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特許6994454ベンズアゾール化合物ならびに該化合物の作製方法および使用方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-15
(45)【発行日】2022-01-14
(54)【発明の名称】ベンズアゾール化合物ならびに該化合物の作製方法および使用方法
(51)【国際特許分類】
   C07D 417/14 20060101AFI20220106BHJP
   A61K 31/454 20060101ALI20220106BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20220106BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20220106BHJP
   A61P 37/06 20060101ALI20220106BHJP
   A61P 29/00 20060101ALI20220106BHJP
   A61P 9/00 20060101ALI20220106BHJP
   A61P 25/00 20060101ALI20220106BHJP
   A61P 37/08 20060101ALI20220106BHJP
   A61P 13/12 20060101ALI20220106BHJP
   A61P 7/02 20060101ALI20220106BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20220106BHJP
   A61P 15/08 20060101ALI20220106BHJP
   A61P 7/06 20060101ALI20220106BHJP
   A61P 11/00 20060101ALI20220106BHJP
   A61P 9/10 20060101ALI20220106BHJP
   A61P 31/04 20060101ALI20220106BHJP
   A61P 31/12 20060101ALI20220106BHJP
   A61P 37/02 20060101ALI20220106BHJP
   A61P 19/02 20060101ALI20220106BHJP
   A61P 3/10 20060101ALI20220106BHJP
   A61P 1/04 20060101ALI20220106BHJP
   A61P 1/16 20060101ALI20220106BHJP
   A61P 27/02 20060101ALI20220106BHJP
   A61P 17/06 20060101ALI20220106BHJP
   A61P 1/18 20060101ALI20220106BHJP
   A61P 17/00 20060101ALI20220106BHJP
   A61P 21/00 20060101ALI20220106BHJP
   A61P 11/06 20060101ALI20220106BHJP
   A61P 5/14 20060101ALI20220106BHJP
   A61P 17/14 20060101ALI20220106BHJP
   A61P 25/06 20060101ALI20220106BHJP
   A61P 35/02 20060101ALI20220106BHJP
   A61P 1/02 20060101ALI20220106BHJP
   A61P 35/04 20060101ALI20220106BHJP
   A61K 39/395 20060101ALI20220106BHJP
   A61K 31/423 20060101ALI20220106BHJP
   A61K 31/5377 20060101ALI20220106BHJP
   C07D 471/04 20060101ALI20220106BHJP
【FI】
C07D417/14 CSP
A61K31/454
A61K45/00
A61P43/00 111
A61P37/06
A61P29/00
A61P9/00
A61P25/00
A61P37/08
A61P13/12
A61P7/02
A61P35/00
A61P15/08
A61P7/06
A61P11/00
A61P9/10
A61P31/04
A61P31/12
A61P37/02
A61P29/00 101
A61P19/02
A61P3/10
A61P1/04
A61P1/16
A61P27/02
A61P17/06
A61P1/18
A61P17/00
A61P21/00
A61P11/06
A61P5/14
A61P17/14
A61P25/06
A61P35/02
A61P9/10 101
A61P1/02
A61P35/04
A61K39/395 N
A61K39/395 T
A61K31/423
A61K31/5377
C07D471/04 104Z
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2018505606
(86)(22)【出願日】2016-08-02
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2018-09-27
(86)【国際出願番号】 US2016045176
(87)【国際公開番号】W WO2017023941
(87)【国際公開日】2017-02-09
【審査請求日】2019-08-01
(31)【優先権主張番号】62/200,778
(32)【優先日】2015-08-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】504294145
【氏名又は名称】ライジェル ファーマシューティカルズ, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100102978
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 初志
(74)【代理人】
【識別番号】100102118
【弁理士】
【氏名又は名称】春名 雅夫
(74)【代理人】
【識別番号】100160923
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 裕孝
(74)【代理人】
【識別番号】100119507
【弁理士】
【氏名又は名称】刑部 俊
(74)【代理人】
【識別番号】100142929
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 隆一
(74)【代理人】
【識別番号】100148699
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 利光
(74)【代理人】
【識別番号】100128048
【弁理士】
【氏名又は名称】新見 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100129506
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 智彦
(74)【代理人】
【識別番号】100205707
【弁理士】
【氏名又は名称】小寺 秀紀
(74)【代理人】
【識別番号】100114340
【弁理士】
【氏名又は名称】大関 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100121072
【弁理士】
【氏名又は名称】川本 和弥
(72)【発明者】
【氏名】イェン ローズ
(72)【発明者】
【氏名】チェン ヤン
(72)【発明者】
【氏名】シン ラジンダー
(72)【発明者】
【氏名】タイラー ヴァネッサ
【審査官】伊佐地 公美
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2015/104662(WO,A1)
【文献】国際公開第2015/104688(WO,A1)
【文献】特開2012-254939(JP,A)
【文献】特表2015-503618(JP,A)
【文献】国際公開第2015/048281(WO,A1)
【文献】国際公開第2015/091426(WO,A1)
【文献】国際公開第2013/042137(WO,A1)
【文献】WANG, Z. et al.,Current Topics in Medicinal Chemistry,2009年,Vol. 9,pp. 724-737
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D
A61K
A61P
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式を有する化合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、もしくはN-オキシド:
式中、
XはOまたはSであり;
YはSであり;
ZはNあり;
Het-1は
であり;
R1およびR2は、独立にH、脂肪族、ヘテロ脂肪族、ヘテロシクリル、アリール、芳香脂肪族であるか、またはそれらが結合している窒素と一緒に複素環を形成し;
各R8は独立に脂肪族、ハロ、ヘテロ脂肪族、-O-脂肪族、ヘテロシクリル、アリール、芳香脂肪族、-O-ヘテロシクリル、ヒドロキシル、ニトロ、シアノ、カルボキシル、カルボキシルエステル、アシル、アミド、アミノ、スルホニル、スルホンアミド、スルファニル、スルフィニル、またはハロアルキルであり;
R 10 およびR 23 はH、脂肪族、ヘテロ脂肪族、-O-脂肪族、ヘテロシクリル、アリール、芳香脂肪族、-O-ヘテロシクリル、ヒドロキシル、シアノ、カルボキシル、カルボキシルエステル、アシル、アミド、アミノ、スルホニル、スルホンアミド、またはハロアルキルより選択され;かつ
RおよびR’はそれぞれ独立に脂肪族であるか、またはRおよびR’はそれらに結合した窒素と一緒に複素環を形成し、
かつ、ここで、
アミノは、-NH2、-NHR、または-NRRなる基を意味し、ここで各Rは独立にH、脂肪族、ヘテロ脂肪族、アリールもしくは複素環から選択されるか、または2つのR基はそれらに結合した窒素と一緒に、1つまたは2つのヘテロ原子が挿入されていてもよい複素環を形成し;かつ
脂肪族は、1~25個の炭素原子を含む、置換されていてもよい直鎖、分岐鎖、または環状の炭化水素系の部分を意味し;ここで、1つまたは複数の水素原子を置換している任意の各置換基は、独立して、-R60、ハロ、=O、-OR70、-SR70、-N(R80)2、ハロアルキル、ペルハロアルキル、-CN、-NO2、=N2、-N3、-SO2R70、-SO3 -M+、-SO3R70、-OSO2R70、-OSO3 -M+、-OSO3R70、-P(O)(O-)2(M+)2、-P(O)(O-)2M2+、-P(O)(OR70)O-M+、-P(O)(OR70)2、-C(O)R70、-C(S)R70、-C(NR70)R70、-CO2 -M+、-CO2R70、-C(S)OR70、-C(O)N(R80)2、-C(NR70)(R80)2、-OC(O)R70、-OC(S)R70、-OCO2 -M+、-OCO2R70、-OC(S)OR70、-NR70C(O)R70、-NR70C(S)R70、-NR70CO2 -M+、-NR70CO2R70、-NR70C(S)OR70、-NR70C(O)N(R80)2、-NR70C(NR70)R70および-NR70C(NR70)N(R80)2であり、ここでR60はC1-6アルキルであり;各R70は各出現時に独立に水素またはR60であり;各R80は各出現時に独立にR70であるか、または2つのR80基は、それらが結合している窒素原子と一緒に、O、NおよびSから選択され、そのうちNはHもしくはC1-C3アルキル置換を有していてもよい、1~4個の同じまたは異なる追加のヘテロ原子を含んでいてもよい、3~7員ヘテロアリシクリルを形成し;かつ各M+は正味の1の正電荷を有する対イオンであり;かつ1つの炭素上の任意の2個の水素原子は、=O、=NR70、=N-OR70、=N2または=Sで置き換えられ得る。
【請求項2】
各R8が独立にハロ、C1-6ハロアルキル、C1-6アルキル、-OC1-6アルキル、アミノ、または-CH2OP(O)(OR24)2から選択され;かつ
各R24が独立にH、C1-6アルキル、またはリン酸部分と共に薬学的に許容される塩基付加塩を形成する対イオンである、請求項1載の化合物。
【請求項3】
少なくとも1つのR8が-NH2、-CH3、-CF3、-CF2H、または-CH2CF3である、請求項2記載の化合物。
【請求項4】
RおよびR’は独立に脂肪族であるか、またはRおよびR’はそれらに結合した窒素と一緒に複素環を形成する、請求項1~3のいずれか一項記載の化合物。
【請求項5】
NRR’
から選択され、請求項1~4のいずれか一項記載の化合物。
【請求項6】
R1がHまたはアルキルであり、かつR2が脂肪族またはヘテロ脂肪族であるか;または
R1およびR2が、それらに結合した窒素と一緒に、
から選択され;
Raが脂肪族、ハロアルキル、またはアシルであり;
nが1または2であり;かつ
pが0、1、または2である、請求項1~5のいずれか一項記載の化合物。
【請求項7】
I-11:2-(6-アミノピリジン-3-イル)-N-(2-モルホリノ-5-(ピペリジン-1-イル)ベンゾ[d]オキサゾール-6-イル)チアゾール-4-カルボキサミド;
I-12:N-(2-モルホリノ-5-(ピペリジン-1-イル)ベンゾ[d]オキサゾール-6-イル)-2-(1H-ピラゾール-4-イル)チアゾール-4-カルボキサミド;
I-13:N-(2-モルホリノ-5-(ピペリジン-1-イル)ベンゾ[d]オキサゾール-6-イル)-2-(1H-ピラゾール-3-イル)チアゾール-4-カルボキサミド;
I-14:2-(2-メチルピリジン-4-イル)-N-(2-モルホリノ-5-(ピペリジン-1-イル)ベンゾ[d]オキサゾール-6-イル)チアゾール-4-カルボキサミド;
I-19:2-(6-アミノピリジン-3-イル)-N-(2-(4-メチルピペラジン-1-イル)-5-(ピペリジン-1-イル)ベンゾ[d]オキサゾール-6-イル)チアゾール-4-カルボキサミド;
I-20:N-(2-(4-メチルピペラジン-1-イル)-5-(ピペリジン-1-イル)ベンゾ[d]オキサゾール-6-イル)-2-(1H-ピラゾール-4-イル)チアゾール-4-カルボキサミド;
I-21:N-(2-(4-メチルピペラジン-1-イル)-5-(ピペリジン-1-イル)ベンゾ[d]オキサゾール-6-イル)-2-(1H-ピラゾール-3-イル)チアゾール-4-カルボキサミド;
I-22:N-(2-(4-メチルピペラジン-1-イル)-5-(ピペリジン-1-イル)ベンゾ[d]オキサゾール-6-イル)-2-(2-メチルピリジン-4-イル)チアゾール-4-カルボキサミド;
I-25:N-(5-(4-フルオロピペリジン-1-イル)-2-モルホリノベンゾ[d]オキサゾール-6-イル)-2-(1H-ピラゾール-4-イル)チアゾール-4-カルボキサミド;
I-26:N-(5-(4-フルオロピペリジン-1-イル)-2-モルホリノベンゾ[d]オキサゾール-6-イル)-2-(2-メチルピリジン-4-イル)チアゾール-4-カルボキサミド;
I-29:N-(5-(4,4-ジフルオロピペリジン-1-イル)-2-モルホリノベンゾ[d]オキサゾール-6-イル)-2-(1H-ピラゾール-4-イル)チアゾール-4-カルボキサミド;
I-30:N-(5-(4,4-ジフルオロピペリジン-1-イル)-2-モルホリノベンゾ[d]オキサゾール-6-イル)-2-(2-メチルピリジン-4-イル)チアゾール-4-カルボキサミド;
I-34:2-(6-アミノピリジン-3-イル)-N-(2,5-ジ(ピペリジン-1-イル)ベンゾ[d]オキサゾール-6-イル)チアゾール-4-カルボキサミド;
I-35:N-(2,5-ジ(ピペリジン-1-イル)ベンゾ[d]オキサゾール-6-イル)-2-(1H-ピラゾール-4-イル)チアゾール-4-カルボキサミド;
I-36:N-(2,5-ジ(ピペリジン-1-イル)ベンゾ[d]オキサゾール-6-イル)-2-(1H-ピラゾール-3-イル)チアゾール-4-カルボキサミド;
I-37:N-(2,5-ジ(ピペリジン-1-イル)ベンゾ[d]オキサゾール-6-イル)-2-(2-メチルピリジン-4-イル)チアゾール-4-カルボキサミド;
I-40:N-(5-(3-フルオロピペリジン-1-イル)-2-モルホリノベンゾ[d]オキサゾール-6-イル)-2-(1H-ピラゾール-4-イル)チアゾール-4-カルボキサミド;
I-41:N-(5-(3-フルオロピペリジン-1-イル)-2-モルホリノベンゾ[d]オキサゾール-6-イル)-2-(2-メチルピリジン-4-イル)チアゾール-4-カルボキサミド;
I-44:N-(5-(3,3-ジフルオロピペリジン-1-イル)-2-モルホリノベンゾ[d]オキサゾール-6-イル)-2-(1H-ピラゾール-4-イル)チアゾール-4-カルボキサミド;
I-45:N-(5-(3,3-ジフルオロピペリジン-1-イル)-2-モルホリノベンゾ[d]オキサゾール-6-イル)-2-(2-メチルピリジン-4-イル)チアゾール-4-カルボキサミド;
I-47:N-(2-モルホリノ-5-(ピロリジン-1-イル)ベンゾ[d]オキサゾール-6-イル)-2-(1H-ピラゾール-4-イル)チアゾール-4-カルボキサミド;
I-49:N-(2,5-ジモルホリノベンゾ[d]オキサゾール-6-イル)-2-(1H-ピラゾール-4-イル)チアゾール-4-カルボキサミド;
I-51:N-(2-((2-メトキシエチル)(メチル)アミノ)-5-(ピペリジン-1-イル)ベンゾ[d]オキサゾール-6-イル)-2-(1H-ピラゾール-4-イル)チアゾール-4-カルボキサミド;
I-52:N-(2-((2-モルホリノエチル)アミノ)-5-(ピペリジン-1-イル)ベンゾ[d]オキサゾール-6-イル)-2-(1H-ピラゾール-4-イル)チアゾール-4-カルボキサミド;
I-54:N-(2-(メチル(2-モルホリノエチル)アミノ)-5-(ピペリジン-1-イル)ベンゾ[d]オキサゾール-6-イル)-2-(1H-ピラゾール-4-イル)チアゾール-4-カルボキサミド;
またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、もしくはN-オキシドから選択される、請求項1記載の化合物。
【請求項8】
請求項1~7のいずれか一項記載の化合物と、薬学的に許容される賦形剤とを含む、組成物。
【請求項9】
請求項1~7のいずれか一項記載の化合物を含む、対象における疾患または状態の処置における使用のための組成物。
【請求項10】
IRAK調節剤または阻害剤を要する疾患または状態の処置における使用のための、請求項9記載の組成物。
【請求項11】
疾患または状態が自己免疫疾患、炎症性障害、心血管疾患、神経障害、神経変性障害、アレルギー性疾患、多臓器不全、腎疾患、血小板凝集、がん、移植、精子運動能、赤血球欠乏、移植片拒絶、肺損傷、呼吸器疾患、虚血状態、細菌感染症、ウイルス感染症、免疫調節障害、またはそれらの組み合わせである、請求項10記載の組成物。
【請求項12】
疾患または状態が筋萎縮性側索硬化症(ALS)、全身性エリテマトーデス、慢性関節リウマチ、I型糖尿病、炎症性腸疾患、胆汁性肝硬変、ブドウ膜炎、多発性硬化症、クローン病、潰瘍性大腸炎、水疱性類天疱瘡、サルコイドーシス、乾癬、自己免疫性筋炎、膵炎、カポジ肉腫、骨髄異形成症候群、ウェゲナー肉芽腫症、魚鱗癬、グレーブス眼症、喘息、関節リウマチ、全身性エリテマトーデス、橋本甲状腺炎、多発性硬化症、全身性硬化症、重症筋無力症、I型糖尿病、ブドウ膜炎、後部ブドウ膜炎、アレルギー性脳脊髄炎、糸球体腎炎、リウマチ熱および感染後糸球体腎炎を含む感染後自己免疫疾患、炎症性および過剰増殖性皮膚疾患、乾癬、アトピー性皮膚炎、接触皮膚炎、湿疹性皮膚炎、脂漏性皮膚炎、扁平苔癬、天疱瘡、水疱性類天疱瘡、表皮水疱症、じん麻疹、血管浮腫、血管炎、紅斑、皮膚好酸球増加症、エリテマトーデス、ざ瘡、円形脱毛症、角結膜炎、春季カタル、ベーチェット病に関連するブドウ膜炎、角膜炎、ヘルペス性角膜炎、円錐角膜、角膜上皮ジストロフィー、角膜白斑、眼天疱瘡、モーレン潰瘍、強膜炎、グレーブス眼症、フォークト・小柳・原田症候群、サルコイドーシス、花粉アレルギー、可逆性閉塞性気道疾患、気管支喘息、アレルギー性喘息、内因性喘息、外因性喘息、塵埃喘息、慢性もしくは難治性喘息、遅発型喘息および気道過敏症、気管支炎、胃潰瘍、虚血性疾患および血栓症が原因の血管損傷、虚血性腸疾患、炎症性腸疾患、壊死性腸炎、熱傷に関連する腸の病変、セリアック病、直腸炎、好酸球性胃腸炎、肥満細胞症、クローン病、潰瘍性大腸炎、片頭痛、鼻炎、湿疹、間質性腎炎、グッドパスチャー症候群、溶血性尿毒症症候群、糖尿病性腎症、多発性筋炎、ギラン・バレー症候群、メニエール病、多発神経炎(polyneuritis)、多発神経炎(multiple neuritis)、単神経炎、神経根障害、甲状腺機能亢進症、バセドウ病、赤芽球ろう、再生不良性貧血、低形成性貧血、特発性血小板減少性紫斑病、自己免疫性溶血性貧血、無顆粒球症、悪性貧血、巨赤芽球性貧血、赤血球形成不全、骨粗鬆症、サルコイドーシス、肺線維症、特発性間質性肺炎、皮膚筋炎、尋常性白斑、尋常性魚鱗癬、光線過敏性、皮膚T細胞リンパ腫、慢性リンパ性白血病、動脈硬化症、アテローム性動脈硬化症、大動脈炎症候群、結節性多発動脈炎、心筋症、強皮症、ウェゲナー肉芽腫、シェーグレン症候群、脂肪症、好酸球性筋膜炎、歯肉,歯周組織,歯槽骨,歯のセメント質の病変、糸球体腎炎、脱毛を防ぐこと,もしくは毛髪の発生を提供すること,および/もしくは発毛および育毛を促進することによる男性型脱毛症もしくは老人性脱毛症、筋ジストロフィー、膿皮症およびセザリー症候群、アジソン病、保存,移植,もしくは虚血性疾患後に起こる臓器の虚血再灌流傷害、内毒素ショック、偽膜性大腸炎、薬物もしくは放射線が原因の大腸炎、虚血性急性腎不全、慢性腎不全、肺酸素もしくは薬物が原因の中毒症、肺がん、肺気腫、白内障、シデローシス、網膜色素変性症、老人性黄斑変性症、硝子体瘢痕(vitreal scarring)、角膜アルカリ熱傷、多形性紅斑皮膚炎(dermatitis erythema multiforme)、線状IgA水疱性皮膚炎およびセメント皮膚炎(cement dermatitis)、歯肉炎、歯周炎、敗血症、膵炎、環境汚染,加齢,発がん,がん転移,および高山病が原因の疾患、ヒスタミンもしくはロイコトリエン-C4放出が原因の疾患、ベーチェット病、自己免疫性肝炎、原発性胆汁性肝硬変、硬化性胆管炎、肝部分切除、急性肝壊死、毒素,ウイルス性肝炎,ショック,もしくはアノキシアが原因の壊死、B型ウイルス性肝炎、非A/非B型肝炎、肝硬変、アルコール性肝硬変を含むアルコール性肝疾患、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)、肝不全、劇症肝不全、遅発性肝不全、慢性肝不全の急性憎悪、化学療法効果の増強、サイトメガロウイルス感染症、HCMV感染症、AIDS、がん、老人性認知症、パーキンソン病、外傷、または慢性細菌感染症である、請求項10記載の組成物。
【請求項13】
がん免疫療法剤をさらに含む、請求項912のいずれか一項記載の組成物。
【請求項14】
がん免疫療法剤が抗PD-1抗体、抗PD-L1抗体、抗CTLA-4抗体、抗KIR抗体、抗LAG3抗体、抗CD137抗体、抗SLAM抗体、PI3K阻害剤、インドールジオキシゲナーゼ(IDO)阻害剤、トリプトファンジオキシゲナーゼ阻害剤、またはそれらの組み合わせを含むか;または
がん免疫療法剤がニボルマブ、ペンブロリズマブ、ランブロリズマブ、ピディリズマブ、BMS-936559、MPDL3280A、AMP-224、MEDI4736、イピリムマブ、トレメリムマブ、リリルマブ(lirilumab)、BMS-986016、ウレルマブ、エロツズマブ、イデラリシブ、AZD8186、INCB40093、INCB50465、1-メチルトリプトファン、インドキシモド(indoximod)、NSC 36398(ジヒドロケルセチン、タキシフォリン)、NLG919、INCB024360(エパカドスタット)、F001287、またはその組み合わせから選択される、
請求項13記載の組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2015年8月4日提出の米国特許仮出願第62/200,778号の恩典を主張し、これはその全体が参照により本明細書に組み入れられる。
【0002】
分野
本開示は、ベンズアゾール化合物に関し、インターロイキン受容体関連キナーゼ(IRAK)を含むキナーゼを阻害するため、ならびに関連疾患および状態を処置するためなどの、前記化合物を作製および使用するための方法の態様に関する。
【背景技術】
【0003】
背景
インターロイキン-1受容体関連キナーゼ(IRAK)は、トール様受容体(TLR)およびインターロイキン-1受容体(IL-1R)シグナル伝達プロセスなどの、シグナル伝達プロセスの重要なメディエーターである。IRAKは、炎症、アポトーシス、および細胞分化を制御するシグナル伝達ネットワークの調節に関係があるとされてきた。4つのIRAK遺伝子がヒトゲノムにおいて同定されており(IRAK1、IRAK2、IRAK3およびIRAK4)、研究によって別個の重複しない生物学的役割が明らかにされている。IRAK1およびIRAK4はキナーゼ活性を示すことが判明している。
【発明の概要】
【0004】
概要
本明細書において開示するのは、特に免疫調節物質として有用な、ベンズアゾール化合物、およびそのような化合物を含む組成物であり、特に、本発明の化合物は、例としてIRAK阻害剤などの、キナーゼ阻害剤である。一定の開示する態様は、式I
を有するベンズアゾール化合物またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、N-オキシド、もしくはプロドラッグに関する。式Iに関して、XはOまたはSであり;YはOまたはSであり;ZはNまたはCR9であり;Het-1はヘテロシクリルであり;R1およびR2は、独立にH、脂肪族、ヘテロ脂肪族、ヘテロシクリル、アリール、芳香脂肪族であるか、またはそれらが結合している窒素と一緒に複素環を形成し;R3、R4、R5、R6およびR9は独立にH、脂肪族、ハロ、ヘテロ脂肪族、-O-脂肪族、ヘテロシクリル、アリール、芳香脂肪族、-O-ヘテロシクリル、ヒドロキシル、ニトロ、シアノ、カルボキシル、カルボキシルエステル、アシル、アミド、アミノ、スルホニル、スルホンアミド、スルファニル、スルフィニルまたはハロアルキルであり;R7はH、脂肪族、ヘテロ脂肪族、ヘテロシクリル、アリールまたは芳香脂肪族であり;各R8は独立に脂肪族、ハロ、ヘテロ脂肪族、-O-脂肪族、ヘテロシクリル、アリール、芳香脂肪族、-O-ヘテロシクリル、ヒドロキシル、ニトロ、シアノ、カルボキシル、カルボキシルエステル、アシル、アミド、アミノ、スルホニル、スルホンアミド、スルファニル、スルフィニルまたはハロアルキルであり;かつmは0からHet-1上の可能な置換基の数までである。いくつかの態様において、XはOであり、かつ他の態様において、XはSである。
【0005】
Het-1はヘテロアリールであってもよい。例示的Het-1は、フラン、チオフェン、ピラゾール、ピロール、イミダゾール、オキサゾール、チアゾール、イソキサゾール、イソチアゾール、1,2,3-トリアゾール、1,2,4-トリアゾール、1,3,4-トリアゾール、1,2,3-オキサジアゾール、1,2,4-オキサジアゾール、1,3,4-オキサジアゾール、1,2,5-オキサジアゾール、1,2,3-チアジアゾール、1,2,4-チアジアゾール、1,3,4-チアジアゾール、1,2,5-チアジアゾール、テトラゾール、ピリミジン、ピリジン、1,2,3-トリアジン、1,2,4-トリアジン、1,3,5-トリアジン、ピラジン、ピリダジン、キノリン、イソキノリン、インドール、イソインドール、ベンゾフラン、ベンゾチオフェン、ベンゾイミダゾール、ベンゾピラゾール、ベンゾトリアゾール、ピロロ[2,3-b]ピリジン、ピロロ[3,2-b]ピリジン、ピロロ[2,3-c]ピリジン、ピロロ[3,2-c]ピリジン、ピロロ[3,4-b]ピリジンまたはピロロ[3,4-c]ピリジンから選択されてもよい。いくつかの態様において、Het-1はピリジン、ピラゾールまたはピロロ[2,3-b]ピリジンであり、特定の態様において、

から選択される。
【0006】
いくつかの態様において、化合物は
から選択される式を有する。
【0007】
これらの式に関して、R10およびR23は独立にH、脂肪族、ヘテロ脂肪族、-O-脂肪族、ヘテロシクリル、アリール、芳香脂肪族、-O-ヘテロシクリル、ヒドロキシル、シアノ、カルボキシル、カルボキシルエステル、アシル、アミド、アミノ、スルホニル、スルホンアミド、またはハロアルキル、典型的にはH、脂肪族、アリールまたはヘテロシクリルであり;かつR11、R12、R13、R14、R15、R16、R17、R18、R19、R20、R21およびR22は独立にH、脂肪族、ハロゲン、ヘテロ脂肪族、-O-脂肪族、ヘテロシクリル、アリール、芳香脂肪族、-O-ヘテロシクリル、ヒドロキシル、ニトロ、シアノ、カルボキシル、カルボキシルエステル、アシル、アミド、アミノ、スルホニル、スルホンアミド、スルファニル、スルフィニル、またはハロアルキルである。
【0008】
任意の前記態様において、R5はアミノ、アリールまたはヘテロアリールであってもよい。R5は、各Rが独立に脂肪族であるか、または両方のR基がそれらに結合した窒素と一緒に、置換されていてもよい複素環を形成する、式-NRRを有するアミノであってもよい。
【0009】
R1およびR2は独立にH、脂肪族、ヘテロ脂肪族であるか、またはそれらに結合した窒素と一緒に脂肪族複素環を形成してもよい。いくつかの態様において、R1はHまたはアルキルであり、かつR2は脂肪族またはヘテロ脂肪族である。
【0010】
特定の態様において、R3、R4、R6およびR7はHである。
【0011】
同様に本明細書において開示するのは、本発明の範囲内のベンズアゾール化合物および薬学的に許容される賦形剤を含む組成物の態様である。開示する例示的組成物は、本発明の範囲内のベンズアゾール化合物および追加の治療剤も含んでもよい。または、ベンズアゾール化合物、またはベンズアゾール化合物を含む組成物を、追加の治療剤との組み合わせとして投与してもよい。追加の治療剤は、がん免疫療法剤を含んでもよい。ベンズアゾール化合物、またはベンズアゾール化合物を含む組成物と、追加の治療剤とを対象に、実質的に同時に、任意の順で逐次的に、またはベンズアゾール化合物もしくはベンズアゾール化合物を含む組成物と追加の治療剤との両方からの重複する有益な効果を対象が経験するような期間内で投与してもよい。
【0012】
ベンズアゾール化合物またはベンズアゾール化合物を含む組成物の投与方法の態様も開示する。例えば、本明細書において開示するのは、IRAKタンパク質を阻害または調節するための方法であって、IRAKタンパク質をベンズアゾール化合物の有効量と接触させる段階を含む方法の態様である。いくつかの態様において、方法は、タンパク質をインビトロで接触させることを含む。他の態様において、IRAKタンパク質は対象内に存在していてもよい。例示的化合物は、0超~1μMなどの、0超~5μMのEC50を有する。一定の態様において、方法は、その必要がある対象にベンズアゾール化合物またはベンズアゾール化合物を含む組成物の治療的有効量を投与する段階を含む。方法は、IRAK調節剤または阻害剤を要する疾患または状態を処置する方法であってもよい。
【0013】
[本発明1001]
下記式を有する化合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、N-オキシド、もしくはプロドラッグ:
式中、
XはOまたはSであり;
YはOまたはSであり;
ZはNまたはCR 9 であり;
Het-1はヘテロシクリルであり;
R 1 およびR 2 は、独立にH、脂肪族、ヘテロ脂肪族、ヘテロシクリル、アリール、芳香脂肪族であるか、またはそれらが結合している窒素と一緒に複素環を形成し;
R 3 、R 4 、R 5 、R 6 、およびR 9 は独立にH、脂肪族、ハロ、ヘテロ脂肪族、-O-脂肪族、ヘテロシクリル、アリール、芳香脂肪族、-O-ヘテロシクリル、ヒドロキシル、ニトロ、シアノ、カルボキシル、カルボキシルエステル、アシル、アミド、アミノ、スルホニル、スルホンアミド、スルファニル、スルフィニル、またはハロアルキルであり;
R 7 はH、脂肪族、ヘテロ脂肪族、ヘテロシクリル、アリール、または芳香脂肪族であり;
各R 8 は独立に脂肪族、ハロ、ヘテロ脂肪族、-O-脂肪族、ヘテロシクリル、アリール、芳香脂肪族、-O-ヘテロシクリル、ヒドロキシル、ニトロ、シアノ、カルボキシル、カルボキシルエステル、アシル、アミド、アミノ、スルホニル、スルホンアミド、スルファニル、スルフィニル、またはハロアルキルであり;かつ
mは0からHet-1上の可能な置換基の数までである。
[本発明1002]
Het-1がヘテロアリールである、本発明1001の化合物。
[本発明1003]
Het-1がフラン、チオフェン、ピラゾール、ピロール、イミダゾール、オキサゾール、チアゾール、イソキサゾール、イソチアゾール、1,2,3-トリアゾール、1,2,4-トリアゾール、1,3,4-トリアゾール、1,2,3-オキサジアゾール、1,2,4-オキサジアゾール、1,3,4-オキサジアゾール、1,2,5-オキサジアゾール、1,2,3-チアジアゾール、1,2,4-チアジアゾール、1,3,4-チアジアゾール、1,2,5-チアジアゾール、テトラゾール、ピリミジン、ピリジン、1,2,3-トリアジン、1,2,4-トリアジン、1,3,5-トリアジン、ピラジン、ピリダジン、キノリン、イソキノリン、インドール、イソインドール、ベンゾフラン、ベンゾチオフェン、ベンゾイミダゾール、ベンゾピラゾール、ベンゾトリアゾール、ピロロ[2,3-b]ピリジン、ピロロ[3,2-b]ピリジン、ピロロ[2,3-c]ピリジン、ピロロ[3,2-c]ピリジン、ピロロ[3,4-b]ピリジン、またはピロロ[3,4-c]ピリジンから選択される、本発明1001の化合物。
[本発明1004]
Het-1がピリジン、ピラゾール、またはピロロ[2,3-b]ピリジンである、本発明1003の化合物。
[本発明1005]
Het-1が
から選択され;かつ
R 10 およびR 23 がH、脂肪族、ヘテロ脂肪族、-O-脂肪族、ヘテロシクリル、アリール、芳香脂肪族、-O-ヘテロシクリル、ヒドロキシル、シアノ、カルボキシル、カルボキシルエステル、アシル、アミド、アミノ、スルホニル、スルホンアミド、またはハロアルキルから選択される、本発明1004の化合物。
[本発明1006]

から選択される、本発明1001の化合物。
[本発明1007]
各R 8 が独立にハロ、C 1-6 ハロアルキル、C 1-6 アルキル、-OC 1-6 アルキル、アミノ、または-CH 2 OP(O)(OR 24 ) 2 から選択され;かつ
各R 24 が独立にH、C 1-6 アルキル、またはリン酸部分と共に薬学的に許容される塩基付加塩を形成する対イオンである、本発明1001の化合物。
[本発明1008]
少なくとも1つのR 8 が-NH 2 、-CH 3 、-CF 3 、-CF 2 H、または-CH 2 CF 3 である、本発明1007の化合物。
[本発明1009]

を有する、本発明1001の化合物。
[本発明1010]

を有する、本発明1001の化合物。
[本発明1011]
前記化合物が
から選択される式を有し;かつ
R 10 およびR 23 がH、脂肪族、ヘテロ脂肪族、-O-脂肪族、ヘテロシクリル、アリール、芳香脂肪族、-O-ヘテロシクリル、ヒドロキシル、シアノ、カルボキシル、カルボキシルエステル、アシル、アミド、アミノ、スルホニル、スルホンアミド、またはハロアルキルから選択される、本発明1001~1008のいずれかの化合物。
[本発明1012]
前記化合物が
から選択される式を有し;
R 10 がH、脂肪族、アリール、またはヘテロシクリルであり;かつ
R 11 、R 12 、およびR 13 が独立にH、脂肪族、ハロゲン、ヘテロ脂肪族、-O-脂肪族、ヘテロシクリル、アリール、芳香脂肪族、-O-ヘテロシクリル、ヒドロキシル、ニトロ、シアノ、カルボキシル、カルボキシルエステル、アシル、アミド、アミノ、スルホニル、スルホンアミド、スルファニル、スルフィニル、またはハロアルキルである、本発明1001~1008のいずれかの化合物。
[本発明1013]
前記化合物が
から選択される式を有し;かつ
R 14 、R 15 、R 16 、R 17 、およびR 18 が独立にH、脂肪族、ハロゲン、ヘテロ脂肪族、-O-脂肪族、ヘテロシクリル、アリール、芳香脂肪族、-O-ヘテロシクリル、ヒドロキシル、ニトロ、シアノ、カルボキシル、カルボキシルエステル、アシル、アミド、アミノ、スルホニル、スルホンアミド、スルファニル、スルフィニル、またはハロアルキルである、本発明1001~1008のいずれかの化合物。
[本発明1014]
前記化合物が式
を有し;
R 19 、R 20 、R 21 、およびR 22 が独立にH、脂肪族、ハロゲン、ヘテロ脂肪族、-O-脂肪族、ヘテロシクリル、アリール、芳香脂肪族、-O-ヘテロシクリル、ヒドロキシル、ニトロ、シアノ、カルボキシル、カルボキシルエステル、アシル、アミド、アミノ、スルホニル、スルホンアミド、スルファニル、スルフィニル、またはハロアルキルであり;かつ
R 23 がH、脂肪族、アリール、またはヘテロシクリルである、本発明1001~1008のいずれかの化合物。
[本発明1015]
XがOである、本発明1001~1014のいずれかの化合物。
[本発明1016]
XがSである、本発明1001~1014のいずれかの化合物。
[本発明1017]
前記化合物が
から選択される式を有し;
R 10 およびR 23 が独立にH、脂肪族、アリール、またはヘテロシクリルであり;かつ
R 11 、R 12 、R 13 、R 14 、R 15 、R 16 、R 17 、R 18 、R 19 、R 20 、R 21 、およびR 22 が独立にH、脂肪族、ハロゲン、ヘテロ脂肪族、-O-脂肪族、ヘテロシクリル、アリール、芳香脂肪族、-O-ヘテロシクリル、ヒドロキシル、ニトロ、シアノ、カルボキシル、カルボキシルエステル、アシル、アミド、アミノ、スルホニル、スルホンアミド、スルファニル、スルフィニル、またはハロアルキルである、本発明1001の化合物。
[本発明1018]
前記化合物が
から選択される式を有し;
R 10 およびR 23 が独立にH、脂肪族、アリール、またはヘテロシクリルであり;かつ
R 11 、R 12 、R 13 、R 14 、R 15 、R 16 、R 17 、R 18 、R 19 、R 20 、R 21 、およびR 22 が独立にH、脂肪族、ハロゲン、ヘテロ脂肪族、-O-脂肪族、ヘテロシクリル、アリール、芳香脂肪族、-O-ヘテロシクリル、ヒドロキシル、ニトロ、シアノ、カルボキシル、カルボキシルエステル、アシル、アミド、アミノ、スルホニル、スルホンアミド、スルファニル、スルフィニル、またはハロアルキルである、本発明1001の化合物。
[本発明1019]
R 5 がアミノ、アリール、またはヘテロアリールである、本発明1001~1018のいずれかの化合物。
[本発明1020]
R 5 が式-NRRを有するアミノであり、ここで各Rは独立に脂肪族であるか、または両方のR基はそれらに結合した窒素と一緒に複素環を形成する、本発明1001~1019のいずれかの化合物。
[本発明1021]
R 5
から選択される環式アミノである、本発明1001~1020のいずれかの化合物。
[本発明1022]
R 5
である、本発明1001~1020のいずれかの化合物。
[本発明1023]
R 1 およびR 2 が独立にH、脂肪族、ヘテロ脂肪族であるか、またはそれらに結合した窒素と一緒に脂肪族複素環を形成する、本発明1001~1022のいずれかの化合物。
[本発明1024]
R 1 がHまたはアルキルであり、かつR 2 が脂肪族またはヘテロ脂肪族である、本発明1001~1023のいずれかの化合物。
[本発明1025]
R 1 およびR 2 が、それらに結合した窒素と一緒に、
から選択され;
R a が脂肪族、ハロアルキル、またはアシルであり;
nが1または2であり;かつ
pが0、1、または2である、本発明1001~1023のいずれかの化合物。
[本発明1026]
R a がCH 3 、CF 3 、CF 2 H、またはR b C(O)-であり;かつ
R b が脂肪族またはハロアルキルである、本発明1025の化合物。
[本発明1027]
R 3 、R 4 、R 6 、およびR 7 がHである、本発明1001~1026のいずれかの化合物。
[本発明1028]
I-1:5-(6-アミノピリジン-3-イル)-N-(2-モルホリノ-5-(ピペリジン-1-イル)ベンゾ[d]オキサゾール-6-イル)フラン-2-カルボキサミド;
I-2:N-(2-モルホリノ-5-(ピペリジン-1-イル)ベンゾ[d]オキサゾール-6-イル)-5-(1H-ピロロ[2,3-b]ピリジン-5-イル)フラン-2-カルボキサミド;
I-3:N-(2-モルホリノ-5-(ピペリジン-1-イル)ベンゾ[d]オキサゾール-6-イル)-5-(1H-ピラゾール-4-イル)フラン-2-カルボキサミド;
I-4:N-(2-モルホリノ-5-(ピペリジン-1-イル)ベンゾ[d]オキサゾール-6-イル)-5-(1H-ピラゾール-3-イル)フラン-2-カルボキサミド;
I-5:5-(6-アミノピリジン-3-イル)-N-(2-モルホリノ-5-(ピペリジン-1-イル)ベンゾ[d]チアゾール-6-イル)フラン-2-カルボキサミド;
I-6:N-(2-モルホリノ-5-(ピペリジン-1-イル)ベンゾ[d]チアゾール-6-イル)-5-(1H-ピロロ[2,3-b]ピリジン-5-イル)フラン-2-カルボキサミド;
I-7:N-(2-モルホリノ-5-(ピペリジン-1-イル)ベンゾ[d]チアゾール-6-イル)-5-(1H-ピラゾール-4-イル)フラン-2-カルボキサミド;
I-8:N-(2-モルホリノ-5-(ピペリジン-1-イル)ベンゾ[d]チアゾール-6-イル)-5-(1H-ピラゾール-3-イル)フラン-2-カルボキサミド;
I-9:5-(2-メチルピリジン-4-イル)-N-(2-モルホリノ-5-(ピペリジン-1-イル)ベンゾ[d]チアゾール-6-イル)フラン-2-カルボキサミド;
I-10:5-(2-メチルピリジン-4-イル)-N-(2-モルホリノ-5-(ピペリジン-1-イル)ベンゾ[d]オキサゾール-6-イル)フラン-2-カルボキサミド;
I-11:2-(6-アミノピリジン-3-イル)-N-(2-モルホリノ-5-(ピペリジン-1-イル)ベンゾ[d]オキサゾール-6-イル)チアゾール-4-カルボキサミド;
I-12:N-(2-モルホリノ-5-(ピペリジン-1-イル)ベンゾ[d]オキサゾール-6-イル)-2-(1H-ピラゾール-4-イル)チアゾール-4-カルボキサミド;
I-13:N-(2-モルホリノ-5-(ピペリジン-1-イル)ベンゾ[d]オキサゾール-6-イル)-2-(1H-ピラゾール-3-イル)チアゾール-4-カルボキサミド;
I-14:2-(2-メチルピリジン-4-イル)-N-(2-モルホリノ-5-(ピペリジン-1-イル)ベンゾ[d]オキサゾール-6-イル)チアゾール-4-カルボキサミド;
I-15:5-(6-アミノピリジン-3-イル)-N-(2-(4-メチルピペラジン-1-イル)-5-(ピペリジン-1-イル)ベンゾ[d]オキサゾール-6-イル)フラン-2-カルボキサミド;
I-16:N-(2-(4-メチルピペラジン-1-イル)-5-(ピペリジン-1-イル)ベンゾ[d]オキサゾール-6-イル)-5-(1H-ピラゾール-4-イル)フラン-2-カルボキサミド;
I-17:N-(2-(4-メチルピペラジン-1-イル)-5-(ピペリジン-1-イル)ベンゾ[d]オキサゾール-6-イル)-5-(1H-ピラゾール-3-イル)フラン-2-カルボキサミド;
I-18:N-(2-(4-メチルピペラジン-1-イル)-5-(ピペリジン-1-イル)ベンゾ[d]オキサゾール-6-イル)-5-(2-メチルピリジン-4-イル)フラン-2-カルボキサミド;
I-19:2-(6-アミノピリジン-3-イル)-N-(2-(4-メチルピペラジン-1-イル)-5-(ピペリジン-1-イル)ベンゾ[d]オキサゾール-6-イル)チアゾール-4-カルボキサミド;
I-20:N-(2-(4-メチルピペラジン-1-イル)-5-(ピペリジン-1-イル)ベンゾ[d]オキサゾール-6-イル)-2-(1H-ピラゾール-4-イル)チアゾール-4-カルボキサミド;
I-21:N-(2-(4-メチルピペラジン-1-イル)-5-(ピペリジン-1-イル)ベンゾ[d]オキサゾール-6-イル)-2-(1H-ピラゾール-3-イル)チアゾール-4-カルボキサミド;
I-22:N-(2-(4-メチルピペラジン-1-イル)-5-(ピペリジン-1-イル)ベンゾ[d]オキサゾール-6-イル)-2-(2-メチルピリジン-4-イル)チアゾール-4-カルボキサミド;
I-23:N-(5-(4-フルオロピペリジン-1-イル)-2-モルホリノベンゾ[d]オキサゾール-6-イル)-5-(1H-ピラゾール-4-イル)フラン-2-カルボキサミド;
I-24:N-(5-(4-フルオロピペリジン-1-イル)-2-モルホリノベンゾ[d]オキサゾール-6-イル)-5-(2-メチルピリジン-4-イル)フラン-2-カルボキサミド;
I-25:N-(5-(4-フルオロピペリジン-1-イル)-2-モルホリノベンゾ[d]オキサゾール-6-イル)-2-(1H-ピラゾール-4-イル)チアゾール-4-カルボキサミド;
I-26:N-(5-(4-フルオロピペリジン-1-イル)-2-モルホリノベンゾ[d]オキサゾール-6-イル)-2-(2-メチルピリジン-4-イル)チアゾール-4-カルボキサミド;
I-27:N-(5-(4,4-ジフルオロピペリジン-1-イル)-2-モルホリノベンゾ[d]オキサゾール-6-イル)-5-(1H-ピラゾール-4-イル)フラン-2-カルボキサミド;
I-28:N-(5-(4,4-ジフルオロピペリジン-1-イル)-2-モルホリノベンゾ[d]オキサゾール-6-イル)-5-(2-メチルピリジン-4-イル)フラン-2-カルボキサミド;
I-29:N-(5-(4,4-ジフルオロピペリジン-1-イル)-2-モルホリノベンゾ[d]オキサゾール-6-イル)-2-(1H-ピラゾール-4-イル)チアゾール-4-カルボキサミド;
I-30:N-(5-(4,4-ジフルオロピペリジン-1-イル)-2-モルホリノベンゾ[d]オキサゾール-6-イル)-2-(2-メチルピリジン-4-イル)チアゾール-4-カルボキサミド;
I-31:N-(2,5-ジ(ピペリジン-1-イル)ベンゾ[d]オキサゾール-6-イル)-5-(1H-ピラゾール-4-イル)フラン-2-カルボキサミド;
I-32:N-(2,5-ジ(ピペリジン-1-イル)ベンゾ[d]オキサゾール-6-イル)-5-(1H-ピラゾール-3-イル)フラン-2-カルボキサミド;
I-33:N-(2,5-ジ(ピペリジン-1-イル)ベンゾ[d]オキサゾール-6-イル)-5-(2-メチルピリジン-4-イル)フラン-2-カルボキサミド;
I-34:2-(6-アミノピリジン-3-イル)-N-(2,5-ジ(ピペリジン-1-イル)ベンゾ[d]オキサゾール-6-イル)チアゾール-4-カルボキサミド;
I-35:N-(2,5-ジ(ピペリジン-1-イル)ベンゾ[d]オキサゾール-6-イル)-2-(1H-ピラゾール-4-イル)チアゾール-4-カルボキサミド;
I-36:N-(2,5-ジ(ピペリジン-1-イル)ベンゾ[d]オキサゾール-6-イル)-2-(1H-ピラゾール-3-イル)チアゾール-4-カルボキサミド;
I-37:N-(2,5-ジ(ピペリジン-1-イル)ベンゾ[d]オキサゾール-6-イル)-2-(2-メチルピリジン-4-イル)チアゾール-4-カルボキサミド;
I-38:N-(5-(3-フルオロピペリジン-1-イル)-2-モルホリノベンゾ[d]オキサゾール-6-イル)-5-(1H-ピラゾール-4-イル)フラン-2-カルボキサミド;
I-39:N-(5-(3-フルオロピペリジン-1-イル)-2-モルホリノベンゾ[d]オキサゾール-6-イル)-5-(2-メチルピリジン-4-イル)フラン-2-カルボキサミド;
I-40:N-(5-(3-フルオロピペリジン-1-イル)-2-モルホリノベンゾ[d]オキサゾール-6-イル)-2-(1H-ピラゾール-4-イル)チアゾール-4-カルボキサミド;
I-41:N-(5-(3-フルオロピペリジン-1-イル)-2-モルホリノベンゾ[d]オキサゾール-6-イル)-2-(2-メチルピリジン-4-イル)チアゾール-4-カルボキサミド;
I-42:N-(5-(3,3-ジフルオロピペリジン-1-イル)-2-モルホリノベンゾ[d]オキサゾール-6-イル)-5-(1H-ピラゾール-4-イル)フラン-2-カルボキサミド;
I-43:N-(5-(3,3-ジフルオロピペリジン-1-イル)-2-モルホリノベンゾ[d]オキサゾール-6-イル)-5-(2-メチルピリジン-4-イル)フラン-2-カルボキサミド;
I-44:N-(5-(3,3-ジフルオロピペリジン-1-イル)-2-モルホリノベンゾ[d]オキサゾール-6-イル)-2-(1H-ピラゾール-4-イル)チアゾール-4-カルボキサミド;
I-45:N-(5-(3,3-ジフルオロピペリジン-1-イル)-2-モルホリノベンゾ[d]オキサゾール-6-イル)-2-(2-メチルピリジン-4-イル)チアゾール-4-カルボキサミド;
I-46:N-(2-モルホリノ-5-(ピロリジン-1-イル)ベンゾ[d]オキサゾール-6-イル)-5-(1H-ピラゾール-4-イル)フラン-2-カルボキサミド;
I-47:N-(2-モルホリノ-5-(ピロリジン-1-イル)ベンゾ[d]オキサゾール-6-イル)-2-(1H-ピラゾール-4-イル)チアゾール-4-カルボキサミド;
I-48:N-(2,5-ジモルホリノベンゾ[d]オキサゾール-6-イル)-5-(1H-ピラゾール-4-イル)フラン-2-カルボキサミド;
I-49:N-(2,5-ジモルホリノベンゾ[d]オキサゾール-6-イル)-2-(1H-ピラゾール-4-イル)チアゾール-4-カルボキサミド;
I-50:N-(2-((2-メトキシエチル)(メチル)アミノ)-5-(ピペリジン-1-イル)ベンゾ[d]オキサゾール-6-イル)-5-(1H-ピラゾール-4-イル)フラン-2-カルボキサミド;
I-51:N-(2-((2-メトキシエチル)(メチル)アミノ)-5-(ピペリジン-1-イル)ベンゾ[d]オキサゾール-6-イル)-2-(1H-ピラゾール-4-イル)チアゾール-4-カルボキサミド;
I-52:N-(2-((2-モルホリノエチル)アミノ)-5-(ピペリジン-1-イル)ベンゾ[d]オキサゾール-6-イル)-2-(1H-ピラゾール-4-イル)チアゾール-4-カルボキサミド;
I-53:N-(2-(メチル(2-モルホリノエチル)アミノ)-5-(ピペリジン-1-イル)ベンゾ[d]オキサゾール-6-イル)-5-(1H-ピラゾール-4-イル)フラン-2-カルボキサミド;
I-54:N-(2-(メチル(2-モルホリノエチル)アミノ)-5-(ピペリジン-1-イル)ベンゾ[d]オキサゾール-6-イル)-2-(1H-ピラゾール-4-イル)チアゾール-4-カルボキサミド;
I-55:N-(2-((2-モルホリノエチル)アミノ)-5-(ピペリジン-1-イル)ベンゾ[d]オキサゾール-6-イル)-5-(1H-ピラゾール-4-イル)フラン-2-カルボキサミド;
またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、N-オキシド、プロドラッグ、もしくは組み合わせから選択される、本発明1001の化合物。
[本発明1029]
本発明1001~1028のいずれかの化合物と、薬学的に許容される賦形剤とを含む、組成物。
[本発明1030]
追加の治療剤をさらに含む、本発明1029の組成物。
[本発明1031]
その必要がある対象に、本発明1001~1028のいずれかの化合物または本発明1029~1030のいずれかの組成物の治療的有効量を投与する段階を含む、方法。
[本発明1032]
IRAK調節剤または阻害剤を要する疾患または状態を処置するための方法である、本発明1031の方法。
[本発明1033]
疾患または状態が自己免疫疾患、炎症性障害、心血管疾患、神経障害、神経変性障害、アレルギー性疾患、多臓器不全、腎疾患、血小板凝集、がん、移植、精子運動能、赤血球欠乏、移植片拒絶、肺損傷、呼吸器疾患、虚血状態、細菌感染症、ウイルス感染症、免疫調節障害、またはそれらの組み合わせである、本発明1032の方法。
[本発明1034]
疾患または状態が筋萎縮性側索硬化症(ALS)、全身性エリテマトーデス、慢性関節リウマチ、I型糖尿病、炎症性腸疾患、胆汁性肝硬変、ブドウ膜炎、多発性硬化症、クローン病、潰瘍性大腸炎、水疱性類天疱瘡、サルコイドーシス、乾癬、自己免疫性筋炎、膵炎、カポジ肉腫、骨髄異形成症候群、ウェゲナー肉芽腫症、魚鱗癬、グレーブス眼症、または喘息である、本発明1032の方法。
[本発明1035]
疾患または状態が関節リウマチ、全身性エリテマトーデス、橋本甲状腺炎、多発性硬化症、全身性硬化症、重症筋無力症、I型糖尿病、ブドウ膜炎、後部ブドウ膜炎、アレルギー性脳脊髄炎、糸球体腎炎、リウマチ熱および感染後糸球体腎炎を含む感染後自己免疫疾患、炎症性および過剰増殖性皮膚疾患、乾癬、アトピー性皮膚炎、接触皮膚炎、湿疹性皮膚炎、脂漏性皮膚炎、扁平苔癬、天疱瘡、水疱性類天疱瘡、表皮水疱症、じん麻疹、血管浮腫、血管炎、紅斑、皮膚好酸球増加症、エリテマトーデス、ざ瘡、円形脱毛症、角結膜炎、春季カタル、ベーチェット病に関連するブドウ膜炎、角膜炎、ヘルペス性角膜炎、円錐角膜、角膜上皮ジストロフィー、角膜白斑、眼天疱瘡、モーレン潰瘍、強膜炎、グレーブス眼症、フォークト・小柳・原田症候群、サルコイドーシス、花粉アレルギー、可逆性閉塞性気道疾患、気管支喘息、アルギー性喘息、内因性喘息、外因性喘息、塵埃喘息、慢性もしくは難治性喘息、遅発型喘息および気道過敏症、気管支炎、胃潰瘍、虚血性疾患および血栓症が原因の血管損傷、虚血性腸疾患、炎症性腸疾患、壊死性腸炎、熱傷に関連する腸の病変、セリアック病、直腸炎、好酸球性胃腸炎、肥満細胞症、クローン病、潰瘍性大腸炎、片頭痛、鼻炎、湿疹、間質性腎炎、グッドパスチャー症候群、溶血性尿毒症症候群、糖尿病性腎症、多発性筋炎、ギラン・バレー症候群、メニエール病、多発神経炎(polyneuritis)、多発神経炎(multiple neuritis)、単神経炎、神経根障害、甲状腺機能亢進症、バセドウ病、赤芽球ろう、再生不良性貧血、低形成性貧血、特発性血小板減少性紫斑病、自己免疫性溶血性貧血、無顆粒球症、悪性貧血、巨赤芽球性貧血、赤血球形成不全、骨粗鬆症、サルコイドーシス、肺線維症、特発性間質性肺炎、皮膚筋炎、尋常性白斑、尋常性魚鱗癬、光線過敏性、皮膚T細胞リンパ腫、慢性リンパ性白血病、動脈硬化症、アテローム性動脈硬化症、大動脈炎症候群、結節性多発動脈炎、心筋症、強皮症、ウェゲナー肉芽腫、シェーグレン症候群、脂肪症、好酸球性筋膜炎、歯肉,歯周組織,歯槽骨,歯のセメント質の病変、糸球体腎炎、脱毛を防ぐこと,もしくは毛髪の発生を提供すること,および/もしくは発毛および育毛を促進することによる男性型脱毛症もしくは老人性脱毛症、筋ジストロフィー、膿皮症およびセザリー症候群、アジソン病、保存,移植,もしくは虚血性疾患後に起こる臓器の虚血再灌流傷害、内毒素ショック、偽膜性大腸炎、薬物もしくは放射線が原因の大腸炎、虚血性急性腎不全、慢性腎不全、肺酸素もしくは薬物が原因の中毒症、肺がん、肺気腫、白内障、シデローシス、網膜色素変性症、老人性黄斑変性症、硝子体瘢痕(vitreal scarring)、角膜アルカリ熱傷、多形性紅斑皮膚炎(dermatitis erythema multiforme)、線状IgA水疱性皮膚炎およびセメント皮膚炎(cement dermatitis)、歯肉炎、歯周炎、敗血症、膵炎、環境汚染,加齢,発がん,がん転移,および高山病が原因の疾患、ヒスタミンもしくはロイコトリエン-C4放出が原因の疾患、ベーチェット病、自己免疫性肝炎、原発性胆汁性肝硬変、硬化性胆管炎、肝部分切除、急性肝壊死、毒素,ウイルス性肝炎,ショック,もしくはアノキシアが原因の壊死、B型ウイルス性肝炎、非A/非B型肝炎、肝硬変、アルコール性肝硬変を含むアルコール性肝疾患、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)、肝不全、劇症肝不全、遅発性肝不全、慢性肝不全の急性憎悪、化学療法効果の増強、サイトメガロウイルス感染症、HCMV感染症、AIDS、がん、老人性認知症、パーキンソン病、外傷、または慢性細菌感染症である、本発明1032の方法。
[本発明1036]
追加の治療剤を投与する段階をさらに含む、本発明1031~1035のいずれかの方法。
[本発明1037]
追加の治療剤が、がん免疫療法剤である、本発明1036の方法。
[本発明1038]
がん免疫療法剤が抗PD-1抗体、抗PD-L1抗体、抗CTLA-4抗体、抗KIR抗体、抗LAG3抗体、抗CD137抗体、抗SLAM抗体、PI3K阻害剤、インドールジオキシゲナーゼ(IDO)阻害剤、トリプトファンジオキシゲナーゼ阻害剤、またはそれらの組み合わせを含む、本発明1037の方法。
[本発明1039]
がん免疫療法剤がニボルマブ、ペンブロリズマブ、ランブロリズマブ、ピディリズマブ、BMS-936559、MPDL3280A、AMP-224、MEDI4736、イピリムマブ、トレメリムマブ、リリルマブ(lirilumab)、BMS-986016、ウレルマブ、エロツズマブ、イデラリシブ、AZD8186、INCB40093、INCB50465、1-メチルトリプトファン、インドキシモド(indoximod)、NSC 36398(ジヒドロケルセチン、タキシフォリン)、NLG919、INCB024360(エパカドスタット)、F001287、またはその組み合わせから選択される、本発明1037または本発明1038の方法。
[本発明1040]
本発明1001~1028のいずれかの化合物または本発明1029~1030のいずれかの組成物と追加の治療剤とが、実質的に同時に投与される、本発明1036~1039のいずれかの方法。
[本発明1041]
本発明1001~1028のいずれかの化合物または本発明1029~1030のいずれかの組成物と追加の治療剤とが、任意の順で逐次的に投与される、本発明1036~1039のいずれかの方法。
[本発明1042]
本発明1001~1028のいずれかの化合物または本発明1029~1030のいずれかの組成物と追加の治療剤との両方からの重複する有益な効果を対象が経験するような期間内で、本発明1001~1028のいずれかの化合物または本発明1029~1030のいずれかの組成物と追加の治療剤とが投与される、本発明1036~1039のいずれかの方法。
[本発明1043]
IRAKタンパク質を本発明1001~1028のいずれかの化合物の有効量と接触させる段階を含む、IRAKタンパク質を阻害または調節するための方法。
[本発明1044]
前記化合物が0超~5μMのEC 50 を有する、本発明1043の方法。
[本発明1045]
前記化合物が0超~1μMのEC 50 を有する、本発明1044の方法。
[本発明1046]
IRAKタンパク質が対象内に存在している、本発明1043~1045のいずれかの方法。
[本発明1047]
IRAKタンパク質を接触させる段階が、IRAKタンパク質をインビトロで接触させることを含む、本発明1043~1045のいずれかの方法。
本発明の前述および他の目的、特徴、および利点は、以下の詳細な説明からより明らかになるであろう。
【発明を実施するための形態】
【0014】
詳細な説明
I. 定義
以下の用語および方法の説明は、本開示をより良く記載するため、および本開示の実施において当業者を誘導するために提供する。単数形「a」、「an」、および「the」は、文脈が明らかにそうではないと示さないかぎり、1つまたは複数を意味する。「または」なる用語は、文脈が明らかにそうではないと示さないかぎり、記載した二者択一の要素の1つの要素または複数の要素の組み合わせを意味する。本明細書において用いられる「含む(comprises)」は「含む(includes)」を意味する。従って「AまたはBを含む」とは、追加の要素を除外することなく、「A、B、またはAおよびBを含む」ことを意味する。本明細書において引用する特許および特許出願を含むすべての参照文献は、参照により本明細書に組み入れられる。
【0015】
特に記載がないかぎり、本明細書または特許請求の範囲において用いられる、構成要素の量、分子量、パーセンテージ、温度、時間などを表すすべての数量は、「約」なる用語によって修飾されていると理解されるべきである。したがって、暗に、または明白に、特に記載がないかぎり、示す数値パラメーターは求められる所望の特性および/または標準の試験条件/方法の下での検出限界に依存し得る近似値である。議論する先行技術から態様を直接に、かつ明白に区別する場合、態様の数量は「約」なる単語が示されないかぎり、近似値ではない。
【0016】
特に記載がないかぎり、本明細書において用いられるすべての技術および科学用語は、本開示が属する分野の技術者に一般に理解されるものと同じ意味を有する。本明細書に記載のものと類似または等価の方法および材料を本開示の実施または試験において使用し得るが、適切な方法および材料を以下に記載する。材料、方法、および実施例は例示にすぎず、限定を意図するものではない。
【0017】
化学構造が示されるか、または記載される場合、明白に記載がないかぎり、すべての炭素は各炭素が原子価4に一致するように水素を含むと想定される。例えば、以下の図の左側の構造において、9つの水素原子が暗示される。9つの水素原子を右側の構造に示す。
【0018】
構造内の特定の原子を、水素原子を有するとして文字通りの式、例えば-CH2CH2-で記載することもある。当業者であれば、前述の記載技術は、有機構造の記載に簡潔性および単純性を提供するために、化学技術分野においては一般的であることを理解するであろう。
【0019】
当業者であれば、特定の化合物をさらに記載するために、定義を組み合わせてもよいことを理解するであろう。例えば、ヒドロキシ脂肪族とは、ヒドロキシ(-OH)基で置換された脂肪族基を意味し、かつハロアルキルアリールとは、アルキル基で置換され、ここでアルキル基もハロゲンで置換されたアリール基を意味し、ここでアリールは置換基の基本名称であるため、親構造への結合点はアリール部分を介してである。
【0020】
本明細書において用いられる「置換(された)」なる用語は、用語におけるすべての後続の修飾語句を意味し、例えば、「置換アリールC1-8アルキル」なる用語において、置換は「C1-8アルキル」部分、「アリール」部分またはアリールC1-8アルキル基の両方の部分で起こってもよい。同様に、例として、アルキルは置換シクロアルキル基を含む。
【0021】
「置換(された)」とは、指定の基または部分を修飾するために用いる場合、指定の基または部分の少なくとも1つ、おそらくは複数の水素原子が独立に、以下に定義する同じまたは異なる置換基で置き換えられていることを意味する。特定の態様において、基、部分または置換基は、「無置換」または「置換」のいずれかとして明白に定義されないかぎり、置換されていても、または無置換でもよい。したがって、本明細書において指定する任意の基は無置換であっても、または置換されていてもよい。特定の態様において、置換基は置換されていると明白に定義されても、またはされなくてもよいが、なお置換されていてもよいことが企図される。例えば、「アルキル」置換基は無置換であっても、または置換されていてもよいが、「無置換アルキル」は置換されていなくてもよい。
【0022】
指定の基または部分における飽和炭素原子上の1つまたは複数の水素原子に置き換わるための「置換基」は、当業者であれば適切な置換基として認めるであろう、任意の原子、または原子団であってもよい。「置換基」は、特に記載がないかぎり、-R60、ハロ、=O、-OR70、-SR70、-N(R80)2、ハロアルキル、ペルハロアルキル、-CN、-NO2、=N2、-N3、-SO2R70、-SO3 -M+、-SO3R70、-OSO2R70、-OSO3 -M+、-OSO3R70、-P(O)(O-)2(M+)2、-P(O)(O-)2M2+、-P(O)(OR70)O-M+、-P(O)(OR70)2、-C(O)R70、-C(S)R70、-C(NR70)R70、-CO2 -M+、-CO2R70、-C(S)OR70、-C(O)N(R80)2、-C(NR70)(R80)2、-OC(O)R70、-OC(S)R70、-OCO2 -M+、-OCO2R70、-OC(S)OR70、-NR70C(O)R70、-NR70C(S)R70、-NR70CO2 -M+、-NR70CO2R70、-NR70C(S)OR70、-NR70C(O)N(R80)2、-NR70C(NR70)R70および-NR70C(NR70)N(R80)2であり、ここでR60はC1-6アルキルであり;各R70は各出現時に独立に水素またはR60であり;各R80は各出現時に独立にR70であるか、または2つのR80基は、それらが結合している窒素原子と一緒に、O、NおよびSから選択され、そのうちNはHもしくはC1-C3アルキル置換を任意に有する、1~4個の同じまたは異なる追加のヘテロ原子を任意に含む、3~7員ヘテロアリシクリルを形成し;かつ各M+は正味の1の正電荷を有する対イオンである。各M+は各出現時に独立に、例えば、K+、Na+、Li+などのアルカリイオン;+N(R60)4などのアンモニウムイオン;または[Ca2+]0.5、[Mg2+]0.5、もしくは[Ba2+]0.5(下付き文字「0.5」は、例えば、そのような二価のアルカリ土類イオンの対イオンの一方は本発明の化合物のイオン化型であり、他方は塩化物などの典型的な対イオンでありうるか、または2つのイオン化化合物がそのような二価のアルカリ土類イオンの対イオンとして役立ちうるか、または二重にイオン化された化合物がそのような二価のアルカリ土類イオンの対イオンとして役立ちうることを意味する)などのアルカリ土類金属イオンである。具体例として、-N(R80)2には-NH2、-NH-アルキル、-NH-ピロリジン-3-イル、N-ピロリジニル、N-ピペラジニル、4N-メチル-ピペラジン-1-イル、N-モルホリニルなどが含まれる。1つの炭素上の任意の2個の水素原子は、=O、=NR70、=N-OR70、=N2または=Sで置き換えられ得る。
【0023】
不飽和炭素を含む基における不飽和炭素原子上の水素原子に置き換わるための置換基は、特に記載がないかぎり、-R60、ハロ、-O-M+、-OR70、-SR70、-S-M+、-N(R80)2、ペルハロアルキル、-CN、-OCN、-SCN、-NO、-NO2、-N3、-SO2R70、-SO3 -M+、-SO3R70、-OSO2R70、-OSO3 -M+、-OSO3R70、-PO3 -2(M+)2、-PO3 -2M2+、-P(O)(OR70)O-M+、-P(O)(OR70)2、-C(O)R70、-C(S)R70、-C(NR70)R70、-CO2 -M+、-CO2R70、-C(S)OR70、-C(O)NR80R80、-C(NR70)N(R80)2、-OC(O)R70、-OC(S)R70、-OCO2 -M+、-OCO2R70、-OC(S)OR70、-NR70C(O)R70、-NR70C(S)R70、-NR70CO2 -M+、-NR70CO2R70、-NR70C(S)OR70、-NR70C(O)N(R80)2、-NR70C(NR70)R70および-NR70C(NR70)N(R80)2であり、ここでR60、R70、R80およびM+は、置換アルケンまたはアルキンの場合、置換基は-O-M+、-OR70、-SR70、または-S-M+ではないとの条件で、前に定義したとおりである。
【0024】
窒素原子を含む基におけるそのような窒素原子上の水素原子に置き換わるための置換基は、特に記載がないかぎり、-R60、-O-M+、-OR70、-SR70、-S-M+、-N(R80)2、ペルハロアルキル、-CN、-NO、-NO2、-S(O)2R70、-SO3 -M+、-SO3R70、-OS(O)2R70、-OSO3 -M+、-OSO3R70、-PO3 2-(M+)2、-PO3 2-M2+、-P(O)(OR70)O-M+、-P(O)(OR70)(OR70)、-C(O)R70、-C(S)R70、-C(NR70)R70、-CO2R70、-C(S)OR70、-C(O)NR80R80、-C(NR70)NR80R80、-OC(O)R70、-OC(S)R70、-OCO2R70、-OC(S)OR70、-NR70C(O)R70、-NR70C(S)R70、-NR70CO2R70、-NR70C(S)OR70、-NR70C(O)N(R80)2、-NR70C(NR70)R70および-NR70C(NR70)N(R80)2であり、ここでR60、R70、R80およびM+は前に定義したとおりである。
【0025】
1つの態様において、置換された基は1つの置換基、2つの置換基、3つの置換基、または4つの置換基を有する。
【0026】
加えて、基または部分が置換された置換基で置換されている態様において、そのような置換された置換基の入れ子状態は3までに限定され、それによりポリマーの生成を防止する。したがって、親構造に結合している第三の基上のそれ自体が置換基である第二の基上の置換基である第一の基を含む基または部分において、第一の(最も外側の)基は無置換置換基でのみ置換され得る。例えば、-(アリール-1)-(アリール-2)-(アリール-3)を含む基において、アリール-3はそれら自体置換されていない置換基でのみ置換され得る。
【0027】
「アシル」とは、-C(O)Rなる基を意味し、ここでRはH、脂肪族、ヘテロ脂肪族、複素環またはアリールである。例示的アシル部分には、-C(O)H、-C(O)アルキル、-C(O)C1-C6アルキル、-C(O)C1-C6ハロアルキル-C(O)シクロアルキル、-C(O)アルケニル、-C(O)シクロアルケニル、-C(O)アリール、-C(O)ヘテロアリール、または-C(O)ヘテロシクリルが含まれるが、それらに限定されない。具体例には、-C(O)H、-C(O)Me、-C(O)Et、または-C(O)シクロプロピルが含まれる。
【0028】
「脂肪族」とは、アルキル、アルケニル、アルキニル基、シクロアルキル、シクロアルケニルまたはシクロアルキニルなどのその環式型を含み、かつ直鎖および分枝鎖配列、ならびにすべての立体および位置異性体もさらに含む、実質的に炭化水素系の基または部分を意味する。明白に記載がないかぎり、脂肪族基は1~25個の炭素原子;例えば、1~15個、1~10個、1~6個、または1~4個の炭素原子を含む。明白に記載がないかぎり、環式脂肪族基は3~25個の炭素原子;例えば、3~15個、3~10個、または3~6個の炭素原子を含む。「低級脂肪族」とは、1~10個の炭素原子、例えば、1~6個の炭素原子、または環式低級脂肪族基については3~10個の炭素原子、例えば、3~6個の炭素原子を含む、アルキル、アルケニルおよびアルキニルを含む、脂肪族基を意味する。脂肪族基は、「無置換脂肪族」または「置換脂肪族」と明白に記載がないかぎり、置換されていても、または無置換であってもよい。脂肪族基は、1つまたは複数の置換基(脂肪族鎖における各メチレン炭素に対し最大2つの置換基、または脂肪族鎖における-C=C-二重結合の各炭素に対し最大1つの置換基、または末端メチン基の炭素に対し最大1つの置換基)で置換され得る。
【0029】
「アルコキシ」とは、-ORなる基を意味し、ここでRは置換または無置換アルキルまたはシクロアルキル基である。一定の例において、RはC1-6アルキルまたはC3-6シクロアルキル基である。メトキシ(-OCH3)およびエトキシ(-OCH2CH3)は例示的アルコキシ基である。置換アルコキシにおいて、Rは置換アルキルまたは置換シクロアルキルであり、本開示の化合物において有用なその例には、-OCF2H、および-OCF3などのハロアルコキシ基が含まれる。
【0030】
「アルコキシアルキル」とは、-アルキル-ORなる基を意味し、ここでRは置換または無置換アルキルまたはシクロアルキル基である。-CH2CH2-O-CH2CH3は例示的アルコキシアルキル基である。
【0031】
「アルキル」とは、1~25個の炭素原子、典型的には1~10個の炭素原子、例えば、1~6個の炭素原子を有する飽和脂肪族ヒドロカルビル基を意味し、C1-C6アルキルと示してもよい。アルキル部分は置換されていても、または無置換であってもよい。この用語には、例として、直鎖および分枝ヒドロカルビル基、例えば、メチル(CH3)、エチル(-CH2CH3)、n-プロピル(-CH2CH2CH3)、イソプロピル(-CH(CH3)2)、n-ブチル(-CH2CH2CH2CH3)、イソブチル(-CH2CH2(CH3)2)、sec-ブチル(-CH(CH3)(CH2CH3)、t-ブチル(-C(CH3)3)、n-ペンチル(-CH2CH2CH2CH2CH3)、およびネオペンチル(-CH2C(CH3)3)が含まれる。
【0032】
「アミノ」とは、-NH2、-NHR、または-NRRなる基を意味し、ここで各Rは独立にH、脂肪族、ヘテロ脂肪族、アリールもしくは複素環から選択されるか、または2つのR基はそれらに結合した窒素と一緒に複素環を形成する。そのような複素環の例には、2つのR基が、それらが結合している窒素と一緒に、RgがR70、-C(O)R70、-C(O)OR60または-C(O)N(R80)2である基
におけるなどの、-O-または-N(Rg)などの1つまたは2つのヘテロ原子が任意に挿入された-(CH2)2-5-環を形成するものが含まれる。
【0033】
「アミド」とは、-N(H)アシル、または-C(O)アミノなる基を意味する。
【0034】
「アリール」または「芳香族」とは、特に記載がないかぎり、1つの環(例えば、フェニル)または少なくとも1つの環が芳香族である複数の縮合環(例えば、ナフチル)を有する、環原子5~15個の芳香族基を意味する。アリール基は、例えば、単環式、二環式、三環式または四環式であってもよい。複数の環を有する基について、その少なくとも1つは芳香族であり、1つは芳香族ではなく、そのような基は、化合物の残りへの結合点がアリール基の芳香族部分の原子を通じてであることを条件として、それにもかかわらず「アリール」と呼ぶ。特に記載がないかぎり、アリール基は置換されていても、または無置換であってもよい。
【0035】
「芳香脂肪族」とは、親に脂肪族部分を介して結合したアリール基を意味する。芳香脂肪族には、ベンジルおよびフェニルエチルなどの、アラルキルまたはアリールアルキル基が含まれる。
【0036】
「アゾール」とは、典型的には窒素、硫黄または酸素から選択される少なくとも1つの他の非炭素原子を含む、5員窒素複素環を意味する。「ベンズアゾール」は、アゾール環およびフェニル環を含む縮合環である。例示的なベンズアゾールには、ベンズチアゾール、ベンズオキサゾールおよびベンズイミダゾールが含まれるが、それらに限定されない。
【0037】
「カルボキシル」、または「カルボキシ」とは、-CO2Hを意味する。
【0038】
「カルボキシレート」とは、-C(O)O-またはその塩を意味する。
【0039】
「カルボキシルエステル」または「カルボキシエステル」とは、-C(O)ORなる基を意味し、ここでRは脂肪族、アリール、ヘテロ脂肪族、およびヘテロアリールを含む複素環である。
【0040】
「シアノ」とは、-CNなる基を意味する。
【0041】
「シクロ脂肪族」とは、1つの環(例えば、シクロヘキシル)、または縮合、架橋もしくはスピロ環系などの複数の環であって、その少なくとも1つは、結合点がシクロ脂肪族基の脂肪族領域の原子を通じてであることを条件として、脂肪族である環を有する環式脂肪族基を意味する。シクロ脂肪族には、シクロアルキル、シクロアルケニルおよびシクロアルキニルを含む、飽和および不飽和系が含まれる。例示的なシクロ脂肪族基には、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロペンテニル、またはシクロヘキセニルが含まれるが、それらに限定されない。
【0042】
「ハロ」、「ハロゲン化物」または「ハロゲン」とは、フルオロ、クロロ、ブロモまたはヨードを意味する。
【0043】
「ヘテロ脂肪族」とは、少なくとも1つのヘテロ原子を有する脂肪族化合物または基を意味し、すなわち、1つまたは複数の炭素原子が少なくとも1つの孤立電子対を有する原子、典型的には窒素、酸素、リン、ケイ素、または硫黄で置き換えられている。ヘテロ脂肪族化合物または基は、置換または無置換、分枝または非分枝、非環式またはヘテロ脂環式基などの環式、キラルまたはアキラルであってもよく、かつ複素環、ヘテロシクリル、ヘテロシクロ脂肪族、または複素環式基が含まれ得る。ヘテロ脂肪族基の一例はCH3OCH2CH2-である。
【0044】
「ヘテロアリール」とは、芳香族基に特徴的な連続の非局在化π電子系、およびヒュッケル則に対応する平面外π電子の数(4n+2)によって決定されるなどの、芳香族性を維持するような様式で、メチン(-CH=)またはビニレン(-CH=CH-)基などの、1つまたは複数の炭素原子が、それぞれ三価または二価のヘテロ原子で置き換えられている、アリール基を意味する。
【0045】
「ヘテロシクロアルキル」および「ヘテロシクリルアルキル」とは、親構造にアルキル部分を介して結合したヘテロシクリル部分、例えば、(テトラヒドロピラン-4-イル)メチル、(ピリジン-4-イル)メチル、モルホリノエチルまたはピペラジン-1-イルエチルを意味する。
【0046】
「ヘテロシクリル」、「ヘテロシクロ」、「複素環式」および「複素環」とは、芳香環および非芳香環系を意味し、より具体的には炭素原子および1~5個のヘテロ原子などの少なくとも1つのヘテロ原子を含む、安定な3~15員環部分を意味する。典型的なヘテロ原子には、N、O、S、P、SiまたはBが含まれるが、それらに限定されない。ヘテロシクリル部分は単環式部分であってもよく、または、環の少なくとも1つがヘテロ原子を含むとの条件で、二環式または三環式環系などの複数の環を含んでもよい。そのような複数環部分は、縮合または架橋環系ならびにスピロ環系を含み得;かつヘテロシクリル部分における窒素、リン、炭素、ケイ素または硫黄原子は様々な酸化状態に任意に酸化され得る。便宜上、窒素、特に、しかしそれだけではないが、環(環における)芳香族窒素と定義されるものは、それらの対応するN-オキシド型を含むことになるが、特定の例においてそのように明白に定義されることはない。したがって、例えば、ピリジル環を有する化合物について、対応するピリジル-N-オキシドは、文脈によって明白に除外されないかぎり、本発明の別の化合物として含まれる。加えて、環窒素原子は任意に四級化され得る。ヘテロシクリルには、ヘテロアリール部分およびヘテロ脂環式またはヘテロシクロ脂肪族部分が含まれ、これらは部分または完全飽和であるヘテロシクリル環である。したがって、「ヘテロシクリルアルキル」などの用語には、ヘテロ脂環式アルキルおよびヘテロアリールアルキルが含まれる。ヘテロシクリル基の例には、アゼチジニル、オキセタニル、アクリジニル、ベンゾジオキソリル、ベンゾジオキサニル、ベンゾフラニル、カルバゾリル、シンノリニル、ジオキソラニル、インドリジニル、ナフチリジニル、ペルヒドロアゼピニル、フェナジニル、フェノチアジニル、フェノキサジニル、フタラジニル、プテリジニル、プリニル、ピロロピリジニル、キナゾリニル、キノキサリニル、キノリニル、イソキノリニル、テトラゾイル(tetrazoyl)、テトラヒドロイソキノリル、ピペリジニル、ピペラジニル、2-オキソピペラジニル、2-オキソピペリジニル、2-オキソピロリジニル、2-オキソアゼピニル、アゼピニル、ピロリル、4-ピペリドニル、ピロリジニル、ピラゾリル、ピラゾリジニル、イミダゾリル、イミダゾリニル、イミダゾリジニル、ジヒドロピリジニル、テトラヒドロピリジニル、ピリジニル、ピラジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、オキサゾリル、オキサゾリニル、オキサゾリジニル、トリアゾリル、イソキサゾリル、イソキサゾリジニル、モルホリニル、チアゾリル、チアゾリニル、チアゾリジニル、イソチアゾリル、キヌクリジニル、イソチアゾリジニル、インドリル、イソインドリル、インドリニル、イソインドリニル、オクタヒドロインドリル、オクタヒドロイソインドリル、キノリル、イソキノリル、デカヒドロイソキノリル、ベンズイミダゾリル、チアジアゾリル、ベンゾピラニル、ベンゾチアゾリル、ベンゾキサゾリル、フリル、ジアザビシクロヘプタン、ジアザパン、ジアゼピン、テトラヒドロフリル、テトラヒドロピラニル、チエニル、ベンゾチエニル、チアモルホリニル、チアモルホリニルスルホキシド、チアモルホリニルスルホン、ジオキサホスホラニル、およびオキサジアゾリルが含まれるが、それらに限定されない。
【0047】
「ヒドロキシル」とは、-OHなる基を意味する。
【0048】
「ニトロ」とは、-NO2なる基を意味する。
【0049】
「患者」または「対象」とは、哺乳動物および他の動物、特にヒトを意味する。したがって、開示する方法はヒトの治療および獣医学的適用の両方に適用可能である。
【0050】
「薬学的に許容される賦形剤」とは、活性成分の製剤に含まれる、活性成分以外の物質を意味する。本明細書において用いられる賦形剤は、薬学的組成物の粒子内に組み込まれてもよく、または薬学的組成物の粒子と物理的に混合されてもよい。賦形剤は、例えば、活性作用物質を希釈するため、および/または薬学的組成物の特性を改変するために用いることができる。賦形剤には、抗付着剤、結合剤、コーティング、腸溶コーティング、崩壊剤、着香剤、甘味剤、着色剤、滑沢剤、すべり剤、吸着剤、保存剤、補助剤、担体または媒体が含まれ得るが、それらに限定されない。賦形剤はデンプンおよび加工デンプン、セルロースおよびセルロース誘導体、糖類ならびに二糖、多糖および糖アルコールなどのそれらの誘導体、タンパク質、合成ポリマー、架橋ポリマー、抗酸化剤、アミノ酸または保存剤であってもよい。例示的な賦形剤には、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、植物性ステアリン、スクロース、ラクトース、デンプン、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、キシリトール、ソルビトール、マルチトール、ゼラチン、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリエチレングリコール(PEG)、トコフェリルポリエチレングリコール1000スクシネート(ビタミンE TPGS、またはTPGSとしても公知)、カルボキシメチルセルロース、ジパルミトイルホスファチジルコリン(DPPC)、ビタミンA、ビタミンE、ビタミンC、パルミチン酸レチニル、セレニウム、システイン、メチオニン、クエン酸、クエン酸ナトリウム、メチルパラベン、プロピルパラベン、糖、シリカ、タルク、炭酸マグネシウム、デンプングリコール酸ナトリウム、タートラジン、アスパルテーム、塩化ベンザルコニウム、ゴマ油、没食子酸プロピル、メタ重亜硫酸ナトリウムまたはラノリンが含まれるが、それらに限定されない。
【0051】
「補助剤」は、他の作用物質、典型的には活性成分の効果を改変する賦形剤である。補助剤は、多くの場合、薬理学的および/または免疫学的作用物質である。補助剤は、活性成分の効果を、免疫応答を増大させることによって改変してもよい。補助剤は、製剤の安定化剤として作用してもよい。例示的な補助剤には、水酸化アルミニウム、ミョウバン、リン酸アルミニウム、死菌、スクアレン、界面活性剤、サイトカイン、パラフィン油、およびフロイント完全アジュバントまたはフロイント不完全アジュバントなどの組み合わせアジュバントが含まれるが、それらに限定されない。
【0052】
「薬学的に許容される担体」とは、懸濁助剤、可溶化助剤、またはエアロゾル化助剤などの、担体または媒体である賦形剤を意味する。例えば、Remington: The Science and Practice of Pharmacy, The University of the Sciences in Philadelphia, Editor, Lippincott, Williams, & Wilkins, Philadelphia, PA, 21st Edition (2005)を参照されたく、これは参照により本明細書に組み入れられ、1つまたは複数の治療組成物および追加の薬剤の薬学的送達に適した組成物および製剤を記載している。
【0053】
一般に、担体の性質は用いている特定の投与様式に依存することになる。例えば、非経口製剤は通常は、媒体としての水、生理食塩水、平衡塩類溶液、水性デキストロース、グリセロールなどの、薬学的および生理的に許容される液体を含む注射用液体を含む。いくつかの例において、薬学的に許容される担体は、対象への投与(例えば、非経口、筋肉内、または皮下注射による)に適するように無菌であり得る。生物学的に中性の担体に加えて、投与する薬学的組成物は、湿潤または乳化剤、保存剤、およびpH緩衝剤など、例えば、酢酸ナトリウムまたはモノラウリン酸ソルビタンなどの、少量の非毒性補助物質を含むことができる。
【0054】
「薬学的に許容される塩」とは、化合物の薬学的に許容される塩を意味し、それらは当業者には周知の様々な有機および無機対イオンから誘導され、例示にすぎないが、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、アンモニウム、テトラアルキルアンモニウムなど;および分子が塩基性官能基を含む場合、塩酸塩、臭化水素塩、酒石酸塩、メシル酸塩、酢酸塩、マレイン酸塩、シュウ酸塩などの有機または無機酸の塩が含まれる。「薬学的に許容される酸付加塩」は、酸の相手によって形成されるが、遊離塩基の生物学的有効性を保持する「薬学的に許容される塩」のサブセットである。特に、開示する化合物は、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸などの無機酸、ならびにギ酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、プロピオン酸、グリコール酸、ピルビン酸、シュウ酸、マレイン酸、マロン酸、コハク酸、フマル酸、酒石酸、クエン酸、安息香酸、ケイ皮酸、マンデル酸、ベンゼンスルホン酸、イセチオン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、サリチル酸、キシナホ酸などの有機酸を含むが、それらに限定されない、様々な薬学的に許容される酸との塩を形成する。「薬学的に許容される塩基付加塩」は、ナトリウム、カリウム、リチウム、アンモニウム、カルシウム、マグネシウム、鉄、亜鉛、銅、マンガン、アルミニウム塩などの無機塩基から誘導される「薬学的に許容される塩」のサブセットである。例示的な塩はアンモニウム、カリウム、ナトリウム、カルシウム、およびマグネシウム塩である。薬学的に許容される有機塩基から誘導される塩には、イソプロピルアミン、トリメチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、エタノールアミン、2-ジメチルアミノエタノール、2-ジエチルアミノエタノール、ジシクロヘキシルアミン、リジン、アルギニン、ヒスチジン、カフェイン、プロカイン、ヒドラバミン、コリン、ベタイン、エチレンジアミン、グルコサミン、メチルグルカミン、テオブロミン、プリン、ピペラジン、ピペリジン、N-エチルピペリジン、ポリアミン樹脂などの、一級、二級、および三級アミン、天然置換アミンを含む置換アミン、環式アミンならびに塩基性イオン交換樹脂の塩が含まれるが、それらに限定されない。例示的な有機塩基はイソプロピルアミン、ジエチルアミン、エタノールアミン、トリメチルアミン、ジシクロヘキシルアミン、コリン、およびカフェインである。(例えば、S. M. Berge, et al., ''Pharmaceutical Salts,'' J. Pharm. Sci., 1977; 66:1-19を参照されたく、これは参照により本明細書に組み入れられる)。特定の開示する態様において、ベンズアゾール化合物はギ酸塩またはナトリウム塩であってもよい。
【0055】
「薬学的有効量」および「治療的有効量」とは、指定の障害もしくは疾患を処置するため、またはその症状の1つもしくは複数を改善もしくは根絶するため、および/あるいは疾患または障害の発生を予防するために十分な化合物の量を意味する。治療的有効量は、当業者であれば決定することができる。
【0056】
「プロドラッグ」とは、例えば、消化管内での加水分解または酵素的変換により、インビボで変換されて生物活性化合物、特に親化合物を生じる化合物を意味する。プロドラッグ部分の一般的な例には、カルボン酸部分を有する活性型を有する化合物のエステルまたはアミド型が含まれるが、それらに限定されない。本発明の化合物の薬学的に許容されるエステルの例には、脂肪族エステル、特にアルキルエステル(例えば、C1-6アルキルエステル)などの、リン酸基およびカルボン酸のエステルが含まれるが、それらに限定されない。他のプロドラッグ部分には、R'がHまたはC1-6アルキルなどの低級アルキルである、-CH2-O-P(O)(OR')2またはその塩などの、リン酸エステルが含まれる。許容されるエステルには、シクロアルキルエステルおよびベンジルなどであるが、それに限定されない、アリールアルキルエステルも含まれる。本発明の化合物の薬学的に許容されるアミドの例には、一級アミド、ならびに二級および三級アルキルアミド(例えば、約1~約6個の間の炭素の)が含まれるが、それらに限定されない。本発明の化合物の開示する例示的態様のアミドおよびエステルは、通常の方法に従って調製することができる。プロドラッグの詳細な議論はT. Higuchi and V. Stella, ''Pro-drugs as Novel Delivery Systems,'' Vol 14 of the A.C.S. Symposium Series、およびBioreversible Carriers in Drug Design, ed. Edward B. Roche, American Pharmaceutical Association and Pergamon Press, 1987において提供され、そのいずれもあらゆる目的のために参照により本明細書に組み入れられる。
【0057】
「溶媒和物」とは、溶媒分子と溶質の分子またはイオンとの組み合わせにより生成される複合体を意味する。溶媒は有機化合物、無機化合物、または両方の混合物でありうる。溶媒のいくつかの例には、メタノール、N,N-ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン、ジメチルスルホキシド、および水が含まれるが、それらに限定されない。本明細書に記載の化合物は、非溶媒和型、ならびに水、エタノールなどの、薬学的に許容される、または許容されない溶媒と組み合わされた場合、溶媒和型で存在しうる。本開示の化合物の溶媒和型は本明細書において開示する態様の範囲内である。「水和物」は、水分子と溶質の分子またはイオンとの組み合わせにより生成される複合体である。
【0058】
「スルホンアミド」とは、-SO2アミノ、またはRcがH、脂肪族、アリール、ヘテロ脂肪族、環式、およびヘテロアリールを含む複素環式である、-N(Rc)スルホニルなる基または部分を意味する。
【0059】
「スルファニル」とは、-SH、-S-脂肪族、-S-アリール、-S-ヘテロ脂肪族、-S-環式、-S-ヘテロアリールを含む-S-ヘテロシクリルなる基を意味する。
【0060】
「スルフィニル」とは、-S(O)H、-S(O)脂肪族、-S(O)アリール、-S(O)ヘテロ脂肪族、-S(O)環式、-S(O)ヘテロシクリル、-S(O)ヘテロアリールなる基または部分を意味する。
【0061】
「スルホニル」とは、基:-SO2H、-SO2脂肪族、-SO2アリール、-SO2ヘテロ脂肪族、-SO2環式、-SO2ヘテロアリールを含む-SO2ヘテロシクリルを意味する。
【0062】
本明細書において用いられる「処置すること」または「処置」は、関心対象の疾患または状態を有するヒトまたは動物対象、特にヒトを含む、患者または対象における関心対象の疾患または状態の処置に関し、例として下記を含むが、それらに限定されない:
(i)患者または対象において、特に、そのような患者または対象が状態に罹りやすいが、まだそれを有すると診断されていない場合に、疾患または状態が発生するのを予防すること;
(ii)疾患または状態を阻害すること、例えば、その発生を停止または遅延させること;
(iii)疾患または状態を軽減すること、例えば、疾患もしくは状態またはその症状の退行を引き起こすこと;あるいは
(iv)疾患または状態を安定化すること。
【0063】
本明細書において用いられる「疾患」および「状態」なる用語は、交換可能に使用することができるか、または特定の病気もしくは状態は公知の原因因子を有していない(したがって病因がまだ解明されていない)こともあり、したがってまだ疾患として認められていないが、多かれ少なかれ特定の症状群が臨床医によって特定されている、望ましくない状態もしくは症候群としてのみ認められているため、異なる可能性もある。
【0064】
上の定義および以下の一般式は許容されない置換パターン(例えば、5つのフルオロ基によるメチル置換)を含むことは意図されない。そのような許容されない置換パターンは、当業者には容易に認識される。
【0065】
本明細書において言及する任意の基は、少なくとも1つ、おそらくは複数の本明細書において定義する置換基によって置換されていてもよい。すなわち、置換された基は、文脈がそうではないと示すか、または特定の構造式が置換を除外しないかぎり、本明細書において定義する置換基によって置き換えられた少なくとも1つ、おそらくは複数の置換可能な水素を有する。
【0066】
当業者であれば、化合物は互変異性、配座異性、幾何異性、および/または光学異性の現象を示しうることを理解するであろう。例えば、一定の開示する化合物は、1つまたは複数のキラル中心および/または二重結合を含むことができ、その結果、二重結合異性体(すなわち、幾何異性体)、鏡像異性体、ジアステレオマー、およびラセミ混合物などのその混合物などの、立体異性体として存在することができる。別の例として、一定の開示する化合物は、エノール型、ケト型、およびその混合物を含む、いくつかの互変異性型で存在することができる。本明細書および特許請求の範囲内の様々な化合物名、式および化合物の図は、可能な互変異性型、配座異性型、光学異性型、または幾何異性型の1つだけを表しうるため、文脈が1つのそのような異性体が意図されると示さないかぎり、開示する化合物は、本明細書に記載の化合物の任意の互変異性型、配座異性型、光学異性型、および/または幾何異性型、ならびにこれらの様々な異なる異性型の混合物を含むことが理解されるであろう。例えば、アミド結合の周り、またはチアゾールおよびピリジル環などの2つの直接結合した環の間の回転が制限される場合、アトロプ異性体も可能であり、本発明の化合物に具体的に含まれる。
【0067】
II. ベンズアゾール化合物およびその組成物
A. ベンズアゾール化合物
本明細書において開示するのは、ベンズアゾール化合物であり、該化合物の作製方法および該化合物の使用方法である。1つの態様において、開示する化合物は、チロシンキナーゼ阻害剤である。特定の態様において、化合物はIL-17シグナル伝達経路などの、1つまたは複数のサイトカインシグナル伝達経路を阻止する際に有用である。一定の態様のために、ベンズアゾール化合物は、インターロイキン-1受容体関連キナーゼ(IRAK)経路の阻害が治療的に有用である状態を処置するために有用である。いくつかの態様において、化合物はIRAK1、IRAK2、IRAK3またはIRAK4などの、IRAKタンパク質を直接阻害する。
【0068】
本開示の範囲内の例示的なベンズアゾール化合物は、一般式I
またはその薬学的に許容される塩、溶媒、水和物、N-オキシド、プロドラッグ、もしくは組み合わせを有する。式Iに関して、Het-1はヘテロシクリル、典型的にはヘテロアリールであり;XはOまたはSであり;YはOまたはNであり;かつZはSまたはCR9である。R1およびR2は、独立にH;アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、およびシクロアルケニルを含む脂肪族;ヘテロ脂肪族;ヘテロアリールおよびヘテロシクロ脂肪族を含むヘテロシクリル;アリールもしくは芳香脂肪族であるか、またはそれらが結合している窒素と一緒に、置換されていてもよい複素環を形成する。R3、R4、R5、R6およびR9は独立にH;アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニルおよびシクロアルキニルを含む脂肪族;ハロゲン;ヘテロ脂肪族;アルコキシなどの-O-脂肪族;ヘテロアリールおよびヘテロシクロ脂肪族を含むヘテロシクリル;アリール;芳香脂肪族;-O-ヘテロシクリル;ヒドロキシル;ニトロ;シアノ;カルボキシル;カルボキシルエステル;アシル;アミド;アミノ;スルホニル;スルホンアミド;スルファニル;スルフィニル;もしくはハロアルキルであり;R7はH;アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、およびシクロアルケニルを含む脂肪族;ヘテロ脂肪族;ヘテロアリールおよびヘテロシクロ脂肪族を含むヘテロシクリル;アリールもしくは芳香脂肪族であるか、またはR4およびR5、R5およびR7、R7およびR6ならびに/もしくはR6およびR9などの任意の2つの隣接基は独立に、アリール、ヘテロアリール、シクロ脂肪族もしくはヘテロシクリル環を一緒に形成してもよい。各R8は独立にアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニルおよびシクロアルキニルを含む脂肪族;ハロゲン;ヘテロ脂肪族;アルコキシなどの-O-脂肪族;ヘテロアリールおよびヘテロシクロ脂肪族を含むヘテロシクリル;アリール;芳香脂肪族;-O-ヘテロシクリル;ヒドロキシル;ニトロ:シアノ;カルボキシル;カルボキシルエステル;アシル;アミド;アミノ;スルホニル;スルホンアミド;スルファニル;スルフィニル;またはハロアルキルであり;かつmは0~1、2、3、4、5、または少なくとも6などの、0からHet-1上の可能な置換基の数までである。Het-1は無置換(mが0の場合)であっても、または置換されていてもよい。Het-1が無置換である場合、当業者であればすべての炭素およびヘテロ原子上に、原子価の要求を満たすのに十分な暗黙の水素があることを理解するであろう。開示するベンズアゾール化合物の特定の態様において、各R8は独立にハロ、-CF3、-CF2Hよび-CH2CF3などのC1-6ハロアルキル、C1-6アルキル、-OC1-6アルキル、アミノまたは-CH2OP(O)(OR24)2から選択され、ここで各R24は独立にH、C1-6アルキル、または例えばリン酸部分と共に薬学的に許容される塩基付加塩を形成する対イオンである。一定の態様において、少なくとも1つのR8は-NH2などのアミノ;メチルなどのC1-C6アルキルなどのアルキル;または-CF3、-CF2Hもしくは-CH2CF3などのハロアルキルである。特定の態様において、mは1であり、かつR8は-NH2またはメチルである。
【0069】
一定の態様のために、Het-1は置換されていてもよい5もしくは6員単環式ヘテロアリールまたは5および/もしくは6員ヘテロアリールを含む縮合ヘテロアリールであってもよい。Het-1は、フラン;チオフェン;ピラゾール;ピロール;イミダゾール;オキサゾール;チアゾール;イソキサゾール;イソチアゾール;1,2,3-トリアゾール、1,2,4-トリアゾール、もしくは1,3,4-トリアゾールなどのトリアゾール;1,2,3-オキサジアゾール、1,2,4-オキサジアゾール、1,3,4-オキサジアゾールもしくは1,2,5-オキサジアゾールなどのオキサジアゾール;1,2,3-チアジアゾール、1,2,4-チアジアゾール、1,3,4-チアジアゾールもしくは1,2,5-チアジアゾールなどのチアジアゾール;テトラゾール;ピリミジン;ピリジン;1,2,3-トリアジン、1,2,4-トリアジンもしくは1,3,5-トリアジンなどのトリアジン;ピラジン;ピリダジン;キノリン;イソキノリン;インドール;イソインドール;ベンゾフラン;ベンゾチオフェン;ベンゾイミダゾール;ベンゾピラゾール;ベンゾトリアゾール;またはピロロ[2,3-b]ピリジン、ピロロ[3,2-b]ピリジン、ピロロ[2,3-c]ピリジン、ピロロ[3,2-c]ピリジン、ピロロ[3,4-b]ピリジンもしくはピロロ[3,4-c]ピリジンなどのピロロピリジンであってもよい。特定の態様において、Het-1は、ピラゾール-1-イル、ピラゾール-3-イル、ピラゾール-4-イル、ピラゾール-5-イル、ピリジン-2-イル、ピリジン-3-イル、ピリジン-4-イル、ピロロ[2,3-b]ピリジン-5-イル、ピロロ[2,3-b]ピリジン-2-イル、ピロロ[2,3-b]ピリジン-3-イル、ピロロ[2,3-b]ピリジン-4-イルまたはピロロ[2,3-b]ピリジン-6-イルなどの、ピラゾール、ピリジンまたはピロロ[2,3-b]ピリジンである。
【0070】
そのようなHet-1の例は
によって表され、ここでR10およびR23はH、脂肪族、ヘテロ脂肪族、-O-脂肪族、ヘテロシクリル、アリール、芳香脂肪族、-O-ヘテロシクリル、ヒドロキシル、シアノ、カルボキシル、カルボキシルエステル、アシル、アミド、アミノ、スルホニル、スルホンアミド、またはハロアルキルから選択される。
【0071】
特定の態様において、

から選択される。
【0072】
一定の態様において、R5はアミノ、アリールまたはヘテロシクリルである。いくつかの態様において、R5は式-NRRを有するアミノであり、ここで各Rは独立にHもしくは脂肪族であるか、または両方のR基はそれらに結合した窒素と一緒に複素環を形成する。一定の態様において、R5
から選択される環式アミノである。他の態様において、R5
から選択される。
【0073】
いくつかの態様において、R1およびR2はそれらに結合した窒素と一緒に複素環、典型的には脂肪族複素環を形成する。一定の態様において、脂肪族複素環はモルホリン、ピペリジンまたはピペラジンである。他の態様において、R1およびR2は独立にH、脂肪族またはヘテロ脂肪族である。一定の例において、R1はHまたはメチル、エチル、プロピルもしくはイソプロピルなどのアルキルである。他の態様において、R2は脂肪族またはヘテロ脂肪族である。一定の態様において、R2はヘテロシクロ脂肪族で置換された脂肪族である。特定の態様において、-N(R1)(R2)部分は
から選択され、ここでRaは脂肪族、ハロアルキルまたはアシルであり;nは1または2であり;かつpは0、1または2である。
Raは、CH3、CF3、CF2H、またはRbC(O)-などの、アルキル、ハロアルキルまたはアシルであってもよい。いくつかの態様において、Rbは、アルキルまたはハロアルキルなどの、脂肪族またはハロアルキルであり、かつ一定の態様において、RbはCH3、CF3またはCF2Hである。
【0074】
同様に式Iに関して、Het-1は:1A)5員ヘテロアリール;1B)6員ヘテロアリール;1C)縮合ヘテロアリール;1D)ピリジン、ピラゾール、もしくはピロロピリジンから選択され;1E)ピリジン;1F)ピラゾール;1G)ピロロピリジン;1H)ピリジン-4-イル;1I)少なくとも2位で置換されたピリジン-4-イル;1J)少なくとも2位でアルキル部分により置換されたピリジン-4-イル;1K)2-メチルピリジン-4-イル;1L)ピリジン-3-イル;1M)少なくとも6位で置換されたピリジン-3-イル;1N)少なくとも6位でアミノ部分により置換されたピリジン-3-イル;1O)6-アミノピリジン-3-イル;1P)ピラゾール-4-イル;1Q)ピラゾール-3-イル;または1R)ピロロ[2,3-b]ピリジン-5-イルであってもよい。
【0075】
Het-1態様1Aから1Rに関して、R5は、1Aから1Rとの組み合わせで:2A)5員ヘテロシクリル;2B)6員ヘテロシクリル;2C)ピペリジン、モルホリンもしくはピロリジンから選択され;2D)ピペリジン;2E)モルホリン;2F)ピロリジン;2G)ピペリジン-1-イル;2H)4-フルオロピペリジン-1-イル;2I)4,4-ジフルオロピペリジン-1-イル;2J)3-フルオロピペリジン-1-イル;2K)3,3-ジフルオロピペリジン-1-イル;2L)ピロリジン-1-イル;または2M)モルホリノであってもよい。
【0076】
当業者であれば、2Aから2Mのいずれかが1Aから1Rのいずれかと組み合わされて、そのような置換基の間の任意およびすべての組み合わせを形成し得ることを理解するであろう。
【0077】
Het-1態様1Aから1RおよびR5態様2Aから2Mに関して、-N(R1)(R2)部分は、1Aから1Rおよび2Aから2Mとの任意の組み合わせにおいて:3A)ヘテロシクリル;3B)R1およびR2が独立にH、脂肪族もしくはヘテロ脂肪族であるように選択され;3C)モルホリン;3D)ピペリジン;3E)ピペラジン;3F)4-メチル-1-ピペラジニル;3G)モルホリノ;3H)ピペリジン-1-イル;3I)R1がアルキルであり、かつR2がヘテロ脂肪族であるように選択され;3J)R1がHもしくはアルキルであり、かつR2がヘテロシクロ脂肪族で置換されたアルキルであるように選択され;3K)N-(2-メトキシエチル)-N-メチルアミノ;3L)N-メチル-N-(2-モルホリノエチル)アミノ;または3M)(2-モルホリノエチル)アミノであってもよい。
【0078】
当業者であれば、3Aから3Mのいずれかが1Aから1Rおよび2Aから2Mのいずれかと組み合わされて、そのような置換基の間の任意およびすべての組み合わせを形成し得ることを理解するであろう。
【0079】
Het-1態様1Aから1R、R5態様2Aから2M、および-N(R1)(R2)部分態様3Aから3Mに関して、Xは、1Aから1R、2Aから2Mおよび3Aから3Mとの任意の組み合わせにおいて:4A)酸素;または4B)硫黄であってもよい。
【0080】
当業者であれば、4Aまたは4Bのいずれかが1Aから1R、2Aから2Mおよび3Aから3Mのいずれかと組み合わされて、そのような置換基の間の任意およびすべての組み合わせを形成し得ることを理解するであろう。
【0081】
Het-1態様1Aから1R、R5態様2Aから2M、-N(R1)(R2)部分態様3Aから3MおよびX態様4Aから4Bに関して、Yは、1Aから1R、2Aから2M、3Aから3Mおよび4Aから4Bとの任意の組み合わせにおいて:5A)酸素;または5B)硫黄であってもよい。
【0082】
当業者であれば、5Aまたは5Bのいずれかが1Aから1R、2Aから2M、3Aから3Mおよび4Aから4Bのいずれかと組み合わされて、そのような置換基の間の任意およびすべての組み合わせを形成し得ることを理解するであろう。
【0083】
Het-1態様1Aから1R、R5態様2Aから2M、-N(R1)(R2)部分態様3Aから3M、X態様4Aから4B、およびY態様5Aから5Bに関して、Zは、1Aから1R、2Aから2M、3Aから3M、4Aから4Bおよび5Aから5Bとの任意の組み合わせにおいて:6A)窒素;または6B)CHであってもよい。
【0084】
当業者であれば、6Aまたは6Bのいずれかが1Aから1R、2Aから2M、3Aから3M、4Aから4Bおよび5Aから5Bのいずれかと組み合わされて、そのような置換基の間の任意およびすべての組み合わせを形成し得ることを理解するであろう。
【0085】
式Iのいくつかの態様において、YはOであり、かつZはCR9であり、式II
を有する化合物となる。
【0086】
式Iの他の態様において、YはSであり、かつZはNであり、式III
を有する化合物となる。式IIおよびIIIに関して、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、m、Het-1およびXは式Iについての前述の定義のとおりである。
【0087】
式Iのいくつかの例において、Het-1はピラゾール、ピリジンまたはピロロピリジンであり、
から選択される式を有する化合物となる。式IV、VおよびVIに関して、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、X、YおよびZは式Iについての前述の定義のとおりであり、かつR10およびR23はH、脂肪族、ヘテロ脂肪族、-O-脂肪族、ヘテロシクリル、アリール、芳香脂肪族、-O-ヘテロシクリル、ヒドロキシル、シアノ、カルボキシル、カルボキシルエステル、アシル、アミド、アミノ、スルホニル、スルホンアミド、またはハロアルキルから選択される。これらの式中のR8などの一定の置換基は、環内の原子に直接結合されていると示されない。これは、置換基が環上の任意の可能な位置または位置の組み合わせに結合され得ることを示す。これは、置換基が水素以外である場合の特定の留意点である。
【0088】
式IVのいくつかの態様において、化合物は
から選択される式を有する。式VIIおよびVIIIに関して、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R9、X、YおよびZは式Iについての前述の定義のとおりである。R10はH、脂肪族、アリールまたはヘテロシクリルである。R11、R12およびR13は独立にH;アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニルおよびシクロアルキニルを含む脂肪族;ハロゲン;ヘテロ脂肪族;アルコキシなどの-O-脂肪族;ヘテロアリールおよびヘテロシクロ脂肪族を含むヘテロシクリル;アリール;芳香脂肪族;-O-ヘテロシクリル;ヒドロキシル;ニトロ;シアノ;カルボキシル;カルボキシルエステル;アシル;アミド;アミノ;スルホニル;スルホンアミド;スルファニル;スルフィニル;またはハロアルキルである。いくつかの例において、R10、R11、R12およびR13はすべてHである。
【0089】
式Vのいくつかの態様において、化合物は
から選択される式を有する。式IXおよびXに関して、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R9、X、YおよびZは式Iについての前述の定義のとおりであり、かつR14、R15、R16、R17およびR18は独立にH;アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニルおよびシクロアルキニルを含む脂肪族;ハロゲン;ヘテロ脂肪族;アルコキシなどの-O-脂肪族;ヘテロアリールおよびヘテロシクロ脂肪族を含むヘテロシクリル;アリール;芳香脂肪族;-O-ヘテロシクリル;ヒドロキシル;ニトロ;シアノ;カルボキシル;カルボキシルエステル;アシル;アミド;アミノ;スルホニル;スルホンアミド;スルファニル;スルフィニル;またはハロアルキルである。
【0090】
式IXのいくつかの態様において、R14はアルキルであり、かつ低級アルキル、特にメチルなどのC1-6アルキルであってもよい。式IXの他の態様において、R15、R16およびR17はHである。
【0091】
式Xのいくつかの態様において、R14はアミノであり、かつNH2であってもよい。式Xの他の態様において、R15はアルキルであり、かつメチルなどのC1-C6アルキルであってもよい。式Xの一定の態様において、R15、R16およびR18はHである。
【0092】
式VIのいくつかの態様において、化合物は式XI
を有する。式XIに関して、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R9、X、YおよびZは式Iについての前述の定義のとおりである。R19、R20、R21およびR22は独立にH;アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニルおよびシクロアルキニルを含む脂肪族;ハロゲン;ヘテロ脂肪族;アルコキシなどの-O-脂肪族;ヘテロアリールおよびヘテロシクロ脂肪族を含むヘテロシクリル;アリール;芳香脂肪族;-O-ヘテロシクリル;ヒドロキシル;ニトロ;シアノ;カルボキシル;カルボキシルエステル;アシル;アミド;アミノ;スルホニル;スルホンアミド;スルファニル;スルフィニル;またはハロアルキルである。R23はH、脂肪族、アリールまたはヘテロシクリルである。式XIのいくつかの態様において、R19、R20、R21、R22およびR23はHである。
【0093】
式IIのいくつかの態様において、化合物は
から選択される式を有する。
【0094】
式IIIのいくつかの態様において、化合物は
から選択される式を有する。
【0095】
式XIIからXXXIに関して、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R9、R10、R11、R12、R13、R14、R15、R16、R17、R18、R19、R20、R21、R22およびR23は式IからXIについて前述したとおりである。いくつかの例において、R3、R4、R6、R7、R10、R11、R12、R13、R15、R16、R17、R18、R19、R20、R21、R22および/もしくはR23はHであり、かつ/またはR14はH、メチルなどのアルキル、もしくは-NH2などのアミノである。
【0096】
式I~XXXIのいくつかの態様において、R3、R4、R6および/またはR7はHである。
【0097】
式Iの例示的化合物には、以下の表の化合物および/またはその薬学的に許容される塩が含まれるが、それらに限定されない。
式Iの例示的化合物には、以下に挙げる化合物およびその薬学的に許容される塩が含まれるが、それらに限定されない。
I-1:5-(6-アミノピリジン-3-イル)-N-(2-モルホリノ-5-(ピペリジン-1-イル)ベンゾ[d]オキサゾール-6-イル)フラン-2-カルボキサミド;
I-2:N-(2-モルホリノ-5-(ピペリジン-1-イル)ベンゾ[d]オキサゾール-6-イル)-5-(1H-ピロロ[2,3-b]ピリジン-5-イル)フラン-2-カルボキサミド;
I-3:N-(2-モルホリノ-5-(ピペリジン-1-イル)ベンゾ[d]オキサゾール-6-イル)-5-(1H-ピラゾール-4-イル)フラン-2-カルボキサミド;
I-4:N-(2-モルホリノ-5-(ピペリジン-1-イル)ベンゾ[d]オキサゾール-6-イル)-5-(1H-ピラゾール-3-イル)フラン-2-カルボキサミド;
I-5:5-(6-アミノピリジン-3-イル)-N-(2-モルホリノ-5-(ピペリジン-1-イル)ベンゾ[d]チアゾール-6-イル)フラン-2-カルボキサミド;
I-6:N-(2-モルホリノ-5-(ピペリジン-1-イル)ベンゾ[d]チアゾール-6-イル)-5-(1H-ピロロ[2,3-b]ピリジン-5-イル)フラン-2-カルボキサミド;
I-7:N-(2-モルホリノ-5-(ピペリジン-1-イル)ベンゾ[d]チアゾール-6-イル)-5-(1H-ピラゾール-4-イル)フラン-2-カルボキサミド;
I-8:N-(2-モルホリノ-5-(ピペリジン-1-イル)ベンゾ[d]チアゾール-6-イル)-5-(1H-ピラゾール-3-イル)フラン-2-カルボキサミド;
I-9:5-(2-メチルピリジン-4-イル)-N-(2-モルホリノ-5-(ピペリジン-1-イル)ベンゾ[d]チアゾール-6-イル)フラン-2-カルボキサミド;
I-10:5-(2-メチルピリジン-4-イル)-N-(2-モルホリノ-5-(ピペリジン-1-イル)ベンゾ[d]オキサゾール-6-イル)フラン-2-カルボキサミド;
I-11:2-(6-アミノピリジン-3-イル)-N-(2-モルホリノ-5-(ピペリジン-1-イル)ベンゾ[d]オキサゾール-6-イル)チアゾール-4-カルボキサミド;
I-12:N-(2-モルホリノ-5-(ピペリジン-1-イル)ベンゾ[d]オキサゾール-6-イル)-2-(1H-ピラゾール-4-イル)チアゾール-4-カルボキサミド;
I-13:N-(2-モルホリノ-5-(ピペリジン-1-イル)ベンゾ[d]オキサゾール-6-イル)-2-(1H-ピラゾール-3-イル)チアゾール-4-カルボキサミド;
I-14:2-(2-メチルピリジン-4-イル)-N-(2-モルホリノ-5-(ピペリジン-1-イル)ベンゾ[d]オキサゾール-6-イル)チアゾール-4-カルボキサミド;
I-15:5-(6-アミノピリジン-3-イル)-N-(2-(4-メチルピペラジン-1-イル)-5-(ピペリジン-1-イル)ベンゾ[d]オキサゾール-6-イル)フラン-2-カルボキサミド;
I-16:N-(2-(4-メチルピペラジン-1-イル)-5-(ピペリジン-1-イル)ベンゾ[d]オキサゾール-6-イル)-5-(1H-ピラゾール-4-イル)フラン-2-カルボキサミド;
I-17:N-(2-(4-メチルピペラジン-1-イル)-5-(ピペリジン-1-イル)ベンゾ[d]オキサゾール-6-イル)-5-(1H-ピラゾール-3-イル)フラン-2-カルボキサミド;
I-18:N-(2-(4-メチルピペラジン-1-イル)-5-(ピペリジン-1-イル)ベンゾ[d]オキサゾール-6-イル)-5-(2-メチルピリジン-4-イル)フラン-2-カルボキサミド;
I-19:2-(6-アミノピリジン-3-イル)-N-(2-(4-メチルピペラジン-1-イル)-5-(ピペリジン-1-イル)ベンゾ[d]オキサゾール-6-イル)チアゾール-4-カルボキサミド;
I-20:N-(2-(4-メチルピペラジン-1-イル)-5-(ピペリジン-1-イル)ベンゾ[d]オキサゾール-6-イル)-2-(1H-ピラゾール-4-イル)チアゾール-4-カルボキサミド;
I-21:N-(2-(4-メチルピペラジン-1-イル)-5-(ピペリジン-1-イル)ベンゾ[d]オキサゾール-6-イル)-2-(1H-ピラゾール-3-イル)チアゾール-4-カルボキサミド;
I-22:N-(2-(4-メチルピペラジン-1-イル)-5-(ピペリジン-1-イル)ベンゾ[d]オキサゾール-6-イル)-2-(2-メチルピリジン-4-イル)チアゾール-4-カルボキサミド;
I-23:N-(5-(4-フルオロピペリジン-1-イル)-2-モルホリノベンゾ[d]オキサゾール-6-イル)-5-(1H-ピラゾール-4-イル)フラン-2-カルボキサミド;
I-24:N-(5-(4-フルオロピペリジン-1-イル)-2-モルホリノベンゾ[d]オキサゾール-6-イル)-5-(2-メチルピリジン-4-イル)フラン-2-カルボキサミド;
I-25:N-(5-(4-フルオロピペリジン-1-イル)-2-モルホリノベンゾ[d]オキサゾール-6-イル)-2-(1H-ピラゾール-4-イル)チアゾール-4-カルボキサミド;
I-26:N-(5-(4-フルオロピペリジン-1-イル)-2-モルホリノベンゾ[d]オキサゾール-6-イル)-2-(2-メチルピリジン-4-イル)チアゾール-4-カルボキサミド;
I-27:N-(5-(4,4-ジフルオロピペリジン-1-イル)-2-モルホリノベンゾ[d]オキサゾール-6-イル)-5-(1H-ピラゾール-4-イル)フラン-2-カルボキサミド;
I-28:N-(5-(4,4-ジフルオロピペリジン-1-イル)-2-モルホリノベンゾ[d]オキサゾール-6-イル)-5-(2-メチルピリジン-4-イル)フラン-2-カルボキサミド;
I-29:N-(5-(4,4-ジフルオロピペリジン-1-イル)-2-モルホリノベンゾ[d]オキサゾール-6-イル)-2-(1H-ピラゾール-4-イル)チアゾール-4-カルボキサミド;
I-30:N-(5-(4,4-ジフルオロピペリジン-1-イル)-2-モルホリノベンゾ[d]オキサゾール-6-イル)-2-(2-メチルピリジン-4-イル)チアゾール-4-カルボキサミド;
I-31:N-(2,5-ジ(ピペリジン-1-イル)ベンゾ[d]オキサゾール-6-イル)-5-(1H-ピラゾール-4-イル)フラン-2-カルボキサミド;
I-32:N-(2,5-ジ(ピペリジン-1-イル)ベンゾ[d]オキサゾール-6-イル)-5-(1H-ピラゾール-3-イル)フラン-2-カルボキサミド;
I-33:N-(2,5-ジ(ピペリジン-1-イル)ベンゾ[d]オキサゾール-6-イル)-5-(2-メチルピリジン-4-イル)フラン-2-カルボキサミド;
I-34:2-(6-アミノピリジン-3-イル)-N-(2,5-ジ(ピペリジン-1-イル)ベンゾ[d]オキサゾール-6-イル)チアゾール-4-カルボキサミド;
I-35:N-(2,5-ジ(ピペリジン-1-イル)ベンゾ[d]オキサゾール-6-イル)-2-(1H-ピラゾール-4-イル)チアゾール-4-カルボキサミド;
I-36:N-(2,5-ジ(ピペリジン-1-イル)ベンゾ[d]オキサゾール-6-イル)-2-(1H-ピラゾール-3-イル)チアゾール-4-カルボキサミド;
I-37:N-(2,5-ジ(ピペリジン-1-イル)ベンゾ[d]オキサゾール-6-イル)-2-(2-メチルピリジン-4-イル)チアゾール-4-カルボキサミド;
I-38:N-(5-(3-フルオロピペリジン-1-イル)-2-モルホリノベンゾ[d]オキサゾール-6-イル)-5-(1H-ピラゾール-4-イル)フラン-2-カルボキサミド;
I-39:N-(5-(3-フルオロピペリジン-1-イル)-2-モルホリノベンゾ[d]オキサゾール-6-イル)-5-(2-メチルピリジン-4-イル)フラン-2-カルボキサミド;
I-40:N-(5-(3-フルオロピペリジン-1-イル)-2-モルホリノベンゾ[d]オキサゾール-6-イル)-2-(1H-ピラゾール-4-イル)チアゾール-4-カルボキサミド;
I-41:N-(5-(3-フルオロピペリジン-1-イル)-2-モルホリノベンゾ[d]オキサゾール-6-イル)-2-(2-メチルピリジン-4-イル)チアゾール-4-カルボキサミド;
I-42:N-(5-(3,3-ジフルオロピペリジン-1-イル)-2-モルホリノベンゾ[d]オキサゾール-6-イル)-5-(1H-ピラゾール-4-イル)フラン-2-カルボキサミド;
I-43:N-(5-(3,3-ジフルオロピペリジン-1-イル)-2-モルホリノベンゾ[d]オキサゾール-6-イル)-5-(2-メチルピリジン-4-イル)フラン-2-カルボキサミド;
I-44:N-(5-(3,3-ジフルオロピペリジン-1-イル)-2-モルホリノベンゾ[d]オキサゾール-6-イル)-2-(1H-ピラゾール-4-イル)チアゾール-4-カルボキサミド;
I-45:N-(5-(3,3-ジフルオロピペリジン-1-イル)-2-モルホリノベンゾ[d]オキサゾール-6-イル)-2-(2-メチルピリジン-4-イル)チアゾール-4-カルボキサミド;
I-46:N-(2-モルホリノ-5-(ピロリジン-1-イル)ベンゾ[d]オキサゾール-6-イル)-5-(1H-ピラゾール-4-イル)フラン-2-カルボキサミド;
I-47:N-(2-モルホリノ-5-(ピロリジン-1-イル)ベンゾ[d]オキサゾール-6-イル)-2-(1H-ピラゾール-4-イル)チアゾール-4-カルボキサミド;
I-48:N-(2,5-ジモルホリノベンゾ[d]オキサゾール-6-イル)-5-(1H-ピラゾール-4-イル)フラン-2-カルボキサミド;
I-49:N-(2,5-ジモルホリノベンゾ[d]オキサゾール-6-イル)-2-(1H-ピラゾール-4-イル)チアゾール-4-カルボキサミド;
I-50:N-(2-((2-メトキシエチル)(メチル)アミノ)-5-(ピペリジン-1-イル)ベンゾ[d]オキサゾール-6-イル)-5-(1H-ピラゾール-4-イル)フラン-2-カルボキサミド;
I-51:N-(2-((2-メトキシエチル)(メチル)アミノ)-5-(ピペリジン-1-イル)ベンゾ[d]オキサゾール-6-イル)-2-(1H-ピラゾール-4-イル)チアゾール-4-カルボキサミド;
I-52:N-(2-((2-モルホリノエチル)アミノ)-5-(ピペリジン-1-イル)ベンゾ[d]オキサゾール-6-イル)-2-(1H-ピラゾール-4-イル)チアゾール-4-カルボキサミド;
I-53:N-(2-(メチル(2-モルホリノエチル)アミノ)-5-(ピペリジン-1-イル)ベンゾ[d]オキサゾール-6-イル)-5-(1H-ピラゾール-4-イル)フラン-2-カルボキサミド;
I-54:N-(2-(メチル(2-モルホリノエチル)アミノ)-5-(ピペリジン-1-イル)ベンゾ[d]オキサゾール-6-イル)-2-(1H-ピラゾール-4-イル)チアゾール-4-カルボキサミド;または
I-55:N-(2-((2-モルホリノエチル)アミノ)-5-(ピペリジン-1-イル)ベンゾ[d]オキサゾール-6-イル)-5-(1H-ピラゾール-4-イル)フラン-2-カルボキサミド。
【0098】
B. 合成
開示するベンズアゾール化合物は、以下に例示し、また有機合成の分野の技術者であれば理解されるであろうとおりに調製することができる。例示的合成は、スキーム1による以下の第一の反応段階を含んでもよい。
アニリン2をCS2と塩基存在下で反応させて、ベンズアゾール4を生成する。Xは典型的には酸素または硫黄であり、LG1は脱離基である。適切な脱離基には、フッ化物、塩化物、臭化物、ヨウ化物、メシレートまたはトシレートが含まれるが、それらに限定されない。反応は極性溶媒などの適切な溶媒中で実施する。適切な溶媒には、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、またはそれらの組み合わせなどのアルコールが含まれるが、それらに限定されない。塩基は反応を促進する任意の塩基であり得る。例示的な塩基には、水酸化物、特に水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、および水酸化リチウムなどの、金属水酸化物が含まれるが、それらに限定されない。反応は反応を促進するのに適した温度で実施する。適切な反応は典型的には50℃~100℃である。
【0099】
例示的合成における第二の反応段階を、スキーム2により以下に提供する。
ベンズアゾール4をアミン6と反応させて、化合物8を生成する。反応は反応を促進するのに適した溶媒中で実施する。適切な溶媒には、ジオキサンなどの非プロトン性溶媒が含まれる。反応は典型的には、60℃~100℃などの、反応を促進するのに適した温度まで加熱する。
【0100】
例示的合成における第三の反応段階を、スキーム3により以下に提供する。
化合物8をニトロ化剤および/または混合物と反応させて、化合物10を生成する。適切なニトロ化剤および/または混合物には、発煙硝酸などの硝酸、発煙硝酸/硫酸または硝酸/無水酢酸が含まれるが、それらに限定されない。
【0101】
例示的合成における第四の反応段階を、スキーム4により以下に提供する。
化合物10をアミン12と反応させて、化合物14を生成する。反応は反応を促進するのに適した溶媒中で実施する。適切な溶媒には、ジオキサンまたはアセトニトリルなどの非プロトン性溶媒が含まれる。反応は、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、トリエチルアミンまたはジイソプロピルエチルアミン(DIEA)などの塩基存在下で実施してもよい。または、反応中で2モル当量以上のアミン12を用いることによるなどの、過剰のアミンを塩基として用いてもよい。反応は典型的には、75℃~120℃などの、反応を促進するのに適した温度まで加熱する。
【0102】
例示的合成における第五の反応段階を、スキーム5により以下に提供する。
化合物14上のニトロ官能基を還元して、化合物16を生成する。H2/パラジウム炭素、H2/酸化白金(IV)、H2/ラネーニッケル、Fe/HCl、Fe/酢酸、亜鉛/酸、亜鉛/塩化アンモニウム、または塩化スズなどの、任意の適切な還元剤を用いることができる。反応は、メタノール、エタノール、プロパノール、もしくはイソプロパノールを含むアルコール;酢酸;水;またはそれらの組み合わせなどの、適切な溶媒中で実施する。当業者であれば、化合物16は、ニトロ基を還元するために用いる方法に応じて、遊離塩基またはHCl塩もしくは酢酸塩などの塩として生成され得ることを理解するであろう。
【0103】
例示的合成における第六の反応段階を、スキーム6により以下に提供する。
化合物16をカルボン酸18と反応させて、化合物20を生成する。Yは酸素または硫黄であり、かつZは窒素またはCRであり、ここでRは典型的にはHまたは脂肪族である。カルボン酸18を任意の適切な方法により活性化し、次いで化合物16上のアミンと反応させる。適切な活性化法には:塩化チオニル処理により酸塩化物を生成すること;1-[ビス(ジメチルアミノ)メチレン]-1H-1,2,3-トリアゾロ[4,5-b]ピリジニウム3-オキシドヘキサフルオロホスフェート(HATU)およびジイソプロピルエチルアミン(DIEA)などの塩基での処理による;カルボニルジイミダゾール(CDI)処理による;またはジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)もしくは1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド(EDC)などのカルボジイミド処理によるものが含まれるが、それらに限定されない。反応は反応を促進するのに適した溶媒中で実施する。適切な溶媒には、クロロホルム、ジクロロメタン、ジオキサン、トルエン、アセトニトリル、DMF、テトラヒドロフラン、またはそれらの組み合わせが含まれるが、それらに限定されない。
【0104】
例示的合成における第七の反応段階を、スキーム7により以下に提供する。
2つの環の間の結合を形成するのに適した任意のカップリング反応を用い、化合物20を化合物22とカップリングさせて、化合物24を生成する。上の例ではボロン酸カップリングを示し、ここで化合物20上の脱離基LG2は、ブロモまたはヨードなどのハロである。他の適切なカップリング官能基には、トリアルキルスズまたはボロン酸ピナコールエステルなどのボロン酸エステルが含まれる。カップリング反応は典型的には、適切な触媒存在下で進行する。ボロン酸カップリングについて、触媒は典型的には、PdCl2(dppf)2、酢酸パラジウムおよびトリフェニルホスフィン、またはテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)などのパラジウム触媒である。反応は、炭酸ナトリウム、カリウムまたはセシウムを含む、金属炭酸塩などの塩基存在下で実施し、かつジオキサン/水またはDME/エタノール/水などの適切な溶媒または溶媒混合物中で実施する。反応を、50℃~140℃、典型的には約120℃などの適切な温度で加熱し、かつ/または1時間~3日、6時間~24時間、もしくは12時間~18時間などの適切な期間撹拌して、反応が完了まで進行するのを促進してもよい。反応はマイクロ波中で実施してもよく、これは典型的には反応時間を短縮する。次いで、化合物24を反応混合物から単離し、適切な技術により精製する。
【0105】
C. 組み合わせのための追加の治療剤
本発明の化合物を単独で、互いとの組み合わせで、または他の確立された治療法の補助として、もしくはそれらとの組み合わせで用いてもよい。別の局面において、本発明の化合物を、処置中の障害または状態に対して有用な他の治療剤との組み合わせで用いてもよい。これらの化合物は同時に、または任意の順で逐次的に投与してもよい。化合物は、対象がベンズアゾール化合物および追加の治療剤の両方からの重複する有益な効果を経験するような期間内で投与してもよい。ベンズアゾール化合物および追加の治療剤を同じ投与経路により、または異なる経路により投与してもよい。本発明の化合物を、本項に記載の1つまたは複数の薬剤との組み合わせを含む、1つまたは複数の追加の治療剤との組み合わせで投与することが、特に意図される。
【0106】
いくつかの態様において、第二の治療剤は、鎮痛剤、抗菌剤、抗凝固剤、抗体、抗炎症剤、免疫抑制剤、グアニル酸シクラーゼ-Cアゴニスト、腸分泌促進剤、抗ウイルス剤、抗がん剤、抗真菌剤、またはそれらの組み合わせである。抗炎症剤はステロイドまたは非ステロイド性抗炎症剤であってもよい。一定の態様において、非ステロイド性抗炎症剤は、アミノサリチル酸、シクロオキシゲナーゼ阻害剤、ジクロフェナク、エトドラク、ファモチジン、フェノプロフェン、フルルビプロフェン、ケトプロフェン、ケトロラック、イブプロフェン、インドメタシン、メクロフェナム酸、メフェナム酸、メロキシカム、ナムブメトン(nambumetone)、ナプロキセン、オキサプロジン、ピロキシカム、サルサラート、スリンダク、トルメチン、またはそれらの組み合わせから選択される。いくつかの態様において、免疫抑制剤はメルカプトプリン、副腎皮質ステロイド、アルキル化剤、カルシニューリン阻害剤、イノシン一リン酸脱水素酵素阻害剤、抗リンパ球グロブリン、抗胸腺細胞グロブリン、抗T細胞抗体、またはそれらの組み合わせである。1つの態様において、抗体はインフリキシマブである。
【0107】
いくつかの態様において、本発明の化合物を他の抗がんまたは細胞毒性剤と共に用いてもよい。本開示の阻害剤と共に用いるための様々なクラスの抗がんおよび抗新生物化合物には、アルキル化剤、代謝拮抗剤、ビンカアルキロイド(alkyloid)、タキサン、抗生物質、酵素、サイトカイン、白金配位化合物、置換尿素、キナーゼ阻害剤、ホルモンおよびホルモン拮抗剤ならびに低メチル化剤、例えばアザシチジンおよびデシタビンなどのDNMT阻害剤が含まれるが、それらに限定されない。例示的アルキル化剤には、メクロロタミン(mechlorothamine)、シクロホスファミド、イホスファミド、メルファラン、クロラムブシル、エチレンイミン、メチルメラミン(methylmelamines)、アルキルスルホネート(例えば、ブスルファン)、およびカルムスチンが含まれるが、それらに限定されない。例示的代謝拮抗剤には、例として、葉酸類縁体メトトレキサート;ピリミジン類縁体フルオロウラシル、シトシンアルビノシド(arbinoside);プリン類縁体メルカプトプリン、チオグアニン、およびアザチオプリンが含まれるが、それらに限定されない。例示的ビンカアルキロイドには、例として、ビンブラスチン、ビンクリスチン、パクリタキセル、およびコルヒチンが含まれるが、それらに限定されない。例示的抗生物質には、例として、アクチノマイシンD、ダウノルビシン、およびブレオマイシンが含まれるが、それらに限定されない。抗新生物剤として有効な例示的酵素には、L-アスパラギナーゼが含まれる。例示的配位化合物には、例として、シスプラチンおよびカルボプラチンが含まれるが、それらに限定されない。例示的ホルモンおよびホルモン関連化合物には、例として、副腎皮質ステロイドプレドニゾンおよびデキサメサゾン;アロマターゼ阻害剤アミノグルテチミド、ホルメスタン、およびアナストロゾール;プロゲスチン化合物カプロン酸ヒドロキシプロゲステロン、メドロキシプロゲステロン;ならびに抗エストロゲン化合物タモキシフェンが含まれるが、それらに限定されない。
【0108】
組み合わせのための他の化学療法剤には、ニボルマブ、ペンブロリズマブ、ランブロリズマブ、ピディリズマブ、BMS-936559、MPDL3280A、AMP-224またはMEDI4736などの抗PD-1および/または抗PD-L1抗体;イピリムマブまたはトレメリムマブなどの抗CTLA-4抗体;リリルマブ(lirilumab)などの抗KIR抗体;BMS-986016などの抗LAG3抗体;ウレルマブなどの抗CD137抗体;抗SLAMF7、例えばエロツズマブなどの抗SLAM抗体;イデラリシブ、AZD8186、INCB40093およびINCB50465などのPI3K阻害剤;ならびに1-メチルトリプトファン、インドキシモド(indoximod)、NSC 36398(ジヒドロケルセチン、タキシフォリン)、NLG919、INCB024360(エパカドスタット)、およびF001287などのインドールジオキシゲナーゼ(IDO)および/またはトリプトファンジオキシゲナーゼ阻害剤(TDO)などの、がん免疫療法剤が含まれる。特定の態様において、複数のがん免疫療法剤を開示するベンズアゾール化合物と組み合わせる。典型的には、そのような組み合わせにおけるがん免疫療法剤は、異なる標的上で作用する。例えば、ニボルマブなどの抗PD-1剤と、イピリムマブなどの抗CTLA-4剤との組み合わせは、ベンズアゾール化合物との組み合わせにおいて特に有用である。
【0109】
いくつかの態様において、ベンズアゾール化合物をがん免疫療法剤および/または他の抗がんもしくは細胞毒性剤との組み合わせで用いてもよい。特定の態様において、本発明の化合物をがん免疫療法剤と組み合わせ、所与の悪性腫瘍に対するケアの現行の標準からの1つまたは複数の薬剤とさらに組み合わせる。以下の表は、本開示のベンズアゾール化合物を含む組み合わせ療法において処置可能な例示的がんを示し、本明細書において開示するベンズアゾール化合物およびがん免疫療法剤の組み合わせにおいて用いるためのさらなる処置を列挙する。
【0110】
これらおよび他の有用な抗がん化合物は、Merck Index, 13th Ed. (O'Neil M. J. et al., ed) Merck Publishing Group (2001)およびGoodman and Gilmans The Pharmacological Basis of Therapeutics, 10th Edition, Hardman, J. G. and Limbird, L. E. eds., pg. 1381-1287, McGraw Hill, (1996)に記載されており、これらはいずれも参照により本明細書に組み入れられる。
【0111】
本開示の化合物との組み合わせで用い得るCTLA 4抗体の中には、Bristol-Myers SquibbからYERVOY(登録商標)として市販されているイピリムマブがある。
【0112】
本発明の化合物との組み合わせで有用なさらなる抗増殖化合物には、例として、成長因子受容体に対する抗体(例えば、抗Her2);ならびにインターフェロン-αおよびインターフェロン-γ、インターロイキン-2や、GM-CSFなどのサイトカインが含まれるが、それらに限定されない。
【0113】
CLL、マントル細胞リンパ腫およびALLを含む、白血病の処置を含む、特定の態様において、本開示の化合物を、ABT-199またはABT737などの、B細胞リンパ腫2(BCL2)阻害剤との組み合わせで用いる。
【0114】
特に悪性腫瘍を処置する際に、本開示の化合物との組み合わせで有用なキナーゼ阻害剤の例には、イブルチニブなどのBtk阻害剤;パルボシクリブなどのCDK阻害剤;アファチニブ、エルロチニブ、ゲフィチニブ、ラパチニブおよびバンデチニブ(vandetinib)などのEGFR阻害剤;トラメチニブなどのMek阻害剤;ダブラフェニブ、ソラフェニブおよびベムラフェニブなどのRaf阻害剤;アキシチニブ、レンバチニブ、ニンテダニブ、およびパゾパニブなどのVEGFR阻害剤;ボスチニブ、ダサチニブ、イマチニブおよびニロチニブなどのBCR-Abl阻害剤;イデラリシブなどのPI3キナーゼ阻害剤;フォスタマチニブなどのSyk阻害剤;およびバリシチニブ、ルキソリチニブおよびトファシチニブなどのJAKキナーゼ阻害剤が含まれる。他の態様において、本開示の阻害剤との組み合わせのための第二または追加の治療剤は、下記のいずれかから選択してもよい。
鎮痛剤-モルヒネ、フェンタニル、ヒドロモルホン、オキシコドン、コデイン、アセトアミノフェン、ヒドロコドン、ブプレノルフィン、トラマドール、ベンラファキシン、フルピルチン、メペリジン、ペンタゾシン、デキストロモラミド、ジピパノン;
抗生物質-アミノ配糖体(例えば、アミカシン、ゲンタマイシン、カナマイシン、ネオマイシン、ネチルマイシン、トブラマイシン、およびパロマイシン)、カルバペネム(例えば、エルタペネム、ドリペネム、イミペネム、シラスタチン、およびメロペネム)、セファロスポリン(例えば、セファドロキシル、セファゾリン、セファロチン、セファレキシン、セファクロル、セファマンドール、セフォキシチン、セフプロジル、セフロキシム、セフィキシム、セフジニル、セフジトレン、セフォペラゾン、セフォタキシム、セフポドキシム、セフタジジム、セフチブテン、セフチゾキシム、セフトリアキソン、セフェピム、およびセフォビプロール(cefobiprole))、糖ペプチド(例えば、テイコプラニン、バンコマイシン、およびテラバンシン)、リンコサミド(例えば、クリンダマイシンおよびインコマイシン(incomysin))、リポペプチド)例えば、ダプトマイシン)、マクロライド(アジスロマイシン、クラリスロマイシン、ジリスロマイシン、エリスロマイシン、ロキシスロマイシン、トロレアンドマイシン、テリスロマイシン、およびスペクチノマイシン)、モノバクタム(例えば、アズトレオナム)、ニトロフラン(例えば、フラゾリドンおよびニトロフラントイン)、ペニシリン(penicilllin)(例えば、アモキシシリン、アンピシリン、アズロシリン、カルベニシリン、クロキサシリン、ジクロキサシリン、フルクロキサシリン、メズロシリン、メチシリン、ナフシリン、オキサシリン、ペニシリンG、ペニシリンV、ピペラシリン、テモシリン、およびチカルシリン)、ペニシリン組合せ(例えば、アモキシシリン/クラブラン酸、アンピシリン/スルバクタム、ピペラシリン/タゾバクタム、およびチカルシリン/クラブラン酸)、ポリペプチド(例えば、バシトラシン、コリスチン、およびポリミキシンB)、キノロン(例えば、シプロフロキサシン、エノキサシン、ガチフロキサシン、レボフロキサシン、ロメフロキサシン、モキシフロキサシン、ナリジクス酸、ノルフロキサシン、オフロキサシン、トロバフロキサシン、グレパフロキサシン、スパルフロキサシン、およびテマフロキサシン)、スルホンアミド(例えば、マフェニド、スルホンアミドクリソイジン、スルファセタミド、スルファジアジン、スルファジアジン銀、スルファメチゾール、スルファメトキサゾール、スルファニルイミド、スルファサラジン、スルフイソキサゾール、トリメトプリム、およびトリメトプリム-スルファメトキサゾール(sulfamethoxaxzole))、テトラサイクリン(例えば、デメクロサイクリン、ドキシサイクリン、ミノサイクリン、オキシテトラサイクリン、およびテトラサイクリン)、抗ミコバクテリア化合物(例えば、クロファジミン、ダプソン、カプレオマイシン、シクロセリン、エタンブトール、エチオナミド、イソニアジド、ピラジンアミド、リファンビシン(リファンピン)、リファブチン、リファペンチン、およびストレプトマイシン)、ならびにアルスフェナミン、クロラムフェニコール、ホスホマイシン、フシジン酸、リネゾリド、メトロニダゾール、ムピロシン、プラテンシマイシン、キヌプリシン(quinuprisin)/ダルフォプリスチン、リファキシミン、チアンフェニコール、チゲサイクリン、およびチミダゾールなどの他の治療剤;
抗体-抗TNFα抗体、例えば、インフリキシマブ(レミケード(商標))、アダリムマブ、ゴリムマブ、セルトリズマブ;抗B細胞抗体、例えば、リツキシマブ;抗IL-6抗体、例えば、トシリズマブ;抗IL-1抗体、例えば、アナキンラ;抗PD-1および/または抗PD-L1抗体、例えば、ニボルマブ、ペンブロリズマブ、ピディリズマブ、BMS-936559、MPDL3280A、AMP-224、MEDI4736;イキセキズマブ、ブロダルマブ、オファツムマブ、シルクマブ、クレノリキシマブ、クラザキウマブ(clazakiumab)、フェザキヌマブ、フレチクマブ(fletikumab)、マブリリムマブ、オクレリズマブ、サリルマブ、セクキヌマブ、トラリズマブ、ザノリムマブ;
抗凝固剤-ワルファリン(クマジン(商標))、アセノクマロール、フェンプロクモン、アトロメンチン、フェニンジオン、ヘパリン、フォンダパリヌクス、イドラパリヌクス、リバロキサバン、アピキサバン、ヒルジン、レピルジン、ビバリルジン、アルガトロバン、ダビガトラン、キシメラガトラン、バトロキソビン、ヘメンチン(hementin);
抗炎症剤-ステロイド、例えば、ブデソニド、非ステロイド性抗炎症剤、例えば、アミノサリチル酸(例えば、スルファサラジン、メサラミン、オルサラジン、およびバルサラジド)、シクロオキシゲナーゼ阻害剤(ロフェコキシブ、セレコキシブなどのCOX-2阻害剤)、ジクロフェナク、エトドラク、ファモチジン、フェノプロフェン、フルルビプロフェン、ケトプロフェン、ケトロラク、イブプロフェン、インドメタシン、メクロフェナム酸、メフェナム酸、メロキシカム、ナムブメトン(nambumetone)、ナプロキセン、オキサプロジン、ピロキシカム、サルサラート、スリンダク、トルメチン;
免疫抑制剤-メルカプトプリン、副腎皮質ステロイド、例えば、デキサメサゾン、ヒドロコルチゾン、プレドニゾン、メチルプレドニゾロンおよびプレドニゾロン、シクロホスファミドなどのアルキル化剤、シクロスポリン、シロリムスおよびタクロリムスなどのカルシニューリン阻害剤、ミコフェノール酸、ミコフェノール酸モフェチルおよびアザチオプリンなどのイノシン一リン酸デヒドロゲナーゼの阻害剤(IMPDH)、ならびに様々な抗体(例えば、抗リンパ球グロブリン(ALG)、抗胸腺細胞グロブリン(ATG)、モノクローナル抗T細胞抗体(OKT3))および放射線照射を含む、細胞免疫を抑制する一方で受容者の液性免疫応答を無傷に保つよう設計された薬剤。アザチオプリンは現在Salix Pharmaceuticals, Inc.から商標名Azasanで入手可能;メルカプトプリンは現在Gate Pharmaceuticals, Inc.から商標名Purinetholで入手可能;プレドニゾンおよびプレドニゾロンは現在Roxane Laboratories, Inc.から入手可能;メチルプレドニゾロンは現在Pfizerから入手可能;シロリムス(ラパマイシン)は現在Wyeth-Ayerstから商標名Rapamuneで入手可能;タクロリムスは現在Fujisawaから商標名Prografで入手可能;シクロスポリンは現在Novartisから商標名SandimmuneおよびAbbottから商標名Gengrafで入手可能;ミコフェノール酸モフェチルおよびミコフェノール酸などのIMPDH阻害剤は現在Rocheから商標名CellceptおよびNovartisから商標名Myforticで入手可能;アザチオプリンは現在Glaxo Smith Klineから商標名Imuranで入手可能;および抗体は現在Ortho Biotechから商標名Orthoclone、Novartisから商標名Simulect(バシリキシマブ)およびRocheから商標名Zanapax(daclizumab)で入手可能;および
グアニル酸シクラーゼ-C受容体アゴニストまたは腸の分泌促進物質、例えば、リナクロチド、Linzessの名前で販売。
【0115】
これらの様々な薬剤は、薬物の市販の形態に添付の処方情報に明記されているとおり(同様に、The Physician's Desk Referenceの2006年版の処方情報も参照されたい)、それらの標準または一般的用量に従って用いることができ、前記開示は参照により本明細書に組み入れられる。
【0116】
D. ベンズアゾール化合物を含む組成物
開示するベンズアゾール化合物を単独で、任意の組み合わせで、および少なくとも1つの第二の治療剤との組み合わせで、またはその補助として用いてもよく、かつさらにベンズアゾール化合物、および少なくとも1つの第二の治療剤を、対象への投与のための組成物を生成するのに有用な任意の適切な添加剤との組み合わせで用いてもよい。添加剤は、対象に送達するための組成物を希釈するため、製剤の加工を容易にするため、製剤に有利な材料特性を提供するため、送達デバイスからの分散を容易にするため、製剤を安定化するため(例えば、抗酸化剤または緩衝剤)、製剤に快適または美味な味または硬さを提供するためなどの、様々な目的のために薬学的組成物に含まれうる。典型的な添加剤には、例として:薬学的に許容される賦形剤;薬学的に許容される担体;ならびに/またはラクトース、グルコース、ラフィノース、メレチトース、ラクチトール、マルチトール、トレハロース、スクロース、マンニトール、デンプン、もしくはそれらの組み合わせなどの、単糖、二糖、および多糖類、糖アルコールや、他のポリオールなどの補助剤;ソルビトール、ジホスファチジルコリン、およびレシチンなどの界面活性物質;増量剤;リン酸およびクエン酸緩衝剤などの緩衝剤;ステアリン酸マグネシウムなどの抗粘着剤;糖類(スクロースおよびラクトースなどの二糖類を含む)、多糖類(デンプン、セルロース、微結晶セルロース、セルロースエーテル(ヒドロキシプロピルセルロースなどの)などの)、ゼラチン、合成ポリマー(ポリビニルピロリドン、ポリアルキレングリコールなどの)などの結合剤;コーティング(ヒドロキシプロピルメチルセルロース、シェラック、トウモロコシタンパク質ゼイン、およびゼラチンを含むセルロースエーテルなどの);放出補助剤(腸溶コーティングなどの);崩壊剤(クロスポビドン、架橋カルボキシメチルセルロースナトリウム、およびデンプングリコール酸ナトリウムなどの);充填剤(第二リン酸カルシウム、植物脂肪および油、ラクトース、スクロース、グルコース、マンニトール、ソルビトール、炭酸カルシウム、およびステアリン酸マグネシウムなどの);香料および甘味剤(ミント、サクランボ、アニス、モモ、アンズまたは甘草、キイチゴ、およびバニラなどの;滑沢剤(ミネラル、例えば、タルクもしくはシリカ、脂肪、例えば、植物ステアリン、ステアリン酸マグネシウムまたはステアリン酸などの);保存剤(抗酸化剤、例えば、ビタミンA、ビタミンE、ビタミンC、パルミチン酸レチニル、およびセレン、アミノ酸、例えば、システインおよびメチオニン、クエン酸およびクエン酸ナトリウム、パラベン、例えば、メチルパラベンおよびプロピルパラベンなどの);着色剤;圧縮補助剤;乳化剤;カプセル化剤;ガム;造粒剤;およびそれらの組み合わせが含まれるが、それらに限定されない。
【0117】
III. 使用方法
A. 疾患/障害
開示するベンズアゾール化合物、ならびにその組み合わせおよび/または組成物を、様々な疾患および/または障害を改善、処置または予防するために用いてもよい。特定の態様において、ベンズアゾール化合物、ベンズアゾール化合物の組み合わせ、またはその組成物を、自己免疫疾患、炎症性障害、心血管疾患、神経障害、神経変性障害、アレルギー性疾患、喘息、膵炎、多臓器不全、腎疾患、血小板凝集、がん、移植、精子運動能、赤血球欠乏、移植片拒絶、肺損傷、呼吸器疾患、虚血状態、細菌感染症および/またはウイルス感染症を処置または予防するために用いてもよい。
【0118】
いくつかの態様において、ベンズアゾール化合物、ベンズアゾール化合物の組み合わせ、またはその組成物を、アレルギー性疾患、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、全身性エリテマトーデス、関節リウマチ、I型糖尿病、炎症性腸疾患、胆汁性肝硬変、ブドウ膜炎、多発性硬化症、クローン病、潰瘍性大腸炎、水疱性類天疱瘡、サルコイドーシス、乾癬、自己免疫性筋炎、ウェゲナー肉芽腫症、魚鱗癬、グレーブス眼症または喘息を処置または予防するために用いてもよい。
【0119】
ベンズアゾール化合物、ベンズアゾール化合物の組み合わせ、またはその組成物は、骨髄もしくは臓器移植拒絶または移植片対宿主病に関連する免疫調節障害を改善、処置または予防するのに有用であり得る。本発明の化合物で処置し得る炎症および免疫調節障害の例には、臓器もしくは組織の移植、移植が原因の移植片対宿主病、自己免疫症候群、例えば、関節リウマチ、全身性エリテマトーデス、橋本甲状腺炎、多発性硬化症、全身性硬化症、重症筋無力症、I型糖尿病、ブドウ膜炎、後部ブドウ膜炎、アレルギー性脳脊髄炎、糸球体腎炎、リウマチ熱および感染後糸球体腎炎を含む感染後自己免疫疾患、炎症性および過剰増殖性皮膚疾患、乾癬、アトピー性皮膚炎、接触皮膚炎、湿疹性皮膚炎、脂漏性皮膚炎、扁平苔癬、天疱瘡、水疱性類天疱瘡、表皮水疱症、じん麻疹、血管浮腫、血管炎、紅斑、皮膚好酸球増加症、エリテマトーデス、ざ瘡、円形脱毛症、角結膜炎、春季カタル、ベーチェット病に関連するブドウ膜炎、角膜炎、ヘルペス性角膜炎、円錐角膜、角膜上皮ジストロフィー、角膜白斑、眼天疱瘡、モーレン潰瘍、強膜炎、グレーブス眼症、フォークト・小柳・原田症候群、サルコイドーシス、花粉アレルギー、可逆性閉塞性気道疾患、気管支喘息、アルギー性喘息、内因性喘息、外因性喘息、塵埃喘息、慢性もしくは難治性喘息、遅発型喘息および気道過敏症、気管支炎、胃潰瘍、虚血性疾患および血栓症が原因の血管損傷、虚血性腸疾患、炎症性腸疾患、壊死性腸炎、熱傷に関連する腸の病変、セリアック病、直腸炎、好酸球性胃腸炎、肥満細胞症、クローン病、潰瘍性大腸炎、片頭痛、鼻炎、湿疹、間質性腎炎、グッドパスチャー症候群、溶血性尿毒症症候群、糖尿病性腎症、多発性筋炎、ギラン・バレー症候群、メニエール病、多発神経炎(polyneuritis)、多発神経炎(multiple neuritis)、単神経炎、神経根障害、甲状腺機能亢進症、バセドウ病、赤芽球ろう、再生不良性貧血、低形成性貧血、特発性血小板減少性紫斑病、自己免疫性溶血性貧血、無顆粒球症、悪性貧血、巨赤芽球性貧血、赤血球形成不全、骨粗鬆症、サルコイドーシス、肺線維症、特発性間質性肺炎、皮膚筋炎、尋常性白斑、尋常性魚鱗癬、光線過敏性、皮膚T細胞リンパ腫、慢性リンパ性白血病、動脈硬化症、アテローム性動脈硬化症、大動脈炎症候群、結節性多発動脈炎、心筋症、強皮症、ウェゲナー肉芽腫、シェーグレン症候群、脂肪症、好酸球性筋膜炎、歯肉,歯周組織,歯槽骨,歯のセメント質の病変、糸球体腎炎、脱毛を防ぐこと,もしくは毛髪の発生を提供すること,および/もしくは発毛および育毛を促進することによる男性型脱毛症もしくは老人性脱毛症、筋ジストロフィー、膿皮症およびセザリー症候群、アジソン病、保存,移植,もしくは虚血性疾患後に起こる臓器の虚血再灌流傷害、内毒素ショック、偽膜性大腸炎、薬物もしくは放射線が原因の大腸炎、虚血性急性腎不全、慢性腎不全、肺酸素もしくは薬物が原因の中毒症、肺がん、肺気腫、白内障、シデローシス、網膜色素変性症、老人性黄斑変性症、硝子体瘢痕(vitreal scarring)、角膜アルカリ熱傷、多形性紅斑皮膚炎(dermatitis erythema multiforme)、線状IgA水疱性皮膚炎およびセメント皮膚炎(cement dermatitis)、歯肉炎、歯周炎、敗血症、膵炎、環境汚染,加齢,発がん,がん転移,および高山病が原因の疾患、ヒスタミンもしくはロイコトリエン-C4放出が原因の疾患、ベーチェット病、自己免疫性肝炎、原発性胆汁性肝硬変、硬化性胆管炎、肝部分切除、急性肝壊死、毒素,ウイルス性肝炎,ショック,もしくはアノキシアが原因の壊死、B型ウイルス性肝炎、非A/非B型肝炎、肝硬変、アルコール性肝硬変を含むアルコール性肝疾患、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)、肝不全、劇症肝不全、遅発性肝不全、慢性肝不全の急性憎悪、化学療法効果の増強、サイトメガロウイルス感染症、HCMV感染症、AIDS、がん、老人性認知症、パーキンソン病、外傷、または慢性細菌感染症が含まれるが、それらに限定されない。
【0120】
一定の態様において、本発明の化合物は、神経障害を処置するのに有用である。例えば、本明細書の化合物を、神経障害性疼痛および炎症誘導性疼痛を含む神経痛を処置するために用いることができる。
【0121】
一定の態様において、ベンズアゾール化合物、ベンズアゾール化合物の組み合わせ、またはその組成物は、アルコール性肝疾患(脂肪性肝炎)、関節リウマチ、乾癬性関節炎、骨関節炎、全身性エリテマトーデス、ループス腎炎、強直性脊椎炎、骨粗鬆症、全身性硬化症、多発性硬化症、乾癬、特に膿疱性乾癬、I型糖尿病、II型糖尿病、炎症性腸疾患(クローン病および潰瘍性大腸炎を含む)、高グロブリンD血症および周期熱症候群、クリオピリン関連周期症候群、シュニッツラー症候群、全身性若年性特発性関節炎、成人発症性スチル病、痛風、偽痛風、SAPHO 症候群、キャッスルマン病、敗血症、卒中、アテローム性動脈硬化症、セリアック病、DIRA(Il-1受容体拮抗薬の欠乏)、アルツハイマー病、パーキンソン病を処置および/または予防するのに有用である。
【0122】
ベンズアゾール化合物、ベンズアゾール化合物の組み合わせ、またはその組成物によって処置し得る増殖性疾患には、良性または悪性腫瘍、固形腫瘍および液性腫瘍、例えば、脳、腎臓、肝臓、副腎、膀胱、乳房、頭頸部、胃、胃腫瘍、卵巣、結腸、直腸、前立腺、膵臓、肺、腟、子宮頚、精巣、泌尿生殖路、食道、喉頭、皮膚、骨または甲状腺のがん、肉腫、神経膠芽腫、神経芽細胞腫、多発性骨髄腫、胃腸がん、特に結腸がんまたは結腸直腸腺腫、頭頸部の腫瘍、表皮過剰増殖、乾癬、前立腺過形成、新生物、上皮性の新生物、腺腫、腺がん、角化棘細胞腫、類表皮がん、大細胞がん、非小細胞肺がん、リンパ腫、ホジキンおよび非ホジキン、乳がん、濾胞状がん、未分化がん、乳頭がん、精上皮腫、メラノーマ、IL-1駆動性障害、MyD88駆動性障害(ABCびまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、ワルデンストレームマクログロブリン血症、ホジキンリンパ腫、原発性皮膚T細胞リンパ腫または慢性リンパ性白血病などの)、胸水リンパ腫、くすぶり型もしくは低悪性度多発性骨髄腫、または造血器腫瘍(白血病、DLBCL、ABC DLBCL、慢性リンパ性白血病(CLL)、慢性リンパ性リンパ腫、原発性体液性リンパ腫、バーキットリンパ腫/白血病、急性リンパ性白血病(ALL)、B細胞前リンパ球性白血病、リンパ形質細胞性リンパ腫、骨髄異形成症候群、骨髄線維症、真性多血症、カポジ肉腫、ワルデンストレームマクログロブリン血症(WM)、脾臓周辺帯リンパ腫、多発性骨髄腫、形質細胞腫、血管内大細胞型B細胞リンパ腫を含む)が含まれる。特に、本開示の化合物は、JAK阻害剤に抵抗性のもの、IRAK阻害剤に抵抗性のもの、イブルチニブ抵抗性CLLおよびイブルチニブ抵抗性ワルデンストレームマクログロブリン血症などの、イブルチニブ抵抗性造血器腫瘍を含むイブルチニブ抵抗性腫瘍などの、薬物抵抗性悪性腫瘍を処置する際に有用である。
【0123】
ベンズアゾール化合物、ベンズアゾール化合物の組み合わせ、またはその組成物を用いて処置し得るアレルギー性疾患の例には、喘息(例えば アトピー性喘息、アレルギー性喘息、アトピー性気管支IgE仲介喘息、非アトピー性喘息、気管支喘息、非アレルギー性喘息、本態性喘息、真性喘息、病態生理学的障害が原因の内因性喘息、未知または不明の原因の本態性喘息、肺気腫性喘息、運動誘発喘息、情動誘発喘息、環境因子が原因の外因性喘息、冷気誘発喘息、職業性喘息、細菌、真菌、原生動物、またはウイルス感染症が原因の、またはそれに関連する感染性喘息、初期喘息(incipient asthma)、喘鳴幼児症候群(wheezy infant syndrome)、細気管支炎、咳喘息または薬剤性喘息)、アレルギー性気管支肺アスペルギルス症(ABPA)、アレルギー性鼻炎、通年性アレルギー性鼻炎、通年性鼻炎、血管運動性鼻炎、後鼻漏、化膿性または非化膿性副鼻腔炎、急性または慢性副鼻腔炎、および篩骨、前頭、上顎、または蝶形骨洞炎が含まれるが、それらに限定されない。
【0124】
別の例として、関節リウマチ(RA)は、典型的には、体中の標的関節の腫脹、疼痛、運動欠如および圧痛をもたらす。RAは、リンパ球が密集した慢性的炎症性滑膜によって特徴付けられる。滑膜は、典型的には細胞単層の厚さで、強度に細胞性となり、樹状細胞、T、BおよびNK細胞、マクロファージならびに形質細胞群を含む、リンパ組織に類似の形態を呈する。このプロセス、ならびに抗原-免役グロブリン複合体の形成を含む多くの免疫病理学的メカニズムは、最終的に関節の完全性の破壊をきたし、関節またはその周囲の変形、昨日の永久的欠如、および/または骨侵食を引き起こす。ベンズアゾール化合物、ベンズアゾール化合物の組み合わせ、またはその組成物を、RAのこれらの症状の任意の1つ、いくつか、またはすべてを処置、改善または予防するために用いてもよい。したがって、RAの状況において、処置が根元的RAの処置および/または循環中のリウマチ因子(「RF」)の量の低減を同時にもたらすかどうかに関係なく、化合物は、RAに一般に付随する任意の症状の低減または改善が達成される場合に、治療的利益を提供すると考えられる。
【0125】
The American College of Rheumatology(ACR)は、RAの改善および臨床的寛解を定義するための基準を開発した。そのようなパラメーター、ACR20(20%の臨床的改善のACR基準)は、圧痛のある腫脹した関節カウントの20%改善、ならびに以下の5つのパラメーターの3つにおける20%改善を必要とする:患者の包括的評価、医師の包括的評価、患者の疼痛の評価、障害の程度、および急性相反応物質のレベル。これらの基準はACR50およびACR70においてそれぞれ50%および70%の改善に拡大された。他の基準にはPauluの基準およびX線検査の進歩(例えば、Sharpスコア)が含まれる。
【0126】
いくつかの態様において、RAを患っている患者の治療的利益は、患者がACR20を示す場合に達成される。特定の態様において、ACRC50またはACR70のACR改善が達成されてもよい。
【0127】
B. 製剤および投与
開示する化合物(またはそのプロドラッグ)を含む薬学的組成物を、通常の混合、溶解、造粒、糖衣錠作製、水ひ、乳化、カプセル化、捕捉または凍結乾燥工程により製造してもよい。組成物を、薬学的に使用し得る製剤を提供するために、1つまたは複数の生理的に許容される賦形剤、希釈剤、担体、アジュバントまたは補助剤を用いて通常の様式で製剤してもよい。
【0128】
活性化合物またはプロドラッグは、それ自体で、または水和物、溶媒和物、N-オキシドもしくは薬学的に許容される塩の形で薬学的組成物に製剤してもよい。典型的には、そのような塩は、対応する遊離酸および塩基よりも水性溶液中で溶解性が高いが、対応する遊離酸および塩基よりも溶解性が低い塩も生成され得る。
【0129】
本発明の薬学的組成物は、例えば、局所、眼、経口、口腔、全身、鼻、i.v.もしくはi.p.などの注射、経皮、直腸、膣などを含む、実質的に任意の投与様式に適した形態、または吸入もしくはガス注入による投与に適した形態をとってもよい。
【0130】
局所投与のために、活性化合物、水和物、溶媒和物、N-オキシドもしくは薬学的に許容される塩またはプロドラッグを、当技術分野において周知のとおり、液剤、ゲル、軟膏、クリーム、懸濁剤などとして製剤してもよい。
【0131】
全身製剤には、注射、例えば、皮下、静脈内、筋肉内、くも膜下腔内または腹腔内注射による投与のために設計されたもの、ならびに経皮、経粘膜、経口、または肺投与のために設計されたものが含まれる。
【0132】
有用な注射用製剤には、水性または油性媒体中の活性化合物の無菌懸濁剤、液剤、または乳剤が含まれる。組成物は、懸濁化剤、安定化剤、および/または分散剤などの、配合剤を含んでもよい。注射用製剤は、単位剤形、例えば、アンプルまたは多用量容器中で提供してもよく、追加の保存剤を含んでもよい。
【0133】
または、注射用製剤は、無菌で、発熱物質を含まない水、緩衝液、デキストロース溶液などを含むが、それらに限定されない、適切な媒体で、使用前に再構成するための散剤の形で提供してもよい。このために、活性化合物を、凍結乾燥などの任意の当技術分野において公知の技術によって乾燥し、使用前に再構成してもよい。
【0134】
経粘膜投与のために、透過すべき関門に適した浸透剤を製剤中で用いる。そのような浸透剤は当技術分野において公知である。
【0135】
経口投与のために、薬学的組成物は、結合剤(例えば、アルファ化トウモロコシデンプン、ポリビニルピロリドン、またはヒドロキシプロピルメチルセルロース);充填剤(例えば、ラクトース、微結晶セルロース、またはリン酸水素カルシウム);滑沢剤(例えば、ステアリン酸マグネシウム、タルク、またはシリカ);崩壊剤(例えば、ジャガイモデンプンまたはデンプングリコール酸ナトリウム);および/または湿潤剤(例えば、ラウリル硫酸ナトリウム)などの薬学的に許容される賦形剤と共に、通常の手段によって調製した、例えば、ロゼンジ、錠剤、またはカプセル剤の形をとってもよい。錠剤は、例えば、糖類、フィルム、または腸溶コーティングにより、当技術分野において周知の方法によってコーティングしてもよい。
【0136】
経口投与用の液体製剤は、例えば、エリキシル剤、液剤、シロップ剤、もしくは懸濁剤の形をとってもよく、または水もしくは他の適切な媒体で使用前に再構成するための乾燥生成物として提供してもよい。そのような液体製剤は、懸濁化剤(例えば、ソルビトールシロップ、セルロース誘導体、または硬化食用脂);乳化剤(例えば、レシチン、またはアカシア);非水性媒体(例えば、アーモンド油、油性エステル、エチルアルコール、クレモフォール(cremophore)(商標)、または分別植物油);および保存剤(例えば、p-ヒドロキシ安息香酸メチルもしくはプロピルまたはソルビン酸)などの薬学的に許容される添加物と共に、通常の手段によって調製してもよい。製剤は、適宜緩衝塩、保存剤、着香剤、着色剤および甘味剤を含んでもよい。
【0137】
経口投与用の製剤は、周知の通り、活性化合物またはプロドラッグの制御放出を行うために、適切に製剤してもよい。
【0138】
口腔投与のために、組成物は通常の様式で製剤された錠剤またはロゼンジの形をとってもよい。
【0139】
直腸および膣投与経路のために、活性化合物は、カカオ脂または他のグリセリドなどの通常の坐剤基剤を含む、液剤(停留浣腸用)、坐剤または軟膏として製剤してもよい。
【0140】
鼻投与または吸入もしくはガス注入による投与のために、活性化合物、水和物、溶媒和物、N-オキシド、薬学的に許容される塩またはプロドラッグを、適切な噴射剤、例えば、ジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロエタン、過フッ化炭化水素、二酸化炭素、または他の適切なガスを用いての加圧パックまたはネブライザーからのエアロゾル噴霧剤の形で、都合よく送達することができる。加圧エアロゾルの場合、用量単位は、一定量を送達するためのバルブを提供することによって決定することができる。吸入器またはガス注入器において用いるためのカプセルおよびカートリッジ(例えば、ゼラチンからなるカプセルおよびカートリッジ)を、化合物およびラクトースまたはデンプンなどの適切な粉末基剤の粉末混合物を含んで製剤してもよい。
【0141】
市販の鼻噴霧装置を用いての鼻投与に適した水性懸濁製剤の具体例には、以下の成分が含まれる:活性化合物またはプロドラッグ(0.5 20mg/ml);塩化ベンザルコニウム(0.1 0.2mg/mL);ポリソルベート80(TWEEN(登録商標)80;0.5 5mg/ml);カルボキシメチルセルロースナトリウムまたは微結晶セルロース(1 15mg/ml);フェニルエタノール(1 4mg/ml);およびデキストロース(20 50mg/ml)。最終懸濁液のpHは、約pH5~pH7の範囲に調節することができ、約pH5.5のpHが典型的である。
【0142】
吸入による化合物の投与に適した水性懸濁剤の別の具体例は、20mg/mLの化合物またはプロドラッグ、1%(v/v)ポリソルベート80(TWEEN(登録商標)80)、50mMクエン酸塩および/または0.9%塩化ナトリウムを含む。
【0143】
眼投与のために、活性化合物またはプロドラッグを、眼への投与に適した液剤、乳剤、懸濁剤などとして製剤してもよい。化合物を眼に投与するのに適した様々な媒体が当技術分野において公知である。具体的非限定例は米国特許第6,261,547号;第6,197,934号;第6,056,950号;第5,800,807号;第5,776,445号;第5,698,219号;第5,521,222号;第5,403,841号;第5,077,033号;第4,882,150号;および第4,738,851号に記載されており、これらは参照により本明細書に組み入れられる。
【0144】
持続送達のために、化合物またはプロドラッグを、埋め込みまたは筋肉内注射によって投与するためのデポー製剤として製剤することができる。活性成分を適切なポリマーもしくは疎水性材料(例えば、許容される油中の乳剤として)またはイオン交換樹脂と共に、あるいは難溶性誘導体として、例えば、難溶性塩として製剤することができる。または、経皮吸収のために活性化合物をゆっくり放出する接着性ディスクまたはパッチとして製造された、経皮送達系を用いてもよい。このために、活性化合物の経皮浸透を促進するために、透過増強剤を用いえもよい。適切な経皮パッチは、例えば、米国特許第5,407,713号;第5,352,456号;第5,332,213号;第5,336,168号;第5,290,561号;第5,254,346号;第5,164,189号;第5,163,899号;第5,088,977号;第5,087,240号;第5,008,110号;および第4,921,475号に記載されており、これらは参照により本明細書に組み入れられる。
【0145】
または、他の薬学的送達系を用いてもよい。リポソームおよび乳剤は、活性化合物またはプロドラッグを送達するために用い得る送達媒体の周知の例である。ジメチルスルホキシド(DMSO)などの一定の有機溶媒も、通常はより高い毒性との引き替えであるが、用いてもよい。
【0146】
薬学的組成物を、望まれる場合には、活性化合物を含む1つまたは複数の単位剤形を含みうるパックまたはディスペンサー装置中で提供してもよい。パックは、例えば、ブリスターパックなどの、金属またはプラスティックフォイルを含んでもよい。パックまたはディスペンサー装置は、投与の説明書が添付されていてもよい。
【0147】
C. 用量
ベンズアゾール化合物またはベンズアゾール化合物の組み合わせは一般に、所期の結果を達成するのに有効な量、例えば、特定の状態を処置または予防するのに有効な量で用いることになる。ベンズアゾール化合物、またはその組成物は、治療的利益を達成するために治療的に、または予防的利益を達成するために予防的に投与することができる。治療的利益とは、患者が根元障害にまだ苦しんでいるにもかかわらず、患者が感情または状態の改善を報告するような、処置中の根元障害の根絶もしくは改善、および/または根元障害に関連する症状の1つもしくは複数の根絶もしくは改善を意味する。例えば、アレルギーを患っている患者への化合物の投与は、根元的アレルギー反応が根絶または改善される場合だけでなく、患者がアレルゲンへの曝露後にアレルギーに関連する症状の重症度または持続期間の低減を報告する場合にも、治療的利益を提供する。別の例として、喘息の状況における治療的利益には、喘息発作開始後の呼吸の改善または喘息エピソードの頻度もしくは重症度の軽減が含まれる。治療的利益には、改善が実現されるかどうかにかかわらず、疾患の進行の停止または遅延も含まれる。
【0148】
当業者には公知のとおり、ベンズアゾール化合物の好ましい用量は、処置中の患者または対象の年齢、体重、全身の健康、および状態の重症度を含む、様々な因子にも依存することになる。用量は、吸入により投与する場合、個人の性別および/または個人の肺容量に適合させる必要があることもある。用量は、複数の状態を患っている個人、または肺容量および正常に呼吸する能力に影響をおよぼすさらなる状態、例えば、気腫、気管支炎、肺炎、および呼吸器感染症を有する個人に適合させてもよい。ベンズアゾール化合物またはその組成物の用量、および投与頻度は、ベンズアゾール化合物が状態の急性エピソードの処置、または障害の予防的処置のいずれのために製剤されるかにも依存することになる。当業者であれば、特定の個人のために最適な用量を決定し得るであろう。
【0149】
予防的投与のために、ベンズアゾール化合物、ベンズアゾール化合物の組み合わせ、またはその組成物を、前述の状態の1つを発生するリスクが高い患者または対象に投与することができる。例えば、患者または対象が特定の薬物に対してアレルギー性であるかどうかが不明の場合、薬物に対するアレルギー反応を回避または改善するために、ベンズアゾール化合物、ベンズアゾール化合物の組み合わせ、またはその組成物を、薬物の投与の前に投与することができる。または、根元障害と診断された患者の症状の発症を回避または改善するために、予防的投与を用いることもできる。例えば、ベンズアゾール化合物、またはその組成物を、アレルギーを患っている者に、予想されるアレルゲンへの曝露前に投与することもできる。ベンズアゾール化合物、ベンズアゾール化合物の組み合わせ、またはその組成物を、前述の病気の1つに対して公知の作用物質に繰り返し曝露される健常個人に、障害の発症を予防するために予防的に投与することもできる。例えば、ベンズアゾール化合物、ベンズアゾール化合物の組み合わせ、またはその組成物を、ラテックスなどのアレルギーを誘発することが公知のアレルゲンに繰り返し曝露される健常個人に、個人がアレルギーを発生するのを予防するために投与することもできる。または、ベンズアゾール化合物、ベンズアゾール化合物の組み合わせ、またはその組成物を、喘息を患っている患者に、喘息エピソードの重症度を軽減する、または全体的に回避するために、喘息発作を誘発する活動に参加する前に投与することもできる。
【0150】
有効用量は、最初はインビトロ検定から推定することができる。例えば、対象で使用するための初期用量は、インビトロ検定で測定して、特定の化合物のIC50またはEC50以上である、活性化合物の循環血または血清濃度を達成するように配合することができる。特定の化合物のバイオアベイラビリティを考慮に入れて、そのような循環血または血清濃度を達成するための用量を計算することができる。Fingl & Woodbury, ''General Principles,'' In: Goodman and Gilman’s The Pharmaceutical Basis of Therapeutics, Chapter 1, pages 1-46, Pergamon Press、およびその中で引用される参照文献は、有効用量に関するさらなる指標を提供する。
【0151】
いくつかの態様において、開示する化合物は0超~10μM、0超~5μM、0超~1μM、0超~0.5μM、または0超~0.1μMなどの、0超~20μMのEC50を有する。
【0152】
初期用量は、動物モデルなどの、インビボデータから推定することもできる。前述の様々な疾患を処置または予防するための化合物の有効性を試験するのに有用な動物モデルは、当技術分野において周知である。過敏症またはアレルギー反応の適切な動物モデルは、Foster, (1995) Allergy 50(21Suppl):6-9, discussion 34-38およびTumas et al., (2001), J. Allergy Clin. Immunol. 107(6):1025-1033に記載されている。アレルギー性鼻炎の適切な動物モデルは、Szelenyi et al., (2000), Arzneimittelforschung 50(11):1037-42;Kawaguchi et al., (1994), Clin. Exp. Allergy 24(3):238-244およびSugimoto et al., (2000), Immunopharmacology 48(1):1-7に記載されている。当業者であれば、ヒトへの投与に適した用量を決定するために、そのような情報を適合させることができる。
【0153】
開示するベンズアゾール化合物の用量は典型的には、0.0001mg/kg/日または0.001mg/kg/日または0.01mg/kg/日などの0mg/kg/日を超える量から少なくとも100mg/kg/日の量までの範囲内となる。より典型的には、用量(または有効量)は、1日に少なくとも1回投与する、0.01mg/kg~0.5mg/kgまたは0.05mg/kg~0.15mg/kgなどの、0.0025mg/kg~約1mg/kgの範囲であってもよい。合計1日用量は、典型的には、1日に0.5mg/kg~10mg/kgまたは1日に0.7mg/kg~2.5mg/kg/日などの、1日に0.1mg/kg~5mg/kgまたは~20mg/kgの範囲である。用量は、特に、ベンズアゾール化合物の活性、そのバイオアベイラビリティ、投与様式、および前述の様々な因子に応じて、より高くてもより低くてもよい。
【0154】
用量および投与間隔は、治療的または予防的効果を維持するのに十分な、ベンズアゾール化合物の血漿レベルを提供するために、個々に調節することができる。例えば、特に投与の様式、処置中の具体的適応、および指示する医師の判断に依存して、化合物を1日1回、1日に複数回、週に1回、週に数回(例えば、1日おき)、1ヶ月に1回、1ヶ月に複数回、または1年に1回投与することができる。当業者であれば、過度の実験を行うことなく、有効な局所用量を最適化することができよう。
【0155】
開示するベンズアゾール化合物の1つまたは複数を含む組成物は、典型的には全重量パーセントで0超~最大99%のベンズアゾール化合物、および/または他の治療剤を含む。より典型的には、開示するベンズアゾール化合物の1つまたは複数を含む組成物は、1~20全重量%のベンズアゾール化合物および他の治療剤、ならびに80~99重量%の薬学的に許容される添加剤を含む。
【0156】
好ましくは、ベンズアゾール化合物、ベンズアゾール化合物の組み合わせ、またはその組成物は、実質的な毒性を引き起こすことなく、治療的または予防的利益を提供することになる。ベンズアゾール化合物の毒性は、標準の薬学的手順を用いて判定することができる。毒性と治療的(または予防的)効果との間の用量比が治療指数である。高い治療指数を示すベンズアゾール化合物が好ましい。
【実施例
【0157】
IV. 実施例
実施例1
5-フルオロベンゾ[d]オキサゾール-2-チオールの調製
エタノール(200mL)中の2-アミノ-4-フルオロフェノール(10g、78.8mmol)、二硫化炭素(35mL)、および水酸化カリウム(5.3g、94.6mmol)の溶液を終夜加熱還流した。反応混合物を濃縮乾固し、次いで水で希釈した。この溶液を1M HClで中和し、次いで酢酸エチルで数回洗浄した。合わせた有機相を食塩水で洗浄し、Na2SO4で乾燥し、減圧下で濃縮して、9.3g(収率70%)の所望の5-フルオロベンゾ[d]オキサゾール-2-チオールを得た。
【0158】
実施例2
5-フルオロ-N-(2-メトキシエチル)-N-メチルベンゾ[d]オキサゾール-2-アミンの調製
ジオキサン(6mL)中の5-フルオロベンゾ[d]オキサゾール-2-チオール(1.17g、6.92mmol)および(2-メトキシエチル)メチルアミン(3.7mL、34.1mmol)の溶液を85℃で終夜加熱した。反応混合物を濃縮乾固し、得られた生成物、5-フルオロ-N-(2-メトキシエチル)-N-メチルベンゾ[d]オキサゾール-2-アミンを未精製で用いた。
【0159】
実施例3
5-フルオロ-N-(2-メトキシエチル)-N-メチル-6-ニトロベンゾ[d]オキサゾール-2-アミンの調製
氷浴中で冷却したH2SO4(9mL)中の5-フルオロ-N-(2-メトキシエチル)-N-メチル-6-ニトロベンゾ[d]オキサゾール-2-アミン(6.92mmol)の溶液に、発煙HNO3(600μL)を滴加した。反応混合物を室温まで戻し、次いで35℃で終夜緩やかに加熱した。LC-MSによりモニターした時点で反応は完了しており、室温まで冷却した。次いで、反応混合物を氷上に加え、4M NaOHを加えてpH9まで塩基性化した。生成した固体をろ過し、乾燥して、所望の生成物N-(2-メトキシエチル)-N-メチル-6-ニトロ-5-(ピペリジン-1-イル)ベンゾ[d]オキサゾール-2-アミン(1.25g、4.62mmol)を収率67%で得た。
【0160】
実施例4
N-(2-メトキシエチル)-N-メチル-6-ニトロ-5-(ピペリジン-1-イル)ベンゾ[d]オキサゾール-2-アミンの調製
ジオキサン(40mL)中の5-フルオロ-N-(2-メトキシエチル)-N-メチル-6-ニトロベンゾ[d]オキサゾール-2-アミン(1.24g、4.63mmol)、ピペリジン(915μL、9.26mmol)の溶液を95℃で5時間加熱した。室温まで冷却した後、反応混合物を減圧下で濃縮し、Siゲルクロマトグラフィにより、ヘキサン中0~90%酢酸エチルで溶出して精製した。所望のN-(2-メトキシエチル)-N-メチル-6-ニトロ-5-(ピペリジン-1-イル)ベンゾ[d]オキサゾール-2-アミン生成物は35%EtOAc/Hexで溶出され、1.22g(収率79%)を得た。LC-MS (m/z): 335.3。
【0161】
実施例5
N2-(2-メトキシエチル)-N2-メチル-5-(ピペリジン-1-イル)ベンゾ[d]オキサゾール-2,6-ジアミン塩酸塩の調製
水(1mL)およびエタノール(20mL)中のN-(2-メトキシエチル)-N-メチル-6-ニトロ-5-(ピペリジン-1-イル)ベンゾ[d]オキサゾール-2-アミン(1.22g、3.65mmol)および濃塩酸(600μL)の溶液に、鉄粉(2g、36.5mmol)を加えた。混合物を約1時間加熱還流し、その時点でLC-MSモニタリングにより反応は完了していた。混合物をセライトを通してろ過し、減圧下で濃縮し、未精製で用いた。LC-MS (m/z): 305.7。
【0162】
実施例6
2-ブロモ-N-(2-((2-メトキシエチル)(メチル)アミノ)-5-(ピペリジン-1-イル)ベンゾ[d]オキサゾール-6-イル)チアゾール-4-カルボキサミドの調製
CH2Cl2(5mL)中のN2-(2-メトキシエチル)-N2-メチル-5-(ピペリジン-1-イル)ベンゾ[d]オキサゾール-2,6-ジアミン塩酸塩(170mg、0.5mmol)、2-ブロモチアゾール-4-カルボン酸(125mg、0.6mmol)、およびN,N-ジイソプロピルエチルアミン(435μL、2.5mmol)の溶液を室温で終夜撹拌した。溶液を減圧下で濃縮し、次いで酢酸エチルで希釈し、水、飽和NaHCO3溶液、および食塩水で洗浄した。Na2SO4で乾燥後、溶液を減圧下で濃縮し、Siゲルクロマトグラフィにより、ヘキサン中0~100%酢酸エチルで溶出して精製した。生成物は80~100%EtOAc/Hexで溶出し、2-ブロモ-N-(2-((2-メトキシエチル)(メチル)アミノ)-5-(ピペリジン-1-イル)ベンゾ[d]オキサゾール-6-イル)チアゾール-4-カルボキサミド(204mg、0.413mmol、収率83%)を淡カーキ色固体で得た。
【0163】
実施例7
N-(2-((2-メトキシエチル)(メチル)アミノ)-5-(ピペリジン-1-イル)ベンゾ[d]オキサゾール-6-イル)-2-(1H-ピラゾール-4-イル)チアゾール-4-カルボキサミド(I-51)の調製
マイクロ波バイアル中、ジオキサン(3.5mL)中の2-ブロモ-N-(2-((2-メトキシエチル)(メチル)アミノ)-5-(ピペリジン-1-イル)ベンゾ[d]オキサゾール-6-イル)チアゾール-4-カルボキサミド(75mg、0.15mmol)、ピラゾール-4-ボロン酸ピナコールエステル(87mg、0.45mmol)、および2M Na2CO3水溶液(225μL、0.45mmol)の混合物を調製した。窒素ガス雰囲気下で容器をパージした後、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(17mg、0.015mmol)および反応混合物をマイクロ波中、120℃で1時間、LC-MSによりモニターしながら加熱した。混合物をセライトを通してろ過し、溶媒を濃縮した。粗製反応混合物をSiゲルクロマトグラフィにより、CH2Cl2中0~12%2M NH3/MeOHで溶出して精製した。この固体をEtOAcでさらに粉砕して、N-(2-((2-メトキシエチル)(メチル)アミノ)-5-(ピペリジン-1-イル)ベンゾ[d]オキサゾール-6-イル)-2-(1H-ピラゾール-4-イル)チアゾール-4-カルボキサミド(38mg、0.079mmol、収率53%)を得た。
【0164】
実施例8
化合物I-1からI-55を上の実施例1~7と類似の様式で作製した。化合物I-1からI-54の特徴付けデータを以下に示す。
【0165】
I-1:5-(6-アミノピリジン-3-イル)-N-(2-モルホリノ-5-(ピペリジン-1-イル)ベンゾ[d]オキサゾール-6-イル)フラン-2-カルボキサミド
【0166】
I-2:N-(2-モルホリノ-5-(ピペリジン-1-イル)ベンゾ[d]オキサゾール-6-イル)-5-(1H-ピロロ[2、3-b]ピリジン-5-イル)フラン-2-カルボキサミド
【0167】
I-3:N-(2-モルホリノ-5-(ピペリジン-1-イル)ベンゾ[d]オキサゾール-6-イル)-5-(1H-ピラゾール-4-イル)フラン-2-カルボキサミド
【0168】
I-4:N-(2-モルホリノ-5-(ピペリジン-1-イル)ベンゾ[d]オキサゾール-6-イル)-5-(1H-ピラゾール-3-イル)フラン-2-カルボキサミド
【0169】
I-5:5-(6-アミノピリジン-3-イル)-N-(2-モルホリノ-5-(ピペリジン-1-イル)ベンゾ[d]チアゾール-6-イル)フラン-2-カルボキサミド
【0170】
I-6:N-(2-モルホリノ-5-(ピペリジン-1-イル)ベンゾ[d]チアゾール-6-イル)-5-(1H-ピロロ[2、3-b]ピリジン-5-イル)フラン-2-カルボキサミド
【0171】
I-7:N-(2-モルホリノ-5-(ピペリジン-1-イル)ベンゾ[d]チアゾール-6-イル)-5-(1H-ピラゾール-4-イル)フラン-2-カルボキサミド
【0172】
I-8:N-(2-モルホリノ-5-(ピペリジン-1-イル)ベンゾ[d]チアゾール-6-イル)-5-(1H-ピラゾール-3-イル)フラン-2-カルボキサミド
【0173】
I-9:5-(2-メチルピリジン-4-イル)-N-(2-モルホリノ-5-(ピペリジン-1-イル)ベンゾ[d]チアゾール-6-イル)フラン-2-カルボキサミド
【0174】
I-10:5-(2-メチルピリジン-4-イル)-N-(2-モルホリノ-5-(ピペリジン-1-イル)ベンゾ[d]オキサゾール-6-イル)フラン-2-カルボキサミド
【0175】
I-11:2-(6-アミノピリジン-3-イル)-N-(2-モルホリノ-5-(ピペリジン-1-イル)ベンゾ[d]オキサゾール-6-イル)チアゾール-4-カルボキサミド
【0176】
I-12:N-(2-モルホリノ-5-(ピペリジン-1-イル)ベンゾ[d]オキサゾール-6-イル)-2-(1H-ピラゾール-4-イル)チアゾール-4-カルボキサミド
【0177】
I-13:N-(2-モルホリノ-5-(ピペリジン-1-イル)ベンゾ[d]オキサゾール-6-イル)-2-(1H-ピラゾール-3-イル)チアゾール-4-カルボキサミド
【0178】
I-14:2-(2-メチルピリジン-4-イル)-N-(2-モルホリノ-5-(ピペリジン-1-イル)ベンゾ[d]オキサゾール-6-イル)チアゾール-4-カルボキサミド
【0179】
I-15:5-(6-アミノピリジン-3-イル)-N-(2-(4-メチルピペラジン-1-イル)-5-(ピペリジン-1-イル)ベンゾ[d]オキサゾール-6-イル)フラン-2-カルボキサミド
【0180】
I-16:N-(2-(4-メチルピペラジン-1-イル)-5-(ピペリジン-1-イル)ベンゾ[d]オキサゾール-6-イル)-5-(1H-ピラゾール-4-イル)フラン-2-カルボキサミド
【0181】
I-17:N-(2-(4-メチルピペラジン-1-イル)-5-(ピペリジン-1-イル)ベンゾ[d]オキサゾール-6-イル)-5-(1H-ピラゾール-3-イル)フラン-2-カルボキサミド
【0182】
I-18:N-(2-(4-メチルピペラジン-1-イル)-5-(ピペリジン-1-イル)ベンゾ[d]オキサゾール-6-イル)-5-(2-メチルピリジン-4-イル)フラン-2-カルボキサミド
【0183】
I-19:2-(6-アミノピリジン-3-イル)-N-(2-(4-メチルピペラジン-1-イル)-5-(ピペリジン-1-イル)ベンゾ[d]オキサゾール-6-イル)チアゾール-4-カルボキサミド
【0184】
I-20:N-(2-(4-メチルピペラジン-1-イル)-5-(ピペリジン-1-イル)ベンゾ[d]オキサゾール-6-イル)-2-(1H-ピラゾール-4-イル)チアゾール-4-カルボキサミド
【0185】
I-21:N-(2-(4-メチルピペラジン-1-イル)-5-(ピペリジン-1-イル)ベンゾ[d]オキサゾール-6-イル)-2-(1H-ピラゾール-3-イル)チアゾール-4-カルボキサミド
【0186】
I-22:N-(2-(4-メチルピペラジン-1-イル)-5-(ピペリジン-1-イル)ベンゾ[d]オキサゾール-6-イル)-2-(2-メチルピリジン-4-イル)チアゾール-4-カルボキサミド
【0187】
I-23:N-(5-(4-フルオロピペリジン-1-イル)-2-モルホリノベンゾ[d]オキサゾール-6-イル)-5-(1H-ピラゾール-4-イル)フラン-2-カルボキサミド
【0188】
I-24:N-(5-(4-フルオロピペリジン-1-イル)-2-モルホリノベンゾ[d]オキサゾール-6-イル)-5-(2-メチルピリジン-4-イル)フラン-2-カルボキサミド
【0189】
I-25:N-(5-(4-フルオロピペリジン-1-イル)-2-モルホリノベンゾ[d]オキサゾール-6-イル)-2-(1H-ピラゾール-4-イル)チアゾール-4-カルボキサミド
【0190】
I-26:N-(5-(4-フルオロピペリジン-1-イル)-2-モルホリノベンゾ[d]オキサゾール-6-イル)-2-(2-メチルピリジン-4-イル)チアゾール-4-カルボキサミド
【0191】
I-27:N-(5-(4,4-ジフルオロピペリジン-1-イル)-2-モルホリノベンゾ[d]オキサゾール-6-イル)-5-(1H-ピラゾール-4-イル)フラン-2-カルボキサミド
【0192】
I-28:N-(5-(4,4-ジフルオロピペリジン-1-イル)-2-モルホリノベンゾ[d]オキサゾール-6-イル)-5-(2-メチルピリジン-4-イル)フラン-2-カルボキサミド
【0193】
I-29:N-(5-(4,4-ジフルオロピペリジン-1-イル)-2-モルホリノベンゾ[d]オキサゾール-6-イル)-2-(1H-ピラゾール-4-イル)チアゾール-4-カルボキサミド
【0194】
I-30:N-(5-(4,4-ジフルオロピペリジン-1-イル)-2-モルホリノベンゾ[d]オキサゾール-6-イル)-2-(2-メチルピリジン-4-イル)チアゾール-4-カルボキサミド
【0195】
I-31:N-(2,5-ジ(ピペリジン-1-イル)ベンゾ[d]オキサゾール-6-イル)-5-(1H-ピラゾール-4-イル)フラン-2-カルボキサミド
【0196】
I-32:N-(2,5-ジ(ピペリジン-1-イル)ベンゾ[d]オキサゾール-6-イル)-5-(1H-ピラゾール-3-イル)フラン-2-カルボキサミド
【0197】
I-33:N-(2,5-ジ(ピペリジン-1-イル)ベンゾ[d]オキサゾール-6-イル)-5-(2-メチルピリジン-4-イル)フラン-2-カルボキサミド
【0198】
I-34:2-(6-アミノピリジン-3-イル)-N-(2,5-ジ(ピペリジン-1-イル)ベンゾ[d]オキサゾール-6-イル)チアゾール-4-カルボキサミド
【0199】
I-35:N-(2,5-ジ(ピペリジン-1-イル)ベンゾ[d]オキサゾール-6-イル)-2-(1H-ピラゾール-4-イル)チアゾール-4-カルボキサミド
【0200】
I-36:N-(2,5-ジ(ピペリジン-1-イル)ベンゾ[d]オキサゾール-6-イル)-2-(1H-ピラゾール-3-イル)チアゾール-4-カルボキサミド
【0201】
I-37:N-(2,5-ジ(ピペリジン-1-イル)ベンゾ[d]オキサゾール-6-イル)-2-(2-メチルピリジン-4-イル)チアゾール-4-カルボキサミド
【0202】
I-38:N-(5-(3-フルオロピペリジン-1-イル)-2-モルホリノベンゾ[d]オキサゾール-6-イル)-5-(1H-ピラゾール-4-イル)フラン-2-カルボキサミド
【0203】
I-39:N-(5-(3-フルオロピペリジン-1-イル)-2-モルホリノベンゾ[d]オキサゾール-6-イル)-5-(2-メチルピリジン-4-イル)フラン-2-カルボキサミド
【0204】
I-40:N-(5-(3-フルオロピペリジン-1-イル)-2-モルホリノベンゾ[d]オキサゾール-6-イル)-2-(1H-ピラゾール-4-イル)チアゾール-4-カルボキサミド
【0205】
I-41:N-(5-(3-フルオロピペリジン-1-イル)-2-モルホリノベンゾ[d]オキサゾール-6-イル)-2-(2-メチルピリジン-4-イル)チアゾール-4-カルボキサミド
【0206】
I-42:N-(5-(3,3-ジフルオロピペリジン-1-イル)-2-モルホリノベンゾ[d]オキサゾール-6-イル)-5-(1H-ピラゾール-4-イル)フラン-2-カルボキサミド
【0207】
I-43:N-(5-(3,3-ジフルオロピペリジン-1-イル)-2-モルホリノベンゾ[d]オキサゾール-6-イル)-5-(2-メチルピリジン-4-イル)フラン-2-カルボキサミド
【0208】
I-44:N-(5-(3,3-ジフルオロピペリジン-1-イル)-2-モルホリノベンゾ[d]オキサゾール-6-イル)-2-(1H-ピラゾール-4-イル)チアゾール-4-カルボキサミド
【0209】
I-45:N-(5-(3,3-ジフルオロピペリジン-1-イル)-2-モルホリノベンゾ[d]オキサゾール-6-イル)-2-(2-メチルピリジン-4-イル)チアゾール-4-カルボキサミド
【0210】
I-46:N-(2-モルホリノ-5-(ピロリジン-1-イル)ベンゾ[d]オキサゾール-6-イル)-5-(1H-ピラゾール-4-イル)フラン-2-カルボキサミド
【0211】
I-47:N-(2-モルホリノ-5-(ピロリジン-1-イル)ベンゾ[d]オキサゾール-6-イル)-2-(1H-ピラゾール-4-イル)チアゾール-4-カルボキサミド
【0212】
I-48:N-(2,5-ジモルホリノベンゾ[d]オキサゾール-6-イル)-5-(1H-ピラゾール-4-イル)フラン-2-カルボキサミド
【0213】
I-49:N-(2,5-ジモルホリノベンゾ[d]オキサゾール-6-イル)-2-(1H-ピラゾール-4-イル)チアゾール-4-カルボキサミド
【0214】
I-50:N-(2-((2-メトキシエチル)(メチル)アミノ)-5-(ピペリジン-1-イル)ベンゾ[d]オキサゾール-6-イル)-5-(1H-ピラゾール-4-イル)フラン-2-カルボキサミド
【0215】
I-51:N-(2-((2-メトキシエチル)(メチル)アミノ)-5-(ピペリジン-1-イル)ベンゾ[d]オキサゾール-6-イル)-2-(1H-ピラゾール-4-イル)チアゾール-4-カルボキサミド
【0216】
I-52:N-(2-((2-モルホリノエチル)アミノ)-5-(ピペリジン-1-イル)ベンゾ[d]オキサゾール-6-イル)-2-(1H-ピラゾール-4-イル)チアゾール-4-カルボキサミド
【0217】
I-53:N-(2-(メチル(2-モルホリノエチル)アミノ)-5-(ピペリジン-1-イル)ベンゾ[d]オキサゾール-6-イル)-5-(1H-ピラゾール-4-イル)フラン-2-カルボキサミド
【0218】
I-54:N-(2-(メチル(2-モルホリノエチル)アミノ)-5-(ピペリジン-1-イル)ベンゾ[d]オキサゾール-6-イル)-2-(1H-ピラゾール-4-イル)チアゾール-4-カルボキサミド
【0219】
実施例9
THP-1細胞(IFNγでプライミングした)におけるLPS誘導性IL23p19検定
材料および装置
THP-1細胞(ATCC、Cat#TIB-202)、ジメチルスルホキシド(DMSO)(Sigma-Aldrich、Cat#D2650)、RPMI 1640(Cellgro、Cat#10-040-CM)、ウシ胎仔血清(Sigma、Cat#F4135)、ウシ血清アルブミン(BSA)(Sigma-Aldrich、Cat#A7906)、LPS(血清型K-235、Sigma、製品番号L 2143)、IFNγ(Peprotech、Cat#300-02)
捕捉抗体:ヒトIL-23p19 ELISA(e-Bioscience、Cat. #14-7238-85)、検出抗体:一次マウスビオチン化抗ヒトIL-12(p40/p70)(e-Bioscience、Cat. #13-7129-85)、二次HRP結合ストレプトアビジン(R&D Systems、Cat#DY998)、1×PBST洗浄緩衝液(PBS-Tween錠)(VWR International、Cat#80058-558)、ELISAブロッキング緩衝液(1%BSA含有PBS)、ELISA希釈緩衝液(1%BSA含有PBS)、384穴平底、MaxiSorp黒色イムノプレート(Thermo Scientific、Cat#12-565-346)、384穴平底、白色組織培養プレート(Thermo Scientific、Cat#12-565-343)、Super Signal ELISA Pico Chemiluminescent Substrate(Thermo Scientific、Cat#37070)、Cell Titer Glo試薬(Promega、Cat#G7573)、陽性対照、IKK2VI阻害剤(Calbiochem、Cat#401483)、AquaMax 4000プレートウォッシャー(Molecular Devices)、ルミノメーター、Wallac Victor2 1420 Multilabel Counter。
【0220】
方法
THP-1細胞刺激:
第1日に、384穴プレート中に50K/ウェルのTHP-1細胞を播種し、10%FBS含有RPMI培地中、IFNγ(50ng/mL)で約18時間プライミングした。第2日に、化合物をDMSO中で5mMから3倍希釈で連続希釈し、次いで10%FBS含有RPMI培地中で1:125希釈した。384穴組織培養プレート中、50μL/ウェルの2×化合物を50μL/ウェルのTHP-1細胞(IFNyでプライミングした)に二つ組で加えた。細胞を化合物と共に37℃、5%CO2で1時間プレインキュベートし、その後、10μL/ウェルの11×LPSを加えて、最終濃度1ug/mL LPSとした。第3日に、37℃、5%CO2で18時間の刺激後、検定プレートを遠心分離し、70μL/ウェルの上清を回収した。70μL/ウェルの上清中のIL-23p19タンパク質をサンドイッチELISAにより測定し、25μl/ウェルのCell Titer Glo試薬を残りの細胞に加えて、化合物毒性を測定した。
【0221】
ヒトIL-23p19サンドイッチELISA:
Maxisorp immuno ELISAプレートを、25μL/ウェルの抗IL-23p19捕捉抗体/PBS(2.5ug/mL)により室温で終夜プレコートした。1×PBSTで洗浄した後、プレートを100μL/ウェルのPBS中1%BSAを用い、室温で2時間ブロックした。プレートを1×PBSTで3回洗浄し、70μL/ウェルの上清を加えた。プレートを室温で2時間、振盪しながらインキュベートし、1×PBSTで3回洗浄した。25μL/ウェルのビオチン標識抗IL-12(p40/p70)検出抗体/1%BSA含有PBS(100ng/mL)を加え、プレートを室温で2時間、振盪しながらインキュベートした。1×PBSTで3回洗浄した後、25μL/ウェルのストレプトアビジン-HRP(1:200)/1%BSA含有PBSを加え、プレートを室温で20分間、振盪しながらインキュベートした。プレートを1×PBSTで3回洗浄し、25μL/ウェルのSuper Signal ELISA Pico Chemiluminescent Substrateを加えた。プレートをルミノメーターで読み取り、化学発光値を曲線当てはめ、EC50計算、およびデータベース保存のためにAthena(Rigel)に入力した。結果を表1に示す。
【0222】
実施例10
DC細胞を用いての化合物スクリーニング
材料
ヒトPBMC細胞(全細胞、Cat No. PB002)
10%FBS含有RPMI増殖培地
IFNγ(Peprotech、Cat No. 300-02)
GMCSF(Peprotech、Cat No. 300-03)およびIL4(Peprotech Cat No. 200-04)
白色透明底96穴プレート(Fisher、Cat No. 07-200-587、Corning #3903)
LPS(PBS中で2.5mg/ml保存液を作製)(Sigma Aldrich、Cat No. L2018-5MG)
Cell Titer Glo試薬(Promega、Cat No. G7573)
陽性対照、IKK2VI阻害剤(Calbiochem、Cat No. 401483)。
【0223】
プロトコル
I. PBMC細胞のDC細胞への分化:
販売業者から得たヒトPBMC細胞(4億個)を、15mlのRPMI培地(10%FBS)を含むT-175フラスコに移し、37℃で2時間インキュベートした。2時間後、浮遊細胞を含む培地を注意深く吸引し、GMCSF(100ng/ml)およびIL4(20ng/ml)を含む新鮮RPMI培地(10%FBS)12mlを加え、フラスコを37℃のインキュベーター中で7日間維持した。
【0224】
3日後、新鮮GMCSF(100ng/ml)およびIL4(20ng/ml)をフラスコに加え、インキュベーションを続けた。7日後、完全に分化した細胞を遠心沈降(1200rpm/5分)により回収し、培地を吸引した。細胞を50ng/mlのIFNγ(1000U/ml)を含む新鮮RPMI培地(10%FBS)中に懸濁し、次いで白色透明底96穴プレート上に播種(100μl中50K/ウェル)し、37℃のインキュベーター中に24時間放置した。
【0225】
II. 化合物の添加:
24時間のインキュベーション後、ウェルごとに2×濃縮試験化合物を含む100μlのRPMI培地を、前述の細胞培養培地に加え(最終濃度が1×になる)、プレートを37℃で1時間プレインキュベートした後、LPSで刺激した。
【0226】
1時間の化合物プレインキュベーション後、10μl/ウェルのRPMI培地中20×濃縮LPS溶液を加えて、最終濃度1μg/mlとした。混合物を振盪し、プレートを37℃でさらに18時間インキュベートした。
【0227】
155μlの上清を各ウェルから注意深く(尖端がウェルの底に触れないように)回収し、細胞培養プレートの残りの50μl/ウェルに50μlのCell Titer Glo試薬を加えた。混合物を振盪機上で1~2分間インキュベートし、プレートの発光強度を読み取って、化合物の細胞毒性を判定した。上で回収した細胞培養上清を用いて、IL23 ELISA(65μl上清)およびIL10 ELISA(90μl上清)を以下に記載するとおりに実施した。
【0228】
実施例11
ヒトIL-23(p19/p40) ELISAプロトコル(e-Biosciences)
材料:
96穴高結合不透明白色プレート(Pierce、Cat No. 15042);
1×PBS;1×TBST洗浄緩衝液;
ブロッキング液:PBS中0.5%カゼイン(BDH、Cat No. 440203H);
希釈液:PBS中1%BSA(10%BSA、Fisher、Cat No. 37525);
捕捉抗体:ラット抗ヒトIL-23(p19)(e-Biosciences、Cat. No. 14-7238-85);
検出抗体:一次マウスビオチン化抗ヒトIL-12(p40/p70)(e-biosciences、Cat No. 13-7129-85);
二次HRP結合ストレプトアビジン(R&D Systems、Cat No. DY998);
rヒトIL-23(e-biosciences、Cat No. 34-8239)(推奨出発濃度=5ng/ml/RPMI細胞培養培地);
細胞培養上清(65μl、IFNγ(50ng/ml-1000U/ml)でプライミングし、0.01%SACで刺激したTHP-1細胞から);
SuperSignal ELISA Pico Chemiluminescent substrate(Pierce、Cat No. 37069)。
【0229】
プレートのコーティング:
10.5mlのPBSに50μlの抗IL23(p19)を加え、捕捉抗体(2.5μg/ml)を加えた。混合物をよく混合し、100μlのコーティング溶液をPierce製96穴白色プレートの各ウェルに加えた。ウェルにカバーをし、4℃で終夜インキュベートした。
【0230】
プレートのブロッキング:
抗IL23(p19)-抗体コートしたプレートをTBSTを用いて2回洗浄し(プレート洗浄機を用いて)、200μlの0.5%カゼインを用い、振盪しながら室温で1.5~2時間ブロックした。
【0231】
上清の添加と検出:
プレートをTBSTを用いて2回洗浄し、上清を上のプレブロック/IL23(p19)-抗体コートした96穴プレートに移し(65μl/ウェル)、振盪しながら室温で1.5時間インキュベートした。
【0232】
プレートをTBSTを用いて4回洗浄し(プレート洗浄機)、11mlの1%BSA/PBS溶液(1-5000希釈)中2μlのビオチン標識抗IL-12(p40/p70)抗体から調製した100μl/ウェルの検出抗体溶液を加えた。プレートを室温で振盪しながら1時間インキュベートした。
【0233】
再度、プレートをTBSTで4回洗浄し、100μlのHRP標識ストレプトアビジン(R&D Systems)溶液(10μl/10ml 1%BSA溶液)を加え、プレートを振盪しながら室温でさらに45分間インキュベートした。
【0234】
45分後、プレートをTBSTで4回洗浄し、100ul/ウェルのPierce製Super Signal ELISA Pico Chemiluminescent Substrate(3.5ml A+3.5ml B+3.5ml MQ水)を加えた。プレートを1~2分間振盪し、次いでプレートリーダーで読み取った。結果を表1に示す。
【0235】
(表1)実施例9および11に記載の検定からのEC50結果
【0236】
開示する発明の原理を適用しうる多くの可能な態様を考慮して、例示する態様は本発明の好ましい例にすぎないことが理解されるべきで、本発明の範囲を限定すると考えられるべきではない。むしろ、本発明の範囲は添付の特許請求の範囲によって規定される。したがって、本発明者らは我々の発明として、これらの特許請求の範囲の精神および範囲内に入るすべてを特許請求する。