(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-15
(45)【発行日】2022-02-21
(54)【発明の名称】増強された特性を有するミクロフィブリル化セルロースおよびその製造方法
(51)【国際特許分類】
D21H 11/18 20060101AFI20220214BHJP
D21H 19/34 20060101ALI20220214BHJP
D21H 19/52 20060101ALI20220214BHJP
C08B 15/08 20060101ALI20220214BHJP
【FI】
D21H11/18
D21H19/34
D21H19/52
C08B15/08
(21)【出願番号】P 2019556187
(86)(22)【出願日】2018-04-20
(86)【国際出願番号】 IB2018000518
(87)【国際公開番号】W WO2018193314
(87)【国際公開日】2018-10-25
【審査請求日】2019-12-26
(32)【優先日】2017-04-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】516341914
【氏名又は名称】ファイバーリーン テクノロジーズ リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100202751
【氏名又は名称】岩堀 明代
(74)【代理人】
【識別番号】100191086
【氏名又は名称】高橋 香元
(72)【発明者】
【氏名】ウィンドバンク,マーク
(72)【発明者】
【氏名】スクセ,デイヴィッド
(72)【発明者】
【氏名】モッツィ,タファズワ
(72)【発明者】
【氏名】テリエ,ギヨーム
【審査官】川口 裕美子
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-002135(JP,A)
【文献】特開2008-169497(JP,A)
【文献】特表2016-515170(JP,A)
【文献】特開昭58-206601(JP,A)
【文献】国際公開第2014/024876(WO,A1)
【文献】特表2012-525448(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第103275336(CN,A)
【文献】国際公開第2013/183007(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D21H 11/18
D21H 19/34
D21H 19/52
C08B 15/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
脱水された、部分的に乾燥された、または本質的に乾燥されたミクロフィブリル化セルロースを再分散させるための方法であって:
(a)ある量の好適な分散液を少なくとも第1および第2の入口および出口を有する槽に添加する工程であって、前記槽は、ミキサおよび前記出口に取り付けられたポンプをさらに含む、工程;
(b)ある量の脱水された、部分的に乾燥された、または本質的に乾燥されたミクロフィブリル化セルロースを前記槽に、前記第1の入口を介して、十分な量で添加し、0.5~5%繊維固体という所望の固体濃度の、ミクロフィブリル化セルロースの液体組成物を得る工程;
(c)前記分散液および前記脱水された、部分的に乾燥された、または本質的に乾燥されたミクロフィブリル化セルロースを前記槽中で前記ミキサを用いて混合し、前記ミクロフィブリル化セルロースを部分的に解凝集および再分散させ、流動性スラリーを形成させる工程;
(d)前記流動性スラリーを、前記ポンプを用いてフローセルの入口にポンピングする工程であって、前記フローセルは再循環ループおよび連続する1つ以上の超音波処理プローブおよび少なくとも第1および第2の出口を含み、前記フローセルの第2の出口は前記槽の第2の入口に連結され、これにより、超音波エネルギーの前記スラリーへの所望の期間の間および/または総エネルギー入力範囲での連続適用を提供する連続再循環ループが提供され、前記フローセルは、再循環されるスラリーの背圧を生成させるために前記第2の出口に加減弁を含み、さらに、工程(c)のミクロフィブリル化セルロースを含む液体組成物は、1~4barの背圧および20℃~50℃の温度にて前記再循環ループを介して連続して再循環される、工程;
(e)前記スラリーに200~10,000kWh/tの超音波エネルギー入力を適用する工程であり、
前記超音波エネルギー入力は超音波処理プローブにより適用され、
前記超音波処理プローブによる超音波エネルギー入力は、19~100kHzの周波数範囲で行われ、
前記超音波処理プローブによる超音波エネルギー入力は、1~120分間行われ、
前記超音波処理プローブによる超音波エネルギー入力は、使用される超音波処理器の物理的限界に対して40%まで、60%まで、80%まで、または100%までの振幅で行われる工程;
(f)増強された引張強さおよび/または粘度特性を有するミクロフィブリル化セルロースを含む再分散された懸濁液を、フローセルの第1の出口から、好適な保持容器中で回収する工程
を含む、方法。
【請求項2】
前記脱水された、部分的に乾燥された、または本質的に乾燥されたミクロフィブリル化セルロース組成物は、少なくとも1つの無機微粒子材料をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記分散液は水である、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記超音波エネルギー入力は1,000kWh/t~2,000kWh/tである、請求項1または2に記載の方法。
【請求項5】
前記超音波エネルギー入力は200kWh/t~400kWh/tである、請求項1または2に記載の方法。
【請求項6】
前記フローセルは、前記ミクロフィブリル化セルロースの懸濁液の温度を20℃~50℃の範囲に維持するための冷却ジャケットを有する、請求項1または2に記載の方法。
【請求項7】
前記温度は室温である、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記温度は20℃である、請求項6に記載の方法。
【請求項9】
再循環される液体の背圧は3barである、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記フローセルは、前記少なくとも1つの超音波処理プローブの振幅を機械的に増加または減少させるために、1つ以上のブースターをさらに含む、請求項1または2に記載の方法。
【請求項11】
前記ミクロフィブリル化セルロースの液体組成物は0.5%~
5%繊維固体である、請求項1または2に記載の方法。
【請求項12】
前記ミクロフィブリル化セルロースの液体組成物は1.5%繊維固体である、請求項1または2に記載の方法。
【請求項13】
前記ミクロフィブリル化セルロースの液体組成物は1.8%繊維固体である、請求項1または2に記載の方法。
【請求項14】
前記ミクロフィブリル化セルロースの液体組成物は2.5%繊維固体である、請求項1または2に記載の方法。
【請求項15】
前記槽に添加される前記脱水された、部分的に乾燥された、または本質的に乾燥されたミクロフィブリル化セルロースはペレット化される、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
前記槽に添加される前記脱水された、部分的に乾燥された、または本質的に乾燥されたミクロフィブリル化セルロースと前記無機微粒子材料とを含むミクロフィブリル化セルロース組成物はペレット化される、請求項2に記載の方法。
【請求項17】
前記超音波エネルギーは30分間適用される、請求項1に記載の方法。
【請求項18】
前記超音波エネルギーは200kWh/t超の特定の超音波エネルギー入力が達成されるまで適用される、請求項1または2に記載の方法。
【請求項19】
前記超音波エネルギーは400kWh/t超の特定の超音波エネルギー入力が達成されるまで適用される、請求項1に記載の方法。
【請求項20】
前記超音波エネルギーは500kWh/tの超音波エネルギー入力が達成されるまで適用される、請求項1または2に記載の方法。
【請求項21】
前記超音波エネルギーは1,000kWh/tの超音波エネルギー入力が達成されるまで適用される、請求項1または2に記載の方法。
【請求項22】
前記超音波エネルギーは1,500kWh/tの超音波エネルギー入力が達成されるまで適用される、請求項1または2に記載の方法。
【請求項23】
前記超音波エネルギーは2,000kWh/tの超音波エネルギー入力が達成されるまで適用される、請求項1または2に記載の方法。
【請求項24】
前記超音波エネルギーは2,500kWh/tの超音波エネルギー入力が達成されるまで適用される、請求項1または2に記載の方法。
【請求項25】
前記再循環ループは高せん断ミキサをさらに含む、請求項1または2に記載の方法。
【請求項26】
前記ミクロフィブリル化セルロースを含む液体組成物は30~120分間再循環される、請求項1に記載の方法。
【請求項27】
前記ミクロフィブリル化セルロースを含む液体組成物は30分間再循環される、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記ミクロフィブリル化セルロースを含む液体組成物は30~120分間再循環される、請求項2に記載の方法。
【請求項29】
前記ミクロフィブリル化セルロースを含む液体組成物は30分間再循環される、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
超音波処理はパルスモードで実行される、請求項1または2に記載の方法。
【請求項31】
前記流動性スラリーは、超音波処理前に、半(部分)乾燥生成物であるベルトプレスケーキに形成される、請求項1または2に記載の方法。
【請求項32】
前記ミクロフィブリル化セルロースは化学パルプ、またはケミサーモメカニカルパルプ、または機械パルプ、または再生パルプ、または損紙パルプ、または紙工場廃水流、または紙工場からの廃棄物、またはそれらの組み合わせから調製され得る、請求項1に記載の方法。
【請求項33】
前記無機微粒子材料はアルカリ土類金属炭酸塩または硫酸塩、例えば炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ドロマイト、セッコウ、含水カンダイト粘土、例えばカオリン、ハロイサイトまたはボールクレー、無水(か焼)カンダイト粘土、例えばメタカオリンまたは完全か焼カオリン、タルク、雲母、パーライトもしくは珪藻土、またはそれらの組み合わせである、請求項2に記載の方法。
【請求項34】
前記ミクロフィブリル化セルロースは、化学パルプ、またはケミサーモメカニカルパルプ、または機械パルプ、または再生パルプ、または損紙パルプ、または紙工場廃水流、または紙工場からの廃棄物、またはそれらの組み合わせから調製され得る、請求項2に記載の方法。
【請求項35】
前記無機微粒子材料はアルカリ土類金属炭酸塩、例えば、炭酸カルシウムである、請求項2に記載の方法。
【請求項36】
前記無機微粒子材料はカオリンである、請求項2に記載の方法。
【請求項37】
前記方法により得られた、増強された粘度および引張強さ特性を有するミクロフィブリル化セルロースおよび無機微粒子材料を含む前記水性懸濁液は紙を製造する、または紙をコーティングする方法、塗料およびコーティング、インク、油田化学薬品、複合物、消費者製品、化粧品、薬理学的製品および食品において使用するのに好適である、請求項1または2に記載の方法。
【請求項38】
前記方法は前記超音波処理工程の前後のいずれかで高せん断混合、均質化およびリファイニングの1つ以上をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、脱水された、部分的に乾燥されたおよび乾燥された、ミクロフィブリル化セルロースの組成物、ならびにミクロフィブリル化セルロースおよび無機微粒子材料の組成物を、これを含む液体組成物中に、超音波エネルギーを脱水された、部分的に乾燥されたおよび乾燥された、ミクロフィブリル化セルロースの組成物、またはミクロフィブリル化セルロースおよび無機微粒子材料の組成物のそのような液体組成物に適用することにより、再分散および解凝集させる方法に関する。本発明はまた、紙を製造する、または紙をコーティングする方法において使用するのに好適な、増強された粘度および引張強さ特性を有する、ミクロフィブリル化セルロース、および任意で、無機微粒子材料を含む水性懸濁液を調製すること、および、そのような水性懸濁液から製造される充填紙およびコート紙に関する。
【背景技術】
【0002】
ミクロフィブリル化セルロースおよび任意で、無機微粒子材料、例えば、アルカリ土類金属炭酸塩(例えば、炭酸カルシウム)またはカオリンは、多くの用途で広く使用されている。これらは、ミクロフィブリル化セルロース、および任意で、鉱物を含む組成物の生成を含み、これは紙の製造および/または紙コーティングにおいてフィラーとして使用され得る。紙およびコート紙製品においては、そのようなフィラーは典型的には、紙および/またはコート紙製品の他のより高価な成分の一部に取って代わるように添加される。フィラーはまた、紙および/またはコート紙製品の物理的、機械的、および/または光学的要求を改変する目的で添加され得る。明らかに、含めることができるフィラーの量が大きくなるほど、経費節約の可能性が大きくなる。しかしながら、添加されるフィラーの量および関連する経費節約は最終紙製品またはコート紙製品の物理的、機械的、および光学的要求に対して、バランスがとられなければならない。よって、そのような紙および/またはコート紙製品の物理的、機械的および/または光学的要求に悪影響を及ぼすことなく、高い投入レベルで使用することができる紙および紙コーティングのための改善されたフィラーを開発することが継続して必要とされる。そのようなフィラーを経済的に調製するための方法の開発もまた必要とされる。
【0003】
本発明は、紙および/またはコート紙製品にかなり高い投入レベルで組み入れることができる一方で、紙および/またはコート紙製品の物理的、機械的および/または光学特性を維持する、またはさらに改善する、紙および/またはコート紙製品のための、別の、および/または改善されたフィラーを提供しようと努めている。本発明はまた、そのようなフィラーを調製するための経済的な方法を提供しようと努めている。そのようなものとして、本発明者らは、驚いたことに、ミクロフィブリル化セルロース、および任意で、無機微粒子材料を含むフィラーは経済的な方法により調製することができ、紙製品および/またはコート紙製品中にかなり高いレベルで投入させることができ、その一方、最終紙製品の物理的、機械的および/または光学特性を維持する、またはさらに改善することができることを見いだした。ミクロフィブリル化セルロースの懸濁液、または少なくとも1つの無機微粒子材料を含むミクロフィブリル化セルロース懸濁液への超音波エネルギーの適用は驚いたことに、改善された引張強さおよび/または増強された粘度特性を有するそのような懸濁液を効率的に生成させることが見いだされている。
【0004】
さらに、本発明は、ミクロフィブリル化セルロースならびにミクロフィブリル化セルロースおよび無機微粒子材料の組成物を、経済的に工業規模で調製するという問題に取り組もうと努めている。セルロース材料ならびにミクロフィブリル化セルロースおよび無機微粒子材料をミクロフィブリル化する現在の方法は、一部には、開始材料およびミクロフィブリル化されたものを含む製品のかなり高い粘度のために、かなり高い量のエネルギーを必要とし、ミクロフィブリル化セルロースを工業規模で調製するための商業的に実現可能なプロセスは、これまで理解しづらいことが示されていた。
【0005】
加えて、本発明は、脱水した、部分的に乾燥された、または本質的に乾燥された、ミクロフィブリル化セルロース組成物またはミクロフィブリル化セルロースと無機微粒子状物質の組成物を、液体媒質中に、任意で無機微粒子材料以外の添加物の存在下、および/または、無機微粒子材料の組み合わせの存在下で、再分散させるという問題に取り組もうと努めている。添加物および/または無機微粒子材料の組み合わせは、例えば、再分散されたミクロフィブリル化セルロースまたはミクロフィブリル化セルロースと無機微粒子材料の組成物の機械的および/または物理的特性を増強させることができる。本発明はさらに、再分散されたミクロフィブリル化セルロース、および任意で、無機微粒子材料を含む組成物、ならびに再分散されたミクロフィブリル化セルロースおよび、任意で、無機微粒子材料の物品、生成物または組成物における使用に関する。問題に対する解決策は、本明細書で記載されるミクロフィブリル化セルロースの組成物、またはミクロフィブリル化セルロースおよび少なくとも1つの無機微粒子材料の組成物の再分散において超音波エネルギーを適用するものである。
【発明の概要】
【0006】
第1の態様によれば、本発明は、脱水された、部分的に乾燥された、または本質的に乾燥されたミクロフィブリル化セルロースを再分散させるための方法に関し、方法は下記工程を含む:
(a)ある量の好適な分散液(例えば、水)を少なくとも1つの入口および出口を有する槽に添加する工程であって、槽は、ミキサおよび出口に取り付けられたポンプをさらに含む、工程;
(b)ある量の脱水された、部分的に乾燥された、または本質的に乾燥されたミクロフィブリル化セルロースを槽に、少なくとも1つの入口を介して、十分な量で添加し、所望の固体濃度の、ミクロフィブリル化セルロースの液体組成物を得る工程;
(c)分散液および脱水された、部分的に乾燥された、または本質的に乾燥されたミクロフィブリル化セルロースを槽中でミキサを用いて混合し、ミクロフィブリル化セルロースを部分的に解凝集および再分散させ、流動性スラリーを形成させる工程;
(d)流動性スラリーを、ポンプを用いてフローセルの入口にポンピングする工程であって、フローセルは連続する1つ以上の超音波処理プローブおよび少なくとも1つの出口を含む、工程;
(e)スラリーに少なくとも200kWh/tの超音波エネルギーを連続して超音波処理プローブにより19~100kHzの周波数範囲で適用する工程;
(f)増強された引張強さおよび/または粘度特性を有するミクロフィブリル化セルロースを含む再分散された懸濁液を、フローセルの少なくとも1つの出口から、好適な保持容器中で回収する工程。
【0007】
第2の態様によれば、本発明は、脱水された、部分的に乾燥された、または本質的に乾燥されたミクロフィブリル化セルロースを再分散させるための方法に関し、方法は下記工程を含む:
(a)ある量の好適な分散液を少なくとも1つの入口および出口を有する槽に添加する工程であって、槽は、ミキサおよび出口に取り付けられたポンプをさらに含む、工程;
(b)ある量の脱水された、部分的に乾燥された、または本質的に乾燥されたミクロフィブリル化セルロースを槽に、少なくとも1つの入口を介して、十分な量で添加し、所望の固体濃度の、ミクロフィブリル化セルロースの液体組成物を得る工程;
(c)分散液および脱水された、部分的に乾燥された、または本質的に乾燥されたミクロフィブリル化セルロースを槽中でミキサを用いて混合し、ミクロフィブリル化セルロースを部分的に解凝集および再分散させ、流動性スラリーを形成させる工程;
(d)流動性スラリーを、ポンプを用いてフローセルの入口にポンピングする工程であって、フローセルは連続する1つ以上の超音波処理プローブおよび第1の出口を含み;フローセルの第2の出口は槽の第2の入口に連結され、これにより、超音波エネルギーのスラリーへの所望の期間の間および/または総エネルギー入力範囲での連続適用を提供する連続再循環ループが提供される工程;
(e)スラリーに少なくとも200kWh/tの超音波エネルギーを連続して超音波処理プローブにより19~100kHzの周波数範囲で適用する工程;
(f)増強された引張強さおよび/または粘度特性を有するミクロフィブリル化セルロースを含む再分散された懸濁液をフローセルの第1の出口から好適な保持容器中で回収する工程。
【0008】
第3の態様によれば、本発明は、第1および第2の態様のプロセスに関し、脱水された、部分的に乾燥された、または本質的に乾燥されたミクロフィブリル化セルロース組成物は、少なくとも1つの無機微粒子材料をさらに含む。
【0009】
本発明の第1、第2または第3の態様の一実施形態では、累積超音波エネルギー入力は、約1,000kWh/t~約10,000kWh/tまたは約1,000kWh/t~約2,000kWh/t、または約2,000kWh/t~約3,000kWh/tであり得る。
【0010】
本発明の第1、第2または第3の態様の一実施形態では、フローセルは、ミクロフィブリル化セルロースの懸濁液の温度を約1℃~約80℃、または約20℃~約50℃の範囲で、または室温、もしくは約20℃で維持するための冷却ジャケットを含む。
【0011】
本発明の第1、第2または第3の態様の一実施形態では、フローセルは第2の出口に加減弁を含み、約0~約10bar、または約0~約4bar、好ましくは約3barの再循環される液体の背圧を生成させる。
【0012】
本発明の第1、第2または第3の態様の一実施形態では、フローセルは、少なくとも1つの超音波処理プローブの振幅を機械的に増加または減少させるために、1つ以上のブースターをさらに含む。
【0013】
本発明の第1および第2の態様の一実施形態では、ミクロフィブリル化セルロースの液体組成物は約0.5%~約10%、または約0.5%~5%繊維固体であり、第3の態様の一実施形態では、ミクロフィブリル化セルロースおよび無機微粒子材料の液体組成物は約0.5%~約10%、または約0.5%~5%繊維固体である。
【0014】
本発明の第1、第2および第3の態様の一実施形態では、超音波エネルギーは、約1~約120分、または約1~約90分、または約1~約75分、または約1~約60分、または約1~約45分または約1~約30分間適用される。
【0015】
本発明の第1および第2の態様の一実施形態では、ミクロフィブリル化セルロースはペレット化されてもよく、第3の態様では、ミクロフィブリル化セルロースおよび無機微粒子材料はペレット化されてもよい。
【0016】
本発明の第1、第2および第3の態様の一実施形態では、超音波エネルギーは特定の累積エネルギー入力が達成されるまで適用され得る。追加の実施形態では、累積エネルギー入力は、200kWh/t超、400kWh/t超、または500kWh/t超、または1,000kWh/t超、または1,500kWh/t超、または2,000kWh/t超、または2,500kWh/t超、または3,000kWh/t超、または4,000kWh/t超、または5,000kWh/t超、または6,000kWh/t超、または7,000kWh/t超、または200kWh/t~10,000kWh/t、または約200kWh/t~5,000kWh/t、または約200kWh/t~4,000kWh/t、または約200kWh/t~3,000kWh/t、または約200kWh/t~2,000kWh/tであってもよい。
【0017】
本発明の第2および第3の態様の一実施形態では、再循環ループは高せん断ミキサを含み得る。
【0018】
本発明の第1、第2および第3の態様の一実施形態では、ミクロフィブリル化セルロースの懸濁液ならびにミクロフィブリル化セルロースおよび無機微粒子材料の懸濁液についてのFLT指数は、本明細書において開示される方法により、7.5Nm/g以上、7.5Nm/g以上、8Nm/g以上、8.5Nm/g以上、9Nm/g以上、9.5Nm/g以上、10Nm/g以上、10.5Nm/g以上、11Nm/g以上、11.5Nm/g以上、12Nm/g以上、12.5Nm/g以上、13Nm/g以上、13.5Nm/g以上、14Nm/g以上、14.5Nm/g以上、または15Nm/g以上に到達し得る。
【0019】
本発明の第1、第2および第3の態様の一実施形態では、FLT指数は、スラリーまたは懸濁液への超音波エネルギー処理の適用なしで生成されたミクロフィブリル化セルロースまたはミクロフィブリル化セルロースおよび無機微粒子材料の懸濁液と比べて、約5%、約6%、約7%、約7.5%、約8%、約9%、約10%、約12.5%、約15%もしくは約20%、またはそれ以上だけ改善され得る。
【0020】
本発明の第1、第2および第3の態様の一実施形態では、粘度は、スラリーまたは懸濁液への超音波エネルギー処理の適用なしで生成されたミクロフィブリル化セルロースまたはミクロフィブリル化セルロースおよび無機微粒子材料の懸濁液と比べて、約5%、約6%、約7%、約7.5%、約8%、約9%、約10%、約12.5%、約15%もしくは約20%、またはそれ以上だけ改善され得る。
【0021】
本発明の第1、第2および第3の態様の実施形態では、ミクロフィブリル化セルロースは、化学パルプ、またはケミサーモメカニカルパルプ、または機械パルプ、または再生パルプ、または損紙パルプ、または紙工場廃水流、または紙工場からの廃棄物、またはそれらの組み合わせから調製され得る。
【0022】
本発明の第3の態様の実施形態では、無機微粒子材料は、アルカリ土類金属炭酸塩または硫酸塩、例えば炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ドロマイト、セッコウ、含水カンダイト(kandite)粘土、例えばカオリン、ハロイサイトまたはボールクレー、無水(か焼)カンダイト粘土、例えばメタカオリンまたは完全か焼カオリン、タルク、雲母、パーライトまたは珪藻土、またはそれらの組み合わせを含み得る。ある一定の実施形態では、炭酸カルシウムおよび/またはカオリンが特に好ましい。
【0023】
本発明の第1および第2の態様の実施形態では、方法により得られた、増強された粘度および引張強さ特性を有するミクロフィブリル化セルロースの懸濁液は、紙を製造する、または紙をコーティングする方法、塗料およびコーティング、インク、油田化学薬品、複合物、消費者製品、化粧品、薬理学的製品および食品において使用するのに好適である。
【0024】
本発明の第3の態様の実施形態では、方法により得られた増強された粘度および引張強さ特性を有するミクロフィブリル化セルロースおよび無機微粒子材料の懸濁液は、紙を製造する、または紙をコーティングする方法、塗料およびコーティング、インク、油田化学薬品、複合物、消費者製品、化粧品、薬理学的製品および食品において使用するのに好適である。
【0025】
第4の態様によれば、本発明は、脱水された、部分的に乾燥された、または本質的に乾燥されたミクロフィブリル化セルロースを再分散させるための方法に関し、方法は下記工程を含む:
(a)ある量の好適な分散液(例えば、水)を密閉槽に添加する工程であって、槽は入口および第1の入口および第1の出口を含むポンプに連結された出口、ならびに第2の入口および第2の出口を含み、少なくとも1つの超音波処理プローブをさらに含むフローセルを含み、これにより、閉じた再循環ループが形成される工程;
(b)ある量の脱水された、部分的に乾燥された、または本質的に乾燥されたミクロフィブリル化セルロースを槽に十分な量で添加し、所望の固体濃度の、ミクロフィブリル化セルロースの液体組成物を得る工程であって;
工程(b)のミクロフィブリル化セルロースを含む液体組成物は再循環ループを介して連続して再循環される工程;
(c)少なくとも200kWh/tの超音波エネルギーを断続的にまたは連続して、超音波処理プローブにより20~100Hzの周波数範囲で、ミクロフィブリル化セルロースの液体組成物に適用し、
これにより、引張強さおよび/または粘度特性を有する、ミクロフィブリル化セルロースを含む再分散された懸濁液が形成される工程。
【0026】
第5の態様によれば、本発明は、脱水された、部分的に乾燥された、または本質的に乾燥されたミクロフィブリル化セルロースおよび無機微粒子材料を再分散させるための方法に関し、方法は下記工程を含む:
(a)ある量の好適な分散液(例えば、水)を密閉槽に添加する工程であって、槽は入口および第1の入口および第1の出口を含むポンプに連結された出口、ならびに第2の入口および第2の出口を含み、少なくとも1つの超音波処理プローブをさらに含むフローセルを含み、これにより、閉じた再循環ループが形成される工程;
(b)ある量の脱水された、部分的に乾燥された、または本質的に乾燥されたミクロフィブリル化セルロースおよび無機微粒子材料を槽に十分な量で添加し、所望の固体濃度の、ミクロフィブリル化セルロースの液体組成物を得る工程であって;
工程(b)のミクロフィブリル化セルロースおよび無機微粒子材料を含む液体組成物は再循環ループを介して連続して再循環される、工程;
(c)少なくとも200kWh/tの超音波エネルギーを断続的にまたは連続して、超音波処理プローブにより20~100Hzの周波数範囲で、ミクロフィブリル化セルロースおよび無機微粒子材料の液体組成物に適用し、
これにより、引張強さおよび/または粘度特性を有する、ミクロフィブリル化セルロースおよび無機微粒子材料を含む再分散された懸濁液が形成される工程。
【0027】
本発明の第4または第5の態様の一実施形態では、累積エネルギー入力は200kWh/t超、400kWh/t超、または500kWh/t超、または1,000kWh/t超、または1,500kWh/t超、または2,000kWh/t超、または2,500kWh/t超、または3,000kWh/t超、または4,000kWh/t超、または5,000kWh/t超、または6,000kWh/t超、または7,000kWh/t超、または200kWh/t~10,000kWh/t、または約200kWh/t~5,000kWh/t、または約200kWh/t~4,000kWh/t、または約200kWh/t~3,000kWh/t、または約200kWh/t~2,000kWh/tであってもよい。
【0028】
本発明の第4または第5の態様の一実施形態では、フローセルはミクロフィブリル化セルロースの懸濁液の温度を約1℃~約80℃、または約20℃~約50℃の範囲で、または室温、もしくは約20℃で維持するための冷却ジャケットを含む。
【0029】
本発明の第4または第5の態様の一実施形態では、フローセルは第2の出口に加減弁を含み、約0~約10bar、または約0~約4bar、好ましくは約3barの再循環される液体の背圧を生成させる。
【0030】
本発明の第4または第5の態様の一実施形態では、フローセルは、少なくとも1つの超音波処理プローブの振幅を機械的に増加または減少させるために、1つ以上のブースターをさらに含む。
【0031】
本発明の第4または第5の態様の一実施形態では、ミクロフィブリル化セルロースの液体組成物は約0.5%~約10%、または約0.5%~5%繊維固体であり、第3の態様の一実施形態では、ミクロフィブリル化セルロースおよび無機微粒子材料の液体組成物は約0.5%~約10%、または約0.5%~5%繊維固体である。
【0032】
本発明の第4または第5の態様の一実施形態では、超音波エネルギーは約1~約120分、または約1~約90分、または約1~約75分、または約1~約60分、または約1~約45分または約1~約30分間適用される。
【0033】
本発明の第4の態様の一実施形態では、ミクロフィブリル化セルロースはペレット化されてもよく、第5の態様では、ミクロフィブリル化セルロースおよび無機微粒子材料はペレット化されてもよい。
【0034】
本発明の第4または第5の態様の一実施形態では、再循環ループは高せん断ミキサを含み得る。
【0035】
本発明の第4または第5の態様の一実施形態では、ミクロフィブリル化セルロースの懸濁液ならびにミクロフィブリル化セルロースおよび無機微粒子材料の懸濁液についてのFLT指数は、本明細書において開示される方法により、7.5Nm/g以上、7.5Nm/g以上、8Nm/g以上、8.5Nm/g以上、9Nm/g以上、9.5Nm/g以上、10Nm/g以上、10.5Nm/g以上、11Nm/g以上、11.5Nm/g以上、12Nm/g以上、12.5Nm/g以上、13Nm/g以上、13.5Nm/g以上、14Nm/g以上、14.5Nm/g以上、または15Nm/g以上に到達し得る。
【0036】
本発明の第4または第5の態様の一実施形態では、FLT指数は、スラリーまたは懸濁液への超音波エネルギー処理の適用なしで生成されたミクロフィブリル化セルロースまたはミクロフィブリル化セルロースおよび無機微粒子材料の懸濁液と比べて、約5%、約6%、約7%、約7.5%、約8%、約9%、約10%、約12.5%、約15%もしくは約20%、またはそれ以上改善され得る。
【0037】
本発明の第4または第5の態様の一実施形態では、粘度は、スラリーまたは懸濁液への超音波エネルギー処理の適用なしで生成されたミクロフィブリル化セルロースまたはミクロフィブリル化セルロースおよび無機微粒子材料の懸濁液と比べて、約5%、約6%、約7%、約7.5%、約8%、約9%、約10%、約12.5%、約15%もしくは約20%、またはそれ以上だけ改善され得る。
【0038】
本発明の第4または第5の態様の実施形態では、ミクロフィブリル化セルロースは、化学パルプ、またはケミサーモメカニカルパルプ、または機械パルプ、または再生パルプ、または損紙パルプ、または紙工場廃水流、または紙工場からの廃棄物、またはそれらの組み合わせから調製され得る。
【0039】
本発明の第5の態様の実施形態では、無機微粒子材料は、アルカリ土類金属炭酸塩または硫酸塩、例えば炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ドロマイト、セッコウ、含水カンダイト粘土、例えばカオリン、ハロイサイトまたはボールクレー、無水(か焼)カンダイト粘土、例えばメタカオリンまたは完全か焼カオリン、タルク、雲母、パーライトもしくは珪藻土、またはそれらの組み合わせを含み得る。ある一定の実施形態では、炭酸カルシウムおよび/またはカオリンが特に好ましい。
【0040】
本発明の第4の態様の実施形態では、方法により得られた増強された粘度および引張強さ特性を有するミクロフィブリル化セルロースの懸濁液は、紙を製造する、または紙をコーティングする方法、塗料およびコーティング、インク、油田化学薬品、複合物、消費者製品、化粧品、薬理学的製品および食品において使用するのに好適である。
【0041】
本発明の第5の態様の実施形態では、方法により得られた増強された粘度および引張強さ特性を有するミクロフィブリル化セルロースおよび無機微粒子材料の懸濁液は、紙を製造する、または紙をコーティングする方法、塗料およびコーティング、インク、油田化学薬品、複合物、消費者製品、化粧品、薬理学的製品および食品において使用するのに好適である。
【0042】
第6の態様によれば、本発明は、増強された粘度および引張強さ特性を有するミクロフィブリル化セルロースおよび無機微粒子材料を含む水性懸濁液を調製するための方法に関し、方法は、セルロースを含む繊維基材および無機微粒子材料を、水性環境において研削材あり、またはなしでミクロフィブリル化し、ミクロフィブリル化セルロース材料および無機微粒子材料を含む水性懸濁液を生成させる工程を含み、ミクロフィブリル化セルロースおよび無機微粒子材料を含む水性懸濁液を超音波処理に供し、増強された粘度および引張強さ特性を有するミクロフィブリル化セルロースおよび無機微粒子材料を含む水性懸濁液を生成させる工程をさらに含む。
【0043】
第7の態様によれば、本発明は、増強された粘度および引張強さ特性を有するミクロフィブリル化セルロースを含む水性懸濁液を調製するための方法に関し、方法は、セルロースを含む繊維基材を、水性環境において研削材の存在下でミクロフィブリル化し、ミクロフィブリル化セルロース材料を含む水性懸濁液を生成させる工程を含み、ミクロフィブリル化セルロースを含む水性懸濁液を超音波処理に供し、増強された粘度および引張強さ特性を有するミクロフィブリル化セルロースを含む水性懸濁液を生成させる工程をさらに含む。
【0044】
第8の態様によれば、本発明は、増強された粘度および引張強さ特性を有するミクロフィブリル化セルロースおよび無機微粒子材料を含む水性懸濁液を調製するための方法に関し、方法は、セルロースを含む繊維基材および無機微粒子材料を、水性環境において研削材あり、またはなしでミクロフィブリル化し、ミクロフィブリル化セルロースおよび無機微粒子材料を含む水性懸濁液を生成させる工程を含み、ミクロフィブリル化セルロースおよび無機微粒子材料を含む水性懸濁液を脱水工程(または脱水もしくは乾燥工程)に供し、部分的に乾燥された、または乾燥された(例えば、本質的に乾燥された)ミクロフィブリル化セルロースおよび無機微粒子材料の組成物を生成させる工程をさらに含み、すると、部分的に乾燥された、または本質的に乾燥されたミクロフィブリル化セルロースおよび無機微粒子材料の組成物が水性スラリーに再構築される(または製造される)と、そのような水性スラリーは、超音波処理工程を含む再分散を受け、増強された粘度および引張強さ特性を有するミクロフィブリル化セルロースおよび無機微粒子材料を含む水性懸濁液が生成される。
【0045】
第9の態様によれば、本発明は、増強された粘度および引張強さ特性を有するミクロフィブリル化セルロースを含む水性懸濁液を調製するための方法に関し、方法は、セルロースを含む繊維基材を、水性環境において、研削材あり、またはなしでミクロフィブリル化し、ミクロフィブリル化セルロースを含む水性懸濁液を生成させる工程を含み、ミクロフィブリル化セルロースを含む水性懸濁液を脱水工程(または脱水もしくは乾燥工程)に供し、ミクロフィブリル化セルロースの部分的に乾燥された、または乾燥された(例えば、本質的に乾燥された)組成物を生成させる工程をさらに含み、すると、部分的に乾燥された、または本質的に乾燥されたミクロフィブリル化セルロースおよび無機微粒子材料の組成物が水性スラリーに再構築される(または製造される)と、そのような水性スラリーは、超音波処理工程を含む再分散を受け、増強された粘度および引張強さ特性を有するミクロフィブリル化セルロースおよび無機微粒子材料を含む水性懸濁液が生成される。
【0046】
第10の態様によれば、本発明は、第6または第8の態様による方法により得られる紙または紙コーティングにおいてフィラーとして使用するのに好適なミクロフィブリル化セルロースを含む水性懸濁液に関する。
【0047】
第11の態様によれば、本発明は、第7または第9の態様による紙または紙コーティングにおいてフィラーとして使用するのに好適なミクロフィブリル化セルロースおよび無機微粒子材料を含む水性懸濁液に関する。
【0048】
第12の態様によれば、本発明は、第6または第8の態様の水性懸濁液を含む製紙用組成物に関する。
【0049】
第13の態様によれば、本発明は、第7または第9の態様の水性懸濁液を含む製紙用組成物に関する。
【0050】
第14の態様によれば、本発明は、第12または第13の態様の製紙用組成物から調製された紙製品に関する。
【0051】
第15の態様によれば、本発明は、第6または第8の態様のミクロフィブリル化セルロースおよび無機微粒子材料を含む水性懸濁液ならびに他の任意的な添加物を含む紙コーティング組成物に関する。
【0052】
第16の態様によれば、本発明は、第7または第9の態様のミクロフィブリル化セルロースを含む水性懸濁液ならびに他の任意的な添加物を含む紙コーティング組成物に関する。
【0053】
第17の態様によれば、本発明は、第6または第8の態様のミクロフィブリル化セルロースおよび無機微粒子材料を含む紙コーティング組成物でコートされた紙製品、例えば板紙に関する。
【0054】
第18の態様によれば、本発明は、第7または第9の態様のミクロフィブリル化セルロースを含む紙コーティング組成物でコートされた紙製品、例えば板紙に関する。
【0055】
第19の態様によれば、本発明は、下記を含む紙製品を製造するためのプロセスに関する:(i)セルロースを含む繊維基材を、紙製品を製造するのに好適なパルプの形態で得るまたは調製すること;(ii)工程(i)のパルプ、発明の第1または第2の態様による水性懸濁液、および他の任意的な添加物から製紙用組成物を調製すること;ならびに(iii)前記製紙用組成物から紙製品を形成させること。
【0056】
第20の態様によれば、本発明は、下記を含む紙製品を製造するためのプロセスに関する:(i)セルロースを含む繊維基材を、紙製品を製造するのに好適なパルプの形態で得るまたは調製すること;(ii)工程(i)のパルプ、発明の第7または第9の態様による水性懸濁液、および他の任意的な添加物から製紙用組成物を調製すること;ならびに(iii)前記製紙用組成物から紙製品を形成させること。
【0057】
第21の態様によれば、本発明は、下記を含む紙製品を製造するための統合プロセスに関する:(i)セルロースを含む繊維基材を、紙製品を製造するのに好適なパルプの形態で得るまたは調製すること;(ii)発明の第6または第8の態様の方法にしたがい、セルロースを含む前記繊維基材の一部をミクロフィブリル化し、ミクロフィブリル化および無機微粒子材料を含む水性懸濁液を調製すること;(iii)工程(i)のパルプ、工程(ii)で調製した水性懸濁液、および他の任意的な添加物から製紙用組成物を調製すること;ならびに(iv)前記製紙用組成物から紙製品を形成させること。
【0058】
第22の態様によれば、本発明は、下記を含む紙製品を製造するための統合プロセスに関する:(i)セルロースを含む繊維基材を、紙製品を製造するのに好適なパルプの形態で得るまたは調製すること;(ii)発明の第7または第9の態様の方法にしたがい、セルロースを含む前記繊維基材の一部をミクロフィブリル化し、ミクロフィブリル化セルロースを含む水性懸濁液を調製すること;(iii)工程(i)のパルプ、工程(ii)で調製した水性懸濁液、および他の任意的な添加物から製紙用組成物を調製すること;ならびに(iv)前記製紙用組成物から紙製品を形成させること。
【0059】
第23の態様によれば、本発明は、下記を含む紙製品を製造するための統合プロセスに関する:(i)セルロースを含む繊維基材を、紙製品を製造するのに好適なパルプの形態で得るまたは調製すること;(ii)発明の第6または第8の態様の方法にしたがい、セルロースを含む前記繊維基材の一部をミクロフィブリル化し、ミクロフィブリル化および無機微粒子材料を含む水性懸濁液を調製すること;(iii)工程(i)のパルプ、工程(ii)で調製した水性懸濁液、および他の任意的な添加物から製紙用組成物を調製すること;ならびに(iv)前記製紙用組成物から紙製品を形成させること。
【0060】
第24の態様によれば、本発明は、発明の第6または第8の態様による、ミクロフィブリル化セルロースを含む水性懸濁液の、製紙用組成物中のフィラーとしての使用に関する。
【0061】
第26の態様によれば、本発明は、紙コーティング組成物における発明の第6または第8の態様によるミクロフィブリル化セルロースおよび無機微粒子材料を含む水性懸濁液の使用に関する。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【
図1】本発明の方法にしたがい、重質炭酸カルシウム(GCC)を用いて調製したミクロフィブリル化セルロースのSEM顕微鏡写真である。
【
図2】ミクロフィブリル化セルロース(MFC)粘度についての超音波浴への暴露の効果を示す。
【
図3】FLT指数(Nm/g)についての超音波プローブへの暴露の効果を示す。
【
図4】ミクロフィブリル化セルロース(MFC)粘度についての超音波プローブへの暴露の効果を示す。
【
図5】ミクロフィブリル化セルロース(MFC)についてのパルス超音波への暴露の効果を示す。
【
図6】超音波処理に暴露されたミクロフィブリル化セルロース(MFC)についてのセラミック媒体汚染の効果を示す。
【
図7】50%パーセンテージのパルプ(POP)プレスケーキについての超音波処理の効果を示す。
【
図8】鉱物を含まないベルトプレスケーキについての高せん断および超音波処理の効果を示す。
【
図9】高固体乾式粉砕ベルトプレスケーキについての超音波処理の効果を示す。
【
図10】高固体乾式粉砕ベルトプレスケーキについての超音波処理の効果を示す。
【
図11】
図11A-
図11C。前に、乾燥され、ペレット化され、次いで再構成された、ミクロフィブリル化セルロースおよび無機微粒子材料の超音波再分散における、FLT指数(引張強さの尺度)、ミクロフィブリル化セルロースのd
50粒子サイズおよび平均電力引き出し(power draw)についての、超音波処理プローブ(超音波処理器)の様々なエネルギー入力での圧力レベルの効果を示す。
【
図12】
図12A-
図12C。前に、乾燥され、ペレット化され、次いで再構成された、ミクロフィブリル化セルロースおよび無機微粒子材料の再分散における、それぞれ、FLT指数、粘度および超音波処理の平均電力引き出しについての、超音波処理プローブ(超音波処理器)の様々なエネルギー入力での温度レベルの効果を示す。
【
図13】
図13A-
図13B。超音波処理プローブ(超音波処理器)の様々なエネルギー入力での、ミクロフィブリル化および無機微粒子材料組成物の超音波再分散の適用前の、それぞれ、FLT指数および粘度についての、異なる濃度の前に乾燥され、ペレット化され、再構成されたミクロフィブリル化セルロースおよび無機微粒子材料の組成物を製造する研究室高せん断ミキサを用いて処理する効果を示す。
【
図14】
図14A-
図14C。セルロース繊維および無機微粒子材料の液体スラリーを粉砕し、決して脱水または乾燥されていないミクロフィブリル化セルロースを生成させ、続いて、超音波処理プローブ(超音波処理器)の様々なエネルギー入力および処理時間でのスラリーの超音波後処理を実施する連続プロセスの、2つの濃度のミクロフィブリル化セルロースおよび無機微粒子材料のスラリーでの、それぞれ、FLT指数、ミクロフィブリル化セルロースのd
50粒子サイズおよび超音波処理プローブ(超音波処理器)の平均電力引き出しについての効果を示す。
【
図15】
図15A-
図15C。それぞれ、ミクロフィブリル化セルロースのFLT指数、粘度およびd
50粒子サイズについての、超音波処理プローブ(超音波処理器)による処理前に、3つの異なる繊維固体含量の、乾燥され、ペレット化されたミクロフィブリル化セルロースおよび無機微粒子材料の組成物を再分散させる(製造する)ためにパルパーおよびリファイナーを使用する効果を示す。
【
図16】
図16A-
図16B。それぞれ攪拌媒体デトリタ(detritor)中で粉砕することにより、および、攪拌媒体デトリタ中で粉砕し、続いてホモジナイザーに通過させることにより生成させ、次いで、様々なエネルギー入力での超音波処理を実施した、無機微粒子材料を有さないミクロフィブリル化セルロース組成物での、ミクロフィブリル化セルロースのFLT指数およびd
50粒子サイズについての超音波処理の後処理効果を示す。
【発明を実施するための形態】
【0063】
セルロースを含む繊維基材
セルロースを含む繊維基材は、任意の好適な起源、例えば木材、草(例えば、サトウキビ、竹)またはぼろ(例えば、繊維くず、綿、ヘンプまたは亜麻)由来とすることができる。セルロースを含む繊維基材はパルプの形態(すなわち、水中のセルロース繊維の懸濁液)とすることができ、それは任意の好適な化学的または機械的処理、またはそれらの組み合わせにより調製され得る。例えば、パルプは化学パルプ、またはケミサーモメカニカルパルプ、または機械パルプ、または再生パルプ、または紙工場損紙、または紙工場廃水流、または紙工場からの廃棄物、またはそれらの組み合わせとすることができる。セルロースパルプはビーティングされ得(例えば、Valleyビーターにおいて)および/またはそうでなければ、リファイニングされ得(例えば、コニカルまたはプレートリファイナーにおける処理)、カナダ標準ろ水度(CSF)としてcm3で当技術分野において報告される任意のあらかじめ決められたろ水度とされる。CSFは、パルプの懸濁液が濾水され得る速度により測定されるパルプのろ水度または濾水速度に対する値を意味する。例えば、セルロースパルプは、ミクロフィブリル化される前、約10cm3以上のカナダ標準ろ水度を有し得る。セルロースパルプは、約700cm3以下、例えば、約650cm3以下、または約600cm3以下、または約550cm3以下、または約500cm3以下、または約450cm3以下、または約400cm3以下、または約350cm3以下、または約300cm3以下、または約250cm3以下、または約200cm3以下、または約150cm3以下、または約100cm3以下、または約50cm3以下のCSFを有し得る。セルロースパルプは次いで、当技術分野でよく知られた方法により脱水され得、例えば、パルプは、少なくとも約10%固体、例えば少なくとも約15%固体、または少なくとも約20%固体、または少なくとも約30%固体、または少なくとも約40%固体を含むウエットシートを得るために、スクリーンに通して濾過され得る。パルプはリファイニングされていない状態で、すなわち、ビーティングまたは脱水されずに使用され得、または別様にリファイニングされ得る。
【0064】
セルロースを含む繊維基材は、粉砕容器またはホモジナイザーに乾燥状態で添加され得る。例えば、乾燥損紙はグラインダー容器に直接添加され得る。グラインダー容器内の水性環境は次いで、パルプの形成を促進する。
【0065】
無機微粒子材料
無機微粒子材料は、例えば、アルカリ土類金属炭酸塩または硫酸塩、例えば炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ドロマイト、セッコウ、含水カンダイト粘土、例えばカオリン、ハロイサイトまたはボールクレー、無水(か焼)カンダイト粘土、例えばメタカオリンまたは完全か焼カオリン、タルク、雲母、パーライトもしくは珪藻土、もしくは水酸化マグネシウム、もしくはアルミニウム三水和物、またはそれらの組み合わせとすることができる。
【0066】
本発明の第1の態様による方法において使用するために好ましい無機微粒子材料は炭酸カルシウムである。以後、発明は、炭酸カルシウムの観点から、炭酸カルシウムが加工され、および/または処理される態様に関連して記載される傾向があり得る。発明は、そのような実施形態に制限されるものと解釈されるべきではない。
【0067】
本発明で使用される微粒子炭酸カルシウムは天然源から粉砕により得られ得る。重質炭酸カルシウム(GCC)は典型的には、鉱物源、例えば白亜、大理石または石灰石を押し潰し、次いで粉砕することにより得られ、それらは続いて、所望の微粉度を有する生成物を得るために粒子サイズ分類工程を受け得る。他の技術、例えば漂白、浮選および磁選もまた、所望の微粉度および/または色を有する生成物を得るために使用され得る。微粒子固体材料は自発的に、すなわち固体材料自体の粒子間の摩擦により、あるいは、代わりに、粉砕される炭酸カルシウムとは異なる材料の粒子を含む微粒子粉砕媒体の存在下で粉砕され得る。これらのプロセスは、分散剤および殺生物剤ありまたはなしで実施され得、それらはプロセスの任意の段階で添加され得る。
【0068】
沈降炭酸カルシウム(PCC)は、本発明において、微粒子炭酸カルシウム源として使用され得、当技術分野で使用可能な公知の方法のいずれかにより生成され得る。TAPPI Monograph Series No 30,“Paper Coating Pigments”、34-35ページは沈降炭酸カルシウムを調製するための3つの主な商業的プロセスを記載し、それは製紙業において使用するための生成物を調製するのに使用するのに好適であるが、本発明の実施においても使用され得る。3つ全てのプロセスにおいて、炭酸カルシウム供給材料、例えば石灰石は最初にか焼され、生石灰が生成され、生石灰は次いで水中で消和され、水酸化カルシウムまたは石灰乳が得られる。第1のプロセスでは、石灰乳は直接二酸化炭素ガスで炭酸塩化される。このプロセスは副産物が形成されないという利点を有し、炭酸カルシウム生成物の特性および純度を制御することは比較的容易である。第2のプロセスでは、石灰乳はソーダ灰と接触させられ、複分解により、炭酸カルシウムの沈殿物および水酸化ナトリウムの溶液が生成される。水酸化ナトリウムは、このプロセスが商業的に使用されれば、炭酸カルシウムから実質的に完全に分離され得る。第3の主商業的プロセスでは、石灰乳は最初に塩化アンモニウムと接触させられ、塩化カルシウム溶液およびアンモニアガスが得られる。塩化カルシウム溶液は次いで、ソーダ灰と接触させられ、複分解により沈降炭酸カルシウムおよび塩化ナトリウムの溶液が生成する。結晶は、使用される特定の反応によって、様々な異なる形状およびサイズで生成させることができる。PCC結晶の3つの主形態はアラゴナイト、菱面体および偏三角面体であり、それらは全て本発明での使用に好適であり、その混合物も含まれる。
【0069】
炭酸カルシウムの湿式粉砕は炭酸カルシウムの水性懸濁液の形成を含み、これは、次いで、任意で好適な分散剤の存在下で粉砕され得る。炭酸カルシウムの湿式粉砕に関するより多くの情報については、例えば、EP-A-614948号(その内容は、それらの全体として参照により組み込まれる)を参照されたい。
【0070】
状況次第で、他の鉱物の微量添加が含められ得、例えば、カオリン、か焼カオリン、ウォラストナイト、ボーキサイト、タルクまたは雲母の1つ以上もまた、存在することができる。
【0071】
本発明の無機微粒子材料が天然起源から得られる場合、いくつかの鉱物不純物が粉砕材料を汚染する可能性がある。例えば、天然起源の炭酸カルシウムは他の鉱物と関連して存在することができる。よって、いくつかの実施形態では、無機微粒子材料はある量の不純物を含む。一般に、しかしながら、発明で使用される無機微粒子材料は約5重量%未満、好ましくは約1重量%未満の他の鉱物不純物を含むであろう。
【0072】
本発明の方法のミクロフィブリル化工程中に使用される無機微粒子材料は好ましくは、少なくとも約10重量%の粒子が2μm未満の「球相当径」(e.s.d.)を有する、例えば、少なくとも約20重量%、または少なくとも約30重量%、または少なくとも約40重量%、または少なくとも約50重量%、または少なくとも約60重量%、または少なくとも約70重量%、または少なくとも約80重量%、または少なくとも約90重量%、または少なくとも約95重量%、または約100%の粒子が2μm未満のe.s.d.を有する粒子サイズ分布を有する。
【0073】
別記されない限り、無機微粒子材料について本明細書で言及される粒子サイズ特性は、「Micromeritics Sedigraph 5100ユニット」として本明細書で言及される、Micromeritics Instruments Corporation, Norcross, Georgia, USA(電話:+1 770 662 3620;ウェブサイト:www.micromeritics.com)により供給されるSedigraph5100機械を使用して、水性媒質中に完全に分散された状態での微粒子材料の沈降により、よく知られた様式で測定される。そのような機械は測定値および「球相当径」(e.s.d.)として当技術分野において言及される、与えられたe.s.d.値未満のサイズを有する粒子の累積重量パーセンテージのプロットを提供する。平均粒子サイズd50は粒子e.s.d.のこのように決定される値であり、この場合、粒子の50重量%がそのd50値未満の球相当径を有する。
【0074】
あるいは、明言される場合、無機微粒子材料についての本明細書で言及される粒子サイズ特性は、Malvern Instruments Ltdにより供給されるMalvern Mastersizer S機械を用いて、レーザー光散乱の技術分野で使用されるよく知られた従来の方法により(または、本質的に同じ結果を与える他の方法により)測定される。レーザー光散乱技術では、粉末、懸濁液およびエマルジョンにおける粒子のサイズは、Mie理論の適用に基づき、レーザービームの回折を用いて測定され得る。そのような機械は測定値および「球相当径」(e.s.d.)として当技術分野において言及される、与えられたe.s.d.値未満のサイズを有する粒子の累積体積パーセンテージのプロットを提供する。平均粒子サイズd50は粒子e.s.d.のこのように決定される値であり、この場合、粒子の50体積%がそのd50値未満の球相当径を有する。
【0075】
別の実施形態では、本発明の方法のミクロフィブリル化工程中に使用される無機微粒子材料は好ましくは、Malvern Mastersizer S機械を使用して測定されるように、少なくとも約10体積%の粒子が2μm未満のe.s.d.を有する、例えば、少なくとも約20体積%、または少なくとも約30体積%、または少なくとも約40体積%、または少なくとも約50体積%、または少なくとも約60体積%、または少なくとも約70体積%、または少なくとも約80体積%、または少なくとも約90体積%、または少なくとも約95体積%、または約100体積%の粒子が2μm未満のe.s.d.を有する粒子サイズ分布を有する。
【0076】
別記されない限り、ミクロフィブリル化セルロース材料の粒子サイズ特性は、Malvern Instruments Ltdにより供給されるMalvern Mastersizer S機械を使用して、レーザー光散乱の技術分野において使用されるよく知られた従来の方法により(または本質的に同じ結果を与える他の方法により)測定される通りである。
【0077】
Malvern Mastersizer S機械を使用して、無機粒子材料およびミクロフィブリル化セルロースの混合物の粒子サイズ分布を特徴づけるために使用される手順の詳細は下記で提供される。
【0078】
本発明の第1の態様による方法において使用するための別の好ましい無機微粒子材料はカオリン粘土である。以後、明細書のこのセクションは、カオリンの観点から、カオリンが加工され、および/または処理される態様に関連して記載される傾向があり得る。発明はそのような実施形態に制限されると解釈されるべきではない。そのため、いくつかの実施形態では、カオリンは処理されていない形態で使用される。
【0079】
この発明で使用されるカオリン粘土は、天然源、すなわち天然カオリン粘土鉱物由来の処理された材料であってもよい。処理されカオリン粘土は典型的には少なくとも約50重量%のカオリナイトを含み得る。例えば、ほとんどの商業的に処理されたカオリン粘土は約75重量%を超えるカオリナイトを含み、約90重量%を超える、場合によっては約95重量%を超えるカオリナイトを含み得る。
【0080】
本発明で使用されるカオリン粘土は天然カオリン粘土鉱物から、当業者によく知られている1つ以上の他のプロセスにより、例えば公知の精錬または選鉱工程により調製され得る。
【0081】
例えば、粘土鉱物は還元型漂白剤、例えばハイドロサルファイトナトリウムを用いて漂白され得る。ハイドロサルファイトナトリウムが使用される場合、漂白された粘土鉱物は、ハイドロサルファイトナトリウム漂白工程後に、任意で脱水され、任意で洗浄され、再び任意で脱水され得る。
【0082】
粘土鉱物は、例えば、当技術分野でよく知られた綿状沈殿、浮選、または磁選技術により、不純物を除去するように処理され得る。あるいは発明の第1の態様で使用される粘土鉱物は固体の形態で、または水性懸濁液として処理されなくてもよい。
【0083】
本発明で使用される微粒子カオリン粘土を調製するためのプロセスはまた、1つ以上の破砕工程、例えば、粉砕またはミリングを含み得る。粗カオリンの軽破砕がその好適な層間剥離を与えるために使用される。破砕はプラスチック(例えば、ナイロン)のビーズまたは顆粒、砂またはセラミック粉砕またはミリング助材の使用により実施され得る。粗カオリンはよく知られた手順を使用して精錬され、不純物が除去され、物理的特性が改善される。カオリン粘土は、公知の粒子サイズ分類手順、例えば、スクリーニングおよび遠心分離(または両方)により処理され得、所望のd50値または粒子サイズ分布を有する粒子が得られる。
【0084】
ミクロフィブリル化プロセス
発明の第1の態様によれば、セルロースを含む繊維基材を無機微粒子材料の存在下でミクロフィブリル化する工程を含む、紙中のフィラーとしてまたは紙コーティングとして使用するための組成物を調製する方法が提供される。本方法の特定の実施形態によれば、ミクロフィブリル化工程は、ミクロフィブリル化剤として作用する無機微粒子材料の存在下で実施される。ミクロフィブリル化により、セルロースのミクロフィブリルが、個々の種として、またはミクロフィブリル化前パルプの繊維と比べてより小さな凝集体として解放され、または部分的に解放されるプロセスが意味される。製紙において使用するのに好適な典型的なセルロース繊維(すなわち、ミクロフィブリル化前パルプ)は数百または数千の個々のセルロースミクロフィブリルのより大きな凝集体を含む。セルロースをミクロフィブリル化することにより、特別な特徴および特性、例えば、限定はされないが、本明細書で記載される特徴および特性がミクロフィブリル化セルロースおよびミクロフィブリル化セルロースを含む組成物に付与される。
【0085】
本発明の方法にしたがい調製された例示的なミクロフィブリル化セルロースが
図1に示される。
図1は、GCC(60wt%<2μm粒子サイズ、Sedigraphによる)を用いて総乾燥重量について5.0%パルプで調製したミクロフィブリル化セルロース(80μmのd
50を有する)のSEM顕微鏡写真である。媒体(Carbolite16/20)体積濃度(MVC)は50%であった。エネルギー入力は繊維について表される2500kWh/tであった。
【0086】
ミクロフィブリル化する工程は任意の好適な装置、例えば、限定はされないが、リファイナー内で実施され得る。1つの実施形態では、ミクロフィブリル化工程は粉砕容器内で、湿式粉砕条件下で実施される。別の実施形態では、ミクロフィブリル化工程はホモジナイザー内で実施される。これらの実施形態の各々は下記により詳細に記載される。
【0087】
・湿式粉砕
粉砕は従来通りに好適に実施される。粉砕は微粒子粉砕媒体の存在下での摩擦粉砕プロセスであってよく、または自生粉砕プロセス、すなわち、粉砕媒体のないものであってもよい。粉砕媒体により、セルロースを含む繊維基材と共に粉砕される無機微粒子材料以外の媒体が意味される。
【0088】
微粒子粉砕媒体は、存在する場合、天然または合成材料とすることができる。粉砕媒体は、例えば、任意の硬い鉱物、セラミックまたは金属材料のボール、ビーズまたはペレットを含み得る。そのような材料としては、例えば、アルミナ、ジルコニア、ケイ酸ジルコニウム、ケイ酸アルミニウムまたはカオリナイト粘土を約1300℃~約1800℃の範囲の温度でか焼することにより生成されるムライトリッチ材料が挙げられる。例えば、いくつかの実施形態ではCarbolite(登録商標)粉砕媒体が好ましい。あるいは、好適な粒子サイズの天然砂の粒子が使用され得る。
【0089】
一般に、発明において使用するために選択される粉砕媒体の型および粒子サイズは特性、例として、例えば、粉砕される材料の供給懸濁液の粒子サイズおよび化学組成に依存し得る。好ましくは、微粒子粉砕媒体は、約0.1mm~約6.0mmの範囲、より好ましくは、約0.2mm~約4.0mmの範囲の平均直径を有する粒子を含む。粉砕媒体(または複数形)は分量の約70体積%までの量で存在し得る。粉砕媒体は分量の少なくとも約10体積%、例えば、分量の少なくとも約20体積%、または分量の少なくとも約30体積%、または分量の少なくとも約40体積%、または分量の少なくとも約50体積%、または分量の少なくとも約60体積%の量で存在し得る。
【0090】
粉砕は1つ以上の段階で実施され得る。例えば、粗無機微粒子材料はグラインダー容器内であらかじめ決められた粒子サイズ分布に粉砕され得、その後、セルロースを含む繊維性材料が添加され、所望のレベルのミクロフィブリル化が得られるまで、粉砕が続けられる。この発明の第1の態様にしたがい使用される粗無機微粒子材料は最初、約20重量%未満の粒子が2μm未満のe.s.d.を有する、例えば、約15重量%未満、または約10重量%未満の粒子が2μm未満のe.s.d.を有する粒子サイズ分布を有し得る。別の実施形態では、この発明の第1の態様にしたがい使用される粗無機微粒子材料は最初、Malvern Mastersizer S機械を使用して測定されるように、約20体積%未満の粒子が2μm未満のe.s.d.を有する、例えば、約15体積%未満、または約1体積%未満の粒子が2μm未満のe.s.d.を有する粒子サイズ分布を有し得る。
【0091】
粗無機微粒子材料は、粉砕媒体なしまたはありで、湿式または乾式粉砕され得る。湿式粉砕段階の場合、粗無機微粒子材料は好ましくは、水性懸濁液中粉砕媒体の存在下で粉砕される。そのような懸濁液中では、粗無機微粒子材料は好ましくは、懸濁液の約5%~約85重量%の量で;より好ましくは、懸濁液の約20%~約80重量%の量で存在し得る。最も好ましくは、粗無機微粒子材料は、懸濁液の約30%~約75重量%の量で存在し得る。以上で記載される通り、粗無機微粒子材料は、少なくとも約10重量%の粒子が2μm未満のe.s.d.を有する、例えば、少なくとも約20重量%、または少なくとも約30重量%、または少なくとも約40重量%、または少なくとも約50重量%、または少なくとも約60重量%、または少なくとも約70重量%、または少なくとも約80重量%、または少なくとも約90重量%、または少なくとも約95重量%、または約100重量%の粒子が2μm未満のe.s.d.を有するような粒子サイズ分布まで粉砕され得、その後、セルロースパルプが添加され、2つの成分が同時粉砕され、セルロースパルプの繊維がミクロフィブリル化される。
【0092】
別の実施形態では、粗無機微粒子材料は、Malvern Mastersizer S機械を使用して測定されるように、少なくとも約10体積%の粒子が2μm未満のe.s.d.を有する、例えば、少なくとも約20体積%、または少なくとも約30体積%または少なくとも約40体積%、または少なくとも約50体積%、または少なくとも約60体積%、または少なくとも約70体積%、または少なくとも約80体積%、または少なくとも約90体積%、または少なくとも約95体積%、または約100体積%の粒子が2μm未満のe.s.d.を有するような粒子サイズ分布まで粉砕され、その後、セルロースパルプが添加され、2つの成分が同時粉砕され、セルロースパルプの繊維がミクロフィブリル化される。
【0093】
1つの実施形態では、無機微粒子材料の平均粒子サイズ(d50)は同時粉砕プロセス中に低減される。例えば、無機微粒子材料のd50は、少なくとも約10%だけ低減され得(Malvern Mastersizer S機械により測定)、例えば、無機微粒子材料のd50は少なくとも約20%だけ低減され、または少なくとも約30%だけ低減され、または少なくとも約50%だけ低減され、または少なくとも約50%だけ低減され、または少なくとも約60%だけ低減され、または少なくとも約70%だけ低減され、または少なくとも約80%だけ低減され、または少なくとも約90%だけ低減され得る。例えば、同時粉砕前2.5μmのd50および同時粉砕後1.5μmのd50を有する無機微粒子材料は粒子サイズの40%低減を受けている。実施形態では、無機微粒子材料の平均粒子サイズは同時粉砕プロセス中に有意に低減されない。「有意に低減されない」により、無機微粒子材料のd50は約10%未満だけ低減される、例えば、無機微粒子材料のd50は約5%未満だけ低減されることが意味される。
【0094】
セルロースを含む繊維基材は、無機微粒子材料の存在下でミクロフィブリル化され得、レーザー光散乱により測定すると、約5μm~約500μmの範囲のd50を有するミクロフィブリル化セルロースが得られる。セルロースを含む繊維基材は無機微粒子材料の存在下でミクロフィブリル化され得、約400μm以下、例えば約300μm以下、または約200μm以下、または約150μm以下、または約125μm以下、または約100μm以下、または約90μm以下、または約80μm以下、または約70μm以下、または約60μm以下、または約50μm以下、または約40μm以下、または約30μm以下、または約20μm以下、または約10μm以下のd50を有するミクロフィブリル化セルロースが得られる。
【0095】
セルロースを含む繊維基材は無機微粒子材料の存在下でミクロフィブリル化され得、約0.1-500μmの範囲の最頻繊維粒子サイズおよび0.25-20μmの範囲の最頻無機微粒子材料粒子サイズを有するミクロフィブリル化セルロースが得られる。セルロースを含む繊維基材は無機微粒子材料の存在下でミクロフィブリル化され得、少なくとも約0.5μm、例えば少なくとも約10μm、または少なくとも約50μm、または少なくとも約100μm、または少なくとも約150μm、または少なくとも約200μm、または少なくとも約300μm、または少なくとも約400μmの最頻繊維粒子サイズを有するミクロフィブリル化セルロースが得られる。
【0096】
セルロースを含む繊維基材は無機微粒子材料の存在下でミクロフィブリル化され得、Malvernにより測定すると、約10以上の繊維峻度(fibre steepness)を有するミクロフィブリル化セルロースが得られる。繊維峻度(すなわち、繊維の粒子サイズ分布の峻度)は下記式により決定される:
峻度=100×(d30/d70)
ミクロフィブリル化セルロースは約100以下の繊維峻度を有し得る。ミクロフィブリル化セルロースは約75以下、または約50以下、または約40以下、または約30以下の繊維峻度を有し得る。ミクロフィブリル化セルロースは、約20~約50、または約25~約40、または約25~約35、または約30~約40の繊維峻度を有し得る。
【0097】
粉砕は、粉砕容器、例えば回転ミル(例えば、ロッド、ボールおよび自生)、攪拌ミル(例えば、SAMまたはIsaMill)、タワーミル、攪拌媒体デトリタ(SMD)、またはその間に粉砕される供給物が送られる回転平行粉砕プレートを含む粉砕容器中で好適に実施される。
【0098】
1つの実施形態では、粉砕容器はタワーミルである。タワーミルは、1つ以上の粉砕ゾーン上方に静止ゾーンを含み得る。静止ゾーンはタワーミルの内部の上部に向かって配置された領域であり、そこでは、粉砕は最小限に抑えられ、または粉砕は起こらず、ミクロフィブリル化セルロースおよび無機微粒子材料を含む。静止ゾーンは粉砕媒体の粒子がタワーミルの1つ以上の粉砕ゾーンに沈降する領域である。
【0099】
タワーミルは1つ以上の粉砕ゾーン上方に分級機を含み得る。一実施形態では、分級機は上部に取り付けられ、静止ゾーンに隣接して配置される。分級機はハイドロサイクロンであってもよい。
【0100】
タワーミルは1つ以上の粉砕ゾーン上方にスクリーンを含み得る。一実施形態では、スクリーンは静止ゾーンおよび/または分級機に隣接して配置される。スクリーンは粉砕媒体をミクロフィブリル化セルロースおよび無機微粒子材料を含む生成水性懸濁液から分離し、粉砕媒体沈降を増強させるようなサイズとされ得る。
【0101】
一実施形態では、粉砕はプラグ流条件下で実施される。プラグ流条件下では、タワーを通る流れは、タワーを通る研削材の混合が制限されるようなものである。これは、タワーミルの長さに沿った異なる点では、水性環境の粘度がミクロフィブリル化セルロースの微粉度が増加するにつれ変動することを意味する。よって、事実上、タワーミル内の粉砕領域は、特性粘度を有する1つ以上の粉砕ゾーンを含むと考えることができる。当業者であれば、粘度に関しては隣接する粉砕ゾーン間には、鮮明な境界はないことを理解するであろう。
【0102】
一実施形態では、1つ以上の粉砕ゾーン上方の静止ゾーンまたは分級機またはスクリーンに近接するミルの上部で水が添加され、ミル内のそれらのゾーンでのミクロフィブリル化セルロースおよび無機微粒子材料を含む水性懸濁液の粘度が低減される。ミルのこの時点で生成ミクロフィブリル化セルロースおよび無機微粒子材料を希釈することにより、静止ゾーンおよび/または分級機および/またはスクリーンへの粉砕媒体持ち越しの防止が改善されることが見出されている。さらに、タワーを通る混合の制限により、より高い固体でのタワーを下がる処理および上部でのタワーから降りて1つ以上の粉砕ゾーンに戻る希釈水の制限された逆流による希釈が可能になる。ミクロフィブリル化セルロースおよび無機微粒子材料を含む生成水性懸濁液の粘度を希釈するのに有効な任意の好適な量の水が添加され得る。水は粉砕プロセス中連続して、または一定の間隔で、または不規則間隔で添加され得る。
【0103】
別の実施形態では、水はタワーミルの長さに沿って配置された1つ以上の水噴射点で1つ以上の粉砕ゾーンに添加され得、または各水噴射点は1つ以上の粉砕ゾーンに対応する点に配置される。便宜的に、水をタワーに沿った様々な点で添加する能力により、ミルに沿ったいずれかまたは全ての位置での粉砕条件のさらなる調整が可能になる。
【0104】
タワーミルは、その長さ全体にわたって一連の羽根車ローターディスクが備えられた垂直羽根車軸を含み得る。羽根車ローターディスクの作用により、ミル全体にわたって一連の別個の粉砕ゾーンが生成される。
【0105】
別の実施形態では、粉砕は、スクリーンドグラインダー(screened grinder)、好ましくは攪拌媒体デトリタにおいて実施される。スクリーンドグラインダーは、少なくとも約250μmの公称開口サイズを有する1つ以上のスクリーン(複数可)を含むことができ、例えば、1つ以上のスクリーンは少なくとも約300μm、または少なくとも約350μm、または少なくとも約400μm、または少なくとも約450μm、または少なくとも約500μm、または少なくとも約550μm、または少なくとも約600μm、または少なくとも約650μm、または少なくとも約700μm、または少なくとも約750μm、または少なくとも約800μm、または少なくとも約850μm、または少なくとも約900μm、または少なくとも約1000μmの公称開口サイズを有し得る。
【0106】
真上で述べられたスクリーンサイズは、上記タワーミル実施形態に適用可能である。
【0107】
上述のように、粉砕は粉砕媒体の存在下で実施され得る。一実施形態では、粉砕媒体は、約1mm~約6mm、例えば約2mm、または約3mm、または約4mm、または約5mmの範囲の平均直径を有する粒子を含む粗媒体である。
【0108】
別の実施形態では、粉砕媒体は、少なくとも約2.5、例えば、少なくとも約3、または少なくとも約3.5、または少なくとも約4.0、または少なくとも約4.5、または少なくとも約5.0、または少なくとも約5.5、または少なくとも約6.0の比重を有する。
【0109】
別の実施形態では、粉砕媒体は約1mm~約6mmの範囲の平均直径を有する粒子を含み、少なくとも約2.5の比重を有する。
【0110】
別の実施形態では、粉砕媒体は約3mmの平均直径、および約2.7の比重を有する粒子を含む。
【0111】
以上で記載される通り、粉砕媒体(または複数形)は分量の約70体積%までの量で存在し得る。粉砕媒体は分量の少なくとも約10体積%、例えば、分量の少なくとも約20体積%、または分量の少なくとも約30体積%、または分量の少なくとも約40体積%、または分量の少なくとも約50体積%、または分量の少なくとも約60体積%の量で存在し得る。1つの実施形態では、粉砕媒体は分量の約50体積%の量で存在する。
【0112】
「分量」により、グラインダー容器に送られる供給物である組成物が意味される。分量は水、粉砕媒体、ならびにセルロースを含む繊維基材および無機微粒子材料、ならびに本明細書で記載される任意の他の任意的な添加物を含む。
【0113】
比較的粗いおよび/または密な媒体の使用は沈降速度の改善(すなわち、より高速)および静止ゾーンおよび/または分級機および/またはスクリーン(複数可)を通る媒体持ち越しの低減という利点を有する。
【0114】
比較的粗い粉砕媒体を使用する場合のさらなる利点は、無機微粒子材料の平均粒子サイズ(d50)は粉砕プロセス中に有意に低減されず、そのため、粉砕システムに付与されるエネルギーは、セルロースを含む繊維基材をミクロフィブリル化する際に主に消費されることである。
【0115】
比較的粗いスクリーンを使用する場合のさらなる利点は、比較的粗いまたは密な粉砕媒体がミクロフィブリル化工程で使用され得ることである。加えて、比較的粗いスクリーン(すなわち、少なくとも約250μmの公称開口を有する)の使用により、かなり高い固体生成物が処理され、グラインダーから除去することができるようになり、これによりかなり高い固体供給物(セルロースを含む繊維基材および無機微粒子材料を含む)が経済的に実行可能なプロセスで処理されるようになる。下記で記載されるように、高い初期固体含量を有する供給物が、エネルギー充足の観点から望ましいことが見出されている。さらに、より低い固体で、(所定のエネルギーで)生成される生成物はより粗い粒子サイズ分布を有することも見いだされている。
【0116】
上記「背景」セクションで記載されるように、本発明はミクロフィブリル化セルロースを経済的に工業規模で調製するという問題に取り組もうと努めている。
【0117】
よって、1つの実施形態によれば、セルロースを含む繊維基材および無機微粒子材料は水性環境において少なくとも約4wt%の初期固体含量で存在し、その少なくとも約2重量%はセルロースを含む繊維基材である。初期固体含量は、少なくとも約10wt%、または少なくとも約20wt%、または少なくとも約30wt%、または少なくとも約少なくとも40wt%であり得る。初期固体含量の少なくとも約5重量%はセルロースを含む繊維基材であってもよく、例えば、初期固体含量の少なくとも約10%、または少なくとも約15%、または少なくとも約20重量%はセルロースを含む繊維基材であってもよい。
【0118】
別の実施形態では、粉砕は、粉砕容器のカスケード(その1つ以上は1つ以上の粉砕ゾーンを含み得る)において実施される。例えば、セルロースを含む繊維基材および無機微粒子材料は2以上の粉砕容器のカスケード、例えば、3以上の粉砕容器のカスケード、または4以上の粉砕容器のカスケード、または5以上の粉砕容器のカスケード、または6以上の粉砕容器のカスケード、または7以上の粉砕容器のカスケード、または8以上の粉砕容器のカスケード、または直列の9以上の粉砕容器のカスケード、または10までの粉砕容器を含むカスケードで粉砕され得る。粉砕容器のカスケードは、直列もしくは並列で、または直列および並列の組み合わせで動作可能に連結され得る。カスケード中の粉砕容器の1つ以上からの出力物および/またはこれへの入力物は1つ以上のスクリーニング工程および/または1つ以上の分類工程に供され得る。
【0119】
ミクロフィブリル化プロセスで消費される総エネルギーは、カスケード中の粉砕容器の各々にわたって等しく分配され得る。あるいは、エネルギー入力はカスケード中の粉砕容器のいくつかまたは全て間で変動し得る。
【0120】
当業者であれば、1つの容器あたりで消費されるエネルギーは、各容器内でミクロフィブリル化される繊維基材の量、任意で各容器内での粉砕速度、各容器内での粉砕期間、各容器内での粉砕媒体の型ならびに無機微粒子材料の型および量によって、カスケード中の容器間で変動し得ることを理解するであろう。粉砕条件は、ミクロフィブリル化セルロースおよび無機微粒子材料の両方の粒子サイズ分布を制御するために、カスケード中の各容器において変化させることができる。例えば、粉砕媒体サイズは、無機微粒子材料の粉砕を低減させるため、セルロースを含む繊維基材の粉砕を標的にするために、カスケード中の連続する容器間で変化させることができる。
【0121】
一実施形態では、粉砕は閉回路で実施される。別の実施形態では、粉砕は開回路で実施される。粉砕はバッチモードで実施され得る。粉砕は再循環バッチモードで実施され得る。
【0122】
以上で記載される通り、粉砕回路は粗い無機微粒子がグラインダー容器内であらかじめ決められた粒子サイズ分布に粉砕される前粉砕工程を含むことができ、その後、セルロースを含む繊維性材料が前粉砕された無機微粒子材料と合わされ、粉砕は同じまたは異なる粉砕容器内で所望のレベルのミクロフィブリル化が得られるまで続けられる。
【0123】
粉砕される材料の懸濁液はかなり高い粘度を有する可能性があるので、好適な分散剤が好ましくは、粉砕前に懸濁液に添加され得る。分散剤は、例えば、水溶性縮合リン酸塩、ポリケイ酸もしくはその塩、または高分子電解質、例えば80,000以下の数平均分子量を有するポリ(アクリル酸)もしくはポリ(メタクリル酸)の水溶性塩であってもよい。使用される分散剤の量は一般に、乾燥無機微粒子固体材料の重量に基づき0.1~2.0重量%の範囲であろう。懸濁液は、4℃~100℃の範囲の温度で好適に粉砕され得る。
【0124】
ミクロフィブリル化工程中に含められ得る他の添加物としては下記が挙げられる:カルボキシメチルセルロース、両性カルボキシメチルセルロース、酸化剤、2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-1-オキシル(TEMPO)、TEMPO誘導体、および木材分解酵素。
【0125】
粉砕される材料の懸濁液のpHは約7または約7超(すなわち、塩基性)であってもよく、例えば、懸濁液のpHは約8、または約9、または約10、または約11であってもよい。粉砕される材料の懸濁液のpHは約7未満(すなわち、酸性)であってもよく、例えば、懸濁液のpHは約6、または約5、または約4、または約3であってもよい。粉砕される材料の懸濁液のpHは、適切な量の酸または塩基の添加により調整され得る。好適な塩基には、例えばNaOHなどのアルカリ金属水酸化物が含まれた。他の好適な塩基は炭酸ナトリウムおよびアンモニアである。好適な酸には無機酸、例えば塩酸および硫酸、または有機酸が含まれた。例示的な酸はオルトリン酸である。
【0126】
同時粉砕される混合物中の無機微粒子材料およびセルロースパルプの量は、無機微粒子材料の乾燥重量およびパルプ中の乾燥繊維の量に基づき約99.5:0.5~約0.5:99.5の比、例えば、無機微粒子材料の乾燥重量およびパルプ中の乾燥繊維の量に基づき約99.5:0.5~約50:50の比で変化し得る。例えば、無機微粒子材料および乾燥繊維の量の比は約99.5:0.5~約70:30であってもよい。一実施形態では、無機微粒子材料対乾燥繊維の比は約80:20、例えば、約85:15、または約90:10、または約91:9、または約92:8、または約93:7、または約94:6、または約95:5、または約96:4、または約97:3、または約98:2、または約99:1である。好ましい実施形態では、無機微粒子材料対乾燥繊維の重量比は約95:5である。別の好ましい実施形態では、無機微粒子材料対乾燥繊維の重量比は約90:10である。別の好ましい実施形態では、無機微粒子材料対乾燥繊維の重量比は約85:15である。別の好ましい実施形態では、無機微粒子材料対乾燥繊維の重量比は約80:20である。別の好ましい実施形態では、無機微粒子材料対乾燥繊維の重量比は約50:50である。
【0127】
所望の水性懸濁液組成物を得るための典型的な粉砕プロセスにおける総エネルギー入力は、典型的には、無機微粒子フィラーの総乾燥重量に基づき約100~1500kWht-1とすることができる。総エネルギー入力は、約1000kWht-1未満、例えば、約800kWht-1未満、約600kWht-1未満、約500kWht-1未満、約400kWht-1未満、約300kWht-1未満、または約200kWht-1未満とすることができる。そのようなものとして、本発明者らは、驚いたことに、セルロースパルプは、無機微粒子材料の存在下で同時粉砕されると、比較的低いエネルギー入力でミクロフィブリル化することができることを見いだした。明らかになるように、セルロースを含む繊維基材中の乾燥繊維1メートルトンあたりの総エネルギー入力は、約10,000kWht-1未満、例えば、約9000kWht-1未満、または約8000kWht-1未満、または約7000kWht-1未満、または約6000kWht-1未満、または約5000kWht-1未満、例えば約4000kWht-1未満、約3000kWht-1未満、約2000kWht-1未満、約1500kWht-1未満、約1200kWht-1未満、約1000kWht-1未満、または約800kWht-1未満である。総エネルギー入力はミクロフィブリル化される繊維基材中の乾燥繊維の量、任意で粉砕速度および粉砕期間によって変動する。
【0128】
均質化
セルロースを含む繊維基材のミクロフィブリル化は、湿潤条件下で、無機微粒子材料の存在下にて、セルロースパルプおよび無機微粒子材料の混合物が加圧され(例えば、約500barの圧力まで)、次いで、より低い圧力のゾーンに回される方法により実施され得る。セルロース繊維のミクロフィブリル化を引き起こすには、混合物が低圧ゾーンに回される速度は十分高く、低圧ゾーンの圧力は十分低い。例えば、圧力降下は、混合物を狭い入口オリフィスおよびずっと大きな出口オリフィスを有する環状穴を通して送ることにより実行され得る。混合物が加速してより大きな体積になる時の圧力の劇的な減少(すなわち、より低い圧力ゾーン)はミクロフィブリル化を引き起こす空洞化を誘導する。一実施形態では、セルロースを含む繊維基材のミクロフィブリル化はホモジナイザー内で、湿潤条件下、無機微粒子材料の存在下にて実行され得る。ホモジナイザー内では、セルロースパルプ-無機微粒子材料混合物は加圧され(例えば、約500barの圧力まで)、小さなノズルまたはオリフィスに通して送られる。混合物は約100~約1000barの圧力まで、例えば300bar以上、または約500以上、または約200bar以上、または約700bar以上の圧力まで加圧され得る。均質化は繊維を高せん断力に供し、よって、加圧セルロースパルプがノズルまたはオリフィスから出て行く時に、空洞化がパルプ中のセルロース繊維のミクロフィブリル化を引き起こす。ホモジナイザーを通る懸濁液の流動性を改善するために追加の水が添加され得る。ミクロフィブリル化セルロースおよび無機微粒子材料を含む得られた水性懸濁液は、ホモジナイザーを通るマルチプルパスのために、ホモジナイザーの入口に戻され得る。好ましい実施形態では、無機微粒子材料は天然では板状鉱物、例えばカオリンである。そのようなものとして、均質化は、セルロースパルプのミクロフィブリル化を促進するだけでなく、板状微粒子材料の層間剥離を促進する。
【0129】
板状微粒子材料、例えばカオリンは、少なくとも約10、例えば、少なくとも約15、または少なくとも約20、または少なくとも約30、または少なくとも約40、または少なくとも約50、または少なくとも約60、または少なくとも約70、または少なくとも約80、または少なくとも約90、または少なくとも約100の形態係数を有すると理解される。形態係数は、本明細書では、米国特許第5,576,617号(参照により本明細書に組み込まれる)に記載される導電率法、装置、および式を使用して測定される様々なサイズおよび形状の粒子の集団に対する粒子直径対粒子厚さの比の尺度である。
【0130】
カオリンなどの板状無機微粒子材料の懸濁液はホモジナイザー内で、セルロースを含む繊維基材なしで、あらかじめ決められた粒子サイズ分布まで処理され得、その後、セルロースを含む繊維性材料が無機微粒子材料の水性スラリーに添加され、合わせられた懸濁液はホモジナイザー内で、以上で記載される通りに処理される。ホモジナイザーを通る1つ以上のパスを含む均質化プロセスが、所望のレベルのミクロフィブリル化が得られるまで、続けられる。同様に、板状無機微粒子材料はグラインダー内であらかじめ決められた粒子サイズ分布まで処理され、次いで、セルロースを含む繊維性材料と合わせられ、続いて、ホモジナイザー内で処理され得る。
【0131】
例示的なホモジナイザーはManton Gaulin(APV)ホモジナイザーである。
【0132】
ミクロフィブリル化工程が実施された後、ミクロフィブリル化セルロースおよび無機微粒子材料を含む水性懸濁液はスクリーニングされ、ある一定のサイズを超える繊維が除去され、全ての粉砕媒体が除去され得る。例えば、懸濁液は、篩を通過しない繊維を除去するために、選択された公称開口サイズを有する篩を使用するスクリーニングに供され得る。公称開口サイズは、四角開口の反対側の公称中央分離または円形開口の公称直径を意味する。篩は、150μmの公称開口サイズ、例えば、公称開口サイズ125μm、または106μm、または90μm、または74μm、または63μm、または53μm、45μm、または38μmを有するBSS篩(BS1796による)であってもよい。1つの実施形態では、水性懸濁液は125μmの公称開口を有するBSS篩を用いてスクリーニングされる。水性懸濁液は次いで、任意で脱水され得る。
【0133】
水性懸濁液
上記方法にしたがい生成されるこの発明の水性懸濁液は紙を製造する、または紙をコーティングする方法において使用するのに好適である。
【0134】
そのようなものとして、本発明は、ミクロフィブリル化セルロースおよび無機微粒子材料および他の任意的な添加物を含む、これから構成される、またはこれから本質的に構成される水性懸濁液に関する。水性懸濁液は紙を製造する、または紙をコーティングする方法において使用するのに好適である。他の任意的な添加物としては分散剤、殺生物剤、懸濁化助剤、塩(複数可)および他の添加物、例えば、デンプンまたはカルボキシメチルセルロースまたはポリマーが挙げられ、それらは粉砕中または後の鉱物粒子と繊維の相互作用を促進することができる。
【0135】
無機微粒子材料は、少なくとも約10重量%、例えば少なくとも約20重量%、例えば少なくとも約30重量%、例えば少なくとも約40重量%、例えば少なくとも約50重量%、例えば少なくとも約60重量%、例えば少なくとも約70重量%、例えば少なくとも約80重量%、例えば少なくとも約90重量%、例えば少なくとも約95重量%、または例えば約100%の粒子が2μm未満のe.s.d.を有するような粒子サイズ分布を有し得る。
【0136】
別の実施形態では、無機微粒子材料は、Malvern Mastersizer S機械により測定すると、少なくとも約10体積%、例えば少なくとも約20体積%、例えば少なくとも約30体積%、例えば少なくとも約40体積%、例えば少なくとも約50体積%、例えば少なくとも約60体積%、例えば少なくとも約70体積%、例えば少なくとも約80体積%、例えば少なくとも約90体積%、例えば少なくとも約95体積%、または例えば約100体積%の粒子が2μm未満のe.s.d.を有するような粒子サイズ分布を有し得る。
【0137】
同時粉砕される混合物中の無機微粒子材料およびセルロースパルプの量は、無機微粒子材料の乾燥重量およびパルプ中の乾燥繊維の量に基づき約99.5:0.5~約0.5:99.5の比、例えば、無機微粒子材料の乾燥重量およびパルプ中の乾燥繊維の量に基づき約99.5:0.5~約50:50の比で変化し得る。例えば、無機微粒子材料および乾燥繊維の量の比は約99.5:0.5~約70:30であってもよい。一実施形態では、無機微粒子材料対乾燥繊維の比は約80:20、または例えば、約85:15、または約90:10、または約91:9、または約92:8、または約93:7、または約94:6、または約95:5、または約96:4、または約97:3、または約98:2、または約99:1である。好ましい実施形態では、無機微粒子材料対乾燥繊維の重量比は約95:5である。別の好ましい実施形態では、無機微粒子材料対乾燥繊維の重量比は約90:10である。別の好ましい実施形態では、無機微粒子材料対乾燥繊維の重量比は約85:15である。別の好ましい実施形態では、無機微粒子材料対乾燥繊維の重量比は約80:20である。別の好ましい実施形態では、無機微粒子材料対乾燥繊維の重量比は約50:50である。
【0138】
一実施形態では、組成物は、大きすぎて150μmの公称開口サイズ、例えば、125μm、106μm、または90μm、または74μm、または63μm、または53μm、45μm、または38μmの公称開口サイズを有するBSS篩(BS1796による)を通過することができない繊維を含まない。1つの実施形態では、水性懸濁液は125μmの公称開口を有するBSS篩を用いてスクリーニングされる。
【0139】
よって、粉砕または均質化された懸濁液が選択されたサイズを超える繊維を除去するように処理される場合、粉砕または均質化後の水性懸濁液中のミクロフィブリル化セルロースの量(すなわち、重量%)はパルプ中の乾燥繊維の量未満であり得ることが理解されるであろう。よって、グラインダーまたはホモジナイザーに供給されるパルプおよび無機微粒子材料の相対量は、選択されたサイズを超える繊維が除去された後に水性懸濁液において必要とされるミクロフィブリル化セルロースの量によって調整することができる。
【0140】
一実施形態では、無機微粒子材料はアルカリ土類金属炭酸塩、例えば、炭酸カルシウムである。無機微粒子材料は重質炭酸カルシウム(GCC)または沈降炭酸カルシウム(PCC)、またはGCCおよびPCCの混合物であってもよい。別の実施形態では、無機微粒子材料は天然板状鉱物、例えば、カオリンである。無機微粒子材料は、カオリンおよび炭酸カルシウムの混合物、例えば、カオリンおよびGCCの混合物、またはカオリンおよびPCCの混合物、またはカオリン、GCCおよびPCCの混合物であってもよい。
【0141】
別の実施形態では、水性懸濁液は、部分的に乾燥された、または本質的に完全に乾燥された生成物を形成するために、水の少なくとも一部または実質的に全てを除去するように処理される。例えば、水性懸濁液中の少なくとも約10体積%の水が水性懸濁液から除去され得、例えば、水性懸濁液中の少なくとも約20体積%、または少なくとも約30体積%、または少なくとも約40体積%、または少なくとも約50体積%、または少なくとも約60体積%、または少なくとも約70体積%または少なくとも約80体積%または少なくとも約90体積%、または少なくとも約100体積%の水が除去され得る。任意の好適な技術が水性懸濁液から水を除去するために使用され得、例えば、重力もしくは真空-補助濾水(加圧ありまたはなし)による、または蒸発による、または濾過による、またはこれらの技術の組み合わせによるものが挙げられる。部分的に乾燥された、または本質的に完全に乾燥された生成物は、ミクロフィブリル化セルロースおよび無機微粒子材料および乾燥前に水性懸濁液に添加され得る任意の他の任意的な添加物を含む。部分的に乾燥された、または本質的に完全に乾燥された生成物は販売のために保存され、パッケージングされ得る。部分的に乾燥された、または本質的に完全に乾燥された生成物は任意で再水和され、本明細書で記載される製紙用組成物および他の紙製品に組み込まれ得る。
【0142】
超音波処理プロセス
手短に述べると、音波破砕、音波処理または超音波処理(sonication、ultrasonicationまたはultrasonification)(本明細書では別記されない限り同じ意味で使用される)は超音波(>20kHz、例えば、20~100kHz)による液体試料の照射であり、液体のかくはんが得られる。音波は液体媒体中に伝播し、交互の高圧(密)および低圧(疎)サイクルが生じる。疎の間、高強度音波が液体中に小さな真空気泡または空隙を生成させ、次いで、密の間にそれらが、激しく崩壊し(空洞化)、非常に高い局部温度、およびかくはんが生成される。これらの事象の組み合わせにより、材料を、より小さな構成要素に崩壊し、破壊することができる高いせん断力が得られ、材料が本質的に乳化される。このプロセスは、選択した動作パラメータによって、材料の物理的特性を変化させることができる。
【0143】
超音波処理は、脱水された、部分的に乾燥された、または本質的に乾燥されたミクロフィブリル化セルロースを含む組成物を再分散および解凝集させるために使用することができる。超音波の主適用としては、均質化(混合)、分散、解凝集、湿式ミリングおよび粉砕(例えばナノ材料)、乳化、および細胞崩壊が挙げられる。超音波処理はまた、材料のかくはんによる材料の混合を助ける。本発明は任意の特定の超音波処理装置の使用に制限されないが、超音波処理は最も典型的には、超音波浴または超音波プローブ(またはトランスデューサー)の使用により実施される。当技術分野で知られている好適な装置としてはまた、超音波ホモジナイザー、超音波フォイルおよび超音波ホーンが挙げられるが、それらに限定されない。商業規模の超音波処理装置はHielscher Ultrasonics GmbH (Oderstr. 53 D-14513 Teltow,ドイツおよび530 Ringwood Ave. Lembo & Gray Bldg. Wanaque, NJ 07465, USA)から入手可能である。好適な超音波処理プローブは、前記製造者により、ソノトロードおよびキャスコトロードと様々に呼ばれている。
【0144】
この明細書における実施例のいくつかで報告される試験では、Hielscher製のパイロット規模の超音波プローブ(ソノトロード)を使用した。そのような試験では、ユニットを3L/分プログレッシブキャビティ(seepex)ポンプと共に使用した。
【0145】
下記のある一定の実施例で報告される試験では、試験は、供給槽と超音波フローセル(これは超音波処理プローブ(ソノトロード、すなわち超音波エネルギーをスラリーに向かわせる装置)が配置されるところである)の間の再循環モードで実施した。報告された試験のための供給槽中の開始体積は2.5Lであった。250mlの試料を、0、1、2、4および10分の超音波処理後に収集した。すべてのそのような試験中の流速はおよそ1.5L/分で維持した。加えて、様々なミクロフィブリル化セルロースまたはミクロフィブリル化セルロースおよび無機微粒子材料供給生成物の処理における構成を決定する、ブースター(B4-1.8およびB4-2.2)ならびにソノトロード(BS4d22およびBS4d40)の様々な組み合わせを使用して、いくつかの処理構成が可能であった。ソノトロードは、トランスデューサーにより生成された超音波エネルギーを音波処理される媒体/スラリーに直接移動させるために使用される。ブースターはソノトロードにより生成された振幅を機械的に増加させる(または減少させる)ために使用される。
【0146】
材料についての超音波処理により誘導される空洞化の全ての効果は、異なる周波数、変位または振動振幅、プロセスへの暴露時間およびプロセスの投与様式(例えば、パルスまたは連続投与)を含むパラメータの組み合わせにより制御される。使用される周波数は典型的には約20~約100kHz、または約25~約55kHzの範囲である。使用される振幅は典型的には約22~約50μmの範囲である。0~10bar、または0~4bar、好ましくは約3barの動作圧が使用され得る。20℃~50℃の温度が好適である。ミクロフィブリル化セルロースまたはミクロフィブリル化セルロースおよび無機微粒子材料のスラリーの超音波処理のための最適条件は3bar圧力、20℃、および1.5wt%繊維固体であることが見いだされた。超音波浴、超音波プローブまたは他の装置を使用する選択はまた、プロセスの最終結果に影響を与える可能性がある。
【0147】
本発明に関しては、本発明のミクロフィブリル化セルロースまたはミクロフィブリル化セルロースおよび無機微粒子材料を含む水性懸濁液(集合的に「水性懸濁液」と呼ばれる)の超音波処理は、材料の物理的特性を増強させることが見出されている。例えば、ミクロフィブリル化セルロースを含む、またはミクロフィブリル化セルロースおよび無機微粒子材料を含む水性懸濁液の超音波処理により、この明細書の実施例セクションで示されるように、驚いたことに、かつ予想外に、材料の増強された粘度および/または引張強さが得られる。本発明の材料の物理的特性の増強および増強の程度は使用される動作パラメータに依存する。この明細書の教示を考慮すると、当業者であれば、必要以上の実験をせずに所望の結果を達成するのに適切なパラメータを見分けることができるであろう。
【0148】
本発明の一態様では、本発明の水性懸濁液の超音波処理は、増強された粘度および/または引張強さ特性を有する、ミクロフィブリル化セルロースおよび無機微粒子材料を含む超音波処理された懸濁液を生成させることを含み、方法はセルロースを含む繊維基材を水性環境において無機微粒子材料の存在下でミクロフィブリル化し、ミクロフィブリル化セルロースおよび無機微粒子材料を含む水性懸濁液を生成させる工程を含み、および、ミクロフィブリル化セルロースおよび無機微粒子材料を含む水性懸濁液を超音波処理に供し、増強された粘度および引張強さ特性を有するミクロフィブリル化セルロースおよび無機微粒子材料を含む水性懸濁液を生成させる工程をさらに含む。ミクロフィブリル化工程はセルロースを含む繊維基材を無機微粒子材料の存在下で粉砕することを含むことができ、セルロースを含む繊維基材なしで無機微粒子材料を粉砕し、所望の粒子サイズを有する無機微粒子材料を得る最初の工程をさらに含み得る。
【0149】
1つの実施形態では、粉砕媒体はまた、上記のように、増強された粘度および引張強さ特性を有するミクロフィブリル化セルロースおよび無機微粒子材料を含む水性懸濁液を生成させるために使用され得る。
【0150】
ミクロフィブリル化セルロースおよび無機微粒子材料を含む水性懸濁液の超音波処理は、超音波プローブまたは超音波水浴、超音波ホモジナイザー、超音波フォイルまたは超音波ホーンを用いて実施され得る。そのような装置の使用は当業者に知られている。
【0151】
本発明の一実施形態では、本発明の方法は、超音波処理工程の前後のいずれかで、高せん断混合、均質化またはリファイニングの1つ以上をさらに含むことができ、それらは全て当業者により知られており、この明細書の教示を考慮すると、必要以上の実験をせずに、本発明の方法に組み込むことができる。
【0152】
任意で無機微粒子材料を含む、脱水された、部分的に乾燥された、または本質的に乾燥されたミクロフィブリル化セルロース組成物の再分散
一実施形態では、超音波処理は便宜的に、前に脱水された、部分的に乾燥された、または本質的に乾燥された、ミクロフィブリル化セルロースの組成物またはミクロフィブリル化セルロースおよび無機微粒子材料の組成物を再分散させるために使用される。脱水された、部分的に乾燥された、または本質的に乾燥された、ミクロフィブリル化セルロースの組成物またはミクロフィブリル化セルロースおよび無機微粒子材料の組成物は脱水および乾燥後にペレット化されてもよい。そのような脱水された、部分的に乾燥された、または本質的に乾燥された、任意でペレット化された、ミクロフィブリル化セルロースの組成物またはミクロフィブリル化セルロースおよび無機微粒子材料の組成物はこの明細書で記載される型の超音波処理装置の助けにより再懸濁される。
【0153】
一実施形態では、超音波処理はミクロフィブリル化セルロースまたはミクロフィブリル化セルロースおよび無機微粒子材料の組成物のスラリーについての後処理工程として使用され、そのようなスラリーの1つ以上の物理的特性が改善され、例えば、引張強さが増加され、および粘度が増強される。
【0154】
一実施形態では、発明者らは、脱水された、部分的に乾燥された、または本質的に乾燥されたミクロフィブリル化セルロースを再分散させるための方法を発明し、方法は下記工程を含む:
(a)ある量の好適な分散液を少なくとも1つの入口および出口を有する槽に添加する工程であって、槽は、ミキサおよび出口に取り付けられたポンプをさらに含む、工程;
(b)ある量の脱水された、部分的に乾燥された、または本質的に乾燥されたミクロフィブリル化セルロースを槽に、少なくとも1つの入口を介して、十分な量で添加し、所望の固体濃度の、ミクロフィブリル化セルロースの液体組成物を得る工程;
(c)分散液および脱水された、部分的に乾燥された、または本質的に乾燥されたミクロフィブリル化セルロースを槽中でミキサを用いて混合し、ミクロフィブリル化セルロースを部分的に解凝集および再分散させ、流動性スラリーを形成させる工程;
(d)流動性スラリーを、ポンプを用いてフローセルの入口にポンピングする工程であって、フローセルは連続する1つ以上の超音波処理プローブおよび少なくとも1つの出口を含む、工程;
(e)スラリーに少なくとも200kWh/tの超音波エネルギーを連続して超音波処理プローブにより19~100kHzの周波数範囲で適用する工程;
(f)増強された引張強さおよび/または粘度特性を有するミクロフィブリル化セルロースを含む再分散された懸濁液を、フローセルの少なくとも1つの出口から、好適な保持容器中で回収する工程。
【0155】
他の実施形態では、方法はフローセルの第2の出口は槽の第2の入口に連結され、これにより、超音波エネルギーのスラリーへの所望の期間の間および/または総エネルギー入力範囲での連続適用を提供する連続再循環ループが提供されることを含み得る。よって、方法は、少なくとも1つの超音波処理プローブを含むフローセルを通る単一パスとして選択的に実施され得、またはミクロフィブリル化セルロースを含むスラリー、またはミクロフィブリル化セルロースおよび少なくとも1つの無機微粒子材料を含むスラリーを、少なくとも1つの超音波処理プローブを含むフローセルを含む上記再循環ループを介して再循環させることにより、連続様式で実施され得る。好ましい実施形態では、分散液は水である。
【0156】
一実施形態では、累積超音波エネルギー入力は少なくとも約200kWh/t、少なくとも約300kWh/t、少なくとも約400kWh/t、少なくとも約500kWh/t、少なくとも約600kWh/t、少なくとも約700kWh/t、少なくとも約800kWh/t、少なくとも約900kWh/t、少なくとも約1,000kWh/t、少なくとも約1,100kWh/t、少なくとも約1,200kWh/t、少なくとも約1,300kWh/t、少なくとも約1,400kWh/t、少なくとも約1,500kWh/t、少なくとも約1,600kWh/t、少なくとも約1,700kWh/t、少なくとも約1,750kWh/t、少なくとも約1,800kWh/t、少なくとも約1,900kWh/t、少なくとも約2,000kWh/t、少なくとも約2,100kWh/t、少なくとも約2,200kWh/t、少なくとも約2,300kWh/t、少なくとも約2,400kWh/t、少なくとも約2,500kWh/t、少なくとも約3,000kWh/t、少なくとも約3,500kWh/t、少なくとも約4,000kWh/t、少なくとも約4,500kWh/t、少なくとも約5,000kWh/t、少なくとも約5,500kWh/t、少なくとも約6,000kWh/t、少なくとも約6,500kWh/t、少なくとも約7,000kWh/t、少なくとも約7,500kWh/t、少なくとも約8,000kWh/t、少なくとも約8,500kWh/t、少なくとも約9,000kWh/t、少なくとも約9,500kWh/t、または少なくとも約10,000kWh/tに調整され得る。
【0157】
一実施形態では、フローセルは、ミクロフィブリル化セルロースの懸濁液の温度を約1℃~約80℃、20℃~約50℃の範囲、または室温、もしくは約20℃で維持するための冷却ジャケットを含む。
【0158】
一実施形態では、フローセルは、約0~約10bar、または約0~約4barの再循環される液体の背圧を生成させるために、第2の出口に加減弁を含む。
【0159】
一実施形態では、フローセルは少なくとも1つの超音波処理プローブの振幅を機械的に増加または減少させるために1つ以上のブースターをさらに含む。当業者であれば、超音波処理プローブから放出される超音波エネルギーの振幅を調整するためにブースターがどのように使用され得るか理解するであろう。
【0160】
一実施形態では、液体組成物、好ましくは水性スラリーは、少なくとも約0.5~約5%、または少なくとも約0.5~約6%繊維固体、または少なくとも約0.5~約7、または少なくとも約0.5~約8%、または少なくとも約0.5~約9%、または少なくとも約0.5~約10%、または約1.5%繊維固体、または約1.6%繊維固体、または約1.7%繊維固体、または約1.8%繊維固体、または約1.9%繊維固体、または約2%繊維固体、または約2.5%繊維固体、または約3%繊維固体、または約3.5%繊維固体、または約4%繊維固体、または約4.5、または約5%繊維固体、または約6%繊維固体、または約7%繊維固体、または約8%繊維固体、または約9%繊維固体%、または約10%繊維固体である。
【0161】
いくつかの実施形態では、ミクロフィブリル化セルロース組成物はペレット化される。
【0162】
他の実施形態では、無機微粒子材料を含むミクロフィブリル化セルロース組成物はペレット化される。
【0163】
一実施形態では、超音波エネルギーは約1~約120分、または約30分、または約45分、または約60分、または約75分、または約90分、または約120分間適用される。
【0164】
一実施形態では、再循環ループは高せん断ミキサをさらに含む。
【0165】
当業者であれば、ミクロフィブリル化セルロースまたはミクロフィブリル化セルロースおよび無機微粒子材料の懸濁液の引張強さの改善はこの明細書において前に記載されるFLT指数により証明され得ることを理解するであろう。
【0166】
一実施形態では、そのような懸濁液の超音波処理を採用するこの明細書で記載される方法により製造されなかったミクロフィブリル化セルロースまたはミクロフィブリル化セルロースおよび無機微粒子材料の懸濁液と比べて、そのような懸濁液の超音波処理を採用するこの明細書で記載される方法により製造されたミクロフィブリル化セルロースまたはミクロフィブリル化セルロースおよび無機微粒子材料の懸濁液のFLT指数は改善される。7.5Nm/g以上、7.5Nm/g以上、8Nm/g以上、8.5Nm/g以上、9Nm/g以上、9.5Nm/g以上、10Nm/g以上、10.5Nm/g以上、11Nm/g以上、11.5Nm/g以上、12Nm/g以上、12.5Nm/g以上、13Nm/g以上、13.5Nm/g以上、14Nm/g以上、14.5Nm/g以上、または15Nm/g以上のFLT指数が本明細書において開示される方法により達成可能である。
【0167】
一実施形態では約5%、約6%、約7%、約7.5%、約8%、約9%、約10%、約12.5%、約15%もしくは約20%またはそれ以上のFLT指数の改善が達成され得る。
【0168】
一実施形態では、スラリーまたは懸濁液への超音波エネルギー処理の適用なしで生成されたミクロフィブリル化セルロースまたはミクロフィブリル化セルロースおよび無機微粒子材料の懸濁液と比べて、約5%、約6%、約7%、約7.5%、約8%、約9%、約10%、約12.5%、約15%もしくは約20%またはそれ以上の粘度の改善が達成され得る。
【0169】
一実施形態では、ミクロフィブリル化セルロースを含む液体組成物は約30~約120分、または約30~約90分、または約30~約75分、または約30~約60分、または約30~約45分、または約30分間再循環される。
【0170】
この発明の一態様では、再分散されたミクロフィブリル化セルロース懸濁液はこの明細書で開示されるプロセスにより生成される。
【0171】
一実施形態では、方法は超音波処理工程の前後のいずれかで高せん断混合、均質化およびリファイニングの1つ以上をさらに含む。
【0172】
一実施形態では、発明者らは脱水された、部分的に乾燥された、または本質的に乾燥されたミクロフィブリル化セルロースを再分散させるための方法を発明し、方法は下記工程を含む:
(a)ある量の好適な分散液を密閉槽に添加する工程であって、槽は入口および第1の入口および第1の出口を含むポンプに連結された出口、ならびに第2の入口および第2の出口を含み、少なくとも1つの超音波処理プローブ(ソノトロード)をさらに含むフローセルを含み、これにより、閉じた再循環ループが形成される、工程;
(b)ある量の脱水された、部分的に乾燥された、または本質的に乾燥されたミクロフィブリル化セルロースを槽に十分な量で添加し、所望の固体濃度の、ミクロフィブリル化セルロースの液体組成物を得る工程であって;
工程(b)のミクロフィブリル化セルロースを含む液体組成物は再循環ループを介して連続して再循環される、工程;
(c)少なくとも200kWh/tの超音波エネルギーを断続的にまたは連続してソノトロードにより20~100Hzの周波数範囲で、ミクロフィブリル化セルロースの液体組成物に適用し、
これにより、増強された引張強さおよび/または増強された粘度特性を有する、ミクロフィブリル化セルロースを含む再分散された懸濁液を形成させる工程。
【0173】
追加の実施形態では、脱水された、部分的に乾燥された、または本質的に乾燥されたミクロフィブリル化セルロース組成物を再分散させるための前記方法は、少なくとも1つの無機微粒子材料を含み得る。少なくとも1つの無機微粒子材料はミクロフィブリル化セルロースの液体組成物に添加され得、またはこの明細書において前に記載されるフィブリル化プロセスにおいてセルロース繊維の無機微粒子材料との共処理のために存在し得る。
【0174】
プロセスの好ましい実施形態では、ミクロフィブリル化セルロースの液体組成物は水性懸濁液である。
【0175】
プロセスの超音波処理工程は、閉じた再循環ループの形成部分を構成するフローセル内に含まれる少なくとも1つの超音波処理プローブ(ソノトロード)を用いて実施され得る。閉じた再循環ループは、好適な分散液、好ましくは水を添加するための密閉槽を含む。槽は好適なポンプへの入口に連結される。ポンプの出口は、少なくとも1つのソノトロードを含むフローセルへの入口に連結される。フローセルの出口は閉じた混合槽への第2の入口にチューブにより連結され、これにより、ミクロフィブリル化セルロース、および任意で少なくとも1つの無機微粒子材料を含む液体組成物の再循環のための再循環ループが生成される。
【0176】
ある一定の実施形態では、ミクロフィブリル化セルロースまたはミクロフィブリル化セルロースおよび無機微粒子材料の液体組成物は他の任意的な添加物を含み得る。任意的な添加物は、例えば、歩留向上剤、または製紙用組成物において使用される他の添加物、例えば、サイズ剤(例えば、長鎖アルキルケテン二量体、ワックスエマルジョンまたはコハク酸誘導体であってもよい)とすることができる。組成物はまた、染料および/または蛍光増白剤を含み得る。組成物はまた、乾燥および湿潤強度助剤、例えば、例としてデンプンまたはエピクロルヒドリンコポリマーを含み得る。他の任意的な添加物としては、分散剤、殺生物剤、懸濁化助剤、塩(複数可)および他の添加物、例えば、デンプンまたはカルボキシメチルセルロースまたはポリマー(粉砕中または後に、鉱物粒子と繊維の相互作用を促進することができる)が挙げられる。
【0177】
ミクロフィブリル化セルロース、任意で少なくとも1つ以上の無機微粒子材料の液体組成物は再循環ループを介して連続して再循環される。ミクロフィブリル化セルロース、および任意で少なくとも1つ以上の無機微粒子材料の液体組成物の再循環中、超音波エネルギーは超音波処理装置により適用される。好ましい実施形態では、超音波処理装置はソノトロードであり、当技術分野でよく知られている。例示的なソノトロードは、例えば、Hielscher Ultrasonics GmbH (Oderstr. 53 D-14513 Teltow, ドイツおよび530 Ringwood Ave. Lembo & Gray Bldg. Wanaque, NJ 07465, USA)から入手可能である。
【0178】
超音波エネルギーは、フローセル内に収容された超音波処理プローブ(ソノトロード)により連続してまたは断続的に適用され得る。超音波エネルギーは、少なくとも約200kWh/t、少なくとも約300kWh/t、少なくとも約400kWh/t、少なくとも約500kWh/t、少なくとも約600kWh/t、少なくとも約700kWh/t、少なくとも約800kWh/t、少なくとも約900kWh/t、少なくとも約1,000kWh/t、少なくとも約1,100kWh/t、少なくとも約1,200kWh/t、少なくとも約1,300kWh/t、少なくとも約1,400kWh/t、少なくとも約1,500kWh/t、少なくとも約1,600kWh/t、少なくとも約1,700kWh/t、少なくとも約1,750kWh/t、少なくとも約1,800kWh/t、少なくとも約1,900kWh/t、少なくとも約2,000kWh/t、少なくとも約2,100kWh/t、少なくとも約2,200kWh/t、少なくとも約2,300kWh/t、少なくとも約2,400kWh/t、少なくとも約2,500kWh/t、少なくとも約3,000kWh/t、少なくとも約3,500kWh/t、少なくとも約4,000kWh/t、少なくとも約4,500kWh/t、少なくとも約5,000kWh/t、少なくとも約5,500kWh/t、少なくとも約6,000kWh/t、少なくとも約6,500kWh/t、少なくとも約7,000kWh/t、少なくとも約7,500kWh/t、少なくとも約8,000kWh/t、少なくとも約8,500kWh/t、少なくとも約9,000kWh/t、少なくとも約9,500kWh/t、または少なくとも約10,000kWh/tの累積量で適用され得る。
【0179】
一実施形態では、フローセルはミクロフィブリル化セルロースの懸濁液の温度を約1℃~約80℃、または約20℃~約50℃の範囲、または室温、または好ましくは約20℃で維持するための冷却ジャケットを含む。
【0180】
一実施形態では、フローセルは約0~約10bar、または約0~4bar、好ましくは約3barの再循環される液体の背圧を生成させるために、第2の出口に加減弁を含む。
【0181】
一実施形態では、フローセルは少なくとも1つの超音波処理プローブの振幅を機械的に増加または減少させるために1つ以上のブースターをさらに含む。当業者であれば、超音波処理プローブから放出される超音波エネルギーの振幅を調整するためにブースターがどのように使用され得るか理解するであろう。
【0182】
一実施形態では、液体組成物、好ましくは水性スラリーは少なくとも約0.5%~約5%、または少なくとも約0.5%~約6%繊維固体、または少なくとも約0.5%~約7、または少なくとも約0.5~約8%、または少なくとも約0.5~約9%、または少なくとも約0.5%~約10%、または約1.5%繊維固体、または約1.6%繊維固体、または約1.7%繊維固体、または約1.8%繊維固体、または約1.9%繊維固体、または約2%繊維固体、または約2.5%繊維固体、または約3%繊維固体、または約3.5%繊維固体、または約4%繊維固体、または約4.5、または約5%繊維固体、または約6%繊維固体、または約7%繊維固体、または約8%繊維固体、または約9%繊維固体%、または約10%繊維固体である。
【0183】
一実施形態では、超音波処理は、前に脱水された、部分的に乾燥された、または本質的に乾燥された、ミクロフィブリル化セルロースの組成物またはミクロフィブリル化セルロースおよび無機微粒子材料の組成物を再分散させるために、便宜的に使用される。脱水された、部分的に乾燥された、または本質的に乾燥された、ミクロフィブリル化セルロースの組成物またはミクロフィブリル化セルロースおよび無機微粒子材料の組成物は、脱水および乾燥後にペレット化されてもよい。そのように脱水された、部分的に乾燥されたまたは乾燥された、および任意でペレット化された、ミクロフィブリル化セルロースの組成物またはミクロフィブリル化セルロースおよび無機微粒子材料の組成物はこの明細書で記載される型の超音波処理装置の助けにより再懸濁される。
【0184】
一実施形態では、超音波エネルギーは約1~約120分、または約30分、または約45分、または約60分、または約75分、または約90分、または約120分間適用される。
【0185】
当業者であれば、ミクロフィブリル化セルロースまたはミクロフィブリル化セルロースおよび無機微粒子材料の懸濁液の引張強さの改善は、この明細書において前に記載されるFLT指数により証明され得ることを理解するであろう。
【0186】
一実施形態では、そのような懸濁液の超音波処理を採用するこの明細書で記載される方法により製造されなかったミクロフィブリル化セルロースまたはミクロフィブリル化セルロースおよび無機微粒子材料の懸濁液と比べて、そのような懸濁液の超音波処理を採用するこの明細書で記載される方法により製造されたミクロフィブリル化セルロースまたはミクロフィブリル化セルロースおよび無機微粒子材料の懸濁液のFLT指数は改善される。7.5Nm/g以上、7.5Nm/g以上、8Nm/g以上、8.5Nm/g以上、9Nm/g以上、9.5Nm/g以上、10Nm/g以上、10.5Nm/g以上、11Nm/g以上、11.5Nm/g以上、12Nm/g以上、12.5Nm/g以上、13Nm/g以上、13.5Nm/g以上、14Nm/g以上、14.5Nm/g以上、または15Nm/g以上のFLT指数が本明細書において開示される方法により達成可能である。
【0187】
本発明の一実施形態では、増強された粘度および引張強さ特性を有するミクロフィブリル化セルロースおよび無機微粒子材料を含む水性懸濁液の引張強さは、超音波処理に供されないミクロフィブリル化セルロースおよび無機微粒子材料を含む水性懸濁液よりも、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも50%、少なくとも100%または少なくとも200%だけ増加される。
【0188】
本発明の一実施形態では、増強された粘度および引張強さ特性を有するミクロフィブリル化セルロースおよび無機微粒子材料を含む水性懸濁液の粘度は、超音波処理に供されないミクロフィブリル化セルロースおよび無機微粒子材料を含む水性懸濁液よりも、少なくとも5%、少なくとも10%または少なくとも20%、少なくとも50%、少なくとも100%だけ増加される。
【0189】
本発明の一実施形態では、ミクロフィブリル化セルロースおよび無機微粒子材料を含む水性懸濁液は、少なくとも30秒、少なくとも1分、少なくとも2分、少なくとも5分、少なくとも10分および少なくとも20分またはそれ以上の間超音波処理に供される。時間の長さは、当業者によりこの明細書の教示に基づき決定され得る。
【0190】
本発明の一実施形態では、ミクロフィブリル化セルロースおよび無機微粒子材料を含む水性懸濁液は1メートルトンの乾燥フィブリルあたり1000kwhまで、1メートルトンあたり2000kwhまで、1メートルトンの乾燥フィブリルあたり2500kwh、1メートルトンの乾燥フィブリルあたり5000kwhまで、および1メートルトンの乾燥フィブリルあたり10000kwhまでのエネルギー補償率で超音波処理に供される。本出願の実施例において明記されるように、超音波処理は、脱水され、部分的に乾燥され、または本質的に乾燥され、およびペレット化された、ミクロフィブリル化セルロースまたはミクロフィブリル化セルロースおよび無機微粒子材料の組成物を再分散および解凝集させるのにより有効であることが見いだされた。他の実施形態では、超音波処理による、ミクロフィブリル化セルロースまたはミクロフィブリル化セルロースおよび無機微粒子材料の組成物のスラリーの再分散により、200kWh/t~10,000kWh/t、とりわけ1000kWh/t~2000kWh/tのエネルギー入力で製品品質の改善が得られた。
【0191】
一実施形態では、パイロット規模攪拌媒体デトリタ(Supermill)を使用して生成された鉱物を含まないミクロフィブリル化セルロース(例えば、カバノキ)の超音波処理により、約1500kWh/tで超音波処理された場合、例えばSupermillにおける粉砕プロセスにより製造され、続いて均質化工程が実施されたミクロフィブリル化セルロースに匹敵する仕様を有する生成物が得られた。
【0192】
ある一定の実施形態では、ミクロフィブリル化セルロースおよび無機微粒子材料を含む水性懸濁液は、超音波処理器を連続モードまたはパルスモードまたはその両方の組み合わせで実行させることにより超音波処理され得る。すなわち、その場合、交互の長パルスおよび短パルスが所望のパターンとしてまたは無作為に実施される。
【0193】
好ましい実施形態では、ミクロフィブリル化セルロースおよび無機微粒子材料を含む水性懸濁液は、超音波処理前に半(部分)乾燥生成物に形成され得る。ベルトプレスケーキは本発明での使用に好適な半乾燥生成物の1つの例である。ある一定の実施形態では、ベルトプレスケーキはさらに、空気掃引乾燥機およびミル、例えばアトリター乾燥機における処理に供され得る。しばしば、例えば、取り扱いおよび/または輸送を容易にするために、生成物の半乾燥生成物への変換が実施される。半乾燥生成物を開始材料として使用する場合には、超音波処理は増強された物理的特性を材料に提供するだけでなく、再湿潤と呼ばれるプロセスにおいて材料の溶液中への分配を助ける。
【0194】
ミクロフィブリル化セルロースおよび無機微粒子材料を含む水性懸濁液の超音波処理は任意の特別なまたは特定の超音波処理パラメータに制限されず、というのも、1つのパラメータについての変化は、装置および超音波処理される材料の物理的および実用的制限内で、別のパラメータの変化を補償する可能性があるからである。例えば、超音波処理時間を長くすることは少なくとも部分的に低減された振幅を使用することを補償し得る。
【0195】
好ましい実施形態では、超音波処理は使用される超音波処理器の物理的限界に対して、60%まで、80%まで、100%までおよび200%以上までの振幅で、実施される。使用される特定の装置の振幅の前記物理的上限は当業者に知られている。
【0196】
セルロースを含む繊維基材はパルプ、例えば、化学パルプ、またはケミサーモメカニカルパルプ、または機械パルプ、または再生パルプ、または損紙パルプ、または紙工場廃水流、または紙工場からの廃棄物、またはそれらの組み合わせの形態であってもよい。
【0197】
無機微粒子材料はアルカリ土類金属炭酸塩または硫酸塩、例えば炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ドロマイト、セッコウ、含水カンダイト粘土、例えばカオリン、ハロイサイトまたはボールクレー、無水(か焼)カンダイト粘土、例えばメタカオリンまたは完全か焼カオリン、タルク、雲母、パーライトもしくは珪藻土、またはそれらの組み合わせであってもよい。好ましい実施形態では、無機微粒子材料はアルカリ土類金属炭酸塩、例えば、炭酸カルシウムまたはカオリンまたはそれらの組み合わせである。
【0198】
粉砕容器はタワーミルまたは攪拌媒体デトリタであってもよい。
【0199】
一実施形態では、本発明の方法により得られた、増強された粘度および引張強さ特性を有するミクロフィブリル化セルロースおよび無機微粒子材料を含む水性懸濁液は紙を製造する、または紙をコーティングする方法において使用するのに好適であり、ミクロフィブリル化セルロースが典型的に使用される他のプロセスおよび材料における他の使用に好適であり、その例は「他の使用」と題するセクションで下記にて詳述される。
【0200】
発明の別の態様では、セルロース懸濁液は無機微粒子材料を使用せずに生成され得る。これらの場合において、上記および下記の粉砕媒体が無機微粒子材料の代わりに使用され得る。この関連で、本発明のセルロース懸濁液の超音波処理は増強された粘度および引張強さ特性を有するミクロフィブリル化セルロースを含む水性懸濁液を生成させることを含み、方法はセルロースを含む繊維基材を水性環境においてミクロフィブリル化し、ミクロフィブリル化セルロースを含む水性懸濁液を生成させる工程を含み、および、ミクロフィブリル化セルロースを含む水性懸濁液を超音波処理に供し、増強された粘度および引張強さ特性を有するミクロフィブリル化セルロースを含む水性懸濁液を生成させる工程をさらに含む。ミクロフィブリル化工程はセルロースを含む繊維基材を粉砕媒体の存在下で粉砕することを含むことができ、粉砕媒体は所望の粒子サイズを有する。粉砕媒体はミクロフィブリル化工程後に部分的にまたは完全に除去され得る。
【0201】
ミクロフィブリル化セルロースを含む水性懸濁液の超音波処理は、超音波プローブまたは超音波水浴、超音波ホモジナイザー、超音波フォイルまたは超音波ホーンを用いて実施され得る。そのような装置の使用は当業者に知られている。
【0202】
そのようなプローブは当業者に知られている。この明細書の教示を考慮すると、当業者は、必要以上の実験をせずに適切なパラメータを見分けることができるであろう。
【0203】
本発明の一実施形態では、本発明の方法は、超音波処理工程の前後のいずれかで、高せん断混合、均質化またはリファイニングの1つ以上をさらに含むことができ、それらは全て当業者により知られており、この明細書の教示を考慮すると、必要以上の実験をせずに、本発明の方法に組み込むことができる。
【0204】
本発明の一実施形態では、増強された粘度および引張強さ特性を有するミクロフィブリル化セルロースを含む水性懸濁液の引張強さは、超音波処理に供されないミクロフィブリル化セルロースおよび無機微粒子材料を含む水性懸濁液よりも、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも50%、少なくとも100%または少なくとも200%だけ増加される。
【0205】
本発明の一実施形態では、増強された粘度および引張強さ特性を有するミクロフィブリル化セルロースを含む水性懸濁液の粘度は、超音波処理に供されないミクロフィブリル化セルロースおよび無機微粒子材料を含む水性懸濁液よりも、少なくとも5%、少なくとも10%または少なくとも20%、少なくとも50%、少なくとも100%だけ増加される。
【0206】
本発明の一実施形態では、ミクロフィブリル化セルロースを含む水性懸濁液は超音波処理に少なくとも30秒、少なくとも1分、少なくとも2分、少なくとも3分、少なくとも4分、少なくとも5分、少なくとも10分および少なくとも20分またはそれ以上の間、供される。時間の長さは、当業者によりこの明細書の教示に基づき決定され得る。
【0207】
本発明の一実施形態では、ミクロフィブリル化セルロースを含む水性懸濁液は、1メートルトンの乾燥フィブリルあたり1000kwhまで、1メートルトンあたり1500kwhまで、1メートルトンあたり2000kwhまで、1メートルトンの乾燥フィブリルあたり2500kwhまで、1メートルトンの乾燥フィブリルあたり5000kwhまで、および1メートルトンの乾燥フィブリルあたり10000kwhまでのエネルギー補償率で超音波処理に供される。
【0208】
ミクロフィブリル化セルロース、および任意で無機微粒子材料を含む水性懸濁液は、超音波処理器を連続モードまたはパルスモードまたはその両方の組み合わせで実行させることにより超音波処理され得る。すなわち、その場合、交互の長パルスおよび短パルスが所望のパターンとしてまたは無作為に実施される。
【0209】
ミクロフィブリル化セルロース、および任意で無機微粒子材料を含む水性懸濁液は、超音波処理前に半(部分)乾燥生成物に形成され得る。ベルトプレスケーキは本発明での使用に好適な半乾燥生成物の1つの例である。別の実施形態は、アトリター乾燥機ミルなどの空気掃引ミルにおいてさらに乾燥されるベルトプレスケーキである。しばしば、例えば、取り扱いおよび/または輸送を容易にするために、生成物の半乾燥生成物への変換が実施される。半乾燥生成物を開始材料として使用する場合には、超音波処理は増強された物理的特性を材料に提供するだけでなく、材料の溶液または懸濁液中への分配を助ける。
【0210】
ミクロフィブリル化セルロース、および任意で無機微粒子材料を含む水性懸濁液の超音波処理は任意の特別なまたは特定の超音波処理パラメータに制限されず、というのも、1つのパラメータについての変化は、物理的および実用的制限内で、別のパラメータの変化を補償し得るからである。例えば、超音波処理時間を長くすることは少なくとも部分的に低減された振幅を補償し得る。
【0211】
好ましい実施形態では、超音波処理は、使用される超音波処理器の物理的限界に対して、60%まで、80%まで、100%までおよび200%以上までの振幅で、実施される。使用される特定の装置の振幅の前記物理的上限は当業者に知られている。
【0212】
セルロースを含む繊維基材はパルプ、例えば、化学パルプ、またはケミサーモメカニカルパルプ、または機械パルプ、または再生パルプ、または損紙パルプ、または紙工場廃水流、または紙工場からの廃棄物、またはそれらの組み合わせの形態であってもよい。
【0213】
一実施形態では、本発明の方法により得られた、増強された粘度および引張強さ特性を有する、ミクロフィブリル化セルロース、および任意で、無機微粒子材料を含む水性懸濁液は紙を製造する、または紙をコーティングする方法において使用するのに好適であり、ミクロフィブリル化セルロースが典型的に使用される他のプロセスおよび材料における他の使用に好適であり、ミクロフィブリル化セルロースが典型的に使用される他のプロセスおよび材料における他の使用に好適であり、その例は「他の使用」と題するセクションで下記にて詳述される。
【0214】
紙製品およびこれを調製するためのプロセス
ミクロフィブリル化セルロースおよび無機微粒子材料を含む水性懸濁液は製紙用組成物に組み入れることができ、ひいては、紙製品を調製するために使用することができる。本発明との関連で使用される紙製品という用語は、ボード、例えば、例として裏白ボードおよびライナーボード、ボール紙、板紙、塗工板紙、などを含む、全ての形態の紙を意味すると理解されるべきである。本発明により製造され得る、コートまたは無コートの多くの型の紙が存在し、本、雑誌、新聞などに好適な紙、およびオフィス用紙が含まれる。紙は必要に応じてカレンダー加工またはスーパーカレンダー加工されてもよく;例えば、輪転グラビア印刷およびオフセット印刷のためのスーパーカレンダー加工された雑誌用紙は本方法により製造され得る。軽量コーティング(LWC)、中量コーティング(MWC)またはマシン仕上げ染色(pigmentisation)(MFP)に好適な紙もまた、本方法により製造され得る。
【0215】
食品パッケージングなどに好適なバリア特性を有するコート紙およびボードもまた、本方法により製造され得る。典型的な製紙プロセスでは、セルロース含有パルプが、当技術分野でよく知られている任意の好適な化学的または機械的処理、またはそれらの組み合わせにより調製される。パルプは任意の好適な起源、例えば木材、草(例えば、サトウキビ、竹)またはぼろ(例えば、繊維くず、綿、ヘンプまたは亜麻)由来とすることができる。パルプは当業者によく知られたプロセスにしたがい漂白され得、本発明での使用に好適なそれらのプロセスは容易に明らかになる。漂白されたセルロースパルプは、あらかじめ決められたろ水度(当技術分野において、cm3のカナダ標準ろ水度(CSF)として報告される)までビーティングされ、リファイニングされ、または両方がされ得る。好適な紙料が次いで、漂白され、ビーティングされたパルプから調製される。
【0216】
本発明の製紙用組成物は典型的には、ミクロフィブリル化セルロースおよび無機微粒子材料の水性懸濁液に加えて、紙料および当技術分野で知られている他の従来の添加物を含む。本発明の製紙用組成物は製紙用組成物の総乾燥量に基づき、約50重量%までの、ミクロフィブリル化セルロースおよび無機微粒子材料を含む水性懸濁液由来の無機微粒子材料を含み得る。例えば、製紙用組成物は、製紙用組成物の総乾燥量に基づき、少なくとも約2重量%、または少なくとも約5重量%、または少なくとも約10重量%、または少なくとも約15重量%、または少なくとも約20重量%、または少なくとも約25重量%、または少なくとも約30重量%、または少なくとも約35重量%、または少なくとも約40重量%、または少なくとも約45重量%、または少なくとも約50重量%、または少なくとも約60重量%、または少なくとも約70重量%、または少なくとも約80重量%の、ミクロフィブリル化セルロースおよび無機微粒子材料を含む水性懸濁液由来の無機微粒子材料を含み得る。ミクロフィブリル化セルロース材料は、約10を超える、例えば、約20~約50、または約25~約40、または約25~35、または約30~約40の繊維峻度を有し得る。製紙用組成物はまた、非イオン性、カチオン性またはアニオン性歩留向上剤または微小粒子リテンション系を、ミクロフィブリル化セルロースおよび無機微粒子材料を含む水性懸濁液の乾燥重量に基づき約0.1~2重量%の範囲の量で含み得る。それはまた、サイズ剤を含むことができ、例えば、長鎖アルキルケテン二量体、ワックスエマルジョンまたはコハク酸誘導体であってもよい。組成物はまた、染料および/または蛍光増白剤を含み得る。組成物はまた、例えば、デンプンまたはエピクロルヒドリンコポリマーなどの乾燥および湿潤強度助剤を含み得る。
【0217】
1つの実施形態では、本発明は、下記を含む紙製品を製造するためのプロセスに関する:(i)セルロースを含む繊維基材を、紙製品を製造するのに好適なパルプの形態で得るまたは調製すること;(ii)工程(i)のパルプから製紙用組成物を調製することであって、この発明の水性懸濁液はミクロフィブリル化セルロースおよび無機微粒子材料、および他の任意的な添加物(例えば、例として、歩留向上剤、および上記で記載されるものなどの他の添加物)を含むこと;ならびに(iii)前記製紙用組成物から紙製品を形成させること。上述のように、パルプを形成させる工程はグラインダー容器またはホモジナイザー内で、セルロースを含む繊維基材を乾燥状態で、例えば、乾燥損紙または紙屑の形態で、直接グラインダー容器に添加することにより起こり得る。グラインダー容器またはホモジナイザー内の水性環境はそれから、パルプの形成を促進する。
【0218】
1つの実施形態では、追加のフィラー成分(すなわち、セルロースを含む繊維基材と共に同時粉砕される無機微粒子材料以外のフィラー成分)は、工程(ii)において調製される製紙用組成物に添加することができる。例示的なフィラー成分はPCC、GCC、カオリン、またはその混合物である。例示的なPCCは偏三角面体PCCである。一実施形態では、製紙用組成物中の無機微粒子材料対追加のフィラー成分の重量比は約1:1~約1:30、例えば、約1:1~約1:20、例えば、約1:1~約1:15、例えば約1:1~約1:10、例えば約1:1~約1:7、例えば、約1:3~約1:6、または約1:1、または約1:2、または約1:3、または約1:4、または約1:5である。そのような製紙用組成物から製造された紙製品は、フィラーとして例えばPCCなどの無機微粒子材料のみを含む紙製品と比べより大きな強度を示し得る。そのような製紙用組成物から製造された紙製品は、無機微粒子材料およびセルロースを含む繊維基材が別々に調製(例えば、粉砕)され、混合され、製紙組成物が形成される紙製品と比べより大きな強度を示し得る。同様に、本発明による製紙用組成物から調製された紙製品はより少ない無機微粒子材料を含む紙製品に匹敵する強度を示し得る。言い換えれば、紙製品は、より高いフィラー投入で強度損失なしに、本発明による製紙組成物から調製することができる。
【0219】
製紙用組成物からの最終紙製品の形成における工程は従来のものであり、当技術分野でよく知られており、一般に、製造される紙の型によって、標的にされる坪量を有する紙シートの形成を含む。
【0220】
追加の経済利益が、水性懸濁液を製造するためのセルロース基材が製紙用組成物および最終紙製品を製造するために形成される同じセルロースパルプ由来とすることができる本発明の方法により達成され得る。そのようなものとして、上記発明の態様によれば、本発明は、下記を含む紙製品を製造するための統合プロセスに関する:(i)セルロースを含む繊維基材を、紙製品を製造するのに好適なパルプの形態で得るまたは調製すること;(ii)発明の第1の態様により、セルロースを含む前記繊維基材の一部をミクロフィブリル化し、ミクロフィブリル化セルロースおよび無機微粒子材料を含む水性懸濁液を調製すること;(iii)工程(i)のパルプ、工程(ii)で調製した水性懸濁液、および他の任意的な添加物から製紙用組成物を調製すること;ならびにiv)前記製紙用組成物から紙製品を形成させること。
【0221】
よって、水性懸濁液を調製するためのセルロース基材は製紙用組成物を製造する目的のためにすでに調製されているので、水性懸濁液を形成する工程は、セルロースを含む繊維基材を調製する別個の工程を必ずしも必要としない。
【0222】
本発明の水性懸濁液を使用して調製した紙製品は驚いたことに、改善された物理的および機械的特性を示すが、同時に無機微粒子材料をかなり高い投入レベルで組み入れることができることが見いだされている。よって、改善された紙が比較的少ないコストで調製され得る。例えば、本発明の水性懸濁液を含む製紙用組成物から調製された紙製品は、ミクロフィブリル化セルロースを含まない紙製品と比べて、無機微粒子材料フィラーの改善されたリテンションを示すことが見いだされている。本発明の水性懸濁液を含む製紙用組成物から調製された紙製品はまた、改善された破裂強度および引張強さを示すことが見いだされている。さらに、ミクロフィブリル化セルロースの組み入れは、同じ量のフィラーを含むが、ミクロフィブリル化セルロースを含まない紙と比べて多孔度を低減させることが見いだされている。高いフィラー投入レベルは一般に多孔度のかなり高い値と関連し、印刷適性に有害となるため、これは有利である。
【0223】
紙コーティング組成物およびコーティングプロセス
本発明の水性懸濁液は、さらなる添加物の添加なしで、コーティング組成物として使用することができる。しかしながら、任意で、少量の増粘剤、例えばカルボキシメチルセルロースまたはアルカリ-膨潤性アクリル増粘剤または関連する増粘剤が添加され得る。
【0224】
本発明によるコーティング組成物は、所望であれば、1つ以上の任意的な追加成分を含み得る。そのような追加成分は、存在する場合、紙コーティング組成物のための公知の添加物から好適に選択される。これらの任意的な添加物のいくつかは、コーティング組成物において1を超える機能を提供し得る。公知のクラスの任意的な添加物の例は下記の通りである:
(a)1つ以上の追加の顔料:本明細書で記載される組成物は紙コーティング組成物中の唯一の顔料として使用することができ、またはもう1つのまたは他の公知の顔料、例えば、例として、硫酸カルシウム、サチンホワイト、およびいわゆる「プラスチック顔料」と併用して使用することができる。顔料の混合物が使用される場合、総顔料固体含量は好ましくは、組成物中にコーティング組成物の乾燥成分の総重量の少なくとも約75wt%の量で存在する;
(b)1つ以上の結合または共結合剤:例えば、任意で、カルボキシル化され得るラテックス、下記が含まれる:スチレン-ブタジエンゴムラテックス;アクリルポリマラテックス;ポリ酢酸ビニルラテックス;またはスチレンアクリルコポリマラテックス、デンプン誘導体、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリビニルアルコール、およびタンパク質;
(c)1つ以上の架橋剤:例えば、約5重量%までのレベル;例えば、グリオキサール、メラミンホルムアルデヒド樹脂、炭酸ジルコニウムアンモニウム;1つ以上の乾燥または湿潤ピック改善添加物:例えば、約2重量%までのレベル、例えば、メラミン樹脂、ポリエチレンエマルジョン、尿素ホルムアルデヒド、メラミンホルムアルデヒド、ポリアミド、ステアリン酸カルシウム、スチレン無水マレイン酸など;1つ以上の乾燥または湿潤摩擦改善および耐摩耗性添加物:例えば、約2重量%までのレベル、例えば、グリオキサール系樹脂、酸化ポリエチレン、メラミン樹脂、尿素ホルムアルデヒド、メラミンホルムアルデヒド、ポリエチレンワックス、ステアリン酸カルシウムなど;1つ以上の耐水性添加物:例えば、約2重量%までのレベル、例えば、酸化ポリエチレン、ケトン樹脂、アニオン性ラテックス、ポリウレタン、SMA、グリオキサール、メラミン樹脂、尿素ホルムアルデヒド、メラミンホルムアルデヒド、ポリアミド、ステアレートおよびこの機能のための市販された他の材料;
(d)1つ以上の水リテンション助剤:例えば、約2重量%までのレベル、例えば、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシエチルセルロース、PVOH(ポリビニルアルコール)、デンプン、タンパク質、ポリアクリレート、ガム、アルギナート、ポリアクリルアミドベントナイトおよびそのような用途のために販売される他の市販品;
(e)1つ以上の粘度調整剤および/または増粘剤:例えば、約2重量%までのレベル;例えば、アクリル関連増粘剤、ポリアクリレート、エマルジョンコポリマー、ジシアナミド、トリオール、ポリオキシエチレンエーテル、尿素、硫酸化ヒマシ油、ポリビニルピロリドン、CMC(カルボキシメチルセルロース、例えばナトリウムカルボキシメチルセルロース)、アルギン酸ナトリウム、キサンタンガム、ケイ酸ナトリウム、アクリル酸コポリマー、HMC(ヒドロキシメチルセルロース)、HEC(ヒドロキシエチルセルロース)など;
(f)1つ以上の潤滑性/カレンダー加工助剤:例えば、約2重量%までのレベル、例えば、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸アンモニウム、ステアリン酸亜鉛、ワックスエマルジョン、ワックス、アルキルケテンダイマー、グリコール;1つ以上の光沢インク提供添加物:例えば、約2重量%までのレベル、例えば、酸化ポリエチレン、ポリエチレンエマルジョン、ワックス、カゼイン、グアーガム、CMC、HMC、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸アンモニウム、アルギン酸ナトリウムなど;
(g)1つ以上の分散剤:分散剤は、十分な量で存在すると、通常の処理要求に従い、粒子の綿状沈殿または凝集を所望の程度まで防止する、または効果的に制限するように、微粒子無機材料の粒子に作用することができる化学添加物である。分散剤は約1重量%までのレベルで存在することができ、例えば、高分子電解質、例としてポリアクリレートおよび、ポリアクリレート種、とりわけポリアクリレート塩(例えば、ナトリウムおよびアルミニウム、任意でII族金属塩と共に)を含むコポリマー、ヘキサメタリン酸ナトリウム、非イオン性ポリオール、ポリリン酸、縮合リン酸ナトリウム、非イオン性界面活性剤、アルカノールアミンおよびこの機能のために一般的に使用される他の試薬が挙げられる。分散剤は、例えば、無機微粒子材料の処理および粉砕において一般的に使用される従来の分散剤材料から選択され得る。そのような分散剤は当業者により、よく認識される。それらは一般に、アニオン性種を提供することができる水溶性塩であり、アニオン性種はそれらの有効量では、無機粒子の表面上に吸着し、よって、粒子の凝集を阻害することができる。非溶媒和塩は好適に、ナトリウムなどのアルカリ金属カチオンを含む。溶媒和は場合によっては、水性懸濁液をわずかにアルカリ性とすることにより援助され得る。好適な分散剤の例としては下記が挙げられる:水溶性縮合リン酸塩、例えば、ポリメタリン酸塩[ナトリウム塩の一般形:(NaPO3)X]例えば四メタリン酸ナトリウムまたはいわゆる「ヘキサメタリン酸ナトリウム」(Graham塩);ポリケイ酸の水溶性塩;高分子電解質;好適に約20,000未満の重量平均分子質量を有する、アクリル酸またはメタクリル酸のホモポリマーまたはコポリマーの塩、またはアクリル酸の他の誘導体のポリマーの塩。ヘキサメタリン酸ナトリウムおよびポリアクリル酸ナトリウム(sodium polyacrytate)(後者は、好適に約1,500~約10,000の範囲の重量平均分子質量を有する)がとりわけ好ましい;
(h)1つ以上の泡止め剤および消泡剤:例えば、約1重量%までのレベル、例えば、界面活性剤のブレンド、リン酸トリブチル、脂肪ポリオキシエチレンエステル+脂肪アルコール、脂肪酸石鹸、シリコーンエマルジョンおよび他のシリコーン含有組成物、ワックスおよび無機微粒子を含む鉱物油、乳化された炭化水素のブレンドおよびこの機能を実施するために商業的に販売される他の化合物;
(i)1つ以上の蛍光増白剤(OBA)および蛍光性白色化剤(FWA):例えば、約1重量%までのレベル、例えば、スチルベン誘導体;
(j)1つ以上の染料:例えば、約0.5重量%までのレベル;
(k)1つ以上の殺生物剤/腐敗抑制剤:例えば、約1重量%までのレベル、例えば、酸化殺生物剤、例えば塩素ガス、二酸化塩素ガス、次亜塩素酸ナトリウム、次亜臭素酸ナトリウム、水素、過酸化物、過酢酸酸化物、臭化アンモニウム/次亜塩素酸ナトリウム、または非酸化殺生物剤、例えばGLUT(グルタルアルデヒド、CAS No 90045-36-6)、ISO(CIT/MIT)(イソチアゾリノン、CAS Np55956-84-9&96118-96-6)、ISO(BIT/MIT)(イソチアゾリノン)、ISO(BIT)(イソチアゾリノン、CAS No 2634-33-5)、DBNPA、BNPD(ブロノポール)、NaOPP、カルバメート、チオン(ダゾメット),EDDM-ジメタノール(0-ホルマール)、HT-トリアジン(N-ホルマール)、THPS-テトラキス(0-ホルマール)、TMAD-ジウレア(N-ホルマール)、メタボレート、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム(sodium dodecylbenene sulphonate)、チオシアネート、有機硫黄、安息香酸ナトリウムおよびこの機能のために商業的に販売されている他の化合物、例えば、Nalcoにより販売されている殺生物剤ポリマーの範囲;
(l)1つ以上のレベリングおよび平坦化助剤:例えば、約2重量%までのレベル、例えば、非イオン性ポリオール、ポリエチレンエマルジョン、脂肪酸、エステルおよびアルコール誘導体、アルコール/エチレンオキシド、ステアリン酸カルシウムおよびこの機能のために商業的に販売されている他の化合物;
(m)1つ以上の耐脂および耐油性添加物:例えば、約2重量%までのレベル、例えば、酸化ポリエチレン、ラテックス、SMA(スチレンマレイン酸無水物)、ポリアミド、ワックス、アルギナート、タンパク質、CMC、およびHMC。
【0225】
上記添加物および添加物型のいずれも、所望であれば、単独で、または互いとの、および他の添加物との混合物で使用され得る。
【0226】
上記添加物の全てについて、引用された重量パーセンテージは、組成物中に存在する無機微粒子材料の乾燥重量(100%)に基づく。添加物が最小量で存在する場合、最小量は顔料の乾燥重量に基づき約0.01重量%であってもよい。
【0227】
コーティングプロセスは当業者によく知られている標準技術を使用して実施される。コーティングプロセスはまた、コート製品のカレンダー加工またはスーパーカレンダー加工を含み得る。
【0228】
紙および他のシート材料をコートする方法、および方法を実施するための装置は広く公開され、よく知られている。そのような公知の方法および装置は便宜上、コート紙を調製するために使用され得る。例えば、Pulp and Paper International, May 1994,18ページ、以下参照、において公開されたそのような方法のレビューがある。シートはシート形成機械上で、すなわち、「オンマシン」または「オフマシン」で、コーターまたはコーティング機械上にてコートされ得る。コーティング方法においては高固体組成物の使用が望ましく、というのも、その後に蒸発する、残る水が少なくなるからである。しかしながら、当技術分野でよく知られているように、固体レベルは、高粘度およびレベリング問題が導入されるような高いものとするべきでない。コーティングの方法は、(i)コーティング組成物をコートされる材料に塗布するための塗布部および(ii)正確なレベルのコーティング組成物が塗布されたことを確保するための計量装置を含む装置を用いて実施され得る。過剰なコーティング組成物がアプリケーターに塗布される場合、計量装置はその下流にある。あるいは、正確な量のコーティング組成物がアプリケーターに、計量装置により、例えば、フィルムプレスとして塗布され得る。コーティング塗布および計量点で、ペーパーウェブはバッキングロールから、例えば、1または2つのアプリケーターを介して、何もない(すなわち、張力のみ)までの範囲をサポートする。過剰なものが最終的に除去される前にコーティングが紙と接触する時間はドウェル時間であり-これは短かったり、長かったり、可変的であり得る。
【0229】
コーティングは通常、コーティングヘッドにより、コーティングステーションで添加される。所望の品質によれば、紙グレードは無コート、シングルコート、ダブルコートおよびさらにはトリプルコートである。1を超えるコートを提供する場合、最初のコート(プレコート)はより安価な配合、および任意でコーティング組成物中により粗い顔料を有し得る。紙の各側面上でコーティングを塗布しているコーターは、各側面で塗布されるコーティング層の数によって、2または4つのコーティングヘッドを有する。ほとんどのコーティングヘッドは、1度に1つの側のみをコートするが、いくつかのロールコーター(例えば、フィルムプレス、ゲートロール、およびサイズプレス)は、1つのパスで両側をコートする。
【0230】
採用され得る公知のコーターの例としては下記が挙げられるが、それらに限定されない:エアナイフコーター、ブレードコーター、ロッドコーター、バーコーター、マルチヘッドコーター、ロールコーター、ロールまたはブレードコーター、キャストコーター、研究室コーター、グラビアコーター、キスコーター、液塗布システム、リバースロールコーター、カーテンコーター、スプレーコーターおよび押出コーター。
【0231】
水はコーティング組成物を構成する固体に添加され得、好ましくは、組成物がシート上に所望の標的コーティング重量までコートされる場合、組成物を1~1.5barの圧力(すなわち、ブレード圧力)でコートすることができるようにするのに好適なレオロジーを組成物が有するような固体の濃度が得られる。
【0232】
カレンダー加工は、コート紙シートをカレンダーニップまたはローラー間に1回以上通過させることにより、紙平滑度および光沢が改善され、嵩が低減されるよく知られたプロセスである。通常、エラストマ-コートされたロールが高固体組成物のプレスを与えるために採用される。高温度が適用され得る。ニップを通る1つ以上の(例えば、約12まで、または時としてそれ以上)パスが適用され得る。
【0233】
本発明にしたがい調製された、コーティング中に蛍光増白剤を含むコート紙製品は、本発明にしたがい調製されたミクロフィブリル化セルロースを含まないコート紙製品と比べて少なくとも2単位大きな、例えば少なくとも3単位大きな、ISO標準11475に従い測定される白色度を示し得る。本発明にしたがい調製されたコート紙製品は、本発明にしたがい調製されたミクロフィブリル化セルロースを含まないコート紙製品と比べて、少なくとも0.5μm滑らかな、例えば少なくとも約0.6μm滑らかな、または少なくとも約0.7μm滑らかな、ISO標準8971-4(1992)に従い測定されるParker Print Surf平滑度を示し得る。
【0234】
粉砕可能な無機微粒子材料なしでのミクロフィブリル化
別の態様では、本発明は、ミクロフィブリル化セルロースを含む水性懸濁液を調製するための方法に関し、方法は、セルロースを含む繊維基材を、水性環境において、粉砕完了後に除去される粉砕媒体の存在下で粉砕することによりミクロフィブリル化する工程を含み、粉砕はタワーミルまたはスクリーンドグラインダー内で実施され、粉砕は粉砕可能な無機微粒子材料なしで実施される。
【0235】
粉砕可能な無機微粒子材料は粉砕媒体の存在下で粉砕される材料である。
【0236】
微粒子粉砕媒体は天然または合成材料であってもよい。粉砕媒体は、例えば、任意の硬い鉱物、セラミックまたは金属材料のボール、ビーズまたはペレットを含み得る。そのような材料としては、例えば、アルミナ、ジルコニア、ケイ酸ジルコニウム、ケイ酸アルミニウムまたは、カオリナイト粘土を約1300℃~約1800℃の範囲の温度でか焼させることにより生成されるムライトリッチ材料が挙げられる。例えば、いくつかの実施形態では、Carbolite(登録商標)粉砕媒体が好ましい。あるいは、好適な粒子サイズの天然砂の粒子が使用され得る。
【0237】
一般に、発明において使用するために選択される粉砕媒体の型および粒子サイズは特性、例えば、例として、粉砕される材料の供給懸濁液の粒子サイズ、および化学組成に依存し得る。好ましくは、微粒子粉砕媒体は、約0.5mm~約6mmの範囲の平均直径を有する粒子を含む。1つの実施形態では、粒子は少なくとも約3mmの平均直径を有する。
【0238】
粉砕媒体は少なくとも約2.5の比重を有する粒子を含み得る。粉砕媒体は少なくとも約3、または少なくとも約4、または少なくとも約5、または少なくとも約6の比重を有する粒子を含み得る。
【0239】
粉砕媒体(または複数形)は分量の約70体積%までの量で存在し得る。粉砕媒体は分量の少なくとも約10体積%、例えば、分量の少なくとも約20体積%、または分量の少なくとも約30体積%、または分量の少なくとも約40体積%、または分量の少なくとも約50体積%、または分量の少なくとも約60体積%の量で存在し得る。
【0240】
セルロースを含む繊維基材はミクロフィブリル化され得、レーザー光散乱により測定すると約5μm~約500μmの範囲のd50を有するミクロフィブリル化セルロースが得られる。セルロースを含む繊維基材はミクロフィブリル化され得、約400μm以下、例えば約300μm以下、または約200μm以下、または約150μm以下、または約125μm以下、または約100μm以下、または約90μm以下、または約80μm以下、または約70μm以下、または約60μm以下、または約50μm以下、または約40μm以下、または約30μm以下、または約20μm以下、または約10μm以下のd50を有するミクロフィブリル化セルロースが得られる。
【0241】
セルロースを含む繊維基材はミクロフィブリル化され得、約0.1-500μmの範囲の最頻繊維粒子サイズを有するミクロフィブリル化セルロースが得られる。セルロースを含む繊維基材は、存在下でミクロフィブリル化され得、少なくとも約0.5μm、例えば少なくとも約10μm、または少なくとも約50μm、または少なくとも約100μm、または少なくとも約150μm、または少なくとも約200μm、または少なくとも約300μm、または少なくとも約400μmの最頻繊維粒子サイズを有するミクロフィブリル化セルロースが得られる。
【0242】
セルロースを含む繊維基材はミクロフィブリル化され得、Malvernにより測定すると約10以上の繊維峻度を有するミクロフィブリル化セルロースが得られる。繊維峻度(すなわち、繊維の粒子サイズ分布の峻度)は下記式により決定される:
峻度=100×(d30/d70)
ミクロフィブリル化セルロースは約100以下の繊維峻度を有し得る。ミクロフィブリル化セルロースは、約75以下、または約50以下、または約40以下、または約30以下の繊維峻度を有し得る。ミクロフィブリル化セルロースは、約20~約50、または約25~約40、または約25~約35、または約30~約40の繊維峻度を有し得る。
【0243】
1つの実施形態では、粉砕容器はタワーミルである。タワーミルは、1つ以上の粉砕ゾーン上方の静止ゾーンを含み得る。静止ゾーンは、起こる粉砕が最小に抑えられ、または粉砕が起こらないタワーミルの内部の上部に向かって配置された領域であり、ミクロフィブリル化セルロースおよび無機微粒子材料を含む。静止ゾーンは粉砕媒体の粒子がタワーミルの1つ以上の粉砕ゾーン中に沈降する領域である。
【0244】
タワーミルは1つ以上の粉砕ゾーン上方に分級機を含み得る。一実施形態では、分級機は上部に取り付けられ、静止ゾーンに隣接して配置される。分級機はハイドロサイクロンであってもよい。
【0245】
タワーミルは1つ以上の粉砕ゾーン上方にスクリーンを含み得る。一実施形態では、スクリーンは静止ゾーンおよび/または分級機に隣接して配置される。スクリーンは、粉砕媒体を、ミクロフィブリル化セルロースを含む生成水性懸濁液から分離し、粉砕媒体沈降を増強させるようなサイズとされ得る。
【0246】
一実施形態では、粉砕はプラグ流条件下で実施される。プラグ流条件下では、タワーを通る流れは、タワーを通る研削材の混合を制限するようなものとなる。これは、タワーミルの長さに沿った異なる点で、水性環境の粘度は、ミクロフィブリル化セルロースの微粉度が増加するにつれ、変動することを意味する。よって、実際には、タワーミル内の粉砕領域は、特性粘度を有する1つ以上の粉砕ゾーンを含むと考えることができる。当業者であれば、粘度に関しては隣接する粉砕ゾーン間に鮮明な境界は存在しないことを理解するであろう。
【0247】
一実施形態では、1つ以上の粉砕ゾーン上方の静止ゾーンまたは分級機またはスクリーンに近接するミルの上部で水が添加され、ミル内のそれらのゾーンでのミクロフィブリル化セルロースを含む水性懸濁液の粘度が低減される。ミルのこの時点で生成ミクロフィブリル化セルロースを希釈することにより、静止ゾーンおよび/または分級機および/またはスクリーンへの粉砕媒体持ち越しの防止が改善されることが見出されている。さらに、タワーを通る混合の制限により、より高い固体でのタワーを下がる処理および上部でのタワーから降りて1つ以上の粉砕ゾーンに戻る希釈水の制限された逆流による希釈が可能になる。ミクロフィブリル化セルロースを含む生成水性懸濁液の粘度を希釈するのに有効な任意の好適な量の水が添加され得る。水は粉砕プロセス中連続して、または一定の間隔で、または不規則間隔で添加され得る。
【0248】
別の実施形態では、水はタワーミルの長さに沿って配置された1つ以上の水噴射点で1つ以上の粉砕ゾーンに添加され得、または各水噴射点は1つ以上の粉砕ゾーンに対応する点に配置される。便宜的に、水をタワーに沿った様々点で添加する能力により、ミルに沿ったいずれかまたは全ての位置での粉砕条件のさらなる調整が可能になる。
【0249】
タワーミルは、その長さ全体にわたって一連の羽根車ローターディスクが備えられた垂直羽根車軸を含み得る。羽根車ローターディスクの作用により、ミル全体にわたって一連の別個の粉砕ゾーンが生成される。
【0250】
別の実施形態では、粉砕は、スクリーンドグラインダー、好ましくは攪拌媒体デトリタにおいて実施される。スクリーンドグラインダーは、少なくとも約250μmの公称開口サイズを有する1つ以上のスクリーン(複数可)を含むことができ、例えば、1つ以上のスクリーンは少なくとも約300μm、または少なくとも約350μm、または少なくとも約400μm、または少なくとも約450μm、または少なくとも約500μm、または少なくとも約550μm、または少なくとも約600μm、または少なくとも約650μm、または少なくとも約700μm、または少なくとも約750μm、または少なくとも約800μm、または少なくとも約850μm、または少なくとも約900μm、または少なくとも約1000μmの公称開口サイズを有し得る。
【0251】
真上で述べられたスクリーンサイズは、上記タワーミル実施形態に適用可能である。
【0252】
上述のように、粉砕は粉砕媒体の存在下で実施される。一実施形態では、粉砕媒体は、約1mm~約6mm、例えば約2mm、または約3mm、または約4mm、または約5mmの範囲の平均直径を有する粒子を含む粗媒体である。
【0253】
別の実施形態では、粉砕媒体は、少なくとも約2.5、例えば、少なくとも約3、または少なくとも約3.5、または少なくとも約4.0、または少なくとも約4.5、または少なくとも約5.0、または少なくとも約5.5、または少なくとも約6.0の比重を有する。
【0254】
以上で記載される通り、粉砕媒体(または複数形)は、分量の約70体積%までの量で存在し得る。粉砕媒体は分量の少なくとも約10体積%、例えば、分量の少なくとも約20体積%、または分量の少なくとも約30体積%、または分量の少なくとも約40体積%、または分量の少なくとも約50体積%、または分量の少なくとも約60体積%の量で存在し得る。
【0255】
1つの実施形態では、粉砕媒体は分量の約50体積%の量で存在する。「分量」により、グラインダー容器に送られる供給物である組成物が意味される。分量は水、粉砕媒体、セルロースを含む繊維基材および任意の他の任意的な添加物(本明細書で記載されるもの以外)を含む。
【0256】
比較的粗いおよび/または密な媒体の使用は沈降速度の改善(すなわち、より高速)および静止ゾーンおよび/または分級機および/またはスクリーン(複数可)を通る媒体持ち越しの低減という利点を有する。
【0257】
比較的粗いスクリーンを使用する場合のさらなる利点は、比較的粗いまたは密な粉砕媒体がミクロフィブリル化工程で使用され得ることである。加えて、比較的粗いスクリーン(すなわち、少なくとも約250μmの公称開口を有する)の使用により、かなり高い固体生成物が処理され、グラインダーから除去することができるようになり、これによりかなり高い固体供給物(セルロースを含む繊維基材および無機微粒子材料を含む)が経済的に実行可能なプロセスで処理されるようになる。下記で記載されるように、高い初期固体含量を有する供給物が、エネルギー充足の観点から望ましいことが見出されている。さらに、より低い固体で、(所定のエネルギーで)生成される生成物はより粗い粒子サイズ分布を有することも見いだされている。
【0258】
上記「背景」セクションで記載されるように、本発明はミクロフィブリル化セルロースを経済的に工業規模で調製するという問題に取り組もうと努めている。
【0259】
よって、1つの実施形態によれば、セルロースを含む繊維基材は水性環境において少なくとも約1wt%の初期固体含量で存在する。セルロースを含む繊維基材は、水性環境において、少なくとも約2wt%、例えば少なくとも約3wt%、または少なくとも約少なくとも4wt%の初期固体含量で存在し得る。典型的には初期固体含量はせいぜい約10wt%である。
【0260】
別の実施形態では、粉砕は、粉砕容器のカスケード(その1つ以上は1つ以上の粉砕ゾーンを含み得る)において実施される。例えば、セルロースを含む繊維基材は2以上の粉砕容器のカスケード、例えば、3以上の粉砕容器のカスケード、または4以上の粉砕容器のカスケード、または5以上の粉砕容器のカスケード、または6以上の粉砕容器のカスケード、または7以上の粉砕容器のカスケード、または8以上の粉砕容器のカスケード、または直列の9以上の粉砕容器のカスケード、または10までの粉砕容器を含むカスケードで粉砕され得る。粉砕容器のカスケードは、直列もしくは並列で、または直列および並列の組み合わせで動作可能に連結され得る。カスケード中の粉砕容器の1つ以上からの出力物および/またはこれらへの入力物は1つ以上のスクリーニング工程および/または1つ以上の分類工程に供され得る。
【0261】
ミクロフィブリル化プロセスで消費される総エネルギーは、カスケード中の粉砕容器の各々にわたって等しく分配され得る。あるいは、エネルギー入力はカスケード中の粉砕容器のいくつかまたは全て間で変動し得る。
【0262】
当業者であれば、1つの容器あたりで消費されるエネルギーは、各容器内でミクロフィブリル化される繊維基材の量、任意で各容器内での粉砕速度、各容器内での粉砕期間および各容器内での粉砕媒体の型によって、カスケード中の容器間で変動し得ることを理解するであろう。粉砕条件は、ミクロフィブリル化セルロースの粒子サイズ分布を制御するために、カスケード中の各容器において変化させることができる。
【0263】
一実施形態では、粉砕は閉回路で実施される。別の実施形態では、粉砕は開回路で実施される。
【0264】
粉砕される材料の懸濁液はかなり高い粘度を有する可能性があるので、好適な分散剤が好ましくは、粉砕前に懸濁液に添加され得る。分散剤は、例えば、水溶性縮合リン酸塩、ポリケイ酸もしくはその塩、または高分子電解質、例えば80,000以下の数平均分子量を有するポリ(アクリル酸)もしくはポリ(メタクリル酸)の水溶性塩であってもよい。使用される分散剤の量は一般に、乾燥無機微粒子固体材料の重量に基づき0.1~2.0重量%の範囲であろう。懸濁液は、4℃~100℃の範囲の温度で好適に粉砕され得る。
【0265】
ミクロフィブリル化工程中に含められ得る他の添加物としては下記が挙げられる:カルボキシメチルセルロース、両性カルボキシメチルセルロース、酸化剤、2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-1-オキシル(TEMPO)、TEMPO誘導体、および木材分解酵素。
【0266】
粉砕される材料の懸濁液のpHは約7または約7超(すなわち、塩基性)であってもよく、例えば、懸濁液のpHは約8、または約9、または約10、または約11であってもよい。粉砕される材料の懸濁液のpHは約7未満(すなわち、酸性)であってもよく、例えば、懸濁液のpHは約6、または約5、または約4、または約3であってもよい。粉砕される材料の懸濁液のpHは、適切な量の酸または塩基の添加により調整され得る。好適な塩基には、例えばNaOHなどのアルカリ金属水酸化物が含まれた。他の好適な塩基は炭酸ナトリウムおよびアンモニアである。好適な酸には無機酸、例えば塩酸および硫酸、または有機酸が含まれた。例示的な酸はオルトリン酸である。
【0267】
所望の水性懸濁液組成物を得るための典型的な粉砕プロセスにおける総エネルギー入力は、典型的には、無機微粒子フィラーの総乾燥重量に基づき約100~1500kWht-1とすることができる。総エネルギー入力は、約1000kWht-1未満、例えば、約800kWht-1未満、約600kWht-1未満、約500kWht-1未満、約400kWht-1未満、約300kWht-1未満、または約200kWht-1未満とすることができる。そのようなものとして、本発明者らは、驚いたことに、セルロースパルプは、無機微粒子材料の存在下で同時粉砕されると、比較的低いエネルギー入力でミクロフィブリル化することができることを見いだした。明らかになるように、セルロースを含む繊維基材中の乾燥繊維1メートルトンあたりの総エネルギー入力は、約10,000kWht-1未満、例えば、約9000kWht-1未満、または約8000kWht-1未満、または約7000kWht-1未満、または約6000kWht-1未満、または約5000kWht-1未満、例えば約4000kWht-1未満、約3000kWht-1未満、約2000kWht-1未満、約1500kWht-1未満、約1200kWht-1未満、約1000kWht-1未満、または約800kWht-1未満である。総エネルギー入力は、ミクロフィブリル化される繊維基材中の乾燥繊維の量、任意で粉砕速度および粉砕期間によって変動する。
【0268】
本発明に関しては、本発明のミクロフィブリル化セルロースを含む水性懸濁液(集合的に「水性懸濁液」と呼ばれる)の超音波処理は、材料の物理的特性を増強させることが見出されている。例えば、ミクロフィブリル化セルロースを含む水性懸濁液の超音波処理により、この明細書の実施例セクションで示されるように、驚いたことに、かつ予想外に、材料の増強された粘度および/または引張強さが得られる。本発明の材料の物理的特性の増強および増強の程度は使用される動作パラメータに依存する。この明細書の教示を考慮すると、当業者であれば、必要以上の実験をせずに所望の結果を達成するのに適切なパラメータを見分けることができるであろう。
【0269】
1つの態様では、本発明の水性懸濁液の超音波処理は、増強された粘度および/または引張強さ特性を有するミクロフィブリル化セルロースを含む超音波処理された懸濁液を生成させることを含み、方法は、セルロースを含む繊維基材を水性環境においてミクロフィブリル化し、ミクロフィブリル化セルロースを含む水性懸濁液を生成させる工程を含み、ミクロフィブリル化セルロースを含む水性懸濁液を超音波処理に供し、増強された粘度および引張強さ特性を有するミクロフィブリル化セルロースを含む水性懸濁液を生成させることをさらに含む。
【0270】
1つの実施形態では、粉砕媒体はまた、上記のように、増強された粘度および引張強さ特性を有するミクロフィブリル化セルロースを含む水性懸濁液を生成させるために使用され得る。
【0271】
ミクロフィブリル化セルロースを含む水性懸濁液の超音波処理は、超音波プローブまたは超音波水浴、超音波ホモジナイザー、超音波フォイルまたは超音波ホーンを用いて実施され得る。そのような装置の使用は当業者に知られている。
【0272】
本発明の一実施形態では、本発明の方法は、超音波処理工程の前後のいずれかで、高せん断混合、均質化またはリファイニングの1つ以上をさらに含むことができ、それらは全て当業者により知られており、この明細書の教示を考慮すると、必要以上の実験をせずに、本発明の方法に組み込むことができる。
【0273】
一実施形態では、超音波処理は便宜的に、前に脱水された、乾燥された、または部分的に乾燥された、ミクロフィブリル化セルロースの組成物を再分散させるために使用される。乾燥された、または部分的に乾燥された、ミクロフィブリル化組成物は脱水および乾燥後にペレット化されてもよい。そのような乾燥された、または部分的に乾燥された、任意でペレット化された、ミクロフィブリル化セルロースの組成物はこの明細書で記載される型の超音波処理装置の助けにより再懸濁される。
【0274】
一実施形態では超音波処理はミクロフィブリル化セルロースのスラリーについての後処理工程として使用され、そのようなスラリーの1つ以上の物理的特性が改善され、例えば、引張強さが増加され、および粘度が増強される。
【0275】
本発明の一実施形態では、増強された粘度および引張強さ特性を有するミクロフィブリル化セルロースを含む水性懸濁液の引張強さは、超音波処理に供されないミクロフィブリル化セルロースを含む水性懸濁液に比べ、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも50%、少なくとも100%または少なくとも200%だけ増加される。
【0276】
本発明の一実施形態では、増強された粘度および引張強さ特性を有するミクロフィブリル化セルロースを含む水性懸濁液の粘度は、超音波処理に供されないミクロフィブリル化セルロースおよび無機微粒子材料を含む水性懸濁液よりも、少なくとも5%、少なくとも10%または少なくとも20%、少なくとも50%、少なくとも100%だけ増加される。
【0277】
本発明の一実施形態では、ミクロフィブリル化セルロースを含む水性懸濁液は、少なくとも30秒、少なくとも1分、少なくとも2分、少なくとも5分、少なくとも10分および少なくとも20分またはそれ以上の間超音波処理に供される。時間の長さは、当業者によりこの明細書の教示に基づき決定され得る。
【0278】
本発明の一実施形態では、ミクロフィブリル化セルロースを含む水性懸濁液は1メートルトンの乾燥フィブリルあたり1000kwhまで、1メートルトンあたり2000kwhまで、1メートルトンの乾燥フィブリルあたり2500kwh、1メートルトンの乾燥フィブリルあたり5000kwhまで、および1メートルトンの乾燥フィブリルあたり10000kwhまでのエネルギー補償率で超音波処理に供される。本出願の実施例において明記されるように、超音波処理は、脱水され、乾燥され、ペレット化された、ミクロフィブリル化セルロースまたはミクロフィブリル化セルロースおよび無機微粒子材料の組成物を再分散および解凝集させるのにより有効であることが見いだされた。他の実施形態では、超音波処理による、ミクロフィブリル化セルロースまたはミクロフィブリル化セルロースおよび無機微粒子材料の組成物のスラリーの再分散により、1000~2000kWh/tのエネルギー入力で製品品質の改善が得られた。
【0279】
一実施形態では、パイロット規模攪拌媒体デトリタ(Supermill)を使用して生成された鉱物を含まないミクロフィブリル化セルロース(例えば、カバノキ)の超音波処理により、約1500kWh/tで超音波処理された場合、例えばSupermillにおける粉砕プロセスにより製造され、続いて均質化工程が実施されたミクロフィブリル化セルロースに匹敵する仕様を有する生成物が得られた。
【0280】
ある一定の実施形態では、ミクロフィブリル化セルロースを含む水性懸濁液は、超音波処理器を連続モードまたはパルスモードまたはその両方の組み合わせで実行させることにより超音波処理され得る。すなわち、その場合、交互の長パルスおよび短パルスが所望のパターンとしてまたは無作為に実施される。
【0281】
好ましい実施形態では、ミクロフィブリル化セルロースを含む水性懸濁液は超音波処理前に半乾燥生成物に形成され得る。ベルトプレスケーキは本発明での使用に好適な半乾燥生成物の1つの例である。ある一定の実施形態では、ベルトプレスケーキはさらに、空気掃引乾燥機およびミル、例えばアトリター乾燥機における処理に供され得る。しばしば、例えば、取り扱いおよび/または輸送を容易にするために、生成物の半乾燥生成物への変換が実施される。半乾燥生成物を開始材料として使用する場合には、超音波処理は増強された物理的特性を材料に提供するだけでなく、再湿潤と呼ばれるプロセスにおいて材料の溶液中への分配を助ける。
【0282】
ミクロフィブリル化セルロースを含む水性懸濁液の超音波処理は任意の特別なまたは特定の超音波処理パラメータに制限されず、というのも、1つのパラメータについての変化は、装置および超音波処理される材料の物理的および実用的制限内で、別のパラメータの変化を補償し得るからである。例えば、超音波処理時間を長くすることは少なくとも部分的に低減された振幅を使用することを補償し得る。
【0283】
好ましい実施形態では、超音波処理は使用される超音波処理器の物理的限界に対して、60%まで、80%まで、100%までおよび200%以上までの振幅で、実施される。使用される特定の装置の振幅の前記物理的上限は当業者に知られている。
【0284】
セルロースを含む繊維基材はパルプ、例えば、化学パルプ、またはケミサーモメカニカルパルプ、または機械パルプ、または再生パルプ、または損紙パルプ、または紙工場廃水流、または紙工場からの廃棄物、またはそれらの組み合わせの形態であってもよい。
【0285】
粉砕容器はタワーミルまたは攪拌媒体デトリタであってもよい。
【0286】
一実施形態では、本発明の方法により得られた、増強された粘度および引張強さ特性を有するミクロフィブリル化セルロースを含む水性懸濁液は紙を製造する、または紙をコーティングする方法において使用するのに好適であり、ミクロフィブリル化セルロースが典型的に使用される他のプロセスおよび材料における他の使用に好適であり、その例は「他の使用」と題するセクションで下記にて詳述される。
【0287】
他の使用
増強された粘度および/または引張強さ特性を有する、ミクロフィブリル化セルロースまたはミクロフィブリル化セルロースおよび無機微粒子材料の本発明の組成物、および、増強された粘度および/または引張強さを有するミクロフィブリル化セルロースは、多くの用途で、使用され得る。例えば、本組成物は下記のために使用することができる:上記のような紙、板紙および紙コーティング;塗料および他のコーティング、例えばレオロジー改質剤として;インク;ならびに、例えば、食品および食品添加物、医薬品、化粧品、日焼け止め、接着剤、シーラント、消費者化学薬品、例えば限定はされないが洗浄剤、柔軟剤および他の家庭用品において使用するための増粘剤、安定剤、および均質化剤として;油田化学薬品、例えば腐食およびスケール抑制剤、ならびに石油副産物中の材料成分;ならびに複合物、例えば壁材および天井タイル。本発明の組成物はまた、下記において使用するのに好適であり:セメント板、石こうボード/プラスターボード;構造断熱パネルおよび繊維板の断熱心材;全ての種類の繊維板(配向パーティクルボードを含む);セメントおよびコンクリート;防音;テクスチャード加工および石造塗料;抗菌および難燃壁材;シーラントおよび接着剤およびコーキング材;断熱;部分または完全アスベスト置き換え;および泡沫材料、この場合、本発明の組成物は、例えば、強度、嵩およびテクスチャーを提供することができる。
【0288】
実施例
本発明の実施形態を以下、下記実施例を参照して記載するが、例にすぎない。
【0289】
下記手順は、鉱物(GCCまたはカオリン)およびミクロフィブリル化セルロースパルプ繊維の混合物の粒子サイズ分布を特徴付けるために使用する。
【0290】
-炭酸カルシウム
3gの乾燥材料を与えるのに十分な同時粉砕スラリーの試料をビーカー中に秤量し、60gまで脱イオン水で希釈し、5cm3の、1.5w/v%活性のポリアクリル酸ナトリウムの溶液と混合する。さらに脱イオン水を撹拌しながら添加し、80gの最終スラリー重量とする。
【0291】
-カオリン
5gの乾燥材料を与えるのに十分な同時粉砕スラリーの試料をビーカー中に秤量し、60gまで脱イオン水で希釈し、5cm3の1.0wt%炭酸ナトリウムおよび0.5wt%ヘキサメタリン酸ナトリウムの溶液と混合する。さらに脱イオン水を撹拌しながら添加し、80gの最終スラリー重量とする。
【0292】
次いで、スラリーを1cm3アリコートでMastersizer Sに取り付けられた試料調製ユニット中の水に、最適レベルのオブスキュレーションが示されるまで(通常10-15%)添加する。光散乱分析手順を次いで、実施する。選択した計器領域は300RF:0.05-900であり、ビーム長を2.4mmに設定した。
【0293】
炭酸カルシウムおよび繊維を含む同時粉砕される試料については、炭酸カルシウムについての屈折率(1.596)を使用した。カオリンおよび繊維の同時粉試料については、カオリンについてのRI(1.5295)を使用した。
【0294】
粒子サイズ分布をMie理論から計算し、差分体積に基づく分布として出力を得た。2つの明確なピークの存在を、鉱物(より細かいピーク)および繊維(より粗いピーク)から生じるものと解釈した。
【0295】
より細かい鉱物ピークを測定データ点に適合させ、分布から数学的に減算し、繊維ピークを残し、これを累積分布に変換した。同様に、繊維ピークを元の分布から数学的に減算し鉱物ピークを残し、これもまた、累積分布に変換した。これらの積算曲線をその後使用して、平均粒子サイズ(d50)および分布の峻度(d30/d70×100)を計算した。微分曲線を使用して、鉱物および繊維フラクションの両方について最頻粒子サイズを見いだした。
【0296】
実施例1
400cm3の水および750gの大理石粉末(10wt%<2μm粒子サイズ、Sedigraphによる)を粉砕容器中に導入し、1.5kgのセラミック粉砕媒体(Carbolite(登録商標)16/20、CARBO Ceramics Inc.から入手可能)を添加した。混合物を950rpmで60分間攪拌した。媒体をスラリーから分離し、小試料を取り出し、粒子サイズをチェックし(Micromeritics Sedigraph(登録商標)を使用)、それは57wt%<2μmであった。
【0297】
同じグラインダーを実施例の各々について使用した。このグラインダーは、14.5cmの内径を有する円筒形粉砕容器ならびに円形断面および直径1.8cmを有する垂直羽根車軸を含む垂直ミルである。軸にはXデザインで配置された4つの羽根車が取り付けられている。羽根車は円形断面および直径1.8cmを有する。羽根車は垂直軸の中心から羽根車先端まで測定して6.5cm長である。
【0298】
実施例2
400cm3の水および750gの大理石粉末(11-15wt%<2μm粒子サイズ、Sedigraphによる)を粉砕容器中に導入し、1.5kgのセラミック粉砕媒体(Carbolite(登録商標)16/20、CARBO Ceramics Inc.から入手可能)を添加した。混合物を950rpmで30分間攪拌した。小試料を取り出し、生成物の粒子サイズを57wt%<2μmと測定した(Micromeritics Sedigraph(登録商標)を使用)。Valleyビーター内で520cm3のカナダ標準ろ水度(CSF)までビーティングした針葉樹さらしパルプのアリコートを、37.5乾燥g繊維を含む20wt%固体のウエットシートを得るために、スクリーンに通して濾過した。このシートをグラインダーに添加し、ミリングを950rpmでさらに30分間続けた。200cm3の水を粉砕中に添加した。媒体をスラリーから分離し、38μmを超える繊維を400のメッシュ数を有するBSS篩を使用して除去した。フィラー組成物の粒子サイズを測定し(Micromeritics Sedigraph(登録商標)を使用)、48wt%<2μmの結果を得た。
【0299】
実施例3
今回は第2のミリング段階を60分間続けて、実施例2で記載される手順を繰り返した。200cm3の水を粉砕中に添加した。生成物の粒子サイズ分布を測定し、42wt%<2μmの値を得た。
【0300】
実施例4
今回は第2のミリング段階を120分間続けて、実施例2で記載される手順を繰り返した。650cm3の水を粉砕中に添加した。生成物の粒子サイズ分布を測定し、40wt%<2μmの値を得た。
【0301】
実施例5
今回は第2のミリング段階を260分間続けて、実施例2で記載される手順を繰り返した。1270cm3の水を粉砕中に添加した。生成物の粒子サイズ分布を測定し、40wt%<2μmの値を得た。
【0302】
実施例6
今回は第2のミリング段階を380分間続けて、実施例2で記載される手順を繰り返した。1380cm3の水を粉砕中に添加した。生成物の粒子サイズ分布を測定し、57wt%<2μmの値を得た。
【0303】
実施例7-紙中のフィラーとしての生成物の評価
上記実施例により調製した生成物のいくつかを手抄きシート(ハンドシート、handsheet)紙中のフィラーとして試験した。Valleyビーター内で、520cm3のCSFを与えるようにビーティングした、1バッチのさらし化学針葉樹パルプを使用した。解砕および2%濃度ストックまでの希釈後、繊維を、シート製造のために0.3wt%稠度まで希釈した。
【0304】
フィラースラリーを歩留向上剤と一緒に添加した(Ciba Percol292、完成紙料について0.02wt%)。手抄きシートを80gm-2の坪量に、標準方法、例えば、TAPPI T205またはSCAN C26:76(M5:76)に従い、British手抄きシート型を用いて製造した。
【0305】
フィラーのリテンション値は下記表1に列挙され、同時粉砕されるフィラーは対照フィラーよりも優れたリテンションを有することを示す。
【表1】
【0306】
2つの別個のシート製造研究を実施し、結果を下記表2および3で提供する。紙特性を30wto/o投入で内挿し、標準試験方法、例えば、TAPPIT220またはSCANC28:76(M8:76)に従い測定した。
・破裂強度:SCAN P 24によるMessemer Buchnel破裂試験機。
・引張強さ:SCAN P 16によるTestometrics引張試験機。
・Bendtsen多孔度:SCAN P21、SCAN P60、BS 4420およびTappi UM 535にしたがい、Bendtsen Model多孔度試験機を使用して測定される。
・嵩:これは、SCAN P7に従い測定される見掛け密度の逆数である。
・ISO白色度:手抄きシートのISO白色度を、ISO2470:1999Eに従い、No.8フィルタ(457nm波長)が備えられたElrepho Datacolour3300白色度計により測定した。
・不透明度:紙の試料の不透明度を、Elrepho Datacolor 3300スペクトル-光度計により、不透明度測定に適切な波長を用いて測定する。標準試験方法はISO2471である。最初に、反射された入射光のパーセンテージの測定を、黒色空洞(Rinfinity)上で少なくとも10シートの紙のスタックを用いて実施する。次いで、シートのスタックを単一シートの紙に置き換え、黒色カバー上で単一シートのパーセンテージ反射率の第2の測定を実施する(R)。パーセンテージ不透明度を次いで、式:パーセンテージ不透明度=100×R/Rinfinityから計算する。
【表2】
【表3】
【0307】
実施例8
4乾燥kgのカオリンフィラー、Intramax(登録商標)57を、高エネルギーミキサを使用して6000cm3水中に分散させた。pHを4.8とした。これを、さらなる実験のためのストック懸濁液として使用した。粒子サイズ分布を測定し(Micromeritics Sedigraph(登録商標)を使用)、57wt%<2μm、および38wt%<1μmの値を得た。
【0308】
実施例9
2kgの、カオリンの上記ストック懸濁液を、500barの圧力でのManton Gaulin(APV)ホモジナイザーを通る5パスの間処理した。得られた生成物を、さらなる製紙試験において対照として使用した。粒子サイズ分布を測定し(Micromeritics Sedigraph(登録商標)を使用)、62wt%<2μm、および43wt%<1μmの値を得た。
【0309】
実施例10
さらに2kgのストックカオリン懸濁液を高エネルギーミキサ上に置いた。針葉樹さらしパルプの懸濁液を、Valleyビーター上で520cm3のCSFまでビーティングさせ、これを標準稠度試験機上で濾過し、ウエットシートを15%乾燥固体で得た。133.5gのこの湿潤パルプをカオリン懸濁液に添加し、繊維がカオリンとよく混合されるまで攪拌し、乾燥カオリンについて2.5wt%乾燥パルプのレベルを得た。440cm3の水もまた添加し、流動性を改善させた。33wt%固体のこの懸濁液を次いで、Gaulinホモジナイザーに、実施例9と同じ条件下で通過させた。生成物の粒子サイズ分布を測定し(Micromeritics Sedigraph(登録商標)を使用)、62wt%<2μm、および45wt%<1μmの値を得た。
【0310】
実施例11
今回は267gの湿潤パルプを2kgのストックカオリン懸濁液に添加して、実施例10で記載される手順を繰り返し、乾燥カオリンについて5wt%乾燥パルプのレベルを得た。懸濁液をまた、約30wt%固体まで440cm3の水で希釈し、懸濁液をホモジナイザーにより、実施例9および10と同じ条件を使用して処理した。粒子サイズ分布を測定し(Micromeritics Sedigraph(登録商標)を使用)、58.5wt%<2μm、および42wt%<1μmの値を得た。
【0311】
実施例12-紙中のフィラーとしてとしての生成物の評価
上記実施例により調製した生成物を手抄きシート紙中のフィラーとして試験した。Valleyビーター内でビーティングし、520cm3のCSFを与える1バッチのさらし化学針葉樹パルプを使用した。解砕および2%濃度ストックまでの希釈後、繊維を、シート製造のために0.3wt%稠度までさらに希釈した。フィラースラリーを歩留向上剤(Ciba Percol292、完成紙料について0.02wt%)と一緒に添加した。手抄きシートを80gm-2の坪量に、British手抄きシート型を用いて製造した。
【0312】
フィラーのリテンション値は下記表4に列挙され、共処理されたフィラーは対照フィラーよりも優れたリテンションを有することを示す。
【表4】
【0313】
シート製造研究を実施し、結果を下記表5に示す。紙特性を30wt%投入で内挿する。
【表5】
【0314】
実施例13
400gのリファイニングされていない針葉樹さらしクラフトパルプ(Botnia Pine RM90)を20リットルの水に6時間浸漬させ、次いで、メカニカルミキサ中でスラッシュ化させた。そのように得られたストックを次いで、研究室Valleyビーター中に注ぎ入れ、負荷下で28分間リファイニングさせ、525cm
3カナダ標準ろ水度(CSF)までビーティングされたリファイニングパルプの試料を得た。第2の試料をスラッシュ化により、全くリファイニングせずに調製した。ろ水度結果およびリファイニング時間を下記表6に示す:
【表6】
【0315】
次いで、これらのパルプの各々を、稠度試験機(Testing Machines Inc.)を用いて脱水し、13~18wt%固体の湿潤パルプのパッドを得た。次いで、これを下記で詳述する同時粉砕実験で使用した:
【0316】
630gの、60%<2μm e.s.dの粒子サイズ(Sedigraphにより測定)を有する粉砕大理石のスラリーを粉砕容器中に秤量した。乾燥重量は233gであった。上記脱水段階からの湿潤パルプを添加し、11.6g(乾燥重量)のパルプを得た。パルプを鉱物スラリーと完全に混合し、次いで1485gのCarbolite(登録商標)16/20媒体および必要とされる水を添加し、ある媒体体積、50%の濃度(MVC)および35wt%のスラリー固体含量を得た。試料を1000RPMで、2500および5000kWh/t(乾燥繊維に関して表される)のエネルギー入力が試料に付与されるまで、粉砕した。次いで、容器をグラインダーから取り出し、媒体を600μmの開口サイズを有するスクリーンを用いて分離した。
【0317】
パルプ試料A(リファイニングされていない)およびB(525cm
3までリファイニング)から製造された生成物を、濾紙破裂増加(フィルターペーパーバーストインクリース、Filter Paper Burst Increase)(FPBI)試験(下記)を用いて比較した。結果を表7にまとめて示す。
【表7】
【0318】
-濾紙破裂試験
この試験は、上記実施例13にしたがい調製されたMFCを含む同時粉砕スラリーの繊維強化能力を予測するために開発した。
【0319】
15cm直径の濾紙(No.597、Schleicher & Schuell)を使用した。シートを、互いの0.02g以内にあるように重量により選択した。単一シートの典型的な乾燥重量は1.4gであった。
【0320】
同時粉砕される鉱物およびパルプの懸濁液を以上で記載される通りに調製し、水で0.25%の固体まで希釈した。以上で選択した単一濾紙を水で湿潤させ、標準稠度試験装置(TMI Testing Machines Inc.、Ronkonkoma、NY)のワイヤ上に置いた。150cm3、200cm3、250cm3および300cm3からの懸濁液のアリコートを、真空を適用して濾紙を通して注意深く濾過し、濾液を、濁っていれば、マットに再通過させ、活性成分の良好なリテンションを確保した。濾紙およびその保持固体を次いで、50%RHおよび23℃で乾燥させ、鋼乾燥ディスク上でサポートし、プラスチック乾燥リング(Testing Machines Inc.)により分離した。
【0321】
乾燥紙を破裂強度について、Messemer Buchel自動破裂試験機を使用して試験した。5つの測定値を各シートについて得、平均した。次いで、シートを100℃で1時間乾燥させ、密閉した、風袋の重さを量った容器に入れ、3dpまで秤量した。破裂圧力に対するシート重量のプロットを作成し、これから、2.0gの重量での破裂圧力を内挿した(a kPa)。濾紙自体の平均破裂圧力(b kPa)もまた、同じ温度および湿度下でコンディショニングした、3つの選択したシートについて測定した。次いで、破裂圧力の増加を下記式により計算した:
濾紙破裂増加(FPBI)=(a-b)/b×100。
【0322】
対照として、水のみを濾紙ディスクに通過させた。これもまた、破裂に対してプラス効果を有したが、MFCが存在した場合より有意に低かった(表7を参照されたい)。
【0323】
以上で生成した試料について、加えて、それらの粒子サイズの観点から、Malvern Mastersizer(Malvern Instruments、UK)を使用して特徴付けした。結果を、パルプフラクションの平均(d50)サイズの観点から記録する。繊維フラクションの粒子サイズ峻度もまた記録した。これらのデータもまた表7に列挙される。
【0324】
パルプAおよびBから製造した試料をさらに手抄きシート研究において比較した。これらのフィラーについてのホストパルプを、試料Bと同様、520cm3のCSFまでビーティングさせた、同じBotnia RM90バッチから調製した。歩留向上剤は、総完成紙料固体について0.06wt%で添加したPercol292(Ciba)とした。手抄きシートを80gm-2で調製し、破裂および引張強さ、嵩、Bendtsen多孔度、457nmでの反射率(ISO白色度)、および不透明度について試験した。3つの投入を得、結果を30wt%の投入レベルまで内挿する(表8を参照されたい)。フィラー指名は表7で示す。
【0325】
表8の結果により、同時粉砕フィラーは、白色度に損害なく、増加した強度、低減した多孔度、および増加した不透明度、全て望ましい特性を与えることが示される。強度の増加は、フィラーの投入を、標準GCCフィラーを用いる25wt%から、同時粉砕フィラーを用いる33wt%まで増加させるのに十分である。
【表8】
【0326】
実施例14
400gのリファイニングされていない針葉樹さらしクラフトパルプ(Botnia Pine RM90)を20リットルの水に6時間浸漬させ、次いで、メカニカルミキサにおいてスラッシュ化させた。そのように得られたストックを次いで、研究室Valleyビーター中に注ぎ入れ、負荷下で28分間リファイニングさせ、525cm3カナダ標準ろ水度(CSF)までビーティングされた、リファイニングパルプの試料を得た。次いで、パルプを、稠度試験機(Testing Machines Inc.)を用いて脱水し、19.1wt%固体の湿潤パルプのパッドを得た。次いで、これを下記で詳述する同時粉砕実験で使用した:
651gのCarbital 60HS(商標)のスラリー(固体77.9wt%)を粉砕ポット中に秤量した。次いで、66.5gの湿潤パルプを添加し、炭酸塩と混合した。1485gのCarbolite(登録商標)16/20粉砕媒体を次いで添加し、続いて、147gの水を添加し、50%の媒体体積濃度を得た。混合物を、10,000kWh/t(繊維について表される)のエネルギー入力が消費されるまで1000rpmで一緒に粉砕した。生成物を媒体から600μm BSSスクリーンを使用して分離した。得られたスラリーの固体含量は59.4wt%であり、10,000mPa.sのブルックフィールド粘度(100rpm)であった。生成物の繊維含量を450℃での灰化により分析し、鉱物およびパルプフラクションのサイズを、Malvern Mastersizerを使用して測定した。
【0327】
実施例15
352gのCarbital 60HS(商標)のスラリー(固体77.9wt%)を粉砕ポット中に秤量した。次いで、71.8gの湿潤パルプを添加し、炭酸塩と混合した。1485gのCarbolite16/20粉砕媒体を次いで添加し、続いて、296gの水を添加し、50%の媒体体積濃度を得た。混合物を、10,000kWh/t(繊維について表される)のエネルギー入力が消費されるまで、一緒に1000rpmで粉砕した。生成物を媒体から600μm BSSスクリーンを使用して分離した。得られたスラリーの固体含量は41.9wt%であり、5000mPa.sのブルックフィールド100rpm粘度であった。生成物の繊維含量を450℃での灰化により分析し、鉱物およびパルプフラクションのサイズを、Malvern Mastersizerを使用して測定した。
【0328】
実施例16
287gのCarbital 60HS(商標)のスラリー(固体77.9wt%)を粉砕ポット中に秤量した。次いで、87.9gの湿潤パルプを添加し、炭酸塩と混合した。1485gのCarbolite16/20粉砕媒体を次いで添加し、続いて、311gの水を添加し、50%の媒体体積濃度を得た。混合物を、10,000kWh/t(繊維について表される)のエネルギー入力が消費されるまで、一緒に1000rpmで粉砕した。生成物を媒体から600μm BSSスクリーンを使用して分離した。得られたスラリーの固体含量は36.0wt%であり、7000mPa.sのブルックフィールド100rpm粘度であった。生成物の繊維含量を450℃での灰化により分析し、鉱物およびパルプフラクションのサイズを、Malvern Mastersizerを使用して測定した。
【表9】
【0329】
表9により、繊維を微粒子サイズまで粉砕することに加えて、GCCの、微粉度およびpsd峻度もまた、増加され、より細かい対照顔料、Carbital90(商標)およびCarbopaque90(商標)のそれに匹敵したことが示される。
【0330】
上記参照および同時粉砕顔料をコーティング着色料とし、コーティング研究を下記実施例に従い実施した。
【0331】
実施例17(対照)
129gのCarbital 60HS(=100g乾燥)をビーカー中に秤量し、研究室スターラーを用いて混合し、14gのスチレン-ブタジエン-アクリロニトリルラテックスの50%懸濁液(DL920、Dow Chemical)を添加し、7部ラテックス/100炭酸カルシウム(pph)のバインダ投与量を得た。0.3乾燥gのカルボキシメチルセルロース(Finnfix10、CP Kelco)を次いで、12%溶液として添加し、続いて、0.5gの蛍光増白剤の溶液(Blankophor P、Kemira)を添加した。pHを8.7にNaOHを用いて調整した。第2の着色料を9pphの増加させたラテックス投与量を用いて調製した。
【0332】
実施例18(対照)
129.7gのCarbital 90HS(=100g乾燥)をビーカー中に秤量し、研究室スターラーを用いて混合し、16gのスチレン-ブタジエン-アクリロニトリルラテックスの50%懸濁液(DL920、Dow Chemical)を添加し、8部ラテックス/100炭酸カルシウム(pph)のバインダ投与量を得た。0.3乾燥gのカルボキシメチルセルロース(Finnfix10、CP Kelco)を次いで、12%溶液として添加し、続いて、0.5gの蛍光増白剤の溶液(Blankophor P、Kemira)を添加した。pHを8.9にNaOHを用いて調整した。第2の着色料を10pphの増加させたラテックス投与量を用いて調製した。
【0333】
実施例19(対照)
139gのCarbopaque90(=100g乾燥)をビーカー中に秤量し、研究室スターラーを用いて混合し、16gのスチレン-ブタジエン-アクリロニトリルラテックスの50%懸濁液(DL920、Dow Chemical)を添加し、8部ラテックス/100炭酸カルシウム(pph)のバインダ投与量を得た。0.3乾燥gのカルボキシメチルセルロース(Finnfix10、CP Kelco)を次いで、12%溶液として添加し、続いて、0.5gの蛍光増白剤の溶液(Blankophor P、Kemira)を添加した。pHを8.6にNaOHを用いて調整した。第2の着色料を10pphの増加させたラテックス投与量を用いて調製した。
【0334】
実施例20(対照)
129.7gのCarbital90HS(=100g乾燥)をビーカー中に秤量し、2.5gの、紙コーティングを対象とする、1000nm平均粒子サイズ(製造者値)の市販の粉末セルロース(Arbocel MF40、J.Rettenmaier & Sohne、Holzmuhle、ドイツ)を、研究室スターラーを用いて混合しながら添加した。粉末が完全に分散された時に、15gのスチレン-ブタジエン-アクリロニトリルラテックスの50%懸濁液(DL920、Dow Chemical)を添加し、7.5部ラテックス/100炭酸カルシウム(pph)のバインダ投与量を得た。0.3乾燥gのカルボキシメチルセルロース(Finnfix10、CP Kelco)を次いで、12%溶液として添加し、続いて、0.5gの蛍光増白剤の溶液(Blankophor P、Kemira)を添加した。pHを8.6にNaOHを用いて調整した。
【0335】
実施例21
173.4gの、Ex14に従い調製した生成物(=103g乾燥)をビーカー中に秤量し、研究室スターラーを用いて混合し、14gのスチレン-ブタジエン-アクリロニトリルラテックスの50%懸濁液(DL920、Dow Chemical)を添加し、7部ラテックス/100乾燥炭酸カルシウム(pph)のバインダ投与量を得た。0.3乾燥gのカルボキシメチルセルロース(Finnfix10、CP Kelco)を次いで、10%溶液として添加し、続いて、0.5gの蛍光増白剤の溶液(Blankophor P、Kemira)を添加した。pHを8.8にNaOHを用いて調整した。第2の着色料を9pphの増加させたラテックス投与量を用いて調製した。
【0336】
実施例22
250.6gの、Ex15に従い調製した生成物(=105g乾燥)をビーカー中に秤量し、研究室スターラーを用いて混合し、14gのスチレン-ブタジエン-アクリロニトリルラテックスの50%懸濁液(DL920、Dow Chemical)を添加し、7部ラテックス/100乾燥炭酸カルシウム(pph)のバインダ投与量を得た。0.3乾燥gのカルボキシメチルセルロース(Finnfix10、CP Kelco)を次いで、10%溶液として添加し、続いて、0.375gの蛍光増白剤の溶液(BlankophorP、Kemira)を添加した。pHを8.6にNaOHを用いて調整した。第2の着色料を9pphの増加させたラテックス投与量を用いて調製した。
【0337】
着色料を、基材70gm-2のメカニカル原紙上に、ブレード計量を備えた研究室ウェブコーター(Dowコーター)を使用してコートした。コート重量を、最高コート重量が得られるまで着色料を希釈することにより調整し、その後、ブレード荷重を増加させ、コート重量を低減させた。約8gm-2~12gm-2のコート重量値を有する紙試料を生成させた。速度は約10m min-1とした。
【0338】
コート紙試料を次いで、ストリップに切断し、Datacolor Elrepho3300分光光度計を用いた白色度についての試験前に、24時間、50%RHおよび23℃でコンディショニングさせた。反射率測定を457nmで、入射光ビーム中にUV成分ありまたはなしで実施した。UVありとなしの反射率値の間の差を蛍光として記録する。コート紙の平滑度を、空気漏れ法により、Parker Print Surf器械を用いて、1000kPaの圧力で測定した。値の各々を灰により測定されるコート重量に対してプロットした。結果を次いで、10gm
-2の一般的なコート重量まで内挿し、表11で一覧にした。
【表10】
【表11】
【0339】
表11の結果により、発明は増加された白色度、蛍光および増加された平滑度を与えることが示される。
【0340】
実施例23
630gの、60%<2μm e.s.dの粒子サイズ(Sedigraphにより測定)を有する粉砕大理石のスラリーを粉砕容器中に秤量した。乾燥重量は233gであった。54gの、525cm3のCSFまでビーティングさせた湿潤ユーカリパルプ(表12を参照されたい)を添加し、これは11.6g乾燥重量に等しかった。パルプを鉱物スラリーと完全に混合し、次いで1485gのCarbolite16/20媒体および16cm3の水を添加した。これは、50%の媒体体積濃度(MVC)および35wt%のスラリー固体含量に等しい。2500および5000kWh/tのエネルギー入力(乾燥繊維に関して表される)が試料に付与されるまで、試料を1000RPMで粉砕した。温度が55℃に到達した。次いで、容器をグラインダーから取り出し、媒体を600μmの開口サイズを有するスクリーンを用いて分離した。
【0341】
実施例24
今回は520cm3CSFまでビーティングされたさらしクラフト針葉樹パルプ(Botnia Pine RM90)を使用して、実施例23で記載される手順を繰り返した。
【0342】
実施例25
今回は、700cm3のCSFを有する解砕させたサーモメカニカルパルプの試料を使用して実施例23で記載される手順を繰り返した。
【0343】
実施例26
今回は、520cm3のCSFまでビーティングさせたアカシアパルプの試料を使用して、実施例23で記載される手順を繰り返した。
【0344】
実施例27
今回は、520cm3のCSFまでビーティングさせた広葉樹(カバノキ)パルプの試料を使用して、実施例23で記載される手順を繰り返した。
【0345】
上記実施例23-27にしたがい調製したMFCを含む同時粉砕スラリーの繊維強化能力を、上記濾紙破裂試験を用いて決定した。結果を下記表12に示す。
【0346】
以上で生成した試料について、さらに、それらの粒子サイズの観点からMalvern Mastersizer(Malvern Instruments、UK)を用いて特徴付けした。結果を、GCCおよびパルプフラクションの平均(d50)サイズの観点から記録する。繊維フラクションの粒子サイズ峻度もまた記録した。これらのデータもまた表12に列挙される。
【0347】
これらの結果により、全てのパルプ型は、GCCとの同時粉砕に供されると、強度増加を生成することが示される。
【表12】
【0348】
実施例28
400gのリファイニングされていない針葉樹さらしクラフトパルプ(Botnia Pine RM90)を20リットルの水に6時間浸漬させ、次いで、メカニカルミキサにおいてスラッシュ化させた。そのように得られたストックを次いで、研究室Valleyビーター中に注ぎ入れ、負荷下で28分間リファイニングさせ、525cm3カナダ標準ろ水度(CSF)までビーティングされた、リファイニングパルプの試料を得た。
【0349】
次いで、パルプを、稠度試験機(Testing Machines Inc.)を用いて脱水し、19.1wt%固体の湿潤パルプのパッドを得た。次いで、これを下記で詳述する粉砕実験で使用した。
【0350】
実施例29
584gの、60%<2μm e.s.dの粒子サイズ(Sedigraphにより測定)を有する粉砕大理石のスラリーを粉砕容器中に秤量した。乾燥重量は231gであった。上記脱水段階からの湿潤パルプ(実施例28)を添加し、11.6g(乾燥重量)のパルプを得た。パルプを鉱物スラリーと完全に混合し、次いで1485gのCarbolite16/20媒体および必要とされる水を添加し、50%の媒体体積濃度(MVC)および35wt%のスラリー固体含量を得た。試料を、2500kWh/tおよび5000kWh/tのエネルギー入力(乾燥繊維に関して表される)が試料に付与されるまで、1000RPMで粉砕した。次いで、容器をグラインダーから取り出し、媒体を600μmの開口サイズを有するスクリーンを用いて分離した。生成物の繊維含量を450℃での灰化により分析し、鉱物およびパルプフラクションのサイズを、Malvern Mastersizerを使用して測定した(表13を参照されたい)。
【0351】
実施例30
176gの、60%<2μm e.s.dの粒子サイズ(Sedigraphにより測定)を有する粉砕大理石のスラリーを粉砕容器中に秤量した。乾燥重量は65gであった。上記脱水段階からの湿潤パルプを添加し、8.5g(乾燥重量)のパルプを得た。パルプを鉱物スラリーと完全に混合し、次いで1485gのCarbolite16/20媒体および必要とされる水を添加し、50%の媒体体積濃度(MVC)および12.5wt%のスラリー固体含量を得た。試料を、3750および5000kWh/tのエネルギー入力(乾燥繊維に関して表される)が試料に付与されるまで、1000RPMで粉砕した。次いで、容器をグラインダーから取り出し、媒体を600μmの開口サイズを有するスクリーンを用いて分離した。生成物の繊維含量を450℃での灰化により分析し、鉱物およびパルプフラクションのサイズを、Malvern Mastersizerを使用して測定した(表13を参照されたい)。
【表13】
【0352】
実施例31
-手抄きシート評価
実施例29および30において製造した試料を手抄きシート研究において比較した。対照フィラーは、粉砕実験において使用した同じ60%<2μm粉砕大理石とした。これらのフィラーのためのホストパルプを、520cm
3のCSFまでビーティングさせた同じBotnia RM90バッチから調製した。歩留向上剤はPercol292(Ciba)とし、総完成紙料固体に対し0.06wt%で添加した。手抄きシートを80gm
-2で調製し、破裂および引張強さ、嵩、Bendtsen多孔度、457nmでの反射率(ISO白色度)、および不透明度について試験した。3つの投入を得、結果(表14)を、30wt%の投入レベルまで内挿した。
【表14】
【0353】
上記結果により、同時粉砕フィラーは、白色度に損害なく、増加した強度、低減した多孔度、および増加した不透明度、全て望ましい特性を与えることが示される。11.7%同時粉砕繊維を含む実施例30からのフィラーを使用すると、強度の増加は、標準GCCフィラーを使用するwt%から40wt%まで、破裂強度の損失なしで、フィラーの投入を増加させるのに十分である。
【0354】
実施例32
321gの、フィラーカオリンの72wt%スラリー(WP、Imerys)を粉砕ポット中に秤量した。105.9gの、10.9wt%固体の湿潤未さらし北米クラフトマツパルプを、次いで追加の266cm3水と一緒に混合した。1485gのCarbolite16/20媒体を添加し、混合物を、乾燥鉱物+パルプに対して表される250kWh/lの作業入力を使用して1000rpmで粉砕した。700μmスクリーン上での分離後の乾燥生成物の繊維含量は、950℃での発火により測定すると、鉱物に対して3.9wt%であった。繊維の平均粒子サイズ(d50)は、Malvern Mastersizerを使用して83μmと推定した。
【0355】
実施例33
206gの、フィラーカオリンの72wt%スラリー(WP.Imerys)を粉砕ポット中に秤量した。108.7gの、10.9wt%固体の湿潤未さらし北米クラフトマツパルプを次いで追加の326cm3水と一緒に混合した。1485gのCarbolite16/20媒体を添加し、混合物を、鉱物+パルプに対して表される400kWh/lの作業入力を使用して1000rpmで粉砕した。700μmスクリーン上での分離後の乾燥生成物の繊維含量は6.2wt%であった。繊維の平均粒子サイズ(d50)はMalvern Mastersizerを使用して95μmと推定した。
【0356】
この研究のためのホストパルプは、実施例32および33で使用した未さらし北米クラフトマツパルプの同じバッチとした。これを製造者から受理したまま使用し、必要に応じて水で希釈した。歩留向上剤はPercol292(Ciba)とし、総完成紙料固体に対し0.14wt%で添加した。
【0357】
手抄きシートを、5wt%の標的フィラー投入を用いて160gm-2の標的重量で製造した。シートを2回プレスし、加熱ドラム乾燥機を用いて乾燥させ、12時間、50%RHおよび23℃でコンディショニングさせた。WPカオリンスラリーの試料を対照として使用した。
【0358】
シートを引張強さ、および灰による粘土含量について試験した。結果を下記表15に明記する:
【表15】
上記結果により、同時粉砕カオリンフィラーは、未さらしクラフトパルプに基づくライナーボード完成紙料中の非改良カオリンよりもかなり低い弱化効果を有することが示される。
【0359】
実施例34
400gのリファイニングされていない針葉樹さらしクラフトパルプを20リットルの水に6時間浸漬させ、次いで、メカニカルミキサにおいてスラッシュ化させた。そのように得られたストックを次いで、研究室Valleyビーター中に注ぎ入れ、負荷下で28分間リファイニングさせ、525cm3カナダ標準ろ水度(CSF)までビーティングされたリファイニングパルプの試料を得た。
【0360】
次いで、パルプを、稠度試験機(Testing Machines Inc.)を用いて脱水し、13~18wt%固体の湿潤パルプのパッドを得た。次いで、これを下記で詳述する同時粉砕実験で使用した:
【0361】
実施例35
750gの乾燥Englishカオリン(Intramax60)を、540cm3の水および1.9gの、ポリアクリレート分散剤の40%溶液(Accumer9300、Rohm & Haas)と共に混合することによりスラリーにした。pHを7にNaOHを用いて調整し、最終固体を57.2wt%とした。スラリーを次いで、粉砕ポットに移動させ、以上で調製した37.5乾燥gの湿潤パルプ(実施例34)をそれと混合した。pHを9にNaOHを用いて調整し、1500gのCarbolite16/20粉砕媒体を添加した。混合物を一緒に、60分間、必要に応じて水を添加し、流動性を維持して粉砕した。60分後、温度は55℃に到達した。粉砕生成物を次いで、媒体から、700μm開口のスクリーンを使用して分離した。エネルギー入力を147kWh/tで測定し、最終固体は45.8wt%、pH9.2であり、乾燥生成物は、総生成物に対して表される4.95wt%の繊維含量を有した。繊維成分の最頻粒子サイズをMalvern Mastersizerを使用して、44μm(e.s.d)で測定した。
【0362】
実施例36
750乾燥gのIntramax60を、以上で調製した57wt%スラリー(実施例34)として粉砕ポット中に秤量した。37.5乾燥gの湿潤パルプを添加し、次いで、pHを4.0に10%オルトリン酸を使用して調整した。1500gのCarbolite16/20媒体を次いで添加し、混合物を60分間粉砕し、その後、温度は54℃に到達した。作業入力は140kWh/tであった。スラリーを以前の通り分離し、最終固体は42wt%であった。pHは5.3であった。生成物の繊維含量を4.0wt%と測定した。驚いたことに、繊維成分の最頻粒子サイズをMalvern Mastersizerを使用して0.50μm(e.s.d)と測定し、pH9でほとんど1桁分微細であった。この予想外の観察結果により、酸条件下での粉砕はアルカリ条件下よりもずっと有効であることが示唆される。
【0363】
実施例37
750g乾燥大理石粉末を400cm3の水と共に粉砕ポットに入れ、57分間、120kWh/tの作業入力を用いて粉砕した。生成物は、Sedigraphによる、58wt%の粒子<2μm esdを有することが示された。次いで、37.5乾燥gの湿潤パルプ(実施例34において調製された通り)を混合し、粉砕を、さらに2時間の間、800cm3のさらなる水を添加して続け、さらに313kWh/t消費した。最終温度は74℃であり、固体37.4wt%であり、700μmスクリーン上での分離後の乾燥生成物の繊維含量は4.4wt%であった。繊維の最頻粒子サイズを、Malvern Mastersizerを使用して50μmと推定した。
【0364】
実施例38
750乾燥gの、34%固体スラリーとしてのOptical HB(偏三角面体PCC)を、37g乾燥wtの湿潤パルプ(実施例34において調製された通り)と混合し、200cm3の水および1500gのCarbolite16/20媒体を添加した。混合物を、154kWh/tを使用して1時間粉砕した。最終温度は53℃であり、媒体の分離後、スラリーは41wt%の固体含量を有し、乾燥生成物は5.3wt%の繊維含量を有した。繊維成分の最頻粒子サイズは、Malvern Mastersizerにより100~200μmであった。
【0365】
実施例39
-新聞印刷用紙研究
これらのフィラーをさらに手抄きシート研究において比較した。これらのフィラーのためのホストパルプを、北欧サーモメカニカルパルプ試料をスラッシュ化することにより調製した。受理したままのパルプは、50cm3のCSFを有したので、さらなるリファイニングは実施しなかった。歩留向上剤をPercol292(Ciba)とし、総完成紙料固体について0.02wt%で添加した。手抄きシートを50gm-2で調製し、破裂および引張強さ、嵩、Bendtsen多孔度、457nmでの反射率(ISO白色度)、および不透明度について試験した。3つの投入を得、結果(表16を参照されたい)を、10wt%の投入レベルまで内挿する。
【0366】
これらの結果により、とりわけIntramaxとの同時粉砕フィラーは、対照フィラーと比べて、増加した強度、および低減した多孔度、全て望ましい特性を与えることが示される。白色度および不透明度はわずかに低減されるにすぎない。Intramaxを用いると、強度の増加は、0wt%から少なくとも8wt%(同時粉砕フィラーを用いる、強度の損失なし)までフィラーの投入を増加させるのに十分である。充填紙はより低い多孔度、ならびに増加された白色度および不透明度を有する。
【表16】
【0367】
実施例40
-スーパーカレンダー加工された雑誌用紙研究
手抄きシート研究を新聞印刷用紙研究と同じパルプを使用して実施した。タイムシートを、55gm-2で、30~40wt%の範囲にわたるフィラー投入を用いて製造した。より高い投入のために、歩留向上剤投与量を0.07wt% Percol292まで増加させた。手抄きシートを破裂および引張強さ、嵩、Bendtsen多孔度、457nmでの反射率(ISO白色度)、および不透明度について試験した。3つの投入を得、結果(表17を参照されたい)を32wt%の投入レベルまで内挿する。
【表17】
【0368】
これらの結果により、同時粉砕フィラーを使用すると、増加した強度、低減した多孔度、ならびに同様の白色度および不透明度が得られることが示される。Intramaxの場合、投入は30wt%から少なくとも36wt%まで増加させることができ、強度の損失なしで、低減した多孔度ならびに増加された白色度および不透明度が得られた。
【0369】
実施例41
-手抄きシート研究
この研究のためのホストパルプを、2%稠度でスラッシュ化し、Valleyビーター内で520cm3のCSFまでビーティングした、1バッチのさらし針葉樹化学クラフトパルプとした。歩留向上剤をPercol292(Ciba)とし、総完成紙料固体について0.02wt%で添加した。
【0370】
2セットのシートを偏三角面体沈降炭酸カルシウム(Optical HB、Imerys)を用いて25(セットA)および32wt%(セットB)投入レベルで製造した。さらなるセットのシート(セットC)を25wt%Optical HB+7wt%の実施例37からの同時粉砕GCCの投入で製造し、そのため、総投入は32wt%となった。対照セット(セットD)を25wt%Optical HB+7wt%の60%<2μmの標準GCCの投入で製造した。最終セット(セットE)をOptical HBおよび実施例37からの同時粉砕GCCの50/50ブレンドを使用して製造し、そのため、総投入は31wt%となった。
【0371】
手抄きシートを80gm-2で調製し、2回プレスし、加熱ドラム乾燥機を用いて乾燥させ、12時間、50%RHおよび23℃でコンディショニングさせた。シートを引張強さ、嵩、Bendtsen多孔度、457nmでの反射率(ISO白色度)、および不透明度について試験した。結果は下記表18に明記される。
【0372】
これらの結果により、同時粉砕GCCフィラーを使用してPCC充填シートのフィラー投入をさらに増加させることができ、PCCのみを使用した場合よりも強度損失が低いことが示される。より高い投入で、光学特性が維持され、多孔度が低減され、嵩の著しい損失はない。
【表18】
【0373】
実施例41
試料を、内径-14.5cmの円筒形の、バッフルなしの粉砕容器が取り付けられた研究室垂直攪拌媒体ミルを使用して調製した。ミルには、1.8cm直径の円形断面軸を有する垂直羽根車が取り付けられた。軸には、軸の底面でX字型に配列された4つの羽根車アームが取り付けられた。羽根車アームは円形断面で1.8cm直径を有し、軸中心線から先端まで6.5cmの長さであった。
【0374】
粉砕媒体(Carbolite, Carbo Ceramics Inc., USA)は16/20メッシュサイズであり、比重2.7を有した。
【0375】
重質炭酸カルシウム(GCC)(lntracarb 60, IMERYS Minerals, ベルギー)は60%<2μmのセディグラフ粒子サイズを有した。
【0376】
パルプを520cm3CSFまでビーティングされたさらし針葉樹クラフト(Botnia Pine RM90)とした。
【0377】
Lab粉砕は、1.5kgの粉砕媒体、500/0媒体体積濃度(MVC)、総固体の5wt%のパルプレベル、パルプのエネルギー入力2500kWMおよび羽根車速度1000rpmに基づいた。粉砕をバッチモードで、ある範囲の固体レベルで実施した。
【0378】
各粉砕の終わりに粉砕チャンバをミルから取り出し、内容物を取り出した。粉砕媒体を次いで、ミルの外側の生成物から分離した。
【0379】
各粉砕についての条件および得られた生成物特性を下記表19に示す。8100粘度はブルックフィールド粘度計(Brookfield Viscometers Ltd, Brookfield Technical Centre, Stadium Way, Harlow, Essex CM19 5GX,英国)で100rpmにて測定された粘度である。
【表19】
【0380】
これらのデータにより下記が示される:
・最高粉砕固体で生成された試料は最高粘度、最高パルプ含量、最も微細なMFCサイズおよび最高(最良)濾紙破裂増加試験を有する。
・より低い粉砕固体で生成された試料はより低い粘度、より低いパルプ含量、より粗いMFCサイズおよびより低い濾紙破裂増加試験を有する。
・試料は全て典型的なGCC生成物(<200mPasのB100粘度が典型的である)と比べて高い粘度を有する。
【0381】
実施例42
標準250μmスクリーンが取り付けられた実規模SMDにおいて同時粉砕生成物を生成させようと試みた(www.metso.com)。粉砕媒体、GCCおよびパルプは、パルプがリファイニングされていなかったことを除き、実施例41と同じであった。粉砕媒体分量は5メートルトンであった。動作条件もまた、実施例41で使用されたものと同様であった;50%MVC、総固体の5wt%のパルプレベル、エネルギー入力2500kWh/tパルプおよびlabミルと同様の先端速度を与える様々な羽根車rpm。粉砕を連続開回路モードで実施した。
【0382】
最初、粉砕を実施例41のように、35wt%総固体で試みた。しかしながら、これらの条件下では生成物を生成させることができなかった。高粘度生成物はスクリーンを通って、ミルから外へ流れない。代わりに、材料はミル内に蓄積した。粉砕固体は、20wt%未満に低下し、ミルを通る許容される流れが得られ、これらの条件下の生成物は、より高い固体粉砕で見られる紙の性能と同じ改善を示さなかった。
【0383】
例えば、実施例41における試料1を、labバッチ粉砕(50%MVC、総固体の5%のパルプレベル、エネルギー入力2500kWh/tパルプおよび1000rpm羽根車速度)において、35%固体で生成させた。試料6および7を、標準250μmスクリーンが取り付けられた実規模SMDにおいて、ミルを通る流れを達成するために固体を<20%まで低下させたことを除き、同様の条件下で生成させた。
【表20】
【0384】
これらのデータは下記を示す
・labおよび実規模で生成されたMFCはどちらも、対照と比べて、増加されたフィラー投入を可能にした。
・しかしながら、labバッチ粉砕において35%固体で生成させたMFCはより微細な繊維ピーク極大を有し、ミルを通る流れを可能にするために固体を低下させなければならなかったSMDにおいて生成された試料よりも高いフィラー投入を可能にした。
・NB高固体条件下ではSMDを動作させることはできなかった。
【0385】
実施例43
試料を、内径-87cmの円筒形の粉砕容器が取り付けられたパイロット規模垂直攪拌媒体ミルを使用して調製した。ミルには、円形断面軸を有する垂直羽根車が取り付けられた。軸には、軸の底面でX字型に配列された、4つの羽根車アームが取り付けられた。羽根車アームは円形断面を有し、軸中心線から先端まで30cmの長さであった。
【0386】
グラインダーをバッチモードで動作させた。GCCおよびパルプは実施例41と同じであった。試験を、50%MVC、および39%固体で、総固体の5%のパルプレベルを用いて実施した。グラインダーrpmは285とした。パルプはビーティングしなかった。2セットの試験を実施した。第1は実施例41のように16/20粉砕媒体を使用し、第2は同じ密度を有する3mm媒体を使用した。両方の試験についての繊維d
50および最頻鉱物粒子サイズは表21に示される。
【表21】
【0387】
これらのデータにより、繊維粉砕挙動は、とりわけより低いエネルギー入力では、より粗い媒体を用いた場合と同様であったことが示される。しかしながら、鉱物粉砕は、より粗い媒体を使用することにより著しく低減された。
【0388】
実施例44
これらの試験を、実施例43で使用したのと同じパイロットグラインダーにおいて実施した。GCCおよびパルプは実施例41および42と同じであった。
【0389】
試料を、バッチモードで、下記条件下で、ビーティングされていないパルプを用いて調製した。総固体10%、総固体のパーセンテージとしてのパルプ20%;MVC50%;285rpm;3mm媒体;エネルギー入力3500kWh/tパルプ。得られた試料(試料8)は102μmの繊維d50を有した。
【0390】
別の試験では、同じ条件を使用したが、この場合、グラインダーを、250μmスクリーンを用いて再循環バッチモードで構成した。流速は生成物の高粘度のために許容されず、生成物は得られなかった。
【0391】
さらなる試験において、試料を、再循環バッチモードで構成されたグラインダーを用いて調製し、1mmスクリーンを使用し、60l/分の高い流速を得た。得られた試料(試料9)は107μmの繊維d50を有した。
【0392】
2つの試料を、実施例42と同じ手順を使用する手抄きシート評価において使用した。結果を表22でまとめて示す。
【表22】
【0393】
これらのデータにより、粗い媒体、よって粗いスクリーンの使用は、生成物の高粘度にもかかわらず、商業的に実現可能な、再循環バッチ(または連続)構成での同時粉砕生成物の調製を可能にすることが示される。
【0394】
実施例45
試験をパイロット規模タワーミル(Hosokawa AlpineモデルANR 250)において実施した。これはバッフルなしの円筒形の粉砕チャンバおよびその長さを通して一連の羽根車ローターディスクが取り付けられた垂直羽根車軸を有する垂直攪拌媒体ミルである。ミルはおよそ3分の2が粉砕媒体で満たされている。動作では、供給物はミルに底から入り、粉砕ゾーン、その後、すすぎを通過し、静止ゾーンに行き、そこで、粉砕媒体が生成物から沈降し始める。次いで、生成物はミルから、ミル内のさらなる粉砕媒体を保持するように機能する分級機ホイールを介して出て行く。
【0395】
同時粉砕生成物を開回路連続構成において、下記条件下で、ビーティングされていないパルプを用いて調製した。総固体12.4wt%;総固体のパーセンテージとしてのパルプ20%;平均MVC22%;500rpm;比重約6の2-2.5mm媒体;エネルギー入力3200kWh/tパルプ。ミル中への流速1.7l/分
【0396】
これらの条件下で実行するという最初の試みは成功しなかった。というのも、粉砕媒体が生成物中に持ち越されたからであった。(1mm媒体を使用する前の試みも同様に失敗し、これもまた媒体持ち越しという理由であった)。
【0397】
その後、およそ1l/分の水添加を分級機ホイール直前に実施すると、ミルを出て行く生成物の固体が8.1wt%まで低減した。これらの条件下では、全ての媒体がミル内に保持された。
【0398】
得られた試料(試料10)は145μmの繊維d
50、および89μmの最頻繊維粒子サイズを有し、これを実施例42と同じ手順を使用して手抄きシート評価において評価した。結果を表23でまとめて示す。
【表23】
【0399】
これらのデータにより、タワーミルにおける粗い高密度媒体の使用および分級機ホイール直前での水添加により、生成物の高粘度にもかかわらず、商業的に実現可能な構成での同時粉砕の調製が可能になることが示される。
【0400】
実施例46
内径-14.5cmの円筒形の、バッフルなしの粉砕容器を備えた研究室垂直攪拌媒体ミルを使用して、試料を調製する。ミルには1.8cm直径の円形断面軸を有する垂直羽根車が取り付けられている。軸には、軸の底面でX字型に配列された4つの羽根車アームが取り付けられている。羽根車アームは1.8cm直径の円形断面を有し、軸中心線から先端まで6.5cmの長さである。
【0401】
粉砕媒体(Carbolite, Cart>o Ceramics Inc., USA)は16/20メッシュサイズであり、2.7の比重を有する。
【0402】
パルプは、520cm3CSFまでビーティングされた、さらし針葉樹クラフト(Botnia Pine RM90)である。
【0403】
Lab粉砕は、1.5kgの粉砕媒体、変化させることができる50%媒体体積濃度(MVC)に基づき、パルプレベルは10wt%までの稠度範囲に及び、20000kWh/tパルプまでのエネルギー入力を、1000rpmの羽根車速度を用いて調査する。粉砕をバッチモードである範囲の固体レベルで実施する。
【0404】
各粉砕の終わりに粉砕チャンバをミルから取り出し、内容物を取り出した。粉砕媒体をミルの外側の生成物から分離した。
【0405】
MFC生成物を、Malvern光散乱装置を使用して粒子サイズについて、ブルックフィールド粘度計(Brookfield Viscometers Ltd, Brookfield Technical Centre, Stadium Way, Harlow, Essex CM19 5GX,英国)を使用して100rpmでB100粘度について特徴付けし、紙性能は、フィラーを使用しない、あるいはフィラーはlntracarb60(Imerys、ベルギー)であること以外は、実施例7の濾紙破裂増加試験および手抄きシート方法を使用して評価する。
【0406】
予想は、生成されたMFCは、増加された濾紙破裂試験およびより強い手抄きシートを与えることである。より高い稠度およびより高いエネルギー処理はより微細なMFCには好都合であり、紙強度性能には最適MFCサイズが存在し得ることが想定される。最適性能は、おそらく、高稠度での処理により最も効率的に得られる。
【0407】
実施例47
試料を、内径87cmの円筒形の粉砕容器が取り付けられたパイロット規模垂直攪拌媒体ミルを使用して調製する。ミルには、円形断面軸を有する垂直羽根車が取り付けられている。軸には、軸の底面でX字型に配列された4つの羽根車アームが取り付けられている。羽根車アームは円形断面を有し、軸中心線から先端まで30cmの長さである。
【0408】
グラインダーをバッチモードで動作させる。パルプは実施例46と同じである。試験を、実施例46から最適化させた条件下で実施する。グラインダーrpmは約285である。パルプはビーティングされていない。2セットの試験を実施する。第1は実施例46のように16/20粉砕媒体を使用し、第2は同じ密度を有する3mm媒体を使用する。
【0409】
生成したMFCを、実施例46の方法を使用して特徴付けし、評価する。
【0410】
どちらの粉砕媒体も同様のpsd MFCを与え、これらのMFC試料は増加した強度を有する手抄きシートの生成を可能にすることが想定される。
【0411】
実施例48
試験を、実施例42で使用したのと同じパイロットグラインダーにおいて実施する。パルプは実施例45と同じである。粉砕媒体は3mmである。
【0412】
MFC試料を、バッチモードで実施例45から最適化させた条件下で調製する。得られた試料のMFC psd特性を決定する。
【0413】
別の試験では、同じ条件を使用するが、この場合、グラインダーは、250μmスクリーンを用いて再循環バッチモードで構成する。流速は、生成物の高粘度のために、おそらく許容されず、生成物は得られない。
【0414】
さらなる試験において、試料を、再循環バッチモードで構成されたグラインダーを用いて調製し、1mmスクリーンを使用し、高い流速が予測される。
【0415】
生成したMFCを、実施例45の方法を使用して特徴付けし、評価する。
【0416】
データにより、粗い媒体、よって粗いスクリーンの使用により、生成物の高粘度にもかかわらず、商業的に実現可能な、再循環バッチ(または連続)構成において、高稠度および低エネルギーで微細なpsd MFCの調製が可能になることが示されることが予測される。
【0417】
実施例49
試験をパイロット規模タワーミル(Hosokawa AlpineモデルANR 250)で実施する。これはバッフルなしの円筒形の粉砕チャンバおよびその長さを通して一連の羽根車ローターディスクが取り付けられた垂直羽根車軸を有する垂直攪拌媒体ミルである。ミルはおよそ3分の2が粉砕媒体で満たされている。動作では、供給物はミルに底から入り、粉砕ゾーン、その後、すすぎを通過し、静止ゾーンに行き、そこで、粉砕媒体が生成物から沈降し始める。次いで、生成物はミルから、ミル内のさらなる粉砕媒体を保持するように機能する分級機ホイールを介して出て行く。
【0418】
MFC試料を、開回路連続構成において実施例46から最適化させた条件下で、ビーティングされていないパルプを用いて調製する。比重約6の2-2.5mm粉砕媒体を使用する。2000-15000kWh/tパルプの範囲のエネルギー入力を使用する。
【0419】
これらの条件下で実行するという最初の試みは、粉砕媒体が、MFCの高い粘度のために生成物中に持ち越されたために、成功しなかったことが予測される。
【0420】
その後、水添加を分級機ホイール直前に実施すると、ミルを出て行く生成物の固体が、媒体が持ち越されないレベルまで低減する。これらの条件下では全ての媒体がミル内に保持される。
【0421】
生成したMFCを、実施例46の方法を使用して特徴付けし、評価する。
【0422】
得られた試料は微細な繊維psdを有する。手抄きシートの評価により、生成されたMFCはシートの破裂強度の増加を提供したことが示される。
【0423】
これらのデータにより、タワーミルにおける粗い高密度媒体の使用および分級機ホイール直前での水添加は、生成物の高粘度にもかかわらず、商業的に実現可能な構成におけるMFCの調製を可能にすることが示される。
【0424】
MFCの超音波処理
実施例50
様々なミクロフィブリル化セルロースならびにミクロフィブリル化セルロースおよび無機微粒子材料の生成物形態に対する超音波浴の効果。
第1の研究は、研究室FisherブランドFB11005超音波水浴を用いる、様々なミクロフィブリル化セルロースおよび無機微粒子材料の生成物形態に対する効果を調査することであった。ミクロフィブリル化セルロースおよび無機微粒子材料の生成物形態は、スラリー、ベルトプレスケーキおよび高固体乾燥50wt%固体生成物の形態の、50POP(パーセンテージパルプ)IC60/Botnia(すなわち、1:1比)混合物であった。IC60はImerys Minerals LimitedからIntracarb60として入手可能な微細な重質炭酸カルシウムである。試料を希釈し、20%POP(パーセンテージパルプ--POPまたはパーセンテージパルプは無機微粒子材料ではなくパルプまたはフィブリルである試料の乾燥重量のパーセンテージである)懸濁液を6.25wt%固体で生成させた。各試料を超音波浴内での様々な時間に供し、次いで研究室Silversonミキサでの7500rpmで1分に供し;その後、FLT(Nm/g:引張強さの測定)および粘度測定を実施した。
【0425】
FLT指数は、ミクロフィブリル化セルロースおよび再分散されたミクロフィブリル化セルロースの品質を評価するために開発された引張試験である。試験材料のPOPを、いずれの無機微粒子がミクロフィブリル化セルロース/無機材料複合物の生成において使用されても(無機微粒子フリーミクロフィブリル化セルロースの場合、60wt%<2μmGCC炭酸カルシウムが使用される)添加することにより20%に調整する。220gsmシートをこの材料から、特注のBuchner濾過装置を使用して形成させる。得られたシートをコンディショニングさせ、その引張強さを、業界標準引張試験機を使用して測定する。
【0426】
図2はミクロフィブリル化セルロースおよび無機微粒子材料のスラリーの粘度への効果を示す。最初の5分以内に粘度の小さな増加が観察されたことがわかる。表24-27は超音波浴処理後のミクロフィブリル化セルロースおよび無機微粒子材料の組成物の強度特性を示す。FLT指数法により測定される材料の強度は有意には変化しなかったことがわかる。品質の改善のための、ミクロフィブリル化セルロースおよび無機微粒子材料の組成物の再分散のための超音波浴の使用は推奨されない。低い電力入力は強度特性に影響しないが、粘度にわずかに影響する。
【表24】
【表25】
【表26】
【表27】
【0427】
実施例51
ミクロフィブリル化セルロースおよび無機微粒子材料のスラリーに対する超音波プローブの効果。
この実験は、超音波プローブがミクロフィブリル化セルロースおよび無機微粒子材料のスラリーに対して有する効果を調査するためのものであった。使用した超音波プローブは「プローブホーンCV33」を有する「Sonics Vibracell VCX500 500 Wattモデル」であり、粒子サイズ測定前の鉱物スラリーの分散のために使用した。プローブ(ホーン)は40%の振幅で動作するように特定的に設計されているが、このおよびさらなる実験のために、100%まで動作されている。
【0428】
1.7wt%の総固体含量の、50%POP IC60/Botnia(1:1比)スラリーを、IC60重質炭酸カルシウム(70wt%固体)スラリーを用いて20%POPまで希釈した。これにより試料の総固体は4.24wt%となった。
【0429】
超音波プローブをスラリー中に浸漬させ、様々な時間の超音波に様々な振幅で供した。
図3および4はFLT指数(Nm/g:引張強さの測定)および粘度の増加を強調する。図において、振幅が高いほど引張強さの増加が大きくなることがわかる。100%振幅では、FLT指数の20%増加が、元のスラリーと比べて30秒以内で達成され得る。元のスラリーと比べて、超音波適用2分以内の33%増加が達成され得る。65%の低減した振幅では、FLT指数の増加は、供給スラリーと比べて、2分の超音波後14%であった。
【0430】
実施例52
ミクロフィブリル化セルロースおよび無機微粒子材料のスラリーに対するパルス超音波の効果。
超音波プローブは連続モードまたはパルスモードで動作させることができる。この実験はこの効果を見るためのものであった。ミクロフィブリル化セルロースおよび無機微粒子材料のスラリーを、上記Exp.51のように調製し、パルス超音波に供した。
図5は、FLT指数の増加はパルスモードの動作を使用して得ることができることを示す。ミクロフィブリル化セルロースおよび無機微粒子材料の増強のための超音波プローブの使用は生成物品質を改善する。ミクロフィブリル化セルロースおよび無機微粒子材料のスラリー特性の著しい増加は好ましくは、高い振幅および連続モードでの実行を使用して達成することができる。
【0431】
実施例53
ミクロフィブリル化セルロースおよび無機微粒子材料のスラリー内での超音波効率に対するセラミック粉砕媒体の効果。
ミクロフィブリル化セルロースおよび無機微粒子材料の生成物の生成は、セラミック粉砕媒体の存在下でのセルロースおよび鉱物の湿潤摩擦ミリングにより達成される。この実験は、存在するセラミック粉砕媒体のいくらかを用いた超音波プロセスの効果を調査するために実施した。上記実施例51および52において調製したミクロフィブリル化セルロースおよび無機微粒子材料のスラリーに、10のセラミック粉砕媒体ビーズ(約3mmサイズ)をドープした。材料を様々なエネルギー入力に100%振幅で供した。
図6は、試料中の媒体の存在は、FLT指数の増加に対して有害効果を有さないことを示す。セラミック粉砕媒体の存在は、これらの条件下では、ミクロフィブリル化セルロースおよび無機微粒子材料のスラリーの超音波処理に効果を有さない。
【0432】
実施例54
ミクロフィブリル化セルロースおよび無機微粒子材料、50%POPベルトプレスケーキへの超音波プローブの効果。
50%POP IC60/Botniaベルトプレスケーキは、この研究のための供給材料であった。ベルトプレスケーキを、IC60重質炭酸カルシウムスラリーを使用して、20%POP、6.25wt%固体まで希釈した。試料を製造し、下記に供した:
i)Silversonミキサ上での1分の高せん断混合:対照
ii)100%振幅での様々な時間の超音波。
【0433】
図7は、ベルトプレスケーキは、超音波プローブを使用して水中に再分散させることができ、対照FLT指数に到達し、これを超えることができることを示す。
【0434】
実施例55
ミクロフィブリル化セルロース鉱物フリー(フィブリル化プロセスにおいて無機微粒子材料が使用されない)ベルトプレスケーキに対する超音波プローブの効果。
ベルトプレスケーキの再分散をさらに調査するために、鉱物を含まないバージョンを評価した。ベルトプレスケーキを、IC60重質炭酸カルシウムスラリーを使用して、20%POP、6.25wt%固体まで希釈した。試料を製造し、下記に供した:
i)Silversonミキサでの1分の高せん断混合:対照
ii)100%振幅での様々な時間の超音波。
【0435】
図8は、超音波単独で、高せん断混合で生成される試料特性を達成することができることを再び強調する。超音波と合わせた高せん断混合では、改善された引張強さを得ることができる。
【0436】
実施例56
60wt%高固体乾燥ミクロフィブリル化セルロースおよび無機微粒子材料のスラリーに関する超音波プローブの効果。
ベルトプレスケーキを乾燥することにより生成される開発生成物を、超音波の使用を用いて評価した。この50%POP IC60/Botnia 60wt%固体材料は、9Nm/gのFLT指数を達成するために3~4分の高せん断Silverson混合を必要とする。
【0437】
この研究は下記を調査した
i)高エネルギー混合の先行としての超音波の使用
ii)FLT値を改善するための追加支援としての超音波の使用
図9は、超音波エネルギーの効果は、高せん断混合後に使用すると、より有効であることを示す。
図10は高せん断混合および超音波の組み合わせの利益を証明する。超音波の使用は、乾燥させたミクロフィブリル化セルロースおよび無機微粒子材料の生成物を高せん断混合ありまたはなしのいずれかで再分散させる効率的な方法であることが証明されている。
【0438】
実施例50-56の結果は、超音波処理をミクロフィブリル化セルロースまたはミクロフィブリル化セルロースおよび無機微粒子材料の生成に追加する、少なくとも下記予想外の結果を示す:
・ミクロフィブリル化セルロースまたはミクロフィブリル化セルロースおよび無機微粒子材料のスラリーの特性は、好ましくは、プローブまたは超音波水浴により適用される場合、超音波処理により実質的に増強され得る
・より高い振幅により、より高いFLT指数が得られる
・ミクロフィブリル化セルロースまたはミクロフィブリル化セルロースおよび無機微粒子材料のスラリー内のセラミック汚染物質は、スラリーの特性に有益に影響する超音波の能力に対し有害効果を有さない
・ミクロフィブリル化セルロースまたはミクロフィブリル化セルロースおよび無機微粒子材料のベルトプレスケーキはそれを再分散させるための手段としての超音波に非常に適している
・超音波は、高せん断再分散にとって代わることができ、または手順を増強させることができる
・より高い固体含量材料を、超音波を使用して再分散させることができる。
【0439】
実施例57
下記試験を、おおよそ50%固体濃度を生成させるためにフィブリル化され、次いで脱水され、乾燥され、ペレット化されたミクロフィブリル化セルロースおよび無機微粒子材料の特性を評価するために実施した。乾燥ミクロフィブリル化セルロースおよび無機微粒子材料の組成物を次いで、0.7%~3.4%の様々な繊維スラリー濃度にした。フィブリル化セルロースおよび無機微粒子材料(鉱物)生成物はスラリーの形態の50%POP Botniaパルプ/重質炭酸カルシウムIC60(すなわち、1:1wt比)の混合物をフィブリル化することにより生成された、50%パーセンテージパルプ(POP)の水性組成物であった。使用したペレット化生成物の総固体は50wt%であった。超音波処理試験についての動作圧を0から4bar圧力まで変化させ、超音波処理のための最適圧力を決定した。試験を異なる温度(20℃~50℃)で実施し、最適プロセス温度を決定した。様々な流速の冷却水をフローセル冷却ジャケット中にポンピングし、動作温度を要求されるレベルで維持するために使用した。
【0440】
ミクロフィブリル化セルロースおよび無機微粒子材料のスラリーを攪拌媒体デトリタ内での粉砕に供した。スラリーを、それぞれ、250ミクロンおよび120ミクロンの穴あきスクリーンに通す2段階のスクリーニングを使用して、スクリーニングした。ミクロフィブリル化セルロースおよび無機微粒子材料のスラリーを、ベルトプレスを用いて脱水し、続いて空気掃引アトリター乾燥機&ミル(Atritor Limited, 12 The Stampings, Blue Ribbon Park, Coventry, West Midlands, 英国から入手可能)内でさらに乾燥させた。アトリターミルは、試験において使用されるミクロフィブリル化セルロースおよび無機微粒子材料(例えば、炭酸カルシウム)組成物を処理および乾燥させるために、材料を乾燥およびミリングするための熱気流を導入する能力を有する空気掃引ミルまたは乾燥機である。他の等価の空気掃引乾燥機およびミルが当業者に知られている。
【0441】
ベルトプレスへの供給固体は50wt%POPスラリーの2wt%であった。アトリター乾燥機およびミルへの供給固体は0.5kg/Lの嵩密度で30wt%であった。アトリターミルの入口温度を150-170℃に設定し、空気の出口温度を68-75℃と測定した。乾燥ミクロフィブリル化および無機微粒子材料生成物の生成物固体含量は50wt%であった。乾燥材料をその後、16°の入口および出口温度を有するKahlペレットミルに送り込み、これにより、ペレット化した。
【0442】
試験で使用した超音波ユニットはHielscher Ultrasonics GmbH(Oderstr. 53 D-14513 Teltow、ドイツおよび530 Ringwood Ave. Lembo & Gray Bldg. Wanaque, NJ 07465, USA)から入手可能なHielscher UIP1000hd工業規模超音波プロセッサとした。
【0443】
試験材料を供給槽から超音波フローセルまで再循環させた。供給槽内の体積を2.5Lとした。全ての試験中の流速をおよそ1.5L/分で維持した。プログレッシブキャビティポンプをポンピングのために使用した。250ml試料を0、1、2、4および10分後に採取した。
【0444】
製造したペレット化ミクロフィブリル化セルロースおよび無機微粒子材料を供給物として使用した試験から収集した全ての試料をニブについて、TAPPIダートカウント法を用いて評価した。ニブは、処理後に分解または解凝集されていないミクロフィブリル化セルロースおよび無機微粒子材料引張(FLT)シートにおける凝集体である。
【0445】
超音波供給者からの勧告に基づき、全ての試験を最大ブースター(B4-2.2)およびBS4d22ソノトロードを用いて実施した。
【0446】
最適圧力および温度を同定するとすぐに、試験を異なる繊維固体、すなわち0.7%、1.5%、2.5%および3.3%で実施した。このように、超音波処理のための最適繊維固体を同定した。
【0447】
実施例58:最適化試験-圧力の効果。
これらの試験を、手製ペレット(低エネルギー)を用いて実施した。ペレットを空気掃引式アトリター乾燥機およびミルにおいて乾燥させたミクロフィブリル化セルロースおよび無機微粒子材料を用いて製造させた。ミクロフィブリル化セルロースおよび無機微粒子材料を50%固体および50%POP(Botniaパルプ/重質炭酸カルシウムIC60)で試験した。目的は、ペレット化ミクロフィブリル化セルロースおよび無機微粒子材料(特に示されない限り)を、超音波処理を使用して再分散および解凝集させること、ならびに脱水され、乾燥され、ペレット化される前の初期スラリー生成物のFLT指数およびニブの観点から、生成物品質を回復させることであった。製造したペレットを6.6%総固体(3.3%繊維固体)まで希釈し、超音波処理試験を再循環モードで異なる圧力で(0~4bar)実施した。これらの試験からの結果を
図11A~Cに提示する。
【0448】
全体的なFLT指数はより高い圧力で処理する場合に有意な差を示さなかった;が、スケーリングの観点から、超音波ユニットがミクロフィブリル化セルロースおよび無機微粒子材料の処理中、可能な限り多くの電力を引き出すことを確実にすることが重要であった。平均電力引き出し対処理時間チャートは、最適圧力は3barであったことを示す。
【0449】
実施例59:最適化試験-温度の効果。
これらの試験を、手製ペレット(低エネルギー入力)を用いて実施した。製造したペレットを6.6%総固体(3.3%繊維固体)まで希釈し、超音波処理試験を再循環モードで異なる温度(20℃~50℃)で実施した。処理温度を、フローセルウオータジャケット中の冷却水の流速を調整することにより制御した。これらの試験からの結果を
図12A~Cに示す。
【0450】
FLT指数は評価した異なる温度で有意差を示さなかった。より低い温度での動作は超音波ユニットからのより高い電力引き出しをもたらし、これは好ましい。従って、ミクロフィブリル化セルロースを超音波処理する場合、20℃が最適温度であることが証明された。
【0451】
実施例60:研究室高せん断ミキサを用いて製造した生成物を使用した試験。
実施例57に記載されるように、ペレット化ミクロフィブリル化セルロースおよび無機微粒子材料を、研究室Silverson高せん断ミキサを使用して製造した。約200kWh/tのエネルギーを製造中に使用した。試験を再循環モードで実施した。前の試験とは異なり、高せん断生成物は、超音波処理試験を開始する前30分間再循環させなかった。高せん断生成物を、異なる繊維固体で超音波処理した。
図13AおよびBを参照されたい。
【0452】
前に報告された試験と同様に、最適エネルギーは約2000kWh/tであった。
図13AおよびBに示されるように、より低い固体(0.7%および1.5%)での超音波処理は、FLT指数および粘度の観点から最良の生成物を与えた。
【0453】
実施例61:連続粉砕ミクロフィブリル化セルロースおよび無機微粒子材料のスラリーを使用する後処理試験。
ミクロフィブリル化セルロースおよび無機微粒子材料のスラリーを圧力スクリーニング(すなわち、決して脱水されていない、または乾燥されていない生成物)で得た。粉砕プロセス後のミクロフィブリル化セルロースおよび無機微粒子材料のスラリーの後処理における超音波処理の有効性を決定するために、試験を実施した。試験に関するデータは
図14A~Cに提示する。
【0454】
これらの試験において、FLTおよび粘度の増加があり、これは改善された生成物品質の指標である。より低い固体での処理は所定のエネルギーで入力でより良好な生成物を与える。許容される生成物改善与えるのに必要なエネルギーは高く、すなわち、1000kWh/tを超え、これにより、超音波技術はミクロフィブリル化セルロースおよび無機微粒子材料のスラリーの後処理においてよりエネルギー集約的となるが、生成物性能は増強される。
【0455】
実施例62:リファイナー生成物を使用する後処理試験。
実施例57の手順にしたがい調製した、ペレット化ミクロフィブリル化セルロースおよび無機微粒子材料を、パイロットパルパーを使用して製造し、その後、パイロットリファイナーを使用してリファイニングした。リファイナーからの生成物を回収し、超音波処理の効果を調べるために試験を実施した。試験を3つの固体レベル-1.5%、2.5%および3.3%繊維固体で実施した。データを
図15A~Cで報告する。
【0456】
生成物品質の改善はFLT指数および粘度の増加によって示された。FLTを1.0増加させるのに必要なエネルギーは約2000kWh/tであった。超音波処理を用いたリファイナー生成物の後処理は非常にエネルギー集約的であった。
【0457】
実施例63:鉱物を含まないミクロフィブリル化セルロース、および、ホモジナイザーならびに超音波処理工程を通る追加のパスに供される鉱物を含まないミクロフィブリル化セルロースの後処理。
【0458】
鉱物を含まない(100%POP/カバノキパルプミクロフィブリル化セルロースを、パイロット攪拌媒体デトリタ(Supermill)グラインダーにおいて高密度ジルコニア媒体(6の比重)を用いて生成させた。大部分はセルロース(有機物)からなる鉱物を含まない生成物をパイロットホモジナイザーに通過させ、より微細にフィブリル化された鉱物を含まない、ミクロフィブリル化セルロースを生成させた。次いで、均質化工程ありおよびなしで、鉱物を含まないミクロフィブリル化粉砕生成物に対する超音波処理の効果を決定するために試験を実施した。これらの試験に関するデータを
図16AおよびBで報告する。
【0459】
図16AおよびBのデータにより、超音波処理を使用して、均質化工程なしで、鉱物を含まないグラインダー生成物(カバノキ)からミクロフィブリル化セルロースを生成させることが可能であることが示される。均質化工程に供されたミクロフィブリル化セルロースのFLTは15Nm/gよりより大きい。試験は、
図16AおよびBにおいて、鉱物を含まない粉砕生成物を約1500kWh/tで超音波処理した後、均質化工程に供された粉砕ミクロフィブリル化セルロースの範囲のFLT指数およびd
50粒子サイズを有する粉砕ミクロフィブリル化セルロースが生成されたことを報告した。
【0460】
発明の追加の実施形態
上記実施例および下記実施形態は発明者らによる本明細書で開示される発明の多くの実施形態の例示であり、発明を制限することを意図しない。
【0461】
実施形態1.増強された粘度および引張強さ特性を有するミクロフィブリル化セルロースおよび無機微粒子材料を含む水性懸濁液を調製するための方法であって、セルロースを含む繊維基材を水性環境において無機微粒子材料の存在下でミクロフィブリル化し、ミクロフィブリル化セルロースおよび無機微粒子材料を含む水性懸濁液を生成させる工程を含み、および、ミクロフィブリル化セルロースおよび無機微粒子材料を含む水性懸濁液を超音波処理に供し、増強された粘度および引張強さ特性を有するミクロフィブリル化セルロースおよび無機微粒子材料を含む水性懸濁液を生成させる工程をさらに含む、方法。
【0462】
実施形態2.ミクロフィブリル化工程は、セルロースを含む繊維基材を、粉砕容器内で、無機微粒子材料の存在下にて粉砕することを含む、実施形態1による方法。
【0463】
実施形態3.セルロースを含む繊維基材なしで無機微粒子材料を粉砕し、所望の粒子サイズを有する無機微粒子材料を得る初期工程をさらに含む、実施形態2による方法。
【0464】
実施形態4.前記超音波処理は、超音波プローブ、超音波水浴、超音波ホモジナイザー、超音波フォイルおよび超音波ホーンからなる群より選択される1つ以上の装置を用いて実施される、実施形態1による方法。
【0465】
実施形態5.増強された粘度および引張強さ特性を有するミクロフィブリル化セルロースおよび無機微粒子材料を含む水性懸濁液の前記引張強さは、超音波処理に供されないミクロフィブリル化セルロースおよび無機微粒子材料を含む水性懸濁液よりも、少なくとも5%だけ増加される、実施形態1による方法。
【0466】
実施形態6.増強された粘度および引張強さ特性を有するミクロフィブリル化セルロースおよび無機微粒子材料を含む水性懸濁液の前記引張強さは、超音波処理に供されないミクロフィブリル化セルロースおよび無機微粒子材料を含む水性懸濁液よりも、少なくとも10%だけ増加される、実施形態1による方法。
【0467】
実施形態7.増強された粘度および引張強さ特性を有するミクロフィブリル化セルロースおよび無機微粒子材料を含む水性懸濁液の前記引張強さは、超音波処理に供されないミクロフィブリル化セルロースおよび無機微粒子材料を含む水性懸濁液よりも、少なくとも20%だけ増加される、実施形態1による方法。
【0468】
実施形態8.ミクロフィブリル化セルロースおよび無機微粒子材料を含む前記水性懸濁液は1メートルトンの乾燥フィブリルあたり1000kWh(kWht-1)までのエネルギー消費での超音波処理に供される、実施形態1による方法。
【0469】
実施形態9.ミクロフィブリル化セルロースおよび無機微粒子材料を含む前記水性懸濁液は1メートルトンの乾燥フィブリルあたり1500kWhまでのエネルギー消費での超音波処理に供される、実施形態1による方法。
【0470】
実施形態10.ミクロフィブリル化セルロースおよび無機微粒子材料を含む前記水性懸濁液は1メートルトンの乾燥フィブリルあたり2500kWhまでのエネルギー消費での超音波処理に供される、実施形態1による方法。
【0471】
実施形態11.前記超音波処理は連続モードで実行される、実施形態1による方法。
【0472】
実施形態12.前記超音波処理はパルスモードで実行される、実施形態1による方法。
【0473】
実施形態13.ミクロフィブリル化セルロースおよび無機微粒子材料を含む前記水性懸濁液は超音波処理前、半乾燥生成物に形成される、実施形態1による方法。
【0474】
実施形態14.前記半乾燥生成物は超音波処理前、ベルトプレスケーキに形成される、実施形態13による方法。
【0475】
実施形態15.増強された粘度および引張強さ特性を有するミクロフィブリル化セルロースおよび無機微粒子材料を含む水性懸濁液の前記粘度は、超音波処理に供されないミクロフィブリル化セルロースおよび無機微粒子材料を含む水性懸濁液よりも、少なくとも5%だけ増加される、実施形態1による方法。
【0476】
実施形態16.超音波処理は60%までの振幅で実施される、実施形態1による方法。
【0477】
実施形態17.超音波処理は80%までの振幅で実施される、実施形態1による方法。
【0478】
実施形態18.超音波処理は100%までの振幅で実施される、実施形態1による方法。
【0479】
実施形態19.セルロースを含む繊維基材はパルプ、例えば、化学パルプ、またはケミサーモメカニカルパルプ、または機械パルプ、または再生パルプ、または損紙パルプ、または紙工場廃水流、または紙工場からの廃棄物、またはそれらの組み合わせの形態である、実施形態1による方法。
【0480】
実施形態20.無機微粒子材料はアルカリ土類金属炭酸塩または硫酸塩、例えば炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ドロマイト、セッコウ、含水カンダイト粘土、例えばカオリン、ハロイサイトまたはボールクレー、無水(か焼)カンダイト粘土、例えばメタカオリンまたは完全か焼カオリン、タルク、雲母、パーライトもしくは珪藻土、またはそれらの組み合わせである、実施形態1による方法。
【0481】
実施形態21.無機微粒子材料はアルカリ土類金属炭酸塩、例えば、炭酸カルシウムである、実施形態1による方法。
【0482】
実施形態22.無機微粒子材料はカオリンである、実施形態1による方法。
【0483】
実施形態23.粉砕容器は、タワーミルおよび攪拌媒体デトリタからなる群より選択される、実施形態2による方法。
【0484】
実施形態24.方法により得られた、増強された粘度および引張強さ特性を有するミクロフィブリル化セルロースおよび無機微粒子材料を含む水性懸濁液は、紙を製造する、または紙をコーティングする方法、塗料およびコーティング、インク、油田化学薬品、複合物、消費者製品、化粧品、薬理学的製品および食品において使用するのに好適である、実施形態1による方法。
【0485】
実施形態25.前記方法は超音波処理工程の前後のいずれかで高せん断混合、均質化およびリファイニングの1つ以上をさらに含む、実施形態1による方法。
【0486】
実施形態26.増強された粘度および引張強さ特性を有するミクロフィブリル化セルロースを含む水性懸濁液を調製するための方法であって、セルロースを含む繊維基材を水性環境においてミクロフィブリル化し、ミクロフィブリル化セルロースを含む水性懸濁液を生成させる工程を含み、ミクロフィブリル化セルロースを含む水性懸濁液を超音波処理に供し、増強された粘度および引張強さ特性を有するミクロフィブリル化セルロースを含む水性懸濁液を生成させることをさらに含む、方法。
【0487】
実施形態27.前記超音波処理は超音波プローブ、超音波水浴、超音波ホモジナイザー、超音波フォイルおよび超音波ホーンからなる群より選択される1つ以上の装置を用いて実施される、実施形態26による方法。
【0488】
実施形態28.増強された粘度および引張強さ特性を有するミクロフィブリル化セルロースを含む水性懸濁液の前記引張強さは、超音波処理に供されないミクロフィブリル化セルロースを含む水性懸濁液に比べ、少なくとも5%だけ増加される、実施形態26による方法。
【0489】
実施形態29.増強された粘度および引張強さ特性を有するミクロフィブリル化セルロースを含む水性懸濁液の前記引張強さは、超音波処理に供されないミクロフィブリル化セルロースを含む水性懸濁液に比べ、少なくとも10%だけ増加される、実施形態26による方法。
【0490】
実施形態30.増強された粘度および引張強さ特性を有するミクロフィブリル化セルロースを含む水性懸濁液の前記引張強さは、超音波処理に供されないミクロフィブリル化セルロースを含む水性懸濁液に比べ、少なくとも20%だけ増加される、実施形態26による方法。
【0491】
実施形態31.ミクロフィブリル化セルロースを含む前記水性懸濁液は1メートルトンの乾燥フィブリルあたり1000kwhまでのエネルギー消費で超音波処理に供される、実施形態26による方法。
【0492】
実施形態32.ミクロフィブリル化セルロースを含む前記水性懸濁液は1メートルトンの乾燥フィブリルあたり1500kwhまでのエネルギー消費で超音波処理に供される、実施形態26による方法。
【0493】
実施形態33.ミクロフィブリル化セルロースを含む前記水性懸濁液は1メートルトンの乾燥フィブリルあたり2500kWhまでのエネルギー消費での超音波処理に供される、実施形態26による方法。
【0494】
実施形態34.前記超音波処理は連続モードで実行される、実施形態26による方法。
【0495】
実施形態35.前記超音波処理はパルスモードで実行される、実施形態26による方法。
【0496】
実施形態36.ミクロフィブリル化セルロースを含む前記水性懸濁液は超音波処理前、半乾燥生成物に形成される、実施形態26による方法。
【0497】
実施形態37.前記半乾燥生成物は超音波処理前、ベルトプレスケーキに形成される、実施形態36による方法。
【0498】
実施形態38.増強された粘度および引張強さ特性を有するミクロフィブリル化セルロースを含む水性懸濁液の前記粘度は、超音波処理に供されないミクロフィブリル化セルロースを含む水性懸濁液に比べ、少なくとも5%だけ増加される、実施形態26による方法。
【0499】
実施形態39.超音波処理は60%までの振幅で実施される、実施形態26による方法。
【0500】
実施形態40.超音波処理は80%までの振幅で実施される、実施形態26による方法。
【0501】
実施形態41.超音波処理は100%までの振幅で実施される、実施形態26による方法。
【0502】
実施形態42.セルロースを含む繊維基材はパルプ、例えば、化学パルプ、またはケミサーモメカニカルパルプ、または機械パルプ、または再生パルプ、または損紙パルプ、または紙工場廃水流、または紙工場からの廃棄物、またはそれらの組み合わせの形態である、実施形態26による方法。
【0503】
実施形態43.方法により得られた、増強された粘度および引張強さ特性を有するミクロフィブリル化セルロースを含む水性懸濁液は紙を製造する、または紙をコーティングする方法、塗料およびコーティング、インク、油田化学薬品、複合物、消費者製品、化粧品、薬理学的製品および食品において使用するのに好適である、実施形態26による方法。
【0504】
実施形態44.前記方法は超音波処理工程の前後のいずれかで高せん断混合、均質化およびリファイニングの1つ以上をさらに含む、実施形態26による方法。
【0505】
実施形態45.脱水された、部分的に乾燥された、または本質的に乾燥されたミクロフィブリル化セルロースを再分散させるための方法であって:
(a)ある量の好適な分散液を密閉槽に添加する工程であって、槽は入口および第1の入口および第1の出口を含むポンプに連結された出口、ならびに第2の入口および第2の出口を含み、少なくとも1つの超音波処理プローブをさらに含むフローセルを含み、これにより、閉じた再循環ループが形成される、工程;
(b)ある量の脱水された、部分的に乾燥された、または本質的に乾燥されたミクロフィブリル化セルロースを槽に十分な量で添加し、所望の固体濃度の、ミクロフィブリル化セルロースの液体組成物を得る工程であって;
工程(b)のミクロフィブリル化セルロースを含む液体組成物は再循環ループを介して連続して再循環される、工程;
(c)少なくとも200kWh/tの超音波エネルギーを断続的にまたは連続してソノトロードにより20~100Hzの周波数範囲で、ミクロフィブリル化セルロースの液体組成物に適用する工程であって、
これにより、引張強さおよび/または粘度特性を有する、ミクロフィブリル化セルロースを含む再分散された懸濁液が形成される、工程
を含む、方法。
【0506】
実施形態46.脱水された、部分的に乾燥された、または本質的に乾燥されたミクロフィブリル化セルロース組成物は、少なくとも1つの無機微粒子材料をさらに含む、実施形態45の方法。
【0507】
実施形態47.分散液は水である、実施形態45または46の方法。
【0508】
実施形態48.超音波エネルギー入力は約1,000kWh/t~10,000kWh/tである、実施形態47の方法。
【0509】
実施形態49.フローセルは、ミクロフィブリル化セルロースの懸濁液の温度を約1℃~約80℃の範囲に維持するための冷却ジャケットを有する、実施形態45または46の方法。
【0510】
実施形態50.温度は室温である、実施形態49の方法。
【0511】
実施形態51.温度は20℃である、実施形態49の方法。
【0512】
実施形態52.フローセルは約0~約10barの再循環される液体の背圧を生成させるために第2の出口に加減弁を含む、実施形態45または46の方法。
【0513】
実施形態53.圧力は3barである、実施形態52の方法。
【0514】
実施形態54.フローセルは、少なくとも1つのソノトロードの振幅を機械的に増加させる、または減少させるために1つ以上のブースターを有する、実施形態45または46の方法。
【0515】
実施形態55.ミクロフィブリル化セルロースの液体組成物は約0.5%~5%繊維固体である、実施形態45または46の方法。
【0516】
実施形態56.ミクロフィブリル化セルロースの液体組成物は約1.5%繊維固体である、実施形態55の方法。
【0517】
実施形態57.ミクロフィブリル化セルロースの液体組成物は約1.8%繊維固体である、実施形態55の方法。
【0518】
実施形態58.ミクロフィブリル化セルロースの液体組成物は約2.5%繊維固体である、実施形態55の方法。
【0519】
実施形態59.ミクロフィブリル化セルロースはペレット化される、実施形態45の方法。
【0520】
実施形態60.無機微粒子材料を含むミクロフィブリル化セルロース組成物はペレット化される、実施形態46の方法。
【0521】
実施形態61.超音波エネルギーは、約1~約120分間適用される、実施形態45または46の方法。
【0522】
実施形態62.超音波エネルギーは、約30分間適用される、実施形態61の方法。
【0523】
実施形態63.再循環ループは高せん断ミキサをさらに含む、実施形態45または46の方法。
【0524】
実施形態64.ミクロフィブリル化セルロースの懸濁液は7.5Nm/g以上のFLT指数を有する、実施形態45または46の方法。
【0525】
実施形態65.ミクロフィブリル化セルロースの懸濁液は8.0Nm/g以上のFLT指数を有する、実施形態45または46の方法。
【0526】
実施形態66.ミクロフィブリル化セルロースの懸濁液は8.5Nm/g以上のFLT指数を有する、実施形態45または46の方法。
【0527】
実施形態67.ミクロフィブリル化セルロースの懸濁液は10.0Nm/g以上のFLT指数を有する、実施形態45または46の方法。
【0528】
実施形態68.ミクロフィブリル化セルロースを含む液体組成物は約30~約120分間再循環される、実施形態45または46の方法。
【0529】
実施形態69.ミクロフィブリル化セルロースを含む液体組成物は約30分間再循環される、実施形態45または46の方法。
【0530】
実施形態70.実施形態45または46のプロセスにより生成された、再分散されたミクロフィブリル化セルロース懸濁液。