(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-15
(45)【発行日】2022-01-14
(54)【発明の名称】高強度軽質スラリー及びその調製方法
(51)【国際特許分類】
C09K 3/00 20060101AFI20220106BHJP
C09D 133/02 20060101ALI20220106BHJP
C09D 7/20 20180101ALI20220106BHJP
C09D 7/61 20180101ALI20220106BHJP
C09D 7/63 20180101ALI20220106BHJP
C09K 23/38 20220101ALI20220106BHJP
C09K 23/52 20220101ALI20220106BHJP
【FI】
C09K3/00 105
C09D133/02
C09D7/20
C09D7/61
C09D7/63
B01F17/38
B01F17/52
(21)【出願番号】P 2020152260
(22)【出願日】2020-09-10
【審査請求日】2020-12-14
(31)【優先権主張番号】201911004228.7
(32)【優先日】2019-10-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】521403834
【氏名又は名称】温州諄品工業設計有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100115303
【氏名又は名称】岩永 和久
(72)【発明者】
【氏名】張英魁
(72)【発明者】
【氏名】趙会朝
(72)【発明者】
【氏名】趙佳杰
(72)【発明者】
【氏名】王磊
【審査官】青鹿 喜芳
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第109049324(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09D 1/00-201/00
C09K 3/00
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
高強度軽質スラリーであって、分散媒と、水硬性成分と、第一量の第一分散剤と、第二量の第二分散剤と、を含み、
前記水硬性成分は、前記水硬性成分の乾燥重量に基づき、シリカ成分含有粉末を少なくとも50wt%、細骨材を少なくとも5.0wt%、強化繊維を少なくとも3.5wt%、硫化銅ドープの六ホウ化ランタン粉体を少なくとも1.0wt%、を含み、
前記第一量の第一分散剤は、C
4~C
20脂肪族アルコールであり、
前記第二量の第二分散剤は、線形ポリカルボン酸塩アニオン分散剤であり、
前記第一量と前記第二量は第一重量比
1:5~100を呈
し、
前記線形ポリカルボン酸塩アニオン分散剤は、第一繰り返しユニットAと第二繰り返しユニットBとを含み、
前記第一繰り返しユニットAは、式(a)で表される少なくとも一種のカルボン酸官能基含有エチレン性部分又はそのLi
+もしくはNH
4
+塩であり、
式(a):
前記式(a)において、
R1は、H、-CH
3又は-CH
2CH
3の一種であり、
R2は、-OCH
3、-CH
2OCH
3、-C(O)OCH
3または-C(O)NHCH
3の一種であり、
前記第二繰り返しユニットBは、式(b)で表される少なくとも一種のビニルスルホン酸塩であり、
前記式(b):
前記式(b)において、
R3は、H、-C
1-6の直鎖または分鎖アルキル基の一種であり、
R4は、-O-又は-NH-から選択され、
R5は、-CH
2OCH
2-または-C(O)NHCH
2-から選択され、
Mは、H、Li
+又はNH
4
+から選択され、
前記第一繰り返しユニットAと前記第二繰り返しユニットBとは、第一モル比が1:5~5:1であり、
前記第一量と前記第二量は、第一重量比が1:1~100であり、
前記線形ポリカルボン酸塩アニオン分散剤の重量平均分子量は、5000~50000Dである、
ことを特徴とする高強度軽質スラリー組成物。
【請求項2】
前記高強度軽質スラリー組成物における水硬性成分には、シランカップリング剤が含まれていてもよいし
前記シリカ成分含有粉末は、前記シランカップリング剤によって表面を変性され且つ前記シランカップリング剤を含むものであってもよい、
ことを特徴とする
請求項1に記載の高強度軽質スラリー組成物。
【請求項3】
前記シランカップリング剤は、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリス(β-メトキシエトキシ)シラン、又はイソブチルトリエトキシシランから選択される一種である、
ことを特徴とする
請求項2に記載の高強度軽質スラリー組成物。
【請求項4】
前記シリカ成分含有粉末が表面をシランカップリング剤で変性され、前記シランカップリング剤を含むものである場合、その調製方法は、
シリカ成分含有粉末と研磨ボールとをボールミルに一緒に入れ、さらにシランカップリング剤と前記シリカ成分含有粉末重量の1.5wt%のエチレングリコールを加え、少なくとも2000r/minの回転速度で1~3hボールミリングするステップ1と、
前記ステップ1の混合物を十分に十分なエチレングリコール溶液に分散させ、2h静置した後に300~400℃の温度で焼成すれば得られるステップ2と、を含む、
ことを特徴とする
請求項2に記載の高強度軽質スラリー組成物。
【請求項5】
前記塩化銅ドープの六ホウ化ランタン粉体は、物理的方法で調整され、具体的には、
六ホウ化ランタン粉体に、1.5~3.0wt%の塩化銅粉末を加え、適量のグリセリンに浸し、10~15重量倍の2.0mm直径のジルコニアビーズを加え、振とう機にて、100~150回/minの周波数で10~15min振とうし、グリセリンでジルコニウムビーズを洗い除いて混合液を得るステップIと、
前記ステップIの混合液をボールミルに入れ、3000r/minの回転数で粒度が10μm未満になるまでボールミリングし、乾燥して得られるステップIIと、を含む、
ことを特徴とする
請求項1に記載の高強度軽質スラリー組成物。
【請求項6】
前記C
4~C
20脂肪族アルコールは、1-ヘキサノール、1-ヘプタノール、1-オクタノール、1-ウンデカノール又はそれらの組み合わせである、
ことを特徴とする
請求項1に記載の高強度軽質スラリー組成物。
【請求項7】
前記高強度軽質スラリー組成物は、20~75wt%の水硬性成分と、0.01~5.0wt%の分散剤と、残部の分散媒と、を含み、
前記分散剤は、第一量の第一分散剤と、第二量の第二分散剤とを含む、
ことを特徴とする
請求項1に記載の高強度軽質スラリー組成物。
【請求項8】
請求項1に記載の前記高強度軽質スラリー組成物の調製方法であって、
分散媒と、水硬性成分と、第一量の第一分散剤と、第二量の第二分散剤とを混合して高強度軽質スラリーを調製する、
ことを特徴とする調製方法。
【請求項9】
請求項1に記載の前記高強度軽質スラリー組成物の応用であって、
前記スラリー組成物を原料として膜材を調製又は直接調製することと、
前記スラリー組成物を原料として板材を調製又は直接調製することと、
前記スラリー組成物を原料として型材を調製又は直接調製することと、
前記スラリー組成物を原料として構造部材を調製することとの少なくともいずれか一つを含む、
ことを特徴とする応用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は高強度軽質スラリーの技術分野に関し、特に高強度軽質スラリー及びその調製方法に関する。
【背景技術】
【0002】
建築断熱保温はエネルギーを節約し、建物の居住及び使用機能を向上させる重要な方面である。人類全体のエネルギー消費に占める建築消費エネルギーの割合は一般的に30~40%であり、かつそのうちの大部分は暖房とエアコンのエネルギー消費であるため、建築の省エネルギーの意義が大きい。近年、経済的な発展に伴い、我が国における建築省エネの分野への重視の程度が高まっている。建築の省エネルギーを実現するために、中国で現在採取されているポリシーは主に建築物のメンテナンス構造を処理して壁体と屋根の熱伝達係数を低下させることであり、具体的な方法は建築物のメンテナンス構造に保温断熱材を追加敷設することである。現在中国生産と応用の建築保温断熱材は有機材料が多く、典型的にはポリスチレンペレット又はポリウレタンペレットを主材料として調製されたポリスチレンボード保温システム及びポリウレタン保温システムであり、低い熱伝達係数を有し、建物のメンテナンス構造にお使用すれば保温断熱効果を高めることができる。しかし、ポリスチレンボードは保温材として施工プロセスが複雑であり、総合コストが高とともに、ポリスチレンボードの撥水性が従来の親水性材料に馴染まないため、その表層以外の後続施工品質が保証され難く、表層モルタルの割れ、脱落、空胴等の品質問題が生じやすく、建築物の外装、例えば、タイル、塗料の使用や施工に大きな制約がある。さらに他の有機材料で調製された保温断熱材は例えばポリフェニレン粒子保温モルタル、発泡ポリウレタン板、発泡ポリエチレン、発泡ポリプロピレンなどであり、その共通の欠点は燃えやすく、老化しやすいことである。
【0003】
現在、住宅に対する断熱保温の要求が高まってきているに伴い、断熱保温防水技術は、居住快適性を向上させ、建築寿命を延長し、暖房熱や冷気の流失を防止して、エネルギー消費を低減するシステム性建築省エネ技術となってきている。従来、国内市場に流通する断熱保温材の多くは、粉体接着剤ポリフェニレン粒子スラリー製品であり、主にフライアッシュ、ポリフェニレン粒子、ラテックス、無機ケイ酸塩等の原料で複合されている。この保温材は、基本的にはJG158-2004国業界標準仕様の要求に達するが、該材料が固化した後に吸水性の特徴を有して、すなわちそれ自体は撥水機能特性を有しておらず、この保温材層中に雨水が浸入すると、保温層に吸着してしまい、日光照射下でガス膨れや分解が発生して材料が層化して爆発さらにカビが脱落してしまい、補うことが困難な外保温品質の暴走を引き起こすため、従来の断熱保温材は断熱保温効果に劣るだけでなく、建物に深刻な安全上のリスクをもたらし、オーナーに損失を与えていた。そのため、建設部門からは、粉体接着剤ポリフェニレン粒子スラリー保温材料を慎重に使用または禁止することが求められている。現在、建築省エネ外壁保温工程では、中国北方寒冷地ではEPS、XPS等の板類製品が多く選択されており、その他の各地では粉体接着剤ポリフェニレン粒子、膨張パーライト、ガラス化ビーズ等のポリマーモルタル体系保温製品が多く用いられているが、これらの板類及びパルプ類製品を用いた実施工程は1~5年間で異なる程度の開裂、空胴、変形等の現象が認められ、断熱保温機能が低下するだけでなく、構造上の懸念がある。そのため、高い断熱保温効果を有するだけでなく、高強度軽質属性により適用に有利な建築スラリーの開発が重要な意味を有しており、現在市場及び省エネルギーニーズにも合致している。
【0004】
以上の背景技術の開示は、本発明の理解を助けるための発明思想及び技術的解決手段に過ぎず、必ずしも本特許出願の先行技術に属さず、前記内容が本特許出願の出願日に開示されていることを明確な証拠がない限り、前記背景技術は、本願の新規性及び創造性を評価するために用いるべきではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】中国特許出願公開第109049324号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、スラリーを複合分散剤で十分に分散させ、その空気担持能力が低く、分散効果と均一性に優れ、スラリー懸濁性がよく、流動性が高く、層化しなく、水層を形成しなく、分離しなく、灌注又は塗布時の圧力が安定し、成形後強度が高く、質量が軽く、極めて少ない使用量で相当な近赤外光バリア遮蔽効果を達成でき、断熱保温が良好な高強度軽質スラリー及びその調製方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を実現するために、高強度軽質スラリー及びその調製方法と応用を提供する。
【0008】
高強度軽質スラリーであって、分散媒と、水硬性成分と、第一量の第一分散剤と、第二量の第二分散剤と、を含み、
前記水硬性成分は、前記水硬性成分の乾燥重量に基づき、シリカ成分含有粉末を少なくとも50wt%、細骨材を少なくとも5.0wt%、強化繊維を少なくとも3.5wt%、硫化銅ドープの六ホウ化ランタン粉体を少なくとも1.0wt%、を含み、
前記第一量の第一分散剤は、C4~C20脂肪族アルコールであり、
前記第二量の第二分散剤は、線形ポリカルボン酸塩アニオン分散剤であり、
前記第一量と前記第二量は第一重量比1:1~100を呈する。
【0009】
本出願のいくつかの実施例において、前記第二分散剤である線形ポリカルボン酸塩アニオン分散剤は、第一繰り返しユニットAと第二繰り返しユニットBとを含み、
前記第一繰り返しユニットAは、式(a)で表される少なくとも一種のカルボン酸官能基含有エチレン性部分又はそのLi
+もしくはNH
4
+塩であり、
式(a):
前記式(a)中、R1は、H、-CH
3又は-CH
2CH
3の一種であり、R2は、-OCH
3、-CH
2OCH
3、-C(O)OCH
3または-C(O)NHCH
3の一種であり、前記第二繰り返しユニットBは、式(b)で表される少なくとも一種のビニルスルホン酸塩であり、
前記式(b)
前記式(b)中、R3は、H、-C
1-6の直鎖または分鎖アルキル基の一種であり、R4は、-O-又は-NH-から選択され、R5は、-CH
2OCH
2-または-C(O)NHCH
2-から選択され、MはH、Li
+又はNH
4
+から選択され、前記第一繰り返しユニットAと前記第二繰り返しユニットBとは、第一モル比が1:5~5:1であり、好ましくは1:2~2:1、より好ましくは1:2~1:1を呈し、前記第一量と前記第二量は、第一重量比が1:1~100、好ましくは1:5~20、より好ましくは1:5~10である。
【0010】
前記線形ポリカルボン酸塩アニオン分散剤の重量平均分子量は、5000~50000Dであり、5000~35000Dであることが好ましく、5000~25000Dであることがより好ましい。分散剤成分として、第一繰り返しユニットAと第二繰り返しユニットBとが共重合して構成された線形ポリカルボン酸塩アニオン分散剤を用いることにより、本出願に記載の水硬性成分を効率的に分散させることができ、商業分鎖ポリカルボン酸塩超分散剤と異なり、直鎖ポリカルボン酸塩が分鎖ポリカルボン酸塩側鎖に関連する問題を回避し、非常に低い空気阻止能力を有し、体系中の気泡による構造的な不均衡を大きく低減し、分散効果および体系の均一性を向上させ、さらにスラリーの強度を向上させることができる。
【0011】
本発明における調製方法により調製された高強度軽質スラリー組成物は、シリカ成分含有粉末と、細骨材と、強化繊維と、塩化銅と、でドープされた六ホウ化ランタン粉体を水硬性成分とし、分散剤体系としてC4~C20脂肪族アルコール複合線形ポリカルボン酸塩アニオン分散剤を選択し、前記スラリー組成物はセメント成分がなく、複合分散剤体系は、スラリーに良好な懸濁性、高流動性、層化しない特性、水層を形成しなく、分離しない特性を与え、灌流又は塗布時の圧力が安定し、スラリー組成物の品質が安定し、スラリー懸濁物状態で施工することにより、工事現場のノイズや発塵汚染を低減でき、有毒有害物質が発生せず、人体や環境にダメージを与えることなく、文明工事現場の建設を促進する。水硬性成分は、複合分散剤体系の作用下で十分に広がり、スラリー組成物の構造が安定して均一であり、成形後の強度が高く、軽質であり、高強度軽質スラリー組成物は建築材料(又は他の基材)表面に使用すると断熱機能を有し、優れた赤外線遮蔽率、高い付着力及び強度を有し、650~1400nmの近赤外光を有効に遮断することができ、しかも使用量が極めて少なくて相当な遮蔽効果を達成することができ、さらにスラリーに形成された膜層、板層、構造層等に良好な断熱保温を与え、塗料、インク、窓膜、紡績、ビニールハウスフィルム、ガラスクランプフィルム及び建築板材等の分野に広く適用することができる。
【0012】
本出願のいくつかの実施例において、前記第一量の第一分散剤である脂肪族アルコールは、任意の限定炭素元素を有する脂肪族アルコールであってもよいが、例えば、C
4~C
20、C
6~C
20、C
8~C
20、C
10~C
20、C
12~C
20、C
14~C
20、C
16~C
20、C
18~C
20、C
4~C
18、C
6~C
18、C
8~C
18、C
10~C
18、C
12~C
18、C
14~C
18、C
16~C
18、C
4~C
16、C
6~C
16、C
8~C
16、C
10~C
16、C
12~C
16、C
14~C
16、C
4~C
14、C
6~C
14、C
8~C
14、C
10~C
14、C
12~C
14、C
4~C
12、C
6~C
12、C
8~C
12、C
10~C
12、C
4~C
10、C
6~C
10、C
8~C
10、C
4~C
8、C
6~C
8、C
4~C
6であってもよく、具体的には、C
4、C
5、C
6、C
7、C
8、C
9、C
10、C
11、C
12、C
13、C
14、C
15、C
16、C
17、C
18、C
19又はC
20直鎖もしくは分鎖脂肪族アルコールであってもよく、水酸基が炭素鎖上の任意の適切な位置に取り付けられていてもよいが、いずれかの末端炭素に位置するか又は近いことが好ましいが、本出願のいくつかの実施例において、水酸基が炭素鎖のα-、β-又はγ-位に付されていてもよく、例えばC
4~C
20脂肪族アルコールは、
と、
と、
との構造サブユニットを含んでもよい。いくつかの実施例により、脂肪族アルコールの実例が1-ヘキサノール、1-ヘプタノール、1-オクタノール、1-ウンデカノール又はそれらの組み合わせであることが好ましい。
【0013】
本出願のいくつかの実施例において、前記分散媒は、水、エタノール、イソプロパノール又はアリルアルコールのうちの少なくとも一種である。前記分散媒は、シリカ成分含有粉末と、細骨材と、セルロースエーテルと、塩化銅ドープの六ホウ化ランタン粉体とを含む水硬性成分と共に粘性を有する混合物を形成する。
【0014】
本出願のいくつかの実施例において、前記高強度軽質スラリー組成物における水硬性成分には、シランカップリング剤が含まれていてもよいし、前記シリカ成分含有粉末が、前記シランカップリング剤によって表面を変性され且つ前記シランカップリング剤を含むものであってもよいが、前記シリカ成分含有粉末において、前記シランカップリング剤を含有している例としては、シランカップリング剤で変性された疎水性シリカを用いることができる。また、親水性シリカ粉末には、さらにシランカップリング剤を添加することが好ましい。
【0015】
本出願のいくつかの実施例において、シリカ成分含有粉末の例として、シリカエアロゲル、メソポーラスシリカ、ホワイトカーボン、フュームドシリカ等の粉末を適用することができ、また、前記シランカップリング剤の添加量は、前記シリカ成分含有粉末の重量の0.1~10.0wt%であり、1.0~5.0wt%が好ましく、これらの例自体は相互結合力を有していないため、本発明は脂肪族アルコールと線形ポリカルボン酸塩アニオン分散剤とからなる分散剤体系を採用して結合力を付与し、スラリー組成物の粘度が低すぎて成形することが困難であることを回避するとともに、アルコール溶剤を添加することにより不必要な損失を形成することを防止できる。
【0016】
本出願のいくつかの実施例において、シリカ成分含有粉末を変性又は追加するシランカップリング剤として、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリス(β-メトキシエトキシ)シラン、又はイソブチルトリエトキシシランから選択される一種であってもよい。
【0017】
本出願のいくつかの実施例において、前記シリカ成分含有粉末の平均粒径は、25μm~200μmであり、好ましくは50μm~100μmである。
【0018】
本出願のいくつかの実施例において、前記シリカ成分含有粉末は、表面がシランカップリング剤で変性され、前記シランカップリング剤を含むものである場合、その調製方法は、
シリカ成分含有粉末と研磨ボールとをボールミルに一緒に入れ、さらにシランカップリング剤と前記シリカ成分含有粉末重量の1.5wt%のエチレングリコールを加え、少なくとも2000r/minの回転速度で1~3hボールミリングするステップ1と、
前記ステップ1の混合物を十分に十分なエチレングリコール溶液に分散させ、2h静置した後に300~400℃の温度で焼成すれば得られるステップ2と、を含む。シランカップリング剤で変性され且つエチレングリコール溶液での分散か焼により変性された後、シリカの表面に明瞭かつ均一な被覆層があり、これは、シランカップリング剤、エチレングリコールとシリカ表面の水酸基とが十分な反応を起こしたことを説明し、シリカが有機と無機分散媒との少なくともいずれか一つの中で凝集することを効果的に防止することができ、これは均一な高強度軽質スラリーの調製に基礎を定める。
【0019】
本出願のいくつかの実施例において、前記細骨材は、膨張パーライト、中空ガラスビーズ、ポリフェニレン粒子又はカルビーズから選ばれる少なくとも一種であり、前記細骨材の最大寸法は、3mm以下である。
【0020】
本出願のいくつかの実施例において、前記強化繊維は、無機繊維、有機繊維または無機繊維と有機繊維との混合繊維から選択される。
【0021】
更に、前記強化繊維は、珪酸マグネシウム繊維、PVA繊維、耐アルカリ性ガラス繊維、珪酸アルミニウム繊維、海ほう石繊維、セピオライト繊維、アクリル繊維又はリグノセルロースから選ばれる少なくとも一種である。
【0022】
更に、前記強化繊維は、平均長さが1~10mmの短繊維、平均長さが10~30mmを超える長繊維又は前記短繊維と前記長繊維との組み合わせである。
【0023】
更に、強化繊維の平均直径は10~50μmである。
【0024】
本出願のいくつかの実施例において、前記塩化銅ドープの六ホウ化ランタン粉体の調製方法は、
六ホウ化ランタン粉体に、1.5~3.0wt%の塩化銅粉末を加え、適量のグリセリンに浸し、10~15重量倍の2.0mm直径のジルコニアビーズを加え、振とう機にて、100~150回/minの周波数で10~15min振とうし、グリセリンでジルコニウムビーズを洗い除いて混合液を得るステップIと、
前記ステップIの混合液をボールミルに入れ、3000r/minの回転数で粒度が10μm未満になるまでボールミリングし、乾燥して得られるステップIIと、を含み、本願では、塩化銅ドープの六ホウ化ランタン粉体を物理的方法で得て、調製方法が簡単であり、取り扱いが容易であり、焼成によるエネルギー消費の低減を必要としなく、また、プロセス中に全ての材料を回収再利用でき、環境を保護するとともに工業コストを低減し、得られる塩化銅ドープの六ホウ化ランタン粉体において、塩化銅が均一に分布し、粉体が凝集せず、大きな粒子がなく、前記六ホウ化ランタン粉体を本願の前記スラリーに配合した後、スラリーに良好な赤外光を遮断する能力を付与することができ、650~1400nmの近赤外光を有効に遮断することができ、しかも使用量が極めて少なくて相当な遮蔽効果を達成することができ、さらにスラリーに形成された膜層、板層、構造層等に良好な断熱保温を与え、塗料、インク、窓膜、紡績、ビニールハウスフィルム、ガラスクランプフィルム及び建築板材等の分野に広く適用することができる。
【0025】
本出願のいくつかの実施例において、前記水硬性成分はまた、塑性膨張剤と、凝結遅延剤と、消泡?と、結着剤と、無機体系撥水剤と、増粘保水剤と、充填材と、を含むことができる。
【0026】
前記塑性膨張剤は、界面活性剤であり、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムを採用することができ、使用量が水硬性成分の0~0.4wt%である。
【0027】
前記凝結遅延剤は、ホウ酸を用いることができ、その使用量は、水硬性成分の0~0.1wt%である。
【0028】
前記消泡剤は、シリコーン、イソオクチルアルコール、ジイソブチルカルビノール、ジステアリルエチレンジアミン、ジパルミトイルエチレンジアミンの少なくとも一種を使用することができ、使用量は水硬性成分の0~0.8wt%である。
【0029】
前記結着剤は、リン酸アンモニウム、酸化亜鉛、ケイ酸カルシウム又はリン酸アルミニウムの少なくとも一種を選択することができ、使用量が水硬性成分の0~1.0wt%である。
【0030】
前記無機体系撥水剤は、トリエタノールアミン、メチルシリコンアルコキシド、硫酸アルミニウム撥水剤の少なくとも一種を用いることができ、使用量が水硬性成分の0~0.5wt%である。
【0031】
前記増粘保水剤は、カルボキシメチルセルロース、カルボキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロースの少なくとも一種を使用することができ、使用量が水硬性成分の0~0.3wt%である。
【0032】
前記充填材は、二酸化チタン、タルク、炭酸カルシウム、またはフライアッシュの少なくとも一種を選択することができ、使用量が水硬性成分の0~20.0wt%である
【0033】
本出願のいくつかの実施例において、前記高強度軽質スラリー組成物は、20~75wt%の水硬性成分と、0.01~5.0wt%の分散剤と、残部の分散媒と、を含み、前記分散剤は、第一量の第一分散剤と、第二量の第二分散剤とを含む。
【0034】
本発明に記載の高強度軽質スラリー組成物の調製方法であって、前記方法は、分散媒と、水硬性成分と、第一量の第一分散剤と、第二量の第二分散剤とを混合して高強度軽質スラリーを調製することを含み、前記第一分散剤は、C4~C20脂肪族アルコールであり、第二分散剤は、第一繰り返しユニットAと第二繰り返しユニットBとを含む線形ポリカルボン酸塩アニオン分散剤であり、前記水硬性成分は、少なくとも50wt%のシリカ成分含有粉末と、少なくとも5.0wt%の細骨材と、少なくとも3.5wt%の強化繊維と、少なくとも1.0wt%の塩化銅ドープの六ホウ化ランタン粉体と、を含む。
【0035】
本発明に記載の高強度軽質スラリー組成物の応用であって、前記スラリー組成物を原料として膜材を調製又は直接調製することと、前記スラリー組成物を原料として板材を調製又は直接調製することと、前記スラリー組成物を原料として型材を調製又は直接調製することと、前記スラリー組成物を原料として構造部材を調製することとの少なくともいずれか一つを含む。
【発明の効果】
【0036】
分散剤成分として、第一繰り返しユニットAと第二繰り返しユニットBとが共重合して構成された線形ポリカルボン酸塩アニオン分散剤を用いることにより、本出願に記載の水硬性成分を効率的に分散させることができ、商業分鎖ポリカルボン酸塩超分散剤と異なり、直鎖ポリカルボン酸塩が分鎖ポリカルボン酸塩側鎖に関連する問題を回避し、非常に低い空気阻止能力を有し、体系中の気泡による構造的な不均衡を大きく低減し、分散効果および体系の均一性を向上させ、さらにスラリーの強度を向上させることができる。
【0037】
本発明における調製方法により調製された高強度軽質スラリー組成物は、シリカ成分含有粉末と、細骨材と、強化繊維と、塩化銅と、でドープされた六ホウ化ランタン粉体を水硬性成分とし、分散剤体系としてC4~C20脂肪族アルコール複合線形ポリカルボン酸塩アニオン分散剤を選択し、前記スラリー組成物はセメント成分がなく、複合分散剤体系は、スラリーに良好な懸濁性、高流動性、層化しない特性、水層を形成しなく、分離しない特性を与え、灌流又は塗布時の圧力が安定し、スラリー組成物の品質が安定し、スラリー懸濁物状態で施工することにより、工事現場のノイズや発塵汚染を低減でき、有毒有害物質が発生せず、人体や環境にダメージを与えることなく、文明工事現場の建設を促進する。
【0038】
水硬性成分は、複合分散剤体系の作用下で十分に広がり、スラリー組成物の構造が安定して均一であり、成形後の強度が高く、軽質であり、高強度軽質スラリー組成物は建築材料(又は他の基材)表面に使用すると断熱機能を有し、優れた赤外線遮蔽率、高い付着力及び強度を有し、650~1400nmの近赤外光を有効に遮断することができ、しかも使用量が極めて少なくて相当な遮蔽効果を達成することができ、さらにスラリーに形成された膜層、板層、構造層等に良好な断熱保温を与え、塗料、インク、窓膜、紡績、ビニールハウスフィルム、ガラスクランプフィルム及び建築板材等の分野に広く適用することができる。
【0039】
本発明は、上記手段を採用したものであり、従来技術の不足を補い、設計が合理的であり、取り扱いが容易である。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【
図1】本発明における第二分散剤である線形ポリカルボン酸塩アニオン分散剤の第一繰り返しユニットAの構造式図である。
【
図2】本発明における第二分散剤である線形ポリカルボン酸塩アニオン分散剤の第二繰り返しユニットBの構造式図である。
【
図3】本発明の実施例1において塩化銅がドープされていない六ホウ化ランタンの概略図(上図)及び塩化銅をドープした六ホウ化ランタンの概略図(下図)である。
【
図4】本発明の実施例1における前記スラリーで調製された薄膜の異なる光領域での透過率曲線である。
【発明を実施するための形態】
【0041】
本明細書において使用される技術および科学的用語は、特に断りのない限り、本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者により一般的に理解される同一の意味を有するものである。本発明は、本明細書で説明した方法および材料を用いるが、本分野において公知の他の適切な方法および材料を用いることもできる。本明細書に記載された材料、方法及び実施例は例示に過ぎず、限定するものではない。すべての出版物、特許出願、特許、仮出願、データベースエントリ、本文に記載されている他の参考文献等は、その全体が本明細書に組み込まれる。衝突があれば、本明細書に定義を含めて定義する。
【0042】
本出願において、前記六ホウ化ランタン粉体は、下記方法により調製することができる:
0.004mol1La2O3と0.05molNaBH4を乳鉢中で均一に研磨混合し、次に0.15molのMg粉を秤量して反応釜に添加しかつ10.0mLの脱イオン水を添加し、
その後、50mlの反応釜にLaとBの混合物を加え、反応釜を密閉して150℃のオーブンで45min保温し、
反応終了後、得られた固体を0.01mol/L希塩酸で42℃で浸して不純物を除去し、最後に得られた黒色粉末を脱イオン水とエタノールで交替に数回洗浄してサンプルを得る。
【0043】
本発明において、脂肪族アルコールは、任意の適切な脂肪族アルコールであってもよく、アルキルアルコールであってもよいし、アルケニル基又はアルキニルアルコールも含み、置換又は無置換の、分鎖又は非分鎖の飽和又は不飽和であってもよく、また、いくつかの実施例では、本明細書で記載する炭素鎖、例えば、Cx~Cy(ただし、x及びyは整数である)で表されることから、脂肪族アルコールは、単一の化合物であってもよいし、二種以上の化合物の組み合わせであってもよい。
【0044】
本願において、前記式(a)に示す第一繰り返しユニットAは、下記(a1)~(a12)から選択されるものであるが、これらに限定されるものではない:
【0045】
【0046】
【0047】
【0048】
【0049】
【0050】
【0051】
【0052】
【0053】
【0054】
【0055】
【0056】
【0057】
本願において、前記式(b)に示す第一繰り返しユニットAは、下記(b1)~(b12)から選択されるものであるが、これらに限定されるものではない:
【0058】
【0059】
【0060】
【0061】
【0062】
【0063】
【0064】
【0065】
【0066】
【0067】
【0068】
【0069】
【0070】
実施例1:
本実施例は、高強度軽質スラリーを提供し、前記高強度軽質スラリーは、分散媒と、水硬性成分と、第一量の第一分散剤と、第二量の第二分散剤と、を含み、
前記水硬性成分は、前記水硬性成分の乾燥重量に基づき、シリカ成分含有粉末90wt%、細骨材5.0wt%、強化繊維3.5wt%、硫化銅ドープの六ホウ化ランタン粉体1.5wt%を含み、
前記第一量の第一分散剤は、質量比1:1の1-ヘプタノール、1-オクタノール混合アルコールからなり、
前記第二量の第二分散剤は、第一繰り返しユニットA、例えば式(a5)と、第二繰り返しユニットB、例えば式(b5)と、を含む線形ポリカルボン酸塩アニオン分散剤であり、
前記第一繰り返しユニットAと第二繰り返しユニットBは第一モル比1:2を呈し、
前記第一量と前記第二量は第一重量比1:5を呈し、
前記線形ポリカルボン酸塩アニオン分散剤の重量平均分子量は6000Dであり、
前記分散媒は水であり、
前記シリカ成分含有粉末は、表面がシランカップリング剤で変性され、前記シランカップリング剤を含むものである。
【0071】
さらに、前記シランカップリング剤は、ビニルトリエトキシシランである。
【0072】
さらに、前記ビニルトリエトキシシランの添加量は、前記シリカ成分含有粉末の重量の2.5wt%を占める。
【0073】
さらに、前記シリカ成分含有粉末の平均粒径は60μmである。
【0074】
さらに、前記シランカップリング剤を含有する前記シリカ成分含有粉末の調製方法は、
シリカ成分含有粉末と研磨ボールとをボールミルに一緒に入れ、さらにシランカップリング剤と前記シリカ成分含有粉末重量の1.5wt%のエチレングリコールを加え、3000r/minの回転速度で2hボールミリングするステップ1と、
前記ステップ1の混合物を十分に十分なエチレングリコール溶液に分散させ、2h静置した後に320℃の温度で焼成すれば得られるステップ2と、を含み、
前記細骨材は、膨張パーライトであり、最大寸法が3mmを超えなく、
前記強化繊維は、平均長さ2mmの短繊維耐耐アルカリ性ガラス繊維であり、前記強化繊維の平均直径は50μmである。
【0075】
前記硫化銅ドープの六ホウ化ランタン粉体の調製方法は、
六ホウ化ランタン粉体に、6wt%の硫化銅粉末を加え、適量のグリセリンに浸し、15重量倍の2.0mm直径のジルコニアビーズを加え、振とう機にて、140回/minの周波数で15min振とうし、グリセリンでジルコニウムビーズを洗い除いて混合液を得るステップIと、
前記ステップIの混合液をボールミルに入れ、5000r/minの回転数で粒度が10μm未満になるまでボールミリングし、乾燥して得られるステップIIと、を含む。
【0076】
前記実施例1において、
前記水硬性成分は前記高強度軽質スラリー組成物の60wt%を占め、
前記分散剤(第一分散剤及び第二分散剤を含む)は前記高強度軽質スラリー組成物の2wt%を占め、
残部は分散媒である。
【0077】
実施例2:
前記実施例2は、前記実施例1に係る高強度軽質スラリーの調製方法を提供し、分散媒と、水硬性成分と、第一量の第一分散剤と、第二量の第二分散剤とを混合して高強度軽質スラリーを調製することを含む。
【0078】
比較例D3:
前記比較例D3は、高強度軽質スラリーを提供し、配合成分と配合率が実施例1とほぼ同じで、シリカ成分含有粉末が純シリカでシランカップリング剤で変性されていない点だけが実施例1と異なっている。前記比較例D3はさらに実施例2と同様の調製方法で前記スラリーを調製することを含む。
【0079】
比較例D4:
比較例D4は、高強度軽質スラリーを提供し、配合成分と配合率が実施例1とほぼ同じで、六ホウ化ランタン粉体が、純物質の六ホウ化ランタン粉体であり、かつ、硫化銅ドープされていない点でだけが実施例1と異なっている。前記比較例D4はさらに前記実施例2と同様の調製方法で前記スラリーを調製することを含む。
【0080】
比較例D5:
前記比較例D5は、高強度軽質スラリーを提供し、配合成分と配合率が実施例1とほぼ同じで、硫化銅ドープの六ホウ化ランタン粉体が含まれておらず、その欠損重量部がシリカ成分含有粉末で埋められている点だけが実施例1と異なっている。比較例D5はさらに実施例2と同様の調製方法で前記スラリーを調製することを含む。
【0081】
比較例D6:
比較例D6は、高強度軽質スラリーを提供し、配合成分と配合率が実施例1とほぼ同じであるが、比較例D6の分散剤が全て第一分散剤であり、前記分散剤(第一分散剤)が前記高強度軽質スラリー組成物の2wt%を占める点だけが実施例1と異なっている。比較例D6はさらに実施例2と同じ調製方法で前記スラリーを調製することを含む。
【0082】
比較例D7:
比較例7は、高強度軽質スラリーを提供し、配合成分と配合率が実施例1とほぼ同じであるが、比較例D7の分散剤が全て第二分散剤(実施例1の第二分散剤と同じ)であり、前記分散剤(第二分散剤)が前記高強度軽質スラリー組成物の2wt%を占める点だけが実施例1と異なっている。比較例D3はさらに実施例2と同様の調製方法で前記スラリーを調製することを含む。
【0083】
比較例D8:
比較例D8は、高強度軽質スラリーを提供し、配合成分と配合率が実施例1とほぼ同じであるが、比較例D8の第二分散剤がD型分散剤アルカノールベースアンモニウム塩であり、その型番がDISPERBYK102である点だけが実施例1と異なっている。比較例D8はさらに実施例2と同様の調製方法で前記スラリーを調製することを含む。
【0084】
比較例D9:
比較例D9は、高強度軽質スラリーを提供し、配合成分と配合率が実施例1とほぼ同じであるが、比較例D9の第二分散剤がP型分散剤ポリエチレンイミンPEIである点だけが実施例1と異なっている。比較例D9はさらに実施例2と同様の調製方法で前記スラリーを調製することを含む。
【0085】
比較例D10:
比較例D10は、高強度軽質スラリーを提供し、配合成分と配合率が実施例1とほぼ同じであるが、比較例D10の第二分散剤である線形ポリカルボン酸塩アニオン分散剤において、第一繰り返しユニットAが式(a1)で表され、第二繰り返しユニットBが式(b2)で表される点だけが実施例1と異なっている。比較例D10はさらに実施例2と同様の調製方法で前記スラリーを調製することを含む。
【0086】
比較例D11:
比較例D11は、高強度軽質スラリーを提供し、配合成分と配合率が実施例1とほぼ同じであるが、比較例D11の第二分散剤である線形ポリカルボン酸塩アニオン分散剤において、第一繰り返しユニットAが式(a10)で表され、第二繰り返しユニットBが式(b12)で表される点だけが実施例1と異なっている。比較例D11はさらに実施例2と同様の調製方法で前記スラリーを調製することを含む。
【0087】
比較例D12:
比較例D12は、高強度軽質スラリーを提供し、配合成分と配合率が実施例1とほぼ同じであるが、比較例D12の第二分散剤である線形ポリカルボン酸塩アニオン分散剤において、第一繰り返しユニットAが式(a6)で表され、第二繰り返しユニットBが式(b8)で表される点だけが実施例1と異なっている。比較例D12はさらに実施例2と同じ方法で前記スラリーを調製することを含む。
【0088】
比較例D13:
比較例D13は、高強度軽質スラリーを提供し、配合成分と配合率が実施例1とほぼ同じであるが、比較例D13の第二分散剤である線形ポリカルボン酸塩アニオン分散剤において、第一繰り返しユニットAが式(a9)で表され、第二繰り返しユニットBが式(b1)で表される点だけが実施例1と異なっている。比較例D13はさらに実施例2と同様の調製方法で前記スラリーを調製することを含む。
【0089】
比較例D14:
比較例D14は、高強度軽質スラリーを提供し、配合成分と配合率が実施例1とほぼ同じであるが、比較例D14の第二分散剤である線形ポリカルボン酸塩アニオン分散剤において、第一繰り返しユニットAが式(a5)で表され、第二繰り返しユニットBが式(b11)で表される点だけが実施例1と異なっている。比較例D14はさらに実施例2と同様の調製方法で前記スラリーを調製することを含む。
【0090】
比較例D15:
比較例D15は、高強度軽質スラリーを提供し、配合成分と配合率が実施例1とほぼ同じで、比較例D15の分散剤は、前記第一重量比が1:1である点だけ実施例1と異なっている。比較例D15はさらに実施例2と同様の調製方法で前記スラリーを調製することを含む。
【0091】
比較例D16:
比較例D16は、高強度軽質スラリーを提供し、配合成分と配合率が実施例1とほぼ同じであるが、比較例D16の分散剤において、前記第一重量比が5:1である点だけが実施例1と異なっている。比較例D16はさらに実施例2と同様の調製方法で前記スラリーを調製することを含む。
【0092】
比較例D17:
比較例D17は、高強度軽質スラリーを提供し、配合成分と配合率が実施例1とほぼ同じであるが、比較例D17の分散剤は、第一重量比が10:1である点だけが実施例と異なっている。比較例D17はさらに実施例2と同様の調製方法で前記スラリーを調製することを含む。
【0093】
実験例1:
スライドガラスを実施例1のスラリー組成物に15minずつ浸漬し、6h引き上げ、共に5回引上げ、自然乾燥した後、真空オーブンに入れ、50℃で12h乾燥する。膜厚が0.25mmであることを无錫凱保鼎工具有限公司のトリシクロ/QFC-25mm螺旋マイクロメータ(精度0.001mm)で測定した。
図4に示すように、日本Shimadzu社のUV-3600型紫外可視近赤外分光光度計(UV-vis-NIR)を用いて薄膜の光学性能を分析した。
図4から明らかなように、本発明の好ましい実施例1における高強度軽質スラリー組成物は、波長が650~1400nmの近赤外光に対して良好な遮蔽作用を有し、この作用は、保温断熱効果の向上に寄与する。
【0094】
実験例2:
本願の前記高強度軽質スラリーを断熱保温材に適用し、具体的な実験は以下のとおりである:
実用に際しては、本願実施例1及び比較例D3~D17の各スラリーを、それぞれ、断熱保温材に調製し、調製方法は、高強度軽質スラリーと、ポルトランドセメントと、ポリフェニレン粒子と、水とを重量比20:10:1:14の配合比率で混合し、具体的には混合容器に水280gを入れてからP42.5ポルトランドセメント200g及び複合断熱保温防水スラリー400gをそれぞれ加え、5min撹拌し、ペースト状に撹拌した後、更にポリフェニレン粒子10gを染み込ませて均一に10min撹拌してペースト状の断熱保温材を得ることを含み、
【0095】
ペースト状に攪拌した断熱保温材を建物屋根と内外壁に塗装する前に、先に灰ケーキを作り、定規塗りをし、塗装の厚さを設計厚さよりもやや高くし、梃子でならし、左官こてで局所的になじませ、平坦化した断熱層上に4mm×4mm仕様のガラス繊維メッシュ布を同期して敷いて、左官こてでペーストを押し出し、押し固めてならしてきめ細かいつやを出し、耐耐アルカリ性ガラス繊維メッシュ布にしわがなく、ラップ幅が30mmより等しいか大きく、断熱保温層が48h乾燥した後、その他の加飾工程を行う。
【0096】
本願製品の主な性能指標は、表1に示すように、熱伝達係数が0.041w/(m・k)であり、蓄熱係数が1.85w/(m2・k)であり、乾燥見掛け密度が215Kg/m3であり、耐圧強度が331kpaであるなど、性能指標が同類品よりも明らかに優れていた。
【0097】
【0098】
上記実施例における従来技術は当業者に知られている従来技術であるため、ここでは詳細な説明を省略する。
【0099】
上記の具体的な実施例は、様々な実施例に適用される新規な特徴を示し、且つ詳細に説明したが、理解すべきは、本開示の要旨を逸脱しない範囲で、本発明における装置や方法の形式と細部に対し、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。また、上述した各種の特徴や方法は、互いに独立して用いてもよく、また、種々の態様で組み合わせてもよい。全ての可能な組み合わせとサブコンビネーションはいずれも本開示の範囲内にある。上述した多くの実施例は、同様の成分を含むため、これらの同様の成分を異なる実施例においても交換することができる。本発明をいくつかの実施例および実施例の文脈において開示してきたが、本発明は、具体的に開示される実施例から他の代替実施例および/または応用およびその明らかな修正および均等物まで延在することができることは当業者に理解されるところである。したがって、本発明は、好ましい実施例の具体的な開示内容によって限定されるものではない。