(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-15
(45)【発行日】2022-01-14
(54)【発明の名称】指切り防止用保護具
(51)【国際特許分類】
A41D 13/08 20060101AFI20220106BHJP
A41D 13/00 20060101ALI20220106BHJP
A61F 13/10 20060101ALI20220106BHJP
【FI】
A41D13/08 107
A41D13/00 102
A61F13/10 W
(21)【出願番号】P 2020001995
(22)【出願日】2020-01-09
【審査請求日】2020-01-09
(31)【優先権主張番号】10-2019-0135133
(32)【優先日】2019-10-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】520009596
【氏名又は名称】リー, チョン ヨン
【氏名又は名称原語表記】Lee, Jong Young
(74)【代理人】
【識別番号】110001494
【氏名又は名称】前田・鈴木国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】リー, チョン ヨン
【審査官】▲高▼辻 将人
(56)【参考文献】
【文献】実開昭54-080691(JP,U)
【文献】実公昭51-018014(JP,Y1)
【文献】特開2007-169798(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0360149(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A41D 13/00-13/08
A61F 13/10
A41D 19/00-19/015
F41H 1/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の単位板状片が複数の連結リング部材によって四方に連結され網状化され、相対的に変位可能な状態とされた長方形の網状パッドと、
前記網状パッドの一辺に並んで突出するように具備される少なくとも一対の締め用ベルト部材と、を含み、
前記網状パッドは、人体の指の甲部分をカバーし、指の腹部分の一部が長さ方向に開口されて露出させた状態で、前記締め用ベルト部材が夫々指の腹部分を通って前記単位板状片のいずれか一つにかかるように連結されることによ
り着用可能
であり、
前記連結リング部材は、一対のリング部材がヒンジピンによって相対的に回動可能に構成されていることを特徴とする指切り防止用保護具。
【請求項2】
前記単位板状片は、一定の厚さを有する正方形の板状体の四辺に夫々突出するように備えられたリング部を有し、
前記リング部は、夫々隣接する他の単位板状片のリング部と互いに向き合うように配列された状態で、前記連結リング部材によって結合されて、前記長方形の網状パッドを形成することを特徴とする請求項1に記載の指切り防止用保護具。
【請求項3】
前記締め用ベルト部材は、弾性バンドを有し、前記弾性バンドの一端がクリップ型の結束具により前記単位板状片の
前記リング部に固定されるように結束された固定端をなし、前記弾性バンドの自由端には、前記複数の単位板状片のうちのいずれか一つの
前記リング部に選択的にかかる掛けリングがクリップ型結束具によって連結されるように具備されていることを特徴とする請求
項2に記載の指切り防止用保護具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、指保護具に係り、より詳細には、包丁などのカッティング工具(cutting tool)を使用して食材などを刻むときや切るときに、手の指が切られて傷が生じることを防止するための指切り防止保護具に関する。特に、例えば、鎧状の形態で着用することにより、着用者の指の太さに応じて、締めつけの状態が適切に調節された状態で着用することができると共に、指を容易に曲げることができるように、指の動作や関節の動きの柔軟性と自由度とを効率的に向上させることができる指切り防止用保護具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、調理時または裁断時に、包丁、はさみ、または先の尖った鋭い構造の器具などのカッティング工具(cutting tool)を扱う一連の作業においては、作業者は、指が切られるまたは刺されるなどの負傷を受ける恐れがいつもある。したがって、上述のようなカッティング工具(cutting tool)を利用して作業を行う場合において指を保護するための保護具として、いくつかの形態の指切り防止用保護具が特許文献3、特許文献7、特許文献8に提案されている。
【0003】
しかし、上述の従来の指切り防止用保護具は、主に、管(またはチューブ)の形態であり、本体の中空部に指をはめ込んで指が収納された状態となるように着用する構成である。このような構成の指切り防止用保護具では、柔軟性や弾性力などのない管(またはチューブ)の形態の本体に指をはめ込んで指を動かすため、指の動作の自由度が著しく劣る。したがって、従来の指切り防止用保護具では、指の節の関節運動が困難になり、繊細かつ精密な作業を実行するのが難しかった。
【0004】
また、従来の指切り防止用保護具は、着用時に指の両側の端部を結束させる結束手段が備えられておらず、使用者の指の動きが繰り返され累積されることによって、徐々に緩み、使用上の不便さと安定性の低下という問題があった。
【0005】
本発明は、上述の技術的な背景の下で導出されたものであり、上述した背景技術の問題点は、本出願人が本発明の導出のために保有していたか、または本発明の導出過程で習得した内容であり、必ずしも本発明の出願前一般公衆に公知された内容ではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】大韓民国登録特許公報第10-1852157号
【文献】大韓民国登録特許公報第10-1563621号
【文献】大韓民国登録特許公報第10-1330005号
【文献】大韓民国登録特許公報第10-0705351号
【文献】大韓民国公開特許公報第10-2014-0008148号
【文献】大韓民国公開特許公報第10-2013-0135689号
【文献】大韓民国登録実用新案公報第20-0476538号
【文献】大韓民国登録実用新案公報第20-0476537号
【文献】大韓民国登録実用新案公報第20-0461721号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、前記事情に鑑みてなされたもので、指の保護のために、着用時、使用者の指の太さに応じて締めつけの状態を適切に調節できるように、鎧状の形態での着用が可能に構成されることにより、安定性、実用性及び着用性が向上した指切り防止用保護具を提供することを目的とする。
【0008】
また、本発明は、指を保護するために、着用時に、指を容易に曲げることができ、指の動作と関節の動きの自由度がより向上するように、着用の柔軟性と自由度が改良された指切り防止用保護具を提供することを目的とする。さらに、本発明は、指を保護するために、着用時、より繊細かつ精密な作業を効率的に行うことができる性能の指切り防止用保護具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る指切り防止用保護具は、複数の単位板状片が、複数の連結リング部材によって四方に連結されるように網状化(ネットワーク化)されて相対的に変位可能(流動可能)な状態とされた長方形の網状パッドと、前記網状パッドの一辺に並んで突出するように具備される少なくとも一対の締め用ベルト部材と、を含み、前記網状パッドは、人体の指の甲部をカバーし、指の腹部の一部が長さ方向に開口されて露出されるように配置された状態で、前記締め用ベルト部材が夫々の指の腹部を通って前記単位板状片のいずれか一つにかかるように連結されることにより、鎧状の形態で着用可能なことを特徴とする。
【0010】
本発明に係る指切り防止用保護具において、前記単位板状片は、一定の厚さを有する正方形の板状体の四辺に夫々突出するように備えられたリング部を有し、前記リング部は、夫々隣接する他の単位板状片のリング部と互いに向き合うように配列された状態で、前記連結リング部材によって夫々結束され順次結合されて、長方形の網状パッドを形成することが望ましい。
【0011】
そして、前記連結リング部材は、一対のリング部材がヒンジピンを支点として相対的に回動可能(ヒンジ可能)になることが望ましい。
【0012】
また、前記締め用ベルト部材は、弾性バンドを有し、この弾性バンドの一端が、クリップ型結束具によって前記単位板状片のリング部に固定されるように結束された固定端をなし、前記弾性バンドの自由端には、前記複数の単位板状片のいずれか一つのリング部に選択的にかかる掛けリングがクリップ型結束具によって連結されるように備えられることが望ましい。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係る指切り防止用保護具によれば、着用時、使用者の指の太さに応じて締めつけの状態を適切に調節することができるように鎧状の形態での着用が可能に構成されているので、利便性と着用性とを効率的に向上させることができる。
【0014】
そして、本発明に係る指切り用防止用具は、指を保護するため、着用時、指の動作と関節運動の動きの自由度が向上し、着用時、より繊細かつ精密な作業を効率的に行うことができる機能性と品質を確保することができる。
【0015】
また、本発明に係る指切り防止用保護具は、指を保護するため、着用時、結束手段によって指の結束力を向上させ、安定性と着用性とを向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】
図1は、本発明に係る指切り防止用保護具を示す概略斜視図である。
【
図2】
図2は、本発明に係る指切り防止用保護具の着用の状態を示す概略斜視図である。
【
図3】
図3は、本発明に係る指切り防止用保護具を構成している単位板状片を抜粋して示す概略斜視図である。
【
図4】
図4は、本発明に係る指切り防止用保護具を構成している単位板状片を結束させる連結リング部材を抜粋して示す概略斜視図である。
【
図5】
図5は、本発明に係る指切り防止用保護具の締め用ベルト部材を抜粋して示す概略斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、添付の図面を参照して、本発明に係る指切り防止用保護具を詳細に説明する。以下で説明する内容と添付の図は、本発明に係る技術の構成とその動作状態を理解するためのものであり、本技術分野の通常の技術者が容易に実現できる部分は省略可能である。
【0018】
また、本発明は、上述した特定の好ましい実施形態に限定されず、当該発明が属する技術分野で通常の知識を有する者であれば、請求の範囲で請求する本発明の要旨を逸脱しない様々な変形実施形態が可能であり、そのような変更は、記載された請求の範囲内にある。
【0019】
図1は、本発明に係る指切り防止用保護具を示す概略斜視図であり、
図2は、本発明に係る指切り防止用保護具の着用の状態を示す概略斜視図である。
【0020】
図1と
図2を参照すると、本発明に係る指切り防止用保護具100は、複数の単位板状片120が複数の連結リング部材130によって四方に連結されるように網状化(ネットワーク)されて相対的に変位可能(流動可能)な状態に形成された長方形の網状パッド110と、前記網状パッド110の一辺に並んで突出するように具備される少なくとも一対の締め用ベルト部材140と、を含んでいる。
【0021】
上述のような構成を有する本発明の指切り防止用保護具100は、前記網状パッド110が人体の指の甲部分をカバーし、指の腹部分の一部は長さ方向に開口されて露出された状態とされ、前記締め用ベルト部材140が夫々指の腹部分を通って前記単位板状片120のいずれか一つにかかるように連結されることにより、例えば、鎧状の形態(鎧形)での着用が可能な構成的特徴を有する。
【0022】
図3は、本発明に係る指切り防止用保護具を構成している単位板状片を抜粋して示す概略斜視図であり、これは説明の便宜上、
図1に全体的に例示された形態を実際より拡大して示した。
【0023】
図3を参照すると、前記単位板状片120は、一定の厚さを有する正方形の板状体121の四辺に夫々突出するように備えられたリング部122を有する。これによって、前記リング部122は、夫々隣接する他の単位板状片120のリング部122と互いに向き合うように配列され、前記連結リング部材130によって夫々結束結合されて、長方形の網状パッド110を形成する。このような構成により、前記単位板状片120の夫々は、連結リング部材130によって夫々相対的に変位可能(流動可能)な状態に結束される。
【0024】
一方、本発明に係る指切り防止用保護具100において、前記単位板状片120は、例えば、イヤリングやネックレスなどのように複数の小型単位の粒が連結されて構成された装飾用アクセサリーにおける各単位の粒のように、金属または樹脂モールディング体などで成形製作することができる。
【0025】
本発明において、前記単位板状片120は、金属や樹脂などの材料に限定されず、例えば、木切れなどの小型成形体など、一定の強度と硬度を有する様々な材質の成形体で製作してもよい。
【0026】
図4は、本発明に係る指切り防止用保護具を構成している単位板状片を結束する連結リング部材を抜粋して示す概略斜視図であり、これは説明の便宜上、
図1に全体的に例示された形態を実際より拡大して示した。
【0027】
図4を参照すると、前記連結リング部材130は、一対のリング部材131がヒンジピン132を支点として相対的に回動可能(ヒンジ可能)になっている。このような連結リング部材130は、また、前記単位板状片120のように、アクセサリー構成体の形態における金属または樹脂モールディング体などで成形製作することができる。
【0028】
図5は、本発明に係る指切り防止用保護具の締め用ベルト部材を抜粋して示す概略斜視図であり、これは説明の便宜上、
図1に全体的に例示された形態を実際より拡大して示した。
【0029】
図5を参照すると、前記締め用ベルト部材140は、例えば、腕時計などのベルトのような形態の、一定の長さと厚さとを持つ弾性バンド141である。締め用ベルト部材140の弾性バンド141の一端は、クリップ型結束口142により前記単位板状片120のリング部122に固定されるように結束された固定端をなし、前記弾性バンド141の自由端には、前記複数の単位板状片120のいずれか一つのリング部122に選択的にかかる掛けリング143がクリップ型結束口144によって連結されるように備えられている。
【0030】
上述の構成によれば、本発明に係る指切り防止用保護具100は、
図1に示した網状パッド110の形態として広がっている状態で、着用者が、例えば、人差し指や中指などの着用しようとする指の甲部分をカバーし、指の腹部分の一部が長さ方向に開口されて露出された状態に配置された後、前記締め用ベルト部材140を、夫々指の腹部分を通って前記単位板状片120のいずれか一つにかかるように連結することによって、例えば、鎧状の形態(鎧形)で着用が可能になる。このとき、着用者の指の太さに応じて、指の腹部分の一部が長さ方向に露出される開口部の幅を異なって形成することによって、着用者の指の太さに合わせたサイズの調節が可能である。
【0031】
また、本発明に係る指切り防止用保護具100によれば、前記単位板状片120の夫々は、連結リング部材130によって相対的に変位可能(流動可能)な状態で連結されているので、例えば、鎧の上着を着たような状態になっており、指の微細な動きに対して柔軟に反応して対応することができ、指の動作と関節運動の動きの自由度が向上する。これによって、本発明に係る指切り防止用保護具100は、着用時、より繊細かつ精密な作業を効率的に行うことができる機能性と品質を確保することができる。
【符号の説明】
【0032】
110 網状パッド
120 板状片
121 四角形の板状体
122 リング部
130 連結リング部材
131 リング部材
132 ヒンジピン
140 締め用ベルト部材
141 弾性バンド
142、144 結束具
143 掛けリング