(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-15
(45)【発行日】2022-01-14
(54)【発明の名称】コールセンタ装置、処理方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
H04M 3/51 20060101AFI20220106BHJP
G10L 15/00 20130101ALI20220106BHJP
G10L 15/10 20060101ALI20220106BHJP
G06Q 30/02 20120101ALI20220106BHJP
【FI】
H04M3/51
G10L15/00 200Z
G10L15/10 500T
G10L15/10 500Z
G06Q30/02 470
(21)【出願番号】P 2020062626
(22)【出願日】2020-03-31
【審査請求日】2020-04-09
(31)【優先権主張番号】P 2019220419
(32)【優先日】2019-12-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】517330830
【氏名又は名称】アシュリオンジャパン・ホールディングス合同会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】松永 健作
(72)【発明者】
【氏名】尾上 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】本間 康将
(72)【発明者】
【氏名】バーンチャルアップ ピーラデート
(72)【発明者】
【氏名】石川 浩成
【審査官】玉木 宏治
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-204271(JP,A)
【文献】国際公開第2018/168460(WO,A1)
【文献】特開2007-102584(JP,A)
【文献】特開2012-032562(JP,A)
【文献】特開2007-286302(JP,A)
【文献】宮林 靖典 他,CoreExplorerの大規模化対応と今後の展開,日立ソリューションズ東日本技報,2018年11月19日,第24号,pp.29-32
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04M 3/00
3/16- 3/20
3/38- 3/58
7/00- 7/16
11/00-11/10
G10L 15/00-15/34
G06Q 30/00-30/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定対象に関する申告を顧客から受け付けるオペレータと前記顧客との間で行われる会話について、会話の開始時点から所定タイミングまでの間に行われた会話を音声認識することで文字列に変換する音声認識部と、
前記文字列を入力することで、前記所定対象に関する複数の申告内容のうち、前記会話の開始時点から前記所定タイミングまでの間に行われた会話から予測される申告内容を出力する予測部と、
前記予測部から出力された申告内容を、前記所定対象に関する前記顧客からの申告内容を前記オペレータが入力する画面に反映させる、画面制御部と、
を有
し、
前記音声認識部は、前記会話の開始時点から前記所定タイミングまでの間に行われた会話について、所定時間が経過するごとに繰り返し音声認識を行い、
前記予測部は、前記会話の開始時点から前記所定タイミングまでの間に行われた会話から予測される申告内容を前記所定時間が経過するごとに繰り返し出力し、
前記画面制御部は、前記画面に反映させる、前記所定対象に関する前記顧客からの申告内容を、前記所定時間が経過するごとに更新する、
コールセンタ装置。
【請求項2】
所定対象に関する申告を顧客から受け付けるオペレータと前記顧客との間で行われる会話について、会話の開始時点から所定タイミングまでの間に行われた会話を音声認識することで文字列に変換する音声認識部と、
前記文字列を入力することで、前記所定対象に関する複数の申告内容のうち、前記会話の開始時点から前記所定タイミングまでの間に行われた会話から予測される申告内容を出力する予測部と、
前記予測部から出力された申告内容を、前記所定対象に関する前記顧客からの申告内容を前記オペレータが入力する画面に反映させる、画面制御部と、
を有し、
前記予測部は、前記所定対象に関する複数の申告内容のうち、前記会話の開始時点から前記所定タイミングまでの間に行われた会話から予測される申告内容であって予想が一致している確率が高い順に所定個数の申告内容を出力し、
前記画面制御部は、前記予測部から出力された前記所定個数の申告内容のうち、前記画面に反映させる申告内容の選択を、前記オペレータから受け付ける、
コールセンタ装置。
【請求項3】
所定対象に関する申告を顧客から受け付けるオペレータと前記顧客との間で行われる会話について、会話の開始時点から所定タイミングまでの間に行われた会話を音声認識することで文字列に変換する音声認識部と、
前記文字列を入力することで、前記所定対象に関する複数の申告内容のうち、前記会話の開始時点から前記所定タイミングまでの間に行われた会話から予測される申告内容を出力する予測部と、
前記予測部から出力された申告内容を、前記所定対象に関する前記顧客からの申告内容を前記オペレータが入力する画面に反映させる、画面制御部と、
を有し、
前記音声認識部は、前記会話の開始時点から前記会話が終了するまでの間に行われた会話を文字列に変換し、
前記予測部は、前記音声認識部で変換された前記会話の開始時点から前記会話が終了するまでの間に行われた会話の文字列に基づいて、前記オペレータが、前記顧客との間で所定手順に沿った対応を行っているか否かを示す指標を出力する、
コールセンタ装置。
【請求項4】
所定対象に関する申告を顧客から受け付けるオペレータと前記顧客との間で行われる会話について、会話の開始時点から所定タイミングまでの間に行われた会話を音声認識することで文字列に変換する音声認識部と、
前記文字列を入力することで、前記所定対象に関する複数の申告内容のうち、前記会話の開始時点から前記所定タイミングまでの間に行われた会話から予測される申告内容を出力する予測部と、
前記予測部から出力された申告内容を、前記所定対象に関する前記顧客からの申告内容を前記オペレータが入力する画面に反映させる、画面制御部と、
を有し、
前記予測部は、前記オペレータが所定の入力操作を行った場合、前記会話の開始時点から前記所定の入力操作が行われるまでの間に行われた会話の文字列に基づいて、前記オペレータが、前記所定対象に生じた不具合を改善するための解決策の実行を前記顧客に提案したか否かを予測し、
前記画面制御部は、前記予測部において、前記オペレータが、前記所定対象に生じた不具合を改善するための解決策の実行を前記顧客に提案していないと予測された場合、前記所定対象に生じた不具合を改善するための解決策の実行を前記顧客に提案することを促す情報を前記画面に表示させる、
コールセンタ装置。
【請求項5】
前記申告内容には、前記顧客に関する内容、前記所定対象に生じた不具合の内容、前記所定対象に前記不具合が生じるタイミングに関する内容、及び、前記所定対象に前記不具合が生じる頻度に関する内容のうち少なくとも1つが含まれる、
請求項1~4のいずれか一項に記載のコールセンタ装置。
【請求項6】
前記所定対象に生じる不具合のパターンごとに、不具合を改善するための1以上の解決策を示す情報を格納する記憶部、を更に有し、
前記画面制御部は、前記予測部から出力された前記所定対象に生じた不具合についての前記申告内容に対応する1以上の解決策を、前記記憶部から取得して前記画面に表示させる、
請求項1~
5のいずれか一項に記載のコールセンタ装置。
【請求項7】
前記記憶部には、所定対象に生じる不具合のパターンごとに、不具合を改善するための1以上の解決策を示す情報と該解決策を実行した場合の解決率とが対応づけて格納されており、
前記画面制御部は、前記予測部から出力された前記所定対象に生じた不具合についての申告内容に対応する1以上の解決策と、該解決策に対応する解決率とを、前記記憶部から取得して前記画面に表示させる、
請求項
6に記載のコールセンタ装置。
【請求項8】
前記オペレータから、前記画面に表示された前記1以上の解決策を前記顧客が実行したことにより、前記所定対象に生じた不具合が解消したか否かを示す情報の入力を受け付ける入力部と、
前記入力部で受け付けた、前記所定対象に生じた不具合が解消したか否かを示す情報に基づいて、前記記憶部に格納される解決率を更新する更新処理部と、を更に含む、
請求項
7に記載のコールセンタ装置。
【請求項9】
コールセンタ装置が行う処理方法であって、
所定対象に関する申告を顧客から受け付けるオペレータと前記顧客との間で行われる会話について、会話の開始時点から所定タイミングまでの間に行われた会話を音声認識することで文字列に変換するステップと、
前記文字列を入力することで、前記所定対象に関する複数の申告内容のうち、前記会話の開始時点から前記所定タイミングまでの間に行われた会話から予測される申告内容を出力するステップと、
前記出力された申告内容を、前記所定対象に関する前記顧客からの申告内容を前記オペレータが入力する画面に反映させるステップと、
を含
み、
前記変換するステップは、前記会話の開始時点から前記所定タイミングまでの間に行われた会話について、所定時間が経過するごとに繰り返し音声認識を行い、
前記出力するステップは、前記会話の開始時点から前記所定タイミングまでの間に行われた会話から予測される申告内容を前記所定時間が経過するごとに繰り返し出力し、
前記画面に反映させるステップは、前記画面に反映させる、前記所定対象に関する前記顧客からの申告内容を、前記所定時間が経過するごとに更新する、
処理方法。
【請求項10】
コールセンタ装置が行う処理方法であって、
所定対象に関する申告を顧客から受け付けるオペレータと前記顧客との間で行われる会話について、会話の開始時点から所定タイミングまでの間に行われた会話を音声認識することで文字列に変換するステップと、
前記文字列を入力することで、前記所定対象に関する複数の申告内容のうち、前記会話の開始時点から前記所定タイミングまでの間に行われた会話から予測される申告内容を出力するステップと、
前記出力された申告内容を、前記所定対象に関する前記顧客からの申告内容を前記オペレータが入力する画面に反映させるステップと、
を含み、
前記出力するステップは、前記所定対象に関する複数の申告内容のうち、前記会話の開始時点から前記所定タイミングまでの間に行われた会話から予測される申告内容であって予想が一致している確率が高い順に所定個数の申告内容を出力し、
前記画面に反映させるステップは、前記出力するステップから出力された前記所定個数の申告内容のうち、前記画面に反映させる申告内容の選択を、前記オペレータから受け付ける、
処理方法。
【請求項11】
コールセンタ装置が行う処理方法であって、
所定対象に関する申告を顧客から受け付けるオペレータと前記顧客との間で行われる会話について、会話の開始時点から所定タイミングまでの間に行われた会話を音声認識することで文字列に変換するステップと、
前記文字列を入力することで、前記所定対象に関する複数の申告内容のうち、前記会話の開始時点から前記所定タイミングまでの間に行われた会話から予測される申告内容を出力するステップと、
前記出力された申告内容を、前記所定対象に関する前記顧客からの申告内容を前記オペレータが入力する画面に反映させるステップと、
を含み、
前記変換するステップは、前記会話の開始時点から前記会話が終了するまでの間に行われた会話を文字列に変換し、
前記出力するステップは、前記変換するステップで変換された前記会話の開始時点から前記会話が終了するまでの間に行われた会話の文字列に基づいて、前記オペレータが、前記顧客との間で所定手順に沿った対応を行っているか否かを示す指標を出力する、
処理方法。
【請求項12】
コールセンタ装置が行う処理方法であって、
所定対象に関する申告を顧客から受け付けるオペレータと前記顧客との間で行われる会話について、会話の開始時点から所定タイミングまでの間に行われた会話を音声認識することで文字列に変換するステップと、
前記文字列を入力することで、前記所定対象に関する複数の申告内容のうち、前記会話の開始時点から前記所定タイミングまでの間に行われた会話から予測される申告内容を出力するステップと、
前記出力された申告内容を、前記所定対象に関する前記顧客からの申告内容を前記オペレータが入力する画面に反映させるステップと、
を含み、
前記出力するステップは、前記オペレータが所定の入力操作を行った場合、前記会話の開始時点から前記所定の入力操作が行われるまでの間に行われた会話の文字列に基づいて、前記オペレータが、前記所定対象に生じた不具合を改善するための解決策の実行を前記顧客に提案したか否かを予測し、
前記画面に反映させるステップは、前記出力するステップにおいて、前記オペレータが、前記所定対象に生じた不具合を改善するための解決策の実行を前記顧客に提案していないと予測された場合、前記所定対象に生じた不具合を改善するための解決策の実行を前記顧客に提案することを促す情報を前記画面に表示させる、
処理方法。
【請求項13】
コンピュータに、
所定対象に関する申告を顧客から受け付けるオペレータと前記顧客との間で行われる会話について、会話の開始時点から所定タイミングまでの間に行われた会話を音声認識することで文字列に変換するステップと、
前記文字列を入力することで、前記所定対象に関する複数の申告内容のうち、前記会話の開始時点から前記所定タイミングまでの間に行われた会話から予測される申告内容を出力するステップと、
前記出力された申告内容を、前記所定対象に関する前記顧客からの申告内容を前記オペレータが入力する画面に反映させるステップと、
を実行させ
、
前記変換するステップは、前記会話の開始時点から前記所定タイミングまでの間に行われた会話について、所定時間が経過するごとに繰り返し音声認識を行い、
前記出力するステップは、前記会話の開始時点から前記所定タイミングまでの間に行われた会話から予測される申告内容を前記所定時間が経過するごとに繰り返し出力し、
前記画面に反映させるステップは、前記画面に反映させる、前記所定対象に関する前記顧客からの申告内容を、前記所定時間が経過するごとに更新する、
プログラム。
【請求項14】
コンピュータに、
所定対象に関する申告を顧客から受け付けるオペレータと前記顧客との間で行われる会話について、会話の開始時点から所定タイミングまでの間に行われた会話を音声認識することで文字列に変換するステップと、
前記文字列を入力することで、前記所定対象に関する複数の申告内容のうち、前記会話の開始時点から前記所定タイミングまでの間に行われた会話から予測される申告内容を出力するステップと、
前記出力された申告内容を、前記所定対象に関する前記顧客からの申告内容を前記オペレータが入力する画面に反映させるステップと、
を実行させ、
前記出力するステップは、前記所定対象に関する複数の申告内容のうち、前記会話の開始時点から前記所定タイミングまでの間に行われた会話から予測される申告内容であって予想が一致している確率が高い順に所定個数の申告内容を出力し、
前記画面に反映させるステップは、前記出力するステップから出力された前記所定個数の申告内容のうち、前記画面に反映させる申告内容の選択を、前記オペレータから受け付ける、
プログラム。
【請求項15】
コンピュータに、
所定対象に関する申告を顧客から受け付けるオペレータと前記顧客との間で行われる会話について、会話の開始時点から所定タイミングまでの間に行われた会話を音声認識することで文字列に変換するステップと、
前記文字列を入力することで、前記所定対象に関する複数の申告内容のうち、前記会話の開始時点から前記所定タイミングまでの間に行われた会話から予測される申告内容を出力するステップと、
前記出力された申告内容を、前記所定対象に関する前記顧客からの申告内容を前記オペレータが入力する画面に反映させるステップと、
を実行させ、
前記変換するステップは、前記会話の開始時点から前記会話が終了するまでの間に行われた会話を文字列に変換し、
前記出力するステップは、前記変換するステップで変換された前記会話の開始時点から前記会話が終了するまでの間に行われた会話の文字列に基づいて、前記オペレータが、前記顧客との間で所定手順に沿った対応を行っているか否かを示す指標を出力する、
プログラム。
【請求項16】
コンピュータに、
所定対象に関する申告を顧客から受け付けるオペレータと前記顧客との間で行われる会話について、会話の開始時点から所定タイミングまでの間に行われた会話を音声認識することで文字列に変換するステップと、
前記文字列を入力することで、前記所定対象に関する複数の申告内容のうち、前記会話の開始時点から前記所定タイミングまでの間に行われた会話から予測される申告内容を出力するステップと、
前記出力された申告内容を、前記所定対象に関する前記顧客からの申告内容を前記オペレータが入力する画面に反映させるステップと、
を実行させ、
前記出力するステップは、前記オペレータが所定の入力操作を行った場合、前記会話の開始時点から前記所定の入力操作が行われるまでの間に行われた会話の文字列に基づいて、前記オペレータが、前記所定対象に生じた不具合を改善するための解決策の実行を前記顧客に提案したか否かを予測し、
前記画面に反映させるステップは、前記出力するステップにおいて、前記オペレータが、前記所定対象に生じた不具合を改善するための解決策の実行を前記顧客に提案していないと予測された場合、前記所定対象に生じた不具合を改善するための解決策の実行を前記顧客に提案することを促す情報を前記画面に表示させる、
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コールセンタ装置、処理方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
コールセンタでは、多数のオペレータが、顧客から様々な問い合せを受けて対応している。例えば特許文献1には、コールセンタへ問い合わせをする利用者のオペレータ不足によるストレスを軽減すると共に、コールセンタ業務を効率化するコールセンタ業務システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
コールセンタでは、顧客から受けた問い合せの内容や、オペレータが行った対応結果を記録しておくことが多い。例えば、商品の不具合に関する申告を受け付けるオペレータは、顧客から問い合せを受けた場合、顧客が申告した不具合の内容を、会話中又は会話終了後にコールセンタシステムの画面に入力する。しかしながら、一般的に、オペレータが顧客から受ける申告内容は多岐に渡ることが多く、顧客と会話をしながら申告内容を正確に入力するためには、オペレータに相応のスキルが要求される。また、顧客との対応を終える度に申告内容を入力する作業は、1日に多くの顧客からの申告を受け付けるオペレータにとって相当な負担になる。同様の課題は、商品の故障修理を受け付けるオペレータに限らず、コールセンタで問い合わせを受け付けるオペレータ全般に生じ得る。
【0005】
そこで、本発明は、顧客から申告を受け付けるオペレータの負担を軽減することが可能な技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係るコールセンタ装置は、所定対象に関する申告を顧客から受け付けるオペレータと顧客との間で行われる会話について、会話の開始時点から所定タイミングまでの間に行われた会話を音声認識することで文字列に変換する音声認識部と、文字列を入力することで、所定対象に関する複数の申告内容のうち、会話の開始時点から所定タイミングまでの間に行われた会話から予測される申告内容を出力する予測部と、予測部から出力された申告内容を、所定対象に関する顧客からの申告内容をオペレータが入力する画面に反映させる、画面制御部と、を有する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、顧客から申告を受け付けるオペレータの負担を軽減することが可能な技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】第1実施形態に係るコールセンタシステムのシステム構成例を示す図である。
【
図2】コールセンタ装置及びコールセンタ端末のハードウェア構成例を示す図である。
【
図3】第1実施形態に係るコールセンタ装置の機能ブロック構成例を示す図である。
【
図4】第1実施形態に係るコールセンタ装置が行う処理手順の一例を示す図である。
【
図5】申告内容を予測する処理を説明するための図である。
【
図6】予測モデルのネットワーク構造例を示す図である。
【
図7】携帯電話に生じた不具合の内容の一例を示す図である。
【
図8】コールセンタ端末における画面表示例を示す図である。
【
図9】第2実施形態に係るコールセンタ装置の機能ブロック構成例を示す図である。
【
図11】コールセンタ端末における画面表示例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
添付図面を参照して、本発明の各実施形態について説明する。なお、各図において、同一の符号を付したものは、同一又は同様の構成を有する。以下の説明において、コールセンタシステムは、主に、携帯電話に関する不具合の申告を受け付けるコールセンタで利用される前提で説明するが、本実施形態がこれに限定されるものではない。本実施形態に係るコールセンタシステムは、例えば、商品やサービスなど、様々な対象に関する各種の申告を受け付けるコールセンタ全般に適用することができる。
【0010】
[第1実施形態]
<システム構成>
図1は、第1実施形態に係るコールセンタシステム1のシステム構成例を示す図である。コールセンタシステム1は、コールセンタ装置10とコールセンタ端末20とを含む。コールセンタシステム1は、複数のコールセンタ端末20を含んでいてもよい。コールセンタ装置10とコールセンタ端末20とは、無線又は有線の通信ネットワークNを介して接続され、相互に通信を行うことができる。
【0011】
コールセンタ装置10は、コールセンタ業務に必要な各種の機能を提供する装置であり、例えば、顧客から掛かってきた電話をオペレータが利用するコールセンタ端末20に振り分ける処理、オペレータの空き具合を管理する処理、各オペレータが顧客と会話している時間を管理する処理等を行う。コールセンタ装置10は、1又は複数の情報処理装置から構成されていてもよいし、ハイパーバイザー(hypervisor)上で動作する仮想的なサーバを用いて構成されていてもよいし、クラウドサーバを用いて構成されていてもよい。
【0012】
コールセンタ端末20は、コールセンタで業務を行うオペレータが利用する端末である。コールセンタ端末20は、スマートフォン、タブレット端末、携帯電話機、パーソナルコンピュータ(PC)、ノートPC、携帯情報端末(PDA)など、通信機能を備えた端末であればあらゆる端末を用いることができる。
【0013】
コールセンタ端末20には、オペレータが顧客との応対に利用する各種の画面が表示される。例えば、コールセンタ端末20に表示される画面には、顧客の電話番号や、顧客からの申告内容を入力する入力欄などが表示される。
【0014】
第1実施形態において、オペレータは、顧客から、顧客が利用中の携帯電話に生じた不具合に関する申告を受け付けると、どのような申告内容なのかを顧客と会話を通じて具体的に特定する。また、特定した申告内容を、コールセンタ端末20に表示される画面に入力する。
【0015】
コールセンタ装置10は、オペレータと顧客との間で行われる会話の内容を分析することで、顧客から受けた申告内容を予測し、予測した申告内容を、コールセンタ端末20の画面に自動的に入力する。このとき、コールセンタ装置10は、オペレータと顧客との間で行われる会話の終了を待たずに、ある時点までの会話に基づいて申告内容を予測してコールセンタ端末20に表示する。また、コールセンタ装置10は、所定間隔で、それまでに行われた会話の内容から申告内容を予測する処理を繰り返し行う。つまり、コールセンタ端末20の画面には、ある時点までの会話の内容から予測される申告内容が表示され、会話が進むにつれてより正確な申告内容に更新されていくことになる。
【0016】
<ハードウェア構成>
図2は、コールセンタ装置10及びコールセンタ端末20のハードウェア構成例を示す図である。コールセンタ装置10及びコールセンタ端末20は、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphical processing unit)等のプロセッサ11、メモリ、HDD(Hard Disk Drive)及び/又はSSD(Solid State Drive)等の記憶装置12、有線又は無線通信を行う通信IF(Interface)13、入力操作を受け付ける入力デバイス14、及び情報の出力を行う出力デバイス15を有する。入力デバイス14は、例えば、キーボード、タッチパネル、マウス及び/又はマイク等である。出力デバイス15は、例えば、ディスプレイ及び/又はスピーカ等である。
【0017】
<機能ブロック構成>
図3は、コールセンタ装置10の機能ブロック構成例を示す図である。コールセンタ装置10は、記憶部100と、音声取得部101と、音声認識部102と、予測部103と、画面制御部104と、予測処理制御部105とを含む。記憶部100は、コールセンタ装置10が備える記憶装置12を用いて実現することができる。また、音声取得部101と、音声認識部102と、予測部103と、画面制御部104と、予測処理制御部105とは、コールセンタ装置10のプロセッサ11が、記憶装置12に記憶されたプログラムを実行することにより実現することができる。また、当該プログラムは、記憶媒体に格納することができる。当該プログラムを格納した記憶媒体は、コンピュータ読み取り可能な非一時的な記憶媒体(Non-transitory computer readable medium)であってもよい。非一時的な記憶媒体は特に限定されないが、例えば、USBメモリ又はCD-ROM等の記憶媒体であってもよい。
【0018】
記憶部100は、オペレータと顧客との間で行われる会話の内容を入力すると、申告内容を予測する予測モデルが格納される。予測モデルは、予測する申告内容の種別ごとに格納される。申告内容の種別の具体例については後述する。
図3の例では、予測モデル100M-1~予測モデル100M-n(nは正の整数)のn個の予測モデルが図示されている。予測モデルは、例えば、過去にオペレータと顧客との間で行われた会話のログデータから、会話の内容を入力として申告内容を出力とする教師データを多数生成し、当該教師データを用いてニューラルネットワークを学習させることで生成することができる。以下の説明において、予測モデル100M-1~予測モデル100M-nを区別しない場合は、予測モデル100Mと記載する。
【0019】
音声取得部101は、顧客とオペレータとの間で行われる会話の音声データを取得する処理を行う。
【0020】
音声認識部102は、携帯電話(所定対象)に関する故障等の申告を顧客から受け付けるオペレータと顧客との間で行われる会話について、会話の開始時点から所定タイミングまでの間に行われた会話の音声データを音声認識することで文字列に変換する処理を行う。音声認識部102は、音声認識エンジンを備えており、音声取得部101に入力された音声データを認識して文字列を出力する。なお、音声認識部102は、変換した文字列に対して形態素解析することで、形態素に分割された文字列を出力するようにしてもよい。
【0021】
また、音声認識部102は、会話の開始時点から所定タイミングまでの間に行われた会話の会話データについて、所定時間が経過するごとに繰り返し音声認識を行うようにしてもよい。所定時間は任意であるが、例えば30秒や1分といった時間であってもよい。また、音声認識部102は、会話の開始時点から会話が終了するまでの間に行われた会話を文字列に変換するようにしてもよい。
【0022】
予測部103は、音声認識部102から出力された文字列を用いて、所定対象に関する複数の申告内容のうち、会話の開始時点から所定タイミングまでの間に行われた会話から予測される申告内容を出力する。より具体的には、予測部103は、音声認識部102から出力された文字列を、記憶部100に記憶された各予測モデル100Mに入力し、各予測モデル100Mから出力された申告内容を、予測される申告内容として出力する。
【0023】
予測部103が予測する申告内容には、所定対象の利用者に関する内容、所定対象に生じた不具合の内容、所定対象に不具合が生じるタイミングに関する内容、及び、所定対象に不具合が生じる頻度に関する内容のうち少なくとも1つが含まれていてもよい。
【0024】
また、予測部103は、会話の開始時点から所定タイミングまでの間に行われた会話から予測される申告内容を所定時間が経過するごとに繰り返し出力するようにしてもよい。例えば、予測部103は、会話の開始時点から30秒後までの間に行われた会話に基づいて予測される申告内容を出力し、次に、会話の開始時点から1分後までの間に行われた会話に基づいて予測される申告内容を出力し、次に、会話の開始時点から1分30秒後までの間に行われた会話に基づいて予測される申告内容を出力し、次に、会話の開始時点から2分後までの間に行われた会話に基づいて予測される申告内容を出力するといった処理を繰り返し行うようにしてもよい。
【0025】
また、予測部103は、音声認識部102で変換された会話の開始時点から会話が終了するまでの間に行われた会話の文字列に基づいて、オペレータが、顧客との間で所定手順に沿った対応を行っているか否かを示す指標を出力するようにしてもよい。
【0026】
また、予測部103は、所定対象に関する複数の申告内容のうち、会話の開始時点から所定タイミングまでの間に行われた会話から予測される申告内容であって予想が一致している確率が高い順に所定個数の申告内容を出力するようにしてもよい。
【0027】
画面制御部104は、コールセンタ端末20に表示する各種の画面を生成してコールセンタ端末20に表示させる処理を行う。また、画面制御部104は、予測部103から出力された申告内容を、所定対象に関する顧客からの申告内容をオペレータが入力する画面に反映させる処理を行う。
【0028】
画面制御部104は、例えばWebサーバ機能を備えており、コールセンタ端末20にインストールされたWebブラウザからのアクセスを受けた場合に、Web画面のデータ(HTMLデータなと)をコールセンタ端末20に送信することとしてもよい。若しくは、コールセンタ端末20に、各種の画面を描画するためのアプリケーションがインストールされており、画面制御部104は、当該アプリケーションから要求を受けた場合に、当該アプリケーションが認識可能なフォーマットの画面データを生成してコールセンタ端末20に送信することとしてもよい。
【0029】
また、画面制御部104は、コールセンタ端末20の画面に反映させる、所定対象に関する顧客からの申告内容を、所定時間が経過するごとに更新するようにしてもよい。
【0030】
また、画面制御部104は、予測部103から出力された所定個数の申告内容のうち、コールセンタ端末20の画面に反映させる申告内容の選択を、オペレータから受け付けるようにしてもよい。
【0031】
予測処理制御部105は、コールセンタ装置10が予測処理を行うために必要な各種の処理を行う。例えば、予測処理制御部105は、オペレータと顧客との間で行われる会話の音声データを、音声認識部102に入力する処理、音声認識部102から取得された文字列データを予測部103に入力する処理、予測部103から出力された申告内容を画面制御部に渡す処理等を行う。
【0032】
<処理手順>
(処理手順の説明)
図4は、第1実施形態に係るコールセンタ装置10が行う処理手順の一例を示す図である。
【0033】
まず、音声取得部101は、顧客とオペレータとの間で行われる通話の音声データを取得し、取得した音声データに対して、顧客とオペレータとの間で行われる通話を一意に識別する会話IDを付与する。
【0034】
続いて、音声取得部101は、音声データと会話IDとを音声認識部102に送信する(S10)。音声取得部101は、顧客とオペレータとの間で行われる通話が終了するまでの間、音声データを音声認識部102に送信し続ける。音声認識部102は、音声取得部101から受信した音声データを会話IDと対応づけて記憶しておく。
【0035】
続いて、音声取得部101は、顧客とオペレータとの間で会話が開始されたことを示す会話開始メッセージを画面制御部104に送信する。会話開始メッセージには会話IDが含まれる(S11)。
【0036】
続いて、画面制御部104は、申告内容の予測処理を実行するタイミングを判定する(S12)。続いて、画面制御部104は、予測処理を実行すると判定したタイミングで、会話IDを予測処理制御部105に送信する(S13)。
【0037】
画面制御部104は、例えば、オペレータが画面を操作することで予測処理の実行を指示したタイミングを、申告内容の予測処理を実行するタイミングと判定するようにしてもよい。また、画面制御部104は、会話が開始した時点から所定間隔ごとのタイミングを、申告内容の予測処理を実行するタイミングと判定するようにしてもよい。例えば所定間隔が30秒に設定されている場合、会話が開始されてから30秒後、1分後、1分半後、2分後といったタイミングを、申告内容の予測処理を実行するタイミングと判定するようにしてもよい。
【0038】
続いて、予測処理制御部105は、画面制御部104から会話IDを受信すると、受信した会話IDを音声認識部102に送信する(S14)。音声認識部102は、記憶している音声データの中から、予測処理制御部105から受信した会話IDに対応づけられる音声データを抽出し、抽出した音声データを音声認識エンジンに入力することで、音声認識及び文字列への変換処理を行う(S15)。音声認識部102が、予測処理制御部105から会話IDを受信するタイミングは、会話開始から30秒後、1分後、1分半後、2分後などのタイミングである。従って、音声認識部102は、会話の開始から所定タイミング(会話開始から30秒後、1分後、1分半後、2分後などのタイミング)で繰り返し音声認識及び文字列変換処理を行う。
【0039】
続いて、音声認識部102は、変換により得られた文字列を予測処理制御部105に送信する(S16)。
【0040】
予測処理制御部105は、音声認識部102から受信した文字列を予測部103に送信する(S17)。予測部103は、受信した文字列を予測モデル100M-1~100M-nに入力し、予測モデル100M-1~100M-nから出力される申告内容を取得することで、顧客が述べている申告内容を予測する(S18)。続いて、予測部103は、予測結果を予測処理制御部105に送信する。
【0041】
予測処理制御部105は、会話IDと予測結果とを画面制御部104に送信する(S20)。画面制御部104は、予測IDと予測結果とを、オペレータの画面に表示させる。より具体的には、画面制御部104は、予測ID及び予測結果を、携帯電話に関する顧客からの申告内容をオペレータが入力する画面に反映させる処理を行う(S21)。
【0042】
音声取得部101は、オペレータと顧客との間の会話が終了すると、会話終了を示すメッセージを画面制御部104に送信する(S22)。以後、ステップS13~ステップS21までの処理手順が、例えば会話開始から30秒後、1分後、1分半後といった間隔で繰り返し実行されることで、コールセンタ端末20の画面に表示される予測結果が更新される。
【0043】
(申告内容の予測)
図5は、申告内容を予測する処理を説明するための図である。
図5に示すように、予測部103は、会話を音声変換することで得られた文字列を、予測モデル100M-1~100M-nに入力することで、予測モデル100M-1~100M-nの各々から予測結果を得る。予測モデル100M-1~100M-nは、それぞれ、予測する申告内容の種別が異なるニューラルネットワークである。予測モデル100M-1~100M-nが予測する申告内容の種別はどのような種別であってもよいが、例えば、顧客に関する内容、携帯電話に生じた不具合の内容、携帯電話に不具合が生じるタイミングに関する内容、及び、携帯電話に不具合が生じる頻度に関する内容であってもよい。なお、顧客に関する内容とは、例えば、オペレータと通話している相手が、携帯電話の契約者本人であるのか否かに関する情報や、オペレータと通話している相手が、どこから電話をしているのかを示す情報(例えば、携帯電話ショップから電話しているのか、若しくはそれ以外の場所から電話しているのか)等であってもよい。
【0044】
例えば、予測モデル100M-1は、顧客に関する内容を予測するモデルであり、予測モデル100M-2は、携帯電話に生じた不具合の内容を予測する予測モデルであり、予測モデル100M-3は、携帯電話に不具合が生じるタイミングに関する内容を予測する予測モデルであり、予測モデル100M-4は、携帯電話に不具合が生じる頻度に関する内容を予測する予測モデルであってもよい。
【0045】
図6は、予測モデル100M-1~100M-nのネットワーク構造例を示す図である。なお、
図6に示すネットワーク構造は一例に過ぎず、
図6とは異なるネットワーク構造を採用することも可能である。予測モデル100M-1~100M-nに入力された入力データ(文字列)は、Embeddingレイヤに入力される。Embeddingレイヤでは、入力された文字列をベクトルデータに変換する。このとき、意味が似ている単語については同様のベクトルデータに変換される。例えば“電池”と“バッテリー”など、意味が似ている単語については同様のベクトルデータに変換される。
【0046】
1D Convolutionレイヤは、ベクトルデータで表現された文字列に対して畳み込み処理を複数回行うことで、オペレータと顧客との間の会話のうち特徴的な部分を抽出する。
【0047】
Attentionレイヤは、入力されたオペレータと顧客との間の会話に含まれる、挨拶、症状のヒアリング、トラブルシューティング(問診)などの部分の中から、予測すべき申告内容に対応する部分を選択する。
【0048】
Denseレイヤは、Attentionレイヤからの出力に基づき、申告内容ごとに予測結果を示す確率値を出力する。
【0049】
図7は、携帯電話に生じた不具合の内容の一例を示す図である。
図7に示すように、携帯電話に生じた不具合の内容は、大項目、中項目及び小項目の3段階で表現されてもよい。
図7の例では、大項目は、不具合が生じた箇所を示し、中項目は、不具合の内容を示し、小項目は、発生する不具合の内容をより詳細に示している。
【0050】
上述した、携帯電話に生じた不具合の内容を予測する予測モデル100M-2は、
図7に示す大項目、中項目及び小項目の全ての組み合わせパターンの各々について、予測結果が一致している確率を示す確率値をDenseレイヤから出力する。例えば全ての組み合わせパターンが200通り存在する場合、予測モデル100M-2は、200通りの全てについて、予測結果が一致している確率を示す確率値をDenseレイヤから出力する。
【0051】
予測部103は、予測モデル100Mが出力した全パターンの確率値のうち、最も確率値が高いパターンを、携帯電話に生じた不具合の内容についての予測結果として出力するようにしてもよいし、最も確率値が高いパターンから順に所定個数のパターンを、携帯電話に生じた不具合の内容であって予想が一致している確率が高い予測結果として出力するようにしてもよい。
【0052】
また、予測部103が予測する、携帯電話に不具合が生じるタイミングに関する内容は、例えば、電源投入時(携帯電話に電源を投入した時点で不具合が生じる)、特定のアプリケーションを開いた時、画面をタッチした時、音量スイッチを押下した時などであるが、これに限定されるものではない。
【0053】
また、予測部103が予測する、携帯電話に不具合が生じる頻度に関する内容は、例えば、1日1回、1日2回といった頻度や、1週間に1回、1週間に2回、1週間に3回といった頻度や、1回のみといった頻度であるが、これに限定されるものではない。
【0054】
(表示例)
図8は、コールセンタ端末20における画面表示例を示す図である。表示エリアA100には、顧客の電話番号が表示される。表示エリアA200には、顧客の音声を音声認識することで得られた文字列と、オペレータの音声を音声認識することで得られた文字列とが表示される。表示エリアA300には、オペレータが、顧客から聞き出した申告内容を入力する入力エリアが表示される。各入力エリアはプルダウンメニューになっており、オペレータは、プルダウンメニューに表示される申告内容のパターンの中から、顧客から聞き出した申告内容に対応するパターンを選択することで、申告内容を入力することができる。
【0055】
顧客とオペレータとの間で会話が進むと、それまでに行われた会話に基づいて予測された申告内容が、各入力エリアに自動的に入力される。このとき、各入力エリアには、予測部103が最も確率が高いと予測した申告内容が表示され、プルダウンメニューが押下されると、確率が高い順に所定個数の申告内容が表示されることとしてもよい。
【0056】
もし、予測部103の予測結果に誤りがある場合、オペレータは、自らの判断に基づき申告内容を修正する必要がある。しかしながら、確率が高い順に所定個数の申告内容に絞ってプルダウンメニューに表示されることで、オペレータは、全ての申告内容のパターンの中から正しい申告内容を探す必要がなくなるため、申告内容を迅速に修正することが可能になる。
【0057】
図8において、入電者情報及び対話者(入電者)は、顧客に関する内容に該当する。また、申告内容(大項目)、申告内容(中項目)、申告内容(小項目)は、携帯電話に生じた不具合の内容に該当する。発生状況は、携帯電話に不具合が生じるタイミングに関する内容に該当する。発生頻度(頻度)、発生頻度(回数)は、携帯電話に不具合が生じる頻度に関する内容に該当する。
【0058】
問診結果を入力する入力エリアA350は、オペレータが、顧客の申告内容に基づいてトラブルシューティングを行うことで特定した被疑箇所と、対処方法(様子見、部品交換、端末ごと交換など)を選択するエリアである。
【0059】
自動入力ボタンB10が押下されると、画面制御部104は、
図4のステップS12で説明したように、オペレータから予測処理の実行が指示されたと判断し、会話IDを予測処理制御部105に送信する。予測処理制御部105は、会話IDを受信することで、
図4のステップS14~S21までの処理手順を実行する。これにより、自動入力ボタンB10が押下された時点で申告内容の予測処理が動作し、その結果得られた予測結果で、
図8に示す表示エリアA300が更新される。
【0060】
(問診提案)
予測部103は、音声認識部102で変換された会話の開始時点から会話が終了するまでの間に行われた会話の文字列に基づいて、オペレータが、顧客との間で行うべき応対方法を示すマニュアル(所定手順)に沿った対応を行っているか否かを示す指標を出力する。当該指標は、例えば、「1.マニュアルに沿った対応を行っていない」、「2.マニュアルに沿った対応を時々行っている」、「3.マニュアルに沿った対応を十分に行っている」の3段階であってもよい。また、3段階に限定されず、2段階であってもよいし4段階以上であってもよい。
【0061】
予測部103は、会話の開始時点から会話が終了するまでの間に行われた会話の文字列を、当該指標を出力する学習済みモデルに入力することで、当該指標を得るようにしてもよい。若しくは、予測部103は、会話の開始時点から会話が終了するまでの間に行われた会話の文字列に、マニュアルに記載されている特定のキーワード(例えば「遠隔診断」、「トラブルシューティング」など)が存在するか否か等の判定条件に基づいて、当該指標を判定するようにしてもよい。
【0062】
[第2実施形態]
続いて、第2実施形態に係るコールセンタシステム1について説明する。第2実施形態の説明において、特に言及しない点は第1実施形態と同一である。
【0063】
<機能ブロック構成>
図9は、第2実施形態に係るコールセンタ装置10の機能ブロック構成例を示す図である。
【0064】
記憶部100は、所定対象に生じる不具合のパターンごとに、不具合を改善するための1以上の解決策を示す情報と該解決策を実行した場合の解決率とが対応づけられて格納される解決策DB100Nを記憶する。なお、解決策DB100Nから解決率は省略されていてもよい。また、記憶部100は、オペレータと顧客との間で行われる会話の内容を入力すると、オペレータが、所定対象に生じた不具合を改善するための解決策の実行を顧客に提案したか否かを予測する予測モデルMを記憶する。予測モデルMは、例えば、過去にオペレータと顧客との間で行われた会話のログデータから、会話の内容を入力とし、解決策の実行を顧客に提案したか否かを示すフラグを出力とする教師データを多数生成し、当該教師データを用いてニューラルネットワークを学習させることで生成することができる。
【0065】
予測部103は、オペレータが所定の入力操作を行った場合、オペレータと顧客との間で行われる会話の開始時点から所定の入力操作が行われるまでの間に行われた会話の文字列に基づいて、オペレータが、所定対象に生じた不具合を改善するための解決策の実行を顧客に提案したか否かを予測する。より具体的には、予測部103は、音声認識部102から出力された文字列を予測モデル100Mに入力し、予測モデル100Mから出力された確率が所定の閾値以上である場合に、オペレータが、不具合を改善するための解決策の実行を提案したとの予測結果を出力するようにしてもよい。
【0066】
画面制御部104は、予測部103において、オペレータが、所定対象に生じた不具合を改善するための解決策の実行を顧客に提案していないと予測された場合、所定対象に生じた不具合を改善するための解決策の実行を顧客に提案することを促す情報を画面に表示させる。
【0067】
また、画面制御部104は、予測部103から出力された所定対象に生じた不具合についての申告内容に対応する1以上の解決策を、解決策DB100Nから取得して画面に表示させるようにしてもよい。また、画面制御部104は、予測部103から出力された所定対象に生じた不具合についての申告内容に対応する1以上の解決策と、該解決策に対応する解決率とを解決策DB100Nから取得して画面に表示させるようにしてもよい。
【0068】
入力部106は、オペレータから、画面に表示された1以上の解決策を顧客が実行したことにより、所定対象に生じた不具合が解消したか否かを示す情報の入力を受け付ける。
【0069】
更新処理部107は、入力部106で受け付けた、所定対象に生じた不具合が解消したか否かを示す情報に基づいて、解決策DB100Nに格納される解決率を更新する。
【0070】
図10は、解決策DB100Nの一例を示す図である。「大項目」「中項目」及び「小項目」には、所定対象に生じる不具合の内容が格納される。なお、
図10における「大項目」「中項目」及び「小項目」は、
図7に示す大項目、中項目及び小項目に対応している。「解決策1」及び「解決率/所要時間」、「解決策2」及び「解決率/所要時間」並びに「解決策3」及び「解決率/所要時間」には、「大項目」「中項目」及び「小項目」の項目で表される不具合を改善するための1以上の解決策と、当該解決策を実行した場合における解決率と、解決策の実行に要する時間の目安とが格納される。
【0071】
図10に示す解決策DB100Nには、解決策1~3までの3つが示されているが、4以上の解決策が格納されていてもよいし、2以下の解決策が格納されていてもよい。
【0072】
<処理手順>
続いて、第2実施形態に係るコールセンタ装置10が行う処理手順を、
図4を用いて説明する。第2実施形態では、画面制御部104は、ステップS20の処理手順で予測処理制御部105から送られてきた予測結果に対応する1以上の解決策、解決率及び所要時間を、解決策DB100Nから取得し、取得した1以上の解決策、解決率及び所要時間を画面に表示させる(S21)。
【0073】
(表示例)
図11は、コールセンタ端末20における画面表示例を示す図である。
図11に示す画面表示例のうち、
図7と同一の表示が行われる部分については、
図7と同一の符号を付して説明は省略する。
【0074】
コールセンタ端末20に表示される画面には、不具合に関する申告内容(大項目、中項目及び小項目)に対応する1以上の解決策を表示する表示エリアA500が含まれる。表示エリアA500には、解決策1を表示する表示エリアA501、解決策2を表示する表示エリアA502及び解決策3を表示する表示エリアA503が所定順に並べて表示される。所定順は、例えば、解決率が高い順であってもよいし、解決策を実行した場合の所要時間が短い順であってもよい。
図11の例では、解決率が高い順に解決策が並べて表示されている。
【0075】
もし、オペレータと顧客との間の会話の進行に応じて予測部103による予測結果が変更となり、表示エリアA320~A322に表示される申告内容が更新された場合には、表示エリアA501~A503に表示される解決策1~3も更新される。また、予測部103の予測結果に誤りがあり、オペレータが自らの判断に基づき申告内容を修正した場合、表示エリアA501~A503に表示される解決策1~3も、オペレータにより修正された申告内容に対応する解決策に変更される。
【0076】
表示エリアA501には、解決策を示す文字列を表示する表示エリアA501-1と、当該解決策を実行した場合に不具合が解消する確率を示す解決率A501-2と、解決策を実行した場合の所要時間A501-3とが含まれる。また、表示エリアA501には、顧客が解決策を実行した結果、不具合が解消したか否かを示す情報(例えば、「解消した」又は「解消しない」のいずれか)を入力する入力エリアA501-4が含まれる。オペレータにより入力エリアA501-4に入力された情報は、入力部106にて受け付けられる。また、更新処理部107は、入力された情報に基づき、解決策DB100Nを更新する。
【0077】
例えば、入力エリアA501-4にて「解消した」又は「解消しない」が入力された場合、更新処理部107は、解決策DB100Nにおいて、大項目、中項目及び小項目がそれぞれ「電源」、「電源が落ちる」及び「使用中に急に電源が落ちる」であるレコードにおける、再起動の解決策に対応する解決率を更新する。もし「解消した」が入力された場合、解決率は上昇し、「解消しない」が入力された場合、解決率は低下することになる。解決率(%)は、例えば、「(「解決した」が入力された回数)÷(「解決した」が入力された回数+「解決しない」が入力された回数)×100」の式で計算することができる。
【0078】
また、入力部106は、顧客が解決策の実行に要した時間の入力を受け付けるようにしてもよい。例えば、入力部106は、オペレータが表示エリアA501-1をクリック又はタッチしたタイミングから、入力エリアA501-4に不具合が解消したか否かを示す情報が入力されるまでの時間を、顧客が解決策の実行に要した時間として受け付けるようにしてもよい。更新処理部107は、入力部106で受け付けた、顧客が解決策の実行に要した時間を用いて、解決策DB100Nに格納される所要時間を更新するようにしてもよい。更新する所要時間の計算はどのように行われてもよいが、例えば、過去に入力部106が受け付けた、同一の解決策における所要時間の平均値であってもよい。
【0079】
このとき、入力部106で受け付けた、顧客が解決策の実行に要した時間が所定期間(例えば15秒や30秒等)よりも短い場合、更新処理部107は、当該時間についてはオペレータの操作誤り等による異常値であるとみなし、解決策DB100Nに格納される所要時間の更新には使用しないこととしてもよい。
【0080】
また、表示エリアA300には、不具合を改善するための解決策の実行を顧客に提案したことを入力する入力ボタンB20が存在する。入力ボタンB20が押下されると、音声認識部102は、会話の開始時点から入力ボタンB20が押下されるまでの間に行われた会話の文字列を出力する。また、予測部103は、音声認識部102から出力された文字列を用いて、オペレータが、所定対象に生じた不具合を改善するための解決策の実行を顧客に提案したか否かを予測する。もし、解決策の実行を顧客に提案していないと予測された場合、画面制御部104は、解決策の実行を顧客に提案すべきであることをオペレータに促すアラーム情報(例えば、「解決策を顧客に提案してください」といった文字列やポップアップ等)を画面に表示させる。これにより、解決策を顧客に実行してもらうことで不具合を解消できる可能性があるにも関わらず、解決策を顧客に実行してもらうことなくハードウェア交換等が無駄に行われてしまうことを抑制することが可能になる。
【0081】
<まとめ>
以上説明した各実施形態によれば、コールセンタ装置10は、顧客とオペレータとの間で行われる会話の内容に基づき、顧客から受けた申告内容を予測して申告内容を入力する画面に自動的に入力する。これにより、オペレータは、自ら申告内容を特定して画面に入力する必要がなくなることから、顧客から申告を受けるオペレータの負担を軽減することが可能になる。また、オペレータは、顧客から申告内容や不具合事象を聞き出すことに注力することができるため、申告内容をより正確に特定することが可能になる。
【0082】
また、コールセンタ装置10は、予測した申告内容であって予想が一致している確率が高い順に所定個数の申告内容を出力するようにした。これにより、オペレータは、予め絞られた申告内容の中から正しい申告内容を選択すればよいため、全ての申告内容のパターンの中から正しい申告内容を選択する場合と比較して、オペレータの負担が軽減されることになる。
【0083】
また、コールセンタ装置10は、オペレータが、顧客との間で、マニュアルに沿った対応を行っているか否かを示す指標を出力するようにした。コールセンタ業務では、不具合の内容や故障個所を客観的かつ正確に把握するために行うべきヒアリング手順等がマニュアルで定められている。各実施形態によれば、オペレータが、各種の手順をマニュアル通りに実施していることを把握することが可能になる。
【0084】
また、コールセンタ装置10は、オペレータが、所定対象に生じた不具合を改善するための解決策の実行を顧客に促した否かをチェックし、顧客に促していないと判定した場合には、アラーム情報を出力するようにした。これにより、解決策を顧客に実行させることをオペレータに促すことが可能になる。
【0085】
また、コールセンタ装置10は、申告内容に対応する解決策に加えて、解決率や所要時間を表示するようにした。これにより、オペレータは、解決率が高くて所要時間が短い解決策を選択して顧客に実行させることが可能になる。
【0086】
以上説明した各実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。実施形態で説明したフローチャート、シーケンス、実施形態が備える各要素並びにその配置、材料、条件、形状及びサイズ等は、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。また、異なる実施形態で示した構成同士を部分的に置換し又は組み合わせることが可能である。
【符号の説明】
【0087】
1…コールセンタシステム、10…コールセンタ装置、11…プロセッサ、12…記憶装置、13…通信IF、14…入力デバイス、15…出力デバイス、20…コールセンタ端末、100…記憶部、100M…予測モデル、100N…解決策DB、101…音声取得部、102…音声認識部、103…予測部、104…画面制御部、105…予測処理制御部、106…入力部、107…更新処理部