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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-16
(45)【発行日】2022-01-14
(54)【発明の名称】可変式速度規制標識
(51)【国際特許分類】
   E01F 9/00 20160101AFI20220106BHJP
   G08G 1/09 20060101ALI20220106BHJP
【FI】
E01F9/00
G08G1/09 A
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2019088756
(22)【出願日】2019-05-09
(65)【公開番号】P2020183673
(43)【公開日】2020-11-12
【審査請求日】2020-12-03
(73)【特許権者】
【識別番号】000243881
【氏名又は名称】名古屋電機工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000660
【氏名又は名称】Knowledge Partners 特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】川村 嘉郁
(72)【発明者】
【氏名】田子 和利
(72)【発明者】
【氏名】大島 創
【審査官】柿原 巧弥
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-095563(JP,A)
【文献】特開2014-098775(JP,A)
【文献】特開2015-049994(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0152436(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E01F 9/00
G08G 1/09
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
円形の領域を有し、前記円形の領域には、前記円形の弧の少なくとも一部が外周となる穴が形成されている標示板と、
前記穴と同一の形状または前記穴よりも大きい形状の表示領域を有し、前記穴を通して前記表示領域を視認可能な位置に取り付けられた電子ペーパーパネルと、
を備える可変式速度規制標識。
【請求項2】
前記表示領域を照明する光源を、さらに備える、
請求項1記載の可変式速度規制標識。
【請求項3】
前記光源は、
前記標示板と、前記電子ペーパーパネルと、の間に配置される、
請求項2に記載の可変式速度規制標識。
【請求項4】
前記光源は、
前記穴の外周に沿って配置される、
請求項2または請求項3に記載の可変式速度規制標識。
【請求項5】
前記円形の領域には、水平方向に平行な2本の弦と、前記弦の間に挟まれた前記円形の弧と、が外周となる穴が形成され、2本の前記弦の長さは同一であり、
前記電子ペーパーパネルは、
前記表示領域上で、前記弦を2辺とする長方形の内部と外部との双方に情報を表示する、
請求項1~請求項4のいずれかに記載の可変式速度規制標識。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示内容を変化させることが可能な可変式速度規制標識に関する。
【背景技術】
【0002】
高速道路を走行する車両の安全走行を確保するため、規制速度を可変表示する可変式速度規制標識が知られている。例えば、非特許文献1には、「標識板の素地は黒色で白色または黄色の灯火(LED)で最高速度を表示する。」と記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】"可変標識" Wikipedia [2019年4月8日検索]インターネットURL<https://ja.wikipedia.org/wiki/可変標識#可変式速度規制標識>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
LEDの点綴りによって最高速度を表示する可変式速度規制標識にあっては、素地が黒色の円形部分(内円)に矩形のLED表示部(ユニット)をはめ込み、一体の表示面を形成する構造になっている。そのため、図4Cのように、矩形の範囲内の表示しかできず、内円のエリアを有効に利用して大きな数字を表示することができないといった問題があった。また、LED等を利用して表示を行う可変式速度規制標識は、表示を継続するために大きな電力が必要である。従って、災害や停電の際には最高速度を規制する標識として機能しなくなってしまう。
【0005】
本発明は、前記問題にかんがみてなされたもので、表示を行う内円のエリアを最高速度等の表示を行うために有効に活用することが可能であり、かつ、表示を継続するために電力を消費しない可変式速度規制標識を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記の目的を達成するため、可変式速度規制標識は、円形の領域を有し、円形の領域には、円形の弧の少なくとも一部が外周となる穴が形成されている標示板と、穴と同一の形状または穴よりも大きい形状の表示領域を有し、穴を通して表示領域を視認可能な位置に取り付けられた電子ペーパーパネルと、を備える。
【0007】
すなわち、可変式速度規制標識は、円形の領域に表示すべき情報を電子ペーパーパネルによって表示することが可能である。そして、電子ペーパーパネルは、表示内容の変更の際に電力を消費するが、表示内容を継続して表示するために電力を必要としない。従って、表示内容を変化させることが可能であり、かつ、表示を継続するために電力を消費しない可変式速度規制標識を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1Aは支柱の上部に取り付けられた可変式速度規制標識の外観を示す図、図1Bは可変式速度規制標識を横方向から眺めた図である。
図2図2Aは標示板を前側から眺めた状態を示す図、図2Bは他の構成例にかかる標示板を前側から眺めた状態を示す図、図2Cは可変式速度規制標識のブロック図である。
図3図3Aは数字の表示例を示す図、図3Bは光源の配置例を示す図である。
図4図4A図4Bは数字以外の表示例をそれぞれ示す図であり、図4Cは従来の可変式速度標識の外観を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
ここでは、下記の順序に従って本発明の実施の形態について説明する。
(1)可変式速度規制標識の構成:
(1-1)電子ペーパーパネルの構成:
(2)他の実施形態:
【0010】
(1)可変式速度規制標識の構成:
図1Aは、本発明の実施形態にかかる可変式速度規制標識1の外観を示す図である。本明細書では、鉛直方向に垂直な水平方向を適宜横方向と前後方向とに分けて説明する。横方向は、可変式速度規制標識1が備える後述する標示板2の円形の面に平行な方向であり、前後方向は標示板2の円形の面に垂直な方向である。なお、ここでは、標示板2が標識として視認される面をおもて面と呼ぶ。おもて面側が前後方向の前側であり、うら面側が前後方向の後ろ側である。図1Bは、可変式速度規制標識1を横方向から見た状態を示す図であり、一部の部材は断面を示している。
【0011】
本実施形態において、可変式速度規制標識1は、支柱1aの上部に取り付けられている。可変式速度規制標識1は、標示板2と電子ペーパーパネル10とを備えている。本実施形態においては、図1Bに示す支持部材2aが支柱1aに取り付けられ、支持部材2aに標示板2と電子ペーパーパネル10とが取り付けられ、支持部材2aが支柱1aに取り付けられる。なお、本実施形態において、支柱1aには太陽電池パネル20が取り付けられている。
【0012】
標示板2は、可変式速度規制標識としての表示を行うパネルである。本実施形態にかかる可変式速度規制標識1は円形の標識(日本国内で利用される速度規制標識)であるため、標示板2自体も円形である。また、本実施形態において標示板2は板状の部材である。標示板2においては、法令に従ってその表示内容が決められ、図1Aにおいては、2個の同心円の中の小さい方の円内に規制速度の値が表示される。
【0013】
本実施形態において規制速度の値は、電子ペーパーパネル10の表示領域を構成する電子ペーパー10a上に数字で示される(図1Bにおいてグレーで表記)。標示板2の前側からおもて面を見た場合、当該表示領域の周囲には標示板2が存在する。すなわち、標示板2の中央には図1Bに示すように穴Hが形成されており、当該穴Hの後方に電子ペーパーパネル10が配置される。
【0014】
図2Aは、標示板2を抜き出して、前側から眺めた状態を示す図である。図2Aにおいては、穴Hをハッチングによって示している。本実施形態において、穴Hの上下の辺は、円形の領域Zcを水平方向(横方向)に切断した2本の弦S1,S2によって構成される。また、穴Hの左右の辺、すなわち、弦S1,S2の間に挟まれた部分の辺は、円形の領域Zcの周である弧A1,A2によって構成される。このように、本実施形態においては、可変式速度規制標識1に示される2個の同心円のうちの小さい方の円である円形の領域Zcの中央に角丸長方形の穴Hが形成されている。
【0015】
電子ペーパーパネル10は、図1Bに示すように、前方の面に電子ペーパー10aを備えている。本実施形態において、当該電子ペーパー10aは標識としての情報を表示する表示領域を構成する。すなわち、利用者が標示板2を前側から見た場合に穴Hを通して表示領域に表示された情報を視認することで、利用者は可変式速度規制標識1の表示内容を認識する。なお、電子ペーパー10aは種々の方式であってよく、例えば、ツイストボール方式、エレクトロミック方式、可動フィルム方式等の方式を利用することが可能である。
【0016】
以上のように、穴Hを通して情報が視認されるため、穴Hの大きさは、可変式速度規制標識1に表示すべき情報(本実施形態においては数字)を表示し得る範囲を包含する大きさおよび形状であれば良く、種々の大きさおよび形状とすることができる。本実施形態においては、表示領域としての電子ペーパー10aの大きさを可能な限り小さくするため、可変式速度規制標識1に表示すべき情報を表示し得る範囲の上下に、弦S1,S2が接するように構成されている。このような弦S1,S2によって円形の領域Zcを切断し、円形の領域Zcの上下の部分を除いた中央の部分が穴Hとなっていることにより、円形の領域Zcの上下の部分が可能な限り大きくなり、穴Hの高さが可能な限り小さくなるように構成されている。なお、本実施形態において、弦S1,S2の距離Lは380mmであり、円形の領域Zcの直径Rは615mmである。
【0017】
本実施形態において、表示領域としての電子ペーパー10aは、矩形である。電子ペーパー10aは、標示板2を前側から見た場合に穴Hを通して穴Hの全域に電子ペーパー10aの表示領域が存在するように見える大きさおよび形状であればよい。本実施形態における電子ペーパー10aの表示領域は、円形の領域Zcの上下の部分を除いた角丸長方形の穴Hから視認される大きさおよび形状として、必要最低限の大きさおよび形状になるように調整されている。
【0018】
具体的には、本実施形態においては、電子ペーパー10aを前方側に投影して標示板2に重ねた場合に、表示領域が穴Hに外接するように大きさおよび形状が決められている。図2Aにおいては、一点鎖線Dによって表示領域としての電子ペーパー10aの大きさおよび形状が示されている。
【0019】
以上のように、本実施形態においては、穴Hの大きさおよび電子ペーパー10aの大きさを可能な限り小さくしたため、電子ペーパー10aにかかるコストを抑制することができる。例えば、可変式速度規制標識の表示が行われる円形の領域Zcの全域が表示領域となる電子ペーパーを構成する場合と比較して、コストを抑制することができる。
【0020】
図2Bは、円形の領域Zcの全域(ハッチング部分)が穴H1となっている構成例である。このように円形の領域Zcの全域が穴H1になっている場合、最小の大きさで電子ペーパーを構成したとしても、その大きさは一点鎖線D1で示す大きさとなる。従って、図2Aに示す電子ペーパー10aの表示領域(一点鎖線D)と比較して、高さが大きくなる。この結果、電子ペーパー10aの表示領域の面積は615×380であるのに対し、図2Bに示す電子ペーパーの表示領域の面積は615×615であり、前者は後者よりも約40%小さい。このため、比較的高価な電子ペーパー10aの大きさを小さくすることができ、多数の設置が予想される可変式速度規制標識に必要な総コストを大きく抑制することができる。
【0021】
(1-1)電子ペーパーパネルの構成:
次に、本実施形態にかかる電子ペーパーパネル10の詳細および電子ペーパーパネル10に接続された装置を説明する。図2Cは、電子ペーパーパネル10の構成例を示すブロック図である。電子ペーパーパネル10は、電子ペーパー10aと、制御部10bと、バッテリー10cと、入出力インタフェース部10dとを備えており、太陽電池パネル20と光源としてのLED30とが接続される。
【0022】
入出力インタフェース部10dは、可変式速度規制標識1に他の装置を接続可能なインタフェースである。本実施形態においては、電子ペーパー10aに表示させる表示内容(数値)を指示する外部機器40を接続可能である。接続可能な端末は種々の態様であって良く、本実施形態においては、可変式速度規制標識1の設置現場で可変式速度規制標識1に対して表示内容を指示する携帯無線端末である。むろん、外部機器40は、携帯無線端末に限定されず、可変式速度規制標識1を集中管理する遠方の端末(中央装置)であっても良い。また、接続方式も無線接続、有線接続(光回線等)、赤外線等任意な通信媒体を利用した方式であっても良い。
【0023】
バッテリー10cは太陽電池パネル20によって充電される2次電池である。すなわち、本実施形態における電子ペーパーパネル10は、太陽電池パネル20によって生成され、バッテリー10cに蓄積された電力によって駆動される。なお、LED30は、表示領域としての電子ペーパー10aを照明するための光源であり、本実施形態においては、LED30もバッテリー10cで駆動される。電子ペーパーパネル10やLED30に電力を供給する手法は、バッテリー10cに限定されず、送電線による電力供給等が行われてもよい。
【0024】
制御部10bは、CPUとROMとRAM等を含むコンピュータであり、ROMに記録されている制御プログラムがCPUにて実行される。制御部10bは、制御プログラムにより入出力インタフェース部10dを介して外部機器40から表示内容となる数字の文字コードを取得する。制御部10bが備えるROMには、既定のフォントデータが保存されている。制御部10bは、外部機器40から取得した文字コードおよびROMに記録されたフォントデータに基づいて、電子ペーパー10aに表示させる数字を描画する。すなわち、制御部10bは、数字を表示させるための画像データを生成する。そして、制御部10bは、当該画像データに基づいて、電子ペーパー10aに数字を表示させる。
【0025】
図3Aは、角丸長方形の穴Hから視認される電子ペーパー10aに数値"120"が表示されている例を示す図である。図3Aに示すように、本実施形態において、弦S1,S2の長さは同一であり、上方に位置する弦S1の両端から下ろした垂線(破線で表記)は、下方に位置する弦S2の両端に交わる。従って、弦S1,S2を2辺とし、その間に示された破線を2辺とする矩形は長方形になる。
【0026】
本実施形態においては、図3Aに示されたように、弦S1,S2を2辺とし、その間に示された破線を2辺とする長方形の内部(例えば、符号Zi)と外部(例えば、符号Zo)との双方が電子ペーパー10aの表示領域である。従って、長方形の外部であっても情報を表示することができる。
【0027】
このため、3桁の数字など横方向に幅を要する表示内容であっても、過度に文字を詰めることなく、読みやすい状態で数字を表示することができる。例えば、図3Aに示す例であれば、左端に表示される数字1の左側の先端が長方形の外部Zoに表示され、残りの部分が長方形の内部Ziに表示されている。また、右端に表示される数字0の右端の一部分が長方形の外部Zoに表示され、残りの部分が長方形の内部Ziに表示されている。
【0028】
このように、数字や文字においては、端の一部が尖っていたり、湾曲していたりする場合がある。このような部分を長方形の外部Zoに表示可能であると、数字の表示位置や文字間隔の自由度が高くなり、過度に数字を詰めることなく、読みやすい状態で数字を表示することができる。すなわち、長方形の外部Zoの面積は長方形の内部Ziの面積と比較すると非常に小さいが、当該長方形の外部Zoが表示可能な領域になっており、水平方向においては円形の領域Zcの全域を表示領域として使用することができることにより、数字の表現の自由度を大きく高めることができる。
【0029】
さらに、本実施形態において、標示板2に情報を表示させるデバイスは電子ペーパー10aであるため、電子ペーパー10a上の数字を書き替える際に電力が必要であるものの、書き換えた後の数字を継続的に表示させるために電力を必要としない。数字の表示を継続するために、一定期間毎に表示のリフレッシュを行うことがあり得るとしても、表示の書き換えおよび維持に必要な電力量は非常に小さい。従って、本実施形態においては、太陽電池パネル20によって生成された電力のみで表示の書き換えおよび維持を行うことができる。このため、災害や停電等によって送電障害が発生している場合であっても、表示の書き換えおよび維持を行うことができる。
【0030】
一方、本実施形態にかかる電子ペーパー10aは自発光デバイスではないため、夜間において利用者に表示内容を視認させるためには、LED30による照明が必要である。本実施形態においては、図1Bに示されるように、標示板2の面に垂直な前後方向において、標示板2と電子ペーパーパネル10との間にLED30が配置される。すなわち、本実施形態においては、標示板2のうら面において前側から視認されない位置にLED30が取り付けられており、当該LED30よりも後方側に電子ペーパー10aを含む電子ペーパーパネル10が取り付けられる。
【0031】
制御部10bは、既定の条件を充足した場合(例えば、既定の時刻になった、または既定以下の明るさになった等)に、LED30に制御信号を出力してLED30を点灯させる。また、制御部10bは、既定の条件を充足した場合(例えば、既定の時刻になった、または既定以上の明るさになった等)に、LED30に制御信号を出力してLED30を消灯させる。
【0032】
本実施形態において、LED30は、標示板2のうら側において穴Hの外周に沿って配置される。図3Bは、標示板2およびLED30を抜き出してうら面側(後側)から眺めた状態を示す図である。なお、図3Bにおいても、穴Hをハッチングによって示している。LED30は、穴Hの外周に沿って配置されている。むろん、LED30は、穴Hの外周から穴Hの内部側に、はみ出さないように配置されている。
【0033】
このようなLED30は、例えば、複数個のLED素子を既定の間隔で配置したり、穴Hの外周に沿う形状に形成された導光板で複数のLED素子の出力光を略均等に分散させたりする構成を採用可能である。いずれにしても、LED30は、穴Hの外周に沿って配置され、穴Hの外周の各所から表示領域としての電子ペーパー10aを照明する。この状態において、利用者が標示板2を前側から視認すると、利用者は電子ペーパー10aに表示された情報を視認することができる。
【0034】
そして、本実施形態においてLED30は、標示板2のうら側において穴Hの外周に沿って配置されるため、電子ペーパー10aに近い位置から電子ペーパー10aを照明することが可能であり、遠くに配置された光源(例えば、標示板2の前方に配置された間接照明としての光源)で電子ペーパー10aを照明する必要はない。従って、LED30の出力を過度に強くすることなく、照明された情報を視認できるように照明することができる。
【0035】
(2)他の実施形態:
上述した実施形態においては、可変式速度規制標識1が最高速度のみを表示する規制標識を提案したが、図2Bのように円形の領域Zcの全域(ハッチング部分)を穴H1とし、図1Bのように穴H1の後ろに電子ペーパーを配置するとともに、LED30を穴H1の外周に渡って配置する構造としても良い。この場合には、より大きな数字が表現できる他に、図4Aのような「通行止め」、図4Bのような「自動車通行止め」などの規制標識を表示することができる。すなわち、通行止めや自動車通行止めの規制標識等においても、車両の速度を0に規制するという意味では速度規制標識の1種とみなすことができる。
【0036】
標示板は、可変式速度規制標識の前面パネルの一部を構成する部材であれば良く、標示板の厚さは任意である。標示板が有する円形の領域は、少なくともその一部に数字や図形等の情報が表示される領域であれば良く、背景の色等は任意である。
【0037】
穴は、表示領域に表示された情報が標示板のおもて側から視認できるように形成されていればよい。従って、穴は空洞であってもよいし、光を透過する材料(例えば、導光板等)で少なくとも一部が埋められていてもよい。
【0038】
電子ペーパーパネルは、穴と同一の形状または穴よりも大きい形状の表示領域を有し、穴を通して表示領域を視認可能な位置に取り付けられればよい。表示領域は、穴と同一の形状または穴よりも大きい形状であればよく、その大きさや形状は限定されないが、過度に大きくないことが好ましい。すなわち、穴から視認されない部分は表示に寄与しないため、表示に寄与しない部分が可能な限り小さい方がコストを抑えることができる。例えば、表示領域が矩形の電子ペーパーパネルにおいて、当該矩形を標示板に投影した場合に矩形の外周が穴に外接するような形状である構成等を採用可能である。
【0039】
表示領域を照明する光源は、夜間等において観察者が表示領域を視認しやすくなるように表示領域を照明することができればよい。従って、光源は、任意の位置から表示領域を照明していればよく、直接照明であってもよいし間接照明であってもよい。また、標示板のおもて側から表示領域を照明してもよい。
【0040】
光源の取り付け位置も任意であり、上述の実施形態のように標示板のうら面に取り付けられてもよいし、電子ペーパーパネルの上下左右に取り付けられてもよいし、標示板と電子ペーパーパネルの周囲の他の部材に取り付けられてもよい。さらに、光源から出力される光の方向も限定されず、種々の向きに出力されてよい。例えば、光源からの光の出力方向が電子ペーパー10aを向いていてもよいし、出力方向が電子ペーパー10aを向いておらず、光源から出力された光が、導光板やプリズム、ミラー等の光学部材を介して表示領域に向けられて照明される構成であってもよい。
【符号の説明】
【0041】
1…可変式速度規制標識、1a…支柱、2…標示板、2a…支持部材、10…電子ペーパーパネル、10a…電子ペーパー、10b…制御部、10c…バッテリー、10d…入出力インタフェース部、20…太陽電池パネル、30…LED、40…外部機器
図1
図2
図3
図4