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特許6994702気道を開くための圧力制御システム、装置、および方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-16
(45)【発行日】2022-02-04
(54)【発明の名称】気道を開くための圧力制御システム、装置、および方法
(51)【国際特許分類】
   A61M 16/00 20060101AFI20220128BHJP
   A61M 27/00 20060101ALI20220128BHJP
   A61F 5/56 20060101ALI20220128BHJP
【FI】
A61M16/00 343
A61M16/00 380
A61M16/00 370Z
A61M27/00
A61F5/56
【請求項の数】 23
(21)【出願番号】P 2019545714
(86)(22)【出願日】2017-11-03
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-01-23
(86)【国際出願番号】 US2017060054
(87)【国際公開番号】W WO2018156217
(87)【国際公開日】2018-08-30
【審査請求日】2020-11-02
(31)【優先権主張番号】62/418,114
(32)【優先日】2016-11-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】510303497
【氏名又は名称】ソメトリクス インコーポレイテッド
(73)【特許権者】
【識別番号】519161311
【氏名又は名称】ティーティーピー ピーエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【弁理士】
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【弁理士】
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100202751
【弁理士】
【氏名又は名称】岩堀 明代
(74)【代理人】
【識別番号】100191086
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 香元
(72)【発明者】
【氏名】アレステッド,ジェロム,ケー
(72)【発明者】
【氏名】メイン,スティーブン
(72)【発明者】
【氏名】ハリソン,トーマス,ジョン
【審査官】山田 裕介
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-128034(JP,A)
【文献】特表2015-522325(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2006/0266369(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 16/00
A61M 27/00
A61F 5/56
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
個人の外部表面に負圧を印加するように制御する圧力制御システムであって、前記圧力制御システムは:
(A)チャンバ要素であって、前記チャンバ要素は前記個人の外部表面に重なるチャンバを画定するように構成され、かつ治療レベルの負圧を前記チャンバ要素内に印加した場合に、前記個人の外部表面に対して力を印加するように構成される、チャンバ要素;
(B)制御モジュールであって、前記制御モジュールは:
(i)前記チャンバ要素内の前記負圧に曝露される第1表面と、前記チャンバ要素の外部の大気圧に曝露される第2表面を有する、1つまたは複数の回路基板;
(ii)前記第1表面上に配置され、かつ前記チャンバ要素内の絶対圧力を示す第1時間依存波形を生成するように構成された第1絶対出力気圧計;
(iii)前記第2表面上に配置され、かつ前記チャンバ要素の外部の絶対大気圧を示す第2時間依存波形を生成するように構成された第2絶対出力気圧計;
(iv)第1処理要素であって、前記第1絶対出力気圧計および前記第2絶対出力気圧計に動作可能に接続され、かつ前記第1時間依存波形および前記第2時間依存波形を受信し、かつ、前記チャンバ要素の外部の絶対大気圧に対して前記チャンバ要素内が負圧に関する時間依存値を、受信した前記第1時間依存波形および前記第2時間依存波形から計算するように構成される、第1処理要素;および
(v)前記チャンバ要素内に印加される前記治療レベルの負圧に関する事前決定された範囲を格納する第1不揮発性メモリであって、前記第1不揮発性メモリは第1プロファイルおよび第2プロファイルをさらに格納し、
前記第1プロファイルは、前記チャンバ要素内の前記治療レベルの負圧を前記事前決定された範囲内に維持するように空気ポンプの流速を調節するように構成され、前記第1プロファイルは、前記事前決定された範囲の最小値に達した場合に前記空気ポンプを通電するように構成され、かつ前記事前決定された範囲の最大値に達した場合に前記空気ポンプを停止するように構成される、
前記第2プロファイルは、前記チャンバ要素内の負圧に関する前記時間依存値が前記チャンバ要素の外部の前記大気圧と等しくなった場合に、前記チャンバ要素内の前記治療レベルの負圧に関する前記事前決定された範囲に到達するように、前記空気ポンプの流速を調節するように構成され、前記第2プロファイルは最初に前記空気ポンプを通電させて、最大の流速を生成し、かつ前記チャンバ要素内の前記治療レベルの負圧に前記時間依存値が近づくにつれて、前記流速を低速化するように構成される、第1不揮発性メモリ、
を備える制御モジュール;および
(C)前記チャンバ要素内に前記治療レベルの負圧を生成するように前記チャンバに動作可能に接続された空気ポンプ、
を備え、
前記空気ポンプは前記制御モジュールに動作可能に接続され、かつ前記空気ポンプの流速は、前記制御モジュールによって、前記チャンバ要素内の前記負圧に関する前記時間依存値を基に、前記事前決定された範囲内で前記チャンバ要素内の治療レベルの負圧を維持するように調節される、
圧力制御システム。
【請求項2】
前記事前決定された範囲前記最大値、前記最小値、よび中間値を含み、前記最大値および前記最小値はそれぞれ前記中間値の約+/-2hPaである、請求項1に記載の圧力制御システム。
【請求項3】
前記中間値は約10hPa~約60hPaの範囲内である、請求項2に記載の圧力制御システム。
【請求項4】
前記中間値は約25hPa~約35hPaの範囲内である、請求項2に記載の圧力制御システム。
【請求項5】
前記中間値は約30hPaである、請求項3に記載の圧力制御システム。
【請求項6】
前記第1プロファイルは、ランプ電圧を前記空気ポンプに印加して前記ランプ電圧に比例して前記空気ポンプの流速が増加するようにし、前記最小値に到達した場合には、前記空気ポンプを通電するように構成される、請求項1に記載の圧力制御システム。
【請求項7】
前記ランプ電圧は直線状である、請求項6に記載の圧力制御システム。
【請求項8】
前記ランプ電圧は直線状でない、請求項6に記載の圧力制御システム。
【請求項9】
前記チャンバ要素は、事前決定レベルの空気流を前記チャンバ要素内に供給するように構成された1つまたは複数の空気排出口を備える、請求項1に記載の圧力制御システム。
【請求項10】
前記第1処理要素および前記第1不揮発性メモリが前記1つまたは複数の回路基板上に配置される、請求項1に記載の圧力制御システム。
【請求項11】
前記圧力制御システムの制御モジュールはさらに:
(vi)前記チャンバ要素内の絶対圧力を示す第3時間依存波形を生成するように構成された第3絶対出力気圧計;
(vii)前記大気圧を示す第4時間依存波形を生成するように構成された第4絶対出力気圧計;
(viii)前記第3絶対出力気圧計および前記第4絶対出力気圧計に対して動作可能に接続された第2処理要素であって、前記第2処理要素は前記第3時間依存波形および前記第4時間依存波形を受信して、前記チャンバ要素に対し外部の前記大気圧に対して、前記チャンバ要素内の負圧に関する第2時間依存値を、前記第3時間依存波形および前記第4時間依存波形から計算するように構成される、第2処理要素;および
(ix)前記チャンバ要素内に印加される前記治療レベルの負圧に関する安全性限界値を格納した第2メモリ要素、
を備え、前記第2処理要素は前記空気ポンプと動作可能に接続され、かつ前記第2処理要素は前記安全性限界値に到達した場合に、前記空気ポンプを停止するように構成される、
請求項1に記載の圧力制御システム。
【請求項12】
前記第3絶対出力気圧計は第1表面上に配置され、前記第4絶対出力気圧計は前記第2表面上に配置される、請求項11に記載の圧力制御システム。
【請求項13】
前記第2処理要素および前記第2メモリ要素は前記1つまたは複数の回路基板のうちいずれか1つの上に配置される、請求項11に記載の圧力制御システム。
【請求項14】
前記第1絶対出力気圧計および前記第2絶対出力気圧計はそれぞれが温度センサを備え、かつ前記第1時間依存波形および前記第2時間依存波形は対応する前記温度センサによって測定された温度に対して修正される、請求項1に記載の圧力制御システム。
【請求項15】
前記第3絶対出力気圧計および前記第4絶対出力気圧計はそれぞれが温度センサを備え、かつ前記第3時間依存波形および前記第4時間依存波形は対応する前記温度センサによって測定された温度に対して修正される、請求項11に記載の圧力制御システム。
【請求項16】
前記第1絶対出力気圧計および前記第2絶対出力気圧計はデジタル出力気圧計である、請求項1に記載の圧力制御システム。
【請求項17】
前記第1絶対出力気圧計および前記第2絶対出力気圧計は少なくとも約10Hzのサンプリング速度で動作する、請求項1に記載の圧力制御システム。
【請求項18】
前記第1絶対出力気圧計および前記第2絶対出力気圧計は少なくとも約25Hz、少なくとも約50Hz、少なくとも約70Hz、または少なくとも約200Hzのサンプリング速度で動作する、請求項1に記載の圧力制御システム。
【請求項19】
前記チャンバ要素は、前記個人の頸部の前方部分の外部エリアを包み込むようにして上部上気道の一部に重なるように構成される、請求項1に記載の圧力制御システム。
【請求項20】
前記圧力制御システムは、前記個人の配向を示す信号を供給するように構成された1つまたは複数の加速度計をさらに備え、かつ
前記圧力制御システムは前記信号を処理して前記個人の配向を判定し、かつ前記個人の配向の変化に基づいて前記チャンバ要素内の前記治療レベルの負圧を変更するように構成される、請求項1に記載の圧力制御システム。
【請求項21】
前記チャンバ要素内の前記治療レベルの負圧は、背臥配向と、腹臥または側臥配向とでは異なることを特徴とする、請求項20に記載の圧力制御システム。
【請求項22】
前記チャンバ要素内の前記治療レベルの負圧は、持続的な背臥配向の場合の方が、持続的な側臥配向の場合と比較して高く、ここで、前記持続的とは少なくとも0.5秒にわたり姿勢が維持されることをいう、請求項21に記載の圧力制御システム。
【請求項23】
前記圧力制御システムは、個人の運動レベルの閾値を超えたこと基づいて、前記チャンバ要素内の前記治療レベルの負圧を変更するように構成される、請求項20に記載の圧力制御システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2016年11月4日に出願された米国仮特許出願第62/418,114号の優先権を主張する。この米国仮特許出願第62/418,114号は、すべての表、図面、および請求項を含んで、参照することにより本願に援用される。
【背景技術】
【0002】
本発明の背景に関する以下の説明は、単に本発明の理解において読者を支援するために提供されたものであり、本発明の先行技術を説明または構成することを認めるものではない。
【0003】
緩和または治療の目的のために患者に負圧を外部から印加することは医療技術においてかなり確立されている。
【0004】
米国特許第5,343,878号、米国特許第7,182,082号、および米国特許第7,762,263号は、患者の外部頚部表面に対して外部から負圧を印加することを目的とする装置に関する。上部呼吸経路の1部分に重なる喉(「喉」という用語は、本明細書では、およそ顎から胸骨の上部まで、および、横方向に外頚静脈の後方の地点まで、延長する頚部の前方部分を指すために使用される)の外部エリアを封入するよう構成された表面を有する治療器具が通常、提供される。特定の実施形態では、これらの器具は、チャンバの内側表面と喉との間にチャンバ(例えば、空気分子で充填された中空スペース)を提供し得る。治療器具は、このチャンバ内に不完全真空を発生させるよう構成された空気ポンプに対して動作可能に接続される。チャンバ内に治療レベルの負圧を印加することにより、上気道の動きが誘導され、例えば鼾、睡眠時無呼吸、および完全または部分的な気道虚脱などの症状が緩和され得る。
【発明の概要】
【0005】
本発明の目的は、装置と患者の外部組織(例えば、顔、頚部、および標的治療のための部位を包囲するエリア、その他など)との間で形状一致する境界面を形成するよう適応された治療装置内における負圧レベルを制御、監視、および維持するための、圧力制御システム、およびその製造方法、およびその使用法を提供することである。本明細書で記載の治療装置は、個人の外部組織に対する標的治療に負圧を印加するよう構成された密閉チャンバを形成するにあたり特に適している。
【0006】
様々な実施形態では、本発明の圧力制御システムは、チャンバの内部および外部の両方からの圧力レベルを示す信号を生成し、それにより、高度または気圧におけるその他の変化に関わらずチャンバ内部からの絶対圧力測定を可能にするデータを提供する、1つまたは複数のセンサを含む。これらの目的または類似の目的のために利用される圧力制御システムは、好適には、係る「長期的」変化に応答すべきであるが、例えば瞬間的な身体運動に起因する圧力における過渡的変化および/または瞬時性上昇に対してすぐに応答してはならない。
【0007】
負圧治療装置における応用に加えて、この種の圧力制御システムは、高度、温度、その他にかかわらず、任意の防壁の両端における絶対圧力差の測定に対して、および、あらゆる種類の密閉または部分的密閉システム(例えば加圧タンク、スキューバ、プロパン、その他)における絶対圧力差の測定(計量)に対して、特に有用である。圧力制御システムは、追加的なセンサ(すなわち、所望の圧力範囲の維持を支援するパラメータの監視、データの処理および/または格納をさらに支援し得るデータ(例えば、装置/ユーザの配向、サイスミックデータ(音、衝撃、心拍、呼吸、その他からの振動)など)の収集を支援する様々な種類のMEMS、ならびに温度センサ)も含み得る。
【0008】
第1の態様では、本発明は、個人の外部表面に対する負圧の印加を制御するための圧力制御システムを提供する。圧力制御システムは、
個人の外部表面に重なるチャンバを画成するよう、かつ、治療レベルの負圧がチャンバ要素内に印加されたときに、個人の外部表面に対して力を印加するよう構成された、チャンバ要素と、
(i)チャンバ要素内の負圧に曝露される第1表面を、ならびに、チャンバ要素外部の大気圧に曝露される第2表面を、有する回路基板、
(ii)第1表面上に配置され、かつ、チャンバ要素内の絶対圧力を示す第1時間依存波形を生成するよう構成された、第1絶対出力気圧計、
(iii)第2表面上に配置され、かつ、チャンバ要素外部の絶対大気圧を示す第2時間依存波形を生成するよう構成された、第2絶対出力気圧計、
(iv)第1絶対出力気圧計および第2絶対出力気圧計に対して動作可能に接続され、かつ、第1時間依存波形および第2時間依存波形を受け取り、そこから、チャンバ要素外部の絶対大気圧に対して相対的なチャンバ要素内における負圧に関する時間依存値を計算するよう構成された、第1処理要素、および、
(v)チャンバ要素内に印加されるべき負圧の事前決定された治療レベルまたはその範囲を示す1つまたは複数の格納されたパラメータを格納する、第1の、好適には不揮発性の、メモリ、
を含む制御モジュールと、
チャンバ要素内における治療レベルの負圧を生成するためにチャンバに対して動作可能に接続された空気ポンプと、
を含み、
空気ポンプは制御モジュールに対して動作可能に接続され、空気ポンプの流速は、チャンバ要素内における負圧に関する時間依存値に基づいてチャンバ要素内における治療レベルの負圧を事前決定された範囲内に維持するよう、制御モジュールにより調節される。
【0009】
本明細書で使用される「圧力制御システム」という用語は、使用時に負圧治療装置における空気ポンプの監視、維持、記録、調整、通電、および通電停止を実施する治療装置の要素を指す。圧力制御システムは通常、以下の要素、すなわち、1つまたは複数の回路基板を含む制御モジュール、1つまたは複数の絶対気圧計、1つまたは複数の処理要素、1つまたは複数の(好適には不揮発性の)メモリ要素、1つまたは複数の最小・最大圧力範囲、および、負圧治療のチャンバ要素内における治療レベルの負圧を生成するために空気ポンプに対して動作可能に接続された空気ポンプの空気流速を調節するための1つまたは複数のプロファイル、のうちの1つまたは複数の要素を、および好適には、各要素を、含む。
【0010】
特定的な実施形態では、圧力制御システムは、空気ポンプの動作を定義する要素またはパラメータ(例えば、負圧の事前定義された範囲を示す格納されたパラメータ)を含み得る。例えば、これらのパラメータは、標的負圧を示す「定点」値を、最小値および最大値が含まれ得る範囲を、または、単に1つまたは複数の事前決定された治療範囲を、含み得る。これらのパラメータは、装置の「標的圧力」および「治療リベルの負圧」を定義し、治療の効果的な適用に対する所望に応じて変動し得る。
【0011】
治療装置の圧力制御システムは、治療装置が個人に対して結合されたとき、チャンバ要素内における略一定の標的負圧を提供するよう構成され、治療レベルの負圧がチャンバ要素内に印加される。本明細書で使用される「略一定」は、通常の意図された使用時に(すなわち、チャンバ内への空気流を提供するために発生するよう設計された漏出以外の漏出に起因する圧力変化が存在しないとき)、瞬間的な運動、嚥下、くしゃみ、その他に起因する負圧における短期的な過渡的瞬時性上昇または低下(増加または減少)に応答することなく、負圧が事前決定された範囲内に維持されることを意味するものである。本明細書において後に説明されるように、圧力制御システムは、好適には、圧力低下の特性が密閉完全性の損失を示した場合にポンプ空気流を急速増加させることにより、意図されない漏出に起因する圧力変化に対処するようにも構成される。
【0012】
圧力制御システムは、さらに、使用時に、身体運動、装置/ユーザの姿勢、または上気道の狭窄または閉塞の開始または緩和に起因して、異なる種類の治療標的圧力を印加するよう構成され得る。この略一定の標的負圧は、最大値、最小値、および中間値を含む事前決定された範囲、上限および下限を有する標的圧力(すなわち標的圧力範囲)を有し得る。ここで最大値および最小値はそれぞれ中間値の約5hPa内であり、より好適には約2hPa内であり(+/-5hPaの範囲内、および好適には+/-2hPaの範囲内)、中間値は、約10hPa~約60hPaの範囲内、約20hPa~約50hPaの範囲内、および約25hPa~約35hPaの範囲内である。好適な実施形態では、中間値は約30hPaである。本明細書で使用される「約」という用語は記載値の+/-10%を指す。
【0013】
特定的な実施形態では、事前決定された範囲は、例えば、供給される治療の種類に応じて、身体姿勢または他の気圧信号に応じて、または、新規ユーザの順応に対処するために、変動することが許可され得る。なおここでは、より低い事前決定圧力範囲が選択され、その後、時間的期間にわたり増加され得る。これらの制御技術は、気道の狭窄および虚脱を防止するために使用される他の装置(例えば持続的気道陽圧(CPAP)装置など)の適用される治療を変動させるためにも適用され得る。
【0014】
本明細書で使用される個人の「外部エリア」および「外部表面」という用語は、個人の外部皮膚表面の1部分を指すために使用される。様々な実施形態では、治療装置は、全接触点にわたって最適化されたフィット性パラメータ(例えば、密閉、快適、および局所的な装置追随)を提供するよう構成される。このことは、好適には、負圧治療装置のクッション要素の設計特徴および密閉チャンバ要素の設計特徴を通して、患者の皮膚上の1つの接触点と他の接触点との間の接触圧力差を最少化することにより達成される。
【0015】
特定的な実施形態では、治療装置の圧力制御システムは、事前決定範囲の最小値が到達されたときは空気ポンプに通電し、事前決定範囲の最大値が到達されたときは空気ポンプを通電停止することにより、治療レベルの負圧が維持されるよう空気ポンプの流速を調節するための要素(例えば(不揮発性)メモリ要素に格納されたプロファイル)を含み、治療装置の構造要素と組み合わせて、個人の皮膚表面に印加される力の強度は、連続的接触エリアの周囲の地点ごとに変動され得る。このようにして、密封要素の周縁上の寸法に沿う任意の地点において個人の外部表面に対して印加される力を「一定」の値にすることが可能である。この文脈において、本明細書で使用される「一定」という用語は、密封要素の全周縁上の寸法に沿う力の平均の約20%内に、より好適には約10%内に、力を維持することを指す。ここで、密封要素の周縁上の寸法に沿う各地点における力は、密封要素がユーザに接触するフランジ要素の幅寸法上の位置において測定される。
【0016】
治療レベルの負圧(真空)が空気ポンプにより達成可能であるかぎり、任意およびすべての空気ポンプ種類が本発明において使用される(ここでは負圧および真空が相互交換可能に使用され得る)。特定的な実施形態では、空気ポンプはホースまたはチューブを介して装置に接続され得る。好適には空気ポンプは、患者による装着が可能で、バッテリー駆動式であり、最も好適には空気ポンプは装置に内蔵されるよう構成される。特定的な実施形態では、空気ポンプは、手動で圧搾する球状部であってもよく、または電気的で、振動ポンプ圧送動作を提供するための圧電性物質を含んでもよい。振動ポンプ圧送動作が500Hzより高い周波数で動作すると最も好適である。
【0017】
特定的な実施形態では、圧力制御システムは、治療装置が個人に対して結合され、治療レベルの負圧が印加されたときにチャンバ外部の周囲環境からチャンバまでの空気流を提供する1つまたは複数の空気通気要素(例えば、アパーチャ、経路、その他)を含むチャンバ要素を収容するよう設計される。これは本明細書では「設計された空気流」とよばれる。係る設計された空気流は、例えば、チャンバ内の温度および湿度の蓄積を防止するために利用され得る。例えば、所望によりフィルタ要素を含む1つまたは複数のアパーチャが、チャンバを通る空気の流れを提供するために、空気ポンプ要素の吸気口に対して遠位の位置に配置され得る。特定的な実施形態では、設計された空気流は、約10cc/分~約300cc/分の範囲内であり、好適には約20cc/分~約150cc/分の範囲内であり、さらに好適には、約30cc/分~約100cc/分の範囲内である。
【0018】
特定的な実施形態では、設計された空気流のレベルは変動し得る。特定的な実施形態では、空気流のレベルは治療レベルの負圧にしたがって調節され得る。すなわち、より高いレベルの真空は、通気要素の大気側とチャンバの内部との間の圧力における差異に起因する、より高いレベルの空気流により随伴され得る。特定的な実施形態では、真空源は、治療レベルの真空を、単一値よりもむしろ特定範囲内に維持するために、様々な様式で使用され得、空気流のレベルは真空のレベルと呼応して変動し得る。特定的な実施形態では、圧力制御システムは、標的印加真空を指定し、単回使用期間内で、または、装置に順応するための特定の時間的期間がユーザに許容される数日にまたがり得る複数の使用期間内で、低い治療レベルの負圧からより高い所望の治療レベルの負圧まで徐々に上昇し得る。追加的な実施形態では、圧力制御システムは、1つまたは複数の監視されるパラメータ(心拍数、呼吸数、頭部/装置姿勢、音響、および/または無呼吸発作など)における変化に基づいて治療レベルの負圧を変動させることが可能である適応的な治療パラメータの使用を含み得る。
【0019】
関連する態様では、本発明は、本明細書で記載の治療装置を個人に結合することと、治療レベルの負圧をチャンバ内に印加し、それにより、個人の気道の開放性を増加させることと、を含む、負圧治療を必要とする個人に対して負圧治療を適用する方法に関する。係る方法は、睡眠時無呼吸の治療、鼾の治療、完全または部分的な上気道虚脱の治療、完全または部分的な上気道閉塞の治療、例えば損傷または手術により生じた創傷の負圧治療のために実施され得る。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1A】チャンバ1、フランジ要素2、フランジのフランジ/接触表面3、O字型リング要素4、および、圧力制御システムを受容するためのアパーチャ5を含む、代表的な負圧治療装置の例示的な実施形態を示す上面図である。
図1B】空気ポンプ/制御回路ハウジング6がチャンバ1のアパーチャ5を通して挿入され、チャンバ1の内部から固定された濾過キャップ要素7を介して固定された状態にある、圧力制御システム装置の例示的な実施形態の断面図である。空気ポンプ取り付け表面/回路要素8、濾過膜9、およびハウジング壁部10も示されている。
図2】空気ポンプを制御するための第1処理要素11、および、空気ポンプ18の監視ならびに遮断を実施するための第2処理要素12、の2つの処理要素を示し、各処理要素はチャンバの内部および外部に配置された圧力センサを含み、第1処理要素11はチャンバの内部に配置された第1圧力センサ13に対して、および、チャンバの外部に配置された第2圧力センサ14に対して、動作可能に接続され、第2処理要素12はチャンバの内部に配置された第3圧力15に対して、および、チャンバの外部に配置された第4圧力センサ16に対して、動作可能に接続され、第2処理要素は空気ポンプ18への駆動電圧の維持または停止を実施するために使用可能であるスイッチ開閉機構17に対して動作可能に接続されている、本発明の一実施形態の概略図である。
図3】(第1圧力流れ制御および主要圧力検出および圧力設定システムのための)第1処理要素11に対して動作可能に接続された、チャンバの内部に配置された第1圧力センサ13およびチャンバの外部に配置された第2圧力センサ14と、空気ポンプ18に対してさらに動作可能に接続されたスイッチ開閉機構17に対して動作可能に接続された(制御および管理を有するより安全なセンサシステムのための)第2処理要素12に対して動作可能に接続された、チャンバの内部に配置された第3圧力センサ15およびチャンバの外部に配置された第4圧力センサ16と、を含む、チャンバキャビティ内に配置された要素22およびチャンバの外部に配置された要素21を示す、本発明の制御システムの一実施形態の概略図である。
図4】一定時間にわたり空気ポンプに印加されたおおよその電圧(上のグラフ)、およびその結果生成したチャンバ真空レベルを示す、本発明の一実施形態を示すグラフである。図中、ポンプ起動/ポンプへの電力印加は100、ポンプ停止/ポンプへの電力印加の停止は110、ポンプ停止時間は115、ポンプ期間は120、ブースト電圧は125、治療電圧は135、真空損失事象は140、一時休止期間は145、圧力上限は150、圧力下限は155、および空気流ならびにポンプ停止時間に起因する圧力増加は160として示される。
図5】印加される電圧が時間の関数として表される、おおよその増加電圧および減少電圧の傾斜経路を示す、本発明の一実施形態を示すグラフである。図中、空気ポンプに印加される増加傾斜経路電圧は空気ポンプに印加される減少傾斜経路電圧に対して略均整が取れた状態にある。望まれる治療電圧は破線130として示され、ブースト電圧は破線125として示され、増加するランプ電圧は実線165として示され、減少するランプ電圧は実線170として示される。
図6】おおよその増加電圧および減少電圧の傾斜経路を示す、本発明の一実施形態を示すグラフである。この場合では、空気ポンプに印加される増加傾斜経路電圧は減少傾斜経路電圧に対して均整が取れた状態ではない。望まれる治療電圧は破線130として示され、ブースト電圧は破線125として示され、増加するランプ電圧は実線165として示され、減少するランプ電圧は実線170として示される。
図7】Y軸上に負圧、X軸上に印加された電圧を示し、圧力上限150、圧力下限155、おおよその治療電圧130、ブースト電圧圧力180までの漸進的圧力減衰157、ブースト電圧の起動125を示す圧力制御図を示す、本発明の一実施形態のグラフである。
図8】負圧上限閾値150および負圧下限閾値155(上の図面)と、ポンプ起動指令時間(a)、ポンプ停止指令時間(g)、圧力サンプリング時間(b)(f)および(m)を示す時間点、ならびに時間点(c、d、e、h、j、k、およびn)におけるポンプ供給電圧を含む制御システムの1セットの動作状態の代表的なサイクル(a~n;下の図面)とを示す本発明の一実施形態のグラフであり、ここでは、負圧下限閾値155が時間点(b)においてサンプリングされると、ポンプ起動指令が送信され(a)てランプ電圧が適用され、負圧上限閾値150がサンプリングされる(f)まで治療電圧が維持され、ポンプ起動指令が停止され(g)、チャンバを通る空気流により負圧が漸進的に減少する。負圧下限閾値155がサンプリングされると、ポンプ起動指令が開始し、サイクルが反復される。
図9】電圧が印加されるにつれて負圧が負圧上限閾値150まで増加し、電圧を減少させると負圧下限閾値155まで減少する、不連続的なポンプを使用した際の一定時間にわたる負圧における変動を示す、本発明の一実施形態の出力を示すオシロスコープ表示である。最大負圧閾値152も示す。
図10】標的圧力信号および標的圧力変化をモジュールするための位置と運動の加速度計信号の機能的関係(単数または複数)を示す、本発明の例示的な実施形態を示す。時間がX軸上に示され、負圧が左のY軸上に表され、加速度計力信号が右のY軸上に示される。200は、一定時間にわたる標的圧力の軌跡を示し、210は一定時間にわたる運動の強度および位置に関する加速度計から受け取られたデータの軌跡を示し、220は一定時間にわたる210の軌跡のデータの微分係数の軌跡を示し、230は一定時間にわたる閾値運動の軌跡を示し、240は一定時間にわたる非閾値運動の軌跡を示す。245は標的治療圧力255における変化に対応する背臥から側臥への持続的姿勢における変化に対応する非閾値運動250を示し、260は反動的標的圧力270をトリガする側臥から背臥を経過して逆側の側臥への姿勢における変化に対応する閾値運動265の1例であり、閾値運動が停止する263と、制御システムは側臥姿勢267に対応する標的治療圧力に戻る。280は背臥標的圧力に対応し、285は側臥標的圧力に対応し、290は反動的標的圧力に対応する。
図11】標的圧力およびシステム圧力制御システムを示す本発明の一実施形態のブロック図である。図10は標的圧力信号および標的圧力変化をモジュールするための位置と運動の加速度計信号の機能的関係(単数または複数)を示す、本発明の例示的な実施形態を示す。時間がX軸上に示され、負圧が左のY軸上に表され、加速度計力信号が右のY軸上に示される。200は一定時間にわたる標的圧力の軌跡を表し、210は一定時間にわたる運動の強度および位置に関する加速度計から受け取られたデータの軌跡を表し、220は一定時間にわたる210の軌跡のデータの微分係数の軌跡を表し、230は一定時間にわたる閾値運動の軌跡を表し、240は一定時間にわたる非閾値運動の軌跡を表す。245は標的治療圧力255における変化に対応する背臥から側臥への持続的姿勢における変化に対応する非閾値運動250を表す。260は反動的標的圧力270をトリガする側臥から背臥を経過して逆側の側臥への姿勢における変化に対応する閾値運動265の1例を表す。閾値運動が停止すると263、制御システムは側臥姿勢267に対応する標的治療圧力に戻る。280は背臥標的圧力に対応し、285は側臥標的圧力に対応し、290は反動的標的圧力に対応する。
図12】(第1圧力流れ制御および主要圧力検出および圧力設定システムのための)第1処理要素11に対して動作可能に接続された、チャンバの内部に配置された第1圧力センサ13およびチャンバの外部に配置された第2圧力センサ14と、空気ポンプ18に対してさらに動作可能に接続されたスイッチ開閉機構17に対して動作可能に接続された(制御および管理を有するより安全なセンサシステムのための)第2処理要素12に対して動作可能に接続された、チャンバの内部に配置された第3圧力センサ15およびチャンバの外部に配置された第4圧力センサ16と、を含み、第1処理要素11は第2処理要素12に対して動作可能に接続されていない、チャンバキャビティ内に配置された要素22およびチャンバの外部に配置された要素21を示す、本発明の制御システムの一実施形態の図3の代替的な概略図である。
図13】Y軸上に負圧、X軸上に印加された電圧、圧力上限150、圧力下限155、おおよその治療電圧130、閾値事象127、および即時ブースト電圧のトリガリング125を図示する圧力制御概略図を示す、本発明の一実施形態のグラフである。[発明を実施するための形態]
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明、および、本発明の様々な特徴および有利な詳細は、添付の図面において図示され、かつ以下の記載において詳述される非限定的な実施形態を参照すると、より詳細に説明されるであろう。これらの図面で示されるすべての特徴物の縮尺率が必ずしも一定ではないことに注意すべきである。周知の構成要素および処理技術に関する説明は、本発明が不必要に不明瞭化されることを避けるために、省略した。本明細書で使用されるすべての事例は、単に、本発明が実施され得る方法の理解を支援し、当業者が本発明を実施することをさらに可能にすることを意図したものである。したがって、これらの事例は、本発明の範囲を限定するものとして解釈されてはならない。これらの図面では、類似した参照符号は、いくつかの図面を通して、対応する部分を指すものである。
【0022】
「負圧」治療装置および方法においては、負圧が、治療のために要求される値を上回る場合、または下回る場合がある。これらの変動する値は、負圧の印加時に、チャンバの圧縮および/または拡張を生じさせることにより、および/または、組織がチャンバ内に移動することにより、チャンバ体積における変動をもたらす身体運動、設計された通気空気流を超過する、および/または、瞬間的密閉崩壊に起因する、漏出、温度変化に起因する圧力における変化、高度、気圧における変化により、および/または、例えば航空機キャビンまたは高圧室内で生じる外部加圧による外部圧力における変化により、生じる装置外部の圧力における変化、および/または、空気ポンプに連続動作を生じさせ、それにより望まれるレベルを超過するレベルが到達されてしまう、電気/ソフトウェアの誤動作により誘導され得る。このことは特に、装置が様々な条件下で長時間にわたり日常的に着用されるよう意図されたものであり、その間に装置内の絶対圧力における変化が生じ得るため、成り立つ。したがって、装置内部の絶対圧力における変化は早急に検出され、負圧における増加または減少が治療レベルの負圧を維持するよう、圧力制御システムにより応答されなければならない。
【0023】
本発明では、圧力制御システムは、滑らかでかつ静かな空気ポンプ動作、装置安全性、および密閉効率を通して快適性を最大化し、かつ、最終的に装置有効性およびユーザコンプライアンスを最適化する負圧治療装置のために設計される。本明細書で使用されるユーザコンプライアンスとは、ユーザが使用ガイドラインを確守することとして定義される。負圧治療装置において使用される以下で説明される圧力制御システムは、治療装置が被術者の上気道におよそ対応する表面上で被術者の頚部上に配置されたとき、上気道を開くよう設計されている。
【0024】
本発明の圧力制御システムとともに使用するための例示的な治療装置が図1Aに示されている。この治療装置は、器具の内側表面と頸上部/顎領域の皮膚との間に真空を形成するために使用されるチャンバ1を含む。チャンバ1は、封入されたチャンバを形成するために装着者に対する接触表面3を提供するフランジの縁部に沿うフランジ要素2を含む。チャンバ1は、空気ポンプおよび関連する制御回路を含む圧力制御システム装置を挿入するためのアパーチャ5、および、チャンバ1に対して圧力制御システム装置が密閉されることを支援するためのアパーチャの内側周縁の周りのO字型リング状の特徴物4も有し得る。この装置は、任意の好適な物質または物質の組み合わせから、形成、成型、または製作され得る。この治療器具を構築するにあたり好適である係る物質の非限定的な例としては、プラスチック、金属、天然繊維、合成繊維などが挙げられる。この装置は、例えばシリコーンゴムまたはウレタン(ただしこれらに限定されない)などの弾性記憶性を有する物質からも構築され得る。
【0025】
本発明に係る例示的な圧力制御システムが負圧治療装置と併せて図1Bに示されている。空気ポンプハウジング元素6が、空気ポンプアパーチャ5を通して負圧治療装置の外部を通して設置され、キャップ要素7の設置を介して固定され、それによりハウジング壁部10が封入される。キャップ要素は、使用時に空気ポンプが汚染されることを防止するためのフィルタ要素9を含み得る。治療装置は、標的治療エリアの外部表面に重なるチャンバ要素1を画成するよう、および、治療レベルの負圧が圧力制御システムによりチャンバ要素1内に印加されたときに個人の外部表面に力を印加するよう、構成される。
【0026】
この技術の例示的な適用は限定されることを意図するものではない。圧力制御システムは、例えば、密閉システム(すなわちタンク(スキューバ、プロパン酸素、その他))における絶対圧力差を測定するために、任意の防壁の幅方向における絶対圧力差を測定し、さらに、その測定値に基づいて、不揮発性メモリ要素に格納された、バルブの開放、空気ポンプの通電および/または通電停止、その他を行い得る動作および/またはプロファイルを実行し、それにより、前述の密閉システム内において望まれる圧力が制御または維持されるよう、使用され得る。
【0027】
本明細書で使用される圧力制御システムの概略的説明が図2および図3で示されている。本明細書で使用される制御モジュール要素は、1つまたは複数の単一の回路基板または多層化された回路基板、1つまたは複数の絶対圧力センサ、1つまたは複数の処理要素、および空気ポンプに動作可能に接続された1つまたは複数のメモリ要素(揮発性または不揮発性のメモリ要素)を含み得る装置の1つまたは複数の側面に関するデータの制御、監視、および/または格納を実行するために使用される治療装置の構成要素として定義される。圧力制御システム装置が真空チャンバの内部の両方に曝露されるため、制御モジュール要素内のセンサは、チャンバの外部に配置されたセンサ(図2および図3における14および16)を用いて真空チャンバ外部の周囲の大気(図3における要素21)と、チャンバの内部に配置されたセンサ(図2および図3における13および15)を用いて真空チャンバ内部(破線による図示により区別された、図3における要素22)と、の両方をサンプリングする能力を有する。
【0028】
制御モジュール要素は、治療装置内における望ましいレベルの負圧を維持することを支援するために、追加的なパラメータの監視、格納、および報告を実行するための追加的なセンサを含み得る(図1)。追加的パラメータは、装置および/または患者の姿勢、吸音(鼾および呼吸)を含むがこれらに限定されないノイズにより発生したノイズ音響/振動、呼吸速度、脈拍数、血圧を含み得る。したがって追加的センサは、1つまたは複数の加速度計、フォトプレスチモグラムセンサ、ECGセンサ、マイクロフォンまたは可聴性周波数がサンプリング可能である他のセンサ、その他を含み得、内装型(真空チャンバ内を意味する)または外装型(周囲の外部環境内を意味する)であり得る。
【0029】
制御モジュール要素は、例えば、温度変化の関数としてチャンバ圧力の修正を支援し得る制御モジュール要素内の温度のみではなく治療装置の内部および/または外部の温度も監視するために、または、制御システム電子機器、ポンプ、または関連する構成要素の加熱を検出するために、1つまたは複数の温度センサをさらに含み得る。
【0030】
装置のチャンバ要素内の空気は3つ熱源の影響を受け、そのために、チャンバ温度と周辺温度との間に齟齬が生じ得、圧力制御システムの様々なセンサから得られた表示値が影響される場合がある。本明細書で使用されるチャンバ温度はチャンバ要素内の温度であり、その一方で、周辺温度はチャンバ外部の温度である。熱源は、電子機器が発する熱、ポンプの動作が発する熱、チャンバ要素内に封入されたユーザの身体から放出される熱を含む。
【0031】
治療圧力は理想的には、環境変化に起因するものであれシステムから発した定常的熱フローであれ、定常的温度変化によって影響されない。圧力差は絶対圧力に依存せず、温度の関数である。本治療装置のチャンバは約155cc~300ccの範囲の容積を有する。したがって、例えば、およそ200ccの容積を有するチャンバは、ゼロ有効空気流に対しておよそ華氏1度あたりおよそ2hPaの絶対圧力変化を有する。
【0032】
しかし温度における上昇、すなわち「熱暴走」が生じ得る場合が発生し得る。例えば、通常動作では、本発明のポンプは、短期間(通常は、治療排出流速が0.6リットル/分より低い状態で使用時間全体の10%~20%の範囲で変動する)にわたり作動する。しかしチャンバ漏出の発生時には、漏出が大きくなるか、または長い時間的期間にわたり継続した場合、ポンプ起動・停止回数は大きくなる。その場合、装置の制御システムは、最大排出流速を有効化し、高い流速(通常は最大で約1.6リットル/分)で連続的にポンプを運転する。この動作モードではポンプが最大で2ワットまで損失し、その結果制御システム組立体内の電子機器に温度上昇が生じてしまう。したがって、本発明の特定の実施形態では、温度変化および熱暴走は、装置に一体化された温度センサを使用して監視され得、好適な実施形態では、温度修正センサに対して一体化された絶対気圧センサ(例えばST Microelecctronics製の部品番号LPS25HBTR基板取り付け圧力センサ)が使用され得る。
【0033】
装置の様々な態様では、装置の姿勢に関するパラメータが監視され得る。姿勢データは、装置が使用されていない場合には、装置を電源停止させるための信号を潜在的に発生させることを示すために、装置が使用されている場合には、装置およびユーザの姿勢を示すために、使用され得る。装置の使用時に収集された姿勢データは、睡眠サイクル時の運動および/または運動の種類の判定において支援し得る。この姿勢データは、他の装置情報(例えば、チャンバ圧力における変化)と相互に関連付けられるために使用され得、頭部および/または身体の運動と、例えばユーザが寝返りを打ったときのチャンバ圧縮に起因するチャンバ容積における変化と、を示し得る。追加的な実施形態では、姿勢データは、装置の機能を作動または作動停止させるために使用され得、例えば装置が使用されている場合、装置/ユーザが垂直姿勢にあるとき(例えば真っ直ぐに腰掛けているとき、または直立しているとき)、暗い室内における視認性を支援するために、光が点灯され得る。
【0034】
特定の実施形態では、姿勢データは、例えば、ユーザが側臥位にある場合の異なるレベルの負圧、ユーザが背臥位にある場合の異なるレベルの負圧に対する必要性が反映されるようチャンバ圧力を変化させるために、さらに、背臥姿勢と側臥姿勢との間の、および側臥姿勢と背臥姿勢との間の、運動を検出し、運動の際の装置の脱落が回避されるよう圧力を調整するために、使用され得る。このことは、バッテリー寿命を保全するのみではなく、患者の快適性を支援し得る。この技術は、他の気道閉塞治療装置(例えばバッテリー駆動式・完全装着型のCPAPシステムなどのCPAPシステム)にも適用され得る。
【0035】
本発明の目的は、治療装置の特定の圧力として、または標的圧力範囲として、標的圧力を確立および維持することである。特定的な実施形態では、治療送達および装置快適性を最適化し、治療箇所に対する装置係合および/または装置のバッテリー寿命を維持するために、標的圧力を変更すること、および/または、1つまたは複数の標的温度を有すること、が望まれ得る。これらの標的圧力値は、事前プログラムされ得、および/または、必要に応じて設定および変更され得る。本明細書で使用される標的圧力値は、制御システムのセンサにより受け取られた入力パラメータおよび制御システムの設定値が与えられたときに、チャンバ内に印加されるよう選択されるレベルの負圧である。入力パラメータは、チャンバ圧力、運動、運動の強度、および姿勢を含み得るが、これらに限定されない。制御システムの設定値は、装置/ユーザ(頭部姿勢)の角度および変動するレベルの運動に対して適応する異なるレベルの負圧を含み得る。
【0036】
標的圧力は治療レベルの負圧(図10、280、285)、および/または反動レベルの負圧(図10、290)であり得る。制御システムはさらに、装置およびユーザの持続的姿勢により全般に決定される1つまたは複数の治療レベルの負圧から選択し得る。例えば、持続的背臥レベルの負圧(図10、280)および持続的背臥レベルの負圧(図10、285)である。本明細書で使用される持続的姿勢とは、少なくとも約0.5秒から約60秒までまたはそれ以上にわたり維持される姿勢として定義される。持続的姿勢は、少なくとも0.5秒、好適には少なくとも10秒、より好適には少なくとも30秒、最も好適には少なくとも60秒以上にわたり維持される姿勢を指す。制御システムは、受け取られた姿勢に基づいて標的圧力信号を起動し、新しい持続的姿勢が実質的に側臥姿勢(図10、245、263。当該技術分野では側臥位として知られる)である場合には、側臥姿勢に対応する設定レベルの負圧にまで、好適には約2~60秒の間で、より好適には約10秒で負圧の減衰を許可するであろう。本明細書で使用される標的圧力信号は望ましい標的圧力を示す信号である(図11)。同様に、新しい持続的姿勢が実質的に背臥である場合、制御システムは、好適には約0.5~5秒以内、より好適には約0.5秒で、背臥姿勢に対応する設定レベルの負圧にまで負圧を増加させるであろう。
【0037】
本発明の特定的な実施形態では、例えば上気道に対する重力が最大である持続的背臥姿勢に対して、制御システムは背臥標的レベルの負圧(図10、280)を実現し得る。背臥標的レベルの負圧は、16~45cmHOの範囲であり得、好適な値はおよそ28cmHOである。さらに、上気道に対する重力が背臥姿勢の場合よりも全般に低い値となる持続的側臥姿勢では、制御システムは異なるより低いレベルの負圧を選択し得る。例えば制御システムは、持続的側臥姿勢における負圧のレベル(図10、285)を、およそ0~10cmHOだけ、好適な値としてはおよそ4cmHOだけ、減少させ得る。
【0038】
特定的な実施形態では制御システムは、装置/ユーザの角度による判定により、持続的背臥姿勢レベルの負圧から持続的側臥姿勢レベルの負圧に切り替えることを決定し得る(図10、210、220)。背臥レベルの負圧からの(すなわち、より高いレベルの負圧から、より低いレベルの負圧への)移行/切り替えは、角度的様式で誘導される設定角度トリガ値を有し得る。ここで背臥姿勢は、約0~約70度の範囲の、好適には約45度以下の、測定された角度として定義され得る。側臥姿勢レベルの負圧から、より強い背臥レベルの負圧への移行は、移行は線形的様式であってもよく、または、三角関数を使用して決定されてもよい(例えば低い真空から高い真空への正弦波状の移行)。
【0039】
制御システムは、1つまたは複数の反動レベルの負圧も選択し得る(図10、270、290)。本明細書で使用される反動レベルの負圧は、閾値を超過する運動レベルの間にユーザ上での装置の姿勢を維持するために選択される負圧のレベルとして定義される。反動レベルの負圧は治療レベルの負圧を超過し得、この閾値運動を越えることに全般的に応答する(図10、260、265)。運動は、圧力制御システムの一部として含まれる運動センサ(例えば、単軸式または多軸式の加速度計のような加速度計)により検知され得る。本明細書で使用される閾値運動(図10、260、265)は、選択された値または値の範囲を超える制御システムの加速度計により観察される重力における変化(図10、210、220)として定義される。閾値運動は、閾値加速度値を違反したものと制御システムにより判定された瞬間的運動(例えば頭部運動、咳、くしゃみ、発語、および/または、背臥から側臥へのおよび/または側臥から背臥への寝返りなど)を含み得るが、これらに限定されない。反動レベルの負圧をトリガし得る閾値加速度計静的値は、サンプリングの周波数が約1Hz~約10Hzの範囲、より好適には約1.5Hz~約6Hzの範囲である状態で、およそ0.1G/試料~0.8G/試料の範囲、より好適には、およそ0.3G/試料である。静的加速度計レベルの微分値もトリガ閾値として使用され得る。
【0040】
閾値運動の際の負圧における上昇は治療レベルの負圧(図10、270)を高い速度でおよそ2cmHO~およそ10cmH0、好適には5cmH0だけ超過し得る。運動が閾値を超過するものとしてカテゴリー化されると制御システムは、最大電圧を空気ポンプに印加し、例えば閾値運動が終了する時間まで、好適には0.5~約5秒間、より好適には約0.5秒で反動レベルの負圧に対応する設定レベルの負圧まで負圧を増加させるであろう。閾値運動がもはや検知されなくなると、制御システムは、1つまたは複数の標的治療値(例えば側臥または背臥)から選択し、負圧が新規標的治療値まで減衰し、新規の値を維持することを許可するであろう。
【0041】
姿勢および運動における変化に対処するためにチャンバ内の負圧の変化速度も制御システムにより調節され得る。例えば、負圧の低減が望まれる事例では、空気ポンプは、設計された空気流によりチャンバ内の負圧のレベルが次第に低下されることが可能となるよう、「停止」状態に維持され得る。負圧がより低速で低減化されることが望まれる事例では、空気ポンプがより低い頻度間隔で作動され、または、より低いレベルの電圧がポンプに印加され、それにより、負圧の減少速度をより低くするために、より低い真空が作られるとよい。負圧の増加が望まれる事例では、例えば、側臥から背臥への持続的姿勢における変化が発生した場合、負圧の増加の速度は、印加される治療レベルの電圧から迅速に発生することが望ましい。
【0042】
例えば図10では、標的圧力信号および標的圧力変化をモジュールするための位置と運動の加速度信号の機能的関係(単数または複数)に関する本発明の例示的な実施形態が示されている。時間がX軸上に示され、負圧が左のY軸上に表され、加速度計力信号が右のY軸上に示されている。200は一定時間にわたる標的圧力の軌跡を表し、210は一定時間にわたる運動の強度および位置に関する加速度計から受け取られたデータの軌跡を表し、220は一定時間にわたる210の軌跡のデータの微分係数を示す軌跡を表し、230は一定時間にわたる閾値運動の軌跡を表し、240は一定時間にわたる非閾値運動の軌跡を表す。245は標的治療圧力255における変化に対応する背臥から側臥への持続的姿勢における変化に対応する非閾値運動250を示し、260は反動的標的圧力270をトリガする側臥から背臥を経過して逆側の側臥への姿勢における変化に対応する閾値運動265の1例であり、閾値運動が停止する263と、制御システムは側臥姿勢267に対応する標的治療圧力に戻り、280は背臥標的圧力に対応し、285は側臥標的圧力に対応し、290は反動的標的圧力に対応する。
【0043】
本発明のさらなる態様では、装置の使用時における音響/振動のパラメータが監視され得る。本明細書で使用される音響および振動は、振幅、速度、および加速度に関して特徴付けられ得る。音響および振動は呼吸音、例えば鼾および呼吸を含み得、呼吸の深さおよび長さのみならず呼吸速度に関するさらなる情報も、もたらし得る。音響および振動のデータは、パルスおよび血圧の結果として得られるデータも含み得る。装置(例えば本発明の治療装置)が治療エリア上、患者のおよそ上気道の上方に配置されると、触診可能な頸動脈パルスの振動が監視され、これらの速度および圧力の決定を支援するために使用され得る。
【0044】
特定的な実施形態では、姿勢および音響/振動のデータのパラメータは、低周波数信号、中間範囲周波数信号、および高周波数を監視可能であり、かつ、振幅センサ、速度センサ、加速度計、その他などのMEMS装置(微小電気機械システム)を含み得る1つまたは複数のセンサにより取得され得る。好適な実施形態では、MEMS3軸加速度計が使用される。
【0045】
制御モジュール要素は、任意の好適な手段、例えばデータポート、有線または無線(例えばBluetooth、wi-fi、ZigBee、その他)種類のインターフェース、を介して、装置から、または装置へと、情報を転送する手段を含み得る。このことにより、データおよび/または装置パラメータを、サイト上でのインターフェースのための有線装置への、もしくは、係る有線装置からの、または、装置の遠隔アクセスを可能にするネットワークを介して、アップロードおよびダウンロードを実行することが可能となる。安全システムまたはプログラムも、ソフトウェアパラメータ、データ、その他に関する望まれない改竄を回避するために使用され得る。
【0046】
装置の様々な態様では、センサ、マイクロプロセッサ、および他の構成要素が回路基板、シリコン集積回路、および/またはプリント回路基板(PCB)に実装され得る。本明細書で使用されるPCBは、機械的に支持し、制御モジュールの電気的構成要素を電気的に接続する要素である。伝導性シート(通常は銅製の層)は、非導電性基板上に積層され、片面、両面、または多層構造を有し、任意種類の電気的構成要素に対するプラットフォームを提供し得る。導電性の経路、パッド、および他の特徴物が回路基板にエッチングされるかまたは回路基板に対して一体化され得、キャパシタ、抵抗器、および、例えば圧力センサ(例えばデジタル出力気圧計)、処理要素、およびメモリ要素などの能動デバイスなどの制御要素が固定され、動作可能に接続され得る。回路基板または回路基板上に配置された構成要素/特徴物は、装置の機能を作動、作動停止、および調節するために空気ポンプおよび電源に動作可能に接続され得る。
【0047】
装置の様々な態様では、1つまたは複数の圧力センサが、実際の圧力差を生成するために、チャンバ要素の内部(図3、22)および外部(図3、21)の絶対圧力を測定するために使用される。チャンバ要素の内部および外部の絶対圧力を測定することにより、正確なチャンバ圧力値が、高度および気圧にかかわらず取得可能である。装置の特定的な実施形態では、絶対出力気圧計が、所与の空間内の圧力を測定し、時間依存性波形の形における絶対圧力を示す出力信号を生成するために、使用される。時間依存性波形はアナログであってもよく、またはデジタルであってもよい。しかしアナログ波形は全般に追加的処理を必要とするため、デジタル波形が好適である。さらに、絶対出力気圧計は、アナログまたはデジタルの出力気圧計であり得るが、特定の実施形態では、絶対デジタル出力気圧計が好適である。
【0048】
本発明のさらなる態様では、装置は、2つの絶対出力気圧計、すなわち第1絶対出力気圧計13および第2絶対出力気圧計14を含む。第1絶対出力気圧計13は、チャンバ要素内部の絶対圧力を測定して第1時間依存波形を提供するために、チャンバ要素の内部の第1表面上に配置され、第2絶対出力気圧計14は、チャンバ要素外部の絶対圧力を測定して第2時間依存波形を提供するために、チャンバ要素の外部に配置された第2表面上に配置される。
【0049】
第1出力気圧計13および第2出力気圧計14は、第1デジタル出力気圧計から第1時間依存性波形を、第2デジタル出力気圧計から第2時間依存性波形を、受け取るよう構成された第1処理要素11に動作可能に接続される。本明細書で使用される処理要素は、例えば、チャンバ要素外部の絶対大気圧に対して相対的な大気圧チャンバ要素内における負圧に関する時間依存値を計算するために絶対出力気圧計の信号を処理するよう最適化されたアーキテクチャを含む専用マイクロプロセッサの形におけるデジタルまたはアナログの信号プロセッサであり得る。
【0050】
本発明の様々な態様では、様々なデータおよび装置パラメータは、装置内において治療レベルの負圧を維持するにあたって必要に応じて、収集、格納、アップロード、ダウンロード、および/または変更されなければならない。データおよび装置パラメータは、不揮発性メモリ、揮発性メモリ、SRAM(スタティックランダムアクセスメモリ)および/またはDRAM(ダイナミックランダムアクセスメモリ)を含む任意の好適な様式で格納され得る。
【0051】
メモリは、任意の好適な様式で格納および利用され、有線または無線手段を介してインターフェースされ得るが、しかし本発明の好適な態様では、不揮発性メモリが使用される。不揮発性メモリは、電力サイクルがオフおよびオンされた後でさえも格納および取り出しが可能である種類のデジタル/コンピュータ・メモリである。本発明の不揮発性メモリは、チャンバ内に印加される治療レベルの負圧に対して事前決定された範囲を格納し得る。
【0052】
圧力制御システムの主要な側面は、治療の安全かつ効果的な適用(すなわち略一定の負圧を標的治療エリアに対して印加すること)を保証する負圧装置の1部として機能することである。制御システムは、過去の事象が未来の事象に影響を及ぼすことにより生じる遅滞効果にも対処しなければならない。この効果は圧力およびパラメータのサンプリングレートがポンプの圧力および応答速度に影響を及ぼすことを通して達成される。略一定の負圧175は、チャンバ内の絶対圧力、チャンバの絶対圧力に影響を及ぼすパラメータを監視し、次に、おおよその標的圧力という一定で未来のゴールが達成されるよう前述のチャンバ圧力に影響を及ぼす変数に応答してポンプ活動を制御することにより達成される。
【0053】
制御システムの事例では、装置は、ひとたび治療が開始すると、ポンプは「起動」されて標的圧力まで空気を排出し、制御された通風に応答して「起動」し、および/または、標的圧力に影響を及ぼす事象に応答して「起動」し、またはさらに「停止」して、圧力の開放を可能にする。本明細書で使用されるポンプ「起動」は、ポンプに電圧を供給し、さらに作動電圧が到達されるまで、電圧が(例えば直線状のランプ電圧および/または曲線状のランプ電圧として)増加する様式で、電圧をポンプに供給することを含み得る。さらに、ポンプを「起動」状態に保つことは、真空源が必要な負圧を提供し、真空圧力/流速が、バルブまたは他の調整可能な方法、その他を介して制御される、同等なシナリオも含み得る。
【0054】
したがって標的圧力を達成および維持することは、ポンプを制御するソフトウェアの応答時間、チャンバ圧力のサンプリングレート、通気流のサンプリングレート、およびポンプの流速の機能である。例えば、所与の圧力の検出における遅延により、ポンプが過剰な空気を排出することが可能となること、または、上方圧力閾値を超過しても充分迅速にポンプ起動を停止せず、通気流が下方閾値を下回る圧力差を取ることが可能になること、のいずれかが生じることとなり得る。
【0055】
制御システムは、チャンバ密閉性が一時的に破損された場合、例えば頭部運動など(会話、咳、くしゃみ、嚥下、その他を含むがこれらに限定されない)に、ポンプに単位時間当たり可能な限り大量の空気を排出させようとする要求と、装着者に対して可能な限り装置が快適となることを支援する空気の通気流を可能にする要求と、のバランスを取らなければならない。チャンバ内の圧力における変化は、チャンバの容積(容積が大きいほど、所与の圧力差を達成するためにはより多くの空気が排出されなければならない)、通気流の速度(通気流が大きいほど、単位時間あたりの空気損失が大きくなり、圧力の低下がより速くなる)、ポンプ流の速度(単位時間あたり移動する空気が多いほど、圧力差の増加がより速くなる)、ポンプが最大流からゼロ流になるまので時間およびポンがゼロ流から最大流になるまでの時間からなるポンプの応答時間、および、サンプリングレートとして表される圧力センサの応答時間(例えばチャンバに進入する、またはチャンバから排出される、空気の量および速度は、1回のサンプリング期間において空気流に起因する圧力変化が許容可能圧力範囲を超過してはならない)を含むがこれらに限定されない、いくつかのパラメータにより、さらに決定および/または影響される。
【0056】
さらに、特定の時点(例えばスタートアップ時、または、設定された許容可能な圧力範囲から大きい逸脱が検知された場合の望ましくない漏出が存在した場合)には、望まれる真空レベルに迅速に到達するために、制御システムはポンプを「より強く」動作させることが望ましい場合があり、真空レベルが設定された許容可能な圧力範囲に近づいた場合には、制御システムはポンプをより「穏やか」に動作させるべきである。本明細書で使用されるポンプを「より強く」動作させることは、より高い電圧がポンプに供給され、ポンプがチャンバ圧力における急速な減少を発生させることにより定義され、ポンプをより「穏やか」に動作させることは、より低い電圧が印加され、それによりポンプがより低速で動作するかまたは停止し、その結果、チャンバ真空におけるより低速な低下が生じることにより定義される。
【0057】
例えば、標的圧力が約+/-2hPaの変動性を有し、許容可能誤差が約0.5hPa未満となり、サンプリングレートが約25Hzとなるようプログラムされた制御システムでは、圧力における変化は約12.5hPa/秒に等しい。したがって、圧力値が望ましい範囲から逸脱することを回避するために、このことは、圧力が、約320ミリ秒より長い時間で、約12.5hPa/秒において、約-2hPaの最小標的圧力から約+2hPaの最大標的圧力レベルまで増加してはならない(約4hPa~約12.5hPa/秒)を含意する。代替的に、この事例では、望ましい圧力レベルを維持することは、ポンプがより少量を排出すること、および/または、サンプリングレートを増加させることによっても達成され得る。好適な実施形態では、サンプリングレートは約25Hzよりも大きく、より好適な実施形態では、サンプリングレートは約50Hz、約70Hz、約200Hz以上である。
【0058】
したがって圧力制御システムは必要に応じて正確に負圧治療装置のチャンバ内の標的圧力を予測、変更、および維持するために、すべての影響を与えるパラメータを高速でサンプリングすること、および、その後、ポンプ活動を変更すること、から利益を受ける。圧力制御システムは、実際の圧力がおおよその標的圧力範囲を下回る155か、または上回る150か、を判定するために、様々なパラメータを監視し、実際の圧力が望ましい標的圧力範囲から逸脱し、および/または最大許容可能負圧閾値に到達した場合(図9、152)には、実際の圧力が望ましい事前決定された範囲(すなわち標的圧力)に戻るまで、作動し、作動停止し、または空気ポンプに対するランプ電圧の勾配を変更する。
【0059】
標的圧力範囲は最大値、最小値、および中間値を有し得る。本発明の様々な態様では、最大および最小の圧力値は標的圧力/中間値の+/-2hPa内である。本発明の特定的な実施形態では、中間値は約10hPa~約60hPaの範囲内、約20hPa~約50hPaの範囲内、約25hPa~約35hPaの範囲内、および好適な実施形態では中間値は約30hPaである。
【0060】
チャンバ要素内においておおよその治療レベルの負圧(すなわち標的治療圧力+/-許容範囲)を事前決定された標的圧力範囲に維持することは、流速プロファイルを格納メモリに格納することを通して達成され得る。なお第1プロファイルは、最小値が到達されたときに空気ポンプに通電し、最大値が到達されたときには空気ポンプを作動停止するよう構成される。流速は、電圧を空気ポンプ18に印加すること、および、電圧が印加される方法により、制御される。本発明の様々な態様では、第1プロファイル165は、最小負圧155の値が到達されたときに好適な作動電圧を空気ポンプに印加することにより(ここで空気ポンプの流速はより高い電圧が印加されることにより増加する)ポンプに通電するよう構成され、第2プロファイル170は、最大値が到達されたときに空気ポンプ18に印加される電圧110を停止することにより(ここで空気ポンプの流速はより低い電圧が印加されることにより減少する)ポンプを通電停止するよう構成される。
【0061】
制御システムは、バッテリー寿命が最大化されるよう、および、患者を刺激しないよう、空気ポンプ18を駆動するよう構成される。バッテリー寿命は、ポンプに供給される電圧が過度に長い時間的期間にわたり印加される状況で損なわれ、刺激事象が、高速で大きい電圧変化の適用の結果として空気ポンプ18から発する音響から生じ得る。ユーザにより感じられる圧力変化およびパルスの高い速度も刺激を生じさせ得る。不連続的ポンプが使用される本発明の事例では、電圧は、おおよそのレベルの治療的負圧175を維持するために、空気ポンプ18に対して(サイクル状に)印加100および停止110が行われる。低い流速は圧力パルスを最少化し得る。ユーザにより感じられかつ聞かれるポンプ雑音を低減することは、望まれるレベルの負圧を達成するために、電圧変化がかなりの時間的期間にわたり空気ポンプ18に印加されることを要求する。空気ポンプ18に高電圧を印加することにより達成される高い流速は、望まれるレベルの負圧へとより迅速に到達することが可能である。しかしこの場合に関して空気ポンプ18は、圧力上限150および/または最大圧力上限152を超過することを、または、ユーザにより感じられるであろう迅速な変化を真空において生じさせることを、回避するために、サイクルの停止および起動が迅速になされるべきである。ポンプに対する高い電圧の迅速な印加は、可聴性クリック音の形におけるポンプ雑音の望ましくないアーチファクトも有し得る。
【0062】
したがって本発明の一実施形態では、バッテリー寿命、圧力パルス、およびポンプ雑音のバランスは、電圧が空気ポンプ18に印加される方法を制御することを通して取られる。このことは、例えば電圧制御アルゴリズムの適用を通して空気ポンプに電圧を印加する方法を通して達成され得る。本明細書で使用される電圧制御アルゴリズムは、絶対圧力センサから受け取られた圧力センサ測定値に応答して1つまたは複数のランプ電圧(165、170)を使用して空気ポンプ18に電圧を印加100または印加停止110することにより空気ポンプを動作させる、装置の処理要素に格納された1組の規則である。本発明の一実施形態では、正常な空気ポンプ動作に関連付けられた1つまたは複数の電圧制御アルゴリズムおよびランプ電圧が存在し得る。
【0063】
制御システムの制御アルゴリズムおよび動作の1事例では、空気ポンプを起動および停止するための(それぞれ、チャンバ内の空気流を増加または減少させるために)信号を制御器が送ると、適切な開始または停止のランプ電圧が適用される。本明細書で使用されるランプ電圧および適切なランプ電圧は、空気ポンプから発せられる可聴性音響を最少化または排除し、ユーザを刺激し得る圧力変化を最少化または排除し、バッテリー効率を最大化し得るよう空気ポンプを動作させ得る直線状または非直線状の様式のいずれかにおける空気ポンプに印加される電圧における増加または減少により定義される。可能なランプ電圧の例が図4および図5で見られ得る。これらの図面では、増加するランプ電圧165および減少するランプ電圧170は治療圧力電圧130またはブースト圧力電圧125に到達するために直線状または非直線状である。ランプ電圧は対称的(増加するランプ電圧図5、165)が減少するランプ電圧図5、170)の正確に逆である)であってもよく、または非対称的(増加するランプ電圧165が減少するランプ電圧図6、170)と異なる)であってもよい。
【0064】
電圧は、ランプ電圧165を介して印加され、結果、チャンバ内の絶対圧力の値に応じてブースト電圧125または治療電圧130が到達される。制御システムの様々な実施形態では、ブースト電圧125は通常、ユーザと治療装置との間の密閉を達成または再達成する一方で装置のおおよその標的治療圧力に迅速に到達するために、装置のスタートアップ時に、または、圧力をブースト圧力閾値180より低い値に低下させる空気漏出の開始時に、印加される。正確なおおよその治療圧力が達成される(図6、175)と、制御システムは、ブースト電圧125が印加された場合では、チャンバ内の圧力が治療圧力上限150を超過するまで、電圧を治療電圧130に低下させ、および/または、治療電圧を維持するであろう。おおよその治療圧力上限150が到達されるかまたは超過されると、制御システムは、治療圧力下限155が絶対圧力センサを介して検出されるまで、減少するランプ電圧170を介して、印加される圧力を、ブースト電圧から治療電圧までまたは治療電圧から約0ボルトまで、低下させるであろう。治療圧力下限155が検出されたとき、電圧は、増加するランプ電圧を介して、ポンプに再印加され、このプロセスは、おおよそ上記の手法で、継続およびサイクルする。本明細書で使用される約0ボルトは、制御システムを用いて空気ポンプに印加することが可能な最低の可能な電圧(特定の事例では電圧は0である)を指し、または、最低の可能な電圧は、制御システム回路のパラメータにより、および、電源/バッテリーの放電により、命令される。約0ボルトはポンプにより空気流を排除するか、またはポンプの空気流を無視可能な値に低減させる。
【0065】
任意の負圧源が使用され得るが、好適な実施形態では圧電振動ポンプが用いられる。約500Hzを越える周波数で動作する内部ポンプ圧送運動を有する圧電振動ポンプは、大きい電圧変化が印加されたときにユーザにより聞かれるかまたは感じられることが可能である(通常は約20dBAを越える)望ましくない音響フットプリント(雑音)を示し得る。例えば、迅速に印加される電圧変化を用いて約14ボルトのポンプ治療電圧を印加することにより約1~5秒毎に圧電振動ポンプを作動させ約500Hzを越える周波数で動作させると、インパルスは、睡眠を乱し得るクリック音に類似した望ましくない可聴性雑音を発生させ得る。したがってポンプの起動および停止に起因するインパルスに対する音響応答を識別不能なレベルにまで軽減するために、電圧は、したがってポンプの流速プロファイルは、一定時間にわたりポンプに供給される電圧増加/減少を、特にランプ電圧の使用を通して、成形することにより、制御される。約10ミリ秒~約100ミリ秒にわたり電圧を増加させると、これらの可聴性クリック音は軽減され得る。本明細書で使用されるランプ電圧は、一定時間にわたりポンプに印加される電圧における曲線状または直線状の増加または減少であり得る。曲線状のランプ電圧は、それぞれ電圧における初期の増加または減少が低速であり、その後、電圧における急速な増加または減少が続き、その後、最終的な低速の増加または減少が続く場合、シグモイド型として観測され得る。
【0066】
特定的な実施形態では、標的電圧が到達されたとき、制御システムは、減少するランプ電圧が印加されるべきであることが圧力パラメータにより示されるまで、おおよそ一定の値(例えば約24ボルトのブースト電圧、または約14ボルトの治療電圧)に電圧を維持し得る。例えば、制御システムは、上方圧力閾値に到達することに応答して減少するランプ電圧を印加する前に10ミリ秒にわたり14ボルトの定常電圧を維持し得る。さらなる実施形態では、印加される電圧は、標的治療電圧の周りで、より高い電圧からより低い電圧へと、またはより低い電圧からより高い電圧へと(電圧変調)、適切なランプ電圧を使用して迅速にサイクルし得る。例えば14ボルトの平均電圧は、電圧を約8ボルト~約18ボルトで増加および減少させることを介して達成可能である。これらの種類の電圧変調は、治療装置のバッテリー寿命を延長するためにより効果的な最大印加電圧で動作する一方で、より穏やかなポンプ圧送動作を提供し、したがって低い圧力変化効果を達成する、定常電圧を印加した場合と同様のチャンバを通る空気流を達成し得る。
【0067】
本発明の特定の実施形態では、約200cc~約300ccのおおよその容積を有するチャンバは、約100ボルト/秒~約1000ボルト/秒を使用するランプ電圧、約200ボルト/秒~約800ボルト/秒のランプ電圧、およびより好適な実施形態では、おおよそ400ボルト/秒を使用するランプ電圧が使用される。さらに通常の傾斜時間は、おおよそ5ミリ秒~約500ミリ秒の範囲であり得、約10ミリ秒~約250ミリ秒、およびより好適な実施形態では約15ミリ秒~20ミリ秒が、それぞれ使用される。ランプ電圧は効果的な治療電圧を達成するために利用される。例えば、空気ポンプが初期スタートアプから作動されたとき、装置が標的治療エリア上に配置されて起動されたとき(その際、チャンバ内に負圧が存在しない)、または、処理要素が、ブースト圧力閾値(おおよそ15hPaより低い)図6、180まで漸進的減衰157を経過して負圧下限閾値(おおよそ28hPaより低い)図7、155を下回るチャンバ圧力における低下を示す絶対圧力センサからの入力を、または閾値事象図13、127を示す加速度計からの信号を、受け取ったとき。制御ユニットは、約2ボルト~約10ボルトの範囲の、好適には約5ボルト~7ボルトの範囲の、初期電圧を印加するよう信号で伝える。次に電圧は、チャンバ内の圧力に応じて、通常の傾斜路時間が約5~500ミリ秒の範囲、10~25ミリ秒の範囲、より好適には約15~20ミリ秒である状態で、約100~1000ボルト/秒の範囲の、好適には約400ボルト/秒の速度で、おおよそ14ボルトの治療電圧まで、またはおおよそ24ボルトのブースト電圧まで、増加を継続する。圧力は約25Hz以上の速度でサンプリングされる。ブースト電圧は、圧力表示値が治療圧力範囲内のチャンバ内の負圧を示すときまでのみ、維持される。これらの値は、チャンバのサイズ、圧力サンプリングの速度、空気ポンプのスピードならびにサイズ、その他に応じて、拡大または縮小され得る。
【0068】
制御システムのさらなる事例では、負圧を、おおよその標的治療圧力範囲(図7図13、175)内に維持するために使用される治療電圧は、空気ポンプの使用時におけるより穏やかでより小さい知覚可能な動作を可能にする一方で、圧力上限150の過剰な行き過ぎが最少化されるよう、選択される。図7および図13では、ポンプは、スタートアプ時に作動する。ここで電圧は24Vブースト電圧125まで上昇する(図5図6、165))。チャンバ真空が閾値ブースト圧力180に到達したとき、電圧は、おおよそ14Vの通常の作動電圧(図7図13、130)まで下降し(図5図6、170)、圧力上限150の限界が到達されるまで、この電圧に保持される。この時、電圧はゼロに降下する(図5図6、170)。これらの上昇および下降のランプ電圧は、患者の知覚性をさらに軽減するために調整され得、対称的であっても、またはなくてもよく、直線状または非直線状であってもよい。
【0069】
装置の様々な実施形態では、チャンバは、快適性、冷却、その他のためにチャンバを通過する空気流を提供する1つまたは複数の通気アパーチャを含む。したがって、制御システムは、標的圧力と一致するおおよそ一定の圧力を維持するために通気に対して逆の空気流を作るよう、空気ポンプを動作させなければならない。そのため、作動中、設計された空気流を含む装置は、駆動電圧が14Vから0Vにおよび0Vから14Vにサイクルする際に、圧力上限150と圧力下限155との間でサイクルする。通常動作における装置の一実施形態では、空気ポンプは、数百ミリ秒にわたり作動し(100)、数秒にわたり停止する(110、115)(図4)。これらのパラメータは、絶対圧力センサのサンプリング速度に、および/またはランプ電圧のon/offプロファイルに、基づいて変動し得る。空気ポンプ動作の1例が、オシロスコープ出力表示値を示す図9において見られ得る。
【0070】
おおよそ一定の圧力は、制御システムがチャンバの内部および外部の圧力をサンプリングし、チャンバ内の絶対圧力を判定することにより達成される。絶対圧力が標的圧力を下回る(すなわち、負圧が不十分である)場合、制御システムは、空気ポンプに電圧を印加し、チャンバ内の絶対圧力が標的圧力を越える(すなわち負圧が過剰である)場合、制御システムは、絶対圧力がおおよその標的圧力範囲内であるかまたは当該範囲を下回ることをサンプリングサイクルが決定するまで、空気ポンプに電圧を印加しないであろう。
【0071】
例えば、治療レベルの負圧を開始して確立した後、チャンバ内の標的負圧が、許容範囲が約+/-2hPaであり、通気流速がおおよそ30cc/分である状態で、おおよそ30hPaである場合、空気ポンプは、おおよそ一定の圧力を維持するためには、毎分30ccの空気を移動させなければならない。チャンバ内の絶対圧力が標的圧力を下回る状況では、制御システムは、チャンバ内の絶対圧力がポンプを通る空気流により標的圧力をどの程度まで越えて増加するかに応じて異なる電圧を印加し得る。例えば、動作電圧より高い電圧を印加するとより高い空気流が発生し、チャンバ圧力が標的圧力からより大きく離れることとなる。制御システムの様々な実施形態では、空気ポンプに印加される電圧は、チャンバの絶対圧力が標的圧力からとれだけ低下するかに応じて、変動し得る。
【0072】
追加的な事例において、図8では、負圧上限閾値150、負圧下限閾値155、および、様々な時間点を含む制御システムの動作状態の1組に対する代表的なサイクルが示されている。なお、これらの時間点では、ポンプが作動され(a)、動作圧力が到達され(e)、標的圧力を越える圧力か観察され(f)、ポンプ停止信号が送られ(g)、ポンプ供給電圧がゼロに戻る(k)。この図面では、時間点「a」から「n」まで、おおよそ88~90ミリ秒のサイクルが示されている。圧力は、約40ミリ秒毎にサンプリングを実施する(b、f、およびm)圧力センサに応答して、約28ミリ秒後(時間点e)最大流を達成する。サイクルは圧力が同時にサンプリングされる時間点「a/b」においてポンプ「起動」コマンドでスタートする。ポンプランプ電圧プロセスは、約10~80マイクロ秒内の時間点「c」に応答する。ランプ電圧プロセスは、時間点「d」において約5ボルトの供給電圧で開始し、時間点「d」から「e」までのおおよそ約18ミリ秒で約14ボルトまで上昇する。時間点「e」から「h」までポンプは、治療流電圧において設定された流速にある。時間点「f/g」において、圧力センサが標的圧力範囲を越える圧力を検出し、制御システムはポンプを「停止」させるよう動作する。ポンプは、ポンプのサンプリングおよび周波数調整のために、およそ追加的な20ミリ秒間、時間点「h」まで継続し得、時間点「h」から「j」まで下方に傾斜する。ポンプ圧送および電源までの時間点jにおいて、ポンプは、ポンプ振動または他の動作減衰の間、およそ追加的な2ミリ秒間、「停止」される。時間点「m」において圧力サンプリングは、通気空気流に起因する圧力の損失を記録するであろう。一方、ポンプは、チャンバの圧力が標的圧力範囲内となるかまたは標的圧力範囲を下回るまで、サイクルを復帰させない。負圧下限閾値155がサンプリングされたとき、ポンプ起動コマンドが起動し、サイクルは反復するであろう。
【0073】
制御システムの追加的な事例において、図9には、不連続的ポンプを使用した場合の一定時間にわたる負圧における変動を示すオシロスコープ表示が示されている。ここでは、電圧が空気ポンプ18に印加されて、負圧がおおよその負圧上限閾値150まで増加する。負圧上限閾値150が検出されたとき電圧はポンプに対して供給停止され(110)、負圧下限閾値155が検出されるまで、圧力は次第に減少する。負圧下限閾値155が検出されると電圧は、負圧上限閾値150が検出されるまで、空気ポンプ18に再印加される。不連続的ポンプサイクルが継続する。本発明の特定的な事例では、負圧上限閾値150に加えて、最大負圧閾値152が、一方または両方が事前決定された時間的期間(すなわちタイムアウト期間)にわたり超過された場合(図4、145)、制御システムが、適切な動作パラメータが維持可能となるまで、空気ポンプ18に対する電圧を停止するよう、設計され得る。
【0074】
空気ポンプが起動し、通電状態に維持され、それにより過剰な負圧が作られることは、望ましくない。したがって装置の特定的な態様では、負圧の装置上限が設定される。負圧上限150および最大上方負圧限界152が事前決定された時間的期間を越えて超過されると、圧力制御システムによって空気ポンプへの電圧が遮断され、空気ポンプが無効化される。さらに、負圧が確立不可能であると空気ポンプが通電状態に留まることは望ましくない。したがって装置の特定的な態様では、ブースト電圧の上限時間が、事前決定された時間的間(タイムアウト期間、図4、145)を越えて超過された場合、圧力制御システムが空気ポンプから電圧を切断し(110)、空気ポンプが無効化されるよう、設定され得る。本発明の様々な実施形態では、ブースト電圧180がおおよそ1分にわたり超過することが見出された場合、制御システムは空気ポンプから電圧を取り除くであろう(図3、145、110)。
【0075】
装置の特定的な実施形態では、装置内の圧力データにおける変化に基づいて流れを作ることに迅速に応答する能力を有する空気ポンプは、第1圧力制御システムから独立的に動作可能な安全性回路として機能する冗長なバックアップシステムを要求し得る。したがって、装置の特定的な態様では、2つ以上の処理要素が存在し、各処理要素は、一意的な組の内部および外部の絶対出力気圧計およびセンサに接続される。圧力制御システム要素として動作する第1処理要素11は、ポンプへのランプ電圧を印加または除去することにより、装置内の圧力を監視および制御するよう動作する。第2処理要素12は、第1圧力制御システムに対して独立的なデータを提供するよう動作する独立的な監視および安全性回路と、電圧を除去し(すなわち切り替え機構、図2および図3、17)、制御限界外の特定の圧力および時間プロファイルが観察されたときにポンプを無効化する、独立的手段と、を提供する。
【0076】
したがって本発明の制御システムは、少なくとも、チャンバの内部22に配置されチャンバ内部の絶対圧力を監視する第1デジタル出力気圧センサ13と、チャンバの外部21に配置されチャンバ外部の絶対圧力を監視する第2デジタル出力気圧センサ14と、を含む第1処理要素11を含み得る。第1制御システムの処理要素11はポンプのみを制御するよう動作する。ここで第1ポンプ制御システムは、空気ポンプの電子機器に通電するために高電圧の供給を作り、処理要素は、チャンバ要素内における治療レベルの負圧を維持するために空気ポンプの空気流を調節するためのプロファイルを有する不揮発性メモリを含む。本発明の制御システムは、少なくとも、チャンバ要素22内に配置されチャンバ要素内の絶対圧力を監視する第3デジタル出力絶対気圧センサ15と、所望により、チャンバの外部21に配置された第4デジタル出力気圧センサ16と、含む第2処理要素12も含み得る。しかし第2処理要素12はチャンバ外部の圧力に対しては第1処理要素11からの第2デジタル出力絶対気圧センサ14を利用し得る。本発明の事例では、2つの真に独立的な制御システムを維持するために、第4デジタル出力絶対気圧センサ16は好適には、チャンバ外部に配置され、チャンバ外部の絶対圧力を監視する。第3デジタル出力絶対気圧センサ15および第4デジタル出力絶対気圧センサ16は、第2処理要素12に対して、チャンバ内の絶対圧力のみを監視するよう動作し、第1処理要素11と第2処理要素12との間の絶対圧力値に齟齬が生じたときに第2処理要素12が空気ポンプ18への電力を遮断するよう構成され得るよう、安全システムとして動作するよう、機能する。
【0077】
本発明のさらなる実施形態では、デジタル出力絶対気圧センサは一体化された温度修正センサを含み得る。第1処理要素11が、動作可能に接続されたセンサから受け取られたデータに基づいて空気ポンプ要素18を監視、調整、および制御するよう動作し、第2処理要素12が冗長な監視および安全性回路として動作する場合と同様に、動作可能に接続されたデジタル出力絶対気圧センサは、温度修正センサと一体化されたとき、第1処理要素11からの温度と第2処理要素12からの温度との間に齟齬が観察されるか、または、安全性リスクとみなされ得、および/または、患者の不快感の源とみなされ得る、任意の設定温度において、装置を停止するためにも使用され得る。システム(単数または複数)は、許容可能な温度範囲が再確立されるか、またはサービスが完了されるまで動作不能である状態が維持されたとき、再スタートするようプログラムされ得る。
【0078】
特定的な実施形態では、第1処理要素は、印加された最大電圧を除去するよう信号を発する前に最大で約5秒間で約40hPa(圧力上限150)の負圧差のみを許容する流速プロファイルをその不揮発性メモリ内に含み得、第2処理要素は、空気ポンプ18への電源を遮断する前に最大で約5秒間で約45hPa(最大圧力上限、図9、152)の負圧差のみを許容する流速プロファイルをその不揮発性メモリ内に含み得る。これらの事例は、限定的であることを意図するものではない。なぜなら当業者は、より高速な空気ポンプがより高いサンプリング速度を要求し、より低速な空気ポンプがより低いサンプリング速度を要求することを認識するであろうためである。さらに、より低い容積のチャンバは、迅速のチャンバ排出に対して対処および期待するために、望ましい圧力範囲を超過することを回避するために、より低速のポンプおよび/またはより高いサンプリング速度を要求するであろう。
【0079】
特に、本明細書で記載の治療装置は、上気道閉塞を緩和するための外的な治療器具に関するが、これらに限定されない。すべての表、図面、および請求項を含むその全体が参照することにより本願に援用される米国特許出願整理番号第12/002,515号、米国特許出願整理番号第12/993,311号、および米国特許出願整理番号第13/881,836号は、気道閉塞を緩和するための治療器具について説明する。個人の上気道の開放性の向上は、鼾、睡眠時無呼吸、完全または部分的な上気道虚脱などの症状を緩和する。本明細書で記載したように、装置は、ユーザの顎の下方で頚部の上部呼吸経路に重なる軟組織に対応する外部箇所において嵌まるよう構成される。
【0080】
特許出願の目的のために、「約」という用語は所与の値の+/-10%を指す。
【0081】
空気ポンプ源を収容するための密閉可能なアパーチャおよびチャンバ要素を通過する空気流を作るためのアパーチャを有するチャンバ要素と、標的治療エリアの接触表面のおおよその形状における密閉表面と、を含むがこれらに限定されない、本発明の圧力制御システムは、負圧療法において使用され得る。いくつかの実施形態では、密閉表面は、クッション要素の形状であり得、ユーザに対してリリース可能に接着し、かつユーザに対する装置の密閉を支援する、追加的な接着促進剤を含み得る。
【0082】
チャンバ要素は、ユーザと密閉表面との間の全接触点にわたって等しい接触圧力を印加するよう設計された内部骨格構造により機械的に支持される、可撓性ドームの形状、または、可撓性膜の形状であり得る。2016年1月20日に出願され、「Device and Method for Opening an Airway」を発明の名称とし、参照することにより本願に援用される、米国仮特許出願第62/281,063号では、接触圧力のバランスのためのフランジおよびチャンバの特性における変動を含む可撓性ドームについて論じられている。さらに、2016年3月8日に出願され、「Device and Method for Opening an Airway」を発明の名称とし、参照することにより本願に援用される、米国仮特許出願第62/305,494号では、空気流のためのアパーチャ、および負圧を提供するための空気ポンプ、および治療部位における負圧の印加ならびに接触圧力のバランスのための密閉表面を有するドームの形状における機械的に支持された可撓性膜について論じられている。
【0083】
特定的な実施形態では、密封要素は、クッション表面を提供するために流体的に密閉されたチャンバに収容された空気層および発泡層を含む一連の層を含むクッション要素であり得る。フランジの内側表面は可撓性膜要素と接触し、クッション要素の外側表面はユーザの皮膚と接触する。2015年11月25日に出願され、「Chamber Cushion, Seal and Use Thereof」を発明の名称とし、参照することにより本願に援用される、米国仮特許出願第62/260,211号では、係るクッション性の密封要素について論じられている。
【0084】
密閉表面のクッション要素は、可撓性および均一な領域追随性を可能にする領域特性を有するよう適応される。本明細書で使用される「均一な領域追随性」は、クッション要素がクッション要素自体を、装着者に対して、接触表面上の表面および/または表面変動性に「成型」させる、クッション要素の特性を指す。本明細書で後に説明されるように、この均一な領域追随性は、部分的には、クッション要素上の領域に関連付けられた領域特性または特徴により提供される。
【0085】
クッション要素は、流体密閉チャンバと、流体密閉チャンバ内に収容された発泡層および/または半硬質リボン層と、を含む。「流体密閉」という用語は、チャンバが、チャンバの通常使用に対して要求される時間的期間に対してチャンバ内に含まれた流体を保持することを指す。例えばラテックス製風船は、風船の通常使用が6時間であるならば、一定時間の経過後にヘリウムが最終的には風船から漏出し得る事実にも関わらず、および風船が異常な状況下では破裂しうる事実にも関わらず、ヘリウムに対して「流体密閉」性を示す。
【0086】
所望により、接着層がユーザと接触する密閉要素の表面上に配置される。接着層の配置は、装着者に対する密閉およびクッション性を向上させるのみならず、装着者上での装置の移動を低減することを目的とするものである。これらの要素は、圧力変動が個人の皮膚に沿って患者に対する治療装置の全接触点にわたって最小となる状態で、およそ均一な接触圧力を維持するよう構成される。「最少化された圧力変動」は、密閉要素の接触表面と患者の組織と間の任意の地点における圧力が、接触表面の全域にわたり、平均圧力からわずか約20%だけ、および好適にはわずか約10%または約5%だけ、変動することを意味する。本明細書で使用される外側接触表面は、個人の皮膚と接触し、それにより治療装置の接触・密閉表面が形成されることとなる、治療装置の密閉要素の表面である。
【0087】
特定的な実施形態では、本発明の密閉要素は、頚部の前頸三角におおよそ対応する頚部の外部エリアにおける個人上の連続的接触表面に対して形状一致するよう構成された、負圧治療装置の接触境界面を提供する。解剖学的位置に「おおよそ対応する」という用語は、実際の箇所、形状、またはサイズに対して密に接触するが、おそらく必ずしも完全、精密、または正確に接触するとは限らないことを指す。
【0088】
より好適には、密閉要素は、個人に対して、おおよそ、個人の下顎体の一方の側部上に第1顎角点に対応する第1場所から、個人のオトガイ隆起に対応する第2場所まで、個人の下顎体の他方の側部上の第2顎角点に対応する第3場所および個人の甲状軟骨に対応する第4場所まで、おおよそ形状一致するよう設計され、第1顎角点に対応するおおよその第1場所まで戻るようさらに構成された治療装置の輪郭に従うよう構成される。
【0089】
本明細書で使用される顎角点は、下顎角における個人上の下あごの各側部上のおおよその場所を説明する。本明細書で使用される下顎隆起は、その中心が凹陥され得るがその両側が隆起して、オトガイ結節が形成される、顎のおおよその場所を説明する。本明細書で使用される甲状軟骨は、ヒトの喉頭の大きい軟骨のおおよその場所を説明する。
【0090】
本明細書で説明されるように本発明の密閉要素は、治療装置のチャンバ要素と個人の接触表面との間の境界面を形成する。本発明の可撓性膜チャンバ要素は、治療装置のドーム/チャンバを形成する。これらの要素は、解剖学的変形、組織変形、固有の治療装置設計、および/または使用時の運動の結果として接触圧力変動が発生し得る箇所において最少化された圧力変動を提供する構造的特徴を含む。それにより密封要素および可撓性膜チャンバ要素は、ピーク接触圧力値を最少化するための、箇所ごとの分散を最少化するための、および、効果的な密閉が提供されるよう治療レベルの負圧が印加されたときに治療装置の接触圧力を均等化するための、特徴を治療装置に提供する。
【0091】
この文脈で使用される「密閉」という用語は、治療装置と個人の接触表面との間に完璧な密閉が形成されることを必ずしも含意しない。むしろ「密閉」とは、装置の部分が装着者に対して結合し、治療レベルの真空が維持されることである。密閉部における特定量の漏出は、望ましい負圧が達成および維持可能である限り、許容され得る。好適な動作真空レベルは約7.6hPa~約61hPaの範囲内である。上気道を開くことを支援するためにユーザの頚部組織に印加される好適な力は、約0.5キログラム~約6.68キログラムの範囲内である。本明細書で任意の値に対して使用される「約」および「おおよそ」という用語は記載値の+/-10%を指す。
【0092】
チャンバにより封入された負圧治療装置のドームは、望ましい不完全真空を供給するために排出されなければならない有限体積を提供する。ひとたび発生されると不完全真空は、密閉部を、および/または、空気流を提供するためにドームに組み込まれた特徴物を、通過するチャンバへの空気の漏出により主に制御される速度で減衰するであろう。特定的な実施形態では、チャンバ密閉は約8cc~約200ccの範囲の容積を封入する。好適には漏出はわずか約0.008cc/分~約8cc/分の範囲内、およびもっとも好適には約0.1cc/分~約1.6cc/分の範囲内である。
【0093】
治療装置は1つまたは複数の通気要素を含み得る。本明細書で使用される通気要素は、チャンバが個人に対して結合され治療レベルの負圧がチャンバ内に印加されたときにチャンバへの空気流を提供する、治療装置を通るアパーチャである。アパーチャ(単数または複数)は装置上の任意の好適な場所にあり得るが、いくつかの実施形態では、アパーチャ(単数または複数)は、チャンバの上部に(この場合、アパーチャ(単数または複数)は、デブリおよび/またはチャンバへの組織侵入の結果として生じる閉塞の影響を受けにくい)、および、チャンバの内部の全体を通してより全体的に空気流が導入される個人の1つまたは3つの場所の近位に、配置される。通気要素(単数または複数)は、単に、チャンバが個人に結合され、治療レベルの負圧が印加されたとき約30ml/分~約100ml/分の範囲の空気流が達成されるようなアパーチャであってもよく、または、チャンバが個人に結合され、治療レベルの負圧が印加されたとき約30ml/分~約100ml/分の範囲の空気流が達成されるようなフィルタ処理された空気流が作られるようフィルタ要素が挿入可能であるアパーチャであってもよい。フィルタ要素は、交換可能な要素であり得、チャンバが個人に結合され、治療レベルの負圧が印加されたとき、約30mL/分~約100mL/分の範囲の空気流が達成されるよう、約0.25μm~約1.0μm以下の範囲の細孔サイズを含み得る。特定的な実施形態では、空気流は約30mL/分~約50mL/分の範囲内である。
【0094】
本発明は、装置の局所的な底打ち/領域的な崩壊が負荷時に生じないよう、充分な、領域的および全体的の両方の、治療装置の追随を提供する。本明細書で使用される装置の「領域追随性」は、装置の個々の箇所が、当該箇所において完全に圧縮することなく、治療レベルの真空を収容する能力を指す。本明細書で使用される装置の「全体的追随性」は、装置が、装置が完全に圧縮することなく、治療レベルの真空を収容する能力を指す。さらに、本明細書で使用される底打ちまたは「領域的崩壊」は、さらなる圧縮に対する抵抗がもはや不可能となる装置の完全または略完全な圧縮をとして定義される。その結果として、重い負荷の下における装置の可撓性部分により支持構造(単数または複数)の硬化が生じ、装着者による快適性の喪失がもたらされる。
【0095】
密閉要素およびチャンバ要素は、治療レベルの負圧が印加されたときに装着者の皮膚に対して均一の接触圧力を作るよう設計される。密閉要素は、好適には、望ましい接触圧力特性を達成するための垂直幅(広さおよび狭さ)および厚さを有する。垂直幅成分は、密閉要素の外側縁部の先端部から根底部を経過して密閉要素の内側縁部の先端部までの密閉部の幅全体である。密封要素の幅は、楕円形の形状を有するチャンバを含み、さらに、おおよそ上気道に対応する患者の頚部上の係合表面を収容するための中央湾曲を含み、負圧治療装置の一定の接触圧力を維持する、治療装置の不均一な形状に起因する箇所負荷変動を吸収するために、密閉要素の接触エリアの周辺軸に沿って変動し得る。
【0096】
本明細書で使用される「接触圧力」という用語は、装置の接触表面により皮膚の表面に対して加えられる圧力を指す。接触圧力の値は、接触表面の垂直幅および表面積などのフランジの構造的特性のみならず、存在する真空に依存し得、フランジ上の異なる位置において変動し得る。
【0097】
本明細書で使用される「バランス」という用語は、接触表面全体にわたり治療装置の接触圧力が略等しいことを指す。接触圧力は、治療装置の接触面積に対する治療真空レベルに比例する。例えば、比較において、同一の治療真空レベルの下では、より大きい接触面積とより小さい接触面積とでは、それぞれ治療装置のより低い接触圧力を提供するであろう。本発明の一実施形態では、治療エリアに対するフランジの接触面積は、真空レベルのおおよそ0.9~おおよそ1.5倍の範囲の接触圧力を提供し、好適な実施形態では、フランジ要素の接触圧力は治療真空レベルよりおおよそ1.2倍大きい。
【0098】
チャンバは、チャンバ要素内における治療レベルの負圧を生成するために、空気ポンプに対して動作可能に接続される。空気ポンプは、治療レベルの負圧を生成するための任意の好適な種類であり得、例えば、手動圧搾球状体、回転ポンプ、ローブポンプ、振動ポンプ、その他を含み得る、容積移送式ポンプ、脈動ポンプ、速度ポンプ、その他であり得る。特定的な実施形態では、空気ポンプは、振動ポンプ圧送動作が500Hzを越える周波数で動作する振動ポンプ圧送動作を提供するよう構成された圧電性物質を含む。
【0099】
空気ポンプは、ホースまたはチューブを介してチャンバに接続された別個の構成要素であってもよく、またはチャンバに一体化されるよう構成されてもよい。空気ポンプは、任意の好適な様式でチャンバ要素に接続され得る。例えば空気ポンプは、チャンバ要素の外側に外的に配置され、ホースまたはチューブを介して接続されてもよく(例えば固定型の臨床用ポンプ)、またはチャンバに一体化され、バッテリー駆動式で、患者により装着されてもよい。特定的な装着可能な態様では、空気ポンプはチャンバに一体化されるよう構成される。例えば、空気ポンプは、チャンバ上の密閉可能アパーチャに挿入されるよう構成され得、空気ポンプがアパーチャを通って緊密に嵌まり、密閉が形成される。本明細書で使用される密閉可能アパーチャは、装置の他の要素が気密性または水密性の密閉を作る状態で、一方の側か他方の側から閉止および密閉され得る装置の要素を通り抜ける開口部である。
【0100】
本明細書で使用される「ユーザコンプライアンス」は、患者が治療装置の定められた使用法を遵守すること(例えば睡眠サイクルの全体を通して装置の使用法を遵守すること)である。本明細書で使用される「装置追随性」は、装置または装置の要素が、患者の解剖学的変動を含む変動(例えば、装置の適用および使用に応答して装置に湾曲、ねじり、圧縮、および/または拡張すること)を吸収する能力を指す。
【0101】
装置の様々な側面は全般に剛性の物質から作られ得る。本明細書で使用される「全般に剛性」という用語は、対象となる特定の要素の完全性を維持するために充分な剛性を示す物質を指す。当業者は、熱可塑性物質、いくつかの熱硬化性物質、およびエラストマーを含む多数のポリマーが使用され得ることを理解するであろう。熱可塑性物質は、加熱されると流動性の液体となり、冷却されると固定となり、機械的特性を喪失することなく複数の加熱/冷却サイクルを経験する能力を多くの場合有する。熱硬化性物質は、反応すると不可逆的に固体ポリマー網状組織へと硬化するプレポリマーから作られる。エラストマーは、弾性特性および粘性特性の両方を示す粘弾性物質であり、熱可塑性または熱硬化性のいずれかを示し得る。一般的な熱可塑性物質は、PMMA、環状オレフィンコポリマー、エチレンビニルアセテート、ポリアクリレート、ポリアリールエーテルケトン、ポリブタジエン、ポリカルボナート、ポリエステル、ポリエーテルイミド、ポリスルホン、ナイロン、ポリエチレン、およびポリスチレンを含む。一般的な熱硬化性物質はポリエステル、ポリウレタン、デュロプラスト、エポキシ樹脂、およびポリイミドを含む。これらの一覧は限定的であることを意図するものではない。タルクおよび炭素繊維などの機能的な充填材物質が、剛性、作業温度、および部品収縮を改善する目的のために含まれ得る。
【0102】
装置の様々な側面は、射出成形、機械加工、エッチング、3D印刷、その他を含むがこれらに限定されない、当業者に周知であるいくつかの方法を使用して形成され得る。好適な実施形態では、試験装置基部は射出成形される。射出成形は、熱可塑性物質および熱硬化性物質を、複雑な形状の成型された製品へと、高い生産速度で、良好な寸法精度をもって形成するための処理である。この処理は通常、計量された加熱および可塑化された物質を高圧下で比較的低温の型枠に注入することを含み、型枠内でプラスチック物質が凝固する。樹脂ペレットが高圧下で加熱されたネジおよびバレルを通して供給される。液化された物質はランナーシステムを通って型枠に移動する。型枠のキャビティが製品の外部形状を決定し、その一方で、コア部が内部を成形する。物質が冷却キャビティに進入すると、再可塑化され、固体状態および仕上げ済み部品の構成に戻る。次に機械が仕上げ済み部品または製品を放出する。
【0103】
以下は本発明の例示的な実施形態である。
【0104】
実施形態1
個人の外部表面に対する負圧の印加を制御するための圧力制御システムであって、
個人の外部表面に重なるチャンバを画成するよう、かつ、治療レベルの負圧がチャンバ要素内に印加されたときに、個人の外部表面に対して力を印加するよう構成された、チャンバ要素と、
(i)チャンバ要素内の負圧に曝露される第1表面を、ならびに、チャンバ要素外部の大気圧に曝露される第2表面を、有する1つまたは複数の回路基板、
(ii)第1表面上に配置され、かつ、チャンバ要素内の絶対圧力を示す第1時間依存波形を生成するよう構成された、第1絶対出力気圧計、
(iii)第2表面上に配置され、かつ、チャンバ要素外部の絶対大気圧を示す第2時間依存波形を生成するよう構成された、第2絶対出力気圧計、
(iv)第1絶対出力気圧計および第2絶対出力気圧計に対して動作可能に接続され、かつ、第1時間依存波形および第2時間依存波形を受け取り、そこから、チャンバ要素外部の絶対大気圧に対して相対的なチャンバ要素内における負圧に関する時間依存値を計算するよう構成された、第1処理要素、および
(v)チャンバ要素内に印加されるべき治療レベルの負圧に対する事前決定範囲を格納する第1メモリ要素
を含む制御モジュールと、
チャンバ要素内における治療レベルの負圧を生成するためにチャンバに対して動作可能に接続された空気ポンプと
を含み、
空気ポンプは制御モジュールに対して動作可能に接続され、空気ポンプの流速は、チャンバ要素内における負圧に関する時間依存値に基づいてチャンバ要素内における治療レベルの負圧を事前決定範囲内に維持するよう、制御モジュールにより調節される、
圧力制御システム。
【0105】
実施形態2
事前決定範囲は最大値、最小値、よび中間値を含み、最大値および最小値はそれぞれ中間値の約+/-2hPaである、実施形態1に記載の圧力制御システム。
【0106】
実施形態3
中間値は約10hPa~約60hPaの範囲内である、実施形態2に記載の圧力制御システム。
【0107】
実施形態4
中間値は約25hPa~約35hPaの範囲内である、実施形態2に記載の圧力制御システム。
【0108】
実施形態5
中間値は約30hPaである、実施形態3に記載の圧力制御システム。
【0109】
実施形態6
第1不揮発性メモリは、チャンバ要素内における治療レベルの負圧を事前決定範囲内に維持するために空気ポンプの流速を調節するための第1プロファイルをさらに格納し、第1プロファイルは、最小値が到達されたときに空気ポンプに通電し、最大値が到達されたときに空気ポンプを停止するよう構成される、実施形態2~実施形態6のうちのいずれか1項に記載の圧力制御システム。
【0110】
実施形態7
第1プロファイルは、最小値が到達されたときに、空気ポンプにランプ電圧を印加し、それにより、空気ポンプの流速がランプ電圧に比例して増加することにより、空気ポンプに通電するよう構成される、実施形態6に記載の圧力制御システム。
【0111】
実施形態8
ランプ電圧は直線状である、実施形態7に記載の圧力制御システム。
【0112】
実施形態9
ランプ電圧は直線状でない、実施形態7に記載の圧力制御システム。
【0113】
実施形態10
チャンバ要素は、事前決定レベルの空気流をチャンバ要素に提供するよう構成された1つまたは複数の空気排出口を含む、実施形態1~実施形態9のうちのいずれか1項に記載の圧力制御システム。
【0114】
実施形態11
第1不揮発性メモリは、チャンバ要素内における負圧に関する時間依存値がチャンバ要素外部の絶対大気圧に等しくなったときチャンバ要素内における治療レベルの負圧に到達するために空気ポンプの流速を調節するための第2プロファイルをさらに格納し、第2プロファイルは、最初は空気ポンプに通電して最大流量を生成させ、チャンバ要素内における負圧に関する時間依存値が治療レベルの負圧に近づくにつれて流速を低速化するよう、構成される、実施形態2~実施形態10のうちのいずれか1項に記載の圧力制御システム。
【0115】
実施形態12
第1処理要素および第1メモリ要素は回路基板上に配置される、実施形態1~実施形態11のうちのいずれか1項に記載の圧力制御システム。
【0116】
実施形態13
(vi)チャンバ要素内の絶対圧力を示す第3時間依存波形を生成するよう構成された第3絶対出力気圧計、
(vii)チャンバ要素外部の絶対大気圧を示す第4時間依存波形を生成するよう構成された、第4絶対出力気圧計、
(viii)第3絶対出力気圧計および第4絶対出力気圧計に対して動作可能に接続され、かつ、第3時間依存波形および第4時間依存波形を受け取り、そこから、チャンバ要素外部の絶対大気圧に対して相対的なチャンバ要素内における負圧に関する第2時間依存値を計算するよう構成された、第2処理要素、および
(ix)チャンバ要素内に印加されるべき治療レベルの負圧に対する安全性限界値を格納する第2メモリ要素
をさらに含み、
第2処理要素は、空気ポンプに対して動作可能に接続され、第2処理要素は、安全性限界値が到達されたとき空気ポンプを停止するよう構成される、
実施形態1~実施形態11のうちのいずれか1項に記載の圧力制御システム。
【0117】
実施形態14
第3絶対出力気圧計は第1表面上に配置され、第4絶対出力気圧計は第2表面上に配置される、実施形態13に記載の圧力制御システム。
【0118】
実施形態15
第2処理要素および第2メモリ要素は回路基板上に配置される、実施形態13に記載の圧力制御システム。
【0119】
実施形態16
第1絶対出力気圧計および第2絶対出力気圧計はそれぞれ温度センサを含み、第1時間依存波形および第2時間依存波形は対応する温度センサにより測定された温度に対して修正される、実施形態1~実施形態15のうちのいずれか1項に記載の圧力制御システム。
【0120】
実施形態17
第3絶対出力気圧計および第4絶対出力気圧計はそれぞれ温度センサを含み、第3時間依存波形および第4時間依存波形は対応する温度センサにより測定された温度に対して修正される、実施形態1~実施形態16のうちのいずれか1項に記載の圧力制御システム。
【0121】
実施形態18
第1絶対出力気圧計および第2絶対出力気圧計はデジタル出力気圧計である、実施形態1~実施形態17のうちのいずれか1項に記載の圧力制御システム。
【0122】
実施形態19
第1絶対出力気圧計および第2絶対出力気圧計は少なくとも約10Hzのサンプリング速度で動作する、実施形態1~実施形態18のうちのいずれか1項に記載の圧力制御システム。
【0123】
実施形態20
第1絶対出力気圧計および第2絶対出力気圧計は少なくとも約25Hz、少なくとも約50Hz、少なくとも約70Hz、または少なくとも約200Hzのサンプリング速度で動作する、実施形態1~実施形態19のうちのいずれか1項に記載の圧力制御システム。
【0124】
実施形態21
チャンバ要素は、上部呼吸経路の1部分に重なる頚部の前方部分の外部エリアを封入するよう構成される、実施形態1~実施形態20のうちのいずれか1項に記載の圧力制御システム。
【0125】
実施形態22
個人の配向を提供するよう構成された1つまたは複数の加速度計をさらに含み、個人の配向を判定するために信号を処理し、個人の配向における変化に基づいてチャンバ内の治療レベルの負圧を変更するよう構成された、実施形態1~実施形態21のうちのいずれか1項に記載の圧力制御システム。
【0126】
実施形態23
チャンバ内の治療レベルの負圧は、背臥配向と、腹臥または側臥配向と、に対して異なる、実施形態22に記載の圧力制御システム。
【0127】
実施形態24
持続的な背臥配向におけるチャンバ内の治療レベルの負圧は持続的な側臥配向よりも高く、持続的姿勢は、少なくとも0.5秒、好適には少なくとも10秒、より好適には少なくとも30秒、最も好適には少なくとも60秒にわたり維持される姿勢を指す、実施形態23に記載の圧力制御システム。
【0128】
実施形態25
閾値を超過する個人の運動レベルに基づいてチャンバ内の治療レベルの負圧を変更するようさらに構成された、実施形態22~実施形態24のうちのいずれか1項に記載の圧力制御システム。
【0129】
実施形態26
個人の箇所に負圧を印加する方法であって、
実施形態1~実施形態25のうちのいずれか1項に記載の圧力制御システムを提供することと、
チャンバ要素を被術者の1部分上に配置し、それにより被術者の身体と排出エンクロージャとの間に形成された内部容積を有するチャンバを形成することと、
チャンバ内の内部容積から空気を除去するために空気ポンプに通電することと
を含む、方法。
【0130】
実施形態27
圧電性の空気ポンプからの空気流における変化を管理するための方法であって、
第1電圧から第2電圧までの連続的傾斜経路関数として、増加する駆動電圧を圧電性空気ポンプに印加することにより空気流を増加することであって、空気ポンプの流速は、印加された駆動電圧の量に比例して増加し、連続的傾斜経路関数は、圧電性空気ポンプにより放出された可聴性音響を、第1電圧から第2電圧まで階段関数として、印加する駆動電圧に対して少なくとも50%だけ低減させる、空気流を増加すること、および/または
第3電圧から第4電圧までの連続的傾斜経路関数として、減少する駆動電圧を圧電性空気ポンプに印加することにより、空気流を減少させることであって、空気ポンプの流速は、印加された駆動電圧の量に比例して減少し、連続的傾斜経路関数は、圧電性空気ポンプにより放出された可聴性音響を、第3電圧から第4電圧まで階段関数として、印加する駆動電圧に対して少なくとも50%だけ低減させる、空気流を減少させること
を含む、方法。
【0131】
実施形態28
可聴性音響はクリック音である、実施形態27に記載の方法。
【0132】
実施形態29
圧電性空気ポンプは、個人の外部表面に重なるチャンバを画成するよう、かつ、圧電性空気ポンプが通電されて治療レベルの負圧がチャンバ要素内に印加されたときに個人の外部表面に対して力を印加するよう、構成されたチャンバ要素を含む装置の構成要素である、実施形態27または実施形態28に記載の方法。
【0133】
実施形態30
装置は睡眠時に個人により使用される、実施形態29に記載の方法。
【0134】
実施形態31
ランプ電圧の関数は、駆動電圧が約4000v/秒~約500v/秒の範囲の速度で変化する線形関数である、実施形態27~実施形態30のうちのいずれか1項に記載の方法。
【0135】
実施形態32
電圧は約2000v/秒+/-500v/秒の速度で変化する、実施形態25に記載の方法。
【0136】
実施形態33
ランプ電圧の関数は、駆動電圧が約4000v/秒~約500v/秒の範囲の速度で変化する非線形関数である、実施形態27~実施形態32のうちのいずれか1項に記載の方法。
【0137】
当業者は、本開示の基礎をなす概念が、本発明のいくつかの目的を実施するための他の構造体、方法、およびシステムを設計するための基礎として容易に利用され得ることを理解するであろう。したがって、本発明の趣旨および範囲から逸脱しないかぎり、請求項が係る均等な構成体を含むものとみなされることは重要である。
【0138】
本装置の構造的実施形態は、装置のサイズに基づいて変動し得、本明細書で提供される説明は、機能的な側面および手段に対する案内である。当業者は、本発明が目的を実施し、本明細書において固有のものばかりではなく本明細書で説明される、結果および利点を達成するにあたり良好に適応されていることを、容易に理解するであろう。本明細書で提供される事例は、好適な実施形態を表し、例示的であって、本発明の範囲を限定することを意図したものではない。
【0139】
本発明の趣旨および範囲から逸脱することなく、本明細書で開示される本発明において様々な修正および変形が可能であり得ることは当業者に容易に明らかとなるであろう。
【0140】
本明細書で記載のすべての特許および出版物は本発明の分野における当業者のレベルを示すものである。すべての特許および出版物は、あたかも各個別の出版物が特定的かつ個別的に参照することにより援用されることが示されている場合と同程度に、参照することにより本明細書に援用される。
【0141】
本明細書で好適に例示される本発明は、本明細書で特定的に開示されていない任意の要素(単数または複数)または制限(単数または複数)が存在しない場合も実施され得る。したがって、たとえば、本明細書における各事例では、「~を含む」、「~から本質的になる」、および「~からなる」という用語のうちのいずれの用語も、他の2つの用語のいずれとも置き換えられ得る。用いられている用語および表現は、限定の用語ではなく説明の用語として使用され、係る用語および表現の使用においては、図示および説明される特徴またはその一部の任意の均等物を排除する意図はないが、請求される本発明の範囲において様々な変更が可能であることが認識される。したがって、本発明が、好適な実施形態および所望の特徴により特に開示されているが、本明細書で開示される概念の変更および変化が当業者により用いられ得ること、および、係る変更および変化が、添付の請求項により定められる本発明の範囲に含まれるものと考えられること、が理解されるべきである。
【0142】
他の実施形態は、以下の請求項内で説明される。
図1A
図1B
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13