(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-15
(45)【発行日】2022-01-14
(54)【発明の名称】補修用コンパウンド及び使用方法
(51)【国際特許分類】
C08L 101/00 20060101AFI20220106BHJP
C04B 14/24 20060101ALI20220106BHJP
C04B 16/06 20060101ALI20220106BHJP
C04B 24/02 20060101ALI20220106BHJP
C04B 26/06 20060101ALI20220106BHJP
C08K 3/00 20180101ALI20220106BHJP
C08K 7/02 20060101ALI20220106BHJP
C09K 3/10 20060101ALI20220106BHJP
【FI】
C08L101/00
C04B14/24
C04B16/06 A
C04B24/02
C04B26/06
C08K3/00
C08K7/02
C09K3/10 N
C09K3/10 Q
C09K3/10 Z
(21)【出願番号】P 2016573574
(86)(22)【出願日】2015-06-10
(86)【国際出願番号】 US2015035055
(87)【国際公開番号】W WO2015195430
(87)【国際公開日】2015-12-23
【審査請求日】2018-06-08
【審判番号】
【審判請求日】2020-02-17
(32)【優先日】2014-06-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2015-01-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2015-02-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】505005049
【氏名又は名称】スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100110803
【氏名又は名称】赤澤 太朗
(74)【代理人】
【識別番号】100135909
【氏名又は名称】野村 和歌子
(74)【代理人】
【識別番号】100133042
【氏名又は名称】佃 誠玄
(74)【代理人】
【識別番号】100171701
【氏名又は名称】浅村 敬一
(72)【発明者】
【氏名】ゴズム, ジョン イー.
(72)【発明者】
【氏名】ワン, ダンリ
(72)【発明者】
【氏名】ショーエンヘール, ドワイト ビー.
【合議体】
【審判長】杉江 渉
【審判官】福井 悟
【審判官】橋本 栄和
(56)【参考文献】
【文献】特表2005-509715(JP,A)
【文献】特表2011-523974(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08L101/00-101/14
C09D1/00-10/00
C09D101/00-201/10
C04B2/00-32/00
C04B40/00-40/06
C09K3/10-3/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
補修用コンパウンドであって、
ラテックス樹脂又は樹脂結合剤と、
増粘剤(但し、粘土型増粘剤及びセルロース系増粘剤を除く)と、
疎水性フィブリル化繊維及び親水性繊維と、
充填剤材料と、を含み、
前記補修用コンパウンドは、擬塑性型挙動を示し、
0.48g/ml(4.0lbs/gal
)以下の密度を有する補修用コンパウンド。
【請求項2】
前記疎水性フィブリル化繊維及び前記親水性繊維の各々が、全組成物の約1重量%未満の量で存在する、請求項1に記載の補修用コンパウンド
。
【請求項3】
前記疎水性フィブリル化繊維は、疎水性乾燥フィブリル化ポリエチレン繊維を含み、及び/又は、前記親水性繊維は、親水性レーヨン繊維を含む、請求項1
又は2に記載の補修用コンパウンド。
【請求項4】
前記充填剤材料は、より大きい粒径の合成無機充填剤粒子とより小さい粒径の合成無機充填剤粒子とを有し、前記より小さい粒径の合成無機充填剤粒子に対する前記より大きい粒径の合成無機充填剤粒子の粒径比は、少なくとも約5:1である、請求項1乃至
3の何れか1項に記載の補修用コンパウンド。
【請求項5】
ラテックス樹脂又は樹脂結合剤と、
増粘剤(但し、粘土型増粘剤及びセルロース系増粘剤を除く)と、
疎水性フィブリル化繊維及び親水性繊維と、
ガラスバブルと、を含
み、
前記補修用コンパウンドは、擬塑性型挙動を示し、0.48g/ml(4.0lbs/gal)以下の密度を有する補修用コンパウンド。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
[技術分野]
本開示は、一般的に、しばしば補修用コンパウンド又はスパックリングコンパウンドと呼ばれるペースト又はパテのような材料に関し、これは、木材、ドライウォール、及び/又はしっくいの穴、亀裂及びその他の軽微な表面欠損又は欠陥を充填及び補修するために使用される。いくつかの特定の実施形態において、本開示は、垂直壁面の大きな穴、並びにその他の壁面欠陥の補修に特に適した補修用コンパウンドに関する。
【0002】
[背景]
家屋及び建物の内壁は、しばしば石膏壁板パネル(ドライウォールと呼ばれる場合もある)を用いて構築されている。空洞、凹み、穴等がある場合(欠陥又は破損により)、補修用コンパウンド、詳細にはスパックリングコンパウンドを使用してこのような空洞を塞ぐのが一般的である。従来のスパックリングコンパウンドは、1種類以上の無機充填剤、1種類以上のポリマー樹脂結合剤、並びに各種の増粘剤及び他の添加剤をしばしば含んでいる。無機充填剤の中でも特にガラスバブル、中空シリカ、又は膨張パーライト等の比較的低密度の充填剤をしばしば含有する軽量のスパックリングコンパウンドが開発されている。スパックリングコンパウンドが壁に塗布された後、一定の時間をかけて水分が蒸発することで、乾燥、硬化した材料が形成され、これをサンド研磨したり、塗装したりすることができる。
【0003】
別の、類似の種類の補修用コンパウンドは、隣接する壁板間の目地を隠すために一般的に使用されるジョイントコンパウンドとして知られる。スパックリングコンパウンド及びジョイントコンパウンドは、多くの同じ作用を持ち、いずれも傷を隠すために壁に塗られるが、スパックリングコンパウンドは、一般的に、ジョイントコンパウンドよりも軽く、短時間で乾燥し、サンド研磨が容易であり、高額である。単純化のため、用語「補修用コンパウンド」は、本開示全体を通して使用される場合、スパックリングコンパウンド及びジョイントコンパウンドを包含する。
【0004】
スパックリングコンパウンドは当該技術分野で周知である。例えば、米国特許第6,531,528号(Kurp)は、色変化指示剤を含む、レディ・トゥ・ユーズのパッチ型補修製品を開示している。製品が乾燥した後、色が変化することで、必要な場合に、ユーザーが塗装、サンド研磨等の他の操作を表面に対して行うことができることを示す。米国特許第7,790,796号(Foster et al.)は、滑らかに塗布することが容易であり、乾燥時に亀裂を生じることなく、公知のスパックリングコンパウンドと比較してより厚い層として塗布することができ、乾燥後に、ピッティング、剥離、又は崩れを、特に塗布されたスパックリングパッチの縁部において生じることなく修正することが可能なスパックリングコンパウンドを開示している。米国特許出願公開第2013/019043号(Gozum et al.)は、自己プライミング型のスパックリングコンパウンドを開示している。
【0005】
[概要]
本開示の発明者らは、従来のスパックリング又はその他の補修用コンパウンドは比較的小さい欠陥又は穴の補修には十分であるが、より大きな穴(例えば、少なくとも2インチの主要寸法を有する穴)によって生じる特異な制約は容易に満足されないことを認識した。壁面の大きな穴の補修又はパッチを行うためには、比較的大量のスパックリングコンパウンドが必要である。従来のスパックリングコンパウンドは、大量に塗布して乾燥させたときに、亀裂、収縮等を起こしやすい。更に、ほとんどの壁修復計画は、垂直壁で実施される。塗布された大量のスパックリングコンパウンドは、密度又は重量が大きくなり、重力により穴から流れ出る傾向がある。上記に照らして、本開示の発明者は、大きな穴の壁補修並びにその他の用途(例えば木材の補修)に適した補修用コンパウンドの必要性を認識した。
【0006】
本開示のいくつかの態様は、特に大きな穴の補修に適するが、いかなる補修用途にも優れる補修用コンパウンドに関する。いくつかの実施形態において、コンパウンドは垂直壁の補修に特に有用である。補修用コンパウンドは、ラテックス樹脂、増粘剤、繊維、及び充填剤材料を含む。補修用コンパウンドは、擬塑性型挙動を示し、4.0lbs/gal以下の密度を有するように構成される。いくつかの実施形態において、本開示の補修用コンパウンドは、(1)異なるモルホロジーの疎水性及び親水性繊維、(2)HASE型増粘剤、(3)2つの異なる強度/粒径曲線に由来する中空ガラス微小球の二峰性分布、及び(4)有機金属接着促進剤のうちの1つ以上を含む。
【0007】
本開示の他の態様は、基材の穴を補修する方法に関する。方法は、ある量の上記補修用コンパウンドを受容する工程を含む。ある量の補修用コンパウンドは、穴の中に適用される。いくつかの実施形態において、補修用コンパウンドは、パン生地様であり、ある量の補修用コンパウンドを塗布する工程は、ユーザーの手の得られた量の補修用コンパウンドを丸め、成形した後、成形した補修用コンパウンドを穴に押し込む工程を含む。他の実施形態において、補修用コンパウンドはキットの一部として提供される。いくつかの実施形態において、上記キットはツールを含む。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本開示の補修用コンパウンドに有用なガラスバブルを含む、種々のガラスバブルの強度、密度、及び寸法特性を示すグラフである。
【
図2】本開示の補修用コンパウンドの擬塑性型挙動を含む、種々の分類の材料の粘度及び剪断速度特性を示すグラフである。
【0009】
[詳細な説明]
様々な実施形態及び履行について詳細に説明する。これらの実施形態は、いかなる場合も本開示の範囲を限定するものとして解釈されるべきではなく、本発明の趣旨及び範囲から逸脱せずに、変更及び修正を行うことができる。例えば、実施形態、実施、及び実施例の多くは壁補修を具体的に参照して説明されているが、これは本特許出願の範囲をこの1つの代表的な実施に限定するものと解釈されるべきではない。更に、いくつかの最終用途のみを本明細書で説明しているが、本明細書に記述されていない最終用途も本開示の範囲内に含まれる。したがって、本開示の範囲は、その請求項によって決定されるべきではない。
【0010】
本開示の補修用コンパウンドは、表面(例えば、石膏壁板表面等)にある比較的大きな穴若しくは空洞(例えば、主寸法が少なくとも2インチ)、亀裂又はその他の欠陥、並びに事実上あらゆるその他の、より小さい壁面欠陥の充填及び補修に適している。本開示の補修用コンパウンドは、擬塑性型挙動を示し、軽量である(例えば、4.0lbs/gal以下、あるいは3.5lbs/gal以下、あるいは3.0lbs/gal以下の密度を有する)。
【0011】
本開示の補修用コンパウンドは一般的に、ラテックス樹脂、増粘剤、繊維、及び充填剤材料を含む。種々のその他の実施形態において、その他の任意成分が含有されてもよい。いくつかの実施形態において、増粘剤と繊維の組み合わせは、擬塑性型挙動を示す補修用コンパウンドを生成する。いくつかの実施形態において、充填剤材料はガラスバブルの二峰性分布を有し、その結果軽量の補修用コンパウンドが得られる。いくつかの実施形態において、補修用コンパウンドは、壁補修用コンパウンドである。いくつかの実施形態において、補修用コンパウンドは、木材補修用コンパウンドである。
【0012】
樹脂
本開示の補修用コンパウンドは、少なくとも1種のラテックス樹脂又は樹脂結合剤、例えば、従来補修用コンパウンドに有用と考えられているポリマー樹脂結合剤を含む。こうした結合剤は、しばしば水性ラテックスエマルション(例えば、15~60%のポリマー樹脂結合剤の固体を水中に含む)として供給される。本開示の結合剤として潜在的に好適な代表的ポリマー樹脂としては、例えば、よく知られるビニルアクリルポリマー及びコポリマー、アクリルポリマー及びコポリマー、ポリ酢酸ビニルポリマー及びコポリマー、エチレン酢酸ビニルポリマー及びコポリマー、スチレン-ブタジエンポリマー及びコポリマー、ポリアクリルアミドポリマー及びコポリマー、天然ゴムラテックス、天然及び合成デンプン、カゼイン等が挙げられる。こうした結合剤は、単独で又は互いに組み合わせて使用することができる。いくつかの実施形態において、樹脂又は樹脂結合剤は100%アクリレートである。いくつかの実施形態において、補修用コンパウンドの樹脂又は樹脂結合剤は、少なくとも1種のラテックス樹脂及び少なくとも1種の非ラテックス樹脂を含む。いくつかの実施形態において、ラテックス及び非ラテックス樹脂は均一なブレンドを形成する。
【0013】
いくつかの実施形態において、ラテックス樹脂は、アクリルラテックスエマルション結合剤である。例えば、樹脂は、Arkema Coating Resins(Cary,NC)からENCOR 379Gの商品名で入手可能なビニルアクリルラテックスエマルション結合剤であってもよい。ENCOR 379Gラテックスは、内装及び外装の両方の建築塗料に非常に高い耐スクラブ性及び耐久性をもたらす高分子量ポリマーである。このポリマーは、高分子量を最適化されたガラス転移温度と組み合わせて、卓越した粒亀裂抵抗性(grain crack resistance)及び長期耐久性を有する可撓性フィルムを製造する。更に、ENCOR 379Gのようなビニルアクリルラテックスエマルションは、下記の任意選択の充填剤の負荷に対する十分な耐性を示すことができる。
【0014】
いくつかの実施形態において、アクリルラテックスエマルション結合剤(例えば、ENCOR 379G)は、別のラテックス結合剤(例えば、DOW ENCOR 627若しくは626若しくは631又はNEOCAR Latex 2300若しくはNEOCAR Latex 2535)と組み合わされる。
【0015】
ラテックスエマルション樹脂は、いくつかの実施形態において、補修用コンパウンドに少なくとも約20、30、40、又は50重量%含むことができる。
【0016】
いくつかの実施形態において、樹脂又は樹脂結合剤は15を超えるTgを有する。いくつかの実施形態において、樹脂又は樹脂結合剤は20を超えるTgを有する。いくつかの実施形態において、樹脂又は樹脂結合剤は25を超えるTgを有する。いくつかの実施形態において、樹脂又は樹脂結合剤は29を超えるTgを有する。
【0017】
増粘剤
本開示の補修用コンパウンドは、増粘剤(潤滑剤、ゲル化剤、増稠剤、保水剤等とも称される)も含有又は包含する。
【0018】
いくつかの実施形態において、増粘剤は、親水性アルカリ膨潤性エマルション(HASE)増粘剤である。HASEは、驚くべきことに、擬塑性系の基盤として機能する適切な増粘特性を示すことが見出されている。いくつかの実施形態において、増粘剤は、Coatex,Inc.からTHIXOL 53Lの商品名で入手できるHASE増粘剤である。
【0019】
あるいは、例えば、コンパウンドが(例えば、垂直な壁に塗布したときに)過度に垂れ、落ち込み、又は流れることがないように、粘度の高い補修用コンパウンドをもたらすために補修用コンパウンドと共に従来用いられているその他の増粘剤を使用してもよい。増粘剤は、例えば、補修用コンパウンド中に存在する水との相互作用によって増粘効果を示すように設計された有機ポリマー増粘剤であってもよい。一般的に使用されている有機ポリマー増粘剤は、しばしば水溶性又は水膨潤性である(例えば25℃付近で)。こうした有機ポリマー増粘剤は、合成品でもよく、天然物でもよく、かつ/又は天然物から得られるか若しくは誘導されるものでもよい。このような増粘剤としては、例えば、ポリエチレングリコール、ポリエチレンオキシド(及び/又はポリエチレンオキシド/ポリプロピレンオキシドコポリマー)、ポリビニルアルコール、アクリル酸及びアクリルアミド等のエチレン性不飽和カルボン酸及びその誘導体のポリマー又はコポリマー、グアーガム、キサンタンガム、アルギン酸塩、トラガカントガム、ペクチン、アミロペクチン、デキストラン、ポリデキストロース等が挙げられる。任意選択の増粘剤としては、例えば、多糖類及びその誘導体、例えば、よく知られたセルロースエーテル(例えば、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、ヒドロキシエチルヒドロキシプロピルセルロース、エチルヒドロキシエチルセルロース、及びカルボキシメチルセルロースナトリウム)も挙げられる。
【0020】
上記の増粘剤の種々の1つを本開示の補修用コンパウンドと共に使用してもよいが、驚くべきことに、粘土型増粘剤は、本明細書に記載の補修用コンパウンドとして使用するには濃密すぎることが確認されている。更に、驚くべきことに、セルロース系増粘剤は、補修用コンパウンドに過度の潤滑性を付与し(本開示の他の構成成分又は成分と配合したとき)、本明細書に記載の補修用コンパウンドが穴に留まることを困難にする場合があることが確認されている。
【0021】
いくつかの実施形態において、増粘剤は、補修用コンパウンド配合物の約1重量%以下含まれる。
【0022】
繊維
本開示の補修用コンパウンドは、更に繊維を含有する。いくつかの実施形態において、補修用コンパウンドは、2種類の(又はそれよりも多くの)異なる種類の繊維を含有する。いくつかの実施形態において、繊維は、擬塑性型挙動を補修用コンパウンドに付与するため、並びに壁面の補修において補修用コンパウンドの性能を増強するために、選択された増粘剤と共に選択される。
【0023】
繊維は、種々の形態を想定することができ、いくつかの実施形態において、1つ以上の所望の性能特性を提供するために選択される第1の繊維の種類と、同じく所望の性能特性を提供するために選択されるが第1の繊維の種類とは異なる第2の繊維の種類とを含有する。例えば、第1の繊維の種類は、一般的補強、耐亀裂性、収縮低減、粘度制御、粒子懸濁、剪断薄化、寸法安定性改善の1つ以上を、他成分吸収又は貯蔵寿命短縮等を伴わずにもたらすように選択できる。第2の繊維の種類は、多孔性制御及び吸収性(並びに補強)をもたらすように選択できる。
【0024】
上記の説明に留意して、いくつかの実施形態において、第1の繊維の種類は疎水性繊維であり、第2の繊維の種類は親水性繊維である。関連実施形態において、第1の繊維の種類の呼び長さは第2の繊維の種類の呼び長さよりも、例えば約10分の1小さい。
【0025】
いくつかの実施形態において、本開示の繊維は、疎水性の乾燥フィブリル化ポリエチレン繊維と親水性のレーヨン繊維との混合物を含む。乾燥フィブリル化ポリエチレン繊維は、親水性レーヨン繊維の呼び寸法よりも小さい呼び寸法を有し得る。例えば、疎水性乾燥フィブリル化ポリエチレン繊維は、直径15μm及び長さ0.55~0.80mmのオーダーの呼び寸法を有し得るのに対し、親水性レーヨン繊維は4.5デニール×0.5インチのオーダーの呼び寸法を有し得る。乾燥フィブリル化ポリエチレン繊維は、増粘剤と組み合わせたときに、一般的補強、耐亀裂性、収縮低減、粘度制御、粒子懸濁、剪断薄化、及び寸法安定性改善の1つ以上を、他成分吸収又は貯蔵寿命短縮等を伴わずにもたらす。親水性レーヨン繊維は、増粘剤と組み合わせたときに、多孔性制御及び吸収性の1つ以上、並びに補強をもたらす。
【0026】
いくつかの実施形態において、2つの異なる繊維の種類は、上記の増粘剤の所望の性能特性を増大し、より少量の増粘剤の使用(従来のスパックリングコンパウンド配合物と比べて)が可能になる。親水性レーヨン繊維(例えば)は、乾燥時に補修用コンパウンド内のより広い範囲に応力を分布する役割を果たす。それにもかかわらず、いくつかの実施形態において、増粘剤及び繊維を組み合わせて、補修用コンパウンドが下記のような擬塑性型挙動を示すようにする。
【0027】
いくつかの実施形態において、本開示の補修用コンパウンドは、約1重量%未満の疎水性乾燥フィブリル化ポリエチレン繊維(又は同等の繊維)を含んでもよく、更に、約1重量%未満の親水性レーヨン繊維(又は同等の繊維)を含む。関連実施形態において、本開示の補修用コンパウンドは、疎水性乾燥フィブリル化ポリエチレン繊維(又は同等の繊維)よりも大量(重量で)の親水性レーヨン繊維(又は同等の繊維)を含んでもよい。
【0028】
充填剤
本開示の補修用コンパウンドは、更に充填剤を含む。いくつかの実施形態において、充填剤は、1つ以上の無機充填剤を含む無機充填剤系である。いくつかの実施形態において、無機充填剤系は合成無機充填剤を含む。本明細書で使用するとき、「合成無機充填剤」という用語には、最初の状態(天然に存在する採掘された状態であってもよい)から現在の状態に、化学合成プロセス(例えば、溶液からの沈殿、火炎加水分解による生成等)によって、又は物理的合成プロセス(例えば、気相からの析出、ゾルゲル法による固化等)によって変化、再生、再結晶、再構成等の処理がなされたあらゆる充填剤が含まれる。本明細書で使用するとき、「合成無機充填剤」という用語には、更に、少なくとも部分的に軟化又は溶融した状態とした後、冷却によって固化させるという物理的合成プロセスによって、最初の状態(天然に存在する採掘された状態であってもよい)から現在の状態に実質的に変化させられることにより、天然状態で存在し得た全ての実質的な結晶構造が実質的に消失し、その結果、材料が現状では実質的に非晶質の形態となっている(例えば、約0.5%重量未満の結晶質を含む)ような、あらゆる充填剤も含まれる。このようなプロセスとしては、例えば、溶融加工、火炎溶融等が挙げられる。
【0029】
上記の定義を用いて、合成無機充填剤としては、例えば、いわゆるガラスバブル又は微小球(3M Company(St.Paul,MN)より3M Glass Bubblesの商品名で販売されているもの等)、セラミック微小球(3M Companyより3M Ceramic Microspheresの商品名で販売されているもの等)、合成粘土(例えば、Southern Clay Products(Gonzales,TX)よりLaponiteの商品名で販売されているもの等)、沈殿シリカ、フュームドシリカ、ガラス状シリカ、合成二酸化チタン(例えば、硫酸法又は塩素法によって製造されるもの)、合成(沈殿)炭酸カルシウム(例えば、二酸化炭素を水酸化カルシウムの溶液に通過させることによって製造されるもの)等が挙げられる。この意味において、「合成無機充填剤」という用語には、有機表面基、コーティング等を有するように改質されたもの等の合成無機充填剤が含まれる。
【0030】
特定の実施形態では、本発明で使用する合成無機充填剤は、より大きい粒径の合成無機充填剤粒子と、より小さい粒径の合成無機充填剤粒子との二峰性粒径混合物を含む。種々の実施形態では、本発明で使用する合成無機充填剤は、より小さい粒径の充填剤に対する、より大きい粒径の合成無機充填剤粒子の粒径比(2つの充填剤集団の中央粒径の比をとることによって得られる)は、少なくとも約5:1であるような合成無機充填剤粒子の二峰性の粒径混合物を含む。
【0031】
いくつかの実施形態において、こうした合成無機充填剤は、実質的に球形の粒子を含む。この意味において、用語「実質的に球形」とは、粒子のほぼ大半が、粒子の製造に用いられる製造プロセスで時折見られるものとして当業者に認知されているような偶発的な偏差、変形(例えば、幾分歪んだ粒子が時折生成されたり、2個以上の粒子が互いに凝集又は接着したりする)を除けば球形であることを意味する。
【0032】
本明細書で定義するような好適な実質的に球形の合成無機充填剤は、いわゆるガラスバブル及びセラミック微小球を含む。このようなガラスバブルは、例えば、その全体が本明細書に組み込まれる米国特許第3,365,315号及び同第4,391,646号に記載のプロセスによって合成することができる。このようなセラミック微小球は、例えば、その全体が本明細書に組み込まれる例えば米国特許第3,709,706号及び同第4,166,147号に記載のゾルゲルプロセスによって合成することができる。セラミック粒子及び/又は微小球を製造するうえで潜在的に有用な他の方法は、例えばその全体が本明細書に組み込まれる米国特許第6,027,799号に記載されている。
【0033】
いくつかの実施形態では、本発明で使用する合成無機充填剤は、より大きい粒径のほぼ球形の合成無機充填剤粒子と、より小さい粒径のほぼ球形の合成無機充填剤粒子との二峰性の粒径混合物からなる。関連実施形態において、本発明で使用する合成無機充填剤は、二峰性分布又は第1及び第2の実質的に球形の合成無機充填剤粒子の混合物を含み、第1の実質的に球形の合成無機充填剤粒子のそれぞれの密度及び/又は強度は、第2の実質的に球形の合成無機充填剤粒子のそれぞれの密度よりも大きい。更なる関連実施形態において、合成無機充填剤は、2つの異なる強度/粒径曲線に由来する二峰性分布の中空ガラス微小球を含む。例えば、第1の実質的に球形の合成無機充填剤粒子は、50~55μmのオーダーの平均粒径及び0.2g/ccのオーダーの密度を有するガラスバブル又は微小球であり、第2の実質的に球形の合成無機充填剤粒子は、20μmのオーダーの平均粒径及び0.45g/ccのオーダーの密度を有する。例えば、第1の実質的に球形の合成無機充填剤粒子は、3M Company(St.Paul,MN)からK20の商品名で販売されているガラスバブルであってもよく、第2の実質的に球形の合成無機充填剤粒子は、3M Company(St.Paul,MN)からiM16Kの商品名で販売されているガラスバブルであってもよい。
【0034】
図1の強度/粒径曲線で強調されるように、K20ガラスバブルとiM16Kガラスバブルとは、異なる粒径及び強度特性を示す。補修用コンパウンドの一部として集合的に用いた場合、驚くべきことに、合成無機充填剤(二峰性分布としての)は、補修用コンパウンドの密度を低下しながら(従来のスパックリングコンパウンドと比較して)、得られる補修用コンパウンドに十分な強度を提供することが確認された。いくつかの実施形態において、合成無機充填剤は、約20~30重量%の、より大きく、より低密度のガラスバブル(例えば、K20 Glass Bubbles)と、約2~10重量%の、第2の、より小さい/より硬いガラスバブル(例えば、iM16K Glass Bubbles)との二峰性混合物を含む。
【0035】
任意成分
本開示の補修用コンパウンドは、任意選択的に、種々の目的で1種以上の追加構成成分を含んでもよい。
【0036】
例えば、壁面への補修用コンパウンドの確実な付着をもたらすために、接着促進剤を用いることができる。接着促進剤は、当業者に既知のように種々の形態が想定でき、Chartwell International,Inc.からB-515.71Wの商品名で販売されている接着促進剤のようなチタンアルコキシド接着促進剤が挙げられる。いくつかの実施形態において、補修用コンパウンドは、約1重量%未満の接着促進剤を含んでもよい。
【0037】
いくつかの実施形態において、本開示の補修用コンパウンドは、上記の増粘剤の1つ以上を活性化するための活性化剤又はpH調整剤を含んでもよい(例えば、HASE増粘剤は、8.5未満のpHでは混合物を活性化又は増粘しない場合がある)。例えば、以下により詳細に記載のように、いくつかの実施形態において、補修用コンパウンドの配合は、増粘剤が活性化できるようにpHを約9に調節することを含む。活性化剤又はpH調整剤は、提供される場合、当該技術分野において既知であって補修用コンパウンドとの使用に適した種々の形態が想定でき、例えば、Dow Chemical CompanyからAMP-95の商品名で販売されているもののようなアミノアルコールであってもよい。提供される場合、補修用コンパウンドは約0.15重量%未満の活性化剤又はpH調整剤を含んでもよい。
【0038】
いくつかの実施形態において、本開示の補修用コンパウンドは、コンパウンドの粘稠度に有利に作用することが確認されている1種以上の平滑剤、例えば、1種以上の有機エーテル平滑剤を含んでもよい。いくつかの実施形態において、任意選択の平滑剤、例えば有機エーテル平滑剤は、本明細書に開示する濃度で、補修用コンパウンドに滑らかな粘稠度を付与することができ(平滑剤がない場合、補修用コンパウンドはより脆い外観を呈し得る)、その結果、補修用コンパウンドを垂直な壁に塗布したときに、より容易に塗り広げることができ、流れ、垂れ、落ち込み又は細かく砕けることがない。上記の増粘剤と対照的に、こうした任意選択の平滑剤は、補修用コンパウンドの見かけ粘度を増大させるのではなく、低下させるように機能する(ただし、やはり許容できない垂れ又は落ち込みを生じずに)と思われる。本開示の補修用コンパウンドに有用な許容可能な平滑剤のいくつかの例は、米国特許第8,507,587号に記載されており、その教示の全体を本明細書に組み込む。
【0039】
種々の実施形態において、本明細書に記載の補修用コンパウンドは、1種以上の有機エーテル平滑剤を含んでもよい。いくつかの実施形態において、有機エーテル平滑剤は、配合状態の全補修用コンパウンドの重量の多くとも約2.5重量%、多くとも約1.5重量%、又は多くとも約0.5重量%の量で存在する。種々の実施形態において、1種以上の有機エーテル平滑剤は、総量で少なくとも約0.025重量%、少なくとも約0.05重量%、又は少なくとも約0.15重量%の量で存在する。
【0040】
好適な有機エーテル平滑剤は、例えば、Dow ChemicalよりDOW P-シリーズグリコールエーテル及びDOW E-シリーズグリコールエーテル(例えば、DOWANOL、CARBITOL及びCELLOSOLVEの商品名で販売される各種製品を含む)の商品名で販売される製品、並びにこれらの混合物から選択されてもよい。いくつかの実施形態では、有機エーテル平滑剤は、ちょうど1個の水酸基と、ちょうど1個のエーテル基と、を有する有機エーテルから選択される。この基は、例えば、プロピレングリコールブチルエーテル(Dow ChemicalからDOWANOL PnBの商品名で販売されているもの)、プロピレングリコールメチルエーテル(Dow ChemicalからDOWANOL PMの商品名で販売されているもの)、及びDow ChemicalからDOWANOL、CARBITOL、及びCELLOSOLVEの商品名で販売されているその他の製品、並びにこれらの混合物を含む。その他の実施形態では、任意選択の平滑剤は、ちょうど1個の水酸基と、ちょうど2個のエーテル基と、を有する有機エーテルから選択される。更に他の実施形態では、任意選択の平滑剤は、ちょうど1個の水酸基と、ちょうど3個のエーテル基と、を有する有機エーテルから選択される。更に他の実施形態では、任意選択の平滑剤は、少なくとも1個のエーテル基を有するが水酸基は有さない有機エーテルから選択される。
【0041】
上記の構成成分に加えて、他の構成成分を補修用コンパウンドに加えてもよい。これらの他の構成成分としては、例えば水があり、例えば粘度の最終調整のために製造プロセスの最後に加えてもよい。したがって、特定の実施形態では、水(水性アクリルラテックス結合剤エマルション中に場合により存在する水以外に)を配合物に加えることができる。
【0042】
存在してもよい他の添加剤としては、保存時に補修用コンパウンドに有益な効果をもたらし得るばかりでなく、乾燥した補修用コンパウンド上にカビや真菌類が増殖する可能性を最小に抑える働きをする防腐剤がある。すなわち、特定の実施形態では、本明細書で開示する補修用コンパウンドは、任意選択的に、少なくとも約0.1、0.2又は0.3重量%の防腐剤を含んでよい。更なる実施形態では、本明細書で開示する補修用コンパウンドは、任意選択的に、最大で約0.8、0.6又は0.4重量%の防腐剤を含んでもよい。好適な防腐剤としては、例えば、Troy Corporation(Florham Park,NJ)よりMergal 192及びPolyphase P20Tの商品名で販売されるものが挙げられる。
【0043】
補修用コンパウンドが壁の外観に「隠れる」又は混ざる能力を増強するため、補修用コンパウンドは、任意選択的に1種以上の着色剤又はプライマーも含んでもよい。1つの好適な着色剤又はプライマーは、例えば、二酸化チタンである。理論に束縛されるものではないが、二酸化チタンは光を反射し、それによって、補修用コンパウンド配合物に添加したときに、基材の色/外観の違いを効果的に隠すと考えられる。その他の代表的な好適な着色剤は、カーボンブラックである。本開示の補修用コンパウンドへの使用に好適な特定の市販着色剤としては、Cabot Corporation(Boston,MA)から販売されているMONARCH 120カーボンブラック及びDuPont Chemicals(Wilmington,DE)から販売されているTI-PURE R700二酸化チタンが挙げられる。いくつかの実施形態において、提供される場合、着色剤の量は8重量%を超える。いくつかの実施形態において、着色剤の量は約20重量%未満である。いくつかの実施形態において、着色剤の量は約10重量%未満である。いくつかの実施形態において、着色剤の量は1重量%未満であり、全てのパーセンテージは、配合した状態の補修用コンパウンドの総量に対するものである。
【0044】
擬塑性型挙動
上記の任意選択構成成分の1つ以上を含むか否かにかかわらず、本開示の補修用コンパウンドは、擬塑性型挙動を示すように配合される。本明細書で使用するとき、「擬塑性」という用語は、変形に対する大きな初期抵抗を伴わずに剪断薄化を示す材料又は組成物を指す。塑性材料と同様に、擬塑性材料も最高水準の応力及び剪断速度において、線形の(ニュートン)挙動を示す。
図2は、非ニュートン、ニュートン及び擬塑性を含む種々の材料の種類又は分類について、粘度対剪断速度曲線を示すグラフである。
【0045】
いくつかの実施形態において、本開示の補修用コンパウンドは、
図2の擬塑性曲線に類似した粘度対剪断速度性能特性を示す。擬塑性型挙動は、補修用コンパウンドを表面(補修している大きな壁穴の「背後」の表面のような)に塗り広げ易くするが、ユーザーが塗るのをやめると、補修用組成物はすぐに流れを止める。いくつかの実施形態において、擬塑性型挙動は、HASE増粘剤を疎水性乾燥フィブリル化ポリエチレン繊維(又は類似の繊維材料)及び親水性レーヨン繊維(又は類似の繊維材料)と共に使用することによって達成される。
【0046】
いくつかの実施形態において、この擬塑性レオロジーは、増粘剤及び繊維によって達成されるか、又は主に決定される。すなわち、補修用コンパウンドの他の構成成分(例えば、樹脂、充填剤等)は、得られる補修用コンパウンドの擬塑性に影響してもしなくてもよいが、影響がある場合、その影響は増粘剤と繊維との組み合わせによって示される擬塑性型特性を支配しない。
【0047】
本開示の補修用コンパウンドは、多量の壁面の欠陥又は欠損(例えば、穴、亀裂等)を補修するために用いることができ、任意選択的にはジョイントコンパウンドである。更に、本開示の補修用コンパウンドは、垂直壁面の、より大きな穴(例えば、主寸法が少なくとも2インチの穴)に適用する(例えば、裏当て材又はパネルを穴の領域の壁の裏側に配置した後)のに十分に適している。
【0048】
いくつかの実施形態において、本開示の補修用コンパウンドは、キットの一部としてエンドユーザーに提供されてもよい。代表的なキットは、更に1つ以上のツール、任意選択的には補修用コンパウンドを受容するために穴の「背後」に足場構造物を確立するための支持デバイス(例えば、2014年6月20日に出願された発明の名称「Wall Hole Repair Device,Kit,and Method」の米国特許出願第62/015,061号等に記載されている非限定的実施例)を含み得る。
【0049】
使用方法
本開示の補修用コンパウンドは、従来のスパックリングコンパウンドと同様の方法で配合及び適用することができ、例えば、ユーザーがある量の補修用コンパウンドを穴の中及び穴の周囲の壁面に塗布具を用いて塗布する。いくつかの実施形態において、本開示の補修用コンパウンドは、水分が低減された(パン生地様の)状態でユーザーに提供され得る。対応する本開示の使用方法は、ユーザーが一定量のパン生地様の補修用コンパウンドを手で丸めて成形し、次いで成形したコンパウンドを穴に挿入して押圧する工程を含む。
【実施例】
【0050】
本開示の態様をより十分に理解できるように、以下の実施例を記載する。これらの実施例は、単に例示を目的とするものであり、いかなる方法でも本開示を限定すると解釈してはならないことを理解すべきである。
【0051】
以下の実施例で使用する構成成分の用語を以下に示す。
【0052】
【0053】
(実施例1)
以下の一般的な方法によって補修用コンパウンドのバッチを合成した。以下の装置を準備した:ステンレス鋼製容器、Cowlesブレードを含む高速ミキサー(高剪断混合用)、及び低剪断混合に適したツールを含むHobart(登録商標)ミキサー。
【0054】
ENCOR 379GラテックスとE380Fミニファイバーを、最初に、ステンレス鋼製混合容器内でCowlesブレード(抗剪断)を用いて15~20分間混合した。混合の温度は、110°F未満に維持した。次いで、K20 Glass Bubbles以外の残りの構成成分全てを順次混合容器に加えた(Cowlesブレードを使用)が、良好な混合をもたらすために低速で運転した。プレミックスのpHをAMP-95でpH=9に調節した。このプレミックスの各成分の質量又は重量を表1に示す。
【0055】
【0056】
上記において、E380F SHORT STUFF繊維は、直径15μm、長さ0.55~0.88mmの疎水性乾燥フィブリル化ポリエチレン繊維であった。
【0057】
上記溶液を均一に混合した後、プレミックスを、K20 Glass Bubbles(330グラム)及び水(90グラム)を含有するボウルに移した。次いで、全ての構成成分を、Hobartミキサーを使用してゆっくりと混合した(K20 Glass Bubblesは、高速混合に耐えるほど強くない)。得られた実施例1の補修用コンパウンドは、表2に示す構成成分の配合を有した。
【0058】
【0059】
実施例1の補修用コンパウンドは、垂直なドライウォールボードの比較的大きな穴に手で容易に塗り込まれ、塗布の力又は作用を取り除いたときに流れをほとんど又は全く示さず、垂れをほとんど又は全く示さないことが確認された。
【0060】
(実施例2)
実施例2の補修用コンパウンドは、Mergal 192をMergal 186に置き換え、Rhodoline(登録商標)FT100を添加したことを除き、実施例1と同じ成分を(下記の量で)含む。K20 Glass Bubbles及び水を除く全ての構成成分を、表3に記載の構成成分重量又は質量にて、ステンレス鋼製容器内でCowlesブレードを用いて混合した。
【0061】
【0062】
上記溶液を均一に混合した後、上記プレミックスをK20 Glass Bubbles(175グラム)及び水(35グラム)と組み合わせ、Hobartミキサーを用いてゆっくりと溶液に混合した。
【0063】
【0064】
成分を均一に混合すると、実施例2の補修用コンパウンドが得られた。補修用コンパウンドの密度は、Paul N.Gardner Co.,Inc.(GARDCO)(Pompano Beach,FL)からの密度測定用カップ「US Standard Weight Per Gallon Cup」を用いて試験し、3.3lbs/galであることが確認された。
【0065】
実施例2の補修用コンパウンドを、下記のように補修用コンパウンドを適用してドライウォールボードの穴を補修することによって更に試験した。12インチ×12インチドライウォールボードを入手し、各ドライウォールボードの厚みを通る穴を形成した(穴の寸法は、幅3~4インチ)。このドライウォールボードを、枠を構築している木製スタッド(1.5インチ×3.5インチ)上に垂直に取り付け、12インチ×12インチの格子状とした。裏面支持パネルを、対応する穴の領域内の各ドライウォールボードの後側に組み立てた。次いで、実施例2の補修用コンパウンドを手で適用して各ドライウォールボードの穴を埋めた。72時間後、各ドライウォールボード上で、硬化した余分な補修用コンパウンド(又はスパックル)をスポンジスポンジ(3M Companyから入手した粗目-細目グレード)で擦り落とし、スパックルの表面をドライウォールボード表面と平滑にした。次いで、ドライウォールボードをプライマー処理し、標準塗装手順に従って表面の半分を塗装した。塗装から約24時間後、異なる寸法の釘又はアンカーを、各ドライウォールボードのスパックル領域に打ち込んだ。特定の重量の金属物体を、アンカーに吊り下げた。約2~3週間のドウェル時間の後、それぞれのアンカーの弛みの度合を目視評価した。
【0066】
上記のプロトコルを使用した最初の強度評価において、1lbの金属2個を平滑仕上げした釘に2週間吊り下げた。2週間後に、釘の顕著な弛みは認められなかった。
【0067】
上記のプロトコルを使用した第2の強度試験評価において、1lbの金属(meal)3個を、#4-6×7/8インチのリブ付プラスチックアンカーに3週間吊り下げた。3週間後に、アンカーの顕著な弛みは認められなかった。
【0068】
(実施例3~8)
実施例3~8のそれぞれの補修用コンパウンドプレミックスは、下の表4に記載の構成成分を使用したことを除き、実施例1の一般的方法を用いて作製した。下の表4に記載の構成成分は、プレミックスの構成成分である(ガラスバブルを含まない)。
【0069】
【0070】
実施例3~8の補修用コンパウンドプレミックスが凍結解凍試験に耐える能力を評価した。凍結解凍試験は、以下のプロトコルを伴う:試料を0°Fの冷凍庫内に約24時間置いた。次いで、その試料を室温に約24時間置いた。この凍結解凍プロセスを、合計5サイクル繰り返した。各凍結解凍サイクルの後で、補修用コンパウンドプレミックスを目視評価し、補修用コンパウンドが(1)固体の塊の形成/凝集の不在、(2)室温条件に解凍後の相分離、を示していないか目視評価した。固体の塊の形成又は相分離のいずれかが明らかである場合、その補修用コンパウンドプレミックス試料は、それ以上凍結解凍試験を行わず、そのサイクル後に試験不合格として記録した。実施例3~8の補修用コンパウンドで実施した凍結解凍試験の結果を、下の表5に提供する。
【0071】
【0072】
(実施例9~14)
実施例9~14のそれぞれの補修用コンパウンドは、下の表6に記載の構成成分を使用したことを除き、実施例1の一般的方法を用いて作製した。下の表6に記載の構成成分は、プレミックス(ガラスバブル添加前)の構成成分並びにプレミックスの形成後に添加されたガラスバブルの量を含む。
【0073】
【0074】
実施例9~14の補修用コンパウンドが凍結解凍試験に耐える能力を、上記の凍結解凍プロトコルを用いて評価した。実施例9~14の補修用コンパウンドで実施した凍結解凍試験の結果を、下の表7に与える。
【0075】
【0076】
実施例9~14の各補修用コンパウンドの密度、固形分(%)、及び硬度を評価した。
【0077】
固形分を測定するための試験プロトコルは、次のとおりであった:(1)オーブンを250°Fに設定する、(2)予め秤量した補修用コンパウンドの試料をオーブン内に置く;(3)オーブンをオフにする;(4)試料を一晩(約18時間)乾燥させる;及び(5)乾燥試料の重量を量る。この試験プロトコルにより、固形分(%)の計算が可能であった。
【0078】
表面硬度を測定するための試験プロトコルには、ユーザーの拳を用いて乾燥面をできるだけ強く物理的に押圧し、それによって実施例2の補修用コンパウンドの表面硬度と比較した表面硬度を評価することが含まれていた。
【0079】
補修用コンパウンドの密度、固形分(%)、及び硬度を、下の表8に与える。
【0080】
【0081】
(実施例15及び16)
実施例15及び16のそれぞれの補修用コンパウンドは、下の表9に記載の構成成分を使用したことを除き、実施例1の一般的方法を用いて作製した。下の表9に記載の構成成分は、プレミックス(ガラスバブル添加前)の構成成分並びにプレミックスの形成後に添加されたガラスバブルの量を含む。
【0082】
【0083】
実施例9~14の各補修用コンパウンドの密度、固形分(%)、及び硬度を、上記の試験プロトコルを用いて評価した。補修用コンパウンドの密度、固形分(%)、及び硬度を、下の表10に与える。
【0084】
【0085】
実施例15及び16の補修用コンパウンドの全体的性能を、以下のように評価した。それぞれ直径4.5インチの穴を有する2枚の12インチ×12インチのプラスターボードを、垂直になるように枠に取り付けた。穴をそれぞれ、実施例15及び16の補修用コンパウンドで埋めた。補修用コンパウンドを、2日間(約48時間)放置乾燥した。亀裂、収縮及び/又は垂れの証拠を目視評価した。次いで、両方の穴をサンド研磨して、そのサンド研磨性能特性を評価した。
【0086】
試験結果は次のとおりであった。実施例15及び16のいずれの補修用コンパウンドも、目視で特定できる亀裂、収縮、及び/又は垂れの証拠を示さなかった。実施例16の補修用コンパウンドは、壁の表面/色との卓越した融合を示した。実施例15の補修用コンパウンドは、壁上でわずかに目視で検知可能であったのに対し、実施例16の補修用コンパウンドは、検知することが実質的に不可能であった。実施例15及び実施例16の補修用コンパウンドはいずれも、同じ卓越した表面硬度を示した(上記の表面硬度試験プロトコルを用いて評価した)。
【0087】
実施例15及び16の補修用コンパウンドの性能を、以下のように木材表面上でも評価した。1枚の樫のボード/パネルを、1/4インチ~3/4インチの範囲の直径を有する穴を含むように、準備した。この穴に、実施例16の補修用コンパウンドを充填した。1枚の松のボード/パネルを、1/4インチ~3/4インチの範囲の直径を有する穴を含むように、準備した。この穴に、実施例16の補修用コンパウンドを充填した。補修用コンパウンドを、約2日間(48時間)放置乾燥し、その後ボード/パネル及びコンパウンドをサンドスポンジ(3M Companyから入手した粗目-細目グレード)でサンド研磨した。いずれのパネルの表面も平滑に見え、目視でわかる補修用コンパウンドの収縮はなく、目視で特定できる亀裂はなかった。
【0088】
本開示の補修用コンパウンドは、特に大きな穴の壁補修の状況において、以前のスパックル又はジョイント補修用コンパウンドと比べて著しい改善をもたらす。いくつかの実施形態において、繊維(任意選択的には、異なるモルホロジーの疎水性繊維及び親水性繊維)を適切な増粘剤(例えば、HASE型増粘剤又はその他のセルロース又は粘土を含まない増粘剤)と併用すると、望ましい擬塑性型挙動をもたらす。いくつかの実施形態において、異なる強度/粒径曲線に由来する二峰性分布の中空ガラス微小球を使用することで、補修用コンパウンドが望ましく軽量になる。
【0089】
端点による数値範囲全体の記載は、その範囲内に含まれる全ての数を含むものとする(すなわち、1~10の範囲には、例えば、1、1.5、3.33、及び10が含まれる)。
【0090】
本明細書に引用した特許、特許文献、及び特許出願は、恰もそれぞれが参照によって個
々に援用されているものと同様にして、それらの全容を参照によって援用するものである
。上記より設定される発明の概念から逸脱することなく様々な変更及び改変を行いうるこ
とは当業者には明らかであろう。したがって、本開示の範囲は本明細書に述べられる構造
に限定されるべきではない。上記の実施形態及び実施例の詳細には、本発明の基礎をなす
原理から逸脱することなく多くの変更を加えることができる点は当業者に認識されるであ
ろう。更に、本発明の様々な改良及び変更が本発明の趣旨及び範囲から逸脱せずに実施で
きることは、当業者には明らかであろう。したがって、本願の範囲は、以下の「特許請求
の範囲」及びそれと等価なものによってのみ定められるべきである。
以下、本発明の態様について説明する。
〔態様1〕
補修用コンパウンドであって、
ラテックス樹脂又は樹脂結合剤と、
増粘剤と、
繊維と、
充填剤材料と、を含み、
前記補修用コンパウンドは、擬塑性型挙動を示し、4.0lbs/gal以下の密度を有する補修用コンパウンド。
〔態様2〕
前記ラテックス樹脂又は前記樹脂結合剤は、ビニルアクリルポリマー又はコポリマー、アクリルポリマー又はコポリマー、アクリレートポリマー又はコポリマー、ポリ酢酸ビニルポリマー又はコポリマー、エチレン酢酸ビニルポリマー又はコポリマー、スチレン-ブタジエンポリマー又はコポリマー、ポリアクリルアミドポリマー又はコポリマー、天然ゴムラテックス、天然デンプン、合成デンプン、及び/又はカゼインのうちの1つである、態様1に記載の補修用コンパウンド。
〔態様3〕
前記ラテックス樹脂又は前記樹脂結合剤は、100%アクリレートである、態様1又は2に記載の補修用コンパウンド。
〔態様4〕
前記ラテックス樹脂又は前記樹脂結合剤は、樹脂ブレンドを含む、態様1~3のいずれか一項に記載の補修用コンパウンド。
〔態様5〕
前記樹脂ブレンドは、1つのラテックス樹脂と1つの非ラテックス樹脂とを含む、態様4に記載の補修用コンパウンド。
〔態様6〕
前記ラテックス樹脂又は前記樹脂結合剤は、少なくとも15のTgを有する、態様1~5のいずれか一項に記載の補修用コンパウンド。
〔態様7〕
前記ラテックス樹脂又は前記樹脂結合剤は、少なくとも25のTgを有する、態様1~6のいずれか一項に記載の補修用コンパウンド。
〔態様8〕
前記増粘剤は、親水性アルカリ膨潤性エマルションである、態様1~7のいずれか一項に記載の補修用コンパウンド。
〔態様9〕
前記増粘剤は、ポリエチレングリコール、ポリエチレンオキシド(及び/又はポリエチレンオキシド/ポリプロピレンオキシドコポリマー)、ポリビニルアルコール、アクリル酸及びアクリルアミドのようなエチレン性不飽和カルボン酸及びその誘導体のポリマー又はコポリマー、グアーガム、キサンタンガム、アルギン酸塩、トラガカントガム、ペクチン、アミロペクチン、デキストラン、ポリデキストロース、及び/又は多糖類及びこれらの誘導体の少なくとも1つを含む、態様1~8のいずれか一項に記載の補修用コンパウンド。
〔態様10〕
前記増粘剤は、約1重量%未満の量で存在する、態様1~9のいずれか一項に記載の補修用コンパウンド。
〔態様11〕
2種類の繊維を更に含む、態様1~10のいずれか一項に記載の補修用コンパウンド。
〔態様12〕
第1の繊維の種類は、1つの呼び長さを有し、第2の繊維の種類は、1つの呼び長さを有し、第1の繊維の種類の前記呼び長さは、第2の繊維の種類の前記呼び長さよりも小さい、態様11に記載の補修用コンパウンド。
〔態様13〕
第1の繊維の種類の前記呼び長さは、第2の繊維の種類の前記呼び長さの10分の1以下である、態様12に記載の補修用コンパウンド。
〔態様14〕
前記繊維は、疎水性乾燥フィブリル化ポリエチレン繊維と親水性レーヨン繊維とを含む、態様11に記載の補修用コンパウンド。
〔態様15〕
前記充填剤は、合成無機充填剤を含む、態様1~14のいずれか一項に記載の補修用コンパウンド。
〔態様16〕
より大きい合成無機充填剤粒子と、より小さい合成無機充填剤粒子との二峰性の粒径混合物を含む、態様15に記載の補修用コンパウンド。
〔態様17〕
前記より小さい粒径の合成無機充填剤粒子に対する前記より大きい粒径の合成無機充填剤粒子の粒径比は、少なくとも約5:1である、態様16に記載の補修用コンパウンド。
〔態様18〕
前記合成無機充填剤は、実質的に球形の粒子で構成される、態様15~17のいずれか一項に記載の補修用コンパウンド。
〔態様19〕
前記充填剤は、ガラスバブルである、態様15~18のいずれか一項に記載の補修用コンパウンド。
〔態様20〕
接着促進剤、活性化剤、pH調整剤、着色剤、プライマー、平滑剤、水、及び/又は防腐剤を更に含む、態様1~19のいずれか一項に記載の補修用コンパウンド。
〔態様21〕
二酸化チタンを更に含む、態様1~20のいずれか一項に記載の補修用コンパウンド。
〔態様22〕
前記二酸化チタンは、約5重量%~約20重量%の量で存在する、態様21に記載の補修用コンパウンド。
〔態様23〕
前記補修用コンパウンドは、少なくとも5サイクルの凍結/解凍安定性を有する、態様1~22のいずれか一項に記載の補修用コンパウンド。
〔態様24〕
ラテックス樹脂又は樹脂結合剤と、
増粘剤と、
更に2種類の繊維と、
ガラスバブルと、を含む補修用コンパウンド。
〔態様25〕
第1の繊維の種類は、1つの呼び長さを有し、第2の繊維の種類は、1つの呼び長さを有し、第1の繊維の種類の前記呼び長さは、第2の繊維の種類の前記呼び長さよりも小さい、態様24に記載の補修用コンパウンド。
〔態様26〕
第1の繊維の種類の前記呼び長さは、第2の繊維の種類の前記呼び長さの10分の1以下である、態様24又は25に記載の補修用コンパウンド。
〔態様27〕
前記繊維は、疎水性乾燥フィブリル化ポリエチレン繊維と親水性レーヨン繊維とを含む、態様24~26のいずれか一項に記載の補修用コンパウンド。
〔態様28〕
前記ラテックス樹脂又は前記樹脂結合剤は、ビニルアクリルポリマー又はコポリマー、アクリルポリマー又はコポリマー、アクリレートポリマー又はコポリマー、ポリ酢酸ビニルポリマー又はコポリマー、エチレン酢酸ビニルポリマー又はコポリマー、スチレン-ブタジエンポリマー又はコポリマー、ポリアクリルアミドポリマー又はコポリマー、天然ゴムラテックス、天然デンプン、合成デンプン、及び/又はカゼインのうちの1つである、態様24~27のいずれか一項に記載の補修用コンパウンド。
〔態様29〕
前記ラテックス樹脂又は前記樹脂結合剤は、100%アクリレートである、態様24~28のいずれか一項に記載の補修用コンパウンド。
〔態様30〕
前記ラテックス樹脂又は前記樹脂結合剤は、樹脂ブレンドを含む、態様24~29のいずれか一項に記載の補修用コンパウンド。
〔態様31〕
前記樹脂ブレンドは、1つのラテックス樹脂と1つの非ラテックス樹脂とを含む、態様30に記載の補修用コンパウンド。
〔態様32〕
前記ラテックス樹脂又は前記樹脂結合剤は、少なくとも15のTgを有する、態様24~31のいずれか一項に記載の補修用コンパウンド。
〔態様33〕
前記ラテックス樹脂又は前記樹脂結合剤は、少なくとも25のTgを有する、態様24~32のいずれか一項に記載の補修用コンパウンド。
〔態様34〕
前記増粘剤は、親水性アルカリ膨潤性エマルションである、態様24~33のいずれか一項に記載の補修用コンパウンド。
〔態様35〕
前記増粘剤は、ポリエチレングリコール、ポリエチレンオキシド(及び/又はポリエチレンオキシド/ポリプロピレンオキシドコポリマー)、ポリビニルアルコール、アクリル酸及びアクリルアミドのようなエチレン性不飽和カルボン酸及びその誘導体のポリマー又はコポリマー、グアーガム、キサンタンガム、アルギン酸塩、トラガカントガム、ペクチン、アミロペクチン、デキストラン、ポリデキストロース、及び/又は多糖類及びこれらの誘導体の少なくとも1つを含む、態様24~34のいずれか一項に記載の補修用コン
パウンド。
〔態様36〕
前記増粘剤は、約1重量%未満の量で存在する、態様24~35のいずれか一項に記載の補修用コンパウンド。
〔態様37〕
前記充填剤は、合成無機充填剤を含む、態様24~36のいずれか一項に記載の補修用コンパウンド。
〔態様38〕
より大きい合成無機充填剤粒子と、より小さい合成無機充填剤粒子との二峰性の粒径混合物を含む、態様37に記載の補修用コンパウンド。
〔態様39〕
前記より小さい粒径の合成無機充填剤粒子に対する前記より大きい粒径の合成無機充填剤粒子の粒径比は、少なくとも約5:1である、態様38に記載の補修用コンパウンド。
〔態様40〕
前記合成無機充填剤は、実質的に球形の粒子で構成される、態様37~39のいずれか一項に記載の補修用コンパウンド。
〔態様41〕
前記充填剤は、ガラスバブルである、態様37~40のいずれか一項に記載の補修用コンパウンド。
〔態様42〕
接着促進剤、活性化剤、pH調整剤、着色剤、プライマー、平滑剤、水、及び/又は防腐剤を更に含む、態様24~41のいずれか一項に記載の補修用コンパウンド。
〔態様43〕
二酸化チタンを更に含む、態様24~42のいずれか一項に記載の補修用コンパウンド。
〔態様44〕
前記二酸化チタンは、約5重量%~約20重量%の量で存在する、態様43に記載の補修用コンパウンド。
〔態様45〕
前記補修用コンパウンドは、少なくとも5サイクルの凍結/解凍安定性を有する、態様24~44のいずれか一項に記載の補修用コンパウンド。
〔態様46〕
前記補修用コンパウンドは、擬塑性型挙動を示し、4.0lbs/gal以下の密度を有する、態様24~44のいずれか一項に記載の補修用コンパウンド。
〔態様47〕
態様1~46のいずれか一項に記載の補修用コンパウンドと、
前記補修用コンパウンドを適用、平滑化、又は除去するためのツールと、を備えるキット。
〔態様48〕
前記キット及び/又は前記補修用コンパウンド及び/又は前記ツールを使用するための説明書を更に含む、態様47に記載のキット。
〔態様49〕
穴を補修する方法であって、
ある量の、態様1~46のいずれか一項に記載の補修用コンパウンドを得る工程と、
ある量の前記補修用コンパウンドを前記穴に適用する工程と、を含む、方法。
〔態様50〕
前記補修用コンパウンドは、パン生地様の粘稠性を有し、更に前記適用する工程は、
前記の量の前記補修用コンパウンドをユーザーの手で成形する工程と、
成形量の前記補修用コンパウンドを前記穴に押し込む工程と、を含む、態様49に記
載の方法。