IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 東北発電工業株式会社の特許一覧 ▶ フジムラインベント株式会社の特許一覧

特許6994590固形燃料製造システム、固形燃料製造方法、及び、固形燃料
<>
  • 特許-固形燃料製造システム、固形燃料製造方法、及び、固形燃料 図1
  • 特許-固形燃料製造システム、固形燃料製造方法、及び、固形燃料 図2
  • 特許-固形燃料製造システム、固形燃料製造方法、及び、固形燃料 図3
  • 特許-固形燃料製造システム、固形燃料製造方法、及び、固形燃料 図4
  • 特許-固形燃料製造システム、固形燃料製造方法、及び、固形燃料 図5
  • 特許-固形燃料製造システム、固形燃料製造方法、及び、固形燃料 図6
  • 特許-固形燃料製造システム、固形燃料製造方法、及び、固形燃料 図7
  • 特許-固形燃料製造システム、固形燃料製造方法、及び、固形燃料 図8
  • 特許-固形燃料製造システム、固形燃料製造方法、及び、固形燃料 図9
  • 特許-固形燃料製造システム、固形燃料製造方法、及び、固形燃料 図10
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-15
(45)【発行日】2022-01-14
(54)【発明の名称】固形燃料製造システム、固形燃料製造方法、及び、固形燃料
(51)【国際特許分類】
   C10L 5/48 20060101AFI20220106BHJP
【FI】
C10L5/48
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2021006190
(22)【出願日】2021-01-19
(62)【分割の表示】P 2020114611の分割
【原出願日】2020-07-02
(65)【公開番号】P2021175788
(43)【公開日】2021-11-04
【審査請求日】2021-01-19
(31)【優先権主張番号】P 2020078692
(32)【優先日】2020-04-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000222071
【氏名又は名称】東北発電工業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】510119577
【氏名又は名称】株式会社DAインベント
(74)【代理人】
【識別番号】100131428
【弁理士】
【氏名又は名称】若山 剛
(72)【発明者】
【氏名】石川 真也
(72)【発明者】
【氏名】本田 英信
(72)【発明者】
【氏名】杤本 信彦
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 克久
【審査官】岡田 三恵
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-199542(JP,A)
【文献】特開2011-031226(JP,A)
【文献】特開2011-218344(JP,A)
【文献】特開2010-195994(JP,A)
【文献】特開2012-179560(JP,A)
【文献】特開2000-015635(JP,A)
【文献】特開平11-263871(JP,A)
【文献】特表2010-514881(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0157659(US,A1)
【文献】米国特許第04153514(US,A)
【文献】特開2010-037536(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C10L 5/48
B09B 3/00
C08J 11/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
廃プラスチックを含む原料を水熱反応により微粒子に分解するとともに前記微粒子を洗浄することにより製造される固形燃料であって、
前記固形燃料の平均粒径が、1180μm未満であるとともに、
前記固形燃料の塩素濃度が、0.30重量%濃度以下であり、
前記原料の分解は、前記原料と、水酸化物の水溶液と、を反応室に導入することにより行われ、
前記微粒子の洗浄は、前記分解の後に、前記反応室に導入された分散液にて前記微粒子が分散する懸濁液を攪拌することにより行われ、
前記廃プラスチックは、塩素含有物質を含み、
前記水熱反応において、前記反応室が保持する亜臨界水の圧力は、1.5MPa乃至3.5MPaの圧力であるとともに、前記亜臨界水の温度は、180℃乃至250℃の温度である、固形燃料。
【請求項2】
請求項1に記載の固形燃料であって、
前記固形燃料の平均粒径が、600μm未満であるとともに、
前記固形燃料の塩素濃度が、0.24重量%濃度以下である、固形燃料。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の固形燃料であって、
前記固形燃料のハードグローブ粉砕性指数が、石炭よりも高い、固形燃料。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の固形燃料であって、
前記固形燃料の発熱量が、20MJ/kg以上である、固形燃料。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固形燃料製造システム、固形燃料製造方法、及び、固形燃料に関する。
【背景技術】
【0002】
廃プラスチックを含む原料から固形燃料を製造する固形燃料製造システムが知られている。例えば、特許文献1に記載の固形燃料製造システムは、ポリ塩化ビニルを含む有機性廃棄物を水熱反応により分解する反応室を備える。固形燃料製造システムは、分解の後の固形分を混合攪拌槽に供給するとともに水を混合攪拌槽に供給し、混合攪拌槽にて混合攪拌することにより、固形分の塩素濃度を低減する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2010-37536号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、石炭の塩素濃度は、相当低い。このため、例えば、火力発電に用いられる石炭ボイラにおいて、石炭の一部に代えて固形燃料を用いる場合、固形燃料の塩素濃度を十分に低減しなければ、燃焼ガス又は燃焼灰が接触する部材が腐食する虞がある。しかしながら、上記固形燃料製造システムにおいては、固形燃料の塩素濃度を十分に低減できない、という課題があった。
【0005】
本発明の目的の一つは、固形燃料の塩素濃度を低減することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一つの側面では、固形燃料製造システムは、廃プラスチックを含む原料から固形燃料を製造する。
固形燃料製造システムは、水熱反応装置と、洗浄装置と、分離装置と、を備える。
水熱反応装置は、原料を水熱反応により微粒子に分解する反応室と、分解の後に反応室に分散液を供給する分散液供給部と、供給された分散液にて微粒子が分散する懸濁液を排出する懸濁液排出部と、を含む。洗浄装置は、排出された懸濁液を攪拌することにより微粒子を洗浄する。分離装置は、懸濁液から微粒子を分離することにより固形燃料を生成する。
【0007】
他の一つの側面では、固形燃料製造方法は、廃プラスチックを含む原料から固形燃料を製造する。
固形燃料製造方法は、
反応室にて原料を水熱反応により微粒子に分解し、
原料の分解の後に反応室に分散液を導入し、
導入された分散液にて微粒子が分散する懸濁液を反応室から排出し、
排出された懸濁液を攪拌することにより微粒子を洗浄し、
懸濁液から微粒子を分離することにより固形燃料を生成する、ことを含む。
【0008】
他の一つの側面では、固形燃料は、廃プラスチックを含む原料から製造される。
固形燃料は、ハードグローブ粉砕性指数が、石炭よりも高いとともに、固形燃料の塩素濃度が、0.1重量%濃度以下である。
【0009】
他の一つの側面では、固形燃料は、廃プラスチックを含む原料から製造される。
固形燃料は、固形燃料の平均粒径が、1180μm未満であるとともに、固形燃料の塩素濃度が、0.30重量%濃度以下である。
【発明の効果】
【0010】
固形燃料の塩素濃度を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】第1実施形態の固形燃料製造システムの構成を表すブロック図である。
図2】第1実施形態の水熱反応装置、及び、洗浄装置の構成を表す説明図である。
図3】第1実施形態の固形燃料製造方法を表すフローチャートである。
図4】第1実施形態の第1変形例の固形燃料製造システムの構成を表すブロック図である。
図5】第1実施形態の第2変形例の固形燃料製造システムの構成を表すブロック図である。
図6】固形燃料の塩素濃度の、粒径及び洗浄の有無に対する変化の一例を表すグラフである。
図7】第2実施形態の固形燃料製造システムの構成を表すブロック図である。
図8】第3実施形態の固形燃料製造システムの構成を表すブロック図である。
図9】第4実施形態の固形燃料製造システムの構成を表すブロック図である。
図10】第5実施形態の固形燃料製造システムの構成を表すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の、固形燃料製造システム、固形燃料製造方法、及び、固形燃料に関する各実施形態について図1乃至図10を参照しながら説明する。
【0013】
<第1実施形態>
(概要)
第1実施形態の固形燃料製造システムは、廃プラスチックを含む原料から固形燃料を製造する。
固形燃料製造システムは、水熱反応装置と、洗浄装置と、分離装置と、を備える。
水熱反応装置は、原料を水熱反応により微粒子に分解する反応室と、分解の後に反応室に分散液を供給する分散液供給部と、供給された分散液にて微粒子が分散する懸濁液を排出する懸濁液排出部と、を含む。洗浄装置は、排出された懸濁液を攪拌することにより微粒子を洗浄する。分離装置は、懸濁液から微粒子を分離することにより固形燃料を生成する。
【0014】
ところで、水熱反応により生成された微粒子が凝集することにより凝集体が生成されることがある。凝集体は、分散液とともに攪拌されても分解されにくい。また、凝集体の内部に取り込まれた塩素含有物質は、分散液とともに攪拌されても溶出しにくい。塩素含有物質は、塩素原子を含有する物質である。このため、例えば、特許文献1に記載の固形燃料製造システムのように、水熱反応による分解の後に、反応室に分散液を供給することなく、固形分を反応室から排出する場合、生成される固形燃料の塩素濃度を十分に低減できない虞があった。
【0015】
これに対し、第1実施形態の固形燃料製造システムによれば、水熱反応装置は、分解の後に反応室に分散液を供給する分散液供給部と、微粒子が分散液にて分散する懸濁液を排出する懸濁液排出部と、を備える。これにより、水熱反応により生成された微粒子が凝集することを抑制できる。この結果、洗浄装置における洗浄により、微粒子の塩素濃度を低減できるので、固形燃料の塩素濃度を低減できる。
次に、第1実施形態の固形燃料製造システムについて、より詳細に説明する。
【0016】
(構成)
図1に表されるように、固形燃料製造システム1は、廃プラスチックを含む原料から固形燃料を製造する。本例では、原料は、第1原料と、第2原料と、からなる。
本例では、第1原料は、廃プラスチックである。廃プラスチックは、プラスチックを含む廃棄物である。例えば、廃プラスチックは、商品を包装する容器を含む。本例では、廃プラスチックは、容器に付着する食塩、及び、ポリ塩化ビニル等の塩素含有物質を含む。
【0017】
本例では、第2原料は、バイオマスである。例えば、バイオマスは、古紙、汚泥、草、稲わら、麦稈、もみ殻、又は、木質バイオマス(例えば、流木、間伐材、又は、木質廃材等)等である。例えば、木質廃材は、製材の際に発生する樹皮若しくはのこ屑、木屑、建築物の解体材、又は、剪定枝等である。
【0018】
固形燃料製造システム1は、水熱反応装置10と、第1原料供給部11と、第2原料供給部12と、蒸気供給部13と、水供給部14と、水酸化物供給部15と、蒸気回収部16と、洗浄装置20と、大径微粒子供給部25と、脱水装置30と、乾燥装置40と、分離液貯留部51と、排水処理装置52と、を備える。
【0019】
図2に表されるように、水熱反応装置10は、反応室101と、攪拌体102と、電動機103と、第1原料導入部104と、第2原料導入部105と、蒸気導入部106と、水導入部107と、水酸化物導入部108と、蒸気排出部109と、懸濁液排出部110と、を備える。
【0020】
反応室101は、水熱反応装置10の内部に設けられた空間である。本例では、反応室101は、所定の延在方向にて延在する円柱状である。反応室101は、所定の圧力、及び、所定の温度を有する水を保持する。本例では、反応室101は、亜臨界状態の水(換言すると、亜臨界水)を保持する。例えば、反応室101が保持する亜臨界水の圧力は、1.5MPa乃至3.5MPaの圧力である。例えば、反応室101が保持する亜臨界水の温度は、180℃乃至250℃の温度である。
【0021】
本例では、反応室101は、亜臨界水を所定の時間に亘って保持することによって、原料を水熱反応により微粒子に分解する。例えば、反応室101が亜臨界水を保持する時間は、1分乃至60分の時間である。
【0022】
攪拌体102は、複数の攪拌翼を備える。なお、攪拌体102が備える攪拌翼は、1つであってもよい。例えば、攪拌翼は、プロペラ翼、タービン翼、パドル翼、アンカー翼、又は、ヘリカルリボン翼等である。なお、水熱反応装置10は、反応室101の内壁に邪魔板を備えていてもよい。
【0023】
攪拌体102は、反応室101において、回転の中心軸が延在方向にて延在するように回転可能に支持される。攪拌体102は、電動機103により回転駆動される。このような構成により、攪拌体102は、反応室101に導入された物質を攪拌する。
【0024】
本例では、攪拌体102は、第1回転方向へ回転駆動されることにより、反応室101に導入された物質を、延在方向における反応室101の中央へ近づけるように移動させる。一方、攪拌体102は、第1回転方向と逆の第2回転方向へ回転駆動されることにより、反応室101に導入された物質を、延在方向における反応室101の端へ近づけるように移動させる。例えば、攪拌体102は、所定の時間が経過する毎に、回転方向が変更される。
【0025】
第1原料導入部104は、第1原料供給部11により供給される第1原料を反応室101へ導入する。第1原料導入部104は、反応室101へ導入される第1原料の量を調整する。なお、水熱反応装置10が備える第1原料導入部104の数は、2以上であってもよい。
【0026】
第2原料導入部105は、第2原料供給部12により供給される第2原料を反応室101へ導入する。第2原料導入部105は、反応室101へ導入される第2原料の量を調整する。なお、水熱反応装置10が備える第2原料導入部105の数は、2以上であってもよい。
また、水熱反応装置10は、第1原料導入部104及び第2原料導入部105に代えて、第1原料及び第2原料からなる原料を反応室101へ導入する原料導入部を備えていてもよい。
【0027】
蒸気導入部106は、蒸気供給部13により供給される蒸気を反応室101へ導入する。蒸気導入部106は、反応室101へ導入される蒸気の量を調整する。本例では、蒸気供給部13は、水蒸気を供給する。なお、蒸気供給部13により供給される蒸気は、水溶液(例えば、水酸化物供給部15により供給される水酸化物の水溶液)の蒸気であってもよい。また、水熱反応装置10が備える蒸気導入部106の数は、2以上であってもよい。
【0028】
水導入部107は、水供給部14により供給される水を反応室101へ導入する。水導入部107は、反応室101へ導入される水の量を調整する。本例では、水導入部107により反応室101へ導入される水は、水熱反応による原料の分解の後に反応室101に導入される分散液に対応する。なお、分散液は、水酸化物供給部15により供給される水酸化物の水溶液であってもよい。また、水熱反応装置10が備える水導入部107の数は、2以上であってもよい。
【0029】
水酸化物導入部108は、水酸化物供給部15により供給される水酸化物を反応室101へ導入する。水酸化物導入部108は、反応室101へ導入される水酸化物の量を調整する。例えば、水酸化物は、水酸化カルシウムである。
【0030】
本例では、反応室101へ水酸化物が導入された後に水熱反応が生じる。水熱反応において、原料は、微粒子に分解される。この際、水酸化物から生成された水酸化物イオンと、廃プラスチックに含まれるポリ塩化ビニルと、が反応することにより、ポリ塩化ビニルが有する塩基が水酸基に置換されることが推定される。
【0031】
また、この反応により生成された塩化物イオンと、水酸化物から生成されたカルシウムイオンと、が反応することにより、塩化カルシウムが生成されることが推定される。更に、生成された塩化カルシウムは、水熱反応により生成された微粒子に混在することが推定される。後述のように、微粒子に混在する塩化カルシウムは、洗浄装置20における洗浄によって除去される。このようにして、洗浄後の微粒子の塩素濃度を十分に低減できる。
【0032】
なお、水酸化物は、カルシウム以外の金属(例えば、アルミニウム、ニッケル、鉄、マグネシウム、亜鉛、銅、又は、ナトリウム等)の水酸化物であってもよい。また、固形燃料製造システム1は、水酸化物に代えて、アンモニアを用いてもよい。また、水熱反応装置10が備える水酸化物導入部108の数は、2以上であってもよい。
【0033】
蒸気排出部109は、水熱反応による原料の分解の後に反応室101内の蒸気を蒸気回収部16へ排出する。この蒸気は、塩素含有物質を含むことが推定される。蒸気排出部109は、反応室101と蒸気回収部16とを連通する通路を開閉する弁を備える。なお、水熱反応装置10が備える蒸気排出部109の数は、2以上であってもよい。
【0034】
蒸気回収部16は、水を貯留する貯水槽を含む。蒸気回収部16は、貯水槽に貯留された水の中へ、反応室101から排出された蒸気を導入する。図1に表されるように、蒸気回収部16は、貯水槽に貯留された水である回収水を排水処理装置52へ供給する。
【0035】
図2に表されるように、懸濁液排出部110は、反応室101内の懸濁液を、水熱反応装置10の外部へ排出する。本例では、懸濁液は、反応室101において、水熱反応により生成された微粒子が、水導入部107により導入された分散液(本例では、水)にて分散する。
【0036】
懸濁液排出部110は、反応室101と、水熱反応装置10の外部と、を連通する通路を開閉する弁を備える。なお、水熱反応装置10が備える懸濁液排出部110の数は、2以上であってもよい。
【0037】
図1に表されるように、洗浄装置20は、第1洗浄部21と、大径微粒子除去部22と、蒸気洗浄部23と、第2洗浄部24と、を備える。
図2に表されるように、第1洗浄部21は、洗浄槽211と、攪拌体212と、懸濁液排出部213と、を備える。
洗浄槽211は、水熱反応装置10の懸濁液排出部110から排出された懸濁液を貯留する。
攪拌体212は、攪拌翼を備える。なお、攪拌体212が備える攪拌翼の数は、2以上であってもよい。例えば、攪拌翼は、プロペラ翼、タービン翼、パドル翼、アンカー翼、又は、ヘリカルリボン翼等である。なお、第1洗浄部21は、洗浄槽211の内壁に邪魔板を備えていてもよい。
【0038】
攪拌体212は、洗浄槽211の内部において回転可能に支持されるとともに、図示されない電動機により回転駆動される。このような構成により、攪拌体212は、洗浄槽211に導入された物質(本例では、懸濁液)を攪拌する。
なお、第1洗浄部21は、水供給部14により供給される水を洗浄槽211へ導入してもよい。また、第1洗浄部21は、水酸化物供給部15により供給される水酸化物を洗浄槽211へ導入してもよい。
【0039】
本例では、第1洗浄部21は、図示されないヒーターを備え、ヒーターが発生する熱により洗浄槽211に導入された物質を加熱する。例えば、第1洗浄部21は、洗浄槽211に導入された物質の温度を所定の温度に保持する。例えば、第1洗浄部21により保持される温度は、40℃乃至90℃の温度である。
【0040】
このような構成により、第1洗浄部21は、反応室101から排出された懸濁液を加熱及び攪拌することにより微粒子を洗浄する。なお、第1洗浄部21は、懸濁液を加熱することなく、懸濁液を攪拌することにより微粒子を洗浄してもよい。
【0041】
懸濁液排出部213は、洗浄槽211内の懸濁液を、第1洗浄部21の外部へ排出する。懸濁液排出部213は、洗浄槽211の内部と、第1洗浄部21の外部と、を連通する通路を開閉する弁を備える。
【0042】
大径微粒子除去部22は、分級体221を備える。分級体221は、懸濁液排出部213から排出された懸濁液が供給される。分級体221は、供給された懸濁液に含まれる微粒子のうちの、粒径が所定の基準粒径よりも大きい微粒子である大径微粒子を捕捉し、供給された懸濁液のうちの、大径微粒子以外の部分を通過させる。本例では、基準粒径は、0.2mmである。なお、基準粒径は、0.1mm乃至5mmの長さであってもよい。
【0043】
本例では、分級体221は、ウェッジワイヤースクリーンである。本例では、互いに隣接するウェッジワイヤー間の間隔は、基準粒径と略等しい。なお、分級体221は、ウェッジワイヤースクリーン以外のワイヤースクリーン、金属製又は樹脂製のメッシュ、パンチングメタル、又は、多孔質体であってもよい。また、大径微粒子除去部22は、スリットセーバー等の固液分離装置により実現されていてもよい。
このような構成により、大径微粒子除去部22は、第1洗浄部21により洗浄された微粒子から大径微粒子を除去する。
【0044】
大径微粒子除去部22は、分級体221により捕捉された大径微粒子を大径微粒子供給部25へ供給する。更に、大径微粒子除去部22は、分級体221を通過した懸濁液を蒸気洗浄部23へ供給する。
【0045】
蒸気洗浄部23は、固液分離体231を備える。固液分離体231は、分級体221を通過した懸濁液が供給される。固液分離体231は、供給された懸濁液に含まれる微粒子を捕捉し、供給された懸濁液のうちの、微粒子以外の部分(換言すると、分離液)を通過させる。
【0046】
本例では、固液分離体231は、ウェッジワイヤースクリーンである。互いに隣接するウェッジワイヤー間の間隔は、基準粒径よりも短い。本例では、互いに隣接するウェッジワイヤー間の間隔は、20μmである。なお、互いに隣接するウェッジワイヤー間の間隔は、1μm乃至100μmの長さであってもよい。また、固液分離体231は、ウェッジワイヤースクリーン以外のワイヤースクリーン、金属製又は樹脂製のメッシュ、パンチングメタル、又は、多孔質体であってもよい。
蒸気洗浄部23は、固液分離体231により捕捉された微粒子に、蒸気供給部13により供給される蒸気を吹き付けることにより、蒸気を用いて微粒子を洗浄する。
【0047】
蒸気洗浄部23は、固液分離体231により捕捉されるとともに、蒸気を用いて洗浄された微粒子を第2洗浄部24へ供給する。更に、蒸気洗浄部23は、固液分離体231を通過した分離液を分離液貯留部51へ供給する。
【0048】
第2洗浄部24は、洗浄槽241と、攪拌体242と、を備える。
図1及び図2に表されるように、洗浄槽241は、水供給部14から供給された水を貯留する。本例では、洗浄槽241が貯留する水は、洗浄液と表されてもよい。なお、洗浄液は、水酸化物供給部15により供給される水酸化物の水溶液であってもよい。洗浄槽241は、蒸気洗浄部23から微粒子が供給される。このような構成により、洗浄槽241は、蒸気洗浄部23により洗浄された微粒子が、水供給部14から供給された水にて分散する懸濁液を貯留する。
【0049】
攪拌体242は、攪拌翼を備える。なお、攪拌体242が備える攪拌翼の数は、2以上であってもよい。例えば、攪拌翼は、プロペラ翼、タービン翼、パドル翼、アンカー翼、又は、ヘリカルリボン翼等である。なお、第2洗浄部24は、洗浄槽241の内壁に邪魔板を備えていてもよい。
【0050】
攪拌体242は、洗浄槽241の内部において回転可能に支持されるとともに、図示されない電動機により回転駆動される。このような構成により、攪拌体242は、洗浄槽241に貯留された物質(本例では、懸濁液)を攪拌する。
【0051】
本例では、第2洗浄部24は、図示されないヒーターを備え、ヒーターが発生する熱により洗浄槽241に導入された物質を加熱する。例えば、第2洗浄部24は、洗浄槽241に導入された物質の温度を所定の温度に保持する。例えば、第2洗浄部24により保持される温度は、40℃乃至90℃の温度である。
【0052】
このような構成により、第2洗浄部24は、蒸気洗浄部23により洗浄された微粒子が水にて分散する懸濁液を加熱及び攪拌することにより微粒子を洗浄する。なお、第2洗浄部24は、懸濁液を加熱することなく、懸濁液を攪拌することにより微粒子を洗浄してもよい。
図1に表されるように、第2洗浄部24は、洗浄された微粒子が分散する懸濁液を脱水装置30へ供給する。
【0053】
大径微粒子供給部25は、大径微粒子除去部22により除去された大径微粒子を反応室101へ供給する。本例では、大径微粒子供給部25は、第1原料導入部104を介して大径微粒子を反応室101へ供給する。なお、水熱反応装置10は、第1原料導入部104に加えて、大径微粒子を反応室101へ導入する大径微粒子導入部を備えていてもよい。
【0054】
脱水装置30は、第2洗浄部24から供給された懸濁液を脱水することにより、当該懸濁液から分離液を分離する。本例では、脱水装置30は、フィルタープレス式の脱水装置である。なお、脱水装置30は、フィルタープレス式以外の方式(例えば、スクリュープレス式、ベルトプレス式、又は、遠心分離式等)の脱水装置であってもよい。
脱水装置30は、脱水後の脱水ケーキを乾燥装置40へ供給する。更に、脱水装置30は、分離された分離液を分離液貯留部51へ供給する。
【0055】
乾燥装置40は、脱水装置30から供給された脱水ケーキを乾燥することにより固形燃料を生成する。本例では、乾燥装置40により生成される固形燃料は、微粉状、又は、顆粒状である。
このように、本例では、脱水装置30及び乾燥装置40は、洗浄装置20による洗浄後の懸濁液から微粒子を分離することにより固形燃料を生成する分離装置を構成する。
【0056】
図1及び図2に表されるように、分離液貯留部51は、蒸気洗浄部23から供給された分離液、及び、脱水装置30から供給された分離液を貯留する貯留槽511を備える。分離液貯留部51は、貯留された分離液を排水処理装置52へ供給する。
排水処理装置52は、分離液貯留部51から供給された分離液、及び、蒸気回収部16から供給された回収水を清浄化する処理(換言すると、清浄化処理)を行う。本例では、清浄化処理は、分離液、及び、回収水に含まれる塩素含有物質を除去する処理を含む。
【0057】
なお、固形燃料製造システム1は、脱水ケーキを所定の形状(例えば、棒状等)に成形する成形装置を備え、成形後の脱水ケーキを乾燥装置40により乾燥してもよい。
また、固形燃料製造システム1は、乾燥後の固形燃料を所定の形状(例えば、棒状等)に成形する成形装置を備えていてもよい。
【0058】
(動作)
次に、固形燃料製造システム1の動作について、図3を参照しながら説明する。
先ず、水熱反応装置10は、第1原料導入部104が、第1原料供給部11により供給される第1原料を反応室101へ導入するとともに、第2原料導入部105が、第2原料供給部12により供給される第2原料を反応室101へ導入する。このようにして、水熱反応装置10の反応室101へ原料が供給される(ステップS101)。
【0059】
次いで、水熱反応装置10は、蒸気導入部106が、蒸気供給部13により供給される蒸気を反応室101へ導入するとともに、水導入部107が、水供給部14により供給される水を反応室101へ導入し、且つ、水酸化物導入部108が、水酸化物供給部15により供給される水酸化物を反応室101へ導入する。このようにして、水熱反応装置10の反応室101へ、蒸気、水、及び、水酸化物が供給される(ステップS102)。
【0060】
次いで、水熱反応装置10は、攪拌体102を回転駆動することにより、反応室101に導入された物質を攪拌しながら、反応室101が、所定の圧力、及び、所定の温度を有する水(本例では、亜臨界水)を、所定の時間に亘って保持することによって、原料を水熱反応により微粒子に分解する(ステップS103)。
【0061】
次いで、水熱反応装置10は、蒸気排出部109が反応室101内の蒸気を蒸気回収部16へ排出するとともに、水導入部107が、水供給部14により供給される分散液(本例では、水)を反応室101へ導入する。このようにして、水熱反応装置10の反応室101から蒸気が排出されるとともに、反応室101へ分散液が供給される(ステップS104)。これにより、反応室101において、水熱反応により生成された微粒子が乾燥することなく、水熱反応により生成された微粒子が分散液(本例では、水)にて分散する懸濁液が生成される。
【0062】
次いで、水熱反応装置10は、懸濁液排出部110が、反応室101内の懸濁液を、水熱反応装置10の外部へ排出することにより、懸濁液を第1洗浄部21の洗浄槽211へ供給する(ステップS105)。この際、本例では、水熱反応装置10の攪拌体102が、第1回転方向へ回転駆動される。これにより、反応室101内の懸濁液が懸濁液排出部110へ近づくように移動させられる。
【0063】
次いで、洗浄装置20は、第1洗浄部21が、洗浄槽211において、反応室101から供給された懸濁液を加熱及び攪拌することにより微粒子を洗浄する(ステップS106)。次いで、洗浄装置20は、第1洗浄部21が、洗浄槽211内の懸濁液を、第1洗浄部21の外部へ排出することにより、懸濁液を大径微粒子除去部22へ供給する。
【0064】
次いで、洗浄装置20は、大径微粒子除去部22が、供給された懸濁液のうちの、大径微粒子を分級体221によって捕捉することにより、懸濁液から大径微粒子を除去する(ステップS107)。
【0065】
次いで、洗浄装置20は、大径微粒子除去部22が、除去された大径微粒子を大径微粒子供給部25へ供給する。本例では、大径微粒子供給部25は、次回の反応室101への原料の供給の際に、大径微粒子除去部22から供給された大径微粒子を反応室101へ供給する。
更に、洗浄装置20は、大径微粒子除去部22が、分級体221を通過した懸濁液を蒸気洗浄部23へ供給する。
【0066】
次いで、洗浄装置20は、蒸気洗浄部23が、供給された懸濁液に含まれる微粒子を固液分離体231によって捕捉することにより、懸濁液から微粒子と分離液とを分離する。更に、洗浄装置20は、蒸気洗浄部23が、固液分離体231により捕捉された微粒子に蒸気を吹き付けることにより、蒸気を用いて微粒子を洗浄する(ステップS108)。
【0067】
次いで、洗浄装置20は、蒸気洗浄部23が、固液分離体231により捕捉されるとともに、蒸気を用いて洗浄された微粒子を第2洗浄部24へ供給する。更に、洗浄装置20は、蒸気洗浄部23が、固液分離体231を通過した分離液を分離液貯留部51へ供給する。
【0068】
次いで、洗浄装置20は、第2洗浄部24が、蒸気洗浄部23から供給された微粒子を、洗浄槽241に貯留された洗浄液に分散させることにより懸濁液を生成し、洗浄槽241において、生成された懸濁液を加熱及び攪拌することにより微粒子を洗浄する(ステップS109)。
次いで、洗浄装置20は、第2洗浄部24が、洗浄された微粒子が洗浄液にて分散する懸濁液を脱水装置30へ供給する。
【0069】
次いで、脱水装置30は、第2洗浄部24から供給された懸濁液を脱水することにより、懸濁液から分離液と脱水ケーキとを分離する。これにより、脱水装置30は、脱水ケーキを生成する(ステップS110)。
次いで、脱水装置30は、生成された脱水ケーキを乾燥装置40へ供給するとともに、分離液を分離液貯留部51へ供給する。
【0070】
次いで、乾燥装置40は、脱水装置30から供給された脱水ケーキを乾燥することにより固形燃料を生成する(ステップS111)。
【0071】
また、分離液貯留部51は、貯留槽511が、蒸気洗浄部23から供給された分離液、及び、脱水装置30から供給された分離液を貯留し、貯留された分離液を排水処理装置52へ供給する。次いで、排水処理装置52は、分離液貯留部51から供給された分離液、及び、蒸気回収部16から供給された回収水に対して清浄化処理を行う。
【0072】
このようにして、固形燃料製造システム1は、廃プラスチックを含む原料から固形燃料を製造する。なお、固形燃料製造システム1は、上述の動作を繰り返し実行してもよい。
【0073】
以上、説明したように、第1実施形態の固形燃料製造システム1は、廃プラスチックを含む原料から固形燃料を製造する。固形燃料製造システム1は、水熱反応装置10と、洗浄装置20と、分離装置(本例では、脱水装置30及び乾燥装置40)と、を備える。
【0074】
水熱反応装置10は、反応室101と、分散液導入部(本例では、水導入部107)と、懸濁液排出部110と、を備える。反応室101は、原料を水熱反応により微粒子に分解する。分散液導入部は、分解の後に反応室101に分散液(本例では、水)を導入する。懸濁液排出部110は、導入された分散液にて微粒子が分散する懸濁液を排出する。洗浄装置20は、排出された懸濁液を攪拌することにより微粒子を洗浄する。分離装置は、懸濁液から微粒子を分離することにより固形燃料を生成する。
【0075】
ところで、水熱反応により生成された微粒子が凝集することにより凝集体が生成されることがある。凝集体は、分散液とともに攪拌されても分解されにくい。また、凝集体の内部に取り込まれた塩素含有物質は、分散液とともに攪拌されても溶出しにくい。このため、特許文献1に記載の固形燃料製造システムのように、水熱反応による分解の後に、反応室に分散液を導入することなく、固形分を反応室から排出する場合、生成される固形燃料の塩素濃度を十分に低減できない虞があった。
【0076】
これに対し、固形燃料製造システム1によれば、水熱反応装置10は、分解の後に反応室101に分散液を導入する分散液導入部(本例では、水導入部107)と、微粒子が分散液にて分散する懸濁液を排出する懸濁液排出部110と、を備える。これにより、水熱反応により生成された微粒子が凝集することを抑制できる。この結果、洗浄装置20における洗浄により、微粒子の塩素濃度を低減できるので、固形燃料の塩素濃度を低減できる。
【0077】
更に、第1実施形態の固形燃料製造システム1において、洗浄装置20は、洗浄された微粒子から、粒径が所定の基準粒径よりも大きい微粒子である大径微粒子を除去する大径微粒子除去部22を含む。
【0078】
微粒子は、粒径が大きくなるほど、水熱反応による分解が十分でない可能性が高い。また、微粒子は、粒径が大きくなるほど、凝集体である可能性が高い。従って、微粒子の塩素濃度は、粒径が大きくなるほど高くなりやすい。そこで、固形燃料製造システム1のように、基準粒径よりも大きい大径微粒子を除去することにより、固形燃料の塩素濃度を低減できる。
【0079】
更に、第1実施形態の固形燃料製造システム1は、除去された大径微粒子を反応室101へ供給する大径微粒子供給部25を備える。
【0080】
これによれば、水熱反応による分解が十分でない微粒子、又は、凝集体を、再び、水熱反応により微粒子に分解できる。従って、生成される固形燃料の量の減少を抑制できる。
【0081】
更に、第1実施形態の固形燃料製造システム1において、洗浄装置20は、洗浄の後に、蒸気を用いて微粒子を洗浄する蒸気洗浄部23を含む。
【0082】
これによれば、蒸気が懸濁液よりも高温であるため、懸濁液の攪拌により溶出しなかった塩素含有物質を微粒子から除去できる。この結果、固形燃料の塩素濃度を低減できる。
【0083】
ところで、第1実施形態の固形燃料製造システム1は、バッチ式である。なお、固形燃料製造システム1は、連続式であってもよい。
【0084】
また、固形燃料製造システム1が備える蒸気洗浄部の数は、2以上であってもよい。また、固形燃料製造システム1が備える洗浄部の数は、1又は3以上であってもよい。
【0085】
(固形燃料)
次に、第1実施形態の固形燃料製造システム1を用いて製造された固形燃料について説明を加える。
固形燃料について、JIS M 8801に従って測定されたハードグローブ粉砕性指数は、100乃至200の値であった。なお、石炭のハードグローブ粉砕性指数は、約40である。従って、固形燃料のハードグローブ粉砕性指数は、石炭よりも高い。
【0086】
また、固形燃料について、JIS Z 7302-6に従って測定された塩素濃度は、0.05重量%濃度乃至0.1重量%濃度の値であった。従って、固形燃料の塩素濃度は、0.1重量%濃度以下である。
【0087】
また、固形燃料について、JIS Z 7302-2に従って測定された発熱量は、20MJ/kg乃至40MJ/kgの値であった。従って、固形燃料の発熱量は、20MJ/kg以上である。
【0088】
このように、第1実施形態の固形燃料は、廃プラスチックを含む原料から製造される。更に、固形燃料は、ハードグローブ粉砕性指数が、石炭よりも高いとともに、固形燃料の塩素濃度が、0.1重量%濃度以下である。
【0089】
ところで、固形燃料の粉砕性が石炭よりも低い場合、例えば、火力発電に用いられる石炭ボイラにおいて、固形燃料を粉砕できない虞がある。また、固形燃料の塩素濃度を十分に低減しなければ、燃焼ガス又は燃焼灰が接触する部材が腐食する虞がある。
これに対し、第1実施形態の固形燃料によれば、例えば、火力発電に用いられる石炭ボイラにおいて、石炭の一部に代えて固形燃料を用いることができる。
【0090】
<第1実施形態の第1変形例>
次に、第1実施形態の第1変形例の固形燃料製造システムについて説明する。第1実施形態の第1変形例の固形燃料製造システムは、第1実施形態の固形燃料製造システムに対して、蒸気洗浄部を備えない点において相違している。以下、相違点を中心として説明する。なお、第1実施形態の第1変形例の説明において、第1実施形態にて使用した符号と同じ符号を付したものは、同一又は略同様のものである。
【0091】
(構成)
図4に表されるように、第1実施形態の第1変形例の固形燃料製造システム1Aは、第1実施形態の固形燃料製造システム1において、洗浄装置20が洗浄装置20Aに置換される。
【0092】
洗浄装置20Aは、第1実施形態の洗浄装置20において、蒸気洗浄部23が固液分離部26Aに置換される。固液分離部26Aは、蒸気洗浄部23と同様の固液分離体を備える。固液分離部26Aは、固液分離体が、供給された懸濁液に含まれる微粒子を捕捉し、供給された懸濁液のうちの、微粒子以外の部分(換言すると、分離液)を通過させる。固液分離部26Aは、固液分離体により捕捉された微粒子を第2洗浄部24へ供給するとともに、固液分離体を通過した分離液を分離液貯留部51へ供給する。
【0093】
このような構成により、第1実施形態の第1変形例の固形燃料製造システム1Aによっても、第1実施形態の固形燃料製造システム1と同様の作用及び効果を奏することができる。
【0094】
<第1実施形態の第2変形例>
次に、第1実施形態の第2変形例の固形燃料製造システムについて説明する。第1実施形態の第2変形例の固形燃料製造システムは、第1実施形態の固形燃料製造システムに対して、第1洗浄部を備えない点において相違している。以下、相違点を中心として説明する。なお、第1実施形態の第2変形例の説明において、第1実施形態にて使用した符号と同じ符号を付したものは、同一又は略同様のものである。
【0095】
(構成)
図5に表されるように、第1実施形態の第2変形例の固形燃料製造システム1Fは、第1実施形態の固形燃料製造システム1において、洗浄装置20が洗浄装置20Fに置換される。
【0096】
洗浄装置20Fは、第1洗浄部21を備えない点を除いて、第1実施形態の洗浄装置20と同様の構成を有する。
このような構成により、第1実施形態の第2変形例の固形燃料製造システム1Fによっても、第1実施形態の固形燃料製造システム1と同様の作用及び効果を奏することができる。
【0097】
(実験例)
次に、固形燃料の塩素濃度の、固形燃料の粒径、及び、洗浄の有無に対する変化を調べるために行われた実験例について説明する。
実験例では、第1実施形態の第2変形例の固形燃料製造システム1Fを用いて、固形燃料の未洗浄サンプルと、固形燃料の洗浄済サンプルと、が生成される。
【0098】
未洗浄サンプルは、水熱反応の終了後、反応室101へ分散液が供給されることなく、水熱反応により生成された微粒子を、乾燥装置40によって乾燥させることにより生成される。
【0099】
洗浄済サンプルは、大径微粒子除去部22により除去された大径微粒子を蒸気洗浄部23へ供給し、蒸気洗浄部23及び第2洗浄部24による洗浄、脱水装置30による脱水、及び、乾燥装置40による乾燥を行うことにより生成される。
【0100】
未洗浄サンプル、及び、洗浄済サンプルについて、JIS Z 7302-6に従って測定された塩素濃度は、表1の通りである。本例では、塩素濃度は、7個の粒径範囲のそれぞれに対して測定された。粒径範囲は、未洗浄サンプル、及び、洗浄済サンプルの粒径の範囲である。本例では、表1における粒径範囲は、未洗浄サンプル、及び、洗浄済サンプルの粒径が、「-」の左側の数値以上であり、且つ、「-」の右側の数値未満である範囲に含まれることを表す。
【表1】
【0101】
図6は、表1に表される塩素濃度の、粒径に対する変化を表すグラフである。
図6に表されるように、いずれの粒径範囲においても、洗浄済サンプルの塩素濃度は、未洗浄サンプルの塩素濃度以下である。洗浄済サンプルの塩素濃度は、粒径が1180μm未満である場合、粒径が1180μm以上である場合よりも、洗浄を行うことによって大きく低下する。洗浄済サンプルの塩素濃度は、粒径が1180μm未満である場合、0.30重量%濃度以下である。
【0102】
更に、洗浄済サンプルの塩素濃度は、粒径が600μm未満である場合、粒径が600μm以上である場合よりも、洗浄を行うことによって一層大きく低下する。洗浄済サンプルの塩素濃度は、粒径が600μm未満である場合、0.24重量%濃度以下である。
【0103】
更に、洗浄済サンプルの塩素濃度は、粒径が425μm未満である場合、粒径が425μm以上である場合よりも、洗浄を行うことによってより一層大きく低下する。洗浄済サンプルの塩素濃度は、粒径が425μm未満である場合、0.19重量%濃度以下である。
【0104】
更に、洗浄済サンプルの塩素濃度は、粒径が105μm未満である場合、粒径が105μm以上である場合よりも、洗浄を行うことによって最も大きく低下する。洗浄済サンプルの塩素濃度は、粒径が105μm未満である場合、0.06重量%濃度以下である。
【0105】
従って、第1実施形態の第2変形例の固形燃料製造システム1Fを用いて製造される固形燃料は、平均粒径が1180μm未満である場合、0.30重量%濃度以下である。また、第1実施形態の第2変形例の固形燃料製造システム1Fを用いて製造される固形燃料は、平均粒径が600μm未満である場合、0.24重量%濃度以下である。また、第1実施形態の第2変形例の固形燃料製造システム1Fを用いて製造される固形燃料は、平均粒径が425μm未満である場合、0.19重量%濃度以下である。また、第1実施形態の第2変形例の固形燃料製造システム1Fを用いて製造される固形燃料は、平均粒径が105μm未満である場合、0.06重量%濃度以下である。
【0106】
例えば、平均粒径は、レーザー回折・散乱法によって測定された粒径分布(換言すると、粒度分布)における積算値が50%である粒径であってよい。また、平均粒径は、レーザー回折・散乱法によって求められる粒径分布(換言すると、粒度分布)における最頻値を有する粒径であってもよい。
【0107】
なお、第1実施形態の固形燃料製造システム1、第1実施形態の第1変形例の固形燃料製造システム1A、又は、後述の第2実施形態乃至第5実施形態の固形燃料製造システムを用いて製造される固形燃料も、第1実施形態の第2変形例の固形燃料製造システム1Fを用いて製造される固形燃料と同様である。
【0108】
(固形燃料)
次に、第1実施形態の第2変形例の固形燃料製造システム1Fを用いて製造された固形燃料について説明を加える。
固形燃料について、JIS M 8801に従って測定されたハードグローブ粉砕性指数は、100乃至200の値であった。なお、石炭のハードグローブ粉砕性指数は、約40である。従って、固形燃料のハードグローブ粉砕性指数は、石炭よりも高い。
【0109】
また、固形燃料について、レーザー回折・散乱法によって測定された平均粒径は、200μm未満であった。
また、固形燃料について、JIS Z 7302-6に従って測定された塩素濃度は、0.06重量%濃度乃至0.1重量%濃度の値であった。従って、固形燃料の塩素濃度は、0.1重量%濃度以下である。
【0110】
また、固形燃料について、JIS Z 7302-2に従って測定された発熱量は、20MJ/kg乃至40MJ/kgの値であった。従って、固形燃料の発熱量は、20MJ/kg以上である。
【0111】
このように、第1実施形態の第2変形例の固形燃料は、廃プラスチックを含む原料から製造される。更に、固形燃料は、ハードグローブ粉砕性指数が、石炭よりも高いとともに、固形燃料の平均粒径が、200μm未満であり、且つ、固形燃料の塩素濃度が、0.1重量%濃度以下である。
【0112】
ところで、固形燃料の粉砕性が石炭よりも低い場合、例えば、火力発電に用いられる石炭ボイラにおいて、固形燃料を粉砕できない虞がある。また、固形燃料の塩素濃度を十分に低減しなければ、燃焼ガス又は燃焼灰が接触する部材が腐食する虞がある。
これに対し、第1実施形態の第2変形例の固形燃料によれば、例えば、火力発電に用いられる石炭ボイラにおいて、石炭の一部に代えて固形燃料を用いることができる。
【0113】
<第2実施形態>
次に、第2実施形態の固形燃料製造システムについて説明する。第2実施形態の固形燃料製造システムは、第1実施形態の固形燃料製造システムに対して、回収水を水熱反応装置へ供給する点において相違している。以下、相違点を中心として説明する。なお、第2実施形態の説明において、第1実施形態にて使用した符号と同じ符号を付したものは、同一又は略同様のものである。
【0114】
(構成)
図7に表されるように、第2実施形態の固形燃料製造システム1Bは、第1実施形態の固形燃料製造システム1において、蒸気回収部16が蒸気回収部16Bに置換される。
【0115】
蒸気回収部16Bは、水を貯留する貯水槽を含む。蒸気回収部16Bは、貯水槽に貯留された水の中へ、反応室101から排出された蒸気を導入する。
更に、蒸気回収部16Bは、塩素濃度検出部161Bを備える。塩素濃度検出部161Bは、回収水塩素濃度検出部と表されてもよい。塩素濃度検出部161Bは、貯水槽に貯留された水の中への蒸気の導入の後に、貯水槽に貯留された水である回収水の塩素濃度を検出する。
【0116】
蒸気回収部16Bは、塩素濃度検出部161Bにより検出された塩素濃度が所定の第1基準濃度よりも低い場合、水熱反応による原料の分解の後に、貯水槽に貯留された回収水を反応室101へ供給する。一方、蒸気回収部16Bは、塩素濃度検出部161Bにより検出された塩素濃度が第1基準濃度よりも高い場合、貯水槽に貯留された回収水を排水処理装置52へ供給する。
【0117】
このような構成により、第2実施形態の固形燃料製造システム1Bによっても、第1実施形態の固形燃料製造システム1と同様の作用及び効果を奏することができる。
更に、第2実施形態の固形燃料製造システム1Bは、水を貯留する貯水槽を含むとともに、貯留された水の中へ、反応室101から排出された蒸気を導入する蒸気回収部16Bを備える。蒸気回収部16Bは、蒸気の導入の後に、貯留された水である回収水の塩素濃度を検出する塩素濃度検出部161Bを含む。蒸気回収部16Bは、検出された塩素濃度が所定の第1基準濃度よりも低い場合、水熱反応による原料の分解の後に反応室101に回収水を供給する。
【0118】
これによれば、反応室101から排出された蒸気に含まれる塩素含有物質を、貯留された水に溶かすことにより回収できる。更に、水熱反応による分解の後に、反応室101に回収水を供給することにより、懸濁液を生成するために反応室101へ別途供給される分散液(本例では、水供給部14により供給される水)の量を低減できる。
【0119】
ところで、回収水の塩素濃度が高くなるほど、微粒子に含まれる塩素含有物質が回収水へ溶出する量は少なくなる。従って、固形燃料製造システム1Bのように、回収水の塩素濃度が第1基準濃度よりも低い場合に、回収水を反応室101へ供給することにより、洗浄装置20における洗浄により、微粒子の塩素濃度を確実に低減できる。
【0120】
<第3実施形態>
次に、第3実施形態の固形燃料製造システムについて説明する。第3実施形態の固形燃料製造システムは、第1実施形態の固形燃料製造システムに対して、回収水を洗浄装置へ供給する点において相違している。以下、相違点を中心として説明する。なお、第3実施形態の説明において、第1実施形態にて使用した符号と同じ符号を付したものは、同一又は略同様のものである。
【0121】
(構成)
図8に表されるように、第3実施形態の固形燃料製造システム1Cは、第1実施形態の固形燃料製造システム1において、蒸気回収部16が蒸気回収部16Cに置換される。
【0122】
蒸気回収部16Cは、水を貯留する貯水槽を含む。蒸気回収部16Cは、貯水槽に貯留された水の中へ、反応室101から排出された蒸気を導入する。
更に、蒸気回収部16Cは、塩素濃度検出部161Cを備える。塩素濃度検出部161Cは、回収水塩素濃度検出部と表されてもよい。塩素濃度検出部161Cは、貯水槽に貯留された水の中への蒸気の導入の後に、貯水槽に貯留された水である回収水の塩素濃度を検出する。
【0123】
蒸気回収部16Cは、塩素濃度検出部161Cにより検出された塩素濃度が所定の第1基準濃度よりも低い場合、貯水槽に貯留された回収水を、第2洗浄部24の洗浄槽241へ供給する。一方、蒸気回収部16Cは、塩素濃度検出部161Cにより検出された塩素濃度が第1基準濃度よりも高い場合、貯水槽に貯留された回収水を排水処理装置52へ供給する。
【0124】
このような構成により、第3実施形態の固形燃料製造システム1Cによっても、第1実施形態の固形燃料製造システム1と同様の作用及び効果を奏することができる。
更に、第3実施形態の固形燃料製造システム1Cは、水を貯留する貯水槽を含むとともに、貯留された水の中へ、反応室101から排出された蒸気を導入する蒸気回収部16Cを備える。蒸気回収部16Cは、蒸気の導入の後に、貯留された水である回収水の塩素濃度を検出する塩素濃度検出部161Cを含む。蒸気回収部16Cは、検出された塩素濃度が所定の第1基準濃度よりも低い場合、洗浄装置20に回収水を供給する。
【0125】
これによれば、反応室101から排出された蒸気に含まれる塩素含有物質を、貯留された水に溶かすことにより回収できる。更に、洗浄装置20に回収水を供給することにより、洗浄装置20へ別途供給される洗浄液(本例では、水供給部14により供給される水)の量を低減できる。
【0126】
ところで、回収水の塩素濃度が高くなるほど、微粒子に含まれる塩素含有物質が回収水へ溶出する量は少なくなる。従って、固形燃料製造システム1Cのように、回収水の塩素濃度が第1基準濃度よりも低い場合に、回収水を洗浄装置20へ供給することにより、洗浄装置20における洗浄により、微粒子の塩素濃度を確実に低減できる。
【0127】
<第4実施形態>
次に、第4実施形態の固形燃料製造システムについて説明する。第4実施形態の固形燃料製造システムは、第1実施形態の固形燃料製造システムに対して、分離液を水熱反応装置へ供給する点において相違している。以下、相違点を中心として説明する。なお、第4実施形態の説明において、第1実施形態にて使用した符号と同じ符号を付したものは、同一又は略同様のものである。
【0128】
(構成)
図9に表されるように、第4実施形態の固形燃料製造システム1Dは、第1実施形態の固形燃料製造システム1において、分離液貯留部51が分離液貯留部51Dに置換される。
【0129】
分離液貯留部51Dは、蒸気洗浄部23から供給された分離液、及び、脱水装置30から供給された分離液を貯留する貯留槽を備える。
更に、分離液貯留部51Dは、塩素濃度検出部512Dを備える。塩素濃度検出部512Dは、分離液塩素濃度検出部と表されてもよい。塩素濃度検出部512Dは、貯留槽に貯留された分離液の塩素濃度を検出する。
【0130】
分離液貯留部51Dは、塩素濃度検出部512Dにより検出された塩素濃度が所定の第2基準濃度よりも低い場合、水熱反応による原料の分解の後に、貯留槽に貯留された分離液を反応室101へ供給する。一方、分離液貯留部51Dは、塩素濃度検出部512Dにより検出された塩素濃度が第2基準濃度よりも高い場合、貯留槽に貯留された分離液を排水処理装置52へ供給する。
【0131】
このような構成により、第4実施形態の固形燃料製造システム1Dによっても、第1実施形態の固形燃料製造システム1と同様の作用及び効果を奏することができる。
更に、第4実施形態の固形燃料製造システム1Dは、懸濁液から微粒子が分離された後の液体である分離液を貯留する分離液貯留部51Dを備える。分離液貯留部51Dは、貯留された分離液の塩素濃度を検出する塩素濃度検出部512Dを含む。分離液貯留部51Dは、検出された塩素濃度が所定の第2基準濃度よりも低い場合、水熱反応による原料の分解の後に反応室101に分離液を供給する。
【0132】
これによれば、水熱反応による分解の後に、反応室101に分離液を供給することにより、懸濁液を生成するために反応室101へ別途供給される分散液(本例では、水供給部14により供給される水)の量を低減できる。
【0133】
ところで、分離液の塩素濃度が高くなるほど、微粒子に含まれる塩素含有物質が分離液へ溶出する量は少なくなる。従って、固形燃料製造システム1Dのように、分離液の塩素濃度が第2基準濃度よりも低い場合に、分離液を反応室101へ供給することにより、洗浄装置20における洗浄により、微粒子の塩素濃度を確実に低減できる。
【0134】
<第5実施形態>
次に、第5実施形態の固形燃料製造システムについて説明する。第5実施形態の固形燃料製造システムは、第1実施形態の固形燃料製造システムに対して、分離液を洗浄装置へ供給する点において相違している。以下、相違点を中心として説明する。なお、第5実施形態の説明において、第1実施形態にて使用した符号と同じ符号を付したものは、同一又は略同様のものである。
【0135】
(構成)
図10に表されるように、第5実施形態の固形燃料製造システム1Eは、第1実施形態の固形燃料製造システム1において、分離液貯留部51が分離液貯留部51Eに置換される。
【0136】
分離液貯留部51Eは、蒸気洗浄部23から供給された分離液、及び、脱水装置30から供給された分離液を貯留する貯留槽を備える。
更に、分離液貯留部51Eは、塩素濃度検出部512Eを備える。塩素濃度検出部512Eは、分離液塩素濃度検出部と表されてもよい。塩素濃度検出部512Eは、貯留槽に貯留された分離液の塩素濃度を検出する。
【0137】
分離液貯留部51Eは、塩素濃度検出部512Eにより検出された塩素濃度が所定の第2基準濃度よりも低い場合、貯留槽に貯留された分離液を、第2洗浄部24の洗浄槽241へ供給する。一方、分離液貯留部51Eは、塩素濃度検出部512Eにより検出された塩素濃度が第2基準濃度よりも高い場合、貯留槽に貯留された分離液を排水処理装置52へ供給する。
【0138】
このような構成により、第5実施形態の固形燃料製造システム1Eによっても、第1実施形態の固形燃料製造システム1と同様の作用及び効果を奏することができる。
更に、第5実施形態の固形燃料製造システム1Eは、懸濁液から微粒子が分離された後の液体である分離液を貯留する分離液貯留部51Eを備える。分離液貯留部51Eは、貯留された分離液の塩素濃度を検出する塩素濃度検出部512Eを含む。分離液貯留部51Eは、検出された塩素濃度が所定の第2基準濃度よりも低い場合、洗浄装置20へ分離液を供給する。
【0139】
これによれば、洗浄装置20に分離液を供給することにより、洗浄装置20へ別途供給される洗浄液(本例では、水供給部14により供給される水)の量を低減できる。
ところで、分離液の塩素濃度が高くなるほど、微粒子に含まれる塩素含有物質が分離液へ溶出する量は少なくなる。従って、固形燃料製造システム1Eのように、分離液の塩素濃度が第2基準濃度よりも低い場合に、分離液を洗浄装置20へ供給することにより、洗浄装置20における洗浄により、微粒子の塩素濃度を確実に低減できる。
【0140】
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されない。例えば、上述した実施形態に、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内において当業者が理解し得る様々な変更が加えられてよい。
【0141】
<付記>
また、本発明は、以下のように表されてもよい。
(付記1)
廃プラスチックを含む原料から固形燃料を製造する固形燃料製造システムであって、
前記原料を水熱反応により微粒子に分解する反応室と、前記反応室に水酸化物の水溶液を導入する水酸化物導入部と、前記分解の後に前記反応室に分散液を導入する分散液導入部と、前記微粒子が前記導入された分散液にて分散する懸濁液を排出する懸濁液排出部と、を含む水熱反応装置と、
前記排出された懸濁液を攪拌することにより前記微粒子を洗浄する洗浄装置と、
前記懸濁液から前記微粒子を分離することにより前記固形燃料を生成する分離装置と、
を備え、
前記洗浄装置は、前記洗浄された微粒子から、粒径が所定の基準粒径よりも大きい微粒子である大径微粒子を除去する大径微粒子除去部を含む、固形燃料製造システム。
(付記2)
付記1に記載の固形燃料製造システムであって、
前記除去された大径微粒子を前記反応室へ供給する微粒子供給部を備える、固形燃料製造システム。
(付記3)
付記1又は付記2に記載の固形燃料製造システムであって、
前記洗浄装置は、前記洗浄の後に、蒸気を用いて前記微粒子を洗浄する蒸気洗浄部を含む、固形燃料製造システム。
(付記4)
付記1乃至付記3のいずれか一項に記載の固形燃料製造システムであって、
水を貯留する貯水槽を含むとともに、前記貯留された水の中へ、前記反応室から排出された蒸気を導入する蒸気回収部を備え、
前記蒸気回収部は、
前記導入の後に、前記貯留された水である回収水の塩素濃度を検出する回収水塩素濃度検出部を含むとともに、
前記検出された塩素濃度が所定の第1基準濃度よりも低い場合、前記分解の後に前記反応室に前記回収水を供給する、固形燃料製造システム。
(付記5)
付記1乃至付記4のいずれか一項に記載の固形燃料製造システムであって、
前記懸濁液から前記微粒子が分離された後の液体である分離液を貯留する分離液貯留部を備え、
前記分離液貯留部は、
前記貯留された分離液の塩素濃度を検出する分離液塩素濃度検出部を含むとともに、
前記検出された塩素濃度が所定の第2基準濃度よりも低い場合、前記分解の後に前記反応室に前記分離液を供給する、固形燃料製造システム。
(付記6)
廃プラスチックを含む原料から固形燃料を製造する固形燃料製造方法であって、
反応室に水酸化物の水溶液を導入し、
前記反応室にて前記原料を水熱反応により微粒子に分解し、
前記分解の後に前記反応室に分散液を導入し、
前記微粒子が前記導入された分散液にて分散する懸濁液を前記反応室から排出し、
前記排出された懸濁液を攪拌することにより前記微粒子を洗浄し、
前記洗浄された微粒子から、粒径が所定の基準粒径よりも大きい微粒子である大径微粒子を除去し、
前記大径微粒子が除去された懸濁液から前記微粒子を分離することにより前記固形燃料を生成する、
ことを含む、固形燃料製造方法。
【符号の説明】
【0142】
1,1A,1B,1C,1D,1E,1F 固形燃料製造システム
10 水熱反応装置
101 反応室
102 攪拌体
103 電動機
104 第1原料導入部
105 第2原料導入部
106 蒸気導入部
107 水導入部
108 水酸化物導入部
109 蒸気排出部
110 懸濁液排出部
11 第1原料供給部
12 第2原料供給部
13 蒸気供給部
14 水供給部
15 水酸化物供給部
16,16B,16C 蒸気回収部
161B,161C 塩素濃度検出部
20,20A,20F 洗浄装置
21 第1洗浄部
211 洗浄槽
212 攪拌体
213 懸濁液排出部
22 大径微粒子除去部
221 分級体
23 蒸気洗浄部
231 固液分離体
24 第2洗浄部
241 洗浄槽
242 攪拌体
25 大径微粒子供給部
26A 固液分離部
30 脱水装置
40 乾燥装置
51 分離液貯留部
511 貯留槽
512D,512E 塩素濃度検出部
51D,51E 分離液貯留部
52 排水処理装置

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10