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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-15
(45)【発行日】2022-01-14
(54)【発明の名称】微細気泡水生成器付きシャワーホース
(51)【国際特許分類】
   A47K 3/28 20060101AFI20220106BHJP
   B01F 23/20 20220101ALI20220106BHJP
   B01F 25/40 20220101ALI20220106BHJP
   B05B 1/02 20060101ALI20220106BHJP
   B05B 1/18 20060101ALI20220106BHJP
   B05B 1/34 20060101ALI20220106BHJP
【FI】
A47K3/28
B01F3/04 Z
B01F5/06
B05B1/02 101
B05B1/18 101
B05B1/34 101
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2020172454
(22)【出願日】2020-10-13
【審査請求日】2020-11-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000154233
【氏名又は名称】株式会社富士計器
(74)【代理人】
【識別番号】100098589
【弁理士】
【氏名又は名称】西山 善章
(74)【代理人】
【識別番号】100098062
【弁理士】
【氏名又は名称】梅田 明彦
(74)【代理人】
【識別番号】100147599
【弁理士】
【氏名又は名称】丹羽 匡孝
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 正志
【審査官】中村 百合子
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-93940(JP,A)
【文献】特開2012-130901(JP,A)
【文献】登録実用新案第3208970(JP,U)
【文献】特開2014-57915(JP,A)
【文献】特開2019-25451(JP,A)
【文献】韓国登録特許第10-1889070(KR,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47K 3/02-4/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シャワーホースの少なくとも一端が接続金具を介してシャワーヘッド若しくは給水栓と着脱自在であるシャワー設備に取り付け可能な微細気泡水生成器付きシャワーホースであって、
微細気泡発生器と、
前記微細気泡発生器の一端に設けられ前記シャワーヘッドの給水口に着脱自在に接続可能なシャワーヘッド取付部と、
前記微細気泡発生器の他端に設けられ前記給水栓の放水口に着脱自在に接続可能な給水栓取付部と、
一端に前記シャワーヘッド取付部及び前記接続金具の何れにも接続可能な第1接続部を有し、他端に前記給水栓取付部及び前記接続金具の何れにも接続可能な第2接続部を有する取付具と、
を備え、
前記シャワーヘッドと前記シャワーホースとが着脱自在なシャワー設備にあっては、前記第1接続部で前記接続金具に接続して前記第2接続部で前記給水栓取付部に接続する共に、前記シャワーヘッド取付部を前記給水口に接続することで前記シャワーヘッドと前記シャワーホースとの間に取り付けることができ、
前記給水栓と前記シャワーホースとが着脱自在なシャワー設備にあっては、前記第1接続部で前記シャワーヘッド取付部に接続して前記第2接続部で前記接続金具に接続すると共に、前記給水栓取付部を前記放水口に接続することで前記給水栓と前記シャワーホースとの間に取り付けることができる微細気泡水生成器付きシャワーホース。
【請求項2】
一端に前記シャワーヘッド取付部が設けられ、他端に前記給水栓取付部が設けられる可撓性のホース部の中に前記微細気泡発生器を配置した請求項1に記載の微細気泡水生成器付きシャワーホース。
【請求項3】
前記微細気泡発生器は、
水の流れる方向に沿って径が漸次縮小していく第1通水路と、
前記第1通水路の入口側に設けられて複数の取水孔が穿設されている取水プレートと、
前記第1通水路の出口側に連通して水の流れ方向に沿って径が漸次増大していく第2通水路と、
を有する請求項1又は2に記載の微細気泡水生成器付きシャワーホース。
【請求項4】
前記取水孔は、その入口側から出口側に向けての中心軸が前記取水プレートの中心軸に対し傾斜している請求項3に記載の微細気泡水生成器付きシャワーホース。
【請求項5】
前記第1通水路と前記第2通水路とは、それぞれの最大径部の径寸法は前記第1通水路が大きく、水道水の流れる方向に沿ったそれぞれの長さ寸法は前記第2通水路が大きくなるよう設けた請求項3に記載の微細気泡水生成器付きシャワーホース。
【請求項6】
前記取水プレートの取水プレート厚寸法は直径寸法の少なくとも1/4以上である請求項3に記載の微細気泡水生成器付きシャワーホース。
【請求項7】
前記取水孔は、円状に等間隔で複数設けられた請求項3に記載の微細気泡水生成器付きシャワーホース。
【請求項8】
前記取水孔を水の入口側から出口側に向けて屈曲形成された請求項3に記載の微細気泡水生成器付きシャワーホース。
【請求項9】
前記取水孔の内面には乱流を発生するための凹凸面を形成した請求項3に記載の微細気泡水生成器付きシャワーホース。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水に微細気泡を含ませる微細気泡水生成器に関し、特に家庭のシャワー設備に簡単に取り付けることができる微細気泡水生成器付きシャワーホースに関する。
【背景技術】
【0002】
微細気泡とは、気泡の直径がおよそ100μm以下のマイクロバブルやナノバブル(直径50~500nm程度)のことであり、毛穴よりも微小な小さな水泡が毛穴や汗腺の汚れ、繊維組織間の隙間等に入り込んでいる汚れを効果的に除去することができ、近年急速に、特に美容や健康の分野において利用されてきている。
【0003】
このような微細気泡を多く含有する水を発生するには、高速せん断方式、加圧圧壊方式、キャビテーション方式などが知られているが、その多くが、アスピレータ方式などで、外部から空気を吸引している。或いは、強制注入している。その一つとして、加速手段にて加速される液体、及び気液混合手段によりケーシングに導入される気体(直径が数ミリ程度の気泡)から成る混合流体をケーシング内でキャビテーションを起こさせて、マイクロバブルを発生するマイクロバブル発生装置が知られている(例えば、特許文献1を参照)。
【0004】
また、外部から空気を吸入することなしに、水の中に溶融しているいわゆる溶存空気からキャビテーション方式によってマイクロバブルを発生させる方式としては、入口から出口に向かいその中心軸に直交する断面積を漸減する通水用入口側の第1ノズルと、第1ノズルの出口から連通して設けられた連通路を介して連続して配設され、入口から出口に向かってその中心軸に直交する断面積を漸増する通水用出口側の第2ノズルと、前記連通路にのみ開口した隙間又は側室とを有するマイクロバブル発生装置が知られている(例えば、特許文献2を参照)。
【0005】
そして、水の中の溶存空気からキャビテーション方式によってマイクロバブルを発生させる方式のマイクロバブル発生器を美容や健康面での効果に応用したものとしては、シャワーヘッドが知られている(例えば、特許文献3を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2007-21343号公報
【文献】特開2009-136864号公報
【文献】特開2016-2196号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1によるマイクロバブル発生装置は、タンクに貯留した水を加速して行う気液混合は装置が大型化し、水道直結される家庭用のシャワー設備には不向きである。
【0008】
また、特許文献2によるマイクロバブル発生装置は、側室を備える連通路で急膨張した水流を第2ノズルで絞りによる減圧するために、使用するのに十分な量の水が供給できなくなることがある。そのため、そのときの水道圧の状況に応じて側室の軸流方向での幅サイズを調整しなければならず、簡単には家庭の風呂のシャワー設備に取り付けることはできない。
【0009】
特許文献3は、マイクロバブルを発生する家庭用のシャワーヘッドであるが、マイクロバブル生成器は予めシャワーヘッドに組み込まれており、既存の家庭用のシャワー設備にマイクロバブル発生器を取り付けるように構成されたものではない。
【0010】
ところで、既存のシャワー設備に後から微細気泡水発生器を取り付け可能にする場合には次に述べる課題がある。図1は、家庭用のシャワー設備の一例を示している。シャワーホース10は両端にはそれぞれ接続金具13が取り付けられている。シャワーヘッド11の円筒の給水口11aの外周にはオネジが形成されて、給水口11aが嵌め込まれる接続金具13の内周にはメネジが形成されており、両者が螺合することでシャワーホース10とシャワーヘッドとが連結される。また、水と湯とを混合して供給する給水栓12の円筒の放水口12aの外周にはオネジが形成されて、放水口12aが嵌め込まれる接続金具13の内周にはメネジが形成されており、両者の螺合によりシャワーホース10と給水栓12とが連結される。
【0011】
このような既存のシャワー設備に微細気泡水生成器14を取り付けようとするとき、微細気泡水生成器14はシャワーホース10とシャワーヘッド11との間、又は給水栓12とシャワーホース10との間に取り付けることになる。しかしながら、シャワーホース10の両端の接続金具13は給水口11aや放水口12aが嵌め込まれる受け口構造となっているため、微細気泡水生成器14をシャワーホース10とシャワーヘッド11の間に介在させるには、微細気泡水生成器14のシャワーホース10側の端部(説明しやすくするため、「A側」と呼ぶ)は、給水口11aと同じく外周にオネジが形成された取付構造で、シャワーヘッド11側の端部(説明しやすくするため、「B側」と呼ぶ)は、接続金具13と同じく内周にメネジが形成された受け口構造とする必要がある。
【0012】
一方、かかる微細気泡水生成器14を放水口12aとシャワーホース10との間に介在させるには、B側を放水口12aに接続して、A側を給水口11aに取り付けることになり、微細気泡水生成器14を逆に取り付けざるを得ず、微細気泡水生成器14内での水道水の流れ方向は逆となり、接続ができても微細気泡水生成器14としては機能しない。
【0013】
したがって、微細気泡水生成器14をシャワー設備に取り付ける場合は、シャワーホース10とシャワーヘッド11との間、又は給水栓12とシャワーホース10との間の何れかに限られる。しかしながら、図1に示すシャワー設備のシャワーホース10は、放水口12a及び給水口11aの何れにも着脱自在であるが、一方の側しか着脱できないものも存在しており、この場合には、微細気泡水生成器を後で取り付けることができないことになる。
【0014】
上記点から本発明は、シャワーホースとシャワーヘッドとの間、又は給水栓とシャワーホースとの間の何れにも取り付け可能な微細気泡水生成器付きシャワーホースを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記課題を解決するために、本発明の微細気泡水生成器付きシャワーホースは、シャワーホースの少なくとも一端が接続金具を介してシャワーヘッド若しくは給水栓と着脱自在であるシャワー設備に取り付け可能な微細気泡水生成器付きシャワーホースであって、微細気泡発生器と、前記微細気泡発生器の一端に設けられ前記シャワーヘッドの給水口に着脱自在に接続可能なシャワーヘッド取付部と、前記微細気泡発生器の他端に設けられ前記給水栓の放水口に着脱自在に接続可能な給水栓取付部と、一端に前記シャワーヘッド取付部及び前記接続金具の何れにも接続可能な第1接続部を有し、他端に前記給水栓取付部及び前記接続金具の何れにも接続可能な第2接続部を有する取付具と、を備え、前記シャワーヘッドと前記シャワーホースとが着脱自在なシャワー設備にあっては、前記第1接続部で前記接続金具に接続して前記第2接続部で前記給水栓取付部に接続する共に、前記シャワーヘッド取付部を前記給水口に接続することで前記シャワーヘッドと前記シャワーホースとの間に取り付けることができ、前記給水栓と前記シャワーホースとが着脱自在なシャワー設備にあっては、前記第1接続部で前記シャワーヘッド取付部に接続して前記第2接続部で前記接続金具に接続すると共に、前記給水栓取付部を前記放水口に接続することで前記給水栓と前記シャワーホースとの間に取り付けることができる。
【0016】
この場合、一端に前記シャワーヘッド取付部が設けられ、他端に前記給水栓取付部が設けられる可撓性のホース部の中に前記微細気泡発生器を配置することで、シャワー使用時の便宜性が向上する。
【0017】
そして、前記微細気泡発生器は、水の流れる方向に沿って径が漸次縮小していく第1通水路と、前記第1通水路の入口側に設けられて複数の取水孔が穿設されている取水プレートと、前記第1通水路の出口側に連通して水の流れ方向に沿って径が漸次増大していく第2通水路と、を有する。
【0018】
さらに、前記取水孔は、その入口側から出口側に向けての中心軸が前記取水プレートの中心軸に対し傾斜させることで、取水孔から斜めに放出された水は、第1通水路の内壁を旋回して流速を上げながら下流へ進み、第2通水路で拡散して放出されるため、通常の水道水圧の下で、水中の溶存空気から効果的にキャビテーション由来の微細気泡が生成される。
【0019】
前記第1通水路と前記第2通水路とは、それぞれの最大径部の径寸法は前記第1通水路が大きく、水道水の流れる方向に沿ったそれぞれの長さ寸法は前記第2通水路が大きくなるよう設けることで、水道水は第1通水路で急激に絞られて、第2通水路へ高圧で吹き出されるため、大きな圧力差を生じて効果的にキャビテーション気泡が発生する。
【0020】
前記取水プレートの取水プレート厚寸法は直径寸法の少なくとも1/4以上とすることで、水は勢いよく第1通水路へ流出し、回転率の高い旋回流が第1通水路内に形成されて、効果的に多数の微細気泡を発生させることができる。このとき、前記取水孔を入口側から出口側に向けて屈曲形成することで、取水孔には捻じれが生じるため、水はより回転率の高い旋回流となって第1通水路へ導入される。さらに、前記取水孔は、円状に等間隔で複数設けるとよい。
【0021】
そして、前記取水孔の内面には乱流を発生するための凹凸面を形成することでも効果的に多数の微細気泡を発生させることができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明による微細気泡水生成器付きシャワーホースは、取付具をシャワーヘッド取付部又は給水栓取付部の何れかに接続することで、シャワーヘッドとシャワーホースとの間、若しく
給水栓とシャワーホースとの間の何れにも取り付けることができる。よって、既存のシャワー設備において、シャワーホースがシャワーヘッド及び給水栓の少なくとも一方と着脱自在であれば、微細気泡水生成器を取り付けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】一般的な家庭用シャワー設備の構成図を示す。
図2】本発明に係る微細気泡水生成器付きシャワーホースの外観図を示す。
図3】本発明に係る微細気泡水生成器付きシャワーホースをシャワーヘッドとシャワーホースとの間に取り付けた状態の説明図を示す。
図4】微細気泡水生成器付きシャワーホースにおいて、シャワーヘッド取付部に取付具を取り付ける説明図を示す。
図5】本発明に係る微細気泡水生成器付きシャワーホースを給水栓とシャワーホースとの間に取り付けた状態の説明図を示す。
図6】微細気泡発生器の側断面図を示す。
図7】取水プレートの平面図と側面図とを示す。
図8】微細気泡発生器でのキャビテーション気泡の生成を説明する模式図を示す。
図9】取水孔の変形例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明による微細気泡水生成器付きシャワーホース1の実施形態を図面を参照して説明する。図2は、微細気泡水生成器付きシャワーホース1の外観斜視図を示し、可撓性のホース部2の両端にシャワーヘッド11の給水口11aに着脱自在に接続可能なシャワーヘッド取付部3と、給水栓12の放水口12aに着脱自在に接続可能な給水栓取付部4とを設けて構成され、ホース部2の中に微細気泡発生器(ここでは図示せず)が配設されている。かかる微細気泡水生成器付きシャワーホース1を図1に示したシャワー設備に取り付ける場合で説明していく。
【0025】
シャワーヘッド取付部3と給水栓取付部4のそれぞれには、外周にオネジが形成された円筒の放水口12aや給水口11aと螺合するメネジが形成されている。すなわち、シャワーホース10の接続金具13と同じ構造となっている。
【0026】
そして、微細気泡水生成器付きシャワーホース1は取付具6を備えており、取付具6は、一端にシャワーヘッド取付部3及び接続金具13の何れにも接続可能な第1接続部6aを有し、他端に給水栓取付部4及び接続金具13の何れにも接続可能な第2接続部6bを有している。よって、第1接続部6aは、シャワーヘッド11の給水口11aと同様の外周にオネジが形成された円筒で構成され、第2接続部6bは、シャワーホース10の接続金具13と同様の内周にメネジが形成された円筒で構成されている。図示のものは、取付具6を第1接続部6aで給水栓取付部4に螺合で接続している。
【0027】
取付具6を図2で示したように、第1接続部6aでホース部2の給水線取付部4に接続したとき、第2接続部6bをシャワーホース10のシャワーヘッド11側の接続金具13に接続すると共に、シャワーヘッド取付部3を給水口11aに接続すれば、微細気泡水生成器付きシャワーホース1を図4に示すように、シャワーホース10とシャワーヘッド11の間に取り付けることができる。
【0028】
また、取付具6を図4に示すように、第1接続部6aでホース部2のシャワーヘッド取付部3に接続したとき、第2接続部6bをシャワーホース10の給水栓12側の接続金具13に接続すると共に、給水栓取付部4を放水口12aに接続すれば、微細気泡水生成器付きシャワーホース1を図5に示すように、給水栓12とシャワーホース10との間に取り付けることができる。
【0029】
このようにして、取付具6を接続方向を逆にしてホース部2の給水栓取付部4又はシャワーヘッド取付部3に付け替えることで、微細気泡水生成器付きシャワーホース1をシャワーホース10とシャワーヘッド11との間、又は給水栓12とシャワーホース10との間の何れに取り付けても、ホース部2の中に配設されている微細気泡発生器5に流れる水道水の方向は変わらず、微細気泡発生器5は有効に微細気泡を生成することができる。
【0030】
このようにシャワーホース10が給水栓12又はシャワーヘッド11の何れからも着脱自在なシャワー設備においては、取り付けやすい側を選んで微細気泡水生成器付きシャワーホース1をシャワーホースとシャワーヘッドとの間、又は給水栓とシャワーホースとの間の何れに任意に取り付けることができる。このことは、シャワーホース10が給水栓12若しくはシャワーヘッド12のいずれか一方としか着脱できない場合には、少なくともシャワーヘッド11と給水栓12の一方がシャワーホース10と着雑自在であれば微細気泡水生成器付きシャワーホース1をシャワー設備に後付けで取り付けることができることを意味している。
【0031】
次に、ホース部2内に配設されている微細気泡発生器5について説明する。図6は微細気泡発生器5の構成を側断面図で示し、微細気泡発生器5は、取水側端に円形の取水プレート17を備える。取水プレート17は、その外周の側部が微細気泡発生器5の内周と螺合して嵌め込まれている。そして、取水側の周端には、水道水を取り込みやすいようテーパ18が環状に形成されている。
【0032】
本例では、取水プレート17は、例えば、直径寸法dが13.5mmに対して、厚さ寸法tを5mmとしている。取水プレート17は、図7(a)に示すように、平面上に等間隔で軸方向に貫通する4個の丸孔の取水孔20が円状に穿設されている。取水孔20は、図7(b)の側面図で示すように、水道水の入口側から出口側に向けての中心軸線Lが取水プレート17の中心軸線Hに対して、所定の角度αで、例えば15度で傾斜させた斜円柱の形状で取水プレート17に穿設されている。
【0033】
このときの各取水孔20の傾斜方向は、矢印で示すように同図で左回りの方向に向いて形成されている。これにより、水平方向に送られてくる水道水は、各取水孔20を通過することで傾斜した方向に放出されるため、水道水流にひねりが加えられることになる。よって、取水プレート17は、放出する水流と同じ回転方向の左ネジでノズル部7の内周と螺合させることで、ネジの締め付け方向と放出する水流の回転方向とが一致して緩むことがない。尚、図7(b)では、取水孔20の1つだけを代表して示している。
【0034】
微細気泡発生器5の導水路は、取水プレート17から中心部にいくにしたがい内径が徐々に狭まる第1通水路21と、第1通水路21に接続する絞り部22と、絞り部22に接続し出口側に向け内径が徐々に広がる第2通水路23とが形成されている。
【0035】
本例においては、第1通水路21の入口側の口径は、第2通水路23の出口側の口径より大きく設定されており、第1通水路21と第2通水路23との軸方向の寸法は第2通水路23より長く設定されている。尚、この第1通水路21の入り口の口径と長さは、水圧や微細気泡の発生量をコントロールするため、状況に応じて種々のサイズが考えられる。そして、絞り部22は、第1及び第2通水路21,23の径の小さい側の端部どうしを連通するよう設けられている。
【0036】
上記構成の微細気泡発生器5における微細気泡の生成作用について説明する。ホース2供給される給水栓12からの水道水は、先ず取水プレート17の各取水孔20を通過するが、水道水は斜円柱の形状の取水孔20を通過することで、取水プレート17の中心軸線方向からは外れて斜めの方向へ流出していく。
【0037】
これにより、取水孔20を通過した後の水道水は、第1通水路21の内壁に斜めから突き当たるため、図8に模式的に示すように螺旋状に旋回しながら絞り部22へ進む。そして、第1通水路21は絞った構造であるため、絞り部22に向けて近づくほど速度を上げ、絞り部22から第2通水路23へ放出される。
【0038】
こうして速度を増した水は、絞り部22から高圧で吹き出されて、第2通水路23内で拡散される。これによって急激な圧力低下が生じて、沸騰現象により水道水中には無数の微細なキャビテーション気泡が第2通水路23内に発生して噴射される。よって、通常の水道水圧の下で、水道水中の溶存空気から効果的にキャビテーション由来の微細気泡が生成されて、シャワーヘッド11へ供給される。
【0039】
このとき、ノズル6の第1通水路21の入口側の口径が第2通水路23の出口側の口径より大きく、且つ第1通水路21と第2通水路23との軸方向の寸法は第2通水路23より短いと、水道水は急激に絞られることでより高圧で吹き出されるため、大きな圧力差を生じて効果的にキャビテーション気泡が発生する。
【0040】
また、取水孔20を図9(a)に示すように孔の内壁表面を凹凸面20aとすることで、水は乱流度を上げながら取水孔20から放出される。本例では多数の突起を設けて凹凸面20aを形成している。このように乱流度を向上させると水道水中の溶存空気が取り出しやすくなり、微細気泡発生器5内でキャビテーション気泡が効果的に発生させることができる。
【0041】
さらに、取水孔20の形状を図9(b)に示すように、入口側から出口側に向けての斜円柱に屈曲部を設けて捻じれを加えた形状とするとよい。これにより、取水孔20の中を通過する水道水の流れには捻りが生じ、第1通水路21ではより回転率の高い旋回流を発生させることができるこれにより、取水孔20の内壁の凹凸面20aと相俟って乱流度が更に高まり、微細気泡発生器5内でのキャビテーション気泡の発生効果を向上させることができる。
【0042】
本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づき種々の変形が可能である。例えば、取水孔20は、設置される水道水の配管等の流量に応じて最大でも20個程度まで設けることができる。したがって、取水孔20の数が多くなるときには、円状に等間隔で配置するよりは、取水プレート17の平面に一様に均しく配置するのが好ましい。
【0043】
そして、上記実施形態は、第1通水路21の入口側の口径を第2通水路23の出口側の口径より大きくして、中心軸方向での距離は第2通水路23の方を長くしているが、同一口径として絞り部22を中心に対称となる形状で構成してもよい。要は、第1通水路21から吹き出される水道水の圧力と、第2通水路23内での拡散による低下する圧力との関係で、適切な量と微細気泡としての高品質のキャビテーション気泡が生成できるように設定するものである。
【0044】
そして、さらに効率良く微細気泡を生成するには、前段の微細気泡発生器5の第2通水路23に後段の微細気泡発生器5の第1通水路21を接続する関係で複数の微細気泡発生器5を直列に配置して、キャビテーション発生を繰り返す構成にするとよい。
【0045】
このようにして、微細気泡発生器5で生成されシャワーヘッド11から吹き出される微細気泡水のシャワーを浴びると、微細気泡が毛穴に浸透し皮脂汚れを掻き出して、毛根の活性化や美肌効果がある。
【0046】
以上の実施態様による本発明に係る微細気泡発生器5を説明したが、取水プレート17の取水孔20の形状を入口側から出口側に向けての中心軸が取水プレート17の中心軸に対し傾斜している斜円柱の形状とすることで、水道水は第1通水路21を旋回しながら通過していくために、取水孔20を取水プレート17の中心軸に沿った形状の真円柱とした場合と比べて、第2通水路23へ吹き出されるときの速度が速く、水道水中に微細なキャビテーション気泡を生成することができる。
【0047】
また、第1通水路21に旋回流を発生させるとき、回転率が高い有効な旋回流を発生させるほど、水道水中に多数の微細気泡を発生させることができる。よって、回転率の高い有効な旋回流を発生させるには、厚さがある取水プレート17を用いて取水孔20の軸方向での長さ寸法を充分に確保する。その場合の、厚さの目安としては、図7(b)で説明すれば、取水プレート17の厚さ寸法をt、直径寸法をdとしたときの比(t/d)を1/4以上に設定するのがよい。本例では、直径寸法dが13.5mmに対して、厚さ寸法tを5mmとしている。
【0048】
このように取水プレート厚の寸法tを直径寸法dの少なくとも1/4以上に設定して、取水孔11の奥行き方向の中心軸の距離を長くすれば水道水は勢いよく流出し、回転率の高い旋回流が第1通水路21内に形成されて、効果的に多数の微細気泡を発生させることができる。
【0049】
本発明に係る微細気泡発生器5によれば、一般家庭に供給されている水道水の中に含まれている空気を利用して、キャビテーションにより微細気泡を効果的に発生させることができる。水道直結の場合に、一般的な水道水圧は1.5kgf/cmから3kgf/cm(0.15乃至0.3MPa)が下限とされており、ノズル部22では、一般家庭に供給されている水道水の中に含まれている空気をこの水道水圧だけで、キャビテーションにより微細化された気泡を含む水道水にすることができる。この場合の水道水圧は、2.0乃至4.0kgf/cm(0.2乃至0.39MPa)で供給されるのが最適である。
【0050】
本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づき種々の変形が可能である。例えば、取水孔11は、設置される水道水の配管等の流量に応じて最大でも20個程度まで設けることができる。したがって、取水孔11の数が多くなるときには、円状に等間隔で配置するよりは、取水プレート7の平面に一様に均しく配置するのが好ましい。
【0051】
そして、通水部8においても、上記実施形態は、第1通水路21の入口側の口径を第2通水路23の出口側の口径より大きくして、中心軸方向での距離は第2通水路23の方を長くしているが、同一口径として絞り部22を中心に対称となる形状で構成してもよい。要は、第1通水路21から吹き出される水道水の圧力と、第2通水路23内での拡散による低下する圧力との関係で、適切な量と微細気泡としての高品質のキャビテーション気泡が生成できるように設定するものである。
【0052】
そして、さらに効率良く微細気泡を生成するには、前段の微細気泡生成器5の第2通水路23に後段の微細気泡生成器5の第1通水路21を接続する関係で、複数の微細気泡生成器5をホース部2内に直列に配置して、キャビテーション発生を繰り返す構成にするとよい。
【符号の説明】
【0053】
1 微細気泡水生成器付きシャワーホース
3 シャワーヘッド取付部
4 給水栓取付部
5 微細気泡発生器
6 取付具
6a 第1接続部
6b 第2接続部
10 シャワーホース
11 シャワーヘッド
11a 給水口
12 給水栓
12a 放水口
13 接続金具
17 取水プレート
20 取水孔
21 第1通水路
23 第2通水路
【要約】      (修正有)
【課題】シャワーホースとシャワーヘッドとの間、又は給水栓とシャワーホースとの間の何れにも取り付け可能な微細気泡水生成器付きシャワーホースを提供する。
【解決手段】シャワーホース10の少なくとも一端が接続金具13を介してシャワーヘッド11若しくは給水栓12と着脱自在であるシャワー設備に取り付け可能な微細気泡水生成器付きシャワーホースは、微細気泡発生器と、シャワーヘッド11の給水口に着脱自在に接続可能なシャワーヘッド取付部と、給水栓12の放水口12aに着脱自在に接続可能な給水栓取付部と、取付具と、を備える。取付具は、シャワーヘッド取付部及び接続金具13の何れにも接続可能な第1接続部を有し、他端に給水栓取付部及び接続金具13の何れにも接続可能な第2接続部を有する。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9