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  • 特許-レンズユニット 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-15
(45)【発行日】2022-01-14
(54)【発明の名称】レンズユニット
(51)【国際特許分類】
   G02B 7/02 20210101AFI20220106BHJP
   G03B 30/00 20210101ALI20220106BHJP
【FI】
G02B7/02 B
G02B7/02 A
G03B30/00
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020111021
(22)【出願日】2020-06-28
(65)【公開番号】P2021009376
(43)【公開日】2021-01-28
【審査請求日】2020-06-28
(31)【優先権主張番号】PCT/CN2019/093417
(32)【優先日】2019-06-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】519312957
【氏名又は名称】エーエーシー オプティックス ソリューションズ ピーティーイー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100128347
【弁理士】
【氏名又は名称】西内 盛二
(72)【発明者】
【氏名】王 海▲龍▼
【審査官】三宅 克馬
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-176146(JP,A)
【文献】特開2002-341217(JP,A)
【文献】特開2003-185954(JP,A)
【文献】特開2005-004170(JP,A)
【文献】特開2002-333563(JP,A)
【文献】特開2018-054798(JP,A)
【文献】特開2018-072799(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
レンズ鏡筒と前記レンズ鏡筒内に設けられる第1レンズとを備えるレンズユニットであって、
前記レンズ鏡筒は、互いに接続される筒型部と頂板とを備え、前記頂板は、前記筒型部の物体側に位置し、かつ、前記頂板は、前記筒型部から折り曲げて延在して形成され、前記第1レンズには、第1接続部が設けられ、前記頂板には、第2接続部が設けられ、
前記第1接続部と前記第2接続部とが係合することにより、前記第1レンズと前記頂板との間の固定が実施され、
前記第1接続部が柱状をなす中空でない位置決め柱であり、前記第2接続部が孔状をなす位置決め孔であり、または、
前記第1接続部が孔状をなす位置決め孔であり、前記第2接続部が柱状をなす中空でない位置決め柱であり、
前記第1レンズは、光学部と、前記光学部を周回して設けられる周辺部とを備え、前記周辺部は、前記レンズ鏡筒の内壁に接触し、前記第1接続部は、前記周辺部に設けられていることを特徴とするレンズユニット。
【請求項2】
前記第1接続部の数は、2つ以上であり、且つ2つ以上の前記第1接続部は、前記レンズユニットの光軸の周りに均一に設置され、前記第2接続部の数及び位置は、それぞれ前記第1接続部の数及び位置に対応することを特徴とする請求項1に記載のレンズユニット。
【請求項3】
前記第1接続部の数は、3つであることを特徴とする請求項2に記載のレンズユニット。
【請求項4】
前記レンズユニットは、第2レンズを更に備え、前記第2レンズは、前記第1レンズの像側に積層配置され、前記第1レンズには、第3接続部が更に設けられ、前記第2レンズには、第4接続部が設けられ、
前記第3接続部と前記第4接続部とが係合することにより、前記第1レンズと前記第2レンズとの間の固定が実施され、
前記第3接続部が位置決め柱であり、前記第4接続部が位置決め孔であり、または、
前記第3接続部が位置決め孔であり、前記第4接続部が位置決め柱であることを特徴とする請求項1に記載のレンズユニット。
【請求項5】
前記第3接続部と前記第1接続部は、前記第1レンズにおいてずらして設けられていることを特徴とする請求項に記載のレンズユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像レンズ技術分野に関し、特にレンズユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、科学技術の継続的な発展に伴い、電子機器は、インテリジェント化へ発展しつつある。デジタルカメラの他に、携帯型電子機器、例えば、タブレットPC、携帯電話等にも、レンズユニットが配備されている。
【0003】
従来技術では、レンズユニットは、一般的に、鏡筒、及びび、鏡筒内に収容されるレンズ群等を備え、レンズ群は、複数のレンズを備え、且つ複数のレンズのサイズが異なる。複数のレンズがレンズ鏡筒内に取り付けられる際、レンズは、基本的にレンズの外周面とレンズ鏡筒の内壁との貼り合わせによって固定を図るため、レンズ鏡筒の内壁が同時に複数のレンズと係合する必要がある。これで、レンズ及びびレンズ鏡筒の加工精度が非常に高く要求されるため、生産コストも高くなる。レンズの外径円形度が良くないときに、またはレンズ鏡筒の内壁円形度が良くないときに、レンズユニットの組立が困難であり、且つ組立後の安定性も低い。
【0004】
したがって、上記問題を克服する新型のレンズユニットを提供する必要が生じる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、生産コスト及びび組立難易度を低減して組立後の安定性を向上させることが可能であるレンズユニットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の解決手段は、下記のようになる。
本発明は、レンズユニットを提供する。当該レンズユニットは、レンズ鏡筒と前記レンズ鏡筒内に設けられる第1レンズとを備え、前記レンズ鏡筒は、互いに接続される筒型部と頂板とを備え、前記頂板は、前記筒型部の物体側に位置し、かつ、前記頂板は、前記筒型部から折り曲げて延在して形成され、前記第1レンズには、第1接続部が設けられ、前記頂板には、第2接続部が設けられ、前記第1接続部と前記第2接続部とが係合することにより、前記第1レンズと前記頂板との間の固定が実施され、前記第1接続部が柱状をなす中空でない位置決め柱であり、前記第2接続部が孔状をなす位置決め孔であり、または、前記第1接続部が孔状をなす位置決め孔であり、前記第2接続部が柱状をなす中空でない位置決め柱であり、
前記第1レンズは、光学部と、前記光学部を周回して設けられる周辺部とを備え、前記周辺部は、前記レンズ鏡筒の内壁に接触し、前記第1接続部は、前記周辺部に設けられている
【0007】
本発明は、下記の有利な作用効果を有する。本発明では、第1レンズがレンズ鏡筒の頂板に接続され、両者間が第1接続部と第2接続部とを介して位置決め係合を実施し、このような係合方式により、第1レンズまたはレンズ鏡筒の内壁円形度の不良による影響が回避可能であるため、第1レンズまたはレンズ鏡筒の内壁に対する精度要求が低減され、生産コスト及び組立難易度が低減され、組立後の安定性が向上する。
【0008】
更に、前記第1接続部の数は、2つ以上であり、且つ2つ以上の前記第1接続部は、前記レンズユニットの光軸の周りに均一に設置され、前記第2接続部の数及び位置は、それぞれ前記第1接続部の数及び位置に対応する。
【0009】
更に、前記第1接続部の数は、3つである。
【0011】
更に、前記レンズユニットは、第2レンズを更に備え、前記第2レンズは、前記第1レンズの像側に積層配置され、前記第1レンズには、第3接続部が更に設けられ、前記第2レンズには、第4接続部が設けられ、前記第3接続部と前記第4接続部とが係合することにより、前記第1レンズと前記第2レンズとの間の固定が実施され、前記第3接続部が位置決め柱であり、前記第4接続部が位置決め孔であり、または、前記第3接続部が位置決め孔であり、前記第4接続部が位置決め柱である。
【0012】
更に、前記第3接続部と前記第1接続部は、前記第1レンズにおいてずらして設けられている。
【0014】
本発明は、下記の有利な作用効果を有する。レンズユニットを組み立てる際に、先に2つのレンズを固定接続し、一緒に固定された2つのレンズを全体としてレンズ鏡筒内に入れることができるため、従来技術において2つのレンズがそれぞれレンズ鏡筒の内壁の異なる部位に係合する必要があることに比較すると、本発明は、レンズ鏡筒の内壁に係合する部品を少なくとも1つ削減したことに相当し、レンズ鏡筒への組立圧力の衝撃を軽減し、組立安定性を向上させ、レンズの外周円形度を考慮する必要もなくなり、更に、2つのレンズの位置決め結合の方式によってレンズの偏心状况を改善することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の実施例一のレンズユニットの断面図である。
図2】本発明の実施例一の第1レンズの構造模式図である。
図3】本発明の実施例二のレンズユニットの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下では、図面及び実施形態を組み合わせて本発明を更に説明する。
説明すべきことは、本発明の実施例におけるあらゆる方向性の指示(例えば、上、下、左、右、前、後…)が、単に、ある特定の姿勢(例えば、図面に示す)での各部品の間の相対位置関係、運動状況等を解釈するために用いられ、前記特定の姿勢が変化したときに、前記方向性の指示も対応して変化する。
【0017】
また、本発明に係る「第1」、「第2」等の記述は、単に記述の目的に用いられ、その相対的な重要性を示す或いは暗示すること、並びに、技術特徴の数を暗示的に示すこととは理解され得ない。したがって、「第1」、「第2」で限定された特徴は、少なくとも1つの上記特徴を明示的にまたは暗示的に含んでもよい。また、各実施例の間の技術案は、互いに組み合わせられてもよいが、当業者が実施できることを前提とせざるを得ない。技術案の組み合わせによって矛盾が出現するか実現できないときに、このような技術案の組み合わせが存在しないとして本発明の要求する保護範囲内にないと考えられるべきである。
【0018】
(実施例一)
図1図2を参照すると、本発明の実施例一は、レンズユニット10を提供し、レンズ鏡筒100と第1レンズ200を備え、第1レンズ200は、レンズ鏡筒100内に設けられている。
【0019】
レンズ鏡筒100は、互いに接続される筒型部110と頂板120を備え、筒型部110は、両端が開口する筒状をなし、頂板120は、板状をなし、頂板120は、筒型部110の物体側に位置し、頂板120は、筒型部110がレンズユニット10の光軸へ折り曲げて延在して形成され、且つ筒型部110は、頂板120と一体成形して設けられている。第1レンズ200には、第1接続部300が設けられ、頂板120における、第1接続部300に対応する位置には、第2接続部400が設けられ、第1接続部300と第2接続部400とが係合することにより、第1レンズ200と頂板120との間の固定は実施される。
【0020】
本実施形態のレンズユニット10では、第1レンズ200がレンズ鏡筒100の頂板120に接続され、両者間が第1接続部300と第2接続部400とを介して位置決め係合を実施し、筒型部110の内壁に精密に係合する必要がなくなり、このような係合方式により、第1レンズ200またはレンズ鏡筒100の内壁円形度の不良による影響が回避可能であるため、第1レンズ200またはレンズ鏡筒100の内壁に対する精度要求が低減され、生産コスト及び組立難易度が低減され、組立後の安定性が向上する。
【0021】
第1接続部300の数は、2つ以上であり、且つ2つ以上の第1接続部300は、レンズユニット10の光軸の周りに均一に設けられ、それ相応に、第2接続部400の数も2つ以上であり、且つ2つ以上の第1接続部300は、2つ以上の第2接続部400に一対一で対応して接続されている。
【0022】
本実施例において、第1接続部300の数も3つであり、対応する第2接続部400の数も3つである。本実施例のレンズユニット10に3つの第1接続部300と3つの第2接続部400を設けることにより、第1レンズ200と頂板120との間の非常に安定な接続関係を保証可能であるとともに、第1レンズ200及び頂板120の構造複雑度の増加も回避することができる。
【0023】
具体的に、本実施例において、第1接続部300は、位置決め孔であり、第2接続部400は、位置決め孔に係合する位置決め柱であり、位置決め柱は、頂板120と一体成形して設けられ、位置決め柱と位置決め孔との緊密な係合により、第1レンズ200は、レンズ鏡筒100の頂板120に安定的に取りつけることができる。無論、他の実施例では、第1接続部300が位置決め柱とされ、第2接続部400が位置決め孔とされてもよい。
【0024】
筒型部110は、頂板120に近接する第1内壁130を備え、頂板120の中心には、光透過孔が設けられ、当該光透過孔は、筒型部110の内部に連通する。第1レンズ200は、光学部210と、光学部210を周回して設けられる周辺部220とを備え、光学部210の一部は、光透過孔内に位置し、周辺部220は、第1内部に接触し、周辺部220の外径サイズは、第1内壁130の内径と略同じである。両者の間に位置決め係合の関係が必要がないため、周辺部220の外径および第1内壁130の内径の精度要求は、そんなに高くなくてもよい。第1接続部300が周辺部220に設けられることにより、第1レンズ200と頂板120との間の接続が第1レンズ200の光透過性能へ影響しないことは、保証可能である。
【0025】
更に、レンズユニット10は、第2レンズ600を更に備え、第2レンズ600は、第1レンズ200の像側に積層配置され、第1レンズ200には、第3接続部500が更に設けられ、第2レンズ600には、第4接続部700が設けられ、第3接続部500と第4接続部700とが係合することにより、第1レンズ200と第2レンズ600との間の固定は実施される。理解できるように、第3接続部500は、第2レンズ600の物体側面に近接して設けられ、それ相応に、第4接続部700は、第1レンズ200の像側面に近接して設けられている。
【0026】
本実施例のレンズユニット10では、第2レンズ600が第1レンズ200に接続され、レンズユニット10を組み立てる際に、先に第2レンズ600を第1レンズ200に固定接続し、その後第1レンズ200と第2レンズ600とを全体としてレンズ鏡筒100内に入れて、第1レンズ200とレンズ鏡筒100の頂板120とを係合させることが可能であるため、本発明は、レンズ鏡筒100の内壁に係合する部品を削減したことに相当し、レンズ鏡筒100への組立圧力の衝撃を軽減し、組立安定性を向上させ、そして、第1レンズ200と第2レンズ600の外周円形度を考慮する必要もなくなり、更に、第1レンズ200と第2レンズ600との結合の方式によって第2レンズ600の偏心状况を改善することができる。
【0027】
第3接続部500の数は、2つ以上であり、且つ2つ以上の第3接続部500は、レンズユニット10の光軸の周りに均一に設けられ、それ相応に、第4接続部700の数も2つ以上であり、且つ2つ以上の第4接続部700は、2つ以上の第3接続部500に一対一で対応して接続されている。
【0028】
本実施例において、第3接続部500の数は、3つであり、対応する第2接続部400の数も3つである。本実施例のレンズユニット10では、3つの第3接続部500と3つの第4接続部700とが設けられているため、第1レンズ200と第2レンズ600の間の非常に安定な接続関係が保証可能であるとともに、第1レンズ200と第2レンズ600の構造複雑度の増加も回避することができる。
【0029】
具体的に、本実施例において、第3接続部500は、位置決め柱であり、位置決め柱は、第1レンズ200と一体成形して設けられ、第4接続部700は、位置決め柱に係合する位置決め孔であり、位置決め柱と位置決め孔との緊密な係合により、第2レンズ600を第1レンズ200に安定的に取りつけることができる。無論、他の実施例では、第3接続部500が位置決め孔とされ、第4接続部700が位置決め柱とされてもよい。
【0030】
更に、第3接続部500と第1接続部300は、第1レンズ200においてずらして設けられ、第1レンズ200の取付と第2レンズ600の取付とが互いに影響しないことを保証することができる。
【0031】
理解できるように、他の実施例において、レンズユニット10は、2つのレンズを含むだけではなく、例えば、第1レンズ200と第2レンズ600以外に、第3レンズ、第4レンズ等を含んでもよい。第3レンズは、直接レンズ鏡筒100の内壁に係合することで固定を実施してもよく、第2レンズ600と第1レンズ200との間の接続方式に類似する方式によって第2レンズ600に接続されて固定を図ってもよい。第4レンズは、直接レンズ鏡筒100の内壁に係合することで固定を実施してもよく、第2レンズ600と第1レンズ200との間の接続方式に類似する方式によって第3レンズに接続されて固定を実施してもよい。
【0032】
(実施例二)
図3を参照すると、本発明の実施例二は、レンズユニット20を提供する。当該レンズユニット20は、レンズ鏡筒100と、レンズ鏡筒内に設けられる隣り合う2つのレンズとを備える。そのうちの一方のレンズに位置決め孔が設けられ、他方のレンズに位置決め柱が設けられ、前記位置決め孔と前記位置決め柱とが係合することにより、2つのレンズの間の固定が実施される。
【0033】
本実施例のレンズユニット20では、位置決め柱と位置決め孔によって先に2つのレンズを固定し、2つのレンズのなす全体をレンズ鏡筒100内に入れるため、従来技術において2つのレンズがそれぞれレンズ鏡筒100の内壁の異なる部位に係合することに比較すると、本実施例は、レンズ鏡筒100の内壁に係合する部品を少なくとも1つ削減したことに相当し、レンズ鏡筒100への組立圧力の衝撃を軽減し、組立安定性を向上させ、更に、この隣り合う2つのレンズの位置決め係合の方式によってレンズの偏心状况を改善することができる。
【0034】
この2つのレンズは、更に、レンズ鏡筒100内の何れか2つの隣り合うレンズであってもよい。本実施例において、この2つの隣り合うレンズは、それぞれレンズユニット20の物体側から像側へ向かって順に配置される第1レンズ200と第2レンズ600であり、第1レンズ200に位置決め柱が設けられ、第2レンズ600に位置決め孔が設けられている。無論、第1レンズ200に位置決め孔が設けられ、第2レンズ600に位置決め柱が設けられてもよい。
【0035】
本実施例の位置決め柱の数、構造は、実施例一における第3接続部500と同じであり、本実施例の位置決め孔の数、構造は、実施例一における第4接続部700と同じであり、ここで繰り返し説明しない。
【0036】
上述したのは、本発明の実施形態に過ぎない。ここで、注意すべきことは、当業者であれば、本発明の創造的発想から逸脱しない限り、改良をなすことも可能であり、これらの改良が何れも本発明の保護範囲に含まれる。
図1
図2
図3