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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-15
(45)【発行日】2022-01-14
(54)【発明の名称】罠遠隔監視システム
(51)【国際特許分類】
   A01M 23/00 20060101AFI20220106BHJP
   A01M 23/20 20060101ALI20220106BHJP
【FI】
A01M23/00 Z
A01M23/20
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2017150335
(22)【出願日】2017-08-03
(65)【公開番号】P2019024457
(43)【公開日】2019-02-21
【審査請求日】2020-07-14
(73)【特許権者】
【識別番号】514170455
【氏名又は名称】有限会社ワイヤレス南海
(74)【代理人】
【識別番号】100121773
【弁理士】
【氏名又は名称】相原 正
(72)【発明者】
【氏名】白敷 昌俊
【審査官】中村 圭伸
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-014310(JP,A)
【文献】特開2001-148891(JP,A)
【文献】特開2009-027356(JP,A)
【文献】特開2008-034897(JP,A)
【文献】特公昭59-014941(JP,B1)
【文献】実公昭49-031444(JP,Y1)
【文献】特開2013-135644(JP,A)
【文献】特開2003-015682(JP,A)
【文献】特開昭57-122497(JP,A)
【文献】特開昭50-002401(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0205645(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01M 23/00 - 23/38
H04Q 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
獣を捕まえるための罠を管理者が遠隔地から監視して操作するための罠遠隔監視システムにおいて、
マイクロフォンを有する管理者端末とネットワークを介して通信可能に接続された監視装置を備え、
前記監視装置は、
前記管理者端末のディスプレイに表示する前記罠の映像を撮影するカメラと、
前記管理者端末から受信した、前記管理者端末において前記マイクロフォンから入力されて符号化されたアナログ音声信号を復号する音声復号部と、
前記罠を機械的に作動させるための罠駆動装置と、
前記音声復号部により復号された前記アナログ音声信号に基づいて、前記罠駆動装置を作動させるためのリレー出力を行う制御装置と、
を備え、
前記制御装置は、
通過周波数帯域の異なる第一バンドパスフィルタと第二バンドパスフィルタとを備え、前記音声復号部により復号された前記アナログ音声信号を入力信号とし、前記第一バンドパスフィルタを通過した前記アナログ音声信号に基づいて第一スイッチ信号を出力し、前記第二バンドパスフィルタを通過した前記アナログ音声信号に基づいて第二スイッチ信号を出力するように構成されたVOX回路と、
前記第一スイッチ信号を入力信号とし、前記罠駆動装置を作動させるための第一リレー出力を行う第一メカニカルリレーと、
前記第二スイッチ信号を入力信号とし、前記罠駆動装置を作動させるための第二リレー出力を行う第二メカニカルリレーと、
を備えることを特徴とする罠遠隔監視システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、罠を遠隔地から監視するための罠遠隔監視システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、猪等の獣を捕まえるための罠が多数提供されている。しかし、猪等の獣は賢く学習能力もあるため、罠が作動しないように餌だけを取ったり、捕まらないように罠を作動させてから餌だけ取ったりする獣も多く、単に罠を設置するだけでは、獣を捕まえることができない場合も多い。
【0003】
これに対して、下記特許文献1には、檻の中に獣を捕まえる箱罠に適用された有害動物捕獲用の遠隔操作システムが開示されている。この遠隔操作システムでは、罠の周辺に設置されたネットワークカメラで獣を撮影し、ユーザー情報端末にこのライブ画像を表示し、監視者がこの撮影動画を閲覧しながら、最適なタイミングで罠を作動させることで、一度に数多く獣を確実捕獲することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2014-14310号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、上記特許文献1に開示された有害動物捕獲用の遠隔操作システムでは、ユーザー情報端末のタッチパネルやキーなどの操作部を操作することで、罠を作動させる作動命令信号がデジタル信号として作成され、この作動命令信号がインターネットを経由して捕獲設備の制御装置へ送信され、この作動命令信号により捕獲設備が捕獲状態に遠隔操作されている。
【0006】
しかし、ユーザー情報端末で生成される罠の作動命令信号がデジタル信号の場合には、捕獲設備の制御装置において、デジタル信号を入力信号として、捕獲設備のアクチュエーターを機械的に駆動制御するためのリレー出力を行う制御機器が必要である。デジタル信号に基づいてリレー出力を行う制御機器は、複雑な回路構成が必要であり、高価であると共に、電力消費量も大きくなってしまう。
【0007】
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであり、簡易で安価な構成により確実に獣を捕獲することのできる罠遠隔監視システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明に係る罠遠隔監視システムは、獣を捕まえるための罠を管理者が遠隔地から監視して操作するための罠遠隔監視システムにおいて、マイクロフォンを有する管理者端末とネットワークを介して通信可能に接続された監視装置を備え、前記監視装置は、前記管理者端末のディスプレイに表示する前記罠の映像を撮影するカメラと、前記管理者端末から受信した、前記管理者端末において前記マイクロフォンから入力されて符号化されたアナログ音声信号を復号する音声復号部と、前記罠を機械的に作動させるための罠駆動装置と、前記音声復号部により復号された前記アナログ音声信号に基づいて、前記罠駆動装置を作動させるためのリレー出力を行う制御装置と、を備え、前記制御装置は、通過周波数帯域の異なる第一バンドパスフィルタと第二バンドパスフィルタとを備え、前記音声復号部により復号された前記アナログ音声信号を入力信号とし、前記第一バンドパスフィルタを通過した前記アナログ音声信号に基づいて第一スイッチ信号を出力し、前記第二バンドパスフィルタを通過した前記アナログ音声信号に基づいて第二スイッチ信号を出力するように構成されたVOX回路と、前記第一スイッチ信号を入力信号とし、前記罠駆動装置を作動させるための第一リレー出力を行う第一メカニカルリレーと、前記第二スイッチ信号を入力信号とし、前記罠駆動装置を作動させるための第二リレー出力を行う第二メカニカルリレーと、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る罠遠隔監視システムによれば、簡易で安価な構成により罠を遠隔操作して確実に獣を捕獲することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、本発明の実施形態に係る罠遠隔監視システムの概略構成図である。
図2図2は、本発明の実施形態に係る監視装置の構成を概略的に示す模式図である。
図3図3は、本発明の実施形態に係る管理者端末の構成を概略的に示す模式図である。
図4図4は、本発明の実施形態に係る監視装置と箱罠との設置状態を示す図である。
図5図5は、本発明の実施形態に係る罠遠隔監視処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照しながら、本実施形態に係る罠遠隔監視システムについて説明する。図1は、本実施形態に係る罠遠隔監視システムの概略構成図である。図2は、本実施形態に係る監視装置の構成を概略的に示す模式図である。図3は、本実施形態に係る管理者端末の構成を概略的に示す模式図である。図4は、本実施形態に係る監視装置と箱罠との設置状態を示す図である。
【0013】
本実施形態では、罠遠隔監視システム1を箱罠2に適用した場合を例に挙げて説明する。罠遠隔監視システム1の設置対象である箱罠2は、獣が出入りするための入口が形成された檻3と、この入口を開閉するための入口柵4とを備えている。入口柵4は、自重によりに地面まで落下して檻3の入口を閉じた状態と、自重に抗して引っ張り上げられて入口を開いた状態との間で鉛直方向にスライド自在に檻3に設置されている。
【0014】
罠遠隔監視システム1によれば、管理者が、遠隔で箱罠2の檻3の内部に獣が入ったことを映像により目視してから、所望のタイミングで入口柵4を落下させて檻3の入口を閉じ、獣を確実に捕獲することができる。
【0015】
罠遠隔監視システム1は、現場である箱罠2の付近に設置される監視装置10と、遠隔地に居る管理者が使用する管理者端末70と、動画配信サーバー80とを備え、監視装置10、管理者端末70及び動画配信サーバー80は、携帯電話網等のネットワーク8を介して接続されており、互いにデータの送受信が可能である。
【0016】
現場に設置される監視装置10は、カメラ11と、照明装置17と、ブザー18と、罠駆動装置20と、制御通信装置30と、電源50とを備えている。カメラ11は、箱罠2全体を撮影可能な場所に設置され、動画映像を撮影可能であり、本実施形態では、webカメラを採用している。
【0017】
カメラ11は、赤外線照明12と、音声復号部13と、動体検知部14と、ライン出力端子15と、無線LAN通信回路16とを備えている。このように、赤外線照明12を備えることで、夜間であっても鮮明な映像を撮影可能である。
【0018】
音声復号部13は、符号化されたアナログ音声信号をアナログ音声に復号する。動体検知部14は、カメラ11の撮影動画内に移動する物体が含まれている場合に動体が撮影されたことを検知する。
【0019】
動体検知部14は、動体を検知すると、動体検知メールを作成し、管理者端末70宛に送信する機能を有し、メールの書式や送信先メールアドレスは予め動体検知部14のメモリに記録されている。また、動体検知部14は、動体を検知すると、カメラ11の撮影動画を動画配信サーバー80へと所定の期間アップロードする機能を有する。
【0020】
ライン出力端子15は、音声復号部13で復号されたアナログ音声を出力可能な音声出力端子であり、本実施形態では、後述するVOX回路45のライン入力端子と、オーディオケーブルで接続されている。
【0021】
照明装置17は、照明が不足している場合に箱罠2を照らす光源である。ブザー18は、スピーカーを備え、獣を威嚇するための大音量のブザー音を出すことができる。捕獲対象外の動物等が檻3の中に入った場合に、ブザー音を鳴らすことで威嚇して、檻3から当該動物等を追い出すことができる。
【0022】
罠駆動装置20は、箱罠2の入口柵4を閉じるように駆動するための装置であり、制御通信装置30により駆動されるアクチュエーターであるソレノイド21と、ソレノイド21の出力を受けるトリガー22を備えている。
【0023】
トリガー22は、ストッパーピンを有しており、セットした状態では、檻3の入口が開状態となるように、入口柵4をストッパーピンで吊り上げた係止状態となるように構成されている。この係止状態から、ソレノイド21が作動すると、ストッパーピンを動かしてトリガー22の係止状態を解除し、入口柵4を自重落下させることで、檻3の入口が閉状態となる。
【0024】
制御通信装置30は、装置外とのデータの送受信や装置内でのデータの送受信を行うための通信部35と、監視装置10の制御を行うための制御装置40とを備えている。通信部35は、外部の通信ネットワーク8と接続するための携帯電話網通信回路36と、カメラ11等の装置内の機器と通信するための無線LAN通信回路37とを備えている。通信部35としては、例えば、携帯電話網通信機能と無線LAN通信機能を備えた市販のモバイルルーターを用いることができる。
【0025】
本実施形態では、外部のネットワーク8に接続するために携帯電話網通信を用いているが、携帯電話網に限らず、光ファイバー等の固定回線や、無線LAN等を用いても良い。また、装置内の機器との通信に関しても、無線LANに限らず、有線ケーブルやBluetooth(登録商標)等の他の通信手段を採用することができる。
【0026】
制御装置40は、演算装置41と、記憶部42と、VOX(Voice Operated Transmission)回路45と、メカニカルリレー48とを備える。演算装置41は、監視装置10における制御等の各種処理を行うために演算を行う部材である。記憶部42は、所定の処理を行うためのプログラムを記録したり、情報を一時的に記録したりするためのメモリ等の記憶部材である。
【0027】
制御装置40における制御等の処理は、演算装置41が記憶部42に記録されたプログラムを実行することでソフトウェア的に実行されたり、VOX回路45等によりハードウェア的に実行されたりする。
【0028】
制御装置40は、制御対象であるカメラ11、照明装置17、ブザー18、罠駆動装置20、通信部35、電源50と接続されており、各種機器に電力を供給可能である。本実施形態では、カメラ11とは、無線LAN通信回路37を介してワイヤレスで接続され、他の部材とはケーブルで接続されている。
【0029】
VOX回路45は、入力されたアナログ音声信号に基づいて、音声が入力されているときにスイッチ信号(ON信号)を出力する。VOX回路45は、アナログ音声信号の入力端子であるライン入力端子46と、バンドパスフィルタ(BPF)47とを備えている。ライン入力端子46は、カメラ11のライン出力端子15とオーディオケーブルで接続され、カメラ11から出力されるアナログ音声がライン入力端子46から入力される。
【0030】
VOX回路45は、100~300Hzの第一周波数帯域のアナログ音声を通過させる第一BPF47Aと、400~900Hzの第二周波数帯域のアナログ音声を通過させる第二BPF47Bと、1,000~3,000Hzの第三周波数帯域のアナログ音声を通過させる第三BPF47Cとを備えている。
【0031】
VOX回路45は、各BPF47に対応した異なるスイッチ信号をそれぞれ所定の時間出力するように構成され、第一周波数帯域のアナログ音声が入力されたときに第一スイッチ信号を1秒間出力し、第二周波数帯域のアナログ音声が入力されたときに第二スイッチ信号を30秒間出力し、第三周波数帯域のアナログ音声が入力されたときに第三スイッチ信号を30秒間出力するよう構成されている。
【0032】
メカニカルリレー48は、電気信号が入力されると機械的な出力(リレー出力)を外部に出す部材であり、本実施形態では、上記第一スイッチ信号を入力信号とする第一メカニカルリレー48A、第二スイッチ信号を入力信号とする第二メカニカルリレー48B、第三スイッチ信号を入力信号とする第三メカニカルリレー48Cの3つのリレー48が設置されている。
【0033】
第一メカニカルリレー48Aは、罠駆動装置20の作動スイッチとして機能し、第二メカニカルリレー48Bは、照明装置17の作動スイッチとして機能し、第三メカニカルリレー48Cは、ブザー18の作動スイッチとして機能する。
【0034】
ここで、一般的に、第一周波数帯域は、男性の声の周波数が含まれる帯域であり、第二周波数帯域は、女性の声の周波数が含まれる帯域であり、第三周波数帯域は、口笛の音の周波数が含まれる帯域である。
【0035】
よって、第一スイッチ信号を出力して罠駆動装置20を作動させたいときには、VOX回路45に男性の声を入力し、第二スイッチ信号を出力して照明装置17を作動させたいときには、VOX回路45に女性の声を入力し、第三スイッチ信号を出力してブザー18を作動させたいときには、VOX回路45に口笛の音を入力するようにすれば良い。
【0036】
電源50は、バッテリー51と、ソーラーパネル52とを備え、制御装置40を介して、監視装置10を構成する部材に適宜電力を供給する。電力の供給は、バッテリー51に蓄電された電気が用いられる。一方、ソーラーパネル52で生成された電気は、適宜バッテリー51に充電される。
【0037】
管理者端末70は、罠遠隔監視システム1の管理者が使用する端末であり、タッチディスプレイ71と、スピーカー72と、マイクロフォン73と、音声符号化部74と、携帯電話網通信機能や無線LAN通信機能を有する通信部75とを備えている。管理者端末70としては、市販のスマートフォンやPC等を用いることができる。
【0038】
動画配信サーバー80は、カメラ11が撮影した動画が監視装置10からアップロードされるサーバーであり、アップされた動画は、ネットワーク8を介して動画配信サーバー80にアクセスした所定のログイン権限を有する管理者端末70に対して配信される。
【0039】
以上、本実施形態に係る罠遠隔監視システム1の構成について説明したが、続いて、罠遠隔監視システム1における罠遠隔監視処理の流れについて説明する。図5は、本実施形態における罠遠隔監視処理の流れを示すフローチャートである。
【0040】
S1において、罠遠隔監視システム1による遠隔監視がスタートすると、カメラ11が撮影を開始する。撮影開始後、カメラ11の動体検知部14は、カメラ11の撮影動画を常に監視しており、動く動体が映り込むと、画像解析により動体を検知する。
【0041】
動体検知部14は、動体を検知すると、S5において、動体検知メールを作成し、管理者端末70へと送信する。また、動体検知部14は、動体を検知すると、カメラ11の撮影動画を動画配信サーバー80へと所定の期間アップロードする(S6)。これにより、カメラ11の撮影動画は、動画配信サーバー80を介して、リアルタイムで管理者端末70から、視聴することが可能となる。
【0042】
管理者端末70が受信した動体検知メールには、動画配信サーバー80が配信する動画へのリンクが掲載されており、箱罠2の撮影動画を視聴したい管理者は、S10において、管理者端末70からこのリンク先である動画配信サーバー80にアクセスすることで、管理者端末70のタッチディスプレイ71上で撮影動画を視聴することができる。
【0043】
管理者が撮影動画により獣である猪が檻3の中に入っていることを確認すると、管理者は、入口柵4を閉じて猪を檻3の中に閉じ込めるために、S11に進み、管理者端末70のマイクロフォン73に箱罠2を作動させるための音声を入力する。
【0044】
具体的には、箱罠2を作動させるためには、上述した第一周波数帯域に含まれる男性の声を入力する必要がある。管理者が男性である場合には、管理者自身がそのままマイクロフォン73に対して所定の言葉を話しかけることで音声を入力し、管理者が女性の場合には、周囲に居る他の男性に音声を入力してもらうようにすれば良い。
【0045】
S11で入力された音声は、音声符号化部74においてデジタル信号に変換され、携帯電話網等のネットワーク8を介して、監視装置10の制御通信装置30へと送られる。続いて、S15では、制御通信装置30が受信したアナログ音声信号は、通信部35の無線LAN通信回路37を介してカメラ11へと送られる。
【0046】
デジタル音声信号を受信したカメラ11では、S16において、音声復号部13がデジタル音声信号をアナログ音声信号にデコードし、ライン出力端子15からアナログ音声信号を出力し、制御装置40へと送信する。制御装置40へと戻されるアナログ音声信号は、S17において、ライン入力端子46からVOX回路45に入力される。
【0047】
続いて、S20において、VOX回路45は、所定の周波数帯域(第一周波数帯域~第三周波数帯域)の音声の入力を検知すると、メカニカルリレー48を作動させるためのスイッチ信号を出力する。ここでは、S11において、第一周波数帯域の男性の声を入力されており、VOX回路45は、第一スイッチ信号を出力する。
【0048】
VOX回路45から第一スイッチ信号が出力されると、S21において、第一メカニカルリレー48AがONとなって作動し、罠駆動装置20を駆動させるリレー出力を出す。
【0049】
S21のリレー出力により、S22において、罠駆動装置20が作動する。具体的には、ソレノイド21が駆動することで、トリガー22を介して入口柵4が落下し、箱罠2の入口が閉じられる(S23)。これにより、檻3の中に猪を閉じ込めることができる。
【0050】
以上、本実施形態によれば、箱罠2の管理者は、箱罠2から離れた遠隔地において、獣が檻3の中に入ったことを撮影動画で確認しながら、入口柵4を遠隔で操作して閉めることができ、確実に獣を捕まえることができる。
【0051】
また、本実施形態によれば、箱罠2を作動させるためのトリガーとなる信号として、マイクロフォン73から入力されるアナログの音声信号を用いており、アナログ音声信号から罠駆動装置20を機械的に駆動制御するためのリレー出力を行う制御装置40を、簡素で安価な回路(VOX回路45等)で実現できる。
【0052】
また、簡素で安価な回路(VOX回路45等)は、消費電力が小さく、電源50を小容量とすることができ、監視装置10を安価に実現できる。また、制御装置40が小電力であれば、ソーラーパネル52を省略し、バッテリー51だけでも数日間可動させることが可能である。
【0053】
また、本実施形態では、動体検知部14がカメラ11の撮影動画内の動体を検知したときだけ管理者端末70に通知して、撮影動画を動画配信サーバー80にアップロードすると共に、管理者端末70から動画配信サーバー80にアクセスしたときだけ、撮影動画が管理者端末70に配信されるため、ネットワーク8を介したデータ通信量を極めて少なく抑えることができる。
【0054】
以上、本発明の実施の形態について詳細に説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲内で種々の変形が可能である。例えば、上記実施形態では、罠遠隔監視システムが監視する罠として、箱罠を例に挙げて説明したが、くくり罠等、適宜他の罠に対しても本発明を適用することができる。
【0055】
また、本実施形態では、VOX回路が通過周波数帯域の異なるバンドパスフィルタを3つ備え、周波数帯域毎に3種類のスイッチ信号を出力しているが、バンドパスフィルタは無くても良いし、1つでも、2つでも、4つ以上であっても良く、スイッチ信号も1種類でも、2種類でも、4種類以上であっても良い。
【0056】
また、上記実施形態では、音声復号部や動体検知部をカメラに設置しているが、制御装置等、他の部材が動体検知部を備える構成としても良い。
【符号の説明】
【0057】
10 監視装置
11 カメラ
12 赤外線照明
13 音声復号部
14 動体検知部
15 ライン出力端子
16 無線LAN通信回路
17 照明装置
18 ブザー
20 罠駆動装置
21 ソレノイド
22 トリガー
30 制御通信装置
35 通信部
36 携帯電話網通信回路
37 無線LAN通信回路
40 制御装置
41 演算装置
42 記憶部
45 VOX回路
46 ライン入力端子
47 バンドパスフィルタ
48 メカニカルリレー
50 電源
51 バッテリー
52 ソーラーパネル
70 管理者端末
71 タッチディスプレイ
72 スピーカー
73 マイクロフォン
74 音声符号化部
75 通信部
80 動画配信サーバー
2 箱罠
3 檻
4 入口柵
8 ネットワーク
図1
図2
図3
図4
図5