(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-15
(45)【発行日】2022-01-14
(54)【発明の名称】多連式センサ
(51)【国際特許分類】
H04L 12/28 20060101AFI20220106BHJP
H04Q 9/00 20060101ALI20220106BHJP
G08C 15/00 20060101ALI20220106BHJP
G08C 19/00 20060101ALI20220106BHJP
【FI】
H04L12/28 400
H04Q9/00 311H
G08C15/00 E
G08C19/00 G
(21)【出願番号】P 2017173739
(22)【出願日】2017-09-11
【審査請求日】2020-09-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000105350
【氏名又は名称】KOA株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121083
【氏名又は名称】青木 宏義
(74)【代理人】
【識別番号】100138391
【氏名又は名称】天田 昌行
(74)【代理人】
【識別番号】100121049
【氏名又は名称】三輪 正義
(72)【発明者】
【氏名】片瀬 泰幸
【審査官】鈴木 肇
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-222788(JP,A)
【文献】特開2015-204584(JP,A)
【文献】特開平01-289335(JP,A)
【文献】特表2003-526828(JP,A)
【文献】特開2007-067922(JP,A)
【文献】特開2009-212962(JP,A)
【文献】特開2006-116084(JP,A)
【文献】特開2017-135711(JP,A)
【文献】特開平08-172681(JP,A)
【文献】特開平05-308357(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 12/00-12/955
G08C 13/00-25/04
H03J 9/00-9/06
H04Q 9/00-9/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、前記基板に配置された風を検知可能なセンサ部と、前記センサ部と電気的に接続され、前記センサ部の検知信号を処理する制御部と、前記センサ部と前記制御部を含む回路機能部の駆動電源を生成する回路電源生成部と、を有
するセンサユニットで構成され、
前記制御部は、上位装置との間で通信を行う上位通信制御部と、下位装置との間で通信を行う下位通信制御部と、を有し、
前記回路電源生成部には、降圧回路が組込まれており、前記制御部及び前記センサ部の電源が前記回路電源生成部から供給され
る前記センサユニットが、複数、通信ケーブルを介して、接続数を変動自在に接続されることを特徴とする
多連式センサ。
【請求項2】
更に、前記センサ部の検出情報を報知する報知部を有することを特徴とする請求項1に記載の
多連式センサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、センサユニット、及びそれを用いた多連式センサに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、メインユニット100と複数の通信モジュール200とがデイジーチェーン接続された通信システムが開示されている。通信モジュール同士は通信ラインにてバス接続されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1のようにバス接続の場合、センサユニットとしての各通信モジュール内部では、上位側と下位側の通信線が共通になっており、センサユニットを多連接続することで、通信品質が低下する問題があった。
【0005】
本発明は、上記問題に鑑みてなされたもので、多連接続しても、従来に比べて、通信品質の低下を抑制することができるセンサユニット、及びそれを用いた多連式センサを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明における多連式センサは、基板と、前記基板に配置された風を検知可能なセンサ部と、前記センサ部と電気的に接続され、前記センサ部の検知信号を処理する制御部と、前記センサ部と前記制御部を含む回路機能部の駆動電源を生成する回路電源生成部と、を有するセンサユニットで構成され、前記制御部は、上位装置との間で通信を行う上位通信制御部と、下位装置との間で通信を行う下位通信制御部と、を有し、前記回路電源生成部には、降圧回路が組込まれており、前記制御部及び前記センサ部の電源が前記回路電源生成部から供給される前記センサユニットが、複数、通信ケーブルを介して、接続数を変動自在に接続されることを特徴とする。
【0008】
本発明では、更に、前記センサ部の検出情報を報知する報知部を有することが好ましい。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、センサユニットを多連接続しても、従来に比べて、通信品質の低下を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1Aは、本実施形態のセンサユニットの平面図であり、
図1Bは、
図1Aに示すA-A線に沿って切断し矢印方向から見たセンサユニットの断面図である。
【
図3】本実施形態のセンサユニットを複数接続した状態を示す平面図である。
【
図4】本実施形態の多連式センサの一例を示す概念図である。
【
図5】本実施形態の多連式センサの一例を示す概念図である。
【
図6】
図6A~
図6Cは、
図1Aに示すセンサユニットと一部異なる別の実施形態のセンサユニットを示す平面図である。
【
図7】本実施形態のセンサユニットのブロック図である。
【
図8】本実施形態のセンサユニットを複数接続した際の通信線側のブロック図である。
【
図9】比較例の構成を示す通信線側のブロック図である。
【
図10】本実施形態のセンサユニットを複数接続した際の電源配線側のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の一実施の形態(以下、「実施形態」と略記する。)について、詳細に説明する。なお、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。
【0013】
図1Aは、本実施形態のセンサユニットの平面図であり、
図1Bは、
図1Aに示すA-A線に沿って切断し矢印方向から見たセンサユニットの断面図である。
【0014】
本実施形態におけるセンサユニット1は、例えば、流量センサである。
【0015】
センサユニット1は、基板2と、基板2の表面2aに配置されたセンサ部3と、センサ部3と電気的に接続された外部接続端子4、5と、センサ部3の検知情報を外部に報知する報知部6と、を有して構成される。
【0016】
図1Aに示すように、センサ部3は、基板2の表面2aの略中央に配置される。また、外部接続端子4、5は、基板2の表面2aにて、センサ部3の両側に配置される。従って、センサ部3と、外部接続端子4、5とが、基板2上にて一列に配置されている。
図1A、
図1Bに示す外部接続端子4、5は、形状や開口部4a、5aの大きさが夫々異なる。
図1A、
図1Bに示す外部接続端子4、5は、USB端子であり、例えば、外部接続端子4には、USB-Aタイプが接続され、外部接続端子5には、micro USBタイプが接続される。
【0017】
図1Aに示すように、複数の報知部6が、基板2の四隅に配置されている(ケース7は図示せず)。なお、報知部6の個数は限定されるものでなく、また、報知部6の配置箇所も限定されない。例えば、報知部6は、センサ部3の表面に重ねて設けられていてもよい。
【0018】
図1Bに示すように、センサ部3の表面はケース7に覆われている。ケース7は透明であっても非透明であってもよい。ケース7には貫通孔7aが設けられている。貫通孔7aは、センサ部3に、例えば、風を送るための穴であり、貫通孔7aを通じて、風検知を行うことが可能である。なお、ケース7は無くてもよい。或いは、センサ部3の表面を封止樹脂で覆う等の構成であってもよい。
【0019】
次に、センサ部3の構成について説明する。
図2は、センサ部3の回路図である。
図2に示すように、流量検知用抵抗素子13と、温度補償用抵抗素子14と、抵抗器16、17とでブリッジ回路18を構成している。
図2に示すように、流量検知用抵抗素子13と抵抗器16とで第1の直列回路19を構成し、温度補償用抵抗素子14と抵抗器17とで第2の直列回路20を構成している。そして、第1の直列回路19と第2の直列回路20とが、並列に接続されてブリッジ回路18を構成している。
【0020】
図2に示すように、第1の直列回路19の出力部21と、第2の直列回路20の出力部22とが、夫々、差動増幅器(アンプ)23に接続されている。ブリッジ回路18には、差動増幅器23を含めたフィードバック回路24が接続されている。フィードバック回路24には、トランジスタ(図示せず)等が含まれる。
【0021】
抵抗器16、17は、流量検知用抵抗素子13、及び温度補償用抵抗素子14よりも抵抗温度係数(TCR)が小さい。流量検知用抵抗素子13は、例えば、所定の周囲温度よりも所定値だけ高くなるように制御された加熱状態で、所定の抵抗値Rs1を有し、また、温度補償用抵抗素子14は、例えば、前記の周囲温度にて、所定の抵抗値Rs2を有するように制御されている。なお、抵抗値Rs1は、抵抗値Rs2よりも小さい。流量検知用抵抗素子13と第1の直列回路19を構成する抵抗器16は、例えば、流量検知用抵抗素子13の抵抗値Rs1と同様の抵抗値R1を有する固定抵抗器である。また、温度補償用抵抗素子14と第2の直列回路20を構成する抵抗器17は、例えば、温度補償用抵抗素子14の抵抗値Rs2と同様の抵抗値R2を有する固定抵抗器である。
【0022】
図2に示す流量検知用抵抗素子13は、
図1Bに示すセンサ部3のケース7側に配置され、温度補償用抵抗素子14は、
図1Bに示す基板2側に配置される。
【0023】
風は、
図1Bに示す貫通孔7aを通って検知面に配置された流量検知用抵抗素子13に到達する。このとき、発熱抵抗である流量検知用抵抗素子13の温度は低下するため、流量検知用抵抗素子13が接続された第1の直列回路19の出力部21の電位が変動する。これにより、差動増幅器23により差動出力が得られる。そして、フィードバック回路24では、差動出力に基づいて、流量検知用抵抗素子13に駆動電圧を印加する。そして、流量検知用抵抗素子13の加熱に要する電圧の変化に基づき、後述するマイコンにて風速を換算し出力することができる。
【0024】
なお、
図2に示すセンサ部3の回路構成は、一例であり、これに限定されるものではない。
【0025】
図3に示すように、本実施形態では、複数のセンサユニット1を、通信ケーブル8を介して接続することができる。
図3に示すように、通信ケーブル8の一方の端部が、例えば、micro USBプラグ9であり、他方の端部が、例えば、USB-Aプラグ10である。そして、micro USBプラグ9が、センサユニット1に設けられた小開口側の外部接続端子5に接続され、USB-Aプラグ10が、センサユニット1に設けられた大開口側の外部接続端子4に接続される。
【0026】
図4に示すように、複数のセンサユニット1が、通信ケーブル8により一列に接続され、その先端がホスト11に接続されている。ホスト11とは、通信を制御する装置であり、通信においてマスターとなる装置のことを意味する。ホスト11は、ノートパソコンなどコンピュータ機器、そのような機能を備えた携帯端末であって、特に形式を問わない。
【0027】
本実施形態では、複数のセンサユニット1を、デイジーチェーン型に多連に接続した多連式センサ12を構成することができる。
【0028】
また、
図5に示すように、ホスト11に設けられた複数のチャンネル11aに夫々、
図4に示した多連式センサ12を接続することができる。
図5の接続構造とすることで、多数のセンサユニット1をマトリクス状に配置することができる。
【0029】
本実施形態では、センサユニット1の接続数を限定するものでないが、センサユニット1を数個から数百個程度、接続して多連式センサ12を構成することができる。本実施形態では、各センサユニット1を通信ケーブル8を介して接続するだけでよいため、多連式センサ12のセンサ数を簡単且つ自由に増やすことができ、多連式センサ12を用いて様々なアプリケーションに適用することができる。
【0030】
多連式センサ12においては、例えば、風速を広範にわたって検知することができる。そして、各センサユニット1の風速の検知情報に基づいて、各センサユニット1の報知部6から外部に発信される態様を適宜変えることができる。例えば、報知部6は、LEDである。これにより、多連式センサ12の先端から末端にかけて風速に基づいて発光色が変化するように制御することができる。よって、多連式センサ12を、イルミネーションとして、或いは、流体の分析用等として利用者の視覚に訴えることが可能になる。
【0031】
また、本実施形態では、
図1Aに示したように、外部接続端子4、5の形状や大きさが異なるため、誤接続を防止することができる。例えば、外部接続端子5が、上位に位置するホスト11側との通信側で、外部接続端子4が、下位に位置するセンサユニット1との通信側であると定められている場合に、逆に接続するといった誤った接続を防止することができる。
【0032】
ただし、本実施形態では、
図6Aに示すように、センサユニット1に設けられる外部接続端子30、31が同一コネクタであってもよい。係る場合、誤接続を防止するためには、例えば、少なくとも一方の外部接続端子30に接続の方向を示すマーク32を設けておけばよい。例えば、マーク32が設けられた側がホスト11側(上位側)であると認識でき、誤接続を防止することが可能になる。
【0033】
なお、本実施形態では、外部接続端子30、31の接続の方向が識別可能とされていればよく、上記した外部接続端子30、31の形状や大きさを異ならせたり、マーク32を付与する以外の構成にて誤接続を防止することも可能である。
【0034】
また、
図1Aでは、センサ部3、及び外部接続端子4、5が一列に並んで配置されているが、例えば、
図6Bに示すように、各外部接続端子4、5を、センサ部3を挟んで略90°の方向に配置してもよい。
図6Bに示すセンサユニット1を、多連式センサ12の少なくとも一部に用いると、センサユニット1の並び方向を90°曲げることができる。当然のことながら、センサ部3を介した外部接続端子4、5の間の角度に応じて、センサユニット1の並び方向の変曲角度を変えることができる。
【0035】
また、
図6Cに示すように、各外部接続端子33、34が、センサ部3から見て同じ側に配置されていてもよい。
図6Cに示すセンサユニット1を多連式センサ12の少なくとも一部に用いることで、センサユニット1の並び方向を180°曲げることができる。よって、
図1Aに示す外部接続端子4、5が一列に並んだセンサユニット1と、
図6Cに示す外部接続端子33、34が同じ側に配置されたセンサユニット1とを用いることで、例えば、ホスト11のチャンネル11aが一つでも、センサユニット1がミアンダ状に並んだ多連式センサ12を構成することができる。
【0036】
次に、本実施形態のセンサユニット1の制御構造について説明する。
図7は、本実施形態のセンサユニット1のブロック図を示す。
【0037】
図7に示すように、センサユニット1は、センサ部3と、センサ部3と電気的に接続され、センサ部3の検知信号を処理する制御部としてのマイコン40と、を有して構成される。
【0038】
図7に示すように、マイコン40は、CPU41と、AD変換器(ADC)42と、入出力ポート(I/O port)43と、上位通信制御部44と、下位通信制御部45と、を有して構成される。
【0039】
このように、マイコン40には、CPU41、AD変換器42、入出力ポート43、及び、通信制御部44、45等がワンチップにて構成されている。
【0040】
センサ部3からの検知信号は、AD変換器(ADC)42にてAD変換され、CPU41にて処理される。CPU41は、センサ出力に基づいて、報知部としてのLED47の点灯制御を行なったり、センサ出力によるデータをホスト送信用メモリに書き込む等の処理を行う。その他、CPU41は、ホスト11からのコマンドに基づく処理等、各種処理を行う。
【0041】
図7に示すように、本実施形態では、通信制御部が、上位通信制御部44と下位通信制御部45とに分けられている。上位通信制御部44は、上位装置であるホスト11側のセンサユニット1、或いは、ホスト11との間で送受制御を行なう。また、下位通信制御部45は、下位装置であるセンサユニット1との間で送受制御を行なう。ここで、上位通信制御部44及び下位通信制御部45に接続される符号46の線は、通信ケーブル8(
図3参照)内の通信線46を示す。
図1Aに示す外部接続端子4、5との関係でいえば、外部接続端子5側が上位通信制御部44側であり、外部接続端子4側が下位通信制御部45側に該当する。
【0042】
本実施形態のように、上位通信制御部44と下位通信制御部45とを分ける。これにより、
図8に示すように、複数のセンサユニット1を接続して多連式センサ12を構成したときでも、隣り合うセンサユニット1間でのみ(或いは、隣接するホスト11とセンサユニット1でのみ)、コマンド送信やデータの送受信を行うことが可能になる。なお、
図8には、制御部の一部のみ図示した。また、上位装置に位置するホスト11側との通信か、下位装置に位置するセンサユニット1との通信かを認識することができる。このため、例えば、
図8に示す真ん中のセンサユニット1から上位装置側である図示左側のセンサユニット1へコマンドを送信する際に、上位通信制御部44を介して適切に、上位装置であるセンサユニット1側へコマンドを送信することが可能になる。
【0043】
このように、本実施形態では、隣接するセンサユニット1間、或いは、ホスト11とセンサユニット1間での通信になるため、通信品質を高品質に適切に保つことができる。
【0044】
また、センサユニット1が複数接続された多連式センサ12において、例えば、ホスト-流量センサA-流量センサB-流量センサC-流量センサD-流量センサEと接続されている場合、各センサ間や、ホスト-流量センサA間にて個々に通信が可能である。例えば、ホスト-流量センサA間で通信している場合に、流量センサA-流量センサB間や、流量センサB-流量センサC間でも個別に通信が可能である。よって、データの送受信に係る自由度を向上させることができる。
【0045】
一方、
図9は比較例(従来例)である。
図9に示すように、各センサユニット1に通信制御部48を一つとして、各センサユニット1をバス接続した構成では、ホストからのコマンド送信は、意図しないセンサユニット1を含めた全てのセンサユニット1に対して送信される。すなわち、ホストからのコマンド送信が、例えば、
図9に示す真ん中のセンサユニット1に対してのものであった場合でも、全てのセンサユニット1にコマンドが送信される。このため、通信が行われている間、他のコマンド通信をセンサユニット1間や、ホストとセンサユニット1間で行うことができない。また、センサユニット1の接続数が増えていくことで、末端(ホストから遠い側)のセンサユニット1に向けて、徐々にデータ信号の減衰が生じて、通信品質の悪化を招きやすい。
【0046】
また、本実施形態のセンサユニット1は、
図7に示すように、センサ部3、マイコン40、及びLED47(報知部)を含めた回路機能部50の駆動電源を生成する回路電源生成部51を有する。回路電源生成部51は、通信ケーブル8(
図3参照)内の電源配線49に接続される。
【0047】
回路電源生成部51には、降圧回路が組込まれており、回路機能部50の駆動電源を生成する。例えば、ホスト側では、AC100VをDC24VにAC/DCコンバータで変換してセンサユニット1に供給する。そして、センサユニット1では、降圧回路を有する回路電源生成部51により所定の電圧まで降圧して回路を駆動させる。このとき、搭載されるICに合わせて、例えば、5Vと3Vとに降圧する。
【0048】
一方、本実施形態の回路電源生成部51を有さない構成では、ホスト側で所定の電圧まで降圧して、例えば、センサユニット1の駆動電圧である5Vに降圧してセンサユニット1に供給する。このような構成では、多数のセンサユニット1を多連に接続すると、ホストから離れるほど電圧降下を生じ、センサユニット1の接続数を増やし過ぎたり、通信ケーブルが長すぎると、末端側のセンサユニット1を適切に駆動させることができない場合がある。
【0049】
これに対して、
図10に示すように、各センサユニット1に回路電源生成部51を設けることで、ホストから供給される電圧を十分高くしたうえで、各センサユニット1にて回路機能部50の駆動電源を個別に生成することができる。本実施形態では、回路機能部50の構成するマイコン40やセンサ部3の電源を全て回路電源生成部51から供給することができる。これにより、多連式センサ12において、電圧降下を抑制でき、各センサユニット1を適切に駆動させることができる。なお、
図10では、制御部の一部のみを図示した。
【0050】
本実施形態の特徴的構成について説明する。本実施形態のセンサユニット1は、
図7に示すように、センサ部3と、センサ部3と電気的に接続され、センサ部3の検知信号を処理するマイコン40(制御部)と、を有する。そして、マイコン40は、上位装置との間で通信を行う上位通信制御部44と、下位装置との間で通信を行う下位通信制御部45と、を有することを特徴とする。これにより、複数のセンサユニット1を多連接続しても、従来に比べて、通信品質の低下を抑制することができる。すなわち、本実施形態では、隣接するセンサユニット1間、或いは、ホスト11とセンサユニット1間での通信になるため、通信品質を適切に保つことができる。
【0051】
また、本実施形態では、
図7に示すように、更に、センサ部3とマイコン40を含む回路機能部50の駆動電源を生成する回路電源生成部51を有することが好ましい。これにより、ホスト11から供給される電圧を十分高くしたうえで、各センサユニット1にて回路機能部50の駆動電源を個別に生成することができる。本実施形態では、回路機能部50の構成するマイコン40やセンサ部3の電源を全て回路電源生成部51から供給することができる。これにより、多連式センサ12において、電圧降下を抑制でき、各センサユニット1を適切に駆動させることができる。
【0052】
また、本実施形態では、更に、センサ部3の検出情報を報知する報知部6を有することが好ましい。本実施形態では、報知部6としてLEDを例示したが、LEDに限定されるものでなく、他の発光装置であってもよい。或いは、発光するもの以外に、音声や振動等の動作にて物理量変化を報知する形態であってもよい。
【0053】
報知部6が発光する装置である場合、例えば、風速に応じて、光の強度や色を変えることができる。或いは、報知部6が音声装置である場合、例えば、風速に応じて、音声の大きさやトーンを変えたり、また、報知部6が振動装置である場合、例えば、風速に応じて、振動の大きさや振動のリズムを変えることができる。
【0054】
また、センサユニット1としては、上記ではセンサユニット1を例示したが、センサユニット1に限定するものでなく、外部の変化を捉えて電気信号に変換するものであれば、全て含まれる。温度変化、湿度変化、及び、圧力変化等の物理量変化を検出可能なセンサユニット1であることが好ましい。
【0055】
また、上記では、外部接続端子4、5としてUSB端子を例示したが、センサユニット1間で通信が可能な端子であればUSB端子に限定するものではない。
【0056】
本実施形態では、
図3、
図4及び
図5に示すように、センサユニット1を複数、外部接続端子4、5間に通信ケーブル8を介して接続した多連式センサ12を構成することができる。上記したように、本実施形態では、
図9のバス接続通信でなく、通信制御部を上位と下位の二つに分けた
図8に示す接続通信を用いるため、通信品質を高品質に適切に保つことができる。更に、本実施形態では、
図10に示す回路電源生成部51を用いて駆動電源を生成することで、電圧降下を抑制でき、先端から末端まで全てのセンサユニット1を適切に駆動させることができる。
【0057】
また、本実施形態では、多連式センサ12を用いて様々なアプリケーションに適用することができる。例えば、屋内や屋外のイルミネーションとして用いたり、風速の分析用等として用いることができる。例えば、建物や移動体に本実施形態の多連式センサ12を装着することで、広範な流体状態を簡単に分析することが可能になる。
【0058】
また、
図5のように、多連式センサ12を複数用いて、マトリクス状となるように並べることができる。これにより、風が強く当たる場所から離れるに従って徐々に風が弱まる様子や風の吹いている方向などをマトリクスの発光変化等で視覚的に捉えることが可能になる。
【産業上の利用可能性】
【0059】
本発明では、センサユニットの通信制御部を上位と下位とに分けることで、通信品質を良好な状態に適切に保つことができる。また、センサユニットに回路電源生成部を設けることで、多数のセンサユニットを多連に接続しても電圧降下を抑制でき、各センサユニットを適切に駆動させることができる。この結果、データ通信を、センサユニット間及び、センサユニットとホスト間や、上位及び下位への方向性を定めて適切に行うことができる。これにより、各センサユニットの検知情報をホストにて適切に処理でき、あるいは、ホストからコマンドを送信することができる。従って、多連式センサの用途に応じて、例えば、多連式センサの発光状態を変えてみたり、検知精度のレンジを変更したり、制御の自由度を上げることができる。以上により本発明の多連式センサを用いて様々なアプリケーションに適用することができる。
【符号の説明】
【0060】
1 :センサユニット
2 :基板
2a :表面
3 :センサ部
4、5、30、31、33、34 :外部接続端子
4a、5a :開口部
6 :報知部
7 :ケース
7a :貫通孔
8 :通信ケーブル
9 :USBプラグ
10 :USB-Aプラグ
11 :ホスト
11a :チャンネル
12 :多連式センサ
13 :流量検知用抵抗素子
14 :温度補償用抵抗素子
23 :差動増幅器
32 :マーク
40 :マイコン
41 :CPU
42 :AD変換器
43 :入出力ポート
44 :上位通信制御部
45 :下位通信制御部
46 :通信線
47 :LED
48 :通信制御部
49 :電源配線
50 :回路機能部
51 :回路電源生成部