(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-14
(45)【発行日】2022-01-14
(54)【発明の名称】多重の接触点を備える発光ダイオードチップ構造
(51)【国際特許分類】
H01L 33/38 20100101AFI20220106BHJP
【FI】
H01L33/38
(21)【出願番号】P 2021045098
(22)【出願日】2021-03-18
【審査請求日】2021-03-18
(73)【特許権者】
【識別番号】511207730
【氏名又は名称】聯嘉光電股▲ふん▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110002262
【氏名又は名称】TRY国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】陳 復邦
(72)【発明者】
【氏名】黄 國欣
【審査官】小澤 尚由
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-113363(JP,A)
【文献】特開2016-62970(JP,A)
【文献】特開2013-48199(JP,A)
【文献】特開2012-182440(JP,A)
【文献】特開2015-43473(JP,A)
【文献】特開2006-128227(JP,A)
【文献】特開2003-46127(JP,A)
【文献】特開2004-71644(JP,A)
【文献】特開2012-253388(JP,A)
【文献】特開2013-26451(JP,A)
【文献】特開2013-41861(JP,A)
【文献】国際公開第2004/112157(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 33/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
P型電極と、
片側に前記P型電極が設けられた導電性基板と、
前記導電性基板の他側に設けられ、且つ前記導電性基板に設けられたP型半導体層と、前記P型半導体層に設けられた量子井戸層と、前記量子井戸層に設けられたN型半導体層とを含む発光半導体層と、
分散して前記N型半導体層に設けられ且つ前記N型半導体層にオーミック接触する複数のオーミック接触金属点と、
網状構造であって前記N型半導体層を覆う接続導電層であって、前記複数のオーミック接触金属点に電気的に接続され、前記接続導電層と前記N型半導体層との間にオーミック接触が形成されない前記接続導電層と、
前記接続導電層に設けられ、且つ前記接続導電層に電気的に接続された接点導電層と、
前記接点導電層に設けられ、且つ前記接点導電層に電気的に接続されたN型電極パッドとを含むことを特徴とする多重の接触点を備える発光ダイオードチップ構造。
【請求項2】
前記導電性基板は中央領域と、前記中央領域に隣接する側縁領域とを有し、前記発光半導体層は前記導電性基板の前記中央領域に設けられ、且つ前記N型半導体層及び前記導電性基板の前記側縁領域が絶縁層によって覆われ、前記接点導電層は前記導電性基板の前記側縁領域まで延伸し且つ前記絶縁層に設けられ、前記N型電極パッドは前記側縁領域の上方に位置することを特徴とする請求項1に記載の発光ダイオードチップ構造。
【請求項3】
前記N型電極パッドは前記N型半導体層の上方に位置することを特徴とする請求項1に記載の発光ダイオードチップ構造。
【請求項4】
前記N型電極パッドの厚さは2μmより大きく、且つ材料は金(Au)が使用されることを特徴とする請求項3に記載の発光ダイオードチップ構造。
【請求項5】
前記接続導電層の前記N型半導体層を覆う面積の割合は30%未満であることを特徴とする請求項1に記載の発光ダイオードチップ構造。
【請求項6】
前記接続導電層と前記接点導電層の全厚と線幅の比は2.0未満であることを特徴とする請求項1に記載の発光ダイオードチップ構造。
【請求項7】
前記接続導電層の縁部は閉鎖した幾何学的形状であることを特徴とする請求項1に記載の発光ダイオードチップ構造。
【請求項8】
前記接続導電層の材料には前記N型半導体層に非オーミック接触する導電性金属が選択されることを特徴とする請求項1に記載の発光ダイオードチップ構造。
【請求項9】
前記N型半導体層の前記接続導電層との接触面はイオン衝撃、P型拡散又はイオン注入によりパッシベーションが行われることを特徴とする請求項1に記載の発光ダイオードチップ構造。
【請求項10】
前記N型半導体層の前記接続導電層との接触面は膜堆積により絶縁材料を覆わせたことを特徴とする請求項1に記載の発光ダイオードチップ構造。
【請求項11】
前記複数のオーミック接触金属点の材料には前記N型半導体層にオーミック接触する導電性金属が選択されることを特徴とする請求項1に記載の発光ダイオードチップ構造。
【請求項12】
前記複数のオーミック接触金属点と前記N型半導体層との間に前記N型半導体層の外側に突出する電極反射面が設けられ、且つ前記導電性基板で前記発光半導体層に隣接する領域に導電性金属光反射層が設けられることを特徴とする請求項1に記載の発光ダイオードチップ構造。
【請求項13】
前記複数のオーミック接触金属点は前記N型半導体層におけるその設置位置によって面積が異なることを特徴とする請求項1に記載の発光ダイオードチップ構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光ダイオードに関し、特に多重の接触点を備える発光ダイオードチップ構造に関する。
【背景技術】
【0002】
図1及び
図2に示すように、垂直型発光ダイオード1は高効率の軸方向光を発するため、高動作電流と高照度が必要な場面に適する。垂直型発光ダイオード1の通常の構造設計は次の特徴を有する。電極パッド2は発光ダイオード1の上方に位置し、ワイヤーボンディングのために用いられ、一般には大電流でも流れるように太径の金線が使用される。且つ電流が垂直に半導体へ流れ且つ水平に金属を通るように二次ワイヤー3はフィンガー(Finger)状にして発光ダイオード1の上方に位置し、発光ダイオード1に二次ワイヤー3が多く設けられるほど、電流が効果的に分散され、遮光面積が増えてしまう。
【0003】
電極パッド2が発光ダイオード1の中心に形成された場合には、電流の分散効果が最良で、発光効率が高まるだけでなく、優れた放熱効果は得られる。垂直型発光ダイオード1の不動作のパターンとして次の2つが挙げられる。(1)発光は殆ど電極パッド2と二次ワイヤー3に集中するため不均一であり、局所で熱集中が生じると発光ダイオード1が常に不動作になる。(2)ワイヤーボンディングが発光ダイオード1の表面の電極パッド2に行われるため、発光ダイオード1のPN界面を傷つけるリスクがあり、良品率及び信頼性を低下させる。
【0004】
特許文献1は複数のコンタクトを用いた技術的解決手段を開示した。N電極が下方電極となり、側壁が絶縁で垂直の複数のコンタクトがP型半導体層、量子井戸層を通過し、N型半導体層内に延伸することで、動作電流がN型半導体層内に均一に分散され、パッケージ工程でワイヤーボンディングに用いるためにP電極に側縁が設けられる。このような設計では複数のコンタクトによって動作電流が最適に分散され、しかもパッケージ工程でワイヤーボンディング時に発光半導体層に衝撃が与えられずに済むため、前記垂直型発光ダイオード1の不動作の状況が改善される。しかし、当該構造は精度の高い多くのコンタクトを含み、その直径が一般に20~30μmであり、円柱の内壁に絶縁物質が薄くコーティングされ、円柱の中心層に高導電性金属が堆積される。当該構造は精度が高いものの脆弱性が高く、製造工程が複雑で、コストが高く、工程要件はハードルが高く、不良品の検出が難しく、とりわけ、例えば物理的な表面接触、パッケージ工程における変形応力など、外部から大きな応力がかかる場合に、コンタクトに亀裂が入ると部品がすぐに不動作になり、長期的に信頼性に影響がある。また、複数のコンタクトという設計は窒化物単結晶のフォトダイオードに実施しやすいが、リン化物又はヒ化物単結晶のフォトダイオードの場合は、化学的性質が不安定で且つより低い欠陥密度が求められるため、複数のコンタクトの実現が難しく欠陥密度が増えるリスクがあり好ましくない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は上記の実情に鑑みてなされたもので、電流が分散され遮光面積が減るように、多重の接触点を備える発光ダイオードチップ構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は多重の接触点を備える発光ダイオードチップ構造であって、P型電極と、導電性基板と、発光半導体層と、複数のオーミック接触金属点と、接続導電層と、接点導電層と、N型電極パッドとを含み、当該導電性基板の片側に当該P型電極が設けられ、当該発光半導体層は、当該導電性基板の他側に設けられ、且つ当該導電性基板に設けられたP型半導体層、量子井戸層及びN型半導体層を含み、当該量子井戸層は当該P型半導体層に設けられ、当該N型半導体層は当該量子井戸層に設けられる。
【0008】
当該複数のオーミック接触金属点は分散して当該N型半導体層に設けられ且つ当該N型半導体層にオーミック接触し、当該接続導電層は、網状構造であって当該N型半導体層を覆い、且つ当該複数のオーミック接触金属点に電気的に接続され、当該接続導電層と当該N型半導体層との間にオーミック接触が形成されない。当該接点導電層は、当該接続導電層に設けられ、且つ当該接続導電層に電気的に接続され、当該N型電極パッドは、当該接点導電層に設けられ、且つ当該接点導電層に電気的に接続される。
【発明の効果】
【0009】
本発明は従来技術と比べて次の利点を有する。接続導電層とN型半導体層との間にオーミック接触が形成されないため、動作電流がN型電極パッドから接点導電層を経由して接続導電層に入る場合は、直接N型半導体層に入る代わりに、接続導電層を経由して複数のオーミック接触金属点に伝わり、そして複数のオーミック接触金属点を経由してN型半導体層に入る。複数のオーミック接触金属点が分散してN型半導体層に設けられるため、電流が分散され、接続導電層は線幅が小さい網状構造であるため、遮光面積が減り、光透過率が向上する。また本発明は蛍光粉の塗布後、既存の光源と励起光の配光の均一性に役立つもので、ディスプレイのバックライトの使用上のニーズが満たされる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図3】
図3は本発明の第1実施例の構造の断面模式図である。
【
図4】
図4は本発明の第1実施例の構造の上面模式図である。
【
図5】
図5は本発明の第2実施例の構造の断面模式図である。
【
図6】
図6は本発明の第2実施例の構造の上面模式図である。
【
図7】
図7は本発明の第2実施例の電流拡散の模式図である。
【
図8】
図8は本発明の導電層の網状構造のサイズの模式図である。
【
図9】
図9は本発明の導電層の網状構造の実施の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
審査官が本発明の特徴、目的及び利点を一層把握した上でこれを認めるように、好ましい実施例を挙げ、図面を添えて説明する。
図3及び
図4は、本発明の第1実施例を示し、本発明は多重の接触点を備える発光ダイオードチップ構造であり、P型電極10と、導電性基板20と、発光半導体層30と、複数のオーミック接触金属点40と、接続導電層50と、接点導電層60と、N型電極パッド70とを含み、導電性基板20の片側にP型電極10が設けられ、発光半導体層30は導電性基板20の他側に設けられる。好ましい実施例では、導電性基板20で発光半導体層30に隣接する領域に導電性金属光反射層80が設けられ、且つ導電性基板20は緩衝層21と、結合層22と、代替基板23とを含んでもよく、発光半導体層30は(導電性金属光反射層80を介して)緩衝層21に設けられ、P型電極10は代替基板23におけるこの発光半導体層30から離れる一側に設けられ、結合層22は緩衝層21と代替基板23を接着して固定させる。発光半導体層30は導電性基板20の上方に設けられたP型半導体層31、量子井戸層32及びN型半導体層33を含み、量子井戸層32はP型半導体層31に設けられ、N型半導体層33は量子井戸層32に設けられる。
【0012】
複数のオーミック接触金属点40は分散してN型半導体層33(発光半導体層30)に設けられ且つN型半導体層33にオーミック接触し、接続導電層50は、網状構造であってN型半導体層33を覆い、且つ複数のオーミック接触金属点40に電気的に接続され、接続導電層50とN型半導体層33との間にオーミック接触が形成されない。より詳細に言えば、接続導電層50は水平方向において電流が流れやすいように、良好な導電性を有する金属で製造され、下方のN型半導体層33とは直接的に導通せず(その界面は非オーミック接触が特徴である)、複数のオーミック接触金属点40とのみ導通する。
【0013】
また、接点導電層60は、接続導電層50に設けられて接続導電層50を覆い、且つ接続導電層50に電気的に接続される。接点導電層60は導電性が高く安定性が高い金属であり、化学特性が安定的な金属が使用される。N型半導体層33が窒化物、リン化物又はヒ化物の垂直型チップである場合に、接点導電層60はAu、Pt、Al材料が使用されてもよい。
【0014】
N型電極パッド70は、接点導電層60に設けられ、且つ接点導電層60に電気的に接続される。一実施例では、N型電極パッド70はN型半導体層33の上方に位置し、ワイヤーボンディングによる遮光を避けるために、
図4に示すように、N型電極パッド70の設置位置はN型半導体層33の側方の領域にあることが好ましい。後続のパッケージのワイヤーボンディング工程でN型半導体層33への衝撃を低減させるために、N型電極パッド70の厚さは2μmより大きく、且つ材料は金(Au)が使用されるのが好ましい実施形態である。N型電極パッド70に厚くて展延性が優れた金を使用して衝撃力を吸収することで、N型半導体層33の損傷を避ける。
【0015】
図5及び
図6は、本発明の第2実施例を示し、第1実施例と比べて、導電性基板20は中央領域201と、中央領域201に隣接する側縁領域202とをさらに有し、発光半導体層30は導電性基板20の中央領域201に設けられ、且つN型半導体層33及び導電性基板20の側縁領域202が絶縁層90によって覆われ、絶縁層90にはSiO
2、SiN又はTiO
2などが使用されてもよく、接点導電層60は導電性基板20の側縁領域202まで延伸し且つ絶縁層90に設けられ、N型電極パッド70は側縁領域202の上方に位置する。このようにして、N型電極パッド70がN型半導体層33の上方に位置しないため、パッケージのワイヤーボンディング工程でN型半導体層33を傷つけることが避けられる。
【0016】
前記2つの実施例で、複数のオーミック接触金属点40は面積が小さく、形状が円形であることが好ましい。複数のオーミック接触金属点40の材料にはN型半導体層33にオーミック接触する導電性金属が選択され、N型半導体層33が窒化物N型半導体(N-GaN)である場合に、複数のオーミック接触金属点40としてCr、Al、Ti、ITOが選択されてもよく、N型半導体層33がリン化物N型半導体(N-(AlxGa(1-x))0.5In0.5P、x=0~1)である場合に、複数のオーミック接触金属点40としてGeAuが選択されてもよく、N型半導体層33がヒ化物N型半導体(N-(AlxGa(1-x))0.5As、x=0~1)である場合に、複数のオーミック接触金属点40としてNiGeAu、GeAu、Ti/Pt/Auが選択されてもよく、オーミック接触金属点40が当該N型半導体とオーミック接触を形成できる。
【0017】
接続導電層50は導電性材料であってN型半導体層33とオーミック接触が形成されず、実施上、少なくとも次のいくつかの形態が挙げられる。接続導電層50の材料にはN型半導体層33に非オーミック接触する導電性金属が選択されてもよい。例えば、N型半導体層33が窒化物N型半導体(N-GaN)である場合に、接続導電層50としてAu、Cu、Pt、Agが選択されてもよく、N型半導体層33がリン化物N型半導体N-(AlxGa(1-x))0.5In0.5P、x=0~1)である場合に、接続導電層50としてAu、Cu、Pt、Ag、Alが選択されてもよく、N型半導体層33がヒ化物N型半導体(N-(AlxGa(1-x))0.5As、x=0~1)である場合に、接続導電層50としてAu、Cu、Pt、Ag、Alが選択されてもよく、接続導電層50の材料上の特性によりN型半導体層33とオーミック接触が形成されない。
【0018】
あるいは、
図3又は
図5に示すように、窒化物、リン化物N型半導体であるかヒ化物N型半導体であるかに関らず、N型半導体層33の接続導電層50との接触面51にはいずれもイオン衝撃、P型拡散又はイオン注入によりパッシベーションが行われてもよく、接触面51に絶縁界面が形成されてN型半導体の特性が失われるとN型半導体層33とオーミック接触が形成されない。
【0019】
又は、N型半導体層33の接続導電層50との接触面51は膜堆積により絶縁材料を覆わせたものであり、窒化物、リン化物N型半導体であるかヒ化物N型半導体であるかに関らず、いずれもSiO2、SiN、TiO2、Al2O3、SiCなどが膜堆積で絶縁材料として使用されてもよく、同様に、絶縁界面が形成されるとN型半導体層33とオーミック接触が形成されない。
【0020】
図3、
図5及び
図7に示すように、複数のオーミック接触金属点40がN型半導体層33にオーミック接触し、且つ接続導電層50とN型半導体層33との間にオーミック接触が形成されない場合、(不図示の)動作電流がN型電極パッド70から接点導電層60を経由して接続導電層50に入る時は、直接N型半導体層33に入る代わりに、接続導電層50を経由して複数のオーミック接触金属点40に伝わり、そして複数のオーミック接触金属点40を経由してN型半導体層33に入る。したがって、オーミック接触金属点40ごとに電流拡散領域41が生成され、電流が効果的に分散される。
【0021】
図3又は
図5に示すように、発光ダイオードチップ構造の発光輝度を高めるために、複数のオーミック接触金属点40とN型半導体層33との間にN型半導体層33の外側に突出する電極反射面401が設けられてもよく、電極反射面401及び当該導電性金属光反射層の複数回の反射により光取出効率を高める。
【0022】
また
図8に示すように、接続導電層50のN型半導体層33を覆う面積の割合は30%未満であることが好ましく、接続導電層50の遮光面積を減らす。あるいは、接続導電層50及び接点導電層60の線幅Dを減らし、例えば1~10μmに限定するか、又は複数のオーミック接触金属点40の数量及び面積を減らすなどにより、遮光面積を減らすことができる。また動作電流のインピーダンスを低減するために、接続導電層50及び接点導電層60の断面積が大きい方が好ましく、接続導電層50及び接点導電層60の断面積は接続導電層50と接点導電層60の全厚Hと線幅Dの積であり、しかし線幅Dの幅を増やすと遮光面積が増えるため、接続導電層50と接点導電層60の全厚Hを増やすことが考えられ、全厚Hが大きすぎると形崩れが問題になる。より詳細に言えば、厚さHと線幅Dの比が0.5未満である場合には線幅が大きくて遮光の問題があり、比が2.0を超える場合には形崩れするリスクがある。したがって、接続導電層50と接点導電層60の全厚Hと線幅Dの比が1.0前後であることが好ましい。
【0023】
図9に示すように、接続導電層50は接点導電層60の下方に位置し接点導電層60によって遮蔽され、接続導電層50の網状構造の縁部は閉鎖した幾何学的形状であるのが好ましい実施形態であるが、これに限定されず、接続導電層50が複数のオーミック接触金属点40に電気的に接続されるものであればよい。接続導電層50の網状構造の縁部が閉鎖した幾何学的形状である場合に、分散経路が多くなり、且つ半導体工程で、対称な形状の方が製作はより効率的で実施しやすい。
図9に示すように、本発明の好ましい実施例では、複数のオーミック接触金属点40はN型半導体層33におけるその設置位置によって面積が異なり、より詳細に言えば、オーミック接触金属点40の位置によってその面積が実際のニーズに応じて変わる。例えば、大サイズ、中サイズ、小サイズの3種のサイズのオーミック接触金属点40A、40B、40Cを使用することができ、大サイズのオーミック接触金属点40AはN型半導体層33の中心領域に設けられてもよく、N型半導体層33の中心領域を流れる電流が多くなり、発光半導体層30の発光特性が満たされる。中サイズのオーミック接触金属点40Bは通常の状態で設けられ、小サイズのオーミック接触金属点40Cは電流分布を修正及び微調整して、使用上の実際のニーズを満たすために用いられる。また接続導電層50は六角形が互い違いにできたハニカムのような網状構造であってもよく、六角形が互い違いにできたハニカムのような網状構造は完全に閉鎖した幾何学的形状である上に、それによって囲まれた領域は周長と面積の比が小さく、六角形の頂点にいずれもオーミック接触金属点40が設けられてもよく、電流均一化のニーズが満たされる。
【0024】
上述した内容から分かるように、本発明は少なくとも次の特徴を有する。
1.接続導電層とN型半導体層との間にオーミック接触が形成されず、複数のオーミック接触金属点とN型半導体層との間にオーミック接触が形成されること、及び複数のオーミック接触金属点が分散して設計されることを利用して、電流が効果的に分散され、発光が均一になるだけでなく、局所の熱集中が避けられ、部品の信頼性が向上する。
【0025】
2.本発明は、電流を分散させることにより、発光が均一になるという特性があり、窒化物白光LEDに用いる場合に、均一な青色発光が得られ、蛍光粉の励起後の光混合の均一性に役立つ。
【0026】
3.N型電極パッドはN型半導体層になく側縁領域の上方に位置し、パッケージのワイヤーボンディング工程時にN型半導体層を傷つけることが避けられ、且つパッケージ工程時はワイヤーボンディングにおいてN型半導体層が引っ張られて亀裂が入るか分離させられるリスクはない。
【0027】
4.接続導電層と接点導電層の全厚と線幅の比を2.0未満に限定して、接続導電層及び接点導電層の遮光面積を最大限に減らし、電流のインピーダンスを最小にし、さらに電極反射面及び導電性金属光反射層の設計を利用して、2回の斜め反射により光の吸収を減らす。
【0028】
5.本発明は製造工程が簡単で十分な構造強度を有するため窒化物、リン化物、ヒ化物などの半導体材料に適し、様々な分野で所望の信頼性が満たされる。
【符号の説明】
【0029】
1 発光ダイオード
2 電極パッド
3 二次ワイヤー
10 P型電極
20 導電性基板
201 中央領域
202 側縁領域
21 緩衝層
22 結合層
23 代替基板
30 発光半導体層
31 P型半導体層
32 量子井戸層
33 N型半導体層
40 オーミック接触金属点
40A オーミック接触金属点
40B オーミック接触金属点
40C オーミック接触金属点
401 電極反射面
41 電流拡散領域
50 接続導電層
51 接触面
60 接点導電層
70 N型電極パッド
80 導電性金属光反射層
90 絶縁層
H 全厚
D 線幅
【要約】 (修正有)
【課題】電流が分散され遮光面積が減る発光ダイオードチップ構造を提供する。
【解決手段】多重の接触点を備える発光ダイオードチップ構造であって、P型電極10と、導電性基板20と、発光半導体層30と、複数のオーミック接触金属点40と、接続導電層50と、接点導電層60と、N型電極パッド70とを含み、複数のオーミック接触金属点は分散して発光半導体層のN型半導体層33に設けられ且つN型半導体層にオーミック接触し、接続導電層は、網状構造であってN型半導体層を覆い、且つ複数のオーミック接触金属点に電気的に接続され、接続導電層とN型半導体層との間にオーミック接触が形成されず、接点導電層は接続導電層に電気的に接続され、N型電極パッドは接点導電層に電気的に接続される。このようにして、分散して設けられた複数のオーミック接触金属点及び網状構造の接続導電層が、電流を分散させる。
【選択図】
図3