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特許6994464液化ガス貯蔵タンクの運転方法およびLNGとボイルオフガスを受容するための液化ガス貯蔵タンク
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-15
(45)【発行日】2022-01-14
(54)【発明の名称】液化ガス貯蔵タンクの運転方法およびLNGとボイルオフガスを受容するための液化ガス貯蔵タンク
(51)【国際特許分類】
   F17C 13/00 20060101AFI20220106BHJP
   B65D 88/06 20060101ALI20220106BHJP
   B63B 25/16 20060101ALI20220106BHJP
【FI】
F17C13/00 302A
B65D88/06 Z
B63B25/16 D
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2018545466
(86)(22)【出願日】2017-02-14
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-05-09
(86)【国際出願番号】 EP2017000205
(87)【国際公開番号】W WO2017148571
(87)【国際公開日】2017-09-08
【審査請求日】2018-11-30
(31)【優先権主張番号】102016002316.3
(32)【優先日】2016-02-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】508161827
【氏名又は名称】テーゲーエー、マリン、ガス、エンジニヤリング、ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100124648
【弁理士】
【氏名又は名称】赤岡 和夫
(74)【代理人】
【識別番号】100060368
【弁理士】
【氏名又は名称】赤岡 迪夫
(74)【代理人】
【識別番号】100154450
【弁理士】
【氏名又は名称】吉岡 亜紀子
(72)【発明者】
【氏名】エスラー,ユルゲン
(72)【発明者】
【氏名】ティーデマン,トマス
(72)【発明者】
【氏名】ハムブッカー,アンドレアス
(72)【発明者】
【氏名】ハーマン-キューン,ハンス-クリスティアン
【審査官】金丸 治之
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-159857(JP,A)
【文献】特開2010-261595(JP,A)
【文献】特開平08-159396(JP,A)
【文献】特開2000-337597(JP,A)
【文献】国際公開第2015/128903(WO,A1)
【文献】特表2015-500759(JP,A)
【文献】特開2008-196682(JP,A)
【文献】特表2013-500192(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F17C 13/00
B65D 88/06
B63B 25/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
LNG(10)とボイルオフガス(BOG)(12)を受容するためのタンク容積(2)を有する液化ガス貯蔵タンク(1)を操作するための方法であって、気体状態のBOG流と液体状態のLNG流が前記タンク容積に供給され、
前記LNG流は冷却されることなく、前記BOG流が前記LNG流内に導入される結合点(22,222)に供給され、そして、
その後、得られたBOG-LNG混合物が直接、冷却されずに、前記タンク容積内に導入される方法であって、
前記BOG流のための前記BOGの少なくとも一部が、前記液化ガス貯蔵タンクに、前記タンク容積の外側、特に、浮遊貯蔵ユニット(FSU)またはLNG輸送船または再ガス化バージの少なくとも1つの接続された貯留槽(50)から供給され、
前記BOG流のための前記BOGの少なくとも一部が、前記タンク容積から引き出されることを特徴とする、方法。
【請求項2】
記LNG流のための前記LNGの少なくとも一部が、前記液化ガス貯蔵タンクに、前記タンク容積の外側、特に、浮遊貯蔵ユニット(FSU)またはLNG輸送船または再ガス化バージの少なくとも1つの接続された貯留槽(50)から供給される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
記LNG流の前記LNGの少なくとも一部が前記タンク容積から引き出される、請求項1または請求項2に記載の方法。
【請求項4】
記タンク容積からと少なくとも1つの接続された貯留槽(50)からのLNGが前記LNG流に供給される、請求項1または請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記BOG-LNG混合物が、前記タンク容積のLNG充填レベル(8)より上の気体状態のBOG(12)に導入され、特に、噴霧されて導入される、請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記BOG-LNG混合物が、前記タンク容積のLNG充填レベルよりも低い液体LNG(10)に導入される、請求項1~4のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
LNG(10)とボイルオフガス(BOG)(10)を受容するためのタンク容積を有し、
気体状態のBOGを導くためのBOG管(14,114,214)と、
液体状態のLNGを導くためのLNG管(16,116,216)とを備え、
前記BOG管と前記LNG管は、BOG-LNG混合物を導くために形成されて前記タンク容積内に開口する共通のBOG-LNG管(24,224,324)内に開口されており、前記LNG管(16,116,216)と前記BOG-LNG管(24,224,324)のいずれも冷却装置を含まず、
前記BOG管は、気体状態のBOGをLNG充填レベル(8)より上で前記タンク容積から引き出すために構成され、
前記BOG管は、特に前記タンク容積から離れた端部において、少なくとも1つの接続可能な貯留槽(50)、特に、浮遊貯蔵ユニット(FSU)、LNG輸送船、または、再ガス化バージへの流体インタフェイス(15,17)を含み、接続された貯留槽から前記タンク容積にBOGを供給するように構成される、液化ガス貯蔵タンク(1)。
【請求項8】
記LNG管は、特に前記タンク容積から離れた端部において、少なくとも1つの接続可能な貯留槽(50)、特に、浮遊貯蔵ユニット(FSU)、LNG輸送船、または、再ガス化バージへの流体インタフェイス(15,17)を含み、LNGを接続された貯留槽から前記タンク容積に供給するように構成される、請求項7に記載の液化ガス貯蔵タンク。
【請求項9】
記LNG管は、液体のLNGをLNG充填レベルより下で前記タンク容積から引き出すように構成されている、請求項7または請求項8に記載の液化ガス貯蔵タンク。
【請求項10】
前記タンク容積への前記共通のBOG-LNG管のオリフィス(26,326)は、前記タンク容積のLNG充填レベル、特に予め定められたLNG充填レベルの上方に配置されている、請求項7から請求項9までのいずれか1項に記載の液化ガス貯蔵タンク。
【請求項11】
前記オリフィスは、前記BOG-LNG混合物を噴霧するための噴霧ノズル(30)を含む、請求項10に記載の液化ガス貯蔵タンク。
【請求項12】
前記タンク容積の中への前記共通のBOG-LNG管のオリフィスは、前記タンク容積のLNG充填レベルの下、特に予め定められたLNG充填レベルの下方に配置されている、請求項7から請求項9までのいずれか1項に記載の液化ガス貯蔵タンク。
【請求項13】
前記LNG管は、LNGを前記タンク容積から消費者ネットワークへ与えるように構成されている、消費者ネットワーク(36)へのインタフェイスを含む、請求項7から請求項12までのいずれか1項に記載の液化ガス貯蔵タンク。
【請求項14】
前記BOG管は、BOGを前記タンク容積から消費者ネットワークに与えるように構成されている消費者ネットワーク(52)へのインタフェイスを含む、請求項7から請求項13までのいずれか1項に記載の液化ガス貯蔵タンク。
【請求項15】
請求項7から請求項14までのいずれか1項に記載の液化ガス貯蔵タンク(1)を少なくとも1つ備える、浮遊貯蔵ユニット(FSU)またはLNG輸送船または再ガス化バージまたはLNG車またはLNG発電所。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液化ガス貯蔵タンクの運転方法、および、液化天然ガス(LNG)とボイルオフガス(BOG)を受容するためのタンク容積を有する液化ガス貯蔵タンク、および、そのような液化ガス貯蔵タンクを有する浮遊貯蔵ユニット(FSU)、LNG輸送船、再ガス化バージ、LNG車、LNG発電所等に関する。
【背景技術】
【0002】
LNGを貯蔵するための液化ガス貯蔵タンクは、とりわけ、LNG輸送船の輸送タンクとして、または、例えば海外輸送の後、消費者ネットワークに供給する前に(例えばFSUまたは再ガス化バージのような)ホールドアップタンクとして、または、(例えば、LNG海上車または陸上車または静止ガス発電所内の)貯蔵/燃料タンクとして、用いられる。
【0003】
液化ガス貯蔵タンクの使用の種類とは無関係に、原則として、その中に存在するLNGは、タンクの周囲の空気との温度差が大きいため、大量の断熱手段を使用するにもかかわらず、ゆっくりではあるが安定した加熱にさらされる。
【0004】
このLNGの加熱が進むほど、貯蔵されているLNGの液体から気相へと流れる量が大きくなり、その結果、いわゆるBOGとして液化ガス貯蔵タンクのタンク容積内の内圧が上昇する。加熱と同様、この圧力上昇もまたゆっくりと起こるが、着実に起こる。対策が間に合わない限り、タンクシェルはタンク構造に応じて遅かれ早かれ破損する恐れがある。
【0005】
したがって、公知の液化ガス貯蔵タンクでは、通常、BOGを排出し、続いてそれを自由に燃焼させるか、または消費者に供給する可能性がある。
【0006】
また、BOGを圧縮して再び液化し、その後LNGとして液化ガス貯蔵タンクのタンク容積に再循環させる解決策も知られている。しかし、この点で知られている解決策は、LNGおよび/またはBOGの後者を液相に再び移送するために、LNGおよび/またはBOGのための複雑かつ設置スペースを要する処理回路を必要とする。
【0007】
米国特許明細書第3,733,838号から、液体のLNGがタンクから回収され、熱交換器およびヒーターによって加熱され、気相に移送される、BOGを再液化するためのシステムが知られている。この気体のLNGは、その後、同様にタンクから排出され、上記熱交換器で冷却され、膨張弁を通過した後に液相のタンクに再び導入されるBOGと混合される。この過程には、ライン経路の柔軟性を制限する熱交換器と、熱エネルギーを最小化する目的に反するアクティブヒーターと、それによりタンク内の圧力上昇が要求される。
【0008】
欧州特許出願第EP1,956,287A2号による別の解決策は、アクティブヒータなしで行うことができるが、要求される凝縮性能を提供するために2つの別個の流体回路を必要とする。第1の回路では、タンクの上部からのBOGがタンクの下部に押し込まれ、第2の回路では、LNGはタンクの下部からタンクの上部に噴霧される。従って、必要な凝縮は、最終的に互いに分離された2つの措置によって達成され、両者は、タンクとタンク内に大きな支出をもって搭載されなければならない。
【発明の概要】
【0009】
そこで、本発明の目的は、簡単な方法でBOGの液化のための十分な容量を提供することである。
【0010】
この目的は、独立請求項1の特徴を有する方法と、独立請求項7の特徴を有する液化ガス貯蔵タンクを用いて解決される。FSU、LNG輸送船、再ガス化バージ、LNG輸送船、および、LNG発電所が請求項15に記載されている。
【0011】
本発明の1つの局面に従えば、LNGおよびボイルオフガス(BOG)を受容するためのタンク容積を有する液化ガス貯蔵タンクを操作するための方法が提案され、気体状態のBOGの流れと液体のLNGの流れがタンク容積に供給される。この方法では、BOGの流れをLNGの流れに導入し、続いて得られたBOG-LNG混合物をタンク容積に導入する。
【0012】
本発明の別の局面に従えば、気体状態のBOGを導くためのBOG管と液体のLNGを導くためのLNG管とを含む、LNGおよびボイルオフガス(BOG)を受け入れるためのタンク容積を有する液化ガス貯蔵タンクが提案される。BOG管およびLNG管は、BOG-LNG混合物を導くために形成されてタンク容積内に開口する共通のBOG-LNG管内に開口する。
【0013】
本発明のさらなる局面に従って、それぞれ少なくとも1つの本発明に従った液化ガス貯蔵タンクを有する、液化ガス供給チェーン、FSU、LNG輸送船、再ガス化バージ、LNG洋上車または陸上車、または、LNG発電所のいくつかの点に適用することによって、本発明を可能な限り広く適用すること、および/または、本発明の利点をさらに強化することが提案される。
【0014】
本発明に従った設計によれば、構造上、非常に簡単に実現されるBOG液化プロセスが、設置空間を削減し、ラインおよび熱管理構成の最小限の需要で達成され、また、液化の性能を改善することができる。また、タンクシェル内の必要な開口数がより少ない液化ガス貯蔵タンクを提供することができる。
【0015】
本発明は、液体のLNGと気体状態のBOGを液化回路の上流側で可能な限り一緒にし、同時に、流れており、静的でないLNGにBOGが流入することを確実にするという思想に基づいている。一方、余分なパイプ管に沿った熱の入力を省略することができ、一方、液体のLNG中の気体状態のBOGの取り込みと凝縮を単純化することができる。
【0016】
BOG流をLNG流に押し込むことは、BOG流の圧力がLNG流の飽和圧力を上回るほどより良好に働く。BOG流の圧力が上流端の圧縮機によって増加されるか、BOGが比較的高い圧力の既に存在する別のタンク(同義語:貯留槽)から直接供給されるかは無関係である。
【0017】
導入後の最初の気体状態のBOGのLNG流への凝縮は、液化ガス貯蔵タンクのタンク容積内の圧力条件に基づいて、LNG流の過冷却により顕著に働く。LNG流がこの意味で過冷却される限り、導入されたBOG流は凝縮され得る(同義語:凝縮、溶解、圧入、注入)。
【0018】
本発明に従った液化ガス貯蔵タンクの操作は、そのタンク容積のLNGおよび/またはBOGの充填と排出の両方と、時間の経過と共に上昇するBOG含量の増加によって引き起こされるタンク圧力の上昇を抑える必要性がある場合の貯蔵操作とを含むことができ、「操作」という用語は、ここでは、LNGおよび/またはBOGの充填量の変化(したがって、大部分はBOG圧力の変化でもある)と、充填量が実質的に同じに保たれる圧力調整の両方を含む。
【0019】
この場合、ボイルオフガス(BOG)は、気体状態のLNG、特に、タンク内の温度または圧力条件の変化が液相から気相に移行することによるLNGであると理解される。本発明に従えば、BOGは、本発明に従った、または、開発の液化ガス貯蔵タンクのタンク容積内に「形成」され得るが、しかし、本発明に従ってタンク容積が充填された従来のタンクを源とすることもできる。
【0020】
本発明に従った管は、特に、パイプ管またはいくつかのパイプ組であると理解され、パイプ管は、好ましくは、液化したガスを輸送するための温度および/または圧力の慣習的な条件下でLNGおよび/またはBOGを輸送するために装備される。このために、対応する補強材および/または絶縁材料を備えることができる。
【0021】
本発明に従った方法を使用して液化ガス貯蔵タンクに充填することができ、それにより設置スペースおよびおそらくはライン構成要素をさらに節約できるようにするために、BOG流のためのBOGの少なくとも一部、および/または、より好ましい開発によるLNG流のためのLNGの少なくとも一部は、特に、浮遊貯蔵ユニット(FSU)またはLNG輸送船または再ガス化バージの少なくとも1つの接続貯留槽から、タンク容積の外側から、特に、浮遊貯蔵ユニット(FSU)またはLNG輸送船または再ガス化バージの少なくとも1つの接続貯留槽から液化ガス貯蔵タンクに供給される。この目的のために、BOGおよび/またはLNG用の装荷用管が備えられることが好ましい。
【0022】
液化ガス貯蔵タンクの操作における種々の機能、例えば、液化ガス貯蔵タンク内に既に存在するBOGの充填および圧力調整などは、同時に組み合わせることもできるし、同時に行うこともできる。
【0023】
好ましい展開によれば、BOG流のBOGの少なくとも一部、および/または、LNG流のLNGの少なくとも一部は、特に、充填作業または排出作業とは無関係にタンク容積内の圧力調整を行うことができるようにするために、液化ガス貯蔵タンク自体のタンク容積から引き出される。この目的のために、本発明に従ってBOG流およびLNG流が一緒にされるBOGおよび/またはLNG用の再循環管が備えられる。
【0024】
これにより、タンク容積内の圧力および/または温度条件を、より長い時間、所望の範囲に維持することができる。
【0025】
好ましくは、LNGは、ポンプによってタンク容積の下部領域からLNG管にポンプ輸送され、および/または、BOGは、BOG管およびその中に配置された圧縮機によってタンク容積の上部領域から吸い出される。LNGおよびBOGの得られた流れは、好ましくは、本発明に従って互いに一緒にされる。
【0026】
液化ガス貯蔵タンク内の圧力調整を可能な限り柔軟にかつ細かく調整可能に行うために、好ましい展開に従って、タンク容積からのBOGおよび少なくとも1つの接続された貯留槽からのBOG、および/または、タンク容積からのLNGおよび少なくとも1つの接続貯留槽からのLNGがLNG流に供給される。
【0027】
好ましくは、充填管(同義語:充填アセンブリ)および/または再循環管(同義語:再循環回路)が互いの中に導かれて形成され、共同してタンク容積内に開口することができる。例えば、一方ではLNG充填管およびLNG再循環管、他方ではBOG充填管およびBOG再循環管が最初に、流れの方向に、一緒にされ得、すなわち、組み合わされ得、次に、組み合わされたLNG管および組み合わされたBOG管が、本発明に従って結合され得る。
【0028】
BOG流中に存在しないBOGも凝縮させることができるように、好ましい展開に従ったBOG-LNG混合物は、タンク容積のLNG充填レベルより上において、気体状態のBOG中に導入され、特に、噴霧される。好ましくは、共通のBOG-LNG管中で得られるBOG-LNG混合物全体は、導入時に、既に液相中に存在し、および/または、特に好ましくは、相対的に温かいBOGの導入によって既に影響されているにも関わらす、タンク容積の圧力条件に応じてまだ過冷却である。
【0029】
これに代えて、または、加えて、好ましい展開に従ったBOG-LNG混合物は、タンク容積のLNG充填レベルより下において液体LNGに導入される。これは、特に温度分布に関してタンク容積の内容の最適な混合を提供することができる。
【0030】
液化ガス貯蔵タンクが、本発明による共通のBOG-LNG管によっても充填され得、ひいては設置スペースおよびおそらくはライン構成要素をさらに節約できることを確実にするために、好ましい展開に従ったBOG管および/またはLNG管は、特に、タンク容積から離れた端部において、少なくとも1つの接続可能な貯留槽、特に浮遊貯蔵ユニット(FSU)またはLNG輸送船または再ガス化バージへの流体インタフェイスを含み、および/または、接続された貯留槽からタンク容積にBOGまたはLNGを供給するように構成されている。
【0031】
このような流体インタフェイスは、どのような種類の管を終端するかに応じて、LNGインタフェイスおよび/またはBOGインタフェイスとして構成することができる。これは、LNGまたはBOGの取り扱いのために標準化されたインタフェイスでもよいが、特定の種類の貯留槽を液化ガス貯蔵タンクに接続するのに適したインタフェイスでもあり得る。
【0032】
充填作業とは無関係にタンク容積内の圧力調整を提供するために、好ましい展開によるBOG管は、LNG充填レベルの上方においてタンク容積から気体状態のBOGを引き出すように構成され、および/または、LNG管は、LNG充填レベルの下方においてタンク容積からのLNGを引き出すように構成されている。
【0033】
本発明に従ったLNG充填レベルは、例えば、例えば、液体LNGを有するタンク容積の最大および最小充填レベルを示す予め決定される充填レベルおよび/または高さ領域であり得る。好ましくは、第2の場合には、BOGを引き出すためのBOG管が高さ領域の上限値の上方に配置され(通常の場合、BOGが常にそこに存在するため)、LNGの引き出しのためのLNG管は、高さ領域の下限値の下方に配置される(通常はLNGが常にそこに存在するため)。
【0034】
BOG流中に存在しないBOGも凝縮させることができるように、好ましい展開に従ったタンク容積内への共通BOG-LNG管のオリフィスは、タンク容積のLNG充填レベルの上方、特に予め定められたLNG充填レベルの上方に配置される。
【0035】
好ましくは、オリフィスは、特にLNG充填レベルより上に存在するBOGに関して最適化された凝縮効果を達成するために、BOG-LNG混合物を噴霧するための噴霧ノズルを含む。
【0036】
これに代えて、または、これに加えて、タンク容積内の液体LNGの最適な混合を達成するために、タンク容積内への共通のBOG-LNG管のオリフィスは、タンク容積の、特に所定の、LNG充填レベルの下方に配置され、 特に一様な温度分布に関する。
【0037】
顧客または消費者ネットワークへの組み込みに必要な配管も削減するために、好ましい展開に従ったLNG管は、タンク容積から顧客/消費者ネットワークにLNGを供給するために設けられた顧客/消費者ネットワークへのインタフェイスを含む。同じ理由で、好ましい展開に従ったBOG管は、タンク容積から顧客/消費者ネットワークにBOGを供給するように装備された顧客/消費者ネットワークへのインタフェイスを含む。
【0038】
本発明の様々な態様の有利な実施形態は、従属請求項の主題である。本発明のさらなる特徴、利点および可能な用途は、図と関連した以下の説明から理解され得、異なる図面における同様の構成要素は、同じ参照番号で示され得る。図面において、以下が部分的に強く略図的に示されている。
【0039】
図1は、外部から供給されるBOG-LNG管を備えた本発明の一実施形態による液化ガス貯蔵タンクの断面図を示す。
【0040】
図2は、タンク容積から供給されるBOG-LNG管を有する本発明の別の実施形態による液化ガス貯蔵タンクの断面図を示す。
【0041】
図3は、本発明の別の実施形態による液化ガス貯蔵タンクの断面図であって、BOG管とLNG管がタンクシェル内に完全に配置されている。
【0042】
図4は、本発明の別の実施形態による液化ガス貯蔵タンクの断面図であり、BOG-LNG混合物は、LNG充填レベルの下方に注入されている。
【0043】
図5は、本発明の別の実施形態による液化ガス貯蔵タンクの断面図であって、連結可能な輸送タンクおよび顧客ネットワークが接続されている。
【0044】
図6は、BOG-LNG混合物がLNG充填レベルの下方に注入されるという点で特に図5によるものと異なる液化ガス貯蔵タンクの断面図である。
【0045】
図7は、結合可能な貯蔵タンクと顧客ネットワークとの間に、しっかりと設置された貯蔵タンクも接続されている液化ガス貯蔵タンクの断面図である。
【0046】
図1は、本発明を充填アセンブリ3に適用したタンク容積2を有する液化ガス貯蔵タンク1を示す。
【0047】
液化ガス貯蔵タンク1は、断熱層6によって液化ガス貯蔵タンク1の周囲に対して断熱されたタンクシェル4によって区切られている。液化ガス貯蔵タンク1は液体LNG10によってLNG充填レベル8まで満たされ、LNG充填レベル8の上方では、液化ガス貯蔵タンク1は気体状態のBOG12で満たされている。
【0048】
液化ガス貯蔵タンク1は、気体状態のBOGを導くためのBOG管14を含み、これを介してBOGが外部の源からタンク容積2に供給され得る。液化ガス貯蔵タンク1はまた、液体LNGを導くためのLNG管16を含み、これを介してLNGが外部の源からタンク容積2に供給され得る。この例示的な実施形態では、管圧縮機18がBOG管14に取り付けられ、管ポンプ20がLNG管16に取り付けられて十分な搬送または圧縮が行われる。
【0049】
管圧縮機18および管ポンプ20の下流には、BOG管14のパイプ管要素およびLNG管16のパイプ管要素が共通のBOG-LNG管24内に開口する結合点22が設けられている。例示的な実施形態では、共通のBOG-LNG管24はパイプ管要素として構成され、結合点22からタンク容積2内のオリフィス点26まで延在し、ここでパイプ管要素はブレークスルーポイント28でタンクシェル4を横切る。
【0050】
オリフィス点26において、BOG-LNG管24は噴霧ノズル30で終わり、オリフィス点26はLNG充填レベル8の上方に配置されている。
【0051】
LNG充填レベル8の下方には、液体LNG10を排出管34を介してLNG消費者ネットワーク36のインタフェイスに向けて搬送するための排出ポンプ32が設けられている。
【0052】
したがって、本実施形態による液化ガス貯蔵タンク1は、図示されていないLNGおよび/またはBOGの外部供給源、例えばLNG輸送船から積み込まれ、LNG消費者ネットワーク36の方向に別個に再び積み降ろされることができる。
【0053】
本発明の結合点22において、BOG管14内のBOG流とLNG管16内のLNG流とを結合することにより、気体状態のBOGはいずれにしても、液化ガス貯蔵タンク1のタンク容積2に入る前に既に液体LNGに凝縮され得る。
【0054】
この例示的な実施形態では、必要な圧力は圧縮機18によって与えられる。しかしながら、外部源からのBOGには既に十分に高い圧力が供給されていることも考えられる。既存の条件に基づいて、供給されたLNGは過冷却され、押し込まれたBOGを液化することができる。
【0055】
結合点22で既に早期に接合することにより、必要とされるパイプ管要素の長さを明確に減らすことができる。さらに、別個の管の場合には、少なくとも2つの開口の代わりに、タンクシェル4を通る必要な1つのブレイクスルー点28のみが存在する。これにより、従来の設計と比較して、液化ガス貯蔵タンク1の製造が容易になる。
【0056】
噴霧ノズル30によってタンク容積2内に既に存在するBOG12内にBOG-LNG混合物を噴霧することにより、気体状態のBOG12がさらに液化され、したがって、相対的にタンク容積2内の圧力が低下する。
【0057】
図2は、本発明を再循環回路38に適用した液化ガス貯蔵タンク1を示す。
【0058】
この実施形態の液化ガス貯蔵タンク1は、LNGをLNG管116に搬送するための管ポンプ120を含む。液化ガス貯蔵タンク1はまた、管圧縮機118が配置されたBOG管114を含む。LNG管116およびBOG管114は、結合点22に収束し、共通のBOG-LNG管24内に開口する。
【0059】
液化ガス貯蔵タンク1にBOGまたはLNG(充填アセンブリ103)を充填するために、タンク容積2内のLNG充填レベルの上方に開口するBOG充填管40と、LNG充填レベルの下方に開口するLNG充填管42とが設けられる。
【0060】
液化ガス貯蔵タンクの排出を提供するために、排出管44が標準インタフェイスを介してLNG消費者ネットワーク36に接続できるLNG管116から分岐する。分離点46では、LNGが結合点22の方向および/または消費者ネットワーク36の方向に導かれるかどうかは、適切に切り替え可能な図示しないバルブを介して切り替えられ得る。
【0061】
この実施形態に係る液化ガス貯蔵タンク1では、気体形態で存在するBOG12の量は、再循環回路38によって、充填および/または取出し操作とは無関係に減少することができ、したがって、タンク容積2内の圧力は、低減され得る。
【0062】
この目的のために、気体状態のBOG12は、管114および関連する圧縮機118によってタンク容積の上部から(LNG充填レベルよりも上方に)吸い出され、それをポンプ120によって管116に輸送された過冷却されたLNG内に圧入することによって液化される。これは、結合点22から共通の管24内で達成される。
【0063】
後続の噴射(噴霧ノズル30はここには示されていない)のために、追加的に吸引されなかったBOG12の一部は、タンク容積内で液化され、これにより、タンク容積2内の圧力がさらに低下する。比較的暖かい気体状態のBOG12を供給することによって加熱される液体LNG10が、タンク内の圧力条件に基づいて依然として過冷却されるので、したがって、外部から供給される比較的冷たいLNGによる冷却は、明らかに後の時間にのみ必要となる。
【0064】
図3は、再循環回路38のBOG管およびLNG管が完全にタンクシェル4内に配置された液化ガス貯蔵タンク1を示す。この液化ガス貯蔵タンクはまた、充填アセンブリ103と、図1と同様に構成されたLNG消費者ネットワーク36へのへのインタフェイスを含む。
【0065】
再循環回路38を形成するために、LNG管216および基本のBOG管214がタンクシェル4内に形成される。2つの管216および214の両方が、LNG充填レベル8の上方に配置されたベンチュリノズル48内に開口する。結合点222はベンチュリノズル48の入口に配置され、オリフィス点26は、ベンチュリノズル48の下流端から進む共通のBOG-LNG管224に配置される。
【0066】
したがって、再循環回路38は、タンクシェル4の開口が必要でないように設計され、比較的短いパイプ管要素のみを必要とする。
【0067】
この実施形態の圧力調整のために、液体LNG10は、ポンプ120によってベンチュリノズル48に運ばれ、ノズル48では、タンク容積2の圧力下にある気体状態のBOG12を同伴することができる。図3には非常に短いBOG管214が示されているが、これはベンチュリノズル48が適切な入口を有する限り省略することもできる。
【0068】
図4は、図1の充填アセンブリ3と図2の再循環回路38とが実質的に組み合わされた液化ガス貯蔵タンク1を示し、ここで説明された実施形態では、再循環回路338および充填アセンブリ303を有する一体化されたラインアセンブリが形成されていることを説明する。
【0069】
図1および図2による実施形態以外では、図4に示すBOG-LNG混合物は、LNG充填レベル8の下方の共通のBOG-LNG管の端部で液体LNG10に押し込まれる。この構成により、例えば、図1による噴霧ノズル30は、それによって実現される追加の液化能力が必要でないときに節約することができる。
【0070】
図5は、結合可能な輸送タンク50(例えばLNG輸送船の)および顧客ネットワーク(LNG顧客ネットワーク36およびBOG顧客ネットワーク52)が接続される、または、接続され得る液化ガス貯蔵タンク1を示す。
【0071】
以下に説明する偏差とは別に、図5に示す液化ガス貯蔵タンク1の実施形態は、輸送タンク50と接続された「外部供給源」が明示的にBOG接続ライン51(機能的には、少なくとも一部は図1のBOG管14に対応する)とそのLNG接続ライン53(機能的には、図1のLNG管16に機能的に対応する)で示されていることを除いて、図4と実質的に同じである。BOG接続ライン51は、BOG流体インタフェイス15によって図5のBOG管114に接続され、LNG接続ライン53は、図5のLNG管116にLNG流体インタフェイス17によって接続される。
【0072】
さらに、図5による実施形態は、図4によるものとは異なり、図示しないバルブと排出ライン58を介して、BOGを(タンク容積2および輸送タンク50の両方から)BOG消費者ネットワーク52に供給することができる。図4とは異なり、BOG-LNG混合物は、LNG充填レベル8の上方に噴霧される。
【0073】
図6に示す実施形態は、図4に示すように、BOG-LNG混合物がLNG充填レベル8の下方に押し込まれるという点で、図5によるものと異なるだけである。
【0074】
図7は、結合可能な輸送タンク50および顧客ネットワーク36および52のほかに、しっかりと設置された貯蔵タンク60も接続されている液化ガス貯蔵タンク1を示す。
【0075】
貯蔵タンク60は、実質的に、液化ガス貯蔵タンク1に対してBOGとLNGに関するインタフェイスのみを含む。(両方のタンクの)LNG充填レベルの下方において、LNGを液化ガス貯蔵タンク1から貯蔵タンク60内へ輸送するLNGポンプ54と、LNGを貯蔵タンク60から液化ガス貯蔵タンク1に輸送するためのLNGポンプ56が備えられる。LNG充填レベルの上方において、液化ガス貯蔵タンク1から貯蔵タンク60内へBOGを運ぶためのBOG圧縮機62と、貯蔵タンク60から液化ガス貯蔵タンク1へBOGを運ぶBOG圧縮機64とが設けられている。従って、貯蔵タンク60は、液化ガス貯蔵タンク1の下流に設けられているか、液化ガス貯蔵タンク1に従属しており、いわば容積および/または低温容量の拡張である。
【0076】
貯蔵タンク60は、例えば、過冷却LNGが大量に入手可能な場合、例えば、到着する積み荷の結果として過冷却LNGで満たされることによって、強く過冷却されたLNGの貯留槽として使用することができる。後の運転段階、例えば比較的暖かいBOGを大量にLNG輸送船の別の輸送タンク50から引き取らなければならない場合、冷たいLNGが貯蔵タンク60から供給され得るので、液化ガス貯蔵タンク1内で長時間再凝縮され得る。
【0077】
貯蔵タンク60は、輸送タンク50から温かいBOGを引き出す必要性にも無関係に、液化ガス貯蔵タンク1内のLNGの過冷却の長期的な安定化に役立ち、ガス貯蔵タンク1からの温かいLNGは、貯蔵タンク60内にポンプ輸送され、そこで比較的低温のLNGと混合され、後で、または同時に、より冷たいLNGが貯蔵タンクから液化ガス貯蔵タンク1へとポンプ輸送される。
【0078】
図5図6および図7に示す本発明による液化ガス貯蔵タンク1の実施形態は、(本発明による液化ガス貯蔵タンク1を収容する)再ガス化バージの典型的な場合を示しており、LNG輸送船(ここでは輸送タンク50)によって配送された後、消費者ネットワーク36および/または52に供給される前のBOG12および/またはLNG10のためのホールドアップタンクとして役立つ。本発明に従った液化ガス貯蔵タンク1を使用することによって、外部からの影響を受けない再ガス化バージにおける一時的貯蔵期間を非常に簡単な構成で明確に延長することができる。

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7