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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-15
(45)【発行日】2022-02-04
(54)【発明の名称】食品粉末の製造方法
(51)【国際特許分類】
   A23L 5/00 20160101AFI20220128BHJP
   A23L 19/00 20160101ALN20220128BHJP
【FI】
A23L5/00 D
A23L19/00 A
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2017164839
(22)【出願日】2017-08-13
(65)【公開番号】P2019033735
(43)【公開日】2019-03-07
【審査請求日】2020-07-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000210067
【氏名又は名称】池田食研株式会社
(72)【発明者】
【氏名】中村 直樹
(72)【発明者】
【氏名】本間 亮介
(72)【発明者】
【氏名】玉井 秀樹
【審査官】田ノ上 拓自
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2010/021322(WO,A1)
【文献】特開平02-207764(JP,A)
【文献】特開平02-117361(JP,A)
【文献】特開平02-242638(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23L 5/00-5/30
A23L 29/00-29/10
A23L 19/00-19/20
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項4】
植物エキス粉末を100重量%とした場合に、水中油型乳化物の固形分を20~80重量%含む、請求項に記載の植物エキス粉末。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食品粉末及び該粉末の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
液状食品の乾燥粉末化において、例えば野菜類エキスや果実類エキスといった植物エキスで、粉末化について、種々の検討がなされている。
【0003】
特許文献1には、アミロペクチンからなる澱粉類のα-アミラーゼ加水分解処理物であってDE値2~5の冷水易溶性デキストリンを、野菜類及び/又はスパイス類水性抽出物に添加溶解したのち乾燥することを特徴とする野菜類及び/又はスパイス類水性抽出物の粉末化法が開示され、特許文献2には、香味野菜をアルコール水溶液で抽出する工程において抽出液のアルコール濃度が10~50(W/W)%となるように抽出を行い、次工程で抽出液に粉末化基材を添加した後粉末化することを特徴とする香味野菜エキス粉末の製造法が開示されている。
【0004】
しかしながら、何れの方法においても乾燥助剤としてデキストリン等の澱粉分解物を使用しているため、得られる粉末は水溶解性が低く、さらに溶解後の溶液は粉っぽさが感じられた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開昭59-205932号公報
【文献】特許第4304622号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、乾燥性が良く、溶解性に優れ、溶解後の溶液において香り及び味が良く、かつ粉っぽさが感じられない食品粉末及び該粉末の製造方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上記課題を解決するために検討した結果、油脂と乳化剤溶液とを乳化処理してなる水中油型乳化物を乾燥助剤として、液状食品を乾燥することで、溶解性に優れた食品粉末が製造できることを見出し、本発明に至った。
【0008】
すなわち、本発明は、以下の[1]~[11]の態様に関する。
[1]油脂と乳化剤溶液とを乳化処理してなる水中油型乳化物を乾燥助剤として、液状食品を乾燥することを特徴とする、食品粉末の製造方法。
[2]乳化剤1重量部に対し油脂0.2~20重量部を含む、[1]記載の食品粉末の製造方法。
[3]液状食品中の固形分1重量部に対し水中油型乳化物中の固形分が0.2~5重量部である、[1]又は[2]記載の食品粉末の製造方法。
[4]乳化剤が水溶性高分子化合物である、[1]~[3]の何れかに記載の食品粉末の製造方法。
[5]液状食品が植物エキスである、[1]~[4]の何れかに記載の食品粉末の製造方法。
[6][1]~[5]の何れかに記載の製造方法により得られる、食品粉末。
[7]油脂と乳化剤溶液とを乳化処理してなる水中油型乳化物由来の固形分を乾燥助剤として含む、食品粉末。
[8]乳化剤1重量部に対し油脂0.2~20重量部を含む、[7]記載の食品粉末。
[9]食品粉末を100重量%とした場合に、水中油型乳化物の固形分を20~80重量%含む[7]又は[8]記載の食品粉末。
[10]乳化剤が水溶性高分子化合物である、[7]~[9]の何れかに記載の食品粉末。
[11]植物エキス由来の固形分を含む、[7]~[10]の何れかに記載の食品粉末。
【発明の効果】
【0009】
本発明の食品粉末の製造方法は、乾燥性が良いため、水分の低い粉末を効率的に製造することができ、さらに、得られる粉末は水等への溶解時に溶解性に優れると共に、溶解後の溶液は香りや味が良く、持続性もあり、かつ粉っぽさが感じられない点で優れているため、力価の高い調味料として、また飲料用粉末として最適である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の食品粉末は、油脂と乳化剤溶液とを乳化処理してなる水中油型乳化物を乾燥助剤として、液状食品を乾燥することで得られる。
【0011】
本発明の乾燥助剤は、水中油型乳化物であればよく、油脂と乳化剤溶液とを乳化処理することで得られ、液状食品の乾燥時に用いることができる。例えば、水に乳化剤を溶解した後、油脂を加えて乳化処理し、液状食品と混合してもよく、液状食品に乳化剤を溶解した後、油脂を加えて乳化処理してもよく、液状食品の添加時期は特に限定されないが、液状食品中の固形分1重量部に対し水中油型乳化物中の固形分が0.2~5重量部が好ましく、0.3~4重量部がより好ましく、0.5~3重量部がさらに好ましい。液状食品中の固形分に対して水中油型乳化物中の固形分が少な過ぎると乾燥助剤として機能し難く、多過ぎると食品粉末の力価が弱くなる。なお、デキストリン、糖アルコール、乳糖等、一般的な乾燥助剤として使用され、乳化処理に利用しない物質の添加は、液状食品中の固形分1重量部に対し0.5以下が好ましく、0.3以下がより好ましく、0.2以下がさらに好ましく、含まないのが特に好ましい。
【0012】
乳化処理は、一般的な乳化方法で行うことができ、高圧ホモジナイザー、コロイドミル、超音波乳化機、ホモミキサー、ホモディスパー等の乳化装置を例示でき、二種類以上の装置を組み合わせてもよい。また、乳化処理時に流動性があれば特に限定されないが、乳化処理前に加熱工程を含むのが好ましく、例えば40~100℃、50~80℃等の加熱が例示できる。
【0013】
乳化剤は、乳化作用を有し、本発明の水中油型乳化物が得られる化合物であれば特に限定されないが、水溶性高分子化合物が好ましく、平均分子量1000以上がより好ましく、平均分子量2000以上がさらに好ましく、例えば、大豆蛋白質等の植物性蛋白質、カゼイン等の乳蛋白質、ゼラチン等の畜肉蛋白質、卵白等の卵蛋白質、オクテニルコハク酸澱粉ナトリウムやアラビアガム等の多糖類等が例示でき、2種類以上の乳化剤を組み合わせて用いてもよい。
【0014】
油脂は、本発明の水中油型乳化物が得られれば特に限定されず、豚脂、鶏油、牛脂、魚油、バター等の動物性油脂、大豆油、ゴマ油、落花生油、トウモロコシ油、菜種油、米油、ヤシ油、パーム油等の植物性油脂、硬化油等が例示でき、2種類以上の油を組み合わせて用いてもよい。また、予め香味素材存在下で加熱して香味油として用いてもよく、香味素材としては、油脂に香り付けできる素材であれば特に限定されないが、果実類、野菜類、種実類、肉類、魚介類、香辛料、調味料等が例示できる。水中油型乳化組成物中の油脂含量は、乳化剤1重量部に対し油脂0.2~20重量部が好ましく、0.3~15重量部がより好ましく、0.5~10重量部がさらに好ましい。
【0015】
本発明では、水中油型乳化物を乾燥助剤として含む液状食品を乾燥用原液として乾燥することで食品粉末が得られる。水中油型乳化物の平均粒子径は、本発明の食品粉末が得られれば特に限定されないが、5μm以下が好ましく、3μm以下がより好ましく、2μm以下がさらに好ましい。また、乾燥用原液中の固形分は、本発明の食品粉末が得られれば特に限定されないが、5重量%以上が好ましく、10重量%以上がより好ましく、20~50重量%がさらに好ましい。乾燥方法としては、噴霧乾燥、ドラムドライ、エアードライ、真空及び/又は凍結乾燥等から目的に応じて適宜選択できる。
【0016】
本発明に記載の液状食品は、特に限定されないが、例えば、野菜類、果実類等の植物エキスが例示でき、植物を搾汁、抽出等して、皮、種子等をろ過等により除去し、濃縮していてもよい。また、野菜類、果実類、豆類、穀類等の酵素処理液及び/又は発酵液、蜂蜜含有液等でもよく、単糖、二糖、有機酸、アミノ酸等、低分子物質を含み乾燥助剤なしでは乾燥困難な天然由来の液状食品が例示できる。
【0017】
本発明では、前記方法で、水中油型乳化物由来の固形分を乾燥助剤として含む、液状食品の乾燥品である食品粉末を製造できる。本方法は乾燥性が良く、得られる食品粉末は溶解性に優れ、溶解後の溶液は香り、味とも良く、かつ粉っぽさが感じられないという優れた効果を有する。食品粉末の水分含量は、10重量%以下が好ましく、9重量%以下がより好ましく、8重量%以下がさらに好ましい。食品粉末は、水中油型乳化物由来の固形分を含み、食品粉末を100重量%とした場合に、水中油型乳化物の固形分を20~80重量%含むのが好ましく、30~70重量%含むのがより好ましい。また、食品粉末は、植物エキス由来の固形分を含む植物エキス粉末であるのが好ましく、食品粉末を100重量%とした場合に、植物エキスの固形分を20~80重量%含むのが好ましく、30~70重量%含むのがより好ましい。
【実施例
【0018】
以下、実施例を示して本発明を具体的に説明するが、本発明は以下の例によって限定されるものではない。尚、本発明において、%は別記がない限り全て重量%である。
【実施例1】
【0019】
水道水300gに、乳化剤として大豆タンパク質(フジプロ(登録商標)F、不二製油株式会社製)15g及び植物エキスとしてニンニク抽出液(ガーリックエキスAK-3393、固形分:62%、池田糖化工業株式会社製)130gを加えて80℃で加熱溶解した後、油脂として精製パーム油(不二製油株式会社製)60gを加えて混合した。次いで、高圧ホモジナイザーを用いて乳化処理(40MPa)することで、水中油型乳化組成物及びニンニク抽出液を含む乾燥用原液480gを得た。乾燥用原液のうち100gをチャンバー温度85℃の条件で噴霧乾燥することにより、ニンニクエキス粉末25g(実施品1)を得た。
【0020】
[比較例1-1]
乳化処理を実施しない以外は、実施例1と同様に処理し、大豆タンパク質、精製パーム油及びニンニク抽出液を含む乾燥用原液480gを得た。乾燥用原液のうち100gをチャンバー温度85℃の条件で噴霧乾燥したが、乾燥性が悪く、ニンニクエキス粉末は得られなかった。
【0021】
[比較例1-2]
水道水300gに、乾燥助剤として澱粉分解物(パインデックス(登録商標)#2、松谷化学工業株式会社製)75g及び植物エキスとしてニンニク抽出液(ガーリックエキスAK-3393、固形分:62%)130gを加えて80℃で加熱溶解することで、澱粉分解物及びニンニク抽出液を含む乾燥用原液480gを得た。乾燥用原液のうち100gをチャンバー温度85℃の条件で噴霧乾燥することにより、ニンニクエキス粉末25g(比較品1-2)を得た。
【0022】
[比較例1-3]
乳化剤として大豆レシチン(レシオン(登録商標)P、理研ビタミン株式会社製)を使用する以外は、実施例1と同様に処理し、大豆レシチン、精製パーム油及びニンニク抽出液を含む乾燥用原液480gを得た。乾燥用原液のうち100gをチャンバー温度85℃の条件で噴霧乾燥したが、乾燥性が悪く、ニンニクエキス粉末は得られなかった。
【実施例2】
【0023】
水道水280gに、乳化剤としてオクテニルコハク酸澱粉ナトリウム(エマルスター(登録商標)500A、松谷化学工業株式会社製)45gを加えて80℃で加熱溶解した後、油脂として精製パーム油45gを加えて混合した。次いで、高圧ホモジナイザーを用いて乳化処理(40MPa)した後、植物エキスとしてトマト抽出液(トマトエキスAK-3967、固形分:45%、池田糖化工業株式会社製)135gを加えて混合するこをで、水中油型乳化組成物及びトマト抽出液を含む乾燥用原液480gを得た。乾燥用原液のうち100gをチャンバー温度80℃の条件で噴霧乾燥することにより、トマトエキス粉末20g(実施品2)を得た。
【0024】
[比較例2-1]
乳化処理を実施しない以外は、実施例2と同様に処理し、オクテニルコハク酸澱粉ナトリウム、精製パーム油及びトマト抽出液を含む乾燥用原液480gを得た。乾燥用原液のうち100gをチャンバー温度80℃の条件で噴霧乾燥したが、乾燥性が悪く、トマトエキス粉末は得られなかった。
【0025】
[比較例2-2]
水道水280gに、乾燥助剤としてオクテニルコハク酸澱粉ナトリウム(エマルスター(登録商標)500A)90gを加えて80℃で加熱溶解した後、植物エキスとしてトマト抽出液(トマトエキスAK-3967、固形分:45%)135gを加えて混合することで、オクテニルコハク酸澱粉ナトリウム及びトマト抽出液を含む乾燥用原液480gを得た。乾燥用原液のうち100gをチャンバー温度80℃の条件で噴霧乾燥することにより、トマトエキス粉末20g(比較品2-2)を得た。
【実施例3】
【0026】
水道水230gに、乳化剤としてオクテニルコハク酸澱粉ナトリウム(エマルスター(登録商標)500A)45gを加えて80℃で加熱溶解した後、油脂として精製パーム油45gを加えて混合した。次いで、高圧ホモジナイザーを用いて乳化処理(40MPa)した後、植物エキスとして濃縮ピーチ混濁果汁(固形分:35%、日本果実加工株式会社製)190gを加えて混合することで、水中油型乳化組成物及び濃縮ピーチ混濁果汁を含む乾燥用原液500gを得た。乾燥用原液のうち100gをチャンバー湿度80℃の条件で噴霧乾燥することにより、桃エキス粉末25g(実施品3)を得た。
【0027】
[比較例3-1]
乳化処理を実施しない以外は、実施例3と同様に処理し、オクテニルコハク酸澱粉ナトリウム、精製パーム油及び濃縮ピーチ混濁果汁を含む乾燥用原液500gを得た。乾燥用原液のうち100gをチャンバー温度80℃の条件で噴霧乾燥したが、乾燥性が悪く、桃エキス粉末は得られなかった。
【0028】
[比較例3-2]
水道水230gに、乾燥助剤としてオクテニルコハク酸澱粉ナトリウム(エマルスター(登録商標)500A)及び澱粉分解物(パインデックス(登録商標)#2)を各45g加えて80℃で加熱溶解した後、植物エキスとして濃縮ピーチ混濁果汁(固形分:35%)190gを加えて混合することで、オクテニルコハク酸澱粉ナトリウム、澱粉分解物及び濃縮ピーチ混濁果汁を含む乾燥用原液500gを得た。乾燥用原液のうち100gをチャンバー温度80℃の条件で噴霧乾燥することにより、桃エキス粉末25g(比較品3-2)を得た。
【0029】
[評価試験]
実施例1、2及び3の乾燥用原液について、粒度分布測定装置(SALD-2200、株式会社島津製作所製)を用いて乳化粒子の平均粒子径を測定した。また、実施品1~3、並びに比較品1-2、2-2及び3-2について、常圧加熱乾燥法(105℃、5時間)にて水分を測定した。さらに、実施品1~3、並びに比較品1-2、2-2及び3-2について、熱湯100gに各5gを加えて溶解させる際の溶解性を評価するともに、官能評価を実施した。官能評価は、各溶液について、香りの強弱、旨味及びコク味(実施品1、比較品1-2、実施品2及び比較品2-2)又は甘味の持続性(実施品3及び比較品3-2)の強弱、並びに粉っぽさの有無を評価した。結果を表1に示す。
【0030】
【表1】
【0031】
実施例1~3の乾燥用原液中の乳化粒子は0.68~1.39μmで、何れも2μm以下と微細で、乳化処理を行うことで、乾燥用原液中に微細な乳化物を含んでいることが分かった。一方、乳化処理を行わなかった比較例1-1、2-1及び3-1は、実施例1~3と同じ原料であっても乾燥性が悪く食品粉末が得られなかった。植物エキスに単に乳化剤と油脂を添加するだけでは粉末が得られず、乳化処理を行って乳化物とすることで、乾燥助剤となり得ることが分かった。また、比較例1-3は乳化処理を行ったにも関わらず乾燥性が悪く食品粉末が得られなかった。乳化剤として水溶性高分子化合物を用いた乳化物が、乾燥助剤として好ましいことが分かった。
【0032】
実施品1は比較品1-2のニンニクエキス粉末に比べ水分含量が低く、実施品2は比較品2-2のトマトエキス粉末に比べ水分含量が低く、また実施品3は比較品3-2の桃エキス粉末に比べ水分含量が低く、何れも、各比較品に比べ実施品の方が乾燥性が良好だった。さらに、各比較品に比べ実施品の方が、水への溶解性も良好だった。よって、乳化物を乾燥助剤とする方が、澱粉分解物及び/又は加工澱粉であるオクテニルコハク酸澱粉ナトリウムを乾燥助剤とするよりも、乾燥性が良く、かつ溶解性も良いことが分かった。
【0033】
粉末溶解後の官能評価として、実施品1~3、並びに比較品1-2、2-2及び3-2について、香りは何れも強かったが、旨味及びコク味は実施品1及び2が強く、比較品1-2及び2-2は弱く、甘味の持続性は実施品3が強く、比較品3-2は弱かった。さらに、実施品1~3は何れも粉っぽさが無かったのに対し、比較品1-2、2-2及び3-2は何れも粉っぽかった。よって、乳化物を乾燥助剤とする方が、澱粉分解物及び/又は加工澱粉であるオクテニルコハク酸澱粉ナトリウムを乾燥助剤とするよりも、旨味やコク味が良く、甘味の持続性もあり、かつ粉っぽさが感じられないことが分かった。
【0034】
以上より、植物エキスは、粉末化において乾燥助剤を必要とし、さらに単に乳化剤と油脂を添加するだけではなく、乳化処理を行って水中油型乳化物として乾燥助剤にすることで、乾燥性が良く、さらに、得られる粉末は水等への溶解性に優れ、溶解後の溶液は香り、味とも良く、かつ粉っぽさが感じられないという優れた効果を有することが分かった。