(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-15
(45)【発行日】2022-01-14
(54)【発明の名称】断線検査装置
(51)【国際特許分類】
G01R 31/54 20200101AFI20220106BHJP
【FI】
G01R31/54
(21)【出願番号】P 2017241783
(22)【出願日】2017-12-18
【審査請求日】2020-10-28
(73)【特許権者】
【識別番号】507151526
【氏名又は名称】株式会社GSユアサ
(74)【代理人】
【識別番号】110001036
【氏名又は名称】特許業務法人暁合同特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】田和 速人
(72)【発明者】
【氏名】池本 準
(72)【発明者】
【氏名】川本 和幸
(72)【発明者】
【氏名】小西 大助
【審査官】島田 保
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-172992(JP,A)
【文献】特開2013-011596(JP,A)
【文献】特開2012-084443(JP,A)
【文献】特開2003-014828(JP,A)
【文献】特開2014-206453(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0025815(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01R 31/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
蓄電装置の断線検査装置であって、
前記蓄電装置は一列に配列されている複数の蓄電素子の各々に電圧計測回路が2本の電線によって並列に接続されているものであり、
当該断線検査装置は、
前記蓄電素子毎に設けられており、当該蓄電素子と前記電圧計測回路とを並列に接続している2本の前記電線のうち一方の前記電線に一端が接続され、他方の前記電線に他端が接続される電流経路と、
前記蓄電素子の配列方向の一方の端にある前記電流経路を除いて各前記電流経路に設けられている常開式の第1のスイッチと、
前記蓄電素子の配列方向の他方の端にある前記電流経路を除いて各前記電流経路に設けられており、当該電流経路に電流が流れると当該電流経路に対して前記配列方向の前記他方の側に隣接している別の前記電流経路の前記第1のスイッチを閉じる駆動部と、
前記他方の端にある前記電流経路に設けられており、当該電流経路に電流が流れると外部に信号を出力する出力部と、
を備える、断線検査装置。
【請求項2】
請求項1に記載の断線検査装置であって、
一の前記電流経路に設けられている前記駆動部と当該一の前記電流経路に対して前記配列方向の他方の側に隣接している別の前記電流経路に設けられている前記第1のスイッチとが一つのアイソレータによって構成されており、前記駆動部は当該アイソレータの発光部であり、前記第1のスイッチは当該アイソレータの受光部である、断線検査装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の断線検査装置であって、
前記一方の端にある前記電流経路に常開式の第2のスイッチが設けられている、断線検査装置。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の断線検査装置であって、
前記出力部はアイソレータである、断線検査装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書で開示する技術は、蓄電素子と電圧計測回路とを並列に接続している電線の断線を検査する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、蓄電素子と電圧計測回路とが電線によって並列に接続されている蓄電装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。具体的には、特許文献1に記載の蓄電装置は複数のセル(蓄電素子に相当)のそれぞれに電圧検出回路(電圧計測回路に相当)が電線によって並列に接続されており、電圧検出回路によって計測された電圧値が蓄電装置の電池管理装置(BMS:Battery Management System)に送信される。
【0003】
特許文献1に記載の蓄電装置は、各セルに並列に接続されている均等化回路も備えている。均等化回路はスイッチ素子と放電抵抗とが直列に接続された回路であり、BMSがスイッチ素子をオン動作させるとセルの電力が放電抵抗によって放電される。このため、相対的に充電状態(SOC:State Of Charge)が大きいセルを放電させることによって各セルの充電状態を均等化できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
セルと電圧検出回路とを並列に接続している電線は断線している可能性もある。このため、蓄電装置を工場などから出荷する前に断線を検査することが望ましい。
通常、電線が断線すると電圧は不定になるので、電圧検出回路によって断線を検査することはできない。しかしながら、特許文献1に記載の蓄電装置のようにセル毎にスイッチ素子と放電抵抗とを備えている場合はソフトウェアによる制御によって断線を検査することが可能である。具体的には、電線が断線している場合はスイッチ素子をオン動作させると放電抵抗があることによって電圧が0になる。このため、ソフトウェアによる制御によってセル毎に順にスイッチ素子を排他的にオン動作させて電圧を計測することにより、電線の断線を検査できる。
【0006】
しかしながら、蓄電装置に新たなソフトウェアを組み込む許可を得ることが難しい場合もある。例えば航空機に搭載される蓄電装置は安全上の理由などから新たなソフトウェアを組み込む許可を得ることが難しい。
本明細書では、蓄電素子と電圧計測回路とを並列に接続している電線の断線を、蓄電装置に断線検査用のソフトウェアを組み込むことなく検査できる技術を開示する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本明細書で開示する断線検査装置は、蓄電装置の断線検査装置であって、前記蓄電装置は一列に配列されている複数の蓄電素子の各々に電圧計測回路が2本の電線によって並列に接続されているものであり、当該断線検査装置は、前記蓄電素子毎に設けられており、当該蓄電素子と前記電圧計測回路とを並列に接続している2本の前記電線のうち一方の前記電線に一端が接続され、他方の前記電線に他端が接続される電流経路と、前記蓄電素子の配列方向の一方の端にある前記電流経路を除いて各前記電流経路に設けられている常開式の第1のスイッチと、前記蓄電素子の配列方向の他方の端にある前記電流経路を除いて各前記電流経路に設けられており、当該電流経路に電流が流れると当該電流経路に対して前記配列方向の前記他方の側に隣接している別の前記電流経路の前記第1のスイッチを閉じる駆動部と、前記他方の端にある前記電流経路に設けられており、当該電流経路に電流が流れると外部に信号を出力する出力部と、を備える。
【発明の効果】
【0008】
本明細書で開示する技術によれば、蓄電素子と電圧計測回路とを並列に接続している電線の断線を、蓄電装置に断線検査用のソフトウェアを組み込むことなく検査できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】実施形態1に係る蓄電装置の構成を示すブロック図
【発明を実施するための形態】
【0010】
(本実施形態の概要)
本明細書によって開示される断線検査装置は、蓄電装置の断線検査装置であって、前記蓄電装置は一列に配列されている複数の蓄電素子の各々に電圧計測回路が2本の電線によって並列に接続されているものであり、当該断線検査装置は、前記蓄電素子毎に設けられており、当該蓄電素子と前記電圧計測回路とを並列に接続している2本の前記電線のうち一方の前記電線に一端が接続され、他方の前記電線に他端が接続される電流経路と、前記蓄電素子の配列方向の一方の端にある前記電流経路を除いて各前記電流経路に設けられている常開式の第1のスイッチと、前記蓄電素子の配列方向の他方の端にある前記電流経路を除いて各前記電流経路に設けられており、当該電流経路に電流が流れると当該電流経路に対して前記配列方向の前記他方の側に隣接している別の前記電流経路の前記第1のスイッチを閉じる駆動部と、前記他方の端にある前記電流経路に設けられており、当該電流経路に電流が流れると外部に信号を出力する出力部と、を備える。
【0011】
上記の断線検査装置によると、蓄電素子の配列方向の一方の端にある電流経路が接続されている電線が断線していなければ当該一方の端にある電流経路に蓄電素子から電流が流れる。当該一方の端にある電流経路に電流が流れると、当該一方の端にある電流経路に設けられている駆動部によって、当該一方の端にある電流経路に対して前記配列方向の他方の側に隣接している別の電流経路の第1のスイッチが閉じられる。
当該別の電流経路の第1のスイッチが閉じられると、当該別の電流経路が接続されている電線が断線していなければ当該別の電流経路に蓄電素子から電流が流れる。当該別の電流経路に電流が流れると、当該別の電流経路に設けられている駆動部によって、当該別の電流経路に対して前記配列方向の他方の側に隣接している更に別の電流経路の第1のスイッチが閉じられる。
いずれの電線も断線していない場合は上述した動作が連鎖的に行われることによって他方の端にある電流経路に電流が流れるので、他方の端にある電流経路に設けられている出力部によって信号が出力される。このため、出力部によって出力される信号をモニターすることにより、複数の蓄電素子の各々に電圧計測回路を並列に接続している電線の断線を、蓄電装置に断線検査用のソフトウェアを組み込むことなく検査できる。
【0012】
一の前記電流経路に設けられている前記駆動部と当該一の前記電流経路に対して前記配列方向の他方の側に隣接している別の前記電流経路に設けられている前記第1のスイッチとが一つのアイソレータによって構成されており、前記駆動部は当該アイソレータの発光部であり、前記第1のスイッチは当該アイソレータの受光部であってもよい。
【0013】
上記の断線検査装置によると、アイソレータは故障しても短絡し難いので、第1のスイッチと駆動部とをアイソレータによって構成すると安全性を向上させることができる。
【0014】
前記一方の端にある前記電流経路に常開式の第2のスイッチが設けられていてもよい。
【0015】
上記の断線検査装置によると、検査を行うときのみ第2のスイッチを閉じることにより、検査を行わないときの電力消費を抑制できる。
【0016】
前記出力部はアイソレータであってもよい。
【0017】
上記の断線検査装置によると、アイソレータは故障しても短絡し難いので、出力部をアイソレータによって構成すると安全性を向上させることができる。
【0018】
なお、本明細書によって開示される技術は、装置、方法、これらの装置または方法の機能を実現するためのコンピュータプログラム、そのコンピュータプログラムを記録した記録媒体等の種々の態様で実現できる。
【0019】
<実施形態1>
実施形態1を
図1ないし
図2によって説明する。便宜上、以降の説明では
図2に示す複数の電池セル15の配列方向を上下方向といい、下側を配列方向の一方の側、上側を他方の側という。
【0020】
(1)バッテリの電気的構成
図1を参照して、本実施形態に係る断線検査装置1(
図2参照)の検査対象であるバッテリ10(蓄電装置の一例)について説明する。バッテリ10は航空機などに搭載されて電気機器に電力を供給するものである。
バッテリ10はバッテリケース11、正極外部端子12P、負極外部端子12N、組電池13、及び、電池管理装置(BMS:Battery Management System)14を備えている。以降の説明では電池管理装置14のことをBMS14という。
【0021】
組電池13は複数の電池セル15(15A~15F)が直列に接続されたものである。各電池セル15(蓄電素子の一例)は繰り返し充電可能な二次電池であり、具体的には例えばリチウムイオン電池である。
【0022】
BMS14は組電池13を管理するものである。BMS14は管理部16、電流計測回路17、電圧計測回路18、及び、複数の均等化回路19を備えている。
管理部16は組電池13から供給される電力によって動作するものである。管理部16はCPU16A、ROM16B、RAM16Cなどを備えている。ROM16Bには各種の制御プログラムやデータなどが記憶されている。CPU16AはROM16Bに記憶されている制御プログラムを実行することによってバッテリ10の各部を制御する。
【0023】
電流計測回路17は組電池13と直列に接続されている。電流計測回路17は組電池13に流れる電流の電流値I[A]を計測して管理部16に出力する。
電圧計測回路18は複数の電線20(20A~20G)によって各電池セル15に並列に接続されている。例えば電圧計測回路18は電線20Aと電線20Bとによって電池セル15Aに並列に接続されており、電線20Bと電線20Cとによって電池セル15Bに並列に接続されている。電圧計測回路18は各電池セル15の端子電圧である電圧値V[V]を計測して管理部16に出力する。
【0024】
各電線20には後述する断線検査装置1が備える装置側接点31(
図2参照)が接続される電線側接点21が設けられている。電線側接点21はバッテリケース11の内部に収容されており、バッテリケース11を開けると外に露出する。
【0025】
複数の均等化回路19はそれぞれ電池セル15に並列に接続されている。均等化回路19は管理部16によって電気的に開閉されるスイッチ22と放電抵抗23とが直列に接続された回路であり、スイッチ22を閉じるとそのスイッチ22に対応する電池セル15の電力が放電抵抗23によって放電される。以降の説明ではスイッチを閉じることを「スイッチをオンにする」ともいう。
断線検査装置1の検査対象となるバッテリ10は均等化回路19を備えているものに限定されるものではなく、均等化回路19を備えていなくてもよい。
【0026】
(2)断線検査装置
図2を参照して、断線検査装置1について説明する。断線検査装置1は電池セル15と電圧計測回路18とを並列に接続している電線20の断線を検査する冶具である。断線検査装置1は断線を検査するときにバッテリ10に取り付けられ、検査が終了するとバッテリ10から取り外される。
【0027】
断線検査装置1は複数の電流経路30(30A~30G)を備えている。これらの電流経路30は電池セル15に対応して設けられている。
図2において下端にある電流経路30Aは電池セル15の配列方向の一方の端にある電流経路の一例であり、上端にある電流経路30Fは電池セル15の配列方向の他方の端にある電流経路の一例である。
【0028】
各電流経路30の両端にはそれぞれ装置側接点31が設けられている。本実施形態では隣り合う電流経路30の端部が合流しており、その合流した先に装置側接点31が設けられている。このため隣り合う2つの電流経路30の間には装置側接点31が1つだけ設けられている。言い換えると、隣り合う2つの電流経路30によって一つの装置側接点31が共有されている。
【0029】
各電流経路30の両端に設けられている2つの装置側接点31のうち一方の装置側接点31はその電流経路30に対応する電池セル15と電圧計測回路18とを並列に接続している2本の電線20のうち一方の電線20の電線側接点21に接続され、他方の装置側接点31は他方の電線20の電線側接点21に接続される。例えば電流経路30Aの両端に設けられている2つの装置側接点31のうち一方の装置側接点31は電池セル15Aと電圧計測回路18とを並列に接続している2本の電線20A及び20Bのうち一方の電線20Aの電線側接点21に接続され、他方の装置側接点31は他方の電線20Bの電線側接点21に接続される。
【0030】
下端(すなわち一方の端)にある電流経路30Aを除いて、各電流経路30B~30Fには常開式の第1のスイッチ32が設けられている。また、上端(すなわち他方の端)にある電流経路30Fを除いて、各電流経路30A~30Eには上側に隣接している別の電流経路30の第1のスイッチ32を閉じる駆動部33が設けられている。
【0031】
本実施形態では一の電流経路30に設けられている駆動部33と当該一の電流経路30の上側に隣接している別の電流経路30に設けられている第1のスイッチ32とが一つのフォトカプラ34(アイソレータの一例)によって構成されている。具体的には、一の電流経路30に設けられている駆動部33はフォトカプラ34の発光部であり、上側に隣接している別の電流経路30に設けられている第1のスイッチ32はそのフォトカプラ34の受光部である。
【0032】
各駆動部33(すなわちフォトカプラ34の発光部)には電流経路30に電流が流れていないときにフォトカプラ34がオンになることを防止するための抵抗35が並列に接続されている。抵抗35は設けられていなくてもよい。
【0033】
便宜上、以降の説明では、各電流経路30について、その電流経路30とその電流経路30の下側に隣接している電流経路30とに跨って設けられているフォトカプラ34のことをその電流経路30の下側フォトカプラ34といい、その電流経路30とその電流経路30の上側に隣接している電流経路30とに跨って設けられているフォトカプラ34のことをその電流経路30の上側フォトカプラ34というものとする。このため、一つのフォトカプラ34は下側の電流経路30から見ると上側フォトカプラ34であり、上側の電流経路30から見ると下側フォトカプラ34であることになる。
【0034】
各電流経路30には整流素子36が設けられている。整流素子36は電流の逆流を防止するためのものである。
下端にある電流経路30Aには常開式の第2のスイッチ38が設けられている。第2のスイッチ38は断線を検査するときに作業者によって手動でオンにされる。第2のスイッチ38は外部の機器によって電気的にオンにされる構成であってもよい。
【0035】
上端にある電流経路30Fにはフォトカプラ39(出力部、アイソレータの一例)が設けられている。フォトカプラ39にも抵抗35が並列に設けられている。フォトカプラ39には図示しないLEDが接続される。なお、フォトカプラ39にはLEDではなく他の機器が接続されてもよい。
【0036】
(3)断線検査装置の作動
断線の検査では、作業者は断線検査装置1の各装置側接点31をそれぞれバッテリ10の対応する電線側接点21に接続し、その後に第2のスイッチ38をオンにする。
作業者が第2のスイッチ38をオンにすると、電線20A及び20Bが断線していなければ電池セル15Aから電流経路30Aに電流が流れる。電流経路30Aに電流が流れると、電流経路30Aに設けられている駆動部33(すなわち電流経路30Aの上側フォトカプラ34の発光部33)が発光することにより、上側に隣接している別の電流経路30Bの第1のスイッチ32(すなわち電流経路30Aの上側フォトカプラ34の受光部32)がオンになる。
【0037】
電流経路30Bの第1のスイッチ32がオンになると、電線20B及び20Cが断線していなければ電池セル15Bから電流経路30Bに電流が流れる。電流経路30Bに電流が流れると、電流経路30Bに設けられている駆動部33(すなわち電流経路30Bの上側フォトカプラ34の発光部33)が発光することにより、上側に隣接している更に別の電流経路30Cの第1のスイッチ32(すなわち電流経路30Bの上側フォトカプラ34の受光部32)がオンになる。
【0038】
いずれの電線20も断線していない場合は上述した動作が連鎖的に行われることによって上端にある電流経路30Fに電流が流れる。上端にある電流経路30Fに電流が流れるとフォトカプラ39の発光部39Aが発光し、フォトカプラ34の受光部39Bがオンになって図示しないLEDに電流が流れる。言い換えるとフォトカプラ34からLEDに信号が出力される。これによりLEDが点灯し、作業者は断線がないことを知ることができる。
【0039】
これに対し、いずれかの電線20(より具体的にはいずれかの電線20において電線側接点21よりも電池セル15側の区間40)が断線している場合は、断線している電線20に接続されている電流経路30の第1のスイッチ32(すなわちその電流経路30の下側フォトカプラ34の受光部32)がオンにされてもその電流経路30に電流が流れない。このためその電流経路30の駆動部33(すなわちその電流経路30の上側フォトカプラ34の発光部33)が発光せず、その電流経路30より上側の電流経路30も電流が流れない。このためLEDが点灯しない。これにより作業者はいずれかの電線20が断線していることを知ることができる。
【0040】
(4)実施形態の効果
実施形態1に係る断線検査装置1によると、いずれの電線20も断線していない場合は電流経路30Fに電流が流れるので、フォトカプラ39がオンになってLEDが点灯する。逆に、いずれかの電線20が断線している場合は電流経路30Fに電流が流れないのでLEDが点灯しない。このため、LEDをモニターすることにより、複数の電池セル15の各々に電圧計測回路18を並列に接続している電線20の断線を、バッテリ10の管理部16に断線検査用のソフトウェアを組み込むことなく検査できる。
【0041】
断線検査装置1によると、一の電流経路30に設けられている駆動部33と当該一の電流経路30の上側に隣接している別の電流経路30に設けられている第1のスイッチ32とが一つのフォトカプラ34によって構成されている。フォトカプラ34は故障しても短絡し難いので、第1のスイッチ32と駆動部33とをフォトカプラ34によって構成すると安全性を向上させることができる。
【0042】
断線検査装置1によると、下端にある電流経路30Aに当該電流経路30Aを開閉する常開式の第2のスイッチ38が設けられているので、検査を行うときのみ第2のスイッチ38を閉じることにより、検査を行わないときの電力消費を抑制できる。
【0043】
断線検査装置1によると、出力部はフォトカプラ39である。フォトカプラ39は故障しても短絡し難いので、出力部をフォトカプラ39によって構成すると安全性を向上させることができる。
【0044】
<他の実施形態>
本明細書で開示される技術は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような種々の態様も含まれる。
【0045】
(1)上記実施形態では検査時だけバッテリ10に接続される断線検査装置1を例に説明したが、断線検査装置1はバッテリ10の一部としてバッテリ10に組み込まれてもよい。
【0046】
(2)上記実施形態では下端の電流経路30Aに第2のスイッチ38が設けられている場合を例に説明したが、第2のスイッチ38は設けられていなくてもよい。具体的には、検査時だけバッテリ10に接続される断線検査装置1の場合は、第2のスイッチ38がなければ断線検査装置1をバッテリ10に接続しただけで電流経路30Aに電流が流れるので、作業者は断線検査装置1を接続した後に第2のスイッチ38を操作する必要がない。このため作業効率が向上する。
【0047】
これに対し、断線検査装置1がバッテリ10の内部に組み込まれる場合は第2のスイッチ38がないと全ての電流経路30に常時電流が流れるので、電力消費を抑制するために第2のスイッチ38を備えることが望ましい。バッテリ10の内部に組み込まれる断線検査装置1であっても第2のスイッチ38を設けないようにしてもよい。
【0048】
(3)上記実施形態では第1のスイッチ32と駆動部33とがフォトカプラ34によって構成されている場合を例に説明したが、第1のスイッチ32と駆動部33とは常開式のリレーによって構成されてもよいし、トランジスタやFETによって構成されてもよい。
【0049】
(4)上記実施形態では出力部としてフォトカプラ39を例に説明したが、出力部は常開式のリレーによって構成されてもよいし、トランジスタやFETによって構成されてもよい。
【0050】
(5)上記実施形態では複数の電池セル15が直列に接続されている場合を例に説明したが、これらの電池セル15は必ずしも直列に接続されていなくてもよい。例えばこれらの電池セル15は互いに接続されていなくてもよい。
【0051】
(6)上記実施形態ではバッテリ10が複数の電池セル15を有している場合を例に説明したが、電池セル15は一つだけであってもよい。その場合はその電池セル15に対応する電流経路30に出力部が設けられ、下側フォトカプラ34や上側フォトカプラ34は設けられない。
【0052】
(7)上記実施形態では電池セル15としてリチウムイオン電池を例に説明したが、電池セル15は鉛蓄電池であってもよい。
【符号の説明】
【0053】
1…断線検査装置、10…バッテリ(蓄電装置の一例)、15(15A~15F)…電池セル(蓄電素子の一例)、18…電圧計測回路、20(20A~20G)…電線、30(30A~30G)…電流経路、32…第1のスイッチ、33…駆動部、34…フォトカプラ(アイソレータの一例)、38…第2のスイッチ、39…フォトカプラ(出力部、アイソレータの一例)