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特許6994338電子部品搬送装置および電子部品検査装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-15
(45)【発行日】2022-01-14
(54)【発明の名称】電子部品搬送装置および電子部品検査装置
(51)【国際特許分類】
   G01R 31/26 20200101AFI20220106BHJP
【FI】
G01R31/26 Z
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2017189413
(22)【出願日】2017-09-29
(65)【公開番号】P2019066218
(43)【公開日】2019-04-25
【審査請求日】2020-04-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000005175
【氏名又は名称】藤倉コンポジット株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091292
【弁理士】
【氏名又は名称】増田 達哉
(74)【代理人】
【識別番号】100091627
【弁理士】
【氏名又は名称】朝比 一夫
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼田 冬生
(72)【発明者】
【氏名】金澤 治
【審査官】島田 保
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-161313(JP,A)
【文献】特開2002-303650(JP,A)
【文献】国際公開第03/023430(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2007/0075719(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01R 31/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子部品を検査する検査部を配置可能な検査領域と、
前記電子部品を搬送するシャトルと、
前記電子部品を前記シャトルから前記検査部へ搬送するとともに、前記検査部から前記シャトルに搬送するハンドと、を備え、
前記ハンドは、
前記電子部品を把持する把持部と、
前記把持部を移動可能に支持する支持部と、を有し、
前記把持部と前記支持部とは、互いに接して前記把持部を前記支持部に対して位置決めする凸部と凹部とをそれぞれ複数有し、
前記凸部は、球状をなし、
前記凹部は、前記把持部の移動方向と直交する方向に対して傾斜した傾斜面を有し、
前記把持部は、前記凸部と前記凹部とが離間する第1位置と、前記凸部と前記凹部とが接する第2位置とに移動可能であることを特徴とする電子部品搬送装置。
【請求項2】
電子部品を検査する検査部を配置可能な検査領域と、
前記電子部品を搬送するシャトルと、
前記電子部品を前記シャトルから前記検査部へ搬送するとともに、前記検査部から前記シャトルに搬送するハンドと、を備え、
前記ハンドは、
前記電子部品を把持する把持部と、
前記把持部を移動可能に支持する支持部と、を有し、
前記把持部と前記支持部とは、互いに接して前記把持部を前記支持部に対して位置決めする凸部と凹部とをそれぞれ複数有し、
前記凸部は、球状をなし、
前記凹部は、円錐状をなし、
前記把持部は、前記凸部と前記凹部とが離間する第1位置と、前記凸部と前記凹部とが接する第2位置とに移動可能であることを特徴とする電子部品搬送装置。
【請求項3】
前記凸部は、前記支持部に設けられ、前記凹部は、前記把持部に設けられている請求項1に記載の電子部品搬送装置。
【請求項4】
前記ハンドは、前記把持部を移動させる駆動部を有する請求項1に記載の電子部品搬送装置。
【請求項5】
前記駆動部は、作動流体の供給により前記把持部を一方向に移動させる空圧部と、前記把持部を前記一方向と反対方向に付勢する付勢部とを有する請求項に記載の電子部品搬送装置。
【請求項6】
前記把持部によって把持された前記電子部品を撮像可能な撮像部を備える請求項1に記載の電子部品搬送装置。
【請求項7】
電子部品を検査する検査部と、
前記電子部品を搬送するシャトルと、
前記電子部品を前記シャトルから前記検査部へ搬送するとともに、前記検査部から前記シャトルに搬送するハンドと、を備え、
前記ハンドは、
前記電子部品を把持する把持部と、
前記把持部を移動可能に支持する支持部と、を有し、
前記把持部と前記支持部とは、互いに接して前記把持部を前記支持部に対して位置決めする凸部と凹部とをそれぞれ複数有し、
前記凸部は、球状をなし、
前記凹部は、前記把持部の移動方向と直交する方向に対して傾斜した傾斜面を有し、
前記把持部は、前記凸部と前記凹部とが離間する第1位置と、前記凸部と前記凹部とが接する第2位置とに移動可能であることを特徴とする電子部品検査装置。
【請求項8】
電子部品を検査する検査部と、
前記電子部品を搬送するシャトルと、
前記電子部品を前記シャトルから前記検査部へ搬送するとともに、前記検査部から前記シャトルに搬送するハンドと、を備え、
前記ハンドは、
前記電子部品を把持する把持部と、
前記把持部を移動可能に支持する支持部と、を有し、
前記把持部と前記支持部とは、互いに接して前記把持部を前記支持部に対して位置決めする凸部と凹部とをそれぞれ複数有し、
前記凸部は、球状をなし、
前記凹部は、円錐状をなし、
前記把持部は、前記凸部と前記凹部とが離間する第1位置と、前記凸部と前記凹部とが接する第2位置とに移動可能であることを特徴とする電子部品検査装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子部品搬送装置および電子部品検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、例えばICデバイス等のような電子部品(部品)の電気的な試験をする試験装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。この特許文献1に記載の試験装置では、ICデバイスに対して試験を行なう際、試験装置用ハンドによってICデバイスを測定用ソケットまで搬送し、測定用ソケットに載置して、その試験を行なうよう構成されている。試験装置用ハンドは、測定用ソケットの傾きに追従してICデバイスを測定用ソケットに押圧するために揺動する揺動体と、揺動体に懸架することで配置されてX軸Y軸θ軸方向に遊動する遊動体とを備えている。揺動体は、揺動部本体を揺動させるための膜状弾性部材である例えばゴム膜を有している。そして、空気の供給によりゴム膜が変形して、この変形により遊動体は、X軸Y軸θ軸方向に遊動可能な状態となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2003-262660号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の試験装置では、試験装置用ハンドは、例えば、ICデバイスを測定用ソケットに押し付けたときや、ICデバイスを搬送しようとして加速したときに、遊動体が揺動体に対して位置がずれるおそれがあった。仮にこの位置ずれが生じた場合、ICデバイスと測定用ソケットとが導電可能に接触されず、試験を正確に行なうのが困難となるおそれがある。
【0005】
また、カメラ(撮像部)を搭載して、このカメラにより位置ずれを検出し、この検出結果に応じて、圧電素子(ピエゾ素子)で位置ずれを補正する構成も考えられている。しかしながら、この構成も、補正後に位置ずれが生じてしまうと、特許文献1に記載の試験装置と同様に、ICデバイスと測定用ソケットとが導電可能に接触されず、結果、試験を正確に行なうのが困難となるおそれがある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下のものとして実現することが可能である。
【0007】
本発明の電子部品搬送装置は、電子部品を検査する検査部を配置可能な検査領域と、
前記電子部品を搬送するシャトルと、
前記電子部品を前記シャトルから前記検査部へ搬送するとともに、前記検査部から前記シャトルに搬送するハンドと、を備え、
前記ハンドは、
前記電子部品を把持する把持部と、
前記把持部を移動可能に支持する支持部と、を有し、
前記把持部と前記支持部とは、互いに接して前記把持部を前記支持部に対して位置決めする凸部と凹部とをそれぞれ複数有し、
前記凸部は、球状をなし、
前記凹部は、前記把持部の移動方向と直交する方向に対して傾斜した傾斜面を有し、
前記把持部は、前記凸部と前記凹部とが離間する第1位置と、前記凸部と前記凹部とが接する第2位置とに移動可能であることを特徴とする。
【0008】
これにより、把持部を支持部に対して正確に位置決めする位置決め部を、複数の凸部と凹部とで簡単に構成することができる。そして、この位置決め部による位置決め状態では、ハンドが移動しようとして加速したときに、電子部品を把持した把持部に慣性力が作用しても、この把持部が支持部に対して位置がずれるのを防止することができる。これにより、例えば電子部品に対して電気的な検査を行なう場合、その検査が実行可能な検査部と、電子部品とを導電可能に接触させることができ、よって、電子部品に対する検査を正確に行なうことができる。
【0009】
本発明の電子部品搬送装置は、電子部品を検査する検査部を配置可能な検査領域と、
前記電子部品を搬送するシャトルと、
前記電子部品を前記シャトルから前記検査部へ搬送するとともに、前記検査部から前記シャトルに搬送するハンドと、を備え、
前記ハンドは、
前記電子部品を把持する把持部と、
前記把持部を移動可能に支持する支持部と、を有し、
前記把持部と前記支持部とは、互いに接して前記把持部を前記支持部に対して位置決めする凸部と凹部とをそれぞれ複数有し、
前記凸部は、球状をなし、
前記凹部は、円錐状をなし、
前記把持部は、前記凸部と前記凹部とが離間する第1位置と、前記凸部と前記凹部とが接する第2位置とに移動可能であることを特徴とする。
【0010】
これにより、把持部を支持部に対して正確に位置決めする位置決め部を、複数の凸部と凹部とで簡単に構成することができる。そして、この位置決め部による位置決め状態では、ハンドが移動しようとして加速したときに、電子部品を把持した把持部に慣性力が作用しても、この把持部が支持部に対して位置がずれるのを防止することができる。これにより、例えば電子部品に対して電気的な検査を行なう場合、その検査が実行可能な検査部と、電子部品とを導電可能に接触させることができ、よって、電子部品に対する検査を正確に行なうことができる。
【0013】
本発明の電子部品搬送装置では、前記凸部は、前記支持部に設けられ、前記凹部は、前記把持部に設けられているのが好ましい。
【0014】
これにより、例えば凸部を支持部とは別体で構成する場合、凸部を、移動する把持部よりも、支持部に安定して容易に配置することができる。
【0015】
本発明の電子部品搬送装置では、前記ハンドは、前記把持部を移動させる駆動部を有するのが好ましい。
これにより、把持部を所望のタイミングで移動させることができる。
【0016】
本発明の電子部品搬送装置では、前記駆動部は、作動流体の供給により前記把持部を一方向に移動させる空圧部と、前記把持部を前記一方向と反対方向に付勢する付勢部とを有するのが好ましい。
【0017】
これにより、駆動部は、作動流体の供給と停止とを切り換えるという簡単な構成で、把持部を安定して移動させることができる。
【0018】
本発明の電子部品搬送装置では、前記把持部によって把持された前記電子部品を撮像可能な撮像部を備えるのが好ましい。
【0019】
これにより、撮像結果に応じて、ハンド(把持部)の位置および姿勢を調整する(補正する)ことができる。例えば、電子部品に対する電気的な検査を検査部で行なう場合、電子部品と検査部とを導電可能に接触させることができ、よって、電子部品に対する検査を正確に行なうことができる。
【0020】
本発明の電子部品検査装置は、電子部品を検査する検査部と、
前記電子部品を搬送するシャトルと、
前記電子部品を前記シャトルから前記検査部へ搬送するとともに、前記検査部から前記シャトルに搬送するハンドと、を備え、
前記ハンドは、
前記電子部品を把持する把持部と、
前記把持部を移動可能に支持する支持部と、を有し、
前記把持部と前記支持部とは、互いに接して前記把持部を前記支持部に対して位置決めする凸部と凹部とをそれぞれ複数有し、
前記凸部は、球状をなし、
前記凹部は、前記把持部の移動方向と直交する方向に対して傾斜した傾斜面を有し、
前記把持部は、前記凸部と前記凹部とが離間する第1位置と、前記凸部と前記凹部とが接する第2位置とに移動可能であることを特徴とする。
【0021】
これにより、把持部を支持部に対して正確に位置決めする位置決め部を、複数の凸部と凹部とで簡単に構成することができる。そして、この位置決め部による位置決め状態では、ハンドが移動しようとして加速したときに、電子部品を把持した把持部に慣性力が作用しても、この把持部が支持部に対して位置がずれるのを防止することができる。これにより、例えば電子部品に対して電気的な検査を行なう場合、その検査が実行可能な検査部と、電子部品とを導電可能に接触させることができ、よって、電子部品に対する検査を正確に行なうことができる。
【0022】
また、検査部に電子部品を搬送することができ、よって、当該電子部品に対する検査を検査部で行なうことができる。また、検査後の電子部品を検査部から搬送することができる。
【0023】
本発明の電子部品検査装置は、電子部品を検査する検査部と、
前記電子部品を搬送するシャトルと、
前記電子部品を前記シャトルから前記検査部へ搬送するとともに、前記検査部から前記シャトルに搬送するハンドと、を備え、
前記ハンドは、
前記電子部品を把持する把持部と、
前記把持部を移動可能に支持する支持部と、を有し、
前記把持部と前記支持部とは、互いに接して前記把持部を前記支持部に対して位置決めする凸部と凹部とをそれぞれ複数有し、
前記凸部は、球状をなし、
前記凹部は、円錐状をなし、
前記把持部は、前記凸部と前記凹部とが離間する第1位置と、前記凸部と前記凹部とが接する第2位置とに移動可能であることを特徴とする。
【0024】
これにより、把持部を支持部に対して正確に位置決めする位置決め部を、複数の凸部と凹部とで簡単に構成することができる。そして、この位置決め部による位置決め状態では、ハンドが移動しようとして加速したときに、電子部品を把持した把持部に慣性力が作用しても、この把持部が支持部に対して位置がずれるのを防止することができる。これにより、例えば電子部品に対して電気的な検査を行なう場合、その検査が実行可能な検査部と、電子部品とを導電可能に接触させることができ、よって、電子部品に対する検査を正確に行なうことができる。
【0025】
また、検査部に電子部品を搬送することができ、よって、当該電子部品に対する検査を検査部で行なうことができる。また、検査後の電子部品を検査部から搬送することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1図1は、本発明の電子部品検査装置(第1実施形態)を正面側から見た概略斜視図である。
図2図2は、図1に示す電子部品検査装置の動作状態を示す概略平面図である。
図3図3は、図1に示す電子部品検査装置の検査領域に配置されたデバイス搬送ヘッドの垂直断面側面図である。
図4図4は、図1に示す電子部品検査装置の検査領域に配置されたデバイス搬送ヘッドの垂直断面側面図である。
図5図5は、図1に示す電子部品検査装置の検査領域内でのデバイス搬送ヘッドの動作を順に示す垂直断面側面図である。
図6図6は、図1に示す電子部品検査装置の検査領域内でのデバイス搬送ヘッドの動作を順に示す垂直断面側面図である。
図7図7は、図1に示す電子部品検査装置の検査領域内でのデバイス搬送ヘッドの動作を順に示す垂直断面側面図である。
図8図8は、図1に示す電子部品検査装置の検査領域内でのデバイス搬送ヘッドの動作を順に示す垂直断面側面図である。
図9図9は、図1に示す電子部品検査装置の検査領域内でのデバイス搬送ヘッドの動作を順に示す垂直断面側面図である。
図10図10は、図1に示す電子部品検査装置の検査領域内でのデバイス搬送ヘッドの動作を順に示す垂直断面側面図である。
図11図11は、図1に示す電子部品検査装置の検査領域内でのデバイス搬送ヘッドの動作を順に示す垂直断面側面図である。
図12図12は、図1に示す電子部品検査装置の検査領域内でのデバイス搬送ヘッドの動作を順に示す垂直断面側面図である。
図13図13は、図1に示す電子部品検査装置の検査領域内でのデバイス搬送ヘッドの動作を順に示す垂直断面側面図である。
図14図14は、図1に示す電子部品検査装置の検査領域内でのデバイス搬送ヘッドの動作を順に示す垂直断面側面図である。
図15図15は、図1に示す電子部品検査装置の検査領域内でのデバイス搬送ヘッドの動作を順に示す垂直断面側面図である。
図16図16は、図4に示すデバイス搬送ヘッドの平面図である。
図17図17は、本発明の電子部品検査装置(第2実施形態)の検査領域に配置されたデバイス搬送ヘッドの垂直断面側面図である。
図18図18は、図17中のA-A線断面図である。
図19図19は、図17中の矢印B方向から見た図(平面図)である。
図20図20は、本発明の電子部品検査装置(第3実施形態)の検査領域に配置されたデバイス搬送ヘッドの平面図である。
図21図21は、本発明の電子部品検査装置(第4実施形態)の検査領域に配置されたデバイス搬送ヘッドの平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の電子部品搬送装置および電子部品検査装置を添付図面に示す好適な実施形態に基づいて詳細に説明する。
【0028】
<第1実施形態>
以下、図1図16を参照して、本発明の電子部品搬送装置および電子部品検査装置の第1実施形態について説明する。なお、以下では、説明の便宜上、図1に示すように、互いに直交する3軸をX軸、Y軸およびZ軸とする。また、X軸とY軸を含むXY平面が水平となっており、Z軸が鉛直となっている。また、X軸に平行な方向を「X方向(第1の方向)」とも言い、Y軸に平行な方向を「Y方向(第2の方向)」とも言い、Z軸に平行な方向を「Z方向(第3の方向)」とも言う。また、各方向の矢印が向いた方向を「正」、その反対方向を「負」と言う。また、本願明細書で言う「水平」とは、完全な水平に限定されず、電子部品の搬送が阻害されない限り、水平に対して若干(例えば5°未満程度)傾いた状態も含む。また、図1および図3図15中(図17および図18についても同様)の上側、すなわち、Z軸方向正側を「上」または「上方」、下側、すなわち、Z軸方向負側を「下」または「下方」と言うことがある。
【0029】
本発明の電子部品搬送装置10は、図1に示す外観を有するものである。この本発明の電子部品搬送装置10は、ハンドラーであり、電子部品を検査する検査部16を配置可能な検査領域A3と、電子部品を搬送するデバイス供給部14(シャトル)およびデバイス回収部18(シャトル)と、電子部品をデバイス供給部14から検査部16へ搬送するとともに、検査部16からデバイス回収部18に搬送するハンドユニット3(ハンド)と、を備えている。ハンドユニット3(ハンド)は、電子部品を把持する把持部4と、把持部4を移動可能に支持する支持部5と、を有している。また、把持部4と支持部5とは、互いに接して把持部4を支持部5に対して位置決めする凸部55と凹部45とをそれぞれ複数有する。また、凸部55は、球状をなし、凹部45は、把持部4の移動方向と直交する方向に対して傾斜した傾斜面451を有する。
【0030】
これにより、後述するように、電子部品搬送装置10では、複数対の凸部55と凹部45とで位置決め部8を構成しており、位置決め部8が簡単な構成となっている。また、この位置決め部8により、把持部4を支持部5に対して正確に位置決めすることができる。
【0031】
また、位置決め状態では、例えば図9図10に示すように、ハンドユニット3がY軸方向正側に移動しようとして加速したときに、電子部品を把持した把持部4に慣性力が作用しても、この把持部4が支持部5に対して位置がずれるのを防止することができる。これにより、電子部品と、後述する検査部16とを導電可能に接触させることができ、よって、電子部品に対する検査を正確に行なうことができる。
【0032】
また、図2に示すように、本発明の電子部品検査装置1は、電子部品搬送装置10を有し、さらに、電子部品を検査する検査部16を有する。すなわち、本発明の電子部品検査装置1は、電子部品を検査する検査部16と、電子部品を搬送するデバイス供給部14(シャトル)およびデバイス回収部18(シャトル)と、電子部品をデバイス供給部14から検査部16へ搬送するとともに、検査部16からデバイス回収部18に搬送するハンドユニット3(ハンド)と、を備えている。ハンドユニット3(ハンド)は、電子部品を把持する把持部4と、把持部4を移動可能に支持する支持部5と、を有している。また、把持部4と支持部5とは、互いに接して把持部4を支持部5に対して位置決めする凸部55と凹部45とをそれぞれ複数有する。また、凸部55は、球状をなし、凹部45は、把持部4の移動方向と直交する方向に対して傾斜した傾斜面451を有する。
【0033】
これにより、前述した電子部品搬送装置10の利点を持つ電子部品検査装置1が得られる。また、検査部16にまで電子部品を搬送することができ、よって、当該電子部品に対する検査を検査部16で行なうことができる。また、検査後の電子部品を検査部16から搬送することもできる。
【0034】
以下、各部の構成について詳細に説明する。
図1図2に示すように、電子部品搬送装置10を有する電子部品検査装置1は、例えばBGA(Ball Grid Array)パッケージであるICデバイス等の電子部品を搬送し、その搬送過程で電子部品の電気的特性を検査・試験(以下単に「検査」と言う)する装置である。なお、以下では、説明の便宜上、前記電子部品としてICデバイスを用いる場合について代表して説明し、これを「ICデバイス90」とする。ICデバイス90は、本実施形態では平板状をなすものとなっている。また、ICデバイス90は、その下面に、平面視でマトリックス状に配置された複数の端子(電子部品側端子)902を有している。各端子902は、半球状をなしている。
【0035】
なお、ICデバイスとしては、前記のものの他に、例えば、「LSI(Large Scale Integration)」「CMOS(Complementary MOS)」「CCD(Charge Coupled Device)」や、ICデバイスを複数モジュールパッケージ化した「モジュールIC」、また、「水晶デバイス」、「圧力センサー」、「慣性センサー(加速度センサー)」、「ジャイロセンサー」、「指紋センサー」等が挙げられる。
【0036】
電子部品検査装置1(電子部品搬送装置10)は、トレイ供給領域A1と、デバイス供給領域A2と、検査領域A3と、デバイス回収領域A4と、トレイ除去領域A5とを備え、これらの領域は、後述するように各壁部で分けられている。そして、ICデバイス90は、トレイ供給領域A1からトレイ除去領域A5まで前記各領域を矢印α90方向に順に経由し、途中の検査領域A3で検査が行われる。このように電子部品検査装置1は、各領域を経由するようにICデバイス90を搬送する搬送部25を有する電子部品搬送装置10と、検査領域A3内で検査を行なう検査部16と、制御部800とを備えたものとなっている。また、その他、電子部品検査装置1は、モニター300と、シグナルランプ400と、操作パネル700とを備えている。
【0037】
なお、電子部品検査装置1は、トレイ供給領域A1、トレイ除去領域A5が配された方、すなわち、図2中の下側が正面側となり、検査領域A3が配された方、すなわち、図2中の上側が背面側として使用される。
【0038】
また、電子部品検査装置1は、ICデバイス90の種類ごとに交換される「チェンジキット」と呼ばれるものを予め搭載して用いられる。このチェンジキットには、ICデバイス90(電子部品)が載置される載置部(電子部品載置部)がある。本実施形態の電子部品検査装置1では、この載置部は、複数の箇所に設置されており、例えば、後述する温度調整部12と、デバイス供給部14と、デバイス回収部18とがある。また、ICデバイス90(電子部品)が載置される載置部(電子部品載置部)には、前記のようなチェンジキットとは別に、ユーザーが用意するトレイ200と、回収用トレイ19と、その他、検査部16もある。
【0039】
トレイ供給領域A1は、未検査状態の複数のICデバイス90が配列されたトレイ200が供給される給材部である。トレイ供給領域A1は、トレイ200を複数積み重ねて搭載可能な搭載領域と言うこともできる。なお、本実施形態では、各トレイ200には、複数の凹部(ポケット)が行列状に配置されている。各凹部には、ICデバイス90を1つずつ収納、載置することができる。
【0040】
デバイス供給領域A2は、トレイ供給領域A1から搬送されたトレイ200上の複数のICデバイス90がそれぞれ検査領域A3まで搬送、供給される領域である。なお、トレイ供給領域A1とデバイス供給領域A2とを跨ぐように、トレイ200を1枚ずつ水平方向に搬送するトレイ搬送機構11A、11Bが設けられている。トレイ搬送機構11Aは、搬送部25の一部であり、トレイ200を、当該トレイ200に載置されたICデバイス90ごとY方向の正側、すなわち、図2中の矢印α11A方向に移動させることができる。これにより、ICデバイス90を安定してデバイス供給領域A2に送り込むことができる。また、トレイ搬送機構11Bは、空のトレイ200をY方向の負側、すなわち、図2中の矢印α11B方向に移動させることができる移動部である。これにより、空のトレイ200をデバイス供給領域A2からトレイ供給領域A1に移動させることができる。
【0041】
デバイス供給領域A2には、温度調整部(ソークプレート(英語表記:soak plate、中国語表記(一例):均温板))12と、デバイス搬送ヘッド13と、トレイ搬送機構15とが設けられている。また、デバイス供給領域A2と検査領域A3とを跨ぐように移動するデバイス供給部14も設けられている。
【0042】
温度調整部12は、複数のICデバイス90が載置される載置部であり、当該載置されたICデバイス90を一括して加熱または冷却することができる「ソークプレート」と呼ばれる。このソークプレートにより、検査部16で検査される前のICデバイス90を予め加熱または冷却して、当該検査(高温検査や低温検査)に適した温度に調整することができる。
【0043】
このような載置部としての温度調整部12は、固定されている。これにより、当該温度調整部12上でのICデバイス90に対して安定して温度調整することができる。
また、温度調整部12は、グランドされて(接地されて)いる。
【0044】
図2に示す構成では、温度調整部12は、Y方向に2つ配置、固定されている。そして、トレイ搬送機構11Aによってトレイ供給領域A1から搬入されたトレイ200上のICデバイス90は、いずれかの温度調整部12まで搬送される。
【0045】
デバイス搬送ヘッド13は、ICデバイス90を把持するものであり、デバイス供給領域A2内でX方向およびY方向に移動可能に支持され、さらにZ方向にも移動可能に支持されている。このデバイス搬送ヘッド13は、搬送部25の一部でもあり、トレイ供給領域A1から搬入されたトレイ200と温度調整部12との間のICデバイス90の搬送と、温度調整部12と後述するデバイス供給部14との間のICデバイス90の搬送とを担うことができる。なお、図2中では、デバイス搬送ヘッド13のX方向の移動を矢印α13Xで示し、デバイス搬送ヘッド13のY方向の移動を矢印α13Yで示している。
【0046】
デバイス供給部14は、温度調整部12で温度調整されたICデバイス90が載置される載置部であり、当該ICデバイス90を検査部16近傍まで搬送することができる「供給用シャトルプレート」または単に「供給シャトル」と呼ばれるものである。このデバイス供給部14も、搬送部25の一部となり得る。このデバイス供給部14は、ICデバイス90が収納、載置される凹部(ポケット)141を有している(例えば図5参照)。
【0047】
また、載置部としてのデバイス供給部14は、デバイス供給領域A2と検査領域A3との間をX方向、すなわち、矢印α14方向に沿って往復移動可能(移動可能)に支持されている。これにより、デバイス供給部14は、ICデバイス90をデバイス供給領域A2から検査領域A3の検査部16近傍まで安定して搬送することができ、また、検査領域A3でICデバイス90がデバイス搬送ヘッド17(ハンドユニット3)によって取り去られた後は再度デバイス供給領域A2に戻ることができる。
【0048】
図2に示す構成では、デバイス供給部14は、Y方向に2つ配置されており、Y方向負側のデバイス供給部14を「デバイス供給部14A」と言い、Y方向正側のデバイス供給部14を「デバイス供給部14B」と言うことがある。そして、温度調整部12上のICデバイス90は、デバイス供給領域A2内でデバイス供給部14Aまたはデバイス供給部14Bまで搬送される。また、デバイス供給部14は、温度調整部12と同様に、当該デバイス供給部14に載置されたICデバイス90を加熱または冷却可能に構成されている。これにより、温度調整部12で温度調整されたICデバイス90に対して、その温度調整状態を維持して、検査領域A3の検査部16近傍まで搬送することができる。また、デバイス供給部14も、温度調整部12と同様に、グランドされている。
【0049】
トレイ搬送機構15は、全てのICデバイス90が除去された状態の空のトレイ200をデバイス供給領域A2内でX方向の正側、すなわち、矢印α15方向に搬送する機構である。そして、この搬送後、空のトレイ200は、トレイ搬送機構11Bによってデバイス供給領域A2からトレイ供給領域A1に戻される。
【0050】
検査領域A3は、ICデバイス90を検査する領域である。この検査領域A3には、ICデバイス90に対して検査を行なう検査部16と、デバイス搬送ヘッド17とが設けられている。
【0051】
デバイス搬送ヘッド17は、搬送部25の一部であり、温度調整部12と同様に、把持したICデバイス90を加熱または冷却可能に構成されている。このデバイス搬送ヘッド17は、後述するように、ICデバイス90(電子部品)を把持するハンドユニット3を有している。これにより、前記温度調整状態が維持されたICデバイス90を把持して、前記温度調整状態を維持したまま、ICデバイス90を検査領域A3内で搬送することができる。
【0052】
このようなデバイス搬送ヘッド17は、検査領域A3内でY方向およびZ方向に往復移動可能に支持され、「インデックスアーム」と呼ばれる機構の一部となっている。これにより、デバイス搬送ヘッド17は、デバイス供給領域A2から搬入されたデバイス供給部14から、ICデバイス90を持ち上げて、検査部16上に搬送し、載置することができる。
【0053】
なお、図2中では、デバイス搬送ヘッド17のY方向の往復移動を矢印α17Yで示している。また、デバイス搬送ヘッド17は、Y方向に往復移動可能に支持されているが、これに限定されず、X方向にも往復移動可能に支持されていてもよい。また、図2に示す構成では、デバイス搬送ヘッド17は、Y方向に2つ配置されており、Y方向負側のデバイス搬送ヘッド17を「デバイス搬送ヘッド17A」と言い、Y方向正側のデバイス搬送ヘッド17を「デバイス搬送ヘッド17B」と言うことがある。デバイス搬送ヘッド17Aは、検査領域A3内で、ICデバイス90のデバイス供給部14Aから検査部16への搬送を担うことができ、デバイス搬送ヘッド17Bは、検査領域A3内で、ICデバイス90のデバイス供給部14Bから検査部16への搬送を担うことができる。
【0054】
検査部16(ソケット)は、電子部品であるICデバイス90を載置して、当該ICデバイス90の電気的特性を検査する載置部(電子部品載置部)である。この検査部16は、ICデバイス90が収納、載置される凹部(ポケット)161を有し、その凹部161の底部に、複数のプローブピン(載置部側端子)162が設けられている(例えば図5参照)。そして、ICデバイス90の端子902とプローブピン162とが導電可能に接続される、すなわち、接触することにより、ICデバイス90の検査を行なうことができる。ICデバイス90の検査は、検査部16に接続されるテスターが備える検査制御部に記憶されているプログラムに基づいて行われる。なお、プローブピン162の上端部の形状は、端子902の形状に適合しており、本実施形態では、半球状の端子902に適合した王冠状をなしている(例えば図5参照)。
【0055】
このような検査部16は、温度調整部12と同様に、ICデバイス90を加熱または冷却して、当該ICデバイス90を検査に適した温度に調整することができる。
【0056】
また、図5図14に示すように、電子部品検査装置1(電子部品搬送装置10)は、デバイス搬送ヘッド17(ハンドユニット3)の把持部4によって把持されたICデバイス90(電子部品)を撮像可能な撮像部26を備えている。この撮像部26は、検査領域A3には、配置、固定されている。撮像部26は、検査部16と、検査領域A3内で停止したデバイス供給部14(またはデバイス回収部18)との間に位置する。前述したように、デバイス供給部14には、デバイス供給部14Aとデバイス供給部14Bとがある。従って、撮像部26は、検査部16とデバイス供給部14Aとの間に位置するものと、検査部16とデバイス供給部14Bとの間に位置するものとがある。以下では、代表的に、デバイス供給部14A(デバイス回収部18A)側の撮像部26について説明する。
【0057】
撮像部26は、例えばCCD(Charge Coupled Devices)カメラや3次元カメラ等の各種カメラで構成されている。撮像部26は、その撮像方向が上方を向いており、ハンドユニット3によって把持されたICデバイス90(図9参照)を撮像することができる。この撮像結果に応じて、ハンドユニット3の位置および姿勢を調整して(補正して)、ICデバイス90の各端子902と、各端子902に対応する検査部16のプローブピン162とを導電可能に接触させることができる(図11参照)。これにより、ICデバイス90に対する検査を正確に行なうことができる。
【0058】
なお、ハンドユニット3の位置および姿勢を調整する方法としては、特に限定されず、例えば、ハンドユニット3に圧電素子(ピエゾ素子)を搭載して、この圧電素子の駆動により行なう方法が挙げられる。圧電素子は、交流電圧を印加することにより、その長手方向に伸縮する。そして、この伸縮動作を利用して、ハンドユニット3をX軸方向やY軸方向に移動さたり、ハンドユニット3をZ軸回りに回動させたりすることができる。これにより、ハンドユニット3の位置や姿勢が調整される。圧電素子の構成材料としては、特に限定されず、チタン酸ジルコニウム酸鉛(PZT)、水晶、ニオブ酸リチウム、チタン酸バリウム、チタン酸鉛、メタニオブ酸鉛、ポリフッ化ビニリデン、亜鉛ニオブ酸鉛、スカンジウムニオブ酸鉛等の各種のものを用いることができる。
【0059】
デバイス回収領域A4は、検査領域A3で検査され、その検査が終了した複数のICデバイス90が回収される領域である。このデバイス回収領域A4には、回収用トレイ19と、デバイス搬送ヘッド20と、トレイ搬送機構21とが設けられている。また、検査領域A3とデバイス回収領域A4とを跨ぐように移動するデバイス回収部18も設けられている。また、デバイス回収領域A4には、空のトレイ200も用意されている。
【0060】
デバイス回収部18は、検査部16で検査が終了したICデバイス90が載置され、当該ICデバイス90をデバイス回収領域A4まで搬送することができる載置部であり、「回収用シャトルプレート」または単に「回収シャトル」と呼ばれる。このデバイス回収部18も、搬送部25の一部となり得る。このデバイス回収部18は、ICデバイス90が収納、載置される凹部(ポケット)181を有している(例えば図11参照)。
【0061】
また、デバイス回収部18は、検査領域A3とデバイス回収領域A4との間をX方向、すなわち、矢印α18方向に沿って往復移動可能に支持されている。また、図2に示す構成では、デバイス回収部18は、デバイス供給部14と同様に、Y方向に2つ配置されており、Y方向負側のデバイス回収部18を「デバイス回収部18A」と言い、Y方向正側のデバイス回収部18を「デバイス回収部18B」と言うことがある。そして、検査部16上のICデバイス90は、デバイス回収部18Aまたはデバイス回収部18Bに搬送され、載置される。なお、ICデバイス90の検査部16からデバイス回収部18Aへの搬送は、デバイス搬送ヘッド17Aが担い、検査部16からデバイス回収部18Bへの搬送は、デバイス搬送ヘッド17Bが担う。また、デバイス回収部18も、温度調整部12やデバイス供給部14と同様に、グランドされている。
【0062】
回収用トレイ19は、検査部16で検査されたICデバイス90が載置される載置部であり、デバイス回収領域A4内で移動しないよう固定されている。これにより、デバイス搬送ヘッド20等の各種可動部が比較的多く配置されたデバイス回収領域A4であっても、回収用トレイ19上では、検査済みのICデバイス90が安定して載置されることとなる。なお、図2に示す構成では、回収用トレイ19は、X方向に沿って3つ配置されている。
【0063】
また、空のトレイ200も、X方向に沿って3つ配置されている。この空のトレイ200も、検査部16で検査されたICデバイス90が載置される載置部となる。そして、デバイス回収領域A4に移動してきたデバイス回収部18上のICデバイス90は、回収用トレイ19および空のトレイ200のうちのいずれかに搬送され、載置される。これにより、ICデバイス90は、検査結果ごとに分類されて、回収されることとなる。
【0064】
デバイス搬送ヘッド20は、デバイス回収領域A4内でX方向およびY方向に移動可能に支持され、さらにZ方向にも移動可能な部分を有している。このデバイス搬送ヘッド20は、搬送部25の一部であり、ICデバイス90をデバイス回収部18から回収用トレイ19や空のトレイ200に搬送することができる。なお、図2中では、デバイス搬送ヘッド20のX方向の移動を矢印α20Xで示し、デバイス搬送ヘッド20のY方向の移動を矢印α20Yで示している。
【0065】
トレイ搬送機構21は、トレイ除去領域A5から搬入された空のトレイ200をデバイス回収領域A4内でX方向、すなわち、矢印α21方向に搬送する機構である。そして、この搬送後、空のトレイ200は、ICデバイス90が回収される位置に配されることとなる、すなわち、前記3つの空のトレイ200のうちのいずれかとなり得る。
【0066】
トレイ除去領域A5は、検査済み状態の複数のICデバイス90が配列されたトレイ200が回収され、除去される除材部である。トレイ除去領域A5では、多数のトレイ200を積み重ねることができる。
【0067】
また、デバイス回収領域A4とトレイ除去領域A5とを跨ぐように、トレイ200を1枚ずつY方向に搬送するトレイ搬送機構22A、トレイ搬送機構22Bが設けられている。トレイ搬送機構22Aは、搬送部25の一部であり、トレイ200をY方向、すなわち、矢印α22A方向に往復移動させることができる移動部である。これにより、検査済みのICデバイス90をデバイス回収領域A4からトレイ除去領域A5に搬送することができる。また、トレイ搬送機構22Bは、ICデバイス90を回収するための空のトレイ200をY方向の正側、すなわち、矢印α22B方向に移動させることができる。これにより、空のトレイ200をトレイ除去領域A5からデバイス回収領域A4に移動させることができる。
【0068】
制御部800は、例えば、トレイ搬送機構11Aと、トレイ搬送機構11Bと、温度調整部12と、デバイス搬送ヘッド13と、デバイス供給部14と、トレイ搬送機構15と、検査部16と、デバイス搬送ヘッド17と、デバイス回収部18と、デバイス搬送ヘッド20と、トレイ搬送機構21と、トレイ搬送機構22Aと、トレイ搬送機構22Bの作動を制御することができる。
【0069】
オペレーターは、モニター300を介して、電子部品検査装置1の動作条件等を設定したり、確認したりすることができる。このモニター300は、例えば液晶画面で構成された表示画面301を有し、電子部品検査装置1の正面側上部に配置されている。図1に示すように、トレイ除去領域A5の図中の右側には、マウスを載置するマウス台600が設けられている。このマウスは、モニター300に表示された画面を操作する際に用いられる。
【0070】
また、モニター300に対して図1の右下方には、操作パネル700が配置されている。操作パネル700は、モニター300とは別に、電子部品検査装置1に所望の動作を命令するものである。
【0071】
また、シグナルランプ400は、発光する色の組み合わせにより、電子部品検査装置1の作動状態等を報知することができる。シグナルランプ400は、電子部品検査装置1の上部に配置されている。なお、電子部品検査装置1には、スピーカー500が内蔵されており、このスピーカー500によっても電子部品検査装置1の作動状態等を報知することもできる。
【0072】
電子部品検査装置1は、トレイ供給領域A1とデバイス供給領域A2との間が第1隔壁231によって区切られており、デバイス供給領域A2と検査領域A3との間が第2隔壁232によって区切られており、検査領域A3とデバイス回収領域A4との間が第3隔壁233によって区切られており、デバイス回収領域A4とトレイ除去領域A5との間が第4隔壁234によって区切られている。また、デバイス供給領域A2とデバイス回収領域A4との間も、第5隔壁235によって区切られている。
【0073】
電子部品検査装置1は、最外装がカバーで覆われており、当該カバーには、例えばフロントカバー241、サイドカバー242、サイドカバー243、リアカバー244、トップカバー245がある。
【0074】
図3および図4に示すように、デバイス搬送ヘッド17は、少なくとも1つのハンドユニット3(ハンド)を有している。図5図11に示すように、ハンドユニット3は、デバイス供給部14上のICデバイス90(電子部品)を把持して、検査部16まで搬送することができる。また、図11図15に示すように、ハンドユニット3は、ICデバイス90の検査後には、検査部16上のICデバイス90を把持して、デバイス回収部18まで搬送することができる。なお、ハンドユニット3の配置数は、特に限定されない。
【0075】
図3および図4に示すように、ハンドユニット3は、把持部4と、支持部5と、駆動部6と、検出部7とを有している。なお、ハンドユニット3の上側には、図示しない昇降装置と回転装置とが配置されている。昇降装置は、ハンドユニット3をZ軸方向に上昇、下降させる装置である。回転装置は、ハンドユニット3を中心軸O回りに回転させる装置である。
【0076】
把持部4は、ICデバイス90を把持する部分である。把持部4は、押圧部41と、加熱部42と、吸着部43とを有している。
【0077】
押圧部41は、円柱状をなし、その上部に、外径が拡径したフランジ部(上側フランジ部)411と、下部に、外径が拡径したフランジ部(下側フランジ部)412とを有している。なお、フランジ部411と、フランジ部412とは、外径が同じであってもよいし、異なっていてもよい。また、フランジ部411の外周部には、その周方向に沿ってリング状に突出したリブ(突出部)413が形成されている。
【0078】
押圧部41のフランジ部412の下方には、ICデバイス90を加熱する加熱部42が固定されている。加熱部42は、円柱状をなし、その内部にヒーター421が内蔵されている。ヒーター421が作動することにより、熱が発生する。この熱は、吸着部43を介して、ICデバイス90に伝達する。これにより、ICデバイス90を加熱して、検査に適した温度に予め調整することができる。なお、把持部4は、加熱部42の他に、ICデバイス90を冷却する冷却部を有していてもよい。
【0079】
加熱部42の下方には、ICデバイス90を吸着して把持する吸着部43が固定されている。吸着部43は、吸着部本体431と、吸着パッド(吸盤)432とを有している。吸着部本体431は、吸着部本体431の下面に開口する第1凹部433と、第1凹部433に開口し、第1凹部433よりも深さが深い第2凹部434とが形成されている。また、第2凹部434には、吸着パッド432が固定されている。吸着パッド432は、吸着部本体431の内部に形成された流路435の一端側に接続されている。流路435の他端側は、配管44と接続されている。配管44は、図示しない電磁弁を介して真空ポンプと接続されている。この電磁弁は、配管44の圧力を負圧と大気圧とで切り替えることが可能になっている。そして、配管44の圧力が負圧のときに、吸着パッド432に吸引力が生じて、ICデバイス90を吸着、把持することができる。また、配管44の圧力が大気圧のときには、ICデバイス90を吸着パッド432から解放することができる。
【0080】
支持部5は、把持部4を第1位置(図3参照)と、第1位置よりも下方の第2位置(図4参照)との間を移動可能に支持する部分である。支持部5は、基部51と、基部51の下方に位置する中空の支持部本体52と、基部51の上方に位置する連結部53とを有している。基部51は、連結部53を介して前記回転装置と連結されている。支持部本体52には、その中空部521に連通する貫通孔522が形成されている。この貫通孔522には、押圧部41のフランジ部411とフランジ部412との間の部分が隙間をもって挿通している。また、支持部5は、基部51と支持部本体52とに一括して貫通して形成された流路54を有している。流路54は、その一端側が支持部本体52の中空部521に連通しており、他端側が配管を介してポンプ(図示せず)と接続されている。
【0081】
ハンドユニット3(ハンド)は、把持部4をZ軸方向に移動させる駆動部6を有している。この駆動部6により、把持部4を第1位置または第2位置に所望のタイミングで移動させることができる。
【0082】
駆動部6は、空気(作動流体)の供給により把持部4を下方(一方向)に向かって移動させる空圧部61と、把持部4を上方(一方向と反対方向)に向かって付勢する付勢部62とを有している。
【0083】
空圧部61は、支持部本体52の中空部521を上下に2分するように設けられ、押圧部41のフランジ部411が固定されたダイヤフラム63と、流路54および前記配管を介して接続された前記ポンプとを有している。そして、このポンプが作動して、ダイヤフラム63と支持部本体52とで囲まれた上側の空間に空気が供給されることにより、この空間内の圧力が上昇する。これにより、把持部4は、付勢部62の付勢力に抗して、下方に、すなわち、第1位置から第2位置に向かって移動することができる。
【0084】
付勢部62は、支持部本体52の中空部521に配置されたコイルバネで構成されている。このコイルバネは、支持部本体52の内側下面523と、押圧部41のリブ413との間で圧縮状態となっている。これにより、把持部4は、上方に、すなわち、第2位置から第1位置に向かう方向に付勢される。なお、空圧部61が停止した状態、すなわち、空気の供給が停止した状態では、把持部4は、付勢部62の付勢力によって、第1位置に位置する。なお、把持部4が第1位置にあるときには、ダイヤフラム63は、支持部本体52の内側上面524に当接していてもよいが、図3に示すように、内側上面524との間に間隙が形成されているのが好ましい。また、この場合、ハンドユニット3は、把持部4の第1位置への移動限界を規制する規制部(ストッパー)を有するのが好ましい。
【0085】
以上のように駆動部6は、空気の供給と停止とを切り換えるという簡単な構成で、把持部4を安定して移動させることができる。
【0086】
検出部7は、水平方向、すなわち、XY平面に対する把持部4の傾きを検出する部分である。検出部7は、支持部5に固定された光センサー71と、把持部4に固定された遮蔽板72とを有しており、これらが対(1組)となって、複数対配置されている。本実施形態では、光センサー71と遮蔽板72とは、把持部4に対して、X軸方向正側に1組(以下「第1組」と言う)、X軸方向負側に1組(以下「第2組」と言う)、Y軸方向正側に1組(以下「第3組」と言う)、Y軸方向負側に1組(以下「第4組」と言う)ずつ配置されている。そして、各組の遮蔽板72による光センサー71の遮蔽状態によって把持部4の傾きを検出することができる。なお、本実施形態では、第1組と第2組とが把持部4のY軸回りの傾き(回転)を検出することができ、第3組と第4組とが把持部4のX軸回りの傾き(回転)を検出することができる。
【0087】
図4に示すように、ハンドユニット3は、第2位置にある把持部4を支持部5に対して位置決めする位置決め部8を有している。位置決め部8は、支持部5の支持部本体52に設けられた凸部55と、把持部4の押圧部41に設けられた凹部45とで構成されている。
【0088】
凸部55と凹部45とは、対になっており、複数対配置されている。図16に示すように、本実施形態では、凸部55と凹部45とは、把持部4の中心軸O回りに2組、すなわち、中心軸Oに対して図中の左右両側に1組ずつ配置されている。そして、各組の凸部55と凹部45とは、前述したように駆動部6の作動によって空気が供給されて、把持部4が第1位置から第2位置に移動してきたときに、凸部55が凹部45に入り込んで互いに接することができる。これにより、第2位置にある把持部4は、XY平面方向(水平方向)の移動が規制されて、支持部5に対して位置決めされる。以下、この状態を「位置決め状態」と言う。
【0089】
図3図4に示すように、凸部55は、支持部5の支持部本体52の内側下面523に突出して形成され、球状(ボール状)をなす、すなわち、球面を有する形状をなす。
【0090】
一方、凹部45は、把持部4の押圧部41のフランジ部411の下面に、凸部55に対向して形成されている。この凹部45は、把持部4の移動方向と直交する方向、すなわち、XY平面方向に対して傾斜した傾斜面451を有し、本実施形態では、円錐状をなす。
【0091】
このような形状により、各組の凸部55と凹部45とは、いずれも、把持部4が第2位置に位置したとき、凸部55が凹部45に容易に入り込むことができ、その後、互いに接する。これにより、把持部4が第2位置に位置するたびに、位置決め状態が再現される。
【0092】
以上のように、電子部品検査装置1(電子部品搬送装置10)では、複数対の凸部55と凹部45とで位置決め部8を構成しており、位置決め部8が簡単な構成となっている。また、この位置決め部8により、第2位置の把持部4を支持部5に対して正確に位置決めすることができる。
【0093】
そして、位置決め状態では、例えば図9図10に示すように、ハンドユニット3がY軸方向正側に移動しようとして加速したときに、ICデバイス90を把持した把持部4に慣性力が作用しても、この把持部4が支持部5に対して位置がずれるのを防止することができる。これにより、前述した撮像部26の撮像結果に応じたハンドユニット3の補正状態がそのまま維持され、よって、ICデバイス90の各端子902と、各端子902に対応する検査部16のプローブピン162とを導電可能に接触させることができる(図11参照)。これにより、ICデバイス90に対する検査を正確に行なうことができる。
【0094】
また、前述したように、凸部55は、支持部5の支持部本体52に設けられ、凹部45は、把持部4の押圧部41に設けられている。これにより、例えば凸部55を支持部本体52とは別体で構成する場合、凸部55を、移動する把持部4よりも支持部本体52の内側下面523上に安定して容易に配置することができる。
【0095】
また、把持部4は、凸部55と凹部45とが離間する第1位置(図3参照)と、凸部55と凹部45とが接する第2位置(図4参照)とに移動可能である。これにより、第1位置では位置決め状態が解除される。この位置決め状態の解除により、例えば把持部4がICデバイス90を検査部16に押し付ける際、検査部16がXY平面に対して若干傾斜していたとしても、その検査部16にならって、把持部4の姿勢がICデバイス90とともに傾くことができる。これにより、ICデバイス90と検査部16とを導電可能に接触させることができ、よって、ICデバイス90に対する検査を正確に行なうことができる。
【0096】
次に、検査領域A3内でのハンドユニット3(デバイス搬送ヘッド17A)の動作について、図5図15を参照して説明する。
【0097】
図5に示すように、ハンドユニット3は、把持部4が第1位置に位置しており、未だICデバイス90を把持していない状態となっている。また、ハンドユニット3は、デバイス供給部14Aの凹部141の直上で、この凹部141に臨んだ状態となっている。なお、凹部141には、ICデバイス90が収納、載置されている。
【0098】
次いで、図6に示すように、駆動部6を作動させることにより、把持部4を第2位置に移動させる。このとき、前述したように、把持部4は、位置決め部8によって位置決め状態となる。なお、駆動部6の作動は、図15に示す状態となるまで継続して行なわれる。
【0099】
次いで、図7に示すように、デバイス供給部14Aに載置されたICデバイス90を、ハンドユニット3(把持部4)の吸着部43が押し付けるまで、ハンドユニット3を下降させる。そして、この状態で吸着部43に吸引力を生じさせることにより、吸着部43にICデバイス90を吸着させる(把持させる)ことができる。また、把持部4は、ICデバイス90からの反力を受けることとなり、第2位置から上方に移動する。これにより、把持部4に対する位置決め状態が解除される。
【0100】
次いで、図8に示すように、ハンドユニット3を、図5中のハンドユニット3と同じ高さまで上昇させる。これにより、ICデバイス90は、ハンドユニット3とともに上昇する。また、把持部4は、前記反力から解放されるため、再度第2位置に戻り、位置決め状態となる。
【0101】
次いで、図9に示すように、ハンドユニット3をY方向正側、すなわち、検査部16側に移動させて、その途中で一旦停止させる。ハンドユニット3の停止位置は、撮像部26の直上にICデバイス90があり、撮像部26によるICデバイス90の撮像が可能な位置となっている。そして、この位置で撮像部26を作動させる。その後、前述したように、撮像結果に基づいて、ハンドユニット3の位置および姿勢を補正する。
【0102】
次いで、図10に示すように、ハンドユニット3をさらにY方向正側、すなわち、検査部16側に移動させて、検査部16の直上で停止させる。
【0103】
ところで、ハンドユニット3をY軸方向正側に移動させようとして加速させたときに、把持部4に慣性力が作用する。把持部4は、この慣性力によってICデバイス90ごとY軸方向負側に移動しようとするが、位置決め状態となっていることにより、Y軸方向負側への移動が規制される。これにより、把持部4が支持部5に対して位置がずれるのを防止することができ、よって、ハンドユニット3の補正状態がそのまま維持される。
【0104】
次いで、図11に示すように、ICデバイス90が検査部16に押し付けられるまで、ハンドユニット3を下降させる。これにより、ICデバイス90の各端子902と、各端子902に対応する検査部16のプローブピン162とが導電可能に接触するまで位置決め状態が維持され、よって、ICデバイス90に対する検査を正確に行なうことができる。
【0105】
また、把持部4は、検査部16からの反力をICデバイス90を介して受けることとなり、第2位置から上方に移動する。これにより、把持部4に対する位置決め状態が解除される。これにより、仮に検査部16がXY平面に対して若干傾斜していたとしても、その検査部16にならって、把持部4の姿勢がICデバイス90とともに傾くことができる。これにより、ICデバイス90と検査部16とを導電可能に接触させることができ、よって、ICデバイス90に対する検査を正確に行なうことができる。
【0106】
また、デバイス供給部14Aが検査領域A3から退避して、それに代わって、デバイス回収部18Aが検査領域A3内に位置している。
【0107】
次いで、図12に示すように、ハンドユニット3を、図10中のハンドユニット3と同じ高さまで上昇させる。これにより、検査後のICデバイス90は、ハンドユニット3とともに上昇する。また、把持部4に対する位置決め状態が再現される。
【0108】
次いで、図13に示すように、ハンドユニット3をさらにY方向負側、すなわち、デバイス回収部18A側に移動させて、デバイス回収部18Aの直上で停止させる。
【0109】
ところで、ハンドユニット3をY軸方向負側に移動させようとして加速させたときに、把持部4に慣性力が作用する。把持部4は、この慣性力によってICデバイス90ごとY軸方向正側に移動しようとするが、位置決め状態となっていることにより、Y軸方向正側への移動が規制される。これにより、把持部4が支持部5に対して位置がずれるのを防止することができる。
【0110】
次いで、図14に示すように、ハンドユニット3(位置決め状態の把持部4)を下降させて、その後、吸着部43で吸引力の発生を停止させる。これにより、ICデバイス90は、吸着部43から解放されて、デバイス回収部18Aの凹部181に正確に収納、載置される。
【0111】
次いで、図15に示すように、ハンドユニット3を、図13中のハンドユニット3と同じ高さまで上昇させる。
【0112】
<第2実施形態>
以下、図17図19を参照して本発明の電子部品搬送装置および電子部品検査装置の第2実施形態について説明するが、前述した実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項はその説明を省略する。
【0113】
本実施形態は、位置決め部の凹部の形状が異なること以外は前記第1実施形態と同様である。
【0114】
図17図19に示すように、本実施形態では、位置決め部8は、2組のうちの一方(図中の左側)の組の凹部45’は、把持部4の移動方向と直交する方向に対して傾斜した2つの傾斜面452を有している。各傾斜面452は、Y軸方向に延在している。また、傾斜面452同士のなす角度は、特に限定されないが、円錐状をなす傾斜面451の頂角と同じであるのが好ましい。
【0115】
例えば温度変化によって把持部4のフランジ部411が伸縮して、凹部45と凹部45’とのY軸方向の位置関係に変化が生じたとしても、その変化分を凹部45’の形状で相殺することができる。これにより、凹部45には、それに対応する凸部55が入り込んで接することができ、凹部45’にも、それに対応する凸部55が入り込んで接することができ、よって、把持部4に対する位置決め状態が得られる。
【0116】
<第3実施形態>
以下、図20を参照して本発明の電子部品搬送装置および電子部品検査装置の第3実施形態について説明するが、前述した実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項はその説明を省略する。
【0117】
本実施形態は、位置決め部を構成する凹部および凸部の形成数が異なること以外は前記第1実施形態と同様である。
【0118】
図20に示すように、本実施形態では、位置決め部8を構成する凸部55と凹部45とは、把持部4の中心軸O回りに等角度間隔に3組配置されている。これにより、位置決め精度が前記第1実施形態よりも向上する。
【0119】
<第4実施形態>
以下、図21を参照して本発明の電子部品搬送装置および電子部品検査装置の第4実施形態について説明するが、前述した実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項はその説明を省略する。
【0120】
本実施形態は、位置決め部を構成する凹部および凸部の形成数が異なること以外は前記第3実施形態と同様である。
【0121】
図21に示すように、本実施形態では、位置決め部8を構成する凸部55と凹部45とは、把持部4の中心軸O回りに等角度間隔に4組配置されている。これにより、位置決め精度が前記第3実施形態よりも向上する。
【0122】
以上、本発明の電子部品搬送装置および電子部品検査装置を図示の実施形態について説明したが、本発明は、これに限定されるものではなく、電子部品搬送装置および電子部品検査装置を構成する各部は、同様の機能を発揮し得る任意の構成のものと置換することができる。また、任意の構成物が付加されていてもよい。
【0123】
また、本発明の電子部品搬送装置および電子部品検査装置は、前記各実施形態のうちの、任意の2以上の構成(特徴)を組み合わせたものであってもよい。
【0124】
また、撮像部は、検査領域内で固定されたものであるが、これに限定されず、例えば、デバイス供給部とともに移動可能なものであってもよい。
【0125】
また、把持部を移動させる駆動部で用いられる作動流体は、前記各実施形態では空気であったが、これに限定されず、例えば、液体(油)等であってもよい。
【0126】
また、この駆動部の空圧部は、ダイヤフラムを有する構成となっていたが、これに限定されず、例えば、ベロフラムやピストンシリンダーを有する構成となっていてもよい。
【0127】
また、位置決め部を構成する凸部と凹部との組は、前記第1実施形態および第2実施形態では2組であり、第3実施形態では3組であり、第4実施形態では3組であったが、これに限定されず、例えば、5組以上であってもよい。
【0128】
また、位置決め部を構成する凸部と凹部とは、前記各実施形態では凸部が支持部に設けられ、凹部が把持部に設けられていたが、これに限定されず、例えば、凸部が把持部に設けられ、凹部が支持部に設けられていてもよい。
【0129】
また、位置決め部を構成する凸部は、前記各実施形態では球状となっていたが、これに限定されず、例えば、柱状(円柱状)となっていてもよい。凸部が柱状(円柱状)の場合、凹部も同様に柱状(円柱状)となっている。
【符号の説明】
【0130】
1…電子部品検査装置、10…電子部品搬送装置、11A…トレイ搬送機構、11B…トレイ搬送機構、12…温度調整部、13…デバイス搬送ヘッド、14…デバイス供給部、14A…デバイス供給部、14B…デバイス供給部、141…凹部(ポケット)、15…トレイ搬送機構、16…検査部、161…凹部(ポケット)、162…プローブピン(載置部側端子)、17…デバイス搬送ヘッド、17A…デバイス搬送ヘッド、17B…デバイス搬送ヘッド、18…デバイス回収部、18A…デバイス回収部、18B…デバイス回収部、181…凹部(ポケット)、19…回収用トレイ、20…デバイス搬送ヘッド、21…トレイ搬送機構、22A…トレイ搬送機構、22B…トレイ搬送機構、231…第1隔壁、232…第2隔壁、233…第3隔壁、234…第4隔壁、235…第5隔壁、241…フロントカバー、242…サイドカバー、243…サイドカバー、244…リアカバー、245…トップカバー、25…搬送部、26…撮像部、3…ハンドユニット、4…把持部、41…押圧部、411…フランジ部、412…フランジ部、413…リブ(突出部)、42…加熱部、421…ヒーター、43…吸着部、431…吸着部本体、432…吸着パッド(吸盤)、433…第1凹部、434…第2凹部、435…流路、44…配管、45…凹部、45’…凹部、451…傾斜面、452…傾斜面、5…支持部、51…基部、52…支持部本体、521…中空部、522…貫通孔、523…内側下面、524…内側上面、53…連結部、54…流路、55…凸部、6…駆動部、61…空圧部、62…付勢部、63…ダイヤフラム、7…検出部、71…光センサー、72…遮蔽板、8…位置決め部、90…ICデバイス、902…端子(電子部品側端子)、200…トレイ、300…モニター、301…表示画面、400…シグナルランプ、500…スピーカー、600…マウス台、700…操作パネル、800…制御部、A1…トレイ供給領域、A2…デバイス供給領域、A3…検査領域、A4…デバイス回収領域、A5…トレイ除去領域、O…中心軸、α11A…矢印、α11B…矢印、α13X…矢印、α13Y…矢印、α14…矢印、α15…矢印、α17Y…矢印、α18…矢印、α20X…矢印、α20Y…矢印、α21…矢印、α22A…矢印、α22B…矢印、α90…矢印
図1
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