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特許6994296不揮発性記憶装置及び不揮発性記憶装置のプログラム方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-15
(45)【発行日】2022-01-14
(54)【発明の名称】不揮発性記憶装置及び不揮発性記憶装置のプログラム方法
(51)【国際特許分類】
   G11C 16/04 20060101AFI20220106BHJP
   G11C 16/10 20060101ALI20220106BHJP
   H01L 27/115 20170101ALI20220106BHJP
   H01L 21/336 20060101ALI20220106BHJP
   H01L 29/788 20060101ALI20220106BHJP
   H01L 29/792 20060101ALI20220106BHJP
【FI】
G11C16/04 150
G11C16/10 140
H01L27/115
H01L29/78 371
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2016162756
(22)【出願日】2016-08-23
(65)【公開番号】P2018032451
(43)【公開日】2018-03-01
【審査請求日】2019-05-07
【審判番号】
【審判請求日】2021-01-19
(73)【特許権者】
【識別番号】315002243
【氏名又は名称】ユナイテッド・セミコンダクター・ジャパン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002918
【氏名又は名称】特許業務法人扶桑国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】安田 真
(72)【発明者】
【氏名】竹内 淳
(72)【発明者】
【氏名】江間 泰示
【合議体】
【審判長】篠原 功一
【審判官】山澤 宏
【審判官】須田 勝巳
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-345496(JP,A)
【文献】特開2008-77727(JP,A)
【文献】特開2015-23177(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G11C16/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のゲートに供給される第1の電圧に基づきオン状態となり、第1のソース及び第1のドレインの一方に供給される第1の電源電圧及び前記第1の電源電圧よりも小さい第2の電源電圧の一方に基づく出力電圧を、前記第1のソース及び前記第1のドレインの他方から出力する第1のメモリトランジスタと、
前記第1のメモリトランジスタと同じ導電型であり、前記第1のソース及び前記第1のドレインの他方に、第2のソース及び第2のドレインの一方が接続されており、前記第2のソース及び前記第2のドレインの他方に前記第1の電源電圧及び前記第2の電源電圧の他方が供給され、第2のゲートに前記第1の電圧が供給されたときオフ状態となるようにプログラムされている第2のメモリトランジスタ、
を有し、
前記第1のメモリトランジスタ及び前記第2のメモリトランジスタは、
半導体基板内に設けられ、第1導電型の不純物を含むソース領域及びドレイン領域と、
前記ソース領域と前記ドレイン領域との間の前記半導体基板内に設けられたチャネル領域と、
前記チャネル領域に接し、且つ前記チャネル領域の下方全体及び、前記第1のメモリトランジスタの第1の記憶領域及び前記第2のメモリトランジスタの第2の記憶領域に対して前記半導体基板の表面に垂直な方向の下方の前記半導体基板内に設けられ、前記チャネル領域よりも高濃度の、前記第1導電型とは異なる第2導電型の不純物を含む第1の不純物領域とを有
前記第1の記憶領域は、前記第1のメモリトランジスタの第1のゲート電極の第1の側壁に設けられた第1の側壁絶縁膜であり、前記第2の記憶領域は、前記第2のメモリトランジスタの第2のゲート電極の第2の側壁に設けられた第2の側壁絶縁膜である、
ことを特徴とする不揮発性記憶装置。
【請求項2】
前記第2のソース及び前記第2のドレインの一方に前記第2の電源電圧を供給し、前記第2のソース及び前記第2のドレインの他方と、前記第2のゲートとに前記第1の電源電圧及び前記第1の電圧よりも大きい第2の電圧を供給することにより、前記第2のメモリトランジスタを前記オフ状態にプログラムする制御回路をさらに有することを特徴とする請求項1に記載の不揮発性記憶装置。
【請求項3】
前記制御回路は、前記第2のメモリトランジスタを前記オフ状態にプログラムする際に、さらに、前記第1のメモリトランジスタの前記第1のゲートに前記第2の電圧を供給する、ことを特徴とする請求項2に記載の不揮発性記憶装置。
【請求項4】
前記第1のメモリトランジスタと前記第2のメモリトランジスタは、素子分離領域を介さずに、互いの前記ソース領域または前記ドレイン領域を共有するように隣接して設けられている、請求項1乃至の何れか一項に記載の不揮発性記憶装置。
【請求項5】
前記第1のメモリトランジスタ及び前記第2のメモリトランジスタは、
前記半導体基板内において、前記ソース領域と前記ドレイン領域との間に設けられた、前記第1導電型の不純物を含む第2の不純物領域を有し、
前記第1の不純物領域と前記第2の不純物領域とが接している、
ことを特徴とする請求項1乃至の何れか一項に記載の不揮発性記憶装置。
【請求項6】
前記第1の不純物領域は、前記ソース領域と前記ドレイン領域の間に連続して設けられている、ことを特徴とする請求項に記載の不揮発性記憶装置。
【請求項7】
第1のメモリトランジスタと、前記第1のメモリトランジスタと同じ導電型であり前記第1のメモリトランジスタの第1のソース及び第1のドレインの一方に第2のソース及び第2のドレインの一方を接続した第2のメモリトランジスタとを含み、前記第1のメモリトランジスタ及び前記第2のメモリトランジスタが、半導体基板内に設けられ、第1導電型の不純物を含むソース領域及びドレイン領域と、前記ソース領域と前記ドレイン領域との間の前記半導体基板内に設けられたチャネル領域と、前記チャネル領域に接し、且つ前記チャネル領域の下方全体及び、前記第1のメモリトランジスタの第1の記憶領域及び前記第2のメモリトランジスタの第2の記憶領域に対して前記半導体基板の表面に垂直な方向の下方の前記半導体基板内に設けられ、前記チャネル領域よりも高濃度の、前記第1導電型とは異なる第2導電型の不純物を含む不純物領域とを有前記第1の記憶領域は、前記第1のメモリトランジスタの第1のゲート電極の第1の側壁に設けられた第1の側壁絶縁膜であり、前記第2の記憶領域は、前記第2のメモリトランジスタの第2のゲート電極の第2の側壁に設けられた第2の側壁絶縁膜である、不揮発性記憶装置に、制御回路が第1の値をプログラムするとき、
前記制御回路は、前記第1のソース及び前記第1のドレインの他方、及び前記第1のメモリトランジスタの第1のゲートに第1の電圧を供給し、前記第1のソース及び前記第1のドレインの一方に前記第1の電圧よりも小さい第2の電圧を供給してプログラムを行い、
前記制御回路が、前記不揮発性記憶装置に第2の値をプログラムするとき、
前記制御回路は、前記第2のソース及び前記第2のドレインの一方、及び前記第2のメモリトランジスタの第2のゲートに前記第1の電圧を供給し、前記第2のソース及び前記第2のドレインの他方に前記第2の電圧を供給してプログラムを行う、
ことを特徴とする不揮発性記憶装置のプログラム方法。
【請求項8】
前記制御回路は、前記不揮発性記憶装置に前記第1の値をプログラムするとき、さらに、前記第2のメモリトランジスタの前記第2のゲートにも前記第1の電圧を供給し、
前記制御回路は、前記不揮発性記憶装置に前記第2の値をプログラムするとき、さらに、前記第1のメモリトランジスタの前記第1のゲートにも前記第1の電圧を供給する、
ことを特徴とする請求項に記載の不揮発性記憶装置のプログラム方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、不揮発性記憶装置及び不揮発性記憶装置のプログラム方法に関する。
【背景技術】
【0002】
不揮発性記憶装置の1つとして、電気ヒューズを用いた不揮発性記憶装置(ヒューズROM(Read Only Memory)などと呼ばれることもある)がある。電気ヒューズを用いた不揮発性記憶装置は、1回のみ書き込み可能なOTP(One Time Programmable)メモリの一種である。電気ヒューズを用いた不揮発性記憶装置では電気ヒューズが切断されているか否かを検出するためのセンス回路と、検出結果に対応する記憶内容(0または1)を保持する保持回路が用いられる。
【0003】
なお、ゲート電極の側壁に接するように設けられた側壁絶縁膜にキャリア(ホール(正孔)や電子)を蓄積することによって情報を記憶するメモリトランジスタが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2004-335027号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
電気ヒューズを用いた不揮発性記憶装置は、上記のようにセンス回路や保持回路を含み、回路面積が大きくなってしまうという問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
1つの実施態様では、不揮発性記憶装置は、第1のメモリトランジスタと、第2のメモリトランジスタとを備える。第1のメモリトランジスタは、第1のゲートに供給される第1の電圧に基づきオン状態となる。そして、第1のメモリトランジスタは、第1のソース及び第1のドレインの一方に供給される第1の電源電圧及び第1の電源電圧よりも小さい第2の電源電圧の一方に基づく出力電圧を、第1のソース及び第1のドレインの他方から出力する。第2のメモリトランジスタは、第1のメモリトランジスタと同じ導電型であり、第1のソース及び第1のドレインの他方に、第2のソース及び第2のドレインの一方が接続されている。そして、第2のメモリトランジスタは、第2のソース及び第2のドレインの他方に第1の電源電圧及び第2の電源電圧の他方が供給され、第2のゲートに第1の電圧が供給されたときオフ状態となるようにプログラムされている。
【0007】
また、1つの実施態様では、不揮発性記憶装置のプログラム方法が提供される。不揮発性記憶装置は、第1のメモリトランジスタと、第1のメモリトランジスタと同じ導電型であり第1のメモリトランジスタの第1のソース及び第1のドレインの一方に第2のソース及び第2のドレインの一方を接続した第2のメモリトランジスタとを含む。そして、不揮発性記憶装置のプログラム方法では、制御回路が、不揮発性記憶装置に第1の値をプログラムするとき、第1のソース及び第1のドレインの他方、及び第1のメモリトランジスタの第1のゲートに第1の電圧を供給する。そして、制御回路が、第1のソース及び第1のドレインの一方に第1の電圧よりも小さい第2の電圧を供給してプログラムを行う。また、制御回路が、不揮発性記憶装置に第2の値をプログラムするとき、第2のソース及び第2のドレインの一方、及び第2のメモリトランジスタの第2のゲートに第1の電圧を供給する。そして、制御回路が、第1のソース及び第1のドレインの他方に第2の電圧を供給してプログラムを行う。
【発明の効果】
【0008】
不揮発性記憶装置の回路面積を縮小できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】第1の実施の形態の不揮発性記憶装置の一例を示す図である。
図2】“1”データ読み出し状態の不揮発性記憶装置の一例を示す図である。
図3】第2の実施の形態の不揮発性記憶装置の一例を示す図である。
図4】メモリトランジスタの一例を示す断面図である。
図5】メモリトランジスタのドレイン電流とゲート電圧との一例の関係を示す図である。
図6】メモリトランジスタのプログラム時に供給される電圧の一例を示す図である(その1)。
図7】メモリトランジスタのプログラム時に供給される電圧の一例を示す図である(その2)。
図8】制御回路の一例を示す図である。
図9】スイッチ回路の一例を示す図である。
図10】メモリトランジスタのプログラム時に供給される電圧の他の例を示す図である。
図11】制御回路の他の例を示す図である。
図12】不揮発性記憶装置のプログラム方法の一例の流れを示すフローチャートである。
図13】ヒューズROMの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、発明を実施するための形態を、図面を参照しつつ説明する。
(第1の実施の形態)
図1は、第1の実施の形態の不揮発性記憶装置の一例を示す図である。
【0011】
不揮発性記憶装置10は、同じ導電型(nチャネル型またはpチャネル型)の2つのメモリトランジスタ11,12を有する。以下では、メモリトランジスタ11,12は、側壁絶縁膜を記憶領域11a,12aとしたnチャネル型のメモリトランジスタであるものとして説明する。
【0012】
また、図1の例では、メモリトランジスタ12は、読み出し時に供給されるリード用の制御電圧(以下リード用制御電圧という)がゲートに印加されたときにドレイン電流が流れない状態、つまり、オフ状態(遮断状態)になるようにプログラムされている。メモリトランジスタ12をオフ状態になるようにプログラムするには、記憶領域12aをキャリアである電子が注入された状態(プログラム状態)とすればよい。記憶領域12aにキャリアを注入することで、メモリトランジスタ12の閾値電圧(オン状態になる閾値)が上昇する。そのため、リード用制御電圧を、メモリトランジスタ12の閾値電圧よりも小さく、メモリトランジスタ11の閾値電圧よりも大きくすることで、メモリトランジスタ11がリード用制御電圧によってオンしても、メモリトランジスタ12はオンしない。たとえば、リード用制御電圧は、1.0~1.5Vである(ただ、この値に限定されるものではない)。
【0013】
メモリトランジスタ11,12は直列に接続されている。すなわち、メモリトランジスタ11のソースまたはドレインの一方は、メモリトランジスタ12のソースまたはドレインの一方に接続されている。図1では、メモリトランジスタ11,12の接続点としてノード13が示されている。
【0014】
メモリトランジスタ11は、不揮発性記憶装置10からのデータの読み出し時には、ゲートに供給されるリード用制御電圧に基づきオン状態となる。そして、メモリトランジスタ11は、ソースから供給される電源電圧VSSに基づく出力電圧を、ドレインから出力する。
【0015】
メモリトランジスタ11がオン状態になると、メモリトランジスタ11のドレイン電位であるノード13の電位は、ほぼ電源電圧VSSとなる。そのため、図1の例では、メモリトランジスタ11のドレインから出力される出力電圧は、電源電圧VSSであるものとしている。電源電圧VSSは、基準電源電圧であり、たとえば、0Vである(ただ、この値に限定されるものではない)。以下、電源電圧VSSである出力電圧が出力されている状態を、“0”データ読み出し状態という。
【0016】
一方、メモリトランジスタ12は、ゲートにリード用制御電圧が供給されており、ドレインに電源電圧VDDが供給されているが、前述した理由によりオフ状態である。
なお、電源電圧VDD、電源電圧VSS、リード用制御電圧は、たとえば、図示しない制御回路から供給される。制御回路の例については後述する。
【0017】
メモリトランジスタ12の代わりに、メモリトランジスタ11がオフ状態にプログラムされているときは、不揮発性記憶装置10からのデータの読み出し時に、ほぼ電源電圧VDDとなる出力電圧が得られる(以下では電源電圧VDDとなるものとして説明する)。以下、電源電圧VSSである出力電圧が出力されている状態である“0”データ読み出し状態に対して、電源電圧VDDである出力電圧が出力されている状態を、“1”データ読み出し状態という。
【0018】
図2は、“1”データ読み出し状態の不揮発性記憶装置の一例を示す図である。
図2では、メモリトランジスタ11は、リード用制御電圧がゲートに印加されたときにドレイン電流が流れない状態、つまり、オフ状態(遮断状態)になるようにプログラムされている。メモリトランジスタ11をオフ状態になるようにプログラムするには、記憶領域11aをキャリアである電子が注入された状態(プログラム状態)とすればよい。記憶領域11aにキャリアを注入することで、メモリトランジスタ11の閾値電圧が上昇する。そのため、リード用制御電圧を、メモリトランジスタ11の閾値電圧よりも小さく、メモリトランジスタ12の閾値電圧よりも大きくすることで、メモリトランジスタ12がリード用制御電圧によってオンしても、メモリトランジスタ11はオンしない。
【0019】
なお、メモリトランジスタ11,12のプログラム状態の閾値電圧を同程度にし、メモリトランジスタ11,12の非プログラム状態の閾値電圧を同程度にすれば、リード用制御電圧は、“0”,“1”の両データ読み出し状態で同じにすることができる。
【0020】
不揮発性記憶装置10からのデータの読み出し時には、前述のように電源電圧VDD、電源電圧VSS、リード用制御電圧が供給される。このとき、メモリトランジスタ12は、ゲートに供給されるリード用制御電圧に基づきオン状態となる。そして、メモリトランジスタ12は、ドレインから供給される電源電圧VDDに基づく出力電圧を、ソースから出力する。メモリトランジスタ11は、ゲートにリード用制御電圧が供給されており、ソースに電源電圧VSSが供給されているが、前述した理由によりオフ状態である。
【0021】
メモリトランジスタ12がオン状態になると、メモリトランジスタ12のソース電位であるノード13の電位は、ほぼ電源電圧VDDとなる。そのため、図2の例では、メモリトランジスタ12のソースから出力される出力電圧は、電源電圧VDDであるものとしている。つまり、不揮発性記憶装置10は、“1”データ読み出し状態となる。電源電圧VDDは、電源電圧VSSより大きい電圧であり、たとえば、0.5Vである(ただ、この値に限定されるものではない)。
【0022】
以上のように第1の実施の形態の不揮発性記憶装置10は、直列に接続された同一導電型の2つのメモリトランジスタ11,12の一方がオフ状態にプログラムされている。そのため、読み出し時には、メモリトランジスタ11,12のゲートにリード用制御電圧が供給されることにより、一方がオン状態となり他方がオフ状態となる。そして、オン状態となるメモリトランジスタの一端(ソースまたはドレインの一方)に供給される電源電圧(VDDまたはVSS)に基づく出力電圧がそのメモリトランジスタの他端(ソースまたはドレインの他方)から読み出しデータとして出力される。このため、電気ヒューズを用いた不揮発性記憶装置に含まれるセンス回路や、保持回路などが不要になり、不揮発性記憶装置10の回路面積を縮小できる。また、センス回路や保持回路などが不要になるため、消費電力を削減できる。
【0023】
なお、上記では、メモリトランジスタ11,12は、nチャネル型であるものとして説明したが、pチャネル型であってもよい。その場合、記憶領域11a,12aに注入されるキャリアとしてホールが用いられる。
【0024】
また、メモリトランジスタ11,12は、フラッシュメモリであってもよい。その場合、記憶領域11a,12aとして、側壁絶縁膜の代わりにフラッシュメモリのフローティングゲートが用いられる。
【0025】
(第2の実施の形態)
図3は、第2の実施の形態の不揮発性記憶装置の一例を示す図である。図3において、図1図2に示した第1の実施の形態の不揮発性記憶装置10に含まれる要素と同じ要素については同一符号が付されている。
【0026】
第2の実施の形態の不揮発性記憶装置20は、メモリトランジスタ11,12の他に、制御回路21、プログラム制御電圧生成回路22、リード制御電圧生成回路23を有する。
【0027】
制御回路21は、外部(たとえば、プロセッサなどの制御装置)から供給されるモード指示信号に基づき、プログラムまたは読み出しを行うための電圧を、メモリトランジスタ11,12に供給する。また、読み出し時には、制御回路21は、メモリトランジスタ11のソース(またはメモリトランジスタ12のドレイン)から出力される出力電圧(読み出しデータ)を、端子24に伝搬する。
【0028】
プログラム制御電圧生成回路22は、プログラム時に用いられるプログラム制御電圧を生成する。リード制御電圧生成回路23は、読み出し時に用いられるリード制御電圧を生成する。プログラム制御電圧とリード制御電圧の例は後述する。
【0029】
以下、第2の実施の形態の不揮発性記憶装置20に用いられるメモリトランジスタ11,12の例を説明する。
(メモリトランジスタ11,12の例)
図4は、メモリトランジスタの一例を示す断面図である。図4では、メモリトランジスタ11の一例の要部断面が模式的に図示されている。
【0030】
メモリトランジスタ11は、p型またはn型の半導体基板30上に形成される。半導体基板30には、シリコン基板などの各種半導体基板が用いられる。メモリトランジスタ11が形成される領域(素子領域)は、STI(Shallow Trench Isolation)法などを用いて半導体基板30に形成された素子分離領域31によって画定される。
【0031】
図4に示すように、メモリトランジスタ11は、半導体基板30の上方に設けられたゲート絶縁膜32、ゲート絶縁膜32の上方に設けられたゲート電極33、ゲート電極33の側壁及び半導体基板30の上方に設けられた側壁絶縁膜34を有する。メモリトランジスタ11はさらに、ゲート電極33の両側(ゲート長方向の両側)の半導体基板30内にそれぞれ設けられ、ソース領域またはドレイン領域として機能する不純物領域35a及び不純物領域35bを有する。
【0032】
また、メモリトランジスタ11は、側壁絶縁膜34の下方の半導体基板30内で、不純物領域35a及び不純物領域35bの内側に、LDD(Lightly Doped Drain)領域36a及びLDD領域36bを有してよい。
【0033】
メモリトランジスタ11は、ゲート電極33の下方の、不純物領域35aと不純物領域35bの間(あるいはLDD領域36aとLDD領域36bの間)の領域に設けられるチャネル領域37と、その下方に設けられた不純物領域38をさらに有する。
【0034】
ここで、ゲート絶縁膜32として、酸化シリコンなどの各種絶縁材料を用いることができる。ゲート絶縁膜32の膜厚は、たとえば、メモリトランジスタ11について設定される閾値電圧及びプログラム制御電圧に基づいて設定される。
【0035】
ゲート電極33として、ポリシリコンなどの各種導体材料を用いることができる。
側壁絶縁膜34は、酸化シリコンなどの酸化膜34aと、窒化シリコンなどの窒化膜34bが積層された構造を含む。たとえば、ゲート電極33の側壁及び半導体基板30上に断面L字状に酸化膜34aが設けられ、この酸化膜34a上に窒化膜34bが設けられる。側壁絶縁膜34は、断面L字状とした酸化膜及び窒化膜の上にさらに酸化膜を設けた3層構造としたり、4層以上の絶縁膜の積層構造としたりすることもできる。このほか、側壁絶縁膜34は、酸化膜や窒化膜の単層構造とすることも可能である。
【0036】
不純物領域35a及び不純物領域35bには、n型またはp型の導電型の不純物が、所定の濃度で含まれる。メモリトランジスタ11がnチャネル型であるときには、不純物領域35a及び不純物領域35bには、n型の導電型の不純物が含まれる。メモリトランジスタ11がpチャネル型であるときには、不純物領域35a及び不純物領域35bには、p型の導電型の不純物が含まれる。
【0037】
LDD領域36a及びLDD領域36bには、不純物領域35a及び不純物領域35bに含まれる不純物と同じ導電型の不純物が、不純物領域35a及び不純物領域35bよりも低濃度で含まれる。
【0038】
チャネル領域37は、不純物を意図的に添加していないノンドープの領域、あるいは、含まれる不純物が極低濃度の領域である。チャネル領域37の不純物濃度は、たとえば、1×1017cm-3以下とされる。
【0039】
不純物領域38は、チャネル領域37の下方に設けられ、チャネル領域37よりも高濃度の不純物を含む領域である。不純物領域38は、スクリーン層とも称される。不純物領域38には、ソース領域またはドレイン領域として機能する不純物領域35a及び不純物領域35bに含まれる不純物とは異なる導電型の不純物が、所定の濃度で含まれる。この不純物領域38の不純物濃度によって、メモリトランジスタ11の閾値電圧が制御される。
【0040】
また、不純物領域38により、ソース領域またはドレイン領域として機能する不純物領域35aと不純物領域35bの間のパンチスルーが抑制される。不純物領域38は、半導体基板30とゲート絶縁膜32との界面からチャネル領域37の厚さ分、半導体基板30の内部に埋め込まれた位置に設けられ、その不純物濃度で閾値電圧が調整されるため、たとえば、1×1019cm-3程度の比較的高い不純物濃度とされる。
【0041】
メモリトランジスタ11は、側壁絶縁膜34にチャージ(電子またはホール)を蓄積することによって情報を記憶する。すなわち、側壁絶縁膜34は、図3の記憶領域11aとして機能する。
【0042】
メモリトランジスタ11のプログラム時には、図3に示したような制御回路21が、ゲート電極33、不純物領域35a及び不純物領域35b並びに半導体基板30の各ノードを所定の電位にしてホットキャリアを生成させ、生成させたホットキャリアを側壁絶縁膜34に注入、蓄積させる。
【0043】
メモリトランジスタ11では、半導体基板30の内部に埋め込まれる不純物領域38の不純物濃度によって閾値電圧が制御され、その上方のチャネル領域37は低不純物濃度とされる。メモリトランジスタ11では、チャネル領域37の不純物濃度が低く、その下方の不純物領域38の不純物濃度が高いため、プログラム時のホットキャリアの生成が増大される。この不純物領域38は、半導体基板30とゲート絶縁膜32との界面から離間した位置にあるため、その不純物濃度を高くしても、メモリトランジスタ11の閾値電圧が大幅に高くなることはない。
【0044】
すなわち、このような不純物領域38を設けないメモリトランジスタでは、ホットキャリアの生成を増大させるためにそのチャネル領域の不純物濃度を高くすると、閾値電圧が高くなり、リード電流が減少するという不都合が生じ得る。これに対し、上記のようなチャネル領域37の下方に比較的高濃度の不純物領域38を設けたメモリトランジスタ11では、このような不都合を生じさせることなく、ホットキャリアの生成の増大と、閾値電圧の制御が可能になる。
【0045】
不純物領域38は、ホットキャリアの生成の増大、閾値電圧の制御、パンチスルーの抑制などの機能を効果的に実現するために、ソース領域またはドレイン領域として機能する不純物領域35a及び不純物領域35bと接するように設けられる。
【0046】
メモリトランジスタ11では、上記のような不純物領域38を採用することで、プログラムスピードの向上が図られる。
メモリトランジスタ12についても同様の構造となる。たとえば、図4と同様の構造を、図4の紙面左方向または紙面右方向に設ければよい。なお、メモリトランジスタ11,12は同じ導電型であるため、ソース領域またはドレイン領域を共有するようにしてもよい。たとえば、メモリトランジスタ11,12は、素子分離領域31を介さずに不純物領域35aまたは不純物領域35bを共有するように隣接して設けられていてもよい。
【0047】
図5は、メモリトランジスタのドレイン電流とゲート電圧との一例の関係を示す図である。縦軸はドレイン電流Id(A/μm)を示し、横軸はゲート電圧Vg(V)を示している。
【0048】
なお、図5では、ゲート幅が0.1μm、ゲート長が0.16μmであるメモリトランジスタ11のドレイン電流Idとゲート電圧Vgとの関係が示されている。特性40は、プログラム前のドレイン電流Idとゲート電圧Vgとの関係を示し、特性41は、プログラム後のドレイン電流Idとゲート電圧Vgとの関係を示している。プログラムは、たとえば、ゲート電圧Vgとドレイン電圧Vdを10μsecの間、4Vにすることで行われる。
【0049】
特性40から分かるように、プログラム前では、ゲート電圧Vgが1.0~1.5Vのとき、ドレイン電流Idが多く流れ、メモリトランジスタ11はオン状態となる。一方、特性41から分かるように、プログラム後では、ゲート電圧Vgを1.0~1.5Vとしてもドレイン電流(リーク電流)Idは100fA以下であり、オフ状態である。
【0050】
メモリトランジスタ12についても同様の特性とすると、メモリトランジスタ11,12のゲート電圧Vgが1.0~1.5Vのとき、メモリトランジスタ11,12のうちプログラムされたものはオフ状態であり、他方はオン状態となる。
【0051】
以下、図4に示したような構造のメモリトランジスタ11,12のプログラム方法を説明する。なお、以下では、メモリトランジスタ11,12がnチャネル型であるものとして説明するが、メモリトランジスタ11,12がpチャネル型であってもよい。その場合、適宜メモリトランジスタ11,12に供給される電圧を変更すればよい。
【0052】
また、以下では、図1図2に示したように、読み出し時に、メモリトランジスタ11のソースまたはドレインのうち、メモリトランジスタ12に接続されていない方に、電源電圧VSSが供給されるものとする。また、読み出し時に、メモリトランジスタ12のソースまたはドレインのうち、メモリトランジスタ11に接続されていない方に、電源電圧VDDが供給されるものとする。
【0053】
また、以下では、メモリトランジスタ12をオフ状態にプログラムすることを、不揮発性記憶装置20に“0”をプログラムする、という場合もある。また、メモリトランジスタ11をオフ状態にプログラムすることを、不揮発性記憶装置20に、“1”をプログラムする、という場合もある。
【0054】
(プログラム方法(その1))
図6図7は、メモリトランジスタのプログラム時に供給される電圧の一例を示す図である。図6では、不揮発性記憶装置20に“1”をプログラムするときに供給される電圧の例が示されている。
【0055】
メモリトランジスタ11のドレイン及びメモリトランジスタ12のソース、ドレイン及びゲートには、たとえば、0.0V(電源電圧VSS)が供給される。メモリトランジスタ11のドレイン及びゲートには、電源電圧VDDやリード制御電圧よりも大きい、たとえば、3.5~4.5Vのプログラム制御電圧(パルス信号)が所定の期間が供給される。たとえば、3.5Vのプログラム制御電圧を用いる場合、パルス幅は1msec、4.0Vのプログラム制御電圧を用いる場合、パルス幅は100μsec、4.5Vのプログラム制御電圧を用いる場合、パルス幅は10μsecなどとする。
【0056】
プログラム制御電圧の下限は、たとえば、ホットキャリアの注入が生じるように設定される。プログラム制御電圧の上限は、たとえば、メモリトランジスタ11の耐圧を考慮して設定される。
【0057】
なお、読み出しデータが出力される端子24は、オープン状態とされる。
制御回路21は、メモリトランジスタ11に上記のようなプログラム制御電圧を供給することで、記憶領域11aにホットキャリアが注入され、メモリトランジスタ11は、オフ状態にプログラムされる。
【0058】
図7では、不揮発性記憶装置20に“0”をプログラムするときに供給される電圧の例が示されている。
メモリトランジスタ12のソースには、たとえば、0.0V(電源電圧VSS)が供給される。メモリトランジスタ12のゲート、ドレイン、メモリトランジスタ11のドレイン、ソース及びゲートには、たとえば、3.5~4.5Vのプログラム制御電圧(パルス信号)が所定の期間が供給される。たとえば、3.5Vのプログラム制御電圧を用いる場合、パルス幅は1msec、4.0Vのプログラム制御電圧を用いる場合、パルス幅は100μsec、4.5Vのプログラム制御電圧を用いる場合、パルス幅は10μsecなどとする。
【0059】
なお、読み出しデータが出力される端子24は、オープン状態とされる。
制御回路21は、メモリトランジスタ12に上記のようなプログラム制御電圧を供給することで、記憶領域12aにホットキャリアが注入され、メモリトランジスタ12は、オフ状態にプログラムされる。
【0060】
次に、図6図7に示したような電圧をメモリトランジスタ11,12に供給する制御回路21の例を示す。
図8は、制御回路の一例を示す図である。
【0061】
制御回路21は、スイッチ回路51,52,53,54,55、スイッチ制御回路56を有する。
スイッチ回路51は、スイッチ制御回路56から供給される制御信号に基づき、メモリトランジスタ12のソースまたはドレインの一方に、電源電圧VDDまたは電源電圧VSSを供給する。
【0062】
スイッチ回路52は、スイッチ制御回路56から供給される制御信号に基づき、メモリトランジスタ12のゲートに、プログラム制御電圧、リード制御電圧または電源電圧VSSを供給する。
【0063】
スイッチ回路53は、スイッチ制御回路56から供給される制御信号に基づき、ノード13に、プログラム制御電圧、または電源電圧VSSを供給するか、端子24を電気的に接続するか切り替える。
【0064】
スイッチ回路54は、スイッチ制御回路56から供給される制御信号に基づき、メモリトランジスタ11のゲートに、プログラム制御電圧、リード制御電圧または電源電圧VSSを供給する。
【0065】
スイッチ回路55は、スイッチ制御回路56から供給される制御信号に基づき、メモリトランジスタ11のソースまたはドレインの一方に、プログラム制御電圧または電源電圧VSSを供給する。
【0066】
スイッチ制御回路56は、モード指示信号に基づき、スイッチ回路51~55を制御する制御信号を出力する。
たとえば、スイッチ制御回路56は、不揮発性記憶装置20に“1”をプログラムする旨を指示するモード指示信号を受信すると、図6に示したような電圧がメモリトランジスタ11,12に供給されるようにスイッチ回路51~55を制御する。スイッチ制御回路56は、不揮発性記憶装置20に“0”をプログラムする旨を指示するモード指示信号を受信すると、図7に示したような電圧がメモリトランジスタ11,12に供給されるようにスイッチ回路51~55を制御する。
【0067】
なお、スイッチ制御回路56は、記憶内容の読み出しを行う旨を指示するモード指示信号を受信すると、スイッチ回路51に電源電圧VDDをメモリトランジスタ12のドレインに供給させる。さらに、スイッチ制御回路56は、スイッチ回路52,54に、リード制御電圧をメモリトランジスタ11,12のゲートに供給させ、スイッチ回路55に、電源電圧VSSをメモリトランジスタ11のソースに供給させる。また、スイッチ制御回路56は、スイッチ回路53にノード13と、端子24とを電気的に接続させる。なお、リード制御電圧は、メモリトランジスタ11,12のうちプログラムされていないメモリトランジスタがオン、プログラムされたメモリトランジスタがオフするゲート電圧であり、たとえば、1.0~1.5Vである。
【0068】
図9は、スイッチ回路の一例を示す図である。図9には、図8に示したスイッチ回路52の一例が示されている。
スイッチ回路52は、レベル変換回路60,61,62、pチャネル型MOSFET((Metal-Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)(以下pMOSと略す)63,64,65を有する。さらにスイッチ回路52は、nチャネル型MOSFET(以下nMOSと略す)66,67,68を有する。
【0069】
図9に示すようにスイッチ制御回路56は、制御信号cnt1,cnt2,cnt3をスイッチ回路52に供給する。
モード指示信号により“0”をプログラムすることが指示されたとき、スイッチ制御回路56は、制御信号cnt1の論理レベルをH(High)レベル(たとえば、制御信号cnt1を0.5V)とする。モード指示信号により記憶内容の読み出しが指示されたとき、スイッチ制御回路56は、制御信号cnt2の論理レベルをHレベル(たとえば、制御信号cnt2を0.5V)とする。モード指示信号により“1”をプログラムすることが指示されたとき、スイッチ制御回路56は、制御信号cnt3の論理レベルをHレベル(たとえば、制御信号cnt3を0.5V)とする。
【0070】
レベル変換回路60は、制御信号cnt1に基づき、pMOS63とnMOS66を両方オン、または両方オフするための、論理レベルが相補の2つのゲート電圧を出力する。
レベル変換回路61は、制御信号cnt2に基づき、pMOS64とnMOS67を両方オン、または両方オフするための、論理レベルが相補の2つのゲート電圧を出力する。
【0071】
レベル変換回路62は、制御信号cnt3に基づき、pMOS65とnMOS68を両方オン、または両方オフするための、論理レベルが相補の2つのゲート電圧を出力する。
レベル変換回路60~62は、制御信号cnt1~cnt3を昇圧するなどして、pMOS63~65、nMOS66~68が上記のように十分オンまたは十分オフするようなゲート電圧を生成する。
【0072】
pMOS63とnMOS66はトランスファゲートを形成している。pMOS63のソースまたはドレインの一方、及び、nMOS66のソースまたはドレインの一方には、プログラム制御電圧が供給される。pMOS63のソースまたはドレインの他方、及び、nMOS66のソースまたはドレインの他方には、メモリトランジスタ12のゲートが接続されている。このため、pMOS63とnMOS66が、レベル変換回路60から供給される2つのゲート電圧に基づき両方オンすると、プログラム制御電圧がメモリトランジスタ12のゲートに供給される。一方、pMOS63とnMOS66が、レベル変換回路60から供給される2つのゲート電圧に基づき両方オフすると、プログラム制御電圧のメモリトランジスタ12のゲートへの供給が遮断される。
【0073】
pMOS64とnMOS67はトランスファゲートを形成している。pMOS64のソースまたはドレインの一方、及び、nMOS67のソースまたはドレインの一方には、リード制御電圧が供給される。pMOS64のソースまたはドレインの他方、及び、nMOS67のソースまたはドレインの他方には、メモリトランジスタ12のゲートが接続されている。このため、pMOS64とnMOS67が、レベル変換回路60から供給される2つのゲート電圧に基づき両方オンすると、リード制御電圧がメモリトランジスタ12のゲートに供給される。一方、pMOS64とnMOS67が、レベル変換回路60から供給される2つのゲート電圧に基づき両方オフすると、リード制御電圧のメモリトランジスタ12のゲートへの供給が遮断される。
【0074】
pMOS65とnMOS68はトランスファゲートを形成している。pMOS65のソースまたはドレインの一方、及び、nMOS68のソースまたはドレインの一方には、電源電圧VSS(たとえば、0V)が供給される。pMOS65のソースまたはドレインの他方、及び、nMOS68のソースまたはドレインの他方には、メモリトランジスタ12のゲートが接続されている。このため、pMOS65とnMOS68が、レベル変換回路60から供給される2つのゲート電圧に基づき両方オンすると、電源電圧VSSがメモリトランジスタ12のゲートに供給される。一方、pMOS65とnMOS68が、レベル変換回路62から供給される2つのゲート電圧に基づき両方オフすると、電源電圧VSSのメモリトランジスタ12のゲートへの供給が遮断される。
【0075】
このようなスイッチ回路52では、“0”のプログラム時には、制御信号cnt1に基づきレベル変換回路60から出力される2つのゲート電圧によって、pMOS63、nMOS66は両方オンする。また、制御信号cnt2に基づきレベル変換回路61から出力される2つのゲート電圧によって、pMOS64、nMOS67は両方オフする。また、制御信号cnt3に基づきレベル変換回路62から出力される2つのゲート電圧によって、pMOS65、nMOS68は両方オフする。これによって、プログラム制御電圧が、メモリトランジスタ12のゲートに供給される。
【0076】
“1”のプログラム時には、制御信号cnt1に基づきレベル変換回路60から出力される2つのゲート電圧によって、pMOS63、nMOS66は両方オフする。また、制御信号cnt2に基づきレベル変換回路61から出力される2つのゲート電圧によって、pMOS64、nMOS67は両方オフする。また、制御信号cnt3に基づきレベル変換回路62から出力される2つのゲート電圧によって、pMOS65、nMOS68は両方オンする。これによって、電源電圧VSSが、メモリトランジスタ12のゲートに供給される。
【0077】
スイッチ回路53,54についてもスイッチ回路52と同様に、3つのトランスファゲートと、3つのレベル変換回路とを含む回路で実現できる。スイッチ回路51,55については、2つのトランスファゲートと、2つのレベル変換回路とを含む回路で実現できる。
【0078】
(プログラム方法(その2))
図10は、メモリトランジスタのプログラム時に供給される電圧の他の例を示す図である。図10では、“1”をプログラムするとき、すなわち、メモリトランジスタ11をオフ状態にプログラムするときに、メモリトランジスタ11,12に供給される電圧の他の例が示されている。
【0079】
図6に示したプログラム方法と異なり、図10に示されているプログラム方法では、プログラムされないメモリトランジスタ12のゲートにも、たとえば、3.5~4.5Vのプログラム制御電圧が供給されている。
【0080】
“0”をプログラムするときに供給される電圧については、図7に示した例と同じである。
次に、図10に示したような電圧をメモリトランジスタ11,12に供給する制御回路の例を示す。
【0081】
図11は、制御回路の他の例を示す図である。図11において、図8に示した要素と同じ要素については、同一符号が付されている。
図11に示されている不揮発性記憶装置20aの制御回路21aは、図8に示した不揮発性記憶装置20の制御回路21と異なり、スイッチ回路54がない。その代りに、メモリトランジスタ11,12のゲートは互いに接続されており、メモリトランジスタ11,12のゲートには、スイッチ回路52から同じ電圧(プログラム制御電圧、リード制御電圧または電源電圧VSS)が供給される。
【0082】
このような制御回路21aでも、メモリトランジスタ11,12のプログラム及び、メモリトランジスタ11,12からの読み出しが可能である。また、制御回路21aは、図8に示した制御回路21のスイッチ回路54をなくすことができるため、不揮発性記憶装置20aの回路面積をより小さくすることができる。
【0083】
以下、制御回路21,21aによる不揮発性記憶装置20,20aのプログラム方法の流れをまとめる。
図12は、不揮発性記憶装置のプログラム方法の一例の流れを示すフローチャートである。
【0084】
制御回路21,21aは、モード指示信号により、“0”または“1”をプログラムする旨を示す指示を受信すると(ステップS1)、“0”をプログラムするか否かを判定する(ステップS2)。“0”をプログラムする場合には、制御回路21,21aは、図7に示したような電圧をメモリトランジスタ11,12に供給してプログラムを実行し(ステップS3)、その後プログラムを終了する。“1”をプログラムする場合には、制御回路21,21aは、図6または図10に示したような電圧をメモリトランジスタ11,12に供給してプログラムを実行し(ステップS4)、その後プログラムを終了する。
【0085】
以上のようなプログラム方法によって、メモリトランジスタ11,12の一方がオフ状態にプログラムされた不揮発性記憶装置20,20aを提供できる。上記のプログラム方法によって提供される不揮発性記憶装置20,20aは、たとえば、不揮発性記憶装置の1つである電気ヒューズを用いたヒューズROMと比べて以下のような効果を有する。
【0086】
以下、第2の実施の形態の不揮発性記憶装置20,20aと、不揮発性記憶装置の1つである電気ヒューズを用いたヒューズROMを比較するために、ヒューズROMの一例を示す。
【0087】
図13は、ヒューズROMの一例を示す図である。
ヒューズROM70は、電気ヒューズ71、書き込み回路72、センス回路73、フリップフロップ74を有する。
【0088】
電気ヒューズ71の一端は、書き込み回路72及びセンス回路73に接続されている。電気ヒューズ71の他端には、所定の電圧VBLOWが供給される。電気ヒューズ71として、ポリシリコン層上に形成されたシリサイド層を利用したものや、メタルヒューズなどが用いられる。
【0089】
書き込み回路72は、レベル変換回路72aとnMOS72bを有する。レベル変換回路72aは、ライトイネーブル信号WE(パルス信号)の論理レベルがHレベルのとき(書き込み時)、ライトイネーブル信号WEを昇圧してnMOS72bのゲート電圧を出力する。nMOS72のドレインは、電気ヒューズ71の一端に接続されており、nMOS72のソースには電源電圧VSSが供給される。
【0090】
センス回路73は、pMOS73a、nMOS73b、バッファ回路73cを有する。pMOS73aのゲートには電源電圧VSSが供給され、pMOS73aのソースには電源電圧VDDが供給される。pMOS73aのドレインは、nMOS73bのドレインとバッファ回路73cの入力端子に接続されている。nMOS73bのソースは、電気ヒューズ71の一端と、nMOS72bのドレインに接続されている。nMOS73bのゲートには、センス信号SENSEが供給される。バッファ回路73cの出力端子は、フリップフロップ74の入力端子に接続されている。
【0091】
フリップフロップ74は、クロック信号ckに同期してセンス回路73のバッファ回路73cの出力信号(読み出しデータ)を保持する。
このようなヒューズROM70では、書き込み時には、センス信号SENSEの論理レベルがL(Low)レベルとなり、nMOS73bはオフし、ライトイネーブル信号WEの論理レベルがHレベルとなり、nMOS72bがオンする。そして、書き込み電圧として、比較的大きい電圧VBLOWが電気ヒューズ71に印加され、電気ヒューズ71に電流が流れ、電気ヒューズ71が切断される。電気ヒューズ71の抵抗値が120Ωで、10mAの電流が流れると切断される場合、電圧VBLOWとして、たとえば、2.4Vが印加される。
【0092】
読み出し時には、センス信号SENSEの論理レベルがHレベルとなり、nMOS73bがオンし、ライトイネーブル信号WEの論理レベルがLレベルとなり、nMOS72bがオフする。また、所定の電圧VBLOW(たとえば、0V)が電気ヒューズ71に供給される。電気ヒューズ71が切断されている場合には、バッファ回路73cの入力端子の電位はHレベルとなり、バッファ回路73cは読み出しデータとして“1”を出力する。電気ヒューズ71が切断されていない場合には、バッファ回路73cの入力端子の電位はLレベルとなりバッファ回路73cは読み出しデータとして“0”を出力する。
【0093】
フリップフロップ74は、バッファ回路73cから出力される読み出しデータをクロック信号ckに同期して保持し、ヒューズROM70の出力端子75に供給する。
以上のような、ヒューズROM70と比べて、第2の実施の形態の不揮発性記憶装置20,20aは、読み出し時にリード制御電圧をメモリトランジスタ11,12のゲートに供給するだけで、読み出しデータが得られる。すなわち、メモリトランジスタ11がオフ状態にプログラムされているときには、“1”データ読み出し状態となり、メモリトランジスタ12がオフ状態にプログラムされているときには、“0”データ読み出し状態となる。
【0094】
これにより、図13に示すようなセンス回路73や、保持回路(フリップフロップ74)が不要になり、不揮発性記憶装置20,20aの回路面積を縮小できる。また、センス回路73や保持回路が不要になるため、消費電力を削減できる。
【0095】
また、図4に示したような構造のメモリトランジスタ11(メモリトランジスタ12についても同様の構造とすることができる)を用いることで、図5に示したように、オフ状態にプログラムされたときのリーク電流を小さくできる。このため、消費電力をさらに削減できる。
【0096】
なお、メモリトランジスタ11,12は、フラッシュメモリであってもよい。ただし、フラッシュメモリの場合、フローティングゲートなどを形成する必要があるが、側壁絶縁膜を用いたメモリの場合はフローティングゲートなどの形成は不要であり、工程数の増加を抑制できる。
【0097】
以上、実施の形態に基づき、本発明の不揮発性記憶装置及び不揮発性記憶装置のプログラム方法の一観点について説明してきたが、これらは一例にすぎず、上記の記載に限定されるものではない。
【符号の説明】
【0098】
10 不揮発性記憶装置
11,12 メモリトランジスタ
11a,12a 記憶領域
13 ノード
VDD,VSS 電源電圧
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13