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特許6994188カテーテルにバルーンを取り付ける方法と装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-15
(45)【発行日】2022-01-14
(54)【発明の名称】カテーテルにバルーンを取り付ける方法と装置
(51)【国際特許分類】
   A61M 1/00 20060101AFI20220106BHJP
   A61M 25/10 20130101ALI20220106BHJP
【FI】
A61M1/00 160
A61M25/10 500
A61M25/10 530
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2017196677
(22)【出願日】2017-10-10
(65)【公開番号】P2019069003
(43)【公開日】2019-05-09
【審査請求日】2020-09-02
(73)【特許権者】
【識別番号】503251514
【氏名又は名称】株式会社ピーアールシー
(73)【特許権者】
【識別番号】391061163
【氏名又は名称】株式会社片山製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001977
【氏名又は名称】特許業務法人なじま特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 徹哉
【審査官】小原 一郎
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2002/0050661(US,A1)
【文献】特表2014-509218(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2003/0004434(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2014/0066896(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 1/00
A61M 25/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
チューブ状のカテーテル本体の先端部に伸縮自在なバルーンを取り付けてなるカテーテルにバルーンを取り付ける方法であって、
筒状のバルーンを棒状ピンの外周に取り付けられたダイアフラム上に重なるようにセットした後、
この棒状ピンを開閉自在な一対のバルーンホルダに形成した凹溝内に装着し、
次いで、前記ダイアフラムを膨出させることによりバルーンを膨らませ、このバルーンを前記凹溝に開口するように設けた真空チャンバに配置されるポーラス材に押し付けた後、
真空チャンバを真空引きして前記バルーンをポーラス材に吸引固定し、
次いで、前記ダイアフラムを収縮させた後に前記バルーンを凹溝内に残して棒状ピンのみを凹溝外へ撤去し、
次いで、予め接着剤が塗布されているカテーテル本体の先端部を凹溝内に挿入した後、
前記真空チャンバの真空引きを停止してバルーンのポーラス材への固定状態を解き、バルーンの収縮によりカテーテル本体の先端部に接着し、
その後、バルーンホルダを開いてバルーンが接着したカテーテル本体を取り出すことを特徴とするカテーテルにバルーンを取り付ける方法。
【請求項2】
カテーテル本体の外周の前後にリング状に接着剤を塗布しておき、バルーンの両端部を接着することによって密閉状態を形成する請求項1に記載のカテーテルにバルーンを取り付ける方法。
【請求項3】
チューブ状のカテーテル本体の先端部に伸縮自在なバルーンを取り付けてなるカテーテルにバルーンを取り付けるための装置であって、
外周にダイアフラムが取り付けられ、その外側にバルーンがセットされるバルーンセット用の棒状ピンと、
前記棒状ピンを装着する凹溝が形成された開閉自在な一対のバルーンホルダと、
前記凹溝に開口するように設けられ、内部にバルーン吸着用のポーラス材を配置した真空チャンバを有し、
前記ダイアフラムが膨張したとき、棒状ピンの外周とダイアフラムとの間に僅かな隙間S1が形成され、次に前記ダイアフラムが収縮したとき、前記ポーラス材に吸着されたバルーンとダイアフラムとの間に僅かな隙間S2が形成される構造としたことを特徴とするカテーテルにバルーンを取り付ける装置。
【請求項4】
一対のバルーンホルダには、位置合わせ用のガイドピンとガイド孔とが設けられている請求項3に記載のカテーテルにバルーンを取り付ける装置。
【請求項5】
棒状ピンにはダイアフラム変形用のエア供給孔が設けられており、またバルーンホルダには真空チャンバを真空引きをするための吸引孔が設けられている請求項3または4に記載のカテーテルにバルーンを取り付ける装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療用カテーテルの先端に抜け防止用のバルーンを安定かつ効率よく取り付けることができるカテーテルにバルーンを取り付ける方法と装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、例えば尿道カテーテルのような医療用カテーテルが広く利用されている。この尿道カテーテルは、麻酔等の影響で排尿が困難な患者の導尿や、絶対安静が必要な患者の導尿などを行うにあたって使われる管である。即ち、尿道カテーテルは患者の意思では尿の排泄が難しいときや、排泄が困難な状態にあるときに使用される医療用の排泄用具である。
【0003】
前記尿道カテーテルは、全身麻酔がかかっている間に患者の尿道に装着され、術後も一定の期間は装着されているのが普通であるが、麻酔から覚醒した後は違和感や残尿感があって不快なため患者が故意に尿道カテーテルを取り外す場合や、寝返り等の際に無意識で尿道カテーテルが外れてしまう場合がある。この際に、患者は相当の苦痛が伴うこととなり、また再度カテーテルを装着するのも麻酔がかかっていないので大きな苦痛を伴うこととなって、いずれも避けたい事態であった。
そこで、特許文献1~特許文献3に示されるように、装着後において膀胱内に位置するカテーテル先端のバルーンを膨らますことができる構造として、膀胱からチューブが抜け落ちないようにしたものが提案されており、実用に供されている。
【0004】
しかしながら、バルーン付きの場合は、カテーテルの所定位置に前記バルーンを取り付ける作業が煩雑であり、しかも全て手作業で行われていたので生産に時間がかかり生産コストも高くなるという問題があった。また、不良品の発生も多く生産効率に劣るという問題もあった。従って、前記尿道カテーテルの所定位置に抜け防止用のバルーンの取り付け作業を、従来の人手による作業に換えて成形型を利用して連続的に効率よく行うことができる機械式のバルーン取り付け方法の開発が要望されていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2013-43010号公報
【文献】特開2011-250903号公報
【文献】特表平11-506640号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は上記のような従来の問題点を解決して、手作業でなく機械式により医療用カテーテルの先端に抜け防止用のバルーンを連続して確実に取り付けることができ、また生産効率が高く低コストで取り付けることができるカテーテルにバルーンを取り付ける方法と装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するためになされた本発明は、チューブ状のカテーテル本体の先端部に伸縮自在なバルーンを取り付けてなるカテーテルにバルーンを取り付ける方法であって、
筒状のバルーンを棒状ピンの外周に取り付けられたダイアフラム上に重なるようにセットした後、
この棒状ピンを開閉自在な一対のバルーンホルダに形成した凹溝内に装着し、
次いで、前記ダイアフラムを膨出させることによりバルーンを膨らませ、このバルーンを前記凹溝に開口するように設けた真空チャンバに配置されるポーラス材に押し付けた後、
真空チャンバを真空引きして前記バルーンをポーラス材に吸引固定し、
次いで、前記ダイアフラムを収縮させた後に前記バルーンを凹溝内に残して棒状ピンのみを凹溝外へ撤去し、
次いで、予め接着剤が塗布されているカテーテル本体の先端部を凹溝内に挿入した後、
前記真空チャンバの真空引きを停止してバルーンのポーラス材への固定状態を解き、バルーンの収縮によりカテーテル本体の先端部に接着し、
その後、バルーンホルダを開いてバルーンが接着したカテーテル本体を取り出すことを特徴とするものであり、これを請求項1に係る発明とする。
【0008】
その他の好ましい実施形態によれば、前記カテーテル本体の外周の前後にリング状に接着剤を塗布しておき、バルーンの両端部を接着することによって密閉状態を形成するのが好ましく、これを請求項2に係る発明とする。
【0009】
また本発明は、チューブ状のカテーテル本体の先端部に伸縮自在なバルーンを取り付けてなるカテーテルにバルーンを取り付けるための装置であって、
外周にダイアフラムが取り付けられ、その外側にバルーンがセットされるバルーンセット用の棒状ピンと、
前記棒状ピンを装着する凹溝が形成された開閉自在な一対のバルーンホルダと、
前記凹溝に開口するように設けられ、内部にバルーン吸着用のポーラス材を配置した真空チャンバを有し、
前記ダイアフラムが膨張したとき、棒状ピンの外周とダイアフラムとの間に僅かな隙間S1が形成され、次に前記ダイアフラムが収縮したとき、前記ポーラス材に吸着されたバルーンとダイアフラムとの間に僅かな隙間S2が形成される構造としたことを特徴とするものであり、これを請求項3に係る発明とする。
【0010】
その他の好ましい実施形態によれば、前記一対のバルーンホルダには、位置合わせ用のガイドピンとガイド孔とが設けられているものが好ましく、これを請求項4に係る発明とする。
【0011】
その他の好ましい実施形態によれば、棒状ピンにはダイアフラム変形用のエア供給孔が設けられており、またバルーンホルダには真空チャンバを真空引きをするための吸引孔が設けられているものが好ましく、これを請求項5に係る発明とする。
【発明の効果】
【0012】
請求項1に係る発明では、筒状のバルーンを棒状ピンの外周に取り付けられたダイアフラム上に重なるようにセットした後、この棒状ピンを開閉自在な一対のバルーンホルダに形成した凹溝内に装着し、次いで、前記ダイアフラムを膨出させることによりバルーンを膨らませ、このバルーンを前記凹溝に開口するように設けた真空チャンバに配置されるポーラス材に押し付けた後、真空チャンバを真空引きして前記バルーンをポーラス材に吸引固定し、次いで、前記ダイアフラムを収縮させた後に前記バルーンを凹溝内に残して棒状ピンのみを凹溝外へ撤去し、次いで、予め接着剤が塗布されているカテーテル本体の先端部を凹溝内に挿入した後、前記真空チャンバの真空引きを停止してバルーンのポーラス材への固定状態を解き、バルーンの収縮によりカテーテル本体の先端部に接着するようにしたので、ダイアフラムおよびポーラス材を利用してバルーンの伸縮を行い、手作業でなく機械式によりバルーンをカテーテル本体に効率よく確実に取り付けることができる。
【0013】
請求項2に係る発明では、前記カテーテル本体の外周の前後にリング状に接着剤を塗布しておき、バルーンの両端部を接着することによって密閉状態を形成するようにしたので、カテーテルの所定位置に抜け防止用のバルーンを確実に取り付けることができる。
【0014】
請求項3に係る発明では、外周にダイアフラムが取り付けられ、その外側にバルーンがセットされるバルーンセット用の棒状ピンと、前記棒状ピンを装着する凹溝が形成された開閉自在な一対のバルーンホルダと、前記凹溝に開口するように設けられ、内部にバルーン吸着用のポーラス材を配置した真空チャンバを有する装置とし、前記ダイアフラムが膨張したとき、棒状ピンの外周とダイアフラムとの間に僅かな隙間S1が形成され、次に前記ダイアフラムが収縮したとき、前記ポーラス材に吸着されたバルーンとダイアフラムとの間に僅かな隙間S2が形成される構造としたので、簡単な構造であり、またエアの出し入れという簡単な操作によってバルーンをカテーテル本体に効率よく確実に取り付けることができる。
【0015】
請求項4に係る発明では、一対のバルーンホルダには、位置合わせ用のガイドピンとガイド孔とが設けられている装置としたので、バルーンをカテーテル本体に対し正確に位置合わせをして精度の高い製品を生産することができる。
【0016】
請求項5に係る発明では、棒状ピンにはダイアフラム変形用のエア供給孔が設けられており、またバルーンホルダには真空チャンバを真空引きをするための吸引孔が設けられている装置としたので、エアの供給・吸引・停止を行うのみでバルーンをカテーテル本体に効率よく確実に取り付けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】バルーン付きのカテーテルを示す全体図である。
図2】棒状ピンを示す断面図である。
図3】バルーンホルダを示す断面図である。
図4】バルーンホルダに棒状ピンを挿入する工程を示す断面図である。
図5図4のバルーンホルダを閉じる工程を示す断面図である。
図6】ダイアフラムを膨出する工程を示す断面図である。
図7図6の要部の拡大図である。
図8】真空チャンバを真空引きする工程を示す断面図である。
図9図8の要部の拡大図である。
図10】棒状ピンをバルーンホルダから撤去する工程を示す断面図である。
図11】カテーテル本体をバルーンホルダに挿入する工程を示す断面図である。
図12】真空チャンバの真空引きを停止した工程を示す断面図である。
図13図12の要部の拡大図である。
図14】バルーンホルダを開いた工程を示す断面図である。
図15】カテーテル本体を撤去する工程を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に、図面を参照しつつ本発明の好ましい実施の形態を示す。
図1は、尿道カテーテルとして使用されるバルーン付きのカテーテルを示す全体図である。図中、30はチューブ状のカテーテル本体、31は先端部に取り付けられる伸縮自在なシリコン樹脂製のバルーンである。32は尿回収孔、33はバルーンを膨らますためのエア供給孔であり、それぞれ接続ブラケット34、35に連通されている。
【0019】
前記バルーン31をカテーテル本体30に取り付ける作業は煩雑であり、従来は特殊な器具等を用いて手作業で行っていた。そのため生産に時間がかかり生産コストも高くなるという問題があった。
本発明は、この取り付け作業を、従来の手作業にかえて機械的かつ連続的に効率よく行うようにすることを技術的課題とするものであり、外周にダイアフラムが取り付けられているバルーンセット用の棒状ピンと、前記棒状ピンを装着する凹溝が形成された開閉自在な一対のバルーンホルダと、前記凹溝に開口するように設けられ、内部にポーラス材を配置した真空チャンバを有する装置を用いて、機械的かつ連続的にカテーテルにバルーンを取り付ける点に特徴を有する。
【0020】
以下に、図2図15を参照しつつ、本発明のカテーテルにバルーンを取り付ける方法につき説明する。
図2は、本発明で用いる棒状ピンを示す断面図である。この棒状ピン20は、前記バルーン31をバルーンホルダの所定位置にセットするための治具であり、ピンの外径はバルーン31の内径よりも僅かに小さく形成され、先端部はバルーンの挿入を容易にするように先細形状となっている。また、前方部の外周にはダイアフラム21が取り付けられているとともに、エア供給孔22が連通されていてダイアフラム21を自在に膨出できる構造となっている。
【0021】
図3は、バルーンホルダを示す断面図である。図において1、2は、上下方向に開閉自在な一対のバルーンホルダを示しており、このバルーンホルダ1、2の接合面には、前記棒状ピン20を挿入するための断面円弧状の凹溝3、3が形成されている。また、接合面には係合ピン4aと係合孔4bが設けられていて、バルーンホルダ1、2が正確に位置合わせして接合される構造となっている。なお、この係合手段についてはこれに限定されず任意のものを選択することができ、また係合手段を設ける位置や凹凸をどちらに取り付けるか等についても任意に選択することができる。
【0022】
また、前記凹溝3、3の底面には、それぞれ真空チャンバ5、5が開口するように設けられており、この真空チャンバ5、5にはチャンバの真空引きをするための吸引孔6、6が連通されている。更に、前記真空チャンバ5、5の内部には、通気性のあるポーラス材7、7が配置されている。
【0023】
図4は、開いた状態にあるバルーンホルダ1、2の所定位置に、前述した図2に示す棒状ピン20を挿入する工程を示す断面図である。なお、前記棒状ピン20には、所定の長さに切断したバルーン31がダイアフラム21に重なるようにセットされている。
このとき、ダイアフラム21にはエアはまだ供給されておらず、バルーン31は原形の寸法を維持している。
【0024】
次に、図5に示すように、バルーンホルダ1、2を閉じると、係合ピン4aと係合孔4bが係合して正確に位置合わせした状態で接合されるため、棒状ピン20は凹溝3内に密着した状態で収納される。また、バルーン31も真空チャンバ5内にピッタリと収納されることとなる。
【0025】
次に、図6に示すように、エア供給孔22にエアを供給するとダイアフラム21が膨出し、また、このダイアフラム21の外側にあるバルーン31もいっしょに膨出するので、バルーン31はポーラス材7に押し付けられることとなる。更に、この状態で吸引孔6、6から真空引きして真空チャンバ5内を真空状態とすると、前記バルーン31はダイアフラム21からの内側から外側に向かう力と、真空チャンバ5から受ける吸引力により、ポーラス材7の表面にしっかりと固定されることとなる。
【0026】
図7はこの状態における要部の拡大図である。図7に示されるように、ダイアフラム21は膨出して棒状ピン20の外周との間に僅かな隙間(S1)を形成しており、一方、ダイアフラム21とバルーン31はポーラス材7の表面にしっかりと固定された状態となっている。
【0027】
次に、図8に示すように、エア供給孔22のエアの供給を停止すると、ダイアフラム21は収縮して当初の形状に戻るが、バルーン31は真空チャンバ5から受ける吸引力によりそのままポーラス材7の表面にしっかりと固定された状態を維持する。この結果、ダイアフラム21とバルーン31が分離して、両者の間に隙間(S2)が形成される(図9を参照)。
【0028】
次に、図10に示すように、ダイアフラム21とともに棒状ピン20を引き抜く。この時、バルーン31との間には僅かな隙間(S2)があるので棒状ピン20をスムーズに引き抜くことができる。これにより、ホルダ1、2の内部には、バルーン31のみが残された状態となる。
【0029】
次に、図11に示すように、ホルダ1、2の内部にカテーテル本体30を挿入する。このカテーテル本体30の外周の所定位置(両端部付近)には、前もって接着剤がリング状に2本塗布されている。また、カテーテル本体30の挿入時において、バルーン31と接触しないようにカテーテル本体30の外径やポーラス材7の内径等が設計されている。
【0030】
次に、図12に示すように、カテーテル本体30を所定の位置まで挿入した後は、吸引孔6、6からの真空引きを停止して真空チャンバ5内を大気解放する。この結果、ポーラス材7側へ引っ張られていたバルーン31が弾力により元の形状に戻ろうとして収縮し、カテーテル本体30の外表面に密着する(図13の拡大図を参照)。また、カテーテル本体30の外周の所定位置には、前もって接着剤36がリング状に2本塗布されているので、バルーン31の両端部が接着され密封されることとなる。
【0031】
次にバルーンホルダ1、2を開き(図14を参照)、次いで、カテーテル本体30を取り出して(図15を参照)、カテーテルにバルーンを取り付ける工程のサイクルを終了する。以後、同様の手順により機械式で連続してバルーンの取り付けを正確に繰り返すことができる。
【0032】
以上の説明からも明らかなように、本発明はダイアフラムを取り付けた棒状ピンと、ポーラス材が配置された真空チャンバを設けたバルーンホルダを利用して、医療用カテーテルの先端に抜け防止用のバルーンを取り付けるようにしたので、従来のように手作業でなく機械式により連続的に、かつ確実に取り付けることができ、また生産効率が高く低コストで取り付けることができることとなる。
【符号の説明】
【0033】
1 バルーンホルダ
2 バルーンホルダ
3 凹溝
4a ガイドピン
4b ガイド孔
5 真空チャンバ
6 吸引孔
7 ポーラス材
20 棒状ピン
21 ダイアフラム
22 エア供給孔
30 カテーテル本体
31 バルーン
32 尿回収孔
33 エア供給孔
34 接続ブラケット
35 接続ブラケット
36 接着剤
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15