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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-15
(45)【発行日】2022-01-14
(54)【発明の名称】エアジェット織機における緯入れ診断方法
(51)【国際特許分類】
   D03D 51/34 20060101AFI20220106BHJP
   D03D 47/30 20060101ALI20220106BHJP
【FI】
D03D51/34 101
D03D47/30
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2017238770
(22)【出願日】2017-12-13
(65)【公開番号】P2019105005
(43)【公開日】2019-06-27
【審査請求日】2019-06-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(73)【特許権者】
【識別番号】000003609
【氏名又は名称】株式会社豊田中央研究所
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】牧野 洋一
(72)【発明者】
【氏名】荒井 隆二
(72)【発明者】
【氏名】垣内 夏樹
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 藤雄
【審査官】▲桑▼原 恭雄
(56)【参考文献】
【文献】特開昭62-162050(JP,A)
【文献】特開平04-257347(JP,A)
【文献】特表2009-516780(JP,A)
【文献】特開2017-057516(JP,A)
【文献】特開2005-113319(JP,A)
【文献】特開2005-336624(JP,A)
【文献】特開2017-075409(JP,A)
【文献】特開平05-209342(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D03D 51/34
D03D 47/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
緯糸を緯糸飛走経路に緯入れするメインノズル及びサブノズルと、
前記緯糸の緯糸測長貯留装置からの解舒を検出するバルーンセンサと、
前記緯糸飛走経路における前記メインノズルとは反対側の織幅の外に配置されたエンドセンサと、
前記緯糸飛走経路における前記織幅の中央よりも前記メインノズルとは反対側の前記織幅内に配置された織幅内センサと、を備えたエアジェット織機における緯入れ診断方法であって、
前記バルーンセンサにおける解舒検出数が正常で、且つ前記織幅内センサが前記緯糸を検出するとともに前記エンドセンサが前記緯糸を検出しなかった場合に、前記織幅内センサの緯糸検出タイミングと、予め設定された前記織幅内センサの緯糸検出タイミングの閾値との比較に基づいて、発生した緯入れミスであるループミスの発生箇所を推定することを特徴とするエアジェット織機における緯入れ診断方法。
【請求項2】
前記閾値は、発生した緯入れミスの内容を、入口ループミスとは別のループミスである中央ループミスと判断するために用いられる第1閾値を含み、
前記織幅内センサの緯糸検出タイミングが前記第1閾値よりも遅れている場合、発生した緯入れミスの内容を前記中央ループミスと判断することを特徴とする請求項1に記載のエアジェット織機における緯入れ診断方法。
【請求項3】
前記第1閾値は、前記緯糸が正常に緯入れされているときの所定ピック数の範囲内で、前記織幅内センサの緯糸検出タイミングの最大値から所定値だけ加算した値であることを特徴とする請求項2に記載のエアジェット織機における緯入れ診断方法。
【請求項4】
前記閾値は、発生した緯入れミスの内容を、入口ループミスとは別のループミスであるエンドループミスと判断するために用いられる第2閾値を含み、
前記織幅内センサの緯糸検出タイミングが前記第2閾値よりも早い場合、発生した緯入れミスの内容を前記エンドループミスと判断することを特徴とする請求項1~請求項3のいずれか一項に記載のエアジェット織機における緯入れ診断方法。
【請求項5】
前記第2閾値は、前記緯糸が正常に緯入れされているときの所定ピック数の範囲内での前記織幅内センサの緯糸検出タイミングの平均値であることを特徴とする請求項4に記載のエアジェット織機における緯入れ診断方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エアジェット織機における緯入れ診断方法に関する。
【背景技術】
【0002】
エアジェット織機においては、メインノズル及びサブノズルからのエア噴射により、緯糸飛走経路を経て緯入れされる緯糸の緯入れ状態が正常か異常か否かを判別する緯入れ診断装置を備えている。例えば特許文献1の緯入れ制御装置(緯入れ診断装置)は、緯糸の緯糸測長貯留装置からの解舒を検出する緯糸解舒検出器(バルーンセンサ)と、緯糸の先端の到達を検出する緯糸到達検出器(エンドセンサ)と、織幅内に等間隔に配設された複数の緯糸飛走検出器(織幅内センサ)と、を備えている。エアジェット織機では、サブノズルの噴射圧や噴射タイミングの状態変化によって緯糸の飛走状態が悪くなると、緯糸が緩んで緯糸の先端が緯糸到達検出器の検出位置に到達しない緯入れミスであるエンドミスが発生する場合がある。また、サブノズルの噴射圧や噴射タイミングが適正な噴射圧であったとしても、経糸の状態変化によって経糸の張力が緩んで経糸の経糸開口状態が悪くなると、メインノズルから噴射された緯糸が経糸開口の入口で経糸に当たることがある。すると、経糸開口の入口を過ぎた入口付近で緯糸のループが形成される緯入れミスである入口ループミスが発生する場合がある。そこで、特許文献1の緯入れ制御装置では、複数の緯糸飛走検出器から検出される飛走検出情報に基づいて、エンドミスと入口ループミスとの識別を行っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平4-257347号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、エアジェット織機では、入口ループミスとは別に、緯糸飛走経路における織幅の中央付近で経糸に当たって緯糸のループが形成される緯入れミスである中央ループミスや、緯糸飛走経路における織幅の中央よりもメインノズルとは反対側付近で経糸に当たって緯糸のループが形成される緯入れミスであるエンドループミスが発生する場合がある。しかしながら、特許文献1では、このような入口ループミスとは別のループミスが発生した場合に、ループミスの発生箇所を推定することが困難である。
【0005】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであって、その目的は、入口ループミスとは別のループミスが発生した場合に、ループミスの発生箇所を推定することができるエアジェット織機における緯入れ診断方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するエアジェット織機における緯入れ診断方法は、緯糸を緯糸飛走経路に緯入れするメインノズル及びサブノズルと、前記緯糸の緯糸測長貯留装置からの解舒を検出するバルーンセンサと、前記緯糸飛走経路における前記メインノズルとは反対側の織幅の外に配置されたエンドセンサと、前記緯糸飛走経路における前記織幅の中央よりも前記メインノズルとは反対側の前記織幅内に配置された織幅内センサと、を備えたエアジェット織機における緯入れ診断方法であって、前記バルーンセンサにおける解舒検出数が正常で、且つ前記織幅内センサが前記緯糸を検出するとともに前記エンドセンサが前記緯糸を検出しなかった場合に、前記織幅内センサの緯糸検出タイミングと、予め設定された前記織幅内センサの緯糸検出タイミングの閾値との比較に基づいて、発生した緯入れミスであるループミスの発生箇所を推定する。
【0007】
入口ループミスが発生した場合、緯糸は織幅の中央付近にしか到達できないため、エンドセンサや、緯糸飛走経路における織幅の中央よりもメインノズルとは反対側の織幅内に配置される織幅内センサが緯糸を検出することはない。一方、入口ループミスとは別のループミスが発生した場合、エンドセンサが緯糸を検出しないのは入口ループミスと同じであるが、緯糸の先端が織幅内センサの検出位置に到達した後にループが形成されることがほとんどであるので、織幅内センサは緯糸を検出する。そして、織幅内センサの緯糸検出タイミングと、予め設定された織幅内センサの緯糸検出タイミングの閾値との比較に基づいて、発生した緯入れミスであるループミスの発生箇所を推定する。これによれば、入口ループミスとは別のループミスが発生した場合に、ループミスの発生箇所を推定することができる。
【0008】
上記エアジェット織機における緯入れ診断方法において、前記閾値は、発生した緯入れミスの内容を、入口ループミスとは別のループミスである中央ループミスと判断するために用いられる第1閾値を含み、前記織幅内センサの緯糸検出タイミングが前記第1閾値よりも遅れている場合、発生した緯入れミスの内容を前記中央ループミスと判断するとよい。
【0009】
中央ループミスは、緯糸飛走経路における織幅の中央付近で経糸に当たって緯糸のループが形成される緯入れミスであるため、織幅内センサの緯糸検出タイミングは、例えば、緯糸が正常に緯入れされているときの織幅内センサの緯糸検出タイミングに比べると、大きく遅れることになる。そこで、織幅内センサの緯糸検出タイミングが第1閾値よりも遅れている場合、発生した緯入れミスの内容を中央ループミスと判断する。これによれば、入口ループミスとは別のループミスである中央ループミスが発生した場合に、ループミスの発生箇所を中央ループミスの発生箇所であると推定することができる。
【0010】
上記エアジェット織機における緯入れ診断方法において、前記第1閾値は、前記緯糸が正常に緯入れされているときの所定ピック数の範囲内で、前記織幅内センサの緯糸検出タイミングの最大値から所定値だけ加算した値であるとよい。これによれば、発生した緯入れミスの内容を中央ループミスと正確に判断することができる。
【0011】
上記エアジェット織機における緯入れ診断方法において、前記閾値は、発生した緯入れミスの内容を、入口ループミスとは別のループミスであるエンドループミスと判断するために用いられる第2閾値を含み、前記織幅内センサの緯糸検出タイミングが前記第2閾値よりも早い場合、発生した緯入れミスの内容を前記エンドループミスと判断するとよい。
【0012】
エンドループミスは、緯糸飛走経路における織幅の中央よりもメインノズルとは反対側付近で経糸に当たって緯糸のループが形成される緯入れミスであるため、織幅内センサの緯糸検出タイミングは、例えば、緯糸が正常に緯入れされているときの織幅内センサの緯糸検出タイミングとほぼ同じである。そこで、織幅内センサの緯糸検出タイミングが第2閾値よりも早い場合、発生した緯入れミスの内容をエンドループミスと判断する。これによれば、入口ループミスとは別のループミスであるエンドループミスが発生した場合に、ループミスの発生箇所をエンドループミスの発生箇所であると推定することができる。
【0013】
上記エアジェット織機における緯入れ診断方法において、前記第2閾値は、前記緯糸が正常に緯入れされているときの所定ピック数の範囲内での前記織幅内センサの緯糸検出タイミングの平均値であるとよい。これによれば、発生した緯入れミスの内容をエンドループミスと判断し易くなる。
【発明の効果】
【0014】
この発明によれば、入口ループミスとは別のループミスが発生した場合に、ループミスの発生箇所を推定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】実施形態におけるエアジェット織機の緯入れ装置を示す概略図。
図2】緯糸が正常に緯入れされている状態を示す模式図。
図3】(a)はエンドミスが発生している状態を示す模式図、(b)は入口ループミスが発生している状態を示す模式図、(c)は中央ループミスが発生している状態を示す模式図、(d)はエンドループミスが発生している状態を示す模式図。
図4】制御装置に記録された緯入れミスに関するデータを示す図。
図5】織幅内センサの緯糸検出タイミングにおける機台角度と中央ループミス及びエンドミスとの関係を示すグラフ。
図6】(a)、(b)、(c)及び(d)は表示装置に表示された緯入れミスの内容と緯入れミスの内容に対応した調整方法とを示す図。
図7】緯入れ診断方法を説明するためのフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、エアジェット織機における緯入れ診断方法を具体化した一実施形態を図1図7にしたがって説明する。なお、以下の説明において、緯糸を経糸開口内に緯入れして緯糸を搬送する緯入れ方向に対し、緯入れ方向とは反対側を上流、緯入れ方向側を下流とする。
【0017】
図1に示すように、緯入れ装置10は、緯入れノズル11、給糸部12、緯糸測長貯留装置13、筬14、複数のサブノズル15、及び制御装置16を備える。制御装置16には、表示機能及び入力機能を有する表示装置16aが付属されている。
【0018】
給糸部12は、緯入れノズル11の上流側に配設されている。給糸部12の緯糸Yは、緯糸測長貯留装置13の巻付けアーム(図示せず)の回転により引き出され、貯留ドラム17に巻き付けられた状態で貯留される。
【0019】
緯糸測長貯留装置13には、緯糸係止ピン18、及び緯糸Yの緯糸測長貯留装置13からの解舒を検出するバルーンセンサ19が設けられている。緯糸係止ピン18及びバルーンセンサ19は、貯留ドラム17の周囲に配設されている。緯糸係止ピン18は、制御装置16と電気的に接続されている。緯糸係止ピン18は、制御装置16に予め設定された織機回転角度において、貯留ドラム17に貯留された緯糸Yを解舒する。緯糸係止ピン18による緯糸Yの解舒が行われるタイミングは、緯入れ開始タイミングである。
【0020】
バルーンセンサ19は、制御装置16と電気的に接続されている。バルーンセンサ19は、緯入れ中に貯留ドラム17から解舒される緯糸Yを検出し、制御装置16に緯糸解舒信号を発信する。制御装置16は、予め設定された回数(本実施形態では4回)の緯糸解舒信号を受信すると、緯糸係止ピン18を作動する。緯糸係止ピン18は、貯留ドラム17から解舒される緯糸Yを係止し、緯入れを終了させる。
【0021】
なお、緯糸係止ピン18が緯糸Yを係止するための作動タイミングは、織幅TLに相当する長さの緯糸Yを貯留ドラム17に貯留するために要する巻き付け回数に応じて設定されている。本実施形態では、制御装置16は、バルーンセンサ19の緯糸解舒信号を4回受信すると、緯糸Yを係止する動作信号が緯糸係止ピン18に発信されるように設定されている。したがって、本実施形態の緯入れ装置10では、貯留ドラム17の4巻分の緯糸貯留長さに相当する緯糸Yが緯入れされる。
【0022】
バルーンセンサ19の緯糸検出信号は、貯留ドラム17からの緯糸Yの解舒信号であり、制御装置16において、エンコーダ20から得られる織機回転角度信号に基づき緯糸解舒タイミングとして認識される。
【0023】
緯入れノズル11は、貯留ドラム17の緯糸Yを引き出すタンデムノズル21と、緯糸Yを筬14の緯糸飛走経路14aに緯入れするメインノズル22と、を有する。タンデムノズル21の上流側には、緯入れ終了前に、飛走する緯糸Yを制動するブレーキ23が設けられている。
【0024】
メインノズル22、サブノズル15、及び筬14は、スレイ(図示せず)上に配設され、エアジェット織機の前後方向に往復揺動される。また、タンデムノズル21、ブレーキ23、緯糸測長貯留装置13、及び給糸部12は、エアジェット織機のフレーム(図示せず)又は床面(図示せず)に取り付けられたブラケット(図示せず)等に固定されている。
【0025】
緯糸飛走経路14aの下流側には、エンドセンサ24及びダブルエンドセンサ25が配設されている。エンドセンサ24及びダブルエンドセンサ25は織幅TLよりも下流側に配置されている。よって、エンドセンサ24及びダブルエンドセンサ25は、緯糸飛走経路14aにおけるメインノズル22とは反対側の織幅TLの外に配置されている。ダブルエンドセンサ25は、エンドセンサ24よりもメインノズル22とは反対側に配置されている。
【0026】
図2に示すように、エンドセンサ24は、緯糸Yが正常に緯入れされた状態で、貯留ドラム17の4巻分の緯糸貯留長さに相当する緯糸Yの先端位置が、エンドセンサ24の検出位置となるように、織幅TLの外に配置されている。したがって、緯糸Yが正常に緯入れされた状態では、ダブルエンドセンサ25は、緯糸Yを検出しない。図1に示すように、エンドセンサ24及びダブルエンドセンサ25は、制御装置16と電気的に接続されている。また、エンドセンサ24の緯糸検出信号は、緯糸Yの到達信号であり、制御装置16において、エンコーダ20から得られる織機回転角度信号に基づき、緯入れされた緯糸Yの先端がエンドセンサ24の検出位置に到達した緯糸先端到達タイミングTWとして認識される。
【0027】
エンドセンサ24よりも上流側の織幅TL内の緯糸飛走経路14aには、織幅内センサ45が配設されている。織幅内センサ45は、緯糸飛走経路14aにおける織幅TLの中央よりもメインノズル22とは反対側に配置されている。織幅内センサ45は、緯糸Yが正常に緯入れされた状態で、貯留ドラム17の3巻分の緯糸貯留長さに相当する緯糸Yの先端位置が、織幅内センサ45の検出位置となるように、織幅TL内に配置されている。織幅内センサ45は、制御装置16と電気的に接続されている。織幅内センサ45による緯糸検出信号は、制御装置16において、エンコーダ20から得られる織機回転角度信号に基づき、緯入れされた緯糸Yの先端が織幅内センサ45の検出位置に到達した緯糸中間到達タイミングISとして認識される。つまり、緯糸中間到達タイミングISは、織幅内センサ45の緯糸検出タイミングである。
【0028】
織幅内センサ45は、投光用光ファイバー及び受光用光ファイバーを有する。そして、エアジェット織機の駆動時、織幅内センサ45の投光用光ファイバーから緯糸飛走経路14aに向けて光が出射され、筬14及び緯糸Yで反射した光が受光用光ファイバーに受光される。受光用光ファイバーで受光された光は、フィラーアンプ(図示せず)に入力される。フィラーアンプは、入力された光を受光部としてのフォトダイオードで受光して電気信号に変換し、変換された電気信号を増幅した後、制御装置16へ出力する。
【0029】
メインノズル22は、配管22aを介してメインバルブ22vに接続されている。メインバルブ22vは、配管22bを介してメインエアタンク26に接続されている。タンデムノズル21は、配管21aを介してタンデムバルブ21vに接続されている。タンデムバルブ21vは、配管21bを介してメインバルブ22vと共通のメインエアタンク26に接続されている。
【0030】
メインエアタンク26は、メイン圧力計27、メインレギュレータ28、元圧力計29、及びフィルタ30を介して、織布工場に設置された共通のエアコンプレッサ31に接続されている。メインエアタンク26では、エアコンプレッサ31から供給され、メインレギュレータ28により設定圧力に調整された圧縮エアが貯蔵される。また、メインエアタンク26に供給される圧縮エアの圧力は、メイン圧力計27により常時検出されている。
【0031】
サブノズル15は、1例として6群に分けられ、各群は、4本のサブノズル15により構成されている。各群に対応して6個のサブバルブ32が配設され、各群のサブノズル15は、それぞれ配管33を介して各サブバルブ32に接続されている。各サブバルブ32は、共通のサブエアタンク34に接続されている。
【0032】
サブエアタンク34は、サブ圧力計35を介してサブレギュレータ36に接続されている。また、サブレギュレータ36は、配管36aにより、メイン圧力計27とメインレギュレータ28とを接続している配管28aに接続されている。サブエアタンク34では、エアコンプレッサ31から供給され、サブレギュレータ36により設定圧力に調整された圧縮エアが貯蔵される。また、サブエアタンク34に供給される圧縮エアの圧力は、サブ圧力計35により常時検出されている。
【0033】
メインバルブ22v、タンデムバルブ21v、サブバルブ32、元圧力計29、メイン圧力計27、サブ圧力計35、及びブレーキ23は、制御装置16と電気的に接続されている。制御装置16には、メインバルブ22v、タンデムバルブ21v、サブバルブ32、及びブレーキ23を作動するための作動タイミングや作動期間が予め設定されている。また、制御装置16は、元圧力計29、メイン圧力計27、及びサブ圧力計35の検出信号を受信する。
【0034】
メインバルブ22v及びタンデムバルブ21vには、緯糸係止ピン18が作動する緯入れ開始タイミングよりも早いタイミングで制御装置16から作動指令信号が出力され、メインノズル22及びタンデムノズル21から圧縮エアが噴射される。ブレーキ23には、緯糸係止ピン18が作動して貯留ドラム17の緯糸Yを係止する緯糸先端到達タイミングTWよりも早い時期に制御装置16から作動指令信号が出力される。ブレーキ23は、高速で飛走する緯糸Yを制動して緯糸Yの飛走速度を低下させ、緯糸先端到達タイミングTWにおける緯糸Yの衝撃を緩和する。
【0035】
制御装置16には、各種の織物条件及び製織条件が登録され、記憶されている。織物条件としては、例えば、緯糸Yに使用する糸の材質、番手、等の緯糸種類、緯糸密度、経糸に使用する糸の材質、番手等の経糸種類、経糸密度、織幅、織物組織等が含まれている。製織条件としては、例えば、織機の回転数、メインエアタンク26及びサブエアタンク34の圧縮エアの圧力、メインバルブ22v及びタンデムバルブ21vの開度、緯入れ開始タイミング、目標緯糸先端到達タイミング等が含まれる。
【0036】
図3(a)に示すように、エアジェット織機では、サブノズル15の噴射圧や噴射タイミングの状態変化によって緯糸Yの飛走状態が悪くなると、緯糸Yが緩んで緯糸Yの先端がエンドセンサ24の検出位置に到達しない緯入れミスであるエンドミスが発生する場合がある。
【0037】
また、エアジェット織機では、図3(b)に示すような緯入れミスである入口ループミスが発生する場合がある。入口ループミスとは、サブノズル15の噴射圧や噴射タイミングが適正な噴射圧であっても、経糸の状態変化によって経糸の張力が緩んで経糸の経糸開口状態が悪い場合に、メインノズル22から噴射された緯糸Yが経糸開口の入口で経糸に当たって、経糸開口の入口を過ぎた入口付近で緯糸Yのループが形成される緯入れミスのことである。入口ループミスが発生した場合、緯糸Yは織幅TLの中央付近にしか到達できないため、緯糸飛走経路14aにおける織幅TLの中央よりもメインノズル22とは反対側の織幅TL内に配置される織幅内センサ45が緯糸Yを検出することはない。したがって、エンドセンサ24が緯糸Yを検出することもない。
【0038】
また、エアジェット織機では、入口ループミスとは別のループミスが発生する場合がある。入口ループミスとは別のループミスとしては、例えば、図3(c)に示す緯入れミスである中央ループミスや、図3(d)に示す緯入れミスであるエンドループミスがある。中央ループミスは、緯糸飛走経路14aにおける織幅TLの中央付近で経糸に当たって緯糸Yのループが形成される緯入れミスである。エンドループミスは、緯糸飛走経路14aにおける織幅TLの中央よりもメインノズル22とは反対側付近で経糸に当たって緯糸Yのループが形成される緯入れミスである。
【0039】
中央ループミスやエンドループミスのような入口ループミスとは別のループミスが発生した場合、エンドセンサ24が緯糸Yを検出しないのは入口ループミスと同じであるが、緯糸Yの先端が織幅内センサ45の検出位置に到達した後にループが形成されることがほとんどであるので、織幅内センサ45は緯糸Yを検出する。
【0040】
図4には、入口ループミス、中央ループミス、エンドループミス、及びエンドミスが発生したときのエンドセンサ24のパルス数、緯糸先端到達タイミングTWにおける機台角度、緯糸中間到達タイミングISにおける機台角度、及びバルーンセンサにおける解舒検出数等のデータを示している。これらのデータは、制御装置16に記録されている。制御装置16によって記録されたデータは、表示装置16aに一覧表示可能になっている。
【0041】
図4に示すように、入口ループミスが発生している場合、バルーンセンサ19の解舒検出数が、緯糸Yが正常に緯入れされたときの解舒検出数である「4」になっているにもかかわらず、エンドセンサ24及び織幅内センサ45が緯糸Yを検出していない。
【0042】
中央ループミスが発生している場合、バルーンセンサ19の解舒検出数が、緯糸Yが正常に緯入れされたときの解舒検出数である「4」になっているにもかかわらず、エンドセンサ24が緯糸Yを検出していない。また、中央ループミスが発生している場合、織幅内センサ45は緯糸Yを検出する。このとき、中央ループミスは、緯糸飛走経路14aにおける織幅TLの中央付近で経糸に当たって緯糸Yのループが形成される緯入れミスであるため、織幅内センサ45の緯糸検出タイミングは、例えば、緯糸Yが正常に緯入れされているときの織幅内センサ45の緯糸検出タイミングに比べると、大きく遅れている。
【0043】
エンドループミスが発生している場合、バルーンセンサ19の解舒検出数が、緯糸Yが正常に緯入れされたときの解舒検出数である「4」になっているにもかかわらず、エンドセンサ24が緯糸Yを検出していない。また、エンドループミスが発生している場合、織幅内センサ45は緯糸Yを検出する。このとき、エンドループミスは、緯糸飛走経路14aにおける織幅TLの中央よりもメインノズル22とは反対側付近で経糸に当たって緯糸Yのループが形成される緯入れミスであるため、織幅内センサ45の緯糸検出タイミングは、例えば、緯糸Yが正常に緯入れされているときの織幅内センサ45の緯糸検出タイミングとほぼ同じである。
【0044】
エンドミスが発生している場合、バルーンセンサ19の解舒検出数が、緯糸Yが正常に緯入れされたときの解舒検出数である「4」になっているにもかかわらず、エンドセンサ24のパルス数が「0」であったり、緯糸Yが正常に緯入れされたときのエンドセンサ24のパルス数(例えば「15」)に満たない数値であったりする。また、エンドミスは、緯糸Yの緩みは先端にのみ生じることがほとんどであるので、織幅内センサ45は緯糸Yを検出する。このとき、エンドミスは、緯糸Yの先端に緩みが生じている状態で緯糸Yの先端が織幅内センサ45の検出位置に到達するため、織幅内センサ45の緯糸検出タイミングは、例えば、緯糸Yが正常に緯入れされているときの織幅内センサ45の緯糸検出タイミングに比べると、若干遅れている。
【0045】
図5では、織幅内センサ45の緯糸検出タイミングにおける機台角度と中央ループミス及びエンドミスとの関係を示している。図5に示すように、制御装置16では、緯糸Yが正常に緯入れされているときの所定ピック数(例えば30ピック毎)の範囲内で、織幅内センサ45の緯糸検出タイミングにおける機台角度の最小値ISmin及び最大値ISmaxが求められている。そして、制御装置16は、最大値ISmaxから所定値(例えば10度)だけ加算した値を第1閾値ISx1として記憶する。
【0046】
制御装置16は、バルーンセンサ19における解舒検出数が正常で、且つ織幅内センサ45が緯糸Yを検出するとともにエンドセンサ24が緯糸Yを検出しなかった場合に、織幅内センサ45の緯糸検出タイミングにおける機台角度と第1閾値ISx1とを比較する。そして、織幅内センサ45の緯糸検出タイミングにおける機台角度が第1閾値ISx1よりも遅れている場合、制御装置16は、発生した緯入れミスの内容を中央ループミスと判断する。よって、第1閾値ISx1は、発生した緯入れミスの内容を、入口ループミスとは別のループミスである中央ループミスと判断するために用いられる。そして、制御装置16が、発生した緯入れミスの内容を中央ループミスと判断することにより、入口ループミスとは別のループミスである中央ループミスが発生した場合に、ループミスの発生箇所を中央ループミスの発生箇所であると推定することが可能となる。
【0047】
また、制御装置16は、緯糸Yが正常に緯入れされているときの所定ピック数の範囲内での織幅内センサ45の緯糸検出タイミングにおける機台角度の平均値を算出し、その平均値を第2閾値ISx2として記憶する。
【0048】
制御装置16は、バルーンセンサ19における解舒検出数が正常で、且つ織幅内センサ45が緯糸Yを検出するとともにエンドセンサ24が緯糸Yを検出しなかった場合に、織幅内センサ45の緯糸検出タイミングにおける機台角度と第2閾値ISx2とを比較する。そして、織幅内センサ45の緯糸検出タイミングにおける機台角度が第2閾値ISx2よりも早い場合、制御装置16は、発生した緯入れミスの内容をエンドループミスと判断する。よって、第2閾値ISx2は、発生した緯入れミスの内容を、入口ループミスとは別のループミスであるエンドループミスと判断するために用いられる。そして、制御装置16が、発生した緯入れミスの内容をエンドループミスと判断することにより、入口ループミスとは別のループミスであるエンドループミスが発生した場合に、ループミスの発生箇所をエンドループミスの発生箇所であると推定することが可能となる。
【0049】
このように、制御装置16は、バルーンセンサ19における解舒検出数が正常で、且つ織幅内センサ45が緯糸Yを検出するとともにエンドセンサ24が緯糸Yを検出しなかった場合に、織幅内センサ45の緯糸検出タイミングと、予め設定された織幅内センサ45の緯糸検出タイミングの閾値との比較に基づいて、発生した緯入れミスであるループミスの発生箇所を推定する。本実施形態では、閾値として、第1閾値ISx1及び第2閾値ISx2を含む。
【0050】
制御装置16は、織幅内センサ45の緯糸検出タイミングにおける機台角度が、第1閾値ISx1よりも早く、且つ第2閾値ISx2よりも遅い場合、発生した緯入れミスの内容をエンドミスもしくはエンドループミスと判断する。このとき、実際に発生している緯入れミスの内容は、エンドループミスよりもエンドミスの方が割合的に大きい。これは、エンドループミスの場合、織幅内センサ45の緯糸検出タイミングが、緯糸Yが正常に緯入れされているときの織幅内センサ45の緯糸検出タイミングとほぼ同じであるが、エンドミスの場合は、織幅内センサ45の緯糸検出タイミングが、緯糸Yが正常に緯入れされているときの織幅内センサ45の緯糸検出タイミングに比べて若干遅れるためである。
【0051】
図6(a)に示すように、制御装置16は、発生した緯入れミスの内容がエンドミスであると判断すると、表示装置16aに緯入れミスの内容が表示されるように表示装置16aを制御する。表示装置16aは、緯入れミスの内容として、「サブノズルの噴射圧、サブノズルの噴射タイミングの状態変化もしくは緯糸の飛走状態変化によるエンドミスが発生しています。」と表示する。また、表示装置16aは、エンドミスに対応した調整方法を表示する。例えば、表示装置16aは、エンドミスが発生した場合、「サブノズルの噴射圧の調整を推奨します。」と表示する。
【0052】
図6(b)に示すように、制御装置16は、発生した緯入れミスの内容が入口ループミスであると判断すると、表示装置16aに緯入れミスの内容が表示されるように表示装置16aを制御する。表示装置16aは、緯入れミスの内容として、「経糸の状態変化による入口ループミスが発生しています。」と表示する。また、表示装置16aは、入口ループミスに対応した調整方法を表示する。例えば、表示装置16aは、入口ループミスが発生した場合、「経糸の張力の確認、経糸開口状態の確認、緯入れを開始するタイミングの調整を推奨します。」と表示する。
【0053】
図6(c)に示すように、制御装置16は、発生した緯入れミスの内容が中央ループミスであると判断すると、表示装置16aに緯入れミスの内容が表示されるように表示装置16aを制御する。表示装置16aは、緯入れミスの内容として、「経糸の状態変化、もしくは何らかのトラブルによって中央ループミスが発生しています。」と表示する。また、表示装置16aは、中央ループミスに対応した調整方法を表示する。例えば、表示装置16aは、中央ループミスが発生した場合、「経糸の張力の確認、経糸開口状態の確認、緯糸飛走経路における織幅の中央付近のサブノズルのチューブの抜けの確認を推奨します。」と表示する。
【0054】
図6(d)に示すように、制御装置16は、発生した緯入れミスの内容がエンドループミスであると判断すると、表示装置16aに緯入れミスの内容が表示されるように表示装置16aを制御する。表示装置16aは、緯入れミスの内容として、「経糸の状態変化、もしくは何らかのトラブルによってエンドループミスが発生しています。」と表示する。また、表示装置16aは、エンドループミスに対応した調整方法を表示する。例えば、表示装置16aは、エンドループミスが発生した場合、「経糸の張力の確認、経糸開口状態の確認、緯糸飛走経路における織幅の中央よりもメインノズルとは反対側付近のサブノズルのチューブの抜けの確認を推奨します。」と表示する。
【0055】
次に、緯入れ診断装置の緯入れ診断方法の説明と併せて、本実施形態の作用を説明する。
図7に示すように、制御装置16は、まず、ステップS10においてバルーンセンサ19の解舒検出数が正常であるか否かを判定する。制御装置16は、ステップS10においてバルーンセンサ19の解舒検出数が正常ではないと判定すると、ステップS11に移行し、発生した緯入れミスの内容を、ショートピックもしくはロングピックと判断する。ショートピックは、貯留ドラム17の3巻分の緯糸貯留長さに相当する緯糸Yが緯入れされた状態で緯入れが終了した緯入れミスや、貯留ドラム17の2巻分の緯糸貯留長さに相当する緯糸Yが緯入れされた状態で緯入れが終了した緯入れミスのことである。ロングピックは、貯留ドラム17の5巻分の緯糸貯留長さに相当する緯糸Yが緯入れされた状態で緯入れが終了した緯入れミスのことである。
【0056】
一方、制御装置16は、ステップS10においてバルーンセンサ19の解舒検出数が正常であると判定すると、ステップS12に移行する。制御装置16は、ステップS12において織幅内センサ45が緯糸Yを検出したか否かを判定する。制御装置16は、ステップS12において織幅内センサ45が緯糸Yを検出していないと判定すると、ステップS13に移行し、発生した緯入れミスの内容を、入口ループミスと判断する。一方、制御装置16は、ステップS12において織幅内センサ45が緯糸Yを検出していると判定すると、ステップS14に移行する。
【0057】
制御装置16は、ステップS14において織幅内センサ45の緯糸検出タイミングにおける機台角度と第1閾値ISx1とを比較し、織幅内センサ45の緯糸検出タイミングにおける機台角度が第1閾値ISx1よりも遅れているか否かを判定する。制御装置16は、ステップS14において織幅内センサ45の緯糸検出タイミングにおける機台角度が第1閾値ISx1よりも遅れていると判定すると、ステップS15に移行し、発生した緯入れミスの内容を、中央ループミスと判断する。一方、制御装置16は、ステップS14において織幅内センサ45の緯糸検出タイミングにおける機台角度が第1閾値ISx1よりも遅れていないと判定すると、ステップS16に移行する。
【0058】
制御装置16は、ステップS16において織幅内センサ45の緯糸検出タイミングにおける機台角度が第2閾値ISx2よりも早いか否かを判定する。制御装置16は、ステップS16において織幅内センサ45の緯糸検出タイミングにおける機台角度が第2閾値ISx2よりも早いと判定すると、ステップS17に移行し、発生した緯入れミスの内容を、エンドループミスと判断する。一方、制御装置16は、ステップS16において織幅内センサ45の緯糸検出タイミングにおける機台角度が第2閾値ISx2よりも早くないと判定すると、ステップS18に移行し、発生した緯入れミスの内容を、エンドミスもしくはエンドループミスと判断する。緯入れ診断装置は、このような緯入れ診断方法によって、発生した緯入れミスの内容を判断する。
【0059】
上記実施形態では以下の効果を得ることができる。
(1)制御装置16は、バルーンセンサ19における解舒検出数が正常で、且つ織幅内センサ45が緯糸Yを検出するとともにエンドセンサ24が緯糸Yを検出しなかった場合に、織幅内センサ45の緯糸検出タイミングと、予め設定された織幅内センサ45の緯糸検出タイミングの閾値との比較に基づいて、発生した緯入れミスであるループミスの発生箇所を推定する。入口ループミスとは別のループミスが発生した場合、エンドセンサ24が緯糸Yを検出しないのは入口ループミスと同じであるが、緯糸Yの先端が織幅内センサ45の検出位置に到達した後にループが形成されることがほとんどであるので、織幅内センサ45は緯糸Yを検出する。そして、制御装置16は、織幅内センサ45の緯糸検出タイミングと、予め設定された織幅内センサ45の緯糸検出タイミングの閾値との比較に基づいて、発生した緯入れミスであるループミスの発生箇所を推定する。これによれば、入口ループミスとは別のループミスが発生した場合に、ループミスの発生箇所を推定することができる。
【0060】
(2)中央ループミスは、緯糸飛走経路14aにおける織幅TLの中央付近で経糸に当たって緯糸Yのループが形成される緯入れミスであるため、織幅内センサ45の緯糸検出タイミングは、例えば、緯糸Yが正常に緯入れされているときの織幅内センサ45の緯糸検出タイミングに比べると、大きく遅れることになる。そこで、制御装置16は、織幅内センサ45の緯糸検出タイミングが第1閾値ISx1よりも遅れている場合、発生した緯入れミスの内容を中央ループミスと判断する。これによれば、入口ループミスとは別のループミスである中央ループミスが発生した場合に、ループミスの発生箇所を中央ループミスの発生箇所であると推定することができる。
【0061】
(3)第1閾値ISx1は、緯糸Yが正常に緯入れされているときの所定ピック数の範囲内で、織幅内センサ45の緯糸検出タイミングの最大値ISmaxから所定値だけ加算した値である。これによれば、発生した緯入れミスの内容を中央ループミスと正確に判断することができる。
【0062】
(4)エンドループミスは、緯糸飛走経路14aにおける織幅TLの中央よりもメインノズル22とは反対側付近で経糸に当たって緯糸Yのループが形成される緯入れミスであるため、織幅内センサ45の緯糸検出タイミングは、例えば、緯糸Yが正常に緯入れされているときの織幅内センサ45の緯糸検出タイミングとほぼ同じである。そこで、制御装置16は、織幅内センサ45の緯糸検出タイミングが第2閾値ISx2よりも早い場合、発生した緯入れミスの内容をエンドループミスと判断する。これによれば、入口ループミスとは別のループミスであるエンドループミスが発生した場合に、ループミスの発生箇所をエンドループミスの発生箇所であると推定することができる。
【0063】
(5)第2閾値ISx2は、緯糸Yが正常に緯入れされているときの所定ピック数の範囲内での織幅内センサ45の緯糸検出タイミングの平均値である。これによれば、発生した緯入れミスの内容をエンドループミスと判断し易くなる。
【0064】
(6)表示装置16aは、緯入れミスの内容に対応した調整方法を表示する。これによれば、作業者が、表示装置16aに表示された調整方法を見ることで、調整をスムーズに行うことができる。
【0065】
(7)表示装置16aは、制御装置16によって記録された緯入れミスに関するデータを一覧表示する。これによれば、作業者が、表示装置16aに一覧表示された表示内容を確認することにより、どのような緯入れミスが発生しているかを容易に確認することができる。
【0066】
なお、上記実施形態は以下のように変更してもよい。
○ 実施形態において、第1閾値ISx1を、例えば、織幅内センサ45の緯糸検出タイミングの標準偏差ISσの何倍かで設定してもよい。例えば、標準偏差ISσが「3」とすると、「6σ=18度」となり、緯糸Yが正常に緯入れされているときの所定ピック数の範囲内での織幅内センサ45の緯糸検出タイミングにおける機台角度の平均値が、例えば188度であった場合に、188度に18度を加算した「206度」を第1閾値ISx1と設定してもよい。
【0067】
○ 実施形態において、制御装置16が、ステップS18において、発生した緯入れミスの内容をエンドミスもしくはエンドループミスと判断した場合に、表示装置16aが、例えば、「エンドミスの発生確率70%」、「エンドループミスの発生確率30%」のように確率表示を行うようにしてもよい。
【0068】
○ 実施形態において、制御装置16は、緯糸Yが正常に緯入れされているときの所定ピック数(例えば30ピック)の範囲内で移動平均算出を行い、織幅内センサ45の緯糸検出タイミングにおける機台角度の最小値ISmin及び最大値ISmaxを求めるようにしてもよい。
【0069】
○ 実施形態において、制御装置16は、緯糸Yが正常に緯入れされているときの所定ピック数の範囲内で移動平均算出を行い、織幅内センサ45の緯糸検出タイミングにおける機台角度の平均値を算出するようにしてもよい。
【0070】
○ 実施形態において、制御装置16には、第2閾値ISx2が記憶されておらず、第1閾値ISx1のみが記憶されていてもよい。したがって、制御装置16は、発生した緯入れミスの内容を、第2閾値ISx2を用いて、入口ループミスとは別のループミスであるエンドループミスと判断する構成を有していなくてもよい。
【0071】
○ 実施形態において、制御装置16には、第1閾値ISx1が記憶されておらず、第2閾値ISx2のみが記憶されていてもよい。したがって、制御装置16は、発生した緯入れミスの内容を、第1閾値ISx1を用いて、入口ループミスとは別のループミスである中央ループミスと判断する構成を有していなくてもよい。
【0072】
○ 実施形態において、時間当たりの緯入れミスの発生回数が、予め定められた回数を超えた場合に、作業者に警告を出すようにしてもよい。この場合、例えば、表示装置16aに警告を表示するようにしてもよいし、警告表示用のランプを点灯させるようにしてもよい。
【0073】
○ 実施形態において、制御装置16は、緯入れミスの内容を、例えば、記号や色によって表示する表示部を有していてもよい。また、制御装置16は、緯入れミスの内容を、音声によって作業者に報知することにより表示する表示部を有していてもよい。
【0074】
○ 実施形態において、表示装置16aは、制御装置16によって記録された緯入れミスに関するデータを一覧表示する機能を有していない構成であってもよい。
○ 実施形態において、表示装置16aは、制御装置16によって記録された緯入れミスに関するデータを一覧表示する機能を有していなくてもよく、当該一覧表示の機能を有する装置を表示装置16aとは別に設けてもよい。
【0075】
○ 実施形態において、表示装置16aは、緯入れミスの内容に対応した調整方法を表示する機能を有していなくてもよく、当該調整方法を表示する機能を有する装置を表示装置16aとは別に設けてもよい。
【0076】
○ 実施形態において、制御装置16は、緯入れミスに関するデータを記録する機能を有していない構成であってもよい。
【符号の説明】
【0077】
TL…織幅、Y…緯糸、13…緯糸測長貯留装置、14a…緯糸飛走経路、15…サブノズル、19…バルーンセンサ、22…メインノズル、24…エンドセンサ、45…織幅内センサ。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7