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▶ ▲菅▼原 広明の特許一覧

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-15
(45)【発行日】2022-01-14
(54)【発明の名称】カレンダー保持具
(51)【国際特許分類】
   B42D 5/04 20060101AFI20220106BHJP
【FI】
B42D5/04 G
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020162182
(22)【出願日】2020-09-28
(65)【公開番号】P2021054073
(43)【公開日】2021-04-08
【審査請求日】2020-09-29
(31)【優先権主張番号】P 2019178565
(32)【優先日】2019-09-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】519352492
【氏名又は名称】▲菅▼原 広明
(74)【代理人】
【識別番号】100099793
【弁理士】
【氏名又は名称】川北 喜十郎
(74)【代理人】
【識別番号】100154586
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 正広
(72)【発明者】
【氏名】▲菅▼原 広明
【審査官】金田 理香
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2007/034698(WO,A1)
【文献】実開昭64-048278(JP,U)
【文献】特開2006-001064(JP,A)
【文献】特開2005-305880(JP,A)
【文献】特開平11-129646(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B42D 1/00-15/00
15/04-19/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
壁掛け用カレンダーのカレンダー保持具であって、
カレンダーを保持する長手板状のプレートと、
前記プレートの長手方向に形成されたスリットと、
前記プレートの前記スリット下方に設けられたカレンダー取り付け部と、
前記プレートのスリット上方に形成されたピン孔とを備え、
カレンダー用紙をめくるときに、カレンダー用紙を、前記スリットを通して前記プレートの後方に移動させることで、カレンダー用紙を切り離すことなく保持することができ、
さらに、前記プレートの右側と左側を覆いながら外側にスライド移動可能な一対のカバーを有し、前記カバーには、前記カレンダーの幅方向に延在する上側の傾斜面と下側の傾斜面により画成されるカバースリットが形成されており、前記上側の傾斜面と下側の傾斜面はいずれも後方下側に向かって傾斜しており、
前記プレートは、前記一対のカバーにより前記カレンダーの幅方向に伸縮可能であるカレンダー保持具。
【請求項2】
前記スリットが、前記プレート内部において前記プレートの後方に向かって下方に傾斜する傾斜面によって画成されている請求項1に記載のカレンダー保持具。
【請求項3】
前記スリットに連通し且つ前記プレートの内部または後部に鉛直方向に延在するガイドが形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載のカレンダー保持具。
【請求項4】
前記スリットに連通し且つ前記プレートの後部に鉛直方向に延在するガイドが形成されており、前記プレートの後部にフィルムが張り合わされて且つ前記後部より下方に垂れ下がっていることを特徴とする請求項3に記載のカレンダー保持具。
【請求項5】
前記上側の傾斜面と下側の傾斜面が、円弧状の傾斜曲面であることを特徴とする請求項1~4のいずれか一項に記載のカレンダー保持具。
【請求項6】
前記プレートは、前記スリットの下方で、カレンダー用紙の綴り部を前方から押さえる押さえ部を有することを特徴とする請求項1~5のいずれか一項に記載のカレンダー保持具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カレンダー用紙を切り取らずに、めくった状態でカレンダー用紙を保持することができる新規な壁掛け用カレンダー保持具に関する。
【背景技術】
【0002】
カレンダーは卓上型のものと壁掛け型のものに分類される。卓上型のカレンダーでは、カレンダー用紙が独立していて平板状ケースに入れられたものや上端がコイル状の綴じ具で回転可能に綴じられているものもある。後者のタイプの卓上カレンダーでは、暦が替わると、古いカレンダー用紙をコイル状綴じ具を中心に回転させてめくることで新たなカレンダー用紙を表示させることができる。一方、壁掛け型のカレンダーは、そのようなコイル状綴じ具を使ったものもあるが、ほとんどは、上端が硬めの押さえ紙で綴じられていて押さえ紙の中央にフックなどにひっかけるための孔が形成されている。そのような押さえ紙で綴じてあるカレンダーでは、暦が替わり次の暦のカレンダー用紙を表示させるには、古い暦のカレンダー用紙を押さえ紙の下端から切り離す必要がある。なぜなら、壁に打ち込まれたフックや釘が邪魔して、めくったカレンダー用紙をカレンダーの裏側に移動できないからである。しかし、アイドルの写真集やキャラクターの画像のカレンダーは、収集マニアにとっては大切なものであり、暦が代わっても古いカレンダー用紙を切り離すことなく、そのまま綴じられたままに保持したいという要望がある。
【0003】
特許文献1では、壁掛けカレンダーの幅に関係無く且つカレンダーを傷つけることなく容易に取り付けられ、カレンダーを裏側にめくれるようにする補助吊り具を開示している。一対の補助吊り具本体は、中央上辺部に受け部と一端に紐穴が開けられた吊り部を有する。カレンダーの綴じ具の左右端部をそれぞれ受け部に差し込み、紐穴に紐を通してカレンダーを吊っている。
【0004】
特許文献2は、巻き上げ紙面支持板を有するカレンダー吊り下げ具を開示している。このカレンダー吊り下げ具は、この吊り下げ具を壁に吊り下げるためのカレンダーハンガー吊り具を上部に有し、この吊り下げ具にカレンダー自体を吊り下げるためのフック状の部材を有する。使用後にめくられる紙面は、巻き上げ紙面支持板まで巻き上げて両側端に設けられた紙面留め具により留められる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開平10-16439号公報
【文献】特開2003-211869号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1のカレンダー補助吊り具では、カレンダーの綴じ具の左右端部をそれぞれ受け部に差し込む必要があり、カレンダーの綴じ具によっては差し込む隙間のないものがある。また、差し込むことによってカレンダー綴じ具の部分を痛めることもある。または、特許文献2に記載のカレンダー吊り下げ具は、巻き上げ紙面支持板上に何重にも巻き上げる必要があり、巻き上げる作業が厄介である。また、何重にも巻き上げられた紙面は厚いロール状となり留め具によって留め難く、見栄えもよくない。
【0007】
本発明の目的は、カレンダー紙面を切り離すことなく、紙面を容易にめくりあげることができるカレンダー保持具であり、上記従来技術の問題点を解決して、カレンダーを傷つけることなく、カレンダーを保持した状態でデザイン的にも優れた新規なカレンダー保持具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に従えば、壁掛け用カレンダーのカレンダー保持具であって、
カレンダーを保持する長手板状のプレートと、
前記プレートの長手方向に形成されたスリットと、
前記プレートの前記スリット下方に設けられたカレンダー取り付け部と、
前記プレートのスリット情報に形成されたピン孔とを備え、
カレンダー用紙をめくるときにカレンダー用紙を前記スリットを通して前記プレートの後方に移動させることで、カレンダー用紙を切り離すことなく保持することができるカレンダー保持具が提供される。
【0009】
本発明のカレンダー保持具において、前記スリットが、前記プレート内部において前記プレートの後方に向かって下方に傾斜する傾斜面によって画成されていてもよい。
【0010】
本発明のカレンダー保持具において、前記スリットに連通し且つ前記プレートの内部または後部に鉛直方向に延在するガイドが形成されていてもよい。前記スリットに連通し且つ前記プレートの後部に鉛直方向に延在するガイドが形成されている場合に、前記プレートの後部にフィルムが張り合わされて且つ前記後部より下方に垂れ下がっていてもよい。こうすることでフィルムがガイドの一面を構成することができる。
【0011】
本発明のカレンダー保持具において、前記プレートは前記カレンダーの幅方向に伸縮可能であってもよい。
【0012】
本発明のカレンダー保持具において、前記プレートは、前記スリットの下方で、カレンダー用紙の綴り部を前方から押さえる押さえ部を有していてもよい。
【発明の効果】
【0013】
本発明の壁掛け用カレンダーの保持具は、カレンダー用紙をめくるときに、カレンダー用紙をカレンダー綴り部から切り離すことなく、またカレンダーの後方に折り曲げることなく保持することができる。プレートにガイドを設けることにより、カレンダー用紙をめくるときに、スリットから挿入されたカレンダー用紙がガイドを通じて鉛直方向(下方)に導かれる。ガイドをプレートの内部に設けることにより、また、プレートから下方に延在するフィルムをプレートの後方に取り付けることにより、スリットから挿入されたカレンダー用紙の湾曲部分がプレート後方の壁面に接触することでカレンダーを傷めることが防止される。
【0014】
また、スリットから壁側に向かて傾斜する傾斜面または傾斜曲面を設けることにより、カレンダー用紙をめくり壁側に移動する際にスムーズな移動を可能にする。また、上記傾斜面または傾斜曲面は、カレンダー用紙の湾曲した部分に曲げ癖がつくことを防止することができる。
【0015】
使用者は、好みのポスターなどの印刷部やカレンダーから暦の部分を切りとった印刷物を綴じて、それを本発明の保持具で保持することができる。こうすることで、使用者にとってお気に入りのオリジナルポスターを束にして保持しつつ、壁掛けにより、好みのポスターを最表面に露出することができる。そして、再表面のポスター用紙が飽きたならば、別のポスター用紙に簡単に変更することができる。
【0016】
めくられたカレンダー用紙は、カレンダーの綴り部とスリットとの間で湾曲して半円柱の立体形状を形成する。また、この半円柱の立体形状は、通常は平面的に見える壁掛けカレンダーに立体感を創出し、部屋の装飾を醸し出すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明のカレンダー保持具の第1実施形態を示す概念斜視図である。
図2図1のA-A線から見たカレンダー保持具の断面図である。
図3図1に示したカレンダー保持具の平面図である。
図4図4(A)は本発明のカレンダー保持具にカレンダーを吊り下げた状態を概念的に示す断面図であり、図4(B)はめくられたカレンダー用紙がスリット及びガイドを通してカレンダーの後方に保持されている様子を概念的に示す断面図である。
図5】カレンダー保持具によってカレンダー用紙がめくられた状態で保持されたカレンダーの外観を示す外観図である。
図6】第2実施形態のカレンダー保持具の断面図である。
図7】第4実施形態のカレンダー保持具を示す概念図であり、図7(A)はプレートが短い状態を示し、図7(B)はプレートが伸びた状態を示す。
図8】本発明に従うカレンダー保持具のプレートのカレンダー取り付け領域を示す平面図である。
図9図5に示したフィルム付きプレートの具体例を示す第3実施形態のカレンダー保持具の断面図である。
図10】本発明のカレンダー保持具の第5実施形態を示す図であり、カレンダーを吊り下げた状態を概念的に示す断面図である。
図11】本発明のカレンダー保持具の第6実施形態を示す図であり、カレンダーを吊り下げた状態を概念的に示す断面図である。
図12図4(B)に示したカレンダー用紙をめくった場合に起こりうる状況を示す概念図である。
図13】第5実施形態のカレンダー保持具によってカレンダー用紙がめくられた状態で保持されたカレンダーの外観を示す外観図である。
図14】第7実施形態のカレンダー保持具の変形例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
<第1実施形態>
以下、本発明の壁掛け用カレンダーの保持具の第1実施形態について図を参照しながら説明する。図1及び3に示すように、保持具10は、水平方向に延在する長手板状のプレート2とプレートの中央に設けられた吊り下げフック4とから主に構成される。吊り下げフック4は、カレンダーをプレート2に取り付けるための取り付け部として機能する。プレート2には、その長手方向に沿って、カレンダー用紙の幅よりも長いスリット6が形成されている。プレート2の吊り下げフック4のスリット6を挟んだ上方にはピン孔8が形成されている。
【0019】
図2に示すように、プレート2の内部には、スリット6と連通して鉛直方向の下方に延在するようにガイド溝12が形成されている。スリット6とガイド溝12が連通することで、カレンダー用紙を通すための逆L字形の通路がプレート2内、すなわち、プレートの前壁2aと後壁2bとの間に画成されている。ガイド溝12は、図1に示すようにスリット6の長さ(横幅)と同じ長さに渡ってプレート2の内部に形成されている。
【0020】
保持具10を使用して壁掛け型カレンダーを保持する方法を、図4(A)及び(B)を参照しながら説明する。カレンダーとして複数枚のカレンダー用紙が綴り部によって上方でとじられているカレンダーを使用する。綴り部の中央には、通常、壁掛け用のフックや釘が通る孔Hが形成されている。最初に、図4(A)に示すように、プレート2の孔8を通してピンを壁に打ち込むことで、保持具10を壁に固定する。次に、カレンダーの綴り部にある孔を吊り下げフック4に通してカレンダーをフック4に吊り下げる。
【0021】
カレンダーの暦が変わって最表面のカレンダー用紙をめくるときは、そのカレンダー用紙の下端を上方にめくりあげ、図4(B)に示すように、その下端をスリット6から巻き込むように挿入し、ガイド溝12を通してプレート2の下端から送り出す。こうして、めくられたカレンダー用紙は綴り部を起点として湾曲し、スリット6とガイド溝12からなる逆L字形の通路を通ってカレンダーの後方にスムーズに送り込まれる。このとき、カレンダー用紙の湾曲した部分はガイド溝12内に収容されているので、後方の壁面には接触したり押さえつけられることが防止される。また、綴り部の直ぐ下方にあった用紙部分が、図5に示すように、湾曲して半円柱状となり、吊り上げフック4や綴り部を覆い隠すので、吊り下げられたカレンダー全体の見栄えがすっきりして見える。換言すると、湾曲してできた半円柱状部分が立体感のあるデザインを創出する。
【0022】
上記実施形態において、スリット6の幅(縦幅)は、特に限定されないが、数mm~2cm程度にすることができる。あまりスリット幅が大きいとカレンダーをめくった状態でスリット6が目立つことになる。あまり狭いとカレンダーを通しにくくなったり、カレンダーにしわや折り目が付くので好ましくない。フック4の取り付け位置は、次のようにして決定することができる。すなわち、カレンダーをめくったときに図5に示すようにカレンダー用紙が湾曲して美しい半円柱状がプレート2上に形成されるには、カレンダーの上端がスリットと同位置かそれより1cm以下、好ましくは5mm以下、より好ましくは3mm以下に位置するのが好ましい。カレンダーの上端がスリットより1cmを超えて下方にあると、めくられたカレンダーの湾曲部分が大きくなり、また湾曲部分が蒲鉾型となるため、見栄えが良くない。通常、カレンダーの綴り部の縦幅は2cm程度であり、その中央に吊り下げ用の孔が形成されている。それゆえ、フック4が図2のようにL字型であるとすると壁に対して垂直な部分の位置がスリットより1cm~1.5cm下方にあることが望ましい。なお、フック4の形状はL字型に限らず、カレンダーの吊り下げ用の孔を通る任意の形にし得る。
【0023】
<第2実施形態>
本発明の壁掛け用カレンダーの保持具の第2実施形態を図6に示す。第1実施形態ではガイド溝12をプレート2の前壁2aと後壁2bとの間に画定した。すなわち、ガイド溝がプレート内部に形成されていた。図6に示す実施形態では、プレート2の後壁2bの下方部分が削り取られている。このため、図2に示す構造よりも製造が容易となる場合がある。この実施形態では、ガイド溝12はプレートの前壁2aの裏側と壁面との間に区画されることになる。この実施形態でもプレートの前壁2aの裏側に空間が形成されているために、めくられたカレンダー用紙が壁面に押し付けられることがない。
【0024】
<第3実施形態>
図6に示すプレート2のさらなる変形例として、図9に示すように、プレート2の上部にプレートの横幅と同じの横幅でカレンダー用紙と同じかそれより短い長さの長方形のプラスチックなどのフィルムの上部に張り付けてもよい。こうすることで、このフィルムがプレート2の後方において下方に垂れ下がることで、後壁2b(図2参照)と同様に機能する。また、フィルムであるのでカレンダー用紙との摩擦抵抗も少なく、カレンダー用紙をスリットを通した後に、壁に触れることなくスムーズにカレンダー後ろ側に垂れ下げることができる。また、フィルムを使用することで、図2に示したプレート2よりも構造が簡単となり、製造コストが低廉となる場合もある。
【0025】
上記実施形態のカレンダーの保持具において、カレンダー用紙の裏面、特に、めくられて半円柱状部分を形成する領域にデザインを施すことができる。こうすることで、立体的な半円柱部分のデザインがより際立つ。また、プレート2の表面にもデザインを施すことができる。これらのデザイン付加により、カレンダーを保持したカレンダー保持具のデザイン価値を高めることができる。プレート2は、プラスチック、金属、発泡性材料、木材など任意の材料から作成することができる。なお、フック2はユーザーが位置調整可能にするためにプレート2から着脱可能にしてもよい。
【0026】
<第4実施形態>
カレンダー用紙は種々のサイズのものがあるが、大型のサイズから小型サイズまで適用することができるように、プレート2を入れ子式にして伸縮可能にすることができるようにしてもよい。図7(A)及び(B)に示す壁掛け用カレンダーの保持具30は、スライド式のプレート16を採用している。スライド式のプレート16は、実施形態で用いたようなプレート2と、プレート2の右側と左側を覆いながら外側にスライド移動可能なカバー12R、12Lを有する。カバー12R、12Lにはプレート2のスリット6と重なる位置にカバースリット14がそれぞれ設けられている。プレート2は実施形態のプレートよりもその横幅とスリット6が長い。図7(A)ではカバー12R、12Lはプレート2の中央に近い位置に位置する。カレンダー用紙の幅が短い場合には、スリッとの長さも短くて足りる。カレンダー用紙の横幅が長い場合には、図7(B)に示すようにカバー12R、12Lをプレート2の両外側(図7(A)の矢印方向)にスライドする。または、めくった月のカレンダーを通すスリットを左右のカバーに分けて配置し、左右のカバーを移動することにより、スリット幅を可変できるようにしてもよい。こうすることによってスリット6が延長され、大きめのカレンダー用紙にも適用することができる。
【0027】
上記実施形態では、カレンダーをプレート2に取り付けるために、取り付け部としてプレート2に設けられた吊り下げフック4を使用した。しかし、フック4の代わりに、両面テープ、ベルクロ(登録商標)テープ、ねじ、ピン等、カレンダーをプレート2に取り付けるための任意の付着手段を用い、カレンダーをこれらのテープなどの付着手段を介して、図8に示すようなプレート2のスリットの下方の取り付け領域(取り付け部)20に取り付けられる。この場合、カレンダー保持具は、フック4が設けられていないプレート2となる。または、フック4が設けられていないプレート2と、上記のような付着手段とのセットまたはキットとすることができる。
【0028】
<第5実施形態>
第1実施形態のカレンダーの保持具10では、スリット6の深さ方向(水平方向)とガイド溝12の延在方向(鉛直方向)が直交していたが(図2参照)、この実施形態のカレンダーの保持具40は、図10に示すようにスリット6が、壁に向かって下方に傾斜する傾斜面6a,6bから画成されている。こうすることで、めくられるカレンダー用紙の先端をガイド溝12に導入し易くる。また、傾斜面6a,6bは、図10に示すように半円柱状に湾曲する用紙の形状に沿うような傾斜曲面、例えば、図10に示す断面において、カレンダーの綴り部のピン孔を中心とする円弧状に形成することができる。こうすることで、めくりあげられたカレンダー用紙の屈曲部に折癖がつかず、カレンダーホルダからカレンダーを取り外した場合でも、カレンダーに曲げ癖がつくことを最小限に抑えることができる。なお、傾斜面は、湾曲していない傾斜平面であっても構わない。有効な傾斜面6a,6bを形成するために、すなわち、スリット入り口からの傾斜面の傾斜角度が急激に変わらないようにしてスリット6を通ってガイド溝12に至るカレンダー用紙の折れ曲がりをできるだけ緩やかにするために、スリットが形成されているプレート2の部分の厚みが5mm以上あることが好ましい。一方、図10に示すように、ピン孔8が形成されているプレート2の上側部分2fは、スリット6が形成されている下側部分2eよりも薄くてよい。
【0029】
また、この実施形態のカレンダーの保持具50ではプレート2の前壁2aに、カレンダーの綴り部を前方から押さえる押さえ部2cが設けられている点で、前述の実施形態のカレンダーの保持具とは異なる。この押さえ部2cは、その後ろ側の受け部2dとともに綴り部を挟み込んで保持する。この押さえ部2cを設けたのは次のような理由からである。第1実施形態のカレンダーの保持具10では、図4(B)に示したようにカレンダー用紙を順次めくることによってカレンダー用紙の綴り部の後方のガイド12に移動する。めくったカレンダー用紙の枚数が多くなると、移動したカレンダー用紙の重量により、図12に示すように綴り部が下方から浮き上がることが起こりうる(図12の矢印)。そうなると湾曲したカレンダー用紙の半円柱状の形状が崩れ、不安定な外観となる。そこで、この実施形態のカレンダーの保持具50はカレンダーの綴り部の押さえ部2cを設けることによって、綴り部が浮き上がることを防止して、カレンダー用紙をめくった枚数に関わらず、図13に示すように湾曲したカレンダー用紙の半円柱状の形状をほぼ同じ美しい状態に維持することができる。
【0030】
図10に示すように、押さえ部2cと受け部2dには、それぞれ、カレンダーの綴り部を支持するピン42がねじ込まれるネジ孔42aが形成されている。
【0031】
カレンダー保持具40にカレンダーを装着するには、押さえ部2cと受け部2dとの間の溝21にカレンダーの綴り部を下から挿入して、ピン孔42aとカレンダーの綴り部のピン孔を貫通するようにピン42をねじ込むことで、カレンダーの綴り部をピン42に吊り下げられる。そして、カレンダー用紙をめくるときは、その下端を湾曲させてスリット6からガイド溝12に向かって送り込む。この操作により、めくられたカレンダー用紙は、めくられた枚数に関わらず、図10及び図13に示したようにプレート2の前面において美しい半円柱状に湾曲した立体的な外観を呈することができる。また、前述の実施形態と同様に、この湾曲したカレンダー用紙部分は、ピン41を外から見えないようにするために、すっきりとした外観のデザインを有する。さらに、この実施形態のカレンダーの保持具40は、プレート2の下側部分2eが上側部分2fより厚みがあるために、めくりあげられたカレンダー用紙の湾曲した部分と相俟って、より立体的な外観となり、意匠的または装飾的な効果を奏する。
【0032】
<第6実施形態>
この実施形態のカレンダー保持具50は、図11に示すように、第5実施形態のカレンダー保持具40のピン42の代わりに、ピン44が受け部2dから突出して形成されている。また、押さえ部2c’はカレンダーの綴り部全体または、ピン44の下方にのみ形成されている。こうすることにより、カレンダーを保持具50に取り付ける際に、ピン44をカレンダーの綴り部のピン孔に差し込むだけでよく、ピンを後からねじ込む必要がなく、部品点数も少なくできる。また、押さえ部2c’と受け部2dでカレンダーの綴り部を挟み込んで保持することができるために、綴り部のピン44からの外れや浮き上がりを有効に防止することができる。また、この押さえ部2c’を別部品として作成し、カレンダーをピン44に吊るしてから、ネジ等で固定する、押さえ部2c’後付けにするタイプも可能である。この他の意匠的または装飾的な効果は実施形態5と同様である。
【0033】
<第7実施形態>
この実施形態は第6実施形態の変形例であり、図14に示すように、カレンダー保持具150スリット6がプレート2の上面側に形成されている。すなわち、スリット6がカレンダー保持具の前面ではなく上面を向くように形成されて、ガイド溝12と真直ぐにつながっている。こうすることで、プレート2の構造がシンプルとなり加工が容易となる。このようなスリット6をプレート2の上面側に設ける構造は図10に示した第5実施形態に採用してもよい。
【0034】
上記実施形態では種々の変形例を示したが、それらの変形例の特徴を別の実施形態に組み合わせて採用してもよい。例えば、第4実施形態のスライド式のプレートのスリットに、第5実施形態または第7実施形態に示したような構造を適用してもよい。すなわち、第4実施形態の変形例として、スライド移動可能なカバー12R、12Lのカバースリットとプレート2のスリット6を第5実施形態または第7形態に示したような構造になるように形成することができ、またプレート2の前壁2aにカレンダーの綴り部を前方から押さえる押さえ部2cを設けることができる。また、第5実施形態において、ピン孔8が形成されているプレート2の上側部分2fは、スリット6が形成されている下側部分2eを別部材から構成して、互いにスライド可能にしてもよく、このような分割構造を第4実施形態や上述の第4実施形態の変形例に適用してもよい。
【0035】
本願明細書において、「カレンダー」とは、複数枚の紙を上方の綴り部で綴ったものをいい、暦の有無は問わない。従って、「カレンダー」は、ポスターのような写真や絵画などの印刷物を綴ったものや、暦の入ったカレンダーから暦の部分だけを切り離したもの、さらには白紙のメモ用紙が綴られたものも包含する概念である。
また、上記実施形態では、カレンダー保持具を壁に装着するための装着部としてピン孔8を挙げたが、ピンが刺さらない壁ではピン孔8を利用することなく両面テープなどの接着具やその他の付着具で壁に装着してもよい。
【0036】
本出願の基礎となる出願では次の第1及び第2態様を記載しており、本願ではそれらの態様をも包含している。第1の態様は、壁掛け用カレンダーのカレンダー保持具であって、カレンダーを保持する長手板状のプレートと、前記プレートの長手方向に形成されたスリットと、前記プレートの前記スリット下方に設けられたカレンダー吊り下げフックと、前記プレートのスリット上方に形成されたピン孔とを備え、カレンダー用紙をめくるときに、カレンダー用紙を、前記スリットを通して前記プレートの後方に移動させることで、カレンダー用紙を切り離すことなく保持することができるカレンダー保持具である。第2の態様は、壁掛け用カレンダーのカレンダー保持具であって、カレンダーを保持する長手板状のプレートと、前記プレートの長手方向に形成されたスリットと、前記プレートの前記スリット下方に設けられたカレンダー取り付け領域と、
前記プレートのスリット上方に形成されたピン孔とを備え、カレンダー用紙をめくるときに、カレンダー用紙を、前記スリットを通して前記プレートの後方に移動させることで、カレンダー用紙を切り離すことなく保持することができるカレンダー保持具である。
【産業上の利用可能性】
【0037】
本発明の本発明の壁掛け用カレンダーの保持具は、カレンダー用紙をめくるときに、カレンダー用紙をカレンダー綴り部から切り離すことなく、またカレンダーの後方に折り曲げることなく保持することができるので、カレンダーを大切にしたいユーザーにとって有用な保持具となる。また、コイル状の吊り具を使わなくとも、めくられたカレンダー用紙を保持できるので、より安価な綴り部を有するカレンダーの使い勝手が向上する。また、カレンダー用紙がめくられてプレート前面に形成される半円柱状の立体形状は、カレンダーがかけられる壁に立体的な外観をもたらし、部屋の装飾や壁のデザインに貢献する。
【符号の説明】
【0038】
10,40,50 カレンダー保持具
2 プレート、2a 前壁、2b 後壁、2c,2c’ 押さえ部、2d 受け部、2f 上側部分、2e 下側部分
4 吊り下げフック
6 スリット、6a,6b 傾斜面
8 ピン孔
12 ガイド溝
21 溝
42 ピン
42a ネジ孔
44 突出ピン
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14