(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-16
(45)【発行日】2022-01-14
(54)【発明の名称】高流量流体バルブブロック
(51)【国際特許分類】
F16K 27/02 20060101AFI20220106BHJP
F16K 7/17 20060101ALI20220106BHJP
F16K 11/22 20060101ALI20220106BHJP
F16K 31/126 20060101ALI20220106BHJP
【FI】
F16K27/02
F16K7/17 C
F16K11/22 Z
F16K31/126
(21)【出願番号】P 2020068824
(22)【出願日】2020-04-07
(62)【分割の表示】P 2017531619の分割
【原出願日】2015-12-01
【審査請求日】2020-04-07
(31)【優先権主張番号】PCT/US2014/069580
(32)【優先日】2014-12-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】517200946
【氏名又は名称】トーソー バイオサイエンス ウィスコンシン インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100095898
【氏名又は名称】松下 満
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100123630
【氏名又は名称】渡邊 誠
(72)【発明者】
【氏名】ハルブレヒト ブライアン エイ
(72)【発明者】
【氏名】ミーレンドルフ ロバート チャールズ
(72)【発明者】
【氏名】マンケ スコット ジー
【審査官】橋本 敏行
(56)【参考文献】
【文献】実開昭58-091067(JP,U)
【文献】米国特許第04119120(US,A)
【文献】特開昭62-270877(JP,A)
【文献】特開平08-210528(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01J 20/281-20/292
F16K 7/00-13/10
25/00-29/02
31/12-31/165
31/36-31/42
33/00
99/00
G01N 30/00-30/96
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
バルブブロックであって、
板であって、
第1の流体を受け入れるように構成されたチャネル、及び
前記
チャネルに接続された凹部を備える、板と、
流体移送ブロックであって、
第2の流体を受け入れるように構成された入口接続と、
出口接続と、
流体移送板と、を備え、前記流体移送板が、
前記入口接続に接続された複数のバルブ入口ボアであって、第1の形状の少なくとも一部に沿って分散されている、複数のバルブ入口ボア、
複数のバルブ出口ボアであって、前記複数のバルブ出口ボアが第2の形状の少なくとも一部に沿って分散されており、前記第1の形状又は前記第2の形状の一方が、前記第1の形状又は前記第2の形状の他方の中にある、複数のバルブ出口ボア、及び
前記複数のバルブ出口ボアを前記出口接続に流体接続する出口チャネル、
を備える、流体移送ブロックと、
前記板と前記流体移送ブロックとの間のダイヤフラムと、を備え、前記複数のバルブ入口ボア及び前記複数のバルブ出口ボアが、前記凹部に隣接している、バルブブロック。
【請求項2】
前記凹部内の圧力が閾値圧力を上回る第1の状態では、前記複数のバルブ入口ボア及び前記複数のバルブ出口ボアが形成される前記流体移送ブロックの表面に、前記ダイヤフラムが押し付けられ、前記第2の流体が、前記複数のバルブ入口ボアと前記複数のバルブ出口ボアとの間を流れず、
前記凹部内の前記圧力が前記閾値圧力を下回る第2の状態では、前記ダイヤフラムが前記凹部の中へ変形させられ、前記第2の流体が、前記複数のバルブ入口ボアと前記複数のバルブ出口ボアとの間を流れる、請求項1に記載のバルブブロック。
【請求項3】
前記第1の形状及び前記第2の形状が同心である、請求項1に記載のバルブブロック。
【請求項4】
前記凹部が、第3の形状を含み、前記第3の形状が、前記第1の形状または前記第2の形状のうちの少なくとも1つと同心である、請求項1に記載のバルブブロック。
【請求項5】
さらに、前記板と前記ダイヤフラムとの間の密封機構を備える、請求項1に記載のバルブブロック。
【請求項6】
前記密封機構は、前記凹部の周りに延びる隆起部を備える、請求項5に記載のバルブブロック。
【請求項7】
前記第1の形状は第1の湾曲した形状であり、前記第2の形状は第2の湾曲した形状である、請求項1に記載のバルブブロック。
【請求項8】
前記第1の形状は、前記第2の形状の中にある、請求項1に記載のバルブブロック。
【請求項9】
前記第2の形状は、前記第1の形状の中にある、請求項1に記載のバルブブロック。
【請求項10】
入口チャネルは、前記流体移送ブロックの複数の入口チャネルのうちの1つであり、
前記流体移送ブロックは複数の出口チャネルをさらに含み、前記複数のバルブ出口ボアのそれぞれが、複数の出口チャネルのうちの1つ以上の出口チャネルを通して、前記出口接続に流体接続される、請求項1に記載のバルブブロック。
【請求項11】
前記複数のバルブ入口ボアは、前記複数のバルブ出口ボアに隣接し、前記複数のバルブ入口ボアは第1の閉じた形状を形成し、前記複数の
バルブ出口ボアは第2の閉じた形状を形成し、前記ダイヤフラムは、前記第1の閉じた形状及び前記第2の閉じた形状の両方を取り囲む、請求項1に記載のバルブブロック。
【請求項12】
前記流体移送ブロックが、複数の板及び複数の圧縮部材を備え、前記複数の圧縮部材が、前記複数の板間の流体密シールへと前記複数の板をいっしょに圧縮するように構成される、請求項1に記載のバルブブロック。
【請求項13】
前記板が、さらに、
それぞれが前記第1の流体を受け入れるように構成された複数のチャネルと、
複数の凹部と、を備え、前記複数のチャネルの各々が、前記複数の凹部の1つに流体接続されている、請求項1に記載のバルブブロック。
【請求項14】
バルブブロックであって、
前記流体移送ブロックが、さらに、
それぞれが前記第2の流体を受け入れるように構成された複数の入口接続と、
複数の出口接続と、
複数のバルブ入口ボアセットと、を備え、前記複数のバルブ入口ボアセットの各々は前記複数の入口接続の1つと流体接続され、さらに、
複数のバルブ出口ボアセットを備え、前記複数のバルブ出口ボアセットの各々は前記複数の出口接続の1つと流体接続され、
前記複数のバルブ入口ボアセットの各々が、前記複数のバルブ出口ボアセットのうちの1つ及び前記複数の前記複数の凹部のうちの1つに対応している、請求項13に記載のバルブブロック。
【請求項15】
前記複数の出口接続の第1の出口接続は、遮断バルブを介して、前記複数の出口接続の第2の出口接続に流体接続される、請求項14に記載のバルブブロック。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2013年12月10日に出願の米国仮特許出願第61/914,164号の利益を主張する、2014年12月10日出願の、PCT国際出願第US2014/069580号の一部継続出願であり、これらは、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
政府支援
本発明は、保健社会福祉省、国立衛生研究所、国立がん研究所による連邦政府アワード識別番号R44CA162632の下での政府支援によりなされた。政府は、本発明において一定の権利を有する。
【0003】
擬似移動床式(SMB:Simulated Moving Bed)クロマトグラフィーは、固相クロマトグラフィー媒体を含有するいくつかの相互接続吸着床(カラム)を利用する。供給原料、脱着剤、及びその他の任意選択の投入ストリーム用の入口ポートと、ラフィネート、抽出物、及びその他の任意選択の産出ストリーム用の出口ポートが、一連のカラムにおける特定点に置かれ、カラム間の一連のバルブならびに管類及び/またはチャネルが、移動相の流れを接続して、連続ループをもたらす。液体流は、入口及び/または出口ストリームに接続された2つ以上のポンプによって制御される。規定の間隔で、入口及び出口ポートの位置が、流れと同じ方向に切り替えられ、移動相に対する固相の反対方向の移動をシミュレートする。第1のカラムに導入された供給原料は、流れが続いて起こるに従って、その中に含まれる成分に分離し始め、このうちあまり保持されないスピーシーズが流体流の方向に移動してラフィネートポートにおいて収集される。より保持されるスピーシーズは、固相に優先的に関連したまま残り、抽出ポートに収集される。供給原料、脱着剤、ラフィネート、及び抽出物の切り替え時間及び流量を調整することによって、定在波パターンが確立され、システムからの分離した産物の途切れることのない流れを可能にする。投入ストリーム、産出ストリーム、及びカラム内で行われる動作の数は、バルブシステムの選別及び性能の要件に従って変更され得る。例えば、適切なバルブシステムを用い、イソクラティック条件下で行われる2投入、2産出のSMBプロセスに加え、標的タンパク質が第1の溶液において固相に結合し、汚染物質が第2の溶液において洗い流され、標的タンパク質が第3の溶液に溶出され、また固相が第4の溶液において再生成されるアフィニティクロマトグラフィーにおいてのように、様々なカラムにおいて様々な溶媒条件(または溶液)を利用する途切れることのないマルチカラムプロセスを行うことが可能である。
【0004】
大規模な工業システムでは、広範な導管を伴う込み入ったバルブシステムでもプロセスを妨げないように、ベッド体積は、カラム間の液体のボイド体積に比べ大きい。しかしながら、より精巧な用途の必要性が、グラムからキログラム量の産物を要求する精製化学薬品及び製薬の分野において生じているのに従い、SMBをパイロット及びサブパイロット体積へと縮小することが最近の動向となっている。
【発明の概要】
【0005】
例示的な実施形態において、バルブブロックの例が開示される。バルブブロックは、流体移送板、圧力板、及び流体移送板と圧力板との間に配置されたダイヤフラムを含む。入口チャネルが、流体移送板に貫通形成され、圧力板上の凹部にかけられる圧力により、ダイヤフラムを介して選択的に開閉される。各流体チャネルの入口ボアと出口ボアは、それぞれ、共通入口チャネル、共通出口チャネルにおいて接続する。ダイヤフラムの有害な変形を避けるために、また流体をバルブに押し通すのに必要とされる圧力(背圧)を制御するために、入口及び出口ボアの寸法形状及び個数が、選択される。したがって、一実施形態において、入口チャネルは、各入口ボアが0.07インチ(1.778mm)未満の直径である、4つ以上の入口ボアを含み得る。
【0006】
別の例示的な実施形態において、バルブブロックの例が開示される。バルブブロックは、流体移送板の第1の表面に形成された入口チャネルと、流体移送板の第1の表面に形成された出口チャネルとを含む。バルブブロックは、それぞれが入口チャネルから流体移送板の第2の表面まで延在する複数の入口ボアと、それぞれが出口チャネルから流体移送板の第2の表面まで延在する複数の出口ボアも含むことができる。バルブブロックは、圧力板の第1の表面に形成された、加圧材料を詰め込める凹部と、流体移送板の第2の表面と圧力板の第1の表面との間に配置されたダイヤフラムとをさらに備えることができる。ダイヤフラムは、凹部が加圧材料で満たされる場合、複数の入口ボアから複数の出口ボアへの流体の流れを防ぐように構成される。ダイヤフラムは、凹部が流体の圧力よりも小さな圧力を有する加圧材料で満たされる場合、複数の入口ボアから複数の出口ボアへの流体の流れを可能にするようにさらに構成される。
【0007】
例示的なバルブブロックは、圧力板、流体移送ブロック、及びダイヤフラムを含む。圧力板は、加圧された第1の流体を受け入れるように構成された圧力チャネルと、圧力板の表面における凹部とを含む。圧力チャネルと凹部とは、流体接続されている。流体移送ブロックは、第2の流体を受け入れるように構成された入口接続、及び出口接続を含む。流体移送ブロックは、それぞれが入口接続に流体接続された、複数のバルブ入口ボアも含む。複数のバルブ入口ボアは、第1の円形状の少なくとも一部に沿って分散されている。流体移送ブロックは、それぞれが出口接続に流体接続された、複数のバルブ出口ボアをさらに含む。複数のバルブ出口ボアは、第2の円形状の少なくとも一部に沿って分散されている。第1の円形状は、第2の円形状内にある。ダイヤフラムは、圧力板と流体移送ブロックとの間にある。複数のバルブ入口ボア及び複数のバルブ出口ボアは、凹部に隣接している。
【0008】
例示的なバルブブロックは、圧力板、流体移送ブロック、及びダイヤフラムを含む。圧力板は、加圧された第1の流体を受け入れるように構成された圧力チャネルと、圧力板の表面における凹部とを含む。圧力チャネルと凹部とは、流体接続されている。流体移送ブロックは、第2の流体を受け入れるように構成された入口接続、及び出口接続を含む。流体移送ブロックは、それぞれが入口接続に流体接続された、複数のバルブ入口ボアと、それぞれが出口接続に流体接続された、複数のバルブ出口ボアとを含む。複数のバルブ入口ボアは、複数のバルブ出口ボアによって、少なくとも一部取り囲まれている。ダイヤフラムは、圧力板と流体移送ブロックとの間にある。複数のバルブ入口ボア及び複数のバルブ出口ボアは、凹部に隣接している。
【0009】
例示的なバルブブロックは、圧力板、流体移送ブロック、及びダイヤフラムを含む。圧力板は、それぞれが加圧された第1の流体を受け入れるように構成された複数の圧力チャネルと、圧力板の表面における複数の凹部とを含む。複数の圧力チャネルのそれぞれは、複数の凹部のうちの1つに流体接続されている。流体移送ブロックは、それぞれが第2の流体を受け入れるように構成された複数の入口接続、及び複数の出口接続を含む。流体移送ブロックは、複数のバルブ入口ボアセット及び複数のバルブ出口ボアセットをさらに含む。バルブ入口ボアセットのそれぞれは、第1の円形状の少なくとも一部に沿って分散された複数のバルブ入口ボアを備える。バルブ入口ボアセットのそれぞれは、複数の入口接続のうちの1つに流体接続されている。バルブ出口ボアセットのそれぞれは、第2の円形状の少なくとも一部に沿って分散された複数のバルブ出口ボアを備える。バルブ出口ボアセットのそれぞれは、複数の出口接続のうちの1つに流体接続されている。ダイヤフラムは、圧力板と流体移送ブロックとの間にある。複数のバルブ出口ボアセットのそれぞれは、複数のバルブ出口ボアセットのうちの1つ、及び複数の凹部のうちの1つに対応する。複数のバルブ入口ボアセットのうちの1つの第1の円形状は、複数のバルブ出口ボアセットのうちの対応する1つの第2の円形状内にある。
【0010】
本発明の例示的な実施形態が、添付図面を参照してこれ以降で説明され、図面において、同様の番号は、同様の要素を示す。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】例示的な実施形態による、単純化されたバルブシステムと相互作用する制御システムのブロック図を示す。
【
図2】例示的な実施形態による、取り外され、分解されたバルブブロックの斜視図を示す。
【
図3】例示的な実施形態による、バルブブロック内の流体移送板の上面透視図を示す。
【
図4】例示的な実施形態による、流体移送バルブの底面透視図を示す。
【
図5】例示的な実施形態による、バルブブロック内の圧力板の斜視図を示す。
【
図6】例示的な実施形態による、組み立てられたバルブブロックの断面の斜視図を示す。
【
図7】例示的な実施形態による、7つの入口ボア及び7つの出口ボアを有する組み立てられたバルブブロックの斜視図を示す。
【
図8A】例示的な実施形態による、7つの入口ボア及び7つの出口ボアを有する組み立てられたバルブブロックの断面を示す。
【
図8B】例示的な実施形態による、7つの入口ボア及び7つの出口ボアを有する組み立てられたバルブブロックの断面を示す。
【
図9】例示的な実施形態による、5つの入口ボア及び5つの出口ボアを有する組み立てられたバルブブロックの斜視図を示す。
【
図10A】例示的な実施形態による、5つの入口ボア及び5つの出口ボアを有する組み立てられたバルブブロックの断面を示す。
【
図10B】例示的な実施形態による、5つの入口ボア及び5つの出口ボアを有する組み立てられたバルブブロックの断面を示す。
【
図11A】例示的な実施形態による、複数のバルブを備える組み立てられたバルブブロックの様々な図を示す。
【
図11B】例示的な実施形態による、複数のバルブを備える組み立てられたバルブブロックの様々な図を示す。
【
図11C】例示的な実施形態による、複数のバルブを備える組み立てられたバルブブロックの様々な図を示す。
【
図11D】例示的な実施形態による、複数のバルブを備える組み立てられたバルブブロックの様々な図を示す。
【
図11E】例示的な実施形態による、複数のバルブを備える組み立てられたバルブブロックの様々な図を示す。
【
図11F】例示的な実施形態による、複数のバルブを備える組み立てられたバルブブロックの様々な図を示す。
【
図12A】例示的な実施形態による、複数のバルブを備える組み立てられたバルブブロックの様々な図を示す。
【
図12B】例示的な実施形態による、複数のバルブを備える組み立てられたバルブブロックの様々な図を示す。
【
図12C】例示的な実施形態による、複数のバルブを備える組み立てられたバルブブロックの様々な図を示す。
【
図12D】例示的な実施形態による、複数のバルブを備える組み立てられたバルブブロックの様々な図を示す。
【
図12E】例示的な実施形態による、複数のバルブを備える組み立てられたバルブブロックの様々な図を示す。
【
図12F】例示的な実施形態による、複数のバルブを備える組み立てられたバルブブロックの様々な図を示す。
【
図12G】例示的な実施形態による、複数のバルブを備える組み立てられたバルブブロックの様々な図を示す。
【
図13】例示的な実施形態による、バルブのダイヤフラムの変形に関する実験の結果を示す表である。
【
図14A】例示的な実施形態による、複数のバルブを備える組み立てられたバルブブロックの様々な図を示す。
【
図14B】例示的な実施形態による、複数のバルブを備える組み立てられたバルブブロックの様々な図を示す。
【
図14C】例示的な実施形態による、複数のバルブを備える組み立てられたバルブブロックの様々な図を示す。
【
図14D】例示的な実施形態による、複数のバルブを備える組み立てられたバルブブロックの様々な図を示す。
【
図15】例示的な実施形態による、組み立てられたバルブブロックの断面図を示す。
【
図16】例示的な実施形態による、組み立てられたバルブブロックの断面図を示す。
【
図17A】例示的な実施形態による、バルブブロックの分解図を示す。
【
図17B】例示的な実施形態による、バルブブロックの分解図を示す。
【
図17C】例示的な実施形態による、バルブブロックの圧力板の一部のクローズアップ図を示す。
【
図18A】例示的な実施形態による、バルブブロックの圧力板の様々な図を示す。
【
図18B】例示的な実施形態による、バルブブロックの圧力板の様々な図を示す。
【
図18C】例示的な実施形態による、バルブブロックの圧力板の様々な図を示す。
【
図19A】例示的な実施形態による、バルブブロックの流体移送ブロックの様々な図を示す。
【
図19B】例示的な実施形態による、バルブブロックの流体移送ブロックの様々な図を示す。
【
図19C】例示的な実施形態による、バルブブロックの流体移送ブロックの様々な図を示す。
【
図19D】例示的な実施形態による、バルブブロックの流体移送ブロックの様々な図を示す。
【
図20A】例示的な実施形態による、バルブブロックの流体移送ブロックの様々な図を示す。
【
図20B】例示的な実施形態による、バルブブロックの流体移送ブロックの様々な図を示す。
【
図20C】例示的な実施形態による、バルブブロックの流体移送ブロックの様々な図を示す。
【
図21A】例示的な実施形態による、バルブブロックの流体移送ブロックの断面図を示す。
【
図21B】例示的な実施形態による、バルブブロックの流体移送ブロックの断面図を示す。
【
図22】例示的な実施形態による、バルブブロックの流量に関する実験の結果を示す表である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
小型SMB用途を制御するのに特化したバルブシステムを設計することにおいて、本発明者らは、現在のバルブ設計に関するいくつかの問題を認識している。例えば、ロータリーバルブなどの可動部品を採用する典型的なバルブは、流体と溶質との混合物が、可動部品の信頼性に、したがって、バルブの信頼性に悪影響を及ぼす傾向にある、という問題に直面する。別の例として、可撓性ダイヤフラム(または膜)を採用するシステムは、ダイヤフラムの過延伸、またはダイヤフラムと、板上の構造の縁/カマー(comers)との間の接触による信頼性の問題も被ることがある。さらにまた、いくつかのバルブシステムは、様々な用途に必要とされる流量における許容できないほど高い圧力及び/または流体線速度をもたらす。
【0013】
可撓性ダイヤフラムを有するバルブシステム用のいくつかの用途は、既存の可撓性ダイヤフラムバルブシステムが適応することができるよりも高い流量及び/または圧力を必要とする。例えば、既存のダイヤフラムバルブシステムは、1分当たり数ミリリットル(例えば、最高500ミリリットル/分(mL/分))または1平方インチ(25.4mm2)当たり100ポンド(45.36kg)(psi)の流体圧の規模の最大流量を有することができる。本開示の様々な実施形態は、1分当たり数リットル(例えば、2.5リットル/分(L/分))、及び1平方インチ(25.4mm2)当たり290ポンド(131.542kg)(psi)の流体圧の規模の流量に適応することができる。例えば、本開示の例示的な実施形態において、バルブブロックは、1平方インチ(25.4mm2)当たり最高290ポンド(131.542kg)(psi)の流体圧における0.1mL/分~2.5L/分の流量の場合、周囲温度(例えば、20°摂氏(C)~25℃)~65℃で操作され得る。バルブブロック中を流れる流体の例は、懸濁物がないものとすることができ、0.2センチポイズ(cP)~3cpの粘度の範囲とすることができる。いくつかの実施形態において、流体の粘度は、3cPよりも大きいとすることができる。1つの具体的な例は、ある生産規模における、培養液からのモノクローム抗体(mAb)捕捉用とすることができる。このような例では、バルブブロックは、最高25ミリグラム/ミリリットル(mg/mL)のタンパク質濃度を有し、最高1モル濃度(M)塩化ナトリウム(NaCl)、0.1M水酸化ナトリウム(NaOH)を有し、また1~12の範囲のpH値を有する水プロセス流体を用いて、0mL/分~2.5L/分の流量において操作され得る。
【0014】
本開示は、概して、流体移送バルブに関連したシステム、構造、及び方法に関する。いくつかの実施形態において、バルブ群は、流体移送板と圧力板との間に、しなやかなダイヤフラムを挟み込むことによって形成される。各板は、流体流を方向付けるのに特化されたチャネル及びボアを有するように、設計、機械加工され得る。流体移送板(上板とも呼ばれることがある)は、各チャネルが流体移送板の上の流体コネクタに接続した、その平らな上部表面にエッチングされるかあるいは形成された、少なくとも2つのチャネルを含む。複数のボアが、流体移送板の平らな下部表面へのチャネルのそれぞれの長さに沿って、流体移送板を貫通して機械加工されるかあるいは形成される。動作中、流体は、流体コネクタのうちの1つから1つのチャネルに導入され得、チャネルに関連付けられた流体バルブが開いている場合、流体は、ボアを通って、流体移送板の下部表面に流下し得る。流体移送板の下部表面において、流体は、第1のチャネルに接続しているボアから、第2のチャネルと接続しているボアを通って、第2のチャネルに接続している流体コネクタに向けられる。第1のチャネルは、流体のための入口として働き、第2のチャネルは、出口として働く。
【0015】
圧力板、または下板(いくつかの組み込まれている参照文献では、圧力板は、「上部ニューマチック板」、「ニューマチック板」、または「上部板」と呼ばれ得る)は、各凹部が流体移送板の底上の少なくとも2つのボアを覆うように、流体移送板に対して位置付けられることが可能であるその上部表面上に、凹部または窪みを含み得る。各凹部は、加圧材料の流れを方向付けるバルブに動作可能に結合されているボアに結合されている。加圧材料が凹部に押し込まれると、板間のダイヤフラムが流体移送板の底に押し付けられ、凹部によって覆われたボアにダイヤフラムを押し当てる。覆われたボア間の流体流が塞がれているかまたは閉じられていることから、このような状態は、バルブ閉状態と呼ばれ得る。
【0016】
圧力が凹部内の材料から取り除かれると、ボア内の流体は、ダイヤフラムを凹部の中に押し下げ、そこを通って流体が凹部により覆われたボア間を流れるチャネルを作り出す。このバルブ開状態の間、流体は、1つの流体接続に接続されたボアから、別のコネクタに接続されたボアに流れ得る。したがって、凹部内の材料にかけられる圧力を制御することによって、システムは、異なる接続間での流体の流れを制御し得る。
【0017】
このようなバルブブロックは、流体バルブが必要とされる、任意の流体移送または制御用途に使用され得る。このようなバルブが適用される可能性のあるシステムの例が、その全体が参照により本明細書に組み込まれている米国特許第7,790,040号に、より詳細に説明されている。参照により組み込まれているこの及びその他の参照文献では、組み込まれている参照文献に開示された実施形態のうちのいずれかの特徴が、記述された実施形態に使用され得る。各参照文献における同様の構造は、別の参照文献における構造に置き換えられ得る。参照文献が意見を異にする場合、本開示の実施形態または言語が、主導することになる。
【0018】
バルブ制御システムの例
図1を参照すると、制御システム100のブロック図が、例示的な実施形態により示される。制御システム100は、移動床をシミュレートするように流体の流れを方向付けるように、バルブシステムの動作を制御する。いくつかの実施形態において、制御システム100は、バルブを備える任意のその他の流体システムに従ってバルブシステムの動作を制御するように構成され得る。制御システム100は、バルブブロック組立体の1つ以上のバルブの状態(開いているまたは閉じている)を制御することによって、所望のプロセスを実施し、流体の流れを、バルブシステムの内外に向けるポンプも制御し得る。制御システム100の構成要素は、バルブシステム内の電子機器ボードに装置されても、あるいは接続してもよい。制御システム100は、入力インターフェース102、出力インターフェース104、コンピュータ可読媒体106、プロセッサ108、及びコントローラアプリケーション110を含み得る。
【0019】
異なる、且つ/または追加の構成要素が制御システム100に組み込まれ得る。例えば、制御システム100は、通信インターフェースをさらに含み得る。制御システム100の構成要素は、バルブシステムに装置されても、または独立したデバイスもしくはデバイスセットに装置されてもよい。結果として、通信インターフェースは、様々なプロトコル、送信技術、及び媒体を使用して、バルブシステムと、制御システム100の構成要素をホストする1つ以上の追加のデバイスとの間でデータを送受信するためのインターフェースを提供することができる。通信インターフェースは、有線または無線であり得る様々な送信媒体を使用して通信をサポートし得る。このように、制御システム100の構成要素は、適宜、電線もしくはその他の結合方法を使用するか、または無線で接続され得、バルブシステムに関してローカルにまたはリモートに位置付けられ得る。
【0020】
入力インターフェース102は、当業者に既知の制御システム100への入力の際に、ユーザ入力及び/または機械命令を受信するためのインターフェースを提供する。入力インターフェース102は、キーボード、ペンとタッチスクリーン、マウス、トラックボール、タッチスクリーン、キーパッド、音声認識、動き認識、ディスクドライブ、リモートコントローラ、入力ポート、1つ以上のボタンなどを含むがそれらに限定されない、様々な入力技術を使用して、ユーザなどの外部ソースが制御システム100に情報を入力することを可能にしてもよい。バルブシステムは、同じまたは異なるインターフェース技術を使用する、1つ以上の入力インターフェースを有してもよい。
【0021】
出力インターフェース104は、制御システム100からの情報を、外部システム、ユーザ、または当業者に既知のメモリに提示するためのインターフェースを提供する。例えば、出力インターフェース104は、ディスプレイ、プリンタ、スピーカなどとのインターフェースを含み得る。出力インターフェース104は、警報/表示灯、ネットワークインターフェース、ディスクドライブ、コンピュータメモリドライブなども含み得る。バルブシステムは、同じまたは異なるインターフェース技術を使用する、1つ以上の出力インターフェースを有し得る。
【0022】
コンピュータ可読媒体106は、情報が当業者に既知のプロセッサ108によってアクセスされ得るように、情報用の場所または記憶域を保持する電子機器である。コンピュータ可読媒体106は、任意のタイプのランダムアクセスメモリ(RAM:Random Access Memory)、任意のタイプの読み取り専用メモリ(ROM:Read Only Memory)、磁気記憶デバイス(例えば、ハードディスク、フロッピィディスク、磁気ストリップ、...)などの任意のタイプのフラッシュメモリ、光ディスク(例えば、コンパクトディスク(CD:Compact Disk)、デジタルビデオディスク(DVD:Digital Video Disk)、...)、スマートカード、フラッシュメモリデバイスなど、を含むことができるが、これらに限定されない。バルブシステムは、同じまたは異なるメモリ媒体技術を使用する、1つ以上のコンピュータ可読媒体を有し得る。バルブシステムは、CD、DVD、フラッシュメモリカードなどのメモリ媒体の読み込みをサポートする1つ以上のドライブを有し得る。
【0023】
プロセッサ108は、当業者に既知の命令を実行する。命令は、専用コンピュータ、論理回路、またはハードウェア回路によって遂行され得る。したがって、プロセッサ108は、ハードウェア、ファームウェア、ソフトウェア、またはこれらの方法の任意の組合せにおいて実装され得る。用語「execution(実行する)」は、アプリケーションを動かすプロセス、または命令によって求められる動作の遂行である。命令は、1つ以上のプログラミング言語、スクリプト言語、アセンブリ言語などを使用して書き込まれ得る。プロセッサ108は、それが、その命令によって求められた動作を行うということを意味して、命令を実行する。プロセッサ108は、入力インターフェース102、出力インターフェース104、コンピュータ可読媒体106、コントローラアプリケーション110などと動作可能に結合し、情報を受信、送信、且つ処理し、またバルブシステムの動作を制御する。プロセッサ108は、ROMデバイスなどの永久メモリデバイスから命令セットを取り出し、命令を実行可能な形態で、一般にある形態のRAMである一時メモリデバイスにコピーし得る。バルブシステムは、同じまたは異なる処理技術を使用する、複数のプロセッサを含み得る。例示的な実施形態において、命令は、コンピュータ可読媒体106に格納され得る。
【0024】
コントローラアプリケーション110は、バルブシステムを制御する動作を含み、バルブシステムによって実行されるプロセスを定義するのに、選択可能且つ制御可能な機能性を備えるグラフィカルユーザインターフェースを提供し得る。動作は、ハードウェア、ファームウェア、ソフトウェア、またはこれらの方法の任意の組合せを使用して実施され得る。
図1の例示的な実施形態を参照すると、コントローラアプリケーション110は、コンピュータ可読媒体106に格納され、コントローラアプリケーション110の動作を具体化するコンピュータ可読命令の実行用のプロセッサ108によりアクセス可能な、ソフトウェアにおいて実施される。コントローラアプリケーション110のコンピュータ可読命令は、1つ以上のプログラミング言語、アセンブリ言語、スクリプト言語などを使用して書き込まれ得る。コントローラアプリケーション110によって提供される機能性は、1つ以上のモジュールの間で、また1つ以上のデバイスにわたり分散され得る。例えば、コントローラアプリケーション110は、独立している、またはポンプ流量を制御するモジュールと一体化されている1つ以上のバルブの開閉を制御するモジュールを含み得る。コントローラアプリケーション110は、バルブと、入口126もしくは128においてバルブブロックに入るか、または、出口130もしくは132を通ってバルブブロックを出るかのいずれかである流体に圧力をかける、複数のポンプコネクタに関連付けられたポンプとに接続する、複数の電気コネクタに、制御信号を提供する。番号が付けられた流体通路126~132は、「入口」及び「出口」と呼ばれ、出口に対する入口の図示された構造及び向きは、入口及び/または出口が実装される方法を制限すると見られるべきではない。ある場合、流体通路は、ユーザが、いずれの流体通路が入口として使用され、いずれの流体通路がバルブへの出口と使用されるかを変えることができるように、構造において同等または同一であってもよい。いくつかの実施形態において、入口から出口への変更が自動化され得る。
【0025】
各流体バルブにおいて制御圧を生み出すために、気体バルブが、加圧気体の容器と通気孔とに接続される。例えば、
図1を参照すると、第1の気体バルブ118aが、第1の圧力容器114a及び第1の通気孔116aに接続されて示され、第2の気体バルブ118bが、第2の圧力容器114b及び第2の通気孔116bに接続されて示される。第1の圧力容器114aと第2の圧力容器114bとは、同じであっても異なっていてもよい。第1の通気孔116aと第2の通気孔116bとは、同じであっても異なっていてもよい。1つ以上の気体バルブは、常開として設計されてもよく、または常閉として設計されてもよい。コントローラアプリケーション110は、バルブ動作のいずれか一方の方法をサポートするように設計され得る。例示的な実施形態において、気体バルブは、常閉であり、24Vで切り替えられる。熱を低減するために、気体バルブに印加される電圧は、切り替えた後に、状態を維持しながら12V以下に降圧され得る。
【0026】
さらに
図1を参照すると、バルブの動作を図示するために、バルブブロックの一部分の単純化された断面図が、第1の気体バルブ118aと第2の気体バルブ118bとに接続されて示される。圧力板120は、それぞれ、第1の気体チャネル124a、第2の気体チャネル124bに結合された、第1の凹部122aと、第2の凹部122bとを含む。第1の気体チャネル124aと第2の気体チャネル124bは、それぞれ、第1の気体バルブ118a、第2の気体バルブ118bに動作可能に結合する。流体移送板134及び上板136は、第1の流体チャネル(入口126及び出口130から成る)と第2の流体チャネル(入口128及び出口132から成る)とを含む。
図1に関連して示されるように、第2の凹部122bにかけられる、第2の気体バルブ118bからの空気圧は、ダイヤフラム138に、第2の流体チャネル(すなわち、入口128から出口132まで)を通る流体の流れを止めさせる。第1の気体チャネル124aを通って、第1の気体バルブ118aによって放出された空気圧は、ダイヤフラム138を第1の凹部122aの中に撓わせ、それにより、入口126から出口130までの第1の流体チャネルを通る流体の流れを可能にするように、入口126から第1の流体チャネルを通る流体圧を可能にする。
【0027】
ダイヤフラム138は、空気圧が第1の気体チャネル124aなどの圧力チャネルにおいて放出されるときに、撓みを可能するほどしなやかであるポリマーから形成され得る。ダイヤフラム138は、しなやかで、裂けと浸透に耐性があり、ガス不透過で、化学的耐性があるように選ばれた材料であることができる。例えば、このような撓みは、入口126からの流体圧によってもたらされ得る。この場合、第1のガスチャネル124a内の圧力は、例えば、第1のガスチャネル124a内の第1の流体圧が、第1のガスチャネル124aにおいて、吸着よりもむしろ撓みをもたらすのみであるように、周囲空気圧である可能性がある。例示的な実施形態において、ダイヤフラム138は、第1の凹部122aが圧力差のない状態で閉じられるような、ほぼは平らな形状に自然に形成され得る。他の場合では、ダイヤフラム138は、予備成形されてもよく、且つ/または、第1の凹部122aにおいて開いた(凹んだ)位置に自然に偏ってもよい。例示的な実施形態において、ダイヤフラム138は、0.01インチ(0.254mm)の厚さを有する、パーフルオロアルコキシ(PFA)共重合樹脂から形成されてもよい。あるいは、その他の材料及び/または厚さが使用されてもよい。別の例示的な実施形態では、ダイヤフラム138は、フッ化エチレンプロピレン(FEP)共重合樹脂から作られ得る。
【0028】
バルブシステムを制御するいくつかの態様が
図1に示されているが、例示的なバルブ制御システムのその他の態様が、その全体が参照により本明細書に組み込まれている米国特許第7,809,137号において確認され得る。
【0029】
バルブブロックの例#1
図2は、例示的な実施形態による、バルブブロック200の分解図を示す。示されるように、バルブブロック200は、板に配置された様々な通路、溝、チャネル、及びボアを有する、上板202、流体移送板204、及び圧力板206を含む。
図6におけるダイヤフラム602(より詳細に以下に述べられる)と機能上同様であるダイヤフラムは、分かりやすくするために、
図2では省略される。
図6に関連して示されるように、上板202、流体移送板204、圧力板206、及びダイヤフラムは、接合されて、機能バルブブロックを形成し得る。
【0030】
バルブブロック200の上板202は、流体移送板204及び/または圧力板206の特徴と位置が合っている、そこに貫通形成されたボアを有する。例えば、ボア208は、上板204及び圧力板206を貫通する対応するボアと位置が合い、そこに貫通して構造上の支持がおかれ得る空洞を設け得る。別の例として、ボア210及びボア212は、バルブブロック200への流体を受け入れ、バルブブロック200からの流体を吐き出すための流体通路をもたらし得る。特に、ボア210、ボア212は、流体移送板204において切り取られるかあるいは形成される、それぞれ、チャネル214、チャネル216と位置が合わせられ得る。使用中、それにより、流体は、ボア210またはボア212のうちの1つを通ってバルブに入り、チャネル214またはチャネル216に入れられ得る。
【0031】
様々な板間に必要な密封を形成するのに、上板202、流体移送板204、及び/または圧力板206は、不活性であり、バルブブロック200用に構造上十分に剛性である任意の材料から作られ得る。上板202、流体移送板204、及び圧力板206間に圧縮力を作り出すのに、ボア208が使用され得る。様々な板の位置を合わせ、初期位置合わせの後、板のうちの1つ以上が場所からずり動くのを防ぐのにもまた、ボア208が使用され得る。例えば、上板202は、ステンレス鋼から作られ得る。いくつかの実施形態において、上板202、流体移送板204、及び/または圧力板206は、構造上それほど剛性ではない材料から作られ得、様々な板間に圧縮力を作り出して、必要な密封を形成し、且つずり動きを防ぐのに、代替的方法が使用され得る。例えば、締め具が使用され得る。別の例において、バルブ本体ハウジングが使用され得る。このような実施形態では、上板202、流体移送板204、及び/または圧力板206は、アルミニウムまたはプラスチックから作られ得る。プラスチックが使用される場合、プラスチックは、製剤プロセスにおいて使用され得るクラスVIプラスチックとすることができ、且つ/または、生体適合性であるとすることができる。このようなプラスチックの例には、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリカーボネート(PC)、アセタールコポリマー、ポリプロピレン(PP)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、パーフルオロアルコキシ(PFA)、ポリスルホン(PSU)、ポリフェニルスルホン(PPSU)、環状オレフィン系共重合体(COC)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)などが含まれる。いくつかの実施形態において、上板202、流体移送板204、及び圧力板206はすべて、同じまたは同様の材料から作られ得る。他の実施形態において、様々な板は、互いに異なる構成の材料を有することができる。
【0032】
さらに、上板202、流体移送板204、及び圧力板206の表面は、滑らかな仕上げになるように機械加工され得る(あるいは、仕上げられ得る)。いくつかの実施形態において、表面仕上げは、8マイクロインチ(0.0002032mm)の算術平均粗さ(Ra:Roughness average)を有することができる。2つの板が触れる密封を作り出すのに、滑らかな仕上げが提供され得る。いくつかの実施形態において、滑らかな仕上げの代わりに、化学的適合性の且つ/または生体適合性のガスケットが使用され得る。
【0033】
流体移送板204は、
図3及び4においてより詳細に示されるように、バルブブロック200を通る流体流を促進し制御するための特徴を含み得る。示されるように、流体移送板204は、ボア210及び/またはボア212からの流体用の共通の入口または出口チャネルとして機能し得る、チャネル214及びチャネル216を含み得る。
図2には示されていないが、チャネル214及びチャネル216は、それぞれ、流体移送板204を貫通して延在する複数のボアに接続し得る。ボア210及びボア212とチャネル214及びチャネル216との組合せ(チャネル214及びチャネル216から流体移送板204を貫通して延在するボアを含む)は、
図1に示されるような入口126及び出口130の機能上の実装形態が考えられ得る。
【0034】
同様に、圧力板206内/上に形成される凹部218及び凹部220は、第1の凹部122a及び第1の凹部122bと、第1の気体チャネル124a及び第2の気体チャネル124bとの組合せの実装形態が考えられ得る。凹部218により示されるように、いくつかの実施形態は、入口及び出口チャネル(例えば、214と216)のセットからのすべての流体路を通る流体移送を制御するための単一の凹部を含み得る。凹部220により示されるように、いくつかの実施形態は、入口及び出口チャネル(例えば、214と216)のセットからの各流体路を通る流体移送を制御するための別々の凹部を含み得る。いずれの場合も、凹部218または凹部220のそれぞれは、密閉構造222または密閉構造224により取り囲まれてもよい。密閉構造222及び密閉構造224は、凹部218及び凹部220の周りの溝またはチャネルとして示されているが、その他の密封構造が使用されてもよい。圧力板206の特徴は、
図5に関してより詳細に説明されることになる。
【0035】
図3は、流体移送板300の上面の特徴を示す。示されるように、構造上の支持をもたらすための特徴(板の外側の周りのボア)に加え、流体移送板300は、例えば、チャネル302及びチャネル304を含み得る。また、示されるように、チャネル302とチャネル304は、それぞれ、チャネルの中に流体を受け入れるための拡幅領域(306と310)を含み得る。拡幅領域306と拡幅領域310とは、チャネル302とチャネル304との正反対の端に示されているが、流体受け入れ構造は、流体チャネルに沿ったどこにでも置かれてもよく、チャネルにわずかな丸みを付けて広げることに限定される必要はない。ある場合、チャネルの中に流体を受け入れるのに変更する必要は何もない。流体移送板300は、2セットの入口及び出口チャネルを示すが、流体移送板204は、3セットの入口及び出口チャネルを示し、任意の個数のチャネルが、例示的な実施形態において使用されてもよい。さらに、入口及び出口チャネルセットは、図に示される以外の方法で、形作られ、方向付けされ、また接続されえもよい。1つの代替的な例として、入口及び出口チャネルは、円または半円の形状で、互いに対して環状配置で方向付けされてもよい。多くのその他の代替方法が考えられる。
【0036】
チャネル302とチャネル304との長さに沿って、ボア308とボア312とが形成され、流体移送板300を貫通する流体流路をもたらす。示されるように、ボア308とボア312とは、それぞれ、チャネル302の中心、チャネル304の中心からずれていてもよい。このようなずれは、入口ボアがそれらのそれぞれの出口ボアに近ければ近いほど、流体が移動しなければならない距離が短くなるので、高い割合で流体を移送するようにバルブを設計する際に有用であり得る。さらに、バルブを制御するための圧力凹部が、
図1の第1の凹部122a及び第2の凹部122bと形状において同様である場合、ずれたボアは、圧力凹部に対して、より中心寄りに位置するであろう。特に、圧力凹部が、丸い且つ/または傾斜した形状を有する場合、圧力凹部の中心にずれているボアは、チャネル302またはチャネル304の中央部にあるボアよりも深い凹部の部分の下に位置するであろう。開いている場合、より深い凹部の下のボアは、ボアの上のより大きな最大開口容積により、より速い流量に適応し得る。しかしながら、その他の実施形態において、ボア308及び/またはボア312は、代替的に、それぞれ、チャネル302の中心、チャネル304の中心に形成されてもよく、またはチャネル302の外側、チャネル304の外側にずれて形成されることさえもあり得る。
【0037】
流体流及び圧力降下を最適化するのに、ボア308及びボア312の寸法形状は、本発明の重要な特徴である。典型的な流体移送システムでは、バルブにわたる流速及び圧力降下を下げることにより高流量を維持するのに、単一のより大きなボアが使用される。不十分な流れの領域は、許容できない圧力降下及び/または流体がバルブを通過するのにつれ、流体の乱流及び/または自然蒸発(「瞬間蒸発」)を引き起こすほど高い流速をもたらす可能性がある。しかしながら、本発明者らは、このような大ボア実装形態が可撓性ダイヤフラムベースのバルブシステムにおいて固有の制限を有することを認識している。ボア径が大きくなりすぎると、例えば、ダイヤフラムの物理的損傷及び/または永久変形が動作中に起こる可能性がある。物理的損傷は、ダイヤフラムの割れ目または穴をもたらし得る。永久変形は、閉状態における損なわれた(例えば、穴の空いた)シール、または流体圧が開状態における凹部の中のダイヤフラムの十分な撓みをもたらすことができないこと、をもたらし得る。
【0038】
ダイヤフラム138の過度の永久変形が、バルブブロック200のパフォーマンス低下をもたらすことから、ボア308及びボア312は、十分な流れが可能にされるほど大きく、しかしダイヤフラム138の許容できない永久変形量を防ぐほど小さく、寸法決めされる必要がある。バルブのパフォーマンス低下には、流量低下、妨げられた流れ、及び/または開状態におけるバルブにわたる許容できないほど高い圧力降下が含まれ得る。ダイヤフラムの永久変形は、圧力と温度との組合せにより引き起こされる可能性がある。例えば、気体チャネル124a(または気体チャネル124b)内の気体圧は、ダイヤフラム138の弾性にストレスを及ぼし、永久変形を引き起こす可能性がある。すなわち、ダイヤフラム138は、ダイヤフラム138が非加圧状態下で元の(またはほぼ元の)形状に戻らない場合、いつまでも変形したままである可能性がある。永久変形の程度は、ダイヤフラムが、流体圧下で、凹部の中に完全に撓むのを妨げるほどである可能性があり、したがって、入口126から出口130までの流体流に衝突し、それを制限し、流速上昇及び圧力降下の増大をもたらす。別の例では、ダイヤフラムに接触する流体の温度が高すぎる場合、ダイヤフラム138は、ダイヤフラム138の弾性を弱めることによりいつまでも変形したままになる可能性がある。特に、高い流体温度と高い気体圧との組合せは、許容できない永久変形量を引き起こす可能性がある。したがって、流体温度が上がるにつれ、ダイヤフラム138の永久変形を引き起こすのに必要とされる最小気体圧が下がる。
【0039】
ボア308及びボア312の径寸法は、所与の流量に対するダイヤフラム138にわたる圧力降下を決定する際の要因とすることができる。例えば、流体入口ボア(例えば、308)の径寸法が小さい場合、流速が、ダイヤフラム138にわたる圧力降下を大きくする可能性がある。別の例において、出口ボア(例えば、312)が小さい場合、出口ボアが、バルブを通る流れを制限して、より高い流体速度、またそれにより、ダイヤフラム138にあるバルブにわたるより高い差圧をもたらす可能性がある。また別の例において、ボア308またはボア312が大きい場合、凹部220が、それに応じて大きい必要がある。凹部220が大き過ぎる場合、ダイヤフラム138は、材料の弾性の限度を超える変形を受ける可能性がある。すなわち、ダイヤフラム138は、ダイヤフラム138が非加圧条件下でその元の(またはほぼ元の)形状に戻らないように変形される可能性がある。
【0040】
図13は、例示的な実施形態による、バルブのダイヤフラムの変形に関する実験の結果を示す表である。実験では、本開示による試験バルブが、それぞれが6つの異なるボア径を有する、4つの同一の列を有して構成された。6つの異なるボア径は、0.050インチ(1.27mm)、0.063インチ(1.6002mm)、0.070インチ(1.778mm)、0.075インチ(1.905mm)、0.094インチ(2.3876mm)、及び0.099インチ(2.5146mm)であった。0.01インチ(0.254mm)厚FPAの4つの同一のダイヤフラムが、それぞれが異なる試験条件下で、24時間使用された。第1の試験条件は、20℃の温度、150psiであった。第2の試験条件は、20℃の温度、300psiであった。第3の試験条件は、65℃の温度、150psiであった。第4の試験条件は、650℃の温度、300psiであった。各テスト条件後、ダイヤフラムがバルブ本体から取り外され、様々なボアに対応するダイヤフラムの変形が、アナログ高さ計器を使用して測定された。それぞれの圧力及び温度の条件下での各ボア径に対応するダイヤフラムの平均変形がインチで
図13の表に示されている。また、対応するボア径を有し、また0.020インチ(0.508mm)の凹部深さのバルブを通る、20℃の水の想定された2.5L/分の流量を使用して計算された変形による、対応する圧力上昇が、
図13の表に示されている。
【0041】
上述のように、
図13は、4つの異なる試験条件下での結果を示す。例えば、65℃の温度、150psiの圧力では、0.050インチ(1.27mm)のボア径に対応するダイヤフラムは、0.0012インチ(0.03048mm)の平均変形、2.4パーセント(%)の圧力上昇を示した。同じ温度、同じ圧力において、0.070インチ(1.778mm)のボア径に対応するダイヤフラムは、0.0019インチ(0.04826mm)の平均変形、5.3パーセント(%)の圧力上昇を示した。
【0042】
本発明者らは、10%を超える圧力上昇が、許容できないものであり、ダイヤフラムの過度の永久変形に対応すると定めた。対応する変形は、0.035インチ(0.0889mm)~0.005インチ(0.127mm)の範囲である。バルブが、(A)20℃の2.5L/分の水における10psiより大きなバルブにわたる圧力降下の増大、または(B)ダイヤフラムの元の厚さの35%より大きなダイヤフラムの永久変形、のいずれかを示す場合、「許容できない」変形量が決定される。
【0043】
ダイヤフラム138のわずかな変形量は、大目に見ることができることから、それほど厳しくないプロセス条件の場合、より大きなボア径が使用され得る。例えば、0.075インチ(1.905mm)以上のボア径が、ダイヤフラム138に対する著しい永久変形なしで、少なくとも24時間、150psiの流体圧、20℃の流体温度で使用され得る。しかしながら、流体圧が300psiまで上げられると、バルブのパフォーマンスを低下させるほどの、ダイヤフラム138に対する永久変形が起こる可能性がある。
【0044】
ダイヤフラム138の永久変形に影響を及ぼす可能性のある別の要因は、凹部220の形状及び深さである。一実施形態において、凹部220は、楕円形状とすることができる。その他の実施形態において、凹部220は、円形とすることができる。深さが深すぎる場合、バルブの動作中のダイヤフラム138の変形がダイヤフラム138の弾性の限度を超える可能性があることから、凹部220の深さも、ダイヤフラム138の永久変形に影響を及ぼす可能性がある。いくつかの実施形態において、凹部220の深さは、0.010インチ(10ミル)(0.254mm)とすることができる。別の実施形態において、凹部220の深さは、0.020インチ(20ミル)(0.508mm)とすることができる。他の実施形態において、凹部220の深さは、0.010インチ(0.254mm)~0.020インチ(0.508mm)とすることができる。さらに他の実施形態において、凹部220の深さは、0.010インチ(0.254mm)より小さいか、または0.020インチ(0.508mm)より大きいとすることができる。
【0045】
いくつかの実施形態において、ボア308及びボア312の形状は、円形とすることができる。他の実施形態において、ボア308及びボア312の形状は、楕円形状とすることができる。さらに他の実施形態において、ボア308及びボア312の形状は、スロット形状とすることができる。いくつかの実施形態において、ボア308及びボア312は、面取りされ得る。ボア308及びボア312の形状は、動作圧及び動作温度におけるダイヤフラムの永久変形を最小限に抑えるように設計された任意の形状とすることができる。ボア308及びボア312の形状は、所望の流量においてバルブにわたる所望の圧力降下及び所望の流体速度があるように、さらに設計され得る。
【0046】
本開示において、大径ボアの制限なしで高流量に適応するために、他の開示された特徴及びシステムと組み合わせて、単一の大きなボアよりむしろ複数のより小さなボアが使用され得る。例示的な実施形態において、各ボアは、0.094インチ(2.3876mm)未満の直径を有してもよく、いくつかの実施形態では、0.070インチ(1.778mm)以下の直径を有してもよい。バルブブロックは、単一の流体源からの複数のボア及び/または単一の出口につながる複数のボアを採用してもよい。
図3の例は、それぞれが7つのボアを有するチャネル302及びチャネル304を示す。いくつかの実施形態において、より速い流量に適応し、且つ/または圧力降下を低減するために、各チャネルにより多くのボアが含まれてもよい。いくつかの実施形態において、バルブが、所与の流量において、より大きな直径のより少ないボアと同様の圧力降下及び流体速度を有することができるような、より小さな直径を有する、より多くのボアが提供され得る。しかしながら、
図3の実施形態は、入口または出口のチャネル(304または308)に沿って約0.25インチ(6.35mm)離間された、約0.07インチ(1.778mm)の直径の7つのボアと、流体移送板の上側の1つの入口ボアと1つの出口ボアとの間の約0.25インチ(6.35mm)の距離と、を利用することにより、十分に最適化され得る。チャネル302とチャネル304とは、流体移送板300の下側において、チャネル302の中心からチャネル304の中心までが、約0.312インチ(7.9248mm)離されていてもよい。
【0047】
図4は、例示的な実施形態による、流体移送板300の底面の特徴を示す。
図3に示された、流体移送板300の上面と同様、流体移送板300の底面は、構造上の支持または流体移送用のそこに貫通するボアを含む。具体的には、ボア400とボア402とは、板300の上面のボア308とボア312とに対応する。ボア400とボア402との間に、入口ボアと出口ボアとの間の障壁として働き得る、流体移送板300の隆起部404がある。具体的には、
図1の単純化されたバルブ構造において示されたように、ダイヤフラムが流体移送板300の底面に押し上げられると、ダイヤフラムと隆起部404との間の接触が、流体障壁を構成し、ボア400からボア402までの流れを防ぐ。開バルブ状態にある場合、流体は、入口ボア(例えば、400)から出口ボア(例えば、402)まで隆起部404を乗り上げて、また入口チャネル(例えば、302)から出口チャネル(例えば、304)まで流体移板300を貫通して流れる。例示的な実施形態において、ユーザが、いずれの方向にも流体を流すことを選んでもよいように、ボア400は、ボア402と十分に同等であってもよい。流体移送板300の底面上のボアの図示された寸法形状及び間隔空けは、単に例示目的のものであり、本開示の範囲を限定するものではない。
【0048】
図6においてさらに詳しく示されるように、流体移送板300は、前に述べられたように、流体チャネルの開閉を制御するために、圧力板206などの圧力板との接続に持ち込まれてもよい。
図5は、バルブシステムを製造するのに、流体移送板と組み合わせて使用され得る圧力板206の例の斜視図を示す。上述のように、可撓性ダイヤフラムは、流体移送板300と圧力板206との間に置かれる。構造上の支持用のスペースを設けるために、
図5に示された周縁ボアによって示されるように、圧力板206を少なくとも部分的に貫通して、ボアが開けられるかあるいは形成される。さらに示されるように、圧力板206は、流体移送板300の底上のボア及び隆起部と位置が合わせられ得る凹部218及び凹部220などの凹部を含む。
【0049】
上述のように、しなやかな圧力応動材料から成るバルブダイヤフラム(例えば、ダイヤフラム138)は、圧力板120の上部表面と流体移送板300の下部表面との間に配置される。ダイヤフラム138は、組立体をいっしょに保持するためのネジまたはその他の固定具用に使用される場所以外、ボアを欠いている。SMBクロマトグラフィーにおける使用では、流体移送板300の上部表面において密封界面を形成する障壁板またはガスケットがあり、流体の退出及び進入チャネル(例えば、チャネル302とチャネル304)に対する上障壁を形成する。障壁板またはガスケットはまた、クロマトグラフィーカラム、ならびに退出及び進入チャネルと連通するためのカラムアクセスボアを有する。最後に、上記の障壁板またはガスケットには、クロマトグラフィーカラム、ならびに退出及び進入チャネルと位置が合っているカラム連通ボアを含む上部表面及び下部表面を有するアンカープレートがある。
【0050】
凹部218は、窪んだ部分502、ある形態の流体シール(例えば、密封構造222)、ボア506及びボア508を含んでもよく、凹部220は、窪んだ部分502B、ある形態の流体シール(例えば、密封構造224)、ボア506B及びボア508Bを含んでもよい。ボア506は、
図1に示された第1の気体チャネル124a及び第2の気体チャネル124bの機能上の実装形態が考えられてもよい。いくつかの実施形態において、ボア506、ボア506Bは、それぞれ、バルブ閉状態をもたらすために窪んだ部分502、窪んだ部分502Bにおける圧力を高めるのに使用される圧力入口と、バルブ開状態を確立するために前記圧力を放出するのに使用される通気出口とであってもよい。ボア508及びボア508Bは、密封構造222及び密封構造224(Oリングチャネルとすることのできる)への圧力入口ポートであってもよい。密封構造222及び密封構造224は、窪んだ部分502及び窪んだ部分502Bの外周を取り囲み、また、窪んだ部分502及び窪んだ部分502Bにおける圧力を維持し得る任意のタイプの流体密封機構を含む、周溝または周チャネルであってもよい。例えば、密封構造222内に取り付けられた流体密封機構は、Oリング、可撓性ガスケット、ブレードガスケット、ラビリンスシール、Uカップ、プレッシャカップ、またはこれらもしくはその他の密封アーキテクチャの組合せであってもよい。同様に、密封構造224は、凹部220の外周の周りに位置しており、密封構造222に関連して上に説明されたような流体密封機構を含んでもよい。流体密封機構によりかけられた密封力を高めるために、圧力が、ボア508及びボア508Bを通して、密封構造222及び密封構造224にかけられてもよい。実施形態の例において、ボア508及びボア508Bを通した流体圧力は、ボア506及びボア506Bを通した加圧材料の圧力/流れとは無関係であってもよい。さらに、図に示されたそれらよりも多い、少ない、またはそれらとは異なるボア、シール、及び構造が、凹部の例に利用されてもよい。要素224、502B、506B、及び508Bは、凹部220のうちの1つに対してのみの表示となっているが、
図5は、凹部220のそれぞれが、同様の構造を含んでもよいことを示す。
【0051】
示されるように、バルブ入口/出口のすべてのチャネルを制御する単一の圧力バルブ(例えば、凹部218)に加え、複数の凹部(例えば、凹部220)が、各ボアセット間で流体流を個々に制御してもよい。
図2及び5の例は、4つの凹部を示すが、特定の用途に必要とされるだけ柔軟な構造を確保するために、任意の個数の凹部が利用されてもよい。実際には、各ボアセットが同じ入口または出口チャネルに接続してもよいことから、主に、流体の特定の流量を制御する際に、ボアセットの個々の制御が使用されてもよい。例えば、ある用途が、流体に、特定の流れ様式(例えば、層流または乱流)を維持し、固有の線形流速を確立し、またはある圧力差を維持もしくは確立するように求める場合、利用されている流体経路の個数が、流体に所望の流体様式に従わせるように調整されてもよい。別の例として、特定のボアセットの周りのバルブが損傷を受けたことをシステムが検出した場合、システムは、そのバルブに対して途切れることのない閉状態を維持することにより、損傷したバルブを通る流体流を敏感に遮断してもより。様々な流体チャネルの独立制御のその他の用途の例も使用されてもよい。さらに、1つの入口と1つの出口との間のバルブは、すべての単一の集合バルブまたは独立制御のいずれかに限定されない必要がある。例えば、複数ボアバルブと単一ボアのバルブとの組合せが生み出されてもよい。
【0052】
圧力板206における圧力源として、任意の制御可能な材料が使用されてもよい。様々なバルブの独立制御を維持するために、システムは、加圧材料用の複数の入口510を有してもよい。具体的には、加圧材料入口の個数は、圧力板における制御可能な凹部の個数と同じであってもよい。これらの入口510のそれぞれの圧力は、バルブブロックにおいて、または入口510に接続された独立した制御システムにおいて制御されてもよい。実施形態の例において、圧力板206における加圧材料は、流体移送板300において移送される流体とは異なる。したがって、加圧材料と移送された流体との混合を防ぐように、ダイヤフラムの材料及び製造が選択されてもよい。
【0053】
図6は、線A-B(
図5に示された)において取られた、組み立てられたときのバルブブロック200の断面を示す。示されるように、ボア208(構造上の支持用に使用され得る)は、上板202、流体移送板204、ダイヤフラム602、及び圧力板206のそれぞれの中に延在する。さらに、ボア210は、それがチャネル214(入口チャネルとすることができる)の拡幅領域と接続し、凹部220に下る基本的な流体流をもたらすように位置付けられる。凹部220を閉じ、チャネル214からチャネル216までの流体の流れを防ぐために、凹部220において、入口510からの加圧材料が、ダイヤフラム602に十分な圧力をもたらし得る。
【0054】
図7は、例示的な実施形態による、7つの入口のボア710及び7つの出口ボア712を有する組み立てられたバルブブロック700の斜視図を示す。バルブブロック700は、上板702、流体移送板704、圧力板706、及びダイヤフラム738を有する。
図7に示されるように、流体移送板704は、複数の(例えば、3つの)板から構成され得る。複数の板の使用は、様々なボアやチャネルを製造する際に有用となり得る。いくつかの実施形態において、流体移送板704は、3つよりも多いまたは少ない個々の板から構成され得る。
【0055】
上板702は、入口接続ボア730及び出口接続ボア732を含むことができる。入口接続ボア730及び出口接続ボア732は、バルブブロック700を、製造、化学的、生物学的、またはその他の流体ベースのプロセス(例えば、SMBプロセス)に流体接続するように構成され得る。入口接続ボア730は、入口ボア710を、流体ベースのプロセスからの入口と流体接続するように構成され得る。出口接続ボア732は、出口ボア712を、流体ベースのプロセスへの出口と流体接続するように構成され得る。
【0056】
流体移送板704は、入口チャネル734及び出口チャネル736を含む。入口チャネル734は、入口接続ボア730を入口チャネル714に流体接続するように構成される。出口チャネル736は、同様に、出口接続ボア732を出口チャネル716に流体接続するように構成される。
図7は、入口チャネル734の2つの直線区間を示すが、任意の個数の直線区間が使用され得る(例えば、出口チャネル736におけるように、1つの直線区間)。さらに、入口チャネル734の直線区間は、真っすぐである必要はないが、入口接続ボア730から入口チャネル714まで流体を移送するように構成された任意の形状とすることができる。同様に、
図7は、出口チャネル736を備える単一の直線区間を示すが、任意の個数の直線区間が使用され得る(例えば、入口チャネル734におけるように、2つの直線区間)。さらに、出口チャネル736の直線区間は、真っすぐである必要はないが、出口チャネル716から出口接続ボア732まで流体を移送するように構成された任意の形状とすることができる。
【0057】
流体移送板704は、入口チャネル714、出口チャネル716、複数の入口ボア710、及び複数の出口ボア712をさらに備えることができる。
図7は、7つの入口ボア710及び7つの出口ボア712を示すが、任意のその他の個数の入口ボア710及び出口ボア712が使用され得る。例えば、流体移送板704は、5つの入口ボア710及び5つの出口ボア712を有することができる。別の例では、流体移送板704は、1つの入口ボア710及び1つの出口ボア712を有することができる。さらに別の例では、流体移送板704は、7つより多い入口ボア710及び7つより多い出口ボア712を有することができる。入口チャネル714は、入口チャネル734を、出口ボア710のそれぞれに流体接続する。同様に、出口チャネル714は、出口チャネル736を出口ボア712のそれぞれと流体接続する。
【0058】
圧力板706は、凹部718、密封構造722、及び圧力入口740を含む。圧力入口740は、加圧材料を凹部718の中に供給するか、または凹部718から放出するように構成され得る。密封構造722は、加圧材料が、圧力入口740を通るのを除いて、凹部718から漏れ出るのを防ぐように構成され得る。密封構造722は、プロセス流体が、出口ボア712(または入口ボア710)を通るのを除いて、凹部718から漏れ出るのを防ぐようにさらに構成され得る。ダイヤフラム738は、圧力板706と流体移送板704との間に配置され得る。上述のように、加圧材料が圧力入口740を介して凹部718の中に導入されるにつれ、ダイヤフラム738が、流体移送板704に押し付けられ得、それにより、流体が入口ボア710と出口ボア712との間を流れるのを防ぐ。加圧材料が凹部718から取り除かれるのにつれ、流体移送板704からの流体圧は、ダイヤフラム738を凹部718の中に撓ませることができ、それにより、流体が、凹部718を通って、入口ボア710と出口ボア712との間を流れるのを可能にする。バルブ742は、加圧材料を圧力入口740及び凹部718の中に導入するように構成され得る。バルブ742は、加圧材料を圧力入口740及び凹部718から取り除くようにさらに構成され得る。
【0059】
図8A及び8Bは、例示的な実施形態による、7つの入口ボア710及び7つの出口ボア712を有する組み立てられたバルブブロック700の断面を示す。
図8Aは、
図7に示されたバルブブロック700の側面透視断面図である。
図8Bは、
図8Aにおける線B-Bによって指示された断面での、
図7及び8Aに示されたバルブブロック700の側面透視断面である。
図8A及び8Bに示されたバルブブロックは、
図7に関連して上述されたのと同じ方法で構成された同じ要素を有することができる。
【0060】
図9は、例示的な実施形態による、5つの入口ボア710及び5つの出口ボア712を有する組み立てられたバルブブロック700の斜視図を示す。
図10A及び10Bは、例示的な実施形態による、5つの入口ボア710及び5つの出口ボア712を有する組み立てられたバルブブロック700の断面を示す。
図10Aは、
図9に示されたバルブブロック700の側面透視断面図である。
図10Bは、
図10Aにおける線B-Bによって指示された断面での、
図9及び10Aに示されたバルブブロック700の側面透視断面である。
図9、10A及び10Bに示されたバルブブロックは、
図7に関連して上述されたのと同様に動作するように構成された同じ要素を有することができる。
【0061】
図11A~11Fは、例示的な実施形態による、複数のバルブを備える組み立てられたバルブブロックの様々な図を示す。
図11Aに示されるように、複数のバルブを有するバルブブロックは、入口接続ボア730と出口接続ボア732との(また、対応する入口チャネル714と出口チャネル716との)変動する構成を有することができる。
図11A及び11Dに示された実施形態では、バルブブロックは、複数のバルブ700への流体入口をもたらすことができる入口接続ボア730を有することができる。
図11Dは、バルブブロックの正面図であり、
図11Fは、バルブブロックの背面図である。さらに、バルブブロックは、複数のバルブに対する流体出口をもたらす複数の出口接続ボア732を有することができる。いくつかの実施形態において、入口接続ボア730は、出口として働くことができ、出口接続ボア732は、入口として働くことができる。
図11B及び11Cは、例示的な実施形態による、複数のバルブ、ならびに各バルブに対応する様々なボア及びチャネルを有するバルブブロックの斜視図である。
図11Eは、例示的な実施形態による、複数のバルブを有するバルブブロックの切取側面透視を示す。
【0062】
図12A~12Gは、例示的な実施形態による、複数のバルブを備える組み立てられたバルブブロックの様々な図を示す。
図12Aは、バルブブロックの側面透視を示す。
図12C、12D、及び12Eに示されるように、バルブブロックは、同じバルブブロック内に複数のバルブ700を有することができる。
図12Fは、例示的な実施形態による、5つの入口ボア710及び5つの出口ボア712を備える流体移送板704の底面の実施形態を示す。
図12Fに示されるように、入口ボア710及び出口ボア712は、環状形状に構成され得る。
図12Gは、例示的な実施形態による、上板702の図を示す。
図12Gに示されるように、凹部718は、入口ボア710及び出口ボア712の形状に対応する形状を有することができる。
図12Gに示された実施形態では、凹部718は、円形状を有する。
図12B及び12Cは、例示的な実施形態による、複数のバルブを備える組み立てられたバルブブロックの外側表面の斜視図を示す。
【0063】
バルブブロックの例#2
場合によっては、プロセスシステムの濡れた表面(例えば、管類、バルブ、計器などの内部)は、できる限りきれいで汚れのない状態である必要がある。例えば、食品、薬剤、化学薬品などの製造などのプロセスに対して、同じ設備を使用することは、その設備が、前のバッチからの新しいバッチの汚染を防ぐために、使用間で完全にきれいにされることを要求する。本明細書において説明される様々なバルブブロックなどの複雑な設備では、その設備の十分な清掃は、難しく、あまりにも費用が掛かり、且つ/または実際には不可能であり得る。
【0064】
いくつかの実施形態において、本明細書において説明される様々なバルブブロックは、それらが使い捨てまたは1回使用であるように製造且つ/または使用され得る。例えば、バルブブロック組立体内の板のすべては、取り替え可能とすることができるか、または1回使用構成部品として取り扱われ得る。別の例では、プロセス材料に触れる板のみがバッチ間で取り替えられる。このような例では、ダイヤフラムに圧力を提供するが、プロセス材料には触れない圧力板が、バッチ間の清掃の必要なしに、再使用されてもよい。
【0065】
例示的な実施形態において、板のうちの1つ以上は、生体適合性の且つ/または医療グレードの材料から作られ得る。例えば、板は、製剤プロセスにおける使用に対するFDA規定に準拠しているUSPクラスVIポリマーから作られ得る。適切なグレードにおいて使用可能なこのようなポリマーの例には、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリカーボネート(PC)、アセタールコポリマー、ポリプロピレン(PP)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、パーフルオロアルコキシ(PFA)、ポリスルホン(PSU)、ポリフェニルスルホン(PPSU)、環状オレフィン系共重合体(COC)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)などが含まれる。代替的な実施形態では、任意の適切な材料が使用され得る。
【0066】
バルブブロックの例#3
図14A~14Dは、例示的な実施形態による、複数のバルブを備える組み立てられたバルブブロックの様々な図を示す。
図14A及び14Bは、バルブブロック1400の両面のアイソメトリック図(等角投影図)を示す。
図14C及び14Dは、バルブブロック1400の両面の図を示す。例示的なバルブロック1400は、上板1405、流体移送ブロック1410、ダイヤフラム1415(例えば、膜)、枠(1420)、及び圧力板1425を含む。流体移送ブロック1410は、ボア板1412、チャネル板1414、及び移送板1416を含む。代替的な実施形態において、追加の、より少ない、且つ/または異なる要素が使用されてもよい。ダイヤフラム1415は、ダイヤフラム138、ダイヤフラム602、ダイヤフラム738などの任意の適切なダイヤフラムとすることができる。代替的な実施形態において、追加の、より少ない、且つ/または異なる要素が使用されてもよい。
【0067】
例示的な実施形態において、バルブブロック1400は、複数のスルーボルト穴1440を含む。様々な板をいっしょに圧縮するのに、スルーボルト穴1440が使用され得る。様々な板が、板間に流体密シールを形成するように圧縮され得る。
図14A~14Dに図示された実施形態では、バルブブロック1400は、12個のスルーボルト穴1440を有する。代替的な実施形態において、バルブブロック1400は、追加のまたはより少ないスルーボルト穴1440を含むことができる。ロッド(例えば、ボルト)がスルーボルト穴1440を貫通するのを可能にするのに、スルーボルト穴1440が使用され得る。スルーボルト穴1440のいずれかの端及び/または両端は、ボルトヘッド、ナットなどが、バルブブロック1400の外側表面と面一であるか、またはその下であることを可能にするのに、カウンタボアを含むことができる。スルーボルト穴1440を介してバルブブロック1400の層を圧縮するのに、ボルト、ナット、ネジロッド、締め具、リベットなど、任意の適切な固定機構が使用され得る。代替的な実施形態において、バルブブロック1400の層を圧縮する任意の適切な方法が使用され得る。例えば、締め具が使用されてもよい。このような例では、バルブブロック1400は、スルーボルト穴1440を備えなくても、または使用しなくてもよい。その他の代替的な実施形態では、2つ以上の層が、機械的に、化学的に、または熱的に、接着または融着されてもよい。例えば、2つ以上の層を接着するのに、拡散接合が使用されてもよい。
【0068】
例示的な実施形態において、上板1405は、1つ以上の入口ボア1450及び/または出口ボア1460を含む。論述しやすく、また分かりやすくするために、バルブブロック1400の様々な要素は、「入口」または「出口」として説明される。しかしながら、代替的な実施形態では、バルブブロック1400を通る流れが逆にされ得、「出口」は、入口とすることができ、「入口」は、出口とすることができる。さらに、
図14A及び14B(ならびに
図15~21B)に図示された特定の実施形態は、単に例示的なものである。ボア、穴、チャネルなどの特定の場所は、任意の適切な方法で変更または修正され得る。入口ボア1450及び出口ボア1460は、流体が入口ボア1450を通して受け入れられ、また出口ボア1460を通して抽出されるようなプロセスに接続されるように構成され得る。ネジ接続、急速着脱式接続、圧力嵌め、フランジなど、任意の適切な接続が使用され得る。
【0069】
例示的な実施形態において、圧力板1425は、1つ以上の圧力入口1470を含む。より詳細に以下に説明されるように、ダイヤフラム1415の表面に圧力をもたらして、バルブを通る流れを可能にする、または制限するのに、圧力入口1470が使用され得る。圧力入口1470に供給された圧力がある閾値を上回ると、バルブが閉じられ、流体は、バルブを通って流れなくなる。圧力がその閾値を下回ると、圧力入口1470と反対の流体からの圧力がダイヤフラムを撓ませ、流体は、バルブを通って流れる。例示的な実施形態において、バルブブロック1400の各バルブは、圧力入口1470のうちの1つに関連付けられる。代替的な実施形態において、バルブブロック1400の複数のバルブを操作するのに、圧力入口1470のうちの1つが使用され得る。
図14B及び14Dは、6つの圧力入口1470(6つのバルブに対応する)を有する圧力板1425を図示する。しかしながら、代替的な実施形態では、任意の適切な個数の圧力入口1470が使用され得る。
【0070】
図14B及び14Dに図示された実施形態では、バルブブロック1400は、圧力板1425とは別個である枠1420を含む。例示的な実施形態において、枠1420は、圧力板1425がダイヤフラム1415と直接接触するような中央切欠部を含む。いくつかの実施形態では、枠1420及び圧力板1425は、一体成形である。代替的な実施形態において、枠1420が使用されなくてもよい。枠1420は、枠をバルブブロック1400に保持するのに使用されるネジ穴1445を含むことができる。
図14B及び14Dに図示された実施形態では、ネジ穴1445は、スルーボルト穴1440より小さく、より小さな固定機構(例えば、ネジ)を受容するように構成される。
図14A及び14Cに示されるように、ネジ穴1445は、バルブブロック1400全体を貫通して延在しない。例示的な実施形態において、ネジ穴1445は、流体移送ブロック1410の板のうちの1つ(例えば、ボア板1412)における受け入れネジ山の中に進むネジを受け入れるように構成される。代替的な実施形態において、ネジ穴1445は、バルブブロック1400を貫通して延在し、スルーボルト穴1440と同様に動作することができる。いくつかの実施形態において、ネジ穴1445は、組み立て、メンテナンスなどの最中、バルブロック1400の層の位置合わせのために、ロッドと共に使用される。
図14B及び14Dに図示された実施形態では、枠1420は、8個のネジ穴1445を有する。代替的な実施形態において、枠1420は、追加のまたはより少ないネジ穴1445有することができる。
【0071】
図15及び16は、例示的な実施形態による、組み立てられたバルブロックの断面図を示す。
図15は、
図14Cの線A-Aにおけるバルブロック1400の断面図である。
図16は、
図14Cの線B-Bにおけるバルブロック1400の断面図である。
【0072】
図16に図示されるように、枠1420は、移送板1416に対してダイヤフラム1415を密封するのに使用され得る密封溝1422を含むことができる。密封溝1422は、Oリングなどの密封機構を含むことができる。例示的な実施形態において、圧力板1425は、密封部材1430を受け入れる密封溝1432を有する。密封部材1430は、任意の適切な密封機構とすることができる。例えば、密封部材1430は、Oリングとすることができる。Oリングの断面形状は、円形、正方形(例えば、静的密封面付き)、八角形などとすることができる。例示的な実施形態において、密封溝1432は、加圧されない。代替的な実施形態において、密封溝1432は、例えば、加圧Oリング密封を作り出すように加圧される。代替的な実施形態において、凹部1480の周りを密封する任意の適切な方法が使用され得る。いくつかの実施形態では、密封溝1432は使用されない。例えば、圧力板1425は、ダイヤフラム1415に対して、圧力板1425の平らな表面よりも大きな力をかける、凹部1480の周りの隆起部を含むことができる。
【0073】
密封部材1430は、凹部1480の周りに密封を作り出す。上に説明されたように、圧力チャネル1475からの気体圧は、凹部1480内のダイヤフラム1415の一部分を移送板1416に押し付け、それにより、流れが凹部凹部1480に関連付けられたバルブを通るのを防ぐことができる。圧力チャネル1475からの気体圧が放出され、それにより、バルブブロック1400内の液体の流れが、ダイヤフラム1415を凹部1480の中に撓わせることを可能にし、それにより、流れがバルブを通るのを可能にすることができる。
【0074】
図17A及び17Bは、例示的な実施形態による、バルブブロックの分解図を示す。
図17A及び17Bは、バルブブロック1400の分解図の両面を示す。
図17Cは、例示的な実施形態による、バルブブロックの圧力板の一部分のクローズアップ図を示す。
図17Cの図は、
図17Bのマル囲み「G」のクローズアップ図である。
【0075】
図17Bに示されるように、様々な密封部材1430が各バルブのそれぞれの密封溝1432に嵌る。
図17Bに図示された実施形態は、6つのバルブを有する。代替的な実施形態において、任意の適切な個数のバルブが使用され得る。
【0076】
図17Cに示されるように、圧力チャネル1475は、凹部1480と同心でなくてもよい。代替的な実施形態において、圧力チャネル1475は、凹部1480と同心である。圧力チャネル1475は、何らかの適切な理由で、任意の適切な場所に位置することができる。例えば、
図17B及び17Cに図示された実施形態では、圧力板1425の凹部1480のそれぞれの圧力チャネル1475は、圧力板1425の中心線からずれている。このような配置は、気体バルブ(例えば、ソレノイド)が、互いに妨げられずに、圧力板1425に直接装着されるのを可能にすることができる。
【0077】
図18A~18Cは、例示的な実施形態による、バルブブロックの圧力板の様々な図を示す。
図18Aは、
図18Bの図の反対である、圧力板の1425の面を示す。
図18Cは、
図18Aの線C-Cに沿った圧力板1425の断面図である。
図18A及び18Bにおける中心線によって示されるように、様々なスルーボルト穴1440、圧力チャネル1475、凹部1480などは、互いに並んで配置され得る(例えば、格子として)。代替的な実施形態において、様々な要素は、任意の適切なパターン、並べ方などで配置され得る。
【0078】
図19A~19Dは、例示的な実施形態による、バルブブロックの流体移送ブロックの様々な図を示す。
図19Aは、
図19Bに示された面と反対の流体移送ブロック1410の面を示す。
図19Cは、流体移送ブロック1410の側面図である。
図19Dは、
図19Bのマル囲み「H」のクローズアップ図である。
図19Dは、バルブブロック1400の1つのバルブに関連付けられている、1セットのバルブ出口ボア1905、及び1セットのバルブ入口ボア1910を示す。
【0079】
図19Aに示されるように、ボア板1412は、入口ボア1450及び出口ボア1460を含む。例示的な実施形態において、入口ボア1450及び出口ボア1460は、ボア板1412を貫通して延在する。
図19Bに見られるように、移送板1416は、バルブ出口ボア1905及びバルブ入口ボア1910を含む。
図19Bに図示された、移送板1416の上部にあるバルブ出口ボア1905の両方のセットは、バルブブロック1400のすべてのバルブが閉じられると、
図19Aに図示されたボア板1412の上部にある入口ボア1450に流体接続される。同様に、
図19Bに図示された移送板1416の底部にあるバルブ出口ボア1905の両方のセットは、バルブブロック1400のすべてのバルブが閉じられると、
図19Aに図示されたボア板1412の底部にある入口ボア1450に流体接続される。
【0080】
図19Bに図示されたバルブ出口ボア1905の上部右のセットは、バルブブロック1400のすべてのバルブが閉じられると、
図19Aにおけるボア板1412の上部左にある出口ボア1460に流体接続される(
図19A及び19Bは、流体移送ブロック1410の両側を図示していることが留意される)。同様に、
図19Bに図示されたバルブ出口ボア1905の上部左のセットは、バルブブロック1400のすべてのバルブが閉じられると、
図19Aにおけるボア板1412の上部右にある出口ボア1460に流体接続される。同じことが、
図19A、
図19Bの底部出口ボア1460、バルブ出口ボア1905に当てはまる。
【0081】
例示的な移送板1416は、外側遮断バルブボア1915及び内側遮断バルブボア1920を含む。
図19Bに図示された、移送板1416の外側遮断バルブボア1915及び内側遮断バルブボア1920の左のセットは、外側遮断バルブボア1915及び内側遮断バルブボア1920の上のダイヤフラム(膜)が、外側遮断バルブボア1915と内側遮断バルブボア1920との間の流れを可能にする場合、
図19Bに図示された、移送板1416の上部左及び底部左にあるバルブ出口ボア1905を選択的に接続するように動作する。すなわち、
図19Bを参照して、内側遮断バルブボア1920の左のセットは、すべてのバルブが閉じられると、バルブ出口ボア1905の対応するセットに流体接続され、外側遮断バルブボア1915の左のセットは、すべてのバルブが閉じられると、バルブ出口ボア1905の対応するセットに流体接続される。同じことが、
図19Bに図示された実施形態の右半分における、バルブ出口ボア1905、外側遮断バルブボア1915、及び内側遮断バルブボア1920に当てはまる。
【0082】
図20A~20Cは、例示的な実施形態による、バルブブロックの流体移送ブロックの様々な図を示す。
図20Aは、
図19Cにおける線N-Nに沿った、流体移送ブロック1410の断面図である。
図20Bは、
図19Cにおける線K-Kに沿った、流体移送ブロック1410の断面図である。
図20Cは、
図20Bのマル囲み「M」のクローズアップ図である。
図21A及び21Bは、例示的な実施形態による、バルブブロックの流体移送ブロックの断面図である。
図21Aは、
図19Aの線F-Fに沿った、流体移送ブロック1410の断面図である。
図21Bは、
図21Aのマル囲み「J」のクローズアップ図である。
【0083】
図20Aは、
図19Aに示されているような、ボア板1412の反対側を示す。入口ボア1450及び出口ボア1460は、ボア板1412全体を貫通して延在する。入口溝2005は、ボア板1412の表面の中に形成される(例えば、機械加工される)が、ボア板1412を貫通して延在しない。入口ボア入口ボア1450の中に移送された流体は、入口溝2005を満たし、且つ/または、それを通って移動する。例示的な実施形態において、
図20Aに示されたボア板1412の表面に当接する、チャネル板1414の表面は、入口溝2005に対して相補的な溝を含む(例えば、
図21Aにおいて示されるような)。
【0084】
図20Bに図示されるように、チャネル板1414は、入口チャネル2010を含む。入口チャネル2010は、チャネル板1414を貫通して延在する。
図21Aに図示されるように、入口チャネル2010は、流体が入口溝2005と入口チャネル2010との間に流れることができるように、入口溝2005と並ぶ。
図20Bに図示された実施形態において、入口分散溝2015は、円形状である。代替的な実施形態において、入口分散溝2015は、正方形、長方形、八角形など、任意の適切な形状であることができる。いくつかの実施形態において、
図20Bに図示された、チャネル板1414の面に当接する、移送板1416の表面領域は、相補的な溝を有する(例えば、
図21Aにおいて示されるような)。
【0085】
入口分散溝2015の表面領域は、バルブ入口ボア1910と位置が合うことができる。すなわち、バルブ入口ボア1910と交差する円周は(例えば、
図19Dにおいて配置されるような)、入口分散溝2015とバルブ入口ボア1910とが流体接続されるように、入口分散溝2015と位置が合う。入口ボア1450は、移送板1416を貫通して延在する。これにより、入口ボア1450、入口溝2005、入口チャネル2010、及び入口分散溝2015は、バルブが閉じられる(例えば、ダイヤフラム1415が移送板1416に押し付けられる)と、流体接続される。
【0086】
バルブが開かれている場合(例えば、ダイヤフラム1415が移送板1416に押付けられていない)、バルブ入口ボア1910から流れる流体は、ダイヤフラム1415と移送板1416の表面との間を通り(例えば、ダイヤフラム1415を凹部1480の中に撓ませることによって)、また、バルブ出口ボア1905を通過する。バルブ出口ボア1905は、移送板1416に貫通して延在する。バルブ入口ボア1910及び入口分散溝2015の構成と同様に、バルブ出口ボア1905は、出口収集溝2030に流体接続される。出口収集溝2030は、材料ランド2055によって入口分散溝2015から分けられる。
図20Bに図示された実施形態において、出口収集溝2030は、円形状である。代替的な実施形態において、入口収集溝2030は、正方形、長方形、八角形など、任意の適切な形状とすることができる。いくつかの実施形態において、
図20Bに図示されたチャネル板1414の面に当接する、移送板1416の表面領域は、相補的な溝を有する(例えば、
図21Aにおいて示されるような)。
【0087】
出口収集溝2030は、ボア板1412及びチャネル板1414を通って延在する、出口ボア1460に流体接続される。出口収集溝2030は、出口溝2025を介して出口ボア1460に流体接続される。例示的な実施形態において、
図20Bに図示されたチャネル板1414の面に当接する、移送板1416の表面領域は、出口溝2025に対して相補的な溝を有する。したがって、バルブが閉じられる場合、バルブ出口ボア1905は、出口収集溝2030及び出口溝2025を介して、それぞれの出口ボア1460に接続される。
【0088】
図20Bに示されるように、いくつかの実施形態において、出口収集溝2030は、遮断移送溝2035に流体接続され得る。外側遮断バルブボア1915、内側遮断バルブボア1920、内部遮断溝2040、及び外部遮断溝2045がいっしょに関連付けられたバルブは、遮断バルブと呼ばれ得る。遮断バルブは、
図20Bの上部出口ボア1460と底部出口ボア1460との間の流れを制御する。遮断バルブは、上に説明されたバルブと同様に働くことができる。
【0089】
内部遮断溝2040は、入口分散溝2015と同様の機能を実行する。しかしながら、
図20Bに図示された実施形態において、内部遮断溝2040は、バルブ入口ボアを有さない。すなわち、流体は、遮断移送溝2035を介して遮断溝2040に入り、入口ボアを通らない。内側遮断バルブボア1920は、遮断バルブが閉じられると、内部遮断溝2040に流体接続され得る。同様に、外側遮断バルブボア1915は、遮断バルブが閉じられると、外部遮断溝2045に流体接続される。内部遮断溝2040は、材料ランド2065によって、外部遮断溝2045から分けられる。
【0090】
例えば、
図20Bに図示された実施形態では、底部左の遮断移送溝2035からの流体は、左の外部遮断溝2045、及び
図19Bの外側遮断バルブボア1915の左のセットの中に流れる。左の遮断バルブが閉じられると、流体は、外側遮断バルブボア1915と内側遮断バルブボア1920との間を流れない。左の遮断バルブが開いているとき、流体は、例えば、外側遮断バルブボア1915から、ダイヤフラム1415と移送板1416の表面との間を通り、内側遮断バルブボア1920の中に流される。流体は、内側遮断バルブボア1920から左の内部遮断溝2040まで流れ、上部左の遮断移送溝2035通り、上部左の出口ボア1460の中に流れることができる。代替的な例では、流れが逆にされ得る。遮断バルブとその他のバルブの双方向流れ特性とを使用することにより、流体は、入口ボア1450のいずれかの間、または出口ボア1460のいずれかの間を、その他の入口ボア1450またはその他の出口ボア1460のうちのいずれかに向かって流れるように制御され得る。
【0091】
図19Dに示されるように、バルブ出口ボア1905とバルブ入口ボア1910は、それぞれ、円形状に配置される。バルブ入口ボア1910は、バルブ出口ボア1905の円形状内にある。例示的な実施形態において、バルブ出口ボア1905及びバルブ入口ボア1910の円形状は、同じ中心点を有する。いくつかの実施形態において、バルブのバルブ出口ボア1905、バルブ入口ボア1910、及び凹部1480は、同じ中心点を有する。
図19Dに図示された実施形態では、バルブ入口ボア1910は、完全な円を形成し、バルブ出口ボア1905は、不完全な円の2つの部分を形成する。代替的な実施形態において、バルブ出口ボア1905は、円形状全体に均等に広がっていることができる。いくつかの実施形態において、円形状を完全にするために追加のバルブ出口ボア1905がある。任意の適切な配置または個数のバルブ出口ボア1905(またはバルブ入口ボア1910)が使用され得る。例えば、バルブ入口ボア1910は、完全な円を形成しなくてもよい。
【0092】
例示的な実施形態において、流体は、バルブ入口ボア1910からバルブ出口ボア1905に流れる。バルブ入口ボア1910から流れる流体は、バルブ出口ボア1905に効果的に流れ、それにより、比較的高い流量を可能にする。例えば、概念的には、流体は、半トロイダル状(半ドーナツ状)に流れる。したがって、流体は、バルブ入口ボア1910のうちの1つから、バルブ出口ボア1905のうちの1つに、比較的短い距離を移動する。場合によっては、乱流が、代替的な流れ模様をもたらす可能性がある。さらに、ボア個数が多くなればなるほど、流体が直面する抵抗が少なくなる(例えば、バルブにわたる圧力降下の低減)。任意の適切な個数のボアが使用され得る。いくつかの実施形態において、バルブに対するバルブ入口ボア1910の個数は、バルブ出口ボア1905の個数と異なっていてもよい。
【0093】
流体がバルブ入口ボア1910からバルブ出口ボア1905に流れるにつれ、流体は、圧力をダイヤフラム1415にかけ、それにより、ダイヤフラム1415を撓わせる。バルブ出口ボア1905、バルブ入口ボア1910、及び凹部1480の直径や幾何学的形状、また、このような要素の互いに関する大きさや位置が、バルブの流れ特性(例えば、圧力降下)を最適化するように選択され得る。場合によっては、バルブの全体的なフットプリントを縮小するような大きさが、少なくとも部分的に選択され得る。例示的な実施形態において、凹部1480の望ましい深さ及び直径は、所与の設計フロー条件セット(例えば、流量、温度、流体特性など)に必要とされる圧力降下をもたらす、それらの最小寸法であってもよい。提案されたバルブにわたる、所与の設計フロー条件セットに対する圧力降下は、初めに、流体機構の工学原理を適用した計算による十分な近似値と予測され得る。計算された圧力降下の結果は、凹部1480の望ましい直径及び深さが改められるべきかどうかを予測することができる。場合によっては、最適な大きさ及び圧力降下が見つけられるまで、寸法における様々な変更に対して、圧力降下計算が反復的に繰り返され得る。試験バルブは、凹部1480が予測計算によって見つけられた最適な深さ及び直径に作られた状態で構成されてもよい。試験バルブは、設計フロー条件下で操作され得、バルブにわたる実際の圧力降下が測定され得、それにより、計算から引き出された予測圧力降下を有効にする。いくつかの実施形態において、凹部1480は、直径0.802インチ(20.3708mm)、深さ0.020インチ(0.508mm)であってもよい。他の実施形態において、凹部1480は、直径1.240インチ(31.496mm)、深さ0.030インチ(0.762mm)であってもよい。さらに他の実施形態において、凹部1480は、より大きなまたは小さな直径、より浅いまたは深い深さであってもよい。バルブ出口ボア1905とバルブ入口ボア1910の直径の例は、
図13において確認され得る。他の実施形態は、
図13に図示された直径よりも大きなまたは小さな直径を利用してもよい。さらに他の実施形態は、
図19Dに示されたのより多いまたは少ない個数の、バルブ入口ボア1905及びバルブ出口ボア1910の様々な組合せ及び複数を利用してもよい。
【0094】
場合によっては、バルブ出口ボア1905とバルブ入口ボア1910とにより形成される円の直径は、可能な限り近くなるように選択される。すなわち、バルブのバルブ出口ボア1905とバルブ入口ボア1910との間の距離は、実際に可能な限り小さく、しかしバルブが閉じられるときに十分な密閉を可能にするほど大きく設計され得る。バルブ出口ボア1905とバルブ入口ボア1910との間の距離を縮小することによって、バルブは、より低い圧力降下、したがって、所与の入口圧力に対するより大きな処理量を有する。さらに、バルブ出口ボア1905とバルブ入口ボア1910との間の距離を短くすることによって、デッドスペースが縮小される。各バルブの大きさが小さくなるにつれ、バルブブロック1400の全体的な大きさが縮小され、結果として、バルブブロック1400に必要な材料を少なく済まし、内部流路を短くし、また製造費用をより低く抑えることができる。場合によっては、本開示のバルブブロックの実施形態の望ましい特徴は、バルブブロック内の流体により占められる容積(例えば、ボア、溝、及びチャネル)を含む、デッドスペース(例えば、デッド体積)を最小限に抑えることにある。例示的な例として、液体クロマトグラフィーでは、過度のデッド体積は、試料成分のピークブロードニング、異常ピーク、希薄、及び/または相互汚染を引き起こすことにより、選別パフォーマンスを妨げる可能性がある。液体クロマトグラフィーにおいて、本開示のバルブブロックの実施形態が使用される場合、いくつかのバルブが、1つ以上のクロマトグラフィーカラムのそれぞれから上流に、且つ/または下流に位置する可能性がある。したがって、バルブブロックによりもたらされたデッド体積が、選別パフォーマンスに著しく影響を及ぼす可能性がある。
【0095】
例示的な実施形態において、凹部1480の直径は、バルブ入口ボア1910からバルブ出口ボア1905までの流れの大部分が、凹部1480の最深部分内で起こるように選択される(例えば、縁の近くではない)。凹部1480の大きさが大きくなるにつれ、バルブにわたる圧力降下が低減する。しかしながら、ある時点で、流れのすべてまたは大部分が凹部1480の最深部分内にあることから、凹部1480の直径を大きくすることが、バルブにわたる圧力降下の低減をもたらさなくなる。
【0096】
凹部1480の深さは、ダイヤフラム1415の完全性及び形状を維持しながら、最も大きな撓み量を可能にするように選択され得る。場合によっては、凹部1480の深さは、流体及び/または流動性に基づき選択され得る。例えば、より低い温度の流体で使用する際、凹部1480は、より高い温度の流体で使用する際よりも深いとすることができる。
【0097】
図14A~21Bに図示された実施形態におけるバルブの形状は、バルブにわたる比較的低い圧力降下での比較的高い流量を可能にする。
図22は、例示的な実施形態による、バルブブロックの流量に関する実験の結果を示す表である。実験は、
図14A~21Bに図示されたバルブブロック1400によるバルブブロックを使用して行われた。試験流体は、周囲温度の水であった。上部入口ボア1450は、バルブブロック1400への水入口であり、下部入口ボア1450は、水がバルブブロックから出るのを可能するのに使用された。4つの出口ボア1460は、4.8ミリメートルの内径のポリマー管から成る2つの管シャント、またはジャンパと対で接続された。バルブブロック1400は、流体が、2つの入口バルブのうちのいずれか、2つの出口バルブのうちのいずれか、及び/または任意の考えられるもしくは望ましい組合せの2つの遮断バルブのうちのいずれかを通るのを可能にする、単一のシステム入口及び単一のシステム出口を、流路に提供するように構成された。差圧計は、入口ボア1450間に取り付けられ、バルブブロック1400に対する水入口及び水出口の差圧を測定し、それによりバルブブロック1400を通って流れる水の総圧力降下を測定するように構成された。圧力降下は、開位置における試験下のバルブを用い、1分当たり1.0リットル(L/分)~3.5L/分の水流量で測定された。結果は
図22に示されている。所与の流量(L/分)に対し、1平方インチ当たりポンド(psi)でバルブ当たりの平均圧力降下が示されている。
【0098】
例示的な実施形態に示されるようなシステム及び方法の要素の構成及び配置は、単に例示的なものである。本開示のわずかな実施形態のみ、詳細に説明されたが、本開示を検討する当業者であれば、列挙された発明の対象の新規の教示及び利点から実質的に逸脱することなく、多くの修正が考えられることが、容易に分かるであろう(例えば、様々な要素のサイズ、寸法、構造、形状及び割合、パラメータの値、取り付け方法、材料の用途、色、向きなどにおける変更)。本バルブブロック設計に関する追加情報がまた、その全体が参照により本明細書に組み込まれている、米国特許第8,196,603号に述べられている。
【0099】
さらに、主題記述において、「illustrative(例示的な)」または「exemplary(代表的な)」という語は、例、事例、または例示としての役割を果たすことを意味するように使用されている。「illustrative(例示的な)」として本明細書において説明されたいずれの実施形態または設計も、他の実施形態または設計よりも好ましいまたは有利であると必ずしも解釈されるものではない。むしろ、「illustrative(例示的な)」の語の使用は、概念を具体的な方法で提示するものである。したがって、このような修正のすべてが、本開示の範囲内に含まれることを意図される。いずれのプロセスまたは方法ステップの順序または連続順も、代替的な実施形態に従って変えられてもまたは並べ替えられてもよい。いずれのミーンズ・プラス・ファンクション条項も、列挙された機能を行うとして本明細書に説明された構造、及び構造的同等物のみならず同等な構造も含むことを意図される。本開示の範囲から、または添付の特許請求の範囲から逸脱することなく、好ましい実施形態及びその他の例示的な実施形態の設計、動作条件、及び配置において、その他の置換、修正、変更、及び省略が行われてもよい。
【0100】
このような変更のすべてが、本開示の範囲内にある。同様に、様々な接続ステップ、処理ステップ、比較ステップ、及び決定ステップを実現するのに、ソフトウェア実装形態が、ルールベースのロジック及びその他のロジックを有する標準プログラミング手法を用いて実現される可能性がある。
なお、好ましい構成態様として、本発明を次のように構成することもできる。
1. バルブブロックであって、
圧力板であって、
加圧された第1の流体を受け入れるように構成された圧力チャネル、及び
前記圧力板の表面における凹部を備え、前記圧力チャネルと前記凹部とが流体接続される、圧力板と、
流体移送ブロックであって、
第2の流体を受け入れるように構成された入口接続、
出口接続、
それぞれが前記入口接続に流体接続された複数のバルブ入口ボアであって、第1の円形状の少なくとも一部に沿って分散されている、複数のバルブ入口ボア、及び
それぞれが前記出口接続に流体接続された複数のバルブ出口ボアであって、前記複数のバルブ出口ボアが第2の円形状の少なくとも一部に沿って分散されており、前記第1の円形状が前記第2の円形状内にある、複数のバルブ出口ボア、を備える、流体移送ブロックと、
前記圧力板と前記流体移送ブロックとの間のダイヤフラムと、を備え、前記複数のバルブ入口ボア及び前記複数のバルブ出口ボアが、前記凹部に隣接している、バルブブロック。
2. 前記凹部内の圧力が閾値圧力を上回る第1の状態では、前記複数のバルブ入口ボア及び前記複数のバルブ出口ボアが形成される前記流体移送ブロックの表面に、前記ダイヤフラムが押し付けられ、前記第2の流体が、前記複数のバルブ入口ボアと前記複数のバルブ出口ボアとの間を流れず、
前記凹部内の前記圧力が前記閾値圧力を下回る第2の状態では、前記ダイヤフラムが前記凹部の中へ変形させられ、前記第2の流体が、前記複数のバルブ入口ボアと前記複数のバルブ出口ボアとの間を流れる、上記1に記載のバルブブロック。
3. 前記流体移送ブロックが、プラスチックを含む、上記1に記載のバルブブロック。
4. 前記第1の円形状及び前記第2の円形状が同心である、上記1に記載のバルブブロック。
5. 前記凹部が、第3の円形状を含み、前記第3の円形状が、前記第1の円形状または前記第2の円形状のうちの少なくとも1つと同心である、上記1に記載のバルブブロック。
6. 密封機構をさらに備え、前記圧力板が、前記密封機構の少なくとも一部分を受け入れるように構成された密封溝をさらに備え、
前記密封機構が、前記圧力板と前記ダイヤフラムとの間に位置する、上記1に記載のバルブブロック。
7. 前記密封機構が、Oリングを備える、上記6に記載のバルブブロック。
8. 前記Oリングが、長方形の断面形状を有する、上記7に記載のバルブブロック。
9. 前記複数のバルブ入口ボアのそれぞれが、前記流体移送ブロックの1つ以上の入口チャネルを通して、前記入口接続に流体接続され、
前記複数のバルブ出口ボアのそれぞれが、前記流体移送ブロックの1つ以上の出口チャネルを通して、前記出口接続に流体接続される、上記1に記載のバルブブロック。
10. 前記圧力板、前記ダイヤフラム、及び前記流体移送ブロックをいっしょに圧縮するように構成された複数の圧縮部材をさらに備える、上記1に記載のバルブブロック。
11. 前記流体移送ブロックが、複数の板を備え、前記複数の圧縮部材が、前記複数の板間の流体密シールへと前記複数の板をいっしょに圧縮するように構成される、上記10に記載のバルブブロック。
12. バルブブロックであって
圧力板であって、
加圧された第1の流体を受け入れるように構成された圧力チャネル、及び
前記圧力板の表面における凹部を備え、前記圧力チャネルと前記凹部とが流体接続される、圧力板と、
流体移送ブロックであって、
第2の流体を受け入れるように構成された入口接続、
出口接続、
それぞれが前記入口接続に流体接続された複数のバルブ入口ボア、及び
それぞれが前記出口接続に流体接続された複数のバルブ出口ボア、を備え、前記複数のバルブ入口ボアが、前記複数のバルブ出口ボアによって、少なくとも部分的に取り囲まれている、流体移送ブロックと、
前記圧力板と前記流体移送ブロックとの間のダイヤフラムと、を備え、前記複数のバルブ入口ボア及び前記複数のバルブ出口ボアが、前記凹部に隣接している、バルブブロック。
13. 前記凹部内の圧力が閾値圧力を上回る第1の状態では、前記複数のバルブ入口ボア及び前記複数のバルブ出口ボアが形成される前記流体移送ブロックの表面に、前記ダイヤフラムが押し付けられ、前記第2の流体が、前記複数のバルブ入口ボアから前記複数のバルブ出口ボアまで流れず、
前記凹部内の前記圧力が前記閾値圧力を下回る第2の状態では、前記ダイヤフラムが前記凹部の中へ変形させられ、前記第2の流体が、前記複数のバルブ入口ボアから前記複数のバルブ出口ボアまで流れる、上記12に記載のバルブブロック。
14. 前記複数のバルブ入口ボアまたは前記複数のバルブ出口ボアのうちの少なくとも1つが、楕円形状に配置される、上記12に記載のバルブブロック。
15. バルブブロックであって、
圧力板であって、
それぞれが加圧された第1の流体を受け入れるように構成された複数の圧力チャネル、及び
前記圧力板の表面における複数の凹部を備え、前記複数の圧力チャネルのそれぞれが、前記複数の凹部のうちの1つと流体接続される、圧力板と、
流体移送ブロックであって、
それぞれが第2の流体を受け入れるように構成された複数の入口接続、
複数の出口接続、
複数のバルブ入口ボアセットであって、前記バルブ入口ボアセットのそれぞれが、第1の円形状の少なくとも一部に沿って分散された複数のバルブ入口ボアを備え、前記バルブ入口ボアセットのそれぞれが、前記複数の入口接続のうちの1つに流体接続される、複数のバルブ入口ボアセット、及び
複数のバルブ出口ボアセットであって、前記バルブ出口ボアセットのそれぞれが、第2の円形状の少なくとも一部に沿って分散された複数のバルブ出口ボアを備え、前記バルブ出口ボアセットのそれぞれが、前記複数の出口接続のうちの1つに流体接続される、複数のバルブ出口ボアセット、を備える、流体移送ブロックと、
前記圧力板と前記流体移送ブロックとの間のダイヤフラムと、を備え、
前記複数のバルブ出口ボアセットのそれぞれが、前記複数のバルブ出口ボアセットのうち1つと、前記複数の凹部のうちの1つとに対応し、
前記複数のバルブ入口ボアセットのうちの1つの前記第1の円形状が、前記複数のバルブ出口ボアセットのうちの前記対応する1つの前記第2の円形状内にある、バルブブロック。
16. 前記複数の出口接続のうちの第1の出口接続が、遮断バルブを通して、前記複数の出口接続のうちの第2の出口接続に流体接続される、上記15に記載のバルブブロック。
17. 前記遮断バルブが、
前記第1の出口接続に流体接続されている第1の複数のボアを備える、前記流体移送ブロックに形成された内ボアセットであって、前記第1の複数のボアが、第3の円形状の少なくとも一部に沿って分散されている、内ボアセットと、
前記第2の出口接続に流体接続されている第2の複数のボアを備える、前記流体移送ブロックに形成された外ボアセットであって、前記第2の複数のボアが、第4の円形状の少なくとも一部に沿って分散されている、外ボアセットと、を備え、前記第3の円形状が前記第4の円形状内にあり、前記遮断バルブが前記複数の凹部のうちの1つに対応する、上記16に記載のバルブブロック。
18. 前記遮断バルブに対応する前記凹部内の圧力が閾値圧力を上回る第1の状態では、前記内ボアセット及び前記外ボアセットが形成される前記流体移送ブロックの表面に、前記ダイヤフラムが押し付けられ、前記第2の流体が、前記内ボアセットと前記外ボアセットとの間を流れず、
前記凹部内の前記圧力が前記閾値圧力を下回る第2の状態では、前記ダイヤフラムが、前記遮断バルブに対応する前記凹部の中へ変形させられ、前記第2の流体が、前記内ボアセットと前記外ボアセットとの間を流れる、上記17に記載のバルブブロック。
19. 複数の密封機構をさらに備え、
前記圧力板が、それぞれが前記複数の密封機構のうちの1つの少なくとも一部分を受け入れるように構成された、複数の密封溝をさらに備え、
前記複数の密封機構が、前記圧力板と前記ダイヤフラムとの間に位置する、上記15に記載のバルブブロック。
20. 前記複数の密封溝のそれぞれが、前記複数の凹部のうちの1つを取り囲む、上記19に記載のバルブブロック。