IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ソニーモバイルコミュニケーションズ株式会社の特許一覧

特許6994505モバイルエッジアプリケーションの再配置
<>
  • 特許-モバイルエッジアプリケーションの再配置 図1
  • 特許-モバイルエッジアプリケーションの再配置 図2
  • 特許-モバイルエッジアプリケーションの再配置 図3
  • 特許-モバイルエッジアプリケーションの再配置 図4
  • 特許-モバイルエッジアプリケーションの再配置 図5
  • 特許-モバイルエッジアプリケーションの再配置 図6
  • 特許-モバイルエッジアプリケーションの再配置 図7
  • 特許-モバイルエッジアプリケーションの再配置 図8
  • 特許-モバイルエッジアプリケーションの再配置 図9
  • 特許-モバイルエッジアプリケーションの再配置 図10
  • 特許-モバイルエッジアプリケーションの再配置 図11
  • 特許-モバイルエッジアプリケーションの再配置 図12
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-15
(45)【発行日】2022-01-14
(54)【発明の名称】モバイルエッジアプリケーションの再配置
(51)【国際特許分類】
   H04W 76/20 20180101AFI20220106BHJP
   H04W 88/18 20090101ALI20220106BHJP
   H04W 8/24 20090101ALI20220106BHJP
【FI】
H04W76/20
H04W88/18
H04W8/24
【請求項の数】 19
(21)【出願番号】P 2019520041
(86)(22)【出願日】2016-10-14
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-01-23
(86)【国際出願番号】 EP2016074713
(87)【国際公開番号】W WO2018068863
(87)【国際公開日】2018-04-19
【審査請求日】2019-06-06
(73)【特許権者】
【識別番号】501431073
【氏名又は名称】ソニーモバイルコミュニケーションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】ラスマソン, ジム
(72)【発明者】
【氏名】イズバリ, アンデシュ
(72)【発明者】
【氏名】トラン, リン
(72)【発明者】
【氏名】アルナス, スヴァンテ
【審査官】永井 啓司
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-103567(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/24- 7/26
H04W 4/00-99/00
3GPP TSG RAN WG1-4
SA WG1-4
CT WG1、4
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ノード(201~203、210)によって実行される方法であって、
モバイルエッジシステム(200)のソースモバイルエッジサーバ(201~203)で、ならびに端末(130)で実行されている、モバイルエッジアプリケーション(1001)におけるユーザエンゲージメントを示す制御データ(1002)に基づいて、前記ソースモバイルエッジサーバ(201~203)からターゲットモバイルエッジサーバ(201~203)への前記モバイルエッジアプリケーション(1001)の再配置を容易にすることを含み、
前記制御データ(1002)が、ユーザエンゲージメントが低減されるある時点を示し、
前記再配置が前記ある時点と同期されて始動される、方法。
【請求項2】
前記モバイルエッジアプリケーション(1001)の実行の計算負荷をモニタリングすることと、
前記モニタリングに基づいて、前記制御データ(1002)を決定することとを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記モバイルエッジアプリケーション(1001)における前記ユーザエンゲージメントを示す更なる制御データを前記端末(130)から受信することを更に含み、
前記制御データ(1002)が前記更なる制御データとの融合に基づいて決定される、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記ユーザエンゲージメントと予め定義された閾値との閾値比較に基づいて、前記モバイルエッジアプリケーション(1001)の前記再配置を始動するコマンドメッセージ(1003)を選択的に送信することを更に含む、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
端末(130)によって実行される方法であって、
前記端末(130)の少なくとも1つのセンサ(1311、1312、1315~1317)のセンサデータをモニタリングすることと、
前記モニタリングに基づいて、前記端末(130)で、ならびにモバイルエッジシステム(200)のソースモバイルエッジサーバ(201~203)で実行されている、モバイルエッジアプリケーション(1001)におけるユーザエンゲージメントを示す制御データ(1002)を決定することと、
前記ソースモバイルエッジサーバ(201~203)からターゲットモバイルエッジサーバ(201~203)への前記モバイルエッジアプリケーション(1001)の再配置を容易にするため、前記制御データ(1002)を前記モバイルエッジシステム(200)のノード(201~203、210)に送信することとを含み、
前記制御データ(1002)が、ユーザエンゲージメントが低減されるある時点を示し、
前記再配置が前記ある時点と同期されて始動される、方法。
【請求項6】
前記ユーザエンゲージメントが、前記モバイルエッジアプリケーション(1001)の端末側ユーザインターフェースに対するタッチイベントに関連する、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記ユーザエンゲージメントが、前記モバイルエッジアプリケーション(1001)の端末(130)側ユーザインターフェースに対する視線の配向に関連する、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記ユーザエンゲージメントが、前記モバイルエッジアプリケーション(1001)の端末側ユーザインターフェースに対する、前記端末(130)のオペレーティングシステムのウィンドウフォーカスに関連する、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記ユーザエンゲージメントが、前記端末(130)のマイクロフォンによって検出される環境音に関連する、請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記ユーザエンゲージメントが、前記モバイルエッジアプリケーション(1001)の端末側ユーザインターフェースを介するユーザコマンド入力に関連する、請求項1から9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記ユーザエンゲージメントが、前記モバイルエッジアプリケーション(1001)の実行時間パラメータに関連する、請求項1から10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記制御データ(1002)が、前記モバイルエッジアプリケーション(1001)の端末側ユーザインターフェースに対する集約されたユーザフォーカスを示す、請求項1から11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記制御データ(1002)が有効期間中の見込まれるユーザエンゲージメントを示す、請求項1から12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記制御データ(1002)が時間分解された形でユーザエンゲージメントを示す、請求項1から13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記モバイルエッジシステム(200)が、前記端末(130)が接続されるセルラーネットワークの無線アクセスネットワークと関連付けられる、請求項1から14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記モバイルエッジアプリケーション(1001)が、30ms以下、任意選択で10ms以下のレイテンシを有する、請求項1から15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
モバイルエッジアプリケーション(1001)におけるユーザエンゲージメントを示す制御データ(1002)に基づいて、モバイルエッジシステム(200)の第1のモバイルエッジサーバ(201~203)から前記モバイルエッジシステム(200)の第2のモバイルエッジサーバ(201~203)への前記モバイルエッジアプリケーション(1001)の再配置を容易にするように構成され、
前記制御データ(1002)が、ユーザエンゲージメントが低減されるある時点を示し、
前記再配置が前記ある時点と同期されて始動される、モバイルエッジシステム(200)のノード(201~203、210)。
【請求項18】
モバイルエッジシステム(200)のモバイルエッジアプリケーション(1001)におけるユーザエンゲージメントをモニタリングし、
前記モニタリングに基づいて、前記ユーザエンゲージメントを示す制御データ(1002)を決定し、
ソースモバイルエッジサーバ(201~203)からターゲットモバイルエッジサーバ(201~203)への前記モバイルエッジアプリケーション(1001)の再配置を容易にするために、前記制御データ(1002)を前記モバイルエッジシステム(200)のノード(201~203、210)に送信するように構成され、
前記制御データ(1002)が、ユーザエンゲージメントが低減されるある時点を示し、
前記再配置が前記ある時点と同期されて始動される、端末(130)。
【請求項19】
請求項17に記載のノード(201~203、210)と、
請求項18に記載の端末(130)とを備える、システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
様々な実施例は、全体として、モバイルエッジコンピューティングシステムに関する。様々な実施例は、具体的には、モバイルエッジアプリケーションをモバイルエッジサーバ間で再配置することに関する。モバイルエッジアプリケーションにおけるユーザエンゲージメントは、再配置を容易にする際に考慮することができる。
【背景技術】
【0002】
モバイルエッジコンピューティング(MEC)に関する欧州電気通信標準化機構(ETSI)の業界標準策定グループ(industry specification group)(ISG)は、セルラーネットワークの無線アクセスネットワーク(RAM)のエッジに近い情報技術(IT)およびクラウドコンピューティング能力を提供することを目的としている。モバイルエッジ(ME)サーバなどのMECハードウェアとユーザ機器(UE、または端末)とが近接しているため、MECによって低レイテンシのアプリケーションが容易にされる。
【0003】
MECは、Mobile-Edge Computing - Introductory Technical White Paper, September 2014 (Contributors: Huawei, IBM, Intel, Nokia Networks, NTT DOCOMO, Vodafone)に記載されており、その全体を相互参照により本明細書に組み込む。MECは更に、ETSI ITS (14)01_038:ISG:MEC#1 Minutes of Plenary Meetingに記載されており、その全体を参照により本明細書に組み込む。
【0004】
MECシステムのリファレンス実装は、特定の制限および欠点に直面している。例えば、端末が移動するので、異なるMEサーバ間におけるアプリケーションの再配置を要することがある。例えば、ユーザが移動するので、MEシステムは、ホストとしてMEアプリケーションを実行している現在のMEサーバ(ソースMEサーバ)が最適ではないと検出することがあり、MEアプリケーションを新しいMEサーバ(ターゲットMEサーバ)へと再配置(場合によっては、移行とも呼ばれる)するのを必要とすることがある。ターゲットMEサーバは、例えば地理的位置、負荷分散、レイテンシなどの点で、ソースMEサーバと比べてより適切なことがある。MECリファレンス実装によれば、ソースMEサーバからターゲットMEサーバへのアプリケーションの再配置は、顕著なレイテンシを生じさせる可能性があることが観察されてきた。
【発明の概要】
【0005】
したがって、MEシステムにおいてアプリケーションを再配置する最適時間を特定する、高度な技法が必要とされている。特に、上述した制限および欠点の少なくともいくつかを克服または緩和する、MEシステムにおいてアプリケーションを再配置する技法が必要とされている。
【0006】
この必要性は独立請求項の特徴によって満たされる。従属請求項は実施例を定義する。
【0007】
一実施例によれば、方法は、ソースMEサーバからターゲットMEサーバへのMEアプリケーションの再配置を容易にすることを含む。前記容易にすることは、MEアプリケーションにおけるユーザエンゲージメントを示す制御データに基づく。MEアプリケーションは、MEシステムのソースMEサーバ上および端末上で実行される。
【0008】
一実施例によれば、MEシステムのノードは、MEシステムの第1のMEサーバからMEシステムの第2のMEサーバへのMEアプリケーションの再配置を容易にするように構成される。前記容易にすることは、MEアプリケーションにおけるユーザエンゲージメントを示す制御データに基づく。
【0009】
一実施例によれば、コンピュータプログラム製品は、少なくとも1つのプロセッサによって実行されてもよいプログラムコードを含む。プログラムコードの実行によって、少なくとも1つのプロセッサに方法を実施させることができる。方法は、ソースMEサーバからターゲットMEサーバへのMEアプリケーションの配置を容易にすることを含む。前記容易にすることは、MEアプリケーションにおけるユーザエンゲージメントを示す制御データに基づく。MEアプリケーションは、MEシステムのソースMEサーバ上および端末上で実行される。
【0010】
一実施例によれば、コンピュータプログラムは、少なくとも1つのプロセッサによって実行されてもよいプログラムコードを含む。プログラムコードの実行によって、少なくとも1つのプロセッサに方法を実施させることができる。方法は、ソースMEサーバからターゲットMEサーバへのMEアプリケーションの配置を容易にすることを含む。前記容易にすることは、MEアプリケーションにおけるユーザエンゲージメントを示す制御データに基づく。MEアプリケーションは、MEシステムのソースMEサーバ上および端末上で実行される。
【0011】
一実施例によれば、方法は、端末の少なくとも1つのセンサのセンサデータをモニタリングすることを含む。方法は、前記モニタリングに基づいて、MEアプリケーションにおけるユーザエンゲージメントを示す制御データを決定することを更に含む。MEアプリケーションは、端末上およびMEシステムのソースMEサーバ上で実行される。方法は、ソースMEサーバからターゲットMEサーバへのMEアプリケーションの再配置を容易にするため、制御データをMEシステムのノードに送信することを更に含む。
【0012】
一実施例によれば、コンピュータプログラム製品は、少なくとも1つのプロセッサによって実行されてもよいプログラムコードを含む。プログラムコードの実行によって、少なくとも1つのプロセッサに方法を実施させることができる。方法は、端末の少なくとも1つのセンサのセンサデータをモニタリングすることを含む。方法は、前記モニタリングに基づいて、MEアプリケーションにおけるユーザエンゲージメントを示す制御データを決定することを更に含む。MEアプリケーションは、端末上およびMEシステムのソースMEサーバ上で実行される。方法は、ソースMEサーバからターゲットMEサーバへのMEアプリケーションの再配置を容易にするため、制御データをMEシステムのノードに送信することを更に含む。
【0013】
一実施例によれば、コンピュータプログラムは、少なくとも1つのプロセッサによって実行されてもよいプログラムコードを含む。プログラムコードの実行によって、少なくとも1つのプロセッサに方法を実施させることができる。方法は、端末の少なくとも1つのセンサのセンサデータをモニタリングすることを含む。方法は、前記モニタリングに基づいて、MEアプリケーションにおけるユーザエンゲージメントを示す制御データを決定することを更に含む。MEアプリケーションは、端末上およびMEシステムのソースMEサーバ上で実行される。方法は、ソースMEサーバからターゲットMEサーバへのMEアプリケーションの再配置を容易にするため、制御データをMEシステムのノードに送信することを更に含む。
【0014】
一実施例によれば、端末は、MEシステムのMEアプリケーションにおけるユーザエンゲージメントをモニタリングするように構成される。端末は、前記モニタリングに基づいて、ユーザエンゲージメントを示す制御データを決定するように更に構成される。端末は、制御データをMEシステムのノードに送信するように更に構成される。
【0015】
上述した特徴および以下に説明する特徴は、示されるそれぞれの組み合わせにおいてのみ使用されるのではなく、本発明の範囲から逸脱することなく、他の組み合わせでまたは別個に使用されてもよいことが理解されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】様々な実施例による、セルラーネットワークの無線アクセスネットワークにおける複数のセルを示す概略図である。
図2】様々な実施例による、セルラーネットワークを示す概略図である。
図3】様々な実施例による、無線アクセスネットワークの基地局およびME制御ノードと関連付けられたMEサーバを備えるMEシステムを示す概略図である。
図4】ソースMEサーバからターゲットMEサーバへのMEアプリケーションの再配置を容易にすることを概略的に示す信号図である。
図5】様々な実施例による、セルラーネットワークに接続可能な端末を示す概略図である。
図6】様々な実施例による、セルラーネットワークに接続可能な端末を示す概略図である。
図7】様々な実施例による、MEシステムのME制御ノードを示す概略図である。
図8】様々な実施例による、MEサーバを示す概略図である。
図9】様々な実施例による、方法のフローチャートである。
図10】様々な実施例による、方法のフローチャートである。
図11】様々な実施例による、方法のフローチャートである。
図12】様々な実施例による、方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施例について、添付図面を参照して詳細に記載する。以下の実施例の説明は限定的な意味で解釈されるべきではないことが理解されるべきである。本発明の範囲は、以下に記載する実施例によって、または単に例示として解釈されるべき図面によって限定されないものとする。
【0018】
図面は概略的表現として見なされるべきものであり、図面に示される要素は必ずしも縮尺通りには示されない。それよりもむしろ、様々な要素は、それらの機能および汎用性が当業者には明白になるものとして表される。図面に示されるか本明細書に記載される、機能的ブロック、デバイス、構成要素、または他の物理的もしくは機能的単位同士の接続や結合は、間接的な接続や結合によっても実装されてもよい。構成要素間の結合はまた、ワイヤレス接続を通じて確立されてもよい。機能的ブロックは、ハードウェア、ファームウェア、ソフトウェア、またはそれらの組み合わせで実装されてもよい。
【0019】
以下、MECの技法について記載する。MECは、超低レイテンシのアプリケーションをUEに提供することを容易にし得る。MEアプリケーションを提供するMEシステムは、一般的に、ワイヤレスネットワークの基地局またはアクセスポイントなどの無線アクセスノードと関連付けられる。ワイヤレスネットワークの一例はセルラーネットワークである。例えば、MEコンピューティングは、多くの場合、MEアプリケーションが無線アクセスネットワーク内で、またはセルラーネットワークの無線アクセスネットワークの機器付近で実行される、MEサーバの配備に依存する。例えば、MEサーバは無線アクセスネットワークの基地局と同じ場所に配置されてもよい。例えば、MEサーバは、無線アクセスネットワークと同じオペレータによって操作されてもよい。例えば、MEサーバは、基地局に対する高スループットのバックボーン接続を有してもよい。例えば、MEサーバは、クラウドベースコンピューティングなどのアプリケーションを提供してもよい。MEサーバによって端末に提供されるMEアプリケーションは、低レイテンシによる利益を得てもよい。例えば、レイテンシは、30ms未満、任意選択で10ms未満であってもよい。かかる低レイテンシにより、レイテンシに敏感なアプリケーションが提供されてもよい。例えば、MEアプリケーションは、サーバベースのゲーミングまたは拡張現実に関してもよい。
【0020】
MEシステムに関する1つの使用例は、MEサーバによってホストされる仮想現実(VR)3Dアプリケーションを含み、かかる技法は、低価格帯の携帯電話などのより単純なUE上でVRアプリケーションを使用可能にすることができる。VRは、一般的に、ユーザ入力、例えば頭部の移動と、ディスプレイ上に、例えばVR眼鏡のディスプレイ上に示されるレンダリングされたVR 3Dフレームとの間に、非常に低レイテンシのフィードバックループを要する。好ましくは、システムの合計ラウンドトリップレイテンシは10ms未満であるべきである。ユーザにより近付けて配置されているMEサーバは、VRなどの低レイテンシアプリケーションを使用可能にする潜在能力を有する。
【0021】
いくつかの実施例では、MEサーバはME制御ノードと併せてMEシステムを実装する。例えば、ME制御ノードは、MEサーバに対して制御の機能性を実施してもよい。かかる制御の機能性は、特に、MEサーバ間での、即ちソースMEサーバからターゲットMEサーバへのアプリケーションの再配置の始動、負荷分散、追加のMEサーバの配備などを容易にすることを含んでもよい。
【0022】
様々な実施例にしたがって、ソースMEサーバからターゲットMEサーバへのアプリケーションの再配置について記載する。再配置は、MEアプリケーションの実行時間中に、MEアプリケーションの実行をソースMEサーバからターゲットMEサーバへと移すことに対応してもよい。再配置は、実行されたアプリケーションのユーザコンテキストまたはセッションインスタンスをソースMEサーバからターゲットMEサーバへと移行することに対応してもよい。例えば、MEアプリケーションのかかる再配置は、MEアプリケーションが提供される端末の移動、ソースMEサーバとターゲットMEサーバとの間の負荷分散などを含む、様々な状況によって始動されてもよい。
【0023】
1つのシナリオでは、ユーザは移動中、例えば、歩行中、バス、列車、または車で移動中であり、最終的にMEアプリケーションを再配置することが必要になる。再配置が望ましい場合がある別のシナリオは、同じアプリケーションを有する複数のユーザがグループ化されて同じMEサーバに入れられた場合の方が、MEアプリケーションの性能がより良好であるというシナリオであり、この場合、別のユーザが移動してしまい、したがってMEサーバを変更しているので、MEアプリケーションを別のMEサーバへと再配置するのが有益な場合がある。計算負荷を複数のMEサーバ間で分配するため、負荷分散による再配置も行われることがある。再配置中、再配置がレンダリンググリッチ、フレーム落ち、アプリケーションのフリーズ期間、入力遅延などをもたらす場合であっても、ユーザの経験はできるだけ良好なものであるべきである。
【0024】
様々な実施例にしたがって、ソースMEサーバからターゲットMEサーバへのMEアプリケーションの再配置を、MEアプリケーションにおけるユーザエンゲージメントが低減されるある時点と同期させる技法について記載する。そのため、再配置のときに潜在的に増加するレイテンシを、多少なりともユーザから隠すことができる。例えば、ユーザがMEアプリケーションについて比較的無知である場合(低エンゲージメント)、ユーザは、再配置によって、グリッチまたは遅延に気づかないことがある。
【0025】
これは制御データを使用することによって達成される。制御データは、MEアプリケーションにおけるユーザエンゲージメントを示す。それにより、制御データに基づいて、再配置を容易にすることが可能である。
【0026】
本明細書に記載する様々な技法は、エンドユーザの経験に対する影響を低減させるかまたは最小限に抑えて、1つのMEサーバから別のMEサーバへの再配置が可能である、期間/時間窓が存在し得る場合が多いという所見に基づく。MEアプリケーションの特性および他のいくつかの態様に応じて、この時間窓は数秒から数時間の範囲にわたってもよい。ユーザの観点から見て、ユーザがMEアプリケーションにあまり集中していないときに再配置が実行された場合に、MEアプリケーションの経験がより良好である傾向となる。
【0027】
実施例によれば、ユーザエンゲージメントを示す制御データを決定する際に、1つまたは複数の観測量を考慮することができる。例えば、計算負荷がモニタリングされてもよい。より高い(より低い)計算負荷は、より高い(より低い)ユーザエンゲージメントを示すことがある。例えば、MEサーバ、および/またはクライアントと呼ばれる場合もある端末において、MEアプリケーションの実行時間パラメータを考慮することが可能であろう。例えば、不変の(変化する)実行時間パラメータは、より低い(より高い)ユーザエンゲージメントを示す場合がある。例えば、MEアプリケーションのCPU負荷、ネットワーク負荷、メモリ負荷、故障状態などを使用して、ユーザフォーカスの尺度を導き出すことができる。別の方法として、またはそれに加えて、ユーザエンゲージメントを示す制御データを決定する際に、端末の少なくとも1つのセンサのセンサデータを考慮することも可能であろう。かかるセンサデータは、タッチイベント、視線の配向、環境音などのうち1つまたは複数に関連してもよい。かかる観測量および/または他の観測量の融合は、制御データにおけるユーザエンゲージメントを正確に定量化する助けとなり得る。
【0028】
図1は、セルラーネットワークに関する態様を示している。特に、図1は、セルラーネットワークの無線アクセスネットワーク150に関する態様を示している。図1の実施例では、3つの基地局101~103が無線アクセスネットワーク150を形成している。他の実施例では、より多数の基地局を使用することができる。様々な実施例は、セルラーネットワークとの関連で本明細書に記載しているが、それぞれの技法は、他のタイプのネットワークにも適用されてもよい。
【0029】
基地局101はセルラーネットワークのセル111に対して働く。そのため、基地局101は、セル111内に位置し、基地局101を介してセルラーネットワークと接続される、UE 130のサービング基地局と呼ばれる場合がある。基地局102は隣接セル112に対して働く。また、基地局103は隣接セル113に対して働く。
【0030】
端末130が移動するので、端末130は一時的にセル111のセルエッジに近付くことがある。一般的に、かかるセルエッジのシナリオでは、端末130と基地局101との間の無線チャネルの通信品質が劣化する。例えば、一時的に無線チャネルの通信品質が特定の閾値を下回ることがある。これは、例えば、端末130が基地局101から離れて基地局102に向かって移動するためであることがある。そのため、最初のサービング基地局101(ハンドオーバの文脈では、ソース基地局と呼ばれる場合が多い)から、基地局102(ターゲット基地局)へのハンドオーバが起こることがある。ハンドオーバが完了すると、端末130は、新しいサービング基地局となった基地局102を介してセルラーネットワークと接続される。ハンドオーバ、または一般に端末130の移動性は、なぜMEアプリケーションの再配置が必要な場合があるかを示す一例であり得る。
【0031】
図2は、セルラーネットワーク100に関する態様を示している。図2では、そこを介して端末130が基地局101と通信する、無線チャネル151が示されている。無線チャネル151における通信は、基地局101から端末130へのダウンストリーム通信と、端末130から基地局101へのアップストリーム通信とを含む、双方向性であることができる。
【0032】
図2は、セルラーネットワーク100のコアネットワーク165を示している。基地局101~103は、コアネットワークインターフェース161によって互いに、またコアネットワーク165と接続される。
【0033】
例えば、セルラーネットワーク100は、2G、3G、4G、または来たる5Gなど、3GPP規格のセルラーネットワークであることができる。例えば、3GPP 4Gロングタームエボリューション(LTE)セルラーネットワーク100に関連して、無線アクセスネットワーク150は、発展型ユニバーサル移動通信システム地上波無線アクセス(E-UTRAN)と呼ばれる場合がある。更なる例としては、3GPP狭帯域のインターネット(NB-IoT)またはマシンタイプ通信ネットワークが挙げられる。MEコンピューティングに関して本明細書に記載する技法は、セルラーネットワークに限定されない。MEコンピューティングの技法は、他の種類およびタイプのネットワークに容易に適用されてもよい。他の例としては、電気電子技術者協会(IEEE)規格のネットワーク、例えば、802.11x Wi-Fiプロトコル、またはBluetoothプロトコルに準拠するものが挙げられる。
【0034】
図3は、MEシステム200に関する態様を示している。MEシステム200はネットワーク100のRAN 150と関連付けられる。MEシステム200はMEサーバ201~203を含む。MEサーバ201は基地局101と関連付けられ、MEサーバ202は基地局102と関連付けられ、MEサーバ203は基地局103と関連付けられる。端末サーバ201~203のうち所与の1つによってホストされるアプリケーションは、一般に、それぞれの関連する基地局101~103に接続されたUEに提供される。
【0035】
図3の実施例では、MEサーバ201~203と基地局101~103との間に一対一の対応があるが、他の例では、1つを超える基地局101~103が所与のMEサーバ201~203と関連付けられることも可能である。
【0036】
例えば、MEサーバ201~203を、関連する基地局101~103と同じサイトで同じ場所に配置することができる。MEサーバ201~203を無線アクセスネットワーク150に、またはそれに近接して配備することによって、MEサーバ201~203と関連する基地局101~103との間の通信に関して、比較的低いレイテンシが達成されてもよい。例えば、所与のMEサーバ201~203と関連する基地局101~103との間の通信のレイテンシは、30ミリ秒未満、好ましくは10ミリ秒未満、より好ましくは1ミリ秒未満であってもよい。場合によっては、レイテンシのかかる大きさは超低レイテンシとも呼ばれる。
【0037】
MEシステム200の制御はME制御ノード210によって提供される。図3の実施例では、MEコントローラ210は専用エンティティである。しかしながら、他の例では、ME制御ノード210がMEサーバ201~203の1つまたは複数と同じ場所に配置されることも可能であろう。例えば、ME制御ノード210は、様々なMEサーバ201~203間の負荷分散のタスクを実施することができる。例えば、ME制御ノード210は、様々なMEサーバ201~203に課せられる計算負荷を追跡することができる。
【0038】
例えば、ME制御ノード210は、ソースMEサーバ201~203からターゲットMEサーバ201~203へのアプリケーションの再配置に関するタスクを実施することができる。例えば、MEアプリケーションの再配置は、MEアプリケーションが提供される端末の移動性によって始動されてもよい。例えば、MEアプリケーションの再配置は、セルラーネットワーク100の無線アクセスネットワーク150におけるセル111~113間のハンドオーバによるものであってもよい。例えば、MEアプリケーションの再配置は負荷分散によって始動されてもよい。
【0039】
図4は、ソースMEサーバ201からターゲットMEサーバ202へのMEアプリケーション1001の再配置に関する態様を示している。MEアプリケーション1001は、最初に、端末130およびMEサーバ201によって実行される。MEアプリケーション1001は、端末130とMEサーバ201との間におけるペイロードデータの通信を含んでもよい(図4の破線によって示される)。場合によっては、MEサーバ201はMEアプリケーション201をホストすると言われる。端末130は、MEアプリケーション1001のグラフィカルユーザインターフェース(GUI)などのユーザインターフェースを提供してもよい。MEアプリケーション1001のペイロードデータは、基地局101を介して端末130とMEサーバ201との間で通信される。例えば、低レイテンシのMEアプリケーション1001を提供するために、MEサーバ201が基地局101の近くに配置されることが可能であろう。
【0040】
MEサーバ201は、最終的に、再配置のヒントを実装する制御データ1002をME制御ノード210に送る。制御データ1002は、MEアプリケーション1001におけるユーザエンゲージメントを示す。ME制御ノード210は、MEアプリケーション1001をMEサーバ201からMEサーバ202へと再配置するかどうかの決定を行うとき(ブロック1009)、制御データ1002を考慮に入れることができる。例えば、ME制御ノード210は、ブロック1009でMEアプリケーション1001を再配置するかどうかの決定を行うとき、制御データ1002によって示されるユーザエンゲージメントと予め定義された閾値との閾値比較を実施してもよい。MEアプリケーション1001におけるユーザエンゲージメントを示す制御データ1002を使用することによって、ユーザエンゲージメントが特に低いある時点で再配置を始動することが可能になる。それにより、ユーザの経験は、再配置による潜在的なレイテンシによって重大な影響を受けないことがある。
【0041】
ME制御ノード210は、MEサーバ201からMEサーバ202へとMEアプリケーション1001を再配置するかどうかの決定を行う際に、制御データのユーザエンゲージメントを越える追加の決定基準を考慮に入れることが可能である。例えば、かかる追加の決定基準は、基地局101から基地局102への端末130のハンドオーバ、MEサーバ201、202間での負荷分散などに対応することができる。最終的に、ME制御ノード210はMEアプリケーション1001を再配置するという決定を行う。次に、ME制御ノード210は、MEアプリケーション1001の再配置を始動するコマンドメッセージ1003を送信する。図4の実施例では、コマンドメッセージ1003は、MEサーバ201ならびにMEサーバ202の両方に送信される。また、コマンドメッセージ1003がMEサーバ201またはMEサーバ202のどちらかに送信されることも可能であろう。別の方法として、またはそれに加えて、コマンドメッセージ1003を端末130にも送信することによって、端末130に適宜通知することも可能であろう。
【0042】
次に、再配置1004が実行される。その後、端末130およびターゲットMEサーバ202によってMEアプリケーション1001が実行される。それぞれの制御信号伝送は基地局102を介して実装される。MEサーバ201におけるMEアプリケーションの実行のために既に割り振られたリソースを解除することができる。
【0043】
一般に、ユーザエンゲージメントを示す制御データ1002は端子130によって決定されてもよい。別の方法として、またはそれに加えて、ユーザエンゲージメントを示す制御データ1002はMEサーバ201によって決定されてもよい。また、ユーザエンゲージメントを示す制御データ1002は、端末130によって部分的に決定され、MEサーバ201によって部分的に決定されることも可能であろう。そのため、端末130とMEサーバ201との間でユーザエンゲージメントをモニタリングする論理の分布が想到可能である。制御データ1002が端末130によって少なくとも部分的に決定される場合、端末130が次に、制御データをMEサーバ201および/またはME制御ノード210を直接送信することが可能である(図4には図示なし)。1つまたは複数の中間MEサーバ201~203を介した、端末130からME制御ノード210へのカスケード型送信が可能である。
【0044】
特に、ユーザエンゲージメントを示す制御データがMEサーバ201によって少なくとも部分的に決定されるシナリオにおいて、いくつかの例では、これには、MEアプリケーションを実行する計算負荷をモニタリングすることと、前記モニタリングに基づいて制御データ1002を決定することとが関与する。例えば、計算負荷は、MEアプリケーション1001と関連付けられた端末130との間でのデータトラフィック、MEサーバ201の処理装置におけるMEアプリケーション1001と関連付けられた処理動作、MEサーバ201のメモリ内にあるMEアプリケーション1001と関連付けられたデータ量などのうち1つまたは複数を含んでもよい。より高い(より低い)計算負荷は、MEアプリケーションにおけるユーザエンゲージメントと相関する場合が多いことが観察されている。例えば、ユーザが比較的非活性であり、ユーザがMEアプリケーションにほとんどまたは全くフォーカスしていない場合、MEアプリケーション1001の様々な実行時間パラメータが、比較的不変のままであることができる。次に、例えば、MEサーバ201のメモリ内にあるMEアプリケーション1001と関連付けられたデータ量は、小さい時間依存度のみを示す可能性がある。かかるシナリオでは、MEサーバ201においてMEアプリケーションを実行するのに要する処理動作はほとんどないことがある。そのため、計算負荷をモニタリングすることによって、MEアプリケーション1001におけるユーザエンゲージメントに対して結論を出すのが可能なことがある。かかる技法は、別の方法としてまたはそれに加えて端末130で実装されてもよい。例えば、端末は、MEアプリケーションを実行する計算負荷をモニタリングし、前記モニタリングに基づいて制御データ1002を決定してもよい。
【0045】
MEアプリケーション1001におけるユーザエンゲージメントを示してもよい、観測量の更なる例は、実行中のMEアプリケーション1001の実行時間パラメータである。ここで、実行時間パラメータは端末130および/またはMEサーバ201でモニタリングされてもよい。例えば、実行時間パラメータの変化は、MEアプリケーション1001の比較的高いユーザエンゲージメントを示すことができるが、比較的不変のままの実行時間パラメータは、MEアプリケーション1001における比較的低いユーザエンゲージメントを示すことができる。例示の実行時間パラメータとしては、MEアプリケーション1001の実行と関連付けられた変数のサイズ、MEアプリケーション1001の実行と関連付けられた変数の内容などが挙げられる。
【0046】
上記から理解されるように、MEアプリケーション1001の実行の性質を考慮することによって、MEアプリケーション1001におけるユーザエンゲージメントに対する何らかの結論を出すことが可能である。いくつかの例では、例えば、端末130の少なくとも1つのセンサのセンサデータに依存することによって、ユーザエンゲージメントのより直接的な尺度を得ることが可能である。
【0047】
図5は、端末130に関する態様を概略的に示している。特に、図5は、端末130のセンサに関する態様を示している。図5の実施例では、端末130は手持ちの携帯電話である。しかしながら、他の実施例では、端末130は、VRギア、ラップトップ、デスクトップPC、タブレット、セットトップボックス、ゲーム機、スマートテレビなどを含む、他の種類およびタイプのデバイスによって実装されてもよい。
【0048】
端末130は、顔カメラ1311と、タッチ式ディスプレイ1312と、マイクロフォン1317と、ボタン1315、1316とを含む。MEアプリケーション1001のGUI 1313はディスプレイ1312上で実装される。図5に例示的に示されるGUI 1313の状態では、通知ポップアップメッセージ1314が表示されており、このポップアップメッセージ1314は、MEアプリケーション1001とは異なるアプリケーションのものであってもよい。
【0049】
センサ1311、1312、1315~1317のセンサデータに基づいて、MEアプリケーション1001におけるユーザエンゲージメントの正確な尺度を得ることが可能である。ここで、一般に、センサ1311、1312、1315~1317のうち単一のもののセンサデータについて考慮すること、および/または複数のセンサ1311、1312、1315~1317のセンサデータに対してセンサ融合を実施することが可能である。端末130は、センサデータをモニタリングし、前記モニタリングに基づいて制御データ1002を決定するように構成することができる。
【0050】
例えば、タッチ式ディスプレイ1312および/またはボタン1315、1316に対するタッチイベントをモニタリングすることが可能であろう。次に、ユーザエンゲージメントは、GUI 1313に関するタッチイベントに関連してもよい。例えば、MEアプリケーション1001のGUI 1313に関連する多数のタッチイベントが、所与の時間間隔内で検出された場合、これは、MEアプリケーション1001における高いユーザエンゲージメントを示してもよい。他方で、タッチイベントが検出されないかまたは少数のタッチイベントしか検出されなかった場合、これは、MEアプリケーション1001における低いユーザエンゲージメントを示してもよい。例えば、MEアプリケーション1001の寿命全体にわたって、または例えばスライディング窓によって規定される固定の期間にわたって、タッチイベントの回数が多かった場合、ユーザはMEアプリケーション1001に十分に関与する傾向がある。それとは異なり、タッチイベントの回数が少ないと、高いユーザエンゲージメントは起こりにくい。
【0051】
例えば、端末130の顔カメラ1311を使用して視線の配向をモニタリングすることが可能であろう。次に、ユーザエンゲージメントは、GUI 1313に対する視線の配向に関連してもよい。例えば、ユーザの視線を追跡することなどによって、MEアプリケーション1001のGUI 1313をユーザが実際に見ていること、またはそれよりもむしろ、ポップアップ通知1314などの何らかの通知オーバーレイを見ていることが検出された場合、ユーザエンゲージメントの異なる尺度を推論することができる。例えば、ユーザがディスプレイ1312の外側に配向された視線を有することが検出された場合、特に低いユーザエンゲージメントを推論することができる。例えば、スライディング窓技法を使用するなどして、特定の期間にわたる平均化を実施することが可能であってもよい。例えば、ユーザが視線をMEアプリケーション1001のGUI 1313に配向した場合、最後の3秒間のうち80%の時間は、比較的高いユーザエンゲージメントを推論することができる。
【0052】
例えば、端末130のプロセッサによってやはり実行されるが、潜在的に再配置されるMEアプリケーション1001とは異なる、他のアプリケーションからの通知をモニタリングすることが可能であろう。一例は、他の場合はメッセンジャーに対応する場合があり、入ってくる新しいメッセージを示す、ポップアップ通知1314である。例えば、かかるポップアップ通知1314が検出された場合、MEアプリケーション1001におけるユーザエンゲージメントは制限される傾向がある。一般に、MEアプリケーション1001のGUI 1313に関して、端末130のオペレーティングシステムのウィンドウフォーカスをモニタリングすることが可能であってもよい。例えば、図5に示される状態では、オペレーティングシステムのウィンドウフォーカスは、MEアプリケーション1001のGUI 1313ではなく、ポップアップ通知1314と関連付けられてもよい。これは、MEアプリケーション1001における低いユーザエンゲージメントに関する高い傾向に対応することがある。
【0053】
例えば、マイクロフォン1317のセンサデータがモニタリングされることが可能であろう。そのため、ユーザエンゲージメントは、端末のマイクロフォン1317によって検出される環境音に関連してもよい。例えば、第三者が端末130のユーザと同じ部屋に位置し、端末130のユーザと話しているかを検出することが可能であろう。これが当てはまる場合、ユーザは自身の注意をこの会話に向ける傾向がある。そのため、MEアプリケーション1001におけるユーザエンゲージメントは低い傾向がある。マイクロフォン1317のセンサデータによって示される環境音のレベルと予め定義された閾値との閾値比較を用いることが可能であり得る。例えば、環境音レベルが予め定義された閾値を超過した場合、MEアプリケーション1001における限定されたユーザエンゲージメントを仮定することが可能であり得る。
【0054】
更なる例では、環境音に関して高度な分析を行うことも可能であろう。例えば、環境音が分析されて発話を検出してもよい。そのため、発話とは異なる背景ノイズがフィルタ処理されてもよい。例えば、高域通過フィルタおよび/または帯域通過フィルタおよび/または低域通過フィルタが適用されてもよい。例えば、機械から発するノイズがフィルタ処理されてもよい。例えば、環境音に対して音声認識を用いることが可能であってもよい。例えば、環境音の発信元を検出することが可能であってもよい。例えば、端末130のユーザが環境音の発信元であるかをチェックすることができる。例えば、端末130のユーザが会話に引き込まれているかが検出されてもよい。
【0055】
例えば、端末130において実装されたMEアプリケーション1001のユーザインターフェースの異なる入力手段をモニタリングすることが可能であろう。例えば、ユーザインターフェースはGUI 1013を含んでもよく、別の方法としてまたはそれに加えて、タッチ作用、端末130を振るなどの力作用、音声コマンドなど、他の入力手段を含んでもよい。そのため、ユーザエンゲージメントは、一般に、MEアプリケーション1001のユーザインターフェースを介したユーザコマンド入力に関連してもよい。
【0056】
ユーザエンゲージメントを示す制御データ1002は、異なる例における異なる情報深さを含むことができる。例えば、制御データ1002が、端末130によってモニタリングされる生のセンサデータを示すことが可能であろう。更なる例では、制御データ1002が生のセンサデータを含まず、それよりもむしろ導出した値を含むことが可能であろう。制御データは、MEアプリケーション1001の端末側ユーザインターフェースに対する集約されたユーザフォーカスを示してもよい。例えば、制御データ1002は、単一の測定規準、例えばスカラー値またはバイナリ値を含んでもよい。例えば、スカラー値は、最小値と最大値との間でユーザエンゲージメントを定義してもよい。バイナリ値は、低いユーザエンゲージメントに対してゼロの値を取ることができ、高いユーザエンゲージメントに対して1の値を取ることができる。制御データ1002はまた、単一を超える測定規準を含んでもよい。異なる測定規準は、ユーザエンゲージメントを示すことができる異なる観測量、例えば異なるセンサデータおよび/または計算負荷もしくは実行時間パラメータに関して定義されてもよい。ここで、生のセンサデータが制御データに含まれることは必須ではないが、それにもかかわらず集約されたユーザフォーカスが単一の測定規準の制御データに含まれる場合に、大きい情報深さを提供することができる。
【0057】
一般に、制御データが時間分解された形でユーザエンゲージメントを示すことは可能である。このことは、再配置を正確に計時するのを可能にすることができる。このため、制御データが、制御データによって示されるユーザエンゲージメントと関連付けられたある時点を指定する、タイミング情報を含むことが可能であってもよい。例えば、タイミング情報は時間スタンプに関連し得る。例えば、かかる時間分解されたユーザエンゲージメントに基づいて、ユーザエンゲージメントの時間の変化を導き出し、近い将来における予期されるユーザエンゲージメントを予測することが可能であってもよい。このことは、再配置を、低いユーザエンゲージメントが観察される傾向がある時点と正確に同期させる助けとなり得る。処理の遅延は補償することができる。いくつかの例では、制御データ自体が見込まれるユーザエンゲージメントを示すことも可能である。制御データは有効期間を含んでもよい。有効期間は、制御データによって示されるユーザエンゲージメントが本質的に不変のままであると仮定される持続時間に対応してもよい。例えば、制御データ1002は、ユーザエンゲージメントが低減される(将来の)ある時点を示すことができる。次に、ME制御ノード210は、例えば、コマンドメッセージ1003を適宜送信することによって、ならびに/またはそれぞれのタイミング情報をコマンドメッセージ1003に含めることによって、このある時点と同期された再配置を始動することができる。
【0058】
図6は、端末130に関する態様を示している。端末130は、プロセッサ1301、例えばマルチコアプロセッサを含む。端末130はインターフェース1302を更に含む。プロセッサ1301は、インターフェース1302を介して、例えば、エンドのMEシステム260のエンティティと、ならびに/または基地局を有するそれぞれの無線アクセスネットワーク150の無線チャネル151で通信することができる。更に、端末130は、メモリ、例えば不揮発性メモリ1303を含む。制御命令がメモリ1303に格納されることが可能である。制御命令はプロセッサ1301によって実行することができる。制御命令の実行によって、プロセッサ1301が、例えば、MEアプリケーションの実行に関連して、MEアプリケーションをソースMEサーバからターゲットMEサーバへと再配置すること、端末130の少なくとも1つのセンサのセンサデータをモニタリングすること(図6では、少なくとも1つのセンサは図示されない)、センサデータに基づいてMEアプリケーションにおけるユーザエンゲージメントを示す制御データを決定することなど、本明細書に記載する様々な技法を実施することができる。
【0059】
図7は、ME制御ノード210に関する態様を示している。ME制御ノード210は、プロセッサ2111、例えばマルチコアプロセッサを含む。ME制御ノード210はインターフェース2112を更に含む。プロセッサ2111は、インターフェース2112を介して、例えば、MEシステム200のエンティティ、および/またはセルラーネットワーク100の無線アクセスネットワーク150の基地局101~103と通信することができる。更に、ME制御ノード210は、メモリ2113、例えば不揮発性メモリを含む。制御命令がメモリ2113に格納されることが可能である。制御命令はプロセッサ2111によって実行することができる。制御命令の実行によって、プロセッサ2111が、例えば、ソースMEサーバからターゲットMEサーバへのMEアプリケーションの再配置の始動に関連する、本明細書に記載するような様々な技法を実施することができる。
【0060】
図8は、MEサーバ201~203に関する態様を示している。MEサーバ201~203は、プロセッサ2011、例えばマルチコアプロセッサを含む。MEサーバ201~203はインターフェース2012を更に含む。プロセッサ2011は、インターフェース2012を介して、例えばMEシステム200の更なるエンティティ、および/またはセルラーネットワーク100の無線アクセスネットワーク150基地局101~103と通信することができる。更に、MEサーバ201~203は、メモリ2013、例えば不揮発性メモリを含む。制御命令がメモリ2013に格納されることが可能である。制御命令はプロセッサ2011によって実行することができる。制御命令の実行によって、プロセッサ2011に、例えば、ソースMEサーバからターゲットMEサーバへのMEアプリケーションの再配置、およびMEの実行に関連する、本明細書に記載するような様々な技法を実施させることができる。
【0061】
図9は、様々な実施例による方法のフローチャートである。例えば、図9による方法は、端末130のプロセッサ1301によって実行されてもよい。
【0062】
ブロック5001で、端末の少なくとも1つのセンサのセンサデータがモニタリングされる。これには、センサデータを繰り返し受信することが伴うことがある。これには、センサデータの変化を分析することが伴うことがある。例えば、スライディング窓技法が用いられてもよく、所与の持続時間の窓に基づいて、センサデータの値の平均化を実施することができる。窓の一般的な持続時間は0.5秒~10秒の範囲であることができる。
【0063】
ブロック5002で、ブロック5001のモニタリングに基づいて制御データが決定される。制御データは、端末によって実行されるMEアプリケーションにおけるユーザエンゲージメントを示す。例えば、ブロック5012は、ブロック5001のセンサデータの後処理を伴うことがある。MEアプリケーションのユーザインターフェースに対するユーザフォーカスの集約された尺度は、センサデータから決定されてもよい。そのため、制御データに含まれるデータの量を、センサデータのサイズと比べた場合に大幅に低減することができる。例えば、制御データは、予め定義された測定規準でユーザエンゲージメントを定量化する、単一ビット値またはマルチビット値を含むことができる。他の例では、生のセンサデータをより多いまたはより少ない程度、制御データに含めることも可能であろう。
【0064】
ブロック5003で、制御データはMEシステムのノードに送信される。例えば、制御データは、セルラーネットワークの無線アクセスネットワークによって確立されるワイヤレスリンクを介して送信することができ、MEシステムは無線アクセスネットワークと関連付けられる。例えば、制御データは、1つもしくは複数のMEサーバおよび/またはME制御ノードに送信することができる。
【0065】
図10は、様々な実施例による方法のフローチャートである。例えば、図10による方法は、ME制御ノード210のプロセッサ2111によって、ならびに/またはMEサーバ201~203のプロセッサ2011によって実行されてもよい。
【0066】
ブロック5011で、MEシステムのMEアプリケーションの再配置が容易にされる。このため、ユーザエンゲージメントを示す制御データが考慮に入れられる。例えば、制御データは、図9の実施例による方法によって得られてもよい。別の方法として、またはそれに加えて、制御データはブロック5011の前に決定されてもよい。これには、例えば、MEサーバ201~203などにおいて、例えばMEアプリケーションの実行の計算負荷をモニタリングすることを伴ってもよい。例えば、計算負荷から導き出されたかかる情報が、やはりMEアプリケーションを実行し、また例えば図9の実施例の方法にしたがって制御データを提供する端末から受信した、更なる制御データと組み合わされてもよい。
【0067】
ブロック5011におけるMEアプリケーションの再配置を容易にすることは、様々な形態を取ることができる。例えば、ブロック5011において再配置を容易にすることは、制御データをME制御ノード210に送信することを伴ってもよい。例えば、ブロック5011において再配置を容易にすることは、再配置を始動するコマンドメッセージを、1つもしくは複数のMEサーバ201~203および/または端末130に送信することを伴ってもよい。ここで、再配置を低減されたユーザエンゲージメントの特定のある時点と同期させる、タイミング情報を含めることができる。
【0068】
図11は、様々な実施例による方法のフローチャートである。例えば、図11による方法は、MEサーバ201~203のプロセッサ2011によって実行されてもよい。ブロック5021で、更なる制御データが端末から受信される。端末はまた、MEアプリケーションを実行する。更なる制御データは、MEアプリケーションにおけるユーザエンゲージメントを示す。例えば、ブロック5021で受信された更なる制御データは、図19の実施例の方法にしたがって決定されてもよい。
【0069】
次に、ブロック5022で、MEアプリケーションの実行の計算負荷がモニタリングされる。それにより、ユーザエンゲージメントの追加の尺度が得られる。そのため、ブロック5023で、ブロック5022から導き出された計算負荷、ブロック5021で受信された更なる制御データの両方に基づいて、ユーザエンゲージメントを示す制御データを決定することができる。これは、ユーザエンゲージメントを示す観測量を提供する複数のソースの融合に対応してもよい。ユーザエンゲージメントのより正確な尺度を導き出すことができる。
【0070】
最後に、ブロック5024で、制御データがME制御ノードに送信される。これにより、制御データを再配置のヒントとして提供することによって、MEアプリケーションの再配置が容易にされる。再配置が実行されるべきかの最終決定はME制御ノードに残され、制御データを決定基準に追加することができる。
【0071】
図12は、様々な実施例による方法のフローチャートである。例えば、図12による方法は、ME制御ノード210のプロセッサ2111によって実行されてもよい。
【0072】
ブロック5031で、ユーザエンゲージメントを示す制御データが受信される。例えば、ブロック5031の制御データは、図11の実施例による方法によって、ならびに/または図9の実施例による方法によって得られてもよい。そのため、ブロック5031で受信される制御データは、MEアプリケーションを現在実行しているMEサーバ201~203に常駐している論理に基づいて、ならびに/またはMEアプリケーションを現在実行している端末130に常駐している論理に基づいて決定されてもよい。
【0073】
次に、ブロック5032で、再配置を始動するかの決定を行うことができる。ブロック5032で、ブロック5031で受信した制御データを考慮に入れることができる。任意選択で、更なる決定基準を考慮することができる。
【0074】
再配置が実施される場合、ブロック5033で対応するコマンドメッセージを送信することができる。コマンドメッセージは再配置を始動させる。そのため、ブロック5033はまた再配置を容易にする。
【0075】
上記を要約すると、MEサーバの再配置を決定する際にユーザの挙動を考慮することを可能にする技法について記載してきた。これにより、再配置中のユーザの経験を最適化し改善することができる。一例は、MEアプリケーションにおけるユーザエンゲージメントの程度を計測することであろう。ここで、端末におけるMEアプリケーションのGUIと関連付けられたタッチイベントの量、端末におけるMEアプリケーションのGUIに対する視線の配向、端末における環境音、MEアプリケーションのGUIに対する端末のオペレーティングシステムのウィンドウフォーカスなどを含むがそれらに限定されない、様々な観測量を考慮することができ、端末および/またはソースMEサーバにおけるMEアプリケーションの実行の計算負荷を考慮することも可能であろう。また、実行されている間のMEアプリケーションの実行時間パラメータを考慮することができる。
【0076】
更に、端末、MEサーバ、およびME制御ノードの間での信号伝送スキームを実装することができる、上述の技法について記載してきた。かかる信号伝送スキームは、ユーザエンゲージメントを示す制御データの信号伝送を含む。それにより、再配置に対する決定を行う際に、ユーザエンゲージメントの報告をME制御ノードによって考慮することができる。そのため、制御データは、再配置のヒント/再配置の推奨を実装することができる。例えば、かかる制御データは、端末からMEサーバに送り、次にME制御ノードにカスケードすることができる。ここで、例えば、異なる観測量を融合する技法によって、MEサーバが制御データを修正し、ユーザエンゲージメントに対する追加の情報を追加することが可能である。例えば、端末側の測定規準およびサーバ側の測定規準を融合して単一の測定規準とすることができる。また、異なる測定規準が端末およびMEサーバの両方に対して含まれることが可能であろう。
【0077】
本発明を特定の好ましい実施例に関して図示し記載してきたが、本明細書を読み理解することによって、等価物および修正が当業者に想起される。本発明は、全てのかかる等価物および修正を含み、添付の特許請求の範囲によってのみ限定される。
【0078】
例えば、いくつかの実施例では、ME制御ノードは別個のエンティティとして示されているが、他の実施例では、ME制御ノードはMEサーバにおいて実装されてもよい。
【0079】
例えば、セルラーネットワークに関連して上述の様々な技法について記載してきたが、一般に、技法はネットワークの他の種類およびタイプに容易に適用されてもよいことが理解されるべきである。実施例は802.11xのWi-Fiプロトコルを含む。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12