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  • 特許-セキュリティバッグのロック装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-15
(45)【発行日】2022-01-14
(54)【発明の名称】セキュリティバッグのロック装置
(51)【国際特許分類】
   E05B 65/52 20060101AFI20220106BHJP
   E05B 47/00 20060101ALI20220106BHJP
【FI】
E05B65/52 W
E05B47/00 J
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2017133492
(22)【出願日】2017-07-07
(65)【公開番号】P2019015104
(43)【公開日】2019-01-31
【審査請求日】2020-06-26
(73)【特許権者】
【識別番号】591131486
【氏名又は名称】株式会社日本ロックサービス
(74)【代理人】
【識別番号】100087653
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴江 正二
(72)【発明者】
【氏名】二上 直弘
【審査官】鳥井 俊輔
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-178415(JP,A)
【文献】特開2015-092052(JP,A)
【文献】実開平04-083017(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05B 65/52
A45C 13/10
A44B 19/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
鍵装置でセキュリティバッグの施錠および解錠がされるロック装置であって、
前記セキュリティバッグのバック本体(1)には、
一対のファスナーエレメント(2A,2B)と、
この一対のファスナーエレメント(2A,2B)を噛合・分離させるスライダ(5A)と、
このスライダ(5A)を引っ張り操作する引手(5B)と、
を備え、
前記ロック装置には、
ファスナーエレメント(2A,2B)の裏面側に対し接近離反させるストッパー(18)と、
前記ストッパー(18)を前記接近離反させる方向に移動させるストッパー移動機構(1517(15A)(19A),(16)と、
前記ストッパー移動機構(1517(15A)(19A),(16)を可動させる可動装置(9,13)と、
前記スライダ(5A)の裏面側に設けられ、前記ファスナーエレメント(2A,2B)の裏面側に接近させたストッパー(18)と係合するように対向されて前記スライダ(5A)のスライド移動を規制し前記ストッパー(18)が前記ファスナーエレメント(2A,2B)の裏面側から離反した時に前記ストッパー(18)と係合されず前記スライダ(5A)のスライド移動が許容される突出部(20)と、
を備え
前記可動装置(9,13)が、前記バッグ本体(1)内に装備させた正逆回転する電動モータ(13)と、前記電動モータの正逆の回転を制御する制御装置(9)とを備え、
前記ストッパー移動機構(15),(17(15A)(19A)),(16)が、
前記可動装置(9,13)の出力回転軸に連結された回動式カム(15)と、
前記回動式カム(15)の正逆回転の回転量を前後方向の移動量に変換する変換部(17(15A)(19A))と、
前記変換部(17)の前後方向への移動変換によって前記ストッパー(18)を前記ファスナーエレメント(2A,2B)の裏面側に対し接近離反させる揺動フレーム(16)と、
を備えていることを特徴とするセキュリティバッグのロック装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、機密書類・秘密書類・その他の重要書類、あるいは貴金属などの高額商品、あるいは現金等を収容して運搬するために使用されるセキュリティバッグのロック装置であって、特に引手を引っ張って一対のファスナーエレメントを開閉させるスライドファスナー方式のセキュリティバッグのロック装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来この種のセキュリティバッグとして、施錠・解錠を行うロック装置と、このロック装置に対して施錠又は解錠の指令信号を発する鍵装置とを備え、鍵装置は無線周波数帯の搬送波を用いて非接触でロック装置の施錠・解錠の操作を行うようにしたものが提案されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2015-92052号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1のロック装置は、ファスナ取手である引手を利用し、この引手を指でロック装置内に挿入して引手の孔に係合させるロック手段であるため、ロック装置と引手は寸法・形状等を特定の関係にしなければならず、引手を自由に選択することができないという問題がある。また、引手をロック装置内に挿入してしまうものであるため、引手が適正にロック装置内に入れられて確実に係合されているかどうか(つまり、確実にロックされているかどうか)、引手を指で摘まんで強く引っ張ってみることにより最終確認するという操作ができない安全上の問題もある。
【0005】
本発明は、このような点に鑑み提案されたものであり、引手を自由に選択することができ、しかも、引手を指で摘まんで強く引っ張って確実にロックされているかどうかの確認操作を容易に行うことができるセキュリティバッグのロック装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述の目的を達成するために、請求項1に記載した発明は、
鍵装置でセキュリティバッグの施錠および解錠がされるロック装置であって、
前記セキュリティバッグのバック本体(1)には、
一対のファスナーエレメント(2A,2B)と、
この一対のファスナーエレメント(2A,2B)を噛合・分離させるスライダ(5A)と、
このスライダ(5A)を引っ張り操作する引手(5B)と、
を備え、
前記ロック装置には、
ファスナーエレメント(2A,2B)の裏面側に対し接近離反させるストッパー(18)と、
前記ストッパー(18)を前記接近離反させる方向に移動させるストッパー移動機構(1517(15A)(19A),(16)と、
前記ストッパー移動機構(1517(15A)(19A),(16)を可動させる可動装置(9,13)と、
前記スライダ(5A)の裏面側に設けられ、前記ファスナーエレメント(2A,2B)の裏面側に接近させたストッパー(18)と係合するように対向されて前記スライダ(5A)のスライド移動を規制し前記ストッパー(18)が前記ファスナーエレメント(2A,2B)の裏面側から離反した時に前記ストッパー(18)と係合されず前記スライダ(5A)のスライド移動が許容される突出部(20)と、
を備え
前記可動装置(9,13)が、前記バッグ本体(1)内に装備させた正逆回転する電動モータ(13)と、前記電動モータの正逆の回転を制御する制御装置(9)とを備え、
前記ストッパー移動機構(15),(17(15A)(19A)),(16)が、
前記可動装置(9,13)の出力回転軸に連結された回動式カム(15)と、
前記回動式カム(15)の正逆回転の回転量を前後方向の移動量に変換する変換部(17(15A)(19A))と、
前記変換部(17)の前後方向への移動変換によって前記ストッパー(18)を前記ファスナーエレメント(2A,2B)の裏面側に対し接近離反させる揺動フレーム(16)と、
を備えていることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明のセキュリティバッグのロック装置は、前記ストッパー(18)を前記ファスナーエレメント(2A,2B)の裏面側に接近させ引手(5B)を引っ張ってスライダ(5A)をスライド移動させようとした時にスライダ(5A)の裏面側に設けた突出部(20)によって前記ストッパー(18)に係合させてスライダ(5A)のスライド移動を規制し、前記ストッパー(18)が前記ファスナーエレメント(2A,2B)の裏面側から離反した時にはスライダ(5A)の裏面側に設けた突出部(20)が前記ストッパー(18)に係合されずスライダ(5A)のスライド移動を許容するものである。
したがって、特許文献1のロック装置のように、引手を利用し、この引手をロック装置内に挿入して係合させるという構成ではないため、引手の寸法・形状等に制約が課されず、引手を自由に選択することができる。
しかも、特許文献1のロック装置のように、引手をロック装置内に入れてしまうものではないため、確実にロックされているかどうかの確認、つまりスライダの裏面側に設けた突起がファスナーエレメントの裏面側に接近移動させたストッパーに確実に係合しているどうかの確認を、引手を指で摘まんで強く引っ張り操作してみることで容易に確認することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明に係るセキュリティバッグの外観斜視図である。
図2】本発明に係るロック装置、鍵装置を示す斜視図である。
図3図2のロック装置を背面側から示す分解斜視図である。
図4図3のロック装置の概略作動図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1は、本発明の一実施形態を示すセキュリティバッグであって、バッグ本体(1)は、帆布でボストンバッグタイプに形成されている。このバッグ本体(1)には奥行方向の中央部に金属製または樹脂製等よりなるスライド式のファスナー(2)がほぼ半周に亘って設けられている。このファスナー(2)には、一対のファスナーエレメント(2A,2B)と、この一対のファスナーエレメント(2A,2B)を噛合・分離させるスライダ(5A)と、このスライダ(5A)を引っ張り操作する引手(5B)が備えられている。図1では一対のファスナーエレメント(2A,2B)が噛合されている状態を示すが、引手(5B)を指で摘まんでスライダ(5A)を上方・水平、下方へとスライド移動させることで、一対のファスナーエレメント(2A,2B)の噛合が分離されて開口部(3)が形成される。
【0012】
前記ファスナー(2)の始端部(つまり、前記一対のファスナーエレメント(2A,2B)の噛合を最初に分離させる始まりの部分)にはロック装置(4)が設けられている。このロック装置(4)は、図1に示すスライダ(5A)のスライド移動を規制したり許容したりするものである。
【0013】
ロック装置(4)についてより詳しく説明すると、
図3に示すケーシング(6A)内に収容された電動モータ(13)(可動装置の駆動部)と、
図2に示す電動モータ(13)の正逆回転を制御する制御装置(9)(可動装置の制御部)と、
図3に示すように、
前記電動モータ(13)の回転駆動軸の回転数を減速する減速機構(14)(可動装置の駆動部に備えた減速部)と、
前記減速機構14の出力回転軸(可動装置(9,13,14)の出力回転軸)に連結された回動式カム(15)(ストッパー移動機構の回転部)と、
前記ファスナーエレメント(2A,2B)の裏面側に対し接近離反させるストッパー(18)と、
前記回動式カム(15)の正逆回転の回転量を前後方向の移動量に変換する突起(15A)と長孔(19A)との係合よりなる変換部(17)(ストッパー移動機構の変換部)と、
前記変換部(17)の前後方向への移動変換によって前記ストッパー(18)を前記ファスナーエレメント(2A,2B)の裏面側に対し接近離反される揺動フレーム(16)(ストッパー移動機構の移動部)と、を備えている。
なお、前記ケーシング(6A)はバック本体1内に配置される。ケーシング(6A)のバック本体1に対する固定は、ケーシング(6A)の両側にフランジ形に設けた内部側取付部と、バック本体1の外に配置される外部側取付部(6B)とを、それら内部側取付部と外部側取付部(6B)の間にバック本体1の素材(生地)を強く挟み込む状態で、ビス等の止具で止め付けるようにしている。
【0014】
前記制御装置(9)もバック本体1内に配置されて固定される。
この制御装置(9)は、電池を有した電源部(7)と電動モータ(13)の正逆回転の制御を行う制御回路を有した制御部(8)とを備えており、電源部(7)の電池から供給された電力が前記制御部(8)介して電動モータ(13)に供給されるようになっている。
【0015】
制御部(8)の制御を介して電力が供給された電動モータ(13)は正回転または逆回転をする。この正回転または逆回転が減速機構(14)を介して回動式カム(15)を正回転または逆回転させる。
【0016】
回動式カム(15)の回転面には突起(15A)が設けられている。一方、揺動フレーム(16)の揺動基端部とは反対側の揺動先端部側には板部(19)が設けられ、この板部(19)に長孔(19A)が設けられている。この長孔(19A)と前記突起(15A)との係合で変換部(17)が構成される。すなわち、揺動フレーム(16)の揺動基端部はケーシング(6A)の両側壁に揺動可能に枢支させるようにしており、前記回動式カム(15)が正逆回転すると、前記変換部(17)によって、揺動フレーム(16)の揺動先端部側が出退されるものである。
揺動フレーム(16)の揺動先端部側には、変換部(17)の長孔(19A)よりもファスナーエレメント(2A,2B)側に接近する位置にストッパー(18)が設けられて、これによりストッパー(18)がファスナーエレメント(2A,2B)の裏面側により接近できるようになっている。
【0017】
前記スライダ(5A)の裏面側には、図4に示すように、突出部(20)が設けられている。この突出部(20)によって、ファスナーエレメント(2A,2B)の裏面側に接近させたストッパー(18)に対しスライダ(5A)をスライド移動させようとしても突出部(20)がストッパー(18)に確実に係合されてスライダ(5A)のスライド移動を規制し(図4の左側の図)、ストッパー(18)がファスナーエレメント(2A,2B)の裏面側から離反した時には突出部(20)がストッパー(18)と係合されずスライダ(5A)のスライド移動を許容して(図4の右側の図)、ファスナーエレメント(2A,2B)の噛合を分離することができる(つまり、開けることができる)ようになっている。
【0018】
鍵装置(10,11)は制御装置(9)を介して電動モータ(13)を作動させるものであり、本実施形態では、図1および図2に示すように、ICチップを内蔵したICカード(11)と カードリーダー(10)との構成を採用している。ICカード(11)には、そのICチップに社員番号あるいはマイナンバー等の個人を特定できる(つまり、使用者を特定できる)管理情報を記憶するようにしている。ICカード(11)をカードリーダー(10)に翳すと、カードリーダー(10)がICカード(11)の記憶情報を読み取り、前記制御装置(9)に設けた記憶装置(図示略)に、翳した(使用した)個人の情報等と操作時刻情報を記憶させるようにしている。この記憶をさせることで、使用した個人の履歴及び時刻が記憶され、この履歴をパソコン等で読み出して表示することで、何らかの問題が生じた際に、その原因究明を迅速に行うことができるものである。なお、ICカード(11)のICチップに記憶させた特定の個人でない場合には、ICカード(11)をカードリーダー(10)に翳しても制御装置(9)に設けた不図示の判定回路によって電動モータ(13)が作動されないようになっている。
【0019】
前記制御装置(9)の制御回路には、カードリーダー(10)の下部に設けている不図示のスタートボタンを一回押し操作しかつICカード(11)をカードリーダー(10)に翳すことで、前回電動モータ(13)を作動させた回転方向とは逆方向に回転作動させる切り替えスイッチが組み込まれている。
【0020】
したがって、図1に示すセキュリティバッグを施錠状態にする時には、引手(5B)を引っ張ってスライダ(5A)をスライド移動させることによりファスナーエレメント(2A,2B)を噛合させ、スライダ(5A)をファスナー(2)の始端部の位置に位置させる。次に、カードリーダー(10)の下部に設けている不図示のスタートボタンを一回押し、かつ、ICカード(11)をカードリーダー(10)に翳すと、その信号が制御装置(9)の制御回路に送信され、これによって電動モータ(13)が作動して正回転し、揺動フレーム(16)が揺動して、ストッパー(18)がファスナーエレメント(2A,2B)の裏面側に接近し、スライダ(5A)の裏面側に設けている突出部(20)と係合が可能な状態となって、スライダ(5A)のスライド移動が規制される(図4の左側の図)。そして、次の操作指示があるまで、この規制状態が維持され、ファスナーエレメント(2A,2B)を開けることができない状態が維持される。
【0021】
上記施錠状態を解錠状態にするには、カードリーダー(10)の下部に設けている不図示のスタートボタンを再度一回押し、かつ、ICカード(11)をカードリーダー(10)に翳すと、その信号が制御装置(9)の制御回路に送信され、これによって電動モータ(13)が逆回転し、揺動フレーム(16)も逆揺動して、ストッパー(18)がファスナーエレメント(2A,2B)の裏面側から離反し、スライダ(5A)の裏面側に設けている突出部(20)と係合できない状態になって、スライダ(5A)がスライド移動できるようになる。そして、次の操作指示があるまで、この係合できない状態が維持され、ファスナーエレメント(2A,2B)を開けることができる状態が維持される。
【0023】
また、鍵装置としては、ICカード(11)とカードリーダー(10)との組み合わせに限られず、磁気カードとこれを読み取るカードリーダとの組み合わせ、あるいは、パスワード方式、あるいは、指紋等の生体認証方式を採用することもできる。
【産業上の利用可能性】
【0024】
本発明は、重要書類、高額商品、現金等を持ち運ぶ際に利用するセキュリティバックとして、広く使用することが出来ものである。
【符号の説明】
【0025】
1 バック本体
2 ファスナー
2A,2B 一対のファスナーエレメント
3 開口部
4 ロック装置
5A スライダ
5B 引手
9 制御装置
10 鍵装置のICカード
11 鍵装置のカードリーダ
13 電動モータ
14 減速機構
15 回動式カム
15A 突起
16 揺動フレーム
17 変換部
18 ストッパー
19A 長孔
20 突出部
図1
図2
図3
図4