(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-15
(45)【発行日】2022-01-14
(54)【発明の名称】サーバシステム、サーバ、プログラム
(51)【国際特許分類】
G06F 13/00 20060101AFI20220106BHJP
G06F 21/31 20130101ALI20220106BHJP
【FI】
G06F13/00 510A
G06F21/31
(21)【出願番号】P 2017211048
(22)【出願日】2017-10-31
【審査請求日】2020-09-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121599
【氏名又は名称】長石 富夫
(72)【発明者】
【氏名】加世田 匠
【審査官】木村 雅也
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-010769(JP,A)
【文献】特開2014-186655(JP,A)
【文献】特開2017-187818(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 13/00
G06F 21/31
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のサーバが専用ネットワークに接続されたサーバシステムであって、
前記
複数のサーバ
のうちの一のサーバは、
クライアントが前記
一のサーバの許可するアカウントで接続してきた場合は、前記
一のサーバのサービスを前記クライアントに提供する通常動作となり、
クライアントが前記専用ネットワーク上の
前記一のサーバ以外の他の
一のサーバの許可するアカウントで接続してきた場合は、前記クライアントを、前記
一のサーバおよび前記専用ネットワークを通じて前記他の
一のサーバに接続する中継動作を行う、
ことを特徴とするサーバシステム。
【請求項2】
前記
一のサーバは、前記中継動作を行う場合は前記
一のサーバのサービスを前記クライアントに提供しない
ことを特徴とする請求項1に記載のサーバシステム。
【請求項3】
前記
一のサーバは、クライアントから受信したアカウントに所属情報が付加されている場合は、前記受信したアカウントが前記所属情報の示す他の
一のサーバの許可するアカウントであるか否かを調べ、前記受信したアカウントが前記所属情報の示す他の
一のサーバの許可するアカウントである場合に前記中継動作を行い、
クライアントは、該クライアントの属するサーバに接続するときは前記所属情報を付加しないアカウントを前記サーバに送信し、該クライアントの属さないサーバに接続するときは前記所属情報を付加したアカウントを前記サーバに送信する
ことを特徴とする請求項1または2に記載のサーバシステム。
【請求項4】
前記
一のサーバは、クライアントから受信したアカウントに所属情報が付加されている場合に、前記受信したアカウントが前記所属情報が示す他の
一のサーバの許可するアカウントであるか否かを、前記所属情報が示す他の
一のサーバに問い合わせる
ことを特徴とする請求項3に記載のサーバシステム。
【請求項5】
各サーバのアドレスと所属情報とを対応付けて記憶している管理サーバを備え、
前記
一のサーバは、クライアントから受信したアカウントに所属情報が付加されている場合に、前記所属情報に対応するサーバのアドレスを前記管理サーバに問い合わせる
ことを特徴とする請求項4に記載のサーバシステム。
【請求項6】
前記
一のサーバは、各サーバのアドレスと所属情報とを対応付けて記憶したアドレスリストを有し、クライアントから受信したアカウントに所属情報が付加されている場合に、前記所属情報に対応するサーバのアドレスを前記アドレスリストを参照して特定する
ことを特徴とする請求項4に記載のサーバシステム。
【請求項7】
前記
一のサーバは、前記中継動作において通信を暗号化する
ことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1つに記載のサーバシステム。
【請求項8】
中継先の他の
一のサーバに直接接続した場合の通信品質が一定以下の場合は、別のサーバをさらに介在させたルートで前記中継動作を行う
ことを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1つに記載のサーバシステム。
【請求項9】
別のサーバが介在する中継動作を許可するか否かの設定を、予めもしくは都度受け付ける設定部をさらに有する
ことを特徴とする請求項8に記載のサーバシステム。
【請求項10】
前記
一のサーバは、前記
一のサーバとの接続に適した場所情報をクライアントに通知する通知部を有する
ことを特徴とする請求項1乃至9のいずれか1つに記載のサーバシステム。
【請求項11】
前記通知部は、クライアントに前記場所情報を地図情報として提供する
ことを特徴とする請求項10に記載のサーバシステム。
【請求項12】
前記所属情報は、ドメイン、ID、所属名、会社名、組織名、IPアドレスのいずれかである
ことを特徴とする請求項3乃至6のいずれか1つに記載のサーバシステム。
【請求項13】
課金管理サーバを有し、
該課金管理サーバは、前記中継動作に関する料金を、中継先のサーバの属する課金グループに課金する
ことを特徴とする請求項1乃至12のいずれか1つに記載のサーバシステム。
【請求項14】
前記課金管理サーバは、クライアントと一の課金グループに属するサーバとの通信を他の課金グループに属するサーバが中継した場合に生じた該中継に係る料金と、クライアントと前記他の課金グループに属するサーバとの通信を前記一の課金グループに属するサーバが中継した場合に生じた該中継に係る料金とを相殺する
ことを特徴とする請求項13に記載のサーバシステム。
【請求項15】
専用ネットワークに接続されたサーバであって、
接続してきたクライアントから受信したアカウントが前記サーバの許可するアカウントか否かを確認する第1確認部と、
接続してきたクライアントから受信したアカウントが他のサーバの許可するアカウントか否かを確認する第2確認部と、
前記第1確認部によってアカウントが確認されたクライアントに前記サーバのサービスを提供するサービス提供部と、
前記第2確認部によってアカウントが他のサーバの許可するアカウントであることが確認されたクライアントを、前記サーバを介して、前記アカウントを許可する他のサーバに中継接続する中継部と、
を有する
ことを特徴とするサーバ。
【請求項16】
前記サービス提供部は、前記中継部によって中継接続されるクライアントに対して前記サーバのサービスを提供しない
ことを特徴とする請求項15に記載のサーバ。
【請求項17】
前記第2確認部は、クライアントから受信したアカウントに所属情報が付加されている場合は、前記受信したアカウントが前記所属情報の示す他のサーバの許可するアカウントであるか否かを調べる、
ことを特徴とする請求項15または16に記載のサーバ。
【請求項18】
前記第2確認部は、前記受信したアカウントが前記所属情報の示す他のサーバの許可するアカウントであるか否かを、前記所属情報の示す他のサーバに問い合わせる
ことを特徴とする請求項17に記載のサーバ。
【請求項19】
前記第2確認部は、所属情報に対応するサーバのアドレスを、各サーバのアドレスと所属情報とを対応付けて記憶している管理サーバに問い合わせる
ことを特徴とする請求項18に記載のサーバ。
【請求項20】
各サーバのアドレスと所属情報とを対応付けて記憶したアドレスリストを有し、
前記第2確認部は、前記所属情報に対応するサーバのアドレスを前記アドレスリストを参照して特定する
ことを特徴とする請求項18に記載のサーバ。
【請求項21】
前記中継部は、前記中継接続する通信を暗号化する
ことを特徴とする請求項15乃至20のいずれか1つに記載のサーバ。
【請求項22】
前記中継部は、前記アカウントを許可する他のサーバに直接中継接続した場合の通信品質が一定以下の場合は、別のサーバを介在させたルートで前記中継接続する
ことを特徴とする請求項15乃至21のいずれか1つに記載のサーバ。
【請求項23】
別のサーバを介在させたルートによる中継接続を許可するか否かの設定を、予めもしくは都度受け付ける設定部をさらに有する
ことを特徴とする22に記載のサーバ。
【請求項24】
前記サーバとの接続に適した場所情報をクライアントに通知する通知部を有する
ことを特徴とする請求項15乃至23のいずれか1つに記載のサーバ。
【請求項25】
前記通知部は、クライアントに前記場所情報を地図情報として提供する
ことを特徴とする請求項24に記載のサーバ。
【請求項26】
前記所属情報は、ドメイン、ID、所属名、会社名、組織名、IPアドレスのいずれかである
ことを特徴とする請求項17乃至20のいずれか1つに記載のサーバ。
【請求項27】
情報処理装置を、
請求項15乃至26のいずれか1つに記載のサーバとして動作させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、専用ネットワークを介して複数のサーバが接続されたサーバシステム、サーバおよび該サーバのプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
社内のサーバに社外の客先や出先から接続したい場合、通常、公衆モバイル回線や公衆Wi-Fiが利用される。
【0003】
1つの会社内においては、最適な中継を行ったり(下記特許文献1参照)、障害発生時にバックアップ装置に切り替えたりする(下記特許文献2参照)技術がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2013-211633号公報
【文献】特開2014-147055号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
クライアントの端末が自社のサーバに公衆Wi-FiのAP(アクセスポイント)などから接続する場合、そもそも出先にそのようなAPがないことがある。出先でAPを利用可能であってもこれを利用するためにはゲストアカウントとパスワードを事前に取得しなければならない。また、モバイル回線を利用して自社のサーバに接続してサービスを受けながら移動しているときに電波が弱くなって、たとえば、公衆Wi-FiのAPに接続を切り替えるためには、改めてログインする必要があるため、シームレスにサービスの提供を受け続けることはできない。
【0006】
なお、引用文献1、2は社内ネットワーク内での問題解決にすぎない。
【0007】
本発明は、上記の問題を解決しようとするものであり、クライアントがアカウントを有するサーバにアカウントのない他のサーバを介して手間なくシームレスに接続することができるサーバシステム、サーバ、プログラムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
かかる目的を達成するための本発明の要旨とするところは、次の各項の発明に存する。
【0009】
[1]複数のサーバが専用ネットワークに接続されたサーバシステムであって、
前記複数ののうちの一のサーバは、
クライアントが前記一のサーバの許可するアカウントで接続してきた場合は、前記一のサーバのサービスを前記クライアントに提供する通常動作となり、
クライアントが前記専用ネットワーク上の前記一のサーバ以外の他の一のサーバの許可するアカウントで接続してきた場合は、前記クライアントを、前記一のサーバおよび前記専用ネットワークを通じて前記他の一のサーバに接続する中継動作を行う、
ことを特徴とするサーバシステム。
【0010】
上記発明および下記[14]に示す発明では、クライアントが他のサーバの許可するアカウントで接続してきた場合は、該クライアントを、自サーバおよび専用ネットワークを通じて該他のサーバに中継接続する。
【0011】
[2]前記一のサーバは、前記中継動作を行う場合は前記一のサーバのサービスを前記クライアントに提供しない
ことを特徴とする[1]に記載のサーバシステム。
【0012】
上記発明および下記[17]に示す発明では、中継するクライアントは自サーバのアカウントを持つクライアントではないので、自サーバのサービスを提供しない。
【0013】
[3]前記一のサーバは、クライアントから受信したアカウントに所属情報が付加されている場合は、前記受信したアカウントが前記所属情報の示す他の一のサーバの許可するアカウントであるか否かを調べ、前記受信したアカウントが前記所属情報の示す他の一のサーバの許可するアカウントである場合に前記中継動作を行い、
クライアントは、該クライアントの属するサーバに接続するときは前記所属情報を付加しないアカウントを前記サーバに送信し、該クライアントの属さないサーバに接続するときは前記所属情報を付加したアカウントを前記サーバに送信する
ことを特徴とする[1]または[2]に記載のサーバシステム。
【0014】
上記発明では、サーバは、クライアントからのアカウントに所属情報が付加されているか否かにより、このクライアントが中継を望んでいるか否かを判別する。
【0015】
[4]前記一のサーバは、クライアントから受信したアカウントに所属情報が付加されている場合に、前記受信したアカウントが前記所属情報が示す他の一のサーバの許可するアカウントであるか否かを、前記所属情報が示す他の一のサーバに問い合わせる
ことを特徴とする[3]に記載のサーバシステム。
【0016】
上記発明および下記[18]に示す発明では、サーバは、クライアントから受信したアカウントが所属情報が示す他のサーバの許可するアカウントであるか否かを、該所属情報が示す他のサーバに問い合わせる。
【0017】
[5]各サーバのアドレスと所属情報とを対応付けて記憶している管理サーバを備え、
前記一のサーバは、クライアントから受信したアカウントに所属情報が付加されている場合に、前記所属情報に対応するサーバのアドレスを前記管理サーバに問い合わせる
ことを特徴とする[4]に記載のサーバシステム。
【0018】
上記発明および下記[19]に示す発明では、所属情報が示すサーバのアドレスを管理サーバに問い合わせる。
【0019】
[6]前記一のサーバは、各サーバのアドレスと所属情報とを対応付けて記憶したアドレスリストを有し、クライアントから受信したアカウントに所属情報が付加されている場合に、前記所属情報に対応するサーバのアドレスを前記アドレスリストを参照して特定する
ことを特徴とする[4]に記載のサーバシステム。
【0020】
上記発明および下記[20]に示す発明では、所属情報が示すサーバのアドレスを、自前のアドレスリストを参照して特定する。
【0021】
[7]前記一のサーバは、前記中継動作において通信を暗号化する
ことを特徴とする[1]乃至[6]のいずれか1つに記載のサーバシステム。
【0022】
[8]中継先の他の一のサーバに直接接続した場合の通信品質が一定以下の場合は、別のサーバをさらに介在させたルートで前記中継動作を行う
ことを特徴とする[1]乃至[7]のいずれか1つに記載のサーバシステム。
【0023】
上記発明および下記[22]に示す発明では、直接接続の通信品質が低い場合は、他のサーバをさらに介在させた別のルートで中継する。
【0024】
[9]別のサーバが介在する中継動作を許可するか否かの設定を、予めもしくは都度受け付ける設定部をさらに有する
ことを特徴とする[8]に記載のサーバシステム。
【0025】
[10]前記一のサーバは、前記一のサーバとの接続に適した場所情報をクライアントに通知する通知部を有する
ことを特徴とする[1]乃至[9]のいずれか1つに記載のサーバシステム。
【0026】
上記発明および下記[24]に示す発明では、自サーバとの接続に適した場所を、文字、地図情報などでクライアントに通知する。
【0027】
[11]前記通知部は、クライアントに前記場所情報を地図情報として提供する
ことを特徴とする[10]に記載のサーバシステム。
【0028】
[12]前記所属情報は、ドメイン、ID、所属名、会社名、組織名、IPアドレスのいずれかである
ことを特徴とする[3]乃至[6]のいずれか1つに記載のサーバシステム。
【0029】
[13]課金管理サーバを有し、
該課金管理サーバは、前記中継動作に関する料金を、中継先のサーバの属する課金グループに課金する
ことを特徴とする[1]乃至[12]のいずれか1つに記載のサーバシステム。
【0030】
[14]前記課金管理サーバは、クライアントと一の課金グループに属するサーバとの通信を他の課金グループに属するサーバが中継した場合に生じた該中継に係る料金と、クライアントと前記他の課金グループに属するサーバとの通信を前記一の課金グループに属するサーバが中継した場合に生じた該中継に係る料金とを相殺する
ことを特徴とする[13]に記載のサーバシステム。
【0031】
上記発明では、たとえば、A会社のクライアントがB会社のサーバを中継点としてA会社のサーバと通信したときの中継料金1と、B会社のクライアントがA会社のサーバを中継点としてB会社のサーバと通信したときの中継料金2が発生したとき、中継料金1>中継料金2ならば、(中継料金1-中継料金2)がA会社に請求され、B会社への請求はない。
【0032】
[15]専用ネットワークに接続されたサーバであって、
接続してきたクライアントから受信したアカウントが前記サーバの許可するアカウントか否かを確認する第1確認部と、
接続してきたクライアントから受信したアカウントが他のサーバの許可するアカウントか否かを確認する第2確認部と、
前記第1確認部によってアカウントが確認されたクライアントに前記サーバのサービスを提供するサービス提供部と、
前記第2確認部によってアカウントが他のサーバの許可するアカウントであることが確認されたクライアントを、前記サーバを介して、前記アカウントを許可する他のサーバに中継接続する中継部と、
を有する
ことを特徴とするサーバ。
【0033】
[16]前記サービス提供部は、前記中継部によって中継接続されるクライアントに対して前記サーバのサービスを提供しない
ことを特徴とする[15]に記載のサーバ。
【0034】
[17]前記第2確認部は、接続時にクライアントから受信したアカウントに所属情報が付加されている場合は、前記受信したアカウントが前記所属情報の示す他のサーバの許可するアカウントであるか否かを調べる、
ことを特徴とする[15]または[16]に記載のサーバ。
【0035】
[18]前記第2確認部は、前記受信したアカウントが前記所属情報の示す他のサーバの許可するアカウントであるか否かを、前記所属情報の示す他のサーバに問い合わせる
ことを特徴とする[17]に記載のサーバ。
【0036】
[19]前記第2確認部は、所属情報に対応するサーバのアドレスを、各サーバのアドレスと所属情報とを対応付けて記憶している管理サーバに問い合わせる
ことを特徴とする[18]に記載のサーバ。
【0037】
[20]各サーバのアドレスと所属情報とを対応付けて記憶したアドレスリストを有し、
前記第2確認部は、前記所属情報に対応するサーバのアドレスを前記アドレスリストを参照して特定する
ことを特徴とする[18]に記載のサーバ。
【0038】
[21]前記中継部は、前記中継接続する通信を暗号化する
ことを特徴とする[15]乃至[20]のいずれか1つに記載のサーバ。
【0039】
[22]前記中継部は、前記アカウントを許可する他のサーバに直接中継接続した場合の通信品質が一定以下の場合は、別のサーバを介在させたルートで前記中継接続する
ことを特徴とする[15]乃至[21]のいずれか1つに記載のサーバ。
【0040】
[23]別のサーバを介在させたルートによる中継接続を許可するか否かの設定を、予めもしくは都度受け付ける設定部をさらに有する
ことを特徴とする22に記載のサーバ。
【0041】
[24]前記サーバとの接続に適した場所情報をクライアントに通知する通知部を有する
ことを特徴とする[15]乃至[23]のいずれか1つに記載のサーバ。
【0042】
[25]前記通知部は、クライアントに前記場所情報を地図情報として提供する
ことを特徴とする[24]に記載のサーバ。
【0043】
[26]前記所属情報は、ドメイン、ID、所属名、会社名、組織名、IPアドレスのいずれかである
ことを特徴とする[17]乃至[20]のいずれか1つに記載のサーバ。
【0044】
[27]情報処理装置を、
[15]乃至[26]のいずれか1つに記載のサーバとして動作させるプログラム。
【発明の効果】
【0045】
本発明に係るサーバシステム、サーバおよびプログラムによれば、クライアントがアカウントを有するサーバにアカウントのない他のサーバを介して手間なくシームレスに接続することができる。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【
図1】本発明の実施の形態に係るサーバシステムの構成例の一部を示す図である。
【
図2】サーバシステムで使用される中核装置の外観を示す斜視図である。
【
図3】中核装置の概略構成を示すブロック図である。
【
図4】サーバ部のCPUが果たす機能を示す機能ブロック図である。
【
図5】クライアントのモバイル端末の構成例を示すブロック図である。
【
図6】サーバシステムの動作を示すシーケンス図である。
【
図8】所属Aのモバイル端末が所属Bのサーバに中継された場合にモバイル端末に与えられる通信許可権限の範囲を示す図である。
【
図9】所属情報と、アカウントに所属情報を付加したアドレス情報の各種の例を示す図である。
【
図10】中継による通信に切り替えるか否かの判断基準の例を示す図である。
【
図11】1点中継ルートと複数点中継ルートによる中継動作の例を示す図である。
【
図12】サーバの通知部が行う通知動作の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0047】
以下、図面に基づき本発明の実施の形態を説明する。
【0048】
図1は、本発明の実施の形態に係るサーバシステム3の構成例の一部を示している。
図2は、サーバシステム3で使用される中核装置10の外観を示している。中核装置10は、原稿を光学的に読み取ってその複製画像を記録紙に印刷するコピー機能、読み取った原稿の画像データをファイルにして保存したり外部端末へネットワークを通じて送信したりするスキャン機能、ユーザの情報処理端末から受信した印刷データに基づいて印刷する印刷機能などを備えた画像形成装置の機能と、ファイルサーバ、ウェブサーバ、アプリケーションサーバなどの機能を持ち、クライアントからの要求に対してサービスを提供するサーバの機能とを複合させた装置である。
【0049】
図1では、A社に属する中核装置10aとB社に属する中核装置10bは専用ネットワーク7(VPN)で接続されている。なお、図示省略するが、A社に属する中核装置10aはA社の社内のLAN(Local Area Network)に接続され、B社に属する中核装置10bはB社の社内のLANに接続されている。また、中核装置10は3以上であることが通常である。なお、以後、中核装置10が有するサーバを単にサーバとも記す。
【0050】
各中核装置10はAP(アクセスポイント)の機能を有し、Wi-Fiによって接続したクライアントのモバイル端末50と通信することができる。中核装置10とクライアントのモバイル端末50との間の通信はBluetooth(登録商標)など他の方式による接続でもよい。クライアントのモバイル端末50はモバイル回線での通信中にその通信速度が低下したような場合に自動的に中核装置10のサーバを中継点とする通信に切り替えて通信できるかを試みるようになっている。以後、クライアントのモバイル端末50を単にクライアント、もしくはモバイル端末50とも記す。
【0051】
中核装置10のサーバは、クライアントのモバイル端末50が自サーバの許可するアカウントで接続してきた場合は、自サーバのサービスをそのクライアントのモバイル端末50に提供する。たとえば、B社の中核装置10bのサーバが許可するアカウントを有するクライアントがB社の中核装置10bのサーバに接続した場合、中核装置10bのサーバは提供可能な各種のサービスを該クライアントからの要求に応じて該クライアントに提供する。
【0052】
一方、中核装置10のサーバは、クライアントが専用ネットワーク7上の他の中核装置10のサーバの許可するアカウントで接続してきた場合は、該クライアントを、自サーバおよび専用ネットワーク7を通じて該アカウントを許可している他のサーバに中継接続する中継動作を行う。
【0053】
たとえば、A社のクライアントがB社の中核装置10bのサーバに接続してきた場合、B社の中核装置10bのサーバは、A社の中核装置10aのサーバにこのクライアントがA社の中核装置10aのサーバが許可するクライアントであるかを確認する。そして、確認がとれた場合に、該クライアントを、専用ネットワーク7を通じてA社の中核装置10aのサーバに中継接続する。この場合、B社の中核装置10bのサーバはこのクライアントに対してはファイルの閲覧を含む各種のサービスの提供を禁止する。
【0054】
このように、中核装置10のサーバは、接続要求を受けたクライアントが自サーバの許可するアカウントでない場合は専用ネットワーク7上の他のサーバの許可するアカウントか否かを確認し、他のサーバの許可するアカウントであればそのクライアントを該他のサーバに専用ネットワーク7を介して中継接続するので、クライアントは所属していないサーバに接続し、該サーバを介して自分の所属するサーバに簡単にかつシームレスに接続することができる。
【0055】
図3は、中核装置10の概略構成を示すブロック図である。中核装置10は、サーバ部20と、画像形成装置部30を備えている。
【0056】
サーバ部20は、バス21に、CPU(Central Processing Unit)22、RAM(Random Access Memory)23、ROM(Read Only Memory)24、記憶装置25、通信部26、外部通信機接続部27等を接続して構成される。
【0057】
CPU22とRAM23とROM24はサーバ部20の制御部を構成する。CPU22はROM24や記憶装置25に格納されているプログラムを実行する。RAM23は、CPU22がプログラムに基づいて処理を実行する際に各種のデータを一時的に格納するワークメモリとして使用される。
【0058】
記憶装置25は、ハードディスク装置等の大容量・不揮発の記憶装置である。記憶装置25には、クライアントに提供する各種のデータ、画像形成装置部30から転送された画像ファイルなどが保存される。
【0059】
通信部26は、ネットワークや専用ネットワーク7を通じて他のサーバやその他の外部装置との間で通信する機能を果たす。また通信部26は、画像形成装置部30のバス31とサーバ部20のバス21との間を中継するように接続されており、画像形成装置部30とサーバ部20との間でデータやコマンドの転送を行う。
【0060】
外部通信機接続部27は、無線Wi-FiのAPとしての機能、Bluetooth(登録商標)による無線通信でモバイル端末50等のクライアントと接続して通信する機能、有線LANでクライアントの端末を接続する機能を果たす。
【0061】
画像形成装置部30は、画像形成装置部30の動作を統括的に制御するCPU32を有している。CPU32にはバス31を通じてRAM33、記憶装置34、操作パネル35、スキャナ36、プリンタエンジン37などが接続されている。
【0062】
CPU32は、OS(Operating System)プログラムをベースとし、その上で、ミドルウェアやアプリケーションプログラムなどを実行する。また、記憶装置34には、各種のプログラムが格納されており、これらのプログラムに従ってCPU32が各種処理を実行することで画像形成装置部30としての各機能が実現される。
【0063】
RAM33は、CPU32がプログラムに基づいて処理を実行する際に各種のデータを一時的に格納するワークメモリや画像データを格納する画像メモリなどとして使用される。
【0064】
記憶装置34は、不揮発・大容量のメモリである。ここでは、記憶装置34としてSSD(Solid State Drive)を使用する。なお、記憶装置34はハードディスク装置であってもよい。記憶装置34には、プログラムのほか、画像データ、画像形成装置部30の状態を示すパラメータ、画像形成装置部30の各機能の使用履歴、累積の使用状況、動作ログなどの情報が記憶される。記憶装置34はサーバ部20からもアクセスすることができる。
【0065】
スキャナ36は、原稿を光学的に読み取って画像データを取得する機能を果たす。スキャナ36は、例えば、原稿トレイに載置された原稿を搬送する原稿搬送装置、搬送される原稿に所定の読み取り位置で光を照射する光源と、その反射光を受けて原稿を幅方向に1ライン分読み取るラインイメージセンサ、該ラインイメージセンサの出力するアナログ画像信号をデジタルの画像データに変換する変換部などを備えて構成される。
【0066】
プリンタエンジン37は、画像データに応じた画像を記録紙上に画像形成(印刷)する機能を果たす。ここでは、プリンタエンジン37は、記録紙の搬送装置と、感光体ドラムと、帯電装置と、レーザーユニットと、現像装置と、転写分離装置と、クリーニング装置と、定着装置とを有して構成されており、電子写真プロセスによって画像形成を行う。画像形成の方式は他の方式でもかまわない。
【0067】
操作パネル35は、液晶ディスプレイ(LCD…Liquid Crystal Display)などで構成され、各種の操作画面、設定画面などを表示する表示部と、ユーザ操作を受け付ける操作部を有する。操作部は、テンキーやスタートボタンなどのハードキーと、表示部の物理的画面上に設けられてタッチペンや指などによる接触位置を検出するタッチパネルを備える。
【0068】
図4は、サーバ部20のCPU22の機能ブロック図を示している。サーバ部20のCPU22はプログラムを実行することにより、アカウント管理部41、第1アカウント確認部42、第2アカウント確認部43、サービス提供部44、中継部45、設定部46、通知部47、課金情報送信部48などの機能を果たす。
【0069】
アカウント管理部41は、サーバ部20が許可するアカウントおよびそのアカウントのパスワード等を記憶装置25の所定領域(アカウント登録部とする)に登録して管理する。第1アカウント確認部42は、通信部26や外部通信機接続部27を介して接続してきたクライアントから受信したアカウント情報の示すアカウントが自サーバの許可するアカウントか否か(アカウント登録部に登録されているか否か)を確認する機能を果たす。
【0070】
第2アカウント確認部43は、通信部26や外部通信機接続部27を介して接続してきたクライアントから受信したアカウント情報が示すアカウントが他のサーバの許可するアカウントか否かを確認する。ここでは、クライアントから受信したアカウント情報がアカウントに所属情報を付加したものである場合は、該受信したアカウント情報に含まれるアカウントがその所属情報の示す他のサーバの許可するアカウントであるか否かを調べる。確認方法としては、該所属情報の示すサーバに問い合わせる。たとえば、所属情報とその所属情報の示すサーバのアドレスを紐付けて登録したアドレスリストを各サーバが保持しておき、このアドレスリストを参照することで目的の所属情報に対応するサーバのアドレスを取得し、そのアドレスのサーバに問い合わせる。
【0071】
あるいは、すべての所属情報と各所属情報の示すサーバのアドレスを対応付けて記憶管理する別途のサーバである管理サーバを専用ネットワーク7上に設け、該管理サーバに、目的の所属情報に対応するサーバのアドレスを問い合わせる。
【0072】
所属情報は、たとえば、ドメイン、ID、所属名、会社名、組織名、IPアドレスのいずれかを使用する。
【0073】
サービス提供部44は、クライアントから要求されたサービスをその要求元のクライアントに提供する。サービスはファイルサーバ、ウェブサーバ、アプリケーションサーバが提供するような各種のサービスである。たとえば、当該サーバ部20が保持するデータ(ファイル)等へのアクセスやダウンロードのサービスを提供する。サービス提供部44は、第1アカウント確認部42によってアカウントの確認されたクライアントには上記のサービスを提供可能となり、クライアントからの要求に応じて提供する。一方、サービス提供部44は、第2アカウント確認部43によってアカウントの確認されたクライアントや中継部45が中継接続するクライアントにはサービスの提供を禁止し、提供しない。
【0074】
中継部45は、第2アカウント確認部43によって他のサーバの許可するアカウントであることが確認されたクライアントを、自サーバおよび専用ネットワーク(あるいはLAN)を介して、該アカウントを許可する他のサーバに中継接続する中継動作を行う。第2アカウント確認部43によってアカウントが確認されたクライアント以外については、LANや専用ネットワーク7を通じた中継動作は行わない。
【0075】
中継部45は該中継動作において通信を暗号化する。暗号化はクライアントから受信する通信内容が暗号化されていない場合だけ行ってもよいし、クライアントから受信する通信内容が既に暗号化されている場合でも2重に暗号化してもよい。また、中継先の他のサーバ(所属情報が示す他のサーバ)に直接接続した場合の通信品質が一定以下の場合(低速、繋がらないときを含む)は、別のサーバをさらに介在させたルート(複数のサーバが介在する複数点中継ルート)で中継動作を行う。
【0076】
設定部46は、別のサーバがさらに介在する複数点中継ルートによる中継動作をユーザが許可するか否かの設定を予め受け付けて記憶しておく、もしくはその都度受け付ける。その都度の受け付ける場合は、たとえば、接続しているクライアントに問い合わせて設定を受け付ける。中継部45は中継先の他のサーバに直接接続した場合の通信品質が一定以下の場合、上記の設定が「複数点中継ルートを許可する」であれば別のサーバをさらに介在させたルートで中継動作を行い、上記の設定が「複数点中継ルートを許可しない」であれば、所属情報が示す中継先のサーバに直接接続する1点中継ルートで中継動作を行う。
【0077】
通知部47は、クライアントに、自サーバとの接続に適した場所情報を通知する。たとえば、クライアントの現在位置と、接続に適した場所(クライアントが移動すべき場所)とを地図上に表した地図情報をクライアントに提供することで、接続に適した場所情報をクライアントに通知する。
【0078】
課金情報送信部48は、通信料、中継料、サービス提供料などについて課金するために、料金の発生項目、発生日時、金額、料金を発生させたクライアントの所属する会社や組織に関する情報、自サーバの所属する会社や組織に関する情報、などを示す課金情報を専用ネットワーク7上の課金サーバへ送信する。課金サーバは、各サーバから受信した課金情報に基づいて、各サーバが所属する会社や組織に課金する。課金は金額またはポイントで行う。
【0079】
サーバシステム3では、課金額(またはポイント)を課金額内で会社や組織間で相互に貸し借りして相殺することができる。たとえば、B社のサーバにA社の社員のモバイル端末が接続してB社のサーバが中継動作を行うとその料金aはA社に課金され、A社のサーバにB社の社員のモバイル端末が接続してA社のサーバが中継動作を行うとその料金bはB社に課金されるが、実際の請求ではこれらを相殺する。料金a>料金bの場合、相殺により、(a-b)の金額をA社に請求する。
【0080】
図5は、クライアントのモバイル端末50の構成例を示している。モバイル端末50は、当該モバイル端末50の動作を統括的に制御するCPU51を有している。CPU51にはバスを通じてROM52、RAM53、不揮発メモリ54、操作パネル55、認証部56、通信部57、外部機器通信部58などが接続されている。
【0081】
CPU51は、OSプログラムをベースとし、その上で、ミドルウェアやアプリケーションプログラムなどを実行する。ROM52には、各種のプログラムが格納されており、これらのプログラムに従ってCPU51が各種処理を実行することでモバイル端末50の各機能が実現される。
【0082】
RAM53は、CPU51がプログラムに基づいて処理を実行する際に各種のデータを一時的に格納するワークメモリなどとして使用される。不揮発メモリ54は、電源をオフにしても記憶内容が破壊されないメモリ(フラッシュメモリ)であり、各種設定情報の保存などに使用される。
【0083】
操作パネル55は、操作部と表示部を備えている。表示部は各種の操作画面、設定画面等を表示する機能を果たす。表示部は液晶ディスプレイとそのドライバなどで構成される。操作部はユーザから各種の操作を受ける機能を果たす。操作部は少数のハードキーと表示部の表示面上に設けられたタッチスクリーンで構成される。タッチスクリーンは、タッチペンや指などで接触操作された座標位置を検出する。
【0084】
認証部56は、モバイル端末50を使用するユーザを認証する。認証方法は、パスワード、指紋、静脈などを用いた任意の方法でよい。
【0085】
通信部57は、モバイル回線を通じて基地局と通信する機能を果たす。接続した基地局からインターネットに接続し、さらに専用ネットワーク7のサーバに接続することができる。外部機器通信部58は、無線LAN、Wi-FiのAPなどに無線で接続する。Bluetooth(登録商標)で接続する機能も果たす。たとえば、中核装置10のサーバ部20の外部通信機接続部27に無線接続する。外部機器通信部58は有線接続で中核装置10のサーバ部20の外部通信機接続部27に接続することも可能になっている。
【0086】
CPU51はプログラムを実行することで所属内外判断部61、アカウント送信部62などの機能を果たす。所属内外判断部61は、中核装置10のサーバ部20のAP(外部通信機接続部27)から受信した情報に基づいて、自端末の所属とサーバ部20の所属が一致するか否かを判断する。アカウント送信部62は、所属内外判断部61の判断結果が「所属が一致しない」の場合はユーザのアカウントに所属情報を付加したアカウント情報を送信する制御を行う。一方、所属内外判断部61の判断結果が「所属が一致する」の場合はユーザのアカウントをそのまま(所属情報を付加せずに)アカウント情報として送信する制御を行う。実際の送信は外部通信機接続部58により行われる。
【0087】
このほか、モバイル端末50は、サーバ部20の通知部47から通知された場所情報(メッセージや地図情報)を表示する機能を果たす。モバイル端末50は、モバイル回線で自端末の所属するサーバと通信中にその通信速度が低下したような場合は、中核装置10のサーバ部20を中継点とする通信に切り替え可能か否かを調べ、切り替え可能ならば自動的に切り替える動作を行う。
【0088】
図6、
図7は、サーバシステム3の動作を示すシーケンス図である。ここでは、モバイル端末50は所属Aのクライアントの端末であり、モバイル回線を通じてA社のサーバと通信中であるものとする。この状態でモバイル端末50にてWi-Fiがオンにされると(ステップS101)、モバイル回線との接続状態をチェックし、モバイル回線に接続できない、もしくは接続できても低速となるか否かを判断する(ステップS102)。なお、初期状態がモバイル回線に接続中でない場合も同様の動作を行う。
【0089】
低速でないモバイル回線があれば(ステップS102;No)、本処理を終了してモバイル回線を使用した通信を行う。モバイル回線がないもしくは低速の場合は(ステップS102;Yes)、中核装置10のサーバ部20のAPに接続可能か否かを調べる(ステップS103)。中核装置10のサーバ部20のAPに接続できない場合は(ステップS103;No)、本処理を終了する。なお、中核装置10のサーバ部20との接続は必ずしもAPを介したものでなくてもよく、有線でも、Bluetooth(登録商標)であってよい。
【0090】
中核装置10のサーバ部20のAPに接続可能な場合は(ステップS103;Yes)、その中核装置のサーバ部20のAPに接続要求を送信する(ステップS104)。ここでは、所属Aのモバイル端末50が所属Bのサーバに接続する。
【0091】
クライアントのモバイル端末50から接続要求を受けたサーバは該モバイル端末50を接続し(ステップS201)、該モバイル端末50に対してアカウント情報を要求する(ステップS202)。このとき、自サーバのAP情報をモバイル端末50に送信する。
【0092】
所属Aのモバイル端末50はサーバからアカウント情報の要求およびAP情報を受信し(ステップS105)、受信したAP情報に含まれる送信元のサーバ(AP)の所属情報と自モバイル端末の所属を比較して、自モバイル端末50が接続要求先のサーバの所属外か否かを判断する(ステップS106)。
【0093】
自モバイル端末50が接続要求先のサーバの所属外ならば(ステップS106;Yes)、自モバイル端末50(クライアント)のアカウントに該クライアントの所属情報を付加したアカウント情報を要求元のサーバに送信する(ステップS107)。自モバイル端末50が接続要求先のサーバに所属している場合は(ステップS106;No)、所属情報を付加せずに自モバイル端末(クライアント)のアカウントをアカウント情報として、要求元のサーバに送信する(ステップS108)。
【0094】
アカウント情報の要求元のサーバは、クライアントからのアカウント情報を受信し(ステップS204)、該アカウント情報が、所属情報の付加されたものか否かを判断する(ステップS205)。所属情報の付加されたものでなければ(ステップS205;No)、受信したアカウント情報に含まれるアカウントが自サーバの許可するアカウントか否かを判断する(ステップS206)。
【0095】
受信したアカウント情報に含まれるアカウントが自サーバの許可するアカウントならば(ステップS206;Yes)、通常接続処理を行う(ステップS208)。すなわち、クライアントからの要求に応じてサービスを提供する。受信したアカウント情報に含まれるアカウントが自サーバの許可するアカウントでない場合は(ステップS206;No)、該モバイル端末50との接続を切断する(ステップS208)。
【0096】
受信したアカウント情報が所属情報の付加されたものである場合は(ステップS205;Yes)、受信したアカウント情報から所属情報を抽出し(ステップS209)、この所属情報に対応するサーバのアドレスを特定する(ステップS210)。ここでは、所属情報と該所属情報に対応するサーバのアドレスが紐付けて登録されたアドレスリストを、抽出した所属情報で参照して、該抽出した所属情報に対応するサーバのアドレスを特定する。
【0097】
サーバ(ここでは、所属Bのサーバ)は、ステップS210で特定したアドレスのサーバ(所属Aのサーバ)に、ステップS204で受信したアドレス情報に含まれるアカウントの存在(許可するアカウントであるか)の確認を要求する(ステップS211)。
【0098】
該確認の要求を受信したサーバ(所属Aのサーバ)は、受信したアカウントの存在を確認し(ステップS301)、その結果(アカウントの存否)を返答する(ステップS302)。
【0099】
確認の要求の送信元のサーバ(所属B)は上記の返答を受信し(ステップS212)、この返答がアカウントの存在無しを示す場合は(ステップS231;No)、ステップS204で受信したアカウント情報の送信元のモバイル端末50に該返答を送信する(ステップS214)。
【0100】
この返答を受信したモバイル端末50は、返答の送信元のサーバとの接続を終了させる(ステップS109)。
【0101】
ステップS212で受信した返答がアカウントの存在ありを示す場合は(ステップS213;Yes)、ステップS204で受信したアカウント情報の送信元のモバイル端末50に該返答を送信する(ステップS215)。
【0102】
ステップS215で送信された返答を受信したモバイル端末50は、該返答の送信元のサーバ(所属Bのサーバ)を中継点として自モバイル端末50の所属するサーバ(所属Aのサーバ)との間の通信を開始し(ステップS110)、該通信を継続実施する(ステップS111)。このとき、所属Bのサーバは、モバイル端末50から所属Aのサーバへの通信を中継し(ステップS216)、所属Aのサーバは、所属Bのサーバを中継点とするモバイル端末50との通信を実行する(ステップS303)。
【0103】
図8は、所属Aのクライアント(モバイル端末50)が所属Bのサーバおよび専用ネットワーク7を介して所属Aのサーバと中継接続された場合に該モバイル端末50に与えられる通信許可権限の範囲を示している。モバイル端末50は、中継点である所属Bのサーバにおいては、通信部26(および接続中の外部通信機接続部27)のみ利用でき、該サーバが保持するデータへのアクセスや該サーバが提供可能なサービスの提供は禁止される。一方、中継接続先の所属Aのサーバについては通信部26を利用できるほか、該所属Aのサーバが保持するデータへのアクセスやダウンロードも可能であり、該所属Aのサーバが提供する各種のサービスを受けることができる。
【0104】
図9は、所属情報と、アカウントに所属情報を付加したアドレス情報の各種の例を示している。この表では最左の欄は所属情報の種類を示し、中央の欄はその左側の欄に示す所属情報の種類に対応する所属情報の例を、最右の欄は、その左側に示す所属情報の例をアカウントに付与したアカウント情報の例を示している。この例では、アカウントはすべて「Id***」である。なお、アカウントは、クライアントが自分の会社や組織の提供するサービスを利用する際に使用するアカウントとすることが好ましい。
【0105】
サーバシステム5では、クライアントのモバイル端末50は、モバイル回線を介して自端末と同じ所属のサーバと通信中に、モバイル回線による通信品質が低下しかつ利用可能な中核装置10のサーバ部20がある場合は、モバイル回線を介した通信から中核装置10のサーバ部20を介した通信にシームレスに切り替える。
【0106】
図10は、上記のように通信を切り替えるか否かの判断基準の例を示している。たとえば、モバイル回線での通信速度 < 中核装置のサーバ部を経由した場合の通信速度 となる場合に、通信をモバイル回線から中核装置10のサーバ部20を介した通信に切り替える。また、モバイル回線の電波強度 < 中核装置のサーバ部のAPと通信する場合の電波強度 となる場合に、通信をモバイル回線から中核装置10のサーバ部20を介した通信に切り替える。切り替えの判断基準はこれらに限定されず任意でよい。また、複数の基準を組み合わせてもよい。たとえば、料金と通信速度の組み合わせを切り替え基準とすることができる。
【0107】
図11は、1点中継ルートによる中継動作の例と、複数点中継ルートによる中継動作の例を示している。
図11(a)は、所属Aのクライアントから接続を受けた所属Bのサーバが、中継先である所属Aのサーバに直接接続して中継する場合(1点中継ルート)の例である。このような一点中継ルートで中継動作の通信品質が一定以下(通信速度が一定以下、あるいは繋がらないなど)に低下したとき、サーバBは、別のサーバをさらに介在させる複数点中継ルートに切り替える。
図11(b)の複数点中継ルートの例では、所属Cのサーバを新たな中継点としてさらに介在させている。すなわち、所属Bのサーバはクライアントとの通信を所属Cのサーバに中継し、所属Cのサーバは所属Bのサーバとの通信を所属Aのサーバに中継する。
【0108】
所属Cのサーバを中継点として追加する場合、所属Bのサーバはクライアントから受信した、所属情報の付加されたアカウント情報を所属Cのサーバに送信して接続要求する。これを受けた所属Cのサーバは
図6のステップS204以降と同様の動作を行えばよい。所属Cのサーバがさらに中継点を増やす場合は、所属Bのサーバから受信した所属情報の付加されたアカウント情報を、新たに中継点とするサーバに送信すればよい。これを受けたサーバは
図6のステップS204以降と同様の動作を行えばよい。
【0109】
中継部45は、設定部46により、「複数点中継ルートを許可しない」の設定が予め成されている場合は、複数点中継ルートによる中継は行わない。あるいは、複数点中継ルートに切り替える際に、モバイル端末50のユーザに「複数点中継ルートを使用してもよいか」を問い合わせし、許可を得た場合は複数点中継ルートに切り替えて中継動作を行い、許可されない場合は複数点中継ルートによる中継動作は行わない。
【0110】
図12は、サーバ部20の通知部47が行う通知動作の例を示している。接続してきたクライアントのモバイル端末50との間の電波強度が十分でない場合に、同図(a)に示すような、メッセージによる通知を行う。ユーザが表示されたこのメッセージの領域をタップ等すると、接続しているサーバと安定的に接続可能な接続方法および該方法で通信するのに適した場所情報を文字や地図情報で表示する。文字では、たとえば、「右方向へ○○m移動すれば、好適な電波強度が得られます。」といったメッセージが表示される。表示に係る情報はサーバ部20からモバイル端末50へ送信され、これを受信したモバイル端末50が該受信した情報に基づいて文字や地図を表示する。Bluetooth(登録商標)やWi-Fiで安定的な通信が確保できる場合は有線接続に関する情報よりもその情報が優先して表示される。安定的な接続が有線でしか行えない場合には有線での接続を促す場所情報が表示される。
【0111】
同図(b)、同図(c)は、接続に適した場所情報を地図情報で表した例を示している。同図(b)は、クライアントのモバイル端末50とサーバ部20のAPのアンテナとの相対的な位置関係を地図で示している。ユーザはどの方向へどの程度移動すればAPとの接続に適した領域に入るかを知ることができる。同図(c)は、有線で接続する場合の場所情報を地図で示している。クライアントのモバイル端末50と有線による接続口のある場所(中核装置の背面等)との相対的な位置関係が地図で示してある。地図情報はモバイル端末50の画面の一部あるいは全面に表示される。
【0112】
このように本発明によれば、クライアントが自サーバの許可するアカウントで接続してきた場合は、自サーバのサービスをそのクライアントに提供する通常動作となり、クライアントが専用ネットワーク上の他のサーバの許可するアカウントで接続してきた場合は、そのクライアントを、自サーバおよび専用ネットワークを通じて、該アカウントを許可する他のサーバに接続する中継動作を行うので、たとえば、アカウントのない他社のサーバを中継点に利用して、自社のサーバに接続することができる。そして、中継に係る通信は暗号化されるので、安全性の高い通信を確保することができる。
【0113】
また、公衆Wi-Fiなどのようにログインし直す必要もないので、シームレスに通信を継続することができる。
【0114】
以上、本発明の実施の形態を図面によって説明してきたが、具体的な構成は実施の形態に示したものに限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更や追加があっても本発明に含まれる。
【0115】
実施の形態では、所属外のサーバに接続する場合に、クライアントのモバイル端末50が、アカウントに所属情報を付加したアカウント情報を接続先のサーバに送信するようにしたが、常にアカウントに所属情報を付加したアカウント情報を送信し、サーバ側で、アカウントに付加された所属情報の示す所属先が自サーバか否かを判断するようにしてもよい。所属情報の示す所属先が自サーバならば第1アカウント確認部42が動作し、所属情報の示す所属先が自サーバでなければ第2アカウント確認部43が動作するようにすればよい。
【0116】
図11に示す所属情報は一例であり、これに限定されるものではない。実施の形態では、中核装置10としてサーバ部20と画像形成装置部30を複合させた装置を例示したが、他の装置とサーバ部20とが組み合わされた装置であってもよいし、サーバ部20のみが独立したサーバとして存在してもよい。
【符号の説明】
【0117】
3…サーバシステム
4…クライアント
7…専用ネットワーク
10…中核装置
20…サーバ部
21…バス
22…CPU
23…RAM
24…ROM
25…記憶装置
26…通信部
27…外部通信機接続部
30…画像形成装置部
31…バス
32…CPU
33…RAM
34…記憶装置
35…操作パネル
36…スキャナ
37…プリンタエンジン
41…アカウント管理部
42…第1アカウント確認部
43…第2アカウント確認部
44…サービス提供部
45…中継部
46…設定部
47…通知部
48…課金情報送信部
50…モバイル端末
51…CPU
52…ROM
53…RAM
54…不揮発メモリ
55…操作パネル
56…認証部
57…通信部
58…外部機器通信部
61…所属内外判断部
62…アカウント送信部