IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 大建工業株式会社の特許一覧 ▶ ピンチブロック株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-建具用パッキン及びそれを備えた建具 図1
  • 特許-建具用パッキン及びそれを備えた建具 図2
  • 特許-建具用パッキン及びそれを備えた建具 図3
  • 特許-建具用パッキン及びそれを備えた建具 図4
  • 特許-建具用パッキン及びそれを備えた建具 図5
  • 特許-建具用パッキン及びそれを備えた建具 図6
  • 特許-建具用パッキン及びそれを備えた建具 図7
  • 特許-建具用パッキン及びそれを備えた建具 図8
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-16
(45)【発行日】2022-01-14
(54)【発明の名称】建具用パッキン及びそれを備えた建具
(51)【国際特許分類】
   E06B 7/36 20060101AFI20220106BHJP
【FI】
E06B7/36 F
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2019190141
(22)【出願日】2019-10-17
(65)【公開番号】P2021063407
(43)【公開日】2021-04-22
【審査請求日】2020-12-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000204985
【氏名又は名称】大建工業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】300063851
【氏名又は名称】ピンチブロック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】特許業務法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】金子 快郎
(72)【発明者】
【氏名】櫻井 裕一
(72)【発明者】
【氏名】伊弉末 久
【審査官】秋山 斉昭
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-112062(JP,A)
【文献】特開2015-203254(JP,A)
【文献】特開2019-15079(JP,A)
【文献】特開2011-144545(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E06B 7/36
E06B 3/00-3/99
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
建具の幅方向の端部に形成された切欠部に設置される建具用パッキンであって、
上記切欠部の外縁を覆う断面U字形状の本体部を有するパッキン部材と、
上記切欠部の上端部に設置され、上記パッキン部材の上端が上記切欠部の上端に達しないように上記パッキン部材の上端部外縁を覆うカバーとを備えている
ことを特徴とする建具用パッキン。
【請求項2】
請求項1において、
上記カバーは、
U字形状の板状部分からなる基板部と、
上記基板部の下端面の外縁部から下方に突出する断面U字形状の外壁部と、
上記基板部の下端面の内縁部から下方に突出する断面U字形状の内壁部とを有し、
上記外壁部と上記内壁部との間に、上記本体部の上端部が嵌まるU字形状のU字溝が形成されたU字カバー部を有している
ことを特徴とする建具用パッキン。
【請求項3】
請求項2において、
上記U字カバー部は、上記カバーを上記建具の所定の取付位置に取り付けたときに、上記外壁部のU字の両端部分となる2つの先端部が、上記建具の側面と対向するように形成されている
ことを特徴とする建具用パッキン。
【請求項4】
請求項3において、
上記U字カバー部は、上記外壁部の2つの先端部にそれぞれ連続してそれぞれ上記U字溝の先端を覆う2つの先端壁部を有している
ことを特徴とする建具用パッキン。
【請求項5】
請求項2において、
上記カバーは、
平面視において上記U字カバー部の内側に形成され、上記建具の上記切欠部の直上に位置する切欠上壁面に上端面が当接し、該切欠上壁面に固定される板状部分からなる固定部を有し、
上記固定部を上記切欠上壁面に固定することによって上記切欠部の上端部に固定されるように構成されている
ことを特徴とする建具用パッキン。
【請求項6】
請求項5において、
上記固定部には、ビスが挿通される挿通穴が形成され、
上記挿通穴は、長穴に形成されている
ことを特徴とする建具用パッキン。
【請求項7】
請求項6において、
上記固定部は、上記挿通穴の長手方向の一方側に向かう程、下端面が下方に位置するように傾斜する傾斜部を有し、
上記挿通穴は、上記傾斜部に形成されている
ことを特徴とする建具用パッキン。
【請求項8】
請求項6又は7において、
上記U字カバー部は、上記外壁部よりも上記内壁部の方が、突出高さが高くなるように形成され、
上記内壁部には、上記ビスと該ビス締結用の工具を挿通するための開口が形成されている
ことを特徴とする建具用パッキン。
【請求項9】
請求項2乃至8のいずれか1つにおいて、
上記カバーは、上記建具に取り付けるときに、上記パッキン部材を上記切欠部に固定する固定具又は上記建具に当接することにより、上記カバーを所定の取付位置に配置する位置決め部を有し、
上記所定の取付位置は、上記建具の幅方向における上記カバーの端面が、上記建具の幅方向の端面と同一平面上に配置される位置である
ことを特徴とする建具用パッキン。
【請求項10】
請求項5において、
上記基板部と上記固定部とは、互いの上端面が上記建具の上記切欠上壁面に当接する同一平面を形成するように一体に形成されている
ことを特徴とする建具用パッキン。
【請求項11】
請求項10において、
上記カバーは、上記基板部の対向する2辺からそれぞれ上方に突出して上記建具の上記切欠部上方の角部を覆う2つの角カバー部を有している
ことを特徴とする建具用パッキン。
【請求項12】
戸本体と、該戸本体の幅方向の端部に形成された切欠部に設置された建具用パッキンとを備えた建具であって、
上記建具用パッキンは、請求項1乃至11のいずれか1つに記載の建具用パッキンである
ことを特徴とする建具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建具の幅方向の端部の切欠部に設けられる建具用パッキン及びそれを備えた建具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、引戸等の建具の中には、戸枠との隙間を遮蔽すると共に、誤って手や指等が建具と戸枠との間に挟まれた際に手や指等にかかる衝撃を緩和するために、戸先側の端部にパッキンが設けられたものがある(例えば、下記の特許文献1を参照)。
【0003】
特許文献1には、戸先側の端部に形成された切欠部に、該切欠部の外縁を覆うように断面U字形状の樹脂製のパッキンが取り付けられた引戸が開示されている。この引戸では、パッキンは、切欠部だけでなく該切欠部の外縁に設けられた角部を覆う大きさに形成され、角部によって手や指が傷付くのを防止している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2018-112062号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記パッキンでは、切欠部と共に切欠部外縁に設けられた角部を覆うために、パッキンの上端部と両側端部(U字の両端部分)が建具の外表面上に剥き出しで配置されることとなる。そのため、使用時の開閉に起因する衝撃、経年劣化、子供のいたずら等により、パッキンが上端角部から捲れる虞があった。建具用パッキンが捲れると、見栄えが悪く、また、パッキン固定用の金属製のレール部材が露出することにより、手を怪我する虞があった。
【0006】
本発明は斯かる点に鑑みてなされたもので、その目的は、見栄えがよく安全性の高い建具用パッキン及びそれを備えた建具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するために、本発明では、切欠部に設置されるパッキン部材の上端部外縁を覆うカバーを設けることとした。
【0008】
具体的には、第1の発明は、建具の幅方向の端部に形成された切欠部に設置される建具用パッキンを前提とするものである。
【0009】
そして、第1の発明は、上記切欠部の外縁を覆う断面U字形状の本体部を有するパッキン部材と、上記切欠部の上端部に設置され、上記パッキン部材の上端が上記切欠部の上端に達しないように上記パッキン部材の上端部外縁を覆うカバーとを備えていることを特徴とするものである。
【0010】
第1の発明では、建具用パッキンを、パッキン部材だけでなく、切欠部の上端部においてパッキン部材の上端部外縁を覆うカバーを備えるように構成している。建具用パッキンをこのように構成することにより、切欠部の外縁を覆うパッキン部材の上端部外縁が、切欠部の上端部に設置されたカバーによって覆われる。そのため、使用時の開閉に起因する衝撃、経年劣化、子供のいたずら等によってパッキン部材が上端角部から捲れるのを抑制することができる。このように、パッキン部材の捲れが抑制されることにより、建具用パッキンの見栄えの低下を抑制することができ、また、パッキン部材の固定用の金具が露出し、露出した金具で手を怪我することも抑制することができる。従って、第1の発明によれば、見栄えがよく安全性の高い建具用パッキンを提供することができる。
【0011】
第2の発明は、第1の発明において、上記カバーは、U字形状の板状部分からなる基板部と、上記基板部の下端面の外縁部から下方に突出する断面U字形状の外壁部と、上記基板部の下端面の内縁部から下方に突出する断面U字形状の内壁部とを有し、上記外壁部と上記内壁部との間に、上記本体部の上端部が嵌まるU字形状のU字溝が形成されたU字カバー部を有していることを特徴とするものである。
【0012】
第2の発明では、カバーが、パッキン部材の断面U字形状の本体部の上端部が嵌まるU字溝が形成されたU字カバー部を有するように構成されている。カバーをこのように構成することにより、捲れ易いパッキン部材の断面U字形状の本体部の上端部が、U字カバー部の外壁部と内壁部との間にしっかりと保持されることとなる。よって、このようなカバーを設けることにより、パッキン部材の捲れをより確実に抑制することができる。
【0013】
第3の発明は、第2の発明において、上記U字カバー部は、上記カバーを上記建具の所定の取付位置に取り付けたときに、上記外壁部のU字の両端部分となる2つの先端部が、上記建具の側面と対向するように形成されていることを特徴とするものである。
【0014】
第3の発明では、U字カバー部が、カバーを建具に取り付けたときに、外壁部の2つの先端部が建具の側面と対向するように形成されている。このようなU字カバー部によれば、パッキン部材を、切欠部の外縁だけでなく建具の切欠部の外縁に設けられた角部を覆えるように形成しても、パッキン部材の上端部外縁を、捲れ易い角部までしっかりと覆うことができる。よって、パッキン部材の捲れを確実に抑制することができる。
【0015】
第4の発明は、第3の発明において、上記U字カバー部は、上記外壁部の2つの先端部にそれぞれ連続してそれぞれ上記U字溝の先端を覆う2つの先端壁部を有していることを特徴とするものである。
【0016】
第4の発明では、U字カバー部が、U字溝の先端を覆う2つの先端壁部を有するように形成されている。このようなU字カバー部によれば、U字溝内でパッキン部材の本体部の上端部がずれても、該本体部の上端角部がカバーから食み出る虞がない。よって、パッキン部材の捲れを確実に抑制することができる。
【0017】
第5の発明は、第2の発明において、上記カバーは、平面視において上記U字カバー部の内側に形成され、上記建具の上記切欠部の直上に位置する切欠上壁面に上端面が当接し、該切欠上壁面に固定される板状部分からなる固定部を有し、上記固定部を上記切欠上壁面に固定することによって上記切欠部の上端部に固定されるように構成されている
ことを特徴とするものである。
【0018】
第5の発明では、カバーが、上端面が建具の切欠上壁面に当接して固定される板状部分からなる固定部を有し、該固定部を切欠上壁面に固定することによって切欠部の上端部に固定されるように構成されている。このような構成によれば、容易な構成で容易な固定作業により、カバーを切欠部の上端部に固定することができる。
【0019】
第6の発明は、第5の発明において、上記固定部には、ビスが挿通される挿通穴が形成され、上記挿通穴は、長穴に形成されていることを特徴とするものである。
【0020】
第6の発明では、固定部は、U字カバー部の内側に形成されているため、ビスを打ち込む際に、U字カバー部を避けて固定部の真下から打ち込む必要があるところ、ビスの挿通穴が長穴に形成されているため、ビスを斜め下方から打ち込むことができる。よって、カバーの固定作業が容易になる。
【0021】
第7の発明は、第6の発明において、上記固定部は、上記挿通穴の長手方向の一方側に向かう程、下端面が下方に位置するように傾斜する傾斜部を有し、上記挿通穴は、上記傾斜部に形成されていることを特徴とするものである。
【0022】
第7の発明では、挿通穴が、下端面が挿通穴の長手方向の一方側に向かう程、下方に位置するように傾斜する傾斜部に形成されている。このような構成により、ビスを挿通穴の長手方向に斜めに打ち込む際に、打ち込み箇所が見やすく、また、ビスの頭部と取付面とが略平行になることにより、カバーを強固に固定することができる。
【0023】
第8の発明は、第6又は第7の発明において、上記U字カバー部は、上記外壁部よりも上記内壁部の方が、突出高さが高くなるように形成され、上記内壁部には、上記ビスと該ビス締結用の工具を挿通するための開口が形成されていることを特徴とするものである。
【0024】
第8の発明では、U字カバー部の内壁部が、外壁部よりも突出高さが高くなるように形成されている。そのため、カバーをビスで固定する際に、内壁部が邪魔になるおそれがあるところ、内壁部には、ビス及びビス締結用の工具を挿通するための開口が形成されているため、容易に固定作業を行うことができる。
【0025】
第9の発明は、第2乃至第8のいずれか1つの発明において、上記カバーは、上記建具に取り付けるときに、上記パッキン部材を上記切欠部に固定する固定具又は上記建具に当接することにより、上記カバーを所定の取付位置に配置する位置決め部を有し、上記所定の取付位置は、上記建具の幅方向における上記カバーの端面が、上記建具の幅方向の端面と同一平面上に配置される位置であることを特徴とするものである。
【0026】
第9の発明では、カバーが、建具に取り付けるときに、パッキン部材を切欠部に固定する固定具又は建具に当接することによってカバーを所定の取付位置に配置する位置決め部を有するように構成されている。そのため、カバーを容易に所定の取付位置に取り付けることができる。また、位置決め部によってカバーを所定の位置に取り付けると、カバーの端面が建具の端面と同一平面上に配置され、カバーが建具の端面から出っ張らない。このような構成により、建具が引戸の場合には、カバーが建具の端面から出っ張っているために、戸を閉める際にカバーの端面のみが戸枠に当接して引戸と戸枠との間に隙間が生じたり、カバーが破損したりするのを抑制することができる。
【0027】
第10の発明は、第5の発明において、上記基板部と上記固定部とは、互いの上端面が上記建具の上記切欠上壁面に当接する同一平面を形成するように一体に形成されていることを特徴とするものである。
【0028】
第10の発明では、基板部と固定部とが一体に形成され、基板部の上端面と固定部の上端面とで、建具の切欠上壁面に当接する当接面が形成される。このような構成により、カバーを建具にしっかりと固定することができる。また、カバーの高さを低く抑えることができるため、カバーをコンパクトに形成することができる。
【0029】
第11の発明は、第10の発明において、上記カバーは、上記基板部の対向する2辺からそれぞれ上方に突出して上記建具の上記切欠部上方の角部を覆う2つの角カバー部を有していることを特徴とするものである。
【0030】
第11の発明では、カバーが、基板部の対向する2辺からそれぞれ上方に突出して建具の切欠部上方の角部を覆う2つの角カバー部を有するように構成されている。このような構成により、カバーを建具に取り付けると、切欠部上方の角部が角カバー部で覆われる。よって、角部によって手や指が傷付くのを防止することができる。
【0031】
第12の発明は、戸本体と、該戸本体の幅方向の端部に形成された切欠部に設置された建具用パッキンとを備えた建具であって、上記建具用パッキンは、第1乃至第11のいずれか1つの発明に係る建具用パッキンであることを特徴とするものである。
【0032】
第12の発明では、見栄えがよく安全性の高い建具用パッキンを備えた建具を提供することができる。
【発明の効果】
【0033】
以上説明した如く、本発明によると、切欠部に設置されるパッキン部材の上端部外縁を覆うカバーを設けることとしたため、見栄えがよく安全性の高い建具用パッキン及びそれを備えた建具を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
図1図1は、本発明の実施形態1の引戸の側面図である。
図2図2は、図1のパッキン装置を分解した状態を示す分解斜視図である。
図3図3は、図1の引戸にパッキン部材を取り付ける際の様子を示す斜視図である。
図4図4は、図1のパッキン装置の上端部付近を拡大して示す斜視図である。
図5図5は、パッキンを下方から見た横断面図である。
図6図6は、カバーを斜め上方から視た斜視図である。
図7図7は、カバーを斜め下方から視た斜視図である。
図8図8は、カバーの縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。以下の実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物或いはその用途を制限することを意図するものでは全くない。
【0036】
以下では、本発明に係る建具用パッキンを備えた建具の一例として、建具用パッキンを備えた引戸について説明する。
【0037】
《発明の実施形態1》
図1に示すように、引戸(建具)1は、水平方向に伸びる2本の横枠2aと鉛直方向からなる2本の縦枠2bとからなる戸枠2内に設けられ、横枠2aに沿って摺動することにより、開口3を開閉する。引戸1は、2本の縦枠2bのうちの一方に当接することにより、開口3を閉塞する。
【0038】
以下の説明では、図1の紙面の左右方向において、左側を前、右側を後、紙面に直交する方向において、手前側を左、奥側を右とする。なお、上下方向については、図1の紙面の通り、上側を上、下側を下とする。また、引戸1の幅方向について、閉塞時に当接する縦枠2b側(図1の左側)を戸先側、逆側(図1の右側)を戸尻側と言う。
【0039】
-引戸の構成-
引戸1は、戸本体10とパッキン装置20とを備えている。
【0040】
〈戸本体〉
図1及び図2に示すように、戸本体10は、矩形状のパネル部材によって構成されている。戸本体10には、戸先側(図1の左側)の端部10a付近に、上下方向の中央よりも上方の位置に手かけ部11が形成されている。手かけ部11は、戸本体10に形成された凹部によって構成されている。
【0041】
戸本体10には、手かけ部11よりも戸先側に、戸先側の端部10aの一部を切り欠いた切欠部12が形成されている。切欠部12は、手かけ部11と並ぶ高さ位置から戸本体10の下端に亘って形成されている。切欠部12は、断面が矩形状の細長形状に形成されている。切欠部12には、パッキン装置20が設けられている。
【0042】
〈パッキン装置〉
図2図5に示すように、パッキン装置20は、レール部材21と、パッキン(建具用パッキン)22とを有している。レール部材21は、金属材料によって形成され、パッキン22は、樹脂材料によって形成されている。
【0043】
〔レール部材〕
レール部材21は、切欠部12において戸本体10に取り付けられている。レール部材21は、例えばアルミニウムにより形成され、ベース部21aと、2つの係合部21b,21bとを有している。ベース部21aは、矩形板状に形成されている。2つの係合部21b,21bは、ベース部21aの表面から突出するように形成された断面がL字形状の板状片である。2つの係合部21b,21bは、それぞれL字の先端が、後述するパッキン部材23の対応する係合部25,25と係合可能な形状(本実施形態1では、矢印形状)に形成されている。2つの係合部21b,21bは、ベース部21aの幅方向(戸本体10の前後方向)の中央を通り、ベース部21aに直交する面に対して対称な形状に形成されている。
【0044】
レール部材21は、切欠部12の上下方向の長さに対応する長さに形成されている。具体的には、レール部材21は、切欠部12の上下方向の長さ(例えば、1200mm)より長さL1(例えば、5mm)だけ短い。レール部材21は、切欠部12の直上に位置する戸本体10の切欠上壁面10dとの間に長さL1だけ間隔を空けて戸本体10に固定されている。レール部材21は、ベース部21aの裏面(2つの係合部21b,21bと逆側の面)が、戸本体10の切欠部12の後方に位置する切欠後壁面10eに当接した状態で、ベース部21aの幅方向の中央付近を貫くビス31で戸本体10に固定されている。
【0045】
〔パッキン〕
パッキン22は、パッキン部材23と、カバー26とを有している。パッキン部材23は、レール部材21にスライド自在に取り付けられる。カバー26は、切欠部12の上端部において戸本体10に固定され、パッキン部材23の上端部外縁を覆う。以下、パッキン部材23とカバー26について詳述する。
【0046】
(パッキン部材)
パッキン部材23は、引戸1と縦枠2bとの隙間を遮蔽すると共に、手や指等が引戸1と縦枠2bとの間に挟まれた際に手や指等に係る衝撃を緩和するための本体部24と、パッキン部材23をレール部材21にスライド自在に取り付けるための2つの係合部25,25とを有している。
【0047】
本体部24は、断面がU字形状に形成されている。本体部24は、切欠部12の上下方向の長さに対応する長さに形成されている。具体的には、本体部24は、切欠部12の上下方向の長さ(例えば、1200mm)より僅かに(例えば、1.5mm)短い。本体部24は、戸本体10の戸先側に配置される断面がU字形状の板状片からなる軟質部分24aと、軟質部分24aのU字の2つの端部から戸尻側に延びる断面がI字形状の板状片からなる2つの硬質部分24b,24bとを有している。軟質部分24aは、軟質塩化ビニルで形成され、硬質部分24bは、硬質塩化ビニルで形成されている。
【0048】
2つの係合部25,25は、本体部24の互いに対向する2つの内側面の対向する位置から互いに向かって突出する板状片によって構成されている。2つの係合部25,25は、上下方向の長さが本体部24の上下方向の長さと等しい長さに形成されている。2つの係合部25,25は、それぞれ先端が、レール部材21の対応する係合部21b,21bと係合可能な形状(本実施形態1では矢印形状)に形成されている。2つの係合部25,25は、本体部24の硬質部分24bと同様の硬質塩化ビニルで形成され、本体部24の硬質部分24bから突出している。
【0049】
詳細については後述するが、パッキン部材23は、切欠部12の上端部に設置されるカバー26により、上端が切欠上壁面10d(切欠部12の上端)に達しない位置に配置され、上端部外縁が露出しないように覆われる。つまり、パッキン部材23の上端部外縁は、切欠部12の上端部においてカバー26によって覆われる。
【0050】
このように構成されたパッキン部材23により、引戸1を閉じると、本体部24の軟質部分24aが縦枠2bと当接することにより、引戸1と縦枠2bとの間の隙間が遮蔽される。また、引戸1を閉じる際に、誤って手や指等が引戸1と縦枠2bとの間に挟まれても、手や指等には軟質部分24aが当接し、軟質塩化ビニルからなる断面U字形状の軟質部分24aが変形する(拉げる)ことにより、手や指等にかかる衝撃が緩和され、手や指等を怪我しないように保護することができる。
【0051】
また、パッキン部材23は、レール部材21の2つの係合部21b,21bと係合する2つの係合部25,25と、本体部24の2つの係合部25,25が繋がる部分(硬質部分24b,24b)が、共に硬質塩化ビニルで形成されている。そのため、レール部材21とパッキン部材23の互いの係合部21b,21b,25,25を、堅固に係合させることができる。つまり、パッキン22を引戸1の戸先側の端部(戸本体10の戸先側の端部10a)に堅固に取り付けることができる。
【0052】
(カバー)
カバー26は、パッキン部材23の上端部外縁を覆うU字カバー部27と、戸本体10に当接して戸本体10に固定される固定部28と、切欠部12内でカバー26を所望の位置に配置するための位置決め部29と、戸本体10の表裏面におけるカバー26との境界を隠す2つの角カバー部30,30とを有している。本実施形態1では、U字カバー部27と、固定部28と、位置決め部29と、2つの角カバー部30,30は、パッキン部材23の本体部24の硬質部分24bと同等以上の硬度を有する樹脂で一体に形成されている。なお、U字カバー部27と、固定部28と、位置決め部29と、2つの角カバー部30,30とは、パッキン部材23の本体部24の硬質部分24bの硬度より低い硬度の樹脂で形成されていてもよい。
【0053】
U字カバー部27は、基板部27aと、外壁部27bと、内壁部27cと、先端壁部27dとを有している。
【0054】
基板部27aは、平面視においてU字形状の板状部分である。基板部27aは、パッキン部材23の本体部24の上端面を覆えるように、平面視において、本体部24の幅よりも幅広で外縁が本体部24の外面の外側に位置するU字形状に形成されている。
【0055】
外壁部27bは、基板部27aの下端面の外縁部から下方に突出する断面U字形状の湾曲した板状部分である。外壁部27bは、互いに対向する一対の側壁部27b1,27b1と、一対の側壁部27b1,27b1を連結する連結壁部27b2とを有している。外壁部27bは、U字の2つの湾曲部分から連結壁部27b2の中央に向かう程、下端が下方に位置する形状に形成されている。
【0056】
外壁部27bは、カバー26が戸本体10の所定の位置に取り付けられた際に、一対の側壁部27b1,27b1が切欠部12の外側に配置され、連結壁部27b2が、切欠部12の内側に配置される大きさに形成されている。また、外壁部27bは、カバー26が戸本体10の所定の位置に取り付けられた際に、U字の両端部分となる2つの先端部(一対の側壁部27b1,27b1の端部)が、戸本体10の両側面(左側面及び右側面)とそれぞれ対向する大きさに形成されている。そのため、カバー26が戸本体10の所定の位置に取り付けられた際に、外壁部27bの2つの先端部と共にU字溝33の両端部も、戸本体10の両側面とそれぞれ対向する。このような構成により、カバー26及びパッキン部材23を戸本体10の所定の取付位置に取り付けると、切欠部12の外縁だけでなく、戸本体10の切欠部12の後方の角部(戸本体10の左右側面と切欠後壁面10eとの角部)がパッキン部材23によって覆われることとなる。
【0057】
内壁部27cは、基板部27aの下端面の内縁部から下方に突出する断面U字形状の湾曲した板状部分である。内壁部27cは、外壁部27bに対向し、外壁部27bよりも下方への突出高さが高くなるように形成されている。内壁部27cは、外壁部27bの一対の側壁部27b1,27b1に沿って延びる一対の側壁部27c1,27c1と、一対の側壁部27c1,27c1を連結する連結壁部27c2とを有している。一対の側壁部27c1,27c1は、外壁部27bの一対の側壁部27b1,27b1よりも水平方向の長さが短く形成されている。連結壁部27c2の水平方向の中央部分には、ビス34と工具を挿通するための開口32が形成されている。本実施形態1では、開口32は、内壁部27cの下端まで至る水平方向の長さよりも上下方向の長さが長い縦長の穴に形成されている。内壁部27cは、U字の2つの先端部からU字に沿ってU字の中央(連結壁部27c2の中央)に向かう程、下端が下方に位置する形状に形成されている。
【0058】
このような基板部27aと外壁部27bと内壁部27cとにより、U字カバー部27には、外壁部27bと内壁部27cとの間に、本体部24の上端部が嵌まる断面U字形状のU字溝33が形成されている。また、このような基板部27aと外壁部27bと内壁部27cとにより、パッキン部材23は、上端が切欠上壁面10d(切欠部12の上端)に達しない位置に配置され、上端部外縁(本体部24の上端部外縁)が露出しないように覆われることとなる。
【0059】
2つの先端壁部27dは、平面視においてU字形状の基板部27a及び断面U字形状の外壁部27bの2つの先端部にそれぞれ連続する部分である。2つの先端壁部27dは、断面U字形状のU字溝33の2つの先端部(本実施形態1では、U字溝33の戸尻側の端部)を閉塞可能な形状及び大きさに形成されている。先端壁部27dは、カバー26を戸本体10に取り付けた際に、戸本体10の両側面に当接する大きさに形成されている。
【0060】
固定部28は、U字カバー部27の内壁部27cの内側に形成され、切欠部12の上方に位置する戸本体10の切欠上壁面10dに当接して該切欠上壁面10dに固定される板状部分である。本実施形態1では、固定部28は、断面U字形状の内壁部27cの上端内側を閉塞する形状に形成されている。固定部28は、基板部27aより分厚い板状部分であり、上端面がU字カバー部27の基板部27aの上端面と同一平面上に配置されるように形成されている。
【0061】
固定部28は、左右方向の中程の部分(全体の3分の1程度の領域)が、当該部分の両側の部分よりも下方に突出した突出部28aに形成されている。突出部28aは、カバー26が戸本体10に取り付けられた際に、引戸1の幅方向において切欠部12が形成された一端から他端(戸先から戸尻)に向かう程、突出高さが高くなるように形成されている。つまり、突出部28aは、カバー26が引戸1に取り付けられた際に、引戸1の幅方向において切欠部12が形成された一端から他端(戸先から戸尻)に向かう程、下端面が下方に位置するように傾斜する傾斜部を構成する。
【0062】
突出部28aの中央には、カバー26を戸本体10に固定するためのビス34が挿通する挿通穴35が形成されている。挿通穴35は、前後方向(戸本体10の幅方向)の長さが左右方向(戸本体10の厚さ方向)の長さよりも長い長穴である。本実施形態1では、挿通穴35は、断面が楕円形状となるように形成されているが、挿通穴35の断面形状はこれに限られず、ビス34が挿通可能であればいかなる形状であってもよい。
【0063】
位置決め部29は、厚さが一様のJ字形状の板状部分であり、湾曲板部29aと平板部29bとを有する。位置決め部29は、固定部28の突出部28aのない平板部分より分厚い。湾曲板部29aは、固定部28の後端面から後方へ斜め下向きに湾曲し、平板部29bは、湾曲板部29aの下端に連続し、下方へ延びている。位置決め部29は、カバー26を戸本体10に取り付ける際に、カバー26を所定の取付位置に配置するものである。本実施形態1では、位置決め部29は、カバー26を戸本体10に取り付ける際に、平板部29bが、先に戸本体10に固定されたレール部材21のベース部21aに当接することにより、カバー26を所定の取付位置に取り付けるように形成されている。
【0064】
なお、本実施形態1では、上記所定の取付位置は、戸本体10の戸先側の端面10c及び外壁部27bの連結壁部27b2の外壁面が、同一平面上に配置されるカバー26の位置を言う。つまり、位置決め部29によってカバー26が所定の取付位置に配置されると、戸本体10及びカバー26のそれぞれの引戸1の幅方向における切欠部12が形成された一端側の端面(戸本体10の戸先側の端面10c及び外壁部27bの連結壁部27b2の外壁面)が、同一平面上に配置される。
【0065】
2つの角カバー部30,30は、U字カバー部27のU字形状の基板部27aの対向する2辺から上方に突出する部分である。2つの角カバー部30,30は、平面視においてI字形状に形成されている。2つの角カバー部30,30は、U字カバー部27の基板部27aと固定部28とにより、互いの間に、戸本体10の切欠部12の直上の段差部13が嵌まる平面視において矩形状の矩形溝36が形成される。矩形溝36は、戸本体10が嵌まる大きさに形成されている。カバー26を戸本体10に取り付けると、カバー26と戸本体10との境界は、2つの角カバー部30,30によって覆われ、見えなくなる。
【0066】
-取付手順-
次に、引戸1の戸本体10に形成された切欠部12にパッキン装置20を設置する設置手順について説明する。
【0067】
図2に示すように、まず、レール部材21を戸本体10にビス31で固定する。具体的には、レール部材21を、ベース部21aの裏面を戸本体10の切欠後壁面10eに当接させた状態で、戸本体10の切欠上壁面10dとの間に長さL1だけ間隔を空けた位置に配置する。そして、ベース部21aを貫くようにビス31を打ち込むことにより、レール部材21を戸本体10に取り付ける。
【0068】
次に、カバー26を戸本体10にビス34で固定する。具体的には、図2に示すように、カバー26を、矩形溝36の底面(基板部27a及び固定部28の上端面)を戸本体10の切欠上壁面10dに当接させた状態で、戸本体10の幅方向の戸尻向きに、位置決め部29の平板部29bがレール部材21のベース部21aに当接するまでスライドさせる。これにより、カバー26が、戸本体10の戸先側の端面10c及び外壁部27bの連結壁部27b2の外壁面が、同一平面上に配置される所定の取付位置に配置される。そして、固定部28に形成された挿通穴35を介してビス34を打ち込むことにより、カバー26を戸本体10に固定する。
【0069】
なお、ビス34を打ち込む際、挿通穴35は、固定部28において下方に突出した突出部28aに形成されているため、挿通穴35が見やすくビス34を打ち込み易い。また、突出部28aは、カバー26が引戸1に取り付けられた際に、引戸1の幅方向において切欠部12が形成された一端から他端(戸先から戸尻)に向かう程、下端面が下方に位置するように傾斜する傾斜部に構成されている。そのため、突出部28aが傾斜部に構成されていない場合に比べ、ビス34を打ち込む際に挿通穴35が見やすくなり、ビス34を打ち込み易い。さらに、挿通穴35は、挿通穴35は、前後方向(戸本体10の幅方向)の長さが左右方向(戸本体10の厚さ方向)の長さよりも長い長穴である。そのため、ビス34を、戸先側から戸尻に向かって斜め上向きに打ち込むことができ、カバー26の固定作業が容易になる。また、U字カバー部27の外壁部27bの連結壁部27b2よりも下方に突出した内壁部27cの連結壁部27c2には、ビス34及び工具を挿通するための開口32が形成されている。そのため、開口32に工具を差し込みながら、容易にビス34を打ち込むことができ、カバー26の固定作業が容易になる。
【0070】
カバー26の固定後、パッキン部材23を取り付ける。具体的には、まず、パッキン部材23の2つの係合部25,25の上端部と、レール部材21の2つの係合部21b,21bの下端部とを係合させ、パッキン部材23を上方にカバー26付近までスライドさせる(図3を参照)。その後、パッキン部材23の本体部24の上端部が、カバー26のU字カバー部27の断面U字形状のU字溝33に嵌まり込むように、パッキン部材23をさらに引き上げる(図4を参照)。パッキン部材23を、上端部がカバー26によって覆われる位置まで引き上げたところで、パッキン部材23が下方にずれないように、本体部24の下端に、本体部24の下端と戸本体10の下端部とに跨がる図示しない受け金具を装着する。
【0071】
以上のような作業により、パッキン装置20は、引戸1の戸本体10に形成された切欠部12に設置される。
【0072】
-実施形態1の効果-
本実施形態1では、パッキン22を、パッキン部材23だけでなく、切欠部12の上端部においてパッキン部材23の上端部外縁を覆うカバー26を備えるように構成している。パッキン22をこのように構成することにより、切欠部12の外縁を覆うパッキン部材23の上端部外縁(本体部24の上端部外縁)が、切欠部12の上端部に設置されたカバー26によって覆われる。そのため、使用時の開閉に起因する衝撃、経年劣化、子供のいたずら等によってパッキン部材23が上端角部から捲れるのを抑制することができる。このように、パッキン部材23の捲れが抑制されることにより、パッキン22の見栄えの低下を抑制することができ、また、パッキン部材23を切欠部12に固定するためのレール部材21が露出し、露出したレール部材21で手を怪我することも抑制することができる。従って、本実施形態1によれば、見栄えがよく安全性の高い建具用パッキン(パッキン22)を提供することができる。
【0073】
また、本実施形態1では、カバー26が、パッキン部材23の断面U字形状の本体部24の上端部が嵌まるU字形状のU字溝33が形成されたU字カバー部27を有するように構成されている。カバー26をこのように構成することにより、捲れ易いパッキン部材23の断面U字形状の本体部24の上端部が、U字カバー部27の外壁部27bと内壁部27cとの間にしっかりと保持されることとなる。よって、このようなカバー26を設けることにより、パッキン部材23の捲れをより確実に抑制することができる。
【0074】
また、本実施形態1では、U字カバー部27が、カバー26を引戸1に取り付けたときに、外壁部27bの2つの先端部(2つの側壁部27b1,27b1の先端部)が戸本体10の側面と対向するように形成されている。このようなU字カバー部27によれば、パッキン部材23を、切欠部12の外縁だけでなく、戸本体10の切欠部12の外縁に設けられた角部を覆えるように形成しても、パッキン部材23の上端部を、捲れ易い角部までしっかりと覆うことができる。よって、パッキン部材23の捲れを確実に抑制することができる。
【0075】
また、本実施形態1では、U字カバー部27が、U字溝33の先端を覆う2つの先端壁部27d,27dを有するように形成されている。このようなU字カバー部27によれば、U字溝33内でパッキン部材23の上端部がずれても、パッキン部材23の上端角部がカバー26から食み出る虞がない。よって、パッキン部材23の捲れを確実に抑制することができる。
【0076】
また、本実施形態1では、カバー26が、上端面が戸本体10の切欠上壁面10dに当接して固定される板状部分からなる固定部28を有し、該固定部28を切欠上壁面10dに固定することによって切欠部12の上端部に固定されるように構成されている。このような構成によれば、容易な構成で容易な固定作業により、カバー26を切欠部12の上端部に固定することができる。
【0077】
また、本実施形態1では、固定部28は、U字カバー部27の内側に形成されているため、ビス34を打ち込む際に、U字カバー部27を避けて固定部28の真下から打ち込む必要があるところ、ビス34の挿通穴35が長穴に形成されているため、ビス34を斜め下方から打ち込むことができる。よって、カバー26の固定作業が容易になる。
【0078】
また、本実施形態1では、挿通穴35が、下端面が挿通穴35の長手方向の一方側に向かう程、下方に位置するように傾斜する傾斜部(突出部28a)に形成されている。このような構成により、ビス34を挿通穴35の長手方向に斜めに打ち込む際に、打ち込み箇所が見やすく、また、ビス34の頭部と取付面とが略平行になることにより、カバー26を強固に固定することができる。
【0079】
また、本実施形態1では、U字カバー部27の内壁部27cが、外壁部27bよりも突出高さが高くなるように形成されている。そのため、カバー26をビス34で固定する際に、内壁部27cが邪魔になるおそれがあるところ、内壁部27cには、ビス34及びビス締結用の工具を挿通するための開口32が形成されているため、容易に固定作業を行うことができる。
【0080】
また、本実施形態1では、カバー26が、戸本体10に取り付けるときに、パッキン部材23を切欠部12に固定する固定具(レール部材21)又は建具(戸本体10)に当接することによってカバー26を所定の取付位置に配置する位置決め部29を有するように構成されている。そのため、カバー26を容易に所定の取付位置に取り付けることができる。また、位置決め部29によってカバー26を所定の位置に取り付けると、カバー26の端面が戸本体10の戸先側の端面10cと同一平面上に配置され、カバー26が戸本体10の戸先側の端面10cから出っ張らない。このような構成により、カバー26が戸本体10の戸先側の端面10cから出っ張っているために、引戸1を閉める際にカバー26の端面のみが戸枠2に当接して引戸1と戸枠2との間に隙間が生じたり、カバー26が破損したりするのを抑制することができる。
【0081】
また、本実施形態1では、U字カバー部27の基板部27aと固定部28とが一体に形成され、基板部27aの上端面と固定部28の上端面とで、戸本体10の切欠上壁面10dに当接する当接面が形成される。このような構成により、カバー26を戸本体10にしっかりと固定することができる。また、カバー26の高さを低く抑えることができるため、カバー26をコンパクトに形成することができる。
【0082】
また、本実施形態1では、カバー26が、U字カバー部27の基板部27aの対向する2辺からそれぞれ上方に突出して戸本体10の切欠部12上方の角部(段差部13の角)を覆う2つの角カバー部30,30を有するように構成されている。このような構成により、カバー26を戸本体10に取り付けると、切欠部12上方の角部が角カバー部30,30で覆われる。よって、角部によって手や指が傷付くのを防止することができる。
【0083】
また、本実施形態1は、戸本体10と、戸本体10の幅方向の端部に形成された切欠部12に設置された建具用パッキンとを備えた引戸(建具)1において、建具用パッキンを上述のパッキン22で構成することとしている。そのため、本実施形態1によれば、見栄えがよく安全性の高い建具用パッキン(パッキン22)を備えた建具(引戸1)を提供することができる。
【0084】
《その他の実施形態》
上記実施形態1では、本発明に係る建具用パッキンを備えた建具の一例として、建具用パッキンを備えた引戸について説明した。しかしながら、本発明に係る建具用パッキンを備えた建具は、引戸に限られない。本発明に係る建具用パッキンは、開き戸に適用してもよい。つまり、本発明に係る建具用パッキンを備えた建具は、開き戸であってもよい。
【0085】
また、上記本実施形態1では、切欠部12は、戸本体10の戸先側の端部10aのみに形成されていた。しかしながら、引戸1は、戸本体10の戸先側の端部10aと戸尻側の端部10bの両方に形成され、両方にパッキン装置20が設けられるものであってもよい。
【0086】
また、上記実施形態1では、カバー26は、U字カバー部27を備えていたが、カバー26は、パッキン部材23の上端部が覆えるものであればいかなる形状であってもよい。
【0087】
また、上記実施形態1では、U字カバー部27は、2つの先端壁部27d,27dを有するように構成されていたが、U字カバー部27は、2つの先端壁部27d,27dを有しないものであってもよい。
【0088】
また、上記実施形態1では、ビス34を挿通する挿通穴35が長穴に形成されていたが、挿通穴35は長穴でなくてもよい。
【0089】
また、上記実施形態1では、固定部28の一部が、下方に突出した突出部28aに形成され、挿通穴35が突出部28aに形成されていたが、固定部28は、突出部28aがなく挿通穴35が形成されるものであってもよい。
【0090】
また、上記実施形態1では、挿通穴35が形成される突出部28aの下面は、傾斜面に形成されていたが、突出部28aの下面は、傾斜面でなくてもよい。また、固定部28に突出部28aが形成されず、固定部28全体が、挿通穴35の長手方向の一方側に向かう程、下端面が下方に位置するように傾斜する傾斜部に形成されていてもよい。
【0091】
また、上記実施形態1では、位置決め部29は、カバー26を戸本体10に取り付ける際に、レール部材21に当接することにより、カバー26を所定の取付位置に取り付けるように形成されていた。しかしながら、位置決め部29の構成は、これに限られない。位置決め部29は、戸本体10の切欠後壁面10eに当接することにより、カバー26を所定の取付位置に取り付けられるように形成されていてもよい。
【0092】
また、上記実施形態1では、カバー26が、角カバー部30,30を有するように構成されていたが、カバー26は、角カバー部30,30を有しないものであってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0093】
本発明は、建具の側端部の切欠部に設けられる建具用パッキン及びそれを備えた建具に有用である。
【符号の説明】
【0094】
1 引戸(建具)
10 戸本体
10a 戸先側の端部(幅方向の端部)
10c 戸先側の端面(幅方向の端面)
10d 切欠上壁面
12 切欠部
21 レール部材(固定具)
22 パッキン
23 パッキン部材
24 本体部
26 カバー
27 U字カバー部
27a 基板部
27b 外壁部
27c 内壁部
27d,27d 先端壁部
28 固定部
28a 突出部(傾斜部)
29 位置決め部
30,30 角カバー部
32 開口
33 U字溝
34 ビス
35 挿通穴
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8