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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-15
(45)【発行日】2022-01-14
(54)【発明の名称】固定具及び固定方法
(51)【国際特許分類】
   E04D 13/00 20060101AFI20220106BHJP
   E04D 13/18 20180101ALI20220106BHJP
   H02S 20/23 20140101ALI20220106BHJP
【FI】
E04D13/00 K ETD
E04D13/18
H02S20/23 A
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2017070688
(22)【出願日】2017-03-31
(65)【公開番号】P2018172894
(43)【公開日】2018-11-08
【審査請求日】2020-03-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000129079
【氏名又は名称】株式会社カナメ
(73)【特許権者】
【識別番号】513009668
【氏名又は名称】ソーラーフロンティア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001564
【氏名又は名称】フェリシテ特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 和浩
(72)【発明者】
【氏名】三浦 秀樹
(72)【発明者】
【氏名】秋場 俊郎
(72)【発明者】
【氏名】野口 康次
【審査官】前田 敏行
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-035016(JP,A)
【文献】国際公開第2008/021714(WO,A2)
【文献】国際公開第2014/109194(WO,A1)
【文献】国際公開第2015/008516(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2010/0012805(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第103243874(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04D 13/00
E04D 13/18
H02S 20/23
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
柱状部材を固定する固定具であって、
柱状部材の底部の第1端部を支持する第1支持部材と、
前記柱状部材の前記底部の第2端部を支持する支持片を備えた第2支持部材と、を有し、
前記第2支持部材は、第1締結部材によって前記第1支持部材に取り付けられており、
前記第2支持部材は、前記第1締結部材を軸に第1状態と第2状態との間で回転可能に構成されており、前記第1状態は、前記第1支持部材が前記柱状部材の前記底部の前記第1端部を支持した状態で前記第2支持部材の前記支持片が前記柱状部材の前記底部の前記第2端部を支持しない状態であり、前記第2状態は、前記第1支持部材が前記柱状部材の前記底部の前記第1端部を支持した状態で前記第2支持部材の前記支持片が前記柱状部材の前記底部の前記第2端部を支持する状態であり、
前記第2状態は、前記支持片が前記柱状部材の方に向いた状態であり、
前記第1状態は、前記支持片が前記柱状部材とは反対の方に向いた状態である、固定具。
【請求項2】
前記第1支持部材は、前記柱状部材の前記底部を下から支える積載部と、前記柱状部材の前記底部の前記第1端部を上方から挟む挟持片と、を有し、
上下方向における前記挟持片の長さは、前記柱状部材の長手方向における前記挟持片の長さよりも長い、請求項1に記載の固定具。
【請求項3】
前記第1支持部材及び前記第2支持部材を載せる基部を有し、
前記第1支持部材及び前記第2支持部材は、一緒に、前記基部に対して前記柱状部材の短手方向にスライド移動可能に構成されている、請求項1又は2に記載の固定具。
【請求項4】
柱状部材を固定する固定方法であって、
柱状部材の底部の第1端部を支持する第1支持部材と、前記柱状部材の前記底部の第2端部を支持する支持片を備えた第2支持部材と、前記第1支持部材と前記第2支持部材とを締結する第1締結部材と、を有する固定具を準備するステップと、
前記柱状部材の前記底部の前記第1端部を前記第1支持部材に支持させるステップと、
前記第2支持部材の前記支持片が前記柱状部材の前記底部の前記第2端部を支持しない第1状態から、前記第2支持部材の前記支持片が前記柱状部材の前記底部の前記第2端部を支持する第2状態へ、前記第1締結部材を軸に前記第2支持部材を回転させるステップと、
を有し、
前記第2状態は、前記支持片が前記柱状部材の方に向いた状態であり、
前記第1状態は、前記支持片が前記柱状部材とは反対の方に向いた状態である、固定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば太陽電池モジュールを支持する柱状部材を固定する固定具、及び当該固定具を用いた固定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、屋外に太陽電池モジュールのようなパネルの設置が進められている。このようなパネルは、公共施設や一般家庭などのあらゆる場所に設置される。
【0003】
特許文献1は、パネル状の太陽電池モジュールを固定するための固定装置を開示している。複数のパネル状の太陽電池モジュールが、縦方向及び横方向に複数配列している。固定装置は、縦方向(屋根の傾斜方向)に延びる複数の縦材と、横方向に延びる複数の支持部材(横材)と、を含む。複数の縦材は、屋根の設置面に固定されている。支持部材は、複数の縦材上に固定されている。各々の太陽電池モジュールは、縦方向に互いに隣接する2つの横材によって支持されている。
【0004】
特許文献1では、縦材に、支持部材の底面部の端部を引掛ける引掛部が形成されている。支持部材を縦材上に固定する際には、支持部材の底面部を引掛部に引掛けた後、挟持部材によって支持部材の底面部と縦材の上面とを挟持し、挟持部材と縦材とをボルトによって締結する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】国際公開第2014/109194号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載された固定装置では、支持部材を縦材上に固定する前に、支持部材を縦材上に固定するための挟持部材及びボルトは、支持部材や縦材とは分離した状態で準備される。したがって、支持部材を縦材上に固定する前に、固定装置を構成する部品がバラバラになり易く、小さい部品、例えば挟持部材及びボルトが紛失し易い。太陽電池モジュールのように、屋外に設置される部材を固定する固定装置では、特に部品を紛失し易いという課題が生じる。
【0007】
また、足場の良くない場所で固定装置を組み立てる必要がある場合では、固定装置を構成する部品がバラバラに分離されていると、固定装置を容易に組み立て難いという課題もある。
【0008】
よって、部品を紛失しにくく、容易に組み立て易い固定具が望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0009】
一態様に係る固定具は、柱状部材を固定する固定具に関する。当該固定具は、柱状部材の底部の第1端部を支持する第1支持部材と、前記柱状部材の前記底部の第2端部を支持する支持片を備えた第2支持部材と、を有する。前記第2支持部材は、第1締結部材によって前記第1支持部材に取り付けられており、前記第2支持部材は、前記第1締結部材を軸に第1状態と第2状態との間で回転可能に構成されている。前記第1状態は、前記第1支持部材が前記柱状部材の前記底部の前記第1端部を支持した状態で前記第2支持部材の前記支持片が前記柱状部材の前記底部の前記第2端部を支持しない状態である。前記第2状態は、前記第1支持部材が前記柱状部材の前記底部の前記第1端部を支持した状態で前記第2支持部材の前記支持片が前記柱状部材の前記底部の前記第2端部を支持する状態であり、前記第2状態は、前記支持片が前記柱状部材の方に向いた状態であり、前記第1状態は、前記支持片が前記柱状部材とは反対の方に向いた状態である。
【0010】
一態様に係る固定方法は、柱状部材を固定する固定方法に関する。当該固定方法は、柱状部材の底部の第1端部を支持する第1支持部材と、前記柱状部材の前記底部の第2端部を支持する支持片を備えた第2支持部材と、前記第1支持部材と前記第2支持部材とを締結する第1締結部材と、を有する固定具を準備するステップと、前記柱状部材の前記底部の前記第1端部を前記第1支持部材に支持させるステップと、前記第2支持部材の前記支持片が前記柱状部材の前記底部の前記第2端部を支持しない第1状態から、前記第2支持部材の前記支持片が前記柱状部材の前記底部の前記第2端部を支持する第2状態へ、前記第1締結部材を軸に前記第2支持部材を回転させるステップと、を有し、前記第2状態は、前記支持片が前記柱状部材の方に向いた状態であり、前記第1状態は、前記支持片が前記柱状部材とは反対の方に向いた状態である。
【発明の効果】
【0011】
上記態様によれば、部品を紛失しにくく、容易に組み立て易い固定具を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】第1実施形態に係るパネル用の固定装置と、固定装置に設置されたパネルとを示す斜視図である。
図2図1の2A方向から見た固定装置の部分的側面図である。
図3】固定装置を構成する柱状部材の部分的斜視図である。
図4】柱状部材を固定する固定具(第2状態)の斜視図である。
図5】固定具の分解斜視図である。
図6】柱状部材を固定する固定具(第1状態)の斜視図である。
図7】固定具に設置可能なスペーサの一例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して、実施形態について説明する。以下の図面において、同一又は類似の部分には、同一又は類似の符号を付している。ただし、図面は模式的なものであり、各寸法の比率等は現実のものとは異なることがあることに留意すべきである。
【0014】
図1は、第1実施形態に係るパネル用の固定装置と、固定装置に設置されたパネルとを示す斜視図である。図2は、図1の2A方向から見た固定装置の部分的側面図である。図3は、固定装置を構成する柱状部材の部分的斜視図である。図4は、固定装置を構成する固定具の斜視図である(第2状態)。図5は、固定具の分解斜視図である。図6は、柱状部材を固定する固定具(第1状態)の斜視図である。
【0015】
第1実施形態において、パネル用の固定装置は、立馳を有する屋根10に設置される。具体的には、屋根10は、固定装置が置かれる設置面12と、設置面12から突出し、一方向に延びる複数の凸部14と、を有する。本実施形態では、凸部14は立馳により形成されているが、これに限定されるものではない。本実施形態のパネル用の固定装置は、任意の形状の凸部14を有する設置面上に設置可能である。
【0016】
固定装置は、設置面の凸部14の位置に固定される複数の固定具90と、固定具90上に支持された柱状部材120と、を含む。柱状部材120は、凸部14が延びる方向(図のY方向)と交差する方向(図のX方向)に沿って延びている。柱状部材120は、凸部14が延びる方向と交差する方向(X方向)おいて互いに隣接する少なくとも2つの固定具90によって支持されていてよい。太陽電池モジュールのようなパネル20は、凸部14が延びる方向に互いに隣接する一対の柱状部材120によって支持されていてよい。
【0017】
複数の固定具90は、一方向に延びた凸部14上の任意の位置に設置可能である。また、柱状部材120の長手方向(図のX方向)において、固定具90に対する柱状部材120の位置は、任意である。言い換えると、柱状部材120は、X方向において任意の位置に設置可能である。したがって、パネル20は、互いに直交する2つの方向、すなわちX方向及びY方向において任意の位置に設置可能となる。
【0018】
柱状部材120は、柱状部材120の短手方向(図のY方向)に互いに隣接する2つのパネル20をそれぞれ積載する第1積載面126a及び第2積載面126bを有する(図2及び図3参照)。柱状部材120は、後述の固定具90に接する底部122を有する。第1積載面126a及び第2積載面126bは、底部122よりも上方に位置していてよい。具体的には、第1積載面126a及び第2積載面126bは、それぞれ底部122から上方に延びる部分127a,127bによって底部122より上方に支持されている。また、柱状部材120は、第1積載面126aと第2積載面126bとを仕切る側面当接部128を有していてよい。側面当接部128は、柱状部材120の短手方向に互いに隣接する一対のパネル20の側面に当接する。
【0019】
柱状部材120はフランジ129を有していてよい。フランジ129は、側面当接部128の上部から柱状部材120の短手方向の両側に突出する。本実施形態では、パネル20の端部が、積載面126a,126bとフランジ129によって支持される。
【0020】
柱状部材120は、凸部14が延びる方向における両端に配置された2つの柱状部材を除き、同一の構造を有していてよい。また、凸部14が延びる方向における両端に配置された2つの柱状部材は、その他の柱状部材120と異なる構造を有していてもよい。例えば、凸部14が延びる方向における両端に配置された2つの柱状部材は、1つのパネル20を積載する1つの積載面のみを有していてよい。
【0021】
柱状部材120を固定する固定具90は、基部100と、第1支持部材130と、第2支持部材140と、を有する。基部100は、設置面12に形成された凸部14を挟み込むように構成されていてよい。基部100は、後述の第1支持部材130及び第2支持部材140を積載可能に構成されている。
【0022】
具体的一例として、基部100は、互いに対向する一対の土台部102と、設置面12の凸部14を挟み込む一対の把持部106と、を有する。なお、図4及び図5では、一対の把持部106のうちの一方は、視認できない位置に配置されているため、図示されていない。
【0023】
土台部102は、設置面12上に当接する脚部104と、第1支持部材130及び第2支持部材140を載せる上部108と、を有していてよい。脚部104は、土台部102の底に設けられており、基部100を支えている。
【0024】
一対の把持部106は、第2締結部材180によって互いに締結されている。一対の把持部106が第2締結部材180によって互いに締結されることで、一対の把持部106は設置面12の凸部14を強く挟み込むことができる。なお、一対の土台部102及び把持部106の形状は、凸部14の形状に応じて適宜設定されていてよい。
【0025】
第1支持部材130は、基部100上に設けられる。本実施形態では、第1支持部材130は、土台部102の上部108上に配置されている。第1支持部材130は、第1積載部136と、挟持片132と、を有していてよい。第1積載部136は、柱状部材120の底部122を下から支えるよう構成されている。
【0026】
第1支持部材130は、柱状部材120の底部122の短手方向の第1端部122aを支持する。具体的には、挟持片132が、第1積載部136に積載された柱状部材120の底部122の第1端部122aを上方から挟むよう構成されている。
【0027】
上下方向(Z方向)における挟持片132の長さは、柱状部材120の長手方向における挟持片132の長さ(本実施形態においては挟持片132の厚さ、すなわちX方向の長さ)よりも長いことが好ましい。これにより、挟持片132は、柱状部材120の底部122の第1端部122aが上方へ持ち上がろうとする力を強固に押さえることができる。このような挟持片132の構造は、例えば、本実施形態のように、柱状部材120の長手方向に相当する端部を所定形状にカットした板金の切縁によって形成することができる。そのほか、挟持片132の構造は、折り曲げ加工することによって形成することもできる。
【0028】
第2支持部材140は、第1支持部材130上に設けられている。第2支持部材140は、柱状部材120の底部122の第2端部122b(第1支持部材130によって支持される第1端部122aとは反対側の端部)を支持する支持片142を備える。より具体的には、柱状部材120の第2端部122bは、支持片142と第1支持部材130の第1積載部136との間に挟まれる。
【0029】
第2支持部材140は、第1状態と第2状態との間で回転可能に構成されている。ここで、第1状態は、第1支持部材130が柱状部材120の底部122の第1端部122aを支持した状態で第2支持部材140の支持片142が柱状部材120の底部122の第2端部122bを支持しない状態である。具体的には、第1状態は、第2支持部材140の支持片142が、柱状部材120とは反対の方向に向けられた状態である(図6参照)。
【0030】
第2状態は、第1支持部材130が柱状部材120の底部122の第1端部122aを支持した状態で第2支持部材140の支持片142が柱状部材120の底部122の第2端部122bを支持する状態である。具体的には、第2状態は、第2支持部材140の支持片142が、柱状部材120の方向に向けられた状態である(図2及び図4参照)。
【0031】
第2支持部材140は、第1締結部材160によって第1支持部材130に取り付けられていてよい。第1締結部材160は、例えばボルトやナットの組み合わせであってよい。
【0032】
第2支持部材140は、第1締結部材160を軸に回転可能に構成されていてよい。第1状態では、第2支持部材140は、柱状部材120の底部122の第2端部122bの上を覆わない。これにより、柱状部材120は、第1状態において、第1支持部材130上に着脱可能となる。一方、第2状態では、第2支持部材140の支持片142は、柱状部材120の底部122の第2端部122bを上から押さえる。これにより、柱状部材120は、第1支持部材130及び第2支持部材140によってしっかりと押さえられる。
【0033】
上記のように、第2支持部材140を回転させることによって柱状部材120の固定が可能であるため、固定具を容易に組み立て易い。また、組み立て時に第2支持部材140を第1支持部材130から取り外す必要がないため、固定具90を構成する部品の紛失も抑制することができる。
【0034】
第1支持部材130と第2支持部材140とを締結する第1締結部材160は、基部100に達している。すなわち、第1締結部材160は、第1支持部材130と第2支持部材140と基部100とを互いに締結する。
【0035】
第1支持部材130は、上記第1状態及び上記第2状態において第2支持部材140の回転を規制する回転規制部138を有していてよい。具体的一例として、第1支持部材130は、第2支持部材140を下から支える第2積載部137と、第2支持部材140を受け入れる溝を構成する一対の側壁部138を有する。この一対の側壁部138が前述の回転規制部を構成していてよい。第1状態及び第2状態において第2支持部材140の回転が規制されることで、回転方向における支持片142の位置ずれを防止することができる。なお、この場合、第2支持部材140は、一対の側壁部138よりも上方に持ち上げられることによって第1状態と第2状態との間で回転可能となる。
【0036】
一対の側壁部138の高さ(第2積載部137を基準とした高さ)は、第1状態及び第2状態において、第1締結部材160の、第2支持部材140の第3穴部144から上方に突出している部分の長さよりも短いことが好ましい。ここで、第2支持部材140の第3穴部144は、第1締結部材160が挿入されている貫通孔である。当該構成によれば、第1締結部材160、具体的には第1締結部材160を構成するナットを取り外すことなく緩めるだけで、第2支持部材140を一対の側壁部(回転規制部)138よりも上方に持ち上げることができる。すなわち、第2支持部材140は、第1支持部材130から完全に取り外すことなく回転可能となる。
【0037】
なお、本実施形態では、一対の側壁部138の上部は、柱状部材120の長手方向に向かって曲げられており、前述の第1積載部136を構成している。
【0038】
第1支持部材130及び第2支持部材140は、一緒に、基部100に対して柱状部材120の短手方向にスライド移動可能に構成されていることが好ましい。これにより、柱状部材120を第1支持部材130及び第2支持部材140によって固定した状態で、短手方向における柱状部材120の位置を微調整することができる。したがって、パネル20の設置が容易になったり、パネル20の位置の微調整が可能になったりする。
【0039】
具体的構成の一例として、柱状部材120の短手方向において、基部100に形成された、第1締結部材160が貫通する第1穴部116の長さは、第1締結部材160の、第1穴部116に挿入された部分の径よりも長い。本実施形態においては、第3締結部材190が、柱状部材120の短手方向に延び、一対の把持部106の両方を貫通している。第3締結部材190は、各々の把持部106の回動軸として機能している。そして、その第3締結部材190に組み合わされて、第1締結部材160が立設されている。具体的には、第1締結部材160の下端部が、第3締結部材190の上に配置されている。そのため、第1締結部材160は、第3締結部材190に沿ってスライド可能である。これにより、第1支持部材130及び第2支持部材140が基部100に対して柱状部材120の短手方向にスライド移動可能に構成される。
【0040】
一方、第2支持部材140は、第1支持部材130に対してスライド移動不能に構成されていることが好ましい。本実施形態では、第1支持部材130に形成された、第1締結部材160が貫通する第2穴部134の直径が、第1締結部材160の直径と実質的に同じになっている。また、第2支持部材140に形成された、第1締結部材160が貫通する第3穴部144の直径は、第1締結部材160に挿通されるとほぼ位置決めされる大きさになっている。すなわち、第3穴部144の直径も第1締結部材160の直径とほぼ同様になっている。このように、第2支持部材140が第1支持部材130に対してスライド移動不能に構成されるため、上記第2状態において、第1支持部材130の挟持片132と第2支持部材140の支持片142との間の距離が一定になる。ただし、第1締結部材160を挿通し易くするため、第2穴部134および第3穴部144の直径は、第1締結部材160の直径よりも若干大きいことが好ましい。例えば、第2穴部134および第3穴部144の直径は、第1締結部材160の直径よりも1mm程度大きくてもよい。
【0041】
図6に示すような第1状態において、柱状部材120側に向けられる第2支持部材140の上部146は、下方から上方に向かうにつれて柱状部材120から離れる方向に傾斜している。この上部146は、第1状態において、第1締結部分160よりも柱状部材120側に位置していてよい。これにより、第1状態において、柱状部材120の底部122の第1端部122aが挟持片132と第1積載部136との間に挟まれるように、柱状部材120を第1支持部材130上に置き易くなる。
【0042】
例えば一般住宅の屋根のように設置面12が傾斜している場合、固定具90は、第1支持部材130の挟持片132が水下側に位置し、かつ第2支持部材140の支持片142が水上側に位置するように、配置されることが好ましい。
【0043】
また、固定具90は、第1締結部材160を緩めることによって基部100と第1支持部材130との間に隙間を形成可能に構成されている。この隙間に板状のスペーサ200を挿入することによって、第1支持部材130、第2支持部材140及び柱状部材120の高さ調節をすることができる。これにより、パネル20の不陸調整が可能となる。
【0044】
図7は、第1支持部材130と基部100との間の隙間に設置可能なスペーサ200の一例を示している。スペーサ200は実質的に平板であってよい。スペーサ200の少なくとも1辺に、第1締結部材160の径よりも大きな幅を有する切り欠き部202が形成されていてよい。スペーサ200の切り欠き部202に、第1締結部材160を位置合わせすることによって、スペーサ200の位置ずれを防止することができる。
【0045】
次に、柱状部材を固定する固定方法について説明する。まず、前述した固定具90及び柱状部材120を準備する。
【0046】
次に、固定具90を設置面12に取り付ける。具体的には、固定具90の基部100の一対の把持部106が設置面12上の凸部14を挟むように、固定具90を設置面12上に置く。次に、第2締結部材180によって一対の把持部106を締め付けることで、固定具90の基部100をしっかりと設置面12上に固定する。
【0047】
次に、柱状部材120を第1支持部材130の第1積載部136上に置きつつ、柱状部材120の底部122の第1端部122aを第1支持部材130に支持させる。この際に、第2支持部材140は、上記の第1状態、すなわち支持片142が柱状部材120を支持しない状態にしておく(図6に示す状態)。言い換えると、支持片142は、柱状部材120とは反対の方向に向けられている。これにより、第2支持部材140の支持片142が柱状部材120に干渉することなく、柱状部材120を第1支持部材130の第1積載部136上に置くことができる。また、この際に、柱状部材120は、柱状部材120の長手方向に複数並べられた固定具90上に積載されてよい。
【0048】
次に、第2支持部材140の支持片142が柱状部材120の底部122の第2端部122bを支持しない第1状態から、第2支持部材140の支持片142が柱状部材120の底部122の第2端部122bを支持する第2状態へ、第2支持部材140を回転させる。具体的には、第1締結部材160を緩めた状態で、第2支持部材140を若干上方へ持ち上げ、それから第2支持部材140を回転させ、第1締結部材160で第2支持部材140をしっかりと締結する。これにより、図2に示すように、第2支持部材140の支持片142が柱状部材120の底部122の第2端部122bの上部に位置した状態になる。
【0049】
以上説明したように、柱状部材120を固定具90によって固定することができる。太陽電池モジュールのようなパネル20を支持する場合には、柱状部材120の第1積載面126a及び第2積載面126bにパネル20の端部を積載していけばよい。これにより、設置面12上にパネル20を設置することができる。
【0050】
上述したように、実施形態を通じて本発明の内容を開示したが、この開示の一部をなす論述及び図面は、本発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替の実施形態、実施例及び運用技術が明らかとなる。したがって、本発明の技術的範囲は、上述の説明から妥当な特許請求の範囲に係る発明特定事項によってのみ定められるものである。
【0051】
例えば、上記実施形態に係る固定具90は、基部100が設置面12上の凸部14を挟持するように構成されている。固定具90が設置面12に固定される構造は、このような態様に限定されない。例えば、固定具90は、設置面12に締結部材によって直接又は間接的に固定されていてよい。また、基部100は、屋根の傾斜方向に沿って長く延びる縦材から構成されていてもよい。
【0052】
また、上記実施形態では、固定具90は、太陽電池モジュールのようなパネルを支持する柱状部材120を固定する。これに限らず、固定具90は、任意の柱状部材を固定するものであってよい。
【符号の説明】
【0053】
12 設置面
20 パネル
90 固定具
100 基部
120 柱状部材
122 柱状部材の底部
130 第1支持部材
132 挟持片
136 第1積載部
137 第2積載部
138 回転規制部(側壁部)
140 第2支持部材
142 支持片
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7