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  • 特許-皮膚改善用食品組成物 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-15
(45)【発行日】2022-02-21
(54)【発明の名称】皮膚改善用食品組成物
(51)【国際特許分類】
   A23L 33/10 20160101AFI20220214BHJP
   A23L 33/17 20160101ALI20220214BHJP
   A23L 33/14 20160101ALI20220214BHJP
   A23L 21/20 20160101ALI20220214BHJP
   A61K 36/064 20060101ALN20220214BHJP
   A61K 35/644 20150101ALN20220214BHJP
   A61P 17/00 20060101ALN20220214BHJP
【FI】
A23L33/10
A23L33/17
A23L33/14
A23L21/20
A61K36/064
A61K35/644
A61P17/00
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2017091275
(22)【出願日】2017-05-01
(65)【公開番号】P2018186743
(43)【公開日】2018-11-29
【審査請求日】2020-04-06
(73)【特許権者】
【識別番号】593084649
【氏名又は名称】日本コルマー株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】591045471
【氏名又は名称】アピ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】萩野 輝
(72)【発明者】
【氏名】西浦 英樹
(72)【発明者】
【氏名】丸山 俊介
(72)【発明者】
【氏名】河村 正和
【審査官】飯室 里美
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-076927(JP,A)
【文献】特表2011-529484(JP,A)
【文献】特表2008-503563(JP,A)
【文献】特表2009-503042(JP,A)
【文献】国際公開第02/072123(WO,A1)
【文献】特開2015-151389(JP,A)
【文献】特開2010-077056(JP,A)
【文献】特開2011-140453(JP,A)
【文献】特開2014-073130(JP,A)
【文献】特開2012-056890(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23L
A61K
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/FSTA/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
栄養源を含有する培地で培養されたシゾサッカロミセス属酵母の培養液を有効成分として含有し、
前記栄養源は、ローヤルゼリーを含む皮膚改善用食品組成物。
【請求項2】
シワの改善若しくは抑制、皮膚バリア機能の改善若しくは低下抑制、シミの改善若しくは発生抑制、又は肌質の改善若しくは低下抑制の用途で用いられる請求項1に記載の皮膚改善用食品組成物。
【請求項3】
前記栄養源は、ローヤルゼリーから抽出されたタンパク質を含む請求項1又は2に記載の皮膚改善用食品組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、皮膚改善作用を有する皮膚改善用食品組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
酵母は、従来よりパン、酒等の発酵食品を作る際に用いられる有用微生物の一つである。酵母としては、サッカロミセス属(出芽酵母)、シゾサッカロミセス属(分裂酵母)等の種類が知られている。これらの酵母は、様々な発酵食品に利用されるのみならず、酵母の菌体自体も様々な栄養成分を含有する健康食品等として利用されている。
【0003】
従来より、例えば特許文献1,2に開示される酵母又は酵母由来の成分を含有する食品組成物が知られている。特許文献1は、酵母の乾燥菌末等を含有する関節炎に対する抗炎症作用を有する飲食品について開示する。特許文献2は、酵母の炭化物から抽出されたミネラルを含有する食品素材について開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2009-298702号公報
【文献】特開平9-205号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的とするところは、優れた皮膚改善作用を発揮する皮膚改善用食品組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、シゾサッカロミセス属酵母の培養液が優れた皮膚改善作用を発揮することを見出したことに基づいてなされたものである。
上記目的を達成するために、本発明の一態様の皮膚改善用食品組成物では、栄養源を含有する培地で培養されたシゾサッカロミセス属酵母の培養液を有効成分として含有することを特徴とする。
【0007】
本皮膚改善用食品組成物では、シワの改善若しくは抑制、皮膚バリア機能の改善若しくは低下抑制、シミの改善若しくは発生抑制、又は肌質の改善若しくは低下抑制の用途で用いられてもよい。前記栄養源は、養蜂産物を含んでもよい。前記養蜂産物は、ローヤルゼリーであってもよい。前記養蜂産物は、ローヤルゼリーから抽出されたタンパク質であってもよい。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、優れた皮膚改善作用を発揮できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】試験例1における皮膚改善用食品組成物の摂取前、摂取2週間後、及び摂取4週間後の皮膚表面の写真。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(第1実施形態)
以下、本発明の皮膚改善用食品組成物を具体化した一実施形態を説明する。本実施形態の皮膚改善用食品組成物の有効成分は、栄養源を含有する培地(培養原液)で培養されたシゾサッカロミセス(Schizosaccharomyces)属酵母の培養液である。
【0011】
栄養源としては、例えば炭素源、窒素源、リン、マグネシウム等の無機質、ビタミン等の発育促進物質等が挙げられる。炭素源の具体例として、例えば糖類、脂質、有機酸等が挙げられる。糖類は、グルコース等の単糖類、二糖類、オリゴ糖、デキストリン等の多糖類のいずれであってもよい。窒素源の具体例としては、タンパク質、アミノ酸等が挙げられる。タンパク質としては、動植物・微生物のいずれが由来であってもよく、プロテアーゼ処理により低分子化されたペプチドであってもよい。これらの炭素源又は窒素源は、1種のみを単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0012】
培地は、合成培地、天然培地、半合成培地のいずれであってもよい。栄養源としては、入手容易性及び栄養のバランスの観点から、天然素材を含むことが好ましい。天然素材の具体例としては、例えば養蜂産物、プラセンタ、コンドロイチン、コラーゲン、ヒアルロン酸、エラスチン等が挙げられる。養蜂産物の具体例としては、例えばローヤルゼリー(以下、RJという)、蜂蜜等が挙げられる。これらの栄養源の中で、培養液の皮膚改善作用の向上の観点から養蜂産物が好ましく、RJがより好ましい。
【0013】
RJは、アピシン等のRJ特有のタンパク質、脂肪酸及びミネラル等が含有されているため、栄養価が高く、酵母の増殖を促進する。RJの産地は、特に限定されず、中国、台湾、日本等のアジア諸国、ヨーロッパ諸国、北アメリカ諸国、ブラジル等の南アメリカ諸国、及びオセアニア諸国のいずれでもよい。また、生RJ又は乾燥RJ(生RJを凍結乾燥処理等により乾燥させて粉末化したもの)をそのまま培地に配合してもよく、デセン酸等の酵母の増殖に必須でない成分を除去し、タンパク質成分を抽出した抽出物を使用してもよい。
【0014】
RJ中のタンパク質成分は、RJと親水性有機溶媒を含む抽出溶媒を混合した際の不溶性画分として得ることができる。なお、RJに親水性有機溶媒を含む抽出溶媒を添加して得られる可溶性画分は、一般にRJエキスとよばれ、デセン酸をはじめとするRJに特有な脂肪酸、そのエステルからなる脂質等が含有されている。
【0015】
RJに添加する抽出溶媒としては、親水性有機溶媒又は含水親水性有機溶媒が使用される。親水性有機溶媒としては、例えばエタノール、メタノール、ブタノール及びプロパノール等の低級アルコール類、クロロホルム等のハロゲン化炭化水素類が挙げられる。これらの親水性有機溶媒を単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。これらの中で、タンパク質画分の抽出効率、生体に対する適用性等の観点からエタノールが最も好ましい。含水親水性有機溶媒として例えば含水エタノールが使用される場合、抽出溶媒中におけるエタノールの濃度は、50~99容量%が好ましく、80~99容量%がより好ましく、90~99容量%が最も好ましい。これらの抽出溶媒の添加量は、抽出効率の点から、RJの1質量部(固形分)に対して1~10質量部が好ましく、2~8質量部がより好ましく、3~6質量部が最も好ましい。
【0016】
抽出の温度は、溶媒の揮発を防ぐ点から、10~40℃が好ましく、20~30℃がより好ましい。抽出の時間は、収率の点から、1~24時間が好ましく、1.5~12時間がより好ましく、2~6時間がさらに好ましい。得られた抽出物は、溶媒に可溶性の画分と、タンパク質成分を含む沈殿物からなる不溶性の画分とから構成される。これらの可溶性画分と不溶性画分は、公知の方法、例えば濾過処理、遠心分離を用いることにより、容易に分離することができる。
【0017】
RJ中のタンパク質成分は、そのまま培地に添加し、窒素源として使用してもよく、酵素(プロテアーゼ)により分解処理してペプチド化したものを使用してもよい。酵母の増殖性及び皮膚改善作用の向上の観点からRJ中のタンパク質成分をプロテアーゼ処理したものが好ましく適用される。
【0018】
プロテアーゼとしては、特に限定されないが中性プロテアーゼが好ましい。中性プロテアーゼとしては、至適pHを中性付近(好ましくはpH5.0~8.5、より好ましくはpH6.5~7.5)に有するプロテアーゼを挙げることができる。中性プロテアーゼには、ペプチドの末端から加水分解するエキソ型プロテアーゼとペプチドの途中から分解するエンド型プロテアーゼとが存在するが、いずれのプロテアーゼも使用することができる。中性プロテアーゼの具体的としては、例えばバチルス・ステアロサーモフィルス(Bacillus stearothermophilus)(バチルス・サーモプロテオライティクス・ロッコ(Bacillus thermoproteolyticus Rokko))由来の中性プロテアーゼであるサーモリシン、アスペルギルス・オリザエ(Aspergillus oryzae)由来の中性プロテアーゼ、バチルス・サブティリス(Bacillus subtilis)由来の中性プロテアーゼ等を挙げることができる。これらの中で、酵素処理により皮膚改善作用の向上効果の高いサーモリシン及びアスペルギルス・オリザエ由来の中性プロテアーゼが好ましく、サーモリシンがより好ましい。
【0019】
サーモリシンの市販品としては、例えばサモアーゼPC10F(天野エンザイム社製)を挙げることができる。サーモリシンを用いた処理は、好ましくは10~80℃、より好ましくは40~75℃、さらに好ましくは50~70℃の条件下で行われる。アスペルギルス・オリザエ由来の中性プロテアーゼとして、市販品としては、例えばスミチームFP(新日本化学工業社製)を使用することができる。アスペルギルス・オリザエ由来の中性プロテアーゼを用いた処理は、好ましくは10~80℃、より好ましくは40~75℃、さらに好ましくは45~60℃の条件下で行われる。
【0020】
プロテアーゼの処理時間は、反応温度、酵素の力価等により適宜設定されるが、皮膚改善作用を十分に高める観点及び経済性の観点から、好ましくは0.1~6時間、より好ましくは0.5~2時間である。プロテアーゼ処理は、分解処理後の反応液を直ちに85~100℃で5~60分間加熱して前記プロテアーゼを失活させることが望ましい。
【0021】
培地は、水に上述した炭素源等の各種栄養源を添加し、加熱して滅菌処理することにより調製することができる。培地液中の栄養源の配合量は、適宜設定されるが、酵母の増殖性等の観点から固形分として好ましくは0.1~20質量%の範囲を採用することができる。栄養源の含有量が0.1質量%以上の場合、得られた菌体を濃縮する際、時間を短縮することができる。栄養源の含有量が20質量%以下の場合、培地の粘度上昇を抑制し、発酵処理をより迅速に進行させることができる。
【0022】
本実施形態において用いられるシゾサッカロミセス属酵母の具体例としては、例えばシゾサッカロミセス・ポンベ(Schizosaccharomyces pombe)、シゾサッカロミセス・ジャポニクス(Schizosaccharomyces japonicus)、シゾサッカロミセス・オクトスポラス(Schizosaccharomyces octosporus)が挙げられる。これらの中で入手が容易であるとともに皮膚改善作用に優れる観点からシゾサッカロミセス・ポンベが好ましく適用される。
【0023】
シゾサッカロミセス属酵母を用いた発酵処理は、上記のように調製された培地に酵母を接種し、所定温度下で培養することにより行うことができる。酵母の培養条件は、酵母の種類等により適宜設定することができる。また、培養は、振とう培養、撹拌培養、及び静置培養のいずれで行ってもよいが、増殖を促進させる観点から振とう培養又は撹拌培養が好ましい。培養温度は、酵母の増殖が可能な温度であれば特に限定されないが、好ましくは20~45℃、より好ましくは25~40℃である。培養時間は、酵母の種類及び培養温度に応じ適宜設定することができるが、好ましくは1~5日、より好ましくは2~4日程度が好ましい。培養期間が短いと酵母が十分に増殖することができず、培養期間が長いと酵母の増殖が衰退期に入り発酵処理速度は減少する。培養の停止は、培養液の濁度(OD530nm)を測定することにより決定してもよい。培養停止時のOD530nmの値は、増殖した酵母の収量を増加させる観点から好ましくは0.1以上、より好ましくは0.2以上である。培養が終了した後、培養液を85~100℃で5~60分間加熱して滅菌してもよい。
【0024】
培養液は、酵母又はその構成物質、酵母分泌物、培養後の培地残渣等を含んでいる。本実施形態における皮膚改善用食品組成物は、上記培養液をそのまま食品組成物として適用してもよく、水を蒸発させて濃縮処理して適用してもよく、凍結乾燥処理等により乾燥及び粉末化してから適用してもよい。
【0025】
本実施形態の皮膚改善用食品組成物を飲食品に適用する場合、皮膚改善用食品組成物を飲食品そのものとして、又は種々の食品素材若しくは飲料品素材に配合して使用することができる。飲食品の形態としては、特に限定されず、液状、粉末状、ゲル状、固形状のいずれであってもよく、また剤形としては、錠剤、カプセル剤(ハードカプセル、ソフトカプセル)、顆粒剤、ドリンク剤のいずれであってもよい。前記飲食品としては、その他の成分としてゲル化剤含有食品、糖類、香料、甘味料、油脂、基材、賦形剤、食品添加剤、副素材、増量剤等を適宜配合してもよい。また、飲食品の用途としては、特に限定されず、いわゆる一般食品、健康食品、機能性食品、栄養補助食品、サプリメント、特定保健用食品、機能性表示食品、病者用食品として適用することができる。
【0026】
本実施形態の皮膚改善用食品組成物の摂取量の下限は、特に限定されないが、好ましくは成人1日当たり培養液由来の固形分として10mg以上、より好ましくは100mg以上、さらに好ましくは500mg以上である。一方、摂取量の上限は、特に限定されないが、好ましくは成人1日当たり培養液由来の固形分として10g以下、より好ましくは5g以下である。かかる範囲内において、効率的に皮膚改善作用を発揮することができる。
【0027】
本実施形態の皮膚改善用食品組成物は、皮膚の改善作用の発揮を目的とした食品組成物に適用される。皮膚の改善作用の具体例としては、シワの改善又は抑制作用、皮膚バリア機能の改善又は低下抑制作用、シミの改善又は発生抑制作用、肌質の改善又は低下抑制作用等が挙げられる。
【0028】
シワの改善又は抑制作用は、例えばシワの面積、シワの深さ、シワの数、毛穴の数、毛穴の面積、キメの細かさ、弾性、粘弾性の他、官能的に評価されるハリ、たるみ等により評価することができる。
【0029】
皮膚バリア機能の改善又は低下抑制作用は、例えば皮膚コラーゲン量、皮膚水分量等により評価することができる。
シミの改善又は発生抑制作用は、例えば有色又は隠れシミの数又は面積、明度(色合い)、透明感、くすみ等により評価することができる。
【0030】
肌質の改善又は低下抑制作用は、例えばニキビ(ポルフィリン)、皮脂分泌量、皮膚pH、潤い、なめらかさ、やわらかさ、皮膚又は髪のつや、爪の血色、抜け毛等の他、官能的に評価される肌の調子、ファンデーションのノリ感等により評価することができる。
【0031】
本実施形態の皮膚改善用食品組成物によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)本実施形態の皮膚改善用食品組成物は、栄養源を含有する培地で培養されたシゾサッカロミセス属酵母の培養液を有効成分として含有する。それにより、優れた皮膚改善効果を発揮する。特にシワの改善又は抑制、皮膚バリア機能の改善又は低下抑制、シミの改善又は発生抑制、肌質の改善又は低下抑制等の効果を発揮する。
【0032】
(2)栄養源として、養蜂産物、特にRJ又はRJタンパク質が用いられる場合、皮膚改善作用をより向上させる。
なお、上記実施形態は以下のように変更してもよい。
【0033】
・上記実施形態の皮膚改善用食品組成物の摂取期間は、特に限定されず、摂取者の皮膚の状態、年齢、性別、及びその他の条件を考慮し、適宜決定される。たとえば、皮膚改善作用が発揮される一定量を、数日~数ヶ月以上継続的に摂取することが好ましい。
【0034】
次に、上記実施形態及び別例から把握できる技術的思想について以下に追記する。
(イ)栄養源を含有する培地で培養されたシゾサッカロミセス属酵母の培養液を有効成分として含有するシワの改善若しくは抑制剤、皮膚バリア機能の改善若しくは低下抑制剤、シミの改善若しくは発生抑制剤、又は肌質の改善若しくは低下抑制剤。
【0035】
(参考実施形態)
以下、参考実施形態として体調改善用食品組成物の発明を具体化した一実施形態を説明する。本発明は、シゾサッカロミセス属酵母の培養液が優れた体調改善作用を発揮することを見出したことに基づいてなされたものである。本発明の目的とするところは、優れた体調改善作用を発揮する体調改善用食品組成物を提供することにある。なお、本実施形態について、下記の記載以外は、上記第1実施形態の皮膚改善用食品組成物と同様の構成を適用することができる。
【0036】
本実施形態の体調改善用食品組成物は、栄養源を含有する培地で培養されたシゾサッカロミセス属酵母の培養液を有効成分として含有する。有効成分の製造方法としては、上記第1実施形態欄と同様の構成を採用することができる。本実施形態の体調改善用食品組成物を飲食品に適用する場合、体調改善用食品組成物を飲食品そのものとして、又は種々の食品素材若しくは飲料品素材に配合して使用することができる。
【0037】
本実施形態の体調改善用食品組成物の摂取量の下限は、特に限定されないが、好ましくは成人1日当たり培養液由来の固形分として10mg以上、より好ましくは100mg以上、さらに好ましくは500mg以上である。一方、摂取量の上限は、特に限定されないが、好ましくは成人1日当たり培養液由来の固形分として10g以下、より好ましくは5g以下である。かかる範囲内において、効率的に体調改善作用を発揮することができる。
【0038】
本実施形態の体調改善用食品組成物は、体調の改善作用の発揮を目的とした食品組成物に適用される。体調改善作用の具体例としては、高血圧、肥満、疲労感、便秘、排尿の困難性、目覚め悪化、冷え性、むくみ、易怒性、肩こり等の各症状の改善又は予防作用が挙げられる。また、疲労感、便秘、排尿の困難性、目覚め悪化、冷え性、むくみ、易怒性、肩こり等は、更年期障害の症状として知られているため、更年期障害の症状の改善又は予防作用も挙げられる。
【0039】
本実施形態の体調改善用食品組成物によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)本実施形態の体調改善用食品組成物は、栄養源を含有する培地で培養されたシゾサッカロミセス属酵母の培養液を有効成分として含有する。それにより、優れた体調改善効果を発揮する。特に高血圧、肥満、疲労感、便秘、排尿の困難性、目覚め悪化、冷え性、むくみ、易怒性、肩こり、更年期障害等の各症状の改善又は予防の効果を発揮する。
【0040】
(2)栄養源として、養蜂産物、特にRJ又はRJタンパク質が用いられる場合、体調改善作用をより向上させる。
なお、上記実施形態は以下のように変更してもよい。
【0041】
・上記実施形態の体調改善用食品組成物の摂取期間は、特に限定されず、摂取者の体調、年齢、性別、及びその他の条件を考慮し、適宜決定される。たとえば、体調改善作用が発揮される一定量を、数日~数ヶ月以上継続的に摂取することが好ましい。
【0042】
次に、上記実施形態及び別例から把握できる技術的思想について、以下に追記する。
(イ)栄養源を含有する培地で培養されたシゾサッカロミセス属酵母の培養液を有効成分として含有する体調改善用食品組成物。
【0043】
(ロ)高血圧、肥満、疲労感、便秘、排尿の困難性、目覚め悪化、冷え性、むくみ、易怒性、及び肩こりから選ばれる少なくとも一種の症状の改善又は予防の用途で用いられる前記体調改善用食品組成物。
【0044】
(ハ)栄養源を含有する培地で培養されたシゾサッカロミセス属酵母の培養液を有効成分として含有する更年期障害の改善又は予防用食品組成物。
(ニ)栄養源を含有する培地で培養されたシゾサッカロミセス属酵母の培養液を有効成分として含有する高血圧の改善又は予防用食品組成物。
【0045】
(ホ)栄養源を含有する培地で培養されたシゾサッカロミセス属酵母の培養液を有効成分として含有する肥満の改善又は予防用食品組成物。
【実施例
【0046】
以下に試験例を挙げ、前記実施形態をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
<皮膚改善用食品組成物の製造例>
(1)酵素処理RJタンパク質の調製
栄養源としてRJタンパク質のプロテアーゼ処理物、蜂蜜、及びプラセンタを使用した。RJタンパク質の抽出方法は、まずRJ(固形分約30~35%(w/w))1kgに抽出溶媒としてエタノール95容量%以上の含水親水性有機溶媒2.5kgを加えて室温(約25℃)で20時間以上攪拌し、生RJ中の不溶性成分を沈殿させた。その後、撹拌抽出液を濾布で濾過して可溶性成分を溶解する溶媒と不溶性画分(RJタンパク質含有)を分離した。生RJ1kgよりRJタンパク質約0.7kg(固形分45~50質量%)を得た。
【0047】
前記RJタンパク質100gに水を約6~7倍量を加え、中性付近に調整することにより、酵素処理用のRJ希釈液を調製した。次に、前記RJ希釈液に、中性プロテアーゼとしてサーモリシン(サモアーゼPC10F(天野エンザイム社製))を必要量添加することにより、RJタンパク質をペプチド化処理した。プロテアーゼ処理は、65℃で数時間行った。得られた処理液を吸引ろ過後、凍結乾燥し、粉末状にした酵素処理RJを得た。
【0048】
(2)培養液の調整
酵母を培養するための培地は、水482.5gに栄養源として上記のように得られた酵素処理RJタンパク質5g、蜂蜜10g、魚由来プラセンタ2.5g、及びデキストリン50gを混合し、121℃20分以上加熱することにより調製した。種菌として、シゾサッカロミセス・ポンベを使用し、30℃で前培養した。培養液数mLを、前記培地に添加することにより培養を開始した。30℃の条件下で振とうさせながら数日間培養することにより、濁度(OD530nm)が約0.2以上となったところで培養を停止した。得られた培養液を90℃で20分間処理することにより滅菌した後、凍結乾燥することにより、シゾサッカロミセス属酵母の培養液由来の粉末を得た。得られた粉末について、1粒250mgでハードカプセルに充填することにより皮膚改善用食品組成物を得た。
【0049】
<試験例1:皮膚改善作用に関する試験>
被験者10名(平均年齢約32才)が、上記のように得られた皮膚改善用食品組成物を1日1000mg(4カプセル)を夕食後に1回、4週間継続して摂取した。摂取開始から2週間後又は4週間後に、下記に示される皮膚改善作用について評価した。
【0050】
(1)シワの改善作用に関する試験
(1-a)目視によるシワグレートの評価
日本香粧品学会の抗老化機能評価専門委員会(化粧品機能評価法検討委員会)により策定された「新規効能取得のための抗シワ製品評価ガイドライン」に基づいて、評価した。
【0051】
目視評価は、Trained Expert(シワの評価に熟練した研究者)が、グレード0(シワが無い場合)~グレート7(著しく深いシワが認められる場合)を示すシワグレート標準写真に基づいてスコアを付けた。各グレードに当てはまらない場合は、その中間値のスコアも導入した。摂取前、摂取2週間後、及び摂取4週間後のそれぞれについて、被験者10名のシワグレートの値を測定し、全被験者の平均値を求めた。摂取前のシワグレードの平均値を0とした場合の各グレード差を表1に示す。
【0052】
【表1】
表1に示されるように皮膚改善用食品組成物の継続摂取により、シワグレードが低下傾向を示すことが確認された。
【0053】
(1-b)シワレプリカ採取による機器評価
シワレプリカの採取は、右側の目尻付近を対象にレプリカ剤(SILFLO、FLEXICO社製)又は反射用レプリカ解析キット(アサヒバイオメッド社製)を用いて行った。レプリカの解析は3次元画像解析装置Primos Lite(GFM社製)を用いて行った。平坦化後のレプリカから試験試料の使用前後の画像を撮影し、専用ソフトにて位置補正し、形状補正を行い、シワ領域の抽出を行った。シワ解析パラメータとして、シワ面積率及び最大シワの最大深さを算出した。摂取前、摂取2週間後、及び摂取4週間後のそれぞれについて、被験者10名の各パラメータを測定し、全被験者の平均値を求めた。摂取前の平均値を100とした場合の各値を表2に示す。
【0054】
【表2】
表2に示されるように皮膚改善用食品組成物の継続摂取により、シワの面積率及び最大シワの最大深さが低下傾向を示すことが確認された。
【0055】
(1-c)皮膚の粘弾性の評価
皮膚の粘弾性の低下によりシワが発生する原因とり得ることから、皮膚の粘弾性を評価した。皮膚の粘弾性は、Cutometer MPA580(Courage+Khazaka社製)を用いて測定した。まず、右側の頬部を対象に3回測定した。摂取前及び摂取4週間後のそれぞれについて、被験者10名の粘弾性を測定し、全被験者の平均値を求めた。摂取前の平均値を100とした場合の値を表3に示す。
【0056】
【表3】
表3に示されるように皮膚改善用食品組成物の継続摂取により、皮膚粘弾性がやや向上したことが確認された。
【0057】
(1-d)顔写真撮影による毛穴の評価
毛穴が目立つことにより、シワが目立つ原因となり得ることから全顔写真撮影により毛穴について評価した。
【0058】
全顔写真撮影は、VISIA(CANFIELD社製)を使用し、右側の顔写真を撮影した。摂取前、摂取2週間後、及び摂取4週間後のそれぞれについて、被験者10名の毛穴の個数及び皮膚表面に占める毛穴の面積率を測定し、全被験者の平均値を求めた。摂取前の平均値を100とした場合の各値を表4に示す。
【0059】
【表4】
表4に示されるように皮膚改善用食品組成物の継続摂取により、毛穴が減少傾向を示すことが確認された。
【0060】
(1-e)キメの細かさの評価
(i)全顔写真撮影により色むらを測定し、キメの細かさとして評価した。全顔写真撮影は、VISIA(CANFIELD社製)を使用し、右側の顔写真を撮影した。摂取前及び摂取2週間後のそれぞれについて、被験者10名の色むらの個数及び皮膚表面に占める色むらの面積率を測定し、全被験者の平均値を求めた。摂取前の平均値を100とした場合の各値を表5に示す。
【0061】
【表5】
表5に示されるように皮膚改善用食品組成物の継続摂取により、色むらが減少傾向を示し、キメの細かさが向上していることが確認された。
【0062】
(ii)また、マイクロスコープ肌撮影により、目視によりキメの細かさを評価した。マイクロスコープ肌撮影は、VHX-900(キーエンス社製)を用いて50倍のレンズ設定で、右顔頬部のキメを撮影した。摂取前、摂取2週間後、及び摂取4週間後のそれぞれについて、被験者10名のキメを目視で評価した。
【0063】
その結果、いずれの被験者も、摂取2週間後及び摂取4週間後において、摂取前よりも皮溝及び皮丘が鮮明になりキメが整っていることが確認された。参考までに被験者3名(被験者3,9,10)の摂取前、摂取2週間後、及び摂取4週間後のそれぞれについて皮膚表面の写真を図1に示す。図1の写真の破線丸部に示されるように、摂取前に不明瞭であったキメの細かさが摂取4週間後に明瞭であることが確認された。
【0064】
(1-f)アンケートによる評価
被験者10名にシワに関するアンケートを実施した。評価項目として、目尻のシワ・小ジワ、ほうれい線、肌のハリ、肌のたるみ、毛穴について、被験者が非常に気になる1点~気にならない5点の5段階で官能評価した。摂取前、摂取2週間後、及び摂取4週間後のそれぞれについて、被験者10名が各評価項目について評価した。各評価項目について全被験者の評価点の平均値を求めた。結果を表6に示す。
【0065】
【表6】
表6に示されるように皮膚改善用食品組成物の継続摂取により、シワに関連する被験者の官能評価が向上していく傾向を示すことが確認された。
【0066】
(1-g)マウスの皮膚弾力の評価
本評価においては、皮膚改善用食品組成物の乾燥肌のシワ発生に対する有効性について、乾燥肌モデルマウスを用いて皮膚弾性を評価した。
【0067】
(試験動物)
本試験は、ヘアレスマウス(7週齢、Hos:HR-1(雄)、星野動物試験所)を使用して行った。マウスの飼育は、室温23±1℃、湿度55±10%、明暗各12時間に調整した飼育室において1ケージあたり1匹で飼育した。飲料水は水道水を自由に摂取させた。
【0068】
(試験飼料)
表7に示すように、各成分を含有する試験飼料を調製した。なお、表7に示す各成分の含有量単位は質量%である。
【0069】
普通飼料としてCE2(固形、日本クレア社製)を使用した。マグネシウム、及びリノール酸、リノレン酸、アラキドン酸等の不飽和脂肪酸を含有しない乾燥肌モデルマウス用特殊飼料としてHR-AD飼料(粉末、日本農産工業社製)を使用した。なお、皮膚改善用食品組成物を構成する酵母培養液由来の粉末及び澱粉は、ともにリノール酸が0.01g/100g未満、リノレン酸が0.01g/100g未満、アラキドン酸が0.01g/100g未満である。
【0070】
酵母培養液由来の粉末の投与量は、上記ヒトに対するシワ改善作用に関する試験で、シワ面積率の減少が確認された投与量1000mg/日を参考に、酵母培養液由来の粉末の餌への添加量が、固形分として0.12質量%、0.4質量%、及び1.2質量%となるように規定した。
【0071】
(試験飼料の投与)
試験群はNormal群、Control群、酵母培養液由来の粉末投与群(0.12質量%、0.4質量%、1.2質量%)の計5群とし、1群あたりの個体数は5とした。試験期間は8週間とした。
【0072】
【表7】
(皮膚弾力の評価)
投与開始前、投与開始4週目、6週目、及び8週目の午前中に皮膚弾力を無麻酔下で測定した。皮膚弾力は、Cutometer MPA580(Courage+Khazaka社製)を用いて測定した。まず、マウスをプラスチック製の台上に腹臥位に固定し、正中線を境に右側で弾性(R7)を3回測定し、各試験群の平均値を求めた。投与前の平均値を100とした場合の各値を表8に示す。
【0073】
【表8】
表8に示されるように酵母培養液由来の粉末をマウスに投与したところ、皮膚弾力の低下が抑制される傾向を示すことが確認された。本発明の皮膚改善用食品組成物は、乾燥肌に対してシワの発生抑制に有効であることが期待される。
【0074】
(2)皮膚バリア機能の改善作用に関する試験
(2-a)経表皮喪失水分量の評価
経表皮喪失水分量は、VAPO SCAN AS-VT100RS(アサヒバイオメッド社製)を用いて測定した。摂取前及び摂取4週間後のそれぞれについて、被験者の右側の頬部を対象に3回測定を行い、その平均値を求めた。摂取前の平均値を100とした場合の値を表9に示す。
【0075】
【表9】
表9に示されるように皮膚改善用食品組成物の継続摂取により、経表皮喪失水分量が低下傾向を示すことが確認された。
【0076】
(3)シミの改善作用に関する試験
(3-a)顔写真撮影によるシミの評価
全顔写真撮影は、VISIA(CANFIELD社製)を使用し、右側の顔写真を撮影した。摂取前及び摂取4週間後のそれぞれについて、UV写真撮影により、隠れジミの面積を測定した。同様に、カラー写真撮影により茶色シミの面積を測定した。各シミについて皮膚表面に占める面積率を求め、さらに全被験者の平均値を求めた。摂取前の平均値を100とした場合の各値を表10に示す。
【0077】
【表10】
表10に示されるように皮膚改善用食品組成物の継続摂取により、隠れジミ及び有色シミが減少傾向を示すことが確認された。
【0078】
(3-b)明度(色合い)の評価
分光測色計を用いて皮膚表面の明度(色合い)について評価した。分光測色計は、CM-700d(コニカミノルタ社製)を用いて測定した。右側の頬部を対象に3回測定した。摂取前、摂取2週間後、及び摂取4週間後のそれぞれについて、被験者10名の明度を測定し、全被験者の平均値を求めた。摂取前の平均値を100とした場合の各値を表11に示す。
【0079】
【表11】
表11に示されるように、皮膚改善用食品組成物の継続摂取により、肌の明るさがやや向上する傾向を示すことが確認された。
【0080】
(3-c)アンケートによる評価
被験者10名にシミに関するアンケートを実施した。評価項目として、肌の透明感、肌のくすみについて、被験者が非常に気になる1点~気にならない5点の5段階で官能評価した。摂取前、摂取2週間後、及び摂取4週間後のそれぞれについて、被験者10名が各評価項目について評価した。各評価項目について全被験者の評価点の平均値を求めた。結果を表12に示す。
【0081】
【表12】
表12に示されるように皮膚改善用食品組成物の継続摂取により、シミに関連する被験者の官能評価が向上していく傾向を示すことが確認された。
【0082】
(4)肌質の改善作用に関する試験
(4-a)皮脂の評価
皮膚の皮脂量を評価した。皮膚の皮脂量は、Sebumeter SM810(Courage+Khazaka社製)を用いて測定した。まず、右側の頬部を対象に3回測定した。摂取前及び摂取2週間後のそれぞれについて、被験者10名の皮脂量を測定し、全被験者の平均値を求めた。摂取前の平均値を100とした場合の値を表13に示す。
【0083】
【表13】
表13に示されるように皮膚改善用食品組成物の継続摂取により、皮脂量が減少していることが確認された。
【0084】
(4-b)にきびの評価
全顔写真撮影によりアクネ菌の分泌物であるポルフィリンを測定し、にきびを評価した。全顔写真撮影は、VISIA(CANFIELD社製)を使用し、右側の顔写真を撮影した。摂取前及び摂取2週間後のそれぞれについて、被験者10名のポルフィルンの検出箇所(個数)及び皮膚表面に占めるポルフィリン検出部の面積率を測定し、全被験者の平均値を求めた。摂取前の平均値を100とした場合の各値を表14に示す。
【0085】
【表14】
表14に示されるように皮膚改善用食品組成物の継続摂取により、ポルフィリンが減少傾向を示し、にきびが減少していることが確認された。
【0086】
(4-c)アンケートによる評価
被験者10名に肌質に関するアンケートを実施した。評価項目として、肌の潤い、肌のなめらかさ、肌のやわらかさ、肌のつや、ファンデーションのノリ、爪の血色、唇のうるおい、全体的な肌の調子について、被験者が非常に気になる1点~気にならない5点の5段階で官能評価した。また、肌質の評価として、毛髪に関する髪のつや及び抜け毛についても同様に評価した。摂取前、摂取2週間後、及び摂取4週間後のそれぞれについて、被験者10名が各評価項目について評価した。各評価項目について全被験者の評価点の平均値を求めた。結果を表15に示す。
【0087】
【表15】
表15に示されるように皮膚改善用食品組成物の継続摂取により、肌質に関連する被験者の官能評価が向上していく傾向を示すことが確認された。
【0088】
その他、皮膚のpHをSKIN-pH-METER905(Courage+Khazaka社製)を用いて測定したところ、摂取前と摂取後でpH5.5~5.6の弱酸性領域で大きな変化はないことが確認された。
【0089】
<参考試験例1:体調改善作用に関する試験>
被験者10名(平均年齢約32才)が、試験例1で使用した皮膚改善用食品組成物と同じ組成物からなる体調改善用食品組成物を1日1000mg(4カプセル)を夕食後に1回、4週間継続して摂取した。摂取開始から2週間後又は4週間後に、下記に示される体調改善作用について評価した。
【0090】
(1)血圧の改善作用に関する試験
血圧は、オムロン自動血圧計HEM1025(オムロンヘルスケア社製)を用いて右腕で1回測定した。摂取前、摂取2週間後、及び摂取4週間後のそれぞれについて、被験者10名の血圧(収縮期)を測定し、全被験者の平均値(mmHg)を求めた。摂取前の平均値を基準とした場合の血圧差(mmHg)を表16に示す。
【0091】
【表16】
表16に示されるように体調改善用食品組成物の継続摂取により、血圧が減少傾向を示すことが確認された。
【0092】
(2)体重の改善作用に関する試験
体重は、体組成計インナースキャン50VBC-622(タニタ社製)を用いて1回測定した。摂取前、摂取2週間後、及び摂取4週間後のそれぞれについて、被験者10名の体重を測定し、全被験者の平均値(kg)を求めた。摂取前の平均値を基準とした場合の体重差(kg)を表17に示す。
【0093】
【表17】
表17に示されるように体調改善用食品組成物の継続摂取により、体重が減少傾向を示すことが確認された。
【0094】
(3)その他の体調改善作用に関する試験
(3-a)アンケートによる評価
被験者10名に関するアンケートを実施した。評価項目として、全体的な体の調子、だるさ、お通じ、お通じの頻度、朝の目覚め、手足の冷え、顔や手足のむくみ、イライラのしやすさ、及び肩こりについて、被験者が非常に気になる1点~気にならない5点の5段階で官能評価した。摂取前、摂取2週間後、及び摂取4週間後のそれぞれについて、被験者10名が各評価項目について評価した。各評価項目について全被験者の評価点の平均値を求めた。結果を表18に示す。
【0095】
【表18】
表18に示されるように体調改善用食品組成物の継続摂取により、体調に関連する被験者の官能評価が向上していく傾向を示すことが確認された。
図1