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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-15
(45)【発行日】2022-02-04
(54)【発明の名称】アンテナ装置
(51)【国際特許分類】
   H04B 1/3822 20150101AFI20220128BHJP
   H01Q 1/22 20060101ALI20220128BHJP
   H01Q 1/32 20060101ALI20220128BHJP
   H04B 1/403 20150101ALI20220128BHJP
   H04B 1/405 20150101ALI20220128BHJP
   H04B 1/00 20060101ALI20220128BHJP
   B60R 11/02 20060101ALI20220128BHJP
   H01Q 1/24 20060101ALN20220128BHJP
【FI】
H04B1/3822
H01Q1/22 B
H01Q1/32
H04B1/403 101
H04B1/405
H04B1/00 264
B60R11/02 A
H01Q1/24 Z
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2018057312
(22)【出願日】2018-03-23
(62)【分割の表示】P 2017165359の分割
【原出願日】2017-08-30
(65)【公開番号】P2019047482
(43)【公開日】2019-03-22
【審査請求日】2020-07-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000006758
【氏名又は名称】株式会社ヨコオ
(74)【代理人】
【識別番号】100127306
【弁理士】
【氏名又は名称】野中 剛
(72)【発明者】
【氏名】安部 富夫
【審査官】前田 典之
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/033486(WO,A1)
【文献】特開2002-330377(JP,A)
【文献】特開2002-077199(JP,A)
【文献】特開2003-046536(JP,A)
【文献】特開2016-172460(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 1/3822
H01Q 1/22
H01Q 1/32
H04B 1/403
H04B 1/405
H04B 1/00
B60R 11/02
H01Q 1/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1アンテナ素子と、前記第1アンテナ素子とは別のアンテナ素子とを有するアンテナ素子部と、
前記第1アンテナ素子を介して得られた情報に基づいて、前記第1アンテナ素子が取り付けられた車両の位置情報を算出する第1処理部と、
前記別のアンテナ素子を介して、移動体通信を行う、及び/若しくは前記車両の外からの情報を受信し、前記車両の情報を送信する、前記第1処理部とは別の処理部とを備え、
前記第1アンテナ素子と、前記別のアンテナ素子は、ケースに覆われ、
前記第1アンテナ素子で得られた情報に基づいて、前記第1処理部の基準クロックが調整され、
前記基準クロックは、前記別の処理部で共有され、
前記別の処理部は、基準クロック調整の装置を設けないで構成され、
前記基準クロックは、前記別の処理部のタイミング制御に用いられることを特徴とするアンテナ装置。
【請求項2】
第1アンテナ素子と、前記第1アンテナ素子とは別のアンテナ素子とを有するアンテナ素子部と、
前記第1アンテナ素子を介して得られた情報に基づいて、前記第1アンテナ素子が取り付けられた車両の位置情報を算出する第1処理部と、
前記別のアンテナ素子を介して、移動体通信を行う、及び/若しくは前記車両の外からの情報を受信し、前記車両の情報を送信する、前記第1処理部とは別の処理部とを備え、
前記別の処理部は、前記第1処理部とは異なる処理を行い、
前記第1アンテナ素子と、前記別のアンテナ素子は、ケースに覆われ、
前記第1アンテナ素子で得られた情報に基づいて、前記第1処理部の基準クロックが調整され、
前記基準クロックは、前記別の処理部のタイミング制御に用いられることを特徴とするアンテナ装置。
【請求項3】
前記別の処理部は、前記車両の外からの情報を受信し、前記車両の情報を送信するものであり、
前記別の処理部は、前記車両の情報として、前記第1処理部で算出された前記位置情報と前記基準クロックに基づく時間情報を発信することを特徴とする請求項1または請求項2に記載のアンテナ装置。
【請求項4】
前記第1処理部で算出された位置情報は、前記別の処理部で共有され、
前記別の処理部は、位置情報算出の装置を設けないで構成されることを特徴とする請求項3に記載のアンテナ装置。
【請求項5】
前記ケースの内側には、カメラを含む撮像部が設けられ、
前記第1処理部と前記別の処理部とが収納される筐体には、前記撮像部で得られた画像信号に画像処理を施し、前記第1処理部で算出された位置情報と前記第1処理部で調整された基準クロックに基づく時間情報の少なくとも1つを付加する画像処理モジュールが設けられることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載のアンテナ装置。
【請求項6】
前記第1処理部で算出された位置情報と前記第1処理部で調整された基準クロックに基づく時間情報の少なくとも1つは、前記画像処理モジュールで共有されることを特徴とする請求項5に記載のアンテナ装置。
【請求項7】
前記車両の位置情報は、前記車両における、前記車両の位置情報を出力する情報出力装置とは異なる他の装置の制御に用いられることを特徴とする請求項1から請求項のいずれかに記載のアンテナ装置。
【請求項8】
前記第1処理部で算出された位置情報は、前記車両における、前記車両の位置情報を出力する情報出力装置とは異なる他の装置で共有され、
前記他の装置は、位置情報算出の装置を設けないで構成されることを特徴とする請求項7に記載のアンテナ装置。
【請求項9】
前記別のアンテナ素子は、第2アンテナ素子と第3アンテナ素子を有し、
前記別の処理部は、前記第2アンテナ素子を介して、前記移動体通信を行う第2処理部と、前記車両の外からの情報を受信し、前記車両の情報を送信する第3処理部とを有し、
前記基準クロックは、前記第2処理部のタイミング制御と前記第3処理部のタイミング制御に用いられることを特徴とする請求項1から請求項8のいずれかに記載のアンテナ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アンテナ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1のように、複数のアンテナ素子を含む車載アンテナ装置が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2016-172460号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、アンテナ素子で得られた情報を処理する処理装置のそれぞれにおいて、個別に位置情報を算出したり、基準クロックを調整したりしている
【0005】
したがって本発明の目的は、複数のアンテナ素子に対応する処理装置における、位置情報を算出したり、基準クロックを調整したりする構成を簡素化するアンテナ装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るアンテナ装置は、第1アンテナ素子と、第1アンテナ素子とは別のアンテナ素子とを有するアンテナ素子部と、第1アンテナ素子を介して得られた情報に基づいて、第1アンテナ素子が取り付けられた車両の位置情報を算出する第1処理部と、別のアンテナ素子を介して、移動体通信を行う、及び/若しくは車両の外からの情報を受信し、車両の情報を送信する、第1処理部とは別の処理部とを備え、第1アンテナ素子と、別のアンテナ素子は、ケースに覆われ、第1アンテナ素子で得られた情報に基づいて、第1処理部の基準クロックが調整され、基準クロックは、別の処理部のタイミング制御に用いられる
【0007】
好ましくは、別の処理部は、車両の外からの情報を受信し、車両の情報を送信するものであり、別の処理部は、車両の情報として、第1処理部で算出された位置情報と基準クロックに基づく時間情報を発信する。
【0008】
さらに好ましくは、ケースの内側には、カメラを含む撮像部が設けられ、第1処理部と別の処理部とが収納される筐体には、撮像部で得られた画像信号に画像処理を施し、第1処理部で算出された位置情報と第1処理部で調整された基準クロックに基づく時間情報の少なくとも1つを付加する画像処理モジュールが設けられる。
【0009】
さらに好ましくは、車両の位置情報は、車両における、車両の位置情報を出力する情報出力装置とは異なる他の装置の制御に用いられる。
【0010】
さらに好ましくは、別のアンテナ素子は、第2アンテナ素子と第3アンテナ素子を有し、別の処理部は、第2アンテナ素子を介して、移動体通信を行う第2処理部と、車両の外からの情報を受信し、車両の情報を送信する第3処理部とを有し、基準クロックは、第2処理部のタイミング制御と第3処理部のタイミング制御に用いられる。
【発明の効果】
【0017】
以上のように本発明によれば、複数のアンテナ素子に対応する処理装置における、位置情報を算出したり、基準クロックを調整したりする構成を簡素化するアンテナ装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本実施形態における、GNSS用アンテナを共用したアンテナ装置を含む車両の構成図である。
図2】本実施形態における、GNSS用のアンテナを別々に設けたアンテナ装置を含む車両の構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本実施形態について、図を用いて説明する。本実施形態におけるアンテナ装置1は、アンテナ素子部10と、信号処理部30を備える(図1参照)。
【0020】
本実施形態にかかるアンテナ装置1が取り付けられる車両には、ゲートウェイECU(Electronic Control Unit)110、情報出力装置120、速度センサー130、マイク141、スピーカー142、モニター143、バッテリー150、ACCスイッチ160を備える。
【0021】
アンテナ素子部10は、第1アンテナ素子11、第2アンテナ素子12、第3アンテナ素子13、第4アンテナ素子14、第5アンテナ素子15、撮像部16を有する。
【0022】
信号処理部30は、第1処理部(位置演算モジュール)31、第2処理部(通信モジュール)32、第3処理部(V2Xモジュール)33、第4処理部(デジタル放送チューナー)34、第5処理部(FM/AM放送チューナー)35、第6処理部(画像処理モジュール)36、送受信部(イーサネット(登録商標)モジュール)39を有する。
【0023】
アンテナ素子部10の詳細について説明する。
アンテナ素子部10は、アンテナ素子のアンプ回路などが実装された基板18上などに取り付けられ、車両のルーフ200の上に設置されたアンテナケース19の内側に収納される(上から覆われる)。
【0024】
アンテナケース19は、車両のルーフ200と別体で構成され、アンテナケース19と基板18を保持するベース(不図示)とがアンテナ素子部10を挟んだ状態で、ルーフ200の上に取り付けられる。
【0025】
ただし、車両のルーフ200の一部が隆起する形でアンテナケース19が形成される形態であってもよい。
この場合には、ベース若しくは基板18を介して、車両のルーフ200よりも内側に設けられたインナーパネル(不図示)にアンテナ素子部10が取り付けられ、アンテナ素子部10を上から覆うようにルーフ200における隆起した領域(アンテナケース19)が配置される。
【0026】
第1アンテナ素子11は、GNSS(Global Navigation Satellite System/全球測位衛星システム)用のアンテナ素子であり、GPS(Global Positioning System)衛星などから、当該衛星の位置情報と時間情報の受信を行うために使用される。
【0027】
第2アンテナ素子12は、電話回線を用いた移動体通信用のアンテナ素子であり、携帯電話基地局と情報の送受信を行うために使用される。
【0028】
第3アンテナ素子13は、IEEE802.11p規格に基づいて、車車間通信、路車間通信、車両と携帯端末間の通信(V2X通信)を行うためのアンテナ素子であり、近距離に位置する他車両(第1アンテナ素子11が取り付けられた車両と別の車両)、路側機、携帯端末と情報の送受信を行うために使用される。
【0029】
第4アンテナ素子14は、XMやDAB(Digital Audio Broadcast)などデジタル放送の受信を行うためのアンテナ素子である。
【0030】
第5アンテナ素子15は、FM放送、AM放送などの地上波放送の受信を行うためのアンテナ素子である。
【0031】
撮像部16は、車両の後方などを撮影するカメラである。
【0032】
基板18における下面(第1アンテナ素子11などと反対側の面)には、第1アンテナ素子11、第4アンテナ素子14、第5アンテナ素子15で得られた信号を増幅するアンプが実装される。
当該アンプは、基板18の上面に実装される形態であってもよいし、上面と下面の両方に実装される形態であってもよい。
【0033】
次に、信号処理部30の詳細について説明する。
信号処理部30は、アンテナ素子部10で受信した信号やアンテナ素子部10で送信する信号を、デジタル信号で、車内LAN(Local Area Network)を介して接続したゲートウェイECU110と送受信する装置であり、信号処理部30を構成する第1処理部31~第6処理部36と送受信部39は、アンテナケース19とは別に設けられた1つの筐体内に収納される。
【0034】
当該筐体は、少なくとも、ゲートウェイECU110よりもアンテナ素子部10に近い位置に配置される。
例えば、当該筐体は、車両におけるアンテナ素子部10を保持する部材(ルーフ200若しくはインナーパネル)における、アンテナ素子部10が配置された領域の直下に配置され、アンテナ素子部10と信号処理部30が当該車両におけるアンテナ素子部10を保持する部材を上下方向で挟む位置関係に配置される形態が考えられる。
【0035】
また、ルーフ200の上部で、基板18とアンテナケース19の間に、信号処理部30が設けられる、すなわち、アンテナ素子部10と信号処理部30がアンテナケース19に覆われる形態であってもよい。
この場合、アンテナケース19が筐体の役割を果たす。
【0036】
第1処理部(位置演算モジュール)31は、第1アンテナ素子11を介して、衛星の位置情報と時間情報を受信し、これらに基づいて、車両の位置情報(緯度経度情報)を算出し、第1処理部31の基準クロックを調整する。
【0037】
衛星の位置情報と時間情報を含む信号は、第1アンテナ素子11を介して受信され、第1処理部31で復調と車両の位置情報への変換とA/D変換が施される。
当該車両の位置情報は、第1処理部31においてA/D変換された後、送受信部39を介して、ゲートウェイECU110に送信され、カーナビゲーションシステムなどの情報出力装置120で使用される。
【0038】
また、第1処理部31は、当該車両の位置情報及び基準クロックに関する情報を、第2処理部32~第6処理部36と送受信部39に送信する。
第1処理部31で調整された基準クロックは、信号処理部30の各部(第1処理部31~第6処理部36、送受信部39)のタイミング制御に用いられる。
【0039】
また、基準クロックに関する情報は、送受信部39とゲートウェイECU100を介して、車両の各部に送信され、これらのタイミング制御に用いられる形態であってもよい。
なお、第1処理部31から、第2処理部32~第6処理部36への位置情報や基準クロックに関する情報の送信は、送受信部39を介して行われる形態であってもよい。
【0040】
ただし、第2処理部32、及び第3処理部33が、第1処理部31から位置情報及び基準クロックに関する情報を受信せず、それぞれで、位置情報を算出したり、自身の基準クロックを調整したりする形態であってもよい。
この場合には、第2アンテナ素子12は、電話回線を用いた移動体通信用のアンテナ素子とGNSS用のアンテナ素子を有し、第3アンテナ素子13は、車車間通信などを行うためのアンテナ素子とGNSS用のアンテナ素子を有する(図2参照)。
【0041】
第2処理部(通信モジュール)32は、LTE(Long Term Evolution)などの通信規格に基づき、発呼など電話回線を用いた移動体通信を行う。
【0042】
通信操作部121若しくは緊急通報操作部122から制御信号は、ゲートウェイECU110、送受信部39を介して、第2処理部32に送信され、当該制御信号に基づいて、第2処理部32が動作する。
マイク141からの音声信号は、ゲートウェイECU110、送受信部39を介して、第2処理部32に送信され、第2処理部32でD/A変換と変調が施され、第2アンテナ素子12を介して、第2処理部32と通話状態にある端末に対して発信される。
【0043】
第2処理部32と通話状態の端末からの音声信号や画像信号やデータは、第2アンテナ素子12を介して受信され、第2処理部32で復調とA/D変換が施され、送受信部39とゲートウェイECU110を介して、情報出力装置120に送信され、音声信号は、スピーカー142で出力され、データ及び画像信号はモニター143で出力される。
【0044】
また、緊急通報操作部122からの制御に基づいて発呼が行われた場合、第1処理部31で得られた位置情報を含むデータが、第2処理部32で変調が施され、第2アンテナ素子12を介して、第2処理部32と通話状態にある端末(所定の緊急通報管理センター)に対して発信される。
【0045】
なお、使用者などによる緊急通報操作部122の操作が行われた場合に、所定の緊急通報管理センターへの発呼が行われる形態であってもよいが、車両のエアバッグ(不図示)が動作した場合などに、当該エアバッグが動作したことに関する情報が、ゲートウェイECU110、送受信部39を介して、第2処理部32に送信され、当該発呼が行われる形態であってもよい。
【0046】
第3処理部(V2Xモジュール)33は、第3アンテナ素子13を介した信号送受信のための変調処理や復調処理を行う。
【0047】
位置情報や速度情報や時間情報を含む自車情報は、第3処理部33で変調され、第3アンテナ素子13を介して、発信される。
自車情報のうち、位置情報は、第1処理部31で得られた位置情報が用いられる。
自車情報のうち、速度情報は、速度センサー130から出力され、ゲートウェイECU110、及び送受信部39を介して送信された情報が用いられ、第3処理部33でD/A変換が施された後に、変調が施される。
自車情報のうち、時間情報は、第1処理部31で得られた基準クロックに基づいて算出される。
【0048】
車両の外からの情報(位置情報や速度情報や時間情報を含む他車情報、路側機からの情報、及び携帯端末からの情報)は、第3アンテナ素子13を介して受信され、第3処理部33で復調とA/D変換が施され、送受信部39、ゲートウェイECU110を介して、情報出力装置120に送信され、音声信号は、スピーカー142で出力され、データ及び画像信号はモニター143で出力される。
【0049】
第4処理部(デジタル放送チューナー)34は、第4アンテナ素子14を介した信号受信のための同調・復調処理を行う。
【0050】
オーディオ操作部123からの制御信号であってデジタル放送に関するものは、ゲートウェイECU110、送受信部39を介して、第4処理部34に送信され、当該制御信号に基づいて、第4処理部34が動作する。
デジタル放送の電波であって、オーディオ操作部123で設定された周波数に対応するものは、第4アンテナ素子14を介して受信され、第4処理部34で同調と復調とA/D変換が施され、送受信部39とゲートウェイECU110を介して、情報出力装置120に送信され、音声信号は、スピーカー142で出力され、データ及び画像信号はモニター143で出力される。
【0051】
第5処理部(FM/AM放送チューナー)35は、第5アンテナ素子15を介した信号受信のための同調・復調処理を行う。
【0052】
オーディオ操作部123からの制御信号であってFM/AM放送に関するものは、ゲートウェイECU110、送受信部39を介して、第5処理部35に送信され、当該制御信号に基づいて、第5処理部35が動作する。
FM放送やAM放送の電波であって、オーディオ操作部123で設定された周波数に対応するものは、第5アンテナ素子15を介して受信され、第5処理部35で同調と復調とA/D変換が施され、送受信部39とゲートウェイECU110を介して、情報出力装置120に送信され、音声信号は、スピーカー142で出力され、データ及び画像信号はモニター143で出力される。
【0053】
第6処理部(画像処理モジュール)36は、撮像部16における撮像動作で得られた画像信号をモニター143などで出力可能な画像データに変換する画像処理を行う。
【0054】
カメラ操作部124からの制御信号は、ゲートウェイECU110、送受信部39を介して、第6処理部36に送信され、当該制御信号に基づいて、撮像部16及び第6処理部36が動作する。
撮像部16における撮像動作で得られた画像信号は、第6処理部36で画像処理と位置情報や時間情報の付加とプロトコル変換が施され、送受信部39とゲートウェイECU110を介して、情報出力装置120に送信され、モニター143で出力される。
【0055】
画像信号に付加される位置情報は、第1処理部31で得られた位置情報が用いられる。
画像情報に付加される時間情報は、第1処理部31で得られた基準クロックに基づいて算出される。
【0056】
撮像部16における撮像動作は、カメラ操作部124からの制御信号に基づいて、オンオフ制御が行われる形態であってもよいし、常時行われる形態であってもよいし、車両のシフトレバーがリヤモードに設定されている間だけ行われる形態であってもよい。
【0057】
送受信部(イーサネット(登録商標)モジュール)39は、CAN(Controller Area Network)などの車内LANを介して、ゲートウェイECU110と通信を行う。
送受信部39は、LANケーブルを介して、ゲートウェイECU110と接続される。
【0058】
ゲートウェイECU110は、車内LANを介して、車内に設置された電子機器と信号の送受信を行う。
【0059】
情報出力装置120は、カーナビゲーションシステム、オーディオ機器など、情報を音声や映像で出力する装置であり、第2処理部32を操作するための通信操作部121と緊急通報操作部122、第4処理部34と第5処理部35を操作するためのオーディオ操作部123、及び撮像部16と第6処理部36を操作するためのカメラ操作部124を有する。
【0060】
速度センサー130は、車両の速度に関する情報をパルス信号などで、ゲートウェイECU110に出力する。
マイク141は、音声信号を情報出力装置120に出力する。
スピーカー142は、情報出力装置120からの音声信号を出力する。
モニター143は、情報出力装置120からの映像信号を出力する。
バッテリー150は、車両に設置された電子機器への電力を供給する。
ACCスイッチ160は、車両のエンジン若しくはイグニッション若しくはパワースイッチがオン状態の時に、オン状態になるスイッチである。
【0061】
時計機能を有する部材など、車両のエンジン若しくはイグニッション若しくはパワースイッチのオンオフ状態にかかわらず電力供給が必要な部材には、ACCスイッチ160を介さずに、バッテリー150からの電力が直接供給される。
車両のエンジン若しくはイグニッション若しくはパワースイッチのオン状態の時だけ電力供給が必要な部材には、ACCスイッチ160を介して、バッテリー150からの電力が供給される。
【0062】
基板18における第1アンテナ素子11~第3アンテナ素子13に関する領域、第1処理部31~第3処理部33、及び送受信部39には、ACCスイッチ160を介さずに、バッテリー150からの電力が直接供給される。
【0063】
この場合、第2処理部32からの発呼が常時可能になるため、車両のエンジンなどのオンオフ状態にかかわらず、緊急通報などの移動体通信を行うことが可能になる。
また、第3処理部33を介した信号送受信が常時可能になるため、車両のエンジンなどのオンオフ状態にかかわらず、V2X通信を行うことが可能になる。
【0064】
撮像部16、基板18における第4アンテナ素子14、第5アンテナ素子15と撮像部16に関する領域、及び第4処理部34~第6処理部36には、ACCスイッチ160を介して、バッテリー150からの電力が供給される。
【0065】
ただし、第2処理部32、及び第3処理部33が、第1処理部31から位置情報及び基準クロックに関する情報を受信せず、それぞれで、位置情報を算出したり、自身の基準クロックを調整したりする形態(図2参照)の場合は、第1アンテナ素子11と基板18における第1アンテナ素子11に関する領域と第1処理部31への電力供給は、ACCスイッチ160を介して行われる形態であってもよい。
【0066】
また、車両のエンジンなどがオフ状態の時のV2X通信を行わない場合は、基板18における第3アンテナ素子13に関する領域、及び第3処理部33への電力供給は、ACCスイッチ160を介して行われる形態であってもよい。
【0067】
本実施形態では、アンテナ素子部10の近くに設けられた信号処理部30が、複数のアンテナ素子(第1アンテナ素子11~第5アンテナ素子15)を有するアンテナ素子部10を介して受信した信号、及びアンテナ素子部10を介して送信する信号を、デジタル信号で、車内LANを介して接続したゲートウェイECU110と送受信するので、複数のアンテナ素子を介して送受信する信号を、1つのケーブルを使って、他の機器に伝達することが可能になり、配線の簡素化を実現出来る。
【0068】
第1処理部(位置演算モジュール)31で得られた位置情報は、情報出力装置120で使用されるだけでなく、第3処理部(V2Xモジュール)33で発信する自車情報に含まれる位置情報として用いられる。
第1処理部31で調整された基準クロックは、信号処理部30を構成する他の機器(第2処理部32など)のタイミング制御に用いられ、更に、第3処理部33で発信する自車情報に含まれる時間情報として用いられる。
【0069】
このため、位置情報を得るための1つのアンテナ素子(第1アンテナ素子11)を用いて、複数の機器の位置情報や基準クロックを共有させることが可能になり、それぞれの機器(例えば、第2処理部32や第3処理部33)に、第1アンテナ素子11に相当するアンテナ素子や位置情報を算出する装置や基準クロックを調整する装置を設けずに構成することが可能になる。
【0070】
また、第6処理部(画像処理モジュール)36において生成される画像データに位置情報や時間情報を付加することが可能になる。
【0071】
また、第1アンテナ素子11及び第1処理部31で得られる車両の位置情報や基準クロックに関する情報は、カーナビゲーションシステムなど位置情報を出力する装置(情報出力装置120)に限らず、車内LANを介して接続された他の装置170の制御に用いられる形態であってもよい。
【0072】
例えば、車両の位置情報に基づいて、登り坂を走行中であることを検知し、速度が落ちすぎないようにエンジン(他の装置170)の回転数を上げたり、下り坂を走行中であることを検知し、速度が上がりすぎないようにエンジン(他の装置170)の回転数を上げたりする制御を行う形態、車両の位置情報と基準クロックに基づく時間情報に基づいて、日の出時間や日の入り時間を算出して、ヘッドライトやスモールライト(他の装置170)の点灯制御を行う形態が考えられる。
【符号の説明】
【0073】
1 アンテナ装置
10 アンテナ素子部
11~15 第1アンテナ素子~第5アンテナ素子
16 撮像部
18 基板
19 アンテナケース
30 信号処理部
31 第1処理部(位置演算モジュール)
32 第2処理部(通信モジュール)
33 第3処理部(V2Xモジュール)
34 第4処理部(デジタル放送チューナー)
35 第5処理部(FM/AM放送チューナー)
36 第6処理部(画像処理モジュール)
39 送受信部(イーサネット(登録商標)モジュール)
110 ゲートウェイECU
120 情報出力装置
121 通信操作部
122 緊急通報操作部
123 オーディオ操作部
124 カメラ操作部
130 速度センサー
141 マイク
142 スピーカー
143 モニター
150 バッテリー
160 ACCスイッチ
170 他の装置(エンジン、ヘッドランプ、スモールランプなど)
200 ルーフ
図1
図2