画を作成するサーバである。
【0007】
本発明の一実施形態は、上述のサーバにおいて、前記蓄電装置とは、電気自動車であり、前記必要な充電量は、前記電気自動車の走行距離の予測値に基づいて算出される。
【0008】
本発明の一実施形態は、上述のサーバにおいて、前記上限しきい値は、前記設備の電力契約に基づく所定時間毎の消費電力量の上限値または当該上限値に所定割合を乗じた電力量に基づいて定められている。
【0009】
本発明の一実施形態は、上述のサーバにおいて、前記充電計画を作成する指示を、前記設備に関連付けられている端末装置から受信する。
【0010】
本発明の一実施形態は、上述のサーバにおいて、前記蓄電装置の充電量が所要電力量に到達したことを、前記設備に関連付けられている端末装置に通知する。
【0011】
本発明の一実施形態は、上述のサーバにおいて、前記設備の実際の消費電力量に基づいて、前記蓄電装置の充電が開始された後に前記充電計画を更新する。
【0012】
本発明の一実施形態は、上述のサーバにおいて、前記設備の実際の消費電力量と、前記推定消費電力量との乖離に基づいて、前記充電計画を更新する。
【0013】
本発明の一実施形態は、上述のサーバにおいて、前記設備の消費電力量の取得時間間隔に基づく時間間隔によって、前記充電計画を作成する。
【0014】
本発明の一実施形態は、上述のサーバにおいて、前記充電計画に基づく充電制御情報を前記蓄電装置に送信する。
【0015】
本発明の一実施形態は、蓄電装置の充電計画を作成するサーバを動作させるプログラムであって、設備から電力が供給される充電器によって充電される蓄電装置に必要な充電量を充電する充電計画を作成する指示であって、前記蓄電装置の充電スケジュールの複数の種類のうちいずれかの選択を含む指示を受信し、前記蓄電装置の充電残量をもとに充電する電力量を算出し、前記設備の電力消費履歴をもとに前記設備の推定消費電力量を算出し、前記指示に基づき設定された前記設備の消費電力量の上限しきい値から、所定時間毎の前記推定消費電力量を差し引いた電力量を、時間帯毎に充電する電力量として決定することにより、前記蓄電装置の充電量が必要な電力量となるまでの充電計画を作成するプログラムである。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、電力料金の単価の変動を考慮した充電制御を行うことができるサーバ及びプログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本実施形態の充電制御システムの機能構成を示す図である。
【
図2】本実施形態の充電制御システムによる消費履歴及び上限しきい値の生成の動作の一例を示す図である。
【
図3】本実施形態の電力消費状況情報の一例を示す図である。
【
図4】本実施形態の消費履歴の一例を示す図である。
【
図5】本実施形態の上限しきい値の一例を示す図である。
【
図6】本実施形態の消費履歴生成部が生成する上限しきい値の一例を示す図である。
【
図7】本実施形態の充電計画情報の生成の動作の一例を示す図である。
【
図8】本実施形態の端末装置の画面表示の一例を示す図である。
【
図9】本実施形態の端末装置の充電操作画面の一例を示す図である。
【
図10】本実施形態の充電指令の一例を示す図である。
【
図11】本実施形態の充電量情報の一例を示す図である。
【
図12】本実施形態の所要充電電力量の一例を示す図である。
【
図13】本実施形態の推定消費電力量の一例を示す図である。
【
図14】本実施形態の充電計画情報の一例を示す図である。
【
図15】本実施形態の充電の実行及び充電計画情報の更新の動作の一例を示す図である。
【
図16】本実施形態の充電開始後の消費電力量の推移の一例を示す図である。
【
図17】本実施形態の充電計画情報の更新の一例を示す図である。
【
図18】本実施形態の終了時刻指定モードの場合の充電指令の一例を示す図である。
【
図19】本実施形態の終了時刻指定モードの場合の充電計画情報の一例を示す図である。
【
図20】本実施形態の成り行きモードの場合の充電指令の一例を示す図である。
【
図21】本実施形態の利用者区分の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
[実施形態]
以下、図を参照して本実施形態の充電制御システム1について説明する。
図1は、本実施形態の充電制御システム1の機能構成を示す図である。充電制御システム1は、サーバ10と、端末装置20と、設備30と、蓄電装置40とが通信を行うことにより、設備30と蓄電装置40との間における充放電を制御する。
【0019】
設備30は、蓄電装置40に対して電力を供給する。蓄電装置40は、設備30から供給される電力によって充電される。この蓄電装置40とは、一例として、電気自動車用の車載型大容量蓄電池である。
この一例において、設備30とは、蓄電装置40の所有者の自宅である。設備30には商用電力が供給される。設備30は、スマートメーター310と、充電器以外の電気機器320と、充電器330とを備える。
【0020】
スマートメーター310は、供給される商用電力を充電器330と、充電器以外の電気機器320とに分配する。充電器以外の電気機器320とは、例えば冷蔵庫、電気温水器、エアコン、テレビなど、設備30に設置されている電気製品である。スマートメーター310は、充電器以外の電気機器320に対して供給する電力(以下、消費電力PCSとも記載する。)と、充電器330に対して供給する電力(以下、供給電力PCHとも記載する。)とをそれぞれ計測し、計測した電力の情報をサーバ10に出力する。スマートメーター310がサーバ10に出力する情報を、電力消費状況情報PCとも記載する。
充電器330は、蓄電装置40が接続されている場合、この蓄電装置40に供給電力PCHを供給する。
【0021】
蓄電装置40は、充電量情報出力部410と、充電制御部420と、開閉器440と、蓄電池450とを備える。
蓄電池450は、供給される電力を蓄電し、蓄電した電力を蓄電装置40の各部に供給する。
開閉器440は、充電制御部420の制御に基づいて開閉する。開閉器440は、蓄電池450に供給電力PCHが供給される導通状態(オン状態)と、蓄電池450に供給電力PCHが供給されない遮断状態(オフ状態)とを有する。
充電制御部420は、蓄電池450の充電を制御する。本実施形態の充電制御部420は、蓄電装置40に充電器330が接続されている場合において、蓄電池450を充電するか否かを開閉器440を開閉することにより制御する。つまり、充電制御部420は、外部の充電器330から供給される電力による蓄電池450の充電を制御する。
【0022】
なお、充電制御部420は、蓄電装置40と充電器330とが接続されているか否かを判定する。ここで充電制御部420は、種々の方法によって蓄電装置40と充電器330とが接続されているか否かを判定することができる。例えば、充電制御部420は、蓄電装置40に充電器330の充電ケーブルが接続されているか否かを判定してもよく、蓄電装置40の開閉器440に充電電力が供給されているか否かを判定してもよい。
また、充電制御部420は、充電指令CCに基づいて開閉器440をオン状態にした場合の充電電流の変化を監視することにより、蓄電池450に充電器330が接続されているか否かを判定してもよい。
【0023】
充電量情報出力部410は、サーバ10に対して充電量情報CHを出力する。充電量情報CHは、蓄電装置40の蓄電池450の充電の状態を示す。例えば、充電量情報CHとは、蓄電池450の充電残量、残電力量又は充電率を示す情報である。また、充電量情報CHには、蓄電池450の劣化状態を示す情報が含まれていてもよい。
【0024】
端末装置20は、例えばスマートフォン、タブレット、パーソナルコンピュータなどである。端末装置20は、操作検出部210と、指令出力部220とを備える。
操作検出部210は、例えばタッチパネル22を備えており、端末装置20の利用者による操作を検出する。
指令出力部220は、操作検出部210が検出する操作に基づく蓄電装置40の充電指令CCをサーバ10に対して出力する。
【0025】
サーバ10は、指令取得部110と、充電量情報取得部120と、電力消費状況情報取得部130と、消費履歴生成部140と、記憶部150と、充電計画生成部160と、充電制御情報生成部170と、充電制御情報出力部180とを備える。
【0026】
記憶部150は、消費履歴記憶部151と、しきい値記憶部152と、充電計画記憶部153とを備える。
【0027】
指令取得部110は、端末装置20の指令出力部220が出力する充電指令CCを取得する。
充電量情報取得部120は、蓄電装置40の充電量情報出力部410が出力する充電量情報CHを取得する。
電力消費状況情報取得部130は、設備30のスマートメーター310が出力する電力消費状況情報PCを取得する。この電力消費状況情報PCとは、設備30における供給電力PCHの状況と、消費電力PCSの状況とを示す情報である。
消費履歴生成部140は、電力消費状況情報PCが示す所定時間毎の電力の消費状況と、当該電力が消費されたタイミングを示す電力消費日時とに基づいて消費履歴HSを生成する。消費履歴生成部140は、生成した消費履歴HSを消費履歴記憶部151に記憶させる。
充電計画生成部160は、充電指令CCと、充電量情報CHと、消費履歴HSと、上限しきい値THとに基づいて、充電計画情報PLを生成する。充電計画情報PLとは、蓄電装置40の充電計画である。この充電計画情報PLは、充電器330による蓄電装置40の所定時間毎の充電に要する所要充電電力量RPと充電終了予定時刻Teとによって示される。充電計画生成部160は、生成した充電計画情報PLを充電計画記憶部153に記憶させる。
充電制御情報生成部170は、電力消費状況情報PCと、充電量情報CHと、指令出力部220が出力する充電指令CCとに基づいて、充電制御情報CNTを生成する。充電制御情報CNTとは、蓄電池450の充電を制御する情報として蓄電装置40に出力される情報である。
充電制御情報出力部180は、充電制御情報生成部170が生成する充電制御情報CNTを蓄電装置40の充電量情報出力部410に対して出力する。
【0028】
[充電制御システム1の動作]
次に、充電制御システム1の動作の一例について説明する。充電制御システム1の動作には、(1)消費履歴HS及び上限しきい値THの生成、(2)充電計画情報PLの生成、(3)充電の実行及び充電計画情報PLの更新がある。まず、(1)消費履歴HS及び上限しきい値THの生成について
図2、
図5及び
図6を参照して説明する。
【0029】
[(1)消費履歴HS及び上限しきい値THの生成]
図2は、本実施形態の充電制御システム1による消費履歴HS及び上限しきい値THの生成の動作の一例を示す図である。
(ステップS310)スマートメーター310は、設備30に供給される商用電力の消費状況を計測する。スマートメーター310は、計測した商用電力の消費状況を電力消費状況情報PCとしてサーバ10に対して出力する。
具体的には、スマートメーター310は、消費電力PCSと供給電力PCHとを計測する。スマートメーター310は、計測した消費電力PCS及び供給電力PCHを示す電力消費状況情報PCをサーバ10に対して出力する。ここで、充電器330に蓄電装置40が接続されていない場合には、供給電力PCHは発生しない。この場合、電力消費状況情報PCが示す電力は、消費電力PCSである。この消費電力PCSとは、設備30が備える電気機器のうち、充電器330以外の電気機器320が消費する電力である。つまり、スマートメーター310は、充電器330に蓄電装置40が接続されていない場合における電力消費状況情報PCをサーバ10に出力する。このスマートメーター310が出力する電力消費状況情報PCの一例について、
図3を参照して説明する。
【0030】
図3は、本実施形態の電力消費状況情報PCの一例を示す図である。スマートメーター310は、設備30の消費電力PCSを計測して、計測した消費電力PCSを所定時間(例えば30分)を単位にして積算することにより所定時間ごとの消費電力量を算出する。
スマートメーター310は、算出した消費電力量を電力消費状況情報PCとしてサーバ10に出力する。
この
図3に示す具体例では、スマートメーター310は、ある日の8時から8時30分までの消費電力PCSを積算して消費電力量PC01を算出し、算出した消費電力量PC01を電力消費状況情報PCとしてサーバ10に出力する。スマートメーター310は以降も同様にして、消費電力量PC02~消費電力量PC14を電力消費状況情報PCとしてサーバ10に順次出力する。
なお、スマートメーター310は、30分間隔に限らず、より短い時間間隔にして電力消費状況情報PCをサーバ10に出力してもよい。例えば、スマートメーター310は、消費電力PCSの積算を5分間間隔や10分間間隔にして消費電力量PC01を算出してもよい。
【0031】
図2に戻り、充電制御システム1の動作の説明を続ける。
(ステップS110)サーバ10の電力消費状況情報取得部130は、ステップS310において出力された電力消費状況情報PCを取得する。電力消費状況情報取得部130は、取得した電力消費状況情報PCを消費履歴生成部140に供給する。
(ステップS120)消費履歴生成部140は、電力消費状況情報取得部130から供給された電力消費状況情報PCに基づいて、消費履歴HSを生成する。消費履歴生成部140は、生成した消費履歴HSを消費履歴記憶部151に記憶させる。ここで、消費履歴HSの一例について
図4を参照して説明する。
【0032】
[消費履歴HSについて]
図4は、本実施形態の消費履歴HSの一例を示す図である。消費履歴生成部140は、スマートメーター310が計測した消費電力PCSに基づいて消費履歴HSを生成する。
この消費履歴HSには、消費電力PCSが計測された日付、曜日、時間帯と、計測された消費電力PCSの電力量とが対応付けられて記憶されている。したがって、サーバ10は、消費履歴HSを日付や曜日を検索キーにすることにより、例えば、1週間前の同曜日の電力の消費状況や、1年前の同日の電力の消費状況を検索することができる。
また、サーバ10は、消費履歴HSの検索結果に基づいて、設備30における電力の消費の傾向を導出してもよい。例えば、サーバ10は、設備30における過去1か月間の消費電力量の推移や設備30における季節ごとの消費電力量の変化の傾向などを導出する。
【0033】
(ステップS130)
図2に戻り、消費履歴生成部140は、消費履歴HSに基づいて上限しきい値THを生成する。この上限しきい値THについて
図5及び
図6を参照して説明する。
【0034】
[上限しきい値THについて]
図5は、本実施形態の上限しきい値THの一例を示す図である。
設備30に供給される商用電力について、電力供給事業者は供給契約を締結する。以下の説明において、この電力の供給契約のことを、電力供給契約とも記載する。この電力供給契約に基づいて、電力供給事業者は、設備30に供給される電力量に応じた料金を課金する。電力供給契約には、設備30に供給される単位時間当たりの電力量が既定の電力量を超えると、例えば電力料金の単価が高くなるなどの追加料金が発生する規定がなされているものがある。
上限しきい値THは、この追加料金が発生する電力量に基づいて定められる。ここで、上限しきい値THは、季節、曜日、時間帯毎に個別に定められてもよく、これら季節、曜日、時間帯などに関わらず一定にして定められてもよい。
【0035】
(1)上限しきい値THが季節、曜日、時間帯毎によって個別に定められる場合
電力供給契約の内容によっては、電力料金の単価が季節、曜日、時間帯毎によって個別に定められる場合がある。例えば、夏季は他の季節に比べて電力料金の単価が高かったり、休日や夜間は他の曜日や時間帯に比べて電力料金の単価が低かったりする場合がある。
この場合、消費履歴生成部140は、季節、曜日、時間帯などの区分毎に電力料金の単価に基づいて上限しきい値THを算出してもよい。例えば、消費履歴生成部140は、電力料金の単価が高い場合には上限しきい値THを比較的低くして算出する。
【0036】
(2)上限しきい値THが季節、曜日、時間帯毎に関わらず一定にして定められる場合
電力供給契約の内容によっては、消費電力の大きさに従った料金区分によって電力料金の単価が定められる場合がある。この場合、消費履歴生成部140は、設備30における消費電力の大きさが現在の料金区分を超えないようにして上限しきい値THを算出する。
【0037】
また、上限しきい値THは、電力供給契約の契約形態に基づいて定められる。この電力供給契約の契約形態の一例として(1)実量契約(スマートメーター契約)と、(2)主開閉器契約(ブレーカー契約)とがある。
【0038】
(1)実量契約(スマートメーター契約)
この電力供給契約においては、スマートメーター310によって計測された電力に基づいて、ピーク電力を算出する。具体的には、スマートメーター310が計測した電力の30分間の積算値を2倍した値について月間最大値を求め、その月間最大値をピーク電力とする。各月のピーク電力のうち、過去1年間において最も大きい値を「契約電力」とする。この契約電力に電力料金単価を乗じることにより基本料金が算出される。この電力供給契約においては当月のピーク電力が現在の契約電力を超えると、契約電力が当月のピーク電力によって更新される。したがって、当月のピーク電力が現在の契約電力を超えた場合、向こう1年間の契約電力が現在の契約電力よりも高くなる。つまり、当月のピーク電力が現在の契約電力を超えた場合には、向こう1年間の電力料金が比較的高額になる。なお、本実施形態において、上述の電力供給契約の形態を実量制ともいう。
実量契約の場合、消費履歴生成部140は、電力供給契約に基づく最大消費電力値(契約電力)に基づいて上限しきい値THを算出する。
【0039】
(2)主開閉器契約(ブレーカー契約)
この電力供給契約においては、設備30の受電盤に設置されている主開閉器(ブレーカー)の定格電流(契約電流)に応じた基本料金に基づいて電力料金が算出される。設備30での電力消費による電流(ピーク電流)の値が契約電流を超える場合には、より大きな定格電流の主開閉器を設置する必要がある。この電力供給契約においては、より大きな定格電流の主開閉器を設置する場合、電力料金が比較的高額になる。
主開閉器契約の場合、消費履歴生成部140は、電力供給契約に基づく主開閉器の定格電流値(契約電流)に基づいて上限しきい値THを算出する。
【0040】
なお、消費履歴生成部140は、電力供給契約の契約プラン情報を(外部から、あるいは、記憶部150から)取得することにより、上限しきい値THを算出してもよい。
【0041】
[上限しきい値THの算出]
図6は、本実施形態の消費履歴生成部140が生成する上限しきい値THの一例を示す図である。以下においては、電力供給契約が実量契約であって、上限しきい値THが時間帯毎によって個別に定められる場合を一例にして説明する。
この一例の場合、消費履歴生成部140は、追加料金が発生する電力量に基づいて単位時間(この一例では、30分間)毎に上限しきい値THを算出する。この場合、設備30において消費される30分間あたりの電力量が上限しきい値THを超えると、追加料金が発生する。すなわちこの場合、設備30において、30分間あたりに消費される電力量が上限しきい値THを超えないようにすることで、追加料金が発生することを避けることができる。
消費履歴生成部140は、算出した上限しきい値THをしきい値記憶部152に記憶させる。
【0042】
なお、この一例では消費履歴生成部140が上限しきい値THを算出するとして説明したが、これに限られない。例えば、上限しきい値THは予め定められていてもよいし、端末装置20の利用者の操作によって手動で設定されてもよい。
【0043】
[(2)充電計画情報PLの生成]
次に、
図7を参照して充電計画情報PLの生成について説明する。
図7は、本実施形態の充電計画情報PLの生成の動作の一例を示す図である。
【0044】
端末装置20の利用者は、設備30の充電器330に蓄電装置40を接続し、端末装置20に対して充電指令CCを出力させる操作を行う。端末装置20は、この操作を検出すると、充電指令CCを生成する。この端末装置20に対する操作の一例について、
図8及び
図9を参照して説明する。
【0045】
図8は、本実施形態の端末装置20の画面表示の一例を示す図である。この一例において、端末装置20は、ディスプレイ21とタッチパネル22とを備えている。ディスプレイ21には、画像PIC1から画像PIC3が表示される。この画像PIC1から画像PIC3とは、設備30の充電器330に接続される充電対象の機器を示す図である。また、ディスプレイ21には、画像PIC4から画像PIC6が表示される。画像PIC4とは、充電対象の機器の名称を示す画像である。画像PIC6とは、各充電対象についての充電指令画面を表示させる操作ボタンの画像である。
この一例において、端末装置20の利用者は、「EV1号車」について充電指令画面を表示させる。この場合、利用者は画像PIC1についての画像PIC6の位置をタップする。操作検出部210は、画像PIC6の位置に対するタップ操作を検出する。端末装置20は、このタップ操作の検出に応じて、
図9に示す画面を表示する。
【0046】
なお、端末装置20は、充電対象の機器(例えば蓄電装置40)の現在位置を示す画像PIC5を表示してもよい。蓄電装置40の現在位置は、既知の手段によって取得される。蓄電装置40がGPS(Global Positioning System)による位置特定手段を備える場合がある。この場合には、蓄電装置40は、GPSによって特定した自己の位置をサーバ10に通知する。
【0047】
図9は、本実施形態の端末装置20の充電操作画面の一例を示す図である。ディスプレイ21には、画像PIC7から画像PIC13が表示される。画像PIC7とは、現在の時刻を示す時計の画像である。画像PIC8とは、充電対象である「EV1号車」の予定行動先、つまり行先を選択する画像である。画像PIC9とは、充電開始予定時刻Tsを選択する画像である。画像PIC10とは、充電対象である「EV1号車」の予定出発時刻を選択する画像である。画像PIC11とは、充電計画モードを選択する画像である。
画像PIC12とは、充電対象への充電指令CCを出力するための操作ボタンの画像である。画像PIC13とは、充電対象への充電に関する各種情報を示す画像である。
この一例の場合、端末装置20の利用者は、現在時刻18時に翌朝の「EV1号車」の行動予定を選択し、充電指示の操作を行う。具体的には同図に示すように、利用者は「行き先:会社」「充電開始予定時刻:0:00」「出発時刻:6:00」「充電計画モード:最短時間」をそれぞれ選択し、「決定」ボタンをタップする。
すなわち、端末装置20の操作検出部210が検出する操作には、蓄電装置40の充電計画を指示するスケジュール指示操作が含まれている。
【0048】
なお上述したように、蓄電装置40の充電制御部420は、蓄電池450に充電器330が接続されているか否かを判定することができる。この場合、充電制御部420は、充電量情報CHとともに、蓄電池450に充電器330が接続されているか否かを示す接続情報をサーバ10に対して出力する。なお、この場合、充電制御部420は、蓄電装置40に備えられる無線通信モジュールを介してサーバ10との間の情報通信を行う。例えば、充電制御部420は、蓄電池450に充電器330が接続されているか否かを示す接続情報を、無線通信モジュールを介してサーバ10に出力する。また、例えば、充電制御部420は、サーバ10から無線通信モジュールを介して充電制御情報CNTを取得する。
充電制御部420は、サーバ10は、充電制御部420が判定した接続情報を端末装置20に出力する。
端末装置20は、この接続情報が蓄電池450に充電器330が接続されていないことを示す場合、ディスプレイ21に「充電ケーブルが接続されていません。」の文字を画像PIC11として表示させる。これにより、充電制御システム1は、端末装置20の利用者に対して、蓄電装置40が充電できない状況であることを通知することができる。
【0049】
[充電指令CCの充電計画モードについて]
上述した充電計画モードには、(1)最短時間モード、(2)終了時刻指定モード及び(3)成り行きモードがある。
【0050】
(1)最短時間モード
選択された出発時刻に関わらず、最短時間で充電が完了するように時間帯あたりの充電電力量を計画するモードである。最短時間モードが選択されると、充電計画生成部160は、上限しきい値THを超えないようにしつつ、時間帯あたりの充電電力量を比較的多くすることにより充電時間を短くするようにして充電計画を生成する。
【0051】
(2)終了時刻指定モード
選択された出発時刻までに充電が完了するように時間帯あたりの充電電力量を計画するモードである。充電計画生成部160は、出発時刻まで比較的多くの時間がある場合には、時間帯あたりの充電電力量を比較的少なくして充電計画を生成する。
【0052】
(3)成り行きモード
選択された出発時刻に関わらず、上限しきい値THに対して比較的多くの余裕をもって充電するようにして充電計画を生成する。この結果、充電終了予定時刻Teの延長や繰り上げが生じる場合がある。この場合には、充電計画生成部160は、端末装置20に対して変更後の充電終了予定時刻Teを通知してもよい。
【0053】
[充電指令CCの生成]
以下においては(1)最短時間モードが選択された場合を一例にして説明する。端末装置20は、
図9に示す「決定」ボタンがタップされると、利用者の選択結果に基づいて充電指令CCを生成する。この一例の場合、「行き先:会社」「充電開始予定時刻:0:00」「出発時刻:6:00」「充電計画モード:最短時間」が選択されている。
【0054】
図10は、本実施形態の充電指令CCの一例を示す図である。端末装置20は、選択された行き先に基づいて、EVの移動距離を算出する。例えば、設備30から会社までの距離が24kmである場合、端末装置20は、行先に「会社」が選択されると、24kmを移動距離として算出する。また、端末装置20は、「最短時間」が充電計画モードとして選択されている場合には、充電終了予定時刻Teを「最短」にする。
端末装置20は、充電計画モードを「最短時間」、充電開始予定時刻Tsを「0:00」、充電終了予定時刻Teを「最短」、移動距離を「24km」として充電指令CCを生成する。
なお、この一例では、端末装置20がEVの移動距離を算出するとして説明するがこれに限られない。例えば、サーバ10がEVの移動距離を算出してもよい。この場合、サーバ10には、設備30(例えば、自宅)の位置が予め記憶されている。サーバ10は、端末装置20からEVの行き先を示す情報を取得して、自宅から行き先までの距離をEVの移動距離として算出する。
【0055】
(ステップS210)
図7に戻り、端末装置20は上述のようにして生成した充電指令CCをサーバ10に対して送信する。
(ステップS140)サーバ10の指令取得部110は、ステップS210において送信された充電指令CCを取得する。
【0056】
この充電指令CCには、充電終了予定時刻Teを示す情報が少なくとも含まれている。
すなわち、指令取得部110は、蓄電装置40の充電終了予定時刻Teを示す情報が少なくとも含まれる充電指令CCを取得する。指令取得部110は、取得した充電指令CCを充電計画生成部160に供給する。
また、指令取得部110は、充電指令CCを取得すると、蓄電装置40に対して充電量情報CHの出力指令を送信する。
【0057】
(ステップS410)蓄電装置40の充電量情報出力部410は、サーバ10から充電量情報CHの出力指令を取得すると、充電量情報CHをサーバ10に対して送信する。この充電量情報CHの一例を
図11に示す。
【0058】
図11は、本実施形態の充電量情報CHの一例を示す図である。充電量情報出力部410は、蓄電池450の満充電量と現在の充電量とを充電量情報CHとしてサーバ10に出力する。この一例では、蓄電池450の満充電量が3200[Wh]であり、現在の充電量が1750[Wh]である。この一例の場合、蓄電池450の充電率は約55%である。
【0059】
(ステップS150)
図7に戻り、サーバ10の充電量情報取得部120は、ステップS410において送信された充電量情報CHを取得する。充電量情報取得部120は、取得した充電量情報CHを充電計画生成部160に供給する。
【0060】
なお、サーバ10は、取得した充電量情報CHを端末装置20に対して出力してもよい。この場合、端末装置20は、蓄電装置40の充電状態を示す画像(不図示)を表示する。すなわち、充電制御システム1は、蓄電装置40の充電状態を利用者の手元にある端末装置20に表示する。これにより充電制御システム1は、蓄電装置40がある場所に利用者が出向いて蓄電装置40の充電状態を確認する場合に比べて、利用者による確認の手間を低減することができる。
【0061】
(ステップS160)充電計画生成部160は、消費履歴記憶部151から消費履歴HSを取得する。
(ステップS170)充電計画生成部160は、しきい値記憶部152から上限しきい値THを取得する。
【0062】
(ステップS180)充電計画生成部160は、上述の各ステップにおいて取得した充電指令CCと、充電量情報CHと、消費履歴HSと、上限しきい値THとに基づいて充電計画情報PLを生成する。以下、充電計画情報PLの生成手順について順に説明する。
【0063】
[充電計画の対象期間]
充電計画生成部160は、充電指令CCが示す充電開始予定時刻Tsと充電終了予定時刻Teとに基づいて充電計画の対象期間を定める。
図10に示した一例の場合、充電計画生成部160は、0:00を充電開始予定時刻Tsと、以降の手順によって求められる充電終了予定時刻Teとの間を充電計画の対象期間として定める。
【0064】
[所要充電電力量RPの算出]
蓄電池450の充電に必要な電力量、すなわち所要充電電力量RPは、さまざまな手段によって算出可能である。
【0065】
(算出例1)充電計画生成部160は、蓄電池450の最大充電量と、現在の残充電量との差に基づいて所要充電電力量RPを算出する。この場合、算出される所要充電電力量RPは、蓄電池450を満充電にするために必要な電力量である。
(算出例2)充電計画生成部160は、蓄電池450の消費予定電力量に基づいて充電に必要な電力量を算出する。この算出例2の場合の所要充電電力量RPの算出一例について
図12を参照して説明する。
【0066】
図12は、本実施形態の所要充電電力量RPの一例を示す図である。充電計画生成部160は、充電指令CCに示される「EV1号車」の移動距離と、この「EV1号車」の1kWhあたりの走行距離とに基づいて、走行に必要な所要電力量を算出する。ここで、「EV1号車」の1kWhあたりの走行距離は予めサーバ10に記憶されている。この一例では、充電指令CCに示される移動距離が24kmであり、1kWhあたりの走行距離が8kmである。充電計画生成部160は、「EV1号車」の24kmの走行に必要な所要電力量を3000Whと算出する。
充電計画生成部160は、算出した所要電力量から充電量情報CHに示される現在の充電量を差し引き、所要充電電力量RPを算出する。この一例では、算出した所要電力量が3000Whであり、現在の充電量が1750Whである。充電計画生成部160は、所要充電電力量RPを1250Whと算出する。
【0067】
なお、蓄電装置40は、電動車両に限られない。例えば蓄電装置40が可搬型の電気調理機器(例えば、ホットプレート)である場合、調理内容が分かれば消費電力を算出することができる場合がある。この場合、充電計画生成部160は、ホットプレートによる調理内容を示す情報を利用者から取得し、必要な電力量を算出することにより、消費予定電力量を算出する。
【0068】
[消費電力量の推定]
次に消費電力量の推定について
図13を参照して説明する。
図13は、本実施形態の推定消費電力量の一例を示す図である。充電計画の生成時において、充電計画の対象期間は未来の期間である。このため充電計画生成部160は、消費履歴HSに基づいて充電計画の対象期間における消費電力量を推定することにより、上限しきい値THを超えないようにした充電計画を生成する。
この消費電力量の推定には(1)直近の消費電力PCSを考慮する場合と、(2)直近の消費電力PCSを考慮しない場合とがある。
【0069】
(1)直前の消費電力PCSを考慮する場合
例えば、充電計画生成部160は、充電計画情報PLの生成時直前(例えば、直前30分間)の消費電力PCSに基づいて推定消費電力量を算出する。
具体的には、充電計画生成部160は、充電計画情報PLの生成直前にスマートメーター310から電力消費状況情報PCを取得する。充電計画生成部160は、この時間帯に対応する他の日(例えば、前週)の同一時間帯の消費電力PCSを消費履歴HSから取得する。充電計画生成部160は、充電計画情報PLの生成直前の消費電力PCSと、この時間帯に対応する他の日の同一時間帯の消費電力PCSとを比較する。
充電計画生成部160は、直前の消費電力PCSのほうが、他の日(例えば、前週)の同一時間帯の消費電力PCSよりも低ければ、消費履歴HSに基づいて推定消費電力量を算出する。
一方、充電計画生成部160は、直前の消費電力PCSのほうが、他の日の同一時間帯の消費電力PCSよりも高ければ、その差分を消費履歴HSに加えることにより、推定消費電力量を算出する。
このように構成することにより、単に消費履歴HSに基づいて推定消費電力量を算出する場合に比べて、より精度よく推定消費電力量を算出することができる。
【0070】
(2)直前の消費電力PCSを考慮しない場合
充電計画生成部160は、消費履歴HSに基づいて推定消費電力量を算出する。この場合、充電計画生成部160は、充電計画情報PLの生成時と同一日時や同一曜日の消費電力量を消費履歴HSから取得して、推定消費電力量を算出する。また、充電計画生成部160は、消費履歴HSに記録されている消費電力量の統計値(例えば、平均や変動幅)などを求めることにより、推定の精度を高めてもよい。
【0071】
なお、いずれの場合にも、充電計画生成部160は、設備30の周囲の天候や気温など設備30の消費電力PCSに影響を及ぼす状況を示す情報を加味して推定消費電力量を算出してもよい。この場合、消費履歴HSには、設備30の周囲の天候や気温など設備30の消費電力PCSに影響を及ぼす状況を示す情報が、過去の履歴として記録されていてもよい。
【0072】
[判定しきい値THDについて]
次に判定しきい値THDについて説明する。判定しきい値THDは、上限しきい値THに基づいて定められる。一例として、判定しきい値THDは、上限しきい値THの70~90%の範囲に設定される。例えば、上限しきい値THが330[Wh]である場合に、判定しきい値THDは275[Wh]に定められる。上述したように、上限しきい値THは、電力供給契約に基づいて定められている。設備30において消費される電力量が、上限しきい値THを超えた場合には、追加の電力料金が発生することがある。このため、設備30において消費される電力量が、上限しきい値THを超える前の段階において上限しきい値THを超えそうであることを判定できれば、追加の電力料金が発生しなくて済む。
判定しきい値THDは、設備30において消費される電力量が、上限しきい値THを超えそうであることを判定するためのしきい値である。
【0073】
なお、判定しきい値THDの上限しきい値THに対する設定割合は、充電計画モードに基づいて定められてもよい。
(1)充電計画モードが「最短時間」の場合
充電計画生成部160は、判定しきい値THDの設定割合を比較的高く(例えば、上限しきい値THの90%)にする。この場合、時間帯あたりの充電電力量を比較的高くすることができるため、充電時間を短くすることができる。
(2)充電計画モードが「終了時刻指定」の場合
充電計画生成部160は、判定しきい値THDの設定割合を比較的低く(例えば、上限しきい値THの70%)にする。この場合、時間帯あたりの充電電力量が比較的低く抑えるため、仮に消費電力PCSが推定値よりも大きくなった場合であっても、消費電力が上限しきい値THを超えにくい。このため、充電計画情報PLの見直しを行わなくても計画通りの充電を行うことができ、充電終了時刻が予定よりも遅くなる状況を抑制できる。
【0074】
[時間帯毎充電電力量の算出]
図14は、本実施形態の充電計画情報PLの一例を示す図である。
充電計画生成部160は、上述した判定しきい値THDと推定消費電力量との差分に基づいて、時間帯毎充電電力量を算出する。ここで、時間帯毎の推定合計電力量は、時間帯毎の推定消費電力量と、時間帯毎充電電力量との和である。充電計画生成部160は、時間帯毎に、推定合計電力量が判定しきい値THDを超えないようにして、時間帯毎充電電力量を決定する。
充電計画生成部160は、時間帯毎充電電力量を積算した積算充電電力量が所要充電電力量RPに達する時刻を充電終了予定時刻Teとする。この一例においては、4:30から5:00の時間帯において積算充電電力量が所要充電電力量RPである1250[Wh]に到達する。この場合、充電計画生成部160は、5:00を充電終了予定時刻Teとする。
【0075】
なお、充電計画生成部160は、判定しきい値THDに対する推定合計電力量の余裕代(すなわち、時間帯毎の判定しきい値THDと推定合計電力量との差分の大きさ)を、消費電力量の推定精度に基づいて定めてもよい。例えば、消費電力量の推定精度が比較的高い場合には、判定しきい値THDに対する推定合計電力量の余裕代が小さくてもよい。一方、消費電力量の推定精度が比較的低い場合には、充電開始後の実際の消費電力量が判定しきい値THDを上回るおそれが大きくなる。
このため、充電計画生成部160は、消費電力量の推定精度が比較的高い場合には、判定しきい値THDに対する推定合計電力量の余裕代を小さくする。この場合、充電計画生成部160は、時間帯あたりの充電電力量を大きくすることができるため、充電時間を短縮することができる。また、充電計画生成部160は、消費電力量の推定精度が比較的低い場合には、判定しきい値THDに対する推定合計電力量の余裕代を大きくする。この場合、充電計画生成部160は、実際の消費電力量と推定値との乖離が大きくなったとしても、充電計画情報PLを見直さなくても済み、計画通りの充電を行うことができる。
【0076】
上述の手順により充電計画生成部160は、
図14に示す充電計画情報PLを生成する。充電計画生成部160は、生成した充電計画情報PLを充電計画記憶部153に記憶させる。
【0077】
なお、充電計画生成部160は、上限しきい値THに対する推定合計電力量の余裕代が少ない場合には、端末装置20に対して注意喚起を行ってもよい。この場合、充電計画生成部160は、余裕代と、充電器以外の電気機器320が動作した場合の消費電力PCSとを比較した結果に基づいて、注意喚起の内容を変更してもよい。例えば、消費電力量の比較的大きい電気機器320(例えば、電子レンジや電磁調理器、ドライヤーなど)が動作した場合の消費電力が、余裕代を上回る場合がある。この場合には、充電計画生成部160は、端末装置20に電気機器の名称を表示して、当該電気機器の動作によって、消費電力量が上限しきい値THを超えてしまうおそれがあることを通知する。
【0078】
また、スマートメーター310が、30分間隔ではなく、より短い時間間隔にして電力消費状況情報PCをサーバ10に出力する場合には、次のようにして充電計画情報PLを生成してもよい。例えば、例えば、スマートメーター310が、消費電力PCSの積算を10分間隔にして消費電力量PC01を算出する場合について説明する。この場合、充電計画生成部160は、消費電力量PC01を10分ごとに取得する。この消費電力量PC01とは、スマートメーター310が、消費電力を10分間分積算した値である。充電計画生成部160は、消費電力量PC01を取得すると、取得した消費電力量PC01の値を30分間分の積算値に換算する。例えば、充電計画生成部160は、取得した消費電力量PC01の値を3倍する。充電計画生成部160は、この換算した30分間分の積算値について、上限しきい値THに対する推定合計電力量の余裕代を算出する。
このように構成することにより、充電計画生成部160は、消費電力量を推定する時間間隔をより短くすることができるため、より精度が高い充電計画情報PLを生成することができる。
例えば、充電計画生成部160は、蓄電装置40に充電するか否かを10分間毎に区切って充電計画情報PLを生成する。この場合、充電計画生成部160は、30分間充電するか、30分間のうち10分間又は20分間充電するか、30分間充電しないか、のいずれかを選択して、充電計画情報PLを生成する。
【0079】
[(3)充電の実行及び充電計画情報PLの更新]
次に、
図15を参照して充電の実行及び充電計画情報PLの更新の動作について説明する。
図15は、本実施形態の充電の実行及び充電計画情報PLの更新の動作の一例を示す図である。
【0080】
(ステップS1110)充電制御情報生成部170は、充電計画記憶部153に記憶されている充電計画情報PLに基づいて、充電制御情報CNTを生成する。充電制御情報出力部180は、生成された充電制御情報CNTを蓄電装置40の充電制御部420に送信する。
(ステップS1410)充電制御部420は、ステップS1110において送信された充電制御情報CNTを取得する。
(ステップS1420)充電制御部420は、充電制御情報CNTに基づいて開閉器440の開閉状態を制御することにより、蓄電池450に対する充電を制御する。
(ステップS1430)充電量情報出力部410は、蓄電池450の充電状態を示す充電量情報CHを生成し、生成した充電量情報CHを介してサーバ10に送信する。
【0081】
(ステップS1320)スマートメーター310は、時間帯毎に電力消費状況情報PCをサーバ10に対して送信する。
(ステップS1120)電力消費状況情報取得部130は、スマートメーター310が送信する電力消費状況情報PCを取得する。電力消費状況情報取得部130は、取得した電力消費状況情報PCを充電計画生成部160に供給する。
【0082】
(ステップS1130)充電計画生成部160は、充電計画情報PLの生成時に算出した推定合計電力量と、ステップS1120において取得した電力消費状況情報PCが示す設備30の実際の消費電力量との差分の判定、すなわち予実乖離判定を行う。
なお、以下の説明において、充電計画生成部160は、充電計画情報PLを更新する。
充電計画生成部160を、充電計画更新部とも称する。
【0083】
[予実の乖離判定]
図16は、本実施形態の充電開始後の消費電力量の推移の一例を示す図である。充電計画生成部160は、設備30の消費電力PCSの実測値と供給電力PCHの実測値との合計が判定しきい値THDを超えているか否かを、時間帯毎に判定する。
図16に示す一例の場合、時間帯(0:30~1:00)において、推定消費電力量P0に対して、実測された供給電力PCHが、電力量P1分だけ大きい。このため、同時間帯の時間帯毎充電電力量P2が、電力量P2-1分だけ判定しきい値THDを超えている。この場合、充電計画生成部160は、時間帯(0:30~1:00)において、消費電力PCSの実測値と供給電力PCHの実測値との合計が判定しきい値THDを超えていると判定する。
なお、上述したように、充電計画生成部160が30分間ごとに判定するのは一例であって、より短い時間間隔(例えば、5分間隔や10分間隔)にして判定してもよい。
【0084】
(ステップS1140)充電計画生成部160は、充電計画情報PLの更新の要否を判
定する。充電計画生成部160は、ステップS1130において消費電力PCSの実測値と供給電力PCHの実測値との合計が判定しきい値THDを超えていないと判定した場合には、充電計画情報PLの更新不要と判定し(ステップS1140;NO)、処理をステップS1160に進める。一方、充電計画生成部160は、ステップS1130において消費電力PCSの実測値と供給電力PCHの実測値との合計が判定しきい値THDを超えていると判定した場合には、充電計画情報PLの更新要と判定し(ステップS1140;YES)、処理をステップS1150に進める。
【0085】
[充電計画情報PLの更新]
(ステップS1150)充電計画生成部160は、充電計画情報PLを更新する。この充電計画情報PLの更新について
図17を参照して説明する。
図17は、本実施形態の充電計画情報PLの更新の一例を示す図である。この充電計画情報PLの更新のパターンには(1)更新パターン1:充電終了予定時刻Teを変更しない場合と、(2)更新パターン2:充電終了予定時刻Teを変更する場合と、(3)更新パターン3:判定しきい値THDを変更して充電を継続する場合とがある。
【0086】
(1)更新パターン1:充電終了予定時刻Teを変更しない場合
充電計画生成部160は、判定しきい値THDを超過する分の電力量P2-1を他の時間帯に振り分ける。この一例において、充電計画生成部160は、電力量P2-1を複数の時間帯に振り分ける。例えば、充電計画生成部160は、時間帯1:00~1:30に電力量P3を、時間帯1:30~2:00に電力量P4を、時間帯2:00~2:30に電力量P5を、時間帯2:30~3:00に電力量P5をそれぞれ振り分ける。ここで、電力量P3~P5の合計値は、電力量P2-1に等しい。
この更新のパターン1は、判定しきい値THDに対する推定合計電力量の余裕代が比較的大きい場合に適している。
【0087】
(2)更新パターン2:充電終了予定時刻Teを変更する場合
充電計画生成部160は、充電終了予定時刻Teを充電終了予定時刻Te2に延長する。充電計画生成部160は、延長した時間帯において、判定しきい値THDを超過する分の電力量P2-1を充電するように充電計画情報PLを更新する。この一例において、充電計画生成部160は、電力量P2-1に相当する電力量P7を、延長した時間帯5:00~5:30において充電するように充電計画情報PLを更新する。
この更新のパターン2は、判定しきい値THDに対する推定合計電力量の余裕代が比較的小さく、更新のパターン1によっては計画が成立しない場合に適している。
【0088】
なお、充電終了予定時刻Teが端末装置20の利用者から指定されている場合において、充電終了予定時刻Teまでに充電が完了できないと予想される場合には、充電計画生成部160は、端末装置20にその旨を通知してもよい。この場合、端末装置20は、充電終了予定時刻Teの変更を承諾するか否かを選択するための画像を表示し、端末装置20の利用者に選択させてもよい。また、利用者が充電終了予定時刻Teの変更を承諾しない場合には、充電計画生成部160は、判定しきい値THDを無視して最短時間で充電するように充電計画情報PLを更新してもよい。
【0089】
(3)更新パターン3:判定しきい値THDを変更して充電を継続する場合
充電画生成部160は、判定しきい値THDを変更する。例えば、判定しきい値TH
Dが上限しきい値THに対して比較的低く設定されている場合がある。この場合には、消費電力PCSの実測値と供給電力PCHの実測値との合計が判定しきい値THDを超過してそのまま充電を継続したとしても、上限しきい値THにまでは達しない場合がある。この場合、充電計画生成部160は、判定しきい値THDの上限しきい値THに対する設定割合を高くするように変更して、この時間帯における充電を継続する。
【0090】
(ステップS1430)蓄電装置40の充電量情報出力部410は、充電量情報CHをサーバ10に対して送信する。
(ステップS1160)サーバ10の充電量情報取得部120は、ステップS1430において送信された充電量情報CHを取得する。充電量情報取得部120は、取得した充電量情報CHを充電計画生成部160に供給する。
【0091】
(ステップS1170)充電計画生成部160は、ステップS1160において取得された充電量情報CHが示す蓄電池450の現在の充電量が、所要電力量(例えば、
図12に示す3000Wh)に到達したか否かを判定する。充電計画生成部160は、蓄電池450の現在の充電量が、所要電力量に到達したと判定した場合(ステップS1170;YES)には、処理をステップS1180に進める。充電計画生成部160は、蓄電池450の現在の充電量が、所要電力量に到達していないと判定した場合(ステップS1170;NO)には、処理をステップS1110に戻す。
【0092】
[判定しきい値THDを超過した場合の充電制御]
充電制御情報生成部170、充電制御情報出力部180及び充電制御部420は、上述したステップS1110及びステップS1410を繰り返して、開閉器440の開閉状態を制御することにより、蓄電池450に対する充電を制御する。
充電制御情報生成部170は、ある時間帯において消費電力PCSの実測値と供給電力PCHの実測値との合計が判定しきい値THDを超過する場合
には、この時間帯において開閉器440をオフ状態に制御する。この場合、充電制御情報生成部170は、開閉器440をオフ状態に制御する充電制御情報CNTを生成する。充電制御報出力部180は、開閉器440をオフ状態に制御する充電制御情報CNTを充
電制御部420に送信する。これにより、開閉器440がオフ状態になり、蓄電池450に対する充電が一時的に停止される。
充電制御情報生成部170は、充電計画情報PLが示す次の時間帯になると、この時間帯が充電を行う時間帯であると計画されているか否かを、充電計画情報PLに基づいて判定する。充電を行う時間帯である場合、充電制御情報生成部170は、開閉器440をオン状態に制御する充電制御情報CNTを生成する。充電制御情報出力部180は、開閉器440をオン状態に制御する充電制御情報CNTを充電制御部420に送信する。これにより、開閉器440がオン状態になり、蓄電池450に対する充電が再開される。
【0093】
(ステップS1180)サーバ10は、充電が完了したことを端末装置20に通知して、一連の動作を終了する。
(ステップS1210)端末装置20は、サーバ10から充電が完了したことを通知されると、充電が完了したことを示す画像をディスプレイ21に表示して、一連の動作を終了する。
【0094】
[実施形態のまとめ]
以上説明したように、充電制御システム1は、充電制御情報CNTを、蓄電装置40の充電を制御する充電制御部420に対して出力する充電制御情報出力部180を備えている。この充電制御情報CNTは、充電計画情報PLと、電力消費状況情報PCとに基づいて所定時間毎に区切られて(すなわち時間帯毎に)生成されている。充電制御システム1は、所望の電力量を蓄電装置40に供給して蓄電池450を充電する。ここで、充電計画情報PLと電力消費状況情報PCとはいずれも所定の時間幅(上述の実施形態の一例においては30分間)毎に生成されている。この時間幅は、電力契約における料金算定の時間幅に対応している。この充電制御システム1は、この時間幅毎に区切られた充電計画情報PLに基づいて充電制御を行う。時間幅毎に設定された上限しきい値THを超えないように充電制御を行えば、電力料金の単価が上昇しないように消費電力を制御することができる。このように料金算定の時間幅に対応した充電計画情報PLに基づいて充電制御を行うことにより、充電制御システム1は、電力料金の単価の変動を考慮した充電制御を行うことができる。
また、充電制御システム1は、予め計画された充電計画情報PLに基づいて充電制御を行うため、充電の完了予定時刻を充電の開始前に利用者に通知することができる。
【0095】
また、充電制御システム1は、充電計画情報PLに基づく充電が開始された後に更新する充電計画更新部(上述の実施形態の一例においては、充電計画生成部160)を備える。このため、充電制御システム1によれば、予め計画された充電計画に対して、実際の電力消費状況が乖離した場合に、更新後の充電終了時刻を利用者に通知することができる。
【0096】
また、充電制御システム1は、充電計画更新部が、電力消費状況情報PCが示す所定時間毎の電力の消費状況が上限しきい値THを超える場合に充電計画情報PLを更新する。
ここで、上限しきい値THを超える場合には、上限しきい値THを超え得る状況が生じた場合をも含む。この充電計画更新部は、上限しきい値THを超えないようにして充電計画情報PLを更新する。したがって、充電制御システム1は、予め計画された充電計画に対して、実際の電力消費状況が乖離した場合であっても、電力料金の単価が上昇しないように消費電力を制御しつつ、充電を継続することができる。
【0097】
また、充電制御システム1は、充電計画更新部が、更新前の充電計画情報PLが示す充電終了予定時刻Teを変更することにより、充電計画情報PLを更新する。これにより、充電制御システム1は、充電を継続した場合に上限しきい値THを超え得る場合であっても、充電終了予定時刻Teを延長することにより所要量の充電を完了させることができる。また、充電制御システム1は、上限しきい値THに対して十分に余裕代がある場合には、充電終了予定時刻Teを短縮することにより、当初の計画よりも早く充電を完了させることができる。
【0098】
また、充電制御システム1は、充電計画更新部が、更新前の充電計画情報PLが示す所定時間毎の所要充電電力量RPを変更することにより、充電計画情報PLを更新する。これにより、充電制御システム1は、推定した消費電力量と、実際の消費電力量とが乖離した場合であっても、上限しきい値THを超えることなく充電を継続させることができる。
【0099】
また、充電制御システム1は、サーバ10が充電指令CCと、充電量情報CHと、消費履歴HSと、上限しきい値THとに基づいて充電計画情報PLを生成する充電計画生成部160を備えている。充電制御システム1は、消費履歴HSに基づいて充電計画を生成することができるため、電力料金の単価の変動を考慮した充電計画を精度よく生成することができる。また、充電計画生成部160が生成する充電計画情報PLの時間幅は、電力契約における料金算定の時間幅に対応している。料金算定の時間幅に対応した充電計画情報PLに基づいて充電制御を行うことにより、充電制御システム1は、電力料金の単価の変動を考慮した充電制御を行うことができる。
【0100】
また、充電制御システム1は、電力消費状況情報PCが示す所定時間毎の電力の消費状況と、当該電力が消費されたタイミングを示す電力消費日時とに基づいて消費履歴HSを生成する消費履歴生成部140を備えている。この消費履歴HSの時間幅は、電力契約における料金算定の時間幅に対応しているため、充電制御システム1は、電力料金の単価の変動を考慮した充電制御を行うことができる。また、消費履歴HSには、電力消費の日時を示す情報が含まれているため、充電制御システム1が電力消費を推定する際に、類似する電力消費パターンを有する過去の同じ曜日や日時における電力消費の状況を参照することができる。このため、充電制御システム1は、電力消費の推定をより精度よく行うことができる。
【0101】
また、充電制御システム1において、充電指令CCには、電動車両の走行に要する電力量を示す情報(例えば、走行予定距離)が含まれている。これにより、充電制御システム1は、所要充電電力量RPをこの走行予定距離に基づいて算出することができる。これにより、充電制御システム1は、充電時間を所要充電電力量RPに応じた時間にすることができる。例えば、蓄電池450の満充電量に対して所要充電電力量RPが少ない場合には、蓄電池450を満充電にするよりも短い時間で充電を終了させることができる。
【0102】
[充電計画モードの変形例(1):終了時刻指定モードの場合]
図18は、本実施形態の終了時刻指定モードの場合の充電指令CCの一例を示す図である。この場合、充電終了予定時刻Teについて「最短」ではなく時刻が指定される点で、上述した実施形態と異なる。この場合、端末装置20は、充電計画モードを「終了時刻指定」、充電開始予定時刻Tsを「0:00」、充電終了予定時刻Teを「6:30」、移動距離を「24km」として充電指令CCを生成する。
【0103】
図19は、本実施形態の終了時刻指定モードの場合の充電計画情報PLの一例を示す図である。充電計画生成部160は、終了時刻指定モードが選択されると、指定された充電終了予定時刻Teまでに充電が完了するようにした充電計画情報PLを生成する。この終了時刻指定モードによって生成される充電計画情報PLは、上述した最短時間モード(
図14)に比べ、時間帯毎の充電電力量が低く抑えられ、判定しきい値THDに対する余裕代が大きい。
【0104】
[充電計画モードの変形例(2):成り行きモードの場合]
図20は、本実施形態の成り行きモードの場合の充電指令CCの一例を示す図である。
この場合、充電終了予定時刻Teについて「最短」や「時刻指定」ではなく「指定なし」とされる点で、上述した実施形態と異なる。この場合、端末装置20は、充電計画モードを「終了時刻指定」、充電開始予定時刻Tsを「0:00」、充電終了予定時刻Teを「指定なし」、移動距離を「24km」として充電指令CCを生成する。
【0105】
充電計画生成部160は、成り行きモードが選択されると、判定しきい値THDに対して時間帯毎の充電電力量を抑えることにより余裕代を確保しつつ、所要電力量を充電するために必要な時間、つまり充電終了予定時刻Teを算出する。この場合、充電計画生成部160は、算出した充電終了予定時刻Teを端末装置20に通知してもよい。
【0106】
[変形例:放電制御]
また、これまで充電制御システム1が蓄電装置40の充電を制御する場合について説明した。蓄電装置40が外部に電力を供給可能な装置である場合には、充電制御システム1は、蓄電装置40の放電を制御してもよい。この場合、充電制御システム1は次のように構成される。
【0107】
端末装置20の操作検出部210が検出する操作には、蓄電装置40からの放電を指令する放電指令操作が含まれる。
端末装置20の指令出力部220は、操作検出部210が検出する放電指令操作に基づく蓄電装置40の放電指令DCをサーバ10に対して出力する。
蓄電装置40は、蓄電池450の放電を制御する放電制御部460(不図示)をさらに備える。
サーバ10の指令取得部110は、端末装置20が出力する放電指令DCを取得する。
放電制御情報生成部190(不図示)は、充電量情報CHと、電力消費状況情報PCと、充電指令CCとに基づいて、蓄電池450の放電を制御する放電制御情報を生成する。充電制御情報出力部180は、放電制御情報生成部190が生成する放電制御情報を蓄電装置40に対して出力する。
ここで、放電制御情報生成部190は、電力消費状況情報PCと、上限しきい値THとを比較することにより、蓄電池450の放電を制御してもよい。例えば、放電制御情報生成部190は、電力消費状況情報PCが示す設備30の消費電力が上限しきい値THを超えると判定した場合、蓄電池450の放電を行う。このように構成することにより、充電制御システム1は、設備30において消費電力が上昇し、消費電力が設備30の電力消費契約における上限値(例えば、上限しきい値TH)を超える状況になった場合に、蓄電装置40から設備30に対して電力を供給させることができる。これにより、充電制御システム1は、設備30の電力消費契約において定められた上限値を超えて電力消費が行われることを抑止することができる。
なお、上述の場合において、放電制御情報生成部190は、蓄電装置40の状況に応じて放電スケジュールを判定してもよい。例えば、蓄電装置40が電気自動車である場合に、放電制御情報生成部190は、電気自動車の現在位置、行動予定、充電計画に基づいて、放電の可否や放電電力量を判定してもよい。
また、放電制御情報生成部190は、蓄電装置40から放電させると判定した場合において、端末装置20に通知し、端末装置20の利用者による放電許可を求めてもよい。
【0108】
またこの変形例において、放電制御情報生成部190は、端末装置20の利用者毎に予め定められた利用者区分に基づいて、蓄電装置40に対する制御情報を生成してもよい。
この利用者区分の一例について、
図21を参照して説明する。
【0109】
図21は、本実施形態の利用者区分の一例を示す図である。この一例において、利用者区分とは、端末装置20の利用契約者が「親」であるか「子」であるかの区分である。端末装置20-1は、親機である。端末装置20-2は、子機である。この場合、充電制御システム1は、親機(端末装置20-1)に対して許可する操作と、子機(端末装置20-2)に対して許可する操作とを互いに異なるものにする。具体的には、充電制御システム1は、親機に対しては「充電指示」と「放電指示」とを許可する。この場合、親機は、充電指示と放電指示とを行うことができる。また、充電制御システム1は、子機に対しては「充電指示」を許可し「放電指示」を許可しない。この場合、子機は、充電指示を行うことができるが、放電指示を行うことができない。
この一例において「放電指示」とは蓄電装置40の蓄電量を減じる指示である。このため、複数の端末装置20に対して「放電指示」を許可しておくと、ある端末装置20の利用者が蓄電装置40を利用しようとした場合に、他の端末装置20の利用者によって既に放電指示がなされており蓄電装置40の利用ができない、という状況が生じうる。この変形例における充電制御システム1は、端末装置20に利用者区分を設けることにより、「放電指示」を行える端末装置20を限定することができる。これにより、充電制御システム1は、蓄電装置40に対する不用意な「放電指示」が行われてしまい、蓄電装置40を利用したいときに蓄電量が少なくて利用できないという状況が発生する程度を低減することができる。
【0110】
[他の変形例]
なお、サーバ10は、設備30の電力消費状況を設備30ごとに把握することができる。設備30の電力契約者と、端末装置20の利用者とが同一の者である場合には、サーバ10は、設備30の電力消費状況に基づく種々の情報を端末装置20に対して出力することにより、設備30の所有者に対して種々の情報を提供することができる。
例えば、サーバ10は、充電器330を備える設備30の電力供給契約の契約者(例えば、設備30の所有者)に対して、設備30の所定期間における電力消費量の平均値などの統計値を算出することにより、より適した(例えば、現在の電力供給契約よりも廉価な)電力契約プランを判定する。サーバ10は、判定した電力契約プランを端末装置20に提示させることにより、利用者に対して電力契約の見直しの契機を与えることができる。
【0111】
なお、サーバ10は、蓄電装置40に対する充電制御だけでなく、他の電気機器320に対する電力供給制御を行ってもよい。例えば、他の電気機器320として、ドライヤーや電気温水器など、消費電力が比較的高い機器に対して、サーバ10がその動作を制御できるように構成してもよい。
このように構成することにより、サーバ10は、他の電気機器320の動作よりも蓄電装置40に対する充電を優先させるように制御することが可能になる。
【0112】
以上、本発明の実施形態及びその変形を説明したが、これらの実施形態及びその変形は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態及びその変形は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態及びその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同時に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【0113】
なお、上述の各装置は内部にコンピュータを有している。そして、上述した各装置の各処理の過程は、プログラムの形式でコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記憶されており、このプログラムをコンピュータが読み出して実行することによって、上記処理が行われる。ここでコンピュータ読み取り可能な記録媒体とは、磁気ディスク、光磁気ディスク、CD-ROM、DVD-ROM、半導体メモリ等をいう。また、このコンピュータプログラムを通信回線によってコンピュータに配信し、この配信を受けたコンピュータが当該プログラムを実行するようにしてもよい。
【0114】
また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよい。
さらに、前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であってもよい。
【符号の説明】
【0115】
10…サーバ、110…指令取得部、120…充電量情報取得部、130…電力消費状況情報取得部、140…消費履歴生成部、150…記憶部、160…充電計画生成部、170…充電制御情報生成部、180…充電制御情報出力部、20…端末装置、210…操作検出部、220…指令出力部、30…設備、310…スマートメーター、330…充電器、40…蓄電装置、410…充電量情報出力部、420…充電制御部、440…開閉器、450…蓄電池