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特許6994620ケラチン繊維上にフィルムを提供するための組成物
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  • 特許-ケラチン繊維上にフィルムを提供するための組成物 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-16
(45)【発行日】2022-01-14
(54)【発明の名称】ケラチン繊維上にフィルムを提供するための組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/898 20060101AFI20220106BHJP
   A61K 8/73 20060101ALI20220106BHJP
   A61K 8/81 20060101ALI20220106BHJP
   A61K 8/86 20060101ALI20220106BHJP
   A61Q 5/06 20060101ALI20220106BHJP
   A61K 8/891 20060101ALI20220106BHJP
【FI】
A61K8/898
A61K8/73
A61K8/81
A61K8/86
A61Q5/06
A61K8/891
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2017542379
(86)(22)【出願日】2016-02-12
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2018-04-26
(86)【国際出願番号】 US2016017716
(87)【国際公開番号】W WO2016133806
(87)【国際公開日】2016-08-25
【審査請求日】2019-02-06
(31)【優先権主張番号】15155380.7
(32)【優先日】2015-02-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】321012535
【氏名又は名称】ウエラ オペレーションズ ユーエス,エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【弁理士】
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【弁理士】
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100202751
【弁理士】
【氏名又は名称】岩堀 明代
(74)【代理人】
【識別番号】100208580
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 玲奈
(74)【代理人】
【識別番号】100191086
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 香元
(72)【発明者】
【氏名】ヘルライン、マティアス・クルト
(72)【発明者】
【氏名】シェッファー、タチアナ
(72)【発明者】
【氏名】フロール、アンドレアス
(72)【発明者】
【氏名】フォルギョーネ、マリアンナ
(72)【発明者】
【氏名】クルネ、マティヤ
(72)【発明者】
【氏名】ギザウ、ヨナス
(72)【発明者】
【氏名】グラーザー、ウルズラ・クリスティーナ
【審査官】田中 雅之
(56)【参考文献】
【文献】特表2013-514274(JP,A)
【文献】特開2003-160446(JP,A)
【文献】特表2011-511830(JP,A)
【文献】特表2008-538768(JP,A)
【文献】特開2010-275279(JP,A)
【文献】特開2009-057380(JP,A)
【文献】特開平08-059994(JP,A)
【文献】特表2011-511842(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00- 8/99
A61Q 1/00-90/00
Mintel GNPD
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)下記式(I)で示すフィルム形成アミノシリコーンポリマーと、
【化1】
(式中、x’及びy’は、アミノシリコーンポリマーの重量平均分子量が10,000ダルトン~60,000ダルトンとなる、正の整数である)
(b)MQ樹脂であるシリコーン樹脂と、
(c)堆積促進剤と増粘ポリマーとを含む増粘系であって、
前記堆積促進剤は、ポリエチレングリコールであり、組成物の全重量に対して0.2質量%含有されており、前記増粘ポリマーは、ポリクオタニウム-37であり、組成物の全重量に対して0.75質量%~1質量%含有されている、増粘系と、
(d)溶剤と、
(e)5ミクロン~60ミクロンのD50粒径を有する、1種以上の顔料と
を含む、ケラチン繊維上にフィルムを提供するための組成物であって、
前記組成物が、25℃で測定したときに、50mPa・s~1000mPa・sの粘度を有し、
前記組成物が、23℃、1%歪、1Hzの角周波数で2未満のtanδを有している、
ケラチン繊維上にフィルムを提供するための組成物。
【請求項2】
前記組成物が、水を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記組成物が、1種以上の着色材料を含み、前記1種以上の着色材料が、着色繊維、着色ビーズ、ナノ粒子、共有結合した染料を含む着色ポリマー、及びそれらの組合せからなる群から選択される、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項4】
前記組成物のpHが、3.0~11.0である、請求項1~3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
前記組成物が、前記組成物の全重量に対して、1%~15%の前記アミノシリコーンポリマー(a)を含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
顔料又は着色材料を含むフィルムをケラチン繊維上に提供するための方法であって、請求項1~5のいずれか一項に記載の組成物をケラチン繊維上に塗布する工程と、前記ケラチン繊維を乾燥するようにさせる又は前記ケラチン繊維を乾燥させる工程とを含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、化粧品、特に毛髪化粧品の分野に関し、且つケラチン繊維上にフィルムを提供するための組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
ヒトのケラチン繊維への半永久的な処理は、当技術分野において公知である。特に注目されるのは、光輝顔料若しくは粒子の使用によって毛髪の色の見え方を変えるか又は他の着色若しくは反射性質を提供する半永久的な処理である。例えば、直接染料は、着色分子をケラチン繊維に付着させることによって半永久的に毛髪を着色する。染料は後に洗い流され得る。ヘアチョークは、粉末ベースの又は粉末状の製品(典型的にブラッシャー方式「コンパクト」として又はペン型で提供される)であり、それにより、使用者は顔料及び/又は着色粒子を毛髪に塗布することができる。
【0003】
この分野の公知技術の欠点は、ケラチン繊維への顔料又は着色材料の低い付着性である。即ち、このような製品が衣服及び/又は浴室を汚す及び/又は染みを付ける可能性があることは、消費者にとって重大な懸念である。さらに、このような顔料又は着色材料は、首、肩及び顔の皮膚に移ることがあり、目障りな跡を生じることがある。さらに、消費者は、塗布することが可能であることを望んでいる。チョーク製品は、典型的に、艶消しの外観になり、これは全ての消費者が望むとは限らない場合があり、及び消費者が鮮やかな光沢のある外観を望んでもそのようにならない。
【0004】
したがって、顔料及び/又は着色/光沢材料をケラチン繊維に付着させるより耐久性のある手段を提供する組成物及び方法が必要とされている。特に、これらの粒子の堆積を改良することが必要とされている。さらに、顔料、光輝顔料であるか又は他の着色材料であるかにかかわらず、多種多様な粒子を堆積させることができる組成物を提供することが必要とされている。さらに、毛髪の上に容易に塗布及び分散され得る(例えば、組成物の集塊化又は頭髪上のあらゆる種類のねばつき若しくはあらゆる種類のべたつきをもたらさない)組成物が必要とされている。実際に、このような手段によって提供されるより自然な外観が必要とされている。
【0005】
2014年1月3日に公開されたTeboulの特許文献1は、「少なくとも1つの疎水性フィルム形成ポリマーと、少なくとも1つの揮発性溶剤と、少なくとも1つの顔料とを含む少なくとも第1の組成物(i)の少なくとも1つのコートをケラチン繊維に塗布し、次いで、前記コートを乾燥させた後、少なくとも1つの疎水性フィルム形成ポリマーと、少なくとも1つの揮発性溶剤と、少なくとも1つの顔料とを含む少なくとも第2の組成物(ii)の少なくとも第2のコートをケラチン繊維に塗布することを含む、・・・ケラチン繊維、特に毛髪を染色するための方法」に関する。Teboulは、アミノ側鎖を含むアミノシリコーンポリマーを開示していない。2009年8月19日に公開された特許文献2において、Mailleferらは、§127で顔料に言及しているが、これは「毛髪の乾燥時間を改良するための方法及び組成物」に関連するものである。例えば、堆積促進剤に関してMailleferらの教示はない。2013年6月13日に公開された特許文献3において、Calacoらは、長持ちする色をケラチン繊維に与えるための組成物及び方法が開示されていることに言及している。しかしながら、Calacoらも堆積促進を教示していない。
【0006】
先行技術のいずれも、全ての消費者の要求を満たす解決策を教示又は提供していない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】国際公開第2014/001391A1号
【文献】欧州特許出願公開第2090295A1号明細書
【文献】国際公開第2013/085577A2号
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
ケラチン繊維上にフィルムを提供するための組成物が提供され、それは、
(a)アミノ側鎖を含み且つ10,000ダルトン~60,000ダルトンの重量平均分子量を有するフィルム形成アミノシリコーンポリマーと、
(b)MQ樹脂であるシリコーン樹脂と、
(c)増粘系であって、
・親水性及び非イオン性ポリマーであり且つ700,000ダルトン~3,000,000ダルトンの重量平均分子量を有する堆積促進剤と、
・少なくとも10,000ダルトンの重量平均分子量を有し且つカチオン性増粘ポリマーであるか又は非イオン性増粘ポリマーである増粘ポリマーと
を含む増粘系と、
(d)溶剤と
を含む。
【0009】
顔料又は着色材料を含むフィルムをケラチン繊維上に提供するための方法が提供され、それは、本発明に従う組成物をケラチン繊維上に塗布する工程と、ケラチン繊維を乾燥するようにさせるか又はそれらを乾燥させる工程とを含む。
【0010】
第3の態様は、
・本発明に従う組成物と、
・任意選択的に、顔料及び/又は着色材料を含む調合物と、
・アプリケーターと
を含むキットに関する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明に従う組成物のレオロジー測定である。X=歪(%)であり、及びY=tanδである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
<定義及び概要>
本発明の全ての態様の全ての実施形態を含め、本明細書では、特に別記しない限り以下の定義が用いられる。全てのパーセンテージは、全組成物の重量(w/w)による。全ての比は重量比である。「wt%」は、重量パーセンテージを意味する。「部」への言及、例えば1部のXと3部のYとの混合物は重量比である。「QS」又は「QSP」は、100%又は100gに対する十分な量を意味する。+/-は標準偏差を示す。全ての範囲は包括的であり、組合せ可能である。有効桁の数は、表示された量に対する限定を表すものでも、測定値の精度に対する限定を表すものでもない。全ての数量は、「約」という語によって修飾されると理解される。全ての測定は23℃及び周囲条件で行われると理解され、ここで、「周囲条件」は、1気圧(atm)の圧力及び50%の相対湿度の条件を意味する。「相対湿度」は、同じ温度及び圧力における飽和湿分レベルと比較した空気の湿分含量の比(パーセントとして記載される)を指す。相対湿度は、湿度計、特に、VWR(登録商標)International製のプローブ湿度計を使用して測定することができる。本明細書において、「min」は「分(minute)」又は「分(minutes)」を意味する。本明細書において、「mol」はモルを意味する。本明細書において、数字の後の「g」は「グラム(gram)」又は「グラム(grams)」を意味する。全ての量は、それらが記載された成分に関するとき、活性レベル(「固形分」)に基づいており、市販の材料に含有される場合があるキャリア又は副生成物を含まない。本明細書において、「含む」は他の工程及び他の成分が付加され得ることを意味する。「含む」は、「からなる」及び「から本質的になる」という用語を包含する。本発明の組成物、調合物、方法、使用、キット、及びプロセスは、本明細書に記載された本発明の要素及び制限条件、並びに本明細書に記載された付加的な又は任意選択的な成分、構成要素、工程、又は制限条件のいずれも含み、それらからなり、及び本質的にそれらからなることができる。本明細書に記載された実施形態及び態様は、不相容性が記載されない限り、明白に組み合わせて例示されていないにもかかわらず、他の実施形態及び/又は態様の要素、特徴又は構成要素を含むか又はこれらと組合せ可能であってもよい。「少なくとも1つの実施形態において」は、本発明の1つ以上の実施形態、任意選択的に全ての実施形態又は実施形態の大きい部分的組合せが、後に説明される特徴を有することを意味する。量の範囲が与えられる場合、これらは、組成物中の前記構成成分の総量であると理解されるものとし、又は2つ以上の種が構成成分の定義の範囲内に含まれる場合、組成物において全ての成分の総量がその定義に合致する。例えば、組成物が1%~5%の脂肪アルコールを含む場合、2%のステアリルアルコールと1%のセチルアルコールとを含み、且つ他の脂肪アルコールを含まない組成物は、この範囲内に含まれる。
【0013】
「粘度」は、12.9s-1の剪断速度でDIN 53019に従って冷却/加熱容器及びセンサーシステムを有するHAAKE回転粘度計VT550を使用して23℃で測定される。
【0014】
「水溶性」は、23℃の水中に材料0.1重量%の濃度で裸眼に対して透明な溶液を形成するように水に十分に可溶性である任意の材料を指す。「水不溶性」という用語は、「水溶性」ではない任意の材料を指す。
【0015】
「乾燥した」又は「実質的に乾燥した」は、周囲条件において23℃で測定されるときに液体形態である任意の化合物又は組成物を5%未満、3%未満、又は2%未満、1%未満、若しくは約0%含むことを意味する。液体形態であるこのような化合物又は組成物には、水、油、有機溶剤及び他の湿潤剤が含まれる。「無水」は、組成物が、組成物の全重量に対して、5%未満、3%未満、又は2%未満、1%未満、若しくは約0%の水を含むことを意味する。
【0016】
「を実質的に含まない」又は「が実質的に含まれない」は、組成物又は調合物の全重量に対して、約1%未満、又は0.8%未満、又は0.5%未満、又は0.3%未満、又は約0%を意味する。
【0017】
本明細書中で用いられるとき、「分子量」又は「M.Wt.」は、特に断らない限り重量平均分子量を指す。重量平均分子量は、ゲル透過クロマトグラフィーによって測定されてもよい。
【0018】
「揮発性」は、周囲条件下で液体であり且つ25℃で測定可能な蒸気圧を有する材料を意味する。これらの材料は、1.3Pa超、又は26.7Pa~5kPaの蒸気圧、及び250℃未満、又は235℃未満、又は150℃未満の標準沸点を有する。「標準沸点」は、国際純正・応用化学連合(IUPAC)によって定義される通りである。
【0019】
「毛髪」は、頭髪、顔の毛及び体毛などの哺乳動物のケラチン繊維を意味する。それは、生体に依然として付着されているこのような毛髪の他、毛髪見本及び人形/マネキン上の毛髪などの生体から除去された毛髪も含む。「毛髪」は、ヒトの毛髪のみを意味する場合もある。「毛幹」又は「毛髪の繊維」は、個々の毛の房を意味し、「毛髪」という用語と交換可能に使用されてもよい。
【0020】
「頭皮に対して近位」は、毛髪の端部よりも頭皮に距離が近い、伸ばされた又は実質的に真っ直ぐになった毛幹の部分を意味する。したがって、毛髪の繊維長の50%は頭皮に対して近位であると考えられ、及び毛髪の繊維の50%は頭皮に対して遠位である。「頭皮に対してzcmの近位」は、1つの端点が頭皮上にあるか又は直接隣接しており、第2の端点が、伸ばされた又は実質的に真っ直ぐになった毛髪の長さに沿って「z」センチメートルである、毛髪に沿う距離「z」を意味する。
【0021】
「化粧用に許容できる」は、記載された組成物、調合物又は構成要素が過度の毒性、不相容性、不安定度、アレルギー応答等を伴わずにヒトのケラチン組織と接触して使用するために適していることを意味する。ケラチン組織に直接塗布される目的を有する本明細書に記載される全ての組成物及び調合物は、化粧用に許容できるものに限られる。
【0022】
「誘導体」には、限定されないが、与えられた化合物のアミド、エーテル、エステル、アミノ、カルボキシル、アセチル、酸、塩及び/又はアルコール誘導体が含まれる。「それらの誘導体」は、アミド、エーテル、エステル、アミノ、カルボキシル、アセチル、酸、塩及びアルコール誘導体を意味してもよい。
【0023】
「モノマー」は、開始剤の存在下で又は例えば重縮合、重付加、アニオン又はカチオン重合などの高分子をもたらす任意の適した反応の存在下で重合され得る、不連続な重合していない化学部分を意味する。「単位」は、すでに重合されている、すなわちポリマーの一部であるモノマーを意味する。
【0024】
「ポリマー」は、2つ以上のモノマーの重合から形成された化学物質を意味する。「ポリマー」という用語は、モノマーの重合によって製造された全ての材料並びに天然ポリマーを含むものとする。1種類のみのモノマーから製造されたポリマーは、ホモポリマーと呼ばれる。本明細書において、ポリマーは、少なくとも2つのモノマーを含む。2つ以上の異なる種類のモノマーから製造されたポリマーはコポリマーと呼ばれる。異なるモノマーの分布は、ランダム、交互又はブロック状(すなわちブロックコポリマー)であり得る。本明細書において使用される「ポリマー」という用語は、ホモポリマーとコポリマーとを含む任意の種類のポリマーを含む。
【0025】
「キット」は、複数の構成要素を含むパッケージを意味する。「キット」は、「パーツキット」と称されてもよい。キットの例は、例えば、第1の組成物と、別個にパッケージ化された第2の組成物と、任意選択的に使用説明書とである。
【0026】
「ヘアスタイリングポリマー」は、フィルムを表面上に形成する毛髪固定ポリマー、すなわちフィルム形成ポリマーを意味する。「ヘアスタイリングポリマー」及び「フィルム形成ポリマー」は、当技術分野において交換可能に使用される。毛髪科学に関連して、この表面は、個々の毛髪繊維又はそれらの複数のものの表面である。ヘアスタイリングポリマーは、毛髪繊維を一緒に接着させて溶着部を形成するが、それらは有効に保持の改善を提供する架橋部である。相応して、これらの溶着部は「ヘアネット」を形成して毛髪保持及び嵩の改善を消費者に提供する。溶着部のネットが有効に形成されると、保持及び嵩の改善が一日中続き、環境湿度に対する良い耐性を提供することができる。
【0027】
<本発明の背後にある理論及び利点>
本発明者らは、ここでケラチン繊維上にフィルムを提供するための組成物、より詳しくは着色フィルムをケラチン繊維上に提供するための組成物を提供する。実際に、フィルム形成アミノシリコーンポリマー、シリコーン樹脂、溶剤及び選択された増粘系の組合せは、ケラチン繊維上に、特にヒトの頭髪上にフィルムをもたらし、それは十分に耐久性があるため、ケラチン繊維上、例えば手の上や消費者の衣服等の上にある間に急速に擦れて取れたり、塊などの良くない毛髪の感触、摩耗性をもたらしたり、毛髪を重みで押し下げて頭髪の嵩を減らしたり、目障りな粒をもたらしたりすることはない。
【0028】
実際に、フィルム形成アミノシリコーンポリマー及びシリコーン樹脂は、任意の着色材料及び/又は顔料を毛髪繊維上に耐久的に強く結合する、非常に薄い乾燥フィルムの形成を可能にする。アミノシリコーンポリマー及びシリコーン樹脂は、脱水作用を介して優れたフィルムを提供する。
【0029】
選択された増粘系は、毛管作用を抑えることによって組成物の滴下を防ぐのに役立つことができ、そうでなければそれは繊維を伝って下方へ組成物を急速に引っ張り、床上へ及び/又は使用者の衣服上に落とすであろう。それにもかかわらず、増粘系、特に増粘ポリマーと堆積促進剤との組合せは、べとつく感触を生じずにケラチン繊維によく付着する非滴下性組成物を提供する。さらに、増粘系は、フィルム形成アミノシリコーンポリマーとシリコーン樹脂とが薄い乾燥フィルムを提供する能力を低下させない。
【0030】
特に、本発明は、はるかにより多種多様な最終消費者によってより多種多様な生活に関連して使用され得る微妙なヘア効果を提供することができる点において、この分野の先行の開発が示す欠点を克服する。換言すれば、本発明によって提供される効果は、ディスコ又はナイトクラブに行く際にしばしば使用される非常に鮮やかなダズリングヘア効果に限定されず、ビジネス用に許容でき且つ日常の毛髪外観として強すぎないシックな毛髪外観も提供する。
【0031】
実際に、特徴の選択された組合せ、即ち、フィルム形成アミノシリコーンポリマー、シリコーン樹脂、溶剤及び選択された増粘系の組合せは、光輝、色、光沢等の毛髪に対する所望の効果を提供することができる、着色材料及び/又は顔料のための優れた支持系を提供する。前記着色材料及び/又は顔料は、消費者及び/又はスタイリストが所望の正確なタイプの顔料及び/又は着色材料を選択することができるように組成物シャーシから別々に提供されてもよい。
【0032】
<第1の態様の組成物>
本明細書において上記された組成物は、ケラチン繊維上にフィルムを提供するためのものである。組成物は、ケラチン繊維上に顔料又は着色材料を含むフィルムを提供するためのものであってもよい。フィルムは、耐久性フィルムであってもよい。
【0033】
組成物には、組成物がpH5及び23℃の水溶液中にあるとき、組成物の任意の成分の沈殿を引き起こす化合物が実質的に含まれなくてよい。
【0034】
組成物が典型的にフィルム形成アミノシリコーンポリマー、MQ樹脂、堆積促進剤と増粘ポリマーとを含む増粘系、及び溶剤を含むとき、組成物のpHは、4~6、好ましくは4.5~5.5であってもよい。組成物がpH5及び23℃の水溶液中にあるとき、組成物の任意の成分の沈殿を引き起こす化合物の例は、塩基性溶剤、又はイオン化合物又はpH4~6、好ましくはpH5~6のカチオン性である化合物又は相対イオン強度を有する化合物であってもよい。
【0035】
実際に、本組成物の任意の成分の沈殿は、特に毛髪の感触に関して - 本発明の効果に好ましくない副次的効果を有する。実際に、ここで毛髪上に固定されることが意図される顔料及び/又は着色材料を除いて、毛髪上の他の残留物は、消費者によって受け入れられない。例えば、フィルム形成アミノシリコーンポリマー及び/又はシリコーン樹脂の沈殿は、それらが毛髪繊維上にフィルムを形成する能力を減じ、毛髪上に残留物を形成する。組成物は、任意のさらなるイオン化合物を実質的に含有しなくてもよい。組成物は、pH4.0~5.0でカチオン性である任意の化合物を実質的に含有しなくてもよい。
【0036】
<アミノシリコーン及びシリコーン樹脂>
組成物は、フィルム形成アミノシリコーンポリマーを含み、ここで、アミノシリコーンポリマーはアミノ側鎖を有し、アミノシリコーンポリマーは、10,000ダルトン~60,000ダルトンの重量平均分子量を有する。シリコーンに関連して、「側鎖(sidechain)」(別称「側鎖(side chain)」)は、シリコーン主鎖の一部でなくシリコーン主鎖の少なくとも1つの末端上にのみ存在していない基を指す。本明細書において定義される「末端アミノシリコーン」は、シリコーン主鎖の一方又は両方の端部に1個以上のアミノ基を含むシリコーンを意味する。アミノ側鎖を有するアミノシリコーンポリマーは、ペンダントアミノ基を含むシリコーン化合物と称されることがある。アミノシリコーンポリマーは、末端アミノシリコーンでなくてもよい。組成物は、末端アミノ基を有するシリコーンを実質的に含有しなくてもよい。
【0037】
アミノシリコーンポリマーは、フィルム形成アミノシリコーンポリマーである。アミノシリコーンポリマーは、グラフトアミノ基を有するポリジメチルシロキサンであってもよい。
【0038】
アミノシリコーンポリマーは、15,000ダルトン~50,000ダルトン又は20,000ダルトン~40,000ダルトンの重量平均分子量であってもよい。
【0039】
アミノシリコーンポリマーは、ペンダントアミノ基(グラフト基)を有するポリジメチルシロキサンポリマーであってもよい。アミノシリコーンポリマーは、式:
【0040】
【化1】
【0041】
(式中、x’及びy’は、重量平均分子量が10,000ダルトン~60,000ダルトンであるような整数である)に従う。末端は、上式に示されるようなヒドロキシルではなくメトキシであってもよい。
【0042】
アミノシリコーンポリマーは、3~8個の炭素原子を有する側鎖を有するポリジメチルシロキサンポリマーであってもよい。側鎖は、炭素、水素及び窒素原子を含んでもよい。側鎖は、炭素、水素及び窒素原子からなってもよい。アミノシリコーンポリマーは、アミノエチルアミノプロピル側鎖を有するポリジメチルシロキサンポリマーであってもよい。
【0043】
アミノシリコーンポリマーは、式:
【0044】
【化2】
【0045】
(式中、n及びmは、重量平均分子量が10,000ダルトン~60,000ダルトンであるような整数であり、R及びRは、独立に、-OH又は-OCHから選択され;Rは、H若しくはC~Cアルキル、又はメチル若しくはH、好ましくはメチルである。「n」は平均して1~50、又は5~20、又は6~10、又は8~9であってもよく、「m」は平均して120~300、又は150~200であってもよい。「n」は平均して5~8であってもよく、「m」は平均して150~180であってもよく、R及びRは両方ともメチルであってもよく、Rは-OCHである)に従ってもよい。
【0046】
アミノシリコーンポリマーは、0.1meq/g~3meq/g、又は0.7meq/g~2.5meq/g、又は0.6meq/g~1meq/gのアミン価を有してもよい。
【0047】
アミノシリコーンポリマーの適した例は、以下の特許文献:Decosterの米国特許第6,451,747B1号明細書第17欄、4~27行目;Hughesの米国特許第5,567,428号明細書第13欄、40~56行目;Gawtreyらの米国特許出願公開第2004/0010863A1号明細書、§0016~§0039;Mahrらの米国特許出願公開第2006/0041026A1号明細書に見出すことができ、これらは本明細書に参照によって組み込まれる。
【0048】
組成物は、アミノシリコーンポリマーを1%~15%又は1.5%~5%含んでもよい。アミノシリコーンポリマーの粘度は、10~100,000mPa・s又は100~10,000mPa・sであってもよい。
【0049】
組成物は、シリコーン樹脂を含んでもよい。シリコーン樹脂は当技術分野において公知である。シリコーン樹脂はフィルム形成ポリマーであってもよい。シリコーン樹脂はMQ樹脂である。「M」はMeSiOを表し、「Q」はSiOを表す。MQ樹脂は、0.5:1.0~1.5:1.0のM:Qモル比を有してもよい。樹脂の重量平均分子量は1000ダルトン~10,000ダルトンであってもよい。MQ樹脂は、以下の一般式:
SiO1/2
SiO4/2
(式中、RはC1~40アルキル、H、-OR又は-OH基である)の単位を少なくとも80モル%又は少なくとも95モル%含有してもよい。一般式の単位の比は0.5~2.0又は0.5~1.5であってもよい。基Rの3重量%以下又は2.5重量%以下が-OR及び-OHであってもよい。
【0050】
MQシリコーン樹脂の残りの単位は、以下の一般式:
SiO2/2
SiO3/2
(式中、RがC1~40アルキル、H、-OR又は-OH基である)の単位であってもよい。
【0051】
は、任意選択的にハロゲンで置換された直鎖、環状、分岐、芳香族、飽和又は不飽和であるC1~40アルキルであってもよい。Rは、C1~6炭素原子を有するアルキル基又はフェニル基であってもよい。ハロゲン置換基は、フッ素及び塩素から選択されてもよい。Rは、メチル、エチル、フェニル及びHから選択されてもよい。組成物は、0.1%~10%、又は1%~5%、又は2%~4%のMQ樹脂を含んでもよい。
【0052】
MQ樹脂は、Wacker-ChemieAG(D-81737,Muenchen,Germany)から入手可能である。例えば、MQ-樹脂粉末803TFは、テトラアルコキシシラン(Q単位)とトリメチル-エトキシシラン(M単位)との共加水分解生成物であり、トリメチルシリル基でエンドブロックされるポリケイ酸単位の三次元網目構造として見ることができる。若干のエトキシ及びヒドロキシ官能基残基が存在している。また、MQ樹脂は、Dow Corningから入手可能である。例えば、Dow Corning(登録商標)MQ-1640フレーク樹脂は、MQ及びTプロピルシリコーン樹脂の組合せであり、INCI名:トリメチルシロキシシリケート(及び)ポリプロピルシルセスキオキサンである。
【0053】
組成物は、水溶性多価アルコールのエーテルを含んでもよい。水溶性多価アルコールのエーテルは、アミノシリコーンとシリコーン樹脂とが複合物を形成するのを防ぐことができるという利点を有する。水溶性多価アルコールのエーテルは、非ポリマー両親媒性化合物であってもよい。実際に、アミノシリコーンは、親水性特性をアミノシリコーンに与える、アミノ側鎖を含み、シリコーン樹脂は典型的に疎水性性質である。したがって、水溶性多価アルコールのエーテルが両親媒性の化学特性を有する場合、それは、アミノシリコーンとシリコーン樹脂との両方と相互作用して、それらが集塊化しないようにし、また沈殿しないようにすることができる。組成物は、水溶性多価アルコールのエーテルを含んでもよく、水溶性多価アルコールのエーテルは、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、及びジエチレングリコールモノブチルエーテルとエチレングリコールモノヘキシルエーテルとの混合物からなる群から選択される。組成物は、水溶性多価アルコールのエーテルを0.01%~20%、又は0.1%~10%、又は0.5%~5%、又は1.0%~5%、又は2%~5%含んでもよい。
【0054】
本発明において使用するために適した生成物は、Wacker-Chemie AG社(D-81737 Muenchen,Germany)製の商標Wacker(登録商標)/BELSIL ADM8301 Eとして入手可能である。この生成物は、アミノシリコーンである、ヒドロキシ末端のポリ[3-((2-アミノエチル)アミノ)プロピル]メチル(ジメチル)シロキサンを10%~20%含有する。また、それは0.1%~0.2%のオクタメチルシクロテトラシロキサンと1%~5%のMQシリコーン樹脂とを含有する。また、生成物は、1%~3%のエチレングリコールモノヘキシルエーテルと5%~10%のジエチレングリコールモノブチルエーテルとを含有する。前記生成物は、米国特許出願公開第2006/0041026A1号明細書(その内容を参照によって本明細書に組み入れるものとする)に記載されている。同様の生成物は、同じくWacker-ChemieAG製のWacker HC303である。
【0055】
<増粘系>
組成物は増粘系を含む。増粘系は、堆積促進剤と増粘ポリマーとを含む。組成物は、0.5%~2%の増粘系を含んでもよい。
【0056】
増粘系は堆積促進剤を含む。堆積促進剤は親水性且つ非イオン性ポリマーであり、ここで、堆積促進剤は、700,000ダルトン~3,000,000ダルトンの重量平均分子量を有する。堆積促進剤は、毛髪の繊維上へのアミノシリコーン及びシリコーン樹脂並びに任意の顔料及び/又は着色材料の堆積を促進するために有用である。特に、堆積促進剤は、より多くのアミノシリコーン及びシリコーン樹脂並びに任意の顔料及び/又は着色材料が、毛髪の繊維から滴り落ちたり滑り落ちたりせずに毛髪の繊維上にとどまるという利点を有する。実際に、頭髪、すなわち互いに十分に近接している複数の繊維の物理的構造のために、毛髪上の流体に対して毛管作用が役割を果たす。したがって、堆積促進剤は、毛管作用が毛髪からアミノシリコーン、シリコーン樹脂並びに任意の顔料及び/又は着色材料を剥がすのを防ぐために有用である。
【0057】
組成物は、0.01%~5%の堆積促進剤を含んでもよい。組成物は、0.05%~4%、又は0.075%~3.5%、又は0.1%~3%、又は0.1%~2%、又は0.15%~1%の堆積促進剤を含んでもよい。
【0058】
堆積促進剤は、式H(OCHCHOH(式中、nが20,000~50,000の平均値を有する)に従ってもよい。堆積促進剤は、式H(OCHCHOH(式中、nが40,000~50,000の平均値を有する)に従ってもよい。組成物は、0.01%~5%の堆積促進剤を含んでもよい。組成物は、0.05%~4%、又は0.075%~3.5%、又は0.1%~3%、又は0.1%~2%、又は0.15%~1%の堆積促進剤を含んでもよく、ここで、堆積促進剤は、式H(OCHCHOH(式中、nが40,000~50,000の平均値を有する)に従う。
【0059】
堆積促進剤は、1,000,000ダルトン~2,500,000ダルトンの重量平均分子量を有してもよい。
【0060】
有用な堆積促進剤は、それらのPOLYOX銘柄としてDowから入手可能である。Dow製のPOLYOX水溶性樹脂は、白色の粒状粉末として製造及び供給される。特に、POLYOX WSR N-60Kは、PEG-45M、すなわち式H(OCHCHOH(式中、nが整数であり、nが45,000の平均値を有する)である。PEG-45Mは2,000,000ダルトンの重量平均分子量を有する。POLYOX WSR N-12Kも有用であり、それはPEG-23M、すなわち式H(OCHCHOH(式中、nが整数であり、nが23,000の平均値を有する)である。PEG-23Mは1,000,000ダルトンの重量平均分子量を有する。POLYOX WSR-1105も有用であり、それは900,000ダルトンの重量平均分子量を有する。
【0061】
増粘系は増粘ポリマーを含む。増粘ポリマーは少なくとも10,000ダルトンの重量平均分子量を有する。増粘ポリマーはカチオン性増粘ポリマーであるか又は非イオン性増粘ポリマーである。組成物は、0.01%~5%の増粘ポリマーを含んでもよい。組成物は、0.1%から、又は0.2%から、又は0.3%から、又は0.4から、又は0.5%から、又は0.6%から、又は0.7%から、又は0.8%から、又は0.9%から5%まで、又は4.5%まで、又は4%まで、又は3.5%まで、又は3%まで、又は2.5%まで、又は2%まで、又は1.5%までの増粘ポリマーを含んでもよい。増粘ポリマーは非イオン性増粘ポリマーであってもよい。
【0062】
増粘ポリマーは多糖であってもよい。増粘ポリマーは多糖であってもよく、多糖は、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、澱粉化合物、キサンタンガム、カラゲナン、及びそれらの混合物からなる群から選択されてもよい。増粘ポリマーは、ヘテロ多糖であってもよい。組成物中に存在している全多糖含有量は0.2%~5%、又は0.5%~4%であってもよい。適した多糖及びヘテロ多糖には、澱粉及びそれらの誘導体、例えば燐酸とのモノエステル又はジエステル、セルロースの種類及びそれらの誘導体、キサンタンガム、カラゲナンが含まれてもよい。ヘテロ多糖には、Kelco製のKeltrol(登録商標)、及びHerkules製のNatrosol(登録商標)250HHRなどのキサンタンガムが含まれてもよい。粘度増加剤は澱粉化合物であってもよい。粘度増加剤はヒドロキシプロピル澱粉ホスフェートであってもよい。ヒドロキシプロピル澱粉ホスフェートの例は、Akzo Nobel製のストラクチャー(登録商標)XLであってもよい。増粘ポリマーはヒドロキシエチルセルロースであってもよい。ヒドロキシエチルセルロースは、下式:
【0063】
【化3】
【0064】
(式中、R=H又はCHCHOHである)に従ってもよい。適したヒドロキシエチルセルロースはDow製のCellosize(商標)HEC QP4400である。
【0065】
増粘ポリマーは、カチオン性増粘ポリマーであってもよい。増粘ポリマーは、アミノ基含有側鎖で置換された炭化水素主鎖を含んでもよい。増粘ポリマーは、第四アミン基、或いは第四アンモニウム基を含むカチオン性増粘ポリマーであってもよい。増粘ポリマーは、下記構造:
【0066】
【化4】
【0067】
を有してもよい。
【0068】
増粘ポリマーはポリクオタニウム-37であってもよい。ポリクオタニウム-37は、ポリ(2-メタクリルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロリド)である。ポリクオタニウム-37は、BASF製の製品Salcare(登録商標)SC96によってBASFから入手可能であり、それはINCI名:ポリクオタニウム-37(及び)プロピレングリコールジカプレートジカプリレート(及び)PPG-1トリデセス-6を有する。ポリクオタニウム-37。また、ポリクオタニウム-37は:Syntran PC 5320(Interpolymer Corporation);Cognis GmbH製のUltragel(登録商標)300;Orient Stars LLC製のOriStar PQ37;3V Group製のSynthalen CN;3V Group製のSynthalen CR;3V Group製のSynthalen CU;Cognis GmbH製のCosmedia(登録商標)Triple Cとして入手可能であり、それはINCI:ポリクオタニウム-37、ジカプリリルカーボネート、ラウリルグルコシドを有する。
【0069】
組成物が、第四アミン基、或いは第四アンモニウム基を含むカチオン性増粘ポリマーである増粘ポリマーを含む場合、組成物は、pH3~pH5又はpH3.5~pH4.5の範囲のpHを有してもよい。このpH範囲は、増粘ポリマーが求核試薬として作用しないことを確実にする点において有用であり得る。
【0070】
<顔料>
組成物は1種以上の顔料を含む。1種以上の顔料は、製品主要部又は毛髪に色の効果を与える1種以上の着色顔料であってもよい。或いは、1種以上の顔料は、望ましい且つ美的に快い光沢効果を組成物又はケラチン繊維に与える光沢効果顔料であってもよい。毛髪への色又は光沢効果は好ましくは一時的であってよく、すなわち、それらは次の毛髪洗浄まで持続し、毛髪を通常のシャンプーで洗浄することによって再び除去され得る。
【0071】
組成物は、5ミクロン~60ミクロンのD50粒径を有する1種以上の顔料を含んでもよい。粒径は、体積中央径であるD50によって表される。D50は、レーザー回折粒度計であるMalvern Mastersizer 2000を使用して測定され、それはHydro 2000G又はHydro 2000Sを使用してISO 13320:2009(en)に従って測定され、ここで、分散剤は水又はエタノールである。検出範囲は0.02ミクロン~2000ミクロンである。D50は、ISO 13320:2009(en)においてx50として表される。レーザー回折は、分散された粒状試料の分析装置をレーザー光が通過するときに散乱される光の強さの角変化を測定することによって粒度分布を測定し、粒径は体積相当球径として報告される。D50を計算する記述は、Barber et al,Pharmaceutical Development and Technology,3(2),153-161(1998)(その内容を参照によって本明細書に組み入れるものとする)において提供される。
【0072】
組成物は、10ミクロン~40ミクロンのD50粒径を有する1種以上の顔料を含んでもよい。1種以上の顔料は、溶解されない形態で組成物中に存在していてもよい。組成物は、0.01%~25%若しくは0.1%~20%の1種以上の顔料、又は1%~15%若しくは4%~10%の1種以上の顔料を含んでもよい。
【0073】
1種以上の顔料は、組成物に事実上不溶性である1種以上の着色剤であってもよく、無機系であっても有機系であってもよい。無機-有機混合顔料であってもよい。組成物は、1種以上の無機顔料を含んでもよい。1種以上の無機顔料の利点は、光、天候及び温度に対するそれらの優れた耐性である。1種以上の無機顔料は、天然由来であってもよく、例えば、チョーク、オーカー、アンバー、緑土、バーントシエンナ、及び黒鉛からなる群から選択される材料から得られる。
【0074】
1種以上の顔料は、例えば、二酸化チタン又は酸化亜鉛などの1種以上の白色顔料であってもよく、又は例えば、酸化鉄黒などの1種以上の黒色顔料であってもよく、又は例えば、群青又は酸化鉄赤、1種以上の光沢顔料、1種以上の金属効果顔料、1種以上の真珠箔顔料、及び1種以上の蛍光顔料又は1種以上の燐光顔料などの1種以上の着色顔料であってもよい。
【0075】
1種以上の顔料は、1種以上の着色非白色顔料であってもよい。1種以上の顔料は、金属酸化物、水酸化物及び酸化物水和物、混合相顔料、硫黄含有ケイ酸塩、金属硫化物、複合金属シアン化物、金属硫酸塩、クロム酸塩及びモリブデン酸塩、及び金属自体(ブロンズ顔料)からなる群から選択されてもよい。1種以上の顔料は、二酸化チタン(CI 77891)、黒色酸化鉄(CI 77499)、黄色酸化鉄(CI 77492)、赤色及び褐色酸化鉄(CI 77491)、マンガンバイオレット(CI 77742)、群青(スルホケイ酸アルミニウムナトリウム、CI 77007、顔料ブルー29)、酸化クロム水和物(CI 77289)、プルシアンブルー(フェロシアン化第二鉄、CI 77510)、カルミン(コチニール)、及びそれらの組合せからなる群から選択されてもよい。
【0076】
1種以上の顔料は、例えば二酸化チタン又はオキシ塩化ビスマスなどの金属酸化物又は金属オキシ塩化物でコートされる、及び任意選択的に、例えば鉄酸化物、プルシアンブルー、ウルトラマリン、及びカルミンなどのさらなる色付与物質でコートされるマイカをベースとした1種以上の真珠光沢及び着色顔料であってもよい。1種以上の顔料によって示される色は、層の厚さを変えることによって調節され得る。このような顔料は、例えば、全てがMerck,Darmstadt,Germanyから入手可能である商品名Rona(登録商標)、Colorona(登録商標)、Dichrona(登録商標)、RonaFlair(登録商標)、Ronastar(登録商標)、Xirona(登録商標)及びTimiron(登録商標)として販売されている。例えば、Xirona(登録商標)は、視角に応じて色変化効果を示すカラートラベル顔料の銘柄であり、二酸化チタン(TiO)の様々な層でコートされた天然マイカ、シリカ(SiO)又はホウケイ酸アルミニウムカルシウムフレークのいずれかをベースとしている。
【0077】
Kobo Products,Inc.(3474 So.Clinton Ave.,So.Plainfield,USA)製の製品KTZ(登録商標)からの顔料、特にKobo製の表面処理済みKTZ(登録商標)真珠箔顔料もここで有用である。特に有用であるのは、5~25ミクロンのD50粒径を有するKTZ(登録商標)FINE WHITE(マイカとTiO)及びまたKTZ(登録商標)CELESTIAL LUSTER(マイカとTiO、10~60ミクロン)並びにKTZ(登録商標)CLASSIC WHITE(マイカとTiO、10~60ミクロン)である。同じく有用であるのは、二酸化チタン、フェロシアン化第二鉄及び少量の酸化スズでコートされた合成フッ素金雲母のプレートレットを含む青色粉末である、Eckart Effect Pigments製のSynCrystal Sapphireである。同じく有用であるのは、二酸化チタン及び鉄酸化物でコートされた、合成フッ素金雲母のプレートレットから構成される、銅反射色を有するベージュ色粉末である同じくEckart製のSYNCRYSTAL Almondである。BASF製のDuocrome(登録商標)RV524Cも有用であり、それは、マイカ、二酸化チタン及びカルミンのその組成のために光沢のある赤色粉末並びに紫色反射粉末によって二色外観を提供する。
【0078】
1種以上の顔料は、1種以上の有機顔料であってもよい。1種以上の有機顔料は、天然顔料セピア、ガンボージ、骨炭、キャッセルブラウン、インジゴ、クロロフィル及び他の植物顔料からなる群から選択されてもよい。
【0079】
1種以上の有機顔料は、1種以上の合成有機顔料であってもよい。1種以上の有機顔料は、アゾ顔料、アントラキノイド、インジゴイド、ジオキサジン、キナクリドン、フタロシアニン、イソインドリノン、ペリレン及びペリノン、金属錯体、アルカリブルー、ジケトピロロピロール顔料、及びそれらの組合せからなる群から選択される1種以上の合成有機顔料であってもよい。
【0080】
1種以上の顔料は、酸化鉄、二酸化チタン、マイカ、ホウケイ酸塩、及びそれらの組合せからなる群から選択されてもよい。1種以上の顔料は、1種以上の酸化鉄(Fe)顔料を含んでもよい。1種以上の顔料は、マイカと二酸化チタンとの組合せを含んでもよい。
【0081】
<着色材料>
組成物は1種以上の着色材料を含む。1種以上の着色材料は、粒状形態であってもよい。1種以上の着色材料は、着色繊維、着色ビーズ、着色粒子、例えばナノ粒子、共有結合した染料を含む着色ポリマー、液晶、回折特性を有する粒子、紫外線吸収剤及び光防護物質、感圧性又は感光性顔料、及びそれらの組合せからなる群から選択されてもよい。
【0082】
1種以上の着色材料は、サーモクロミズム、フォトクロミズム、水素クロミズム、磁気クロミズム、エレクトロクロミズム、ピエゾクロミズム、ケミクロミズム、メカノオプティクスからなる群から選択される機構によって色を変化させることができてもよい。適した材料には、3D磁気顔料、グローダスト、蛍光顔料、サーモダスト、カメレオン顔料及びSolar Color Dust(http://solarcolordust.com/)製の他の変色材料が含まれてもよい。
【0083】
組成物は、1種以上の光防護物質を含んでもよい。組成物は、1種以上の光防護物質を0.01~10%、又は0.1~5%、又は0.2~2%含んでもよい。有用な光防護物質は、欧州特許出願公開第1084696A1号明細書の§0036~§0053(その内容を参照によって本明細書に組み入れるものとする)に明記されている。1種以上の光防護物質は、2-エチルヘキシル4-メトキシ-シンナメート、メチルメトキシシンナメート、2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン-5-スルホン酸、ポリエトキシル化p-アミノベンゾエート、ジ-ブチル-ヒドロキシトルエン(BHT)、及びそれらの混合物からなる群から選択されてもよい。
【0084】
組成物は、1種以上の粒状物質を0.01%~10%又は0.05%~5%含んでもよい。1種以上の粒状物質は、室温(23℃)で固体であり且つ粒子の形態であってもよい物質であってもよい。1種以上の粒状物質は、シリカ、ケイ酸塩、アルミン酸塩、粘土土類、マイカ、及び不溶性塩からなる群から選択されてもよい。1種以上の粒状物質は、不溶性無機金属塩、金属酸化物、鉱物及び不溶性ポリマー粒子からなる群から選択されてもよい。1種以上の粒状物質は二酸化チタンであってもよい。
【0085】
1種以上の粒状物質は、溶解されていないか又は安定して分散された形態で組成物中に存在していてもよく、毛髪に塗布して溶剤を蒸発させた後、固体形態で毛髪上に堆積することができる。
【0086】
1種以上の粒状物質は、シリカ(シリカゲル、二酸化ケイ素)及び金属塩、特に無機金属塩からなる群から選択されてもよい。1種以上の粒状物質はシリカであってもよい。1種以上の粒状物質は、アルカリ金属又はアルカリ土類金属ハロゲン化物、例えば塩化ナトリウム又は塩化カリウム、アルカリ金属又はアルカリ土類金属硫酸塩、例えば硫酸ナトリウム又は硫酸マグネシウムなどの金属塩からなる群から選択されてもよい。
【0087】
<溶剤>
組成物は溶剤を含む。溶剤は化粧用に許容できるキャリアであってもよい。組成物は水を含んでもよい。水は、成分の親水性部分が相互作用することができる親水相を提供するので有用であってもよい。水は、組成物が液体形態であるが故に他の流体と容易に混合することができることを意味する流体相を提供するので有用であってもよい。組成物は、40%~90%、又は50%~85%、又は55%~80%の水を含んでもよい。溶剤は水を含んでもよく、組成物は50%~85%の水を含んでもよい。
【0088】
組成物は、少なくとも10%の水を含む、水性組成物、アルコール性組成物又は水性アルコール性組成物であってもよい。組成物は、追加的な水混和性溶剤又は水溶性溶剤を含んでもよい。組成物は、少なくとも1種のC1~C5アルキル1価アルコール、又は少なくとも1種のC2~C3アルキルアルコールを含んでもよい。組成物は、エタノール及び/又はイソプロパノールを含んでもよい。組成物は共溶媒を含んでもよい。共溶媒は、化粧用に許容できる有機溶剤又は400℃未満の沸点を有する溶剤の混合物であってもよい。組成物は、0.1%~15%の共溶媒、又は1%~10%の共溶媒を含んでもよい。共溶媒は、ペンタン、ヘキサン、イソペンタンなどの非分岐又は分岐炭化水素;シクロペンタン及びシクロヘキサンなどの環状炭化水素からなる群から選択されてもよい。組成物は、グリセロール、エチレングリコール、プロピレングリコール、又はそれらの混合物を含んでもよい。
【0089】
<凍結防止剤>
組成物は、0.5%~30%の揮発性アルコールを含んでもよく、揮発性アルコールは1~8個の炭素原子を有し且つ水に混和性であってもよい。揮発性アルコールは、凍結防止剤(又は第1の凍結防止剤)として作用してもよい。凍結防止剤は、組成物の凝固点を低下させるが故に組成物が凍結するのを防止し、それは凍結及び/又はその後の解凍の望ましくない副作用を防ぐことができるという利点を有する。
【0090】
組成物は、0.5%~3%、又は0.75%~2.5%、又は1%~2%の揮発性アルコールを含んでもよく、揮発性アルコールは1~8個の炭素原子を有し且つ水に混和性であってもよい。揮発性アルコールは、1~4個の炭素原子を有する一価アルキルアルコールであってもよい。揮発性アルコールは、最大8個の炭素原子を有するアルコキシル化アルコール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、及びそれらの混合物からなる群から選択されてもよい。揮発性アルコールは、イソプロパノール、CHCHOCHCHOCHCHOH、CHOCHCH(CH)OCHCH(CH)OH、CHCH(OH)CHOCHCH(CH)OCH、CHCHOH、及びそれらの混合物からなる群から選択されてもよい。水への混和性は、水を溶剤として使用する利点を考慮すると有用であり得る。実際に、溶剤は水であってもよく、及び/又は溶剤の大部分が水であってもよい。第1の態様は「ケラチン繊維上にフィルムを提供するため」であるため、アルコールの揮発性は、溶剤及び他の非フィルム形成化合物が蒸発するように選択され得る。揮発性アルコールを提供するのに適した製品は、Firmenich製のAquasolved Superであり得る。
【0091】
組成物は、第1の凍結防止剤及び追加的な凍結防止剤を含んでもよい。追加的な凍結防止剤は、例えば、第1の凍結防止剤の負の効果を変えることによって、第1の凍結防止剤の効果を改変してもよい。組成物は、0.1%~2%、又は0.2%~1%の追加的な凍結防止剤を含んでもよい。追加的な凍結防止剤は、界面活性剤、例えば非イオン性界面活性剤であってもよい。追加的な凍結防止剤は、20~50個の炭素原子、又は22~25個の炭素原子を有する非イオン性界面活性剤であってもよい。非イオン性界面活性剤は、ポリエチレングリコールのエーテルであってもよい。非イオン性界面活性剤は、ポリエチレングリコールのC5~32アルキルアルコールエーテルであってもよい。非イオン性界面活性剤は、ポリエチレングリコールのC10~25アルキルアルコールエーテルであってもよい。前記ポリエチレングリコールは、式H(OCHCHOH(式中、nは1~20又は5~12の整数である)に従ってもよい。非イオン性界面活性剤は、トリグリセリン、ヘキサグリセリン、PPG-4、PPG-6、PEG-5、PEG-6、PEG-8、PEG-12、PEG-14、PEG-18又はPEG-20のエーテルであってもよい。適切な非イオン性界面活性剤は、INCI名C11~15 Pareth-9を有するDow製のTergitol(商標)15-S-9であってもよく、及び合成C11~15脂肪アルコールと平均9モルのエチレンオキシドとの混合物のポリエチレングリコールエーテルであってもよい。別の適切な非イオン性界面活性剤は、トリデセス-12であってもよい。
【0092】
<防腐剤>
組成物は、少なくとも1つの防腐剤及び/又は防腐剤の混合物を含んでもよい。防腐剤及び/又は防腐剤の混合物はグラム陰性細菌、黄色ブドウ球菌及びカンジダアルビカンスに対して活性であってもよい。組成物は、2-フェノキシエタノール及び/又はフェニルメタノールを含んでもよい。組成物は、2-フェノキシエタノールを含んでもよい。組成物は、防腐剤を0.01%~5%、又は防腐剤0.1%~2%、又は0.5%~1.5%含んでもよい。防腐剤は、ベンジルアルコール、フェノキシエタノール、及びそれらの混合物からなる群から選択されてもよい。組成物は、少なくとも1つの防腐剤を含んでもよく、防腐剤は、ベンジルアルコール及びフェノキシエタノールからなる群から選択されてもよく、又は防腐剤はベンジルアルコールとフェノキシエタノールとの混合物であってもよい。
【0093】
組成物は、パラヒドロキシ安息香酸のエステルを実質的に含有しなくてもよい。パラヒドロキシ安息香酸のエステルはパラベンとして一般的に公知である。パラベンは一部の消費者には好ましくない。
【0094】
組成物はイソチアゾリノン化合物を実質的に含有しなくてもよい。組成物はベンゾエート化合物を実質的に含有しなくてもよい。ベンゾエート化合物は、組成物の不安定度及び/又は沈殿の可能性のために好ましくない。組成物は1,3-ビス(ヒドロキシメチル)-5,5-ジメチルイミダゾリジン-2,4-ジオンを実質的に含有しなくてもよい。
【0095】
<香料>
組成物は、1種以上の香料を含んでもよい。組成物は、1種以上の香料を0.001%~2%含んでもよい。1種以上の顔料及び/又は1種以上の着色材料が芳香コーティングを有してもよい。また、1種以上の香料は、封入された香料、すなわちマイクロカプセル内に提供される香料によって提供されてもよい。
【0096】
マイクロカプセルは、摩擦によって引き起こされる放出技術を特徴とし、すなわちマイクロカプセルの内容物は、マイクロカプセルを摩擦に供したときに放出される。前記摩擦は、本発明による組成物を毛髪上に吸収する処置又は組成物が塗布された後に毛髪を梳く処置であり得る。マイクロカプセルは脆いマイクロカプセルであってもよい。脆いマイクロカプセルは、外殻が破裂されるときにコア材を放出するように構成されてもよい。マイクロカプセルは、合成ポリマー材料から製造される殻を含んでもよい。マイクロカプセルは、コア材とコア材を囲む殻とを含んでもよく、ここで、殻は、アミノアルキルアクリレート、アルキルアミノアルキルアクリレート、ジアルキルアミノアルキルアクリレート、アミノアルキルメタクリレート、アルキルアミノアミノアルキルメタクリレート、ジアルキルアミノアルキルメタクリレート、第三ブチルアミノエチルメタクリレート、ジエチルアミノエチルメタクリレート、ジメチルアミノエチルメタクリレート、ジプロピルアミノエチルメタクリレート、及びそれらの混合物からなる群から選択される複数のアミンモノマーと、複数の多官能性モノマー又は多官能性オリゴマーとを含む。殻は、ポリアクリレート材料、例えばポリアクリレートランダムコポリマーからなってもよい。
【0097】
マイクロカプセルは湿分による放出技術を特徴とし、すなわちマイクロカプセルの内容物は湿分と接触したときに放出されてもよい。マイクロカプセルは、環状オリゴ糖類を含んでもよく、又はマイクロカプセル母材若しくは殻は環状オリゴ糖類から製造される。本明細書において使用される「環状オリゴ糖類」は、6つ以上の糖質単位を含む環状構造を意味する。環状オリゴ糖類は、6、7、又は8つの糖質単位又はそれらの組合せを有してもよい。6、7、及び8員環環状オリゴ糖類をそれぞれα、β、及びγと呼ぶことは当技術分野において一般的である。環状オリゴ糖類は、シクロデキストリン:メチル-α-シクロデキストリン、メチル-β-シクロデキストリン、ヒドロキシプロピル-α-シクロデキストリン、ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン、及びそれらの混合物から選択されてもよい。シクロデキストリンは粒子の形態であってもよい。また、シクロデキストリンは噴霧乾燥されてもよい。
【0098】
1種以上の香料は、動物芳香性物質であっても植物芳香性物質であってもよい。動物芳香性物質は、ムスク油、シベット、カストリウム、アンバーグリス、及びそれらの混合物からなる群から選択されてもよい。植物芳香性物質は、ナツメグ抽出物、カードモン抽出物、ジンジャー抽出物、シナモン抽出物、パッチュリ油、ゼラニウム油、オレンジ油、マンダリン油、オレンジの花抽出物、シーダー材、ベチバー、ラバンジン、イラン抽出物、チュベローズ抽出物、ビャクダン油、ベルガモット油、ロスマリン油、スペアミント油、ハッカ油、レモン油、ラベンダー油、シトロネラ油、カモミール油、チョウジ油、セージ油、ネロリ油、ラダナム油、ユーカリ油、バーベナ油、ミモザ抽出物、スイセン抽出物、ニンジン種抽出物、ジャスミン抽出物、オリバナム抽出物、ローズ抽出部、及びそれらの混合物からなる群から選択されてもよい。
【0099】
香料は、アセトフェノン、アドキサール、アルデヒドC-12、アルデヒドC-14、アルデヒドC-18、アリルカプリレート、アンブロキサン、アミルアセテート、ジメチルインダン誘導体、α-アミルシンナムアルデヒド、アネトール、アニスアルデヒド、ベンズアルデヒド、ベンジルアセテート、ベンジルアルコール及びエステル誘導体、ベンジルプロピオネート、ベンジルサリチレート、ボルネオール、ブチルアセテート、樟脳、カルビトール、シンナムアルデヒド、シンナミルアセテート、シンナミルアルコール、シス-3-ヘキサノール及びエステル誘導体、シス-3-ヘキセニルメチルカーボネート、シトラール、シトロネロール及びエステル誘導体、クミンアルデヒド、シクラメンアルデヒド、シクロガルバネート、ダマスコン、デカラクトン、デカノール、エストラゴール、ジヒドロミルセノール、ジメチルベンジルカルビノール、6,8-ジメチル-2-ノナノール、ジメチルベンジルカルビニルブチラート、エチルアセテート、エチルイソブチレート、エチルブチレート、エチルプロピオネート、エチルカプリレート、エチルシンナメート、エチルヘキサノエート、エチルバレレート、エチルバニリン、オイゲノール、エキサルトリド、フェンコン、フルーツエステル、例えばエチル2-メチルブチレート、ガラクソリド、ゲラニオール及びエステル誘導体、ヘリオナール、2-ヘプトノン、ヘキセノール、α-ヘキシルシンナムアルデヒド、ヒドロキシシトロルネラル、インドール、イソアミルアセテート、イソオイゲノールアセテート、イオノン、イソオイゲノール、イソアミルイソ-バレレート、イソEスーパー、リモネン、リナロオール、リリアール、リナリルアセテート、リラール、マジャントール、マイオール、メロナール、メントール、p-メチルアセトフェノン、アントラニル酸メチル、メチルセドリロン、ジヒドロジャスモン酸メチル、メチルオイゲノール、メチルイオノン、メチル-α-ナフチルケトン、メチルフェニルカルビニルアセテート、ムゲタノール、γ-ノナラクトン、オクタナール、フェニルエチルアセテート、フェニル-アセトアルデヒドジメチルアセテート、フェノキシエチルイソブチレート、フェニルエチルアルコール、ピネン、サンダローア、サンタロール、ステモン、チモール、テルペン、トリプラール、トリエチルシトレート、3,3,5-トリメチルシクロヘキサノール、γ-ウンデカラクトン、ウンデセナール、バニリン、ベロウトン、ベルドックス、及びそれらの混合物からなる群から選択されてもよい。
【0100】
<pH>
組成物のpHは、3.0~11.0、又は3.5~8.0、又は3.5~5.5、又は4.0~5.0であってもよい。pHは、組成物の化粧品相溶性及び安定性を確実にするのに有用であり得る。例えば、非常に高い又は非常に低いpHは、成分を沈殿させることがあり、それは望ましくない残留物を毛髪上にもたらすことがあり得る。
【0101】
組成物は、pH調節剤及び/又は緩衝剤を含んでもよい。pH調節剤及び/又は緩衝剤の量は、組成物のpHを調節するために十分に効果的であってもよい。ここで使用するための適したpH調節剤及び/又は緩衝剤には、限定されないが、アンモニア、アルカノールアミン、例えばモノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノプロパノールアミン、ジプロパノールアミン、トリプロパノールアミン、トリプロパノールアミン、2-アミノ-2-メチル-1-プロパノール、及び2-アミノ-2-ヒドロキシメチル-1,3,-プロパンジオール及びグアニジウム塩、アルカリ金属及びアンモニウム水酸化物及び炭酸塩、好ましくは水酸化ナトリウム、ケイ酸ナトリウム、メタケイ酸ナトリウム及び炭酸アンモニウム、及び弱酸性物質、例えば無機及び無機酸、例えば、燐酸、酢酸、アスコルビン酸、クエン酸又は酒石酸、塩酸、及びそれらの混合物が含まれる。
【0102】
<レオロジー>
組成物は、30mPa・s~1000mPa・sの粘度を有してもよい。粘度は、12.9s-1の剪断速度でDIN 53019に従って冷却/加熱容器及びセンサーシステムを有するHAAKE回転粘度計VT550を使用して23℃で測定される。組成物は、100mPa・s~500mPa・s、又は150mPa・s~450mPa・s、又は200mPa・s~400mPa・s、又は250mPa・s~350mPa・sの粘度を有してもよい。組成物は、100mPa・s~200mPa・sの粘度を有してもよい。粘度範囲は、組成物が衣服及び/又は周囲の材料上に滴り落ちるのを防ぐのに役立つという観点から有用である。さらに、粘度が非常に高いとき、組成物を容易に混合することができない。
【0103】
組成物は、23℃及び1%歪で1Hzの角周波数で2未満のtanδを有してもよい。tanδ(tanデルタ、tan[δ]、損失正接、誘電損率としても知られる)は、粘性弾性率(G’’)対弾性率(G’)の比であり、流体中の弾性の存在及び程度の量記号である。tanδを計算する方法は、以下に示される。
G’=貯蔵弾性率
G’’=損失弾性率
tanδ=誘電損率
【0104】
【数1】
【0105】
tanδを計算するための装置及び手順に関するさらなる情報は、以下の実験の節に見出すことができる。組成物は、23℃及び1%歪で1Hzの角周波数で0.6~2のtanδを有してもよい。組成物は、23℃及び1%歪で1Hzの角周波数で0.6~1.5又は0.6~1.0のtanδを有してもよい。
【0106】
<毛髪着色剤>
組成物は、毛髪着色剤をさらに含んでもよい。毛髪着色剤は直接染料であってもよい。組成物は、0.001%~4%、又は0.005%~3%、又は0.01%~2%の総量の直接染料を含んでもよい。直接染料の存在及びその比率は、着色/染色を提供することができる又は特に強度に関して強化することができる点において有用であってもよい。
【0107】
直接染料は、青色を提供するためのニトロ染料、赤色を提供するためのニトロ染料、黄色を提供するためのニトロ染料、キノン染料、塩基性染料、天然アゾ染料、酸性染料、及びそれらの混合物からなる群から選択されてもよい。直接染料は、青色を提供するためのニトロ染料であってもよい。直接染料は、赤色を提供するためのニトロ染料であってもよい。直接染料は、黄色を提供するためのニトロ染料であってもよい。直接染料は、キノン染料であってもよい。直接染料は、塩基性染料であってもよい。直接染料は、天然アゾ染料であってもよい。直接染料は酸性染料であってもよい。
【0108】
直接染料は、酸性染料、例えばアシッドイエロー1、アシッドオレンジ3、アシッドブラック1、アシッドブラック52、アシッドオレンジ7、アシッドレッド33、アシッドイエロー23、アシッドブルー9、アシッドバイオレット43、アシッドブルー16、アシッドブルー62、アシッドブルー25、アシッドレッド4、塩基性染料、例えばベーシックブラウン17、ベーシックレッド118、ベーシックオレンジ69、ベーシックレッド76、ベーシックブラウン16、ベーシックイエロー57、ベーシックバイオレット14、ベーシックブルー7、ベーシックブルー26、ベーシックレッド2、ベーシックブルー99、ベーシックイエロー29、ベーシックレッド51、ベーシックオレンジ31、ベーシックイエロー87、4-(3-(4-アミノ-9,10-ジオキソ-9,10-ジヒドロアントラセン-1-イルアミノ)プロピル)-4-メチルモルホリン-4-イウム-メチルサルフェート、(E)-1-(2-(4-(4,5-ジメチルチアゾル-2-イル)ジアゼニル)フェニル)(エチル)アミノ)エチル)-3-メチル-1H-イミダゾル-3-イウムクロリド、(E)-4-(2-(4-(ジメチルアミノ)フェニル)ジアゼニル)-1-メチル-1H-イミダゾル-3-イウム-3-イル)ブタン-1-スルホネート、(E)-4-(4-(2-メチル-2-フェニルヒドラゾノ)メチル)ピリジニウム-1-イル)ブタン-1-スルホネート、N,N-ジメチル-3-(4-(メチルアミノ)-9,10-ジオキソ-4a,9,9a,10-テトラヒドロアントラセン-1-イルアミノ)-N-プロピルプロパン-1-アミニウム(aminium)ブロミド、分散染料、例えばディスパースレッド17、ディスパースバイオレット1、ディスパースレッド15、ディスパースバイオレット1、ディスパースブラック9、ディスパースブルー3、ディスパースブルー23、ディスパースブルー377、ニトロ染料、例えば1-(2-(4-ニトロフェニルアミノ)エチル)尿素、2-(4-メチル-2-ニトロフェニルアミノ)エタノール、4-ニトロベンゼン-1,2-ジアミン、2-ニトロベンゼン-1,4-ジアミン、ピクラミン酸、HCレッドNo.13、2,2’-(2-ニトロ-1,4-フェニレン)ビス(アザネジイル)ジエタノール、HCイエローNo.5、HCレッドNo.7、HCブルーNo.2、HCイエローNo.4、HCイエローNo.2、HCオレンジNo.1、HCレッドNo.1、2-(4-アミノ-2-クロロ-5-ニトロフェニルアミノ)エタノール、HCレッドNo.3、4-アミノ-3-ニトロフェノール、4-(2-ヒドロキシエチルアミノ)-3-ニトロフェノール、2-アミノ-3-ニトロフェノール、2-(3-(メチルアミノ)-4-ニトロフェノキシ)エタノール、3-(3-アミノ-4-ニトロビフェニル)プロパン-1,2-ジオール、HCイエローNo.11、HCバイオレットNo.1、HCオレンジNo.2、HCオレンジNo.3、HCイエローNo.9、HCレッドNo.10、HCレッドNo.11、2-(2-ヒドロキシエチルアミノ)-4,6-ジニトロフェノール、HCブルーNo.12、HCイエローNo.6、HCイエローNo.12、HCブルーNo.10、HCイエローNo.7、HCイエローNo.10、HCブルーNo.9、2-クロロ-6-(エチルアミノ)-4-ニトロフェノール、6-ニトロピリジン-2,5-ジアミン、HCバイオレットNo.2、2-アミノ-6-クロロ-4-ニトロフェノール、4-(3-ヒドロキシプロピルアミノ)-3-ニトロフェノール、HCイエローNo.13、6-ニトロ-1,2,3,4-テトラヒドロキノキサリン、HCレッドNo.14、HCイエローNo.15、HCイエローNo.14、N2-メチル-6-ニトロピリジン-2,5-ジアミン、N1-アリル-2-ニトロベンゼン-1,4-ジアミン、HCレッドNo.8、HCグリーンNo.1、HCブルーNo.14、及び天然染料、例えばアナトー、アントシアニン、ビートルート、カロテン、カプサンシン、リコペン、クロロフィル、ヘンナ、インジゴ、コチニールからなる群から選択されてもよい。
【0109】
<第1の態様の組成物の他の特徴>
組成物は、1種以上のラジカルスカベンジャーを含んでもよく、それは、毛髪への損傷を低減させるために十分な量で存在していてもよい。1種以上のラジカルスカベンジャーは、有利には、1種以上のラジカルスカベンジャーがアルカリ化剤と異なるように選択されてもよい。
【0110】
1種以上のラジカルスカベンジャーは、アルカノールアミン、アミノ糖、アミノ酸、及びそれらの混合物からなる群から選択されてもよい。1種以上のラジカルスカベンジャーは、モノエタノールアミン、3-アミノ-1-プロパノール、4-アミノ-1-ブタノール、5-アミノ-1-ペンタノール、1-アミノ-2-プロパノール、1-アミノ-2-ブタノール、1-アミノ-2-ペンタノール、1-アミノ-3-ペンタノール、1-アミノ-4-ペンタノール、3-アミノ-2-メチルプロパン-1-オール、1-アミノ-2-メチルプロパン-2-オール、3-アミノプロパン-1,2-ジオール、グルコサミン、N-アセチルグルコサミン、グリシン、アルギニン、リシン、プロリン、グルタミン、ヒスチジン、セリン、トリプトファン、及び上記のもののカリウム、ナトリウム及びアンモニウム塩、並びにそれらの混合物からなる群から選択されてもよい。1種以上のラジカルスカベンジャーは、ベンジルアミン、グルタミン酸、イミダゾール、ジ-tert-ブチルヒドロキシトルエン、ヒドロキノン、カテコール、及びそれらの混合物からなる群から選択されてもよい。組成物はラジカルスカベンジャーを実質的に含有しなくてもよい。
【0111】
組成物は、キレート剤を含んでもよい。組成物は、組成物の成分と相互作用するために利用可能な金属の量を低減するために十分な量でキレート剤を含んでもよい。キレート剤は、キレーター及びキレート化剤としても知られている。
【0112】
キレート剤は、ジアミン-N,N’-ジポリ酸、モノアミンモノアミド-N,N’-ジポリ酸、及びN,N’-ビス(2-ヒドロキシベンジル)エチレンジアミン-N,N’-二酢酸キレート剤(例えばEDDS(エチレンジアミンジコハク酸))、カルボン酸(例えばアミノカルボン酸)、ホスホン酸(例えばアミノホスホン酸)、ポリ燐酸(特に直鎖ポリ燐酸)、塩及びそれらの誘導体、並びにそれらの混合物からなる群から選択されてもよい。キレート剤はエチレンジアミンテトラ酢酸(EDTA)及び/又はエディトロン酸であってもよい。キレート剤はヒスチジンであってもよい。
【0113】
組成物は過硫酸塩を実質的に含有しなくてもよい。
【0114】
<第1の態様の典型的な実施形態>
ケラチン繊維上にフィルムを提供するための組成物が提供され、それは、
(a)アミノ側鎖を含み且つ10,000ダルトン~60,000ダルトンの重量平均分子量を有するフィルム形成アミノシリコーンポリマーと、
(b)MQ樹脂であるシリコーン樹脂と、
(c)増粘系であって、
・親水性及び非イオン性ポリマーであり且つ700,000ダルトン~3,000,000ダルトンの重量平均分子量を有する堆積促進剤と、
・少なくとも10,000ダルトンの重量平均分子量を有し且つカチオン性増粘ポリマーであるか又は非イオン性増粘ポリマーである増粘ポリマーと
を含む増粘系と、
(d)溶剤と
を含む。
この組成物は、組成物がpH5及び23℃の水溶液中にあるとき、組成物の任意の成分の沈殿を引き起こす化合物を実質的に含有しなくてもよい。
この組成物は、水溶性多価アルコールのエーテルを含んでもよく、組成物は、5ミクロン~60ミクロンの平均D50粒径を有する1種以上の顔料を含んでもよい。
この組成物は、シリカである1種以上の粒状物質を含んでもよい。
【0115】
ケラチン繊維上にフィルムを提供するための組成物が提供されてもよく、それは、
(a)アミノ側鎖を含み且つ10,000ダルトン~60,000ダルトンの重量平均分子量を有するフィルム形成アミノシリコーンポリマーと、
(b)MQ樹脂であるシリコーン樹脂と、
(c)増粘系であって、
・親水性及び非イオン性ポリマーであり且つ700,000ダルトン~3,000,000ダルトンの重量平均分子量を有する堆積促進剤と、
・少なくとも10,000ダルトンの重量平均分子量を有し且つカチオン性増粘ポリマーであるか又は非イオン性増粘ポリマーである増粘ポリマーと
を含む増粘系と、
(d)溶剤と
を含んでもよく、この組成物は、組成物がpH5及び23℃の水溶液中にあるとき、組成物の任意の成分の沈殿を引き起こす化合物を実質的に含有せず、この組成物は、5ミクロン~60ミクロンの平均D50粒径を有する顔料を含み、且つこの組成物は、光防護物質を含む。
【0116】
ケラチン繊維上にフィルムを提供するための組成物が提供されてもよく、それは、
(a)アミノ側鎖を含み且つ10,000ダルトン~60,000ダルトンの重量平均分子量を有するフィルム形成アミノシリコーンポリマーと、
(b)MQ樹脂であるシリコーン樹脂と、
(c)増粘系であって、
・親水性及び非イオン性ポリマーであり且つ700,000ダルトン~3,000,000ダルトンの重量平均分子量を有する堆積促進剤と、
・少なくとも10,000ダルトンの重量平均分子量を有し且つカチオン性増粘ポリマーであるか又は非イオン性増粘ポリマーである増粘ポリマーと
を含む増粘系と、
(d)溶剤と
を含んでもよい。
この組成物は、組成物がpH5及び23℃の水溶液中にあるとき、組成物の任意の成分の沈殿を引き起こす化合物を実質的に含有しなくてもよい。
この組成物は、5ミクロン~60ミクロンの平均D50粒径を有する1種以上の顔料を含んでもよい。
【0117】
ケラチン繊維上にフィルムを提供するための組成物が提供されてもよく、それは、
(a)0.1%~3%の、アミノ側鎖を含み且つ10,000ダルトン~60,000ダルトンの重量平均分子量を有するフィルム形成アミノシリコーンポリマーと、
(b)MQ樹脂であるシリコーン樹脂と、
(c)水溶性多価アルコールのエーテルと、
(d)0.5%~10%の増粘系であって、
・親水性及び非イオン性ポリマーであり且つ700,000ダルトン~3,000,000ダルトンの重量平均分子量を有する堆積促進剤と、
・少なくとも10,000ダルトンの重量平均分子量を有し且つカチオン性増粘ポリマーであるか又は非イオン性増粘ポリマーである増粘ポリマーと
を含む増粘系と、
(e)1%~10%の、1種以上の着色材料又は1種以上の顔料と、
(f)水と、
(g)0.1%~10%の、1~8個の炭素原子を有し且つ水に混和性である揮発性アルコールと
を含む。
この組成物は、組成物がpH5及び23℃の水溶液中にあるとき、組成物の任意の成分の沈殿を引き起こす化合物を実質的に含有しなくてもよい。
この組成物は、5ミクロン~60ミクロンの平均D50粒径を有する1種以上の顔料を含んでもよく、任意選択的に、1種以上の顔料は、酸化鉄、二酸化チタン、マイカ、ホウケイ酸塩、及びそれらの組合せからなる群から選択される。
【0118】
<第2の態様>
第2の態様は、顔料又は着色材料を含むフィルムをケラチン繊維上に提供するための方法に関し、この方法は、本明細書において上記された組成物をケラチン繊維上に塗布する工程と、ケラチン繊維を乾燥するようにさせるか又はそれらを乾燥させる工程とを含む。この方法は、本明細書において上記された組成物をケラチン繊維上に塗布する工程と、次いで、ブロー乾燥機、加熱アイロン、加熱フード、及びそれらの組合せからなる群から選択されるデバイスを使用してそれらを乾燥させる工程を含んでもよい。
【0119】
乾燥は、ヘアドライヤー又は乾燥フードを使用して行われてもよい。乾燥は、28℃~40℃の温度で行われてもよい。温度は、溶剤及び他の揮発性化合物の蒸発を促進し、したがって優れたフィルム形成を可能にする点において有用であってもよい。この方法は、ブロー乾燥機、加熱アイロン、加熱フード、及びそれらの組合せからなる群から選択されるデバイスを使用してケラチン繊維を乾燥させる工程を含んでもよい。
【0120】
方法は、本明細書において上記された組成物をケラチン繊維上に塗布する工程と、ケラチン繊維を乾燥するようにさせるか又はそれらを乾燥させる工程と、次いで、シリコーン樹脂を含む調合物をケラチン繊維上に塗布する工程と、ケラチン繊維を乾燥するようにさせるか又はそれらを乾燥させる工程とを含んでもよい。組成物は、白色顔料又は黒色顔料を含んでもよい。
【0121】
方法は、本明細書において上記された第1の組成物をケラチン繊維上に塗布する工程と、ケラチン繊維を乾燥するようにさせるか又はそれらを乾燥させる工程と、次いで、本明細書において上記された第2の組成物をケラチン繊維上に塗布する工程と、ケラチン繊維を乾燥するようにさせるか又はそれらを乾燥させる工程とを含んでもよく、ここで、第1の組成物が第1の色を示す第1の顔料を含んでもよく、第2の組成物が第2の色を示す第2の顔料を含んでもよい。第1の色は白色又は黒色であってもよい。第2の色は白色でも黒色でもなくてよい。第1の顔料は、二酸化チタン又は炭素を含んでもよい。この方法は、毛髪を脱色する工程を包含又は含まなくてもよい。
【0122】
<第3の態様>
キットが提供され、それは、本明細書において上記された組成物と、任意選択的に、1種以上の顔料及び/又は1種以上の着色材料を含む調合物と、アプリケーターとを含む。キットは、本明細書において上記された組成物とスポンジヘッドとを含むパッケージングからなってもよく、ここで、組成物は1種以上の顔料及び/又は1種以上の着色材料を含んでもよい。キットは、第1のコンパートメントと第2のコンパートメントとを含むマルチコンパートメントパッケージを含んでもよく、ここで、第1のコンパートメントが本明細書において上記された組成物を含んでもよく、第2のコンパートメントが1種以上の顔料及び/又は1種以上の着色材料を含んでもよい。
【0123】
キットは、第1の顔料を含む本明細書において上記された第1の組成物と、第2の顔料を含む本明細書において上記された第2の組成物とを含んでもよく、ここで、第1の顔料と第2の顔料とが異なる色を示してもよい。
【0124】
<第4の態様>
第4の態様は、顔料及び/又は着色材料をケラチン繊維に塗布するための第3の態様によるキットの使用に関する。
【実施例
【0125】
以下の実施例は、本発明の範囲内にある実施形態を更に説明及び実証する。これらの実施例は、単に説明の目的で与えられ、本発明の範囲から逸脱することなく多くの変更が可能であるため、本発明を限定するものと解釈すべきではない。
【0126】
【表1】
【0127】
略語一覧:
=Wacker製、液体、ミクロエマルションであり、ポリ[3-((2-アミノエチル)アミノ)プロピル]メチル(ジメチル)シロキサン(ヒドロキシ末端)、オクタメチルシクロテトラシロキサン、MQ樹脂、エチレングリコールモノヘキシルエーテル及びジエチレングリコールモノブチルエーテルの水性混合物である;
=BASF製のSalcare(登録商標)SC 96、INCI名:ポリクオタニウム-37(及び)プロピレングリコールジカプレートジカプリレート(及び)PPG-1トリデセス-6である;
=Dow製のCellosize(商標)HEC QP 4400;
=Kelco製のKeltrol(登録商標)又はHerkules製のNatrosol(登録商標)250 HHR;
=Dow製のPOLYOX WSR N-60Kは、式H(OCHCHOH(式中、nが整数であり、nが45,000の平均値を有する)を有し、重量平均分子量は2,000,000ダルトンである;
=Dow製のPOLYOX WSR N-12Kは、式H(OCHCHOH(式中、nが23,000の平均値を有する整数である)を有し、重量平均分子量は1,000,000ダルトンである;
=Dow製のPOLYOX WSR-301は、式H(OCHCHOH(式中、nが90,000の平均値を有する整数である)を有し、重量平均分子量は4,000,000ダルトンである;
=Dow製のPOLYOX N-750は、式H(OCHCHOH(式中、nが7,000の平均値を有する整数である)を有し、重量平均分子量は300,000ダルトンである;
=Dow製のPOLYOX WSR-308は、式H(OCHCHOH(式中、nが整数であり、nが180,000の平均値を有する)を有し、8,000,000ダルトンの重量平均分子量を有する;
=C11~15 Pareth-9、これは合成C11-15脂肪アルコールと平均9モルのエチレンオキシドとの混合物のポリエチレングリコールエーテルである。
=2-フェノキシエタノール及び/又はフェニルメタノール;
=Firmenich製;
§=マイカ及び/又は鉄酸化物;Colorona Bronze Fine;SynCrystal Almond;Xirona Le Rouge;DUOCROME RV 524C;SynCrystal Jade;Colorona Precious Gold;Ronastar Red;Syncrystal Sapphire;Impact Silver Rutile;KTZ Misterioso Pewter;及びそれらの組合せから選択される顔料。
【0128】
実験
<滴り試験>
様々な増粘系の有利な滴り挙動を解明するために様々な組成物が試験される。水、アミノシリコーンポリマー(グラフトアミノ基を有するポリジメチルシロキサンポリマー)、シリコーン樹脂(MQ樹脂)、及びジエチレングリコールモノブチルエーテルとエチレングリコールモノヘキシルエーテルとの混合物を含む基礎組成物が調製される。以下の表の通りに、堆積促進剤又は増粘ポリマーを示された量(wt%)で基礎組成物に添加する。次に、0.5gの顔料を9.5gのこの組成物に添加する。組成物を毛髪に塗布し、滴り挙動を観察し、該当する場合、30秒での滴りの数を数える。
【0129】
【表2】
【0130】
略語一覧:=Dow製の(商標)HEC QP4400(ヒドロキシエチルセルロース);=BASF製のSalcare SC 96;β=POLYOX WSR 308(Dow)、800万ダルトンの分子量を有する;§=Polyox WSR N60K(Dow)、200万ダルトンの分子量を有する。
【0131】
結論:組成物2及び3が最も良く機能した。組成物6及び7を比較するとき、堆積促進剤の重量平均分子量が高くなると組成物の曳糸性をもたらすことが明らかである。組成物4は、堆積促進剤のみでは好ましいクリーム状稠度を提供しないことを示す。増粘ポリマーを含む組成物のみが好ましいクリーム状稠度を示した。
【0132】
<レオロジー>
以下の組成物を調製した。
【0133】
【表3】
【0134】
略語一覧:Z=Wacker(登録商標)HC303(上記のBELSIL ADM 8301 Eのように商業的に入手可能);EtOH=エタノール;=BASF製のSalcare(登録商標)SC96;=Dow製のPEG-45M(Polyox WSR N-60K);§=銅顔料。
【0135】
これらの組成物の粘度を測定し、平均を計算する。簡単な流動粘度実験は、他の全ての条件を等しくして同じ量の組成物が同じ勾配を流れ落ちる速さに関する情報を提供する。滴り試験は上記の通りである。
【0136】
【表4】
【0137】
略語一覧:Haake粘度計(64.50 1/s)MV DIN並びに5分の状態調節時間を使用するときのmPa・s単位の粘度。
【0138】
したがって、組成物B及びD~Gは、請求の範囲の粘度、即ち、30mPa・s~1000mPa・sの粘度に含まれる。組成物Dは、組成物B及びD~Gの最も低い粘度を有する。組成物Dは、組成物B及びD~Gの最も速い流動粘度を有する。組成物Gは、最も高い粘度及び最も遅い流動粘度も有する。
【0139】
振幅掃引を有する線形粘弾性領域の時間依存性の粘弾性が測定及び比較される。貯蔵弾性率及びtanδは、TAインストルメンツAR2000ex流動計を使用して測定される。この実験において、異なる組成物が比較される。組成物の構成要素を一緒に混合し、次に、160rpmでIKA KS501デジタルを使用して均質化し、次いでそれを流動計上に載せる。流動計は以下の仕様/条件で使用される:上側形状、60mmの鋼;下側形状、ペルチェ素子;温度、23℃;予備剪断、51/s、1分;平衡化、2分;法線力、オフ;間隙:650μm。振幅掃引(歪掃引)は、0.05%~50%の歪、ログデータサンプリング(10点/10年)及び1Hz(6.283rad/s)の周波数で実施された。
【0140】
これらのデータは図1に示され、それは以下の表にも記載される。
【0141】
【表5】
略語一覧:=BASF製のSalcare(登録商標)SC96;=Dow製のPEG-45M(Polyox WSR N-60K)。
【0142】
したがって、組成物D及びEは、23℃で1Hzの角周波数で2未満のtanδを有さない。
【0143】
<コーティング工程>
本発明に従う同じ組成物を、後処理の性能効果について試験する。塗布欄では、事象は左から右に進行する。即ち、最初に、乾燥した毛髪に組成物を塗布した。次いで、実験2である参照処理と対比して性能を視覚的に評価する。
【0144】
【表6】
【0145】
略語一覧:=本発明に従う。
【0146】
結果として、実験14が全体的に最良であると結論付けることができる。実験6及び実験9も非常に良好であった。実験5及び実験15は、参照処理と同等であった。参照処理は、本発明に従う組成物での処理であり、次いで、梳かしながらのブロー乾燥であった。本発明の組成物を毛髪に塗布し、次いで、髪を梳いた後、コーティング工程を行い、次いで、髪を梳きながらブロー乾燥する実験14において、最良の結果が達成された。
【0147】
<色及び毛髪の性能:MQ樹脂の影響>
以下の組成物を調製した(全ての量はwt%単位である)。組成物HはMQ樹脂を含むが、他方、比較用組成物IはMQ樹脂を含まない。比較用組成物Iは、本発明の範囲内ではない。
【0148】
【表7】
【0149】
略語一覧:Z=Wacker(登録商標)HC303(市販品);W=MQ樹脂を全く含有しない、本明細書において上記されたWacker(登録商標)HC303;EtOH=エタノール;=BASF製のSalcare(登録商標)SC96;=Dow製のPEG-45M(Polyox WSR N-60K);§=Colorona(登録商標)からの銅顔料;及び=C11~15 Pareth-9であり、それは合成C11~15脂肪アルコールと平均9モルのエチレンオキシドとの混合物のポリエチレングリコールエーテルである。
【0150】
<毛髪の房>
白人ヘアカラー4/0ヨーロッパナチュラルヘア
1.5cmの幅及び10cmの長さを有する毛髪の房。
Kerling International Haarfabrikから入手可能
【0151】
<毛髪の房上への組成物H又はIそれぞれの塗布>
1.0gの組成物H又は比較用組成物Iを1.0gの毛髪の房上に塗布した。ブラシ又はスポンジヘッドを用いて各組成物H又はIを毛髪の房内に分散させた。毛髪の房をはじいた。毛髪の房の全ての毛髪繊維が完全に且つ均一に着色されるまで各組成物H又はIをさらに分散させた。
【0152】
それぞれの処理済みの毛の房を従来のブロー乾燥機を使用して2分間にわたって手作業でブロー乾燥させた。それぞれ30秒後に、処理済みの毛髪の房を毛髪の房の上部から下部まで櫛で梳いた。
【0153】
<色彩効果/強度の視覚的な評価>
D65ライトボックス下で、組成物Hで処理された毛髪の房を比較用組成物Iで処理された毛髪の房と比較した。評価は以下のように等級付けされた。
【0154】
【表8】
【0155】
参照は、未処理の毛の房であった。
【0156】
組成物Hで処理された毛髪の房は、参照よりも毛髪に著しく良い効果を示した。
【0157】
比較用組成物Iで処理された毛髪の房は、参照よりも毛髪にわずかに悪い効果を示した。
【0158】
組成物がMQ樹脂を含むとき、毛髪への色彩効果は、組成物がMQ樹脂を含まないときよりも著しく良い。
【0159】
<毛髪洗浄の効果>
各組成物H又はIで処理された毛髪の房を30秒間にわたり水で洗浄し、次に30秒間にわたり0.5mLのウエラプロフェッショナルブリリアンスシャンプーで、次いで30秒間にわたり水で洗浄した。
【0160】
それぞれの処理済みの毛の房を従来のブロー乾燥機を使用して2分間にわたって手作業でブロー乾燥させた。それぞれ30秒後に、処理済みの毛髪の房を毛髪の房の上部から下部まで櫛で梳いた。
【0161】
組成物Hで処理された毛髪の房は、視覚的な評価により、毛髪に対する顔料の良い付着性を示した。
【0162】
しかしながら、比較用組成物Iで処理された毛髪の房のみが、視覚的な評価により、毛髪に対する顔料のわずかな付着性を示した。
【0163】
<毛髪の感触>
各組成物H又はIで処理された毛髪の房を親指と人差し指とによって引っ張った。処理済みの毛髪の房を未処理の毛の房に対して評価した。
【0164】
組成物Hで処理された毛髪の房は、著しいコート効果を示した。しかしながら、比較用組成物Iで処理された毛髪の房のみがわずかなコート効果を示した。
【0165】
<水浸漬試験>
各組成物H又はIで処理された毛髪の房を200mLの留出水中に15秒間にわたり15回浸漬した。顔料が沈殿した後に画像を撮った。組成物Hで処理された毛髪の房はほとんど顔料を失わないことが観察された。しかしながら、比較用組成物Iで処理された毛髪の房は、組成物Hで処理された毛髪の房に対してはるかに多い顔料を失った。
【0166】
<結論>
毛髪の房が、MQ樹脂を含む組成物Hで処理されるとき、比較用組成物Iに対して、処理済みの毛髪の房は、毛髪への顔料の付着性が増加した改良された着色性能及びより良い洗浄耐久性を示した。
【0167】
本明細書において開示される寸法及び値は、列挙された正確な数値に厳密に限定されるとして理解されるべきではない。代わりに、特に断らない限り、このようなそれぞれの寸法は、記載された値とその値の周辺の機能的に均等な範囲との両方を意味することを意図する。例えば、「40mm」として開示される寸法は、「約40mm」を意味することを意図する。
【0168】
任意の相互参照されるか又は関連する特許又は出願を含め、本明細書において引用される全ての文献は、明確に排除されるか或いは他の方法で限定されない限り、その全体において参照によって本明細書に組み込まれる。任意の文献の引用は、本明細書で開示又は特許請求される任意の発明に対してそれが先行技術であること、又はそれが単独で若しくは任意の他の文献との任意の組合せで任意のかかる発明を教示、提案若しくは開示することを認めるものではない。さらに、本明細書における用語の任意の意味又は定義が参照によって組み込まれる文献における同じ用語の任意の意味又は定義と矛盾する限りにおいて、本明細書においてその用語に帰属される意味又は定義が適用されるものとする。
【0169】
本発明の特定の実施形態が説明及び記載されたが、本発明の趣旨及び範囲から逸脱せずに様々な他の変更形態及び改良形態がなされ得ることは当業者に明らかであろう。したがって、本発明の範囲内である全てのかかる変更形態及び改良形態を添付の特許請求の範囲において含むことが意図される。
図1