(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-15
(45)【発行日】2022-01-14
(54)【発明の名称】分流弁
(51)【国際特許分類】
F16K 11/048 20060101AFI20220106BHJP
【FI】
F16K11/048 Z
(21)【出願番号】P 2018565484
(86)(22)【出願日】2018-01-25
(86)【国際出願番号】 JP2018002217
(87)【国際公開番号】W WO2018143040
(87)【国際公開日】2018-08-09
【審査請求日】2020-11-16
(31)【優先権主張番号】P 2017015955
(32)【優先日】2017-01-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】390033857
【氏名又は名称】株式会社フジキン
(74)【代理人】
【識別番号】100106091
【氏名又は名称】松村 直都
(74)【代理人】
【識別番号】100079038
【氏名又は名称】渡邉 彰
(74)【代理人】
【識別番号】100060874
【氏名又は名称】岸本 瑛之助
(72)【発明者】
【氏名】谷川 毅
(72)【発明者】
【氏名】石橋 圭介
(72)【発明者】
【氏名】薬師神 忠幸
(72)【発明者】
【氏名】山路 道雄
(72)【発明者】
【氏名】土肥 亮介
(72)【発明者】
【氏名】下村 嘉徳
(72)【発明者】
【氏名】船越 高志
【審査官】所村 陽一
(56)【参考文献】
【文献】特開昭48-074621(JP,A)
【文献】特開昭58-128579(JP,A)
【文献】特開2013-108647(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16K 11/00-11/24
F16K 31/122
F16K 41/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
主通路、前記主通路に連通する入口通路、前記主通路に連通する第1出口通路および前記主通路に連通する第2出口通路が形成されたボディと、前記主通路の前記第1出口通路に通じる通路途中に設けられた第1シートと、前記主通路の前記第2出口通路に通じる通路途中に設けられた第2シートと、前記第1シートに対して当接離隔することで前記第1出口通路に通じる通路を開閉する第1弁体と、前記第2シートに対して当接離隔することで前記第2出口通路に通じる通路を開閉する第2弁体と、前記第1弁体および前記第2弁体のいずれか一方を開く側に他方を閉じる側に連動して移動させる弁体移動機構とを備えた分流弁において、
前記主通路は、二つの大径部および前記大径部間の小径部を有し、前記入口通路が前記小径部に、前記第1出口通路が一方の前記大径部に、前記第2出口通路が他方の前記大径部に連通しており、
前記弁体移動機構は、主通路の前記一方の大径部と前記小径部との間を開閉する第1弁体が一端部に固定され、前記第1弁体の開閉方向に沿って延びている第1弁棒と、
前記主通路の前記他方の大径部と前記小径部との間を開閉する第2弁体が一端部に固定され、前記第2弁体の開閉方向に沿って延びている第2弁棒と、
一端部が第1ベローズフランジに固定され、他端部が前記第1弁体に固定された第1ベローズと、
一端部が第2ベローズフランジに固定され、他端部が前記第2弁体に固定された第2ベローズと、
前記主通路外部に設けられ、前記第1弁棒および前記第2弁棒と接続した枠体と、
前記枠体を前記第1弁体および前記第2弁体の開閉方向に移動させるアクチュエータとを備え、
前記第1弁棒又は前記第2弁棒を挿通させる貫通孔を有し、前記第1ベローズフランジ又は前記第2ベローズフランジを前記ボディに押し付けるプレートを備えており、前記プレートと前記第1弁棒又は前記第2弁棒との間に、シール部材が設けられていることを特徴とする分流弁。
【請求項2】
前記アクチュエータは、シリンダ本体およびシリンダロッドを有するシリンダであり、前記シリンダ本体は、スペーサを介して前記ボディに固定されていることを特徴とする請求項1の分流弁。
【請求項3】
前記第1弁体および前記第2弁体は、同一の形状であることを特徴とする請求項1乃至2の分流弁。
【請求項4】
前記第1弁体および前記第2弁体は、前記ボディと当接離間する面がテーパ形状であることを特徴とする請求項1乃至3に記載の分流弁。
【請求項5】
前記第1弁体と前記ボディとの間および前記第2弁体と前記ボディとの間を流れる流体の流量特性がリニア特性であることを特徴とする請求項1乃至4に記載の分流弁。
【請求項6】
主通路、前記主通路に連通する入口通路、前記主通路に連通する第1出口通路および前記主通路に連通する第2出口通路が形成されたボディと、前記主通路の前記第1出口通路に通じる通路途中に設けられた第1シートと、前記主通路の前記第2出口通路に通じる通路途中に設けられた第2シートと、前記第1シートに対して当接離隔することで前記第1出口通路に通じる通路を開閉する第1弁体と、前記第2シートに対して当接離隔することで前記第2出口通路に通じる通路を開閉する第2弁体と、前記第1弁体および前記第2弁体のいずれか一方を開く側に他方を閉じる側に連動して移動させる弁体移動機構とを備え、
前記第1シートに対する前記第1弁体の位置が全開位置にあって、前記第2シートに対する前記第2弁体の位置が全閉位置にある開度0%の状態と、前記第1シートに対する前記第1弁体の位置が全閉位置にあって、前記第2シートに対する前記第2弁体の位置が全開位置にある開度100%の状態と、前記第1シートに対する前記第1弁体の位置が所要の開位置にあって、前記第2シートに対する前記第2弁体の位置も所要の開位置にある中間開度の状態と、に切り替え可能とされている分流弁において、
前記第1シートと前記第1弁体との間に形成される第1出口通路側のCv値と前記第2シートと前記第2弁体との間に形成される第2出口通路側のCv値との和に関して、前記中間開度の状態における両出口通路のCv値の和が前記開度0%の状態および前記開度100%の状態における両出口通路のCv値の和以下になされていることを特徴とする分流弁。
【請求項7】
前記各弁体は、所定のテーパ角度を有し全閉時に前記各シートに当接する先細りの第1テーパ部と、第1テーパ部のテーパ角度よりも小さいテーパ角度を有し第1テーパ部の先端側に連なる先細りの第2テーパ部とを有していることを特徴とする請求項
6の分流弁。
【請求項8】
前記主通路は、二つの大径部および前記大径部間の小径部を有し、前記入口通路が前記小径部に、前記第1出口通路が一方の前記大径部に、前記第2出口通路が他方の前記大径部に連通しており、
前記弁体移動機構は、前記主通路の前記一方の大径部と前記小径部との間を開閉する前記第1弁体が一端部に固定され、前記第1弁体の開閉方向に沿って延びている第1弁棒と、前記主通路の前記他方の大径部と前記小径部との間を開閉する前記第2弁体が一端部に固定され、前記第2弁体の開閉方向に沿って延びている第2弁棒と、一端部が第1ベローズフランジに固定され、他端部が前記第1弁体に固定された第1ベローズと、一端部が第2ベローズフランジに固定され、他端部が前記第2弁体に固定された第2ベローズと、前記主通路外部に設けられ、前記第1弁棒および前記第2弁棒と接続した枠体と、前記枠体を前記第1弁体および前記第2弁体の開閉方向に移動させるエア作動のアクチュエータとを備えていることを特徴とする請求項
6または
7の分流弁。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、入口通路から流入した流体を2つの出口通路から流出させる分流弁に関する。
【背景技術】
【0002】
入口通路から流入した流体を2つの出口通路から流出させる分流弁は、温度制御などに使用されており、このような分流弁として、特許文献1には、主通路、前記主通路に連通する入口通路、前記主通路に連通する第1出口通路および前記主通路に連通する第2出口通路が形成されたボディと、前記主通路の前記第1出口通路に通じる通路途中に設けられた第1シートと、前記主通路の前記第2出口通路に通じる通路途中に設けられた第2シートと、前記第1シートに対して当接離隔することで前記第1出口通路に通じる通路を開閉する第1弁体と、前記第2シートに対して当接離隔することで前記第2出口通路に通じる通路を開閉する第2弁体と、前記第1弁体および前記第2弁体のいずれか一方を開く側に他方を閉じる側に連動して移動させる弁体移動機構とを備えたものが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
図11に、従来の分流弁の流量特性を示す。
図11に示す従来例の流量特性によると、バルブ開度が0~10%の領域および60~70%の領域では、流量の変化が大きく、バルブ開度が10~60%の領域では、流量の変化が小さいことが分かる。したがって、バルブ開度が0~10%の領域および60~70%の領域では、バルブ開度が少し変わるだけで、流量が大きく変化することで制御が困難であり、また、バルブ開度が10~60%の領域では、バルブ開度を変えても、流量がそれに応じて変化しないことで制御が困難である。すなわち、従来の分流弁では、弁体ストロークが短く、制御精度が著しく悪いため分流精度も悪いという問題があった。
【0005】
この発明の目的は、弁体のストロークを長くすることで、流量制御の精度に優れた分流弁を提供することにある。
【0006】
この発明のさらなる目的は、開度が0~100%までの間の広範囲にわたって流量制御の精度に優れた分流弁を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の発明による分流弁は、主通路、前記主通路に連通する入口通路、前記主通路に連通する第1出口通路および前記主通路に連通する第2出口通路が形成されたボディと、前記主通路の前記第1出口通路に通じる通路途中に設けられた第1シートと、前記主通路の前記第2出口通路に通じる通路途中に設けられた第2シートと、前記第1シートに対して当接離隔することで前記第1出口通路に通じる通路を開閉する第1弁体と、前記第2シートに対して当接離隔することで前記第2出口通路に通じる通路を開閉する第2弁体と、前記第1弁体および前記第2弁体のいずれか一方を開く側に他方を閉じる側に連動して移動させる弁体移動機構とを備えた分流弁において、前記主通路は、二つの大径部および前記大径部間の小径部を有し、前記入口通路が前記小径部に、前記第1出口通路が一方の前記大径部に、前記第2出口通路が他方の前記大径部に連通しており、前記弁体移動機構は、主通路の前記一方の大径部と前記小径部との間を開閉する第1弁体が一端部に固定され、前記第1弁体の開閉方向に沿って延びている第1弁棒と、前記主通路の前記他方の大径部と前記小径部との間を開閉する第2弁体が一端部に固定され、前記第2弁体の開閉方向に沿って延びている第2弁棒と、一端部が第1ベローズフランジに固定され、他端部が前記第1弁体に固定された第1ベローズと、一端部が第2ベローズフランジに固定され、他端部が前記第2弁体に固定された第2ベローズと、前記主通路外部に設けられ、前記第1弁棒および前記第2弁棒と接続した枠体と、前記枠体を前記第1弁体および前記第2弁体の開閉方向に移動させるアクチュエータとを備えていることを特徴とするものである。
【0008】
この分流弁は、種々の用途に使用できるが、特に、流体として冷媒を使用して、温度制御に使用するのに適している。冷媒の供給には、例えばポンプが使用されることで、一定の流量が確保され、これを分流弁によって所定の割合で分流し、いずれか一方の分流分を温度制御に使用することで、適正な制御を行うことができる。
【0009】
第1の発明の分流弁によると、主通路の一方の側の大径部と小径部との間が第1のシートとされ、主通路の他方の側の大径部と小径部との間が第1のシートに対向する第2のシートとされ、これらのシートをそれぞれ閉止する弁体と一体の弁棒を枠体で接続して、2ヶ所のシートを連動して一方を閉方向に、他方を開方向に作動させることにより、応答性がよく,正確な制御を行うことができる。
【0010】
そして、アクチュエータによって枠体を主通路に沿って移動させることで、各出口通路からの流体流出量が所要の値に制御される。ここで、通常、ダイヤフラムが使用されているシール構造がベローズを使用したシール構造とされていることで、弁体のストローク量を大きくすることができ、流量制御の精度を優れたものとできる。
【0011】
前記アクチュエータは、シリンダ本体およびシリンダロッドを有するシリンダであり、前記シリンダ本体は、スペーサを介して前記ボディに固定されていることが好ましい。
【0012】
スペーサは、シリンダ本体をボディから所定距離離すためのもので、これにより、ボディ内の流体の温度がシリンダに対して悪影響を与える範囲(例えば-60℃程度の低温)であっても、シリンダ本体の駆動機構を保護することができる。
【0013】
前記第1弁体および前記第2弁体は、同一の形状とされる。このようにすることで、各弁体の開度によって合計流量が変化しないことが確保される。
【0014】
前記第1弁体および前記第2弁体は、前記ボディと当接離間する面がテーパ形状であることが好ましい。このようにすることで、流量の細かい制御が可能となる。
【0015】
前記第1弁体と前記ボディとの間および前記第2弁体と前記ボディとの間を流れる流体の流量特性がリニア特性であることが好ましい。リニア特性、すなわち、開度と流量とが比例する特性を持たせることで、各弁体の開度によって合計流量が変化しないことが確保される。
【0016】
前記第1弁棒又は前記第2弁棒を挿通させる貫通孔を有し、前記第1ベローズフランジ又は記第2ベローズフランジを前記ボディに押し付けるプレートを備えており、前記プレートと前記第1弁棒又は前記第2弁棒との間に、シール部材が設けられていることが好ましい。
【0017】
各プレートと各弁体との間および各プレートと各ベローズフランジとの間のシール部材(例えばOリング)は、ボディ内の流体が外部に漏れることを防止するためには必要ないものであるが、大気が外部からボディ内に入ることを防止することができ、これにより、分流弁組立時の大気を封入して、封入した以上の大気が冷却されることによって結露または氷結する水分が増加することが防止される。
【0018】
第2の発明による分流弁は、主通路、前記主通路に連通する入口通路、前記主通路に連通する第1出口通路および前記主通路に連通する第2出口通路が形成されたボディと、前記主通路の前記第1出口通路に通じる通路途中に設けられた第1シートと、前記主通路の前記第2出口通路に通じる通路途中に設けられた第2シートと、前記第1シートに対して当接離隔することで前記第1出口通路に通じる通路を開閉する第1弁体と、前記第2シートに対して当接離隔することで前記第2出口通路に通じる通路を開閉する第2弁体と、前記第1弁体および前記第2弁体のいずれか一方を開く側に他方を閉じる側に連動して移動させる弁体移動機構とを備え、前記第1シートに対する前記第1弁体の位置が全開位置にあって、前記第2シートに対する前記第2弁体の位置が全閉位置にある開度0%の状態と、前記第1シートに対する前記第1弁体の位置が全閉位置にあって、前記第2シートに対する前記第2弁体の位置が全開位置にある開度100%の状態と、前記第1シートに対する前記第1弁体の位置が所要の開位置にあって、前記第2シートに対する前記第2弁体の位置も所要の開位置にある中間開度の状態と、に切り替え可能とされている分流弁において、前記第1シートと前記第1弁体との間に形成される第1出口通路側のCv値と前記第2シートと前記第2弁体との間に形成される第2出口通路側のCv値との和に関して、前記中間開度の状態における両出口通路のCv値の和が前記開度0%の状態および前記開度100%の状態における両出口通路のCv値の和以下になされていることを特徴とするものである。
【0019】
第2の発明の分流弁によると、2つの出口通路のCv値について、開度を0%から100%まで変化させた際の両出口通路のCv値の和に着目し、中間開度(開度が40%とか50%とかの状態)における両出口通路のCv値の和が開度0%の状態または開度100%の状態における両出口通路のCv値の和以下にされることで、流量特性が開度と流量とがほぼ比例するものとなり、開度が0~100%までの間の広範囲にわたって流量制御の精度を優れたものとできる。
【0020】
上記において、Cv値は、開口面積に置き換えることができ、この発明の分流弁の特徴部分については、前記第1シートと前記第1弁体との間に形成される第1出口通路側開口面積と前記第2シートと前記第2弁体との間に形成される第2出口通路側開口面積との和に関して、中間開度の状態における両出口通路の開口面積の和が前記開度0%の状態および前記開度100%の状態における両出口通路の開口面積の和以下になされているとすることもできる。
【0021】
前記各弁体は、所定のテーパ角度を有し全閉時に前記各シートに当接する先細りの第1テーパ部と、第1テーパ部のテーパ角度よりも小さいテーパ角度を有し第1テーパ部の先端側に連なる先細りの第2テーパ部とを有していることが好ましい。
【0022】
各弁体の形状をこのようにすることで、上記の開口面積およびCv値を容易に得ることができる。
【0023】
例えば流体として冷媒を使用して温度制御に使用するに際し、開度の変化量に対して流量が大きく変化したりわずかしか変化しない場合、流量制御が困難となるが、第2の発明の分流弁によると、その問題が解消されている。
【0024】
第2の発明の分流弁において、前記主通路は、二つの大径部および前記大径部間の小径部を有し、前記入口通路が前記小径部に、前記第1出口通路が一方の前記大径部に、前記第2出口通路が他方の前記大径部に連通しており、前記弁体移動機構は、前記主通路の前記一方の大径部と前記小径部との間を開閉する前記第1弁体が一端部に固定され、前記第1弁体の開閉方向に沿って延びている第1弁棒と、前記主通路の前記他方の大径部と前記小径部との間を開閉する前記第2弁体が一端部に固定され、前記第2弁体の開閉方向に沿って延びている第2弁棒と、一端部が第1ベローズフランジに固定され、他端部が前記第1弁体に固定された第1ベローズと、一端部が第2ベローズフランジに固定され、他端部が前記第2弁体に固定された第2ベローズと、前記主通路外部に設けられ、前記第1弁棒および前記第2弁棒と接続した枠体と、前記枠体を前記第1弁体および前記第2弁体の開閉方向に移動させるエア作動のアクチュエータとを備えていることが好ましい。
【0025】
このようにすると、弁体のストローク量を大きくすることができ、流量制御の精度をより優れたものとできる。
【0026】
第2の発明の分流弁によると、弁体のストローク量が相対的に小さい従来の分流弁と組み合わせても、開度が0~100%までの間の広範囲にわたって流量制御の精度を優れたものとできる。
【発明の効果】
【0027】
第1の発明の分流弁によると、2ヶ所のシート(主通路の一方の側の大径部と小径部との間および主通路の他方の側の大径部と小径部との間)をそれぞれ閉止する弁体と一体の弁棒を枠体で接続して、2ヶ所のシートを連動して一方を閉方向に、他方を開方向に作動させることにより、応答性がよく,正確な制御を行うことができるとともに、ベローズを使用したシール構造とされていることにより、弁体のストローク量を大きくすることができ、流量制御の精度を優れたものとできる。
【0028】
第2の発明の分流弁によると、流量特性が開度と流量とがほぼ比例するものとなり、開度が0~100%までの間の広範囲にわたって流量制御の精度を優れたものとできる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1】
図1は、この発明による分流弁の第1実施形態を示す縦断面図(部分断面図)で、各通路の中心を通る位置での図である。
【
図2】
図2は、この発明による分流弁の第1実施形態を示す縦断面図(部分断面図)で、
図1から90°回転した位置での図である。
【
図4】
図4は、この発明による分流弁の第2実施形態を示す縦断面図で、
図3に対応する図である。
【
図5】
図5は、第1実施形態の弁体と第2実施形態の弁体とを比較して示す拡大縦断面図である。
【
図6】
図6は、第2実施形態の弁体の形状を拡大して示す図である。
【
図7】
図7は、第1実施形態の分流弁の流量特性を示す図である。
【
図8】
図8は、第1実施形態の分流弁のCv値を示す図である。
【
図9】
図9は、第2実施形態の分流弁の流量特性を示す図である。
【
図10】
図10は、第2実施形態の分流弁のCv値を示す図である。
【符号の説明】
【0030】
1:分流弁
2:ボディ
2a:第1シート
2b:第2シート
3:弁体移動機構
11:主通路
11a,11b:大径部
11c:小径部
12:入口通路
13:第1出口通路
14:第2出口通路
21:第1弁体
21b:第1テーパ部
21c:第2テーパ部
22:第1弁棒
23:第2弁体
23b:第1テーパ部
23c:第2テーパ部
24:第2弁棒
25:枠体
26:シリンダ(アクチュエータ)
28:第1ベローズ
29:第1ベローズフランジ
32:第2ベローズ
33:第2ベローズフランジ
71:第1弁体
71b:テーパ部
73:第2弁体
73b:テーパ部
【発明を実施するための形態】
【0031】
この発明の実施の形態を、以下図面を参照して説明する。以下の説明において、左右は、
図1および
図2の左右をいうものとし、上下は、
図2の上下をいうものとする。
【0032】
<実施形態1>
図1および
図2は、この発明による分流弁の第1実施形態を示している。
【0033】
第1実施形態の分流弁1は、所要の流体通路(主通路11、入口通路12、第1出口通路13および第2出口通路14)が形成された直方体状のボディ2と、流体通路11,12,13,14の開閉を行うために第1弁体72および第2弁体73を一体で移動させる弁体移動機構3とを備えている。
【0034】
この分流弁1は、入口通路12から流入した流体を所定の割合で2つの出口通路13,14から流出させるとともに、両出口通路13,14から流出する流体の流量を所定の割合に調整する。
【0035】
主通路11は、左右にのびる直線状をなしており、左右の大径部11a,11bと、中央の小径部11cとからなる。入口通路12は、主通路11の小径部11cに下方から直交するように設けられている。第1出口通路13は、主通路11の左の大径部11aの右端部に上方から直交するように設けられている。第2出口通路14は、主通路11の右の大径部11bの左端部に上方から直交するように設けられている。
【0036】
主通路11の左の大径部11aは、ボディ2の左面に開口しており、主通路11の右の大径部11bは、ボディ2の右面に開口している。
【0037】
入口通路12の下部、第1出口通路13の上部および第2出口通路14の上部には、それぞれ、継手接続部となるめねじ部12a,13a,14aが形成されている。
【0038】
主通路11の左の大径部11aの右端部に、主通路11の左の大径部11aと小径部11cとの間(第1シート2a)を開閉する第1弁体72が配されている。また、主通路11の右の大径部11bの左端部に、主通路11の右の大径部11bと小径部11cとの間(第2シート2b)を開閉する第2弁体73が配されている。
【0039】
弁体移動機構3は、第1弁体72に一体に設けられて第1弁体72の左面から左方にのびる第1弁棒22と、第2弁体73に一体に設けられて第2弁体73の右面から右方にのびる第2弁棒24と、第1弁棒22と第2弁棒24とを接続する枠体25と、枠体25を左右に移動させるアクチュエータ26と、枠体25を左方に付勢する圧縮コイルばね(付勢部材)27とを備えている。
【0040】
各通路11,12,13,14は、入口通路12の中心線に対して対称に形成されており、各弁体72,73および各弁棒22,24は、同一形状とされて、入口通路12の中心線に対して対称に配置されている。
【0041】
ボディ2は、ステンレス鋼(例えばSUS304)製とされ、各弁体72,73のシートに当接する部分(ディスクパッキン)も、ステンレス鋼(例えばSUS316L)製とされる。各弁体72,73のシート2a,2bに当接する部分は、樹脂製であってもよい。
【0042】
第1弁棒22の左部は、第1弁体72の開閉方向に沿って延びてボディ2の左面よりも左方に突出させられており、第2弁棒24の右部は、第2弁体73の開閉方向に沿って延びてボディ2の右面よりも右方に突出させられている。
【0043】
第1弁棒22の右部の外径側には、第1ベローズ28が配されている。第1ベローズ28の右端は、第1弁体72の左面に固定されており、第1ベローズ28の左端は、第1ベローズフランジ29に固定されている。第1ベローズフランジ29は、第1弁棒22の左部に嵌め入れられて、ボディ2の左面に当接させられている。第1ベローズフランジ29の左面には、第1弁棒22を挿通させる貫通孔が設けられた左プレート30が当てられており、ボルト31によって、ボディ2に固定されている。
【0044】
第2弁棒24の左部の外径側には、第2ベローズ32が配されている。第2ベローズ32の左端は、第2弁体73の右面に固定されており、第2ベローズ32の右端は、第2ベローズフランジ33に固定されている。第2ベローズフランジ33は、第2弁棒24の右部に嵌め入れられて、ボディ2の右面に当接させられている。第2ベローズフランジ33の右面には、第2弁棒24を挿通させる貫通孔が設けられた右プレート34が当てられており、ボルト31によって、ボディ2に固定されている。
【0045】
各ベローズ28,32は、各弁体72,73の左右方向の移動に伴って変形するとともに、流体の外部への漏れを防止する。
【0046】
各ベローズ28,32は、金属製とされ、例えば、ステンレス鋼(SUS316L)やコバルト系合金、ニッケル系合金、銅基合金等により形成される。ベローズとしては、金属素材で筒を作り、その内側から圧力をかけて外径となる山を成型した成型ベローズや、精密に波付きプレスしたディスク状の薄肉金属板を、内縁・外縁を交互に溶接しながらつなぎ合わせて製作される溶接ベローズなどが適宜使用される。
【0047】
各ベローズフランジ29,33とボディ2との間には、流体の漏れを防止するためのガスケット51が配置されている。
【0048】
また、各プレート30,34と各弁棒22,24との間に、Oリング52が設けられており、各プレート30,34と各ベローズフランジ29,33との間にも、Oリング53が設けられている。これらのOリング(シール部材)52,53は、流体の漏れを防止するためではなく、分流弁1組立時に、大気を封入し、外部から大気がボディ2内に入ることを防止するためのものである。
【0049】
枠体25は、
図2に示すように、中央部が第1弁棒22の左端部に取り付けられた左板部35と、中央部が第2弁棒24の右端部に取り付けられた右板部36と、左板部35の上縁と右板部36の上縁とを接続する上軸部37と、左板部35の下縁と右板部36の下縁とを接続する下軸部38とからなる。
【0050】
上軸部37および下軸部38は、ボディ2を貫通しており、ボディ2の左右端部と各軸部37,38との間には、大気の流入を防止するためのOリング54が配置されている。
【0051】
各板部35,36の上縁部には、貫通孔35a,36aが設けられており、この貫通孔35a,36aに上軸部37の左右端部が挿通されている。上軸部37の各板部35,36よりも突出した部分に、おねじ37a,37bが設けられており、このおねじ37a,37bにナット39がねじ合わされることで、枠体25の各板部35,36の上縁部と上軸部37とが結合されている。同様に、各板部35,36の下縁部には、貫通孔35b,36bが設けられており、この貫通孔35b,36bに下軸部38の左右端部が挿通されている。下軸部38の各板部35,36よりも突出した部分に、おねじ38a,38bが設けられており、このおねじ38a,38bにナット39がねじ合わされることで、枠体25の各板部35,36の下縁部と下軸部38とが結合されている。
【0052】
左板部35の上下の中央には、貫通孔35cが設けられており、この貫通孔35cに第1弁棒22の左端部が挿通されている。第1弁棒22の左板部35よりも左方に突出した部分に、おねじ22aが設けられており、このおねじ22aにナット40がねじ合わされることで、枠体25の左板部35と第1弁棒22とが結合されている。同様に、右板部36の上下の中央には、貫通孔36cが設けられており、この貫通孔36cに第2弁棒24の右端部が挿通されている。第2弁棒24の右板部36よりも右方に突出した部分に、おねじ24aが設けられており、このおねじ24aにナット40がねじ合わされることで、枠体25の右板部36と第2弁棒24とが結合されている。
【0053】
ボディ2の左面の対角位置にある角部には、左方にのびる2本の棒状のスペーサ41が設けられている。アクチュエータ26は、エアシリンダであり、スペーサ41の左端部に支持されているシリンダ本体42と、シリンダ本体42から右方にのびて左右移動するシリンダロッド43とを有している。シリンダロッド43の右端部は、第1弁棒22の左端面に臨まされている。
【0054】
ボディ2の右方には、圧縮コイルばね27を収めるケーシング44が配されている。ケーシング44は、左右方向の中心線を有する円筒状の周壁45と、周壁45の右端開口を閉鎖する右壁46とを有しており、周壁45の左端部に形成されたフランジ部45aがボディ2の右面に六角孔付きボルト47で固定されている。圧縮コイルばね27は、中心線周りに複数(例えば3つ)配されており、第2弁棒24の右端部に平行ピン48で固定された左ばね受け49と、ケーシング44の周壁45の左面で受けられた右ばね受け50とによって保持されている。
【0055】
圧縮コイルばね27は、第2弁棒24およびこれと一体の枠体25を左向きに付勢しており、これにより、アクチュエータ26の非作動時には、第2弁体73が主通路11の右の大径部11bと小径部11cとの間を閉じるようになされている。アクチュエータ26を作動させると、第1弁棒22およびこれと一体の枠体25を圧縮コイルばね27に抗して右向きに移動させることができ、これにより、第2弁体73が主通路11の右の大径部11bと小径部11cとの間を開くようになり、シリンダロッド43の移動量を制御することで、第2出口通路14からの流体の流量を制御することができる。すなわち、1台のエアシリンダ(アクチュエータ)26で第1出口通路13側(例えば冷媒循環側)および第2出口通路14側(例えば温度制御側)の通路の開度を制御でき、第1出口通路13からの流体の流出量と第2出口通路14からの流体の流出量との比(分流比)を制御することができ、入口通路12からの流体(冷媒)の流入量が一定であれば、第1出口通路13からの流体の流出量および第2出口通路14からの流体の流出量を制御することができる。
【0056】
ケーシング44の右壁46には、ナット55が固定されており、ナット55には、外周面におねじが形成された調整ねじ56が軸方向に移動可能にねじ合わされている。調整ねじ56の左端面は、右ばね受け50の右面に当接させられており、調整ねじ56を左側にねじ込んでいくかまたは右側にねじ戻すことで圧縮コイルばね27の弾性力を変化させることができ、これにより、第2弁棒24およびこれと一体の枠体25を左向きに付勢する付勢力が調整可能とされている。
【0057】
分流弁1は、例えば、急速な温度設定が必要とされる冷却装置のような機器において、常時循環している冷媒配管系から冷媒を送る量を制御するために、冷媒の分流制御を行う用途で使用される。この場合、一方の出口通路(例えば第2出口通路14)からの冷媒が温度制御に使用され、他方の出口通路(例えば第1出口通路13)からの冷媒は、循環させられて再使用される。そして、温度制御機器部分の温度をモニターして、機器に流れる冷媒の流量を電空変換レギュレータを使用して、エア作動のアクチュエータ26に供給して制御を行う。
【0058】
弁体72,73は、
図3に拡大して示しているように、円柱状部72a,73aとこれに連なる先細りのテーパ部72b,73bとからなるものとされている。
【0059】
第1実施形態の分流弁1の流量特性を
図7に示す。
図7と
図11との比較から、第1実施形態の分流弁1によると、バルブ開度の変化に対して流量が徐々に変化していることが分かる。
【0060】
すなわち、急速な温度設定が必要な冷却装置を実現するには、温度設定のため冷媒の流量を応答性良く,正確に制御する必要があるが、第1実施形態の分流弁1によると、流体の外部への漏れを防止するのにベローズ28,32が使用されていることで、ダイヤフラムを使用しているものに比べて、弁体72,73の移動のストローク(作動リフト)が大きくなり、これにより、分流比の制御精度を向上することができる。
【0061】
図7の流量特性によると、
図11の流量特性に比べると、大きく改善されているが、中央付近ではリニアな制御ができていないという改善余地がある。しかし、初動時が急激なオンオフではないのであれば、中央付近ではさほどリニアな制御を必要としない機器では十分使用することが可能である。
【0062】
なお、上記分流弁1によると、ベローズ28,32を金属製(例えばステンレス鋼製)とすることで、使用圧力及び使用ストローク内では、繰り返し疲労限度応力以下で耐久性に優れたものとできる。
【0063】
また、低温(例えば-60℃)の冷媒を使用する場合、弁体摺動部分の大気が結露して氷結することが問題となりうるが、Oリング52,53でシールすることで、組立て時の大気条件を封入しているので、各弁棒22,24の摺動部分の大気が結露して氷結することが防止される。
【0064】
<実施形態2>
本実施形態2の発明は、本第2発明に係る分流弁である。この分流弁1は、実施形態1に係る分流弁1と弁体72,73,21,23の構造が異なる以外は、実施形態1と同様であり、説明を省略する。
【0065】
図4は、第2実施形態の弁体21,23を拡大して示している。弁体21,23は、円柱状部21a,23aと、円柱状部21a,23aに連なる先細りの第1テーパ部21b,23bと、第1テーパ部21b,23bに連なる先細りの第2テーパ部21c,23cとからなる。第2テーパ部21c,23cのテーパ角度は、第1テーパ部21b,23bのテーパ角度よりも小さくなされている。
【0066】
図5に示すように、二点鎖線で示す第1実施形態の弁体73は、そのテーパ部73bがシート2bに強く当接することで、全閉状態が得られるようになっているのに対し、実線で示す第2実施形態の弁体23の第1テーパ部23bと第2テーパ部23cとの境界(変曲点)部分における径が弁座2bの径に等しくなされていて、第2実施形態では、第1テーパ部21b,23bの外周面と第2テーパ部21c,23cの外周面との境界(変曲点)部分が対応するシート2a,2bに強く当接することで、全閉状態が得られるようになっている。
【0067】
第2弁体23は、第1弁体21と同じ形状とされ、各テーパ部21b,23b,21c,23cのテーパ角度AおよびBは、後述するように、Cv値を最適化するように適宜設定されるが、
図6において、第1テーパ部21b,23bのテーパ角度Aは、例えば40~80°(但し、シート2a、2bの角度よりも小さく設定する。)の範囲とし、第2テーパ部21c,23cのテーパ角度Bは、例えば1~40°の範囲とすることが好ましい。なお、テーパ角度Bは0°(第2テーパ部を円柱状)とすることもできる。
【0068】
テーパ角度が小さい第2テーパ部21c,23cがあることにより、弁体21,23の移動に伴う開口面積の変化は、本実施形態2では第2テーパ部21c,23cとシート2a,2bとの間に形成される開口面積の変化となり、テーパ部72b,73bとシート2a,2bとの間に形成される開口面積の変化となる第1実施形態の弁体72,73に比べて、その変化が緩やかになる。
【0069】
図8のグラフは、第1実施形態の弁体72,73を使用した分流弁1について、Cv値を解析した結果を示している。同図において、横軸には開度(%)が採られており、縦軸には、第1出口通路側のCv値、第2出口通路側のCv値、および第1出口通路側のCv値と第2出口通路側のCv値との合算Cv値がそれぞれ示されている。なお、横軸は、便宜上弁体72,73の弁座2a,2bに対する開度で表しているが、実際は弁体72,73を動作させるアクチュエータの操作圧力(0~0.5MPa)であり、そのためCv値の立ち上がりが開度20%(操作圧力0.1MPa)となっている。開度0~20%(操作圧力0~0.1MPa)及び開度80~100%(操作圧力0.4~0.5MPa)のCv値の無反応領域は、バネ荷重やアクチュエータ出力を見直すことで減少させることが可能であるが、シートリーク発生とのトレードオフとなるため本実施形態においては、上記無反応領域を残している。実施形態1の開度とCv値を表した
図8によると、第1出口通路側のCv値および第2出口通路側のCv値の最大値が0.6程度であるのに対し、合算Cv値が中央開度付近で0.6よりも大きくなっており、第1出口通路13および第2出口通路14からの流出量が両方で大きくなっていることが分かる。これと流量特性を表した
図7とを合わせると、中央開度付近の合算Cv値が各出口通路側のCv値の最大値より大きくなっていることで、中央開度付近での流量特性がフラットとなっており、分流制御が困難な範囲ができていることが分かる。
【0070】
図9および
図10のグラフは、第2実施形態の弁体21,23を使用した分流弁1について、流量特性とCv値とを求めたもので、
図9が
図7に、
図10が
図8にそれぞれ対応している。
【0071】
図10のグラフによると、第2実施形態の弁体21,23を使用することで、分流弁1の中央開度付近での合算Cv値が0.6よりも小さくなっており、この点で、中央開度付近でCv値が0.6よりも大きくなっている
図8のグラフとなる第1実施形態の弁体71,72を使用したものと相違している。
【0072】
図9のグラフによると、第2実施形態の弁体21,23を使用した分流弁1では、
図10のCv値としたことで、開度に比例して、ほぼリニアに流量が変化しており、
図8のグラフとなる第1実施形態の弁体71,72を使用したものに比べると、中央開度付近での流量特性の変化量が大きくなるとともに、両側(立ち上がり部分)での流量特性の変化量が小さくなっており、
図7に示されている中央開度付近(開度30~60%)がややフラットで、両側(開度15~25%および開度60~70%)がやや急激に変化するという問題が解消している。
【0073】
Cv値は、バルブの容量係数の1つであり、所定の式によって求められる。上記の解析によると、第1出口通路側Cv値と第2出口通路側Cv値との和に関して、中間開度の状態における両出口通路のCv値の和が開度0%の状態および開度100%の状態における両出口通路のCv値の和以下になされていることにより、開度に比例して、ほぼリニアに流量を変化させることができることが分かる。
【0074】
Cv値は、開口面積と比例関係にあり、Cv値をシート2a,2bの内径とテーパ部21b,21c23b,23cの外径とを使って求めた開口面積に置き換えることができる。すなわち、第1シート2aと第1弁体21との間に形成される第1出口通路側開口面積と第2シート2bと第2弁体23との間に形成される第2出口通路側開口面積との和に関して、中間開度の状態における開口面積の和が開度0%の状態および開度100%の状態における開口面積の和以下になされていることにより、開度に比例して、ほぼリニアに流量を変化させることができる。
【0075】
すなわち、上記第2実施形態の分流弁1によると、開度に比例して、ほぼリニアに流量を変化させることができるので、流量が0から最大に至るどの範囲であっても、精度よく流量制御を行うことができる。
【0076】
なお、第2実施形態の弁体21,23は、
図1および
図2に示した分流弁に置き換え可能なだけでなく、種々の分流弁の弁体に置き換え可能であることはもちろんである。
【産業上の利用可能性】
【0077】
この発明によると、分流弁の流量制御の精度を優れたものとできるので、分流弁を使用して行う温度制御などの精度向上に寄与できる。