(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-16
(45)【発行日】2022-01-14
(54)【発明の名称】ガスコンロ
(51)【国際特許分類】
F24C 15/10 20060101AFI20220106BHJP
F24C 3/00 20060101ALI20220106BHJP
【FI】
F24C15/10 B
F24C3/00 L
(21)【出願番号】P 2018027002
(22)【出願日】2018-02-19
【審査請求日】2021-01-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000112015
【氏名又は名称】株式会社パロマ
(74)【代理人】
【識別番号】110000497
【氏名又は名称】特許業務法人グランダム特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】井本 琢磨
【審査官】杉浦 貴之
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-36947(JP,A)
【文献】特開2008-32352(JP,A)
【文献】特開2006-10218(JP,A)
【文献】特開2006-3005(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24C 15/10
F24C 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上端側が開放した形態をなし、少なくともグリル庫を収容する筐体部と、
前記筐体部の上端側に組み付けられて前記筐体部を閉塞する天板部と、
を有するガスコンロであって、
前記天板部は、
板状に構成されるとともに、後端側周縁部の左右方向両側に後方へ凸となる一対の突出部が形成され、前記後端側周縁部の左右方向中央側に前方へ凹となる切欠き部が形成された天板本体部と、
前記切欠き部の少なくとも一部を埋めるように前記天板本体部に固定され、前記グリル庫からの排気を排出する排気口が自身の内縁側に形成された排気口形成部材と、
一対の前記突出部の裏面側にそれぞれ配置される一対の裏面側配置部を備え、前記天板本体部の裏面側に固定される補強板と、
両端側が一対の前記裏面側配置部にそれぞれ連結されるとともに、一対の前記裏面側配置部の間に架設され、前記排気口形成部材における前記排気口の後方側の部分を下方側から支持する架設部と、
を具備し、
前記架設部には、前記排気口形成部材に固定される固定部が形成されているガスコンロ。
【請求項2】
一対の前記裏面側配置部の各々において、前記切欠き部の内側に向けて突出する内側突出部が設けられ、
前記切欠き部の内側の領域内において、前記架設部の一端側が一方の前記内側突出部に連結され、前記架設部の他端側が他方の前記内側突出部に連結されている請求項1に記載のガスコンロ。
【請求項3】
前記固定部は、第1の貫通孔部を有し、
前記排気口形成部材は、第2の貫通孔部を有し、
前記第1の貫通孔部及び前記第2の貫通孔部に挿入される連結部材によって前記固定部と前記排気口形成部材とが連結されている請求項1又は請求項2に記載のガスコンロ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガスコンロ
【背景技術】
【0002】
従来から、魚などの被調理物に対して加熱調理を行うためのグリル庫が器内に設けられた加熱調理器が知られている。例えば、特許文献1で開示される加熱調理器は、天板(天板本体部)の後端側の表面に設けられて排気口が形成される内枠体と、この排気口を覆うように排気口と対向する範囲に多数の通風可能な小開口を有する排気口カバーと、を備えており、グリル庫からの排気を排気経路及び排気口を介して排出する構成となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、ガスコンロの天板の構成としては、天板本体部の後端部中央に前方へ凹となる切欠き部を形成し、この切欠き部内に排気口が形成された部材(排気口形成部材)を嵌め込むようなものも考えられる。しかし、このような構成のものでは、切欠き部に枠体を組み付ける際に、排気口形成部材の前後左右のずれを規制しながら排気口形成部材を天板本体部の規定位置に精度良く固定する必要がある。また、このように切欠き部が形成された天板本体部を用いる場合、天板本体部における左右両側の後端部付近(後方に突出する部分)や排気口形成部材の後端部付近(排気口の後方側の部分)の強度を十分に確保しにくいため、この部分に強い荷重が加わると破損等の不具合が生じる虞がある。
【0005】
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、後端側に凹状の切欠き部を設けた形で天板本体部を構成し、排気口形成部材を切欠き部内に埋め込んだ形で天板部を構成したガスコンロにおいて、天板本体部及び排気口形成部材の後端部付近を補強して強度を高めることができ、且つ、排気口形成部材を天板本体部に対して適切な位置に位置決めしやすい構成を実現することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一つであるガスコンロは、
上端側が開放した形態をなし、少なくともグリル庫を収容する筐体部と、
前記筐体部の上端側に組み付けられて前記筐体部を閉塞する天板部と、
を有するガスコンロであって、
前記天板部は、
板状に構成されるとともに、後端側周縁部の左右方向両側に後方へ凸となる一対の突出部が形成され、前記後端側周縁部の左右方向中央側に前方へ凹となる切欠き部が形成された天板本体部と、
前記切欠き部の少なくとも一部を埋めるように前記天板本体部に固定され、前記グリル庫からの排気を排出する排気口が自身の内縁側に形成された排気口形成部材と、
一対の前記突出部の裏面側にそれぞれ配置される一対の裏面側配置部を備え、前記天板本体部の裏面側に固定される補強板と、
両端部が一対の前記裏面側配置部にそれぞれ連結されるとともに、一対の前記裏面側配置部の間に架設され、前記排気口形成部材における前記排気口の後方側の部分を下方側から支持する架設部と、
を具備し、
前記架設部には、前記排気口形成部材に固定される固定部が形成されている。
【発明の効果】
【0007】
上記ガスコンロは、後端側に凹状の切欠き部を設けた形で天板本体部を構成し、この切欠き部を埋めるように排気口形成部材を設けることで、切欠き部内の所望の位置に排気口を配置することができる。また、排気口形成部材における排気口の後方側の部分を架設部によって下方側から支持することができるため、強度不足が懸念される当該部位(排気口の後方側の部分)及び一対の突出部付近を効果的に補強することができる。更に、架設部の固定部を排気口形成部材に固定する構成であるため、排気口形成部材を補強板に対して位置合わせしやすくなり、ひいては、排気口形成部材を天板本体部に対して適切な位置に位置決めしやすくなる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】実施例1のガスコンロを概略的に例示する斜視図である。
【
図2】実施例1のガスコンロの天板部を斜め上側から見た斜視図である。
【
図3】
図2の天板部を斜め下側から見た斜視図である。
【
図6】
図4のA-A位置で切断した断面の一部を概略的に示す断面概略図である。
【
図7】
図4のB-B位置で切断した断面の一部を概略的に示す断面概略図である。
【
図8】
図4のC-C位置で切断した断面の一部を概略的に示す断面概略図である。
【
図9】
図4のD-D位置で切断した断面の一部を概略的に示す断面概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の望ましい例を以下に示す。但し、本発明は、以下の例に限定されない。
本発明は、一対の裏面側配置部の各々において、切欠き部の内側に向けて突出する内側突出部が設けられていてもよい。切欠き部の内側の領域内において、架設部の一端側が一方の内側突出部に連結され、架設部の他端側が他方の内側突出部に連結されていてもよい。
このようにすれば、切欠き部の内側の領域を有効に利用して架設部と排気口形成部材とを連結することができる。
【0010】
固定部は、第1の貫通孔部を有していてもよく、排気口形成部材は、第2の貫通孔部を有していてもよい。そして、第1の貫通孔部及び第2の貫通孔部に挿入される連結部材によって固定部と排気口形成部材とが連結されていてもよい。
このようにすれば、架設部に形成された第1の貫通孔部と排気口形成部材に形成された第2の貫通孔部とを連結部材によって精度良く位置合わせすることができるため、架設部、補強板、及び天板本体部に対して排気口形成部材を位置決めするときの位置決めの精度をより高めることができる。
【0011】
<実施例1>
本発明の実施例1に係るガスコンロ1について、図面を参照しつつ説明する。
1-1.ガスコンロの概要
まず、ガスコンロ1の概要を説明する。
図1に示すガスコンロ1は、調理鍋等の調理器具を加熱可能なビルトインコンロとして構成され、複数のこんろ部6A,6B,6Cを備え、器内にグリル庫10を内蔵してなる。
【0012】
ガスコンロ1は、装置本体1Aに天板部4(トッププレート)が取り付けられた構成をなす。装置本体1Aは、ガスコンロ1から天板部4を除いた部分であり、ガスコンロ1の外殻をなす筐体部2と、筐体部2内に収容される様々な部品(グリル庫10等)とを有してなる。天板部4は、筐体部2の上端部に固定されており、この天板部4から露出するように、左こんろ部6A、右こんろ部6Bが夫々設けられ、その左右のこんろ部6A,6Bの間で後方寄りに小こんろ部6Cが設けられている。左こんろ部6Aには、コンロバーナ8Aが設けられ、右こんろ6Bには、コンロバーナ8Bが設けられ、小こんろ部6Cには、コンロバーナ8Cが設けられている。コンロバーナ8A,8B、8Cは、公知のガスバーナとして構成され、図示しないガス供給路を介してガスが供給される構成をなし、それぞれの一部が天板部4の上方側に配置されるようになっている。天板部4において、コンロバーナ8A,8B、8Cの周囲には、五徳9A,9B,9Cがそれぞれ配置されている。また、天板部4の下方において装置本体1Aの内部中央付近にはグリル庫10が設けられている。
【0013】
1-2.天板部の構成
次に、天板部4について詳述する。
図1のように、天板部4は、上端側が開口してなる筐体部2の上端側に組み付けられて筐体部2を閉塞するものであり、ガスコンロ1の上面部を構成するものである。
【0014】
天板部4の取付対象となる筐体部2は、左右の側壁部(
図1では、一方の側壁部2Bを図示)と、図示しない後壁部と、前壁部として機能する前面パネル2Aと、図示しない底壁部とを備え、前後左右の壁部によって部品の収容空間が囲まれた構成をなし、部品の収容空間の下方側は底壁部によって閉塞される。筐体部2は、上端部が開放した箱状形態をなしており、グリル庫10などの各種部品を収容する。天板部4は、筐体部2の上端側に構成される開口部を閉塞する構成で筐体部2に取り付けられる。
【0015】
なお、本明細書では、天板本体部20の厚さ方向(板厚方向)を上下方向とし、天板本体部20を平面視したときの長手方向を左右方向とし、上下方向及び左右方向と直交する方向を前後方向とする。上下方向において、天板本体部20の表側を上方側とし裏側を下方側とする。
【0016】
天板部4は、
図2~
図4のような構成をなし、
図5で示す各部品が組み立てられてなる。
図5のように、天板部4は、板状の天板本体部20と、天板本体部20の周縁部に沿うように天板本体部20の裏面に固定される周縁枠体4Aと、周縁枠体4Aに沿って配置されるパッキン4Bと、天板本体部20を裏面部側から補強する補強板50と、天板本体部20に形成された切欠き部24に嵌り込むように固定される排気口形成部材30と、排気口形成部材30及び補強板50に固定される架設部80と、天板本体部20における中央側の所定位置にそれぞれ固定される中央側内枠部61,62,63とを備える。天板部4は、筐体部2の上端側に組み付けられて筐体部2(
図2)を閉塞する構成をなす。
【0017】
図2で示す天板本体部20は、板状に構成された部材であり、ガラス板からなる板状部材、或いは金属板材の表面にホーロー処理を施してガラスコート層を形成した板状部材などとして構成されている。
図5のように、天板本体部20は、板状に構成され、全体的に均一な板厚となっている。
図2、
図5のように、天板本体部20の中央側には、コンロバーナ8A,8B、8Cが挿し通される開口形状のバーナ挿通部21A,21B,21Cが形成されている。
【0018】
図2のように、天板本体部20の周縁部29は、平面視矩形状となっており、周縁部29のうちの前端側周縁部29Aは、端部が左右方向に延びる形態をなす。周縁部29のうちの左右端側周縁部29B,29Cは、端部が前後方向の延びる形態をなす。周縁部29のうちの後端側周縁部29Dは、左右両側が突出した形態をなし、中央側が凹んだ形態をなす。後端側周縁部29Dの左右方向両側には、後方へ凸となる一対の突出部25,26が形成されている。突出部25,26の後端25A,26Aは、左右方向に延びており、後述する排気口形成部材30の後端と面一に揃っている。後端側周縁部29Dの左右方向中央側には、前方へ凹となる切欠き部24が形成されている。切欠き部24は、天板本体部20の後端(一対の突出部25,26の後端25A,26A)から前側に向かって凹む凹部となっており、左右方向の所定幅にわたり且つ前後方向の所定幅にわたって形成されている。切欠き部24の左右両側の内縁部24A,24Bは、前後方向に延びており、切欠き部24の前端の内縁部24Cは、左右方向に延びている。
【0019】
図2のように、天板本体部20には、排気口形成部材30,中央側内枠部61,62,63がそれぞれ固定される。中央側内枠部61,62,63は、天板本体部20の中央側に形成された各バーナ挿通部21A,21B,21Cの付近にそれぞれ固定される。中央側内枠部61は、天板本体部20の裏面側に板状の組付部材61Aが固定され、天板本体部20の表面側にリング状の座金部材61Bが固定され、これらが固定部材(ねじ等)によって連結される。中央側内枠部62は、天板本体部20の裏面側に板状の組付部材62Aが固定され、天板本体部20の表面側にリング状の座金部材62Bが固定され、これらが固定部材(ねじ等)によって連結される。中央側内枠部63は、天板本体部20の裏面側に板状の組付部材63Aが固定され、天板本体部20の表面側にリング状の座金部材63Bが固定され、これらが固定部材(ねじ等)によって連結される。中央側内枠部61,62,63のそれぞれには、上下に貫通した開口部61C,62C,63Cがそれぞれ形成され、これらがバーナ挿通部21A,21B,21Cのそれぞれと連通しており、天板部4の装着時には、開口部61C,62C,63Cに対して下側からコンロバーナ(ガスバーナ)8A,8B、8Cがそれぞれ挿入されようになっている(
図1参照)
【0020】
図3~
図5で示す周縁枠体4Aは、例えば金属材料や樹脂材料などからなり、接着剤などの接着媒体によって天板本体部20の裏面に接着される構成をなし、天板本体部20の周縁部29の近傍を補強する機能を有する。
図5のように、周縁枠体4Aは、矩形状に構成された天板本体部20の周縁部29に沿った形状の矩形枠として構成され、周縁枠体4Aの外縁部は、天板本体部20の板面方向において天板本体部20の周縁部とほぼ同位置、又は天板本体部20の周縁部よりも僅かに外側に張り出している。周縁枠体4Aの下面には、パッキン4Bが周縁枠体4Aに沿うように固定されている。
【0021】
図5で示す排気口形成部材30は、切欠き部24の一部を埋めるように天板本体部20に固定される部材であり、自身の内縁側には、グリル庫10からの排気を排出する排気口35が貫通孔として形成されている。排気口形成部材30は、例えば金属材料などからなり、切欠き部24に沿うように天板本体部20に固定される。
図2のように、排気口形成部材30の表面側には、下方に凹む凹部36が形成されており、凹部36には、
図1のようにカバー部材40が嵌め込まれるようになっている。
図1で示すカバー部材40は、排気口35を覆うように排気口形成部材30に装着される部材であり、カバー部材40には、排気を導出するための多数の貫通孔40Aが形成されている。
図1のように排気口形成部材30にカバー部材40が装着された状態では、排気口35を介して排出される排気が、多数の貫通孔40Aを介して外部に放出される。
【0022】
図6のように、排気口形成部材30は、切欠き部24の表側(上側)を覆う構成で切欠き部24に沿って配置される被覆部34と、後述する浮き防止板70と係合する被係合部33とを備え、被覆部34と切欠き部24の表側の面との間に貯留される図示しない接着媒体(接着剤等)によって切欠き部24の周縁部に接着される。排気口形成部材30の外縁側には、天板本体部20の表側の面と当接する当接部34Aが被覆部34の一部として排気口形成部材30の外縁に沿って設けられている。被覆部34は、切欠き部24の上方側において切欠き部24に沿うように配置される。
【0023】
被覆部34の下方側には、切欠き部24内に配置されるとともに切欠き部24の上方側から下方側まで及ぶように配置された環状壁部37Aが連結されており、この環状壁部37Aの下端部に被係合部33が連結されている。環状壁部37Aは、上述の凹部36の内周壁を構成しており、環状壁部37Aの下端部には底壁部37Bが連結されている。そして、この底壁部37Bにおいて左右方向に延びる形態で長孔形状の排気口35が形成されている。
【0024】
図2、
図5のように、環状壁部37Aの後端部よりも後方側には、後方側部分38が形成されている。後方側部分38は、排気口35の後方側に配置される部分であり、具体的には、カバー部材40の後方側に隣接して配置される部分となっている。後方側部分38は、板状に構成されるとともに横方向に延びる板状部38Aと、板状部38Aの後端から下方側に折れ曲がる垂下部38Bとを備えている。板状部38Aは、上下方向を板厚方向とするように配置されており、
図6のように、板状部38Aの上面は、天板本体部20の上面よりもやや上位置となっており、垂下部38Bは、周縁枠体4Aの後端部の外側において周縁枠体4Aの後端部に沿うように左右方向に延びている。
【0025】
図3~
図5のように、補強板50は、天板本体部20の裏面側に固定される板状の部材であり、例えば金属材料などからなる。補強板50は、天板本体部20における切欠き部24よりも前側の部位に固定される中央側固定部54と、天板本体部20の一対の突出部25,26の裏面側にそれぞれ配置される一対の裏面側配置部55,56とを備える。裏面側配置部55,56は、中央側固定部54の左右方向両側から後方側に向けて突出した構成をなし、一対の突出部25,26の裏面にそれぞれ固定される。中央側固定部54は、天板本体部20の裏面に密着する板状の密着部54Aと、密着部54Aよりも下方側に突出する形で形成されるとともに下方側に膨出した構成をなす一対の第1膨出部54B,54Bとを有する。密着部54Aは、図示しない接着剤や締結部材などによって天板本体部20の裏面に固定されている。第1膨出部54B,54Bは、切欠き部24側の位置に設けられている。一対の裏面側配置部55,56の各々には、切欠き部24の内側に向けて突出する内側突出部58,59が設けられており、内側突出部58は、内縁部24Aよりも天板本体部20の左右方向中央側に延びており、内側突出部59は、内縁部24Bよりも天板本体部20の左右方向中央側に延びている。このように、内側突出部58,59は、切欠き部24の内縁よりも幅方向中央側に突出している。
【0026】
浮き防止板70は、例えば金属材料などからなり、天板本体部20の裏面側に固定される板状の部材として構成されている。浮き防止板70は、板状に構成されるとともに補強板50の密着部54Aの下面に密着する板状部71と、第1膨出部54B,54Bと上下に重なって配置されるとともに下方側に膨出した構成をなす第2膨出部72,72と、排気口形成部材30と係合する係合部76とを有し、係合部76が被係合部33に対して下方側への押圧力を加えた状態で天板本体部20の裏面側に固定されている。
【0027】
図5のように、架設部80は、一対の裏面側配置部55,56の間に架設される部材であり、排気口形成部材30における後方側部分38(排気口35の後方側の部分)を下方側から支持する部材である。架設部80は、例えば金属材料によって板状に構成されている。
図4、
図6等で示すように、切欠き部24の内側の領域内において、架設部80の一端側が一方の内側突出部58に連結され、架設部80の他端側が他方の内側突出部59に連結されている。具体的には、一対の裏面側配置部55,56の各々において、切欠き部24の内側に向けて突出するように内側突出部58,59が設けられ、内側突出部58,59の各々には、貫通孔58A,59Aが形成されている。一方で、架設部80には、左右方向一端近傍(左右方向一端寄りの位置)に貫通孔88が形成され、左右方向他端近傍(左右方向他端寄りの位置)に貫通孔89が形成されている。架設部80の左右方向一端側では、貫通孔58Aと貫通孔88とに挿し通される連結部材98(ねじ等)によって架設部80と裏面側配置部55とが切欠き部24内(切欠き部24の内縁よりも内側の領域)で固定されており(
図4参照)、架設部80の左右方向他端側では、貫通孔59Aと貫通孔89とに挿し通される連結部材99(ねじ等)によって架設部80と裏面側配置部56とが切欠き部24内(切欠き部24の内縁よりも内側の領域)で固定されている(
図4、
図8、
図9参照)。
【0028】
図5のように、架設部80は、左右方向に長い板状に構成される長板部86と、長板部86から垂直に立ち上がる構成をなし且つ左右方向に延びた壁部として構成される立ち上がり部84と、長板部86に対して段状に構成され、上面が長板部86の上面よりも上位置に配置される支持板85と、長板部86の左右両側から前方側に延びる固定部81,82と、を有する。
【0029】
図6~
図9のように、支持板85は、長板部86に連結されるとともに板状に構成され、一方の板面(上面)が板状部38A(排気口形成部材30の後方側部分38の一部)に対して下方側から接触するように配置され、板状部38Aが下方側に撓むことを規制する。
【0030】
長板部86は、下面(裏面)の位置が天板本体部20の下面(裏面)の位置と上下方向において同程度の位置(同程度の高さ)となっており、長板部86の下面には上述の周縁枠体4Aが接着剤などの接着媒体によって接着されている。つまり、周縁枠体4Aは、天板本体部20の周縁部(切欠き部24以外の周縁部)と長板部86とに跨るように環状に配置されている。
【0031】
立ち上がり部84は、長板部86の後端から略垂直に立ち上がっており、且つ左右方向に延びる形態をなす。立ち上がり部84の後端面84Aは、周縁枠体4Aの後端面に沿うように配置され、且つ垂下部38Bの前面(内側の板面)と対向するように配置される。なお、立ち上がり部84の後端面84Aと垂下部38Bの前面は接触していてもよい。
【0032】
固定部81,82は、排気口形成部材30に固定される部位である。固定部81,82は、長板部86の左右両端部近傍から前側に延びるとともに長板部86の下面よりも下側に配置されている。そして、これら固定部81,82は、排気口形成部材30における底壁部37Bの裏面(具体的には、底壁部37Bにおける排気口35の左右両側の各部の裏面)にそれぞれ接触するように配置され、底壁部37Bに固定されている。具体的には、固定部81,82には、第1の貫通孔部81A,82Aがそれぞれ形成されており、排気口形成部材30における底壁部37Bには、第2の貫通孔部31A,32Aがそれぞれ形成されている。そして、第1の貫通孔部81A,82A及び第2の貫通孔部31A,32Aに挿入される連結部材91A,92Aによって固定部81,82と排気口形成部材30とが連結されている。
【0033】
なお、
図6~
図9では、左右方向一方側での構造を主に例示したが、左右方向他方側の構造は左右方向一方側の構造とほぼ対称構造となっており、
図6~
図9と同様の構成をなしている。
【0034】
1-3.効果
ガスコンロ1は、後端側に凹状の切欠き部24を設けた形で天板本体部20を構成し、この切欠き部24を埋めるように排気口形成部材30を設けることで、切欠き部24内の所望の位置に排気口35を配置することができる。また、排気口形成部材30における排気口35の後方側の部分を架設部80によって下方側から支持することができるため、強度不足が懸念される当該部位(排気口35の後方側の部分)及び一対の突出部25,26付近を効果的に補強することができる。更に、架設部80の固定部81,82を排気口形成部材30に固定する構成であるため、排気口形成部材30を補強板50に対して位置合わせしやすくなり、ひいては、排気口形成部材30を天板本体部20に対して適切な位置に位置決めしやすくなる。
【0035】
図3、
図4のように、一対の裏面側配置部55,56の各々において、切欠き部24の内側に向けて突出する内側突出部58,59が設けられ、切欠き部24の内側の領域内において、架設部80の一端側が一方の内側突出部58に連結され、他端側が他方の内側突出部59に連結されている。このようにすれば、切欠き部24の内側の領域を有効に利用して架設部80と排気口形成部材30とを連結することができる。
【0036】
固定部81,82は、第1の貫通孔部81A,82Aを有し、排気口形成部材30は、第2の貫通孔部31A,32Aを有し、第1の貫通孔部81A,82A及び第2の貫通孔部31A,32Aに挿入される連結部材91A,92Aによって固定部81,82と排気口形成部材30とが連結されている。このようにすれば、架設部80に形成された第1の貫通孔部81A,82Aと排気口形成部材30に形成された第2の貫通孔部31A,32Aとを連結部材91A,92Aによって精度良く位置合わせすることができるため、架設部80、補強板50、及び天板本体部20に対して排気口形成部材30を位置決めするときの位置決めの精度をより高めることができる。
【0037】
<他の実施例>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施例に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の構成で実現することができる。例えば、上述した実施例や後述する実施例の様々な特徴は、発明の趣旨を逸脱せず且つ矛盾しない組み合わせであればどのように組み合わせてもよい。また、その技術的特徴が本明細書中に必須なものとして説明されていなければ、適宜、削除することが可能である。
【0038】
実施例1では、補強板50に形成された内側突出部に架設部が固定される構成を例示したが、補強板に形成された一対の突出部の間に架設される構成であれば、どのような固定構造であってもよい。
【符号の説明】
【0039】
1…ガスコンロ
2…筐体部
4…天板部
10…グリル庫
20…天板本体部
24…切欠き部
25,26…突出部
30…排気口形成部材
31A,32A… 第2の貫通孔部
35…排気口
50…補強板
55,56…裏面側配置部
58,59…内側突出部
80…架設部
81,82…固定部
81A,82A…第1の貫通孔部
91A,92A…連結部材