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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-15
(45)【発行日】2022-01-14
(54)【発明の名称】廃棄物処分システム
(51)【国際特許分類】
   G01N 35/04 20060101AFI20220106BHJP
【FI】
G01N35/04 D
【請求項の数】 18
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020027730
(22)【出願日】2020-02-21
(65)【公開番号】P2020134534
(43)【公開日】2020-08-31
【審査請求日】2020-04-23
(31)【優先権主張番号】19159163.5
(32)【優先日】2019-02-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(31)【優先権主張番号】19205784.2
(32)【優先日】2019-10-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】510259921
【氏名又は名称】シーメンス ヘルスケア ダイアグノスティクス プロダクツ ゲゼルシヤフト ミツト ベシユレンクテル ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100127926
【弁理士】
【氏名又は名称】結田 純次
(74)【代理人】
【識別番号】100140132
【弁理士】
【氏名又は名称】竹林 則幸
(72)【発明者】
【氏名】ハイコ・カルフフェル
(72)【発明者】
【氏名】ヨアヒム・ベルンハルト
【審査官】佐野 浩樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-112439(JP,A)
【文献】特開2016-224048(JP,A)
【文献】特表2015-533221(JP,A)
【文献】特開平07-178136(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2007/0068832(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N35/00 -37/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
消耗品を廃棄物シュート(3)を通って廃棄物容器内へ処分する廃棄物処分システム(1)であって、
第1の開口部(4)と第2の開口部(5)とを有する廃棄物シュート(3)を含み、
ここで、第1の開口部(4)は、廃棄物容器の外に位置し、第2の開口部(5)は、廃棄物容器に向かって開口しており、第1の開口部(4)および第2の開口部(5)は、互いに第1の距離(6)を置いて配置されており、廃棄物シュート(3)は、開口部(4、5)の部分的または完全な閉鎖のための複数の自己復帰式薄板(7)を含み、複数の自己復帰式薄板(7)は、少なくとも1つの第1の薄板輪(8)および1つの第2の薄板輪(8`)を形成し、第1の薄板輪(8)および第2の薄板輪(8`)は、互いに第2の距離(9)を置いて上下に配置されており、少なくとも第1の薄板輪(8)は、第1の開口部(4)を閉鎖し、少なくとも第2の薄板輪(8`)は、第2の開口部(5)を閉鎖し、
第1の薄板輪(8)と第2の薄板輪(8`)との間の第2の距離(9)は、第1の距離(6)の少なくとも3分の1であることを特徴とする、廃棄物処分システム。
【請求項2】
第1の薄板輪(8)と第2の薄板輪(8`)との間の第2の距離(9)は、第1の距離(6)の少なくとも半分であることを特徴とする、請求項1に記載の廃棄物処分システム(1)。
【請求項3】
第1の薄板輪(8)と第2の薄板輪(8`)との間の第2の距離(9)は、第1の距離(6)の少なくとも4分の3であることを特徴とする、請求項1または2に記載の廃棄物処分システム。
【請求項4】
第1の薄板輪(8)と第2の薄板輪(8`)との間には、薄板および/または薄板輪がない、請求項1~3のいずれか1項に記載の廃棄物処分システム(1)。
【請求項5】
廃棄物シュート(3)は、薄板輪(8、8`)の領域内に第1の内径(10)を有し、廃棄物シュート(3)は、第1の薄板輪(8)と第2の薄板輪(8`)との間の領域内に第2の内径(11)を有し、第2の内径(11)は、第1の内径(10)より小さい、請
求項1~4のいずれか1項に記載の廃棄物処分システム(1)。
【請求項6】
消耗品の方向転換のための傾斜路(12)をさらに含み、傾斜路(12)は、第2の開口部(5)の下に配置されており、それにより、廃棄物容器内へ第2の開口部(5)を通って落下する消耗品が傾斜路(12)上へ落下し、それによって方向転換される、請求項1~5のいずれか1項に記載の廃棄物処分システム(1)。
【請求項7】
傾斜路(12)は、側壁を含み、傾斜路(12)の断面は、丸い隅部を有する矩形である、請求項6に記載の廃棄物処分システム(1)。
【請求項8】
傾斜路(12)は、側壁を含み、傾斜路(12)の断面は、丸い隅部を有し、側壁が傾斜している矩形である、請求項6に記載の廃棄物処分システム(1)。
【請求項9】
消耗品が、キュベット(2)またはピペットチップである、請求項1~8のいずれか1項に記載の廃棄物処分システム(1)。
【請求項10】
薄板(7)は、弾性材料からなり、かつ/または廃棄物シュート(3)に弾性的に連結される、請求項1~9のいずれか1項に記載の廃棄物処分システム(1)。
【請求項11】
薄板(7)は、プラスチック、ゴムおよび/または金属からなる、請求項1~10のいずれか1項に記載の廃棄物処分システム(1)。
【請求項12】
薄板(7)は、廃棄物シュート(3)に分離可能に連結される、請求項1~11のいずれか1項に記載の廃棄物処分システム(1)。
【請求項13】
薄板(7)は、薄板インサートを形成する、請求項1~12のいずれか1項に記載の廃棄物処分システム(1)。
【請求項14】
キュベットグリッパのための開放機構は、廃棄物シュート(3)に取り付けられる、請求項1~13のいずれか1項に記載の廃棄物処分システム(1)。
【請求項15】
キュベットグリッパのための開放機構は、底面および頂面が三角形の角柱と同様の形状である構造を含む、請求項14に記載の廃棄物処分システム(1)。
【請求項16】
請求項1~15のいずれか1項に記載の廃棄物処分システム(1)を含む自動分析機器。
【請求項17】
自動分析機器がキュベットグリッパを含む、請求項16に記載の自動分析機器。
【請求項18】
請求項17に記載の自動分析機器内の廃棄物容器内へキュベット(2)を処分する方法であって、キュベットグリッパは、キュベットを廃棄物シュート(3)の第1の開口部(4)の方へ動かす、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動運転分析器用の廃棄物処分システムに関し、自動分析機器の技術分野にある。
【背景技術】
【0002】
今日、体液のサンプルまたは他の生物サンプル中の生理学的パラメータを決定するための検出および分析方法の多くが、いわゆる体外診断システムを含む自動分析機器で大量に自動化されて実施されている。
【0003】
現在の分析機器は、1つのサンプルによって多数の検出反応および分析を実施することが可能である。多数の試験を自動化して実施することを可能にするには、測定細胞、反応容器、および試薬容器の空間移送のために、様々なデバイス、たとえば、把持機能を有する移送アーム、輸送ベルトまたは回転可能な輸送ホイール、および液体の移送のためのデバイス、たとえばピペッティングデバイスが必要とされる。これらの機器は、制御ユニットを含み、制御ユニットは、適切なソフトウェアによって、概ね独立して、所望の分析のための作業工程を計画および実行することが可能である。
【0004】
そのような自動運転分析機器で使用される分析方法の多くは、光学的方法に基づく。前記方法は、サンプル中の被検体、すなわち検出または決定すべき物質の定性的かつ定量的な検出を可能にする。多くの場合、たとえば被検体の濃度または活性などの臨床的に関係のあるパラメータは、反応容器内でサンプルの一部分を1つまたはそれ以上の試験試薬と混合させることによって決定され、試験試薬も測定細胞とすることができ、混合の結果、たとえば生化学的反応または特有の結合反応が開始され、試験混合物の光学的または他の物理的な特性の測定可能な変化を生じさせる。
【0005】
生物体液を試験するために使用される自動運転分析器では、必要とされる試薬は、ピペット針を有するピペッティングデバイスによって測定キュベットへ充填されることが知られている。測定キュベットは、その場合、ロボットステーションの一部であるロボットアームによって、キュベットグリッパを用いて自動的に自動分析機器内の異なる位置へ動かされる。測定後、使用済み測定キュベットは、廃棄物シュートを通って廃棄物容器内へ処分される。多くの場合、使用済みキュベットはまだ液体を含んでいる。キュベット内に存在する液体は、キュベットから噴出して分析器を汚染してはならない。
【0006】
廃棄物シュートを通って廃棄物容器内へ処分するために、測定キュベットは、キュベットグリッパを用いて廃棄物シュートの方へ動かされ、その中へ処分される。この際、使用済みキュベット内に存在する液体がキュベットから噴出して分析器を汚染するリスクがある。さらに、分析機器の操作要員にとって相当な汚染のリスクがある。
【0007】
特許文献1には、キュベットのための様々な把持システムおよびグリッパが開示されており、それらの例は、一片の弾性変形可能な設計および受動的な機能を有する。他のグリッパは、複数の部品からなる設計を有し、把持運動を能動的に実行することができる。
【0008】
たとえば、測定キュベットは、廃棄物シュートでキュベットグリッパからさらなるグリッパへ引き渡される。さらなるグリッパは、複数の部品からなる電気グリッパとして設計されており、把持運動を能動的に実行することができる。空のキュベットグリッパは、次の測定キュベットを処理するためにさらに動かすことができる。電気グリッパは、制御ソフトウェアによって廃棄物パイプの上で開放され、使用済みキュベットは、廃棄物シュートを通って廃棄物容器内へ落下する。これによって、使用済み測定キュベットの処分が、比較的複雑になり、時間がかかり、エラーが起こりやすくなる。これは特に、電気グリッパへの測定キュベットの引き渡しに当てはまり、やはりまた電気グリッパ自体にも当てはまる。それによって、コストおよび時間の点からの支出が比較的高くなり、自動分析機器内で分析の実行の際のエラー頻発性がかなり増加する。
【0009】
特許文献2には、消耗品を廃棄物シュートを通って廃棄物容器内へ処分するための廃棄物処分システムであって、開口部を有する廃棄物シュートを含み、廃棄物シュートは、その開口部を部分的または完全に閉鎖するための複数の薄板を含む、廃棄物処分システムが開示されている。この廃棄物処分システムには多くの技術的利点がある一方、たとえば消耗品内に依然として存在する液体により特に廃棄物シュートの内側が汚れるおそれがある。これは、実験室要員の汚染のリスクを著しく高めるおそれがある。さらに、それにより、廃棄物処分システムの構成要素、具体的には廃棄物シュートの構成要素、さらには廃棄物容器の寿命が短くなり、早期の交換が必要となることがある。点検要員および交換部材の費用が高い上に、これにより分析システムの利用度が低減し、エラー頻発性が増加することになる。
【0010】
さらに、特許文献2には、薄板が、互いに上下に配置され廃棄物容器まで廃棄物シュートの全長に延びる多数の薄板輪を形成する、廃棄物処分システムが開示されている。これは廃棄物シュートの汚損を幾分減少させることができるが、消耗品を廃棄物シュートの頂部から底部へと多数の薄板輪を通って押し込むには非常に大きな力が必要であり、従来のキュベットグリッパはこの必要な力を及ぼすことはできない。
【0011】
キュベットの場合と同様の問題は、他の消耗品、たとえば交換可能なピペットチップなどの場合でも生じる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【文献】EP2308588A2
【文献】EP3100698A1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
したがって、本発明の目的は、分析機器の操作または点検を行う要員の汚染のリスクを低減させる、改善された廃棄物処分システムを提供することである。さらなる目標は、コストおよび時間の点からの支出の低減、ならびに自動分析機器でのより低いエラー頻発性を実現することである。それと同時の目標は、廃棄物処分システムの構成要素、具体的には廃棄物シュートの構成要素、さらには廃棄物容器の寿命を延ばし、これらの構成要素の早期の交換を回避することである。さらなる目標は、廃棄物処分システムが、従来のキュベットグリッパを用いて、過剰に力を及ぼさなくても消耗品を廃棄物シュートを通って廃棄物容器内へ処分できるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明によれば、この目的は、本明細書の以下に記載する主題および方法によって実現される。
【0015】
改善された廃棄物処分システムは、廃棄物シュートの開口部を部分的または完全に閉鎖するための複数の薄板が提供される場合に実現できることが判明しており、薄板は、廃棄物シュートの第1の開口部の領域内および第2の開口部の領域内に薄板輪を形成し、薄板輪間の距離は、その第1の開口部と第2の開口部との間の廃棄物シュートの長さに相当する距離の少なくとも3分の1である。
【0016】
これには、消耗品を廃棄物シュートの頂部から底部の方へと薄板輪を通って押し込むのに必要な力が比較的小さく、それと同時に消耗品が廃棄物シュートを通って廃棄物容器内へ制御不能に落下することを防ぎ、さらにはそうしている間に消耗品から液体が漏れ出ることによる特に廃棄物シュートへの激しい汚染を防ぐ、という利点がある。薄板輪の本発明による配置により、消耗品が廃棄物シュート内で積み重なり、廃棄物シュートがいっぱいになると、廃棄物シュートの第2の開口部の領域内にある薄板輪を通って廃棄物容器内へと1個ずつ下方に押し出されるようになる。この目的に必要な力は、自動分析機器の従来のキュベットグリッパを用いて及ぼすことができるほど十分小さい。さらに、分析機器の操作または点検を行う要員の汚染のリスクが低減される。さらに、コストおよび時間の点での支出の低減、ならびに自動分析機器におけるより低いエラー頻発性が実現される。それと同時に、廃棄物処分システムの構成要素、具体的には廃棄物シュートの構成要素、さらには廃棄物容器の寿命が延び、構成要素の早期の交換が回避される。
【0017】
さらに、これには、薄板が、たとえば電気グリッパのような追加の機械電気的構成要素に取って代わることができ、したがって電気的に動かされる部材を節約することができるという利点がある。これにより、コストおよび時間の点での支出の低減が可能になり、自動分析機器での分析の実行の際のエラー頻発性がより低くなり得る。
【0018】
本発明は、具体的には、消耗品を廃棄物シュートを通って廃棄物容器内へ処分する廃棄物処分システムであって、第1の開口部と第2の開口部とを有する廃棄物シュートを含み、ここで、第1の開口部は、廃棄物容器の外に位置し、第2の開口部は、廃棄物容器に向かって開口しており、第1の開口部および第2の開口部は、互いに第1の距離を置いて配置されており、廃棄物シュートは、開口部の部分的または完全な閉鎖のための複数の自己復帰式(self-resetting)薄板を含み、薄板は、互いに第2の距離を置いて上下に配置された少なくとも2つの薄板輪を形成し、少なくとも1つの第1の薄板輪は、第1の開口部を閉鎖し、少なくとも1つの第2の薄板輪は、第2の開口部を閉鎖し、薄板輪間の第2の距離は、第1の距離の少なくとも3分の1、好ましくは少なくとも半分、特に好ましくは少なくとも4分の3である、廃棄物処分システムを提供する。
【0019】
さらなる有利な一実施形態では、第2の距離は、第1の距離と同一であり、すなわち第1の距離の大きさは、第2距離の大きさと同一である。
【0020】
第2の薄板輪は、この場合、たとえばキュベットなどの消耗品が制御されないかたちで外に落下することを防ぐ、消耗品のためのブレーキとして働く。第1の開口部を通って廃棄物シュートに上から導入される最初の消耗品は、はじめは第1の薄板リングに挿入されたままになる。後続の消耗品は、最初の消耗品を第1の薄板リング内に押しやり(shunt)、それにより最初の消耗品は廃棄物シュートを通って第2の薄板リングまで落下する。さらなる消耗品が第1の開口部を通って上から導入されるたびに、消耗品は、廃棄物シュートが消耗品で完全に充填されるまで廃棄物シュート内に積み重なっていく。そして、さらなる消耗品が第1の開口部を通って導入されると、廃棄物シュートの下端にある第2の薄板リングの領域内に位置する最初の消耗品が第2の薄板リングを通って押し出されて廃棄物容器内へ落下する。ブレーキとして働く第2の薄板リングがないと、各消耗品は、廃棄物シュートの全体を制御されないかたちで落下することになる。好ましくは、第2の薄板リングによって消耗品に及ぼされる抵抗は、第一に、消耗品がブレーキに簡単かつ能動的に押し入ることができ、第二に、消耗品が能動的に押し入ることにとどまらずに、単純に地球の重力場でのそれ自体の重さに基づいて上からそこを通過して落下することがないように十分な抵抗をもたらすように、適合される。廃棄物シュートの全長に薄板またはチューブなどを有する廃棄物落下シュートとは対照的に、廃棄物シュートの下端における第2の薄板リングによる局所的なブレーキおよび保持作用によって、廃棄物シュート内に積み重なった消耗品を廃棄物シュートを通って廃棄物容器内へ押し出すのに必要な力全体の減少が可能になる。それにより、廃棄物シュートの長さを延ばすことができるようになり、廃棄物シュートを延長した場合でも、たとえば従来のキュベットグリッパを用いて比較的小さい力を及ぼすことで、消耗品を自動分析機器の廃棄物シュートを通って廃棄物容器内へ押し出すことができる。同時に、消耗品は、制御されないかたちで廃棄物シュート内を落下することがなく、それにより、たとえば消耗品から漏れる残留液体による廃棄物シュートおよび廃棄物容器の汚染がそれ相応に低減されることになる。これは、廃棄物シュートおよび/または廃棄物容器の寿命サイクルの延長につながり得る。分析システムの利用度は増加し、エラー頻発性は低減する。
【0021】
好ましい一実施形態では、第1の薄板輪と第2の薄板輪との間には、薄板および/または薄板輪が配置されない。これにより、廃棄物シュート内に積み重なっている消耗品を廃棄物シュートを通って廃棄物容器内へ押し出すのに必要な力全体をさらに最小にすることができる。
【0022】
さらなる好ましい一実施形態では、開口部を部分的または完全に閉鎖するための複数の薄板は、廃棄物シュートに連結される。
【0023】
好ましい一実施形態では、第1の開口部を閉鎖する第1の薄板輪は、第1の開口部の領域内のすぐ近くおよび/または第1の開口部のすぐ近くに配置される。第1の薄板輪と第1の開口部との間には、好ましくは、さらなる薄板および/または薄板輪は配置されない。
【0024】
好ましい一実施形態では、第2の開口部を閉鎖する第2の薄板輪は、第2の開口部の領域内のすぐ近くおよび/または第2の開口部のすぐ近くに配置される。第2の薄板輪と第2の開口部との間には、好ましくは、さらなる薄板および/または薄板輪は配置されない。
【0025】
好ましい一実施形態では、廃棄物シュートは、第1および/または第2の薄板輪の薄板の他は、さらなる薄板および/または薄板輪を含まない。
【0026】
好ましくは、廃棄物シュートは、消耗品の最も長い大きさと少なくとも同じ長さであり、特に好ましくは、消耗品の最も長い大きさの少なくとも3倍と同じ長さである。それにより、消耗品は廃棄物容器内へ直接落下せずに、はじめは廃棄物シュート内に完全に位置し、廃棄物シュートから廃棄物容器内へ制御されたかたちで落下することになる。さらに、それにより、廃棄物シュートの開口部と廃棄物容器との間に確かな空間的分離がなされることになる。これには、消耗品内に依然として存在し廃棄物容器内で消耗品から出てくる液体が、廃棄物シュートを通り過ぎてたとえば外に噴出することができず、または減少した量だけしか出ることができない、という利点がある。これにより、たとえば、操作要員および点検要員の汚染のリスクを低減させることができる。
【0027】
廃棄物シュートの断面は、好ましくは、消耗品の最も小さい大きさより大きく、最も大きい大きさより小さい。したがって、たとえば高さが直径より大きい高さおよび直径の円筒形の形状を有し、測定キュベットの場合、廃棄物シュートの断面は、好ましくは、測定キュベットの直径より大きく、高さより小さい。これには、特定の向きでのみ消耗品が廃棄物シュートを通過することができるという利点がある。したがって、たとえば、依然として消耗品内に存在し得る液体が、廃棄物容器内でしか消耗品から出ず、廃棄物シュート内で早くに出ないことが実現される。これにより、たとえば、操作要員および点検要員の汚染のリスクをさらに低減させることができる。
【0028】
廃棄物シュートは、好ましくは、薄板輪の領域内に第1の内径を有し、第1の薄板輪と第2の薄板輪との間の領域内に第2の内径を有し、第2の内径は、第1の内径より小さい。これにより、具体的にはキュベットである消耗品が、内部で傾かず、その結果互いにくい込むことがなくなり、たとえば漏れ出る残留液体が廃棄物シュートを詰まらせるまたは汚すことがなくなる。薄板リング間の領域内の断面が狭くなっていることにより、消耗品が廃棄物シュート内に幾何学的に案内されることになる。これは、廃棄物シュート内における消耗品のぐらつき運動を最小にし、結果的に生じるたとえば消耗品内の残留液体からの飛び散りを回避する。
【0029】
好ましくは、廃棄物処分システムは、消耗品の方向転換(diversion)のための傾斜路(ramp)をさらに含み、傾斜路は、第2の開口部の下に配置されており、それにより、廃棄物容器内へ第2の開口部を通って落下する消耗品は、傾斜路上へ落下し、それによって方向転換される。
【0030】
これには、消耗品が廃棄物容器内に直接落下することができない場合、傾斜路によって方向が変えられるという利点がある。廃棄物シュートの落下開口部として機能する第2の開口部からの経路は、何もない状態でなければならず、たとえば分析機器はそうでなければさらなる操作ができなくなるので、消耗品で詰まってはならない。
【0031】
好ましくは、傾斜路の断面は、丸い隅部を有する矩形である。好ましくは、傾斜路は、その断面において傾斜している側壁を含む。
【0032】
これには、傾斜路の閉塞を確実に回避できるという利点がある。消耗品内に存在する液体は、しばしば粘着性の粘度を有し、したがって廃棄物シュートの内部および/または傾斜路上における前記液体の残留物は、廃棄物シュートおよび/または傾斜路の閉塞を引き起こすおそれがある。たとえば、液体は、たとえば消耗品が方向転換傾斜路に衝突したときなどに消耗品が衝撃を受けると、そこから不所望に漏れ出ることがある。これに関連して、傾斜路の形状は、飛び散りの発生に影響を与える。たとえば、傾斜路の断面の全幅が、たとえば細長い円筒形のキュベットの場合ではキュベットの高さである、消耗品の最も長い大きさより大きい場合、キュベットは、傾斜路の領域内でそれ自体が横方向に位置するまたは回転することがあり、これが液体の漏出につながることがある。したがって、隅部は、有利には、比較的大きな半径に丸められ、傾斜路の幅は、傾斜している側壁によって減少される。この結果、たとえばキュベットである消耗品は、落下後に存在する回転およびぐらつき運動による運動エネルギーを減少させるための動きの遊び(clearance)を有するが、この動きの遊びは、液体損失を引き起こすおそれのあるキュベットの傾斜および回転運動が最小に抑えられる範囲までに制限される。水平(straight)面、またはキュベットが衝突する可能性のある面も回避される。したがって、特に消耗品から粘着性のある液体が漏れた結果生じる傾斜路の閉塞をより確実かつ効果的に回避することができる。
【0033】
好ましくは、消耗品は、キュベット、具体的には測定キュベット、またはピペットチップである。
【0034】
好ましくは、消耗品は、さらに、一度だけ使用され、その後廃棄または交換される製品である。
【0035】
たとえば、最初の使用済み測定キュベットは、廃棄物シュートの第1の開口部の方へ動かされ、キュベットグリッパによって、そこで第1の薄板リングの薄板間に挿入される。薄板は、測定キュベットに力を及ぼし、それをしっかりと保持するような向きにされ、それにより、使用済み測定キュベットは、廃棄物シュート内へ落下しないようになっている。空のキュベットグリッパは、たとえば次の測定キュベットを処理するために、さらに動かすことができる。
【0036】
これに関連して、薄板は、有利には、液体がキュベットから飛び散るのを防ぐように測定キュベットの動きを制限するような向きおよび設計にされる。さらに、薄板は、有利には、測定キュベットが薄板に接触したときに生じることがある測定キュベットの加速を減衰させ、したがって測定キュベットの加速が起きた場合でも液体がキュベットから噴出するのを防ぐために、弾性材料からなり、かつ/または廃棄物シュートに弾性的に連結される。
【0037】
次いで、それに対応して最初の使用済み測定キュベットの上に二番目の使用済み測定キュベットが配置される。それと同時に、キュベットグリッパは、二番目の使用済み測定キュベットで最初の使用済み測定キュベットを廃棄物シュートの第1の開口部内へ垂直にさらに押し込む。さらなる使用済み測定キュベットは、それに対応して動かされる。次いで、使用済み測定キュベットの1つが廃棄物シュートの開口部内へ十分に深く押されると、前記測定キュベットは、薄板から解放され、廃棄物シュートの第2の開口部の領域内の第2の薄板リングまで落下する。さらなる測定キュベットがそれに対応して第1の開口部から廃棄物シュート内へ処分される場合、それらの測定キュベットは、廃棄物シュートが測定キュベットで満たされる(fill)まで、廃棄物シュートの内部に上に積み重なっていく。そして、さらなる測定キュベットが第1の開口部から廃棄物シュート内へ処分されると、最初に第2の薄板リングによってしっかりと保持されている最も下の測定キュベットが押されて第2の薄板リングを通って廃棄物容器内へ落下する。それと同時に、廃棄物シュート内に位置する他の測定キュベットは、それに対応して制御されたかたちで下方へさらに押される。
【0038】
好ましくは、薄板は、最も下の測定キュベットを解放してはね返った薄板がその上に位置するキュベットに当たることを防ぐために、十分な弾性を有する。というのも、そうでない場合、液体が前記キュベットから噴出する可能性があるからである。
【0039】
第1の薄板リングの薄板の設計は、薄板から解放されて第2の薄板リングまで落下するために単に二番目の使用済み測定キュベットだけで最初の使用済み測定キュベットが廃棄物シュートの開口部内の十分に深くまで押し込まれることを実現することができる。別法として、薄板は、最初の使用済み測定キュベットが薄板から解放されて第2の薄板リングまで落下する前に3つ以上の使用済み測定キュベットを最初の使用済み測定キュベットの上へ配置しなければならないように設計することができる。これに関連して、薄板の適切な設計は、たとえば、薄板のサイズ、形状、および/または配置を包含する。
【0040】
有利には、第1および第2の薄板輪は、同様の設計である。たとえば、これには、特にやはりまた薄板輪が薄板インサートとして設計される場合、薄板輪または薄板インサートを1タイプだけ開発および/または製造すればよいという利点がある。
【0041】
有利には、本発明による廃棄物処分システムは、廃棄物シュートと、廃棄物容器と、廃棄物シュートのためのホルダとを含み、ここで、キュベットは、廃棄物シュートを通って廃棄物容器内へ処分され、廃棄物シュートは、ホルダによって廃棄物容器に固定される。
【0042】
さらに、廃棄物処分システムは、有利には、自動的に可動の移送アームを有するロボットステーションを含み、自動的に可動の移送アームは、自動的に可動の移送アームの動作範囲内でキュベットを動かすためのキュベットグリッパを有する。
【0043】
有利には、廃棄物シュートおよび廃棄物容器は、地球の重力場内に、キュベットが廃棄物シュートの第1の開口部を通って廃棄物シュート内へ処分され、次いで重力によって廃棄物シュートを通って第2の薄板リングまで落下する、または押し込まれた後に第2の薄板リングから廃棄物容器内へ落下するように、配置される。
【0044】
有利には、廃棄物処分システムは、少なくとも1つの射出成形プラスチック部材を含む。有利には、廃棄物シュート、廃棄物容器、キュベットグリッパ、および/または薄板インサートはそれぞれ、射出成形プラスチック部材である。あるいは、これらの構成要素は、有利には、3D印刷によって製造することができる。これは、たとえば薄板リングなどの比較的小さな交換部材にとって特に有利となり得る。
【0045】
有利には、廃棄物シュートおよび薄板リングは、3D印刷によって、好ましくは単一印刷動作で、または複数の印刷動作に分けて製造される。
【0046】
有利には、廃棄物シュートは特に安定性があり、薄板は弾性を有する。これには、測定キュベットにかかる加速力が回避される、または少なくとも最小になるという利点がある。
【0047】
有利な一設計では、薄板は、プラスチックおよび/またはゴムからなる。これにより、従来の製造方法を用いた薄板の特に費用のかからない製造が可能になる。さらなる有利な一設計では、薄板は、金属、たとえば銅、鋼、アルミニウムからなる。
【0048】
有利には、薄板は、板ばねを含む、または板ばねとして設計される。同時に、板ばねは、たとえば、廃棄物シュートに連結される、または廃棄物シュートのすぐ近くの部材とすることができる。
【0049】
有利には、薄板は、廃棄物シュートと同じ材料から作られる。これは、3D印刷部材として廃棄物シュートを製造する場合に特に有利である。
【0050】
有利には、薄板は、渦巻きばねを含む、または渦巻きばねとして設計される。
【0051】
有利には、薄板は、発泡体を含む、または発泡体からなる。有利には、発泡体は、連続気泡または独立気泡である。さらに、独立気泡発泡体の使用は、復帰特性(resetting property)があるので、特に有利である。好ましくは、発泡体は、発泡ポリプロピレン(EPP)を含む、またはそれからなる。
【0052】
有利には、薄板輪は、閉リングとして設計され、はじめは消耗品をしっかり保持し、消耗品がその中に押しやられる。これは、薄板が発泡体または他の何らかの軟質材料からなる場合に特に有利である。好ましくは、第1および/または第2の薄板輪は、その場合、閉リングとして設計される。
【0053】
さらなる有利な一実施形態では、薄板輪は、消耗品の処分の方向にスリットを有するリングまたはファンネルとして設計され、したがって、たとえばキュベットである消耗品は、ファンネルまたなリングに押し込まれるとき、それをそれ相応に広げなければならない。これには、そのようなファンネルは、廃棄物シュート内に特に良好に組み込むことができるという利点がある。
【0054】
有利には、薄板は、ブラシを含むまたはそれからなる。有利には、薄板輪は、1つまたはそれ以上のブラシリングを含むまたはそれからなる。
【0055】
有利には、第1および/または第2の薄板輪は、廃棄物シュートの弾性狭窄部として設計される。これに関連して、この狭窄部は、消耗品をそこを通って適切に押し込むことができるように設計される。好ましくは、弾性狭窄部は、廃棄物シュートの壁に開口部を含む。開口部は、好ましくは、長手方向スリットとして設計される。これに関連して、長手方向スリットは、好ましくは、廃棄物シュートを通る消耗品の処分方向に平行に配置される。
【0056】
有利には、薄板は、廃棄物シュートの中心軸の方向に1つまたはそれ以上のばねによってホルダ内のその休止位置に押し付けられる球体(spheres)を含む、またはそれらからなる。好ましくは、ばねは、渦巻きばねを含む、またはそれからなる。
【0057】
さらなる有利な一設計では、薄板リングを形成する薄板は、たとえば接着剤および/またはねじ連結によって薄板を廃棄物シュート内に留めることによって、廃棄物シュートに分離可能に連結される。これには、たとえば薄板が摩耗または引き裂かれた場合に薄板を簡単かつ費用効果的に交換することができ、その上廃棄物シュートまたは廃棄物処分システムの他の部材は交換しなくてよいという利点がある。これによりまた、コストもかなり節約することができる。
【0058】
好ましい実施形態では、薄板は、互いに連結されて薄板インサートを形成し、薄板インサートは、一部材として廃棄物シュートに固定することができる。これにより、多数の個々の薄板ではなく1つの薄板インサートのみを取り扱えばよいため、薄板の取り付けおよび交換が大幅に簡略化される。
【0059】
好ましい一実施形態では、薄板は、廃棄物シュートの断面において放射状に内側に向いている。これには、薄板インサートを特に簡単かつ費用効果的に製造することができるという利点がある。さらに、薄板インサートの機能は、廃棄物シュートの開口部における薄板インサートの径方向の向きとは無関係である。これは、角断面を有するキュベットの場合に特に有利となり得る。というのも、その場合、そうしたキュベットを、廃棄物シュートまたは薄板インサートに対するそれらの向きとは無関係に薄板インサートに挿入することができ、向きを複雑に合わせることを省くことができるからである。
【0060】
さらなる好ましい一実施形態では、薄板インサートは、少なくとも1つの薄板輪を含む。これには、薄板インサートを簡単かつ費用効果的に製造することができるという利点がある。さらに、薄板インサートは、このように特に簡単に一片として製造することができ、これにより、特に簡単かつ費用効果的に製造および組み立て/解体が可能になる。これは、薄板インサートが損耗部材として設計され、定期的に交換しなければならない場合に特に重要である。さらに、キュベットは、薄板輪によって特に確実にしっかりと保持され、したがってそうでない場合に測定キュベットからの液体の流出を招く可能性がある測定キュベットの傾斜を防ぐことができる。薄板輪は、ここでは薄板リングとも称される。
【0061】
特に好ましい一実施形態では、薄板インサートは、互いに上下に配置された少なくとも2つの薄板輪を含む。これには、キュベットが特に確実にしっかりと保持されるという利点がある。特に、キュベットは、薄板輪によって垂直位置で保持され、斜めに位置することはない。これは、液体が使用済みキュベットから偶発的に漏れ出る可能性を特に確実に回避する。
【0062】
さらなる好ましい一実施形態では、薄板輪の隣接し合う薄板は、互いに対してずらされる。これには、キュベットを特に容易かつエラーが起こりにくいようなかたちで薄板輪に挿入することができるという利点がある。さらに、薄板輪に挿入されたとき、キュベットは、薄板輪に対して特に正確に向けられ、中心合わせされる。これにより、キュベットを廃棄物シュートを通って廃棄物容器内へ特に確実に処分することが可能になる。
【0063】
好ましくは、廃棄物シュートは、管として設計される。好ましくは、管は、直管として設計される。好ましくは、管は、剛性かつ/または不撓性である。さらなる好ましい一実施形態では、廃棄物シュートは、湾曲した管として設計される。さらなる好ましい一実施形態では、廃棄物シュートは、チューブ、好ましくは可撓性チューブとして設計される。
【0064】
さらなる好ましい一実施形態では、廃棄物シュートの開口部は、円形、楕円形、方形、矩形、または多角形の断面を有する。これには、開口部の断面の形状をキュベットの断面に適合させることができるという利点がある。これにより、キュベットを廃棄物シュートを通って廃棄物容器内へ特に簡単かつ確実に処分することが可能になる。したがってさらに、廃棄物シュートは、特に省スペースで設計することができ、そのような設計は、自動分析機器において特に有利となり得る。
【0065】
他の好ましい実施形態では、廃棄物シュートは、開口部の領域内に、キュベットグリッパのための開放機構を含む。測定キュベットがキュベットグリッパによって廃棄物シュートの開口部の方へ動かされ、そこでキュベットグリッパによって薄板に挿入される場合、それと同時に開放機構はキュベットグリッパを開放し、それにより、キュベットグリッパはキュベットを解放し、キュベットがなくなると、さらなるキュベットを処理するためにさらに動かされる。これには、キュベットが、第一に、動いているときはキュベットグリッパにしっかりと連結され、第二に、それほど大きな追加の労力なくして廃棄物シュートの開口部内でキュベットグリッパから解放される、という利点がある。
【0066】
さらなる好ましい一実施形態では、開放機構は、キュベットグリッパを開放する構造を含み、この構造は、底面および頂面が三角形のプリズムと同様の形状である。これには、開放機構を特に簡単かつ費用効果的に実施することができるという利点がある。さらに、この設計は、一片として製造されているキュベットグリッパと組み合わせると特に有利であり、キュベットを解放するために、キュベットグリッパを、三角形の構造によって特に容易かつ効率的に広げることができる。
【0067】
本発明の好ましい一実施形態では、廃棄物処分システムは、第2の薄板輪の代わりに、第1および第2の端部を有するチューブを含む。チューブの第1の端部は、第2の開口部の領域内で廃棄物シュートに取り付けられ、第2の端部は、廃棄物容器内に位置する。
【0068】
好ましくは、チューブは、メッシュチューブ、弾性グロメットおよび/または星形チューブである。
【0069】
好ましくは、チューブは、第一に、消耗品をしっかりと保持することができ、第二に、さらなる消耗品が後から押し込まれたときに消耗品がチューブ内でさらに摺動できるように十分な伸縮性を有する。たとえば、チューブは、メッシュチューブ、織物チューブ、および/または星形断面を有するチューブである。これには、消耗品がチューブによって案内され、重力を受けて制御されないかたちで廃棄物シュートを通って落下することがないという利点がある。これにより、たとえば消耗品内および/または消耗品上に存在する液体による廃棄物シュートの内部の汚染を回避することができる。これにより、廃棄物シュートの清浄および/または交換をあまり頻繁にまたはまったく行わなくてもよくなる。さらなる利点は、消耗品が廃棄物シュート内で制御不能にくい込む、または動けなくなることがなくなり、したがって消耗品による廃棄物シュートの閉塞が確実に回避されることである。
【0070】
好ましくは、チューブの第2の端部は、廃棄物容器内へと延びる。これには、消耗品が重力を受けて廃棄物容器内にのみ落下し、それにより廃棄物容器に隣接する部材を含め、廃棄物シュートの汚損が回避されるという利点がある。
【0071】
本発明のさらなる好ましい一実施形態では、廃棄物処分システムは、第2の薄板輪の代わりに自閉フラップを含む。フラップは、好ましくは一体ヒンジを含み、第2の開口部の領域内で廃棄物シュートに取り付けられ、第2の開口部を閉鎖する。これには、消耗品のためのブレーキとしてのフラップにより、廃棄物シュートの第2の開口部を通過中および/または通過後の消耗品の落下の方向が、部分的または完全に開くフラップにより影響を受けるという利点がある。というのも、消耗品は、開いているフラップによってそれ相応に偏向されるからである。
【0072】
薄板または薄板リングは、好ましくは、異なる弾性特性を有する。たとえば、廃棄物シュートの第1の開口部の領域内の薄板または薄板リングは、廃棄物シュートにおいて廃棄物容器のより近くにある第2の開口部の領域内に位置するより柔軟な薄板または薄板リングより堅く弾性が低いことが有利となり得る。これには、より堅い薄板によって消耗品がしっかりと保持され、より柔軟な薄板によって消耗品がさらに廃棄物容器の方向により容易にさらに押し込まれるという利点がある。
【0073】
本発明による廃棄物処分システムは、好ましくは、自動分析機器に適している。
【0074】
本発明は、さらに、本発明による前述の廃棄物処分システムとともに廃棄物容器を提供する。これには、使用済みキュベットを廃棄物容器内で収集することができ、それをさらなる廃棄または原材料サイクルにおけるリサイクルに向けることができるという利点がある。
【0075】
本発明は、さらに、本発明による前述の廃棄物シュートのためのホルダを提供する。このホルダは、廃棄物容器に連結され、廃棄物シュートと廃棄物容器との間に分離可能な連結を確立することを可能にする。分離可能な連結は、好ましくは、工具を使用しなくても手で確立および分離を行うことができるプラグ型連結である。これには、廃棄物シュートを特に容易かつ迅速に着脱すことができるという利点がある。これはまた、相当なコスト有利性につながる。
【0076】
特に有利な一設計では、ホルダと廃棄物シュートとの間のプラグ型連結は、廃棄物シュートの回転によってロックされる。これには、ホルダと廃棄物シュートとの間の分離可能な連結を、特に簡単かつエラーが起こりにくいようなかたちで確立および分離することができるという利点がある。
【0077】
本発明による廃棄物処分システムは、好ましくは、自動分析機器での使用に適している。
【0078】
本発明は、さらに、本発明による前述の廃棄物処分システムを含む分析機器を提供する。分析機器は、有利には、サンプル中の少なくとも1つの被検体の光学的および/または電子的な定量的検出のための少なくとも1つのピペッティングユニットと少なくとも1つの測定デバイスとをさらに含む。
【0079】
本発明は、さらに、キュベットを廃棄物シュートを通ってキュベットのための廃棄物容器内へ処分する、本発明による廃棄物処分システムの使用を提供する。
【0080】
本発明は、さらに、キュベットを廃棄物シュートを通ってキュベットのための廃棄物容器内へ処分する、自動分析機器における本発明による廃棄物処分システムの使用を提供する。
【0081】
本発明は、さらに、キュベットグリッパを含む本発明による自動分析機器においてキュベットを廃棄物容器内へ処分する方法であり、キュベットグリッパは、キュベットを廃棄物シュートの開口部の方へ動かす、方法を提供する。
【0082】
本発明の文脈において、「サンプル」は、検出すべき物質(被検体)を含有すると考えられる材料を意味すると理解されるべきである。「サンプル」という用語は、特に、人間または動物の生物学的液体、たとえば血液、血漿、血清、痰、滲出液、気管支肺胞洗浄液、リンパ液、滑液、精液、膣粘液、糞便、尿、脳脊髄液を含むが、たとえば、光度定量、好ましくは比濁定量のために均質化または細胞溶解によって適切に処理された組織または細胞培養サンプルも含む。さらに、たとえば、植物の流体または組織、法医学的サンプル、水および廃水サンプル、食物および薬剤もまた、サンプルとして使用することができ、必要ならば、それらは定量前に適切なサンプル前処理を受けることもできる。
【0083】
定量的検出の場合、サンプル中の被検体の量、濃度、または活性が測定される。「定量的検出」という用語は、半定量法も包含する。半定量法は、サンプル中の被検体のおおよその量、濃度、もしくは活性のみを捕捉する、または、相対的な量、濃度、もしくは活性のみを特定することに使用することができる。定性的検出は、サンプル中に少しでも被検体が存在するかどうかの検出、または、サンプル中の被検体の量、濃度、もしくは活性が1つまたはそれ以上のある閾値を下回るまたは上回ることの標示を意味すると理解されよう。
【0084】
測定キュベットは、たとえば、ガラス、プラスチック、または金属からなるキュベットまたは反応容器である。有利には、測定キュベットは、光透過性の材料から作られ、これは光分析法を使用するときに特に有利となり得る。
【0085】
「測定キュベット」および「キュベット」という用語は、同義に使用される。
【0086】
本発明を、例示的に、図面に基づいてより具体的に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0087】
図1】第1および第2の薄板輪を有する廃棄物シュートを含む、廃棄物処分システム(1)の構造の概略図である。
図2】第1の薄板輪と、消耗品のためのブレーキとしてのメッシュチューブとを有する廃棄物シュートを含む、廃棄物処分システム(1)の構造の概略図である。
図3】第1の薄板輪と、消耗品のためのブレーキとしての弾性グロメットとを有する廃棄物シュートを含む、廃棄物処分システム(1)の構造の概略図である。
図4】第1の薄板輪と、消耗品のためのブレーキとしての星形チューブとを有する廃棄物シュートを含む、廃棄物処分システム(1)の構造の概略図である。
図5】第1の薄板輪と、消耗品のためのブレーキとしての自閉フラップとを有する廃棄物シュートを含む、廃棄物処分システム(1)の構造の概略図である。
図6】第1の薄板輪と、消耗品のためのブレーキとしての自閉フラップとを有する廃棄物シュートを含む、廃棄物処分システム(1)の構造の概略図である。
図7】様々な視点における、消耗品の方向転換のための傾斜路の設計の概略図である。
図8】様々な視点における、消耗品の方向転換のための傾斜路の設計の概略図である。
図9】様々な視点における、消耗品の方向転換のための傾斜路の設計の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0088】
すべての図面において同一の部材には同じ参照符号が提供されている。
【0089】
図1による廃棄物処分システム(1)は、多数のサンプルの分析を実行するように設計された分析機器に組み込まれる。分析機器については詳しく説明しない。この目的で、自動分析機器は、図示されない多数のピペッティングデバイスと輸送デバイスとを含み、さらに加えて、分析の自動評価のための制御ユニットを含む。
【0090】
廃棄物処分システム(1)は、たとえばキュベット(2)のような消耗品を廃棄物シュート(3)を通って廃棄物容器内へ処分するように設計され、第1の開口部(4)と第2の開口部(5)とを有する廃棄物シュート(3)を含み、ここで、第1の開口部(4)は、廃棄物容器の外に位置し、第2の開口部(5)は、廃棄物容器に向かって開口しており、第1の開口部(4)および第2の開口部(5)は、互いに第1の距離(6)を置いて配置されており、廃棄物シュート(3)は、開口部(4、5)の部分的または完全な閉鎖のための複数の自己復帰式薄板(7)を含み、薄板(7)は、互いに第2の距離(9)を置いて上下に配置された少なくとも2つの薄板輪(8、8`)を形成し、少なくとも1つの第1の薄板輪(8)は、第1の開口部(4)を閉鎖し、少なくとも1つの第2の薄板輪(8`)は、第2の開口部(5)を閉鎖し、薄板輪間の第2の距離(9)は、第1の距離(6)の少なくとも3分の1、好ましくは少なくとも半分、特に好ましくは少なくとも4分の3である。
【0091】
これに関連して、第1の距離(6)は、有利には、少なくとも90mm、第2の距離(9)は、少なくとも60mmである。キュベットの寸法は、有利には、たとえば高さ約30mm、外径10mmである。
【0092】
第1の薄板輪(8)と第2の薄板輪(8`)との間には、薄板輪は配置されない。
【0093】
廃棄物シュート(3)は、薄板輪(8、8`)の領域内で第1の内径(10)を有し、第1の薄板輪(8)と第2の薄板輪(8`)との間の領域内で第2の内径(11)を有する。第2の内径(11)は、第1の内径(10)より小さい。
【0094】
廃棄物処分システム(1)は、キュベット(2)の方向転換のための傾斜路(12)をさらに含む。傾斜路(12)は、第2の開口部(5)の下に配置され、それにより、廃棄物容器内へ第2の開口部(5)を通って落下する消耗品(2)が傾斜路(12)上に落下し、それによって方向転換される。
【0095】
傾斜路は、有利には、側壁を含み、傾斜路の断面は、丸い隅部を有し側壁が傾斜している矩形である(図示せず)。
【0096】
したがって、廃棄物シュート(3)の内側の断面は、キュベット(2)が傾くことができず、したがって廃棄物シュート(3)内にくい込むことができない程度まで減少される。廃棄物シュート(3)の下端において、第2の薄板輪(8`)は、キュベットブレーキとして働き、キュベットが廃棄物シュート(3)から外に落下しないようにする。廃棄物シュート(3)へ上から導入される最初のキュベット(2)は、はじめは第1の薄板輪(8)に挿入されたままになる。後続のキュベット(2)は、最初のキュベット(2)を第1の薄板輪(8)内へと押しやり、それにより最初のキュベット(2)は第2の薄板輪(8`)まで落下し、そこでブレーキが掛けられる。狭められた断面により、キュベットは、幾何学的に案内され、それによりぐらつき、したがってぐらつきに起因する飛び散りが最小に抑えられる。さらなるキュベット(2)が上から導入されるたびに、キュベット(2)は、廃棄物シュート(3)内にそれがキュベット(2)で満たされるまで積み重なっていく。そして、さらなるキュベット(2)が上から導入されると、最も下にあるキュベット(2)が第2の薄板輪(8`)から押し出されて廃棄物容器内へ落下、または廃棄物容器内の傾斜路へ落下する。第2の薄板輪(8`)がないと、各キュベット(2)は、地球の重力場の影響を受けて廃棄物シュート(3)の全長を落下することになる。したがって、第2の薄板輪(8`)の摩擦抵抗は、キュベット(2)が薄板輪(8`)に能動的に押し入ることができるが、自然にそこを通過して落下しないようにするのに十分な抵抗をもたらすように適合される。たとえば廃棄物シュート(3)の全長に薄板、薄板リングまたはチューブを有する廃棄物シュート(3)とは対照的に、廃棄物シュート(3)の下端における局所的なブレーキおよび保持作用によって、上端にキュベット(2)が導入されたときに結果的に生じる摩擦を最小に抑えることができる。それによって、廃棄物シュート(3)の全長を最大にすることが可能になるとともに、キュベット(2)の導入に必要な力を最小にすることが可能になる。
【0097】
図2は、図1に示される廃棄物処分システム(1)の一修正形態を示している。第2の薄板輪(8`)の代わりに、第2の開口部(5)を閉鎖するメッシュチューブ(13)が設けられる。その他では、図1および図2による廃棄物処分システム(1)は同様の設計である。
【0098】
図3は、図1に示される廃棄物処分システム(1)のさらなる一修正形態を示している。第2の薄板輪(8`)の代わりに、第2の開口部(5)を閉鎖する弾性グロメット(14)が設けられる。弾性グロメット(14)は、さらに、廃棄物シュート方向の長さを変えることができる。たとえば、図示のような短いリングが憂慮されることもある。あるいは、その設計は、図2に示されるメッシュチューブ(13)と同様であってもよく、たとえばキュベット(2)の長さとすることもできる。その他では、図1および図3による廃棄物処分システム(1)は同様の設計である。
【0099】
図4は、図1に示される廃棄物処分システム(1)のさらなる一修正形態を示している。第2の薄板輪(8`)の代わりに、第2の開口部(5)を閉鎖する星形チューブ(15)が設けられる。星形チューブ(15)の断面(16)は、5部分からなる(pentamerous)。星形チューブ(15)は、さらに、廃棄物シュート方向の長さを変えることができる。たとえば、図示のように短いリングが憂慮されることもある。あるいは、その設計は、図2に示されるメッシュチューブ(13)と同様であってもよく、たとえばキュベット(2)の長さとすることもできる。その他では、図1および図4による廃棄物処分システム(1)は同様の設計である。
【0100】
図5および図6は、図1に示される廃棄物処分システム(1)のさらなる一修正形態を示している。第2の薄板輪(8`)の代わりに、第2の開口部(5)を閉鎖するフラップ(17)が設けられる。フラップ(17)は、一体ヒンジを含み、自閉フラップ(17)として設計される。図5では、フラップ(17)は開いており、図6では閉じている。開いたフラップ(17)(図5参照)はキュベット(2)を横方向に偏向させるので、フラップ(17)は、その向きによりキュベット(2)の落下方向に影響を及ぼすことができる。その他では、図1および図5図6による廃棄物処分システム(1)は同様の設計である。
【0101】
図7図9は、様々な視点からの、消耗品の方向転換のための傾斜路(12)の設計を示しており、図7は、傾斜路(12)の断面を示しており、図8は、上からの傾斜路(12)を示しており、図9は、斜め上からの傾斜路(12)を示している。傾斜路(12)上にはキュベット(2)がある。
【0102】
傾斜路(12)の形状は、飛び散りの発生に影響を与えることができる。たとえば、傾斜路(12)の断面が、丸い隅部を有する略矩形で、その内側全幅がキュベット(2)の長さより長い場合、傾斜路(12)上でキュベット(2)が横方向に位置する、または回転する可能性があり、これが、キュベットからの液体の漏れにつながることがある。
【0103】
したがって、本発明によれば、傾斜路の断面は、本発明では、隅部が、比較的大きい半径で丸くされており、全幅が、傾斜している側壁によって減少されるように、設計される。これにより、第一に、キュベット(2)が、回転およびぐらつき運動に起因する、落下後の運動エネルギーを減少させるための十分な動きの遊びを有するが、第二に、この動きの遊びが、液体損失につながるおそれがあるキュベット(2)の傾斜または回転運動が最小に抑えられる範囲に制限されることが達成される。さらに、水平面またはキュベット(2)がぶつかる可能性のある面が回避される。
【符号の説明】
【0104】
1 廃棄物処分システム
2 キュベット
3 廃棄物シュート
4 第1の開口部
5 第2の開口部
6 第1の距離
7 薄板
8、8` 薄板輪
9 第2の距離
10 第1の内径
11 第2の内径
12 傾斜路
13 メッシュチューブ
14 弾性グロメット
15 星形チューブ
16 断面
17 フラップ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9